JP6311557B2 - 透かし埋め込みの強度設定方法及びコンピュータプログラム - Google Patents

透かし埋め込みの強度設定方法及びコンピュータプログラム Download PDF

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Description

本発明は、カラーまたはモノクロのデジタル階調画像データに対して、 画像識別情報(画像ID)、著作権情報などの付加情報を目視によって知覚されないように埋め込む技術に関するものである。
画像や動画、音声などのマルチメディアデータに、画質や音質にはほとんど影響を与えずに特定の情報を埋め込む技術は、一般に電子透かしと呼ばれてこれまで盛んに研究されてきた。現在では、画像や音声データに電子透かしを埋め込むソフトウェア、電子透かしを検出するソフトウェアが市販されるようになってきている。尚、電子透かしという場合、可視透かしも含めていう場合があるが、本発明ではもっぱら見えない透かしに限定して意味するものとする。
自然画像には、(1)近接した画素の画素値が急激に変化することはあまりない、という冗長性があり、一方、(2)画素値がわずかに変化しても人間の目には知覚できない、という人の感覚器官の特性がある。
電子透かしは、これらの特徴を利用して、様々な手法により必要な量の情報を埋め込んでいる。その結果、(a) 情報が埋め込まれていることに、人間が目視によって気がつくことができない、(b)電子透かし埋め込みソフトウェアとセットになった検出ソフトウェアで埋め込み情報を読み出す際、原画像を必要とせず、埋め込み画像だけで検出可能、という仕様上の要求を満たすこととなる。
仕様上の要求としては更に下記のような要求を満足させることが望まれることがしばしばある。一つは、電子透かし用途のひとつとして著作権者等の権利を保護するため、原画像に埋め込んだ著作権情報等の埋め込み情報が、原画像に対してトリミング、拡大・縮小、回転、裏返し、白黒反転、非可逆圧縮、ぼかし、ノイズ付加等の画像処理を施した後でも検出可能であるという頑健性を備えていること。
また、埋め込み画像を紙にプリント出力しても、原画像に埋め込んだ埋め込み情報を検出可能で、それをデジタルカメラやスキャナを用いて再度デジタル画像データとして取り込んだ場合にも、やはり埋め込み情報が専用ソフトで読み出し可能という頑健性を備えること。
電子透かしの埋め込み・検出手法は種々提案されているが、多くの場合、埋め込み強度を任意に設定することができる。埋め込み強度を強く設定すると、検出の確実性が上がり、画像処理やプリント出力による画質の変化にも頑健になるという利点がある反面、電子透かし埋め込みに起因する画質の劣化に対して目視で知覚されやすくなるという欠点がある。弱く設定すると、画質の劣化度合いが小さくなり目視での知覚はほとんど不可能となる反面、画像処理やプリント出力による画質の変化に脆弱となり検出の確実性が低下するという逆のことが起きる。
すなわち、電子透かしの埋め込み強度は強すぎても弱すぎても不都合が生じ、画像や使用目的に応じて適当な埋め込み強度があるというべきである。 画像に応じて適当な埋め込み強度があるというのは次のようなことを指摘している。それは、電子透かしの埋め込み・検出の手法に依存しない一般的な傾向として、画像が平坦であれば、埋め込み強度が弱くても比較的検出しやすく、また、埋め込みによる画質劣化が目立ちやすい。画像が複雑であれば、逆のことが生じるということである。
以上から、電子透かしを埋め込む際には、画像の複雑さに応じた、最適な強度を自動的に設定する技術が望まれている。
特許文献1は、画像の複雑さに応じて電子透かし埋め込み強度を調整する方法を開示している。特許文献1においては、電子透かしの埋め込み方法として、
主として下記のフローをベース (従来技術) として想定している。
(1) 画像をブロック分割
(2) 各ブロックを直交変換することにより、周波数行列を取得する
(3) 電子透かしを埋め込み
(4) 逆直交変換することにより、電子透かしの埋め込まれた画像を取得
この方法により埋め込まれた電子透かしを検出するための方法は、上記埋め込み方法に対応して必然的に、下記のフローにしたがう。
(1) 画像をブロック分割
(2) 各ブロックを直交変換することにより、周波数行列を取得する
(3) 電子透かしを検出
