以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。尚、各実施例において同一の構成については、同一の符号を付し、最初の実施例においてのみ説明し、以後の実施例においてはその構成の説明を省略する。
図1は本発明に係るプリンターの外観斜視図であり、図2は本発明に係るプリンターにおける媒体搬送経路を示す図であり、図3は第1搬送経路から第2搬送経路へ媒体を搬送する際の第1搬送経路と第2搬送経路とを接続するフラップの状態を示す斜視図であり、図4は第2搬送経路から第3搬送経路へ媒体を搬送する際の第2搬送経路と第3搬送経路とを接続するフラップの状態を示す斜視図であり、図5は本発明に係るプリンターにおいて搬送経路の一部を構成する開閉体の装置本体に対して開いた状態の斜視図である。
図6は本発明に係るプリンターにおける媒体受けトレイを示す斜視図であり、図7は媒体受けトレイの装置本体に対して開いた状態の斜視図であり、図8は装置本体においてユニット体を引き出した状態を示す斜視図であり、図9は本発明に係るプリンターの斜視図であり、図10は媒体搬送経路の一部を構成するユニットを装置本体から引き出した状態を示す斜視図である。
図11はプリンターの正面側のカバーを開いた状態を示す斜視図であり、図12はプリンターの正面側のカバーを開き、ユニットを装置本体から引き出して搬送ローラー対に開口からアクセス可能となる状態を示す斜視図であり、図13は開口部からアクセス可能な搬送ローラー対を見た斜視図であり、図14は媒体搬送経路において搬送される媒体の第1の状態を示す説明図であり、図15は媒体搬送経路において搬送される媒体の第2の状態を示す説明図である。
図16は媒体搬送経路において搬送される媒体の第3の状態を示す説明図であり、図17は媒体搬送経路において搬送される媒体の第4の状態を示す説明図であり、図18は媒体搬送経路において搬送される媒体の第5の状態を示す説明図であり、図19は媒体搬送経路において搬送される媒体の第6の状態を示す説明図であり、図20は媒体搬送経路から開閉ユニットを取り外した状態を示す図であり、図21は媒体搬送経路において上側部材を回動させて上部区間を露呈させた状態を示す図であり、図22は媒体搬送経路においてユニット体が該媒体搬送経路を開放する第2の状態を示す図である。
各図において示すX−Y−Z座標系はX方向が記録装置の奥行き方向及び媒体の幅方向、Y方向が記録装置の幅方向及び媒体の搬送方向、Z方向が装置高さ方向を示している。尚、各図において−X方向を装置前面側とし、+X方向側を装置背面側とする。
■■■プリンター及び搬送経路の概要■■■■
図1及び図2を参照して記録装置の一例としてのインクジェットプリンター10(以下、プリンター10という)について説明する。プリンター10は装置本体12と、スキャナーユニット14とを備える複合機として構成されている。装置本体12は、媒体を収容する複数の媒体収容カセット16を備えている。各媒体収容カセット16は、装置本体12の前面側(図1における−X軸方向側)から着脱可能に取り付けられている。尚、本明細書において媒体Pとは、一例として普通紙や厚紙、写真用紙等の用紙を指している。
また、装置本体12における装置高さ方向(Z軸方向)において、スキャナーユニット14と媒体収容カセット16との間には、後述する記録部18において記録が実行された媒体Pを受ける媒体受けトレイ20が設けられている。
図2及び図14を参照して、プリンター10における媒体Pの搬送経路について説明する。尚、図2には、媒体Pの搬送経路の主要構成のみの符号を付し、特に複数設けられている拍車については符号を省略している。一方、図14には媒体Pの搬送経路の詳細な構成の符号を付している。
本実施例におけるプリンター10は、媒体搬送経路21を備えている。媒体搬送経路21は、「第1搬送経路」としてのストレート経路22、「第2搬送経路」としてのスイッチバック経路24、「第3搬送経路」としての反転経路26、「第4搬送経路」としてのフェイスダウン排出経路28、媒体収容カセット16からストレート経路22に接続される給送経路30から構成されている。
給送経路30には、媒体Pの搬送方向に沿って順に給送ローラー32と、分離ローラー対33と、第1搬送ローラー対34とが設けられている。給送ローラー32は図示しない駆動源により回転駆動させられる。分離ローラー対33の一方のローラー33aは所定の回転抵抗が付与された状態で従動回転するローラーであり、他方のローラー33b(回転駆動されるローラー)との間で媒体Pをニップすることで媒体Pの分離を行う。
第1搬送ローラー対34の一方のローラー34aは、他方のローラー34bの回転駆動に伴って従動回転させられる従動ローラーとして構成され、他方のローラー34bは、図示しない駆動源により回転駆動させられる駆動ローラーとして構成されている。
尚、本実施例では、第1搬送ローラー対34の一方のローラー34a及び他方のローラー34bはゴムローラーにより構成されている。また、各駆動ローラーは装置本体12内に設けられた制御部(不図示)により図示しない駆動源を介して制御されている。また、後述する記録ヘッド48も前記制御部により制御されている。つまり、前記制御部は、プリンター10における記録動作に必要な制御を実行可能に構成されている。
尚、以降の説明において、本明細書に登場する各搬送ローラー対における一方のローラーは従動ローラーとして構成され、他方のローラーは図示しない駆動源により回転駆動させられる駆動ローラーとして構成されているものとして説明する。また、本実施例において、特に説明がない場合、一方のローラーは外周に複数の歯を備える拍車として構成されており、他方のローラーである駆動ローラーは一例としてゴムローラーとして構成されている。
図2に示すように、媒体収容カセット16に収容された媒体Pは、媒体収容カセット16内に設けられたホッパー17上に支持されている。ホッパー17は、ホッパー17に設けられた回動軸17aを支点に回動し、媒体Pを上方に持ち上げる。その際、給送ローラー32は、ホッパー17に支持された媒体Pの最上位の媒体Pと接触して、媒体Pを搬送方向下流側に搬送する。この際、最上位の媒体Pとともに次位以降の媒体Pも搬送されることがあるが、分離ローラー対33により最上位の媒体Pと次位以降の媒体Pとが分離され、最上位の媒体Pのみが搬送方向下流側に搬送されることとなる。
以下、図14を参照して説明する。尚、本実施例では、媒体Pの記録面を下向きにして媒体受けトレイ20に向けて排出されるフェイスダウン排出を前提として説明する。第1搬送ローラー対34の搬送方向下流側には、第2搬送ローラー対36が設けられている。第2搬送ローラー対36も一方のローラー36a及び他方のローラー36bを備えている。
