JP6304033B2 - 有機シリルアミン化合物の製造方法 - Google Patents

有機シリルアミン化合物の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6304033B2
JP6304033B2 JP2014536923A JP2014536923A JP6304033B2 JP 6304033 B2 JP6304033 B2 JP 6304033B2 JP 2014536923 A JP2014536923 A JP 2014536923A JP 2014536923 A JP2014536923 A JP 2014536923A JP 6304033 B2 JP6304033 B2 JP 6304033B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acid
sulfuric acid
reaction
production method
amine salt
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014536923A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2014046223A1 (ja
Inventor
亮 灘野
亮 灘野
優子 多比良
優子 多比良
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Central Glass Co Ltd
Original Assignee
Central Glass Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Central Glass Co Ltd filed Critical Central Glass Co Ltd
Publication of JPWO2014046223A1 publication Critical patent/JPWO2014046223A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6304033B2 publication Critical patent/JP6304033B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07FACYCLIC, CARBOCYCLIC OR HETEROCYCLIC COMPOUNDS CONTAINING ELEMENTS OTHER THAN CARBON, HYDROGEN, HALOGEN, OXYGEN, NITROGEN, SULFUR, SELENIUM OR TELLURIUM
    • C07F7/00Compounds containing elements of Groups 4 or 14 of the Periodic Table
    • C07F7/02Silicon compounds
    • C07F7/08Compounds having one or more C—Si linkages
    • C07F7/10Compounds having one or more C—Si linkages containing nitrogen having a Si-N linkage
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/10Process efficiency

