JP4167372B2 - 電子透かしの埋め込み方法、抽出方法、不可視化方法、及び可視化方法並びに埋め込み装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラー画像に電子透かしを埋め込んだり、埋め込んだ電子透かしをカラー画像から抽出したりするための技術に関するものであり、より詳しくは、カラー画像に電子透かしを可視状態または不可視状態で埋め込むことができる技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近、コンテンツ(カラー画像など)の品質を劣化させることなく容易に複製できる環境が訪れ、マルチメディアの著作権の管理が緊急課題となっている。その対策の1つとして電子透かしが提案されている。対象とするメディアの種類、埋め込みデータ量、透かしの耐性と画質への影響度の間には、強い相関関係があり、これらの違いによりさまざまな特徴を持った電子透かし技術が提案されている。
【0003】
このような電子透かしは、大きく分けると、電子透かしを不可視状態で埋め込む不可視透かしと、可視状態で埋め込む可視透かしと、に分類され、その目的により多様な利用形態がある。
【0004】
不可視透かしは、データの冗長性を利用して、人間には検知できない程度に著作権情報(所有者情報、ID、商標、ロゴマークなど)をコンテンツに埋め込むものである。この不可視透かしは、主に著作権保護を目的とし、公開されたカラー画像等の違法コピーの発見、追跡や改ざん防止などに利用されている。
【0005】
一方、可視透かしは、著作権情報をコンテンツ上にはっきりと表示されるようにコンテンツに埋め込むものである。この可視透かしは、公開されたカラー画像等の不正な再利用や販売を阻止する目的で用いられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来においては、このような不可視透かしと可視透かしを1つのコンテンツに対して、同時に埋め込もうとする場合、不可視透かしについては不可視透かし専用の、可視透かしについては可視透かし専用の、埋め込み手法を用いて行なう必要があり、利用者にとって非常に不便であった。
【0007】
従って、本発明の目的は、上記した従来技術の問題点を解決し、1つの手法で、不可視透かし/可視透かしを選択的に埋め込むことが可能な電子透かしの埋め込み方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上記した目的の少なくとも一部を達成するために、本発明の埋め込み方法は、各画素の表色値がs(但し、sは3以上の整数)個の値の組み合わせによって表されるカラー画像に、電子透かしを埋め込む電子透かしの埋め込み方法であって、
(a)前記カラー画像において、前記電子透かしを埋め込むべき部分に対応する画素を選択する工程と、
(b)選択された前記画素における表色値を、所定の変換行列で変換して、前記画素に透かし情報を埋め込む工程と、
を備えると共に、
前記変換行列は、次数sの正方行列であって、
その対角成分の全てが値z(但し、zは任意の実数)から成り、その他の成分の少なくとも1つが値x(但し、xは0以外の任意の実数)から成り、かつ各行及び各列の成分の和がそれぞれ略zとなる行列であることを要旨とする。
【0009】
また、この埋め込み方法に対応した本発明の埋め込み装置は、各画素の表色値がs(但し、sは3以上の整数)個の値の組み合わせによって表されるカラー画像に、電子透かしを埋め込む電子透かしの埋め込み装置であって、
前記カラー画像において、前記電子透かしを埋め込むべき部分に対応する画素を選択する画素選択手段と、
選択された前記画素における表色値を、所定の変換行列で変換して、前記画素に透かし情報を埋め込む透かし情報埋め込み手段と、
を備えると共に、
前記変換行列は、次数sの正方行列であって、
その対角成分の全てが値z(但し、zは任意の実数)から成り、その他の成分の少なくとも1つが値x(但し、xは0以外の任意の実数)から成り、かつ各行及び各列の成分の和がそれぞれ略zとなる行列であることを要旨とする。
【0010】
このように、本発明の埋め込み方法及び装置では、変換行列として、次数sの正方行列であって、その対角成分の全てが値z(但し、zは任意の実数)から成り、その他の成分の少なくとも1つが値x(但し、xは0以外の任意の実数)から成り、かつ各行及び各列の成分の和がそれぞれ略zとなる行列を用いる。
【0011】
この変換行列では、対角成分である値zが、各画素の輝度成分に対して著しい影響を与える。また、その他の成分に含まれる値xは透かし情報を生成するための値となる。従って、このような変換行列によって、電子透かしを埋め込むべき部分に対応する画素の表色値を変換することにより、各画素に透かし情報を、変換行列における値zに応じて、可視状態または不可視状態で埋め込むことができる。
【0012】
よって、本発明の埋め込み方法及び装置によれば、1つの手法で、不可視透かし/可視透かしを選択的に埋め込むことが可能となる。
【0013】
本発明の埋め込み方法において、前記電子透かしを不可視状態で前記カラー画像を埋め込む場合には、前記変換行列における前記値zを1に設定することが好ましい。
【0014】
このように、変換行列の対角成分である値zを1に設定することによって、上記変換によっても、各画素の輝度成分はそのまま維持される。しかし、上記変換によって、各画素には、値xに基づく透かし情報が埋め込まれることになるので、結果的に、透かし情報が不可視状態で埋め込まれることになる。
【0015】
本発明の埋め込み方法において、前記電子透かしを可視状態で前記カラー画像を埋め込む場合には、前記変換行列における前記値zを1以外の値に設定することが好ましい。
【0016】
このように、変換行列の対角成分である値zを1以外の値に設定することによって、上記変換によって、各画素の輝度成分が値zに応じて変化し、従って、各画素には、値zに基づいて透かし情報が可視状態で埋め込まれることになる。なお、この時、各画素には、値xに基づいても透かし情報が潜在的に埋め込まれる。
【0017】
本発明の埋め込み方法において、前記表色値は三刺激値R,G,Bであることが好ましい。
【0018】
このように、表色値として三刺激値R,G,Bを用いるRGB表色系は、カラー画像を表すのに適しているからである。
【0019】
本発明の埋め込み方法において、前記変換行列における前記値xを0<|x|<1の範囲の値に設定することが好ましい。
【0020】
値xが大きくなると、カラー画像に大量なノイズが加わることになり、画質の劣化を招くため、この値を小さく抑えるために、上記の範囲に設定する。