本実施例では第2搬送ローラー対36の位置で、給送経路30とストレート経路22とが接続されている。つまり、給送経路30は媒体収容カセット16から第2搬送ローラー対36までの経路として設定されている。
ストレート経路22は、直線状に延びる経路として構成され、搬送方向に沿って順に第2搬送ローラー対36、第3搬送ローラー対38、記録部18、拍車40、第4搬送ローラー対42、拍車44、第1フラップ46が設けられている。尚、本実施例においてストレート経路22は、第2搬送ローラー対36から第1フラップ46までの経路として設定されている。すなわち、ストレート経路22は記録部18を通り、当該記録部18の上流側及び下流側に延びる経路として設定されている。
第3搬送ローラー対38は一方のローラー38a及び他方のローラー38bを備えている。続いて、記録部18は記録ヘッド48を備えている。本実施例において記録ヘッド48は、当該記録ヘッド48と対向する位置に媒体Pが搬送された際、媒体Pの記録面にインクを吐出して記録を実行するように構成されている。本実施形態に係る記録ヘッド48は、インクを吐出するノズルが用紙幅方向全域をカバーする様に設けられた記録ヘッドであり、用紙幅方向への移動を伴わないで用紙幅全体に記録が可能な記録ヘッドとして構成されている。
記録部18、つまり記録ヘッド48の下流側の搬送経路において、媒体Pの記録面と対向する側には、拍車40、第4搬送ローラー対42の一方のローラー42a(拍車)、拍車44が回転可能に設けられている。つまり、媒体Pの記録面における紙案内をこれらの拍車で行うことにより、記録面における接触面積を減らし、記録面における転写や白ヌケを抑制し、記録品質の低下を抑制することができる。
続いて、拍車44の搬送方向下流側には第1フラップ46が位置している。第1フラップ46は、装置本体12内に設けられた制御部(不図示)が制御する駆動機構により、ストレート経路22とスイッチバック経路24とを接続し(図14の状態)、あるいはストレート経路22とフェイスダウン排出経路28とを接続する(図16の状態)ように切換可能に構成されている。尚、本実施例において第1フラップ46を駆動する駆動機構は、ソレノイドにより構成されている。また、第1フラップ46の姿勢切り換え動作は前記制御部(不図示)により制御されている。
つまり、第1フラップ46によりストレート経路22とスイッチバック経路24とが接続されている際、媒体Pは第4搬送ローラー対42によりストレート経路22からスイッチバック経路24へ送られる(図3参照)。また、ストレート経路22とフェイスダウン排出経路28とが接続されている際、媒体Pは第4搬送ローラー対42によりストレート経路22からフェイスダウン排出経路28へ送られる(図19参照)。
尚、ここで第2フラップ50について説明する。第2フラップ50は、装置高さ方向(Z軸方向)において第1フラップ46の上方に設けられている。そして、第2フラップ50は第1フラップ46の動作に連動して図示しない連動機構により駆動される。つまり、第2フラップ50は、第1フラップ46及び前記連動機構を介して前記制御部に制御されている。
具体的な動作について説明すると、第1フラップ46がストレート経路22とスイッチバック経路24とを接続している状態(図14参照)では、第2フラップ50はスイッチバック経路24と反転経路26との接続を遮る姿勢となる。一方、図16に示すように第1フラップ46がストレート経路22とフェイスダウン排出経路28とを接続している状態では、第2フラップ50はスイッチバック経路24と反転経路26とを接続する姿勢となる。
再度図14を参照して、フェイスダウン排出経路28について説明する。フェイスダウン排出経路28は、装置高さ方向においてストレート経路22から上側へ延びつつ、湾曲反転している。そして、フェイスダウン排出経路28は、第5搬送ローラー対52、第6搬送ローラー対54、第7搬送ローラー対56、第8搬送ローラー対58、第9搬送ローラー対60、第10搬送ローラー対62及び複数の拍車64を備えている。
フェイスダウン排出経路28は、第1フラップ46から第10搬送ローラー対62の搬送方向下流側に位置する出口28aまでを経路としている。つまり、フェイスダウン排出経路28は、ストレート経路22と接続する搬送経路であって、記録部18を通った媒体Pを湾曲させ、反転させて排出する経路である。
記録部18で記録面に記録が実行された媒体Pは、フェイスダウン排出経路28において第1フラップ46から搬送方向に沿って順に、第5搬送ローラー対52、第6搬送ローラー対54、第7搬送ローラー対56、第8搬送ローラー対58、第9搬送ローラー対60及び第10搬送ローラー対62により順次ニップされて搬送される。そして、媒体Pは出口28aから媒体受けトレイ20に向けて排出される。
ここで媒体Pは、フェイスダウン排出経路28を搬送される際、最後に記録部18で記録された記録面を上向きにして搬送され、次に当該記録面をフェイスダウン排出経路28の湾曲部分の内側に向けて湾曲させられて搬送され、そして前記記録面を下向きにして出口28aから媒体受けトレイ20に向けて排出される。
また、第5搬送ローラー対52の一方のローラー52a、第6搬送ローラー対54の一方のローラー54a、第7搬送ローラー対56の一方のローラー56a、第8搬送ローラー対58の一方のローラー58a、第9搬送ローラー対60の一方のローラー60a、第10搬送ローラー対62の一方のローラー62a及び複数の拍車64は、フェイスダウン排出経路28の湾曲の内側、つまり、記録部18において最後に記録された記録面と対向する側に配置されている。
さらに、第5搬送ローラー対52の他方のローラー52b、第6搬送ローラー対54の他方のローラー54b、第7搬送ローラー対56の他方のローラー56b、第8搬送ローラー対58の他方のローラー58b、第9搬送ローラー対60の他方のローラー60b及び第10搬送ローラー対62の他方のローラー62bは、フェイスダウン排出経路28の湾曲の外側、つまり、記録部18において最後に記録された記録面と対向する側と反対の側に配置されている。
つまり、媒体Pを搬送する際、記録部18において最後に記録された記録面と接触するのは、フェイスダウン排出経路28の湾曲の内側に配置された複数の拍車であるから、記録面との接触を最小限に抑制することができ、媒体Pの記録品質の低下を抑制することができる。
ここで、再度図2を参照して媒体受けトレイ20について説明する。媒体受けトレイ20は、フェイスダウン排出経路28の出口28aから遠い側、つまり−Y軸方向側に向かって上向き(+Z軸方向)となる上向き傾斜姿勢を取っている。そして、フェイスダウン排出経路28から排出された媒体Pを載置するように構成されている。尚、本実施例において媒体受けトレイ20は、Z軸方向において記録部18の上方、つまり+Z軸方向側に位置している。