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Description

本発明は、有機シリルアミン化合物の製造方法に関する。
トリアルキルシリルアルキルアミンは合成のユニットとして幅広く活用されており、トリアルキルシリル基によりアルキルアミンの水素原子を置き換えることで保護基を有する合成素子として用いることができる。また、トリアルキルシリルアルキルアミンのケイ素−窒素結合はケイ素−酸素結合と比較して弱く、シラノールなどのヒドロキシル基を有するガラスなどの表面に塗布するとケイ素−酸素結合が形成され、表面がトリアルキルシリル基で覆われて表面状態が変化することから表面処理剤としても活用されている。
トリアルキルシリルアルキルアミンの合成方法としては、工業的には安価なトリアルキルシリルクロリドに対して1当量のアルキルアミンと1当量の無機塩基を反応させてトリアルキルシリルアルキルアミンを得る方法が知られている(非特許文献1参照)。
一方で、ヘキサアルキルジシラザンのような有機ジシラザン化合物をアミンと反応させて、トリアルキルシリルアミンを得る方法も知られている。例えば、特許文献1では、アミンとしてモルフォリン、アリルアミン、アニリン、トリアゾールを用いて対応するトリアルキルシリルアミン化合物を得る方法が開示されている。また、非特許文献2では、アミンとしてイミダゾールやピラゾール等を用いて対応するトリアルキルシリルアミン化合物を得る方法が開示されている。
しかしながら、トリアルキルシリルアルキルアミンなどのシリルアルキルアミン化合物については、トリアルキルシリルクロリド、アルキルアミンおよび無機塩基を原料とした方法しか知られておらず、有機ジシラザン化合物を原料とする合成方法は確立されていない。
独国特許出願公開第4041645号明細書
Organic Letters 2007, 9, 3367-3370 Angew. Chem. Int. Ed., 1965, 4, 417-429
非特許文献1の方法では、反応が進行するにつれて塩基と塩化水素との塩が生じるため反応混合液はスラリー状となる。目的物を得るには、この塩を取り除く必要があるが、生成物であるトリアルキルシリルアルキルアミンは水の存在によって容易に加水分解することが知られており、水洗等の簡便な操作が行えず、濾過操作という煩雑な工程が必要となる。更に、塩基として水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどの無機塩基を用いると水が発生して生成物を分解するなどの問題がある。無機塩基のかわりに有機塩基を選択した場合においても、有機塩基の塩酸塩は嵩高いため、工業的製造においては、反応の均一性を担保できるように溶媒で充分希釈する操作が必要となる。さらに、希釈に用いる溶媒量が多いほど、製造に使用する反応器サイズあたりの製造量は低くなる。このように、生成物の物性に起因する取り扱いの難しさが原因となって、生産性を向上することが難しく、製造量あたりの設備が大掛かりになるという問題点があった。
以上のように、従来の有機シリルアミン化合物の製造方法では、生産効率が未だ充分とは言えない。
従って、本発明は、ビルディングブロックおよび表面処理剤として有用な一般式(3)で表される有機シリルアミン化合物を簡便な操作により高い生産性で製造する方法を提供することを課題とする。
Figure 0006304033
(式中、R1、R2およびR3はそれぞれ独立に、炭素数1以上7以下の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、炭素数3以上5以下の環状のアルキル基、またはフェニル基である。R4およびR5はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1以上5以下の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、または炭素数3以上5以下の環状アルキル基であり、R4およびR5は同時には水素原子でない。)
上記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討を行った。その結果、有機ジシラザン化合物とアルキルアミンを原料として用いると、副生成物はアンモニアであるため塩が生成せず、反応液はスラリー化しないことに着目し、反応の進行と共に生成するアンモニアを、反応蒸留によってアルキルアミンから分離した後に系外に排出することによって、溶媒で希釈する操作を必要とせず、簡便に有機シリルアミン化合物を得ることができるという知見を得て、本発明を完成させた(スキーム1参照)。
Figure 0006304033
すなわち、本発明は以下の発明1乃至12を含む。
[発明1]
一般式(1)で表される有機ジシラザン化合物と一般式(2)で表されるアルキルアミンを酸触媒の存在下、生成するアンモニアを反応蒸留により除去しながら反応させる、
一般式(3)で表される有機シリルアミン化合物の製造方法。
Figure 0006304033
(式中、R1、R2およびR3はそれぞれ独立に、炭素数1以上7以下の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、炭素数3以上5以下の環状のアルキル基、またはフェニル基である。)
Figure 0006304033
(式中、R4およびR5はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1以上5以下の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、または炭素数3以上5以下の環状アルキル基であり、R4およびR5は同時には水素原子でない。)
Figure 0006304033
(式中、R1、R2およびR3はそれぞれ、一般式(1)のR1、R2およびR3と同義であり、R4およびR5はそれぞれ、一般式(2)のR4およびR5と同義である。)
[発明2]
前記R1、R2およびR3が全てメチル基である、発明1に記載の製造方法。
[発明3]
前記R4およびR5はそれぞれ独立にメチル基またはエチル基である、発明1又は2に記載の製造方法。
[発明4]
前記反応蒸留の理論段数を2以上、100以下とする、発明1乃至3のいずれかに記載の製造方法。
[発明5]
前記反応蒸留を−0.09MPaG以上、+1MPaG以下の圧力で行う、発明1乃至4のいずれかに記載の製造方法。
[発明6]
前記酸触媒が、「pKaが−13以上、+1以下のブレンステッド酸」のアミン塩である、発明1乃至5のいずれかに記載の製造方法。
[発明7]
前記ブレンステッド酸が、硫酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、塩化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、トリフルオロ酢酸、および過塩素酸のみからなる群より選ばれる少なくとも1つのブレンステッド酸である、発明6に記載の製造方法。
[発明8]
前記酸触媒が、塩酸トリエチルアミン、塩酸ジメチルアミン、塩酸ピリジン、塩酸アンモニウム、臭酸アンモニウム、硫酸トリエチルアミン、硫酸ジメチルアミン、硫酸ピリジン、硫酸アンモニウムおよび硝酸アンモニウムのみからなる群より選ばれる、少なくとも1つの酸触媒である、発明1乃至6のいずれかに記載の製造方法。
[発明9]
前記酸触媒が、「pKaが−13以上、+1以下のブレンステッド酸」を、上記反応系中に存在する「一般式(2)で表されるアルキルアミン」と接触させて、上記反応系中で得られたものであることを特徴とする、発明1乃至6のいずれかに記載の製造方法。
[発明10]
「pKaが−13以上、+1以下のブレンステッド酸」を、アミンと接触させ、「pKaが−13以上、+1以下のブレンステッド酸」のアミン塩を調製し、次いで該アミン塩を、前記「酸触媒」として、上記反応系に投入する工程を含む、発明1乃至6のいずれかに記載の製造方法。
