JP6304208B2 - 絶縁被膜付き電磁鋼板、積層電磁鋼板、及びそれらの製造方法 - Google Patents

絶縁被膜付き電磁鋼板、積層電磁鋼板、及びそれらの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、熱伝導性特に抜熱性に優れ、歪取焼鈍等の焼鈍処理により更に抜熱性を向上可能な絶縁被膜付き電磁鋼板および積層電磁鋼板ならびにそれらの製造方法に関する。
モーターや変圧器等に使用される電磁鋼板の絶縁被膜には、層間抵抗だけでなく、加工成形時の利便性および保管、使用時の安定性など種々の特性が要求される。電磁鋼板は多様な用途に使用されるため、その用途に応じて種々の絶縁被膜の開発が行われている。
電磁鋼板に打抜加工、せん断加工、曲げ加工などを施すと残留歪みにより磁気特性が劣化するので、これを解消するために700〜800℃程度の温度で歪取焼純を行う場合が多い。従って、この場合には、絶縁被膜が歪取焼鈍に耐え得るものでなければならない。
一方、省エネルギーのためモーター、トランスなどの高効率化、小型化の要求が強く、発熱による巻き線の絶縁体の損傷、故障、性能劣化が懸念され、熱伝導性、特に積層方向の熱伝導性の優れる電磁鋼板の積層コアが求められている。鋼板の積層方向の熱伝導性を高くすることにより、鋼板同士を接着させたときの抜熱性を向上させることができる。
特許文献1には、特殊組成のクロム酸塩からなる絶縁被膜を持つ電磁鋼板が開示されている。
また、特許文献2には、加熱により接着能を発揮する皮膜が施された電磁鋼板を積層し、加熱接着して、コア積層方向の熱伝導率が電磁鋼板のそれの1/5以上である積層コアが開示されている。
特許文献3には、電磁鋼板間に平均厚さ4μm以下の接着性有機物層を有し、該層に無機物粒子を含む積層鉄心が開示されている。
特許文献4には、電磁鋼板間に空気より熱伝導率の大きい絶縁性物質(オイルなど)が充填されているステーターコアが開示されている。
特許文献5には、リン酸金属塩及び樹脂、または、コロイダルシリカ及び樹脂に平均粒径が2.0〜15.0μmのシリコーン樹脂を分散させた絶縁被膜を有する電磁鋼板が開示されている。
特許第4608600号公報 特開平11−150895公報 特開2004−88970公報 特開2007−104878公報 特許第5423465号公報
電磁鋼板はせん断などの加工を受けてから使用されるが、加工歪みにより磁気特性が劣化する。これに対し、歪取焼鈍を施すことにより、磁気特性を回復できることが一般的に知られている。
しかしながら、特許文献1に開示の電磁鋼板ではクロム酸を使用することによる環境負荷の課題があり、他の材料を用いることが求められている。特許文献2、3に開示される被膜は、樹脂バインダーを含有し低温成膜性および低温接着性を改良している。しかし、耐熱性に課題があり、歪取焼鈍などの高温処理後は被膜が劣化する。また、特許文献2については、接着皮膜としては、アクリル系樹脂やエポキシ系樹脂などを含むもの、熱伝導を促進する金属、石英、炭素等を含むものが例示されているのみで具体的な処方の開示がなされていない。また、特許文献4については、電磁鋼板の絶縁被膜の焼鈍に対する開示はなく、電磁鋼板の歪取焼鈍後に絶縁被膜の十分な密着性および抜熱性が得られない。また、特許文献5は層間を充填する絶縁被膜がシリコーン樹脂を含有するため、歪取焼鈍後に十分な密着性および抜熱性が得られない。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、歪取焼鈍を行っていない場合のみならず、歪取焼鈍を行っても密着性および抜熱性に優れる絶縁被膜付き電磁鋼板およびこれを用いた積層電磁鋼板ならびにそれらの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ね、以下を知見した。
