以下に添付図面を参照して、この発明にかかる遠隔監視システム、遠隔監視プログラムおよび遠隔監視方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。
(実施の形態1)
(遠隔監視システムのシステム構成)
まず、この発明にかかる実施の形態1のエレベーターの遠隔監視システムのシステム構成について説明する。図1は、この発明にかかる実施の形態1の遠隔監視システムのシステム構成を示す説明図である。図1において、この発明にかかる実施の形態1の遠隔監視システム100は、制御基板(制御装置)110と、遠隔監視支援装置120と、管理サーバコンピュータ130と、電話機140と、を備えている。
制御基板110は、エレベーター101の運行動作を制御する。エレベーター101は、複数階建てのビル内などに設置され、人や物品を搭載するカゴ(乗りかご)102を備えている。カゴ102は、1台のエレベーター101に1つずつ設けられている。カゴ102は、建物における各階床を、鉛直方向に沿って貫通する昇降路(図示を省略する)内に設けられている。エレベーター101は、たとえば、ロープ式(トラクション式)のエレベーターによって実現することができる。
この発明にかかる実施の形態1の遠隔監視システムにより監視可能なエレベーター101は、ロープ式のエレベーターに限るものではない。この発明にかかる実施の形態1の遠隔監視システムにおいては、ロープ式のエレベーター101に代えて、あるいは、ロープ式のエレベーターに加えて、たとえば、油圧式のエレベーター101を監視対象であってもよい。
カゴ102には、行先階ボタンや扉開閉ボタンなどを含む操作ボタン、表示器などを備えた操作盤102aが設けられている。カゴ102に設けられた操作盤102aは、制御基板110に接続されている。また、カゴ102には、インターフォン(インターホン)の端末装置102bが設けられている。インターフォンの端末装置102bは、呼出ボタンとマイクとスピーカーとを備えている(いずれも図示を省略する)。インターフォンの端末装置102bは、遠隔監視支援装置120に接続されている。
昇降路には、駆動機構104が設けられている。駆動機構104は、たとえば、昇降路における上部に設けることができる。駆動機構104は、巻上機、滑車、ロープ104a、カウンタウエイト104bなどによって構成されている。駆動機構104は、さらに、電磁ブレーキや調速機などを備えている(いずれも図示を省略する)。駆動機構104は、公知の技術を用いて容易に実現可能であるため説明を省略する。駆動機構104は、昇降路における上部に設けられるものに限らない。駆動機構104は、たとえば、油圧式のエレベーター101の場合は、昇降路における底部(ピット)に設けられていてもよい。
カゴ102はロープ104aの一端に連結され、カウンタウエイト104bはロープ104aの他端に連結されている。ロープ式のエレベーター101においては、両端にカゴ102およびカウンタウエイト104bが連結されたロープ104aをつるべ式に滑車および巻上機にかけた状態で当該巻上機を駆動し、ロープ104aと滑車との間の摩擦力(トラクション)を利用してカゴ102を昇降させる。昇降路には、カゴ102の昇降位置をガイドするガイドレール(図示を省略する)が設けられている。
昇降路における各階床に対応した位置(乗り場)105およびカゴ102には、それぞれ扉105a、102cが設けられている。カゴ102には、当該カゴ102に設けられた扉102cおよび乗り場105に設けられた扉105aを開閉させるモーター(図示を省略する)が設けられている。モーターは、制御基板110に接続されている。
乗り場105に設けられた扉105aは、インターロックなどと称される装置で施錠されている。エレベーター101が停止階に到着した状態でモーターを駆動すると、カゴ102に設けられた扉102cの駆動機構部分とインターロックとがかみ合ってインターロックによる施錠が解放され、カゴ102に設けられた扉102cおよび乗り場105に設けられた扉105aが連動して開閉する。
各乗り場105には、乗り場呼びボタン(図示を省略する)や表示器などを備えた操作盤105bが、それぞれ設置されている。各乗り場105に設けられた操作盤105bは、それぞれ、制御基板110に接続されている。カゴ102や乗り場105に設けられた各操作盤102a、105bは、エレベーター101の利用者などによる入力操作を受け付けるごとに、当該入力操作の内容に応じた信号を、制御基板110に出力する。
遠隔監視支援装置120は、主制御基板121と音声通信基板122とを備えている。主制御基板121は、制御基板110および管理サーバコンピュータ130に接続されている。主制御基板121は、たとえば、制御基板110が備える保守点検用の端子(図示を省略する)を介して当該制御基板110に接続されている。
また、主制御基板121は、インターネットなどのネットワーク160を介して、管理サーバコンピュータ130に接続されている。インターネットを使用することにより、緊急時に電話回線がパンクすることによってエレベーター101の状況把握が遅延することを防止し、迅速な対応をとることができる。
音声通信基板122は、インターフォンの端末装置102bおよび公衆音声網170に接続されている。音声通信基板122は、具体的には、たとえば、PHS(Personal Handy−phone System)基板によって実現することができる。公衆音声網170は、固定電話網(公衆交換電話網)および携帯電話網を含む。公衆音声網170は、電話線を収容する加入者線交換機、加入者線交換機を束ねる中継交換機、ほかの事業者の電話網と接続する関門交換機など、図示を省略する複数の交換機によって構成されている。公衆音声網170については、公知の技術であるため説明を省略する。
管理サーバコンピュータ130および電話機140は、エレベーター101が設置されている場所とは異なる、当該エレベーター101の遠隔地に設置されている。管理サーバコンピュータ130は、たとえば、パーソナルコンピュータなどのコンピュータ装置によって実現することができる。管理サーバコンピュータ130は、たとえば、エレベーター101の保守管理を担う保守管理会社150に設置することができる。
管理サーバコンピュータ130には、操作用の端末装置131が接続されていてもよい。管理サーバコンピュータ130と操作用の端末装置131とは、同じ場所に設置されていてもよく、異なる場所に設置されていてもよい。操作用の端末装置131は、1台であってもよく、複数台であってもよい。操作用の端末装置131は、たとえば、キーボードやマウスなどの入力デバイスや、ディスプレイなどを備えたパーソナルコンピュータなどのコンピュータ装置によって実現することができる。また、操作用の端末装置131には、プリンタ(図示を省略する)が接続されていてもよい。
保守管理会社150には、管理サーバコンピュータ130に加えて、PBX(Private Branch eXchange、図2における符号205を参照)および電話機140が設置されている。電話機140は、PBXを介して公衆音声網170に接続されている。遠隔監視システムにおいてはPBXを設けず、電話機140を公衆音声網170に直接接続してもよい。
(遠隔監視システム100のハードウエア構成)
つぎに、この発明にかかる実施の形態1の遠隔監視システム100を構成する遠隔監視支援装置120のハードウエア構成について説明する。図2は、この発明にかかる実施の形態1の遠隔監視システム100を構成する遠隔監視支援装置120のハードウエア構成を示す説明図である。
図2において、制御基板110は、エレベーター101を構成する各部を駆動制御することにより、エレベーター101の運行動作を制御する。制御基板110は、たとえば、駆動機構104を駆動制御する。カゴ102に設けられた操作盤102aや乗り場105に設けられた操作盤105bなど、制御基板110に接続された各操作盤102a、105bは、エレベーター101の利用者などによる入力操作を受け付けるごとに、当該入力操作の内容に応じた信号を、制御基板110に出力する。制御基板110は、操作盤102a、105bから出力された信号に基づいてエレベーター101を駆動制御する。
具体的には、制御基板110は、たとえば、カゴ102や乗り場105に設けられた各操作盤102a、105bから出力された信号に基づいて、上記の駆動機構104やモーターなど、エレベーター101が備える各部を駆動制御する。より具体的には、制御基板110は、たとえば、乗り場105に設けられた操作盤105bから呼び信号が出力された場合は、当該呼び信号の出力元となる操作盤が設けられた乗り場105に向けてカゴ102を昇降動作させ、該当する乗り場105においてカゴ102を停止させるように、駆動機構104に対して駆動信号を出力することによって当該駆動機構104を駆動制御する。
また、具体的には、制御基板110は、たとえば、カゴ102に設けられた操作盤102aから、所定の階床を指定する信号が出力された場合は、当該所定の階床に向けてカゴ102を昇降動作させ、該当する乗り場105においてカゴ102を停止させるように、駆動機構104に対して駆動信号を出力することによって当該駆動機構104を駆動制御する。
また、制御基板110は、たとえば、該当する乗り場105において停止したカゴ102に設けられた扉102cおよび乗り場105に設けられた扉105aを開閉させるように、カゴ102に設けられたモーターに対して駆動信号を出力することによって当該モーターを駆動制御する。
制御基板110は、カゴ102に設けられた操作盤102aや乗り場105に設けられた操作盤105bからの呼び信号に応じてカゴ102を昇降動作させるごとに、当該カゴ102を昇降動作させるために各部を起動したことを示す起動信号を出力する。制御基板110は、たとえば、1階から2階に移動した場合、起動信号を1回出力する。
