JP6311738B2 - エンジン用カムシャフト - Google Patents

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Description

本発明は、エンジン用カムシャフトおよびその製造方法に関する。
従来、エンジンのカムシャフトには、カムシャフトの軸部が中実に形成されたもの(中実タイプ)と、カムシャフトの軸部が長さ方向全体に亘って中空に形成されたもの(中空タイプ)とが存在し、特許文献1には、中空タイプのカムシャフトの製造方法の一例が開示されている。
特許文献1に記載のカムシャフトの製造方法は、砂等からなる崩壊性の主型内に砂等からなる崩壊性の中子を配置することで鋳型を製造する工程と、上記主型と中子との間に形成されるキャビティ内に溶湯を流し込む工程と、溶湯の冷却後に鋳型を崩壊除去する工程とを備えている。また、上記中子には、その外周面から径方向に突出する位置決め用の複数のピンが設けられており、この複数のピンにより、主型内において中子が位置決めされる。
特開2014−18833号公報
特許文献1に記載のカムシャフトの製造方法によれば、中実タイプのカムシャフトと比べて軽量化されたカムシャフトを製造することができるものの、以下の問題が生じる虞がある。
すなわち、カムシャフトの軸部を中空にするために中子を準備して、これを主型内に配置する必要があり、さらに、主型内に中子を正確に位置決めするために、中子に上記ピンを突設する必要があるため、鋳型の部品点数が増加して、鋳型の製造コストが増加するという問題がある。さらに、主型から脱型されたカムシャフトの軸孔から、ショットブラスト等により中子を崩壊除去する必要があるため、中実タイプと比べてカムシャフトの製造工程が大幅に増加するという問題がある。
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたものであり、軽量でありながら容易に製造することができるエンジン用カムシャフトおよびその製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明は、軸部と当該軸部の外周に設けられたカム部とを備える鋳造製のエンジン用カムシャフトであって、前記軸部は、当該軸部の外周面の所定位置で開口する孔部を有し、前記カム部は、ベース円から径方向外側に突出するノーズ部を備え、前記孔部は、前記軸部の前記ノーズ部側の所定位置から径方向に延びる第1孔部と、前記軸部の前記ノーズ部とは径方向反対側の所定位置から径方向に延びる第2孔部とを備え、前記第1、第2孔部は、前記軸部の径方向外側から中心に向かって次第に窄まるように形成され、前記第2孔部は、前記第1孔部よりも浅く形成されていることを特徴とするエンジン用カムシャフトを提供する。
本発明によれば、カムシャフトの軸部は、当該軸部の外周面の所定位置で開口する第1、第2孔部を有するので、それら孔部の容積に相当する量のカムシャフト材料を削減して、カムシャフトを軽量化することができる。
また、軸部に作用する応力に応じた適切な深さに孔部を形成することができ、軸部の変形を抑制することができる。具体的に説明すると、軸部のうち、カム部が設けられている部分周辺では、ノーズ部側部分よりもノーズ部とは径方向反対側の部分により大きな応力が作用する。上記構成では、軸部のノーズ部とは径方向反対側の所定位置から径方向に延びる第2孔部が、軸部のノーズ部側の所定位置から径方向に延びる第1孔部よりも浅く形成されているので、軸部のうち、ノーズ部とは径方向反対側の部分は、ノーズ部側部分よりも強度が高くなっており、このため、軸部の変形を抑制することができる。
しかも、上記孔部は、カムシャフトの軸部の径方向外側から中心に向かって次第に窄まるように形成されているので、以下のような製造方法に基づいて、カムシャフトを良好に鋳造することができる。
その鋳造方法は、上記カムシャフトの径方向一方側部分に対応する第1原型構成部と、上記カムシャフトの径方向他方側部分に対応する第2原型構成部とで構成される上記カムシャフトの原型を準備する工程と、上記第1原型構成部を鋳枠内に配置して、当該鋳枠内に鋳造砂を投入して固化させ、当該固化した鋳造砂から上記第1原型構成部を取り外すことにより第1砂型を製造する工程と、上記第2原型構成部を鋳枠内に配置して、当該鋳枠内に鋳造砂を投入して固化させ、当該固化した鋳造砂から上記第2原型構成部を取り外すことにより第2砂型を製造する工程と、上記第1砂型と上記第2砂型とを互いに組み合わせることにより、上記カムシャフトが鋳造されるキャビティを有する鋳型を製造する工程と、上記キャビティ内に溶湯を注いで冷却硬化させる工程と、上記鋳型を崩壊除去することにより、上記鋳型から上記カムシャフトを取り出す工程とを備える。
