本発明に係る遊技機の一実施形態であるパチンコ機1について、図面を参照して説明する。以下の説明では、図1及び図2の手前側、奥側、上側、下側、左側、右側を、それぞれ、パチンコ機1の前側(正面側)、後側(背面側)、上側、下側、左側、右側とする。
図1及び図2を参照して、パチンコ機1の概略構成を説明する。パチンコ機1には、遊技盤2が設けられている。遊技盤2は、正面視略正方形の板状であり、透明なガラス板を保持した前面枠13によって前面を保護されている。遊技盤2の下部には上皿5が設けられている。上皿5は、発射機(図示外)に金属製の遊技球50(図5参照)を供給し、且つ賞品球を受ける。上皿5の上部中央には、遊技者によって操作される操作ボタン9が設けられている。上皿5の直下には、賞品球を受ける下皿10が設けられている。下皿10の右横には、遊技球50の発射を調整する発射ハンドル11が設けられている。前面枠13の上部の左右の角には、スピーカ48がそれぞれ設けられている。
遊技盤2の前面には、ガイドレール3で囲まれた略円形の遊技領域4が形成されている。発射機によって発射された遊技球50は、遊技領域4内を流下する。遊技領域4の略中央には、LCD(液晶ディスプレイ)等で構成される画像表示装置28が設けられている。画像表示装置28は、動画等の様々な映像を表示可能な表示面28Aを有する。画像表示装置28は、大当たり判定の結果を報知するためのデモ図柄を表示する。パチンコ機1は、複数(本実施形態では3つ)のデモ図柄を変動させた後に、大当たり判定の結果を示すデモ図柄の組合せを確定表示させる報知演出を実行することで、大当たり判定の結果を遊技者に報知する。
遊技領域4の中央部には、画像表示装置28の表示面28Aを取り囲むように、正面視円形状の遊技部材であるセンター役物60が取り付けられる。センター役物60の略中央部の表示用開口60Aから、表示面28Aが前方に露出する。センター役物60の上端部には上方に開口した飛込口80が設けられ、下端部には第一始動口16が設けられる。従って、パチンコ機1の組立時には、センター役物60を遊技盤2の中央部に組み付けることで、遊技領域4内に飛込口80及び第一始動口16を設けることができる。
センター役物60の右方には普通図柄始動ゲート12が設けられ、下方には第二始動口75が設けられる。普通図柄始動ゲート12の下方には第一大入賞口18、第二大入賞口19が上下方向に並んで設けられる。第二始動口75の下方であって、遊技領域4の中央下端部には下側アウト口8が設けられている。第一始動口16、第二始動口75、第一大入賞口18、または第二大入賞口19等に入球せずに、遊技領域4の下側まで流下する遊技球50は、下側アウト口8によって回収され、遊技盤2外に排出される。
図2及び図3を参照し、センター役物60の詳細構造を説明する。センター役物60は、正面視環状の外周壁600を有する。外周壁600で囲まれた領域である内側領域には、飛込口80の右側下部から下方に延びる第一流路64と、第一流路64の下端部と接続する分岐部65と、分岐部65から、表示用開口60Aの左側を下方に延びる第二流路66と、分岐部65から表示用開口60Aの右側を下方に螺旋状に延びる第三流路67と、第三流路67の下端部と接続する箱状の保留装置150と、表示用開口60Aの下方に配置される回転役物200が設けられる。
第一流路64、第二流路66、及び第三流路67は、透明部材で構成されている。従って、第一流路64、第二流路66及び第三流路67を流下する遊技球50を、遊技者は前方から目視可能である。なお、図2及び図3では、各図面を見やすくするために、第一流路64、第二流路66及び第三流路67を点線で示している(図1、図3、図5、図9、図11、図14、及び図15も同様)。
第一流路64は、飛込口80からやや右側に湾曲するように下方に延びる。第一流路64の下端部には、旋回部64Aが設けられる。旋回部64Aは、自身に進入した遊技球50が上下方向を中心に旋回可能な内壁面を有する。第一流路64の下流側端部は、旋回部64Aの下端部に形成された開口を介して、表示用開口60Aの上方に設けられた分岐部65に連通している。
分岐部65の内部には、遊技領域4を流下する遊技球50の流下方向を変化させる遊技部材である振分部材100が設けられている。振分部材100は、前後方向に延びる支軸100Aを中心に回転自在に設けられた略棒状の可動体である。振分部材100は、支軸100Aに対して直交するように第二流路66側(図3では左方向)に延びる。振分部材100は、旋回部64Aから供給された遊技球50を、第二流路66及び第三流路67のいずれかに振り分ける。
振分部材100の一端部は、旋回部64Aの直下で前後方向に延びる支軸100Aによって回転可能に軸支され、他端部は上側が開口する略半球状のクルーン101が設けられる。クルーン101の底部には、遊技球50が通過可能な排球口123が形成される。クルーン101と支軸100Aとの間には、正面視でUの字型をなす遊技球50の転動面である第一案内部103が形成される。また、振分部材100の一端部(図3では右下方向の端部)には、正面視で緩やかに湾曲した第二案内部104が設けられている。第二案内部104は支軸100Aから離間する方向(図3では上方向)に延びる壁部である。
振分部材100は、クルーン101を支軸100Aに対して上方に移動させる上方位置(図3参照)と、支軸100Aに対して下方に移動させる下方位置(図9参照)との間で回転可能である。なお、支軸100Aには、振分部材100を上方位置に保持するための弾性力を付与する弾性部材(図示外)が設けられている。振分部材100に遊技球50が供給されていない場合、振分部材100は弾性部材(図示外)の弾性力によって上方位置に保持される。一方、振分部材100に遊技球50が供給された場合、振分部材100は当該遊技球50の自重によって第上方置から下方位置に弾性部材の弾性力に抗って変位する。クルーン101は、上側から入球する遊技球50を、内周壁に沿って旋回させ、旋回の勢いが弱まると底部に設けた排出口から第二流路66に向けて排出する。
クルーン101と支軸100Aとの間には、正面視でUの字型をなす遊技球50の転動面である第一案内部103が設けられている。第一案内部103は、正面視で支軸100Aを中心とした反時計回り方向(図3では下方向)に向けて凹むように湾曲している。第一案内部103のクルーン101側の端部(図3では左上方向の端部)は、クルーン101に接続されている。