また、制御基板110は、たとえば、1階から途中で停止することなく5階に移動した場合、起動信号を1回出力する。また、制御基板110は、たとえば、1階から、途中の3階で停止した(扉の開閉をおこなった)後に、5階に移動する場合、起動信号を2回出力する。制御基板110は、起動信号が出力されるごとに、当該起動信号が出力された回数すなわち起動回数を記憶する。
制御基板110は、異常を検知した場合に、当該異常を通知する信号を出力(発報)する。具体的には、制御基板110は、たとえば、扉105a、102cの開閉動作を実行する指示信号を出力したにもかかわらず、該当する扉が動作しないことを検出した場合に、エレベーター101において異常が発生したことを発報する。制御基板110は、カゴ102の昇降動作や扉105a、102cの開閉動作に際して駆動した各部の動作履歴を記憶してもよい。具体的には、制御基板110は、たとえば、カゴ102の昇降動作や扉105a、102cの開閉動作に際して動作した各種リレーの動作回数などを記憶してもよい。
インターフォンの端末装置102bは、呼出ボタンが操作された場合に、当該操作があったことを示す呼出信号を、遠隔監視支援装置120に出力する。また、インターフォンの端末装置102bは、遠隔監視支援装置120と保守管理会社150に設置された電話機140との接続が確立された状態でマイクに入力された音声信号を、遠隔監視支援装置120に出力する。また、インターフォンの端末装置102bは、遠隔監視支援装置120と電話機140との接続が確立された状態で遠隔監視支援装置120から出力された音声信号を、スピーカーを介して出力する。
遠隔監視支援装置120が備える主制御基板121は、中継基板201と、監視制御基板202と、メモリ203と、通信I/F(インターフェイス)204と、を備えている。中継基板201は、制御基板110から出力された信号の入力を受け付け、入力を受け付けた信号を解析し、解析結果を監視制御基板202に出力する。中継基板201は、たとえば、保守点検用の端子を介して保守点検用の信号の入力を受け付け、当該保守点検用の信号を解析する。中継基板201は、エレベーター101が備える各部と制御基板110とを接続するコネクタ基板(図示を省略する)における各種のリレー接点などに直接接続されていてもよい。
また、中継基板201は、保守点検用の端子(メンテナンスポート)を介して制御基板110に接続されているものに限らない。中継基板201は、保守点検用の端子(メンテナンスポート)に代えて、たとえば、各乗り場105に設けられた操作盤105bと制御基板110とを接続するI/O基板のコネクタ部に接続されていてもよい。この場合、たとえば、I/O基板のコネクタ部に、信号の経路を複数に分岐するコネクタなどを設けることにより、各乗り場105に設けられた操作盤105bと制御基板110との接続を確保するとともに、当該操作盤105bと制御基板110との間の通信に用いる信号を利用して、階床信号を取得することができる。階床信号については説明を後述する(図4を参照)。
監視制御基板202は、中継基板201から出力された解析結果を、通信I/F204を介して管理サーバコンピュータ130に送信する。また、監視制御基板202は、中継基板201から出力された解析結果を、メモリ203に記憶する。監視制御基板202は、中継基板201が入力を受け付けた信号を、直接メモリ203に記憶してもよい。
メモリ203は、電源の供給が絶たれた場合にも記憶した情報を保持する不揮発性の記憶媒体によって実現することができる。具体的には、メモリ203は、たとえば、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read−Only Memory)などによって実現することができる。
監視制御基板202は、通信I/F204を介して、管理サーバコンピュータ130から送信された各種の指示信号を受信する。そして、監視制御基板202は、管理サーバコンピュータ130から送信された各種の指示信号に応じた各種の動作指示を生成し、生成した各種の動作の実行を指示する指示信号を中継基板201を介して制御基板110に出力する。
監視制御基板202は、たとえば、管理サーバコンピュータ130から送信された診断動作の実行を指示する指示信号(以下適宜「診断指示」という)を受信した場合、診断動作の実行を指示する指示信号を生成し、生成した指示信号を中継基板201を介して制御基板110に出力する。診断動作の実行を指示する指示信号は、たとえば、エレベーター101を所定の階床に移動させるための呼び信号を含む。
音声通信基板122は、インターフォンの端末装置102bから出力された呼出信号を受け付けた場合、公衆音声網170を介して、保守管理会社150に設置された電話機140に割り当てられた電話番号に対する発呼をおこなう。また、音声通信基板122は、保守管理会社150に設置された電話機140との接続が確立された状態でマイクから出力された音声信号を、公衆音声網170を介して、保守管理会社150に設置された電話機140に出力する。また、音声通信基板122は、電話機140との接続が確立された状態で当該電話機140から出力された音声信号を、公衆音声網170を介して受信し、受信した音声信号をインターフォンの端末装置102bが備えるスピーカーに出力する。
管理サーバコンピュータ130は、保守作業員などによる操作用の端末装置131に対する入力操作により受け付けた操作に応じて、遠隔監視支援装置120に対して各種の動作の実行を指示する指示信号を出力する。管理サーバコンピュータ130は、たとえば、診断動作の実行を指示する指示信号を出力する。
管理サーバコンピュータ130は、たとえば、1ヶ月ごとなどの所定期間ごとに、遠隔監視支援装置120に対して、診断動作の実行を指示する指示信号を送信する。診断動作の実行を指示する指示信号を受信した遠隔監視支援装置120は、受信した診断動作の実行を指示する指示信号に基づいて、所定の信号を制御基板110に適宜出力し、出力した信号に応じて制御基板110から出力された信号を受信する。そして、制御基板110から受信した信号に基づいて応答情報を生成し、生成した応答情報を管理サーバコンピュータ130に出力する。
管理サーバコンピュータ130は、遠隔監視支援装置120に対して送信した各種の指示信号に応じて当該遠隔監視支援装置120から送信された応答情報に基づいて、報告書情報を生成する。管理サーバコンピュータ130は、たとえば、診断動作の実行を指示する指示信号を送信した結果、遠隔監視支援装置120から受信した応答情報に基づいて、報告書情報を生成する。この場合、管理サーバコンピュータ130は、たとえば、エレベーター101の走行距離に関する情報を含む報告書情報を生成する。
また、管理サーバコンピュータ130は、生成した報告書情報に基づいて、報告書(図3を参照)を発行する機能を備えている。報告書は、たとえば、診断動作をおこなうごと、すなわち、遠隔監視支援装置120に対して診断動作の実行を指示する指示信号を送信するごとにおこなうことができる。
具体的には、管理サーバコンピュータ130は、たとえば、生成した報告書情報に基づいて、当該報告書情報を紙などの記録媒体に印刷するための印刷情報を生成し、生成した印刷情報を、管理サーバコンピュータ130に接続された操作用の端末装置131に出力する。操作用の端末装置131は、印刷情報を受け付けた場合、当該操作用の端末装置131に接続されたプリンタを駆動制御させることによって報告書を発行する。
(報告書の一例)
図3は、報告書の一例を示す説明図である。図3においては、この発明にかかる実施の形態1の遠隔監視システム100を構成する管理サーバコンピュータ130が発行する報告書の一例を示している。
図3において、報告書300は、エレベーター101の診断動作をおこなうごとに発行される。報告書300は、管理サーバコンピュータ130から遠隔監視支援装置120に対して診断動作の実行を指示する指示信号を送信した結果、遠隔監視支援装置120から受信した応答情報に基づいて生成した報告書情報にしたがって作成される。
遠隔監視システム100において、管理サーバコンピュータ130は、診断動作の実行を指示する指示信号を定期的に出力する場合、当該指示信号に応じた応答情報を受信するごとに報告書300を発行する。すなわち、診断動作の実行を指示する指示信号を定期的に出力する場合は、当該指示信号に応じた応答情報も定期的に受信することになるため、報告書300が定期的に発行される。
報告書300は、応答情報を受信するごとに発行するものに限らない。管理サーバコンピュータ130は、遠隔監視支援装置120から受信した応答情報や当該応答情報に基づいて生成した報告書情報を記憶しておき、保守点検作業をおこなう作業員などによる操作用の端末装置131に対する所定の操作を受け付けた場合に、記憶した応答情報あるいは報告書情報に基づく報告書300を発行するようにしてもよい。
報告書300は、たとえば、報告書情報を紙に印刷することによって出力される。報告書300には、たとえば、報告書情報として、走行距離に関する情報を示すグラフ310、320が印刷されている。グラフ310は、前回診断動作をおこなってから次回診断動作をおこなうまでのカゴ102の走行距離を示すプロットを直線で結んだ折れ線グラフの形状をなす。グラフ320は、前回診断動作をおこなってから次回診断動作をおこなうまでのカゴ102の走行距離を示すシンボル(棒など)を配列した棒グラフの形状をなす。
図3においては、複数回の診断動作における各診断動作の走行距離が印刷された報告書300を例にして説明したが、報告書における走行距離の案内方法はこれに限るものではない。たとえば、前回診断動作をおこなってから今回診断動作をおこなうまでの走行距離に関する情報のみを印刷してもよい。