次に、再度図14を参照してスイッチバック経路24について説明する。スイッチバック経路24及び反転経路26は、媒体Pにおける第1面の記録後、第2面に記録を実行する場合、つまり両面記録を実行する場合において媒体Pが通過する経路である。尚、第1面に記録を行わないものの第2面には記録を行う場合も同様に、媒体Pはスイッチバック経路24及び反転経路26を通過する。即ち本明細書において両面記録とは、第1面に記録を行うか否かに拘わらず、媒体Pを反転させて第2面に記録を行うことを意味する。
スイッチバック経路24は、装置高さ方向において上向きに湾曲反転するフェイスダウン排出経路28の内側に位置し、当該フェイスダウン排出経路28に沿って延びている。そして、スイッチバック経路24は、第11搬送ローラー対66と、複数の拍車68とを備えている。第11搬送ローラー対66の一方のローラー66aと、複数の拍車68とは、スイッチバック経路24の湾曲方向における内側に配置されている。また、第11搬送ローラー対66の他方のローラー66bは、スイッチバック経路24の湾曲方向における外側に配置されている。
また、本実施例において、スイッチバック経路は第2フラップ50からスイッチバック経路24の先端に設けられた開口24aまでの経路として設定されている。スイッチバック経路24は、図3及び図14に示すように、スイッチバック経路24とストレート経路22とが第1フラップ46により接続されている際、媒体Pは第4搬送ローラー対42により記録部18から第1フラップ46を経てスイッチバック経路24に送り込まれる。媒体Pはスイッチバック経路24において搬送方向における後端部が第11搬送ローラー対66にニップされる位置まで送り込まれる。
尚、この際、媒体Pの搬送方向における長さによっては、スイッチバック経路24の経路長よりも長くなる場合がある。この場合、媒体Pの先端側は、スイッチバック経路24の先端に設けられた開口24aから媒体Pの先端部分が突出して装置本体12の外側に露呈した状態となる。そして、媒体Pが反転経路26に送られる際、開口24aから突出した媒体Pの先端部分は、開口24aからスイッチバック経路24内に引き込まれる。したがって、媒体Pの搬送方向における長さがスイッチバック経路24の経路長よりも長い場合でも対応することができる。
また、第1フラップ46がストレート経路22とスイッチバック経路24とを接続状態(図14参照)とする姿勢からストレート経路22とスイッチバック経路24とを非接続状態(図16参照)とする姿勢に切り換わると、第2フラップ50はスイッチバック経路24と反転経路26とを接続する姿勢(図4及び図16参照)に切り換わる。
これにより、前記制御手段は、媒体Pをスイッチバック経路24に送り込んだ方向と逆方向に第11搬送ローラー対66を回転させ、媒体Pの後端側を先端側として反転経路26に媒体Pを送り出す。つまり、媒体Pをスイッチバックさせる。したがって、スイッチバック経路24は、ストレート経路22に接続する搬送経路であって、記録部18を通った媒体Pを送り込んだ後、スイッチバックさせて送り込み方向とは逆方向に搬送する経路である。
次に、図14を参照して反転経路26について説明する。反転経路26は、第2フラップ50から、記録部18の上方を通り、ストレート経路22の第2搬送ローラー対36へ至る経路として設定されている。
反転経路26は、第12搬送ローラー対70、第13搬送ローラー対72、第14搬送ローラー対74及び複数の拍車76を備えている。反転経路26において第12搬送ローラー対70の他方のローラー70b、第13搬送ローラー対72の他方のローラー72b、第14搬送ローラー対74の他方のローラー70bは、記録部18に対して搬送経路の内側、つまり記録部18寄りに設けられている。また、第12搬送ローラー対70の一方のローラー70a、第13搬送ローラー対72の一方のローラー72a及び拍車76は、搬送経路の外側に設けられている。
また、本実施例では、符号76aが付された拍車から第12搬送ローラー対70及び第13搬送ローラー対72を経て、符号76bが付された拍車までを上部区間26aとし、符号76bが付された拍車から第2搬送ローラー対36までを反転部26bとする。
上部区間26aは、当該上部区間26aを形成する経路形成部材である上側部材78(図2参照)を備えている。上側部材78は上部区間26aの上側に位置しており、その上部には媒体受けトレイ20が形成されている。すなわち、上側部材78は、その上面が媒体受けトレイ20を構成し、その下面は上部区間26aの一部を構成している。つまり、上側部材78は媒体受けトレイ20と一体的に形成されている。
また、反転経路26において、上部区間26a内に位置する拍車76、76a、76b、第12搬送ローラー対70の一方のローラー70a、第13搬送ローラー対72の一方のローラー72aは上側部材78に回転可能に取り付けられている。
また、図2に示すように上側部材78には、+Y軸方向側端部に回動支点80が設けられている。したがって、上側部材78は、上部区間26aを構成する閉じた姿勢(図2における実線部参照)と上部区間26aを開放する姿勢(図2における二点鎖線部参照)を取り得る。尚、上側部材78の回動については後ほど詳細に説明する。
再度図14を参照するに、反転経路26において上部区間26aは、上向き(+Z軸方向)に傾斜して−Y軸方向に延びている。つまり、上部区間26aは媒体受けトレイ20に沿って延びている(図2参照)。その結果、反転部26bにおける湾曲して媒体を反転させる部分つまり反転部分の曲率を小さくすることができ、媒体Pを無理に曲げることがないので、媒体Pの搬送を円滑にすることができる。
反転部26bの出口側は、ストレート経路22における第2搬送ローラー対36の上流位置においてストレート経路22に合流するように構成されている。そして、媒体Pは、ストレート経路22に再度送り込まれる。つまり、反転経路26は、スイッチバック経路24と接続する搬送経路であって、逆方向に搬送された、すなわちスイッチバックされた媒体Pを記録部18の上側を迂回させて反転させ、ストレート経路22における記録部18の上流側位置に位置する第2搬送ローラー対36で合流させる経路として設定されている。
ここで、反転経路26からストレート経路22に媒体Pが合流する際、スキュー取りが行われる。本実施例では、第14搬送ローラー対74の一方のローラー74aは、樹脂ローラーとして構成されている。また、第2搬送ローラー対36と第14搬送ローラー対74との間の経路において、搬送経路内側には拍車82が回転可能に設けられている。
つまり、反転経路26に沿って搬送されてきた媒体Pを第14搬送ローラー対74にニップさせ、媒体Pの先端を第2搬送ローラー対36に突き当てることによりスキュー取りが行われる。この際、拍車82はスキュー取り時に湾曲した媒体が反転経路26内において経路形成部材と擦れることを抑制する。