そして、本発明に係るカムシャフトを鋳造する場合には、上記原型を準備する工程において、上記孔部と同一形状の孔部を有する原型が準備される。つまり、原型の軸部は、当該軸部の外周面の所定位置で開口し、径方向外側から中心に向かって次第に窄まる孔部を有する。その孔部の窄まり形状が抜き勾配の役割を果たすため、カムシャフトの孔部を上記第1砂型で鋳造する場合には、固化した鋳造砂から上記第1原型構成部を容易かつ確実に取り外すことができ、これにより、上記第1砂型を確実に製造することができる。カムシャフトの孔部を上記第2砂型で鋳造する場合においても同様である。従って、これら第1砂型および第2砂型を用いて、上記孔部を有するカムシャフトを良好に鋳造することができる。しかも、カムシャフトを鋳造する際に、特許文献1に記載されているような、カムシャフトの軽量化を図るための中子を使用する必要がなく、中子を主型に対して正確に位置決めするための鋳型部品も必要としないので、鋳型の部品点数を減らすことができるとともに、カムシャフトを容易に製造することができる。
以上説明したように、本発明によれば、軽量でありながら容易に製造することができるエンジン用カムシャフトおよびその製造方法を提供することができる。
本発明の実施形態に係るエンジン用カムシャフト(排気カムシャフトおよび吸気カムシャフト)を備えるシリンダヘッドを示す平面図である。 図1に示される排気カムシャフトを示す斜視図である。 図1に示される排気カムシャフトを示す平面図である。 図1に示される排気カムシャフトを示す側面図である。 図3に示される排気カムシャフトのA−A線断面図である。 図1に示される吸気カムシャフトのB−B線断面図である。 (a)は、図3に示される排気カムシャフトのC−C線断面図であり、(b)は、図3に示される排気カムシャフトのD−D線断面図である。 鋳型を構成する第1砂型を製造する様子を示す断面図である。 鋳型を構成する第2砂型を製造する様子を示す断面図である。 第1砂型と第2砂型とを組み合わせて構成される鋳型を示す断面図である。 (a)は、排気カムシャフトの孔部の第1変形例を示す断面図であり、(b)は、排気カムシャフトの孔部の第2変形例を示す断面図であり、(c)は、排気カムシャフトの孔部の第3変形例を示す断面図である。 (a)は、図11(b)に示される孔部と、カム部のノーズ部との位置関係の一例を示す断面図であり、(b)は、排気カムシャフトの孔部の第4変形例と、カム部のノーズ部との位置関係を示す断面図である。 排気カムシャフトの軸部が断面6角形状に形成された場合の排気カムシャフトを示す斜視図である。 図13に示される排気カムシャフトの原型(軸部)と、第1砂型および第2砂型との位置関係を示す断面図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態について詳述する。
<カムシャフトを備えるエンジンの構造>
本発明の実施形態に係るカムシャフトを備えるエンジンは、直列4気筒の4サイクルディーゼルエンジンであり、図1に示されるように、シリンダブロック(図示略)と、このシリンダブロックの上に組み付けられたシリンダヘッド72とを備えている。図1に示されるエンジンでは、図示は省略するが、左側から順に、第1気筒、第2気筒、第3気筒、第4気筒の4つの気筒が並んでいる。
上記シリンダヘッド72は、気筒毎に、燃焼室に連通する2つの排気ポートおよび2つの吸気ポートと、各排気ポートを燃焼室から遮断するための排気バルブと、各吸気ポートを燃焼室から遮断するための吸気バルブとを備えており(いずれも図示略)、さらに、各排気バルブを駆動して各排気ポートを所定のタイミングで開閉させる排気バルブ駆動機構78と、各吸気バルブを駆動して各吸気ポートを所定のタイミングで開閉させる吸気バルブ駆動機構73と、後述の排気カムシャフト2を回転自在に支持する4つの軸受部24〜27と、後述の吸気カムシャフト3を回転自在に支持する4つの軸受部74〜77とを備えている。
排気バルブ駆動機構78および吸気バルブ駆動機構73は、それぞれ、排気カムシャフト2および吸気カムシャフト3を備えており、これら排気カムシャフト2および吸気カムシャフト3は、チェーンおよびスプロケット等から構成される周知の動力伝達機構を介してクランクシャフトに連結されている。さらに、排気バルブ駆動機構78および吸気バルブ駆動機構73は、それぞれ、排気バルブを閉方向に付勢するリターンスプリング(図示略)および吸気バルブを閉方向に付勢するリターンスプリング(図示略)を備えている。上記排気カムシャフト2および上記吸気カムシャフト3は、それぞれ、クランクシャフトの駆動力により、リターンスプリングの付勢力に抗して排気バルブおよび吸気バルブを開弁させる。これら排気カムシャフト2および吸気カムシャフト3は、本発明の「エンジン用カムシャフト」に相当する。
<排気カムシャフトの構造>
図1〜3に示されるように、上記排気カムシャフト2は、気筒列方向に延びる円柱状の軸部5と、この軸部5の外周に一体に設けられた8つのカム部(図1の左側から順に、第1カム部6、第2カム部7、第3カム部8、第4カム部9、第5カム部10、第6カム部11、第7カム部12、および第8カム部13)と、上記軸部5の外周に一体に設けられ、上記軸受部24〜27にそれぞれ回転自在に支持されるジャーナル部20〜23(図2参照)と、タイミングチェーンが巻き掛けられるスプロケット(図示略)が取り付けられ、上記軸部5の一方側の端部に一体に設けられるスプロケット取付部4と、上記軸部5の他方側の端部に一体に設けられ、燃料ポンプの駆動軸(図示略)が連結されるオルダムカップリング部15とを備えている。図1に示される例では、排気カムシャフト2は、左側から見て時計回り方向(右回り方向)に回転する。