(遠隔監視システム100の機能的構成)
つぎに、この発明にかかる実施の形態1の遠隔監視システム100の機能的構成について説明する。図4は、この発明にかかる実施の形態1の遠隔監視システム100を構成する遠隔監視支援装置120および管理サーバコンピュータ130の機能的構成を示すブロック図である。
(遠隔監視支援装置120の機能的構成)
図4において、この発明にかかる実施の形態1のエレベーター101の遠隔監視支援装置120の各機能は、取得部401、計数部402、算出部403、記憶部404、受信部405、生成部406および送信部407によって実現される。この発明にかかる実施の形態1のエレベーター101の遠隔監視支援装置120が備える取得部401、計数部402、算出部403、記憶部404、受信部405、生成部406および送信部407の各機能は、遠隔監視支援装置120が備える各部によって実現することができる。
取得部401は、エレベーター101の動作を制御する制御基板110から、当該エレベーター101が備えるカゴ102が位置する階床を示す階床信号を取得する。階床信号は、カゴ102に設けられた操作盤102aや乗り場105に設けられた操作盤105bにおいてカゴ102の位置を表示するために、各操作盤102a、105bに出力される。取得部401は、たとえば、制御基板110から階床信号が出力された場合に、当該階床信号を取得する。
計数部402は、取得部401が取得した階床信号に基づいて、当該階床信号が示す階床が切り替わるごとに、カゴ102が移動した階床数を計数する。階床数は、エレベーター101が移動した階床の数を示す。具体的には、たとえば、エレベーター101が1階から2階に移動した場合、計数部402は、「1」を階床数として計数する。また、具体的には、たとえば、エレベーター101が1階から3階に移動した場合、計数部402は、「2」を階床数として計数する。また、具体的には、たとえば、エレベーター101が5階から2階に移動した場合、計数部402は、「3」を階床数として計数する。
算出部403は、計数部402が計数した階床数と、尺度とに基づいて、カゴ102の走行距離を算出する。尺度は、エレベーター101が設けられた建物の1階床分の高さ寸法であって、エレベーター101がある階床から当該階床の直上あるいは直下にある階床に移動する際に走行する距離を示す。具体的には、尺度は、たとえば、エレベーター101が1階から2階に移動する際に走行する距離を示す。
記憶部404は、計数部402が計数した階床数を記憶する。記憶部404は、計数部402が階床数を計数するごとに、当該階床数を記憶する。記憶部404は、算出部403が算出した走行距離を、累積して記憶する。この場合、記憶部404は、遠隔監視システム100による遠隔監視を開始してから、監視対象となるエレベーター101が備えるカゴ102が走行した走行距離を累積して記憶する。
記憶部404は、階床数を計数するごとに、当該階床数の計数をおこなった日時をあわせて記憶してもよい。また、計数部402は、算出部403が算出した走行距離のうち、所定期間ごとに累積して走行距離を記憶してもよい。この場合、具体的には、記憶部404は、たとえば、前回診断指示を受信してから、次回診断指示を受信するまでの間に算出された走行距離を累積して記憶する。
また、記憶部404は、算出部403が算出した走行距離を記憶する。記憶部404は、算出部403が走行距離を算出するごとに、当該走行距離を記憶する。記憶部404は、階床数を計数するごとに、当該階床数の計数をおこなった日時をあわせて記憶してもよい。記憶部404は、走行距離を算出するごとに、当該走行距離の算出をおこなった日時をあわせて記憶してもよい。
受信部405は、管理サーバコンピュータ130から診断指示を含む各種の指示信号を受信する。受信部405は、たとえば、診断動作の実行を指示する指示信号に加えて、カゴ102を所定の階床に移動させたり、移動させたカゴ102および該当する乗り場105の扉を開閉させたりする指示信号などを受信する。
生成部406は、受信部405が管理サーバコンピュータ130から診断指示を受信した場合に、記憶部404が記憶する走行距離に関する情報を含む応答情報を生成する。生成部406は、記憶部404が記憶する最新の走行距離、すなわち、直近に算出された走行距離を含み、遠隔監視システム100による遠隔監視を開始してから、監視対象となるエレベーター101が備えるカゴ102が走行した累計の走行距離を含む応答情報を生成する。
あるいは、生成部406は、前回診断指示を受信した時点以降に、前記記憶部404に記憶された走行距離を含む応答情報を生成してもよい。いずれの走行距離を含む応答情報を生成するかは、たとえば、管理サーバコンピュータ130を介して、保守点検をおこなう作業者が任意に指定することができる。
生成部406は、応答情報に含まれる走行距離にかかるエレベーター101の識別情報を含む応答情報を生成する。エレベーター101の識別情報は、たとえば、当該エレベーター101の製造番号であってもよいし、当該エレベーター101の設置場所(住所など)に基づいて設定される番号であってもよいし、当該エレベーター101の保守点検をおこなう作業者などが任意に設定した番号であってもよい。エレベーター101の識別情報は、所定桁数の数字やアルファベットなどの文字を組み合わせて構成することができる。
送信部407は、受信部405が診断指示を受信した場合、記憶部404が記憶する走行距離に関する情報を管理サーバコンピュータ130に送信する。送信部407は、たとえば、受信部405が診断指示を受信した場合に生成部406が生成した応答情報を、管理サーバコンピュータ130に送信する。
(管理サーバコンピュータ130の機能的構成)
図4において、管理サーバコンピュータ130は、指示受付部411、指示信号生成部412、診断指示部413、応答情報受信部414、報告書情報生成部415、記憶部416および報告書情報出力部417を備えている。この発明にかかる実施の形態1の管理サーバコンピュータ130が備える指示受付部411、指示信号生成部412、診断指示部413、応答情報受信部414、報告書情報生成部415、記憶部416および報告書情報出力部417の各機能は、管理サーバコンピュータ130が備える各部によって実現することができる。
指示受付部411は、操作用の端末装置131から出力された操作信号の入力を受け付ける。指示受付部411は、たとえば、保守点検をおこなう作業員などによって操作用の端末装置131に対して所定の入力操作がおこなわれることにより、当該操作用の端末装置131から出力される診断動作の実行を指示する操作信号の入力を受け付ける。操作信号は、監視対象とするエレベーター101に実行させる動作を指定する情報や、監視対象となるエレベーター101の識別情報などを含む。
指示信号生成部412は、指示受付部411が入力を受け付けた操作信号に基づいて、遠隔監視支援装置120における診断動作の実行を指示する指示信号を生成する。指示信号は、たとえば、監視対象とするエレベーター101に実行させる動作を指定する情報や、監視対象となるエレベーター101の識別情報を含む指示信号を生成する。
診断指示部413は、指示信号生成部412が生成した指示信号を、該当する遠隔監視支援装置120に対して送信する。該当する遠隔監視支援装置120は、たとえば、指示信号に含まれるエレベーター101の識別情報によって特定することができ、当該監視対象となるエレベーター101に接続された遠隔監視支援装置120によって実現される。
応答情報受信部414は、診断指示部413が指示信号を送信した結果、該当する遠隔監視支援装置120から送信された応答情報を受信する。応答情報受信部414は、診断指示部413が指示信号を送信してからの経過時間を計時してもよい。これにより、診断指示部413が指示信号を送信してから所定時間が経過しても、該当する遠隔監視支援装置120から送信された応答情報を受信していない場合に、エラー報知をおこなうことができる。
報告書情報生成部415は、応答情報受信部414が受信した応答情報に基づいて報告書情報を生成する。報告書情報は、たとえば、遠隔監視支援装置120が算出した走行距離に関する情報を含む。
記憶部416は、応答情報受信部414が受信した応答情報を記憶する。記憶部416は、たとえば、応答情報受信部414が受信した応答情報の内容のみでなく、当該応答情報の送信元となる遠隔監視支援装置120が接続されたエレベーター101の識別情報や、当該応答情報を受信した日時に関する情報を記憶してもよい。また、記憶部416は、たとえば、報告書情報生成部415が生成した報告書情報を記憶してもよい。この場合、記憶部416は、たとえば、報告書情報生成部415が生成した報告書情報の内容のみでなく、当該報告書情報によって状態が報告されるエレベーター101の識別情報や、当該報告書情報が生成された日時に関する情報を記憶してもよい。
報告書情報出力部417は、報告書情報生成部415が生成した報告書情報を、操作用の端末装置131に対して出力する。報告書情報出力部417は、報告書情報生成部415が生成した報告書情報に加えて、当該報告書情報を印刷出力する指示情報をあわせて送信する。また、報告書情報出力部417は、操作用の端末装置131から入力を受け付けた操作信号に応じて、記憶部416が記憶する報告書情報などを抽出し、抽出した報告書情報を操作用の端末装置131に対して出力してもよい。
(遠隔監視支援装置120の処理手順)
つぎに、この発明にかかる実施の形態1の遠隔監視支援装置120の処理手順について説明する。図5および図6は、この発明にかかる実施の形態1の遠隔監視システム100を構成する遠隔監視支援装置120の処理手順を示すフローチャートである。図5のフローチャートに示す処理は、制御基板110から出力された階床信号を取得した場合に実行される。