【0021】
本発明の抽出方法は、上記埋め込み方法によって不可視状態で前記カラー画像に埋め込まれた前記電子透かしを前記カラー画像から抽出する電子透かしの抽出方法であって、
(c)前記電子透かしを埋め込む前の前記カラー画像を原カラー画像として用意する工程と、
(d)前記電子透かしの埋め込まれた前記カラー画像と用意された前記原カラー画像との差分を、前記表色値を構成するs個の値のうち、少なくとも1つの値について得る工程と、
(e)得られた前記差分から前記電子透かしを導き出す工程と、
を備えることを要旨とする。
【0022】
このように、本発明の抽出方法によれば、電子透かしの埋め込まれたカラー画像と原カラー画像との差分を得ることによって、所定の画素に不可視状態で埋め込まれていた、値xに基づく透かし情報が取り出せるので、不可視状態で埋め込まれていた電子透かしを容易に抽出することができる。
【0023】
本発明の抽出方法において、前記工程(e)は、得られた前記差分を2値化して、前記電子透かしを導き出す工程を含むようにしても良い。
【0024】
このようにすることによって、電子透かしの形状の痕跡を容易に検出することができる。
【0025】
本発明の抽出方法において、前記工程(d)は、前記電子透かしの埋め込まれた前記カラー画像と用意された前記原カラー画像との差分を、前記表色値を構成するs個の値のうち、2つ以上の値についてそれぞれ得る工程を含み、
前記工程(e)は、前記2つ以上の値について得られた前記差分をそれぞれ2値化し、得られた各2値化差分を重ね合わせて、前記電子透かしを導き出す工程を含むことが好ましい。
【0026】
このようにすることにより、例え、色彩領域の特性によって或る2値化差分の表す画像の中で認識しにくい部分があっても、その部分を、他の2値化差分の表す画像によって補うことができるため、電子透かしをより確実に抽出することができる。
【0027】
本発明の不可視化方法は、上記埋め込み方法によって可視状態で前記カラー画像に埋め込まれた前記電子透かしを不可視状態にする電子透かしの不可視化方法であって、
(c)前記変換行列における前記値zとxを用意する工程と、
(d)用意された前記値zとxを用いて前記変換行列の逆行列を生成する工程と、
(e)前記電子透かしの埋め込まれた前記カラー画像から前記電子透かしの埋め込み部分に対応する画素を選択する工程と、
(f)選択された前記画素における前記表色値を、生成された前記逆行列で変換して、前記画素から前記透かし情報を消去する工程と、
(g)前記透かし情報の消去された前記画素における前記表色値を、前記値zを1に設定した前記変換行列によって変換する工程と、
(h)変換して得られた値に基づいて、前記電子透かしを不可視状態にする工程と、
を備えることを要旨とする。
【0028】
このように、本発明の不可視化方法では、用意された値zとxを用いて、変換行列の逆行列を生成し、その逆行列を用いて、透かし情報の埋め込まれた画素から透かし情報を消去し、透かし情報の消去された画素における表色値を、値zを1に設定した変換行列によって変換する。これによって、この画素には、透かし情報が不可視状態で改めて埋め込まれることになる。
【0029】
このようにして、本発明の不可視化方法によれば、可視状態にあった電子透かしを自由に不可視状態にすることができる。
【0030】
本発明の可視化方法は、上記埋め込み方法によって不可視状態で前記カラー画像に埋め込まれた前記電子透かしを可視状態にする電子透かしの可視化方法であって、
(c)前記変換行列における前記値zとxを用意する工程と、
(d)用意された前記値zとxを用いて前記変換行列の逆行列を生成する工程と、
(e)前記電子透かしの埋め込まれた前記カラー画像から前記電子透かしの埋め込み部分に対応する画素を選択する工程と、
(f)選択された前記画素における前記表色値を、生成された前記逆行列で変換して、前記画素から前記透かし情報を消去する工程と、
(g)前記透かし情報の消去された前記画素における前記表色値を、前記値zを1以外の値に設定した前記変換行列によって変換する工程と、
(h)変換して得られた前記値に基づいて、前記電子透かしを可視状態にする工程と、
を備えることを要旨とする。
【0031】
このように、本発明の可視化方法では、用意された値zとxを用いて、変換行列の逆行列を生成し、その逆行列を用いて、透かし情報の埋め込まれた画素から透かし情報を消去し、透かし情報の消去された画素における表色値を、値zを1以外の値に設定した変換行列によって変換する。これによって、この画素には、透かし情報が可視状態で改めて埋め込まれることになる。
【0032】
このようにして、本発明の可視化方法によれば、不可視状態にあった電子透かしを自由に可視状態にすることができる。
【0033】
本発明の記録媒体は、各画素の表色値がs(但し、sは3以上の整数)個の値の組み合わせによって表されるカラー画像に、電子透かしを埋め込むためのコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、前記カラー画像において、前記電子透かしを埋め込むべき部分に対応する画素を選択する機能と、
次数sの正方行列であって、その対角成分の全てが値z(但し、zは任意の実数)から成り、その他の成分の少なくとも1つが値x(但し、xは0以外の任意の実数)から成り、かつ各行及び各列の成分の和がそれぞれ略zとなる変換行列によって、選択された前記画素における表色値を変換して、前記画素に透かし情報を埋め込む機能と、
を前記コンピュータに実現させるためのコンピュータプログラムを記録したことを要旨とする。
【0034】
このようなコンピュータプログラムをコンピュータで実行することによって、上記した埋め込み方法や装置と同様の構成を得ることができ、同様の効果を奏することが可能となる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を実施例に基づいて説明する。
A.装置の全体構成
はじめに、本発明の一実施例としての電子透かし処理装置10の構成について図1を用いて説明する。図1は、本実施例において電子透かし処理を実行する電子透かし処理装置10の構成を示すブロック図である。この電子透かし処理装置は、CPU22と、RAM24と、ROM26と、キーボード30と、マウス32と、CRTなどから成る表示装置34と、ハードディスク36と、ネットワークカードやモデムなどから成る通信装置38と、画像を読み取るスキャナ39と、これらの各要素を接続するバス40と、を備えるコンピュータである。なお、図1では各種のインターフェイス回路は省略されている。通信装置38は、図示しない通信回線を介してコンピュータネットワークに接続されている。コンピュータネットワークの図示しないサーバは、通信回線を介してコンピュータプログラムを電子透かし処理装置10に供給するプログラム供給装置としての機能を有する。
