JP6311738B2 - エンジン用カムシャフト - Google Patents
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Description
また、軸部に作用する応力に応じた適切な深さに孔部を形成することができ、軸部の変形を抑制することができる。具体的に説明すると、軸部のうち、カム部が設けられている部分周辺では、ノーズ部側部分よりもノーズ部とは径方向反対側の部分により大きな応力が作用する。上記構成では、軸部のノーズ部とは径方向反対側の所定位置から径方向に延びる第2孔部が、軸部のノーズ部側の所定位置から径方向に延びる第1孔部よりも浅く形成されているので、軸部のうち、ノーズ部とは径方向反対側の部分は、ノーズ部側部分よりも強度が高くなっており、このため、軸部の変形を抑制することができる。
本発明の実施形態に係るカムシャフトを備えるエンジンは、直列4気筒の4サイクルディーゼルエンジンであり、図1に示されるように、シリンダブロック(図示略)と、このシリンダブロックの上に組み付けられたシリンダヘッド72とを備えている。図1に示されるエンジンでは、図示は省略するが、左側から順に、第1気筒、第2気筒、第3気筒、第4気筒の4つの気筒が並んでいる。
図1〜3に示されるように、上記排気カムシャフト2は、気筒列方向に延びる円柱状の軸部5と、この軸部5の外周に一体に設けられた8つのカム部(図1の左側から順に、第1カム部6、第2カム部7、第3カム部8、第4カム部9、第5カム部10、第6カム部11、第7カム部12、および第8カム部13)と、上記軸部5の外周に一体に設けられ、上記軸受部24〜27にそれぞれ回転自在に支持されるジャーナル部20〜23(図2参照)と、タイミングチェーンが巻き掛けられるスプロケット(図示略)が取り付けられ、上記軸部5の一方側の端部に一体に設けられるスプロケット取付部4と、上記軸部5の他方側の端部に一体に設けられ、燃料ポンプの駆動軸(図示略)が連結されるオルダムカップリング部15とを備えている。図1に示される例では、排気カムシャフト2は、左側から見て時計回り方向(右回り方向)に回転する。
図1に示されるように、上記吸気カムシャフト3は、気筒列方向に延びる円柱状の軸部48と、この軸部48の外周に一体に設けられた8つのカム部(図1の左側から順に、第1カム部30、第2カム部31、第3カム部32、第4カム部33、第5カム部34、第6カム部35、第7カム部36、および第8カム部37)と、上記軸部48の外周に一体に設けられ、上記軸受部74〜77にそれぞれ回転自在に支持されるジャーナル部49〜52(図6参照)と、タイミングチェーンが巻き掛けられるスプロケット(図示略)が取り付けられ、上記軸部48の一方側の端部に一体に設けられるスプロケット取付部28と、燃料ポンプの駆動軸(図示略)が連結され、上記軸部48の他方側の端部に一体に設けられるオルダムカップリング部90とを備えている。図1に示される例では、吸気カムシャフト3は、左側から見て反時計回り方向(左回り方向)に回転する。
次に、上記排気カムシャフト2の製造方法について、図8〜10を参照しつつ説明する。なお、上記吸気カムシャフト3の製造方法については、排気カムシャフト2の製造方法と同様なので、その説明を省略する。
まず、上記カムシャフト原型部80(図8,9参照)と、鋳型84の押湯部57(図10参照)を形成するために設けられ、径方向一方側部分81a(図8参照)と径方向他方側部分81b(図9参照)とに分割可能な押湯部形成部81(図8,9参照)と、鋳型84の注湯部92(図10参照)を形成するために設けられ、径方向一方側部分82a(図8参照)と径方向他方側部分82b(図9参照)とに分割可能な注湯部形成部82(図8,9参照)とを有し、第1原型構成部83a(図8参照)と第2原型構成部83b(図9参照)とに分割可能な原型83を準備する。この原型83の軸部85は、当該軸部85の外周面の所定位置で開口する孔部57a,57b,57c(図8参照),59a,59b,59c(図9参照)を有している。そして、これら孔部57a,57b,57c,59a,59b,59cは、原型83の軸部85の径方向外側から中心に向かって次第に窄まるように形成されている。なお、原型83の孔部57a,57b,57c,59a,59b,59cは、それぞれ、排気カムシャフト2の孔部16a,17a,19a,16b,17b,19bに対応している。
