JP6303862B2 - 電波到来方向推定装置、電波到来方向推定システム - Google Patents

電波到来方向推定装置、電波到来方向推定システム Download PDF

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Description

本発明は、無線タグが出す電波がどの方向から来るかを推定することで、無線タグが存在している方向を推定する電波到来方向推定装置、および、その装置と無線タグとを備える電波到来方向推定システムに関する。
電波到来方向を推定する方法の一つとしてPseudo-doppler法が知られている(たとえば非特許文献1)。Pseudo-doppler法では、回転する板等の上にアンテナを取り付け、アンテナを円運動させることで電波発信源から出される電波に対するドップラーシフトを作り出す。
作り出したドップラーシフトは、アンテナの速度ベクトルが電波発信源に向かう方向となるとき、および、アンテナの速度ベクトルが電波発信源とは反対方向となるときに、それぞれプラス側あるいはマイナス側に最大となる。このようなドップラーシフトの変化を利用して電波発信源の方位を推定する。非特許文献1では、観測信号の解析にフーリエ変換を用いている。
Chang, H.-L., Tian, J.-B., Lai, T.-T., Chu, H.-H., and Huang, P., Spinning beacons for precise indoor localization, to appear in ACM Sensys ‘08.
Pseudo-doppler法を利用するために回転盤にアンテナを固定した装置(以下、アンテナ回転装置)を屋内に設置する場合、直接波とマルチパスによって生じる反射波とを分離することが必要になる。
直接波とマルチパスによって生じる反射波は、電波の到来角度が異なる。つまり、直接波と反射波とでは、見かけ上、電波発信源の方位が相違する。そして、前述したように、回転しているアンテナ回転装置が受信する電波は、電波発信源の方位を反映したドップラーシフトが生じる。よって、周波数分解能を高くすることで、直接波と反射波の分離が可能となる。
フーリエ変換では、周波数分解能Δfは窓幅の逆数で与えられる。すなわち、解析する窓幅が広くなれば、周波数分解能が高く(Δfが小さく)なり、逆に窓幅が狭くなると周波数分解能が低く(Δfが大きく)なる。
また、もちろん、直接波と反射波の周波数差が大きいほど、直接波と反射波の分離は容易になる。そこで、ドップラーシフト量を大きくすることも必要となる。
これらのことから、非特許文献1に記載されている装置は、大きな円盤を回転周期をゆっくりにして回転させている。回転周期がゆっくりであっても、円盤が大きければ、円盤の外周付近に設置されているアンテナの速度は高くなるため、ドップラーシフトは大きくなる。また、回転周期がゆっくりであるため、時間窓を広くすることができる。そのため、周波数分解能Δfを高くすることもできる。
しかし、大きな円盤を用いるため、屋内の様々な場所に容易に設置できるものではなくなってしまう。屋内の様々な場所に容易に設置できるようにするためには、小型であることが望まれる。
円盤を小型化しつつドップラーシフトを大きくするには、角速度を速くすればよい。しかしながら、角速度を速くすると周波数解析の窓を広くとることができなくなる。時間窓TはT=N/fs(Nはサンプリング点数、fsはサンプリング周波数)の関係があり、角速度を速くするとNが小さくなるからである。角速度を速くすると周波数解析の窓を広くとることができないため、周波数分解能が低下してしまう。
フーリエ変換による周波数解析に代えて、受信信号のモデルを用意して、そのモデルのパラメータを変化させつつ、受信信号との一致度を判定する手法を用いれば、パラメータを変化させるピッチを細かくすることで、角度分解能を上げることができる。
しかし、アンテナの回転によりアンテナと無線タグとの距離が連続的に変化し、この距離の変化により生じるドップラーシフトを表す受信信号のモデルは、厳密に表現すると複雑なモデルになってしまう。そのため、演算量が多くなってしまう。近似を用いてモデルを簡素化すれば演算量は少なくなるが、適切な近似でない場合には、電波到来方向の推定精度が低下する。
本発明は、この事情に基づいて成されたものであり、その目的とするところは、小型化が可能であり、角度分解能が高く、精度もよく、演算量も少なくすることができる電波到来方向推定装置および電波到来方向推定システムを提供することにある。
上記目的は独立請求項に記載の特徴の組み合わせにより達成され、また、下位請求項は、発明の更なる有利な具体例を規定する。特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
上記目的を達成するための本発明は、無線タグ(300)が送信する予め設定された一定周波数の電波の到来方向を推定する電波到来方向推定装置であって、
回転盤(112)と、その回転盤を予め設定した一定周期で回転させる駆動部(113)と、その回転盤の上の回転中心以外の位置に固定されて無線タグが送信する電波を受信するアンテナ(111)とを備えた受信部(100)と、
無線タグが送信する電波を平面波とする近似を用いて、受信部が出力する信号である受信信号を表す近似モデルであって、未知パラメータとして、基準方位に対する無線タグの方位角と、方位角、アンテナの回転角度、時間の影響を受けない位相とを含む近似モデルを記憶する記憶部(220)と、
受信部が出力する受信信号と、記憶部に記憶されている近似モデルとの一致度を、近似モデルの未知パラメータを変化させつつ行うことで、受信信号と最も一致する近似モデルにおける方位角を決定する方位角決定部(230)と、を備える。