第二案内部104は、一端部が支軸100Aに接続し、且つ、支軸100Aから離間する方向(図3では上方向)に延びる壁部である。第二案内部104の他端部(図3では上端部)が、第一案内部103の支軸100A側の端部(図3では右端部)に接続されている。振分部材100が、上方位置にある場合、第二案内部104は、旋回部64Aの真下にある支軸100Aから右上に向かって延びる状態になる(図3参照)。一方、振分部材100が下方位置にある場合、第二案内部104は、支軸100Aから左上に向かって延びる状態になる(図9参照)。従って、第二案内部104は、旋回部64Aから落下する遊技球50を、振分部材100が上方位置にある場合には第一案内部103に案内し、下方位置にある場合には第三流路67へ案内する構成となっている。
第二流路66は、分岐部65から左下方向に延び、さらに表示用開口60Aの左側を下方に延びる。第二流路66の下端部には、遊技球50を回転役物200に向けて排出する排球口66A(図4参照)が設けられている。第三流路67は、分岐部65から右下方向に延び、さらに表示用開口60Aの右側を螺旋状に下方に延びる。第三流路67のうち、螺旋状を形成する部分においては、第三流路通過スイッチ67Aが設けられる。第三流路通過スイッチ67Aは、第三流路67を挟んで対向配置される発光器(図示外)及び受光器(図示外)を備える透過型センサであり、第三流路67を流下する遊技球50を検知する。
表示用開口60Aの右側には、第三流路67を流下する遊技球50を1球だけ内部に保留可能な保留装置150が設けられている。第三流路67の下端部は、保留装置150の内部と外部とを連通する受入流路153に接続されている。保留装置150の内部に遊技球50が保留されていない場合、保留装置150は第三流路67を流下する遊技球50を1球だけ捕捉して自身の内部に保留する(以下、保留装置150が遊技球50を保留する状態を「保留状態」という)。保留される遊技球50は、後述するタッチセンサ70に遊技者が手をかざすことを契機として、保留装置150の下端部に設けた後述する第一排出口151A(図5参照)から排出される。一方、保留装置150が保留状態である場合、第三流路67を流下する遊技球50は、保留装置150に捕捉されることなく、後述する第二排出口152Aから排出される。第一排出口151A又は第二排出口152Aから排出される遊技球50は、回転役物200へと向かう。保留装置150の構造の詳細は後述する。
図3に示すように、タッチセンサ70は、センター役物60の内側領域であって、表示用開口60A及び第二流路66よりも左側上部に取り付けられる。つまり、タッチセンサ70は、正面側からみた場合に、センター役物60の左側上部に取り付けられている。タッチセンサ70は、表面型の静電容量方式を採用した非接触型のタッチセンサであり、前面枠13に保持されるガラス板の前方からかざされる遊技者の手を被検知物として検知する。
タッチセンサ70は、検知部70Aと、検知部70Aの周縁部を囲い込む枠体70Bと、枠体70Bの前面部に設けられる第一発光体70Cとを備える。検知部70Aは、ガラス基板上に形成された導電膜(図示外)等から少なくも構成される。枠体70Bは、正面視で八角形状である。第一発光体70Cは、枠体70Bの前面部であって、検知部70Aの右方及び左方のそれぞれに設けられる。第一発光体70Cは、内部に複数の発光素子(LED)を備えており、後述するように、保留装置150に遊技球50が保留された場合に遊技盤2の正面側に向かって発光(点滅)する。
外周壁600は、上端部にある飛込口80の左右両端から円周方向に沿って、下端部にある第一始動口16近傍まで形成される。外周壁600は、飛込口80に対して左右一対に設けられた右側案内部材61と左側案内部材62とを含む。右側案内部材61は、飛込口80の右端から遊技盤2の下側に向かって円弧状に傾斜する遊技球50の転動面を有する。左側案内部材62は、飛込口80の左端から遊技盤2の下側に向かって円弧状に傾斜する遊技球50の転動面を有する。右側案内部材61及び左側案内部材62は、飛込口80への入球に失敗した遊技球50を、センター役物60の左右両側から遊技盤2の下側へと案内する。
右側案内部材61には、右側アウト口71が設けられている。複数の遊技球50が右側案内部材61の転動面上で滞留し積み上がる状態(所謂、ブドウ状態)を形成した場合に、ブドウ状態を形成する遊技球50を回収する。左側案内部材62には、左側アウト口72が設けられている。複数の遊技球50が左側案内部材62の転動面上でブドウ状態を形成した場合に、ブドウ状態を形成する遊技球50を回収する。
図4を参照し、回転役物200について説明する。回転役物200は、排球口66Aが排出する遊技球50、及び保留装置150が排出する遊技球50を用いた演出を実行可能な役物である。回転役物200はステージ63に設けられている。ステージ63は、表示用開口60Aの直下に設けられた、略前後方向に延びる面部である。ステージ63の左端部には、第二流路66の排球口66Aが形成されている。ステージ63の右端部には、保留装置150の第一排出口151A及び第二排出口152A(後述)が形成されている。
ステージ63の略中央部には、排球口66A、第一排出口151A(後述)、及び第二排出口152A(後述)よりも低い位置に、平面視で略円形状の凹部である振分部81が形成されている。振分部81の底部中央には、回転役物200の上面を形成する振分面210が配置されている。回転役物200は、図示外のモータによって、上下方向に延びる軸200Aを中心に振分面210を回転させる。振分面210には、上下方向に貫通する8つの穴が、平面視で軸200Aを中心とした円周方向に均等間隔で形成されている。これら8つの穴は、軸200Aを挟んで配置された2つのチャンス穴211と、残り6つのハズレ穴212とで構成される。
第二流路66の排球口66Aから排出された遊技球50は、排球口66Aから右側後方に延びる案内路82を経由して、振分部81の内部に供給される。保留装置150の第一排出口151Aから排出された遊技球50は、保留装置150から左側後方に延びる案内路83を経由して、振分部81の内部に供給される。保留装置150の第二排出口152Aから排出された遊技球50は、保留装置150から左側前方に延びる案内路84を経由して、振分部81の内部に供給される。