上記排気カムシャフト2において、上記第1カム部6と上記第2カム部7は、各々、第1気筒に対応して設けられる偏心カムであり、これらは上記ジャーナル部20を介して互いに隣接している(図2〜4参照)。そして、これら第1カム部6、第2カム部7、およびジャーナル部20は、第1気筒の上方かつ排気側に位置している。同様に、上記第3カム部8と上記第4カム部9は、各々、第2気筒に対応して設けられる偏心カムであり、これらは上記ジャーナル部21を介して互いに隣接している。そして、これら第3カム部8、第4カム部9、およびジャーナル部21は、第2気筒の上方かつ排気側に位置している。上記第5カム部10と上記第6カム部11は、各々、第3気筒に対応して設けられる偏心カムであり、これらは上記ジャーナル部22を介して互いに隣接している。そして、これら第5カム部10、第6カム部11、およびジャーナル部22は、第3気筒の上方かつ排気側に位置している。上記第7カム部12と上記第8カム部13は、各々、第4気筒に対応して設けられる偏心カムであり、これらは上記ジャーナル部23を介して互いに隣接している。そして、これら第7カム部12、第8カム部13、およびジャーナル部23は、第4気筒の上方かつ排気側に位置している。上記カム部6〜13は、それぞれ、ベース円から径方向外側に突出する1つのノーズ部6a〜13a(図2参照)を備えている。
なお、本実施形態におけるエンジンは、各気筒の爆発順序が、第1気筒→第3気筒→第4気筒→第2気筒とされており、これに伴い、排気カムシャフト2のカム部6〜13は、排気カムシャフト2の90°回転ごとに、上記の爆発順序で排気バルブを開弁するように、互いに位相差を有して設けられている(図2参照)。
上記排気カムシャフト2の軸部5は、上記スプロケット取付部4と第1カム部6との間に孔部16、上記第2カム部7と上記第3カム部8との間に孔部17、上記第4カム部9と上記第5カム部10との間に回転角度調節部18、上記第6カム部11と上記第7カム部12との間に孔部19およびカムシャフト識別リング14を有している。
上記孔部16は、図5に示されるように、軸部5の径方向一方側の所定位置で開口する第1孔部16aと、軸部5の径方向他方側の所定位置で開口する第2孔部16bとを備えている。上記第1孔部16aおよび上記第2孔部16bは、各々、軸部5の長さ方向に延びており、軸部5の径方向外側から中心に向かって次第に窄まるように形成されている(図7(a)参照)。より具体的には、孔部16aおよび孔部16bは、各々、軸部5の外周面において、軸部5の長さ方向に延びる長方形の両端部に半円を組み合わせた形状で開口する開口部16e(図7(a)参照)と、この開口部16eと略同じ形状で当該開口部16eの開口面積よりも小さい面積を有する略平坦な底部16dと、上記開口部16eと上記底部16dとを繋ぐ周壁部16cとを有している。上記底部16dは長さ方向全体に亘って略同じ深さを有しており、周壁部16cと底部16dとの境界部は曲面状に形成されている。そして、第1孔部16aは、軸部5の中心線に対して第2孔部16bとは対称となる位置で、第2孔部16bと同一の大きさで同一形状に形成されている。また、図7(a)に示されるように、第1孔部16aは、第1カム部6のノーズ部6aの頂点側、具体的には当該頂点と位相(回転位相)が同じ位置に形成され、第2孔部16bは、第1カム部6のノーズ部6aとは反対側、具体的にはノーズ部6aの頂点とは位相が略180°異なる位置に形成されている。
上記孔部17は、図5に示されるように、軸部5の径方向一方側の所定位置で開口する第1孔部17aと、軸部5の径方向他方側の所定位置で開口する第2孔部17bとを備えている。上記第1孔部17aおよび上記第2孔部17bは、各々、軸部5の長さ方向に延びており、軸部5の径方向外側から中心に向かって次第に窄まるように形成されている(図7(b)参照)。より具体的には、第1孔部17aおよび第2孔部17bは、各々、軸部5の外周面において、軸部5の長さ方向に延びる長方形の両端部に半円を組み合わせた形状の開口部17e(図7(b)参照)と、この開口部17eよりも狭い幅で軸部5の長さ方向に延びてその長さ方向両端部から中央部にかけて次第に深くなる(径方向中心に近づく)ように形成され、長さ方向両端部が上記開口部17eと連続する断面略V字状のスロープ部17d(図5参照)と、このスロープ部17dの幅方向両端部から立ち上がり、上記開口部17eの幅方向端部と連続する側壁部17cとを有しており、上記スロープ部17dの底部(V字の下端部)は曲面状に形成されている。そして、第1孔部17aは、軸部5の中心線に対して第2孔部17bとは対称となる位置で、第2孔部17bと同一の大きさで同一形状に形成されている。また、図7(b)に示されるように、第1孔部17aは、第3カム部8のノーズ部8aの頂点に対して位相が略90°遅れた位置に形成され、第2孔部17bは、第3カム部8のノーズ部8aの頂点に対して位相が略90°進んだ位置に形成されている。
上記回転角度調節部18は、軸部5の外周から径方向外側に断面6角形状(正6角形)に突出する部分である。この回転角度調節部18は、エンジン点検時等にスパナと係合されて用いられるものである。すなわち、エンジンの点検時等において、スパナの先端開口部に回転角度調節部18を係合させてスパナを回転させることにより、軸部5を回転させて排気バルブで排気ポートを閉じることができ、これにより、エンジン点検時等に排気ポートから埃などの異物が侵入するのを防止することができる。