本発明では、次の理由により、回転盤の小型化が可能である。無線タグが送信する周波数は一定周波数に設定されているが、実機では当然、送信する周波数にある程度の変動が生じる。アンテナの回転により生じるドップラーシフトの大きさが無線タグの送信する周波数の変動幅と同程度では、ドップラーシフトによる周波数変動を、無線タグが送信する周波数の変動と区別することができない。よって、周波数解析手法によらず、Pseudo-doppler法では、ある程度の大きさのドップラーシフトが生じる速度でアンテナを回転させる必要がある。
回転盤を高速に回転させてしまうと窓幅が狭くなる。しかし、本発明では、フーリエ変換ではなく、受信部が出力する受信信号と近似モデルとの一致度を用いて、近似モデルにおける方位角を決定している。すなわち、窓幅には拘束されない手法で方位角を求めている。そのため、回転盤を高速に回転させてドップラーシフトを大きくすることができる。つまり、回転盤に固定したアンテナの速度を速くするために回転盤を大きくする必要がない。したがって、回転盤の小型化が可能である。また、角度分解能を高くするためには、数値探索するピッチを狭くすればよいことから、角度分解能を高くすることも容易である。
そして、本発明では、次の理由により、演算量を少なくしつつも、精度よく電波到来方向を推定することができる。本発明では、アンテナが回転移動して無線タグに対して接近離隔を繰り返すことにより、アンテナが受信する電波にドップラーシフトが生じるため、アンテナが受信する電波の周波数は、アンテナの回転移動に伴って変動する。そのため、アンテナが受信する電波を厳密にモデル化すると、複雑なモデルとなり、演算量が多くなってしまう。
そこで、本発明では、受信信号を表す近似モデルを用いる。無線タグが送信する電波は、実際には球面波であるが、本発明における近似モデルは、無線タグが送信する電波を平面波であると近似して求めている。
平面波とする近似は、アンテナの位置によらず、無線タグはアンテナに対して同じ方向に存在するとみなすものである。アンテナの回転半径と比較して、アンテナから無線タグまでの距離が長いほど、アンテナが回転しても、アンテナに対する無線タグの方向変化は少ない。本発明では、すでに説明したように、回転盤を小型化することができる。回転盤が小型であれば、アンテナの回転半径も小さくなる。アンテナの回転半径が小さくなれば、アンテナの回転半径と比較して、アンテナから無線タグまでの距離が長くなりやすい。したがって、平面波とする近似は、回転盤が小型化できる本発明においては、アンテナが受信する電波を厳密にモデル化した場合に対する精度低下が少ない。換言すれば、平面波とする近似は、回転盤が小型化できる本発明では、精度よく電波到来方向を推定することができる。
また、平面波とする近似を用いた近似モデルは、詳しくは後述するが、厳密にモデル化した場合には存在する平方根がない。したがって、厳密にモデル化する場合に比較して、演算量も大きく低減できる。
また、請求項記載の発明は次の特徴も備える。
受信部は、アンテナが受信した電波の周波数を、アンテナの回転速度により定まる最大ドップラーシフトよりも中心周波数が低くなるように低下させた低周波信号を生成する低周波信号生成部(120)を備え、受信信号として低周波信号を出力し、
記憶部には、近似モデルとして、無線タグが送信する電波を平面波とする近似を用いて、低周波信号生成部が生成した低周波信号を表す低周波近似モデルが記憶されており、
方位角決定部は、
低周波近似モデルにおける未知パラメータである方位角を180度以下の範囲で変化させるようになっており、
低周波信号生成部が生成した低周波信号と記憶部に記憶されている低周波近似モデルとの一致度を、一致度算出区間をアンテナが180度よりも多く回転する区間として、低周波近似モデルのパラメータを変化させつつ算出することで、低周波信号に最も一致する低周波近似モデルにおける方位角を決定する。
本発明によれば、低周波信号生成部において低周波信号を生成する。この低周波信号は、アンテナの回転速度により定まる最大ドップラーシフトよりも中心周波数が低いので、周波数が負になることがある。
無線タグが送信する電波を平面波と近似することにより、近似モデルは、近似していない場合に対して位相誤差が生じる。ここで、アンテナの回転によるドップラーシフトにより周波数が変動するのであるから、周波数が負である状態は、周波数が正である状態に対して、アンテナの回転方向が反転した状態とみなすことができる。
そして、近似モデルに生じる位相誤差は、無線タグからアンテナの回転中心までの距離と、無線タグからアンテナまでの距離との距離差により生じる。したがって、アンテナの回転方向が反転すれば、位相誤差も反対方向に生じる。
周波数が正である場合と周波数が負である場合とで位相誤差が互いに反対方向になることから、一致度算出区間を、周波数が正となる区間および負となる区間を含ませれば、位相誤差を相殺することができる。
周波数の正負が反転するのは、アンテナと、アンテナの回転中心と、無線タグが一直線上に並ぶときである。そのため、アンテナが180度回転するごとに、周波数の正負は反転する。
本発明の方位角決定部は、一致度算出区間をアンテナが180度よりも多く回転する区間としているので、周波数が正である場合の位相誤差と周波数が負である場合の位相誤差が相殺されることになる。したがって、低周波信号と最も一致する低周波近似モデルとして、実際の低周波信号に対する位相誤差が少ない低周波近似モデルを決定することができる。その結果、低周波近似モデルから決定する方位角の精度がより向上する。
請求項記載の発明は次の特徴も備える。
