JP6313180B2 - 樹脂粒子の分散液及び分散性樹脂粒子並びにそれらの製造方法 - Google Patents

樹脂粒子の分散液及び分散性樹脂粒子並びにそれらの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6313180B2
JP6313180B2 JP2014201566A JP2014201566A JP6313180B2 JP 6313180 B2 JP6313180 B2 JP 6313180B2 JP 2014201566 A JP2014201566 A JP 2014201566A JP 2014201566 A JP2014201566 A JP 2014201566A JP 6313180 B2 JP6313180 B2 JP 6313180B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
solvent
resin particles
dispersion
weight
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014201566A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016069555A (ja
Inventor
善也 大田
善也 大田
加藤 真理子
真理子 加藤
圭一 荒木
圭一 荒木
樋口 章二
章二 樋口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Osaka Gas Chemicals Co Ltd
Original Assignee
Osaka Gas Chemicals Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Osaka Gas Chemicals Co Ltd filed Critical Osaka Gas Chemicals Co Ltd
Priority to JP2014201566A priority Critical patent/JP6313180B2/ja
Publication of JP2016069555A publication Critical patent/JP2016069555A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6313180B2 publication Critical patent/JP6313180B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)

Description

本発明は、フルオレン骨格を有する樹脂粒子の分散液、表面が界面活性剤で処理された分散性樹脂粒子及びそれらの製造方法に関する。
樹脂粒子は、幅広い分野、例えば、塗料、接着剤、印刷インク、電子写真トナー、コーティング剤、添加剤などに利用されている。近年では、製品の高機能化に伴い、例えば、高い光学的特性(例えば、高屈折率、低複屈折など)や熱的特性(例えば、耐熱性)を有し、かつ微細化された樹脂粒子(ナノ粒子)の開発が求められている。
一方、9,9−ビスフェニルフルオレン骨格を有する樹脂などは、高屈折率、低複屈折などの優れた光学的特性を有することが知られており、これらの樹脂から樹脂粒子又は樹脂粒子を含む水性分散液(ラテックス)を製造する方法が開示されている。
例えば、特開2012−251142号公報(特許文献1)には、フルオレン骨格を有する樹脂が良溶媒に溶解した溶液に、撹拌下で貧溶媒を添加し、フルオレン骨格を有する樹脂粒子を良溶媒及び貧溶媒を含む溶媒中に生成させて分散液を得る粒子生成工程と、この分散液の前記溶媒を水性媒体に置換する溶媒置換工程とを含むラテックスの製造方法が記載されている。この文献の実施例では、9,9−ビスフェニルフルオレン骨格を有するポリエステル樹脂を5重量%の割合で含むテトラヒドロフラン(THF)溶液50gに、アセトニトリル150gを室温にて混合攪拌して樹脂粒子を含む分散液を作製し、この分散液(THF、アセトニトリル混合液)を加熱(100℃付近まで)して蒸発させながら、樹脂粒子分散濃度がほぼ一定になるように水を添加し、水性分散液を得ている。しかし、実験室規模であれば、樹脂溶液と貧溶媒とを均一に混合するのに時間を要さないが、生産規模が拡大すると短時間で均一に混合できず、粒子同士が合体、凝集して粒子サイズが変化する虞がある。また、加熱下で水性溶媒に置換するため、溶媒を含む樹脂粒子の凝集が起こる虞がある。さらに、この文献の実施例には、樹脂粒子の個数換算粒度分布から求めた平均粒子径が樹脂濃度1%で41nm、10重量%で173nmであることが記載されている。すなわち、樹脂粒子濃度が大きいと粒子の安定性が低下し、粒子サイズを維持できない。そのため、水性分散液の樹脂粒子濃度を低くする必要があり、輸送コストなどが増大する虞がある。
特開2009−256669号公報(特許文献2)には、9,9−ビスアリールフルオレン骨格を含有するフルオレン含有ポリエステル系樹脂(A)、及び前記フルオレン含有ポリエステル系樹脂(A)を溶解可能な溶媒(B)を含む樹脂溶液と、前記フルオレン含有ポリエステル系樹脂(A)の貧溶媒であり、かつ前記溶媒(B)と混和(又は相溶)する溶媒(C)とを接触させて、前記樹脂溶液を微細化し、ナノメーターサイズの前記樹脂粒子を製造する方法が記載されている。
具体的には、前記樹脂溶液を前記溶媒(C)に添加(又は滴下)し、撹拌(超音波処理など)などの機械的(又は物理的)手段などにより混合して微細化しつつ、前記溶媒(C)によりフルオレン含有ポリエステル系樹脂(A)を粒子状に析出させて製造する方法が記載されている。しかし、貧溶媒に樹脂溶液を加えるため、生産規模が拡大すると、特許文献1と同様に粒子サイズが大きくなる虞がある。また、この文献には、前記樹脂溶液に対し、前記溶媒(C)を噴霧(又は噴射)し、噴霧液を前記樹脂溶液に衝突させて微細化しつつ、フルオレン含有ポリエステル系樹脂(A)を相分離させて粒子状に析出させて製造する方法が記載されている。しかし、噴霧状の形態で貧溶媒を樹脂溶液に衝突させるため、樹脂溶液と貧溶媒との衝突効率が低くなり、粒子径のバラツキが大きく、所定サイズの樹脂粒子の収率が低下する虞がある。なお、この方法では、1mL/分の流量で流通する樹脂溶液に対し、溶媒(C)を100〜10000mL/分程度噴霧してもよいことも記載され、実施例では樹脂溶液の流量が2mL/分に対して溶媒(C)を4000mL/分の流量で供給している。さらに、この文献には溶媒(C)及び樹脂溶液の両者が少なくとも接触可能であればよく、例えば、ともに液体状態で接触させてもよいことも記載されている。
また、これらの文献に記載の方法では、樹脂溶液に対する貧溶媒の割合を高くする必要があり、生産コストも増大する。
特開2012−251142号公報(特許請求の範囲、実施例) 特開2009−256669号公報(特許請求の範囲、実施例、段落[0067][0073][0082])
従って、本発明の目的は、生産規模が拡大しても、粒子径のバラツキの少ないフルオレン骨格を有する樹脂粒子の分散液を効率よく製造する方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、粒子径を制御(又は粒子径を小さく)できる樹脂粒子の分散液の製造方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、加熱下であっても、樹脂粒子の合体(又は凝集)を抑制でき、所定サイズの樹脂粒子の水性分散液(例えば、水)を高収率で製造する方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、ナノメーターサイズの粒子であっても、水性溶媒(例えば、水)に分散可能な分散性樹脂粒子及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、樹脂溶液及び貧溶媒を液体状態で互いに交差する方向から合流させると、衝突効率(又は接触効率)を高め、短時間で均一に衝突混合(又は混合)でき、粒子径のバラツキを抑制できること、樹脂溶液及び貧溶媒の流量比を調整すると粒子径を制御できること、塩基の存在下、水性溶媒に置換すると粒子同士の合体を抑制できること、水性溶媒の存在下、樹脂粒子を界面活性剤で処理するとナノメーターサイズの粒子であっても、水性溶媒に対して簡便に再分散できることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明では、フルオレン骨格を有する樹脂を良溶媒に溶解させた樹脂溶液と、貧溶媒とをそれぞれ液体状態で、互いに交差する方向から合流させ、樹脂粒子が前記良溶媒及び貧溶媒を含む混合溶媒に分散した分散液を製造する。なお、複数の流路のうち、少なくとも1つの流路から樹脂溶液を供給しつつ、少なくとも1つの流路から貧溶媒を供給し、合流部で合流させてもよい。例えば、2つの流路のうち、1つの流路から樹脂溶液を供給しつつ、1つの流路から貧溶媒を供給し、合流部で合流させることができる。
前記方法では、流通する樹脂溶液に対して貧溶媒を60〜120°の交差角で合流させてもよい。また、樹脂溶液の流量(重量部/分)と貧溶媒の流量(重量部/分)との流量比は、前者/後者=1/0.1〜1/50であってもよい。さらに、樹脂溶液中の樹脂の流量(重量部/分)と貧溶媒の流量(重量部/分)との流量比は、前者/後者=1/1〜1/500であってもよい。また、樹脂溶液において、フルオレン骨格を有する樹脂の濃度は、0.5〜20重量%程度であってもよい。さらに、樹脂粒子は、9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有するポリエステル樹脂であってもよく、ナノメーターサイズであってもよい。
本発明の分散液の製造方法は、樹脂粒子が水性溶媒に分散した水性分散液の製造方法も包含し、この方法では、樹脂粒子の分散液の前記混合溶媒を水性溶媒に置換してもよい。この方法において、樹脂粒子の器壁付着を防止するために、塩基(例えば、アンモニア、アミン)の存在下、混合溶媒を蒸発させつつ、水性溶媒を添加してもよい。また、前記塩基は、樹脂粒子100重量部に対して0.01〜30重量部程度の割合で添加してもよい。
