JP6300260B2 - レプリカマイクロアレイの作成方法及びその方法によって作製された対象物質含有オリジナルマイクロアレイ - Google Patents

レプリカマイクロアレイの作成方法及びその方法によって作製された対象物質含有オリジナルマイクロアレイ Download PDF

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Description

本発明は、予め定められた属性を有する対象物質が注入された、対象物質含有オリジナルマイクロアレイ、及び上記オリジナルマイクロアレイを用いた、レプリカマイクロウェルアレイの作成方法に関する。
近年、DNAやRNAの分析に汎用されてきたハイブリダイゼーションアッセイに代わる、マイクロアレイ技術が急速に発展してきた。このマイクロアレイ技術は、1970年代に開発された従来のハイブリダイゼーションアッセイを改良した技術である。
こうしたハイブリダイゼーション技術は、表面が多孔性のニトロセルロース膜やナイロン膜とラジオアイソトープが用いられており、フォーマットの微小化ができないという問題を抱えていた。また、フォトリソグラフィーや圧電技術の適用ができないこと、蛍光測定や複数のサンプルの同時分析ができないという問題点もあった。このため、こうした欠点を改良する技術としてマイクロアレイが開発されたのである(非特許文献1参照、以下、「従来技術1」という。)。
また、DNAやRNA等の分析法も確立された昨今では、そうした分析法を使用して、いかに効率的に多数の試料を分析するか、という点に重点が移動しつつある。特に、試薬が高価であることから、系の微小化が注目されている。
このため、フォーマットの微小化が可能な非多孔性の表面を有し、パラレル分析が可能な技術が開発され、そうした技術の1つとして、96ウェルマイクロプレートよりもはるかに小さいサイズのマイクロウェルアレイ容器(以下、「MMV」という。)が開発され、その利用法が研究されつつある。
DNAマイクロアレイ、Mark Schena編、加藤郁之進監訳、初版第1刷2000年9月25日発行、宝酒造株式会社発行
従来技術1は、非多孔性の表面を有し、フォーマットの微小化が可能であり、複数サンプルの同時分析も可能である点、及びパラレル分析が可能であり、アッセイデータの正確性が向上するという点では優れた技術である。
しかし、治療できないといわれてきた疾病が、新規な薬剤によって治療可能となりつつある昨今では、こうした新規薬剤の開発の分野において、さらに大量の候補化合物を含む試料を短時間のうちに効率よく処理し、薬剤の候補化合物を見出すことができる、高速スクリーニング方法が必須となってきた。
例えば、微生物の二次代謝産物の中からこうした候補化合物を見出すという処理は、試料中に含まれる量の多い化合物については既に検討がなされているため、含有量が少ない化合物について検討することになる。候補化合物の濃縮やある程度の精製が必要となるため、スクリーニングの工程は多段階となり、複雑なものとなる。一方で、こうした処理に必要とされる試薬は高額となっており、系を最少化する必要がある。
このため、高速スクリーニングが可能な、マイクロアレイに対する強い社会的要請があった。
本願発明は、上記のような環境の下で完成された。
すなわち、本願発明の第1の態様は、2次元マトリクス状に配置された複数の有底のマイクロウェルのそれぞれに、予め定められた属性を有する対象物質が注入されたオリジナルマイクロウェルアレイ(以下、マイクロアレイと称する)を作成するオリジナルマイクロウェルアレイ作成工程と;前記オリジナルマイクロウェルアレイにおける複数の有底のマイクロウェルの配置面と同形である、空のレプリカ用マイクロウェルアレイを用意するレプリカ用マイクロウェルアレイ準備工程と;前記オリジナルマイクロウェルアレイの各マイクロウェルに注入されている対象物質を、前記レプリカ用マイクロウェルアレイの対応するマイクロウェルアレイに移送する第1移送工程と;前記レプリカ用マイクロウェルアレイの各マイクロウェルに移送された対象物質を、前記オリジナルマイクロウェルアレイにおける対応するマイクロウェルアレイに移送し、レプリカ用マイクロウェルアレイの各マイクロウェル内に、前記対象物質の一部が固定されたレプリカマイクロウェルアレイを作成する第2移送工程と;を備えることを特徴とするレプリカマイクロウェルアレイの作成方法である。