受信部は、アンテナが受信した電波の周波数を、アンテナの回転速度により定まる最大ドップラーシフトよりも中心周波数が低くなるように低下させたI成分信号およびQ成分信号を生成する低周波信号生成部(120)を備え、受信信号としてI成分信号およびQ成分信号を出力し、
記憶部には、近似モデルとして、無線タグが送信する電波を平面波とする近似を用いて、低周波信号生成部が生成したI成分信号、Q成分信号をそれぞれ表すI成分近似モデル、Q成分近似モデルが記憶されており、
方位角決定部は、
I成分近似モデル、Q成分近似モデルにおける未知パラメータである方位角を180度よりも広い範囲に渡り変化させるようになっており、
低周波信号生成部が生成したI成分信号と記憶部に記憶されているI成分近似モデルとの一致度、および、低周波信号生成部が生成したQ成分信号と記憶部に記憶されているQ成分近似モデルとの一致度を、一致度算出区間をアンテナが180度よりも多く回転する区間として、I成分近似モデルおよびQ成分近似モデルのパラメータを変化させつつ算出することで、I成分信号およびQ成分信号に最も一致するI成分近似モデルおよびQ成分近似モデルにおける方位角を決定する。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の発明における低周波信号を、I成分信号とQ成分信号に分けている。また、記憶部に記憶している近似モデルも、I成分近似モデル、Q成分近似モデルとしている。そして、方位角決定部は、I成分信号とI成分近似モデルとの一致度と、Q成分信号とQ成分近似モデルとの一致度を算出している。
このようにしているのは、I成分近似モデル、Q成分近似モデルにおける未知パラメータである方位角を180度よりも広い範囲に渡り変化させるからである。すなわち、方位角の探索範囲が180度よりも広いからである。
詳しくは後述するが、I成分近似モデルおよびQ成分近似モデルは、方位角が180度異なっていることに加えて、位相も異なっている波形と互いに同じ波形になることがある。そのため、方位角の探索範囲が180度よりも広い場合、I成分近似モデルおよびQ成分近似モデルのいずれか一方だけでは、方位角を確定させることができない。
しかし、I成分近似モデルおよびQ成分近似モデルのいずれかが、方位角が180度異なっている波形と同じ波形になるパラメータを他方の近似モデルに代入すると、その他方の近似モデルでは、方位角が互いに180度異なっている2つの波形は異なる波形になる。したがって、方位角の探索範囲が180度よりも広くても、I成分近似モデルおよびQ成分近似モデルの2つのモデルを用いることにより、方位角を確定させることができる。
請求項記載の発明では、低周波信号生成部は、中心周波数が0Hzとなる低周波信号を生成し、方位角決定部は、一致度算出区間を、アンテナが360度回転する区間とする。
請求項記載の発明では、低周波信号生成部は、中心周波数が0HzとなるI成分信号およびQ成分信号を生成し、方位角決定部は、一致度算出区間を、アンテナが360度回転する区間とする。
これら請求項3、4記載の発明によれば、低周波信号生成部は、中心周波数が0Hzとなる低周波信号あるいはI成分信号およびQ成分信号を生成している。中心周波数が0Hzとなる場合、アンテナが1回転する間において、近似モデルの正の周波数の区間における位相誤差と、その近似モデルの負の周波数における位相誤差とが、逆符号で絶対値が等しくなる。そして、一致度算出区間をアンテナが360度回転する区間としているので、位相誤差を精度よく相殺することができる。そのため、近似モデルから決定する方位角の精度がより向上する。
請求項記載の発明は、請求項1〜のいずれか1項に記載の電波到来方向推定装置と、無タグとを備えた電波到来方向推定システムである。
実施形態の電波到来方向推定システムの構成図である。 アンテナ111と無線タグ300との相対位置を説明する図である。 平面波近似を説明する図である。 図3のs軸とz軸とを含む平面を表す図である。 近似モデルの波形と、近似なしの波形とを比較して示す図である。 近似モデルの位相が進む理由を説明する図である。 I成分近似モデルの波形と、近似なしの波形のI成分信号とを比較する図である。 Q成分近似モデルの波形と、近似なしの波形のQ成分信号とを比較する図である。 変形例1における受信部100の構成を示す図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態の電波到来方向推定システムは、図1に示す無線タグリーダ1と無線タグ300とを含んで構成される。無線タグリーダ1は、請求項の電波到来方向推定装置として機能する。
無線タグ300は、予め設定された一定の搬送波周波数fの無変調波を送信する。この無線タグ300はアクティブ型であり、電波は連続的に送信してもよいが、電池寿命の点で、断続的に電波を送信することが好ましい。無線タグ300は人に携帯されるものであり、衣服のポケットに容易に収容可能な大きさである。
無線タグリーダ1は、受信部100と、信号処理部200とを備え、受信部100は、アンテナ部110と、低周波信号生成部120とを備える。
<アンテナ部110の説明>
アンテナ部110は、アンテナ111、回転盤112、駆動部113を備える。アンテナ111は、回転盤112の外周縁に固定される。アンテナ111の形状および大きさは、無線タグ300が送信する無変調波を受信でき、回転盤112において回転中心以外の場所に固定できる大きさであれば、それ以外に制限はない。
回転盤112は、駆動部113によって回転させられる。回転盤112の形状は円盤形状に限らないが、駆動部113に対して偏心していないことが望ましい。回転盤112は、室内にも容易に設定できる大きさになっている。たとえば、直径10cmの円盤である。回転盤112が回転すると、その上に固定されているアンテナ111も同時に回転する。
