JP6312894B1 - バンドパスフィルタ - Google Patents
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Abstract
Description
(バンドパスフィルタ1の構成)
本発明の第1の実施形態に係るバンドパスフィルタ(BPF,BandPass Filter)について、図1及び図2を参照して説明する。図1は、本実施形態に係るBPF1の斜視図である。図2は、BPF1が備えている変換部31の斜視図である。
導体層3及び導体層4は、基板2の2つの主面上に設けられた一対の導体層である。すなわち、基板2、導体層3、及び導体層4は、基板2が導体層3,4によって挟持された積層構造を有する。本実施形態では、導体層3,4を構成する導体として銅を採用するが、他の導体(例えばアルミニウムなどの金属)であってもよい。導体層3,4の厚さは限定されるものではなく、任意の厚さを採用することができる。すなわち、導体層3,4の態様は、薄膜であってもよいし、箔(フィルム)であってもよいし、板であってもよい。
複数の導体ポストを所定の間隔で柵状に配列したものをポスト壁と呼ぶ。基板2には、n本の導体ポスト11i(iは1以上n以下の整数を一般化した表記)が柵状に配列したポスト壁11と、n本の導体ポスト12i(iは1以上n以下の整数を一般化した表記)が柵状に配列したポスト壁12と、m本の導体ポスト26j(jは1以上m以下の整数を一般化した表記)が柵状に配列したポスト壁26と、m本の導体ポスト27j(jは1以上m以下の整数を一般化した表記)が柵状に配列したポスト壁27と、m本の導体ポスト28j(jは1以上m以下の整数を一般化した表記)が柵状に配列したポスト壁28と、m本の導体ポスト29j(jは1以上m以下の整数を一般化した表記)が柵状に配列したポスト壁29と、が設けられている。
ポスト壁11を構成する導体ポスト11iの各々は、1つの平面上に配列されている。本実施形態では、図1に示すように、基板2の主面がxy平面と平行になり、導体ポスト11iの各々が配列されている1つの平面がyz平面と平行になるように、座標系を定義する。柵状に配列した導体ポスト11iにより構成されたポスト壁11は、電磁波を反射する導体壁として機能する。
導体層3,4及びポスト壁11,12により四方を囲まれた、断面が長方形である空間は、電磁波をy軸方向に沿って導波する矩形導波路として機能する。
本実施形態において、共振器22,23,24の各々には、それぞれ、凹部221,231,241が形成されている。凹部221,231,241の各々は、導体層3,4のうち一方の導体層である導体層4を貫通し、且つ、基板2の内部に至る、円筒形の凹部である。凹部221,231,241の各々は、基板2の主面を平面視した場合に、各共振器22〜24の中心を通る1つの中心軸上に配置されている。BPF1において、凹部221,231,241の各々は、各共振器22〜24における同じ位置に設けられている。換言すれば、共振器23,24の各々は、共振器22をy軸方向に沿って所定の量ずつ並進させることによって得られる。また、凹部221,231,241の深さは、何れも等しい。実施例において後述するように、この深さdは、例えばd=100μmである。
BPF1は、その前段及び/又は後段に対して別の高周波デバイスを結合される。BPF1に結合される高周波デバイスの一例としては、アンテナ回路、送信回路、及び受信回路、及び、方向性結合器が挙げられる。
本発明の第2の実施形態に係るバンドパスフィルタの製造方法について図3を参照して説明する。図3は、本実施形態に係るバンドパスフィルタの製造方法のフローチャートである。本製造方法は、図1に示したBPF1の製造方法のうち、主に、凹部221,231,241を形成する工程と、凹部221,231,241の内壁に導体膜を形成する工程とに関する。
図3に示すように、本製造法は、貫通孔及び凹部の形成工程S11と、判定工程S12と、導体膜形成工程S13とを含んでいる。
本発明の第3の実施形態に係るBPF101について、図4を参照して説明する。図4は、BPF101の斜視図である。なお、図4においては、共振器122〜124の各々に形成された4つの凹部(凹部1221〜1224,1231〜1234,1241〜1244)の構成を見やすくするために、各共振器を構成するポスト壁111,112及び隔壁126〜129の各々を、ポスト壁を用いたポスト壁導波路としてではなく、仮想的な平面状の壁を用いた矩形導波路として模式的に示している。また、ポスト壁111,112及び隔壁126〜129の各々は、厚さをもつ壁としてではなく、仮想的な面によって図示している。
本発明の第4の実施形態に係るバンドパスフィルタの製造方法について図5を参照して説明する。図5は、本実施形態に係るバンドパスフィルタの製造方法のフローチャートである。本製造方法は、図4に示したBPF101の製造方法のうち、主に、凹部1221〜1224、凹部1231〜1234、及び凹部1241〜1244を形成する工程と、凹部1221〜1224、凹部1231〜1234、及び凹部1241〜1244の各々のうちの何れか1つずつの凹部の内壁に導体膜を形成する工程とに関する。