本発明の分散性樹脂粒子は、フルオレン骨格をする樹脂粒子であって、表面が界面活性剤(例えば、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤)で処理(例えば、吸着処理)された樹脂粒子であってもよい。また、この分散性樹脂粒子は、水性溶媒の存在下、フルオレン骨格を有する樹脂粒子を界面活性剤で処理して製造することができる。例えば、樹脂粒子の水性分散液から樹脂粒子を回収し、回収した樹脂粒子を界面活性剤で処理してもよい。なお、界面活性剤の割合は、樹脂粒子100重量部に対して、1〜40重量部程度であってもよい。
本発明の製造方法では、生産規模が拡大しても、樹脂溶液及び貧溶媒を短時間で均一に衝突混合(又は混合)できるため、粒子径のバラツキの少ない樹脂粒子の分散液を効率良く得ることができる。また、樹脂溶液及び貧溶媒の流量比を調整すると、粒子径を制御でき、粒子サイズの小さな(例えば、ナノメーターサイズの)樹脂粒子を得ることもできる。しかも、樹脂溶液に対する貧溶媒の割合を低減しても、所定サイズの樹脂粒子を高収率で得ることができ、生産コストも削減できる。さらに塩基の存在下、水性溶媒に置換すると分散液中の粒子が安定化するためか、加熱下であっても粒子径を維持したまま水性溶媒に分散できる。さらにまた、樹脂粒子の表面が界面活性剤で処理(又は吸着処理)された分散性樹脂粒子は、水性溶媒に対して簡便に再分散可能なため、輸送コストなどを削減できる。
図1は、本発明の製造装置の一例を示す概略図である。 図2は、実施例1で得られた樹脂粒子の水分散液のSEM写真である。 図3は、実施例2で得られた樹脂粒子の水分散液のSEM写真である。 図4は、実施例3で得られた樹脂粒子の水分散液のSEM写真である。 図5は、実施例4で得られた樹脂粒子の水分散液のSEM写真である。 図6は、比較例1で得られた樹脂粒子の水分散液のSEM写真である。 図7は、実施例1〜4及び比較例1で得られた樹脂粒子の水分散液の粒度分布を示す図である。 図8は、実施例5及び比較例2で得られた樹脂粒子の水分散液の粒度分布を示す図である。
[樹脂粒子の分散液の製造方法]
本発明の樹脂粒子の分散液は、フルオレン骨格を有する樹脂を良溶媒に溶解させた樹脂溶液と、貧溶媒とをそれぞれ液体状態で、互いに交差する方向から合流させることにより生成できる。
(樹脂溶液)
樹脂としては、フルオレン骨格を含む樹脂であればよく、例えば、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂などの熱可塑性樹脂が例示できる。
フルオレン骨格を有する樹脂は、フルオレン骨格を有するモノマー、例えば、フルオレン骨格を有するポリオール(例えば、ジオール)、フルオレン骨格を有するポリアミン(例えば、ジアミン)、フルオレン骨格を有するポリカルボン酸(例えば、ジカルボン酸)などを重合成分として含んでいてもよい。
これらの樹脂のうち、フルオレン骨格を有するポリエステル樹脂が代表的であり、9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有するポリエステル樹脂が好ましい。このような9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有するポリエステル樹脂は、9,9−ビス(カルボキシアリール)フルオレン骨格を含有するジカルボン酸成分と、ジオール成分とを重合成分とするポリエステル系樹脂であってもよいが、通常、9,9−ビス(ヒドロキシアリール)フルオレン骨格を含有するジオール成分と、ジカルボン酸成分とを重合成分とするポリエステル系樹脂である。
ジオール成分は、9,9−ビス(ヒドロキシアリール)フルオレン骨格を有するジオール化合物、例えば、少なくとも下記式(1)で表されるジオール化合物を含んでいてもよい。
(式中、環Zはアレーン環、Rはアルキレン基、R及びRは置換基を示し、pは0又は1以上の整数、kは0〜4の整数、mは0又は1以上の整数である。)
前記式(1)において、環Zで表されるアレーン環として、ベンゼン環などの単環式アレーン環、多環式アレーン環などが挙げられ、多環式アレーン環には、縮合多環式アレーン環[例えば、縮合二環式アレーン(例えば、ナフタレン環などの縮合二環式C10−16アレーン)環などの縮合二乃至四環式アレーン環など]、環集合アレーン環[ビアレーン環(例えば、ビフェニル環、ビナフチル環)などのビC6−12アレーン環など]などが含まれる。なお、2つの環Zは同一の又は異なる環であってもよい。好ましいアレーン環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環などが挙げられる。
前記式(1)において、アルキレン基Rとしては、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、1,2−ブタンジイル基などのC2−6アルキレン基などが例示できる。なお、mが2以上の整数である場合、アルキレン基Rの種類は、同一又は異なっていてもよい。また、アルキレン基Rの種類は、同一の又は異なる環Zにおいて、同一又は異なっていてもよい。
オキシアルキレン基(OR)の数mは、例えば、0〜15の整数(例えば、0〜10の整数)程度の範囲から選択でき、例えば、0〜8(例えば、1〜8)の整数、好ましくは0〜4(例えば、1〜4)の整数、特に0〜3(例えば、1〜3)程度の整数であってもよく、通常、0〜2の整数(例えば、0又は1)であってもよい。
基[HO−(RO)−]は、環Zの適当な位置に置換でき、例えば、環Zがベンゼン環である場合には、フェニル基の2〜4−位(特に、3−位又は4−位)に置換している場合が多く、環Zがナフタレン環である場合には、ナフチル基の5〜8−位である場合が多く、例えば、フルオレンの9−位に対してナフタレン環の1−位又は2−位が置換し(1−ナフチル又は2−ナフチルの関係で置換し)、この置換位置に対して、1,5−位、2,6−位などの関係で基[HO−(RO)−]が置換している場合が多い。また、環集合アレーン環Zにおいて、基[HO−(RO)−]の置換位置は、特に限定されず、例えば、フルオレンの9−位に結合したアレーン環及び/又はこのアレーン環に隣接するアレーン環に置換していてもよい。例えば、ビフェニル環Zの3−位又は4−位がフルオレンの9−位に結合していてもよく、ビフェニル環Zの4−位がフルオレンの9−位に結合しているとき、基[HO−(RO)−]の置換位置は、2−,3−,2’−,3’−,4’−位のいずれであってもよく、通常、2−,3’−,4’−位、好ましくは2−,4’−位(特に、2−位)に置換していてもよい。
前記式(1)において、置換基Rとしては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などのC1−6アルキル基など)、シクロアルキル基(シクロへキシル基などのC5−8シクロアルキル基など)、アリール基(例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基などのC6−10アリール基など)、アラルキル基(ベンジル基、フェネチル基などのC6−10アリール−C1−4アルキル基など)などの炭化水素基;アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基などのC1−6アルコキシ基など)、シクロアルキルオキシ基(シクロへキシルオキシ基などのC5−8シクロアルキルオキシ基など)、アリールオキシ基(フェノキシ基などのC6−10アリールオキシ基)、アラルキルオキシ基(ベンジルオキシ基などのC6−10アリール−C1−4アルキルオキシ基);アルキルチオ基(メチルチオ基などのC1−8アルキルチオ基など);アシル基(アセチル基などのC1−6アルキル−カルボニル基など);アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基などのC1−4アルコキシ−カルボニル基など);ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など);ニトロ基;シアノ基;ジアルキルアミノ基(例えば、ジメチルアミノ基などのジC1−4アルキルアミノ基など);ジアルキルカルボニルアミノ基(例えば、ジアセチルアミノ基などのジC1−4アルキル−カルボニルアミノ基など)などが例示できる。
代表的な置換基Rとしては、C1−6アルキル基(特にメチル基)、C6−10アリール基(特にフェニル基)、C6−8アリール−C1−2アルキル基、C1−4アルコキシ基などが挙げられる。なお、置換基Rがアリール基であるとき、置換基Rは、環Zとともに、前記環集合アレーン環を形成してもよい。置換基Rの種類は、同一の又は異なる環Zにおいて、同一又は異なっていてもよい。
置換数pの数は、環Zの種類などに応じて適宜選択でき、例えば、0〜8程度の整数であってもよく、0〜4の整数、好ましくは0〜3(例えば、0〜2)の整数、特に0又は1であってもよい。特に、pが1である場合、環Zがベンゼン環、ナフタレン環又はビフェニル環、置換基Rがメチル基であってもよい。
置換基Rとしては、例えば、シアノ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子など)、カルボキシル基、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基などのC1−6アルキル基)、アリール基(フェニル基などのC6−10アリール基)などが挙げられる。置換基Rはアルキル基(例えば、C1−4アルキル基、特にメチル基などのC1−3アルキル基)などである場合が多い。置換数kは0〜4(例えば、0〜3)の整数、好ましくは0〜2の整数(例えば、0又は1)、特に0である。なお、置換数kは、互いに同一又は異なっていてもよく、kが2以上である場合、置換基Rの種類は互いに同一又は異なっていてもよく、フルオレン環の2つのベンゼン環に置換する置換基Rの種類は同一又は異なっていてもよい。また、置換基Rの置換位置は、特に限定されず、例えば、フルオレン環の2−位乃至7−位(2−位、3−位及び/又は7−位など)であってもよい。