駆動部113は、モーターを備えた構成であり、一定周期で回転盤112を回転させる。この一定周期は、確保したいドップラーシフトから定まるアンテナ111の回転速度と、アンテナ111の回転半径から定める。
<低周波信号生成部120の説明>
低周波信号生成部120は、バンドパスフィルタ121、局部発振器122、ミキサ123、ローパスフィルタ124、A/D変換器125、位相シフト器126、ミキサ127、ローパスフィルタ128、A/D変換器129を備えている。
バンドパスフィルタ121は、無線タグ300が送信する電波の周波数を中心として、アンテナ111が回転することにより生じるドップラーシフトから定まる周波数域を通過周波数帯域としている。このバンドパスフィルタ121は、アンテナ111が受信した受信信号から、ノイズを除去する。局部発振器122は、無線タグ300が送信する搬送波周波数fと同じ周波数の局部発振信号を生成する。
ミキサ123は、局部発振信号と、バンドパスフィルタ121が出力した信号を混合して、局部発振信号の周波数とバンドパスフィルタ121が出力した周波数との和の周波数および差の周波数の信号を出力する。
ローパスフィルタ124は、ミキサ123が出力した信号から、局部発振信号の周波数とバンドパスフィルタ121が出力した周波数の差の周波数の信号を抽出する。局部発振信号の周波数が、無線タグ300が送信する搬送波周波数fと同じ周波数であることから、ローパスフィルタ124が抽出する信号は、中心周波数が0Hzとなっている。このローパスフィルタ124が出力する信号を、以下、I成分信号という。A/D変換器125は、ローパスフィルタ124が抽出したアナログ信号であるI成分信号をデジタル信号に変換する。
位相シフト器126は、局部発振信号の位相を90°シフトさせる。ミキサ127は、位相シフト器126により90°位相がシフトされた局部発振信号と、バンドパスフィルタ121が出力した信号とを混合する。ローパスフィルタ128は、ミキサ127が出力した信号から、局部発振信号の周波数とバンドパスフィルタ121が出力した周波数の差の周波数の信号を抽出する。ただし、ローパスフィルタ128が出力する信号は、I成分信号に対して90°位相がずれている。ローパスフィルタ128が出力する信号を、以下、Q成分信号という。このQ成分信号も中心周波数は0Hzとなっている。A/D変換器129は、ローパスフィルタ128が抽出したアナログ信号であるQ成分信号をデジタル信号に変換する。なお、A/D変換器125、129が出力するI成分信号、Q成分信号は、請求項の低周波信号および受信信号に相当する。
<信号処理部200の説明>
信号処理部200は、信号取得部210、記憶部220、方位角決定部230を備える。信号取得部210は、A/D変換器125、129からI成分信号、Q成分信号を取得して、取得した信号を記憶部220あるいは図示しないRAMなどの所定の記憶部に格納する。
無線タグ300は無変調波を送信している。しかし、アンテナ111は回転盤112が回転することにより、無線タグ300に対する距離が変化する。そのため、アンテナ111が受信する電波の周波数は変動する。したがって、信号取得部210が取得するI成分信号およびQ成分信号も周波数が変動する。
記憶部220は、無線タグ300が送信する電波を平面波とする近似を用いて、I成分信号、Q成分信号をそれぞれ表した式であるI成分近似モデル、Q成分近似モデルを記憶している。
<I成分近似モデル、Q成分近似モデルの説明>
I成分近似モデル、Q成分近似モデルを説明する前に、アンテナ111が受信する受信信号を、近似を行わないで表したモデル(以下、厳密モデル)を説明する。
図2は、アンテナ111と無線タグ300との相対位置を説明する図である。この図2に示すように、以下の説明では、無線タグ300が送信する電波は、周波数がfRF、振幅がA、位相がΨであるとする。アンテナ111の回転角速度はωとし、回転角度はθとする。時間tを用いると、θ=ωtとなる。また、基準方位に対する無線タグ300の方位角をφ、回転盤112の中心位置に対する無線タグ300の仰角をδとし、アンテナ111の回転半径をRとする。
また、無線タグ300と回転盤112の中心との距離をL、無線タグ300とアンテナ111との間の距離をLとし、無線タグ300の位置をP(x、y、z)、回転盤112の中心位置をP(x、y、z)、アンテナ111の位置をP(x、y、z)とする。
アンテナ111の初期角度をx軸方向であるとすると、アンテナ111の位置Pは、下記式1で表すことができる。
Figure 0006303862
また、無線タグ300の位置Pは、回転盤112の中心位置P(x、y、z)、仰角δ、方位角φを用いて式2で表すことができる。
Figure 0006303862
無線タグ300とアンテナ111との間の距離をLは式3で表すことができる。この式3に、式1、式2を代入して整理すると、式4が得られる。
Figure 0006303862
Figure 0006303862
式4が得られるので、光速をvとすると、アンテナ111が受信する受信信号Vは式5で表すことができる。
Figure 0006303862
通常、空中に放射するために電波の周波数は高い。したがって、受信信号Vの周波数も高いので、ローカル信号とミキシングして周波数を下げる。周波数fLO、位相ΨLOの信号でミキシングすると、ミキシング後の受信信号Vは式6で表される。この式6が厳密モデルである。
Figure 0006303862
アンテナ111が円運動することに伴いLは増減する。したがって、式6から、ミキシング後の受信信号Vの周波数は、時間経過により変動する。そのため、精度のよい解析を行うにはある程度の窓幅が必要になるフーリエ変換法では、ミキシング後の受信信号Vを精度よく解析することができない。