ここで、前記対象物質は、ペプチド又はタンパク質の情報をコードしているDNA、細菌、真菌、酵母、単細胞浮遊液とした生体細胞、及びハイブリドーマ細胞からなる群から選ばれるいずれかの増殖可能な物質であることが好ましい。
また、前記対象物質が前記タンパク質の元となる情報を含むDNAである場合には、前記レプリカマイクロウェルアレイ中で増幅されたDNAを用いて、インビトロでタンパク質を産生させる工程をさらに含むことが好ましい。
また、前記細菌は、ロイコノストック属、ロシア属、疫病菌、及びパラインフルエンザ菌からなる群から選ばれる、いずれかのものであることが好ましい。さらにまた、前記真菌は、アスペルギルス属、クロノバクター属、トリコスポロン属、及び分裂酵母属からなる群から選ばれるものであることが好ましい。
前記生体細胞は、口腔粘膜、唾液、皮膚寄生微生物、排泄物、土壌微生物及び環境微生物群からなる群から選ばれるものであることが好ましい。
本願発明の第2の態様は、上記いずれかに記載の方法で作製された、対象物質を含有するオリジナルマイクロウェルアレイである。ここで、上記オリジナルマイクロウェルアレイに含有される対象物質は、上述した通りである。
本発明のレプリカマイクロアレイの作製方法によれば、増殖性の対象物質を含む、半永久的に使用可能なオリジナルマイクロアレイを作製することができる。
また、この方法によれば、上記オリジナルマイクロアレイを元にして、ほぼ無限に上記オリジナルマイクロアレイと鏡像対照であるか、又は全く同じ構成内容を含むレプリカマイクロアレイを作製することができる。
さらに、上記レプリカマイクロアレイを用いて、同じ配列で並べられたDNAからそれらを増幅させることができる。また、DNAに代えて細胞を用いた場合には、細胞を増殖させることができる。
ペプチド又はタンパク質の元となる情報を含むDNAの場合には、インビトロでタンパク質を産生させることができる。
図1Aは、本発明のレプリカマイクロアレイで使用するMMVの構造を示す図である。 図1Bは、本発明のレプリカマイクロアレイで使用するMMVの表面上に載せられた液体をマイクロアレイにチャージする方法を示す模式図である。 図1Cは、本発明のレプリカマイクロアレイで使用するMMV間での液体の移送を示す模式図である。 図2は、MMV-1からMMB-2への液体の移送およびそれをMMV-1に戻し、MMV-2中に微量残留させる方式を示す模式図である。 図3は、MMVに液体をチャージするときに使用するスペーサーのパターンと、そのパターンを使用したときに設定できる条件を記載した模式図である。図3(A)は、スペーサーのパターンと、そのパターンを使用したときに設定できる状態を2進法のそれぞれの桁の違いとして示した図である。図3(B)は、スペーサー図3(A)の右から2番目のパターンを使用したときに、MMVに液体がチャージされた状態、及び液体がチャージされたウェルの条件を二進法で示した模式図である。
図4Aは、2つの要素を用いて、本発明のレプリカマイクロアレイを作製する場合の手順を示す模式図である。 図4Bは、オリジナルMMV(供与側MMV)からレプリカMMV(受容側MMV)へ、オリジナルMMVのウェル中の要素を全量移送し、供与側MMVへ移送されたウェル中の要素を、再度、オリジナルMMVに戻す際の手順を示す模式図である。 図4Cは、レプリカMMV2つの要素を用いて、本発明のレプリカMMV中に残存する要素の状態を示す部分拡大図である。 図5は、DNAを用いて、本発明のレプリカマイクロアレイを作製したときのオリジナルとレプリカとの状態を、蛍光染色した結果を示す図である。 図6は、GFPを発現する大腸菌(以下、「GFP発現大腸菌」という。)をチャージしたオリジナルMMVから、スタンプ法によってレプリカMMVを作製した直後のMMVにおけるGFPの発現を示す図(上段)と、21時間後のGFPの発現状態とを示す図である。
