JP6300476B2 - 流体圧回路の制御装置 - Google Patents

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本発明は、流体圧回路の制御装置に関する。
特許文献1には、可変容量型の油圧ポンプを備える油圧回路が開示されている。この油圧回路では、最大回路圧が維持されるようにポンプの斜板の傾転角がメカニカルにフィードバック制御される。
特開2008−291913号公報
上記従来の技術では、オペレータが作業を中断してアクチュエータが一時停止中である待機状態である場合に、ポンプの吐出量は低下するがポンプや回路内のドレン量に応じてポンプが作動油を吐出するので、回路内は最高回路圧に保持される。よって、アクチュエータが待機状態である場合にポンプの騒音及びポンプを駆動する駆動源の消費エネルギーが大きくなる。
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたものであり、アクチュエータが待機状態である場合にポンプの騒音及び駆動源の消費エネルギーを抑制可能な流体圧回路の制御装置を提供することを目的とする。
本発明は、流体圧回路の制御装置であって、可変容量型のポンプと、ポンプによって吐出される作動流体によって駆動するアクチュエータと、アクチュエータの作動状態に基づいてポンプの傾転角を制御するコントローラと、を備え、コントローラは、ポンプが運転中であり、かつ流体圧回路内の全てのアクチュエータが一時停止中である待機状態であることを判定する待機状態判定部と、アクチュエータが待機状態であると判定した場合、ポンプの吐出量が判定前よりも低下し、かつ吐出量が一定に保持されるようにポンプの傾転角を制御し、アクチュエータが作動を再開したと判定した場合、アクチュエータの待機状態のときと比較してポンプの傾転角を大きい傾転角に制御した後、ポンプの傾転角の制御を中止する傾転角制御部と、を備え、コントローラによるポンプの傾転角の制御が中止された後は、ポンプの傾転角は、ポンプの吐出圧に応じてメカニカルにフィードバック制御されることを特徴とする。
本発明によれば、アクチュエータが待機状態であると判定された場合にポンプの吐出量が判定前よりも低下し、かつ吐出量が一定に保持されるようにポンプの傾転角が制御されるので、ポンプや回路内のドレン量にかかわらずポンプの吐出量は判定前よりも低く保持される。よって、回路内の圧力が判定前よりも低下するので、ポンプの騒音及び駆動源の消費エネルギーを抑制することができる。
本発明の実施形態に係る油圧回路の制御装置を示す構成図である。 コントローラの処理内容を示すフローチャートである。
図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態における油圧回路の制御装置100を示す構成図である。
油圧回路の制御装置100は、例えば、海洋調査船などの船舶の甲板機械駆動用のアクチュエータ3に油圧を供給する油圧ポンプユニットに搭載される。
油圧回路の制御装置100は、作動油が流れるメイン流路1と、メイン流路1に設けられるポンプ2と、メイン流路1上のポンプ2の下流側に設けられるアクチュエータ3と、メイン流路1上のポンプ2とアクチュエータ3との間から分岐して作動油をタンク4へ導くリリーフ流路5と、リリーフ流路5を開閉可能なリリーフ弁6と、メイン流路1上のアクチュエータ3より下流側に設けられメイン流路1の作動油をドレンする調整弁7と、アクチュエータ3の作動状態に基づいてポンプ2、リリーフ弁6及び調整弁7を制御するコントローラ8と、を備える。なお、作動油の代わりに、水や水溶性代替液等の作動流体を用いてもよい。
ポンプ2は、電動モータ9によって駆動されて作動油を吐出する。ポンプ2は、例えばピストンポンプ等の可変容量型のポンプであり、傾転角に応じて吐出容量を変化させることができる。なお、電動モータ9の代わりにエンジン等の駆動源によってポンプ2を駆動してもよい。
ポンプ2の吐出圧は傾転角を調整するレギュレータ10にフィードバックされる。レギュレータ10は、ポンプ2の吐出圧が高い場合には傾転角を小さくして吐出圧を低下させ、ポンプ2の吐出圧が低い場合には傾転角を大きくして吐出圧を上昇させる。これにより、アクチュエータ3の作動状態やリーク量に応じてポンプ2の吐出量がメカニカルに調整され、回路内の圧力は常に最大回路圧に保持される。
アクチュエータ3は、オペレータによる機器の操作に応じて作動状態となり、ポンプ2によって吐出された作動油によって駆動する。なお、図1ではアクチュエータ3を1つしか図示していないが、複数のアクチュエータ3が設けられていてもよい。
リリーフ弁6は、電磁弁付リリーフ弁であり、コントローラ8からの指令に応じて電磁弁11を開閉させる。リリーフ弁6は、電磁弁11が閉塞している場合にリリーフ流路5を閉塞し、電磁弁11が開放している場合にリリーフ流路5を開放するように動作する。
なお、リリーフ弁6がリリーフ流路5を閉塞している場合であっても、メイン流路1の圧力が所定のリリーフ圧に達すると、リリーフ弁6が開弁してメイン流路1の作動油がタンク4にドレンされる。
調整弁7は、アクチュエータ3が一時停止中であって回路内からの作動油のドレン量が少ない場合に、ドレン量を調整することで回路内の圧力を調整可能である。