そこで、本実施形態ではモデルマッチにより、方位角φの推定を行う。しかし、式6に示した厳密モデルは、無線タグ300とアンテナ111との間の距離Lを含んでおり、この距離Lは、式4に示すように、式全体が平方根内にある。したがって、式6の厳密モデルを用いると、複雑な計算が必要となる。 本実施形態では、計算を簡略化するために、無線タグ300が送信する電波を平面波であると近似して、式6に示した厳密モデルを近似した近似モデルを用いる。
無線タグ300が送信する電波を平面波であると考えると、アンテナ111が受信する電波は、アンテナ111の位置によらず、無線タグ300からアンテナ111の回転中心に向かう電波と平行になっていると考えることができる。
この場合、図3に示すように、アンテナ111に到達する電波は、無線タグ300からアンテナ111の回転中心への電波に対して垂直な平面Pの上の近似電波発信源300aから送信されたとみなすことができる。
図3において、L’は近似電波発信源300aからアンテナ111までの距離である。また、sは方位角φの方向を表す軸である。このs軸とz軸とを含む平面を表す図が図4である。
図4から、近似電波発信源300aからアンテナ111までの近似距離L’は、式7で表すことができることが分かる。
Figure 0006303862
式7に示す近似距離L’をLの代わりに用いる、すなわち、式5の距離Lに近似距離L’を代入し、さらに、位相をΨ’としてまとめると、式8が得られる。この式8を、以下では近似モデルという。
Figure 0006303862
式5と異なり、式8は平方根がないシンプルな形になっている。この式8に示した近似モデルを用いてマッチングを行うこともできる。しかし、本実施形態では、式8の近似モデルを元にして導出したI成分近似モデルとQ成分近似モデルを用いる。
I成分近似モデルとQ成分近似モデルを用いる理由は、式8の近似モデルは、実際の受信波形に対して位相誤差が生じるからである。図5に、適当なパラメータを設定した近似モデルの波形と、近似なしの波形、すなわち厳密モデルの波形とを比較して示す。
近似なしの波形に比べて、近似モデルの波形は位相が進んでいる。近似モデルの波形の位相が進む理由は、図6に示すように、近似モデルでは、電波が到達するまでの距離が短いためである。
図6において、無線タグ300とアンテナ111の間の距離Lと近似距離L’との差は、アンテナ111の角度が電波到来方向に対して垂直なほど大きい。また、その差の最大値は、無線タグ300がアンテナ111に近いほど大きく、アンテナ111の回転半径Rが大きいほど大きくなる。したがって、近似モデルを用いて求める無線タグ300の方位角φと仰角δの誤差も、アンテナ111の角度が電波到来方向に対して垂直なほど大きく、また、無線タグ300がアンテナ111に近く、かつ、アンテナ111の回転半径Rが大きいほど大きくなる。
本実施形態で用いるI成分近似モデル、Q成分近似モデルは、式8の近似モデルの中心周波数を0Hzまで落とし、かつ、I成分とQ成分に分けた信号のモデルである。
受信信号Vの中心周波数を0Hzまで低下させるためには、無線タグ300が送信する周波数fRFと同じ周波数の信号を受信信号Vにミキシングすればよい。ミキシング後の信号のI成分を表す式は、式6においてfIF=0とすることで得られる。また、ミキシング後の信号のQ成分は、ミキシング後の信号のI成分に直交している。したがって、ミキシング後の信号のI成分、Q成分を表す式は、式9で表すことができる。
Figure 0006303862
位相Ψと位相ΨLOは固定値であるので、これらをまとめると、ミキシング後の信号のI成分、Q成分を表す式は、式10で表すことができる。
Figure 0006303862
この式10のLに、式7に示したL’を代入すると、式11が得られる。式11が、本実施形態で用いるI成分近似モデルとQ成分近似モデルである。
Figure 0006303862
記憶部220には、この式11に示すI成分近似モデルとQ成分近似モデルが記憶されている。
図7は、図5の近似モデルの波形に対応するI成分近似モデルの波形と、近似なしの波形のI成分信号とを比較して示している。図8は、図5の近似モデルの波形に対応するQ分近似モデルの波形と、近似なしの波形のQ成分信号とを比較して示している。
図7、図8に示すように、I成分近似モデル、Q成分近似モデルともに、近似なしの波形に対する位相誤差は生じている。しかし、図5とは異なり、I成分近似モデル、Q成分近似モデルともに、近似なしの波形に対して、位相は進んだり遅れたりしている。
より詳しくは、0度から180度までは、I成分近似モデル、Q成分近似モデルの波形は近似なしの波形よりも位相が遅れ、180度から360度までは位相が進んでいる。なお、図7、8の例は、無線タグ300が0度方向に存在している場合である。
この理由は次の通りである。中心周波数を0Hzとしているので、アンテナ111が無線タグ300から遠ざかる方向に移動しているときは、ドップラーシフトにより、I成分信号、Q成分信号は負の周波数となる。負の周波数となる区間では、正の周波数となる区間とは回転方向が反転する。回転方向が反転するため、位相がずれる方向も、正の周波数となる区間とは反対方向になるのである。
方位角決定部230は、I成分近似モデルが、信号取得部210が取得したI成分信号に最も一致するとともに、Q成分近似モデルが、信号取得部210が取得したQ成分信号に最も一致するパラメータを決定する。このパラメータには、方位角φ、仰角δも含まれていることから、無線タグ300の方位角φ、仰角δも決定することができる。