図7は、多数の微生物から調製した単細胞から得たDNAを用いて、ゲノムプロフィーリングアッセイを行い、ゲノムプロファイルのクラスタリングを行うまでの手順を示す模式図である。 図8は、図7に示すゲノムプロファイリングンの際のμTGGEアッセイの結果を示す二次元ゲル電気泳動結果を示す図と、分析されたspiddos(species identifi-cation dots)から決定された塩基配列とを対比して示した図である。
図9は、MMVを用いて、多様な分子群(DNAライブラリー)から出発して目的とするペプチド分子(ここではAβ42結合ペプチド)を淘汰する一連の手順であり、最終的に表れたペプチドの例を示す模式図(その1)である。 図10は、MMVを用いて、多様な分子群(DNAライブラリー)から出発して目的とするペプチド分子(ここではAβ42結合ペプチド)を淘汰する一連の手順であり、最終的に表れたペプチドの例を示す模式図(その2)である。 図11Aは、磁性粒子を用いて試料溶液中の所望の分子を集める工程を示す模式図(その1)である。 図11Bは、磁性粒子を用いて試料溶液中の所望の分子を集める工程を示す模式図(その2)である。 図12は、図11で集めた所望の分子を蛍光検出した場合のウェルの状態を示す図である。図12中、黒く見えるのは、Aβ42に結合した蛍光標識Aβ42結合ペプチドである。
以下、本発明の一実施形態を、図1を参照しつつ説明する。この図1は、一実施形態に係るレプリカマイクロアレイの構造と、溶液のチャージ及びマイクロアレイ間でのチャージされた溶液の一斉移送を示す工程図となっている。
本発明のレプリカマイクロアレイの作成方法で使用するMMVは、図1Aに示すように、2.5cmx2.5cmx0.21Cm(WxLxH)のサイズのブロックに、直径0.6mm、深さ2mm、容量0.5μLの有底孔が、1024本、マトリックス状に配置されたもの(以下、「深型MMV」という。)、及び容量が0.1μLとなっている以外は、深型MMVと同じ構成となっているMMV(以下、「浅型MMV」という。)を使用する。なお、浅型MMVは、深型MMVのウェルにその容積の一部だけ試料を注入する際に使用する。
ここで、いずれのMMVにも、対角線上の隅に、後述するスペーサーを固定するためのピンと、開口とが設けられている。
このMMVのすべてのウェルに同一の液体をチャージする場合には、図1Bに示すように、まず、深型MMVにMMVの表面に載せた液体がこぼれおちないようにするためのフレームをセットする。ついで、フレームをセットしたMMVの表面に所定の溶液を液滴として載せる。この状態でMMVを低速で遠心することにより、上記溶液を各ウェルにチャージすることができる。
以上のようにして溶液をチャージしたMMVのウェルから、空のMMVのウェルにチャージされた溶液を移送する場合は、スペーサーを用いて、以下のような手順で行う。このスペーサーには、図1Cに示すように、四隅に開口部が設けられている。この開口部のうち、2つに、移送された溶液を受容する空のMMV(以下、「受容側MMV」又は「アクセプターMMV」ということがある。)のピンを通して重ね、スペーサーの開口部と受容側MMVの開口部とがきれいに一致するようにする。
次いで、上記のようにして溶液をチャージしたMMV(以下、「供給側MMV」又は「ドナーMMV」ということがある。)の天地を返し、供給側MMVのピンをスペーサーの開口部に差し込む。このようにセットすると、受け側MMVとスペーサーと供給側MMVの開口部とが一致する。