【0036】
RAM24には、対象となるカラー画像に電子透かしを埋め込むための電子透かし埋め込み部41と、不可視状態で埋め込まれた電子透かしをカラー画像から抽出するための電子透かし抽出部42と、可視状態で埋め込まれた電子透かしを不可視状態に変更し、不可視状態で埋め込まれた電子透かしを可視状態に変更する電子透かし不可視/可視化部43の、各機能を実現するためのコンピュータプログラムが格納されている。電子透かし埋め込み部41、電子透かし抽出部42及び電子透かし不可視/可視化部43の機能については後で詳しく説明する。
【0037】
これらの各部41〜43の機能を実現するコンピュータプログラムは、フレキシブルディスクやCD−ROM等の、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された形態で提供される。コンピュータは、その記録媒体からコンピュータプログラムを読み取って内部記憶装置または外部記憶装置に転送する。あるいは、通信経路を介してコンピュータにコンピュータプログラムを供給するようにしてもよい。コンピュータプログラムの機能を実現する時には、内部記憶装置に格納されたコンピュータプログラムがコンピュータのマイクロプロセッサによって実行される。また、記録媒体に記録されたコンピュータプログラムをコンピュータが読み取って直接実行するようにしてもよい。
【0038】
この明細書において、コンピュータとは、ハードウェア装置とオペレーションシステムとを含む概念であり、オペレーションシステムの制御の下で動作するハードウェア装置を意味している。また、オペレーションシステムが不要でアプリケーションプログラム単独またはファームウェア単独でハードウェア装置を動作させるような場合には、そのハードウェア装置自体がコンピュータに相当する。ハードウェア装置は、CPU等のマイクロプロセッサと、記録媒体に記録されたコンピュータプログラムを読み取るための手段とを少なくとも備えている。例えば、ディジタルカメラやスキャナなどの電子機器に、CPUやROMなどが組み込まれていて、これら電子機器がコンピュータとしての機能を有する場合も、これら電子機器はコンピュータの概念に当然に含まれる。コンピュータプログラムは、このようなコンピュータに、上述の各手段の機能を実現させるプログラムコードを含んでいる。なお、上述の機能の一部は、アプリケーションプログラムでなく、オペレーションシステムによって実現されていても良い。更に、電子透かしの埋め込み処理や復号処理を行なうプログラムは、画像処理を行なうプログラムに対して、プラグインの形式で付加されるものとしてもよい。
【0039】
なお、この発明における「記録媒体」としては、フレキシブルディスクやCD−ROM、光磁気ディスク、ICカード、ROMカートリッジ、パンチカード、バーコードなどの符号が印刷された印刷物、コンピュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ)および外部記憶装置等の、コンピュータが読取り可能な種々の媒体を利用することができる。
【0040】
B.電子透かしの埋め込み処理
B−1.埋め込み処理の内容
図2は図1の電子透かし埋め込み部41が行う埋め込み処理の手順を示すフローチャートである。この処理は、電子透かし埋め込み部41の処理として実現されている。図示するように、この埋め込み処理が起動されると、まず、電子透かしを埋め込むべき対象となるカラー画像Pと、埋め込むべき電子透かしである透かし画像Wと、を特定する処理を行なう(ステップS105)。これらの処理は、ハードディスク36に記憶された画像ファイルを指定することにより行なわれる。
【0041】
本実施例では、対象となるカラー画像Pとして、RGB(赤,緑,青)表色系で表され、大きさm×n画素から成り、各画素の色が、それぞれ、各8ビット(即ち、256階調)の三刺激値R,G,B(以下、RGB成分という)で表されるカラー画像を用いた。ここで、
P={pij|i=0,1,2・・・・m-1;j=0,1,2・・・・n-1}
で表わすものとする。
【0042】
また、透かし画像Wとしては、大きさがカラー画像Pと同じm×n画素から成り、各画素の色が黒または白である二値画像を用いた。具体的には、後述するように、白地に黒文字で「LOGO1」,「LOGO2」と記したロゴマーク画像を用意した。ここで、
W={wij|wij=1,0:i=0,1,2・・・・m-1;j=0,1,2・・・・n-1}
で表わすものとする。即ち、画素の値は、マーク部分(黒の部分)を1とし、非マーク部分(白の部分)を0とした。
【0043】
なお、以下の議論のために、カラー画像Pに電子透かしである透かし画像Wを埋め込んだ後の画像(以下、署名済み画像と呼ぶ)をQとする。この署名済み画像Qも、大きさがカラー画像Pや透かし画像Wと同じm×n画素から成る。従って、これを、
Q={qij|i=0,1,2・・・・m-1;j=0,1,2・・・・n-1}
で表わすものとする。
【0044】
両画像P,Wを用意した後、次に、画像処理用の変数i,jを初期値0にセットする(ステップS110,115)。そして、その変数i,jについて、透かし画像Wの画素wijの値が1(即ち、マーク部分)であるか否かの判断を行なう(ステップS120)。
【0045】
判断の結果、画素wijの値が0(即ち、非マーク部分)である場合には、その画素wijに対応するカラー画像Pの画素pijを選択し、その画素pijのRGB成分をそのまま署名済み画像Qの対応する画素qijのRGB成分とする(ステップS130)。
【0046】
即ち、カラー画像Pにおける画素pijのRGB成分を(rij,gij,bij)とし、これを3次元ベクトルで表すと、図3に示すように、Pij=[rij,gij,bij]tとなる。また、署名済み画像Qにおける画素qijのRGB成分を(Rij,Gij,Bij)とし、これを3次元ベクトルで表すと、qij=[Rij,Gij,Bij]tとなる。但し、添字tは転置を表す。従って、画素wijの値が0の場合は、式(1)のように表される。
【0047】
【数1】
【0048】
一方、画素wijの値が1(即ち、マーク部分)である場合には、その画素wijに対応するカラー画像Pの画素pijを選択し、その画素pijのRGB成分を式(2)に示す変換行列Bによって変換し、得られたRGB成分を署名済み画像Qの対応する画素qijのRGB成分とする(ステップS125)。