I成分近似モデルとI成分信号との一致、Q成分近似モデルとQ成分信号との一致は、それらの差(以下、残差エネルギーE)を算出して判定する。この残差エネルギーは請求項の一致度に相当し、残差エネルギーEが小さいほど一致していることになる。
残差エネルギーEは、必要になる分解能から定まるピッチで未知パラメータに代入する数値を変化させるごとに算出する。未知パラメータを変化させる範囲は予め設定されており、方位角φについては、本実施形態では360度である。
残差エネルギーEの算出方法は、I成分を例にして説明すると、未知パラメータを代入したI成分近似モデルとI成分信号の一致度算出区間分の波形を切り出し、両波形の差を算出する。この差が残差エネルギーEである。一致度算出区間は、本実施形態では、アンテナ111が360度回転する区間である。
I成分およびQ成分の両方に対して一致度を算出しているのは、いずれか一方の成分だけでは、I成分近似モデル、Q成分近似モデルともに、方位角φが180度異なっていても、同じ波形になることがあるからである。このことを式変形を行なって説明する。
式11において、φにφ+π、Ψに−Ψを代入すると、式12になる。
Figure 0006303862
cos(a−π)=−cos(a)であるから、式12は式13に変形できる。
Figure 0006303862
cos(−a)=cos(a)、sin(−a)=−sin(a)であるから、式13は式14に変形できる。
Figure 0006303862
式14におけるI成分近似モデルは、式11におけるI成分近似モデルと同じである。つまり、I成分近似モデルは、方位角φが180度異なっていても、合わせて位相Ψが逆符号になると、それらを互いに区別することができない。しかし、式11におけるQ成分信号モデルと、式14におけるQ成分信号モデルは異なるため、Q成分信号モデルから、(φ、Ψ)と(φ+π、−Ψ)とを区別できることが分かる。
しかし、Q成分近似モデルは、(φ、Ψ)と(φ+π、−Ψ+π)を区別することができない。このことを次に説明する。
式11において、φにφ+π、Ψに−Ψ+πを代入すると、式15になる。
Figure 0006303862
cos(a−π)=−cos(a)であるから、式15は式16に変形できる。
Figure 0006303862
cos(a+π)=−cos(a)、sin(a+π)=−sin(a)であるから、式16は、式17に変形できる。
Figure 0006303862
cos(−a)=cos(a)、sin(−a)=−sin(a)であるから、式17は式18に変形できる。
Figure 0006303862
式18におけるQ成分近似モデルは、式11におけるQ成分近似モデルと同じである。したがって、Q成分近似モデルは、(φ、Ψ)と(φ+π、−Ψ+π)を区別することができない。しかし、式11におけるI成分信号モデルと、式18におけるI成分信号モデルは異なるため、I成分信号モデルから、(φ、Ψ)と(φ+π、−Ψ+π)とを区別できることが分かる。
このように、式11のI成分近似モデル、Q成分近似モデルは、それぞれ、単独では方位角φを180度ずらした場合との区別ができないので、180度よりも広い角度範囲にわたり探索する場合には、I成分近似モデルとQ成分近似モデルの両方が必要になる。そして、本実施形態では、方位角φの探索範囲は360度である。
そのため、方位角決定部230は、I成分近似モデルおよびQ成分近似モデルの2つの近似モデルを用い、信号取得部210が取得したI成分信号、Q成分信号に最も一致するI成分近似モデルとQ成分近似モデルを決定する。そして、決定したI成分近似モデルまたはQ成分近似モデルにおける方位角φを、無線タグ300が存在する方位であるとする。
上述した本実施形態では、回転盤112の小型化が可能である。その理由は次の通りである。すでに説明したように、Pseudo-doppler法では、無線タグ300が送信する周波数fFRの変動と区別することができる程度の大きさのドップラーシフトが生じる速度でアンテナ111を回転させる必要がある。
回転盤112を高速に回転させてしまうと窓幅が狭くなる。しかし、本実施形態では、フーリエ変換ではなく、受信部100が出力するI成分信号、Q成分信号とI成分近似モデル、Q成分近似モデルとの一致度を表す残差エネルギーEを算出して、I成分近似モデル、Q成分近似モデルにおける方位角φを決定している。すなわち、窓幅には拘束されない手法で方位角φを求めている。そのため、回転盤112を高速に回転させてドップラーシフトを大きくすることができる。つまり、回転盤112に固定したアンテナ111の速度を速くするために回転盤112を大きくする必要がない。したがって、回転盤112の小型化が可能である。また、角度分解能を高くするためには、数値探索するピッチを狭くすればよいことから、角度分解能を高くすることも容易である。
また、すでに説明したように、アンテナ111が受信する電波を厳密にモデル化すると、式6に示す複雑なモデルとなり、演算量が多くなってしまう。そこで、本実施形態では、I成分近似モデル、Q成分近似モデルを用いる。無線タグ300が送信する電波は、実際には球面波であるが、本実施形態で用いるI成分近似モデル、Q成分近似モデルは、無線タグ300が送信する電波を平面波であると近似して求めている。
平面波とする近似は、アンテナ111の位置によらず、無線タグ300はアンテナ111に対して同じ方向に存在するとみなすものである。アンテナ111の回転半径Rと比較して、アンテナ111から無線タグ300までの距離が長いほど、アンテナ111が回転しても、アンテナ111に対する無線タグ300の方向変化は少ない。本実施形態では、すでに説明したように、回転盤112を小型化することができる。回転盤112が小型であれば、アンテナ111の回転半径Rも小さくなる。アンテナ111の回転半径Rが小さくなれば、アンテナ111の回転半径Rと比較して、アンテナ111から無線タグ300までの距離Lが長くなりやすい。したがって、平面波とする近似は、回転盤112が小型化できる本実施形態においては、アンテナ111が受信する電波を厳密にモデル化した場合に対する精度低下が少ない。換言すれば、平面波とする近似は、回転盤112が小型化できる本実施形態では、精度よく電波到来方向を推定することができる。