振分部81の内部に供給された遊技球50は、振分面210の外側を取り囲む円環状の転動面81Aを周回するように転動する。転動面81Aは、振分面210に向けて若干内側に傾斜しているため、遊技球50は転動面81Aを転動しながら周回したのち、回転する振分面210に向けて移動し、チャンス穴211またはハズレ穴212に進入する。チャンス穴211に進入した遊技球50は、図示外の案内路を経由して第一始動口16に入賞する。ハズレ穴212に進入した遊技球50は、第一始動口16の左右両側に設けられた排出路84,85の何れかを介して、センター役物60の下側に排出される。
図5〜図7を参照し、保留装置150の構成について詳細に説明する。保留装置150は、箱状のケース156と、ケース156の内部の空間を形成する保留部159と、保留部159の左側後部に設けた保留解除機構160と、第三流路67の下端部と保留部159の内部とを連通させる受入流路153と、受入流路153から保留部159の内部で下方に延びる第一排出流路151と、受入流路153と保留部159の内部で接続しながら第一排出流路151の右側を下方に延びる第二排出流路152とを備える。
図5に示すように、ケース156は、正面視で八角形状であり、前面部には、透明部材から形成される、のぞき窓156Aが嵌め込まれている。ケース156は透光性を有する樹脂部材から形成される。従って、遊技者は、保留部159で保留される遊技球50又は保留されずに保留部159の内部を通過する遊技球50を目視できる。
ケース156の前面部の右側上部には、後方に向かって開口する有底筒状の取付部材154が設けられる。取付部材154は、透光性を有する樹脂部材から形成され、内部に第二発光体154Aを備える。本実施形態における第二発光体154Aは、内部に複数の発光素子(LED)を備えており、後述するように、保留装置150に遊技球50が保留された場合に、遊技盤2の正面側に向かって発光(点灯)する。
受入流路153は、略円筒状の流路であり上下方向に延びる。受入流路153は、上端部にケース156を貫通する受入口153Aが設けられ、下端部に第一排出流路151及び第二排出流路152と接続する分岐部153Bが設けられる。受入口153Aは、保留部159の外部にある第三流路67と保留部159の内部とを連通させる。分岐部153Bは、第一排出流路151の上端部及び第二排出流路152の上端部と接続する。
第一排出流路151は、受入流路153と内径が略等しい円筒状の流路である。第一排出流路151の上端部は分岐部153Bと接続し、下端部にはケース156を貫通する第一排出口151Aが設けられる。第一排出口151Aは、保留部159の内部と外部とを連通する。
第一排出流路151は、分岐部153Bと第一排出口151Aとの間において、前側及び左側の壁部を部分的に切り欠いた切欠部151Bを備える。後述するように、切替部材166(図7参照)が支軸部166Aを中心に回転する場合に、支持部166Dは、切欠部151Bを通過することで、第一排出流路151の内側と外側との間を移動できる構成となっている。切欠部161Bの上端部から分岐部153Bまでの距離は、遊技球50の直径よりも短い。
第一排出流路151は、切欠部151Bと第一排出口151Aとの間の壁部外側に、第一排出路通過スイッチ157を備える。第一排出路通過スイッチ157は、第一排出流路151を挟んで対向配置される発光器(図示外)及び受光器(図示外)を備える透過型センサであり、第一排出流路151を流下する遊技球50を検知する。
第二排出流路152は、受入流路153と内径が略等しい円筒状の流路であり、分岐部153Bから右方に向かって僅かに湾曲しながら下方に延びる。第二排出流路152の上端部は分岐部153Bと接続し、下端部にはケース156を貫通する第二排出口152Aが設けられる。第二排出口152Aは保留部159の内部と外部とを連通する。第二排出口152Aは、分岐部153Bと第二排出口152Aとの間の壁部の外側に第二排出路通過スイッチ158を備える。第二排出路通過スイッチ158は、第二排出流路152を挟んで対向配置される発光器(図示外)及び受光器(図示外)を備える透過型センサであり、第二排出流路152を流下する遊技球50を検知する。
第一排出流路151は、内部を流下する遊技球50を第一排出口151Aから案内路83(図4参照)へと排出し、第二排出流路152は第二排出口152Aから案内路84(図4参照)へと排出する。上述したように、案内路83は保留装置150から左側後方に延び、案内路84は保留装置150から右側前方に延びる(図4参照)。つまり、第一排出流路151と第二排出流路152は、受入流路153から流入する遊技球50を、互いに異なる方向に排出する構成となっている。これにより、保留装置150は、第一排出流路151から排出される遊技球50と、第二排出流路152から排出される遊技球50とを見分け易くできる。
図6、図7に示すように、保留解除機構160は、保留解除ソレノイド161と、上下方向に延びる支軸168と、支軸168を中心に回転可能な切替部材166とを備える。保留解除ソレノイド161は、本体部162と、本体部162の内部から右方に延びる円柱状のプランジャ163と、プランジャ163に設けられたコイルバネ164とから少なくとも構成される。
図7に示すように、本体部162は、上側が開口する箱状であり、巻回されたコイル(図示外)及び固定鉄芯(図示外)を内部に収容する。本体部162の右側壁162Aの略中央には貫通孔162Bが設けられる。プランジャ163の軸線は上下方向と直交するように左右方向に延びる。プランジャ163の先端部(本体部162から離間する方向の端部)に設けた当接部163Aと、右側壁162Aと当接部163Aの間に設けた固定部163Bとを備える。当接部163Aと固定部163Bは、プランジャ163よりも直径が大きな円板状の部材であり、プランジャ163に固定される。
プランジャ163は、貫通孔162Bに挿通されており、さらにコイルの内側に挿入される。当接部163A及び固定部163Bは、右側壁162Aよりも右側に配置される。当接部163Aと固定部163Bの間にあるプランジャ163の下端部には凸部165が設けられている。凸部165は、プランジャ163の軸線方向(左右方向)と直交するように下方に向かって突出する。弾性部材であるコイルバネ164は、右側壁162Aと固定部163Bによって軸線方向に圧縮された状態で、内側にプランジャ163が挿入される。つまり、プランジャ163は、コイルバネ164が固定部163Bを介して付与する弾性力によって右方向に付勢され、当接部163Aが図示外の壁部に当接する位置にて静止している。後述するように、コイル(図示外)に電流を流すことによって保留解除ソレノイド161をONにした場合、固定鉄芯(図示外)が磁性を帯びる。これにより、プランジャ163は、コイルバネ164の弾性力に抗って、固定鉄芯に当接する位置まで左方に移動可能な構成となっている。