【0049】
【数2】
【0050】
即ち、画素wijの値が1の場合は、式(3)のように表される。
【0051】
【数3】
【0052】
式(2),(3)に示すように、変換行列Bは、3次の正方行列であって、対角成分の全てが値z(但し、zは任意の実数)から成り、その他の成分が値x(但し、xは0以外の任意の実数)または−xから成る。そして、各行及び各列の成分の和はそれぞれzとなっている。このうち、対角成分である値zは、各画素の輝度成分に対して著しい影響を与えるため、本明細書では、この値zを明るさ係数と呼ぶ。また、残りの係数xは、透かし情報を生成するための秘密の係数であり、本明細書では、この値xを透かし係数と呼ぶ。この透かし係数の演算結果によって透かし信号となる色差信号が得られる。
【0053】
なお、変換行列Bによって変換した結果、得られたRGB成分が整数でない場合には、小数点以下を四捨五入して整数化する。
【0054】
以上のような演算処理を行なった後、変数i,jを順次インクリメントしつつ(ステップS135,S145)、透かし画像Wの全画素について処理が完了したか否かを判断し(ステップS140,S150)、完了するまで、カラー画像Pに電子透かしである透かし画像Wを埋め込む上記処理を繰り返す。全画素についての処理が完了すれば、透かし画像の埋め込み処理を終了する。
【0055】
B−2.不可視透かしの埋め込み
本実施例において、透かし画像Wを不可視状態で埋め込む場合には、変換行列Bにおける明るさ係数zを1に設定する。すると、式(3)によって、署名済み画像Qにおけるマーク部分の画素のRGB成分は、式(4)の如くになる。
【0056】
【数4】
【0057】
式(4)の右辺を見ると、第1項では、カラー画像Pにおけるマーク部分の画素のRGB成分がそのまま維持されることになり、第2項では、透かし信号である色差信号のみが新たに加算されることになる。この結果、各画素の輝度成分はそのまま維持されることになり、透かし信号として透かし係数xに基づく透かし情報のみが埋め込まれることになり、結果的に、透かし情報が不可視状態で埋め込まれることになる。
【0058】
また、この時、右辺の第2項の値が大きければ、大量なノイズが加わることになり、画質劣化を招き、マーク部分が視覚で認識されることになる。従って、本実施例においては、その値を小さく抑えるために、透かし係数xの値を0<|x|<1の範囲の実数値に設定する。
【0059】
B−3.可視透かしの埋め込み
一方、本実施例において、透かし画像Wを可視状態で埋め込む場合には、変換行列Bにおける明るさ係数zを1以外の値に設定する。すると、式(3)に基づいて、署名済み画像Qにおけるマーク部分の画素のRGB成分は、式(5)の如くになる。
【0060】
【数5】
【0061】
式(5)の右辺を見ると、第1項では、カラー画像Pにおけるマーク部分の画素のRGB成分に、それぞれ明るさ係数zが掛けられており、この明るさ係数zによって3原色の輝度成分に均等に影響を与えることになる。また、第2項では、式(4)と同様に、透かし信号である色差信号が新たに加算されることになる。この結果、明るさ係数zに基づいて透かし情報が可視状態で埋め込まれると共に、透かし係数xに基づいた透かし情報が潜在的に埋め込まれることになる。
【0062】
ここで、明るさ係数zを正の実数値と設定すると、0<z<1の範囲では、マーク部分を黒色系に表示することができ、z>1の範囲では、マーク部分を白色系に表示することが可能である。また、この時、明るさ係数zの値が1に近いほど、マーク部分の輝度が薄くなり、不可視状態に近づく。一方、明るさ係数zの値が1から離れるに従い、マーク部分には一層はっきりとした輝度が得られる。
【0063】
なお、透かし画像を可視状態で埋め込む際には、輝度を大きく変化させることにより、画素値が上限値を超えてオーバフローとなったり、下限値を超えてアンダフローとなったりしやすいので、注意しなければならない。もし、そのようなオーバフローやアンダフローが生じた場合には、その画素値を強制的に上限値または下限値に置き換えることにより、補正するようにする。
【0064】
B−4.電子透かしの埋め込みの具体例
ここで、カラー画像Pに電子透かしである透かし画像Wを不可視状態及び可視状態で埋め込んだ場合の具体例について説明する。
【0065】
この具体例では、対象となるカラー画像Pとして、図4(a)に示すポートレート画像と、図4(b)に示すカフェテリア画像を用いた。これらの画像は日本規格協会から発行されているカラーデジタル標準画像データを縮小したもので、大きさが320×256画素、RGB成分が各々8ビットの画像である。
【0066】
一方、埋め込むべき電子透かしである透かし画像Wとしては、図5(a),(b)に示す2つのロゴマーク画像を用いた。このうち、図5(a)に示すロゴマーク画像は不可視用として用い、図5(b)に示すロゴマーク画像は可視用として用いた。そして、これら両方のロゴマーク画像は、対象となるカラー画像Pに同時に埋め込むこととした。
【0067】
この時、図4(a)に示す不可視用のロゴマーク画像を、図4(a)に示すポートレート画像に埋め込む際も、図4(b)に示すカフェテリア画像に埋め込む際も、明るさ係数zを共に1に設定し、透かし係数xを共に0.1に設定するようにした。
【0068】
一方、図5(b)に示す可視用のロゴマーク画像を、図4(a)に示すポートレート画像に埋め込む際には、黒色系表示を採用するために、明るさ係数zを0.7に設定すると共に、透かし係数xを0.1に設定するようにした。しかし、図4(b)に示すカフェテリア画像に埋め込む際には、ボートレート画像の場合とロゴマークの明るさを変えて、よりはっきりとロゴマークを認識できるようにするために、明るさ係数zを0.4に設定した。なお、透かし係数xは同じ0.1に設定した。
【0069】
このような埋め込みの結果、各署名済み画像は図6(a),(b)に示すように表される。図6(a),(b)を見れば明らかなように、不可視用のロゴマークはまったく認識できないことがわかる。また、図6(a)と(b)を比較すれば明らかなように、可視用のロゴマークは、明るさ係数zの値によって、異なる輝度で表示させることが可能である。
【0070】
次に、変換行列Bにおける透かし係数xについて考察する。カラー画像Pに電子透かしである透かし画像Wを埋め込む際、式(4)または(5)から明らかなように、透かし係数xは、透かし信号としての色差に大きな影響を与える。従って、例えば、透かし画像Wを不可視状態で埋め込む場合、透かし係数xの値が大きすぎると、透かし信号が大きくなって、色彩が激しく変化し、大量なノイズが加わることになる。