[発明11]
前記ブレンステッド酸が硫酸であることを特徴とする、発明7に記載の製造方法。
[発明12]
反応温度が30℃以上150℃以下である、発明1乃至6のいずれかに記載の製造方法。
本発明者らが、有機ジシラザン化合物とアルキルアミンとを原料とする有機シリルアミン化合物の仮想反応について量子化学計算により各エネルギーを算出したところ、反応の平衡は大きく原料側に偏ることが示された(スキーム2参照)。一方で非特許文献2の様な有機ジシラザン化合物とイミダゾールの反応について同様に計算したところ、平衡は生成物側に偏ることも示され、これは文献に記載されている実験事実を再現するものであった。イミダゾールは炭素−炭素二重結合や炭素−窒素二重結合を有しており、その生成物において有機シリルアミン化合物のシリル置換基の空軌道に二重結合のπ電子が配位して化合物を安定化することから当該反応が自発的に進行するものと考察され、逆に、本発明の原料のような、生成物を安定化する効果を持たないアミン、例えば二重結合を持っていない脂肪族アルキル基を置換基として有しているアミンなどは平衡が原料系に偏っており自発的に反応が進行することはないことが示唆された。つまり、本発明の反応は、従来の方法では容易には起こりえないものであり、本発明の形態の採用は課題解決に非常に重要なものであるといえる。
Figure 0006304033
本発明の製造方法を用いることで、目的物である有機シリルアミン化合物を効率的に得ることができ、反応において塩が生成しないため、濾過工程などの煩雑な操作の必要が無く、また無溶媒の反応も可能であり、操作性や生産性を向上させることができる。
以下、本発明の製造方法に用いる一般式(1)で表される有機ジシラザン化合物、一般式(2)で表されるアルキルアミン、生成物である一般式(3)で表される有機シリルアミン化合物、酸触媒、製造条件について説明する。ただし、本発明の製造方法は、以下に示す実施の形態及び実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。
<1.有機ジシラザン化合物>
本発明の製造方法に用いる一般式(1)で表される有機ジシラザン化合物は、一般式(1)で表される。
Figure 0006304033
(式中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立に、炭素数1以上7以下の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、炭素数3以上5以下の環状のアルキル基、またはフェニル基である。)
具体的に好適な有機ジシラザン化合物としては、入手容易性の点から、R1、R2およびR3がそれぞれ独立に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基またはフェニル基であるものが好ましい。また環状のアルキル基としては、シクロヘキシル基が挙げられる。これらの有機ジシラザン化合物を具体的に例えると、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサエチルジシラザン、ヘキサn−プロピルジシラザン、ヘキサiso−プロピルジシラザン、ヘキサn−ブチルジシラザン、ヘキサt−ブチルジシラザン、ヘキサフェニルジシラザン、1,1,2,2−テトラメチル−3,3−ジエチルジシラザンなどを挙げることができる。中でも、ヘキサメチルジシラザンが特に好ましい。
<2.アルキルアミン>
本発明の製造方法に用いるアルキルアミンは、一般式(2)で表される。
Figure 0006304033
(式中、R4およびR5はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1以上5以下の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、または炭素数3以上5以下の環状アルキル基であり、R4およびR5は同時には水素原子でない。)
前記アルキルアミンは、反応の進行と共に生成するアンモニアと分けられる必要があるが、アンモニアと沸点が近いアルキルアミンでは分離が容易ではないため、反応蒸留によってアンモニアを取り分けることが効果的である。従って、アンモニアと沸点がより近いアルキルアミンであるほど本発明の方法は有用なものであり、特に、大気圧における沸点が150℃以下のものに対して有効である。アンモニアと沸点が離れたアルキルアミンを用いる場合であっても、本発明を実施することで、より綿密にアンモニアと分離することができる。
具体的に好適なアルキルアミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、iso−プロピルアミン、シクロプロピルアミン、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、iso−ブチルアミン、t−ブチルアミン、シクロブチルアミン、n−ペンチルアミン、シクロペンチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、n−ジプロピルアミン、iso−ジプロピルアミン、ジシクロプロピルアミン、n−ジブチルアミン、sec−ジブチルアミン、iso−ジブチルアミン、t−ジブチルアミン、ジシクロブチルアミン、メチルエチルアミン、メチル−n−プロピルアミン、メチル−iso−プロピルアミン、メチル−シクロプロピルアミンを挙げることができる。中でも、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、iso−プロピルアミン、シクロプロピルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−iso−プロピルアミン、ジシクロプロピルアミン、メチルエチルアミンが特に好ましい。
<3.生成物の有機シリルアミン化合物>
本発明の目的物である有機シリルアミン化合物は、一般式(3)で表される。
Figure 0006304033
(式中、R1、R2およびR3はそれぞれ、一般式(1)のR1、R2およびR3と同義であり、R4およびR5はそれぞれ、一般式(2)のR4およびR5と同義である。)
<4.製造条件>
本発明の製造方法の製造条件について詳細を以下に記す。
4−1.反応原料の当量関係
通常は原料である一般式(1)の有機ジシラザン化合物と一般式(2)のアルキルアミン(2)の量比は限定されない。原料の有機ジシラザン化合物1モル当量に対するアルキルアミンの当量は0.4モル当量以上、10モル当量以下が好ましく、1モル当量以上、5モル当量以下がより好ましく、1.5モル当量以上、3モル当量以下が特に好ましい。有機ジシラザン化合物1モル当量に対するアルキルアミンの当量が0.4モル当量未満では反応に関与しない有機ジシラザン化合物が多く、経済的に好ましくない。また有機ジシラザン化合物1モル当量に対するアルキルアミンの当量が10モル当量を超えると反応に関与しないアルキルアミンが多く、経済的に好ましくない。
上記のように、好ましい当量関係においては、一般式(2)のアルキルアミンが過剰に存在する。この場合、後述の通り、硫酸やメタンスルホン酸などの「ブレンステッド酸」を直接反応系内に投入すれば、該「ブレンステッド酸」のアルキルアミン塩が系中で生成し、この「アルキルアミン塩」が「酸触媒」として好適に機能する。
4−2.反応蒸留
本発明においては、反応系中に含まれる原料および生成物のうちアンモニアとアンモニア以外の物質の沸点差を利用して、アンモニアを連続的・選択的に反応系外に抜き出す。このような操作をする手段としては、反応蒸留が特に適している。
後述の「比較例1」に例示するように、この「反応蒸留」操作を行わないと、他の条件は揃っていても、目的とする反応は十分に起こらない。この意味で「反応蒸留」は、本発明においてきわめて重要な操作である。