前記式(1)において、mが0である化合物としては、9,9−ビス(ヒドロキシアレーン)フルオレン類{例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)フルオレン、9,9−ビス(5−ヒドロキシ−1−ナフチル)フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシC6−12アリール)フルオレン、9,9−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−フェニル−3−ヒドロキシフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(C6−12アリール−ヒドロキシC6−12アリール)フルオレン、9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−メチル−3−ヒドロキシフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(C1−4アルキル−ヒドロキシC6−12アリール)フルオレンなどが例示できる。
前記式(1)において、mが1である化合物としては、9,9−ビス(ヒドロキシアルコキシアレーン)フルオレン類{例えば、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[6−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[5−(2−ヒドロキシプロポキシ)−1−ナフチル]フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシC2−4アルコキシC6−12アリール)フルオレン、9,9−ビス[4−フェニル−3−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[3−フェニル−4−(2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[C6−12アリール−ヒドロキシC2−4アルコキシC6−12アリール]フルオレン、9,9−ビス[3−メチル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−メチル−3−(2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[C1−4アルキル−ヒドロキシC2−4アルコキシC6−12アリール]フルオレンなど}などが例示できる。
前記式(1)において、mが2以上の化合物としては、前記mが0又は1の化合物に対応し、オキシアルキレン基(特にオキシC2−4アルキレン基)の繰り返し単位mが2〜5の化合物などが挙げられる。mが2以上の具体的な化合物を表1及び表2に示す。
前記式(1)中、k=0、p=0である化合物を表1に例示し、前記式(1)中、Rがメチル基、k=0、p=1である化合物を表2に例示する。なお、表1及び2中、Xの置換位置は、環Zに対する基X:[HO−(RO)−]の置換位置を示す。また、表2中、Rの置換位置は、環Zに対する置換位置を示す。
前記9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物は、市販品を使用してもよく、慣用の方法(例えば、9−フルオレノン類と、環Zに基[HO−(RO)−]が置換したヒドロキシ基含有アレーン環化合物(例えば、2−フェノキシエタノールなどのフェノキシアルカノール類など)とを酸触媒の存在下で反応させる方法、フルオレン類の9−位にヒドロキシアリール基が置換したフルオレン化合物[例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンなど]と、基ORに対応するアルキレンオキシド、アルキレンカーボネート及びハロアルカノールから選択された少なくとも1種とを反応させる方法)で合成してもよい。
前記ジオール成分は、前記フルオレン骨格を有するジオールのみで構成してもよく、他のジオール成分(フルオレン骨格を有するジオール以外のジオール成分)とを含んでいてもよい。
他のジオール成分としては、脂肪族ジオール[例えば、アルカンジオール(エチレングリコール、プロピレングリコールなどのC2−10アルカンジオールなど)、脂環族ジオール[例えば、シクロアルカンジオール(シクロヘキサンジオールなど)、ジ(ヒドロキシアルキル)シクロアルカン(シクロヘキサンジメタノールなど)など]、芳香族ジオール{例えば、1,4−ベンゼンジメタノールなどのジ(ヒドロキシC1−4アルキル)C6−10アレーン、ビスフェノール類[例えば、ビスフェノールAなどのビス(ヒドロキシフェニル)C1−10アルカン又はそのアルキレンオキシド付加体など]などが挙げられる。これらの他のジオール成分は、単独又は2種以上組み合わせて使用できる。これらの他のジオール成分のうち、C2−4アルカンジオールなどが好ましい。
ジオール成分において、フルオレン骨格を有するジオールの割合は、ジオール成分全体に対して、30モル%以上(例えば、40〜100モル%)、好ましくは50モル%以上(例えば、70〜95モル%)程度であってもよい。
一方、ジカルボン酸成分としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸成分[例えば、アルカンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸などのC2−12アルカン−ジカルボン酸など)]、脂環族ジカルボン酸[例えば、シクロアルカンジカルボン酸(例えば、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などのC5−10シクロアルカン−ジカルボン酸など)、ビ又はトリシクロアルカンジカルボン酸(例えば、デカリンジカルボン酸などのビ又はトリC5−10シクロアルカン−ジカルボン酸など)など]、芳香族ジカルボン酸[例えば、ベンゼンジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸など)、アルキルベンゼンジカルボン酸(例えば、メチルイソフタル酸、メチルテレフタル酸など)、ナフタレンジカルボン酸(例えば、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸など)、ビフェニルジカルボン酸(2,2’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸など)など]、フルオレン骨格を有するジカルボン酸(例えば、9,9−ビス(カルボキシアルキル)フルオレン、9,9−ビス(カルボキシアリール)フルオレンなど)又はこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。これらのジカルボン酸成分は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。これらのジカルボン酸成分のうち、複屈折性の観点からは、脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸など、屈折率などの観点からは、芳香族ジカルボン酸などを好適に使用できる。また、代表的なジカルボン酸成分として、シクロアルカンジカルボン酸、ベンゼンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸及びこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。なお、エステル形成性誘導体としては、例えば、低級アルキルエステル(C1−4アルキルエステルなど)、酸ハライド(酸クロライドなど)、酸無水物などが挙げられる。
前記ジオール成分と前記ジカルボン酸成分との割合は、例えば、前者/後者(モル比)=0.5/1〜1.5/1、好ましくは0.8/1〜1.2/1、さらに好ましくは0.9/1〜1.1/1程度であってもよい。
ポリエステル樹脂は、前記ジカルボン酸成分と前記ジオール成分とを反応(重合又は縮合)させることにより製造できる。重合方法(製造方法)としては、使用するジカルボン酸成分の種類などに応じて適宜選択でき、慣用の方法、例えば、溶融重合法、溶液重合法、界面重合法などが例示でき、溶融重合法が好ましい。
なお、9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物を含むジオール成分と芳香族ジカルボン酸及び/又は脂環族ジカルボン酸を含むジカルボン酸成分との反応により得られるポリエステル樹脂において、9,9−ビス[ヒドロキシC2−4アルコキシフェニル]フルオレンなどの前記化合物1〜4を用いたポリエステル樹脂と、9,9−ビス[ヒドロキシC2−4アルコキシナフチル]フルオレンなどの前記化合物5〜8、9,9−ビス(フェニル−ヒドロキシC2−4アルコキシフェニル)フルオレンなどの前記化合物9〜12、9,9−ビス[C1−4アルキル−ヒドロキシC2−4アルコキシフェニル]フルオレンなどの前記化合物13〜16から選択された少なくとも1種を用いたポリエステル樹脂とは、良溶媒(例えば、テトラヒドロフランなどの環状エーテルなど)に対して同様の溶解性を示す。そのため、これらのポリエステル樹脂を用いて樹脂から同様の粒子サイズの分散液を得ることができる。
フルオレン骨格を有する樹脂(例えば、ポリエステル樹脂などの縮合系樹脂)の数平均分子量は、樹脂の種類にもよるが、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)に基づいて、ポリスチレン換算で、例えば、5000〜500000(例えば、7000〜300000)、好ましくは8000〜200000、さらに好ましくは9000〜150000程度であってもよく、通常10000〜100000(例えば、11000〜70000)程度であってもよい。
フルオレン骨格を有する樹脂(例えば、ポリエステル樹脂)の屈折率は、例えば、波長589nmにおいて、1.55以上(例えば、1.56〜1.8程度)、好ましくは1.58以上(例えば、1.59〜1.75程度)、さらに好ましくは1.60以上(例えば、1.61〜1.7程度)であってもよい。
また、フルオレン骨格を有する樹脂(例えば、ポリエステル樹脂)のガラス転移温度(Tg)は、例えば、100℃以上(例えば、110〜300℃)、好ましくは115℃以上(例えば、115〜250℃)、さらに好ましくは120℃以上(例えば、120〜230℃)程度であってもよい。なお、ガラス転移温度は示差走査熱量計(DSC)により測定できる。