特許文献1においては、電子透かしの埋め込みにおけるステップ (2) に工夫を加えている。すなわち、ステップ (1) で分割した画像のブロック毎に、複雑さの度合いを計算し、その値に基づいて、ステップ (3) で強度を調整して電子透かしを埋め込んでいる。複雑さの度合いの算出方法として、画像をウェーブレット変換するものが例示されている。電子透かしの埋め込みにおいて上記のような強度調整を行った場合でも、検出方法に変更を加える必要はないという特長がある。
特開2001−16438号公報
特許文献1で開示された、電子透かしを埋め込む際の最適強度を求める方法は、画像をブロック分割し、各ブロックごとに周波数領域に透かしを埋め込むという手法を前提としており、このような手法に特化した方法であるといえる。ところが、電子透かしの埋め込み・検出方法は多様であり、特許文献1の方法が、これ以外の手法に対して、適用可能なわけではない。
さらに、市販されている電子透かし埋め込み・検出プログラムにおいては、往々にして、その内部で用いている方法は開示されてなく、ユーザーにとってはブラックボックスになっているケースがある。そのようなプログラムであっても、各画像に対してユーザーが電子透かしを埋め込む際に強度を設定する機能が提供されているケースがある。その場合、強度の意味するところも明らかにされていない。
仮に、市販されている電子透かし埋め込み・検出プログラムについてそのアルゴリズムが開示されており、特許文献1で前提としたような周波数領域に透かしを埋め込むプログラムであったとしても、市販されているプログラムのソースコードは開示されないのが通常であるから、ユーザーがプログラムを変更して、その市販プログラムに特許文献1に記載の手法を、加えることは実質的に不可能である。(実際にはプログラムを適切に改変するという技術的問題の他に、そもそもプログラムの改変が許容されるかというソフトウェアライセンス上の制限もあろう)
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、電子透かし埋め込み・検出を行うアルゴリズムに依存せず、そのような画像処理プログラムを使用する際の透かし埋め込みの強度を、適切に設定する方法を提供するものである。特に、電子透かし埋め込み・検出アルゴリズムがブラックボックスとなっている場合にも適用できる設定方法であって、一点一点の画像に応じた最適埋め込み強度を設定できる方法及びコンピュータプログラムを提供することを課題とする。
課題を解決するための第1の発明は、透かし埋め込みの強度を設定して対象とするデジタル階調画像に電子透かしを埋め込む画像処理プログラムを使用する際の透かし埋め込みの強度設定方法であって、
(1) 前記対象とするデジタル階調画像の透かし埋め込み領域内の各画素の近傍領域における複雑性の指標値を算出し、
(2) 前記複雑性の指標値の前記埋め込み領域全体にわたる累積ヒストグラムを求め、
(3) 前記累積ヒストグラムに基づいて透かし埋め込みの強度の最適値を決定する
の一連の工程を含むことを特徴とする透かし埋め込みの強度設定方法である。
上記第1の発明において、累積ヒストグラムとは、横軸に各画素の複雑性の指標値をプロットし、縦軸に複雑性の指標値(のある範囲)に該当する画素の個数の全画素数に対する比(度数)を示した度数分布グラフと等価なグラフであって、縦軸には度数そのものではなく、複雑性の指標値=0からその指標値までの累積度数を示したグラフである。
本発明の好ましい一つの態様は、上記複雑性の指標値を、各画素の適当に定めた近傍領域内の平均勾配ベクトルの長さとして定めるものである。この時、各画素とその近傍領域内の画素の画素値の分布を、近傍領域内で最もよく近似する平面(近似平面)を重回帰分析により求め、この平面の勾配に対応する値(勾配ベクトルの長さ)をその画素の複雑性の指標値とする方法である。
電子透かし埋め込みアルゴリズムは、具体的なアルゴリズムの詳細にかかわらず一般的に言えば、自然な画像の有する連続性や冗長性を利用するものであると考えることができる。したがって、画像を構成する各画素を中心とする局所的な近似平面の勾配ベクトルの大きさによって複雑性の指標値を定義し、この複雑性の指標値の累積度数を調べることは、最適な埋め込み強度値を推定する有力な手掛かりとなる。