絶縁被膜に含有する粒子としてAlN、BN、Al、MgOなどの高熱伝導性物質を有機樹脂に分散させた場合、高熱伝導性物質の熱伝導性が抜熱性向上にほとんど寄与しないばかりではなく、歪取焼鈍を施すと有機樹脂が熱分解するため、被膜密着性が劣化する。これに対し、低融点ガラス、および/または、水ガラスをバインダーとして上記粒子を特定比率分散させた場合には絶縁被膜が歪取焼鈍に耐えるばかりではなく、抜熱性が格段に向上することを見出した。さらに、上記絶縁被膜を歪取焼鈍時に密着させることにより、抜熱性が更に向上することを見出した。上記絶縁被膜は電磁鋼板に良好に密着するため、積層コアの作製のみならず、巻きコアの作製にも有効に利用できる。また、低融点ガラス、および/または、水ガラスをバインダーとして上記粒子を特定比率で分散させた場合には、一定の範囲内で絶縁被膜に有機樹脂を含有できる。
本発明は上記知見に基づくものであり、特徴は以下の通りである。
[1]AlN、BN、AlおよびMgOから選ばれる1種または2種以上の粒子を20〜80質量%、低融点ガラスおよび/または水ガラス由来物を20〜80質量%、を含有する絶縁被膜を少なくとも片面に有することを特徴とする絶縁被膜付き電磁鋼板。
[2]前記AlN、BN、AlおよびMgOから選ばれる1種または2種以上の粒子の平均粒子径が、0.1μm以上10μm以下であることを特徴とする前記[1]に記載の絶縁被膜付き電磁鋼板。
[3]前記絶縁被膜は、有機樹脂を15質量%以下含有することを特徴とする前記[1]又は前記[2]に記載の絶縁被膜付き電磁鋼板。
[4]前記[1]〜[3]のいずれかに記載の絶縁被膜付き電磁鋼板を、前記絶縁被膜を介して2枚以上積層されていることを特徴とする積層電磁鋼板。
[5]前記[1]又は[2]に記載の絶縁被膜付き電磁鋼板の製造方法であって、
AlN、BN、AlおよびMgOから選ばれる1種または2種以上の粒子と、低融点ガラスおよび/または水ガラスと、を含有する処理液を電磁鋼板の少なくとも片面に塗布し、焼付け処理により絶縁被膜を形成することを特徴とする絶縁被膜付き電磁鋼板の製造方法。
[6]前記[3]に記載の絶縁被膜付き電磁鋼板の製造方法であって、
AlN、BN、AlおよびMgOから選ばれる1種または2種以上の粒子と、低融点ガラスおよび/または水ガラスと、有機樹脂と、を含有する処理液を電磁鋼板の少なくとも片面に塗布し、焼付け処理により絶縁被膜を形成することを特徴とする絶縁被膜付き電磁鋼板の製造方法。
[7]前記[1]〜[3]のいずれかに記載の絶縁被膜付電磁鋼板を、前記絶縁被膜を介して2枚以上積層することを特徴とする積層電磁鋼板の製造方法。
[8]積層後、歪取焼鈍することを特徴とする前記[7]に記載の積層電磁鋼板の製造方法。
本発明によれば、歪取焼鈍を行っていない場合のみならず、歪取焼鈍を行っても密着性および抜熱性に優れる絶縁被膜付き電磁鋼板およびこれを用いた積層電磁鋼板を得ることができる。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明において、素材である電磁鋼板としては、特に制限はなく、従来から公知のものいずれもが適合する。磁束密度の高いいわゆる軟鉄板(電気鉄板)やSPCC等の一般冷延鋼板、また比抵抗を上げるためにSiやAlを含有させた無方向性電磁鋼板、方向性電磁鋼板など、いずれも用いることができる。
本発明の絶縁被膜は、AlN、BN、AlおよびMgOから選ばれる1種または2種以上の粒子を20〜80質量%含有する。絶縁被膜における該粒子の含有量が20質量%未満では抜熱性が不十分となる。絶縁被膜における該粒子の含有量は30質量%以上が好ましい。一方、絶縁被膜における前記粒子の含有量が80質量%超では密着性が不十分となる。絶縁被膜における該粒子の含有量は70質量%以下が好ましい。