支軸168は、保留解除ソレノイド161の右側後方に設けられる。切替部材166は、支軸168から切欠部151B(図3参照)を通過して第一排出流路151の内部まで延びる棒状の遊技部材である。後述するように、切替部材166は、第一排出流路151を閉塞する第一位置と、第一排出流路151を開放する第二位置との間を移動可能である。
切替部材166は、支軸168によって回転可能に支持される支軸部166Aと、一端部が支軸部166Aと接続し、支軸168の軸線と直交するように前方に延びる接続部166Bとを備える。接続部166Bの他端部(図7に示す前端部)には、第一排出流路151の内側を閉塞する支持部166Dが設けられる。
支軸部166Aは円筒状であり、自身の筒孔には支軸168が嵌合され固定される。これにより、支軸168の回転と共に、切替部材166は回転できる構成となっている。接続部166Bは、支軸168に対して直交する方向に沿って形成される溝部166Cを支軸部166Aと支持部166Dとの間に有する。溝部166Cは、平面視で前後方向を長手方向とする矩形状である。溝部166Cは上側が開口し、凸部165が嵌っている。
支持部166Dは第一排出流路151を流下する遊技球50を捕捉し、さらに下側から支持できる平板状の部材である。支持部166Dの上端面である支持面166Eは、正面視で、左斜め下に向かって傾斜しており、水平面に対して傾斜している(図5参照)。また、正面側からみた場合、支持面166Eの最下端から分岐部153Bまでの上下方向(第一排出流路151が延びる方向)における距離は、遊技球50の直径よりも小さい(図5参照)。
上述したように、保留解除ソレノイド161の当接部163Aはコイルバネ164の弾性力によって、図示外の壁部に当接している。凸部165と溝部166Cとが嵌り合うことで、切替部材166は、支持部166Dが第一排出流路151の内側を閉塞する位置で静止している(図6参照)。以下、支持部166Dが第一排出流路151を閉塞する切替部材166の位置を第一位置という。また、後述するように、プランジャ163が左方に固定鉄芯まで移動する場合、切替部材166は支持部166Dが第一排出流路151の左側まで回転移動する構成となっている(図13、図14参照)。以下、支持部166Dが第一排出流路151の左側まで回転移動した切替部材166の位置を第二位置という。
図8を参照して、パチンコ機1の電気的構成について説明する。パチンコ機1の制御部40は、主基板41、サブ制御基板58、演出制御基板43、払出制御基板45、および中継基板47を少なくとも備える。
主基板41は、パチンコ機1の主制御を司る。主基板41の主基板CPUユニット56には、各種の演算処理を行うCPU51と、データを一時的に記憶するRAM52と、制御プログラム等を記憶したROM53とが設けられている。主基板CPUユニット56には、割込信号発生回路57が接続されている。ROM53には、後述する保留状態解除処理をCPU51が実行するための制御プログラムが記憶されている。
主基板41は、割込信号発生回路57から割込信号が入力される毎にプログラムを実行する。主基板41には、I/Oインタフェイス54を介してサブ制御基板58、払出制御基板45、中継基板47、出力ポート55、第一始動口スイッチ31、第二始動口スイッチ32、タッチセンサ70、保留解除ソレノイド161、及び第二タイマ34が接続されている。出力ポート55は、図示外の遊技場管理用コンピュータにパチンコ機1の情報を出力する。第一始動口スイッチ31及び第二始動口スイッチ32は、それぞれ、第一始動口16及び第二始動口75に入賞した遊技球50を検知する。第二タイマ34は時間を計時する。
サブ制御基板58は、CPU581、RAM582、及びROM583を備える。サブ制御基板58には、演出制御基板43、スピーカ48、操作ボタン9、第一タイマ33、第三流路通過スイッチ67A、第一排出路通過スイッチ157、第二排出路通過スイッチ158、第一発光体70C、及び第二発光体154Aが接続している。サブ制御基板58は、主基板41から送信されるコマンドに従って、演出等の総合的な制御を行う。尚、ROM583には、後述する保留状態報知処理をCPU581が実行するための制御プログラムが記憶されている。第一タイマ33は時間を計時する。
演出制御基板43は、CPU43a等を備え、サブ制御基板58から受信するコマンドに従って画像表示装置28の表示動作を制御する。払出制御基板45は、主基板41から送信されるコマンドに応じて賞品球払出装置49の動作を制御し、所定数の遊技球50を払い出させる。
中継基板47には、普通図柄作動スイッチ98、第一大入賞口スイッチ96、第二大入賞口スイッチ97、第一大入賞口開閉ソレノイド91、第二大入賞口開閉ソレノイド92、及び表示部24が接続されている。普通図柄作動スイッチ98は、普通図柄始動ゲート12を通過した遊技球50を検出する。第一大入賞口スイッチ96、第二大入賞口スイッチ97は、それぞれ、第一大入賞口18、第二大入賞口19に入賞した遊技球50を検知する。第一大入賞口開閉ソレノイド91、第二大入賞口開閉ソレノイド92は、それぞれ、大当たり遊技中に第一大入賞口18、第二大入賞口19の開閉部材を開閉する。
電源基板42は、主基板41および発射装置37に接続されており、各基板および発射装置37に直流の安定化した電力を供給する。発射装置37は、一定間隔(本実施形態では0.6秒)毎に1球ずつ遊技球50を遊技領域4へ発射する。
図3、図4、図9を参照し、遊技球50がセンター役物60の内側領域を流下する態様を説明する。図3に示すように、飛込口80へと入球した遊技球50は、第一流路64を流下して、旋回部64Aに進入する。旋回部64Aに進入した遊技球50は、旋回部64Aの内壁面に沿って旋回し、その旋回力が弱まると旋回部64Aから落下する。
図3に示すように、振分部材100に遊技球50が供給されていない状態では、振分部材100は弾性部材(図示外)の弾性力によって上方位置に保持される。旋回部64Aから落下した遊技球50は、分岐部65に進入し、第二案内部104によって第一案内部103に案内される。