図5のフローチャートにおいて、まず、制御基板110から出力された階床信号に基づいて、階床が切り替わったか否かを判断する(ステップS501)。ステップS501において、階床が切り替わっていない場合(ステップS501:No)、階床が切り替わるまで待機する。
ステップS501において、階床が切り替わった場合(ステップS501:Yes)、階床数をカウントアップする(ステップS502)。ステップS502において階床数をカウントアップした場合、メモリ203において既に記憶されている階床数に+1した階床数を記憶するように、メモリ203における記憶内容を更新する。
つぎに、ステップS501:Yesにおいて階床が切り替わったと判断してから所定時間が経過したか否かを判断し(ステップS503)、所定時間が経過していない場合(ステップS503:No)、ステップS501へ戻る。ステップS503においては、カゴ102が階床を通過せずに停止したと判断できる時間が経過したか否かを判断する。
具体的には、たとえば、カゴ102が1階から直接3階へ移動する場合、当該カゴ102は2階を通過する。このとき、階床信号に基づいて判断される、カゴ102が現在位置する階床が2階である時間は、当該カゴ102が停止した場合の時間(所定時間)よりも短い。すなわち、制御基板110から取得した階床信号に基づいて、カゴ102が現在位置する階床が2階に切り替わったと判断してから所定時間が経過する前に、カゴ102が現在位置する階床が3階に切り替わった場合は、カゴ102が2階を通過したと判断することができる。
このように、ステップS503においては、ステップS501において階床が切り替わったと判断してから、あらたに階床が切り替わったと判断する前に所定時間が経過したか否かを判断することにより、当該判断にかかる階床信号が示す階床にカゴ102が停止したか、当該階床をカゴ102が通過したかを判断することができる。
ステップS503において、ステップS501において階床数が切り替わったと判断してから所定時間が経過した場合(ステップS503:Yes)、メモリ203を参照して、ステップS501において階床が切り替わったと判断してから計数した階床数を取得する(ステップS504)。ステップS504においては、カゴ102が移動をはじめてから停止するまでに移動した階床数を取得する。
つぎに、メモリ203を参照して、あらかじめ記憶されている尺度を取得する(ステップS505)。そして、ステップS504において取得した階床数と、ステップS505において取得した尺度と、に基づいて、カゴ102の走行距離を算出する(ステップS506)。ステップS506においては、ステップS501において階床数が切り替わったと判断してからのカゴ102の走行距離を算出し、算出した走行距離をメモリ203において既に記憶されている走行距離に加算して、累積の走行距離を算出する。その後、ステップS506において算出した走行距離をメモリ203に記憶して(ステップS507)、一連の処理を終了する。
図6のフローチャートにおいて、まず、管理サーバコンピュータ130から送信された診断指示を受信するまで待機する(ステップS601:No)。ステップS601において、管理サーバコンピュータ130から送信された診断指示を受信した場合(ステップS601:Yes)、メモリ203を参照して、走行距離を取得する(ステップS602)。
つぎに、ステップS602において取得した走行距離を含む応答情報を生成し(ステップS603)、管理サーバコンピュータ130に対して、ステップS603において生成した応答情報を送信して(ステップS604)、一連の処理を終了する。
図7は、この発明にかかる実施の形態1の遠隔監視システム100を構成する管理サーバコンピュータ130の処理手順を示すフローチャートである。図7のフローチャートにおいて、まず、操作用の端末装置131から出力された所定の操作信号の入力を受け付けるまで待機する(ステップS701:No)。ステップS701においては、保守点検をおこなう作業員などによって操作用の端末装置131に対して所定の入力操作がおこなわれることにより、当該操作用の端末装置131から出力される診断動作の実行を指示する操作信号の入力を受け付けるまで待機する。
ステップS701において、診断動作の実行を指示する操作信号の入力を受け付けた場合(ステップS701:Yes)、遠隔監視支援装置120における診断動作の実行を指示する指示信号を生成する(ステップS702)。そして、遠隔監視支援装置120に対して、ステップS702において生成した指示信号を送信する(ステップS703)。
つぎに、ステップS703において指示信号を送信した結果、該当する遠隔監視支援装置120から送信された応答情報を受信したか否かを判断する(ステップS704)。ステップS704において、該当する遠隔監視支援装置120から送信された応答情報を受信した場合(ステップS704:Yes)、受信した応答情報に基づいて報告書情報を生成する(ステップS705)。
ステップS705においては、たとえば、ステップS704:Yesにおいて受信した応答情報に含まれるエレベーター101の走行距離に関する情報を含み、上記の報告書300を操作用の端末装置131を介して印刷出力させるための報告書情報を生成する。
その後、ステップS705において生成した報告書情報を、操作用の端末装置131に対して出力して(ステップS706)、一連の処理を終了する。ステップS706において出力した報告書情報を受け付けた操作用の端末装置131は、たとえば、当該報告書情報に基づいて印刷情報を生成し、当該印刷情報に基づいて操作用の端末装置131に接続されているプリンタを駆動制御することによって、報告書300を発行する。
一方、ステップS704において、該当する遠隔監視支援装置120から送信された応答情報を受信していない場合(ステップS704:No)、ステップS703において指示信号を送信してから所定時間が経過したか否かを判断する(ステップS707)。そして、ステップS707において、所定時間が経過していない場合(ステップS707:No)、ステップS704に戻り、該当する遠隔監視支援装置120から送信された応答情報を受信したか否かを判断する。
ステップS707において、ステップS703において指示信号を送信してから、該当する遠隔監視支援装置120から送信された応答情報を受信することなく、所定時間が経過した場合(ステップS707:Yes)、エラー報知をおこなって(ステップS708)、一連の処理を終了する。ステップS708においては、たとえば、操作用の端末装置131に対して、当該作用の端末装置131から報知音を出力させたり、操作用の端末装置131が備えるディスプレイにエラーメッセージを表示させたりする指示信号を出力する。
以上説明したように、この発明にかかる実施の形態1の遠隔監視支援装置120は、エレベーター101の動作を制御する制御基板110から、当該エレベーター101が備えるカゴ102が位置する階床を示す階床信号を取得し、取得した信号に基づいて、当該信号が示す階床が切り替わるごとに、カゴ102が移動した階床数を計数する。そして、計数した階床数と、エレベーター101が設けられた建物の1階床分の尺度とに基づいて、カゴ102の走行距離を算出し、算出した走行距離を記憶する。この発明にかかる実施の形態1の遠隔監視支援装置120は、管理サーバコンピュータ130から診断指示を受信した場合は、当該診断指示を受信するまでの間に記憶した走行距離に関する情報を、管理サーバコンピュータ130に送信する。
エレベーター101の制御基板110は、当然に、カゴ102が位置する階床を認識しており、エレベーター101を制御したり、乗り場105やカゴ102内において当該カゴ102が位置する階床を案内したりするため、カゴ102が移動するごとに階床信号を出力する。この発明にかかる実施の形態1の遠隔監視支援装置120によれば、制御基板110から出力される階床信号を取得することにより、カゴ102が位置する階床を遠隔監視支援装置120が直接認識するためのセンサなどを別途設けることなく簡易な構成で、カゴ102が位置する階床を遠隔監視支援装置120において確実に認識することができる。したがって、この発明にかかる実施の形態1の遠隔監視支援装置120によれば、簡易な構成で、カゴ102が移動した階床数を確実に計数することができる。
そして、この発明にかかる実施の形態1の遠隔監視支援装置120によれば、エレベーター101が設けられた建物の1階床分の尺度をあらかじめ設定しておくことにより、当該尺度に、カゴ102が移動した階床数を乗じるだけの簡易な演算によって、遠隔監視支援装置120における走行距離の算出にかかる負担を増大させることなく、カゴ102の走行距離を算出することができる。これによって、この発明にかかる実施の形態1の遠隔監視支援装置120を用いた遠隔監視システムによれば、遠隔監視システムが監視対象とするエレベーター101の遠隔監視の精度を確保することができる。特に、エレベーター101が設けられた建物の寸法などに基づいて精度の高い尺度を設定しておくことにより、カゴ102が移動した階床数のみに基づいてカゴ102の走行距離を精度よく算出することができる。
また、この発明にかかる実施の形態1の遠隔監視支援装置120を用いた遠隔監視システムによれば、走行距離の算出にかかる遠隔監視支援装置120の負担を抑えることができるので、走行距離の算出にかかる負担によって、その他の遠隔監視にかかる動作に支障をきたすことがない。
