JP6300485B2 - 無線ネットワーク置局設計装置及び無線ネットワーク置局設計システム - Google Patents
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まず、導入エリアに存在する構造物(壁面、天井、机やロッカーなどの什器、窓、など)の物理形状、寸法、位置、距離などを、物差し、巻尺、あるいはレーザ測距装置などを用いて測定する。また、各構造物の材質も同時に調査する(第一工程)。
次に、CADソフトなどを用いて、導入エリアに存在する構造物を一つ一つ作成する。
すべての構造物の作成を完了したら、電磁界解析ツールが読み込めるデータ形式で、数値モデルを保存する(第二工程)。もし、電磁界解析ツールが読み込めるデータ形式で保存できない場合には、一旦、保存可能な形式で保存し、更に、電磁界解析ツールが読み込めるデータ形式に変換する作業が必要になる。
このような方法により、少なくとも前記第一工程に要する時間を低減することが可能となる。
図1は、この発明の実施の形態1による無線ネットワーク置局設計装置の適用例を示す説明図である。
図1において、携帯端末100は実施の形態1における無線ネットワーク置局設計装置を実現する装置であり、その詳細は図2を用いて後述する。構造物200は、無線ネットワークシステムを導入する対象エリアに存在する建物、壁、天井、窓、あるいは什器(机/椅子/パーティションなど)などの構造物群である。ユーザ300は、無線ネットワークシステム導入エリアの物理構造モデルを作成し、この物理構造モデルを用いて導入エリアにおける無線機の置局設計を行う携帯端末100の利用者である。
携帯端末100は、スマートフォンやタブレットなどの携帯可能な情報端末であり、デジタルカメラ101、入力装置102、画像処理装置103、解析用数値モデル作成装置104、受信電力解析装置105、ディスプレイ106を備えている。デジタルカメラ101は、導入エリアに存在する構造物200といった物体の写真を撮影する撮像装置であり、画像データ101aは、デジタルカメラ101を用いて取得された導入エリアの画像データである。入力装置102は、タッチパネルといったユーザ300が様々な入力を行うための装置であり、実施の形態1では、撮影条件102aと無線機条件102bとが入力される。画像処理装置103は、画像データ101aと撮影条件102aとを入力し、撮影条件102aに基づいて画像データ101aを画像処理し、導入エリアに対する複数の方向からの画像データから、構造物200の特徴を抽出して、構造物特徴データ103aを出力する装置である。解析用数値モデル作成装置104は、構造物特徴データ103aに基づいて、導入エリアに存在する無線機の受信電力を解析するための解析用数値モデルを作成する装置であり、数値モデルデータ104aを出力する。受信電力解析装置105は、数値モデルデータ104aに基づいて、入力装置102からされた無線機条件102bにより、マクスウェルの方程式に基づく電磁界解析理論とを用いて、無線機の受信電力や電波強度分布を計算する装置である。ディスプレイ106は、受信電力解析装置105で解析され、出力された計算結果105aを表示するための表示部である。
ユーザ300は、携帯端末100に具備されているデジタルカメラ101を用いて、構造物200を含む導入エリアの写真を撮影する。この場合、少なくとも異なる2か所以上の位置、あるいは異なる2つ以上の方向から導入エリアの写真を撮影する。
また、ユーザ300は、撮影条件102a、即ち、写真撮影時のデジタルカメラ101の位置や撮影方向を、入力装置102を用いて携帯端末100に入力する。
画像処理装置103は、伝送されてきた画像データ101aと撮影条件102aから、画像処理を行う。そして、導入エリア内に存在する構造物群を形成する各構造物の物理形状を特徴づける量、例えば、構造物の頂点の座標、構造物の輪郭線の方程式、構造物を形成する面の曲率、などの構造物特徴データ103aを解析用数値モデル作成装置104に伝送する。
ユーザ300は、無線機の受信電力の計算に必要な無線機条件102b、例えば、無線機の設置位置と設置向き、無線機から放射される電波の送信電力、無線機から放射される電波の放射指向特性などを、入力装置102を用いて携帯端末100に入力する。
なお、無線機条件102bは、予めわかっている場合もしばしばある。このような場合には、無線機条件102bの全てをユーザ300がその都度入力するようにするのではなく、例えば放射指向性などの既知の条件については、予めデータファイルを携帯端末100に具備させておき、解析時にデータファイル名を選択・読込みさせるようにすればよい。