第一案内部103によって受けられた遊技球50の自重によって、振分部材100は弾性部材(図示外)の弾性力に抗って正面視で反時計周り方向に回転する。これにより、振分部材100は、上方位置から下方位置に変位する。図9に示すように、振分部材100が下方位置にある場合、クルーン101の排球口123は、第二流路66の直上に位置する。
振分部材100が上方位置から下方位置に変位するのに伴って、遊技球50は第一案内部103によって左下方向に案内され、クルーン101の内側に進入する。内側に進入した遊技球50は、内壁面沿って旋回し、その旋回力が弱まると排球口123から落下する。排球口123から落下した遊技球50は、排球口123の直下に位置する第二流路66に進入する。
図3に示すように、遊技球50が排球口123から落下すると、振分部材100は、再び遊技球50が供給されていない状態に戻る。振分部材100は、弾性部材(図示外)の弾性力によって、正面視で時計周り方向に回転する。これにより、振分部材100は、下方位置から上方位置に復帰する。
図4に示すように、第二流路66(図3参照)に進入した遊技球50は、排球口66Aから排出され、案内路82を経由して振分部81の内部に供給される。振分部81の内部に進入した遊技球50は、転動面81A上を平面視で時計回りに転動しながら周回し、チャンス穴211またはハズレ穴212に振り分けられる。
図9に示すように、振分部材100が下方位置にある場合、第二案内部104が旋回部64Aの直下に位置している。従って、クルーン101の内壁面に沿って遊技球50が旋回している時に、旋回部64Aから後続の遊技球50が落下する場合、後続の遊技球50は分岐部65に進入して第二案内部104によって第三流路67に案内される。第三流路67は遊技球50を保留装置150の受入流路153に案内する。
受入流路153の受入口153Aから進入した遊技球50のうちで、1球は保留装置150の保留部159に保留される(図5参照)。この結果、保留装置150は保留状態となる。保留状態にある保留装置150に進入する後続の遊技球50は、そのまま保留部159を通過し、第二排出口152Aから排出される。保留装置150は、保留状態になった場合には、その旨報知する。そして、タッチセンサ70に遊技者の手がかざされることを契機として、保留装置150は保留状態を解除し、保留されていた遊技球50を第一排出口151Aに排出する。この場合に、CPU581(図8参照)が実行する保留状態報知処理及びCPU51(図8参照)が実行する保留状態解除処理については後述する。
図4に示すように、保留部159(図3参照)で保留されず第二排出口152Aから排出される遊技球50は、案内路84を経由して振分部81の内部に供給される。案内路84から排出される遊技球50は、転動面81Aを平面視で時計回りに転動した後、回転する振分面210に向けて移動し、チャンス穴211またはハズレ穴212に進入する。
保留部159で保留された後に第一排出口151Aから排出される遊技球50は、案内路83を経由して振分部81の内部に供給される。案内路83から排出される遊技球50は、転動面81Aを平面視で反時計回りに転動した後、回転する振分面210に向けて移動し、チャンス穴211またはハズレ穴212に進入する。
第一排出口151Aと第二排出口152Aが排出する遊技球50は、それぞれ、転動面81A上で互いに反対方向に転動する。つまり、回転役物200は、第一排出口151Aから排出される遊技球50と、第二排出口152Aから排出される遊技球50とで、異なる演出を実行できる。これにより、センター役物60は、保留装置150が排出する遊技球50を用いた演出を多様化できる。また、第一排出口151A及び第二排出口152Aから排出される遊技球50は、ともに回転役物200へ向かって排出される。第一排出口151A及び第二排出口152Aが排出する遊技球50が同じ役物に向かって排出されることで、パチンコ機1は、センター役物60が実行する演出に多様性を持たせつつも、該演出を判り易くできる。
保留装置150の保留状態が解除されることで、遊技球50案内路84を経由して振分部81の内部に供給される。遊技者は、回転中の振分面210におけるチャンス穴211の位置を狙って、保留部159で保留されている遊技球50を自由なタイミングで振分部81に供給できる。従って、第一排出口151Aから排出される遊技球50が第一始動口16に入賞する確率は、第二排出口152Aから排出される遊技球50が第一始動口16に入賞する遊技球50の確率よりも高くなる。これにより、パチンコ機1は、遊技者が保留装置150に遊技球50を保留させてからタッチセンサ70を用いてチャンス穴211への入賞を狙う場合に、遊技者の遊技意欲を高めることができる。
次に、図5、図9〜図11を参照し、保留状態報知処理について説明する。保留状態報知処理は、パチンコ機1の電源がONになると、CPU581が実行する処理である。保留状態報知処理が実行されることで、遊技者は保留装置150が保留状態になったことを認識できる。
パチンコ機1の電源がONになった場合、保留解除ソレノイド161(図7参照)のコイル(図示外)にはまだ電流が流れておらず、切替部材166は第一位置に位置する(図5参照)。つまり、支持部166Dは、第一排出流路151を閉塞している。
図10に示すように、まずCPU581は、第三流路通過スイッチ67AがONになったか否か判断する(S11)。第三流路通過スイッチ67Aは、第三流路67を流下する遊技球50を検知した場合にONとなる。第三流路通過スイッチ67AがOFFの場合(S11:NO)、CPU581は処理をS11に戻す。例えば、振分部材100によって遊技球50が第三流路67に案内されない場合には、遊技球50は第三流路67を流下せず、第三流路通過スイッチ67Aは遊技球50を検知することはない(S11:NO)。
第三流路通過スイッチ67AがONになった場合(S11:YES)、CPU581は第一タイマ33に計時を開始させる(S13)。CPU581は、第一タイマ33が所定時間(例えば、3秒)を計時したか否かを判断する(S15)。第一タイマ33が所定時間を計時していないと判断された場合(S15:NO)、CPU581は第二排出路通過スイッチ158がONになったか否かを判断する(S17)。第二排出路通過スイッチ158は、第二排出流路152を流下する遊技球50を検知した場合にONとなる。第二排出路通過スイッチ158がONになっていないと判断された場合(S17:NO)、CPU581は処理をS15に戻す。第一タイマ33が所定時間を計時したと判断された場合(S15:YES)、CPU581は、保留装置150が保留状態になったと判断し、第一発光体70C及び第二発光体154Aを発光させる(S19)。