一般的に、管理サーバコンピュータ130は、複数台のエレベーター101の動作を監視している。各エレベーター101(の制御基板110)からは、当該エレベーター101に異常が発生した場合に当該異常を通知する情報が送信(発報)される。この発報を受信した場合、管理サーバコンピュータ130あるいは当該管理サーバコンピュータ130を操作する作業員は、受信した発報に基づいて、エレベーター101に発生した異常に対する対応をおこなう。この対応は、人命に関わる場合もあるため、いち早く検知し、重大な障害になる前あるいは障害が深刻化する前におこなうことが要求される。
この発明にかかる実施の形態1の遠隔監視支援装置120を用いた遠隔監視システムによれば、走行距離の算出にかかる負担によって、その他の遠隔監視にかかる動作に支障をきたすことがないため、走行距離の算出に負担がかかることによって遠隔監視にかかる動作が遅延することを防止し、エレベーター101に発生した異常に対する対応を迅速におこなうことができる。これによって、この発明にかかる実施の形態1の遠隔監視支援装置120によれば、遠隔監視の対象となるエレベーター101に対する信頼性の向上を図ることができる。
また、この発明にかかる実施の形態1の遠隔監視支援装置120は、制御基板110から取得した階床信号が示す階床が切り替わってから、当該階床が所定時間一定となるまでの階床数を計数し、当該階床信号が示す階床が所定時間一定となった場合に、当該階床信号が示す階床が切り替わってから当該階床が所定時間一定となるまでの間に計数した階床数と尺度とに基づいてあらたな走行距離を算出し、算出したあらたな走行距離を既に記憶されている走行距離に加算することによってカゴ102の走行距離を算出する。
具体的には、この発明にかかる実施の形態1の遠隔監視支援装置120は、1回の動作で複数の階床を移動する状況においては、エレベーター101が移動を停止した場合に、走行距離の算出にかかる演算をおこなう。より具体的には、たとえば、カゴ102が1階から移動をはじめて途中の階床に停止することなく5階に移動する場合、1階を示す階床信号が2階を示すように切り替わってから5階を示すまでの間は階床数を計数し、カゴ102が5階に移動した後、1階から5階に移動した分の走行距離の算出をおこなう。
また、この発明にかかる実施の形態1の遠隔監視支援装置120は、具体的には、たとえば、カゴ102が1階から移動をはじめて、3階に停止した後に5階に移動する場合、1階を示す階床信号が2階を示すように切り替わってから3階を示すまでの間は階床数を計数し、カゴ102が3階に移動した後、1階から3階に移動した分の走行距離の算出をおこなう。その後、3階を示す階床信号が4階を示すように切り替わってから5階を示すまでの間は階床数を計数し、カゴ102が5階に移動した後、3階から5階に移動した分の走行距離の算出をおこなう。
これによって、この発明にかかる実施の形態1の遠隔監視支援装置120によれば、階床信号が切り替わるごとに演算をおこなう場合と比較して、演算の回数を減らすことができる。これにより、この発明にかかる実施の形態1の遠隔監視支援装置120によれば、管理サーバコンピュータ130や制御基板110の負担を増大を抑制することができる。
エレベーター101の診断動作は、当該エレベーター101における故障などの障害が発生する予兆の有無など、将来にわたってのエレベーター101の状況を予測し、障害が発生する前に対応することを目的としている。将来にわたってのエレベーター101の状況を予測することにより、たとえば、定期的な保守点検などに際して重点的に点検したり交換したりする箇所を、当該保守点検の事前に把握することができ、点検作業にかかる時間短縮を図ることができる。
そして、この発明にかかる実施の形態1の遠隔監視支援装置120を備える遠隔監視システムによれば、上述したように、将来にわたってのエレベーター101の状況を精度よく予測し、障害が発生する前に対応することができるため、遠隔監視の対象となるエレベーター101に対する信頼性の向上を図ることができる。また、この発明にかかる実施の形態1の遠隔監視支援装置120を備える遠隔監視システムによれば、障害が発生する前に点検をおこなったり、エレベーター101の管理者に対して当該エレベーター101の点検を提案したりすることができるので、利用者の安全を確保できる。
(実施の形態2)
(遠隔監視システムのシステム構成)
つぎに、この発明にかかる実施の形態2の遠隔監視支援装置を備える遠隔監視システムについて説明する。実施の形態2においては、上述した実施の形態1と同一部分は同一符号で示し、説明を省略する。図8は、この発明にかかる実施の形態2の遠隔監視システム100を構成する遠隔監視支援装置120の処理手順を示すフローチャートである。実施の形態2の遠隔監視支援装置120は、上述した実施の形態1において図5のフローチャートで示した処理に代えて、図8で示した処理を実行する。
図8のフローチャートにおいて、まず、制御基板110から出力された階床信号に基づいて、階床が切り替わったか否かを判断する(ステップS801)。ステップS801において、階床が切り替わっていない場合(ステップS801:No)、そのまま一連の処理を終了する。
ステップS801において、階床が切り替わった場合(ステップS801:Yes)、階床数をカウントアップする(ステップS802)。ステップS802において階床数をカウントアップした場合、メモリ203において既に記憶されている階床数に+1した階床数を記憶するように、メモリ203における記憶内容を更新してもよい。
ステップS801:Yesにおいて階床が切り替わった場合、走行距離を算出する(ステップS803)。ステップS803においては、あらかじめ記憶されている尺度を、メモリ203において既に記憶されている走行距離に加算することによって走行距離を算出する。その後、ステップS803において算出した走行距離をメモリ203に記憶して(ステップS804)、一連の処理を終了する。
以上説明したように、この発明にかかる実施の形態2の遠隔監視支援装置120は、制御基板110から取得した階床信号が示す階床が切り替わるごとに階床数を計数し、階床数を計数するごとに、既に記憶されている走行距離に尺度を加算することによってカゴ102の走行距離を算出する。すなわち、この発明にかかる実施の形態2の遠隔監視支援装置120は、カゴ102が1階から2階に移動する場合であっても、カゴ102が1階から5階に移動する場合であっても同様に、階床が切り替わるごとに、既に記憶されている走行距離に1階床分の尺度を加算することによって、走行距離の算出をおこなう。
この発明にかかる実施の形態2の遠隔監視支援装置120によれば、たとえば、1回の動作で移動する階床数にかかわらず、エレベーター101が1階床分移動するごとに、同じ数値の尺度を加算する処理をおこなうことによって走行距離を算出することができる。これによって、この発明にかかる実施の形態2の遠隔監視支援装置120によれば、1回の動作で移動する階床数にかかわらず、演算1回あたりの負担を一定にすることができ、遠隔監視支援装置120における走行距離の算出にかかる負担の増大を抑制することができる。
このように、この発明にかかる実施の形態2の遠隔監視支援装置120によれば、カゴ102が移動した階床数のみに基づいてカゴ102の走行距離を算出することができるので、遠隔監視支援装置120における走行距離の算出にかかる負担を増大させることなく、カゴ102の走行距離を算出することができる。したがって、走行距離の算出にかかる負担によって、その他の遠隔監視にかかる動作に支障をきたすことがないため、走行距離の算出に負担がかかることによって遠隔監視にかかる動作が遅延することを防止し、エレベーター101に発生した異常に対する対応を迅速におこなうことができる。これによって、この発明にかかる実施の形態2の遠隔監視支援装置120によれば、遠隔監視の対象となるエレベーター101に対する信頼性の向上を図ることができる。
(実施の形態3)
(遠隔監視システムのシステム構成)
つぎに、この発明にかかる実施の形態3の遠隔監視支援装置を備える遠隔監視システムについて説明する。実施の形態3においては、上述した実施の形態1および実施の形態2と同一部分は同一符号で示し、説明を省略する。
図9は、この発明にかかる実施の形態3の遠隔監視システム100を構成する遠隔監視支援装置120の機能的構成を示すブロック図である。図9において、この発明にかかる実施の形態3のエレベーター101の遠隔監視支援装置120の各機能は、取得部401、計数部402、算出部403、記憶部404、受信部405、生成部406および送信部407によって実現される。
この発明にかかる実施の形態3のエレベーター101の遠隔監視支援装置120が備える取得部401、計数部402、算出部403、記憶部404、受信部405、生成部406および送信部407の各機能は、遠隔監視支援装置120が備える各部によって実現することができる。記憶部404は、計数部402が計数した階床数を記憶する。記憶部404は、計数部402が階床数を計数するごとに、当該階床数を記憶する。記憶部404は、階床数を計数するごとに、当該階床数の計数をおこなった日時をあわせて記憶してもよい。
算出部403は、受信部405が診断指示を受信した場合、計数部402が計数した階床数と尺度とに基づいて、カゴ102の走行距離を算出する。生成部406は、受信部405が診断指示を受信した場合、算出部403が算出した走行距離に関する情報を含む応答情報を生成する。生成部406は、たとえば、遠隔監視システムによる遠隔監視後に計数された階床数に基づいて、監視対象となるエレベーターが備えるカゴ102が走行した累計の走行距離を含む応答情報を生成する。
あるいは、生成部406は、前回診断指示を受信した時点以降に、前記記憶部404に記憶された階床数に基づいて算出されたカゴ102の走行距離に関する情報を含む応答情報を生成してもよい。いずれの走行距離を含む応答情報を生成するかは、たとえば、管理サーバコンピュータ130を介して、保守点検をおこなう作業者が任意に指定することができる。