上記孔部19は、図5に示されるように、軸部5の径方向一方側の所定位置で開口する第1孔部19aと、軸部5の径方向他方側の所定位置で開口する第2孔部19bとを備えている。第1孔部19aおよび第2孔部19bは、軸部5の径方向外側から中心に向かって次第に窄まるように形成されており、より具体的には、上記孔部17aおよび孔部17bと同様に断面略V字状に形成されているが、カムシャフト識別リング14との干渉を避けるために、上記孔部17aおよび孔部17bよりも軸部5の長さ方向に短く形成されている。また、第1孔部19aは、第6カム部11のノーズ部11a(図2参照)の頂点に対して位相が略90°進んだ位置に形成され、第2孔部19bは、第6カム部11のノーズ部11aの頂点に対して位相が略90°遅れた位置に形成されている。
上記カムシャフト識別リング14は、軸部5の外周から径方向外側にリング状に突出する部分である。軸部5の長さ方向におけるカムシャフト識別リング14の配設位置は、車種別に異なっており、エンジンの組み立て時にカムシャフト識別センサがカムシャフト識別リング14の位置を読み取ることにより、エンジン組み立て装置が排気カムシャフト2の対応車種等を識別できるようになっている。
なお、図5に示されるように、スプロケット取付部4の径方向中心部には、その軸方向(長さ方向)に延びる孔部45が形成されている。また、オルダムカップリング部15には、その内部を軸方向(長さ方向)に貫く孔部43が形成され、さらに、軸部5のうち、オルダムカップリング部15側の端部からジャーナル部23に対応する部分に亘って、その長さ方向に延びて上記孔部43と連通する孔部44が形成されている。
<吸気カムシャフトの構造>
図1に示されるように、上記吸気カムシャフト3は、気筒列方向に延びる円柱状の軸部48と、この軸部48の外周に一体に設けられた8つのカム部(図1の左側から順に、第1カム部30、第2カム部31、第3カム部32、第4カム部33、第5カム部34、第6カム部35、第7カム部36、および第8カム部37)と、上記軸部48の外周に一体に設けられ、上記軸受部74〜77にそれぞれ回転自在に支持されるジャーナル部49〜52(図6参照)と、タイミングチェーンが巻き掛けられるスプロケット(図示略)が取り付けられ、上記軸部48の一方側の端部に一体に設けられるスプロケット取付部28と、燃料ポンプの駆動軸(図示略)が連結され、上記軸部48の他方側の端部に一体に設けられるオルダムカップリング部90とを備えている。図1に示される例では、吸気カムシャフト3は、左側から見て反時計回り方向(左回り方向)に回転する。
上記吸気カムシャフト3において、上記第1カム部30と上記第2カム部31は、各々、第1気筒に対応して設けられる偏心カムであり、これらは上記ジャーナル部49(図6参照)を介して互いに隣接している。そして、これら第1カム部30、第2カム部31、およびジャーナル部49は、第1気筒の上方かつ吸気側に位置している。上記第3カム部32と上記第4カム部33は、各々、第2気筒に対応して設けられる偏心カムであり、これらは上記ジャーナル部50を介して互いに隣接している。そして、これら第3カム部33、第4カム部34、およびジャーナル部50は、第2気筒の上方かつ吸気側に位置している。上記第5カム部34と上記第6カム部35は、各々、第3気筒に対応して設けられる偏心カムであり、これらは上記ジャーナル部51を介して互いに隣接している。そして、これら第5カム部34、第6カム部35、およびジャーナル部51は、第3気筒の上方かつ吸気側に位置している。上記第7カム部36と上記第8カム部37は、各々、第4気筒に対応して設けられる偏心カムであり、これらは上記ジャーナル部52を介して互いに隣接している。そして、これら第7カム部36、第8カム部37、およびジャーナル部52は、第4気筒の上方かつ吸気側に位置している。上記カム部30〜37は、それぞれ、ベース円から径方向外側に突出する1つのノーズ部30a〜37a(図1,6参照)を備えている。
なお、上述のように、各気筒の爆発順序が、第1気筒→第3気筒→第4気筒→第2気筒となっていることに伴い、吸気カムシャフト3のカム部30〜37は、吸気カムシャフト3の90°回転ごとに、上記の爆発順序で吸気バルブを開弁するように、互いに位相差を有して設けられている。
上記吸気カムシャフト3の軸部48は、上記スプロケット取付部28と第1カム部30との間に孔部38、上記第2カム部31と上記第3カム部32との間にカムシャフト識別リング53および孔部39、上記第4カム部33と上記第5カム部34との間に回転角度調節部40、上記第6カム部35と上記第7カム部36との間に孔部41、上記第8カム部37と上記オルダムカップリング部90との間に孔部42を有している。
上記孔部38は、図6に示されるように、軸部48径方向一方側の所定位置で開口する第1孔部38aと、軸部48の径方向他方側の所定位置で開口する第2孔部38bとを備えている。上記第1孔部38aおよび上記第2孔部38bは、各々、軸部48の長さ方向に延びており、排気カムシャフト2の上記孔部16と同様に、軸部48の径方向外側から中心に向かって次第に窄まるように形成されている。また、第1孔部38aは、第1カム部30のノーズ部30aの頂点側、具体的には当該頂点と位相が略同じ位置に形成され、第2孔部38bは、第1カム部30のノーズ部30aとは反対側、具体的にはノーズ部30aの頂点とは位相が略180°異なる位置に形成されている。