例えば、図9に示すように、振分部材100によって案内される遊技球50が第三流路67を流下する場合に、該遊技球50は、第三流路通過スイッチ67Aの、発光器(図示外)と受光器(図示外)との間を通過する。これにより、発光器が受光器に向けて発光する光を遊技球50は遮断し、第三流路通過スイッチ67AはONとなる(S11:YES)。
図5に示すように、保留部159に遊技球50が保留されていない場合、第三流路通過スイッチ67A(図3参照)を通過する遊技球50は、受入流路153から分岐部153Bを通過して第一排出流路151に進入する。遊技球50は、第三流路通過スイッチ67AがONになってから上述した所定時間(3秒)未満の時間内に支持部166Dと衝突する。その後、遊技球50は、支持面166Eによって下側から支持されることで捕捉され、保留部159内で保留される。これにより、保留装置150は保留状態となる。この時点で、第一タイマ33は、上述した所定時間(3秒)を計時しない(S15:NO)。また、捕捉された遊技球50は第二排出流路152を流下しないので、第二排出路通過スイッチ158は遊技球50を検知することはない(S17:NO)。その後、第一タイマ33が上述した所定時間(3秒)を計時した場合(S15:YES)、第一発光体70Cが点滅し、第二発光体154Aは点灯する(S19)。これにより、パチンコ機1は、保留装置150の保留部159に遊技球50が保留されたことを遊技者に容易に報知できる。
また、第一発光体70Cが点滅することで、遊技者は、保留装置150の保留状態を解除するために、センター役物60の左側上部にあるタッチセンサ70に手をかざす必要があることを容易に認識できる。
尚、支持面166Eは、左斜め下に向かって傾斜している。従って、支持面166Eに支持される遊技球50は、第一排出流路151の左側の壁部に内側から当接する。
図10に示すように、第二排出路通過スイッチ158がONになった場合(S17:YES)、CPU581は、処理を終了させる。例えば、図11に示すように、保留状態になっている保留装置150に、後続の遊技球50が受入流路153から進入する場合、遊技球50は、支持面166E上にある遊技球50と衝突する。上述したように、支持面166Eの最下端から分岐部153Bまでの上下方向の距離は遊技球50の直径未満である。従って、衝突した後続の遊技球50は、分岐部153Bから第二排出流路152へと流下する。第二排出流路152を流下する遊技球50は、第二排出路通過スイッチ158の、発光器(図示外)と受光器(図示外)との間を通過する。これにより、発光器が受光器に向けて発光する光を遊技球50は遮断し、第二排出路通過スイッチ158はONとなる(S17:YES)。第二排出路通過スイッチ158を通過した遊技球50は、第二排出口152Aから案内路84(図4参照)へと排出される。
図10に示すように、CPU581は、第一排出路通過スイッチ157がONになったか否かを判断する(S20)。第一排出路通過スイッチ157は、切欠部151Bから下側の第一排出流路151を流下する遊技球50を検知することでONになる。第一排出路通過スイッチ157がONにならない場合(S20:NO)、CPU581は処理をS20に戻す。例えば、後述するように、遊技者がタッチセンサ70に手をかざさない場合には、切替部材166は第一位置に位置するままであり、遊技球50は第一排出流路151内で捕捉されたままである。この場合、遊技球は切欠部151Bから下側の第一排出流路151を流下することはなく、第一排出路通過スイッチ157はONにならない(S20:NO)。
第一排出路通過スイッチ157がONになったと判断された場合(S20:YES)、CPU581は、第一発光体70C及び第二発光体154Aを消灯させ(S21)、第一タイマ33をリセットさせた後(S22)、処理を終了させる。
例えば、後述するように、保留状態解除処理においてタッチセンサ70に遊技者が手をかざした場合、切替部材166が第二位置に移動し、第一排出流路151内で捕捉されていた遊技球50は、再び第一排出流路151を流下する。これにより、遊技球50は、第一排出路通過スイッチ157の発光器(図示外)と受光器(図示外)との間を通過する。これにより、発光器が受光器に向けて発光する光を遊技球50は遮断し、第一排出路通過スイッチ157はONとなる(S20:YES)。この場合、CPU581は、保留部159で遊技球50が保留されなくなったと判断し、第一発光体70C及び第二発光体154Aを消灯させる(S22)。これにより、遊技者は保留装置150の保留状態が解除されたことを認識する。遊技者は、保留装置150に遊技球50を再び保留させるために、飛込口80への入球を目指してパチンコ機1の操作を行う。
次に、図5〜図7、図11〜図13、及び図14を参照し、保留状態解除処理について説明する。保留状態解除処理は、パチンコ機1の電源がONになると、CPU51が実行する処理である。保留状態解除処理が実行されることで、保留装置150(図3参照)の保留状態は解除され、保留部159に保留されていた遊技球50は、第一排出口151Aから排出される。
図12に示すように、まずCPU51は、タッチセンサ70がONになったか否かを判断する(S23)。タッチセンサ70は、遊技者が検知部70Aの前方に手をかざすことでONとなる。タッチセンサ70がONになっていないと判断された場合(S23:NO)、CPU51は、処理を23に戻す。
例えば、上述した保留状態報知処理において、保留装置150が保留状態となった場合、第一発光体70Cと第二発光体154Aは発光する(図10、S19)。この場合であっても、振分面210の回転に伴ってチャンス穴211が、遊技者の所望する位置まで回転移動していない場合、遊技者は保留装置150の保留状態を維持させ、タッチセンサ70に手をかざさない(S23:NO)。
タッチセンサ70がONになった場合(S23:YES)、CPU51は保留解除ソレノイド161をONにする(S25)。保留解除ソレノイド161は、CPU51が本体部162(図7参照)に収容されるコイル(図示外)に電流を流すことでONになる。