送信部407は、算出部403が算出した走行距離に関する情報を、管理サーバコンピュータ130に送信する。送信部407は、たとえば、受信部405が診断指示を受信した場合に生成部406が生成した応答情報を、管理サーバコンピュータ130に送信する。
(遠隔監視支援装置120の処理手順)
つぎに、この発明にかかる実施の形態3の遠隔監視支援装置120の処理手順について説明する。図10および図11は、この発明にかかる実施の形態3の遠隔監視システム100を構成する遠隔監視支援装置120の処理手順を示すフローチャートである。図10のフローチャートに示す処理は、制御基板110から出力された階床信号を取得した場合に実行される。
図10のフローチャートにおいて、まず、制御基板110から出力された階床信号に基づいて、階床が切り替わったか否かを判断する(ステップS1001)。ステップS1001において、階床が切り替わっていない場合(ステップS1001:No)、制御基板110から出力された階床信号が示す階床が切り替わるまで待機する。
ステップS1001において、階床が切り替わった場合(ステップS1001:Yes)、階床数をカウントアップする(ステップS1002)とともに、ステップS1002においてカウントアップした階床数をメモリ203に記憶して(ステップS1003)、一連の処理を終了する。ステップS1003においては、既に記憶されている階床数に+1した階床数を記憶するように、メモリ203における記憶内容を更新する。
図11のフローチャートにおいて、まず、管理サーバコンピュータ130から送信された診断指示を受信するまで待機する(ステップS1101:No)。ステップS1101において、管理サーバコンピュータ130から送信された診断指示を受信した場合(ステップS1101:Yes)、メモリ203を参照して、階床数を取得する(ステップS1102)。
つぎに、メモリ203を参照して、あらかじめ記憶されている尺度を取得する(ステップS1103)。そして、ステップS1102において取得した階床数と、ステップS1103において取得した尺度と、に基づいて、カゴ102の走行距離を算出する(ステップS1104)。ステップS1104においては、たとえば、遠隔監視システムによる遠隔監視後に計数された階床数に基づいて、監視対象となるエレベーターが備えるカゴ102が走行した累計の走行距離を算出する。
その後、ステップS1104において算出した走行距離を含む応答情報を生成し(ステップS1105)、管理サーバコンピュータ130に対して、ステップS1105において生成した応答情報を送信して(ステップS1106)、一連の処理を終了する。
以上説明したように、この発明にかかる実施の形態3の遠隔監視支援装置120は、制御基板110から取得した階床信号に基づいて、当該階床信号が示す階床が切り替わるごとに、カゴ102が移動した階床数を計数し、管理サーバコンピュータ130から診断指示を受信した場合、計数した階床数と尺度とに基づいて、カゴ102の走行距離を算出して、算出した走行距離に関する情報を管理サーバコンピュータ130に送信する。
この発明にかかる実施の形態3の遠隔監視支援装置120によれば、管理サーバコンピュータ130から診断指示を受信するまでの間は階床数の計数をおこない、管理サーバコンピュータ130から診断指示を受信した場合に、当該診断指示を受信するまでの間に計数した階床数と尺度とに基づいて走行距離を算出する。したがって、この発明にかかる実施の形態3の遠隔監視支援装置120によれば、階床信号が切り替わるごとに演算をおこなう場合と比較して演算の回数を減らすことができる。これにより、この発明にかかる実施の形態3の遠隔監視支援装置120によれば、管理サーバコンピュータ130や制御基板110の負担を増大を抑制することができる。
(実施の形態4)
(遠隔監視システム100の機能的構成)
つぎに、この発明にかかる実施の形態4の遠隔監視システム100について説明する。実施の形態4においては、上述した実施の形態1、実施の形態2あるいは実施の形態3と同一部分は同一符号で示し、説明を省略する。
この発明にかかる実施の形態4の遠隔監視システム100は、階床数と尺度とに基づくカゴ102の走行距離を、遠隔監視支援装置120ではなく、管理サーバコンピュータ130が算出する点が、上述した実施の形態1〜3の遠隔監視システム100と異なる。図12は、この発明にかかる実施の形態4の遠隔監視システム100を構成する遠隔監視支援装置120および管理サーバコンピュータ130の機能的構成を示すブロック図である。
(遠隔監視支援装置120の機能的構成)
図12において、この発明にかかる実施の形態4のエレベーター101の遠隔監視支援装120の各機能は、取得部401、計数部402、記憶部404、受信部405、生成部406および送信部407によって実現される。この発明にかかる実施の形態1のエレベーター101の遠隔監視支援装置120が備える取得部401、計数部402、記憶部404、受信部405、生成部406および送信部407の各機能は、遠隔監視支援装置120が備える各部によって実現することができる。
具体的には、取得部401、計数部402、記憶部404、受信部405、生成部406および送信部407の各機能は、たとえば、主制御基板121によって実現することができる。より具体的には、取得部401の機能は、たとえば、主制御基板121を構成する中継基板201によって実現することができる。
また、より具体的には、計数部402、記憶部404、生成部406の各機能は、たとえば、主制御基板121を構成する監視制御基板202およびメモリ203によって実現することができる。また、より具体的には、受信部405および送信部407の機能は、たとえば、主制御基板121を構成する通信I/F204によって実現することができる。
計数部402は、取得部401が取得した階床信号が示す階床が切り替わってから、当該階床が所定時間一定となるまでの階床数を計数する。すなわち、計数部402は、カゴ102が2階床以上移動する場合、階床信号が切り替わってから所定時間一定となるまでの間に移動した階床数を計数する。具体的には、たとえば、カゴ102が1階から移動をはじめて途中の階床に停止することなく5階に移動する場合、計数部402は、1階を示す階床信号が2階を示すように切り替わってから5階を示すまでの間に移動した階床数を「4」として計数する。
あるいは、計数部402は、取得部401が取得した階床信号が示す階床が切り替わるごとに、階床数を計数してもよい。この場合、計数部402は、カゴ102が1階床移動する場合であっても2階床以上移動する場合であっても、階床信号が切り替わるごとに、階床数を計数する。
記憶部404は、計数部402が計数した階床数を記憶する。記憶部404は、計数部402が階床数を計数するごとに、当該階床数を記憶する。記憶部404は、計数部402が計数した階床数を、累積して記憶する。記憶部404は、床数の計数をおこなった日時をあわせて記憶してもよい。
生成部406は、記憶部404が記憶する階床数を含む応答情報を生成する。生成部406は、記憶部404が記憶する最新の階床数、すなわち、直近に計数された階床数を含み、遠隔監視システム100による遠隔監視を開始してから、監視対象となるエレベーター101が備えるカゴ102が移動した累積の階床数を含む応答情報を生成する。
あるいは、生成部406は、前回診断指示を受信した時点以降に、記憶部404に記憶された階床数を含む応答情報を生成してもよい。いずれの階床数を含む応答情報を生成するかは、たとえば、管理サーバコンピュータ130を介して、保守点検をおこなう作業者が任意に指定することができる。
生成部406は、たとえば、受信部405が管理サーバコンピュータ130から診断指示を受信した場合に、記憶部404が記憶する階床数を含む応答情報を生成する。あるいは、生成部406は、たとえば、計数部402が階床数を計数するごとに、応答情報を生成してもよい。いずれのタイミングで応答情報を生成するかは、たとえば、管理サーバコンピュータ130を介して、保守点検をおこなう作業者が任意に指定することができる。
生成部406が、計数部402が階床数を計数するごとに応答情報を生成する場合、上記の記憶部404は、応答情報が生成されるごとに当該応答情報を記憶する。この場合、記憶部404は、応答情報を生成するごとに、先に生成されている応答情報を消去し、あるいは先に生成されている応答情報に代えて、最新の応答情報を記憶してもよい。生成部406は、階床数の計数対象とするエレベーター101の尺度に関する情報を含む応答情報を生成してもよい。
送信部407は、記憶部404が記憶する階床数に基づいて生成部406が生成した応答情報を、管理サーバコンピュータ130に送信する。送信部407は、たとえば、受信部405が診断指示を受信した場合、該当する応答情報(記憶部404に記憶されている応答情報、あるいは、診断指示を受信した時点で生成した応答情報)を管理サーバコンピュータ130に送信する。
(管理サーバコンピュータ130の機能的構成)
図12において、管理サーバコンピュータ130は、指示受付部411、指示信号生成部412、診断指示部413、応答情報受信部414、算出部1201、報告書情報生成部415、記憶部416および報告書情報出力部417を備えている。この発明にかかる実施の形態1の管理サーバコンピュータ130が備える指示受付部411、指示信号生成部412、診断指示部413、応答情報受信部414、算出部1201、報告書情報生成部415、記憶部416および報告書情報出力部417の各機能は、管理サーバコンピュータ130が備える各部によって実現することができる。