ユーザ300によって入力された無線機条件102bは、受信電力解析装置105に伝送される。
解析に用いるアルゴリズムの代表例は、例えば、細矢良雄監修、電波伝搬ハンドブック、第15章、第24章、リアライズ理工センター、2004年.(文献1)に示されている幾何光学的な解析理論に基づくレイトレース法と、宇野亨、FDTD法による電磁界およびアンテナ解析、コロナ社、1998年.(文献2)に示されているFDTD(Finite Difference Time Domain)法がある。
電波の伝搬経路、即ち、レイの伝搬経路は、「点Aから点Bを通る光線はAB間の光路長が最小となる経路を進む」というフェルマーの原理に従って決定される。また、電波の反射、透過、回折については、局所的な現象ととらえ、規範問題に対する反射係数、透過係数、回折係数を用いる。曲率を有する境界面での反射、透過の場合には、平面に対する反射係数、透過係数の乗算に加え、曲率に応じた補正係数を乗じる。このように、レイトレース法では、フェルマーの原理によって送信機から発射されたレイの伝搬経路を決定しながら、局所的な伝搬プロセスファクタ(反射係数、透過係数、回折係数)を順次乗算し、受信機で受信されるレイの強度と位相を計算する。
一方、FDTD法は、解析対象空間を微小格子(セル)に分割し、各セルに電磁界成分を配置すると共に、各セルに比誘電率や導電率などの媒質定数を設定し、電磁界の支配方程式であるマクスウェル方程式を時間的・空間的に差分化して直接計算する解析手法である。構造物は、セルの集合体として表現される。各セルにおいてマクスウェル方程式を解いているため、反射、透過、回折などの現象はすべて自動的に考慮される。従って、任意形状媒質や任意の不均質媒質を含む問題に対して非常に汎用性があり、解析用数値モデルの精度が高ければ、かなり高精度な計算結果が得られる。しかしながら、差分法なので、ある程度の計算精度を確保するためには、セルの大きさを波長の十分の一から二十分の一程度以下にしなければならない。従って、計算に必要なメモリと時間を勘案すると、広範囲にわたる解析は事実上、困難となる。例えば、いま現在の汎用的なコンピュータの性能を想定した場合、航空機内の電波伝搬特性は現実的な時間で計算できるが、空港全域にわたる伝搬特性の計算は困難である。
そこで、それぞれの長所を組み合わせた解析手法も考えられる。例えば、上述した航空機内の伝搬を含む空港全域の電波伝搬特性を計算したい場合には、複雑な構造物が密集している航空機内部はFDTD法で、航空機外部はレイトレース法で伝搬特性を解析する。こうすることによって、レイトレース法だけで全領域を計算するよりも、航空機内部の伝搬特性の計算精度を高めることが可能となる。
図3は、実施の形態2の無線ネットワーク置局設計装置を示す構成図である。
図3において、携帯端末100aは、入力装置102〜ディスプレイ106を備え、これらの構成については、実施の形態1の携帯端末100と同様である。即ち、実施の形態2における携帯端末100aは、実施の形態1の携帯端末100においてデジタルカメラ101を省いた構成である。また、デジタルカメラ400は、携帯端末100aとは独立した撮像装置であり、実施の形態1のデジタルカメラ101と同様に、導入エリアに存在する構造物200(図1参照)といった物体の写真を撮影し、画像データ400aを出力する。
図4は、実施の形態3の無線ネットワーク置局設計装置を実現する携帯端末100bを示す構成図である。図中、デジタルカメラ101〜ディスプレイ106については、図2に示した実施の形態1の携帯端末100と同様であるため、対応する部分に同一符号を付してその説明を省略する。レンズ歪み補正装置107は、デジタルカメラ101における画像の歪みを補正する機能を有する装置であり、歪み補正を行った画像データ107aを出力する。
なお、実施の形態2のように外部のデジタルカメラを用いる場合、レンズ歪み補正機能を具備しているデジタルカメラを用いるならば、レンズ歪み補正装置107は不要である。
図5は、実施の形態4の無線ネットワーク置局設計装置における解析用数値モデル作成装置104を示す構成図である。解析用数値モデル作成装置104に関する構成以外は実施の形態1〜3のいずれかと同様である。
図5に示すように、実施の形態4の解析用数値モデル作成装置104は、実施の形態1〜3の機能に加えて、不要エッジ除去装置1041、多面体近似装置1042、不要構造除去装置1043を備えている。また、入力装置102からは、曲面近似条件102c、寸法閾値102dが解析用数値モデル作成装置104に入力されるよう構成されている。