AlN、BN、Al、およびMgOから選ばれる1種または2種以上の粒子の平均粒子径
積層状態において絶縁被膜と電磁鋼板が十分に接触し、かつ密着性を高めるために、粒子の平均粒子径を規定することが好ましい。粒子の平均粒子径は、0.1μm以上10μm以下であることが好ましい。粒子の平均粒子径を0.1μm以上とすることで、本発明の効果がより一層向上する。これは積層接着した場合に粒子同士が繋がりやすくなり、特に接着した場合の鋼板間距離が小さい場合には有効である。粒子の平均粒子径は、好ましくは0.7μm以上である。一方、粒子の平均粒子径が10μm以下であれば、積層電磁鋼板の占積率の低下を抑えることができる。好ましくは、粒子の平均粒子径は5.0μm以下である。
平均粒子径は、原料としての粒子の粒子径で代表できる。原料粒子の粒子径はレーザー回折法を用いた粒度分布測定から得ることができる。もしくは、絶縁被膜中の粒子径は埋込研磨断面観察において、存在している粒子の粒子径を10ヵ所以上測定し、その平均値とする。断面での形態は丸、楕円、多角形など様々なものがありうるが、粒子径としては面積から計算により円形に換算した直径とする。
本発明の絶縁被膜は低融点ガラスおよび/または水ガラス由来物を20〜80質量%含有する。低融点ガラスおよび/または水ガラス由来物の含有量が20質量%未満では密着性が不十分である。好ましくは、低融点ガラスおよび/または水ガラス由来物の含有量は30質量%以上である。一方、低融点ガラスおよび/または水ガラス由来物の含有量が80質量%超では抜熱性が不十分である。好ましくは、低融点ガラスおよび/または水ガラス由来物の含有量は70質量%以下である。
次に、低融点ガラスについて説明する。
本発明において、低融点ガラスとは融点または軟化点が700℃以下のガラスである。このように、低融点ガラスの融点または軟化点は鉄芯が使用される温度より高く、歪取焼鈍温度より低い温度である。このため、通常の鉄芯を取扱う環境では溶融または軟化することがなく問題なく使用でき、歪取焼鈍により溶融または軟化して接着できる効果を有することになる。なお、低融点ガラスの融点または軟化点は、コアとしての実使用における温度上昇を考慮すると200℃以上であることが好ましい。本発明の絶縁被膜は、密着性を発現させるために、Na、Kから選ばれる1種または2種と、Si、Bを含有する低融点ガラスが好ましく適用できる。低融点ガラスの組成としては、R:アルカリ金属として、SiO−B−RO系、P−RO系、SiO−PbO−B系、B−Bi系、SiO−B−ZnO系、SnO−P系、SiO−B−ZrO系などが上げられ、これらのうちから選ばれる1種または2種以上を含有することができる。中でも、SiO−B−RO系が鉛を含まないため好適に用いられる。
次に、水ガラス由来物について説明する。
本発明において、水ガラス由来物とは絶縁被膜の原料である水ガラスが絶縁被膜形成における焼付け処理を経たものである。本発明では、常温で塗装でき平滑面が得られやすい点から、絶縁被膜の原料として、Na、Kから選ばれる1種または2種とSiを含有する水ガラスを用いることが好ましい。水ガラスとしては、水溶性アルカリ金属塩の水溶液、例えば、珪酸ソーダ、珪酸カリウムなどが挙げられる。前述の通り、水ガラスは、絶縁被膜形成における焼付け処理により水ガラス由来物となるものであり、水ガラス由来物もNa、Kから選ばれる1種または2種とSiを含有することが好ましい。
本発明において、低融点ガラス、水ガラス由来物とAlN、BN、AlおよびMgOから選ばれる1種または2種以上の粒子を含有した場合に、優れた抜熱性が発揮される理由は次のように推定される。AlN、BN、Al、MgOは熱伝導性の優れた物質であるが、粒子状であるため、伝熱経路が形成されにくい。粒子を固めるために有機樹脂を使用した場合には、断熱材で上記粒子を囲むことになるため、伝熱経路が遮断されることとなる。これに対し、本発明のように低融点ガラス、水ガラス由来物をマトリックスにした場合には、有機樹脂よりも熱伝導性の優れるものが上記粒子を囲むため、抜熱性が向上する。更に、歪取焼鈍によりマトリックスが溶融固着することにより、隙間が減少し、抜熱性が向上する。