なお、フルオレン骨格を有する樹脂は、添加剤、例えば、可塑剤、軟化剤、着色剤、分散剤、離型剤、安定化剤(例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定化剤など)、帯電防止剤、難燃剤、(アンチ)ブロッキング剤、充填剤、導電剤などを含んでいてもよい。これらの添加剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。なお、添加剤は、貧溶媒及び/又は良溶媒に溶解可能であればよく、通常、良溶媒に溶解可能であってもよい。
添加剤の割合は、種類に応じて選択でき、例えば、フルオレン骨格を有する樹脂粒子100重量部に対して、0.1〜50重量部、好ましくは、1〜30重量部程度であってもよい。
良溶媒としては、前記フルオレン骨格を有する樹脂が溶解可能であれば、特に限定されず、例えば、環状エーテル類(例えば、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキソランなど)、鎖状ケトン類(例えば、アセトン、エチルメチルケトンなどのアルカノン)、環状ケトン類(例えば、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなど)、ハロゲン化炭化水素類(例えば、塩化メチレン、クロロホルムなどのハロアルカンなど)、芳香族炭化水素類(例えば、トルエンなど)などの非水性溶媒が挙げられる。これらの良溶媒は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。これらの良溶媒のうち、環状エーテル類(例えば、テトラヒドロフラン)、環状ケトン類(例えば、シクロヘキサノン)、ハロゲン化炭化水素類(例えば、クロロホルム)、環状ケトン類(例えば、シクロヘキサノン)と芳香族炭化水素(例えば、トルエン)との混合溶媒などが好ましく、特にテトラヒドロフランなどの水溶性有機溶媒が好ましい。
良溶媒の溶解度パラメーター(SP値、(cal/cm))は、例えば、8〜10、好ましくは8.5〜10、さらに好ましくは9〜10程度であってもよい。
良溶媒は、比較的低沸点、例えば、沸点120℃以下(例えば、35〜110℃)、好ましくは100℃以下(例えば、40〜95℃)、さらに好ましくは90℃以下(例えば、45〜85℃)、特に80℃以下(例えば、50〜75℃)程度であってもよい。特に、蒸留により水性溶媒と置換するためには、良溶媒の沸点は、水性溶媒の沸点以下であってもよい。なお、良溶媒は、水と共沸可能であってもよい。
前記樹脂溶液の濃度(樹脂濃度)は、例えば、0.5〜20重量%、好ましくは1〜15重量%、さらに好ましくは2〜10重量%(例えば、3〜8重量%)程度であってもよい。
(貧溶媒)
貧溶媒としては、良溶媒と混和(又は相溶)する溶媒であれば特に限定されず、例えば、有機溶媒[例えば、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのC1−4アルカノール)などの水性溶媒、エステル類(例えば、酢酸メチル、酢酸エチルなど)、ケトン類(例えば、メチルイソブチルケトンなど)、鎖状エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどのジアルキルエーテル)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル、プロピオニトリルなど)、炭化水素類(例えば、ヘキサン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類、ベンゼンなどの芳香族炭化水素類など)などの非水性溶媒]、水などが例示できる。これらの貧溶媒は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。これらの貧溶媒は、水性溶媒置換工程で、置換する水性溶媒(特に、水)とは異なる有機溶媒が好ましく、特に、ニトリル類などの水溶性有機溶媒であってもよい。
貧溶媒(例えば、水溶性有機溶媒)の溶解度パラメーター(SP値、(cal/cm))は、例えば、10.5〜15(例えば、10.5〜13)、好ましくは10.8〜12、さらに好ましくは11〜12程度であってもよい。
貧溶媒も、比較的低沸点、例えば、沸点120℃以下(例えば、40〜110℃)、好ましくは100℃以下(例えば、45〜98℃)、さらに好ましくは95℃以下(例えば、50〜95℃)、特に90℃以下(例えば、55〜85℃)程度であってもよい。特に、蒸留により水性溶媒と置換するためには、貧溶媒の沸点は、置換する水性溶媒の沸点以下であってもよい。なお、良溶媒は、水と共沸可能であってもよい。
(樹脂粒子の分散液)
本発明の方法では、液体状態で、前記樹脂溶液及び前記貧溶媒を互いに交差する方向から合流させて混合することで、樹脂粒子を析出(樹脂を粒子化)させ、樹脂粒子を含む分散液を得ることができる。この方法では、樹脂溶液及び貧溶媒の形態が、憤霧液などの液滴(粒子状の液)の形態ではなく、液体状態であるため、衝突効率を向上できる。また、樹脂溶液及び貧溶媒のいずれか一方を他方に加えて(又は添加して)混合するのではなく、両者を合流させて混合するため、生産規模が拡大しても、短時間で均一に混合(又は衝突混合)できる。すなわち、粒子径のバラツキの少ない樹脂粒子の分散液を効率良く生成できる。
流通する樹脂溶液及び貧溶媒の交差角は、例えば、10〜170°(例えば、30〜150°)、好ましくは50〜130°(例えば、60〜120°)、さらに好ましくは70〜110°(特に80〜100°)程度であってもよく、例えば、20〜130°(例えば、30〜110°)、好ましくは40〜80°、さらに好ましくは60〜70°(例えば、65〜70°)程度であってもよい。交差角が小さすぎても、大きすぎても均一に混合するのが困難となり、粒子径のバラツキが大きくなる虞がある。
また、前記方法では、樹脂溶液の流量に対して貧溶媒の流量が比較的少なくても所定サイズの樹脂粒子の収率を向上できる。すなわち、樹脂溶液の流量(重量部/分)と貧溶媒の流量(重量部/分)との流量比は、前者/後者=1/0.1〜1/50(例えば、1/0.5〜1/40)、好ましくは1/1〜1/30(例えば、1/1〜1/20)、さらに好ましくは1/1〜1/10(例えば、1/1〜1/5)程度であってもよい。また、樹脂溶液のフルオレン骨格を有する樹脂の流量(重量部/分)と貧溶媒の流量(重量部/分)との流量比は、前者/後者=1/1〜1/500(例えば、1/2〜1/300)程度から選択でき、例えば、1/5〜1/200、好ましくは1/10〜1/150、さらに好ましくは1/20〜1/100(例えば、1/20〜1/80)程度であってもよい。貧溶媒の流量が小さすぎると所定サイズの樹脂粒子の収率が低下する虞があり、逆に大きすぎても貧溶媒が過剰量必要となり、生産コストが増大する。なお、流量比を調整することで粒子径を制御することもできる。例えば、樹脂溶液に対する貧溶媒の流量の割合を向上させて、粒子径を小さくしてもよい。
また、流速比は、樹脂溶液の流路及び貧溶媒の流路の断面積の比(断面積比)と流量比とを調整することにより制御でき、樹脂溶液及び貧溶媒の流速比は特に限定されず、例えば、前者/後者=1/0.1〜1/150、好ましくは1/0.5〜1/100(例えば、1/1〜1/50)、さらに好ましくは1/1〜1/10程度であってもよい。樹脂溶液に対する貧溶媒の流速比が小さすぎても大きすぎても、粒子径のバラツキが大きくなる虞がある。なお、樹脂溶液と貧溶媒とは、液体状態で混合可能であれば、混合温度は特に限定されず、通常、室温(25℃)で混合する場合が多い。
本発明では、種々の装置(又は器具)を用いて行うことができる。図1は、本発明の樹脂粒子の製造装置の一例を示す概略図である。装置1は、樹脂溶液を供給するための流路2aを有する供給管2と、この供給管2と同じ角度で傾斜し、貧溶媒を供給するための流路3aを有する供給管3と、流路2aを流通する樹脂溶液と流路3aを流通する貧溶媒とが合流し、樹脂粒子を生成(又は析出)する合流部6と、合流部6から鉛直下向きに延び、混合液を均一に混合するための流路4aを有する混合管4と、この混合管4から樹脂粒子の分散液を回収する受器5とを備えている。
供給管2と供給管3との交差角(角度α)は、樹脂溶媒と貧溶媒とを短時間で均一に混合するために、60〜120°程度である。また、供給管2(流路2a)及び供給管3(流路3a)の断面積及び長さは特に限定されず、流速比に応じて適宜選択できる。さらに、供給管2及び供給管3の流路の断面形状は、例えば、円形状、楕円形状、多角形状(例えば、四角形状など)など、好ましくは円形状であってもよい。
混合管4(流路4a)の断面積、長さ及び断面形状は、樹脂溶液と貧溶媒とを混合可能であれば、特に限定されないが、例えば、流路4aに粒子を微細化及び/又は均一化するための1又は複数の絞り部(オリフィス)を形成してもよい。また、受器5は、流路4aを流通する混合液を回収できればよく、混合管4に連結していても、図1のように連結していなくてもよい。なお、受器5の形状及び内容積は、生産量に応じて適宜選択できる。
前記装置において、樹脂溶液及び/又は貧溶媒を供給する供給管(流路)はそれぞれ複数形成されていてもよい。すなわち、樹脂溶液及び貧溶媒の供給管(流路)の数はそれぞれ、例えば、1以上(例えば、1〜3)、好ましくは1又は2、特に1であってもよい。例えば、図1の混合管4(流路4a)を軸として、周方向(例えば、等間隔毎)に複数(例えば、3つ以上)の供給管(流路)を配設し、周方向の複数箇所で樹脂溶液と貧溶媒とを合流させてもよい。また、複数の供給管(流路)のうち、樹脂溶液の供給管(流路)及び貧溶媒の供給管(流路)は互いに隣合って配設してもよく、所定の間隔をおいて配設していてもよい。なお、樹脂溶液及び貧溶媒の供給管(流路)は、少なくとも合流部に向かって下方向に傾斜していればよく、図1と異なり、それぞれの流路が異なる角度で傾斜していてもよい。また、必要であれば、合流部も複数形成することができる。すなわち、合流部の数は、例えば、1以上(例えば、1〜3)、好ましくは1又は2、通常1であってもよい。例えば、図1の装置において、混合管4の頂部から下降する軸方向に間隔をおいて1又は複数の箇所で樹脂溶液及び貧溶媒を供給する供給管(流路)を接続し、軸方向の1又は複数の箇所で混合液と樹脂溶液又は貧溶媒とを合流させてもよい。