本発明における反応蒸留の操業条件は、原料の沸点、生成物の沸点に応じて調整するが、包括的な条件を以下に記載する。
本発明に使用する反応蒸留装置は、生成するアンモニアを、反応系からガスとして排出させるのに適当な全ての装置を使用することができる。例えば、いわゆる反応蒸留塔を使用することができる。反応蒸留塔の形式は、特に限定されない。例えば、充填型蒸留塔、棚段型蒸留塔などを使用することができる。また、反応蒸留塔の理論段数は、2以上、100以下であればよい。中でも、3以上、50以下が好ましく、5以上、20以下がより好ましい。理論段数が2より低いとアンモニアの分離除去が不完全となり、アンモニアに同伴されて原料のアルキルアミンや有機ジシラザン化合物、または生成物の有機シリルアミン化合物が系外に放出され、その結果収率が低下するため好ましくない。100段を超えると設備が高額になるため工業的な方法として好ましくない。
本発明における反応蒸留の蒸留塔に充填される充填物としては、規則性充填物、不規則性充填物のいずれも使用することができる。規則性充填物としては、通常用いられるもので良く、例えば、メラパック、ジェムパック、テクノパック、フレキシパック、スルザーパッキング、グリッチグリッド、グッドロールパッキングなどが挙げられる。不規則性充填物としては、通常用いられるもので良く、例えば、ラシヒリング、レッシングリング、ポールリング、ベルルサドル、インタロックスサドル、ディクソンパッキング、マクマホンパッキング、ヘリパック、カスケードミニリング(登録商標)などが挙げられる。
本発明における反応蒸留の蒸留塔に設ける棚段(トレイ)としては、例えば、泡鐘トレイ、ユニフラットトレイ、多孔板トレイ、ジェットトレイ、バブルトレイ、ベンチュリートレイ、ターボグリッドトレイ、デュアルフロートレイ、リップルトレイ、キッテルトレイ、スリットトレイ、シーブトレイなどが挙げられる。また、棚段と充填物とを組み合わせて使用してもよい。
また、本発明における反応蒸留においては、スピニングバンドなどの薄膜を介して蒸留分離を達成する方法も用いることができる。
本発明における反応蒸留においては、原料の有機ジシラザン化合物、アルキルアミン、目的物の有機シリルアミン化合物のいずれかとアンモニアとの分離を改善するために、抽出蒸留を用いることもできる。すなわち蒸留塔の上部から一定量の速度で溶媒を添加することで二種の化合物の蒸気圧特性を変化させて分離効率を改善することができる。この場合の溶媒としては、<6.溶媒>で後述する溶媒を用いることができる。
本発明における反応蒸留に際しての反応液の温度は、通常、30℃以上150℃以下であればよく、50℃以上100℃以下が好ましい。30℃未満では反応の平衡をずらす際の速度が遅いため実用的な方法となりえず、150℃を超えると反応蒸留におけるアンモニアと原料系の分留操作が困難となるため好ましくない。
本発明における反応蒸留に際しての圧力はゲージ圧基準で、−0.09MPaG(「G」はゲージ圧表示であることを表す。以下同じ。)以上、+5MPaG以下であればよい。中でも、−0.02MPaG以上、+2MPaG以下が好ましく、0.00MPaG以上、+1MPaG以下が特に好ましい。−0.09MPaGより低いと蒸留の分離能力が低下するため好ましくなく、+5MPaGを超えると圧力に耐える設備が高額となるため工業的に好ましくない。
反応時間は、温度、圧力、酸触媒の種類や使用量などに応じて調整するが、反応の終点を任意に決定して反応を終了するとよい。
反応の終点は、例えば、反応蒸留により排出されるアンモニア量を定量することで決定してもよい。このアンモニア量は、例えば、反応蒸留により排出されるガスを任意の量の水が入った容器に導入して水溶液とし、この水溶液のサンプリング液から酸塩基滴定、電量滴定、イオンクロマトグラフ分析などにより定量することができる。別の例として、反応系から反応液のサンプリングを行い、サンプリング液のガスクロマトグラフ分析などを実施して、残存する原料量、生成した目的物量などから変換率を求めることで決定してもよい。
反応終了後、次の後処理工程により、反応系から目的物の有機シリルアミン化合物を精製することができる。
4−3.後処理工程
反応終了後の反応系には、目的物の有機シリルアミン化合物のほかに、未反応の原料、酸触媒などが残存することがある。後述する溶媒などの添加物を加えた場合、それらの添加物も残存することがある。目的物の有機シリルアミン化合物は、当業者が通常用いる一般的な操作を採用することで、前記反応液中から精製することができる。例えば、単蒸留(フラッシュ蒸留)、薄膜蒸留などが好ましい。精製手法はこれらに限定されない。
<5.酸触媒>
本発明の製造方法においては、反応を促進するために酸触媒の存在下で行う。酸触媒は、「pKa(水溶液中のpKaを言う。本明細書の他の箇所においても、同じ。)が−13以上、+1以下のブレンステッド酸」のアミン塩が好ましい。このような「強酸とアミンの間に形成されるアミン塩」は、全体としては中〜弱酸であるが、このような「比較的弱い酸であるアミン塩」を「酸触媒」として反応系中に存在させることで、本発明のシリルアミン生成反応が、特に好ましく進行することを、発明者は見出した(実施例を参照)。
前記酸触媒は、前記ブレンステッド酸を反応系中に存在する「前記一般式(2)で表されるアルキルアミン」と接触させて、反応系中で得られるものであってもよい。反応系中では、前記ブレンステッド酸は、前記一般式(2)で表されるアルキルアミンとアミン塩を形成した上で酸触媒としての能力を十分発揮しているものと考えることができる。
好適な前記ブレンステッド酸としては、硫酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸などのスルホン酸、塩化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、トリフルオロ酢酸、過塩素酸などが例示できる。但し、前述の通り、水が反応系内にあまり大量に存在すると、目的物が加水分解することがあり、生成物の収率、純度に影響することがある。したがって、水の存在を必須としない酸である硫酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸は特に好ましい。中でも無水試薬を安価に入手できる硫酸は、その後の脱水操作も必要ないことから、簡便な操作で良好な反応性が得られるので、一層好ましい。例えば「98%以上の濃硫酸」は特に好ましいブレンステッド酸の1つである。
前記酸触媒は、前記ブレンステッド酸を予めアミン塩としたものを用いてもよい。具体的には、前記ブレンステッド酸を、アミンと接触させ、前記ブレンステッド酸のアミン塩を調製し、次いで該アミン塩を、前記「酸触媒」として、反応系に供する。前記アミン塩は、市販されているようなものであれば、前記調製工程を省略して、そのまま反応系に供することができる。この場合のアミンとは、本発明の製造方法の原料である一般式(2)で表されるアルキルアミンと近い塩基性度を有するアミンであれば特に限定されない。具体的には、アンモニアまたは、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、2,4−ジメチルピリジン、2,6−ジメチルピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジンなどの3級アミンが例示できる。