【0071】
図7は透かし係数xの値が大きすぎる場合の署名済み画像の様子を示す説明図である。
【0072】
図7(a),(b)を見れば明らかなように、透かし係数xの値が大きすぎると、不可視となるべきマーク部分が人間の目でも簡単に確認できてしまい、不可視透かしの役割を果さないことがわかる。特に、色彩が滑らかな部分では、色彩の変化が激しい部分より露出しやすいことがわかる。
【0073】
従って、透かし画像Wを不可視状態で埋め込む場合には、マーク部分が目立たないようにするために、透かし係数xの値を小さくする必要がある。なお、前述したとおり、本実施例においては、透かし係数xの値を0<|x|<1の範囲の実数値に設定するのが好ましいが、実験結果から、透かし係数xの値は、概ね0.1〜0.5の範囲の実数値に設定することがより好ましい。
【0074】
B−5.実施例の効果
以上の説明したように、変換行列Bでは、対角成分である値zが各画素の輝度成分に対して著しい影響を与え、その他の成分に含まれる値xは透かし情報を生成するための値となる。従って、このような変換行列Bによって、マーク部分に対応する画素pijのRGB成分を変換することにより、それら各画素に透かし情報を、変換行列Bにおける値zに応じて、可視状態または不可視状態で埋め込むことができる。よって、本実施例によれば、1つの手法で、不可視透かし/可視透かしを選択的に埋め込むことが可能となる。
【0075】
従って、所有者にとっては、自分の著作権を管理しやすいという利点が得られる。また、不可視透かしの埋め込まれた画像に関して、人間の目には、ロゴマークが消えたと見える。しかし、少量な透かし信号が色差として残ったままの状態になるので、その後に、その画像が不正利用された場合、埋め込まれている不可視透かしを、次に述べる抽出処理によって容易に抽出することができる。
【0076】
C.電子透かしの抽出処理
電子透かしを前述したようにして不可視状態で埋め込んだ署名済み画像を公開した場合に、例えば、不正コピーを発見し、所有者の著作権を主張するためには、不可視状態にある電子透かしを署名済み画像から抽出する必要がある。そこで、本実施例では、その抽出方法として、原画像であるカラー画像と署名済み画像との各R,G,B成分の差分を求め、その差分を2値化することにより、電子透かしを抽出する方法を用いる。以下、その内容について説明する。
【0077】
C−1.抽出処理の内容
図8は図1の電子透かし抽出部42が行う抽出処理の手順を示すフローチャートである。この処理は、電子透かし抽出部42の処理として実現されている。図示するように、この抽出処理が起動されると、まず、電子透かしの埋め込まれた署名済み画像Qと、原画像であるカラー画像Pと、を特定する処理を行なう(ステップS205)。これらの処理は、ハードディスク36に記憶された画像ファイルを指定することにより行なわれる。
【0078】
次に、画像処理用の変数i,jを初期値0にセットする(ステップS210,215)。そして、その変数i,jについて、署名済み画像Qにおける画素qijの各R,G,B成分(Rij,Gij,Bij)と、カラー画像Pにおける画素pijの各R、G、B成分(rij,gij,bij)と、の差分Δrij,Δgij,Δbijをそれぞれ算出する(ステップS220,S225,S230)。続いて、R,G,Bの各成分について算出した差分Δrij,Δgij,Δbijを0または1の値に2値化する(ステップS235)。
【0079】
こうして、差分演算及び2値化処理を行なった後、変数i,jを順次インクリメントしつつ(ステップS240,S250)、署名済み画像Qの全画素について処理が完了したか否かを判断し(ステップS245,S255)、完了するまで、上記処理を繰り返す。全画素についての処理が完了すれば、R,G,Bの各成分についてそれぞれ、2値化された差分画像ΔR,ΔG,ΔBが得られる。続いて、得られた2値化差分画像ΔR,ΔG,ΔBを互いに重ね合わせ、最終的に、抽出された電子透かしである透かし画像を得て、透かし画像の抽出処理を終了する。
【0080】
なお、不可視状態にある電子透かしを署名済み画像から抽出する場合の具体例については、後ほど、D−3の項において説明する。
【0081】
C−2.実施例の効果
以上説明した抽出方法によれば、電子透かしの埋め込まれたカラー画像と原画像であるカラー画像との差分を得ることによって、所定の画素に不可視状態で埋め込まれていた、値xに基づく透かし情報が取り出せるので、不可視状態で埋め込まれていた電子透かしを容易に抽出することができる。
【0082】
また、電子透かしである透かし画像として、例えば、ロゴマーク画像を用いた場合には、そのロゴマークの形状の痕跡さえ検出できれば十分である。従って、上記したように、得られた差分を2値化するようにすることによって、電子透かしの形状の痕跡を容易に検出することができる。
【0083】
また、R,G,Bの各成分についてそれぞれ得られる、2値化された差分画像ΔR,ΔG,ΔBの何れかから、透かし画像をほぼ確認できる場合が多いが、色彩領域の特性によっては、それぞれの差分画像の中で認識しにくい部分もある。そのため、上記したように、3枚の2値化された差分画像ΔR,ΔG,ΔBを互いに重ね合わせることによって、或る成分の差分画像の中で認識できない部分があっても、その部分を、他の成分の差分画像によって補完できるため、電子透かし画像をさらに明瞭に確認できる。
【0084】
D.電子透かしの不可視化処理
ところで、電子透かしを前述したようにして可視状態で埋め込んだ署名済み画像を、利用者に提供した場合、利用者から要望があれば、可視状態にある電子透かしを除去する必要がある。しかしながら、画像から電子透かしを完全に除去してしまうと、違法コピーの発見や追跡が困難になるので、電子透かしが画像から完全に消えることなく、保存されることが望ましい。そこで、可視状態にある電子透かしを不可視状態に変更させる不可視化方法が必要となる。以下、その内容について説明する。
【0085】
D−1.不可視化処理の内容
図9は図1の電子透かし不可視/可視化部43が行う不可視化処理の手順を示すフローチャートである。この処理は、電子透かし不可視/可視化部43の処理として実現されている。図示するように、この不可視化処理が起動されると、まず、変換行列Bにおける明るさ係数zと透かし係数xの各値を特定する処理を行なう(ステップS305)。これらの処理は、例えば、利用者が、所有者から秘密鍵となる明るさ係数zと透かし係数xの各値を譲り受け、その値をキーボード30によって透かし処理装置10に入力した場合に、電子透かし不可視/可視化部43がそれらの値を認識することにより行なわれる。