図5に示すように、本製造方法は、貫通孔及び凹部の形成工程S21と、選択工程S22と、導体膜形成工程S23とを含んでいる。ここでは、本製造方法と、図3に示した製造方法との対応関係を明らかにしたうえで、本製造方法と、図3に示した製造方法との相違点について主に説明する。
図1に示したBPF1の構成を用いてシミュレーションした結果を、本発明の第1の実施例として説明する。図6は、本実施例のBPF1におけるSパラメータS21の周波数依存性を示すグラフである。以下では、SパラメータS21の周波数依存性のことをBPF1の透過特性と呼ぶ。
・BPF1が備えている共振器の段数を5段とした。
・ポスト壁11とポスト壁12との間隔(x軸方向に沿って測った場合の間隔)として、1500μmを採用した。
・隔壁同士の間隔(y軸方向に沿って測った場合の間隔)を1000μm以上1200μm以下の範囲内で適宜定めた。
・基板2として厚さが500μmである石英ガラス製のガラス基板を採用した。
・この石英ガラスの比誘電率は、3.823である。
・複数の導体ポストの直径として100μmを採用し、隣接する導体ポスト間の間隔として300μmを採用した。
・凹部の直径として100μmを採用し、凹部の深さdとして75μmを採用した。
第1の実施例であるBPF1において、凹部を形成する位置を変更したBPFを第2の実施例群のBPF201として用いた。図7は、本実施例群のBPF201の平面図である。図8は、本実施例群のBPF201の各々を用いてシミュレーションした結果として得られた共振周波数の周波数依存性を示すグラフである。図9は、本実施例群のBPF201の各々によって得られた、深さdと移動量Δfの相関関係を示すグラフである。なお、図7においては、ポスト壁211,212及び隔壁231〜236の各々を、ポスト壁を用いたポスト壁導波路としてではなく、仮想的な平面状の壁を用いた矩形導波路として模式的に示している。また、これらの仮想的な平面状の壁は、厚さをもつ壁としてではなく、仮想的な面によって図示している。
本発明の第3の実施例であるBPF301について、図10を参照して説明する。図10は、本実施例のBPF301の平面図である。なお、図10においては、ポスト壁311,312及び隔壁331〜336の各々を、ポスト壁を用いたポスト壁導波路としてではなく、仮想的な平面状の壁を用いた矩形導波路として模式的に示している。また、これらの仮想的な平面状の壁は、厚さをもつ壁としてではなく、仮想的な面によって図示している。
図10に示すように、共振器322には、2つの凹部3221,3222が形成されている。凹部3221は、図7に示した凹部2221と同じ位置に形成されている。すなわち、凹部3221は、(1)y軸方向に沿い、且つ、ポスト壁311との間隔が300μmである直線と、(2)x軸方向に沿い、且つ、2つの隔壁331,332の各々から等距離である直線との交点に形成されている。また、凹部3221の深さdは、50μmである。
凹部3222は、共振器322の重心を通り、且つ、y軸方向に沿う直線を対称軸として、凹部3221と線対称となる位置に形成されている。すなわち、凹部3222は、(1)y軸方向に沿い、且つ、ポスト壁312との間隔が300μmである直線と、(2)x軸方向に沿い、且つ、2つの隔壁331,332の各々から等距離である直線との交点に形成されている。また、凹部3221の深さdは、100μmである。
凹部3221は、BPF201を構成する共振器222に形成された凹部2221と同じ位置に形成されている。したがって、凹部3221をメタライズした場合に得られる移動量Δfは、深さdが50μmである凹部2221をメタライズした場合に得られる移動量Δfと等しい。したがって、凹部3221をメタライズした場合に得られる移動量Δfは、0.2GHzである。
凹部3222は、ポスト壁からの距離及び共振器の中心からの距離が凹部3221と同じである。したがって、凹部3222をメタライズした場合に得られる移動量Δfは、BPF201を構成する共振器222に形成された、深さdが100μmである凹部2221をメタライズした場合に得られる移動量Δfと等しい。したがって、凹部3222をメタライズした場合に得られる移動量Δfは、0.6GHzである。
例えば、図5に示した選択工程S22において、設計時に目標とした目標中心周波数から当該直径に対応付けられた中心周波数を引いた差分が0.3GHzである場合、当該差分を最小化することができる凹部は、凹部3221である。したがって、選択工程S22は、メタライズすべき凹部として凹部3221を選択する。また、例えば、選択工程S22において、設計時に目標とした目標中心周波数から当該直径に対応付けられた中心周波数を引いた差分が0.5GHzである場合、当該差分を最小化することができる凹部は、凹部3222である。したがって、選択工程S22は、メタライズすべき凹部として凹部3222を選択する。