好適な前記ブレンステッド酸のアミン塩としては、メタンスルホン酸アンモニウム、p−トルエンスルホン酸アンモニウム、カンファースルホン酸アンモニウム、ヨウ化アンモニウム、塩酸トリエチルアミン、塩酸ジメチルアミン、塩酸ピリジン、塩酸アンモニウム、臭酸アンモニウム、硫酸トリエチルアミン、硫酸ジメチルアミン、硫酸ピリジン、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウムなどが例示できる。中でも、工業的に安価に使用されている塩酸トリエチルアミン、塩酸ジメチルアミン、塩酸ピリジン、塩酸アンモニウム、臭酸アンモニウム、硫酸トリエチルアミン、硫酸ジメチルアミン、硫酸ピリジン、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウムがさらに好ましく、硫酸アンモニウムが特に好ましい。
これらの酸触媒(アミン塩)は、前記ブレンステッド酸を前記アミンと接触させることで合成することができる。予め、系外において該アミン塩を合成してから、本発明の反応系に導入することもできる。
一方、前述したように、一般式[2]で表されるアルキルアミンが過剰の条件の場合には、過剰の該アルキルアミンに、前記「アミン」としての役割を兼ねさせ、これを該ブレンステッド酸と反応させることで、反応系内において(in situ)「酸触媒(アルキルアミン塩)」を発生させることも可能である。この場合、系外で「アミン塩」を別途合成する手間が省け、反応系内に、例えば無水硫酸を添加するだけで、系内に活性の高い「酸触媒」を生成させられるため、特に好ましい。
なお、ブレンステッド酸として「pKaが+1を超えるブレンステッド酸」を用いたアミン塩の場合、反応を媒介する触媒としての能力が低く、実用的な製造方法とはならないことがある(後述の「参考例」を参照)。pKaが+1を超えるブレンステッド酸には例えば、リン酸(pKa:約2)、酢酸(pKa:約4.8)などが挙げられる。
また、pKaが−13未満のブレンステッド酸を用いると、種々の副反応を誘発することがある。pKaが−13未満のブレンステッド酸の一例としては、トリフルオロメタンスルホン酸(pKa:約−14)が挙げられる。特に、このような超強酸を直接反応系に添加する場合は、超強酸がアミン塩に変換し終える前には、直接原料化合物に接触することとなるので、注意を要する。
酸触媒は、溶媒で希釈して用いることもできる。但し、後述の通り、本発明の反応は、溶媒を用いることが必須でないため、酸触媒についても、敢えて溶媒で希釈して用いる必要はない。もし溶媒で希釈して用いるのであれば、後述の<6.溶媒>に掲げる溶媒を好ましく採用することができる。
前記酸触媒の使用量は、原料の有機ジシラザン化合物1gに対して0.0001g以上、0.8g以下であればよく、0.1g以下が好ましく、0.02g以下がより好ましい。0.8gを超えて添加しても平衡への移動速度を改善する効果はなく、工業的に好ましくない。0.0001gより少ないと、触媒としての効果が充分でない。
<6.溶媒>
本発明の製造方法は溶媒を用いることなく行うことができるが、反応の圧力条件などを調整することを目的として溶媒を使用してもよい。使用する溶媒の種類は特に制限はない。具体的には、ニトリル、アミド、スルホキシド、エーテル、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテル、炭化水素または芳香族炭化水素が挙げられる。さらに具体的には、ニトリルは、アセトニトリル、ベンゾニトリルが挙げられる。ケトンは、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−iso−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチル−iso−ブチルケトンが挙げられる。アミドは、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルイミダゾリジノンが挙げられる。スルホキシドは、ジメチルスルホキシドが挙げられる。エーテルは、ジエチルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフランが挙げられる。ハイドロフルオロカーボンは、トリフルオロメタン、ジフルオロメタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1,1−テトラフルオロエタン、1,1−ジフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,1,1,3,3−ヘプタフルオロプロパン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロペンタン、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタンが挙げられる。ハイドロフルオロエーテルは、メチル1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチルエーテル、メチルトリフルオロメチルエーテル、メチル1,1,2,2−テトラフルオロエチルエーテル、1,1,2,2−テトラフルオロ−1−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エタン、(2,2,3,3−テトラフロオプロピル)(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル)エーテル、(メチル)(ノナフルオロブチル)エーテル、(メチル)(ノナフルオロイソブチル)エーテル、(エチル)(ノナフルオロブチル)エーテル、(エチル)(ノナフルオロイソブチル)エーテル、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロ−3−メトキシ−4−(トリフルオロメチル)ペンタン、2−トリフルオロメチル−3−エトキシ−ドデカフルオロヘキサン、1,1,1,2,3−ヘキサフルオロ−4−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロポキシ)ペンタンが挙げられる。芳香族系炭化水素は、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、パーフルオロベンゼンが挙げられる。炭化水素は、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンが挙げられる。これらの溶媒は、原料の溶剤または抽出蒸留の抽出剤として単独で使用しても良いし、複数種類を混合して使用しても良い。
原料系で溶媒を用いる場合の最適な溶媒量は、原料の種類に応じて調整するが、原料の有機ジシラザン化合物1gに対して5g以下であればよく、2g以下が好ましく、0.5g以下がより好ましい。5gを超えて溶媒を添加すると反応器に対する原料の仕込み量が減少する、すなわち生産性が低下するため好ましくない。
なお、前記した通り、本発明の目的物は、あまり大量の水と接触すると、分解することがある。このため、水を溶媒とすることは好ましくない。前記した塩化水素酸等の酸をブレンステッド酸として、反応系内に直接投入する場合、水は必然的に系中に投入されることとなるが、この程度の少量の水であれば、反応自体は支障なく起こすことはできる。しかし、反応系中に積極的に水を存在させることは望ましくなく、溶液全体の質量に対する水の質量は通常10%以下とすべきであり、好ましくは5%以下、さらに好ましくは1%以下である。
<7.反応操作>
本発明の製造方法は、原料導入方法により回分式、半回分式または連続式の反応形式のいずれをもとりうる。以下に回分式を用いた場合について反応操作を説明する。
上部に凝縮器または凝縮部分を設けた蒸留塔を備えた反応容器に、反応原料の一般式(1)の有機ジシラザン化合物、一般式(2)のアルキルアミン、酸触媒もしくは酸触媒前駆体、および必要に応じて溶媒をそれぞれ所定量導入する。この場合の酸触媒とは、予め調製した「pKaが−13以上、+1以下のブレンステッド酸」のアミン塩を意味し、酸触媒前駆体とは、「pKaが−13以上、+1以下のブレンステッド酸」を意味する(以下同じ)。反応器は、原料の種類または反応温度を調整するために耐圧反応器であることがある。反応器には攪拌効果を高めるため攪拌器を備えてもよい。原料等の導入順序は限定されない。原料等の導入は、液体、気体、固体のいずれの状態であってもよく、必要に応じて溶媒に溶解した状態で行ってもよい。次に、必要に応じて攪拌しながら反応温度、反応圧力を所定の値に近づけ蒸留塔での還流を確認し発生したアンモニアを蒸留塔上部から抜き出しながら所定時間反応を継続した後、反応を終了する。