実施の形態1〜4では、デジタルカメラ101,400で撮影した画像の画像処理、解析用数値モデルの生成、および数値モデルと電磁界解析理論を用いた受信電力の計算すべてを携帯端末100,100a,100bで行っていた。しかしながら、これらの演算量が膨大になる場合には、携帯端末100,100a,100bの演算処理能力では多くの計算時間がかかり、作業時間の増大を招く場合がある。本実施の形態では、この課題に対する対策を示す。
図示の無線ネットワーク置局設計システムは、携帯端末100c、コンピュータ500、ネットワーク600からなる。
受信装置111は、アンテナ110を介してデータ受信を行う装置であり、復調装置112は、受信装置111で受信されたデータの復調を行う装置である。なお、変調装置108〜復調装置112で、画像データ101aと撮影条件102aと無線機条件102bとをコンピュータ500に送信すると共に、コンピュータ500による計算結果を受信する送受信装置が構成されている。
ネットワーク600は、インターネットといった、携帯端末100cとコンピュータ500間の通信を行うためのネットワークである。
先ず、携帯端末100cでは、デジタルカメラ101にて撮影された画像データ101aと、入力装置102で入力された撮影条件102aおよび無線機条件102bのデジタルデータは、変調装置108に伝送され、所定の変調方式で変調される。変調された信号は、送信装置109に伝送された後、所定の周波数にアップコンバートされる。以下、この信号を変調信号と呼ぶ。変調信号は、携帯端末100cに設置されたアンテナ110を介して空間に放射される。空間に放射された変調信号は、ネットワーク600を介して、コンピュータ500に設置されたアンテナ501で受信され、受信装置502に到達する。受信装置502は、受信した変調信号をダウンコンバートし、その信号を復調装置503に伝送する。復調装置503は、授受した信号から、画像データ101a、撮影条件102a及び無線機条件102bを復元し、画像データ101aと撮影条件102aについては画像処理装置103に伝送し、無線機条件102bについては受信電力解析装置105に伝送する。
なお、上記例では、携帯端末100cとして実施の形態1の構成としたが、これに限定されるものではなく、実施の形態2〜4のいずれかの構成を適用してもよい。但し、実施の形態3を適用する場合、レンズ歪み補正装置107については、携帯端末100cとコンピュータ500のどちらに設置してもよい。
Claims (18)
- 対象エリアの解析用数値モデルを作成し、当該解析用数値モデルを用いて前記対象エリアの電波伝搬特性を予測する無線ネットワーク置局設計装置であって、
撮像装置を有する携帯端末を用いて構成され、
前記撮像装置により前記対象エリアを複数の方向から撮影した画像データと、当該画像データの撮影条件とから、前記対象エリアの構造物の特徴を抽出する画像処理装置と、
前記構造物の特徴に基づいて、前記解析用数値モデルのデータを作成する解析用数値モデル作成装置と、
前記解析用数値モデルのデータと、前記対象エリアに設置された無線機の電波放射条件と設置条件とを示す無線機条件から、電磁界解析を行って、前記対象エリアの電波伝搬特性を示す前記無線機の受信電力を計算する受信電力解析装置とを備え、
前記無線機の受信電力の実測値を用いることなく、前記受信電力解析装置の計算結果に基づいて前記対象エリアの電波伝搬特性に関する情報を表示装置に表示させる無線ネットワーク置局設計装置。 - 前記撮像装置における画像の歪みを補正する歪み補正装置とを備え、
前記画像処理装置は、前記歪み補正装置で補正された画像データを用いて処理を行うことを特徴とする請求項1記載の無線ネットワーク置局設計装置。 - 前記解析用数値モデル作成装置は、前記解析用数値モデルとして、与えられた曲面近似条件に基づいて、前記対象エリアの構造物の曲面を多面体近似することを特徴とする請求項1または請求項2記載の無線ネットワーク置局設計装置。
- 前記解析用数値モデル作成装置は、前記解析用数値モデルとして、設定された寸法以下の構造物及び面の凹凸を除去することを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の無線ネットワーク置局設計装置。
- 前記解析用数値モデル作成装置は、前記解析用数値モデルとして、隣接する2つの面の法線が設定値以内の場合は1つの面として統合することを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の無線ネットワーク置局設計装置。