【0086】
次に、特定した明るさ係数zと透かし係数xの各値を用いて、変換行列Bの逆行列B-1を生成する(ステップS310)。
【0087】
そして、電子透かしの埋め込まれた署名済み画像Qを特定する処理を行なう(ステップS315)。この処理は、ハードディスク36に記憶された画像ファイルを指定することにより行なわれる。
【0088】
続いて、画像処理用の変数i,jを初期値0にセットする(ステップS320,325)。そして、その変数i,jについて、署名済み画像Qの画素qijが可視のマーク部分の画素であるか否かの判断を行なう(ステップS330)。
【0089】
判断の結果、画素qijが、非マーク部分の画素かまたは不可視のマーク部分の画素である場合には、その画素qijのRGB成分を、そのまま、新たな署名済み画像Q’の対応する画素qij’のRGB成分とする(ステップS340)。
【0090】
一方、画素qijが可視のマーク部分の画素である場合には、その画素qijのRGB成分を、ステップS310で生成した逆行列B-1によって、式(6)に従って変換して、原画像であるカラー画像Pの対応する画素pijのRGB成分を得る(ステップS335)。
【0091】
【数6】
【0092】
但し、実際には、前述した電子透かしの埋め込み処理において、カラー画像Pにおける画素PijのRGB成分を変換行列Bで変換した際に、その変換結果が整数でない場合には、小数点以下を四捨五入して整数化しているため、上記したように、ステップ335で、署名済み画像Qにおける画素qijのRGB成分を、変換行列のBの逆行列B-1で変換したとしても、得られる値は、原画像であるカラー画像Pにおける画素pijの元のRGB成分と必ずしも一致しない。即ち、ステップS335の処理では、原画像であるカラー画像Pにおける画素pijの元のRGB成分の近似値を得ることになる。
【0093】
次に、得られた画素pijのRGB成分を、明るさ係数zを1に、透かし係数xはステップS305で特定した値のまま(即ち、先の埋め込み処理時と同じ値)に、それぞれ設定した変換行列Bによって、前述した式(3)に従って変換し、得られたRGB成分を新たな署名済み画像Q’の対応する画素qij’のRGB成分とする(ステップS345)。
【0094】
即ち、この場合は、式(7)のように表される。
【0095】
【数7】
【0096】
ここで、B1は、明るさ係数zを1に設定した変換行列Bを表し、qij1は、変換行列B1で変換して得られた画素のRGB成分を表す。即ち、qij1は、前述の式(4)で示されるRGB成分である。
【0097】
従って、変換結果、各画素の輝度成分はそのまま維持されて、透かし係数xに基づく透かし情報のみが埋め込まれることになり、よって、透かし情報が不可視状態で埋め込まれることになる。
【0098】
つまり、ステップS335及びS345の処理を経ることによって、可視のマーク部分であった画素は、不可視化されて、不可視のマーク部分の画素に変更されることになる。
【0099】
なお、ステップ345においても、ステップS125の場合と同様に、変換行列Bによって変換した結果、得られたRGB成分が整数でない場合には、小数点以下を四捨五入して整数化する。
【0100】
以上のような演算処理を行なった後、変数i,jを順次インクリメントしつつ(ステップS350,S360)、透かし画像Wの全画素について処理が完了したか否かを判断し(ステップS355,S365)、完了するまで、可視状態にある電子透かしを不可視状態に変更させる上記処理を繰り返す。全画素についての処理が完了すれば、透かし画像の不可視化処理を終了する。
【0101】
D−2.実施例の効果
このようにして、上記不可視化処理を実行することにより、可視状態にあった電子透かしを自由に不可視化することができる。従って、例えば、可視透かしの埋め込まれた署名済み画像を利用者に提供した場合に、利用者からの要望に応じて、電子透かしを保存したまま不可視化することができるので、違法コピーの発見や追跡などに支障を来すことなく、署名済み画像の利用形態を広げることができる。
【0102】
D−3.電子透かしの不可視化及び抽出の具体例
ここで、可視状態で埋め込まれた電子透かしを不可視化する場合の具体例と、その不可視化した電子透かしを署名済み画像から抽出する場合の具体例について簡単に説明する。
【0103】
図6(a),(b)に示した署名済み画像について、可視のマーク部分を、図9に示した手順で不可視化した場合、結果としては、図10(a),(b)に示すような新たな署名済み画像が得られる。図10を見れば明らかなように、可視状態で表示されていたマーク部分は不可視化されて、一見すると、マーク部分が除去されたかのように見える。そのため、不可視化を要望した利用者は、安心してこれらの画像を利用することができる。
【0104】
一方、この画像が不正利用されたという疑いがある時は、図4(a),(b)に示す原画像であるカラー画像を用いて、図10(a),(b)に示す署名済み画像から、不可視状態にあるマーク部分を、図8に示した手順で抽出する。抽出の結果としては、図11(a),(b)に示すようなロゴマーク画像が得られる。図11を見れば明らかなように、不可視状態で埋め込まれていたロゴマーク画像を、痕跡が十分確認できる程度に抽出することができる。
【0105】
E.電子透かしの可視化処理
一方、電子透かしを前述したようにして不可視状態で埋め込んだ署名済み画像についても、不可視状態にある電子透かしを必要に応じて可視状態にできれば、利用範囲がさらに広がる。以下、その内容について説明する。
【0106】
E−1.可視化処理の内容
この可視化処理は、電子透かし不可視/可視化部43の処理として実現されている。なお、この可視化処理は、前述した不可視化処理の内容と等しい部分が多いので、異なる部分についてのみ説明する。
【0107】
この不可視化処理が起動されると、図9に示したステップS305〜325と同様の処理を行う。その後、変数i,jについて、署名済み画像Qの画素qijが不可視のマーク部分の画素であるか否かの判断を行なう。なお、不可視のマーク部分の画素の座標値は、予め、特定されているものとする。
【0108】
判断の結果、画素qijが、非マーク部分の画素である場合には、その画素qijのRGB成分を、そのまま、新たな署名済み画像Q’の対応する画素qij’のRGB成分とする。
【0109】
一方、画素qijが不可視のマーク部分の画素である場合には、その画素qijのRGB成分を、先に生成した逆行列B-1によって、式(6)に従って変換して、原画像であるカラー画像Pの対応する画素pijのRGB成分を得る。