このようにして得られた分散液の樹脂粒子の粒子径は小さく、かつバラツキが少ない。すなわち、樹脂粒子の平均粒子径は、例えば、1〜1000nm(10〜900nm)程度の範囲から選択でき、例えば、20〜700nm(例えば、50〜500nm)、好ましくは70〜300nm、さらに好ましくは100〜200nm(例えば、120〜180nm)程度であってもよい。また、粒子径の変動係数(CV値)は、例えば、50%以下(例えば、1〜45%)、好ましくは40%以下(例えば、2〜40%)、さらに好ましくは30%以下(例えば、3〜30%)であってもよい。なお、平均粒子径は、粒度分布測定装置を用いて測定できる。また、変動係数(CV値)は、下記式を用いて算出できる。
変動係数(%)=(粒子径の標準偏差/数平均粒子径)×100
前記樹脂粒子の分散液は、前記良溶媒及び貧溶媒の混合溶媒を水性溶媒に置換して水性分散液(樹脂粒子が水性溶媒に分散した分散液)を得ることもできる。
水性溶媒に置換する方法(水性溶媒置換工程という場合がある)としては、例えば、樹脂粒子の分散液に水性溶媒を加えて、混合溶媒(溶媒成分ということがある)を蒸発(又は気化)させてもよく、通常、樹脂粒子の分散液に水性溶媒を添加しつつ、混合溶媒を蒸発(又は気化)させる場合が多い。なお、貧溶媒が水性溶媒(例えば、水)である場合、良溶媒を蒸発(又は気化)させて水性溶媒を得てもよい。
水性溶媒としては、例えば、水、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのC1−4アルカノールなど)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブなど)などが例示できる。これらの水性溶媒は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。これらの水性溶媒のうち、水を主成分として含む水性溶媒、特に水が好ましい。
また、塩基の存在下、水性溶媒に置換すると、加熱下であっても、樹脂粒子の合体(又は凝集)を抑制し、器壁への付着を防止できるため、水性溶媒分散液での樹脂粒子の収率を向上できる。さらに、比較的樹脂粒子濃度が高い分散液を水性溶媒で置換しても粒子径を維持したまま、樹脂粒子濃度が高い水性分散液を得ることもできる。なお、塩基は水性溶媒置換工程の任意の段階で添加すればよく、例えば、混合溶媒を水性溶媒に置換しつつ、塩基を添加してもよく、好ましくは塩基を添加した分散液の混合溶媒を水性溶媒に置換してもよい。
塩基としては、例えば、アンモニア、アミン[例えば、脂肪族アミン(例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどのモノ乃至トリC1−4アルキルアミンなど)、複素環式アミン(例えば、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリンなど)、アルカノールアミン(例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのモノ乃至トリC1−4アルカノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミンなどのモノ又はジC1−4アルキルC1−4アルカノールアミンなど)など]、金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)、金属炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなど)などが例示できる。これらの塩基は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。これらの塩基のうち、アンモニア、アミンなどが好ましく、特に、比較的沸点が低い塩基(例えば、アンモニア、トリエチルアミンなどのモノ乃至トリC1−4アルキルアミンなど)などが好ましい。
塩基の割合は、樹脂粒子100重量部に対して、例えば、0.01〜30重量部(例えば、0.1〜15重量部)、好ましくは0.3〜10重量部(例えば、0.5〜5重量部)、さらに好ましくは0.7〜3重量部(例えば、1〜2重量部)程度であってもよい。塩基の割合が小さすぎると、分散性が低下する虞がある。なお、水性溶媒(例えば、水)に溶解した塩基(例えば、塩基水)を添加してもよい。
溶媒成分は、例えば、減圧下又は常温下で加熱して蒸発(又は気化)させてもよいが、分散液(溶媒成分)の温度が高くなるほど溶媒を含む樹脂粒子が凝集しやすくなるため、分散液(溶媒成分)の温度は、例えば、10〜70℃、好ましくは20〜60℃、さらに好ましくは30〜50℃(特に、40〜50℃)程度であってもよい。なお、溶媒成分の沸点が水性溶媒の沸点以下であると効率的に溶媒成分を蒸発(又は気化)させやすい。なお、分散液の樹脂粒子濃度を一定濃度に維持しつつ、水性溶媒を添加すると粒子の形態を維持しやすくなる。
また、水性分散液の樹脂粒子濃度は、例えば、0.1〜30重量%、好ましくは1〜20重量%、さらに好ましくは3〜10重量%程度にすることもできる。
(樹脂粒子)
本発明の分散液の樹脂粒子は、水性溶媒に置換しても樹脂粒子の形態(例えば、粒子径)を維持できるため、水性分散液の樹脂粒子も粒子径が小さく、かつバラツキが小さい。すなわち、水性分散液の樹脂粒子の平均粒子径及び変動係数は、前記分散液の樹脂粒子と同様の範囲である。
樹脂粒子の形態は、例えば、異形状(棒状、扁平状、不定形状、楕円状など)であってもよく、通常、球状であってもよい。また、樹脂粒子は、フルオレン骨格由来の熱特性及び光学的特性に優れているため、樹脂粒子のガラス転移温度及び屈折率は、前記フルオレン骨格を有する樹脂と同様の範囲であってもよい。
[分散性樹脂粒子及びその製造方法]
樹脂粒子は、粒子サイズが小さくなればなるほど水性分散性が低くなり、特にナノメーターサイズの粒子は水性溶媒(例えば、水)に分散させるのが困難である場合が多い。しかし、本発明では、水性溶媒の存在下、前記製造方法で得られたフルオレン骨格を有する樹脂粒子を界面活性剤で処理(吸着処理)することにより、水性溶媒(例えば、水)に簡便に再分散可能な分散性樹脂粒子を得ることができる。
例えば、樹脂粒子の前記水性分散液に界面活性剤を添加して処理してもよいが、樹脂粒子濃度が高い水性溶媒下で処理するのが好ましく、例えば、樹脂粒子の水性分散液から樹脂粒子を回収し、回収した樹脂粒子を比較的少量の水性溶媒下で界面活性剤により処理してもよい。
水性分散液から樹脂粒子を回収する方法は、特に限定されず、例えば、水性分散液に酸を加えて、樹脂粒子を沈降させ、慣用の方法(例えば、濾過、遠心分離、濃縮など)で回収する方法であってもよい。なお、回収した樹脂粒子は、湿潤粒子であると好ましい。
酸としては、例えば、無機酸[例えば、リン酸、二リン酸、硫酸、硝酸、ハロゲン化水素酸(例えば、塩酸、臭酸など)、スルホン酸(メタンスルホン酸などのアルキルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などのアレーンスルホン酸など]、有機酸[例えば、ギ酸、酢酸などのアルカンカルボン酸、酒石酸、シュウ酸、クエン酸などのヒドロキシカルボン酸など]などが例示できる。これらの酸は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。これらの酸のうち、無機酸が好ましく、特に価数の高い無機酸(例えば、リン酸、二リン酸など)などが好ましい。
樹脂粒子を沈降させるための水性溶媒のpHは、特に限定されず、例えば、2.5以下(例えば、1〜2.4)、好ましくは2.3以下(例えば、1.2〜2.2)、さらに好ましくは2.1以下(例えば、1.5〜2.0)であってもよい。pHが高すぎると樹脂粒子が沈降しにくくなる虞がある。
回収した樹脂粒子は、残存する酸を除去するため、例えば、水などで洗浄してもよい。
界面活性剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤などが挙げられる。これらの界面活性剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸塩(オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウムなどの飽和又は不飽和C6−24脂肪酸塩など);アルカンスルホン酸塩(ラウリルスルホン酸ナトリウムなどのC6−24アルカンスルホン酸塩など)、ポリオキシアルキルエーテルスルホン酸塩(ポリオキシアルキルエーテルスルホン酸ナトリウムなど)、α−オレフィンスルホン酸塩(9−オクタデセニルスルホン酸ナトリウムなどのC12−18アルケニルスルホン酸塩など)、アルキルアレーンスルホン酸塩[アルキルベンゼンスルホン酸塩(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのC6−24アルキルベンゼンスルホン酸塩など)など]などのスルホン酸塩;アルキルリン酸塩(モノラウリルリン酸ナトリウム、ジラウリルリン酸ナトリウムなど);ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩(ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムなど);高級アルコール硫酸エステル塩(ドデシル硫酸ナトリウムなどのC12−24アルコール硫酸エステル塩など)などが挙げられる。これらのアニオン性界面活性剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらのアニオン性界面活性剤のうち、アルキルアレーンスルホン酸塩[アルキルベンゼンスルホン酸塩(C6−24アルキルベンゼンスルホン酸塩など)など]などのスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩(ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムなど)、高級アルコール硫酸エステル塩(ドデシル硫酸ナトリウムなど)などが好ましい。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーなどのポリアルキレンオキシド型界面活性剤;ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(ポリオキシエチレンドデシルエーテルなど)、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなど)、多価アルコールのポリオキシエチレン脂肪酸エステル(ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンショ糖脂肪酸エステルなど)などのポリアルキレンオキシド付加体;ポリオキシアルキレンアルキルアミン(ポリオキシエチレンステアリルアミンなど);脂肪酸ジアルカノールアミド類(ステアリン酸ジエタノールアミドなどの脂肪酸ジアルカノールアミド又はそのアルキレンオキシド付加物など)などのアルカノールアミド類などが例示できる。これらのノニオン性界面活性剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