上記孔部39は、図6に示されるように、軸部48の径方向一方側の所定位置で開口する第1孔部39aと、軸部48の径方向他方側の所定位置で開口する第2孔部39bとを備えている。上記第1孔部39aおよび上記第2孔部39bは、各々、軸部48の長さ方向に延びており、排気カムシャフト2の上記孔部17と同様に、軸部48の径方向外側から中心に向かって次第に窄まるように形成されている。なお、第1孔部39aおよび第2孔部39bは、カムシャフト識別リング53との干渉を避けるために、排気カムシャフト2の上記孔部17aおよび孔部17bよりも短く形成されている。また、第1孔部39aは、第3カム部32のノーズ部32a(図1参照)の頂点に対して位相が略90°遅れた位置に形成され、第2孔部39bは、第3カム部32のノーズ部32aの頂点に対して位相が略90°進んだ位置に形成されている。
上記孔部41は、図6に示されるように、軸部48の径方向一方側の所定位置で開口する第1孔部41aと、軸部48の径方向他方側の所定位置で開口する第2孔部41bとを備えている。第1孔部41aおよび第2孔部41bは、各々、軸部48の長さ方向に延びており、排気カムシャフト2の上記孔部19と同様に、軸部48の径方向外側から中心に向かって次第に窄まるように形成されている。また、第1孔部41aは、第6カム部35のノーズ部35a(図1参照)の頂点に対して位相が略90°進んだ位置に形成され、第2孔部41bは、第6カム部35のノーズ部35aの頂点に対して位相が略90°遅れた位置に形成されている。
上記孔部42は、図6に示されるように、軸部48の径方向一方側の所定位置で開口する第1孔部42aと、軸部48の径方向他方側の所定位置で開口する第2孔部42bとを備えている。第1孔部42aおよび第2孔部42bは、各々、軸部48の長さ方向に延びており、上記孔部41と同様に、軸部48の径方向外側から中心に向かって次第に窄まるように形成されている。なお、第1孔部42aおよび第2孔部42bは、上記孔部41aおよび孔部41bよりも軸部48の長さ方向に短く形成されている。また、第1孔部42aは、第8カム部37のノーズ部37aの頂点とは位相が略180°異なる位置に形成され、第2孔部42bは、第8カム部37のノーズ部37aの頂点とは位相が略同じ位置に形成されている。
なお、図1に符号61、60、62で示される孔部は、それぞれ、第1気筒に対応する吸気バルブの軸部が挿通される孔部、排気バルブの軸部が挿通される孔部、燃料噴射弁が設けられる孔部である。同様に、符号64、63、65で示される孔部は、それぞれ、第2気筒に対応する吸気バルブの軸部が挿通される孔部、排気バルブの軸部が挿通される孔部、燃料噴射弁が設けられる孔部である。また、符号67、66、68で示される孔部は、それぞれ、第3気筒に対応する吸気バルブの軸部が挿通される孔部、排気バルブの軸部が挿通される孔部、燃料噴射弁が設けられる孔部である。そして、符号91、69、71で示される孔部は、第4気筒に対応する吸気バルブの軸部が挿通される孔部、排気バルブの軸部が挿通される孔部、燃料噴射弁が設けられる孔部である。
なお、図6に示されるように、スプロケット取付部28の径方向中心部には、その軸方向(長さ方向)に延びる孔部46が形成されている。また、オルダムカップリング部90には、その内部を軸方向(長さ方向)に貫く孔部47が形成されている。
<排気カムシャフトの製造方法>
次に、上記排気カムシャフト2の製造方法について、図8〜10を参照しつつ説明する。なお、上記吸気カムシャフト3の製造方法については、排気カムシャフト2の製造方法と同様なので、その説明を省略する。
排気カムシャフト2の製造方法は、概略的には、径方向一方側部分80a(図8参照)と径方向他方側部分80b(図9参照)とに分割可能であり、これらを組み合わせた状態で排気カムシャフト2と同一形状をなすカムシャフト原型部80(図8,9参照)を有する原型83を準備し、この原型83と鋳造砂とを用いて鋳造用の鋳型84(図10参照)を製造し、この鋳型84を用いて排気カムシャフト2を鋳造する、という一連の工程を備える。
以下、排気カムシャフト2の製造方法の各工程について詳細に説明する。
(原型準備工程)
まず、上記カムシャフト原型部80(図8,9参照)と、鋳型84の押湯部57(図10参照)を形成するために設けられ、径方向一方側部分81a(図8参照)と径方向他方側部分81b(図9参照)とに分割可能な押湯部形成部81(図8,9参照)と、鋳型84の注湯部92(図10参照)を形成するために設けられ、径方向一方側部分82a(図8参照)と径方向他方側部分82b(図9参照)とに分割可能な注湯部形成部82(図8,9参照)とを有し、第1原型構成部83a(図8参照)と第2原型構成部83b(図9参照)とに分割可能な原型83を準備する。この原型83の軸部85は、当該軸部85の外周面の所定位置で開口する孔部57a,57b,57c(図8参照),59a,59b,59c(図9参照)を有している。そして、これら孔部57a,57b,57c,59a,59b,59cは、原型83の軸部85の径方向外側から中心に向かって次第に窄まるように形成されている。なお、原型83の孔部57a,57b,57c,59a,59b,59cは、それぞれ、排気カムシャフト2の孔部16a,17a,19a,16b,17b,19bに対応している。