例えば、振分面210の回転に伴ってチャンス穴211が遊技者の所望する位置まで回転移動した場合、右手で発射ハンドル11を操作している遊技者は、遊技盤2の前方よりタッチセンサ70に左手をかざす(S23:YES)。この場合、保留解除ソレノイド161のコイルに電流が流れ(S25)、固定鉄芯(図示外)は励磁される。励磁された固定鉄芯はプランジャ163を吸引する。タッチセンサ70に手をかざす場合、遊技者は、例えば第二流路66を流下する遊技球50等、遊技盤2の遊技領域4を流下する遊技球50の近傍まで手を伸ばすので、新たな操作感覚を覚えることができる。
図13、図14に示すように、保留解除ソレノイド161がONなるとプランジャ163は、コイルバネ164の弾性力に抗って、軸線方向に沿って左方に移動し、固定鉄芯(図示外)に当接する。プランジャ163の移動に伴って、溝部166Cに嵌った凸部165(図7参照)は、プランジャ163の移動方向(左方向)に向かう力を切替部材166に付与する。この場合、切替部材166は、溝部166C内における凸部165との接触部分を溝部166Cに沿って移動させる。これにより、切替部材166は、凸部165から付与される力を回転モーメントに変換し、支軸168を中心に平面視で反時計方向に回転する。これにより、第一位置にあった支持部166Dは、切欠部151B(図5参照)を通過して第二位置まで回転移動する。この結果、図14に示すように、支持面166Eによって支持されていた遊技球50は、再び第一排出流路151を流下する。
図7、図13に示すように、支持部166Dは、溝部166C及び凸部165よりも支軸168から離間している。従って、保留解除ソレノイド161がプランジャ163を吸引する場合、凸部165の移動量は支持部166Dの支軸168を中心とした回転移動量よりも小さい。従って、パチンコ機1は、プランジャ163の左右方向の移動量(ストローク量)を低減できるので、保留解除ソレノイド161を小型化できる。
図12に示すように、CPU51は、第二タイマ34の計時を開始させる(S28)。CPU51は、第二タイマ34が所定時間(例えば、1秒)を計時したか否かを判断する(S30)。第二タイマ34が所定時間を計時していないと判断した場合(S30:NO)、CPU51は処理をS30に戻す。例えば、図14に示すように、保留解除ソレノイド161(図13参照)がONになった直後においては、第一排出流路151内で捕捉されていた遊技球50は、支持部166Dよりも下側に移動しない。この時、第二タイマ34は上述した所定時間(1秒)を計時しない(S30:NO)。
図12を示すように、第二タイマ34が所定時間を計時したと判断された場合(S30:YES)、CPU51は、保留解除ソレノイド161のコイルに電流を流すのをやめ、保留解除ソレノイド161をOFFにし(S32)、第二タイマ34をリセットさせた後(S34)、処理を終了させる。
例えば、図14に示すように、第一排出流路151内で捕捉されていた遊技球50が支持部166Dよりも下側にある第一排出路通過スイッチ157を通過した後、第一排出口151Aから案内路84(図9参照)へ排出されると、第二タイマ34は上述した所定時間(1秒)を計時する(S30:YES)。CPU51は、保留部159で遊技球50が保留されなくなり、保留装置150の保留状態が解除されたと判断し、保留解除ソレノイド161をOFFする(S32)。これにより、図5、図6に示すように、プランジャ163は、コイルバネ164の弾性力によって、当接部163Aが壁部(図示外)に当接するまで、右方に移動する。これにより、切替部材166は、支軸168を中心に、第二位置から第一位置へと回転移動する。この結果、支持部166Dは再び第一排出流路151を閉塞し、保留装置150は再び受入流路153から進入する遊技球50を保留可能な状態となる。
以上、説明したように、本実施形態によれば、保留装置150の保留部159に保留される遊技球50は、遊技者がタッチセンサ70に左手をかざすことを契機に、第一排出口151Aから排出される。遊技者は、タッチセンサに左手をかざす場合、遊技盤2上の遊技領域の前方から左手をかざす。これにより、遊技者は、例えば第二流路66を流下する遊技球50等、遊技盤2の遊技領域4を流下する遊技球50の近傍まで手を伸ばすので、新たな操作感覚を覚えることができる。従って、パチンコ機1は、保留装置150を備え、且つ新たな操作性を有することができる。
また、パチンコ機1は、保留部159に遊技球50が保留されたと判断された場合に(S11〜S17)、タッチセンサ70に設けた第一発光体70Cを、遊技盤2の正面側に向かって発光(点滅)させる(S19)。パチンコ機1は、タッチセンサ70に手をかざすことを遊技者に促すことができる。従って、パチンコ機1は、保留装置150を用いた演出に遊技性を持たせることができる。
また、パチンコ機1は、保留部159に遊技球50が保留されたと判断された場合に(S11〜S17)、保留装置150の第二発光体154Aを、遊技盤2の正面側に向かって発光(点灯)させる(S19)。パチンコ機1は、タッチセンサ70に手をかざすことを遊技者に促すことができる。従って、パチンコ機1は、保留装置150を用いた演出に更なる遊技性を持たせることができる。
また、保留装置150及びタッチセンサ70は、センター役物60に取り付けられている。パチンコ機1の組立時において、センター役物60に保留装置150及びタッチセンサ70を予め取り付けておくことができる。すなわち、センター役物60、保留装置150及びタッチセンサ70を個別にパチンコ機1に取り付ける必要がない。従って、パチンコ機1は組立性を向上できる。
また、タッチセンサ70は、センター役物60の左側上部に取り付けられている。右手で発射ハンドル11を操作する遊技者にとって、タッチセンサ70がセンター役物60の左側にあることで、左手をタッチセンサ70にかざし易くなる。つまり、遊技者は、発射ハンドル11を用いて遊技球50の発射を調整する操作と、タッチセンサ70を用いて保留部159から遊技球50を排出する操作とを同時にできる。従って、パチンコ機1は操作性を向上できる。また、タッチセンサ70がセンター役物60の上部にあることで、遊技者がタッチセンサ70にかざす左手を、ホールのスタッフは視認し易い。従って、タッチセンサ70がセンター役物60の下部にある場合に比較して、ホールのスタッフは、遊技者がタッチセンサ70に手をかざす行為を、ブドウ玉ゴト等の不正行為と誤認しにくくなる。故に、パチンコ機1は快適な遊技環境を提供できる。