以上が、プリンター10において媒体受けトレイ20に対してフェイスダウン排出を実行する際の媒体搬送経路の概要である。本実施例ではプリンター10において媒体Pに対し両面記録、すなわち媒体Pの第1面及び第2面に記録を実行する場合、媒体Pの搬送経路は媒体収容カセット16からストレート経路22、記録部18、スイッチバック経路24及び反転経路26を経て再度ストレート経路22、記録部18を通り、フェイスダウン排出経路28を経て媒体受けトレイ20に至る。
また、本実施例におけるプリンター10はフェイスアップ排出も可能に構成されている。フェイスダウン排出経路28において第6搬送ローラー対54の他方のローラー54bと第7搬送ローラー対56の他方のローラー56bとの間の経路形成部材の一部は第3フラップ84として構成されている。第3フラップ84は、フェイスダウン排出経路28の搬送経路を構成する姿勢(図2及び図14参照)と、フェイスアップ排出姿勢(図示せず)とを切り換え可能に構成されている。尚、本実施例において第3フラップ84は、前記制御部の制御を受けている。
第3フラップ84を前記フェイスアップ排出姿勢に切り換えることにより、ストレート経路22からフェイスダウン排出経路28に送られた媒体Pが、第3フラップ84を介して図8に示すフェイスアップ排出トレイ86に媒体Pの記録面を上向きにして排出される。
また、図2において符号88が付された破線は、手差しトレイ90(図1参照)を装置本体12に対して回動させて開いた状態において手差しトレイ90から供給される媒体Pの手差し給送経路を示している。手差し給送経路88は、給送経路30に合流するように構成されている。これにより、手差し給送経路88から供給された媒体Pもプリンター10において片面記録及び両面記録の両方が実行可能に構成されている。尚、手差しトレイ90の装置本体12に対して開いた姿勢の図示は省略している。
■■■プリンターにおける複数枚の媒体の搬送について■■■■
次に、図14ないし図19を参照して、プリンター10において複数枚の媒体Pnに両面記録を実行する際の媒体搬送経路における媒体の搬送について説明する。尚、図14ないし図19において、符号P1が付された破線を搬送経路において最初に搬送される媒体とし、符号P2が付された破線を二枚目に搬送される媒体とし、符号P3が付された破線を三枚目に搬送される媒体とする。
図14に示すように媒体収容カセット16(図2参照)から給送ローラー32(図2参照)により給送経路30に沿って送られた媒体P1は、第2搬送ローラー対36及び第3搬送ローラー対38に順次ニップされて記録部18、つまり記録ヘッド48と対向する位置に搬送される。そして、媒体P1は記録部18においてその第1面に記録が実行される。第1面に記録が実行された媒体P1は、第4搬送ローラー対42にニップされ、第4搬送ローラー対42の搬送方向下流側に位置する第1フラップ46に向けて搬送される。
この際、第1フラップ46は、ストレート経路22とスイッチバック経路24とを接続する姿勢を取っている。そして、図15に示すように媒体P1は、第4搬送ローラー対42により第1フラップ46を経て、スイッチバック経路24に送り込まれる。
そして、媒体P1は、第11搬送ローラー対66にニップされて媒体P1の後端が第2フラップ50に干渉しない位置までスイッチバック経路24に沿って送られる。この際、二枚目の媒体P2は給送ローラー32により媒体収容カセット16から給送経路30に送り出されている。
次いで、図16に示すように前記制御部(図示せず)は第1フラップ46の姿勢を切り換えて、ストレート経路22とフェイスダウン排出経路28とを接続する状態とする。その結果、第2フラップ50は、第1フラップ46の動作に連動して、スイッチバック経路24と反転経路26とを接続する姿勢を取る。そして、前記制御部の制御により第11搬送ローラー対66は、媒体P1をスイッチバック経路24に送り込んだ方向と逆方向に回転駆動させられる。その結果、媒体P1は当該媒体P1がスイッチバック経路24に送り込まれた際の搬送方向後端側を搬送方向先端側として反転経路26に送り出される。つまり、媒体P1はスイッチバックさせられる。このとき、媒体P2は記録部18において第1面に記録が実行されている。
次に図17に示すように、媒体P1は、第12搬送ローラー対70及び第13搬送ローラー対72に順にニップされて、反転経路26において記録部18の上方に位置する上部区間26aを搬送される。尚、媒体P1が第2フラップ50を通過すると、第1フラップ46の姿勢が切り替えられ、再度ストレート経路22とスイッチバック経路24とが接続状態となる。
そして、記録部18における第1面の記録が終了した媒体P2が第4搬送ローラー対42、第1フラップ46及び第11搬送ローラー対66を経てスイッチバック経路24に搬送される。尚、第2フラップ50は、第1フラップ46の姿勢切換に伴って、スイッチバック経路24と反転経路26とを非接続状態とする姿勢に切り換えられている。
次に図18に示すように、媒体P1は、反転経路26の反転部26bに沿って搬送される際、第1面と第2面とが反転させられ、第14搬送ローラー対74にニップされてストレート経路22に向けて搬送される。この際、媒体Pの先端を第2搬送ローラー対36に突き当ててスキュー取りが行われる。そして、媒体P1は、第2面を記録部18の記録ヘッド48と対向する側に向けてストレート経路22に送り込まれる。ストレート経路22に送り込まれた媒体P1は、第2搬送ローラー対36及び第3搬送ローラー対38に順次ニップされて、記録部18に搬送される。
そして、媒体P1は、記録部18において第2面に記録が実行される。尚、第1フラップ46は、媒体P1の排出に備えて、その姿勢をストレート経路22とスイッチバック経路24とを接続する姿勢から、ストレート経路22とフェイスダウン排出経路28とを接続する姿勢に前記制御部により切り換えられる。また、第2フラップ50も第1フラップ46に連動して、スイッチバック経路24と反転経路26とを非接続状態とする姿勢からスイッチバック経路24と反転経路26とを接続状態とする姿勢へ切り換えられる。
次に図19に示すように、記録部18において第2面に記録が実行された媒体P1は、第4搬送ローラー対42によりフェイスダウン排出経路28に送り出される。媒体P1は、フェイスダウン排出経路28において第5搬送ローラー対52、第6搬送ローラー対54、第7搬送ローラー対56、第8搬送ローラー対58、第9搬送ローラー対60及び第10搬送ローラー対62に順次ニップされて、搬送方向下流側に搬送され、最後に記録が行われた面つまり第2面を下側として、フェイスダウン排出経路28の出口28aから媒体受けトレイ20に向けて排出される。
尚、この際、媒体P2は、第11搬送ローラー対66によりスイッチバック経路24から反転経路26へ送り込まれる。そして、3枚目の媒体P3がストレート経路22へ進入し、記録部18へ搬送される。そして、記録部18において媒体P3の第1面への記録が実行される。
