JP6311969B2 - 熱間鍛造用金型及び熱間鍛造方法 - Google Patents
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Description
また、特開平5−50236号公報(特許文献2)には、母材の所要接合面を予め凹凸形状に形成しておき、少なくともその凹凸形状が埋るような厚さにステライト等の硬質材を肉盛溶接することを特徴とした硬化肉盛部の肉盛方法の発明がある。この特許文献2で開示される硬化肉盛部の肉盛方法は、主としてエンジンバルブ等の小物の肉盛溶接に従来から使用されているものである。
また、一体物の熱間鍛造用金型の一部に割れ等の修復不能な欠陥が生じた場合、金型全体を廃棄処分しなければならず、経済的ではない。
本発明の目的は、肉盛溶接も任意の箇所に所望の肉盛層が形成可能で、経済的にも優れ、製品の大型化、高強度化にも適用可能な熱間鍛造用金型とその熱間鍛造用金型を用いた熱間鍛造方法を提供することである。
すなわち本発明は、型彫り面を有する上金型および下金型を互いに型合わせして構成されるキャビティを用いて鍛造を行うための長尺材用の熱間鍛造用金型であって、前記長尺材がブレード用素材であり、前記熱間鍛造用金型の前記上金型および下金型の少なくとも一方は、5個以上の熱間鍛造用金型片が長尺材の長手方向に一列に並べられた一体の組立て体であり、前記熱間金型用金型片の分割位置がブレードの根部、ボス部およびカバー部の少なくとも一つにある熱間鍛造用金型である。
好ましくは、前記長尺材の長手方向において、前記複数個の熱間鍛造用金型片の長さが不均等である熱間鍛造用金型である。
さらに好ましくは、前記熱間鍛造用金型片の打撃面表面に、合金層が形成されている熱間鍛造用金型である。
更に本発明は、熱間鍛造用金型片の材質が、2つ以上の異なる金属材料である熱間鍛造用金型である。
また本発明は、前記複数個の金型片は、外枠に嵌め込むか、或いは、タイロッドにより固定されている熱間鍛造用金型である。
前記長尺材の被鍛造素材を熱間鍛造する第2の工程とを有し、
前記熱間鍛造用金型は、型彫り面を有する上金型および下金型を互いに型合わせして構成されるキャビティを用いて鍛造を行うための長尺材用の熱間鍛造用金型であって、前記長尺材がブレード用素材であり、前記熱間鍛造用金型の前記上金型および下金型の少なくとも一方は、5個以上の熱間鍛造用金型片が長尺材の長手方向に一列に並べられて一体となった組立体であり、前記熱間金型用金型片への分割位置がブレードの根部、ボス部およびカバー部の少なくとも一つにある熱間鍛造方法である。
図1は、本発明の熱間鍛造用金型の模式図であり、例えば、ブレードのような長尺材に対し用いるものである。なお、本発明でいう「熱間鍛造」には、恒温鍛造およびホットダイも含まれるものとする。
本発明の熱間鍛造用金型1は、複数個の金型片2を一列に並べて一体物の熱間鍛造用金型とする。これにより、個々の金型片2の大きさを小さくすることができる。そのため、特別な大型肉盛溶接機を新たに用意することなく、型掘り面に対して肉盛を行う際に、金属片2に対して個別に所望の箇所に任意の厚さや形状の肉盛層を形成することが容易となる。
また、もし、一部の金型片に割れが生じた場合でも、当該金型片のみを交換することも可能である。これにより、経済的にも有利な熱間鍛造用金型とすることができる。
なお、金型片の材質は、例えば、JISで規定されるSKD61、SKT4等の熱間金型用鋼の他、例えば、金型を高強度化する場合には、Alloy718等のNi基超耐熱合金、高速度工具鋼を選択することができる。また、本発明では、それぞれの金型片に加わる負荷の大きさに応じて異なる材質の金型片を組み合わせて熱間鍛造用金型を構成することや、熱間鍛造時の応力が集中する場所および肉盛溶接を容易とする目的で、型彫り面の隅部を分割して、各金型片に加わる応力を低減することも可能である。これらの組み合わせにより、熱間鍛造用金型の寿命を向上させることができる。