コントローラ8は、アクチュエータ3の作動状態に基づいてポンプ2の傾転角、電磁弁11の開閉状態、及び調整弁7の絞り量を制御する。
図2は、コントローラ8の処理内容を示すフローチャートである。なお、本制御処理は、所定の微小時間(例えば10ms)毎に繰り返し行われる。
ステップS1においてコントローラ8は、ポンプ2が運転中であるか否かを判定する。ポンプ2が運転中であると判定されると処理がステップS2へ進み、リリーフ弁6の電磁弁11を閉塞させる。これにより、リリーフ流路5はリリーフ弁6によって閉塞される。
一方、ポンプ2が停止中であると判定されると処理がステップS3へ進み、リリーフ弁6の電磁弁11を開放させる。これにより、リリーフ流路5はリリーフ弁6によって開放される。なお、オペレータの操作によってポンプ2を駆動する電動モータ9が運転状態である場合、ポンプ2が運転中であると判定される。
ステップS4においてコントローラ8は、アクチュエータ3が一時停止中である、すなわち待機状態であるか否かを判定する。アクチュエータ3が待機状態であると判定されると処理がステップS5へ進み、待機状態でないと判定されると処理が終了する。
なお、アクチュエータ3が複数設けられる場合には全てのアクチュエータ3が一時停止中である場合に待機状態であると判定される。
ステップS5においてコントローラ8は、ステップS4においてアクチュエータ3が待機状態であると判定されてから所定の遅れ時間が経過したか否かを判定する。所定の遅れ時間が経過したと判定されると処理がステップS6へ進み、所定の遅れ時間が経過していないと判定されると処理が終了する。
所定の遅れ時間は、オペレータが機器をインチング作動させる場合の周期より長くなるように、例えば数十秒に設定される。
ステップS6においてコントローラ8は、ポンプ2の傾転角を最小傾転角に制御する。ポンプ2はレギュレータ10によってメカニカルにフィードバック制御されているが、本ステップではレギュレータ10によって規定される傾転角にかかわらず、強制的に最小傾転角に制御する。傾転角の制御は、電動アクチュエータや油圧アクチュエータ等によって行われる。
ステップS7においてコントローラ8は、調整弁7の開度を制御して回路内の圧力を制御する。本ステップが実行される場合は全てのアクチュエータ3が待機状態であるので、油圧回路内の圧力は最小傾転角に設定されたポンプ2の吐出量と油圧回路からのリーク量とが平衡する圧力(以下、この圧力を「待機圧力」と称する)までしか昇圧しない。
そこで、調整弁7からのドレン量を調節することで回路内の待機圧力を任意の圧力に設定することができる。すなわち、調整弁7からのドレン量を多くすると回路内の待機圧力は低下し、調整弁7からのドレン量を少なくすると回路内の待機圧力は上昇する。
ステップS8においてコントローラ8は、アクチュエータ3が作動を再開したか否かを判定する。アクチュエータ3が作動を再開したと判定されると処理がステップS9へ進み、作動を再開していないと判定されると処理が終了する。なお、アクチュエータ3が複数設けられる場合には少なくとも一つのアクチュエータ3が作動を再開した場合にアクチュエータ3が作動を再開したと判定される。
ステップS9においてコントローラ8は、ポンプ2の傾転角を最大傾転角に制御する。傾転角の制御は、ステップS6の場合と同様に、電動アクチュエータや油圧アクチュエータ等によって行われる。
ステップS10においてコントローラ8は、ポンプ2の傾転角の制御を中止する。これにより、ポンプ2の傾転角がレギュレータ10によってメカニカルにフィードバック制御される。
以上の制御をまとめると、ポンプ2の運転中に全てのアクチュエータ3が一時停止して待機状態となった時、ポンプ2の傾転角を強制的に最小傾転角に制御してポンプ2の吐出流量を最低にする。その後、アクチュエータ3の作動が再開されて待機状態ではなくなった時、ポンプ2の傾転角を最大にした後、ポンプ2の傾転角の制御を中止する。
以上の実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
船舶の甲板機械は、機械の作動時間よりも段取り換えの時間(待機時間)の方が長く、また、機械の運転サイクルが不規則であるので待機時にポンプ2を停止させておくと作業効率が低下する。しかし、待機時にポンプ2を駆動させておくと、ポンプ2の騒音が大きく、ポンプ2を駆動する電動モータ9の消費電力も大きくなる。
そこで、本実施形態では、アクチュエータ3が待機状態であると判定された場合にポンプ2の傾転角を最小傾転角に制御するので、ポンプ2の吐出流量はポンプ2や油圧回路からのリーク量にかかわらず常に最低に保持される。よって、油圧回路内の圧力が低く保持されるので、待機状態におけるポンプ2の騒音及びポンプ2を駆動する電動モータ9の消費電力を抑制することができる。
特に、海洋調査船等においては、船内に様々な研究設備が搭載されているので、ポンプ2の騒音を抑制することで繊細な研究作業を妨げることのない作業環境を提供することができる。
さらに、リリーフ弁6は、アクチュエータ3が待機状態であると判定された場合にリリーフ流路5を閉塞状態に保持するので、アクチュエータ3が作動を再開してポンプ2の傾転角を最大傾転角に制御した際に油圧回路内の圧力が迅速に立ち上がり、応答遅れが生じることを抑制することができる。