これらのノニオン性界面活性剤のうち、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルなどが好ましい。
界面活性剤の割合は、樹脂粒子100重量部に対して、例えば、1〜40重量部、好ましくは3〜30重量部、さらに好ましくは5〜25重量部(例えば、10〜20重量部)程度である。界面活性剤の割合が小さすぎると分散性樹脂粒子の分散性が低下する虞がある。
界面活性剤による処理方法は、例えば、回収した樹脂粒子(例えば、湿潤粒子)に界面活性剤を加え、慣用の分散機(例えば、超音波分散機、ディスパーなど)を用いて比較的少量の水性溶媒に分散(又は攪拌)させてもよく、浸漬処理してもよい。
混合液(樹脂粒子及び界面活性剤の混合液)の水性溶媒の含有率は、例えば、5〜99重量%(例えば、10〜90重量%)、好ましくは20〜97重量%(例えば、30〜80重量%)、さらに好ましくは30〜95重量%(例えば、40〜70重量%)程度であってもよい。
分散(又は攪拌)時間(処理時間)は、特に限定されず、例えば、10分〜48時間(例えば、30分〜24時間)程度であってもよい。また、減圧又は加圧下で行ってもよいが、通常、常圧下で行う場合が多い。分散(又は攪拌)温度(処理温度)は、溶媒に応じて適宜選択でき、通常、室温であってもよい。
また、前記混合液中の分散性樹脂粒子を、例えば、濃縮、噴霧乾燥等することにより、湿潤体状又は粉体状の分散性樹脂粒子を得ることができる。
(分散性樹脂粒子)
前記分散性樹脂粒子は、表面が前記界面活性剤で処理(又は吸着処理)された粒子であり、ナノメーターサイズの粒子であっても、水性溶媒(例えば、水)に簡便に再分散できる。
分散性樹脂粒子の形態は、粉体状又は湿潤体状であってもよい。分散性樹脂粒子を含む湿潤体の含水率(分散性樹脂粒子と水分との総量に対する水分の割合)は、例えば、5〜80重量%(例えば、10〜80重量%)、好ましくは20〜75重量%(例えば、30〜75重量%)、さらに好ましくは40〜70重量%(例えば、50〜70重量%)程度であってもよい。含水率が高すぎると取り扱い性が低下する虞がある。
分散性樹脂粒子の平均粒子径は、例えば、1〜1000nm(例えば、20〜700nm)、好ましくは50〜500nm、さらに好ましくは100〜200nm(特に100〜150nm)程度であってもよい。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、実施例、参考例及び比較例における各評価方法は以下の通りである。
(水分散性の評価)
実施例5、6及び比較例2、3、4で得られた水分散液から5gを抜き取り、メンブレンフィルタ−(10μm)を用いて吸引濾過を行い、メンブレンフィルタに捕捉されなかったものを水分散性が良好、捕捉されたものを水分散性が不良として評価した。
(平均粒子径)
粒度分布測定装置(マルバーン社製、「Zetasizer Nano ZS」)を用いて、蒸留水による希釈により10重量%の分散液を作製し、平均粒子径を求めた。
(走査型電子顕微鏡(SEM)観察)
走査型電子顕微鏡(日本電子社製、「ISW-6700F」)を用いて、分散液のSEM観察を行い、粒子の形状を観察した。
実施例1
9,9−ビスフェニルフルオレン骨格を有する(9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンをジオール成分として含む)ポリエステル樹脂(大阪ガスケミカル(株)製、「OKP4」)5gをテトラヒドロフラン(以下、THF)95gに溶かし、5重量%のTHF樹脂溶液100gを調製した。1LセパラブルフラスコにY字管を連結し、Y字管の一方の側からTHF樹脂溶液100g及び他方の側からアセトニトリル100gを両者ともに20g/分の流量[流量比(THF樹脂溶液:アセトニトリル)=1:1]で5分間流して合流させ、樹脂粒子を含む有機溶媒分散液200gを得た。得られた有機溶媒分散液を減圧濃縮しつつ、途中で水100gを加え、分散液の重量が100gになるまで減圧濃縮し、水分散液を得た。水分散液の樹脂粒子の収率は94%、平均粒子径は183.2nmであった。得られた水分散液のSEM写真を図2に示し、粒度分布を図7に示した。
実施例2
アセトニトリル200gを40g/分の流量[流量比(THF樹脂溶液:アセトニトリル)=1:2]で5分間流して合流させたこと以外は、実施例1と同様にして、水分散液を得た。水分散液の樹脂粒子の収率は93.1%、平均粒子径は163.1nmであった。得られた水分散液のSEM写真を図3に示し、粒度分布を図7に示した。
実施例3
アセトニトリル300gを60g/分の流量[流量比(THF樹脂溶液:アセトニトリル)=1:3]で5分間流して合流させたこと以外は、実施例1と同様にして、水分散液を得た。水分散液の樹脂粒子の収率は85.9%、平均粒子径は135.1nmであった。得られた水分散液のSEM写真を図4に示し、粒度分布を図7に示した。
実施例4
アセトニトリル400gを80g/分の流量[流量比(THF樹脂溶液:アセトニトリル)=1:4]で5分間流して合流させたこと以外は、実施例1と同様にして、水分散液を得た。水分散液の樹脂粒子の収率は94.7%、平均粒子径は129.1nmであった。得られた水分散液のSEM写真を図5に示し、粒度分布を図7に示した。
比較例1
9,9−ビスフェニルフルオレン骨格を有するポリエステル樹脂(大阪ガスケミカル(株)製、「OKP4」)5gをTHF95gに溶かし、5重量%のTHF樹脂溶液100gを調製した。1LセパラブルフラスコにあらかじめTHF樹脂溶液100gを入れておき、さらに、アセトニトリル300gを60g/分の流量で加えて、樹脂粒子を含む有機溶媒分散液を得た。得られた有機溶媒分散液を減圧濃縮しつつ、途中で水100gを加え、分散液の重量が100gになるまで減圧濃縮し、水分散液を得た。水分散液の樹脂粒子の収率は92%、平均粒子径は946.5nmであった。得られた水分散液のSEM写真を図6に示し、粒度分布を図7に示した。
実施例5
アセトニトリル300gを60g/分の流量[流量比(THF樹脂溶液:アセトニトリル)=1:3]で5分間流して合流させ、得られた樹脂粒子5gを含む有機溶媒分散液400gに、28%アンモニア水を樹脂粒子に対して5重量%添加したこと以外は、実施例1と同様にして、水分散液を得た。水分散液の樹脂粒子の収率は85.6%、平均粒子径は228.5nmであった。水分散性評価の結果は良好であった。得られた水分散液の粒度分布を図8に示した。
比較例2
28%アンモニア水の代わりに、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(花王(株)製、「ネオペレックスG−65」)を樹脂粒子に対して5重量%添加したこと以外は、実施例5と同様にして、水分散液を得た。多くの沈降物が生成し、得られた水分散液の樹脂粒子の収率は11.3%、平均粒子径は1028nmであった。水分散性評価の結果は良好であった。得られた水分散液の粒度分布を図8に示した。
実施例6
実施例1で得られた水分散液に1.7%リン酸2.5gを加えて攪拌すると、樹脂粒子が凝集して沈降した。水分散液のpHは2.5であった。沈降した樹脂粒子を水で濾過洗浄して回収し、湿潤した樹脂粒子1.3g(固形分0.5g)にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(花王(株)製、「ネオペレックスG−65」)0.1gを添加し、水9.4gを加えて超音波洗浄機にて20分間分散させた。さらに超音波ホモジナイザで2分間再分散化処理を行った。得られた分散液をメンブレンフィルタ−(10μm)で吸引濾過すると、微粒子はフィルターを通過し、白濁したろ液が得られた。すなわち、水分散性は良好であった。
比較例3
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムに代えて、エチレングリコール(関東化学社製)0.1gを使用したこと以外は、実施例6と同様にして処理を行った分散液を得て、メンブレンフィルタ−(10μm)を用いて吸引濾過を行うと、微粒子はフィルターに捕捉され、透明なろ液が得られた。すなわち、水分散性は不良であった。
比較例4
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを添加しないこと以外は、実施例6と同様にして処理を行った分散液を得て、メンブレンフィルタ−(10μm)を用いて吸引濾過を行うと、微粒子はフィルターに捕捉され、透明なろ液が得られた。すなわち、水分散性は不良であった。
実施例1〜4及び比較例1から明らかなように、比較例1と比べて実施例1〜4では、平均粒子径が小さい樹脂粒子を高収率で得ることができ、得られた樹脂粒子は粒子径のバラツキが小さい。また、実施例5及び比較例2に示されるように、実施例5では、粒子同士の合体(又は凝集)を抑制でき、平均粒子径を維持したまま、水に分散できる。
また、実施例6及び比較例3、4に示されるように、比較例3、4と比べて、実施例6の樹脂粒子(分散性樹脂粒子)は、優れた水分散性を示す。
本発明では、生産規模が拡大しても、粒子径のバラツキが小さく、かつ粒子径の小さな(例えば、ナノメーターサイズの)フルオレン骨格を有する樹脂粒子の分散液を工業的に有利に、効率的に製造でき、このような樹脂粒子は、光学的特性(高屈折率)かつ熱的特性(耐熱性)に優れるとともに、水性分散液に均一に分散できる。また、本発明の分散性樹脂粒子は水性溶媒(特に、水)に再分散できる。そのため、これらの水性分散液は、印刷用インク、塗料、接着剤、コーティング剤などの用途に有効である。なお、本発明の樹脂粒子は、優れた光学的特性(高屈折率、低複屈折率)を有するため、溶媒(例えば、水性溶媒)から分離した形態(分散液でない形態)で、光学的用途(例えば、光学用スペーサなど)、各種添加剤(例えば、ブロッキング剤など)、充填剤などとしても利用することもできる。
1…装置
2、3…供給管
2a、3a、4a…流路
4…混合管
5…受器
6…合流部