このようにセットしたMMV−スペーサー−MMVのブロック(以下、「移送用ブロック」という。)を、断面で見ると、図1C及び図2に示すように、上段の供給側MMVに溶液がチャージされており、下段の受容側MMVは空の状態となっている。
図2に示すように、上記のサンドイッチブロックを、低速、例えば、1,000xg〜1,600xgで遠心することにより、提供側MMV(MMV-1)のウェル中の溶液を一斉に受容側MMV(MMV-2)のウェル中に移送することができる。
溶液の移送後、上記サンドイッチブロックの天地を再び返して、上記と同様に移送することによって、MMV-2のウェル内の溶液をMMV-1のウェル内に戻すことができる。
ここで使用するスペーサーとしては、上記のMMVのウェルの開口部の全てに対応する孔を有しているもののほか、図3(A)に示すようなパターンを有するものを使用することができる。
図3(A)には、10枚のスペーサーを示したが、左から5枚目まで(2〜2)のような開口部を有するスペーサーを用意し、それらを90度回転させることによって左から6枚目〜10枚目(2〜2)のパターンを作成することができる。
図3(A)の各スペーサーを使用すると、開口部が形成されている部分に対応するウェルにのみ溶液をチャージすることができる。
図3(B)には、図3(A)の右から2枚目のパターン(左から4枚目のパターンを90度回転させたもの)を用いて、深型MMVに溶液を注入した場合の状態を模式的に示した。図3(B)のウェルの拡大図には、図3(A)のスペーサーを使用した場合の条件設定を、二進法で記載している。ここで、1は、所望の要素を含む溶液がそのウェルにチャージされたことを意味し、0はチャージされていないことを意味する。このため、図3(B)のスペーサー2を使ったときの溶液は入っていないことを意味する。
図3(A)に示される2〜2までの5枚のスペーサーを使用することで、2通りの条件を設定することができる。
次に、対象物質として使用することができるのは、DNA及び種々の細胞である。DNAの場合は2通りのカテゴリーがあり、1つはいわゆるDNAアプタマーと呼ばれる特定のターゲット分子に対して親和性を有するものを丁度抗体分子を並べるように配列する場合ともう一つは、下記のようなものである。すなわち、DNAの中でも、ペプチドの情報を含むDNAで特定の機能を有するペプチドをインビトロで再生することができるものである。これにより、特定の機能を有するタンパク質をスクリーニングすることができる。
又は、タンパク質の情報を含むDNAであれば、機能を発揮するタンパク質をインビトロで構成できる。
図4では、MMVのウェルにおける条件設定の手順を、2つの要素を使用する場合を例に挙げて説明する。図4Aは、2つの要素を別々のMMVにチャージした後に、オリジナルMMVを作製する手順を示す
要素1をチャージするMMVと、要素2をチャージするMMVとを別々に用意する。1枚目のMMV上に要素1を載せ、低速、例えば、1,000〜1,500xgで遠心して、すべてのウェルに要素1をチャージする。このMMVの上に所定のパターンとなるように開口部を形成したスペーサーを重ねてMMVの天地を返して同様に遠心し、開口部が形成されている部分に対応するウェルから要素1を除去する。この操作によって、所望のウェルに要素1がチャージされたE1-MMVが調製される。
次いで、同じパターンで開口部が形成されたスペーサーを、別のMMV上に載せ、ここに要素2を載せて、上記と同様に低速で遠心し、要素2をスペーサーの開口部に対応するMMVのウェルにチャージする。これによって、E1-MMVと相補的なパターン2がチャージされたE2-MMVが調製される(図4A参照)。
E2-MMVの上に、MMVの全てのウェルに対応した開口部を有するスペーサー(以下、「全開口スペーサー」という。)を、位置を合わせるように載せる。上記スペーサーの上に、図4Aに示す通り、E1-MMVにチャージされた要素1が、E2-MMVの側のウェルに移送できるように、E1-MMVの開口部と上記スペーサーの開口部との位置を合わせて載せ、移送用ブロックとする(図4B上段参照)。