さらに、アクチュエータ3が待機状態である場合に少なくとも一つのアクチュエータ3の作動が再開された場合、ポンプ2の傾転角を最大傾転角に制御するので、油圧回路内の圧力が迅速に立ち上がり、応答遅れが生じることをより確実に抑制することができる。
さらに、アクチュエータ3が待機状態であると判定されてから遅れ時間経過後にポンプ2の傾転角を最小傾転角に制御するので、オペレータが機器を一時的に早い周期でインチング作動させた場合にはポンプ2の傾転角が最小傾転角に制御されないので、インチング作動時の応答性の低下を防止することができる。
さらに、アクチュエータ3が待機状態である場合に、調整弁7からのドレン量を調節することで油圧回路内の待機圧力を制御するので、待機圧力を必要に応じて任意の圧力に設定することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一つを示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
例えば、上記実施形態では、アクチュエータ3が待機状態であると判定された場合にポンプ2の傾転角を最小傾転角に制御しているが、必ずしも最小傾転角でなくてもよく、待機状態であると判定される前よりもポンプ2の吐出量が低下し、かつ吐出量が一定に保持されるようにポンプ2の傾転角を制御することで同様の作用効果を得ることができる。
さらに、上記実施形態では、アクチュエータ3の作動が再開されたと判定された場合にポンプ2の傾転角を最大傾転角に制御しているが、最小傾転角より大きい傾転角であれば最大傾転角でなくてもよい。
さらに、上記実施形態では、アクチュエータ3が待機状態であると判定されてから遅れ時間経過後にポンプ2の傾転角を最小傾転角に制御しているが、インチング作動を行わない環境下では、待機状態の判定後すぐにポンプ2の傾転角を制御してもよい。
さらに、上記実施形態では、調整弁7の開度を制御して回路内の圧力を制御しているが、待機圧力の調整が不要である場合には調整弁7は設けなくてもよい。
2 ポンプ
3 アクチュエータ
5 リリーフ流路
6 リリーフ弁
7 調整弁
8 コントローラ(待機状態判定部、傾転角制御部、圧力制御部)
100 油圧回路の制御装置(流体圧回路の制御装置)

Claims (6)

  1. 流体圧回路の制御装置であって、
    可変容量型のポンプと、
    前記ポンプによって吐出される作動流体によって駆動するアクチュエータと、
    前記アクチュエータの作動状態に基づいて前記ポンプの傾転角を制御するコントローラと、を備え、
    前記コントローラは、
    前記ポンプが運転中であり、かつ前記流体圧回路内の全ての前記アクチュエータが一時停止中である待機状態であることを判定する待機状態判定部と、
    前記アクチュエータが待機状態であると判定した場合、前記ポンプの吐出量が判定前よりも低下し、かつ吐出量が一定に保持されるように前記ポンプの傾転角を制御し、前記アクチュエータが作動を再開したと判定した場合、前記アクチュエータの前記待機状態のときと比較して前記ポンプの傾転角を大きい傾転角に制御した後、前記ポンプの傾転角の制御を中止する傾転角制御部と、を備え
    前記コントローラによる前記ポンプの傾転角の制御が中止された後は、前記ポンプの傾転角は、当該ポンプの吐出圧に応じてメカニカルにフィードバック制御されることを特徴とする流体圧回路の制御装置。
  2. 前記ポンプと前記アクチュエータとの間の作動流体をドレンするリリーフ流路と、
    前記リリーフ流路を開閉可能なリリーフ弁と、
    をさらに備え、
    前記アクチュエータが待機状態であると判定された場合、前記リリーフ流路は前記リリーフ弁によって閉塞状態に保持される、
    ことを特徴とする請求項1に記載の流体圧回路の制御装置。
  3. 前記傾転角制御部は、前記アクチュエータが待機状態であると判定された場合、前記ポンプの傾転角を最小傾転角に制御する、
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の流体圧回路の制御装置。
  4. 前記傾転角制御部は、前記待機状態である場合に少なくとも一つの前記アクチュエータの作動が再開された場合、前記ポンプの傾転角を最大傾転角に制御する、
    ことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の流体圧回路の制御装置。
  5. 前記傾転角制御部は、前記アクチュエータが待機状態であると判定された場合、遅れ時間経過後に前記ポンプの吐出量が判定前よりも低下し、かつ吐出量が一定に保持されるように前記ポンプの傾転角を制御する、
    ことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の流体圧回路の制御装置。
  6. 前記流体圧回路内の作動流体のドレン量を調整する調整弁と、
    前記アクチュエータが待機状態であると判定され、前記傾転角制御部によって前記傾転角が制御されている場合に、前記調整弁からのドレン量を調節することで前記流体圧回路の圧力を制御する圧力制御部と、
    をさらに備える請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の流体圧回路の制御装置。
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