【0110】
次に、得られた画素pijのRGB成分を、明るさ係数zを1以外の値に、透かし係数xは先に特定した値のまま(即ち、先の埋め込み処理時と同じ値)に、それぞれ設定した変換行列Bによって、前述した式(3)に従って変換し、得られたRGB成分を新たな署名済み画像Q’の対応する画素qij’のRGB成分とする。
【0111】
従って、変換結果、各画素の輝度成分が値zに応じて変化し、従って、各画素には、値zに基づいて透かし情報が可視状態で埋め込まれることになる。なお、この時、各画素には、値xに基づいても透かし情報が潜在的に埋め込まれる。
【0112】
つまり、上記した処理を経ることによって、不可視のマーク部分であった画素は、可視化されて、可視のマーク部分の画素に変更されることになる。
【0113】
以上のような演算処理を行なった後、変数i,jを順次インクリメントしつつ、透かし画像Wの全画素について処理が完了したか否かを判断し、完了するまで、不可視状態にある電子透かしを可視状態に変更させる上記処理を繰り返す。全画素についての処理が完了すれば、透かし画像の可視化処理を終了する。
【0114】
E−2.実施例の効果
このようにして、上記可視化処理を実行することにより、不可視状態にあった電子透かしを自由に可視化することができる。従って、例えば、不可視透かしの埋め込まれた署名済み画像を利用者に提供した場合において、その後、不正使用を発見した場合など、必要に応じて、電子透かしを可視化することができるので、署名済み画像の利用形態をさらに広げることができる。
【0115】
F.各種攻撃に対する耐性
次に、電子透かしを埋め込んだ署名済み画像に関し、第三者の攻撃に対する耐性評価の結果について説明する。
【0116】
攻撃対象となる署名済み画像としては、図10(a),(b)に示した不可視化した署名済み画像を用いることとした。
【0117】
一方、署名済み画像に対する攻撃法としては、JPEG圧縮、StirMark攻撃、幾何学的変換の3つの代表的な方法を用いることとした。このうち、StirMark攻撃は、スケーリングやぼかしや微少回転などの処理を複合的に行なう攻撃ツールである。また、JPEG圧縮およびStirMark攻撃のパラメータはデフォルトを設定した。また、幾何学的変換については少量な回転を行うこととした。
【0118】
攻撃に対する耐性の評価は、攻撃後の画像からロゴマーク画像を検出し、そのロゴマークの誤り率を求めることによって行なった。その評価結果を図12に示す。図12から明らかなように、本発明の埋め込み方法によれば、JPEG圧縮に対する耐性が少し弱いことが分かる。しかし、この程度の誤り率であれば、署名情報をほぼ確認することができる。一方、StirMark攻撃にも含まれている幾何学的変換のような攻撃を受けた場合には、ロゴマークは画像と一緒に少し幾何学変換される。従って、検証の際に、原画像との差分をとることにより、ロゴマークがさらに明瞭に浮び上がるので、誤りの発生率が少なくなることが分かる。
【0119】
以上説明したように、署名済み画像に対し、JPEG圧縮、StirMark攻撃、幾何学的変換などの攻撃がなされても、ロゴマークをほぼ確実に検出できることを確認した。
【0120】
また、本発明の埋め込み方法では、不可視透かしを埋めこむときの対象領域は、色彩の変化が激しい部分が最も望ましい。これは、透かし係数x$の値を大きく設定しても、画質の変化が目立たずに、さらに各種攻撃に対し高い耐性が得られるからである。可視透かしの場合には、どの領域に埋め込んでもよいが、色彩が滑らかな部分ほどロゴマークがきれいに浮き上がる傾向がある。
【0121】
なお、本発明は上記した実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様にて実施することが可能である。
【0122】
例えば、上記した実施例では、カラー画像の表色系として、RGB表色系を用いるようにしたが、他の表色系であっても良い。また、表色値はR,G,Bの3つの値の組み合わせによって表されていたが、他の表色系を用いる場合、表色値は、例えば、Y,M,C,Kなど、4つ以上の値の組み合わせによって表されても良い。その場合には、変換行列Bは4次以上の正方行列となる。
【0123】
また、上記した実施例では、電子透かしを抽出する際に、R,G,Bの各成分について、差分画像を得るようにしたが、1つの成分の差分画像だけでも、十分に、透かし画像の痕跡が確認できるのであれば、1つの成分だけであっても良い。
【0124】
なお、上記した実施例において、電子透かし埋め込み部41、電子透かし抽出部42及び電子透かし不可視/可視化部43は、それぞれ、コンピュータプログラム、即ち、ソフトウェアによって、その機能を実現するようにしたが、本発明は、これに限定されるものではなく、電子透かし埋め込み部41、電子透かし抽出部42及び電子透かし不可視/可視化部43をそれぞれ電子回路などのハードウェアによって構成するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例としての電子透かし処理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の電子透かし埋め込み部41が行う埋め込み処理の手順を示すフローチャートである。
【図3】埋め込みの対象となるカラー画像Pにおける画素pijのRGB成分を説明するための説明図である。
【図4】埋め込み対象となるカラー画像Pの一例を示す説明図である。
【図5】埋め込むべき透かし画像Wの一例を示す説明図である。
【図6】図4のカラー画像Pに図5の透かし画像Wを埋め込んで得られる署名済み画像の一例を示す説明図である。
【図7】透かし係数xの値が大きすぎる場合の署名済み画像の様子を示す説明図である。
【図8】図1の電子透かし抽出部42が行う抽出処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】図1の電子透かし不可視/可視化部43が行う不可視化処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】図6の署名済み画像について可視のマーク部分を不可視化して得られる新たな署名済み画像の一例を示す説明図である。
【図11】図10の署名済み画像から不可視状態にあるマーク部分を抽出して得られるロゴマーク画像の一例を示す説明図である。
【図12】図10の署名済み画像に関し、各種攻撃に対する耐性評価の結果の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