本発明の、(3)前記累積ヒストグラムに基づいて透かし埋め込みの強度の最適値を決定する工程は、第1軸を複雑性の指標値、第2軸を累積パーセントとした累積ヒストグラム空間上に、M段階の埋め込み強度値a1,a2,‥,aM の各々の最適分離ポイントP(a1),P(a2),‥,P(aM)を配置し、この累積ヒストグラム空間上に描画した対象画像の複雑性指標値の累積ヒストグラムを表す曲線とこれら配置されたポイントの位置関係により、透かし埋め込みの強度の最適値を決定するものであることが好ましい。ここで最適分離ポイントP(aj)とは、埋め込み強度ajで電子透かしを埋め込んだ画像(または必要に応じてさらに劣化処理を施した画像)に対して電子透かしの検出処理を試みた場合、首尾よく透かしを検知できる画像とできない画像を累積ヒストグラム空間上で区分けするのに最も適したポイントのことである。
尚、前記各埋め込み強度の段階ごとの最適分離ポイントのデータは、複数のサンプル画像を用いた実験により予め定められたデータを利用する。また、予め各埋め込み強度の段階ごとの最適分離ポイントのデータをコンピュータに記録させておけば本発明に係る画像に応じた最適埋め込み強度を設定できる方法はコンピュータプログラムとして記述することができ、これを用いてコンピュータにより実行させることができる。
本発明によれば、電子透かしの埋め込み強度の最適な設定段階を、画像に応じて精度よく予測することができる。平坦な画像に対しては適正な強度は低く、複雑な画像に対しては適正な強度は高いという一般的な傾向を反映した最適強度予測手法であるため、電子透かしの埋め込み・検出のアルゴリズムへの依存性が低く、そのアルゴリズムや透かしパターンが未知である場合にも適用可能であるという顕著な効果を奏する。
注目画素の近傍形状を例示する図である。 サンプル画像である。 複雑さの指標値の累積ヒストグラムの一例である。 複雑さの指標値の累積ヒストグラムの拡大図である。 分離ポイントP1の設定例を示した図である。 分離ポイントP2の設定例を示した図である。 最適分離ポイント群を累積ヒストグラム空間に配置した一例である。 事前準備処理を説明するフローチャートである。 本発明の手順の適用処理を説明するフローチャートである。 実験で得られた各画像の最適強度値の表である。 評価実験結果グラフである。 分離ポイントQ1の設定例を示した図である。 分離ポイントQ2、Q3の設定例を示した図である。
以下、透かし埋め込みの強度を設定して対象とするデジタル階調画像に電子透かしを埋め込む画像処理プログラムを使用する際の透かし埋め込みの強度設定方法について、いくつかの節に分けて具体的に説明する。
(§1.本発明で使用する近傍領域と複雑性指標について)
図1は本発明で定義される近傍領域を説明する図である。各画素のまわりの近傍領域は、その画素からのユークリッド距離がr 画素以内であるという条件を満たす円形領域内(図中黒色)の画素の集まりとして定める。r=1〜3の場合を示している。
各着目画素まわりの近傍領域ごとに設定されるローカル座標系を、その着目画素の位置を原点として、右側に隣接する画素の画素位置を (1, 0) とし、下側に隣接する画素の画素位置を (0, 1) とし、周辺画素の画素位置を (x, y) で表すものとする。位置 (x, y) の画素の画素値を z(x, y) とする。カラー画像の場合は、r, g, b 各版を互いに独立なモノクロ階調画像とみなして、それぞれの版に対して画素値 z(x, y) があるものとみなす。
複雑性の指標としては、近傍領域内における各画素の画素値に対して、重回帰分析をして得られる平均勾配ベクトルの長さを用いている。具体的には、近傍領域内の画素値の分布を近似する平面(近似平面)を表す式を(x, y) の一次式 f(x, y) として、数1で表す。
Figure 0006311557
z(x, y) と f(x, y) との平均二乗誤差 e は数2により表される。e を最小にする a, b, c を重回帰分析によって求めることができる。
Figure 0006311557
着目画素の近傍領域における画素値 z(x, y) を最小二乗近似する平面が
f(x, y) であり、f(x, y) の x, y それぞれによる一次偏微分値は数3により表示されるから、f(x, y) の係数a, bを要素とするベクトル (a, b) は、近傍領域内におけるz(x, y) の平均勾配を表しているとみることができる。
Figure 0006311557
このベクトルの大きさ、すなわち数4により求められる値を複雑さの指標値として用いる。
Figure 0006311557
(§2.サンプル画像について最適な埋め込み強度を求めるための基本的アイデア)