反応終了後、反応器内容物は液体または気体で取り出すことができる。取り出した反応器内容物には、酸化合物またはその塩等、未反応物または溶媒を含むことがある。これに単蒸留(フラッシュ蒸留)、精留等の操作を施すことで、目的の一般式(3)の有機シリルアミン化合物を得ることができる。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明は係る実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
3mm径のステンレス製のラシヒリングを充填した直径1cm、高さ30cmの蒸留塔(理論段数12)および攪拌器を備えた500mLオートクレーブにヘキサメチルジシラザン161g(1mol)および硫酸アンモニウム6.5g(0.05mol)を入れ、密閉した後にジメチルアミン99g(2.2mol)を圧入した。充填塔上部にはコンデンサーおよびガス流量バルブを備えた抜出口を設けた。コンデンサーは−5℃の冷媒で冷却した(ここまでの工程を「工程条件1」とする。実施例、参考例、比較例において以下同じ。)。オートクレーブに取り付けた攪拌器によりオートクレーブ内容物を混合しながら80℃のオイルバスで加熱すると反応器内部の圧力が徐々に上昇し、圧力が1MPaGに達したところで抜出口のバルブを徐々に開放しガスの抜き出しを開始した。抜き出したガスは1Lのフラスコ中に張った500mLの水中に誘導して吸収させた。生じたアンモニア水は適宜酸塩基滴定により塩基量を計測し、アンモニア量としてモニターした。8時間後に抜き出したアンモニア量は0.90molとなり、内部の圧力は0.08MPaGまで低下した。更にガスの抜出を継続したが30分後にガスの発生は収まった。抜き出したガス中のアンモニア量は1.02molであった。オイルバスの温度を100℃まで上げて常圧にてフラッシュ蒸留を行い、沸点84〜87℃の液体を分取して、197gのトリメチルシリルジメチルアミンを得た(収率84%)。ガスクロマトグラフにより分析を行うと、純度は98面積%であった。
[実施例2]
硫酸アンモニウムのかわりに硫酸4.9g(0.05mol)を使用した以外は工程条件1と同様の条件で、反応蒸留を実施した。攪拌器によりオートクレーブ内容物を混合しながら80℃のオイルバスで加熱すると反応器内部の圧力が徐々に上昇し、圧力が1MPaGに達したところで抜出口のバルブを徐々に開放しガスの抜き出しを開始した。抜き出したアンモニアをモニターしながら反応を継続し、7時間後に反応を終了した。その後、内容物をフラッシュ蒸留し、190gのトリメチルシリルジメチルアミンを得た(収率81%)。ガスクロマトグラフにより分析を行うと、純度は97面積%であった。
[実施例3]
3mm径のステンレス製のラシヒリングを充填した直径1cm、高さ30cmの蒸留塔(理論段数4)を用い、ジメチルアミンを180g(4mol)使用した以外は工程条件1と同様の条件で、反応蒸留を実施した。攪拌器によりオートクレーブ内容物を混合しながら80℃のオイルバスで加熱すると圧力が徐々に上昇し、圧力が1MPaGに達したところで抜出口のバルブを徐々に開放しガスの抜き出しを開始した。抜き出したアンモニアをモニターしながら反応を継続し、3時間後に反応を終了した。その後、内容物をフラッシュ蒸留し、172gのトリメチルシリルジメチルアミンを得た(収率73%)。ガスクロマトグラフにより分析を行うと、純度は98面積%であった。
[実施例4]
3mm径のステンレス製のラシヒリングを充填した直径1cm、高さ30cmの蒸留塔(理論段数4)を用い、ジメチルアミンを180g(4mol)使用した以外は工程条件1と同様の条件で、反応蒸留を実施した。攪拌器によりオートクレーブ内容物を混合しながら80℃のオイルバスで加熱すると圧力が徐々に上昇し、圧力が1MPaGに達し、2時間反応を継続した。その後、オートクレーブを冷却して反応器の内温が40℃以下になったところで抜出口のバルブを徐々に開放しガスの抜き出しを行なった。更に80℃のオイルバスで加熱して2時間経過後再度オートクレーブを冷却してアンモニアガスを抜き出す操作を4回繰り返し、アンモニアの抜出量が1.1当量に達した。内容物をフラッシュ蒸留し、187gのトリメチルシリルジメチルアミンを得た(収率80%)。ガスクロマトグラフにより分析を行うと、純度は98面積%であった。
比較例3
硫酸アンモニウムのかわりにトリフルオロメタンスルホン酸7.5g(0.05mol)を使用した以外は工程条件1と同様の条件で、反応蒸留を実施した。攪拌器によりオートクレーブ内容物を混合しながら80℃のオイルバスで加熱すると圧力が徐々に上昇し、圧力が1MPaGに達したところで抜出口のバルブを徐々に開放しガスの抜き出しを開始した。抜き出したアンモニアをモニターしながら反応を継続し、7時間後に反応を終了した。その後、内容物をフラッシュ蒸留し、128gのトリメチルシリルジメチルアミンを得た(収率55%)。ガスクロマトグラフにより分析を行うと、純度は96面積%であった。
比較例4
3mm径のステンレス製のラシヒリングを充填した直径1cm、高さ30cmの蒸留塔(理論段数12)の代わりに、直径1cm、高さ30cmの空の塔(理論段数1)を用いた以外は工程条件1と同様の条件で、反応蒸留を実施した。攪拌器によりオートクレーブ内容物を混合しながら80℃のオイルバスで加熱すると圧力が徐々に上昇し、圧力が1MPaGに達したところで抜出口のバルブを徐々に開放しガスの抜き出しを開始した。抜き出したアンモニアをモニターしながら反応を継続し、7時間後に反応を終了した。その後、内容物をフラッシュ蒸留し、111gのトリメチルシリルジメチルアミンを得た(収率47%)。ガスクロマトグラフにより分析を行うと、純度は92面積%であり、ヘキサメチルジシラザン5%を含んでいた。
[参考例]
硫酸アンモニウムのかわりにリン酸4.9g(0.05mol)を使用した以外は工程条件1と同様の条件で、反応蒸留を実施した。攪拌器によりオートクレーブ内容物を混合しながら80℃のオイルバスで加熱しても圧力は0.5MPaGまでしか上昇せず、ガスの抜出しを行なわずに10時間加熱を継続した。オートクレーブを室温まで冷却して内容物のサンプリングを行った。ガスクロマトグラフにより分析を行うと、トリメチルシリルジメチルアミンとヘキサメチルジシラザンの比は4:96であり、反応変換率は低いことがわかった。
[比較例1]
工程条件1と同様の条件で、アンモニアの抜出を行なわずに反応を実施した。攪拌器によりオートクレーブ内容物を混合しながら80℃のオイルバスで加熱して10時間経過後に圧力は1.5MPaGに達した。その後、オートクレーブを室温まで冷却して内容物のサンプリングを行った。ガスクロマトグラフにより分析を行うと、トリメチルシリルジメチルアミンとヘキサメチルジシラザンの比は25:75であり、反応変換率は低いことがわかった。
[比較例2]
硫酸アンモニウムを添加しない以外は工程条件1と同様の条件で、反応蒸留を実施した。攪拌器によりオートクレーブ内容物を混合しながら80℃のオイルバスで加熱すると圧力は0.5MPaGまでしか上昇せず、ガスの抜出しを行なわずに10時間加熱を継続した。オートクレーブを室温まで冷却して内容物のサンプリングを行った。ガスクロマトグラフにより分析を行うと、トリメチルシリルジメチルアミンとヘキサメチルジシラザンの比は1:99であり、反応変換率は低いことがわかった。
実施例1乃至、参考例および比較例1乃至4の簡単な実施条件と結果を表1にまとめる。
Figure 0006304033