そして、媒体P3はストレート経路22とフェイスダウン排出経路28とを接続する姿勢からストレート経路22とスイッチバック経路24とを接続する姿勢へと切り換えられた第1フラップ46を経て第4搬送ローラー対42及び第11搬送ローラー対66によりスイッチバック経路24に送り込まれる。さらに、第1フラップ46を媒体P3が通過すると再度姿勢が切り換えられる。そして、記録部18において反転経路26から送られた媒体P2の第2面の記録が行われ、フェイスダウン排出経路28を通って媒体受けトレイ20に排出される。
その後、所定の枚数の媒体Pnの第2面の記録が実行されて媒体受けトレイ20に排出されて記録動作が終了するまで、記録部18において媒体Pn−1の第1面の記録が実行された後、媒体Pn−1がスイッチバック経路24及び反転経路26を搬送されている間に、記録部18において媒体Pnの第1面の記録が実行される。その後、媒体Pnはストレート経路22からスイッチバック経路24へ搬送される。
そして、媒体Pnがスイッチバック経路24に搬送された後、記録部18において媒体Pn−1の第2面の記録が実行され、媒体Pn−1がフェイスダウン排出経路28から媒体受けトレイ20に排出される動作が繰り返される。以上が、プリンター10における複数枚の媒体Pnに両面記録を実行する際の媒体搬送経路21における媒体の搬送の説明である。
つまり、本実施例において媒体搬送経路21は、フェイスダウン排出経路28に沿ってスイッチバック経路24が設けられ、当該スイッチバック経路24に接続される反転経路26が記録部18の周りを回るように設けられているので、媒体搬送経路21内において同時に3枚の媒体Pをそれぞれ搬送し、順次記録を実行することができるので、単位時間あたりの記録処理の実行枚数を向上させることができる。つまり、プリンター10におけるスループットを向上させることができる。
上記説明をまとめると、本実施例におけるプリンター10は、媒体Pを搬送する搬送経路であって、媒体Pに記録を行う記録部18を通り当該記録部18の上流側及び下流側に延びるストレート経路22と、ストレート経路22と接続する搬送経路であって、記録部18を通った媒体Pを送り込んだ後、スイッチバックさせて送り込み方向とは逆方向に搬送するスイッチバック経路24と、スイッチバック経路24と接続する搬送経路であって、逆方向に搬送された媒体Pを、記録部18の上側を迂回させて反転させ、ストレート経路22における記録部18の上流側位置で合流させる反転経路26と、ストレート経路22と接続する搬送経路であって、記録部18を通った媒体Pを湾曲させ、反転させて排出するフェイスダウン排出経路28とを備えている。スイッチバック経路24が、フェイスダウン排出経路28に沿って形成されている。
つまり、記録部18を通った媒体Pを送り込んだ後、スイッチバックさせて送り込み方向とは逆方向に搬送するスイッチバック経路24が、記録部18を通った媒体Pを湾曲させ、反転させて排出するフェイスダウン排出経路28に沿って形成されているので、スイッチバック経路24とフェイスダウン排出経路28とがプリンター10内でそれぞれ別個独立に領域を占有せず、装置のより一層の小型化を図ることができる。
また、本実施例においてスイッチバック経路24及びフェイスダウン排出経路28は、ストレート経路22に対し反転経路26の側に位置している。
ここで、ストレート経路22、スイッチバック経路24、反転経路26、フェイスダウン排出経路28の位置関係についてまとめると、装置高さ方向においてスイッチバック経路24及びフェイスダウン排出経路28はストレート経路22に対して反転経路26の側に位置している。したがって、スイッチバック経路24、反転経路26、フェイスダウン排出経路28、のこれらがプリンター10における装置高さ方向で少なくとも一部同じ領域を用いることとなり、装置の高さ方向寸法増加をより効果的に抑制できる。
また、本実施例では図2に示すようにフェイスダウン排出経路28の高さ方向における占有領域内に、スイッチバック経路24、フェイスダウン排出経路28、のこれらが収まっている。
つまり、スイッチバック経路24と反転経路26が装置高さ方向で独立して領域を占有せず、装置の更なる小型化を図ることができる。
また、本実施例においてスイッチバック経路24が、フェイスダウン排出経路28の内側に配置されている。
その結果、スイッチバック経路24から反転経路26に向かう経路と、ストレート経路22からフェイスダウン排出経路28に向かう経路とが交差せず、記録の際の制御の自由度が向上し、ひいてはスループットの向上を図ることができる。
本実施例においてプリンター10は、記録部18の上方に、フェイスダウン排出経路28から排出された媒体Pを受ける媒体受けトレイ20を備えている。媒体受けトレイ20は、フェイスダウン排出経路28の出口28aから遠い側に向かって上向きとなる上向き傾斜姿勢を取る。また、反転経路26は、媒体受けトレイ20の上向き傾斜姿勢に沿って上向きに傾斜した後に反転してストレート経路22に合流する。
その結果、反転経路26において反転部分の曲率を小さくすることができ、媒体を無理なく円滑に反転させることができる。
また、本実施例におけるスイッチバック経路24は、ストレート経路22を通った媒体Pにおいて記録部18を構成する記録ヘッド48と対向した第1面を内側にして湾曲させる。
ここで媒体Pの両面(第1面及び第2面)に記録を実行する際、記録部18が、「液体」としてのインクを媒体Pに吐出することで記録を行う構成であるから、インクが吐出された媒体Pは、インクが吐出された面(被記録面)を外側にして湾曲する傾向(カール傾向)がある。そのような媒体Pが反転され、再び記録部18に送られると、媒体Pは記録ヘッド48と対向する面を内側にして湾曲しているので、媒体Pの先端や後端が記録ヘッド48に接する、所謂ヘッド擦れが生じ易い。
しかしながら本実施例では、スイッチバック経路24は、ストレート経路22を通った媒体Pにおいて記録部18を構成する記録ヘッド48と対向した第1面(既に記録が行われた面)を内側にして湾曲させる、即ちカール傾向を矯正させる方向に湾曲させるので、ヘッド擦れを防止し、或いは抑制することができる。
■■■装置本体における紙詰まり処理の為の構成について■■■■
次いで、図2、図5ないし図13、図20を参照して装置本体12における搬送経路において生じた媒体Pの紙詰まりを処理する構成についてさらに説明する。
<<<給送経路及び反転部26bにおけるジャム処理>>>