2,102,202,302 基板
3,4,103,104,203,204,303,304 導体層(一対の導体層)
11,12,111,112,211,212,311,312 ポスト壁
11i,12i 導体ポスト
22,23,24,122,123,124 共振器
221,231,241,1221,1222,1223,1224,1231,1232,1233,1234,1241,1242,1243,1244,2221,3221,3222 凹部
26a,27a,28a,29a,126a,127a,128a,129a 開口
Claims (5)
- 一対の導体層が両面に設けられた誘電体製の基板と、前記基板を貫通し前記一対の導体層同士を短絡する複数の導体ポストからなるポスト壁とを備え、前記一対の導体層を一対の広壁とし前記ポスト壁を狭壁とする複数の共振器が電磁気的に結合したバンドパスフィルタであって、
前記複数の共振器のうち少なくとも何れか1つの共振器には、何れか一方の広壁を貫通しそのまま前記基板の内部に至る、互いに深さが異なった複数の凹部が形成され、
当該複数の凹部のうち少なくとも1つの凹部の内壁には、導体膜が形成されている、
ことを特徴とするバンドパスフィルタ。 - 前記複数の凹部は、前記複数の共振器の各々に形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のバンドパスフィルタ。 - 一対の導体層が両面に設けられた誘電体製の基板と、前記基板を貫通し前記一対の導体層同士を短絡する複数の導体ポストからなるポスト壁とを備え、前記一対の導体層を一対の広壁とし前記ポスト壁を狭壁とする複数の共振器が電磁気的に結合したバンドパスフィルタであって、
前記複数の共振器のうち少なくとも何れか1つの共振器には、何れか一方の広壁を貫通しそのまま前記基板の内部に至る、1又は複数の凹部が形成されている、
ことを特徴とするバンドパスフィルタの製造方法であって、
前記基板に対して前記導体ポストを形成するための複数の貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、
前記複数の共振器のうち少なくとも何れか1つの共振器を構成する前記何れか一方の広壁を貫通しそのまま前記基板の内部に至る前記1又は複数の凹部を形成する凹部形成工程と、を含み、
前記凹部形成工程は、前記複数の共振器のうち少なくとも何れか1つの共振器に対して1つの前記凹部を形成し、
前記複数の貫通孔のうち任意の貫通孔の直径を測定する測定工程と、
前記測定工程の結果得られた前記直径に対応付けられた中心周波数に基づいて、前記凹部の内壁に導体膜を形成するか否かを判定する判定工程と、
前記判定工程において前記導体膜を形成すると判定された場合に、前記凹部の内壁に導体膜を形成する導体膜形成工程と、を更に含む、
ことを特徴とするバンドパスフィルタの製造方法。 - 前記判定工程は、
前記直径に対応付けられた中心周波数と設計時に目標とした目標中心周波数とを比較し、
前記直径に対応付けられた中心周波数が前記目標中心周波数より高周波である場合に、前記導体膜を形成すると判定する、
ことを特徴とする請求項3に記載のバンドパスフィルタの製造方法。 - 一対の導体層が両面に設けられた誘電体製の基板と、前記基板を貫通し前記一対の導体層同士を短絡する複数の導体ポストからなるポスト壁とを備え、前記一対の導体層を一対の広壁とし前記ポスト壁を狭壁とする複数の共振器が電磁気的に結合したバンドパスフィルタであって、
前記複数の共振器のうち少なくとも何れか1つの共振器には、何れか一方の広壁を貫通しそのまま前記基板の内部に至る、1又は複数の凹部が形成されている、
ことを特徴とするバンドパスフィルタの製造方法であって、
前記基板に対して前記導体ポストを形成するための複数の貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、
前記複数の共振器のうち少なくとも何れか1つの共振器を構成する前記何れか一方の広壁を貫通しそのまま前記基板の内部に至る前記1又は複数の凹部を形成する凹部形成工程と、を含み、
前記凹部形成工程は、前記複数の共振器のうち少なくとも何れか1つの共振器に対して互いに深さが異なった複数の凹部を形成し、
前記複数の貫通孔のうち任意の貫通孔の直径を測定し、当該直径に対応付けられた中心周波数と、設計時に目標とした目標中心周波数と差分を算出し、その凹部の内壁に導体膜を形成することによって前記差分を最小化することができる凹部を前記複数の凹部から選択する選択工程と、
前記選択工程において選択された前記凹部の内壁に導体膜を形成する導体膜形成工程と、を更に含む、
ことを特徴とするバンドパスフィルタの製造方法。
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