使用する電子透かし埋め込み・検出のための画像処理プログラムをプログラムPということにする。プログラムPでどのような処理アルゴリズムを用いているのかはわからない。プログラムPでは電子透かし埋め込み強度を幾つかの段階で設定できる。プログラムPが透かし埋め込み強度を0〜1などのある一定範囲の実数値で任意に指定できる場合には、強度を任意の数値にして埋め込むのではなく、適当に決めた所定の数の強度段階に応じた設定値だけを使用することとする。このようにしても実用上はほとんど問題ない。したがって以下に説明する透かし埋め込みの強度設定方法は、実際には、所定の数の複数の透かし埋め込みの強度段階を適切に設定する方法といってもよい。
図2は 10 点のサンプル画像(イ)(ロ)(ハ)‥(ヌ)を示している。(紙面の都合上、サイズを縮小しているが、実際には)すべて 600 × 600 画素の画像を用いている。埋め込み強度をある一定値 a に設定して、それぞれの画像に電子透かしを埋め込み、必要に応じて劣化処理を行い、その画像に対して検出を試みる。
但し、劣化処理は行わなくてもよい。または、電子透かしを利用する目的と用途に応じて、想定される操作(画像のプリンタ出力→再スキャン→再出力 あるいは、画像の加工編集→プリンタ出力、等)を行うようにすれば目的用途に応じた劣化処理が行われることになる。
プログラムPにより埋め込み強度aで電子透かしを埋め込んだ処理済みサンプル画像を作成する。次に、プログラムPの透かし検出機能を使って、処理済サンプル画像から電子透かしを検出する。この結果により、サンプル画像を、電子透かしを検出できた画像群とできなかった画像群とに分類する。各画像について、透かしを検出できた時の埋め込み強度のうちで最も弱い埋め込み強度をその画像に対する埋め込み強度の最適値とする。
10 点の画像に対して、テストによって得られた電子透かし埋め込み強度の最適値が図10のようであったとする。
一方、図3は、サンプル画像(イ)(ロ)(ハ)‥(ヌ)10点の画像に対する、複雑さの指標値の累積ヒストグラムを表す。横軸に複雑度の指標Complexity Indexをとり縦軸は累積度数Cumulative Occurrenceをとって各画像について両者の関係をプロットして作成したグラフである。複雑さの指標値の累積ヒストグラムを y = H(x) という数式で表す。原画像はカラー画像であるが、図3では、blue, green, red の3 版のうち、blue 版のみの結果を示している。尚、図3に示すように、この場合には横軸を指標値、縦軸を累積度数(累積パーセント)とした第1象限に様々な画像の累積ヒストグラムが表れるが、この様々な累積ヒストグラムが描画される領域を累積ヒストグラム空間と呼ぶことにする。指標値を表す軸を第1軸、累積度数を表す軸を第2軸ということもある。
図4は、図3と同じく、サンプル画像10点の画像に対する複雑さの指標値の累積ヒストグラムを表しているが、図3の一部を拡大表示したものである。いま、図10から、埋め込み強度aが a = 1でよい画像は (イ) 〜 (ハ) であり、それ以外の画像については、1 よりも大きな値で強度設定する必要があることが読み取れる。いま、この読み取り強度を a1 とおく。すなわち、 a1 = 1
一方、累積ヒストグラムのグラフ図4から、画像群(イ)(ロ)(ハ)とそれ以外の画像(画像群)を最もよく分離するポイントP1として、例えば、P1 = (x1, y1) = (0.625, 25%)を定めることができる。P1をこのように定めれば、図5に示すように、(イ) 〜 (ハ) の画像に対しては、累積ヒストグラム y = H(x) のグラフは点P1 の上側を通過しており、それ以外の画像に対しては、下側を通過している。(図5はP1とサンプル画像の複雑さの指標値の累積ヒストグラムの関係を示す図である。)そして未知の画像の複雑さの指標値の累積ヒストグラムH(x)が与えられたとき、下記のロジックにより未知の画像の最適強度の予測値a' = 1 を得ることが期待される。
for each ( 画像 )
if( H(x1) > y1 ) then
a' = a1
endif
end
これによりH(x1) > y1の条件が満たされる画像についての最適強度値は定められるが、それ以外の画像についての最適強度はまだ定められていない。次のステップとして、(イ) 〜 (ハ) の画像を除外した、(二) 〜 (ヌ) の画像について、図10の表から、埋め込み強度 a が a = 2 でよい画像は (二) と (ホ) であり、それ以外の画像については、2 よりも大きな値で強度設定する必要があることを手掛かりとして、画像群(ニ)(ホ)とそれ以外の画像(画像群)を最もよく分離するポイントP2を図4から探す。この場合の二つの画像群を最もよく分離するポイントP2として、例えば、P2 = (x2, y2) = (2.0, 28%) を定めることができる。P2をこのように定めれば、図6に示すように、(ニ) (ホ) の画像に対しては、累積ヒストグラム y = H(x) のグラフは点 P2 の上側を通過しており、それ以外の画像に対しては、下側を通過している。(図6はP2とサンプル画像の複雑さの指標値の累積ヒストグラムの関係を示す図である。)