Claims (10)

  1. フルオレン骨格を有する樹脂を良溶媒に溶解させた樹脂溶液と、貧溶媒とをそれぞれ液体状態で、互いに交差する方向から合流させて、樹脂粒子の分散液を製造する方法であって、
    塩基の存在下、前記分散液の良溶媒及び貧溶媒を含む混合溶媒を蒸発させつつ、水性溶媒を添加して前記混合溶媒を水性溶媒に置換し、樹脂粒子が水性溶媒に分散した分散液を製造する方法
  2. 複数の流路のうち、少なくとも1つの流路から樹脂溶液を供給しつつ、少なくとも1つの流路から貧溶媒を供給し、合流部で合流させる請求項1に記載の製造方法。
  3. 樹脂溶液に対して貧溶媒を60〜120°の交差角で合流させる請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 樹脂溶液の流量(重量部/分)と貧溶媒の流量(重量部/分)との流量比が、前者/後者=1/0.1〜1/50である請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 樹脂溶液において、フルオレン骨格を有する樹脂の濃度が、0.5〜20重量%である請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 樹脂溶液中の樹脂の流量(重量部/分)と貧溶媒の流量(重量部/分)との流量比が、前者/後者=1/1〜1/500である請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 樹脂粒子が、9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有するポリエステル樹脂である請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
  8. 樹脂粒子がナノメーターサイズである請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
  9. 塩基が少なくともアンモニア及び/又はアミンである請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法。
  10. 塩基を樹脂粒子100重量部に対して0.01〜30重量部の割合で添加する請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法。
JP2014201566A 2014-09-30 2014-09-30 樹脂粒子の分散液及び分散性樹脂粒子並びにそれらの製造方法 Active JP6313180B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014201566A JP6313180B2 (ja) 2014-09-30 2014-09-30 樹脂粒子の分散液及び分散性樹脂粒子並びにそれらの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014201566A JP6313180B2 (ja) 2014-09-30 2014-09-30 樹脂粒子の分散液及び分散性樹脂粒子並びにそれらの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016069555A JP2016069555A (ja) 2016-05-09
JP6313180B2 true JP6313180B2 (ja) 2018-04-18