また、図1では熱間鍛造用金型の短辺側から見たときの形状が矩形となっているが、これを台形状としても良い。台形状とし、後述する、例えば、外枠で固定し、その熱間鍛造用金型を上型として用いたとき、熱間鍛造用金型の落下を防止することができる。
また、各金型片の長手方向の長さは、熱間鍛造用金型に加わる応力や金型片自体が有する材料強度を勘案して長さを決定するのが良い。特に、数万トン以上の熱間鍛造機を用いる際には、金型片に加わる応力も大きくなることから、過度に長さが短くなると金型片が破壊するおそれがあることから、最低でも100mm以上の長さとすることが好ましい。
更に、本発明では熱間鍛造用金型1を4個以上の熱間鍛造用金型片とすると、1つの金型片の重量を小さくすることができる。従来のような一体化の金型を大型製品の熱間鍛造に使用しようとすると、どうしても焼入れ時の冷却速度が低下して、靱性を阻害するベイナイトのような金属組織があらわれて靱性が劣化する。これに対し、本発明では、例えば、上述のJISで規定されるSKD61、SKT4等の熱間金型用鋼を金型片として用いた場合であっても、特に、金型片の焼入れの際に冷却速度を速くすることが可能となる。その結果、SKD61、SKT4等の熱間金型用鋼が有する、優れた高温強度と、高靱性を十分に発揮することが可能となり、高強度と高靱性を兼備する金型片とすることができる。そのため、熱間鍛造用金型片はその重量が小さくできるように、4個以上の熱間鍛造用金型片とするのが好ましい。
合金層は熱間鍛造時の負荷が大きく加わる箇所に、高強度化可能な材質のものを選定すると、金型片の寿命を高めることが可能となる。また、用いる合金層は、金型片の材質と比較して熱伝導率の低い材質を選定すると、熱間鍛造中に被鍛造材の温度低下を防止する効果も得られる。
上述した、高寿命化、温度低下防止効果の2つの効果を得るには、例えば、Ni基超耐熱合金製の合金層を形成するのが好ましく、中でも特に、質量%でB:0〜0.02%、C:0.01〜0.15%、Mg:0〜0.01%、Al:0.5〜2%、Si:0〜1%、Mn:0〜1%、Ti:1〜3%、Cr:15〜22%、Co:2〜15%、Nb:0〜3%、Mo:3〜7%、Ta:1〜7%、W:3〜7%、且つ、Ta単独またはTa+2Nbの合計で1〜7%を含み、残部はNi及び不純物でなる合金を用いるのが好ましい。
本発明で言う固溶強化型耐熱合金とは、例えば、JIS−G4901やG4902に示される組成を有する合金のうち、合金元素を固溶させて基地(マトリックス)を強化することが可能な組成を有する合金や、ASTM−A494に記される合金で有ればよい。
典型的な成分範囲を示すと、質量%で、C:0.15%以下、Cr:15〜30%、Co:0〜3%、Mo:0〜30%、W:0〜10%、Nb:0〜4%、Ta:0〜4%、Ti:0〜1%、Al:0〜2%、Fe:0〜20%、Mn:0〜4%を含み、残部はNi及び不純物でなる合金である。
何れの固定方法を採用しても、本発明の熱間鍛造用金型片2の組立体でなる熱間鍛造用金型1を固定することができる。
以上、説明する本発明の熱間鍛造用金型は、長さが500mm以上の長尺のブレードを鍛造する場合に適用すると良く、より好ましくは1000mm以上、更に好ましくは1500mm以上の長尺ブレードを鍛造する場合に最適である。
この実施形態としては、長尺材として約1550mmのタービンブレード用の熱間鍛造用金型について説明する。今回、説明する熱間鍛造用金型は、数万トンの荷重で熱間鍛造を行う熱間鍛造用金型である。
図1に示すような熱間鍛造用金型1は9個(図中では6個)の金型片2で構成される。金型片2の分割位置は、予め行ったシミュレーション結果によって確認された応力集中部と、肉盛溶接を容易とする位置で分割している。それぞれの金型片の長さは100mmを超えている。分割位置は、根部付近、ボス部付近、カバー部付近を含み、応力の分散を行っている。また、鍛造時の荷重が大きく加わる金型片2はその長さを長くし、且つ、高強度材の高速度工具鋼で作製している。その他の金型片は、JIS−SKD61として、金型片2に加わる荷重の大きさによって、材質を変更している。