次いで、この移送用ブロックを、低速、例えば、1,000〜1,600xg、好ましくは、1,400xgで遠心して、E1-MMV中の要素1をすべてE2-MMVに移送する。
E1-MMVで要素1がチャージされていないウェルと、E2-MMVで要素2がチャージされたウェルトとは相補的になっているため、以上の操作によって、E2-MMV中のウェルはすべて、要素1又は要素2のいずれかでチャージされ、オリジナルMMVが完成する。
使用する要素の数が多い場合には、以上の手順を繰り返して、オリジナルMMVを完成させる(図4B中段参照)。
新たな受容側MMVの上に上記の全開口スペーサーを載せ、その上に、オリジナルMMVを、開口部同士の位置が合致するように載せ、遠心用ブロックとする。この遠心ブロックを上述のように低速で遠心し、オリジナルMMVのウェル中の要素1と要素2とを、すべて、受容側MMVのウェル中に移送する。次いで、移送用ブロックの天地を返し、再度、上記同様に低速遠心して、受容側MMVのウェル中の要素1及び要素2をすべて、オリジナルMMV中に戻す(図4B下段参照)。
以上の操作によって、移送用MMV中には、微量の液滴が残存している。これを図4Cに拡大断面図で示す。この拡大断面図を見てわかるように、レプリカMMVのウェルの内壁に液滴状のごく少量が残存している。これらの残存物の量は、オリジナルMMVのウェル中の溶液量に対して定量的であることが実験的に確認されており、約0.1%である。そして、後述するように、これらの残存物は、後述する増幅性の対象物質を増殖させるためのシードとして使用することができる。
上記の要素2としては、ペプチド又はタンパク質の情報をコードしているDNA、細菌、真菌、酵母、単細胞浮遊液とした生体細胞、及びハイブリドーマ細胞等を使用することができる。この場合には、要素1としては、これらのDNA、細菌、酵母、生体細胞やハイブリドーマ細胞を増幅又は増殖させるための培養液を使用することになる。
上記要素1がペプチドの元となる情報をコードするDNAである場合には、要素2としてこのDNAを増幅させるためのPCR混合物を使用し、所定の条件でPCRを行うことによって、要素1であるDNAを増幅させることができる。
例えば、要素1が特定のタンパク質に結合するペプチド遺伝子を含有するDNAである場合には、まず、フレームをMMVに取り付け、MMV上にこのDNAを含有するPCR混合物を載せて、低速で遠心し、MMVのウェルに上記PCR混合物をチャージする。このMMVに、所定の形に開口部が設けられたスペーサーを重ね合わせて遠心し、開口部に対応するウェルからPCR混合物を除く。この操作によって、E1-MMVを調製する。
次いで、同じ開口部が設けられているスペーサーを、新しい空のMMVに重ね、フレームをセットし、上記の遺伝子を含有しないPCR混合物をMMV上に載せ、低速で遠心して、スペーサーの開口部に対応する位置にあるウェルに、上記の遺伝子を含有しないPCR混合物をチャージする。この操作によってE2-MMVを調製する。
ここで、上記DNAを、Aβ42-結合ペプチド遺伝子を含有するDNAとし、上記PCR混合物を、例えば、1xFast Buffer I(タカラ社製)、200〜300μMのdNTP混合物、0.02〜0.08μMのCAプライマー(タカラバイオ(株)製)、0.010〜0.050U/μLのSpeedSTAR HS DNAポリメラーゼ(タカラ社製)を含む溶液とすることができる。
また、使用するスペーサーは、厚みが約0.6〜1.0mm、開口部の直径はMMVのウェルの直径と同じ約0.6mmとすることが、操作性の観点から好ましい。
引き続き、全開口スペーサーをE2-MMV上に重ね、その上に、E1-MMVの要素1がチャージされたウェルと、E2-MMVの要素2がチャージされたウェルとが、相補的になるように、かつ、開口部同士が向き合うようにして重ね、遠心用ブロックとする。