原型83を準備した後に、図8に示されるように、原型83の第1原型構成部83aを第1鋳枠56内に配置する。その際に、第1原型構成部83aは、各孔部57a,57b,57cが真上に向かって開口するように、その分割面Paを下側にして第1鋳枠56内に配置される。そして、上記第1鋳枠56内に鋳造砂を投入する。この鋳造砂は、加熱することにより硬化する自硬性の鋳造砂であり、骨材である砂に熱硬化性樹脂からなる粘結剤と各種添加剤とを配合することにより構成されたものである。
上記第1原型構成部83aと同様に、図9に示されるように、原型83の第2原型構成部83bを第2鋳枠58内に配置し、第2鋳枠58内に鋳造砂を投入してこれを加熱硬化させ、その硬化した鋳造砂から第2原型構成部83bを抜き取り、さらに、当該硬化した鋳造砂から第2鋳枠58を取り外すことにより、硬化した鋳造砂からなる第2砂型84bを製造する。第2砂型84bを製造する際においても、第1砂型84aを製造する場合と同様に、孔部59a,59b,59c内で硬化した鋳造砂がこれら孔部59a,59b,59cに引っ掛ることなく、硬化した鋳造砂から第2原型構成部83bを抜き取り、硬化した鋳造砂からなる第2砂型84bを製造することができる。なお、硬化した鋳造砂から第2原型構成部83bおよび第2鋳枠58を取り外す順序は、同時でもよいし、どちらが先でもよい。
第1砂型84aと第2砂型84bとを製造した後に、これらを互いに組み合わせることにより、排気カムシャフト2が鋳造されるキャビティ56(図10参照)を有する鋳型84を製造する。
次いで、注湯部92(図10参照)に排気カムシャフト2の材料となる金属の溶湯を注ぎ込むことにより、押湯部57を経由して上記キャビティ56内に溶湯を流し込み、その溶湯を冷却硬化させる。
次いで、鋳型84を崩壊除去することにより、鋳型84から排気カムシャフト2を取り出して、排気カムシャフト2を製造する。
本実施形態に係る排気カムシャフト2およびその製造方法によれば、以下の作用効果を奏することができる。なお、吸気カムシャフト3およびその製造方法においても、同様の作用効果が奏されるが、重複するのでその説明は省略する。
2 排気カムシャフト
3 吸気カムシャフト
5,5A 排気カムシャフトの軸部
6〜13 排気カムシャフトのカム部
6a〜13a 排気カムシャフトのカム部のノーズ部
16,17,19 排気カムシャフトの孔部
16a,17a,19a 排気カムシャフトの第1孔部
16b,17b,19b 排気カムシャフトの第2孔部
30〜37 吸気カムシャフトのカム部
30a〜37a 吸気カムシャフトのカム部のノーズ部
38,39,41,42 吸気カムシャフトの孔部
38a,39a,41a,42a 吸気カムシャフトの第1孔部
38b,39b,41b,42b 吸気カムシャフトの第2孔部
48 吸気カムシャフトの軸部
83 原型
83a 第1原型構成部
83b 第2原型構成部
850 6角形断面構造の軸部(原型)
850a,850b 軸部(原型)の頂部
T 6角形断面構造を有する軸部の対角線
M1 第1砂型の見切り面
M2 第2砂型の見切り面
Claims (1)
- 軸部と当該軸部の外周に設けられたカム部とを備える鋳造製のエンジン用カムシャフトであって、
前記軸部は、当該軸部の外周面の所定位置で開口する孔部を有し、
前記カム部は、ベース円から径方向外側に突出するノーズ部を備え、
前記孔部は、前記軸部の前記ノーズ部側の所定位置から径方向に延びる第1孔部と、前記軸部の前記ノーズ部とは径方向反対側の所定位置から径方向に延びる第2孔部とを備え、
前記第1、第2孔部は、前記軸部の径方向外側から中心に向かって次第に窄まるように形成され、前記第2孔部は、前記第1孔部よりも浅く形成されていることを特徴とするエンジン用カムシャフト。
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