なお、絶縁被膜に含まれる上記成分及び比率は塗液調合時の調合比率から知ることができる。また、絶縁被膜付き電磁鋼板を20質量%NaOH水溶液中で絶縁被膜を加熱溶解し、溶解液中の各成分をICP分析することで測定できる。積層電磁鋼板については層間の分析が難しい場合があるが、最外層の絶縁被膜の分析で層間の絶縁被膜組成を代表することができる。
絶縁被膜は、有機樹脂を15質量%以下含むことが好ましい。
絶縁被膜中に一定量の範囲内で有機樹脂を含有させることにより、さらに打抜性などの絶縁被膜性能を向上させることができる。本発明において、有機樹脂は特に制限はなく、従来から使用されている公知のものいずれもが有利に適合する。例えば、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、ポリオレフイン樹脂、スチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂等の水性樹脂(エマルジョン、ディスパーション、水溶性)が挙げられる。特に好ましくはアクリル樹脂やエチレンアクリル酸樹脂のエマルジョンである。
かかる有機樹脂は、耐食性、耐キズ性および打抜性の改善に有効に寄与する。該効果を得る観点から、乾燥被膜中における有機樹脂の含有量は2質量%以上が好ましい。また、乾燥被膜中15質量%以下であれば焼鈍時の残留物による密着性の劣化がない。このため、有機樹脂を含有する場合は上限を15質量%とする。
なお、乾燥被膜中の比率とは、鋼板の表面に形成した絶縁被膜における各成分(固形分)の割合であり、例えば、絶縁被膜を形成するための処理液を180℃で30分乾燥させた後の乾燥後残存成分から求めることができる。
さらに、本発明では、上記した成分の他、界面活性剤や防錆剤、潤滑剤、酸化防止剤等、通常用いられる添加剤や、その他の無機化合物や有機化合物の含有を妨げるものではない。有機化合物としては無機成分と有機樹脂との接触抑制剤として有機酸を含有してもよい。有機酸としてはアクリル酸を含有する重合体または共重合体などが例示される。
また、本発明では、上記した成分の他、さらにAl、Ca、Li、F、P、Zn、V、Te、Ge、Ag、Tl、S、I、Br、As、Bi、Cd、Pbの各化合物、顔料などの無機化合物や防錆剤、界面活性剤などを1種または/及び2種以上添加することができる。このような添加剤は本発明の効果を損なわない程度に添加できるが、絶縁被膜中30質量%以下とすることが好ましく、20質量%以下とすることがより好ましい。また、添加は可能であるが、As、Bi、Cd、Pbについては添加しないことが環境上好ましい場合がある。
本発明の積層電磁鋼板は、上記絶縁被膜付き電磁鋼板を、前記絶縁被膜を介して、2枚以上を積層し一体化した積層電磁鋼板である。その製造方法は特に限定されないが、後述の方法により積層電磁鋼板を製造することが好ましい。
次に、好ましい、本発明の絶縁被膜付き電磁鋼板の製造方法(電磁鋼板への絶縁被膜の形成方法)及び積層電磁鋼板の製造方法について説明する。
本発明では、素材である電磁鋼板の前処理については特に規定しない。すなわち、素材である電磁鋼板は未処理でもよい。また、アルカリ液などを用いた脱脂処理、塩酸、硫酸、リン酸などを用いた酸洗処理を素材である電磁鋼板に施すことは好ましい。
そして、この電磁鋼板の表面に、AlN、BN、AlおよびMgOから選ばれる1種または2種以上の粒子、水ガラス、低融点ガラス、さらには有機樹脂や、必要に応じて添加剤等を所定の割合で配合した処理液を塗布し、焼き付けることにより本発明の絶縁被膜を形成させる。処理液における固形分(絶縁被膜形成成分)の濃度は特に定めないが、10〜500g/lが好ましい。処理液の作製方法は特に限定されず、固形分を水、溶媒等の媒体中に含有させて処理液を調製すればよい。