また、本実施形態のI成分近似モデル、Q成分近似モデルは、式11に示すように、厳密モデル(式6)には存在する平方根がない。したがって、厳密モデルを用いる場合に比較して、演算量も大きく低減できる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、次の変形例も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。なお、以下の説明において、それまでに使用した符号と同一番号の符号を有する要素は、特に言及する場合を除き、それ以前の実施形態における同一符号の要素と同一である。また、構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分については先に説明した実施形態を適用できる。
<変形例1>
前述の実施形態の局部発振器122に代えて、変形例1では、図9に示すように、リファレンスアンテナ130と、バンドパスフィルタ131を備える。リファレンスアンテナ130は、回転盤112の付近に固定される。また、回転盤112の回転中心に固定されてもよい。回転盤112の回転中心は、回転盤112が回転しても位置が変わらないからである。
局部発振器122を用いる場合には、局部発振器122が発振する周波数と、無線タグ300が送信する周波数が完全には一致しない。したがって、I成分信号、Q成分信号の中心周波数を精度よく0Hzとすることが難しいのに対して、リファレンスアンテナ130を用いる場合には、I成分信号、Q成分信号の中心周波数を精度よく0Hzとすることができる。
<変形例2>
前述の実施形態では、一致度算出区間をアンテナ111が360度回転する区間としていたが、一致度算出区間は、アンテナ111が180度よりも多く回転する区間であればよい。
I成分信号、Q成分信号の周波数の正負が反転するのは、アンテナ111と、アンテナ111の回転中心と、無線タグ300が一直線上に並ぶときである。そのため、アンテナ111が180度回転するごとに、I成分信号、Q成分信号は、周波数の正負が反転する。図7、図8の例では、0度と180度で周波数の正負が反転する。
一致度算出区間が、アンテナ111が180度よりも多く回転する区間であれば、周波数が正となる区間および負となる区間の両方が含まれることになる。したがって、少なくとも、一致度算出区間は、アンテナ111が180度よりも多く回転する区間であれば、位相誤差の少なくとも一部を相殺することができる。
<変形例3>
前述の実施形態では、I成分信号、Q成分信号は、中心周波数が0Hzとなる信号であったが、I成分信号、Q成分信号の中心周波数は0Hzでなくてもよい。ただし、最大ドップラーシフトよりも低いことが好ましい。最大ドップラーシフトとは、無線タグ300が静止していると仮定して、アンテナ111の回転のみにより生じるドップラーシフトの最大値である。最大ドップラーシフトは、アンテナ111の速度ベクトルが、無線タグ300に向かう方向に最大となるとき、および、無線タグ300から遠ざかる方向に最大となるときのドップラーシフトである。
I成分信号、Q成分信号の中心周波数が最大ドップラーシフトよりも低ければ、I成分信号、Q成分信号には、負の周波数が生じることになる。負の周波数が生じれば、一致度算出区間に、周波数が正となる区間および負となる区間の両方を含ませることができる。したがって、I成分信号、Q成分信号の中心周波数は、最大ドップラーシフトよりも低ければ、0Hzでなくてもよいのである。
中心周波数が0Hzでない場合、中心周波数をfIFとすると、I成分近似モデル、Q成分近似モデルは、式11のかっこ内に、2πfIFtの項が入るモデルになる。
<変形例4>
前述の実施形態では、I成分信号およびQ成分信号の2つを用いていた。2つの信号を用いていた理由は、I成分近似モデルおよびQ成分近似モデルは、方位角φが180度異なっていても、同じ波形になることがあるからである。したがって、方位角φの探索範囲が180度以下であれば、I成分信号およびQ成分信号のいずれか一方のみを用いて方位角φを決定してもよい。なお、変形例4において用いるI成分近似モデルまたはQ成分近似モデルは、請求項の低周波近似モデルに相当する。
<変形例5>
アンテナ111の回転半径Rに対してアンテナ111と無線タグ300との距離Lが短いほど、近似モデルを用いることによる位相誤差は大きくなる。換言すれば、無線タグ300の方位角φを決定する状況が、主として、アンテナ111の回転半径Rに対してアンテナ111と無線タグ300との距離Lが長ければ、位相誤差が方位角φの推定精度に与える誤差は小さい。位相誤差の影響が小さい場合には、負の周波数が生じるように中心周波数を低下させなくてもよい。
したがって、受信部100は、中心周波数が最大ドップラーシフトよりも高い周波数となる受信信号を出力し、近似モデルとして、式8の近似モデルを用いてもよい。
1:無線タグリーダ、 100:受信部、 110:アンテナ部、 111:アンテナ、 112:回転盤、 113:駆動部、 120:低周波信号生成部、 121:バンドパスフィルタ、 122:局部発振器、 123:ミキサ、 124:ローパスフィルタ、 125:A/D変換器、 126:位相シフト器、 127:ミキサ、 128:ローパスフィルタ、 129:A/D変換器、 130:リファレンスアンテナ、 131:バンドパスフィルタ、 200:信号処理部、 210:信号取得部、 220:記憶部、 230:方位角決定部、 300:無線タグ、 300a:近似電波発信源