このブロックを、例えば、1,000xg〜1,600xgで30秒〜2分間遠心し、E1-MMVのウェル内の要素1をwell-to-wellでE2-MMVに移送する。この移送によって、要素1と要素2とによってすべてのウェルがチャージされたオリジナルMMV(DNA)が完成する。
このオリジナルMMV(DNA)を、全開口スペーサーと空の受容側MMVとを上述したように重ね合わせて移送用ブロックとし、遠心して上記遺伝子含有PCR混合物と、遺伝子不含PCR混合物とを受容側MMVにwell-to-wellで一斉に移送する。このブロックの天地を返して、最後同様に遠心し、受容側MMVに移送されたPCR混合物をオリジナルMMVのもとのウェルに戻し、レプリカMMVを調製する。
オリジナルMMVと、レプリカMMVとを、同じ条件でPCRに供し、所望の回数、例えば、106回増幅させたところで反応を停止させ、所望の色素又は標識で染色する。こうした色素や標識としては、SYBRグリーンその他を挙げることができ、必要に応じて適宜選択すればよい。
選択した色素や標識によって、蛍光観察その他の観察を行い、対象物質の増幅又は増殖を確認する。
例えば、上記のスペーサーに設けられた開口部によって形成される所定の形を、桜の花の形にし、その花弁の間の所望の位置に左右対称になるか否かを判別する目印の図形に対応するように、開口部を設けるようにすることもできる。このようにしておくと、オリジナルMMVのウェル中の要素をwell-to-wellで受容側MMVに移送したときに、レプリカMMVでは観察される図形は、オリジナルMMVで観察される図形の鏡像となっていることを確認することができる。もし、オリジナルMMVと同一パターンを必要とするときは、オリジナルMMVからレプリカMMVに移したときに、オリジナルMMVをレプリカとみなし、レプリカに移ったものを、オリジナルの鏡像として、それ以降用いれば、上記の操作でできるものは、元のオリジナルと同様なパターン(鏡像の鏡像で元と同じ)になる。
要素1が細菌、例えば、大腸菌の場合には、大腸菌を増殖させる培地を要素2とすればよい。要素1が真菌や細胞の場合にも同様である。
要素1を大腸菌として、上記の移送の操作を、受容側MMVを新しいものに代えながら繰り返し、複数のレプリカMMVを作成する。
オリジナルMMVとレプリカMMVとを同じ条件の下で培養し、現れた図形を対比することによって、オリジナルMMVで観察される図形の鏡像となっていることを確認することができる。また、移送の回数と現れる図形の鮮明さ等を比較することもできる。
以上のようにして、オリジナルMMVの鏡像である図形がレプリカMMVから得られることから、この方法を「スタンプ法」という。
また、上記の遺伝子をコードするDNAを使用する場合には、図9に示すようにして、DNAからペプチドを得ることができる。すなわち、MMV中に所望のプロモーター配列等を有するDNAを入れてPCR等で増幅させ、これをオリジナルMMVとする。PCR等による増幅の終了後、このMMVをオリジナルMMVとしてレプリカMMVを上記と同様にして作成する。
オリジナルMMVの各ウェルに、インビトロ翻訳を行うためのバッファーをチャージし、翻訳物であるペプチドを得ることができる。
このオリジナルMMV中に、ペプチドを結合させることができるタンパク質、例えば、ストレプトアビジンを固定した磁性粒子と、ビオチンに固定した標的タンパク質とを入れ、標的物質と、これに結合するコード配列を含むDNAが増幅されたか否かを、それらの結合によって観察することができる。
結合していた場合には、例えば、さらに、蛍光標識を結合させ、標的タンパク質を含む複合体を酵素で切断し、上清を集めて蛍光を測定することができる。
また、蛍光を発しているウェルの内容物を回収し、マイクロ温度勾配ゲル電気泳動(以下、「μTGGE」ということがある。)を行うことによって、ゲノムプロファイルのクラスタリングや、シーケンシングを行うこともできる。