10…電子透かし処理装置
22…CPU
24…RAM
26…ROM
30…キーボード
32…マウス
34…表示装置
36…ハードディスク
38…通信装置
39…スキャナ
40…バス
41…電子透かし埋め込み部
42…電子透かし抽出部
43…電子透かし不可視/可視化部
Claims (12)
- 各画素の表色値がs(但し、sは3以上の整数)個の値の組み合わせによって表されるカラー画像に、電子透かしを埋め込む電子透かしの埋め込み方法であって、
(a)前記カラー画像において、前記電子透かしを埋め込むべき部分に対応する画素を選択する工程と、
(b)選択された前記画素における表色値を、所定の変換行列で変換して、前記画素に透かし情報を埋め込む工程と、
を備えると共に、
前記変換行列は、次数sの正方行列であって、
その対角成分の全てが値z(但し、zは任意の実数)から成り、その他の成分の少なくとも1つが値x(但し、xは0以外の任意の実数)から成り、かつ各行及び各列の成分の和がそれぞれzとなる行列であることを特徴とする電子透かしの埋め込み方法。 - 請求項1に記載の電子透かしの埋め込み方法において、
前記電子透かしを不可視状態で前記カラー画像を埋め込む場合には、前記変換行列における前記値zを1に設定することを特徴とする電子透かしの埋め込み方法。 - 請求項1に記載の電子透かしの埋め込み方法において、
前記電子透かしを可視状態で前記カラー画像を埋め込む場合には、前記変換行列における前記値zを1以外の値に設定することを特徴とする電子透かしの埋め込み方法。 - 請求項1に記載の電子透かしの埋め込み方法において、
前記表色値は三刺激値R,G,Bであることを特徴とする電子透かしの埋め込み方法。 - 請求項1に記載の電子透かしの埋め込み方法において、
前記変換行列における前記値xを0<|x|<1の範囲の値に設定することを特徴とする電子透かしの埋め込み方法。 - 請求項2に記載の電子透かしの埋め込み方法によって不可視状態で前記カラー画像に埋め込まれた前記電子透かしを前記カラー画像から抽出する電子透かしの抽出方法であって、
(c)前記電子透かしを埋め込む前の前記カラー画像を原カラー画像として用意する工程と、
(d)前記電子透かしの埋め込まれた前記カラー画像と用意された前記原カラー画像との差分を、前記表色値を構成するs個の値のうち、少なくとも1つの値について得る工程と、
(e)得られた前記差分から前記電子透かしを導き出す工程と、
を備える電子透かしの抽出方法。 - 請求項6に記載の電子透かしの抽出方法において、
前記工程(e)は、得られた前記差分を2値化して、前記電子透かしを導き出す工程を含むことを特徴とする電子透かしの抽出方法。 - 請求項6に記載の電子透かしの抽出方法において、
前記工程(d)は、前記電子透かしの埋め込まれた前記カラー画像と用意された前記原カラー画像との差分を、前記表色値を構成するs個の値のうち、2つ以上の値についてそれぞれ得る工程を含み、
前記工程(e)は、前記2つ以上の値について得られた前記差分をそれぞれ2値化し、得られた各2値化差分を重ね合わせて、前記電子透かしを導き出す工程を含むことを特徴とする電子透かしの抽出方法。 - 請求項3に記載の電子透かしの埋め込み方法によって可視状態で前記カラー画像に埋め込まれた前記電子透かしを不可視状態にする電子透かしの不可視化方法であって、
(c)前記変換行列における前記値zとxを用意する工程と、
(d)用意された前記値zとxを用いて前記変換行列の逆行列を生成する工程と、
(e)前記電子透かしの埋め込まれた前記カラー画像から前記電子透かしの埋め込み部分に対応する画素を選択する工程と、
(f)選択された前記画素における前記表色値を、生成された前記逆行列で変換して、前記画素から前記透かし情報を消去する工程と、
(g)前記透かし情報の消去された前記画素における前記表色値を、前記値zを1に設定した前記変換行列によって変換する工程と、
(h)変換して得られた前記値に基づいて、前記電子透かしを不可視状態にする工程と、
を備える電子透かしの不可視化方法。 - 請求項2に記載の電子透かしの埋め込み方法によって不可視状態で前記カラー画像に埋め込まれた前記電子透かしを可視状態にする電子透かしの可視化方法であって、
(c)前記変換行列における前記値zとxを用意する工程と、
(d)用意された前記値zとxを用いて前記変換行列の逆行列を生成する工程と、
(e)前記電子透かしの埋め込まれた前記カラー画像から前記電子透かしの埋め込み部分に対応する画素を選択する工程と、
(f)選択された前記画素における前記表色値を、生成された前記逆行列で変換して、前記画素から前記透かし情報を消去する工程と、
(g)前記透かし情報の消去された前記画素における前記表色値を、前記値zを1以外の値に設定した前記変換行列によって変換する工程と、
(h)変換して得られた前記値に基づいて、前記電子透かしを可視状態にする工程と、
を備える電子透かしの可視化方法。 - 各画素の表色値がs(但し、sは3以上の整数)個の値の組み合わせによって表されるカラー画像に、電子透かしを埋め込む電子透かしの埋め込み装置であって、
前記カラー画像において、前記電子透かしを埋め込むべき部分に対応する画素を選択する画素選択手段と、
選択された前記画素における表色値を、所定の変換行列で変換して、前記画素に透かし情報を埋め込む透かし情報埋め込み手段と、
を備えると共に、
前記変換行列は、次数sの正方行列であって、
その対角成分の全てが値z(但し、zは任意の実数)から成り、その他の成分の少なくとも1つが値x(但し、xは0以外の任意の実数)から成り、かつ各行及び各列の成分の和がそれぞれzとなる行列であることを特徴とする電子透かしの埋め込み装置。 - 各画素の表色値がs(但し、sは3以上の整数)個の値の組み合わせによって表されるカラー画像に、電子透かしを埋め込むためのコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
前記カラー画像において、前記電子透かしを埋め込むべき部分に対応する画素を選択する機能と、
次数sの正方行列であって、その対角成分の全てが値z(但し、zは任意の実数)から成り、その他の成分の少なくとも1つが値x(但し、xは0以外の任意の実数)から成り、かつ各行及び各列の成分の和がそれぞれzとなる変換行列によって、選択された前記画素における表色値を変換して、前記画素に透かし情報を埋め込む機能と、
を前記コンピュータに実現させるためのコンピュータプログラムを記録した記録媒体。
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