前記のロジックと合わせ、下記のロジックにより、未知の画像に対して、最適強度の予測値 a' = 1、または、= 2 を、出力することが期待される。
for each ( 画像 )
if( H(x1) > y1 ) then
a' = a1
else if( H(x2) > y2 ) then
a' = a2
endif
end
同様にして、図4からポイントP3= (x3, y3)、P4= (x4, y4)を適当に定めれば、
下記のロジックにより、すべての未知の画像について、最適埋め込み強度の予測値 a' を決定できることが期待される。
for each ( 画像 )
if( H(x1) > y1 ) then
a' = a1
else if( H(x2) > y2 ) then
a' = a2
else if( H(x3) > y3 ) then
a' = a3
else if( H(x4) > y4 ) then
a' = a4
else
a' = a5
endif
end
図7はサンプル画像10点の複雑さの指標値のヒストグラムとポイントP1−P4を定めた状態を例示したグラフである。分離ポイントの定め方は、累積ヒストグラムのグラフを目視することによって見つけてもよいし、公知の判別分析法(大津、「判別および最小2乗基準に基づく自動しきい値選定法」、電子通信学会論文誌、Vol.J63-D、No.4、pp.349-356(1980))の分離度の指標を用いてもよい。後者の場合、いくつかの Complexity Index の候補に対して、分離度を算出し、その値の一番高いところを選択すればよい。
(§3.本発明の方法を実施するための事前準備処理)
図8は本発明の方法の前提となる事前準備処理を説明するフローチャートである。図8に示す事前準備処理は§2で述べたことを整理してフローチャートにしてまとめたものである。事前準備処理は、手元にあるN個のサンプル画像に基づいて複雑性指標値の累積ヒストグラム(以下単に指標値ヒストグラムとも記す)上の分離ポイント群を求める処理ということができる。以下このフローチャートに沿って説明する。
まず、サンプル画像の各々について指標値ヒストグラムを作成する(S01)。作成した指標値ヒストグラムを表すデータは、サンプル画像の識別子と関係づけて記録する。
次に使用する透かし埋め込み・検出プログラムPで設定可能な埋め込み強度段階のうちの最小強度の値(最小値又は最弱値)を強度値にセットする(S04)。以下この強度値をaとする(S07)。サンプル画像の各々に強度値aで透かし埋め込み処理を行う(S10)。全てのサンプル画像に透かし埋め込み処理を行い終えたら、必要な劣化処理を行う(S11)。劣化処理としては、画像プリントアウト→再スキャンのような想定される処理に応じた操作を行う。想定する用途によっては劣化処理を行わなくてもよい。
劣化処理が施された画像(劣化処理を行わない場合は透かし埋め込み処理を行った直後のデジタル画像)に対してプログラムPの透かし検出機能を使用して透かし検出を行う。その結果、サンプル画像群を、透かしを検出できた画像群(W群)と透かしを検出できなかった画像群(S群)に分離する(S13)。
指標値の累積ヒストグラム空間上でW群とS群を最もよく分離するポイント(指標値,累積%)を求めて、これを強度値aに対する最適分離ポイントP(a)として一時記憶する(S16)。(以下最適分離ポイントを単に分離ポイントとも記す)
S07からS16の処理を強度値の各段階について全て求める(S19→S22→S07のループ)。この結果、プログラムPで設定できる各強度段階についての指標値ヒストグラム空間上の分離ポイント群{P(a1),P(a2),‥,P(aM) }(Mは強度段階の数)が得られる(S25)。但し、劣化処理(S11)の有無、その内容によって透かしを検知できるかできないかは変わってくるので、分離ポイント群のデータは、どのような劣化処理を施した場合かの情報と共に記録する必要がある。この結果図7のP1〜P4に示したような累積ヒストグラム空間上の分離ポイント群が得られる。