具体的には、指示受付部411の機能は、たとえば、管理サーバコンピュータ130を実現するパーソナルコンピュータが備える各部のうち、操作用の端末装置131から出力された信号を受け付けるI/F(図示を省略する)によって実現することができる。また、具体的には、報告書情報出力部417の機能は、たとえば、管理サーバコンピュータ130を実現するパーソナルコンピュータが備える各部のうち、管理サーバコンピュータ130に接続されたプリンタ、あるいは、プリンタが接続された操作用の端末装置131に報告書情報を出力するI/F(図示を省略する)によって実現することができる。
また、具体的には、指示信号生成部412、算出部1201、報告書情報生成部415の各機能は、上記パーソナルコンピュータが備える各部のうち、CPU、ROMやRAMによって構成されるメモリ、HD(ハードディスク)、HDD(ハードディスクドライブ)などによって実現することができる(いずれも図示を省略する)。この場合、ROM、RAMあるいはHDに記憶された各種制御プログラムやデータを用いて該当する制御プログラムを実行することにより、指示信号生成部412、算出部1201、報告書情報生成部415の各機能を実現することができる。
また、具体的には、診断指示部413の機能は、上記パーソナルコンピュータが備える各部のうち、CPU、メモリ、HD、HDDおよびインターネットなどの通信ネットワークに接続された通信I/Fなどによって実現することができる(いずれも図示を省略する)。
指示信号生成部412は、指示受付部411が診断動作の入力操作を受け付けた場合に、遠隔監視支援装置120に送信する診断指示を生成する。指示信号生成部412は、診断の対象とするエレベーター101の識別情報、および、当該エレベーター101の状態に関する情報の送信を指示する指示信号を含む診断指示を生成する。指示信号生成部412は、記憶部における記憶内容に基づいて、診断指示を送信してから所定時間が経過した場合に、遠隔監視支援装置120に送信する診断指示を生成してもよい。
診断指示部413は、指示信号生成部412が生成した診断指示を、所定のタイミングで、遠隔監視支援装置120に対して送信する。診断指示部413は、たとえば、指示信号生成部412が診断指示を生成した場合に、当該診断指示を送信する。また、診断指示部413は、たとえば、前回に診断指示を送信してから所定時間が経過するごとに、つぎの診断指示を送信してもよい。
算出部1201は、診断指示部413が診断指示を送信した結果、該当する遠隔監視支援装置120から送信された階床数に関する情報と、エレベーター101が設けられた建物の1階床分の尺度とに基づいて、カゴ102の走行距離を算出する。具体的には、算出部1201は、診断指示部413が診断指示を送信した結果、応答情報受信部414が応答情報を受信した場合、当該応答情報から階床数に関する情報を抽出する。そして、算出部1201は、抽出された階床数によって特定される階床数と、尺度とに基づいて、カゴ102の走行距離を算出する。
尺度は、たとえば、管理サーバコンピュータ130を実現するパーソナルコンピュータが備えるHDやメモリなどに記憶されている。管理サーバコンピュータ130は、エレベーター101の識別情報ごとに関連付けて、尺度を記憶する。この場合、算出部1201は、受信した応答情報からエレベーター101の識別情報を抽出し、抽出したエレベーター101の識別情報と同じ識別情報に関連付けられている尺度を、管理サーバコンピュータ130が記憶する尺度の中から抽出する。そして、抽出した尺度と階床数とに基づいて、カゴ102の走行距離を算出する。これにより、エレベーター101が設置されている建物ごとに尺度が異なっている場合にも、カゴ102の走行距離を正確に算出することができる。
あるいは、各遠隔監視支援装置120が尺度に関する情報を記憶している場合、管理サーバコンピュータ130は、各遠隔監視支援装置120が記憶する尺度に関する情報を、応答情報に含めて受信するものであってもよい。この場合、算出部1201は、診断指示部413が診断指示を送信した結果、応答情報受信部414が受信した応答情報に含まれる階床数および尺度に関する情報に基づいて走行距離を算出する。
報告書情報生成部415は、算出部1201が算出した走行距離に基づいて報告書情報を生成する。報告書情報は、たとえば、算出部1201が算出した走行距離に関する情報を含む。また、報告書情報は、算出部1201の算出に供された階床数、尺度に関する情報などを含んでいてもよい。
なお、上記の指示受付部411は、予約によりおこなう診断動作(以下「予約診断動作」という)の入力操作を受け付けてもよい。予約診断動作の入力操作に際しては、診断の対象とするエレベーター101の識別情報に加えて、遠隔監視支援装置120によって診断動作をおこなう予定日時を指定する情報の入力を受け付ける。
予定日時を指定する情報は、たとえば、「○月△日、××時××分××秒開始」のように、次回に遠隔監視支援装置120によって診断動作をおこなう日時(以下、適宜「遠隔診断予定日時」という)を、ピンポイントで指定する情報によって実現することができる。この場合、オペレーターは、遠隔診断予定日時を毎回入力することによって、予約診断動作の入力操作(単発予約)をおこなう。
あるいは、予定日時を指定する情報は、特定の日時をピンポイントで指定するものではなく、たとえば、「毎月1日、2時10分30秒開始」、「毎週月曜日、2時10分30秒開始」などのように、遠隔監視支援装置120によって診断動作が繰り返しておこなわれるような情報であってもよい。この場合、オペレーターは、遠隔監視支援装置120によって診断動作をおこなう間隔あるいは時期が決定された時点で、遠隔監視支援装置120によって定期的に診断動作がおこなわれるように遠隔診断予定日時を入力することによって、定期的に繰り返しておこなう予約診断動作の入力操作(繰り返し予約)をおこなう。
指示受付部411は、単発予約および繰り返し予約のうち、いずれか一方を受け付けるものであってもよく、単発予約および繰り返し予約の双方を並行して受け付けてもよい。具体的には、たとえば、月ごとに繰り返して、予定日時(遠隔診断予定日時)が到来すると、遠隔監視支援装置120によって診断動作を定期的におこなう設定がなされている状態で、別途、単発予約の入力操作を受け付けてもよい。
指示受付部411において予約診断動作の入力操作を受け付けた場合、遠隔監視支援装置120が備える受信部405は、予約による診断動作の実行を指示する指示信号を受信する。上記の記憶部404は、受信部405が受診した指示信号が予約による診断動作の実行を指示する指示信号である場合、予約診断動作が完了するまでの間、当該予約診断動作の実行を指示する指示信号を記憶してもよい。
記憶部404が予約診断動作の実行を指示する指示信号を記憶した場合、遠隔監視支援装置120は、記憶した指示信号にしたがって、遠隔診断予定日時が到来するごとに、記憶部404が記憶する階床数に関する情報を含む応答情報を生成し、生成した応答情報を管理サーバコンピュータ130に送信する。
また、遠隔監視支援装置120は、記憶した指示信号にしたがって、遠隔診断予定日時が到来するごとに、カゴ102を所定の階床に移動させたり、移動させたカゴ102および該当する乗り場105の扉を開閉させたりする、いわゆる診断動作をおこない、診断動作に際して移動した階床数を含めた階床数に関する情報を含む応答情報を生成し、生成した応答情報を管理サーバコンピュータ130に送信してもよい。
遠隔監視支援装置120においては、たとえば、受信部405が受診した指示信号が、単発予約にかかる診断動作(予約診断動作)の実行を指示する指示信号(単発予約にかかる診断指示)である場合、記憶部404は、当該単発予約にかかる診断動作(予約診断動作)が完了するまでの間、当該単発予約にかかる診断指示を記憶する。あるいは、受信部405が受診した指示信号が単発予約にかかる診断指示である場合、記憶部404は、当該単発予約にかかる診断指示に応じた診断動作(予約診断動作)が完了するまでの間、当該単発予約にかかる診断指示に含まれる遠隔診断予定日時を記憶してもよい。
記憶部404は、診断指示や遠隔診断予定日時を記憶した場合、単発予約にかかる診断動作(予約診断動作)が完了した時点で、当該診断動作にかかる診断指示(単発予約にかかる診断指示)、あるいは当該診断指示にかかる遠隔診断予定日時を消去する。このように、診断動作にかかる診断指示(単発予約にかかる診断指示)、あるいは当該診断指示にかかる遠隔診断予定日時を消去することによって予約診断の完了時の処理を実現することができる。
予約診断の完了時の処理は、診断動作にかかる診断指示(単発予約にかかる診断指示)、あるいは当該診断指示にかかる遠隔診断予定日時を消去することによって実現されるものに限らない。たとえば、記憶部404は、単発予約にかかる診断動作(予約診断動作)が完了した時点で、当該診断動作が完了したことを示す完了情報を、記憶部404に記憶された、該当する診断指示や遠隔診断予定日時に関連付けて記憶し、これによって予約診断の完了時の処理を実現するようにしてもよい。
このように、単発予約にかかる診断動作(予約診断動作)が完了するごとに、該当する診断指示や遠隔診断予定日時に関連付けて完了情報を付加して記憶することにより、遠隔監視支援装置120において設定した予約日時が端末に残るため、該当する診断動作が完了した後に、保守診断用端末を接続し、診断動作の完了履歴を参照することができる。さらに、遠隔監視支援装置120は、該当する診断指示や遠隔診断予定日時に関連付けて完了情報を記憶した場合に、単発予約にかかる診断動作(予約診断動作)が完了したことを示す情報を、管理サーバコンピュータ130に対して送信してもよい。
また、遠隔監視支援装置120においては、たとえば、受信部405が受診した指示信号が、受信部405が受診した診断指示が繰り返し予約にかかる診断動作(予約診断動作)の実行を指示する指示信号(繰り返し予約にかかる診断指示)である場合、記憶部404は、当該繰り返し予約を解除する指示を管理サーバコンピュータ130から受信するまでの間、当該繰り返し予約にかかる診断指示あるいは当該診断指示にかかる遠隔診断予定日時を記憶してもよい。