図8に示される例では、原型83の第1原型構成部83aは、カムシャフト原型部80の径方向一方側部分80aと、押湯部形成部81の径方向一方側部分81aと、注湯部形成部82の径方向一方側部分82aとを有する。カムシャフト原型部80における径方向一方側部分80aの軸部85aは、上記孔部57a,57b,57cを有している。第1原型構成部83aは、その分割面Paを下側にして後述の第1鋳枠56内に配置された状態で、各孔部57a,57b,57cが真上に向かって開口するように形成されている。
また、図9に示される例では、原型83の第2原型構成部83bは、カムシャフト原型部80の径方向他方側部分80bと、押湯部形成部81の径方向他方側部分81bと、注湯部形成部82の径方向他方側部分82bとを有する。カムシャフト原型部80の径方向他方側部分80bの軸部85bは、上記孔部59a,59b,59cを有している。第2原型構成部83bは、その分割面Pbを下側にして後述の第2鋳枠58内に配置された状態で、各孔部59a,59b,59cが真上に向かって開口するように形成されている。
(第1砂型製造工程)
原型83を準備した後に、図8に示されるように、原型83の第1原型構成部83aを第1鋳枠56内に配置する。その際に、第1原型構成部83aは、各孔部57a,57b,57cが真上に向かって開口するように、その分割面Paを下側にして第1鋳枠56内に配置される。そして、上記第1鋳枠56内に鋳造砂を投入する。この鋳造砂は、加熱することにより硬化する自硬性の鋳造砂であり、骨材である砂に熱硬化性樹脂からなる粘結剤と各種添加剤とを配合することにより構成されたものである。
鋳造砂の投入後に、この鋳造砂を加熱することにより当該鋳造砂を硬化させる。そして、その硬化した鋳造砂から原型83の第1原型構成部83aを抜き取り、さらに、当該硬化した鋳造砂から第1鋳枠56を取り外すことにより、硬化した鋳造砂からなる第1砂型84aを製造する。なお、硬化した鋳造砂から第1原型構成部83aおよび第1鋳枠56を取り外す順序は、同時でもよいし、どちらが先でもよい。
ここで、原型83の第1原型構成部83aの孔部57a,57b,57cは、軸部85の径方向外側から中心に向かって次第に窄まるように形成され、しかも、上記第1原型構成部83aは、孔部57a,57b,57cが真上に向かって開口するように第1鋳枠56内に配置されているので、孔部57a,57b,57c内で硬化した鋳造砂がこれら孔部57a,57b,57cに引っ掛ることなく、硬化した鋳造砂から原型83の第1原型構成部83aを抜き取り、硬化した鋳造砂からなる第1砂型84aを製造することができる。
(第2砂型製造工程)
上記第1原型構成部83aと同様に、図9に示されるように、原型83の第2原型構成部83bを第2鋳枠58内に配置し、第2鋳枠58内に鋳造砂を投入してこれを加熱硬化させ、その硬化した鋳造砂から第2原型構成部83bを抜き取り、さらに、当該硬化した鋳造砂から第2鋳枠58を取り外すことにより、硬化した鋳造砂からなる第2砂型84bを製造する。第2砂型84bを製造する際においても、第1砂型84aを製造する場合と同様に、孔部59a,59b,59c内で硬化した鋳造砂がこれら孔部59a,59b,59cに引っ掛ることなく、硬化した鋳造砂から第2原型構成部83bを抜き取り、硬化した鋳造砂からなる第2砂型84bを製造することができる。なお、硬化した鋳造砂から第2原型構成部83bおよび第2鋳枠58を取り外す順序は、同時でもよいし、どちらが先でもよい。
(鋳型製造工程)
第1砂型84aと第2砂型84bとを製造した後に、これらを互いに組み合わせることにより、排気カムシャフト2が鋳造されるキャビティ56(図10参照)を有する鋳型84を製造する。
(注湯工程)
次いで、注湯部92(図10参照)に排気カムシャフト2の材料となる金属の溶湯を注ぎ込むことにより、押湯部57を経由して上記キャビティ56内に溶湯を流し込み、その溶湯を冷却硬化させる。
(カムシャフト取り出し工程)
次いで、鋳型84を崩壊除去することにより、鋳型84から排気カムシャフト2を取り出して、排気カムシャフト2を製造する。
<本実施形態の作用効果>
本実施形態に係る排気カムシャフト2およびその製造方法によれば、以下の作用効果を奏することができる。なお、吸気カムシャフト3およびその製造方法においても、同様の作用効果が奏されるが、重複するのでその説明は省略する。
すなわち、本実施形態によれば、図5に示されるように、排気カムシャフト2の軸部5は、軸部5の外周面の所定位置で開口する孔部16a,17a,19a,16b,17b,19bを有するので、その孔部16a,17a,19a,16b,17b,19bの容積に相当する量のカムシャフト材料を削減して、排気カムシャフト2を軽量化することができる。