図20を参照するに、符号92が付された一点鎖線部は、装置本体に対して開閉可能な開閉ユニットを示している。尚、図20において開閉ユニット92は説明のために媒体搬送経路21から水平方向に移動した状態で図示している。開閉ユニット92は、図1に示す装置本体12に対して閉じた状態と、図5に示す装置本体12に対して開いた状態とを取り得る。開閉ユニット92は、+X軸方向側の端部に回動支点(不図示)を有する。開閉ユニット92は、前記回動支点を中心に装置本体12に対して回動可能に構成されている(図1及び図5参照)。
開閉ユニット92は、当該開閉ユニット92に対して開閉可能な手差しトレイ90を備えている。さらに開閉ユニット92は、開閉ユニット92を装置本体12に対して閉じた状態とした際、給送経路30において第1搬送ローラー対34から手差し給送経路88との合流位置までの経路と、反転経路26の反転部26bの一部を形成する。また、開閉ユニット92は第14搬送ローラー対74の一方のローラーつまり従動回転可能なローラー74aを備えている。
したがって、図5及び図20に示すように開閉ユニット92を装置本体12に対して開いた状態とした際、給送経路30において第1搬送ローラー対34から手差し給送経路88との合流位置までの経路及び反転経路26の反転部26bの一部が装置本体12の外側に向けて露呈する。この際、図20に示すように、第1搬送ローラー対34の一方のローラー34aと他方のローラー34bとが離間し、第1搬送ローラー対34におけるニップ状態が解消される。したがって、給送経路30において詰まった媒体Pを容易に取り除くことができる。したがって、ジャム処理をより一層容易にすることができる。
同様に、第14搬送ローラー対74の一方のローラー74a及び他方のローラー74bも互いに離間するので、第14搬送ローラー対74におけるニップ状態が解消される。したがって、反転経路26の反転部26bにおいて詰まった媒体Pを容易に取り除くことができる。したがって、ジャム処理をより一層容易にすることができる。
<<<反転経路26における上部区間26aにおけるジャム処理>>>
次いで図6、図7及び図21を参照して上側部材78について説明する。上側部材78は+Y軸方向側端部に設けられた回動支点80(図21参照)を支点として装置本体12に対して閉じた状態(図6参照)から上方側(+Z軸方向側)へ回動させて装置本体12に対して開いた状態(図7参照)とすることができる。
上側部材78を装置本体12に対して開いた状態(図21参照)とすると、反転経路26の上部区間26aが開放される。つまり、反転経路26の上部区間26aが装置本体12の外側に向けて露呈した状態となる。また、上部区間26aに配置された第12搬送ローラー対70の一方のローラー70a(拍車)と他方のローラー70bとがそれぞれ離間し、第12搬送ローラー対70におけるニップ状態が解消される。同様に上部区間26aに配置された第13搬送ローラー対72の一方のローラー72a(拍車)と他方のローラー72bとがそれぞれ離間し、第13搬送ローラー対72におけるニップ状態が解消される。
また、上部区間26aに配置されている拍車76、76a、76bは上側部材78に設けられていることから、上側部材78を回動させた際、上部区間26aに残るのは装置高さ方向において媒体Pの下側を支持する第12搬送ローラー対70の他方のローラー70b(ゴムローラー)及び第13搬送ローラー対72の他方のローラー72b(ゴムローラー)のみである。したがって、上部区間26aの上方を遮るものがないことから、媒体Pのジャム処理を容易にすることができる。
上記説明をまとめると、本実施例におけるプリンター10は、媒体Pを搬送する搬送経路であって、媒体Pに記録を行う記録部18を通り当該記録部18の上流側及び下流側に延びるストレート経路22と、ストレート経路22と接続する搬送経路であって、記録部18を通った媒体Pを送り込んだ後、スイッチバックさせて送り込み方向とは逆方向に搬送するスイッチバック経路24と、スイッチバック経路24と接続する搬送経路であって、前記逆方向に搬送された媒体Pを、記録部18の上側を迂回させて反転させ、ストレート経路22における記録部18の上流側位置で合流させる反転経路26と、反転経路26における記録部18の上部区間26aを形成する経路形成部材であって、上部区間26aの上側に位置し、上部区間26aを開放可能な上側部材78とを備えている。
本実施例において反転経路26は記録部18の上側を迂回させて媒体Pを反転させ、ストレート経路22における記録部18の上流側位置で合流させる経路として構成されている。つまり、反転経路26が記録部18の上方に位置することとなる。そして、記録部18の上部区間26aが、当該上部区間26aを開放可能な上側部材78で形成されるので、当該上側部材78を開放することにより、記録部18を移動させることなく、また記録部18が邪魔になることなく、上部区間26aにおいてジャムとなった媒体を除去するジャム処理作業を作業性容易に行うことができる。
上部区間26aは、媒体Pをニップして搬送する第12搬送ローラー対70を備えている。上側部材78に第12搬送ローラー対70を構成する一方のローラー70aが設けられ、上側部材78を開放することにより、第12搬送ローラー対70を構成する一方のローラー70aが他方のローラー70bから離間する。同様に、上部区間26aは、媒体Pをニップして搬送する第13搬送ローラー対72も備えている。上側部材78に第13搬送ローラー対72を構成する一方のローラー72aが設けられ、上側部材78を開放することにより、第13搬送ローラー対72を構成する一方のローラー72aが他方のローラー72bから離間する。
その結果、第12搬送ローラー対70の一方のローラー70a及び他方のローラー70bによる媒体Pのニップ状態が解消される。また、同様に第13搬送ローラー対72の一方のローラー72a及び他方のローラー72bによる媒体Pのニップ状態も解消される。これによってジャムとなった媒体Pをより一層容易に除去することができる。
本実施例において、上側部材78に設けられた第12搬送ローラー対70の一方のローラー70aは、従動回転可能なローラーであり、他方のローラー70bは、駆動源により回転駆動されるローラーである。また、同様に上側部材78に設けられた第13搬送ローラー対72の一方のローラー72aも、従動回転可能なローラーであり、他方のローラー72bは、駆動源により回転駆動されるローラーである。
したがって、上側部材78に設けられた第12搬送ローラー対70の一方のローラー70aと第13搬送ローラー対72の一方のローラー72aとは、それぞれ従動回転可能なローラーであることから、上側部材78に動力伝達機構を設ける必要がなく、上側部材78の重量増加を避け、上側部材78を小さい力で容易に開閉させることができる。
上側部材78に設けられた第12搬送ローラー対70の一方のローラー70aと第13搬送ローラー対72の一方のローラー72aとは、外周に複数の歯を有するギザローラー(拍車)であり、当該ギザローラーが、媒体Pにおいて既に記録が行われた前記一方の面と接する。