また、保留装置150は、遊技球50を1球だけ保留部159に保留可能である。遊技者が、右手でパチンコ機1の発射ハンドル11を操作しながら、左手でホールのスタッフを呼ぶ場合等、誤ってタッチセンサ70に手をかざして、保留装置150から遊技球50を排出してしまう場合がある。この場合であっても、排出される遊技球50は1球だけである。従って、パチンコ機1は、誤操作を行った遊技者が感じる喪失感を抑制できる。
また、保留部159で保留された後に第一排出口151Aから排出される遊技球50と、保留されずに第二排出口152Aから排出される遊技球50は、共にセンター役物60の下部に取り付けられた回転役物200に向かう。これにより、パチンコ機1はセンター役物60が実行する演出に多様性を持たせつつも、該演出を判り易くできる。
また、第一排出流路151が遊技球50を第一排出口151Aから排出する方向と、第二排出流路152が遊技球50を第二排出口152Aから排出する方向は、互いに異なる方向である。従って、パチンコ機1は、保留部159で保留された後に排出される遊技球50と、保留されずに排出される遊技球50との見分けをつき易くできる。
また、第一位置にある支持面166Eは、左側後方に向かって傾斜している。保留部159で保留される遊技球50は、第一排出流路151の左側壁部に内側から接触する。遊技球50は、左側壁部と支持面166Eとによって支持される。これにより、保留される遊技球50の自重によって支持面166Eに加わる荷重は分散される。すなわち遊技球50によって支持面166Eに加わる荷重を低減できる。従って、遊技機は、第一位置での遊技球50の保留を安定化できる。
また、保留解除ソレノイド161がプランジャ163を固定鉄芯(図示外)に向けて軸線方向に移動させると、溝部166Cに嵌った凸部165も軸線方向に移動し、切替部材166は支軸168を中心に回転する。これにより、切替部材166は第一位置から第二位置に移動する。すなわち、プランジャ163に凸部165を設け、凸部165と嵌る溝部166Cを切替部材166に設け、切替部材166を支軸168に支持させるだけで、切替部材166は第一位置と第二位置との間を移動できる。従って、パチンコ機1は、切替部材166を移動させる保留解除機構160を簡易化できる。
上記実施形態において、第三流路通過スイッチ67Aが本発明の「保留球検知センサ」に相当し、パチンコ機1が本発明の「遊技機」に相当し、回転役物200が本発明の「センター役物に取り付けられた役物」に相当し、保留解除ソレノイド161が本発明の「ソレノイド」に相当する。
また、S11〜S17を実行するCPU581が本発明の「第一判断手段」に相当し、
S23を実行するCPU51が本発明の「第二判断手段」に相当する。
本発明は、以上詳述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることは勿論である。
例えば、上記実施形態では、タッチセンサ70は、表面型の静電容量方式を採用した非接触型のタッチセンサである。これに代えて、投影型の静電容量方式の非接触型のタッチセンサであってもよいし、光学方式又は赤外線方式等を採用した非接触型のタッチセンサであってもよい。この場合であっても、タッチセンサ70は、前面枠13に保持されるガラス板の前方からかざされる遊技者の手を被検知物として検知する。
また、上記実施形態では、第三流路通過スイッチ67AがONになって所定時間以上、第二排出路通過スイッチ158がOFFの場合に、保留部159に遊技球50が保留されたと判断される(S11〜17)。これに代えて、第一排出流路151のうち、切欠部151Bよりも僅かに上側の外周壁に、透過型センサを設けてもよい。この場合、所定時間以上ONの状態が続くことで、保留部159に遊技球50が保留されたと判断できる。
また、上記実施形態では、保留装置150は、表示用開口60Aの右側において第三流路67と接続する。これに代えて、表示用開口60Aの左側において、第二流路66の途中に保留装置150を設けてもよい。この場合であっても、保留装置150は、第二流路66を流下する遊技球50のうち、1球だけ保留部159内に保留し、他の遊技球50を排球口66Aに向けて排出できる。
また、上記実施形態では、第一排出口151Aは遊技球50を保留装置150から左側後方に排出し、第二排出口152Aは遊技球50を保留装置150から左側前方に排出する。これに代えて、図15に示すように、第一排出口151Aは遊技球50を保留装置150の左方に排出する一方、第二排出口152Aは遊技球50を下方に排出してもよい。この場合であっても、第一排出流路151及び前記第二排出流路152は、受入流路153に案内される遊技球50を、互いに異なる方向に排出できる。
また、上記実施形態では、第一位置にある支持面166Eは、左側下方に向かって傾斜している。これに代えて、支持面166Eが、右側下方、前側下方、又は後側下方に傾斜していてもよい。この場合であっても、第一位置にある切替部材166の支持面166Eが支持する遊技球50は、第一排出流路151の壁部に内側から接触できる。
また、上記実施形態では、溝部166Cは上側に向かって開口する。これに代えて、溝部166Cが下方に開口していてもよい。この場合、凸部165はプランジャ163から上方に突出することで、溝部166Cと嵌り合うことができる。
また、上記実施形態では、支軸部166Aと支持部166Dとの間で、平面視で矩形状の溝部166Cが設けられている。これに代えて、図16示すように、溝部166Cは、支軸部166Aの右側において支軸168と直交し且つ左方に湾曲する形状であってもよい。この場合であっても、第一位置にある支持部166Dが、第一排出流路151の後方にあるのであれば、プランジャ163が固定鉄芯に向かって矢印A方向に吸引された場合、支持部166Dは平面視で時計回り(矢印B方向)に回転する。これにより、支持部166Dは第二位置へ移動し、第一排出流路151を閉塞できる。
また、請求項、明細書および図面に記載される全ての要素は、明確に個数を限定する記載がない限り、単一であっても、複数であっても構わない。また、それらの要素を各々別体で構成するか、適宜一体的に構成するかは当業者であれば容易に考えられる事項であるため、そのレベルでの構成上の違いは、実施例に一方しか記載がないからといって、他方を採用することのみでは、本発明、或いは権利を回避したことにはならない。