Family

ID=55866117

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014201566A Active JP6313180B2 (ja) 2014-09-30 2014-09-30 樹脂粒子の分散液及び分散性樹脂粒子並びにそれらの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6313180B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7022984B2 (ja) * 2018-02-23 2022-02-21 大川原化工機株式会社 ポリマー粒子の製造方法及び粒子製造装置

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008201959A (ja) * 2007-02-21 2008-09-04 Fuji Xerox Co Ltd 樹脂粒子分散液、静電荷像現像トナー、液体現像剤、及び、塗料
JP2008239902A (ja) * 2007-03-28 2008-10-09 Fujifilm Corp ポリマー微粒子及びその製造方法
JP5937885B2 (ja) * 2011-05-10 2016-06-22 大阪ガスケミカル株式会社 フルオレン骨格を有する樹脂粒子を含むラテックス及びその製造方法
JP5993298B2 (ja) * 2012-12-19 2016-09-14 大阪ガスケミカル株式会社 フルオレン骨格を有する着色樹脂粒子及びその製造方法
JP6036377B2 (ja) * 2013-02-17 2016-11-30 株式会社島津製作所 ナノ粒子の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016069555A (ja) 2016-05-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP3272501B1 (en) Method of selective laser sintering
EP2970599B1 (en) Optimized emulsion drying process for making micronized polyetherimide polymers
JP5500597B2 (ja) 強制超薄膜回転式処理法を用いた微粒子の製造方法
KR101409098B1 (ko) 미립 중합체에 고체 입자를 분산시키는 방법
KR101729300B1 (ko) 유기 아연 촉매, 이의 제조 방법 및 상기 촉매를 이용한 폴리알킬렌 카보네이트 수지의 제조 방법
JP2020164812A (ja) 三次元印刷組成物の調製プロセス
JP2020164809A (ja) 三次元ポリマー印刷粉末用の表面添加剤
JP6313180B2 (ja) 樹脂粒子の分散液及び分散性樹脂粒子並びにそれらの製造方法
Zhang et al. A one‐pot approach to novel cross‐linked polyphosphazene microspheres with active amino groups
CN107778638A (zh) 一种无卤阻燃超高分子量聚乙烯材料及其制备方法
JP2011219344A (ja) 金属水酸化物微粒子の製造方法
JP5350856B2 (ja) フルオレン含有ポリエステル系樹脂粒子及びその製造方法
JP2024045280A (ja) ポリ二フッ化ビニリデンの粒子のコポリマーまたはポリ二フッ化ビニリデンを含むコポリマーの粒子の集団を生産する方法
EP2643390A1 (de) Polyamide mit nanopartikeln auf der oberflaeche
JP2010254784A5 (ja)
JP2011115780A (ja) 分散液の製造方法
EP3831891A1 (en) Surface-modified nanodiamond and dispersion and composite material containing surface-modified nanodiamond
JPH04183727A (ja) 球状シリコーン樹脂微粒子の製造方法
JP6119348B2 (ja) コア−シェル型シリカ複合粒子及びその製造方法
US11939436B2 (en) Method for producing a population of particles of polyethylene terephthalate or polybutylene terephthalate or of a copolymer comprising PET and/or PBT
KR101343628B1 (ko) 산화철 입자가 고분자 내부에 캡슐화된 하이브리드 구상입자를 제조하는 방법
JPH04180935A (ja) 球状シリコーン樹脂微粒子の製造方法
WO2018128108A1 (ja) 樹脂微粒子の製造方法、樹脂粒子
KR101503423B1 (ko) 셀룰로오스 입자 및 이의 제조방법
JP2015174871A (ja) 熱可塑性ポリマー微粒子の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170405

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20171219

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20171220

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180214

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180227

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180322

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6313180

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250