しかも、上記孔部16a,17a,19a,16b,17b,19bは、排気カムシャフト2の軸部5の径方向外側から中心に向かって次第に窄まるように形成されているので、排気カムシャフト2を鋳造するための鋳型84(図10参照)を確実に製造し、その鋳型84を用いて排気カムシャフト2を良好に鋳造することができる。
以下に詳しく説明する。鋳型84は、排気カムシャフト2の径方向一方側部分に対応する第1原型構成部83aと、排気カムシャフト2の径方向他方側部分に対応する第2原型構成部83bとに分割可能な原型83を用いて製造される。具体的には、原型83の上記第1原型構成部83aを第1鋳枠56内に配置した状態で(図8参照)、その第1鋳枠56内に鋳造砂を投入してこれを硬化させ、その硬化した鋳造砂から上記第1原型構成部83aおよび第1鋳枠56を取り外すことにより、第1砂型84aを製造する。同様に、原型83の上記第2原型構成部83bを第2鋳枠58内に配置した状態で(図9参照)、その第2鋳枠58内に鋳造砂を投入してこれを硬化させ、その硬化した鋳造砂から上記第2原型構成部83bおよび第2鋳枠58を取り外すことにより、第2砂型84bを製造する。そして、上記第1砂型84aと上記第2砂型84bとを互いに組み合わせることにより、上記鋳型84を製造する(図10参照)。
ここで、排気カムシャフト2の孔部16a,17a,19a,16b,17b,19bは、排気カムシャフト2の軸部5の径方向外側から中心に向かって次第に窄まるように形成されており、これに伴い、原型83の孔部57a,57b,57c,59a,59b,59cも、軸部85の径方向外側から中心に向かって次第に窄まるように形成されている。そして、原型83の孔部57a,57b,57c,59a,59b,59cの窄まり形状が抜き勾配の役割を果たすため、第1砂型84aを製造する工程において、硬化した鋳造砂から上記第1原型構成部83aを容易に取り外して、第1砂型84aを製造することができる。上記第2砂型84bを製造する場合も同様である。従って、これら第1砂型および第2砂型を用いて、上記孔部16a,17a,19a,16b,17b,19bを有する排気カムシャフト2を確実に鋳造することができる。しかも、排気カムシャフト2を鋳造する際に、特許文献1に記載されているような、カムシャフトの軽量化を図るための中子を使用する必要がなく、中子を主型に対して正確に位置決めするための鋳型部品も必要としないので、鋳型の部品点数を減らすことができるとともに、排気カムシャフト2を容易に製造することができる。
また、本実施形態によれば、排気カムシャフト2の第1孔部16aは、排気カムシャフト2の軸部中心線に対して第2孔部16bとは対称となる位置で、第2孔部16bと同一形状に形成されているので、排気カムシャフト2の径方向一方側と径方向他方側とに、孔部16a,16bをバランスよく配置することができ、その結果、軸部5の強度を径方向一方側と径方向他方側とでバランスよく確保することができる。
なお、上記実施形態では、第1孔部16aの深さと第2孔部16bの深さが同じに設定されているが(図7(a)参照)、第2孔部16aの深さが第1孔部16bの深さよりも浅く設定されてもよい。この場合には、軸部5に作用する応力に応じた適切な深さに孔部16a,16bを形成することができ、軸部5の変形を抑制することができる。
また、上記実施形態では、排気カムシャフト2の孔部16は非貫通孔とされているが、図11(a)に示される孔部160のように、軸部5を径方向に貫通する孔部とされてもよい。この場合においても、孔部160の径方向一方側部分および径方向他方側部分は、各々、径方向外側から中心に向かって次第に窄まるように形成される。この場合には、孔部160の径方向一方側部分を、その形状に合わせた部分を有する第1砂型で鋳造し、孔部160の径方向他方側部分を、その形状に合わせた部分を有する第2砂型で鋳造することができる。この場合には、孔部の容積を増加させて、排気カムシャフト2のより一層の軽量化を図ることができる。
また、上記実施形態では、排気カムシャフト2の孔部16は、軸部5の径方向一方側の所定位置で開口する非貫通孔の第1孔部16aと、軸部5の径方向他方側の所定位置で開口する非貫通孔の第2孔部16bとで構成されているが、図11(b)に示される孔部161のように、軸部5の径方向一方側で開口して径方向他方側に向かって延びる非貫通孔のみで形成してもよい。この場合には、孔部161は、径方向一方側から径方向他方側に向かって次第に窄まるように形成される。なお、その孔部161は、図11(b)に示されるように、径方向中心部を超える位置まで延びていてもよい。この場合には、孔部161は、その形状に合わせた部分を有する第1砂型で鋳造される。なお、図11(c)に示される孔部162のように、軸部5の径方向他方側で開口して径方向一方側に向かって延びる非貫通孔のみで形成してもよい。
また、図11(b)に示される孔部161を形成する場合には、図12(a)に示されるように、孔部161の開口部が第1カム部6のノーズ部6aの頂点と同じ側に形成されていてもよい。この場合には、軸部5に作用する応力に応じた適切な位置に孔部161を形成することができ、軸部5の変形を抑制することができる。