強度値aに対する指標値の累積ヒストグラム空間上の分離ポイントP(a) = (x(a), y(a))を求める際、その強度値aで透かしを検出できた画像群 (W 群) に対しては、累積ヒストグラム y = H(x)のグラフがすべて点 P(a) の上側を通過し、検出できなかった画像群 (S 群) に対しては、すべて下側を通過するようにポイントを選択すべきものである。しかしながら、実際には、2本のグラフの位置関係が全体的に逆転していたり、3本以上のグラフが不都合な具合に互いに交差していたりして、どの指標値xに対しても、適正な分離ポイントが設定できないケースが起こりうる。そのような場合は、指標値の求め方が適当ではないということなので、例えば近傍半径の大きさを調整するなどの措置をとる必要がある。
それでも適正な分離ポイントが得られない場合は、判別の誤りを許容する妥協が必要となる。例えば、判別の誤りの起きる画像の点数が最小になるように分離ポイントを設定すればよい。
いま、ある強度aについて、サンプル画像の指標値の累積ヒストグラムが図12のようであったとする。実線は、透かしが検出できた画像(W群)を表し、破線は、検出できなかった画像(S群)を表すものとする。このとき、誤りなく判別するための分離ポイントはどこにも存在しない。図中に丸で示した点Q1を分離ポイントとして指定すれば、判別の誤りは1点の画像についてだけで済む。しかし、Q1を囲む最小領域(累積ヒストグラムおよび縦横軸が交差して生じる領域のうちQ1を含む最小の領域)以外の領域に分離ポイントを指定すると、判別の誤りは2点以上の画像に及ぶことになる。従って、判別誤りを最小にするという妥協方針で分離ポイントを決める場合は、Q1の位置が妥当ということになる。
このように誤りなく判別するための分離ポイントが存在しないケースでは、他の妥協方針をとることもできる。強度値aが低すぎて透かしが検出できないケースおよび強度値aが高すぎて画質劣化が視認されてしまうケースの2種類の過誤に対する実用上の影響の重大性を鑑みて影響の低い側に誤りが起きるように寄せて 分離ポイントP(a) を設定してもよい。
図13は、強度値の予測値が低すぎる過誤を避ける方針をとった場合である。Q2を分離ポイントとすれば、サンプル画像についてS群に属する画像は全てQ2の下を通過するから、強度値aでは検出されない画像のほとんどの画像のヒストグラムはQ2の下を通過すると期待される。したがって、ある画像のヒストグラムがQ2の下を通過するならば、そのような画像に対しては強度値aではなくそれよりも強い強度値で埋め込み強度を設定することになる。このため、ほとんどの画像について、強度値の予測値が低すぎる過誤を避けることができるが、強度値が強すぎて画質劣化が目立つような画像が出現する可能性はある。
逆に、予測値が強すぎて画質劣化が目立つようになることを避けたい場合は、図13のQ3を分離ポイントとしてとれば、サンプル画像についてW群に属する画像は全てQ3の上を通るので、強度値aで検出される画像のほとんどの画像のヒストグラムはQ3の上を通過すると期待される。したがって、ある画像のヒストグラムがQ3の上を通過するならば、そのような画像について強度値aを設定することになる。ただし、強度値aでは検出できない画像が混じる可能性はある。(尚、図12のQ1,図13のQ3は7本のヒストグラムの関係でたまたま同じ位置にとれるだけである)
(§4.サンプル画像以外の画像への強度段階設定手順)
図9は、指標値ヒストグラム空間上に求めた分離ポイントを活用する手順を説明するフローチャートである。以下§3で求めた分離ポイント群を適用する手順を図9のフローに基づいて説明する。サンプル画像N点によって得られた分離ポイント群のデータは予め記録されているものとする。第1軸を横軸に、第2軸を縦軸にとるものする。強度段階はM段階とし、a1,a2,‥,aMの順に埋め込み強度が強くなるものとして説明する。
まず、対象画像(サンプル画像に属さない画像)の指標値ヒストグラムを作成し、累積ヒストグラム空間上に描画する(S41)。次に、分離ポイント群のデータを読み出し、指標値ヒストグラムを描画した同じ累積ヒストグラム空間上に分離ポイントを配置する(S45)。