このときに、受容側MMVのウェル中には、種々の増幅されたペプチドが含まれているため、各ウェル中に、例えば、標的タンパク質と結合したビオチンとストレプトアビジンを結合させた磁性粒子を入れることによって、標的タンパク質と結合するペプチドを選択することができる(図9参照)。
以上のようにして、オリジナルMMV(供与側MMV)からwell-to-wellで、その中に含まれている対象物質を一斉に受容側MMVに移送し、受容側MMVのウェル中でそれらを増幅又は増殖させることができる。
さらに、別の技術と組み合わせることによって、複雑な操作を行うことなく、配列決定やクラスタリングを行うこともできる。
(1)MMVチップ及びスペーサーの作製
(1−1)MMVの作製
2つのタイプのポリカーボネート(以下、「PC」と略す。)製のMMVチップ(以下、「PC-MMV」ということがある。)を設計し、エンプラスに製作を依頼して入手した(埼玉県、日本国)。1つは底面がPCである有底型のMMVであり、もう1つは貫通型のMMVの底面に透明なシートを貼りつけたMMVである。これらのうち、底面に透明シートを貼り付けたMMVを顕微鏡観察用に使用した。
作製されたMMVチップは、深型MMVチップの場合に、3.3 cmx3.7 cmx0.2cm(縦x横x高さ)で、2.5cm四方に、容量0.5μL、直径0.6mm、深さ2mmのウェルが1024本設けられていた(図1A参照)。また、ウェルの深さがウェルの深さが1.4mmであり、ウェルの容量が0.35μLである点を除いて深型と同じである、浅型MMVチップも作製した。深型と同じである、浅型MMVチップも作製した。
以下の実施例で使用するMMVは、チップの厚みとウェルの容量が異なる以外は、ウェルの配置等はまったく同一であり、開口部同士を突き合わせると、内容物を相互に移送できるようになっている(図1B及び図2参照)。なお、MMVを使用して後述するPCRや微生物の培養を行う際には、培養液の蒸発を防止するために、シリコン製のテープ(シリコントミーテープ(自己融着タイプ)、厚み0.5mm、アズワン)でMMVをシールした。
(1−2)スペーサーの作製
後述するMMV相互の溶液の移送(I-モード)には、シリコン-PET-粘着スペーサー(ファインテック製)を使用した。このスペーサーは、厚み0.2mmで、直径0.6mmの穴が、MMVの開口部と位置が合うように開けられている(図1B及び図2参照)。
また、特定のウェルへの選択的付加を行い際には、異なるタイプの粘着性のフィルタースペーサー(ファインテック製)を使用した。図3に示すようなそれぞれ異なる開口パターンを有しているスペーサーを使用して、受容側MMVに試料を選択的にチャージした(図3(A)及び(B)参照)。
(2)基本的な操作
(2−1)MMVへの試料のチャージと除去
最初の試料を各ウェルにチャージするためには、紫外線及びアルコール、又はガスで滅菌したMMVを試料溶液中に浸漬した。1つのMMVチップは、超純水と70%エタノールとを用いて、遠心と超音波により洗浄すると、何回か再利用することができる。
次いで、MMVのウェルの表面に盛り上がっている溶液を、1,400xgで1分間遠心し、ウェル内に落とし込んだ(図1B参照)。
試料溶液を上記のまま使用する場合には、MMVの表面に残っている溶液をMMVを傾けて除去し、ウェル中の溶液の蒸発を防ぐために、シリコン製のテープ(シリコントミーテープ(自己融着タイプ)、厚み0.5mm、アズワン)で、全てのウェルをシールした。
また、ウェルをあるブロックで区切って条件設定を行う場合用に、開口パターンの異なるスペーサー(以下、「パターンスペーサー」という。)を用意した。これらのパターンを図3に示す。これらのパターンスペーサーは、シリコン/ウレタン製であり、必要に応じて、適宜、厚みを変えた。これらのスペーサーを用いて、MMVのウェルの条件設定を行い、所望のウェルに所望の溶液をチャージした(以下、この方法を「スクウェア法」という。)。
(2−2)MMV間でのウェル内の溶液の移送