また、図12(b)に示されるように、図12(a)に示される孔部161と、軸部5の径方向他方側で開口して径方向一方側に向かって延びる孔部163とを互いに連通させた構造としてもよい。図12(b)に示される例では、孔部163は、孔部161よりも狭い幅で、かつ、径方向外側から中心に向かって次第に窄まるように形成される。この場合には、孔部161を、その形状に合わせた部分を有する第1砂型で鋳造し、孔部163を、その形状に合わせた部分を有する第2砂型で鋳造することができる。
また、上記実施形態では、排気カムシャフト2の軸部5は、断面円形状とされているが、図13に示されるように、断面6角形状(正6角柱状)とされてもよい。この場合には、6角形の頂部のうちの一つが、軸部5Aの中心線に対して第3カム部8のノーズ部8aの頂点とは反対側の位置、具体的には、ノーズ部8aの頂点の位相とは略180°異なる位置に配置される。この場合には、第3カム部8のノーズ部8aに対する適切な位置に軸部5Aの6角形の頂部を配置して、軸部5Aの変形を抑制することができる。なお、図13に示される例では、回転角度調節部およびカムシャフト識別リングが設けられておらず、軸部5Aにおいて、第4カム部9と第5カム部10との間に、第1孔部70aおよび第2孔部(図示略)を含む孔部70が形成され、第6カム部11と第7カム部12との間に、第1孔部71aおよび第2孔部(図示略)を含む孔部71が形成され、第8カム部13とオルダムカップリング部15との間に、第1孔部72aおよび第2孔部(図示略)を含む孔部72が形成されている。孔部70,71,72は、各々、孔部17と同様の断面略V字状の孔部であり、孔部71,72は、孔部17と略同じ長さを有し、孔部72は、孔部17よりも短い長さを有する。
このように6角形断面構造の軸部5Aが採用される場合には、上記軸部5のように円形断面構造(上記多角形に外接する円)を有する場合と比べて、軸部の容積を低減することができ、これにより、排気カムシャフトのより一層の軽量化を図ることができる。
また、この場合には、図14に示されるように、排気カムシャフト2Aの原型の軸部850は6角形断面を有する。そして、鋳型840を構成する第1砂型840aおよび第2砂型840bは、上記軸部850の径方向中心と、軸部850の6角形の頂部のうちの2つの頂部850a,850bとを通る平面の一部をそれぞれの見切り面M1,M2とするように構成される。換言すれば、第1砂型840aおよび第2砂型840bは、排気カムシャフト2Aの軸部5Aの径方向中心と2つの頂部を通る平面の一部を見切り面とするものである。なお、図14に符号Tで示される直線は、上記2つの頂部を結ぶ対角線であり、軸部850の分割面に相当する。
このような見切り面M1,M2を形成することで、第1砂型840aおよび第2砂型840bを製造する際に、硬化した鋳造砂から第1砂型840aおよび第2砂型840bが抜けなくなるのを防止することができ、これにより、第1砂型840aおよび第2砂型840bを確実に製造し、これらの砂型からなる鋳型840を用いて、孔部16等を有する排気カムシャフト2Aを良好に鋳造することができる。
なお、排気カムシャフト2Aの軸部5Aは、6角形断面構造に代えて、4角形断面構造(正方形断面構造)や、8以上の偶数の多角形断面構造(正多角形断面構造)を有するものであってもよく、その場合においても、6角形断面構造の場合と同様の効果を奏することができる。
また、上記実施形態に係る排気カムシャフト2、吸気カムシャフト3は、直列4気筒のディーゼルエンジンに適用されているが、他の気筒数のディーゼルエンジンに適用されてもよく、また、ガソリンエンジンに適用されてもよい。
1 エンジン
2 排気カムシャフト
3 吸気カムシャフト
5,5A 排気カムシャフトの軸部
6〜13 排気カムシャフトのカム部
6a〜13a 排気カムシャフトのカム部のノーズ部
16,17,19 排気カムシャフトの孔部
16a,17a,19a 排気カムシャフトの第1孔部
16b,17b,19b 排気カムシャフトの第2孔部
30〜37 吸気カムシャフトのカム部
30a〜37a 吸気カムシャフトのカム部のノーズ部
38,39,41,42 吸気カムシャフトの孔部
38a,39a,41a,42a 吸気カムシャフトの第1孔部
38b,39b,41b,42b 吸気カムシャフトの第2孔部
48 吸気カムシャフトの軸部
83 原型
83a 第1原型構成部
83b 第2原型構成部
850 6角形断面構造の軸部(原型)
850a,850b 軸部(原型)の頂部
T 6角形断面構造を有する軸部の対角線
M1 第1砂型の見切り面
M2 第2砂型の見切り面

Claims (1)

  1. 軸部と当該軸部の外周に設けられたカム部とを備える鋳造製のエンジン用カムシャフトであって、
    前記軸部は、当該軸部の外周面の所定位置で開口する孔部を有し、
    前記カム部は、ベース円から径方向外側に突出するノーズ部を備え、
    前記孔部は、前記軸部の前記ノーズ部側の所定位置から径方向に延びる第1孔部と、前記軸部の前記ノーズ部とは径方向反対側の所定位置から径方向に延びる第2孔部とを備え、
    前記第1、第2孔部は、前記軸部の径方向外側から中心に向かって次第に窄まるように形成され、前記第2孔部は、前記第1孔部よりも浅く形成されていることを特徴とするエンジン用カムシャフト。
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