絶縁被膜形成用処理液の塗布方法は特に限定されず、一般工業的に用いられるロールコーター、フローコーター、スプレー、ナイフコーター等種々の方法が適用可能である。また、焼付け処理についても、通常実施されるような熱風式、赤外式、誘導加熱式等が可能である。焼付け温度も通常レベルであればよく、到達鋼板温度で150〜350℃程度であればよい。
さらに、上記絶縁被膜を介して、電磁鋼板を2枚以上積層し一体化することで積層電磁鋼板を得ることができる。すなわち、絶縁被膜付き電磁鋼板の絶縁被膜を介して電磁鋼板を重ね合わせて、好ましくは加熱加圧して積層電磁鋼板とする。その表面に更に絶縁被膜塗装を施してもよい。加熱温度(歪取焼鈍温度)は通常行われる範囲、例えば雰囲気温度で700〜900℃で行うことができる。また、加圧は通常行われる範囲、例えば圧力0.001〜10MPa、0.1〜10時間で行うことができる。このような積層電磁鋼板とすることで、板厚が0.30mm以下の薄鋼板であっても、形状保持性が向上してハンドリング性が向上するばかりでなく、打抜回数が減り生産性を大幅に向上できる。また、積層後自重または上記した加圧条件下で歪取焼鈍して固着させて鉄芯(コア)とすることができるので、単板と同様に磁気特性を大幅に回復することができる。本発明の積層電磁鋼板の用途としては、積みコア、巻きコア、磁気シールド材等を例示できる。本発明の積層電磁鋼板の用途としては、好ましくは、積みコア、巻きコアである。
以上のとおり、積層電磁鋼板において、層間の絶縁被膜は本発明のものを好適に使用することができる。
また、本発明の絶縁被膜付き電磁鋼板は、歪取焼鈍を施して、例えば、打抜加工による歪みを除去することができる。好ましい歪取焼鈍雰囲気としては、N2雰囲気、DXガス雰囲気などの鉄が酸化されにくい雰囲気が適用される。ここで、露点を高く、例えばDp:5〜60℃程度に設定し、表面および切断端面を若干酸化させることで耐食性をさらに向上させることができる。好ましい歪取焼鈍温度としては雰囲気温度で700〜900℃、より好ましくは700〜800℃である。歪取焼鈍温度の保持時間は長い方が好ましく、1時間以上がより好ましい。
絶縁被膜は電磁鋼板両面にあることが好ましい。しかし、目的によっては片面のみでも構わない。また、目的によっては片面のみ施し、他面は上記本発明の絶縁被膜でない他の絶縁被膜としても構わない。さらに、積層電磁鋼板の場合、絶縁被膜は積層電磁鋼板の最外の電磁鋼板の片側または両側にあることが好ましい。
本発明の絶縁被膜付き電磁鋼板の絶縁被膜の厚みは特に定めないが、平均で0.1μm以上50μm以下が好ましい。更に好ましくは平均で1μm以上25μm以下である。0.1μm以上であれば接着性が低下することがなく、十分なコア固着性(積層して鉄芯としたときの固着性)が得られる。一方、50μm以下であれば積層電磁鋼板の占積率が低下することがない。
積層電磁鋼板とした場合および歪取焼鈍して接着コアとした場合、絶縁被膜の厚みは単板より薄くなる傾向にあり、層間の絶縁被膜の厚みは平均で0.1μm以上20μm以下が好ましく、更に好ましくは平均で0.5μm以上10μm以下である。上記好ましい範囲であれば、最表面、層間の絶縁被膜厚みは揃わずとも構わない。
本発明において、絶縁被膜の平均の厚みは断面を4000倍でSEM(走査型電子顕微鏡)観察し、1視野につき任意の3点の厚みを測定し、2視野の平均値とする。
以下、実施例により本発明を説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されない。
[実施例1]