つまり、上側部材78に設けられた第12搬送ローラー対70の一方のローラー70aと第13搬送ローラー対72の一方のローラー72aとは、外周に複数の歯を有する拍車(ギザローラー)であり、当該拍車が、媒体において既に記録が行われた前記一方の面と接するので、記録面における転写や白ヌケを抑制することができる。
プリンター10は、上部区間26aの上方に位置し、排出された媒体Pを受ける媒体受けトレイ20と、ストレート経路22と接続する搬送経路であって、記録部18を通った媒体を媒体受けトレイ20へと搬送するフェイスダウン排出経路28とを備えている。媒体受けトレイ20は上側部材78と一体に構成され、開閉可能である。
したがって、開閉領域が大きく確保される媒体受けトレイ20と、上側部材78とを一体に構成することで、上側部材78を開放した状態でのジャム処理作業をより一層容易に行うことができる。
媒体受けトレイ20は、閉じた状態においてフェイスダウン排出経路28の出口28aから遠い側に向かって上向きとなる上向き傾斜姿勢を取り、媒体受けトレイ20は回動することにより開閉可能であるとともに、回動の際の回動支点80が媒体受けトレイ20の上流側に位置する。
したがって、媒体受けトレイ20と上側部材78の回動範囲を大きく確保でき、上側部材78を開放してのジャム処理作業をより一層容易に行うことができる。
<<<スイッチバック経路及びフェイスダウン排出経路におけるジャム処理>>>
図22を参照するに、図22において符号94が付された二点鎖線部は、装置本体12に対して媒体搬送経路21を形成する第1の状態と、媒体搬送経路21を開放する第2の状態と、を取り得るユニット体を示している。尚、図22において媒体搬送経路21に設けられた複数の拍車のうちユニット体94に関連する拍車のみ符号を付し、その他の拍車の符号は省略する。
ユニット体94は、ストレート経路22において第4搬送ローラー対42の下流側から第1フラップ46及び第2フラップ50に至るまでの経路、スイッチバック経路24において第2フラップ50から第11搬送ローラー対66を経て湾曲反転部分の途中までの経路を含む。さらに、ユニット体94はフェイスダウン排出経路28において第1フラップ46から第5搬送ローラー対52、第6搬送ローラー対54、第7搬送ローラー対56及び第8搬送ローラー対58を経て、第8搬送ローラー対58から第9搬送ローラー対60に向かう経路の途中までの経路を含んでいる。
ユニット体94は、図8に示すように装置本体12内において媒体搬送経路21を構成する構造体96に対して、Y軸方向に移動可能に構成されている。本実施例では、構造体96に設けられた一対のレール部材98により構造体96から出し入れ可能に構成されている。
次いで図9に示すように、ユニット体94の上部にはレバー100が設けられている。レバー100は、装置本体12内に設けられた、図示しないロック機構と係合可能に構成されている。ユニット体94が装置本体12に対して閉じた状態(図9参照)、つまりユニット体94が媒体搬送経路21の形成する第1の状態において、レバー100は前記ロック機構と係合状態にある。これによりユニット体94は、装置本体12に対して当該ユニット体94の移動が規制される状態となっている。
次に、レバー100を例えば持ち上げることにより前記ロック機構との係合状態が解消されるように構成されている場合、レバー100を持ち上げてロック状態を解消し、レバー100を引っ張ることによりユニット体94を装置本体12に対して引き出すことが可能となる。つまり、レバー100と前記ロック機構との係合が解消された状態で、レバー100を図9及び図10の+Y軸方向側に引っ張ると、図10に示すようにユニット体94が装置本体12から引き出された状態、つまり媒体搬送経路21を開放する第2の状態となる。
図22に示すように、ユニット体94が装置本体12に対して引き出された状態(第2の状態)となると、ストレート経路22の一部、スイッチバック経路24の一部及びフェイスダウン排出経路28の一部が装置本体12の外側に向けて露呈することとなる。特にスイッチバック経路24及びフェイスダウン排出経路28において紙詰まりが生じた際、スイッチバック経路24及びフェイスダウン排出経路28が目視確認可能となり、これらの経路におけるジャム処理作業をより一層容易に行うことができる。
また、ユニット体94には開閉カバー102(図9参照)がユニット体94に対して回動可能に設けられている。開閉カバー102をユニット体94に対して開いた状態(図示せず)とするとユニット体94に設けられたフェイスアップ排出トレイ86が装置本体12の外側に向けて露呈し、当該フェイスアップ排出トレイ86に排出された媒体Pを装置本体12から取り出すことができる。
<<<ストレート経路におけるジャム処理>>>
次いで図8、図11ないし図14及び図22を参照して、ストレート経路22及びその近傍の搬送経路におけるジャム処理について説明する。
図8に示すように構造体96において媒体の搬送方向と交差する方向である記録装置の奥行き方向において装置前面側にフレーム104が立設されている。フレーム104は構造体96の骨格をなすフレームである。フレーム104には開口106が形成されている。開口106は、フレーム104においてユニット体94が構造体96に対して第1の状態つまり、ユニット体94が媒体搬送経路21を構成している状態において、図14に示すように第4搬送ローラー対42、第5搬送ローラー対52、第6搬送ローラー対54、第11搬送ローラー対66、第1フラップ46及び第2フラップ50に対応する位置に形成されている。尚、図14及び図22において符号106が付された二点鎖線部は開口を示している。
そして、図8及び図22に示すようにユニット体94が構造体96に対して第2の状態つまり、ユニット体94が構造体96から引き出されて媒体搬送経路21を開放している状態において、ユーザーは開口106を介して媒体搬送経路21の側方つまり装置前面側から媒体搬送経路21において記録部18やストレート経路22の一部、例えば第4搬送ローラー対42やその周囲にアクセス可能となる。また、スイッチバック経路24やフェイスダウン排出経路28の入口にもアクセス可能となる。
ここで、開口106がフレーム104に設けられていない場合を考えると、構造体96内の奥まった位置にあるストレート経路22、例えば第4搬送ローラー対42やその周囲にアクセスするためには、構造体96から引き出されたユニット体94の側からアクセスする必要がある。その結果、ユニット体94の側からストレート経路22や記録部18の近傍へのアクセス距離が長くなり、かつ目視での紙詰まり状態の確認が困難であることからジャム処理作業の作業性に非常に劣ることとなる。