それぞれの金型片2のキャビティ(型彫面)には肉盛溶接によって形成されたNi基超耐熱合金の合金層(図示せず)が形成されている。
これらの金型片2は図3に示すようにタイロッド4で固定した後、更に図2で示すように外枠3に組み込まれて熱間鍛造用金型となる。
先ず、各金型片毎に素材を用意し、後に一体化したときに金型片が一列に並ぶように、所望の寸法に機械加工を行う。このとき、例えば、図1に示すような、熱間鍛造用金型の短辺側から見たときの形状を矩形としたり、或いは、上型用に、台形状の形状とする。
次に、各金型片毎に機械加工により型彫り面形状に粗加工を行う。粗加工を行った型彫り面にNi基超耐熱合金の合金層を肉盛溶接により形成する。このとき、予め肉盛溶接を容易とする位置で分割しているため、任意の箇所に任意の厚さの合金層の形成が可能となる。なお、肉盛溶接が困難な場所とは、例えば、型彫り面の隅部や型彫り面の深さが深い場所等である。
そして、肉盛溶接によって形成された合金層を有する粗加工した金型片を、一旦、熱間鍛造用金型とする所定の位置に並べ、タイボルト等により固定する。この状態で、仕上げの機械加工を行って、最終の型彫り面とする。
なお、各金型片の材質が有する、優れた高温強度と、高靱性を十分に発揮させる目的で熱処理を行うには、金型片の素材に対して行うか、或いは、肉盛溶接前の粗加工を行った金型片の中間材に対して、焼入れと焼戻しを行っておくのが良い。
そして、前述の最終型彫り面を形成した熱間鍛造用金型を、外枠に嵌め込む方法、タイロッドによる固定の方法、または、タイロッドによる固定と、外枠に嵌め込む固定とを組み合わせて熱間鍛造用金型とすることができる。
以上、説明する本発明によれば、肉盛溶接も任意の箇所に所望の肉盛層が形成可能で、経済的にも優れ、製品の大型化、高強度化にも適用可能である。
2 金型片
3 外枠
4 タイロッド
Claims (7)
- 型彫り面を有する上金型および下金型を互いに型合わせして構成されるキャビティを用いて鍛造を行うための長尺材用の熱間鍛造用金型であって、前記長尺材がブレード用素材であり、前記熱間鍛造用金型の前記上金型および下金型の少なくとも一方は、5個以上の熱間鍛造用金型片が長尺材の長手方向に一列に並べられた一体の組立て体であり、前記熱間金型用金型片の分割位置がブレードの根部、ボス部およびカバー部の少なくとも一つにあることを特徴とする熱間鍛造用金型。
- 前記長尺材の長手方向において、前記複数個の熱間鍛造用金型片の長さが不均等であることを特徴とする請求項1に記載の熱間鍛造用金型。
- 熱間鍛造用金型片の打撃面表面に、合金層が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の熱間鍛造用金型。
- 熱間鍛造用金型片の材質が、2つ以上の異なる金属材料であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の熱間鍛造用金型。
- 前記複数個の金型片は、外枠に嵌め込むことにより固定されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の熱間鍛造用金型。
- 前記複数個の金型片は、タイロッドにより固定されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の熱間鍛造用金型。
- 長尺材の被鍛造素材を熱間鍛造用金型表面に載置する第1の工程と、
前記長尺材の被鍛造素材を熱間鍛造する第2の工程とを有し、
前記熱間鍛造用金型は、型彫り面を有する上金型および下金型を互いに型合わせして構成されるキャビティを用いて鍛造を行うための長尺材用の熱間鍛造用金型であって、前記長尺材がブレード用素材であり、前記熱間鍛造用金型の前記上金型および下金型の少なくとも一方は、5個以上の熱間鍛造用金型片が長尺材の長手方向に一列に並べられて一体となった組立体であり、前記熱間金型用金型片への分割位置がブレードの根部、ボス部およびカバー部の少なくとも一つにあることを特徴とする熱間鍛造方法。
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