本発明はビルディングブロック、表面処理剤として有用な有機シリルアミン化合物の製造方法である。この製造方法は、従来の有機シリルアミン化合物の製造方法と比較して、製造操作が簡便で、生産性が高い。また、本発明の製造方法における副生成物はアンモニアであり、副生するアンモニアは反応蒸留によって容易に回収できる。アンモニアは肥料など様々な用途に有益な物質であることから、本発明の製造方法は、不要な廃棄物がほとんどなく、環境負荷が少ない。

Claims (12)

  1. 一般式(1)で表される有機ジシラザン化合物と一般式(2)で表されるアルキルアミンを酸触媒の存在下、生成するアンモニアを反応蒸留により除去しながら反応させる、一般式(3)で表される有機シリルアミン化合物の製造方法であり、
    前記酸触媒が硫酸のアミン塩であり、
    前記反応蒸留の理論段数を2以上、100以下とする、製造方法
    Figure 0006304033
    (式中、R、RおよびR全てメチル基である。)
    Figure 0006304033
    (式中、RおよびRはそれぞれ独立にメチル基またはエチル基である。)
    Figure 0006304033
    (式中、R、RおよびRはそれぞれ、一般式(1)のR、RおよびRと同義であり、RおよびRはそれぞれ、一般式(2)のRおよびRと同義である。)
  2. 前記反応蒸留を−0.09MPaG以上、+1MPaG以下の圧力で行う、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記酸触媒が、硫酸ジメチルアミンまたは硫酸アンモニウムである、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記酸触媒が、硫酸を、反応系中に存在する「一般式(2)で表されるアルキルアミン」と接触させて、反応系中で得られたものであることを特徴とする、請求項1乃至のいずれかに記載の製造方法。
  5. 硫酸を、アミンと接触させ、硫酸のアミン塩を調製し、次いで該アミン塩を、前記「酸触媒」として、反応系に導入する工程を含む、請求項1乃至のいずれかに記載の製造方法。
  6. 反応温度が30℃以上150℃以下である請求項1乃至のいずれかに記載の製造方法。
  7. ヘキサメチルジシラザンとジメチルアミンを、硫酸のアミン塩存在下、生成するアンモニアを反応蒸留により除去しながら反応させる、トリメチルシリルジメチルアミンの製造方法であり、
    前記反応蒸留の理論段数を2以上、100以下とする、製造方法。
  8. 前記反応蒸留を−0.09MPaG以上、+1MPaG以下の圧力で行う、請求項7に記載の製造方法。
  9. 前記硫酸のアミン塩が、硫酸ジメチルアミンまたは硫酸アンモニウムである、請求項7または8に記載の製造方法。
  10. 前記硫酸のアミン塩が、硫酸を、反応系中に存在する前記ジメチルアミンと接触させて、反応系中で得られたものであることを特徴とする、請求項7または8に記載の製造方法。
  11. 硫酸を、アミンと接触させて硫酸のアミン塩を調製し、次いで該硫酸のアミン塩を、前記前記硫酸のアミン塩として、反応系に導入する工程を含む、請求項7乃至10のいずれかに記載の製造方法。
  12. 反応温度が30℃以上150℃以下である、請求項7乃至11のいずれかに記載の製造方法。
JP2014536923A 2012-09-20 2013-09-20 有機シリルアミン化合物の製造方法 Active JP6304033B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012207097 2012-09-20
JP2012207097 2012-09-20
PCT/JP2013/075412 WO2014046223A1 (ja) 2012-09-20 2013-09-20 有機シリルアミン化合物の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2014046223A1 JPWO2014046223A1 (ja) 2016-08-18
JP6304033B2 true JP6304033B2 (ja) 2018-04-04