本実施例では、フレーム104において媒体搬送経路21における第4搬送ローラー対42、第5搬送ローラー対52、第6搬送ローラー対54、第11搬送ローラー対66、第1フラップ46及び第2フラップ50に対応する位置、すなわち媒体搬送経路21の側方に開口106を設けることにより、ユニット体94が構造体96から引き出された状態、つまり第2の状態において装置本体12内の奥まった位置にある記録部18やストレート経路22、更にはスイッチバック経路24やフェイスダウン排出経路28の入口へのアクセス及び目視確認を容易なものとすることができる。
さらに、開口106による記録部18及びストレート経路22の周囲におけるジャム処理作業の詳細について説明する。図9及び図11に示すように、装置本体12における装置高さ方向において構造体96に対応する位置、つまりフレーム104の装置前面側(−X軸方向側)には、下端部を回動支点として装置本体12に対して回動可能な前面カバー108が設けられている。前面カバー108を装置本体12に対して回動させることにより開口106が装置本体12の外側に向けて露呈する。
この状態では、ユニット体94が構造体96内に収容されて、ユニット体94の一部が媒体搬送経路21を形成しているので、ユーザーが開口106内に手を入れることや、媒体搬送経路21内において記録部18の下流側部分のストレート経路22を目視することができない。
次いで図12及び図13を参照するにレバー100を操作してユニット体94の装置本体12に対するロックを解除し、ユニット体94を装置本体12から引き出すと、開口106を塞いでいたユニット体94の一部が+Y軸方向に移動する。その結果、開口106の内側において装置本体12内において奥まった位置にあるストレート経路22、例えば、記録部18の下流側に位置する第4搬送ローラー対42及びその周辺が目視可能となる。そして、ユーザーが開口106を介して手を媒体搬送経路21内に差し入れて、ジャム処理をすることができる。
尚、ユニット体94を構造体96から引き出すと、第4搬送ローラー対42において一方のローラー(従動回転可能なローラー)42aは、不図示の連動機構によって他方のローラー(駆動ローラー)42bから離間されて、第4搬送ローラー対42におけるニップ状態が解消する。これにより、記録部18において生じたジャム(紙詰まり)を容易に処理することができる。
上記説明をまとめると、本実施例におけるプリンター10は、媒体Pに記録を行う記録部18と、媒体Pを搬送する媒体搬送経路21と、媒体搬送経路21に対し媒体の搬送方向と交差する方向である装置奥行き方向に立設されるとともに、媒体搬送経路21へのアクセスを可能とする開口106が形成されたフレーム104とを備えている。
つまり、本実施例によれば、開口106を介し、媒体搬送経路21に対し側方(−X軸方向側)からアクセスが可能となる。これにより、装置の奥まった位置においてジャムが生じても、ジャム発生位置に近い場所からアクセスが可能となり、ジャム処理作業を容易に行うことができる。
本実施例において媒体Pの搬送方向はプリンター10における装置幅方向であり、フレーム104は装置前面側に立設されている。
したがって、本実施例では開口106が装置前面側に位置することとなり、これによりジャム処理作業をより一層容易に行うことができる。
本実施例においてプリンター10は、媒体搬送経路21を形成する第1の状態と、媒体搬送経路21を開放する第2の状態と、をとり得るユニット体94をフレーム104、すなわち構造体96に備えている。ユニット体94を第2の状態とすることで、開口106の内側に媒体搬送経路21の一部が露呈する。
その結果、開口106の内側に媒体搬送経路21がより一層大きく露呈し、これによりジャム処理作業をより一層容易に行うことができる。
本実施例においてプリンター10は、開口106の内側に媒体Pをニップして搬送する第4搬送ローラー対42を備えている。また、ユニット体94を第2の状態とすることで、第4搬送ローラー対42を構成する一方のローラー42aが他方のローラー42bから離間する。また、第4搬送ローラー対42は、記録部18の下流に最初に位置するローラー対である。
そして、ユニット体94を装置本体12に対して引き抜き状態とすることで、第4搬送ローラー対42を構成する一方のローラー42aが他方のローラー42bから離間するので、第4搬送ローラー対42における媒体Pの拘束が解かれ、これによりジャム処理作業をより一層容易に行うことができる。
<<<実施例の変更例>>>
(1)本実施例において開口106は、媒体搬送経路21において第4搬送ローラー対42、第5搬送ローラー対52、第6搬送ローラー対54、第11搬送ローラー対66、第1フラップ46及び第2フラップ50に対応する位置の側方に設ける構成としたが、この構成に代えて、開口106を媒体搬送経路21のその他の構成に対応する位置に設けてもよい。
(2)本実施例ではユニット体94を装置本体12に対してスライド移動させることにより開口106内にアクセス可能な構成としたが、この構成に代えて、ユニット体94を装置本体12に対してスライド移動させなくても、開口106内にアクセス可能な構成としてもよい。
(3)本実施例では、媒体Pの搬送方向が装置幅方向である場合において装置前方側に設けられたフレーム104に開口106を設ける構成としたが、この構成に代えて、媒体Pの搬送方向が装置奥行き方向である場合は装置の側面に設ける構成としてもよい。つまり、媒体搬送経路21において媒体の搬送方向と交差する方向からアクセス可能なように開口106を設ける構成であればよい。
また、本実施形態では本発明に係るストレート経路22、スイッチバック経路24、反転経路26、フェイスダウン排出経路28及び反転経路26に設けた上側部材78を記録装置の一例としてのインクジェットプリンターに適用したが、その他液体噴射装置一般に適用することも可能である。
ここで、液体噴射装置とは、インクジェット式記録ヘッドが用いられ、該記録ヘッドからインクを吐出して被記録媒体に記録を行うプリンター、複写機及びファクシミリ等の記録装置に限らず、インクに代えてその用途に対応する液体を前記インクジェット式記録ヘッドに相当する液体噴射ヘッドから被記録媒体に相当する被噴射媒体に噴射して、前記液体を前記被噴射媒体に付着させる装置を含むものである。
液体噴射ヘッドとして、前記記録ヘッドの他に、液晶ディスプレー等のカラーフィルター製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレーや面発光ディスプレー(FED)等の電極形成に用いられる電極材(導電ペースト)噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド、精密ピペットとしての試料噴射ヘッド等が挙げられる。
尚、本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。