予約診断の完了時の処理は、繰り返し予約にかかる診断動作(予約診断動作)に該当する診断指示や遠隔診断予定日時に完了情報を関連付けて記憶するものに限らない。予約診断の完了時の処理は、繰り返し予約にかかる診断動作(予約診断動作)が完了するごとに、該当する診断指示や遠隔診断予定日時に関連付けて適宜完了情報を付加して記憶することによって実現してもよい。
このように、繰り返し予約にかかる診断動作(予約診断動作)が完了するごとに、該当する診断指示や遠隔診断予定日時に関連付けて完了情報を付加して記憶することにより、遠隔監視支援装置120において設定した予約日時が端末に残るため、該当する診断動作が完了した後に、保守診断用端末を接続し、診断動作の完了履歴を参照することができる。
(遠隔監視支援装置120の処理手順)
つぎに、この発明にかかる実施の形態4の遠隔監視支援装置120の処理手順について説明する。図13および図14は、この発明にかかる実施の形態4の遠隔監視システム100を構成する遠隔監視支援装置120の処理手順を示すフローチャートである。図13のフローチャートに示す処理は、制御基板110から出力された階床信号を取得した場合に実行される。図13のフローチャートに示す処理は、上述した図5のフローチャートに示した処理におけるステップS501からステップS504までの処理と同様の処理によって実現される。
図14のフローチャートにおいては、まず、管理サーバコンピュータ130から送信された診断指示を受信したか否かを判断する(ステップS1401)。ステップS1401において、管理サーバコンピュータ130から送信された診断指示を受信していない場合(ステップS1401:No)、ステップS1404へ移行する。
ステップS1401において、管理サーバコンピュータ130から送信された診断指示を受信した場合(ステップS1401:Yes)、ステップS1401:Yesにおいて受信した診断指示が、予約診断動作にかかる診断指示であるか否かを判断する(ステップS1402)。ステップS1402において、ステップS1401:Yesにおいて受信した診断指示が、予約診断動作にかかる診断指示ではない場合(ステップS1402:No)、ステップS1405へ移行する。
ステップS1402において、ステップS1401:Yesにおいて受信した診断指示が、予約診断動作にかかる診断指示である場合(ステップS1402:Yes)、受信した診断指示に含まれる遠隔診断予定日時を抽出し、抽出した遠隔診断予定日時を記憶する(ステップS1403)。ステップS1403においては、予約診断動作にかかる診断指示から抽出した遠隔診断予定日時を、記憶部404を実現するメモリ203などに記憶する。
そして、ステップS1403において記憶した遠隔診断予定日時が到来したか否かを判断する(ステップS1404)。ステップS1404において、ステップS1403において記憶した遠隔診断予定日時が到来していない場合(ステップS1404:No)、ステップS1401へ戻る。これにより、先に受信した予約診断動作にかかる診断指示に応じた診断動作の待機中に、あらたに別の診断指示を受信した場合も、当該別の診断指示に応じた処理をおこなうことができる。
ステップS1404において、ステップS1403において記憶した遠隔診断予定日時が到来した場合(ステップS1404:Yes)、メモリ203を参照して、階床数を取得する(ステップS1405)。そして、ステップS1405において取得した階床数を含む応答情報を生成し(ステップS1406)、管理サーバコンピュータ130に対して、ステップS1406において生成した応答情報を送信して(ステップS1407)、一連の処理を終了する。
図15は、この発明にかかる実施の形態4の遠隔監視システム100を構成する管理サーバコンピュータ130の処理手順を示すフローチャートである。図15のフローチャートにおいて、ステップS1501からステップS1504までは、上述した図7におけるステップS701からステップS704までの処理と同様の処理をおこなう。
ステップS1504において、該当する遠隔監視支援装置120から送信された応答情報を受信した場合(ステップS1504:Yes)、受信した応答情報に基づいて、走行距離を算出する(ステップS1505)。その後、ステップS1506からステップS1509までは、上述した図7におけるステップS705からステップS708までの処理と同様の処理をおこない、一連の処理を終了する。
ステップS1505においては、ステップS1504:Yesにおいて受信した応答情報から階床数に関する情報を抽出する。また、ステップS1505においては、管理サーバコンピュータ130を実現するパーソナルコンピュータが備えるHDやメモリなどに記憶されている尺度のうち、受信した応答情報に関連付けられているエレベーター101の識別情報と同じ識別情報に関連付けられている尺度を取得する。そして、抽出された階床数によって特定される階床数と尺度とに基づいて、カゴ102の走行距離を算出する。
以上説明したように、この発明にかかる実施の形態4の遠隔監視支援システム100は、遠隔監視支援装置120が、制御基板110からエレベーター101が備えるカゴ102が位置する階床を示す階床信号を、制御基板110が備える保守点検用の端子を介して、または、制御基板110とカゴ102および各乗り場105に設けられた操作盤105bのいずれかとを接続するI/O基板のコネクタ部を介して取得し、取得した階床信号に基づいて、カゴ102が移動した階床数を計数し、管理サーバコンピュータ130からエレベーター101の状態に関する情報の送信を指示する診断指示を受信した場合に、計数した階床数に関する情報を管理サーバコンピュータ130に送信する。
また、この発明にかかる実施の形態4の遠隔監視支援システム100は、管理サーバコンピュータ130が、遠隔監視支援装置120に対して診断指示を送信し、当該診断指示を送信した結果、該当する遠隔監視支援装置120から送信された階床数に関する情報と、エレベーター101が設けられた建物の1階床分の尺度とに基づいて、カゴ102の走行距離を算出し、算出されたカゴ102の走行距離に関する情報を含む報告書情報を生成し、生成した報告書情報を出力するようにしたことを特徴としている。
この発明にかかる実施の形態4の遠隔監視支援システム100によれば、簡易な構成で、カゴ102が移動した階床数を確実に計数し、計数した階床数に基づいて管理サーバコンピュータ130においてカゴ102の走行距離を算出することにより、遠隔監視支援装置120における処理負担を増大させることなく、各エレベーター101におけるカゴ102の走行距離を算出することができる。
これによって、この発明にかかる実施の形態4の遠隔監視支援システム100によれば、エレベーター101が設置された建物ごとの尺度に基づいて各カゴ102の走行距離を算出することにより、遠隔監視システム100が監視対象とするエレベーター101の遠隔監視の精度を確保することができる。特に、エレベーター101が設けられた建物の寸法などに基づいて精度の高い尺度を設定しておくことにより、カゴ102が移動した階床数に基づいてカゴ102の走行距離を精度よく算出することができる。
また、この発明にかかる実施の形態4の遠隔監視支援システム100によれば、走行距離の算出のために遠隔監視支援装置120の負担を増大させることなく各カゴ102の走行距離を算出することができる。これにより、遠隔監視支援装置120が走行距離を算出することによる負担によって遠隔監視にかかる動作が遅延することを防止し、エレベーター101に発生した異常に対する対応を迅速におこなうことができる。これによって、この発明にかかる実施の形態1の遠隔監視支援装置120によれば、遠隔監視の対象となるエレベーター101に対する信頼性の向上を図ることができる。
また、この発明にかかる実施の形態4の遠隔監視支援システム100は、取得した階床信号が示す階床が切り替わってから、当該階床が所定時間一定となるまでの階床数を計数することを特徴としている。
この発明にかかる実施の形態4の遠隔監視支援システム100によれば、カゴ102が1回の動作で1階床分の階床を移動する状況においても、カゴ102が1回の動作で複数の階床を移動する状況においても、カゴ102が移動した階床数を確実に計数することができる。これにより、カゴ102が移動した階床数に基づいてカゴ102の走行距離を精度よく算出することができる。
また、この発明にかかる遠隔監視支援システム100においては、階床信号が示す階床が切り替わるごとに、階床数を計数するようにしてもよい。この場合、遠隔監視支援システム100においては、遠隔監視支援装置120が制御基板110から取得した階床信号が示す階床が切り替わるごとに階床数を計数し、階床数を計数するごとに、既に記憶されている階床数にあらたに計数した階床数を加算する。
これにより、1回の動作で移動する階床数にかかわらず、エレベーター101が1階床分移動するごとに、階床数を1階床ずつ加算する処理をおこなうだけで、カゴ102が移動した累積の階床数を計数することができる。そして、これにより、1回の動作でカゴ102が移動する階床数にかかわらず、演算1回あたりの負担を一定にするとともに当該負担を軽くすることができるので、階床数の計数にかかる負担の増大を抑制することができる。
なお、上述した実施の形態で説明した遠隔監視支援システムにおける管理サーバコンピュータや遠隔監視支援装置は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータが実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。