Family

ID=50341525

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014536923A Active JP6304033B2 (ja) 2012-09-20 2013-09-20 有機シリルアミン化合物の製造方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP6304033B2 (ja)
WO (1) WO2014046223A1 (ja)

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4565885A (en) * 1985-06-12 1986-01-21 General Electric Company Method for preparing olefinic silazanes
DE4041645A1 (de) * 1990-12-22 1992-06-25 Nuenchritz Chemie Gmbh Verfahren zur herstellung von silylierten primaeren und secundaeren aminen
JP3493934B2 (ja) * 1997-02-05 2004-02-03 信越化学工業株式会社 N,n−ビス(トリメチルシリル)アリルアミンの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
WO2014046223A1 (ja) 2014-03-27
JPWO2014046223A1 (ja) 2016-08-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI745381B (zh) 異丙醇的製造方法及雜質減少後的異丙醇
EP3275886A1 (en) Method for producing dialkylaminosilane
CN108855207B (zh) 含碱金属的杂原子Beta沸石催化剂及其制备方法和应用
CN107176901B (zh) 一种二氟亚甲基化合物的合成方法
EP3594217A1 (en) Method for producing dialkylaminosilane
WO2011021491A1 (ja) ヘキサフルオロアセトン一水和物の製造方法
CN109369342B (zh) 一种高纯异丙醇铝的制备方法
JP2014525409A5 (ja)
EP3201171B1 (en) Method of preparing intermediate of salmeterol
WO2015020155A1 (ja) フッ化メタンの製造方法
JP6304033B2 (ja) 有機シリルアミン化合物の製造方法
CN107011211B (zh) 一种对苯二甲腈的制备方法
JP3480825B2 (ja) 1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンの精製方法
TW201134791A (en) Method for purification of fluorine-containing compound
EP3333144B1 (en) Method for manufacturing fluorinated hydrocarbon
RU2468995C1 (ru) Способ получения спиртового сольвата хлорида неодима
CN108558672B (zh) 2-硝基-4-三氟甲基苯甲酸及其异构体的制备方法
JP4225736B2 (ja) フルオロエタンの製造方法およびその用途
KR20050086475A (ko) 하이드로플루오로카본의 제조방법, 그 제품 및 그 용도
WO2018037999A1 (ja) ブテン類の変換方法及びモノフルオロブタンの精製方法
CN114249627B (zh) 一种制备e-1-氯-3,3,3-三氟丙烯的方法
CN110172041B (zh) 合成环嗪酮的新方法
WO2012100555A1 (en) A method for the preparation of lower aluminum alkoxide by gas-solid phase reaction
JP2523936B2 (ja) ジカルボニルフロライドの製造方法
CN111018679B (zh) 一种四氟丙基三氟乙烯醚的合成方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160909

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170808

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170929

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180206

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180219

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6304033

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250