指標値ヒストグラムを表す曲線より上側に位置する分離ポイントは、その埋め込み強度では対象画像の複雑性に比べて埋め込み強度が不十分な(弱い、埋め込んだ透かしが検出できない)ことを意味する。したがって、最適な埋め込み強度としては、指標値ヒストグラムを表す曲線より下側に位置する分離ポイントP(a) のうちで、強度値a が最も小さいものを選択すればよい。別言すれば、強度値a の小さい順に分離ポイントを調べていき、初めてグラフの下側に位置する分離ポイントが発見されたとき、そのポイントに対応する強度値a を最適強度値の推測値として選択すればよい。
したがって、k=1〜Mとkをループカウンタとしたループ処理(S46,S47,S46E)を行う。このループの中で、P(ak)が対象画像の指標値ヒストグラムの下側に位置するかどうかを検査する(S47)。この検査結果が肯定的であればループを抜けて(S47のY分岐)対象画像の最適埋め込み強度はakと決定できる(S49)。P(ak)が対象画像の指標値ヒストグラムの下側にない場合(S47のN分岐)はkをインクリメントしてステップS47の比較を繰り返す。最後までループを抜けられなかった場合(S46EのY分岐)は対象画像の最適埋め込み強度はaM(最大強度)と決定する(S48)。
(§5.効果の検証 実験結果)
図11は、埋め込み強度段階を縦軸にとり、サンプル画像により§3の手順により最適分離ポイント群を得た後、未知の画像24点について§4の手順で最適な埋め込み強度を推定した値と、サンプル画像に各段階の埋め込み強度で透かしを埋め込み、透かし検出処理によって最適な埋め込み強度を実験により求めた値(実測強度)のそれぞれを画像ごと(横軸の数字が画像識別番号を示す)にプロットした実験結果グラフである。両者のグラフはほぼ一致しており(24点中15点で一致)、ずれている場合は、推定した強度の方が実測強度より強度1段階オーバーが8点、2段階オーバーが1点、3段階以上オーバーはゼロ、アンダーもゼロとなったので、ずれる場合は概ね、1段階程度強度を強くする方向にずれていることから、良好な結果である。
本発明の方法は、市販の電子透かし埋め込み処理プログラムを用いて電子透かし埋め込みを行う場合に、画像処理プログラムがどのような電子透かし埋め込み・検出アルゴリズムを使っているのかブラックボックスになっていてわからない場合においても、画像ごとに適切な強度の電子透かしを埋め込むことが可能となるから、経済的に価値のある静止画像を扱う様々なサービスにおいて、様々な形で利用できる可能性がある。
尚、図9により、本発明の方法は容易にコンピュータプログラムとして記述することが示されている。汎用コンピュータにより本発明の方法を利用することができる。

Claims (5)

  1. 透かし埋め込みの強度を設定して対象とするデジタル階調画像に電子透かしを埋め込む画像処理プログラムを使用する際の透かし埋め込みの強度設定方法であって、
    前記対象とするデジタル階調画像の透かし埋め込み領域内の各画素の近傍領域における複雑性の指標値を算出する工程、
    前記複雑性の指標値の前記埋め込み領域全体にわたる累積ヒストグラムを求める工程、
    前記累積ヒストグラムに基づいて透かし埋め込みの強度の最適値を決定する工程、
    を含むことを特徴とする透かし埋め込みの強度設定方法。
  2. 前記各画素の近傍領域における複雑性の指標値は、
    前記近傍領域内における各画素の画素値を重回帰分析して得られる
    近似平面の勾配を表す値をその指標値とすることを特徴とする
    請求項1に記載の透かし埋め込みの強度設定方法。
  3. 請求項1において、
    前記累積ヒストグラムに基づいて透かし埋め込みの強度の最適値を決定する工程は、
    第1軸を複雑性の指標値、第2軸を累積パーセントとした累積ヒストグラム空間上に
    M段階の埋め込み強度値a1,a2,‥,aM の各々の最適分離ポイントP(a1),P(a2),‥,P(aM)を配置し、この累積ヒストグラム空間上に描画した対象画像の複雑性指標値の累積ヒストグラムを表す曲線とこれら配置されたポイントの位置関係により決定されるものであることを特徴とする透かし埋め込みの強度設定方法。
  4. 前記各埋め込み強度の段階ごとの最適分離ポイントのデータは、複数のサンプル画像を用いた実験により予め定められたデータを利用するものであることを特徴とする請求項3に記載の透かし埋め込みの強度設定方法。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の透かし埋め込みの強度設定方法をコンピュータにより実行するコンピュータプログラム。
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