- 前記受信電力解析装置は、幾何光学的手法に基づくレイトレース法を用いて前記電磁界解析を行うことを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載の無線ネットワーク置局設計装置。
- 前記受信電力解析装置は、FDTD法を用いて前記電磁界解析を行うことを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載の無線ネットワーク置局設計装置。
- 前記受信電力解析装置は、幾何光学的手法に基づくレイトレース法とFDTD法を併用して前記電磁界解析を行うことを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載の無線ネットワーク置局設計装置。
- 無線ネットワーク置局設計装置をタブレット型情報端末を用いて構成したことを特徴とする請求項1から請求項8のうちのいずれか1項記載の無線ネットワーク置局設計装置。
- 携帯端末と、演算処理装置とからなり、対象エリアの解析用数値モデルを作成し、当該解析用数値モデルを用いて前記対象エリアの電波伝搬特性を予測する無線ネットワーク置局設計システムであって、
前記携帯端末は、
前記対象エリアを複数の方向から撮影した画像データを生成する撮像装置と、
前記画像データの撮影条件と、前記対象エリアに設置された無線機の電波放射条件と設置条件とを示す無線機条件とを入力する入力装置と、
前記画像データと前記撮影条件と前記無線機条件とを前記演算処理装置に送信すると共に、当該演算処理装置による計算結果である前記無線機の受信電力を受信する送受信装置と、
前記無線機の受信電力の実測値を用いることなく、前記送受信装置で受信した計算結果に基づいて前記対象エリアの電波伝搬特性に関する情報を表示する表示装置とを備え、
前記演算処理装置は、
前記画像データと前記撮影条件とから、前記対象エリアの構造物の特徴を抽出する画像処理装置と、
前記構造物の特徴に基づいて、前記解析用数値モデルのデータを作成する解析用数値モデル作成装置と、
前記解析用数値モデルのデータと前記無線機条件から、電磁界解析を行って、前記対象エリアの電波伝搬特性を示す前記無線機の受信電力を計算する受信電力解析装置と、
前記携帯端末から送信されたデータを受信すると共に、前記受信電力解析装置の計算結果を前記携帯端末に送信する送受信装置とを備えたことを特徴とする無線ネットワーク置局設計システム。 - 前記撮像装置における画像の歪みを補正する歪み補正装置とを備え、
前記画像処理装置は、前記歪み補正装置で補正された画像データを用いて処理を行うことを特徴とする請求項10記載の無線ネットワーク置局設計システム。 - 前記解析用数値モデル作成装置は、前記解析用数値モデルとして、与えられた曲面近似条件に基づいて、前記対象エリアの構造物の曲面を多面体近似することを特徴とする請求項10または請求項11記載の無線ネットワーク置局設計システム。
- 前記解析用数値モデル作成装置は、前記解析用数値モデルとして、設定された寸法以下の構造物及び面の凹凸を除去することを特徴とする請求項10から請求項12のうちのいずれか1項記載の無線ネットワーク置局設計システム。
- 前記解析用数値モデル作成装置は、前記解析用数値モデルとして、隣接する2つの面の法線が設定値以内の場合は1つの面として統合することを特徴とする請求項10から請求項13のうちのいずれか1項記載の無線ネットワーク置局設計システム。
- 前記受信電力解析装置は、幾何光学的手法に基づくレイトレース法を用いて前記電磁界解析を行うことを特徴とする請求項10から請求項14のうちのいずれか1項記載の無線ネットワーク置局設計システム。
- 前記受信電力解析装置は、FDTD法を用いて前記電磁界解析を行うことを特徴とする請求項10から請求項14のうちのいずれか1項記載の無線ネットワーク置局設計システム。
- 前記受信電力解析装置は、幾何光学的手法に基づくレイトレース法とFDTD法を併用して前記電磁界解析を行うことを特徴とする請求項10から請求項14のうちのいずれか1項記載の無線ネットワーク置局設計システム。
- 前記携帯端末をタブレット型情報端末を用いて構成したことを特徴とする請求項10から請求項17のうちのいずれか1項記載の無線ネットワーク置局設計システム。
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