Claims (5)

  1. 無線タグ(300)が送信する予め設定された一定周波数の電波の到来方向を推定する電波到来方向推定装置であって、
    回転盤(112)と、その回転盤を予め設定した一定周期で回転させる駆動部(113)と、その回転盤の上の回転中心以外の位置に固定されて前記無線タグが送信する電波を受信するアンテナ(111)とを備えた受信部(100)と、
    前記無線タグが送信する電波を平面波とする近似を用いて、前記受信部が出力する信号である受信信号を表す近似モデルであって、未知パラメータとして、基準方位に対する前記無線タグの方位角と、前記方位角、前記アンテナの回転角度、時間の影響を受けない位相とを含む近似モデルを記憶する記憶部(220)と、
    前記受信部が出力する前記受信信号と、前記記憶部に記憶されている近似モデルとの一致度を、前記近似モデルの未知パラメータを変化させつつ算出することで、前記受信信号と最も一致する前記近似モデルにおける前記方位角を決定する方位角決定部(230)と、を備え
    前記受信部は、前記アンテナが受信した電波の周波数を、前記アンテナの回転速度により定まる最大ドップラーシフトよりも中心周波数が低くなるように低下させた低周波信号を生成する低周波信号生成部(120)を備え、前記受信信号として前記低周波信号を出力し、
    前記記憶部には、前記近似モデルとして、前記無線タグが送信する電波を平面波とする近似を用いて、前記低周波信号生成部が生成した低周波信号を表す低周波近似モデルが記憶されており、
    前記方位角決定部は、
    前記低周波近似モデルにおける未知パラメータである前記方位角を180度以下の範囲で変化させるようになっており、
    前記低周波信号生成部が生成した前記低周波信号と前記記憶部に記憶されている前記低周波近似モデルとの一致度を、一致度算出区間を前記アンテナが180度よりも多く回転する区間として、前記低周波近似モデルのパラメータを変化させつつ算出することで、前記低周波信号に最も一致する前記低周波近似モデルにおける前記方位角を決定することを特徴とする電波到来方向推定装置。
  2. 無線タグ(300)が送信する予め設定された一定周波数の電波の到来方向を推定する電波到来方向推定装置であって、
    回転盤(112)と、その回転盤を予め設定した一定周期で回転させる駆動部(113)と、その回転盤の上の回転中心以外の位置に固定されて前記無線タグが送信する電波を受信するアンテナ(111)とを備えた受信部(100)と、
    前記無線タグが送信する電波を平面波とする近似を用いて、前記受信部が出力する信号である受信信号を表す近似モデルであって、未知パラメータとして、基準方位に対する前記無線タグの方位角と、前記方位角、前記アンテナの回転角度、時間の影響を受けない位相とを含む近似モデルを記憶する記憶部(220)と、
    前記受信部が出力する前記受信信号と、前記記憶部に記憶されている近似モデルとの一致度を、前記近似モデルの未知パラメータを変化させつつ算出することで、前記受信信号と最も一致する前記近似モデルにおける前記方位角を決定する方位角決定部(230)と、を備え
    前記受信部は、前記アンテナが受信した電波の周波数を、前記アンテナの回転速度により定まる最大ドップラーシフトよりも中心周波数が低くなるように低下させたI成分信号およびQ成分信号を生成する低周波信号生成部(120)を備え、前記受信信号として前記I成分信号およびQ成分信号を出力し、
    前記記憶部には、前記近似モデルとして、前記無線タグが送信する電波を平面波とする近似を用いて、前記低周波信号生成部が生成した前記I成分信号、Q成分信号をそれぞれ表すI成分近似モデル、Q成分近似モデルが記憶されており、
    前記方位角決定部は、
    前記I成分近似モデル、Q成分近似モデルにおける未知パラメータである前記方位角を180度よりも広い範囲に渡り変化させるようになっており、
    前記低周波信号生成部が生成した前記I成分信号と前記記憶部に記憶されている前記I成分近似モデルとの一致度、および、前記低周波信号生成部が生成した前記Q成分信号と前記記憶部に記憶されている前記Q成分近似モデルとの一致度を、一致度算出区間を前記アンテナが180度よりも多く回転する区間として、前記I成分近似モデルおよびQ成分近似モデルのパラメータを変化させつつ算出することで、前記I成分信号および前記Q成分信号に最も一致する前記I成分近似モデルおよびQ成分近似モデルにおける前記方位角を決定することを特徴とする電波到来方向推定装置。
  3. 請求項において、
    前記低周波信号生成部は、中心周波数が0Hzとなる前記低周波信号を生成し、
    前記方位角決定部は、前記一致度算出区間を、前記アンテナが360度回転する区間とすることを特徴とする電波到来方向推定装置。
  4. 請求項において、
    前記低周波信号生成部は、中心周波数が0Hzとなる前記I成分信号および前記Q成分信号を生成し、
    前記方位角決定部は、前記一致度算出区間を、前記アンテナが360度回転する区間とすることを特徴とする電波到来方向推定装置。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載の電波到来方向推定装置と、前記無線タグとを備えた電波到来方向推定システム。
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