表2〜6に示す成分を絶縁被膜の成分として、表1に示す割合にて脱イオン水に添加し、処理液とした。成分の質量%は水分、溶媒を除いた有効成分である。表2に示した粒子の平均粒子径は以下のように求めた。すなわち、埋込研磨した絶縁被膜の断面を4000倍のSEM観察を行った。1視野につき任意の10個の粒子について面積から円形に換算した直径を求めた。2視野、20個の直径の平均値を平均粒子径とした。なお、脱イオン水量に対する各成分合計の固形分(無機成分及び有機樹脂)濃度は200g/lとした。
これらの各処理液を、板厚:0.20mmの電磁鋼板から幅:150mm、長さ:300mmの大きさに切り出した試験片の両面にバーコーターで塗布し、熱風焼付け炉により焼付け時間:30秒で焼付け温度(到達鋼板温度):200℃となる条件で焼付け処理した後、常温に放冷して、両面にそれぞれ厚みが5μmの絶縁被膜を形成して絶縁被膜付き電磁鋼板を作製した。
かくして得られた絶縁被膜付き電磁鋼板(表1において、製品板と称す)について、絶縁被膜特性を調べた。
さらに、上記絶縁被膜付き電磁鋼板に対して、窒素雰囲気中にて750℃、2時間の歪取焼鈍を行った絶縁被膜付き電磁鋼板(表1において、焼鈍板と称す)についても、絶縁被膜特性を調べた。
各特性の評価方法は次のとおりである。
<密着性>
製品板および焼鈍板について、供試材表面にセロテープ(登録商標)を貼り、φ10mm内曲げ後セロテープ(登録商標)を剥離し、絶縁被膜の残存状態を目視で観察して評価した。
(判定基準)
◎:残存率 90%以上
○:残存率 60%以上、90%未満
△:残存率 30%以上、60%未満
×:残存率 30%未満
<抜熱性>
絶縁被膜付き電磁鋼板サンプル(製品板)を30×50mmにせん断し、50枚積層して、前記30×50mm面がホットプレートに接するように200℃のホットプレート上に積層サンプルを接触させて静置した。その後一定時間(10分)経過した時のホットプレート接触面と反対側の面の温度を測定した。なお、このとき、積層サンプルの積層断面(ホットプレート表面に対して垂直方向となる)の4面を断熱材で囲んだ。
歪取焼鈍を行った場合(焼鈍板)は上記50枚の積層サンプルを圧力:1MPaの加圧条件下、窒素雰囲気中で750℃(雰囲気温度)×2時間の焼鈍を行い、積層固着させた。その後、室温の積層サンプルをホットプレート上に静置し、上記と同様の評価を行なった。
(判定基準)
◎:180℃以上
○:160℃以上180℃未満
△:140℃以上160℃未満
×:140℃未満
以上により得られた結果を、条件と併せて表1に示す。
Figure 0006304208
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表1に示したとおり、本発明に従い得られた絶縁被膜付き電磁鋼板は、いずれも、密着性、抜熱性に優れていた。さらに、歪取焼鈍後にも密着性に優れ、抜熱性が更に向上した。
[実施例2]
2枚積層鋼板
2枚の板厚:0.20mmの電磁鋼板に対して、表1参考例2に示す成分からなる絶縁被膜を、それぞれの片面に被膜の厚みが5μmになるようにバーコーターで塗装し、熱風焼付け炉により焼付け時間:30秒で焼付け温度(到達鋼板温度):200℃となる条件で焼付け処理した後、塗装面同士を貼り合わせた。次いで、窒素雰囲気中で750℃(雰囲気温度)、2時間焼鈍して2枚積層鋼板とした。さらに、この2枚積層鋼板の両表面(表裏面)に表1参考例2に示す成分からなる絶縁被膜を被膜の厚みが5μmになるようバーコーターで塗装し熱風焼付け炉により焼付け時間:30秒で焼付け温度(到達鋼板温度):200℃となる条件で焼付け処理し、焼鈍接着可能な2枚積層電磁鋼板を作製した。
上記2枚積層電磁鋼板に対して、実施例1と同様の密着性試験と評価を行ったところ、密着性は○であり、良好であった。
上記2枚積層電磁鋼板を25組(50枚)重ね合わせ、加熱加圧処理することにより積層固着コアを作製した。前記加熱加圧処理の条件は、加熱温度:750℃、圧力:1MPa(=10kgf/cm)、処理時間:2時間とした。この積層固着コアに対して、実施例1と同様に抜熱性試験と評価を行ったところ、抜熱性は◎であり、良好であった。
[実施例3]
3枚積層鋼板
板厚:0.20mmの電磁鋼板1枚に対して、表1発明例5に示す成分からなる絶縁被膜を、両面にそれぞれ被膜の厚みが5μmになるようバーコーターで塗装し、熱風焼付け炉により焼付け時間:30秒で焼付け温度(到達鋼板温度):200℃となる条件で焼付け処理した。この絶縁被膜付き電磁鋼板を塗装していない(絶縁被膜を有していない)電磁鋼板2枚の間に挟んで3枚積層させ、窒素雰囲気中、圧力:1MPaの加圧条件下で750℃(雰囲気温度)、2時間焼鈍して3枚積層電磁鋼板とした。さらに、この3枚積層電磁鋼板の両表面(表裏面)に表1発明例5に示す成分からなる絶縁被膜を被膜の厚みが5μmになるようにバーコーターで塗装し、熱風焼付け炉により焼付け時間:30秒で焼付け温度(到達鋼板温度):200℃となる条件で焼付け処理し、焼鈍接着可能な3枚積層電磁鋼板を作製した。
上記3枚積層電磁鋼板に対して、実施例1と同様の密着性試験と評価を行ったところ、密着性は○であり、良好であった。
上記3枚積層電磁鋼板を17組(51枚)重ね合わせ、加熱加圧処理することにより積層固着コアを作製した。前記加熱加圧処理の条件は、加熱温度:750℃、圧力:1MPa(=10kgf/cm)、処理時間:2時間とした。この積層固着コアに対して、実施例1と同様に抜熱性試験と評価を行ったところ、抜熱性は◎であり、良好であった。

Claims (8)

  1. N、AlおよびMgOから選ばれる1種または2種以上の粒子を20〜80質量%、低融点ガラスおよび/または水ガラス由来物を20〜80質量%、を含有する絶縁被膜を少なくとも片面に有することを特徴とする絶縁被膜付き電磁鋼板。
  2. 記BN、AlおよびMgOから選ばれる1種または2種以上の粒子の平均粒子径が、0.1μm以上10μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の絶縁被膜付き電磁鋼板。
  3. 前記絶縁被膜は、有機樹脂を15質量%以下含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の絶縁被膜付き電磁鋼板。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の絶縁被膜付き電磁鋼板を、前記絶縁被膜を介して2枚以上積層されていることを特徴とする積層電磁鋼板。
  5. 請求項1又は2に記載の絶縁被膜付き電磁鋼板の製造方法であって、
    N、AlおよびMgOから選ばれる1種または2種以上の粒子と、低融点ガラスおよび/または水ガラスと、を含有する処理液を電磁鋼板の少なくとも片面に塗布し、焼付け処理により絶縁被膜を形成することを特徴とする絶縁被膜付き電磁鋼板の製造方法。
  6. 請求項3に記載の絶縁被膜付き電磁鋼板の製造方法であって、
    N、AlおよびMgOから選ばれる1種または2種以上の粒子と、低融点ガラスおよび/または水ガラスと、有機樹脂と、を含有する処理液を電磁鋼板の少なくとも片面に塗布し、焼付け処理により絶縁被膜を形成することを特徴とする絶縁被膜付き電磁鋼板の製造方法。
  7. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の絶縁被膜付電磁鋼板を、前記絶縁被膜を介して2枚以上積層することを特徴とする積層電磁鋼板の製造方法。
  8. 積層後、歪取焼鈍することを特徴とする請求項7に記載の積層電磁鋼板の製造方法。
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