通常の溶液を、あるMMVチップ(MMV-1)から別のMMVチップ(MMV-2)に移送する際には、上記のシリコン-PET-粘着スペーサー(ファインテック社製)を使用した。MMV-1のウェル中の液体をMMV-2に移送するために、MMV-1に上記のスペーサーをかぶせ、その上に、MMV-2の開口部がMMV-1の開口部の位置とぴったり合うように重ねた。次に、これらのMMVの天地を返し、1,400xgで2分間、室温で遠心した。この操作によって、MMV-1に入っていた試料を、MMV-2に、鏡に映した状態で移送した(図4A及びB参照)。
MMV-1の各ウェル中には、ごく微量の試料溶液が残存した。顕微鏡観察で形状を観察し、全体の重量変化から個々の残存した液量を測定したところ、当初加えた液量(0.5μL)の約0.1%であった。この実験を5回繰り返したが、残存した試料溶液の量は当初加えた液量に対して、平均0.1%となった。
また、一旦MMV-1からMMV-2へ移送した試料溶液を、上記と同様の操作を行って再度MMV-1へ移送するという実験を、2枚のMMVを使用して繰り返し行った。残存した試料溶液の量は当初加えた液量に対して、約0.1%であった。
これに対し、スペーサーを使用しなかった場合には、MMV-1とMMV-2とがわずかでもずれると、試料溶液をMMV-1のウェルからMMV-2のウェルへとロスなく移送することはできなかった。
以上より、上記のスペーサーを介して、試料溶液のロスがほとんどない移送を行うことができることが示された。
(1)レプリカMMV(DNA含有)の作製
(1−1)MMVのコーティング
レプリカMMVチップの作製に当たり、使用するMMVチップの壁に生体分子が吸着することを防ぐために、MMVの表面を、主としてウシ血清アルブミン(以下、「BSA」という。シグマ社製)でコーティングし、後述する細胞培養及びPCR等に使用した。
MMVを予め高圧蒸気滅菌し、BSAは濾過滅菌した。また、以下の操作は全てクリーンベンチ内で行った。
まず、0.1%(w/v)のBSA溶液をMMV上に載せてスピンコートした(1,400xgで1分)。スピンコートしたMMVの開口部をシリコンテープでシールし、4℃で終夜インキュベートした。インキュベーション終了後、ウェル内の溶液を遠心して除去した。BSAが開口面に残っていると投入用フレーム(ウレタンエラストマー製)の張り付きが悪くなるため、70%エタノールで湿らせたレンズペーパー又はキムワイプで拭った。
以上のようにして、BSAでコーティングしたMMVを作製した。液体投入用のフレームや周辺備品は、70%エタノールを散布等して殺菌した。
(1−2)レプリカ作製
次に、桜の花の形と、桜の花の向かって左側のみに十字の図形とを表わす図案を用いて、直径0.5mmの開口部をレーザーで形成した#1フィルター(単層のウレタンエラストマー製)を作製した(図5参照)。この#1フィルターを用いて、Aβ42-結合ペプチド遺伝子を含有するPCR混合物をウェル当たり0.5μLチャージしたMMV-E1と、Aβ42-結合ペプチド遺伝子を含有しないPCR混合物をウェル当たり0.5μLチャージしたMMV-E2とを、実施例1と同様に調製した。
上記PCR混合物は、1×Fast Buffer I(タカラ製)、250μMのdNTP混合物、0.04μMのCAプライマー(タカラバイオ(株)製)、0.025U/μLのSpeedSTAR HS DNAポリメラーゼ(タカラ製)を含む溶液とした。
厚み0.8mm、開口部の直径0.6mmのスペーサー(ファインテック製)を、MMV-E1(オリジナルMMV=供与側MMV)とMMV-E2(レプリカMMV=受容側MMV)との間にかませた。遠心(1,400xgで1分)を行って、MMV-E1からMMV-E2へと最初の移送を行い、次いで、MMV-E2からMMV-E1へとウェル内の試料溶液を逆移送した(スタンプ法)。
同様にして、MMV-E3〜MMV-E6を調製した。MMV-E2〜E6では、各ウェル内に要素2を0.5μLずつ加え、MMV-E1とともに、PCRに供した。PCRの条件は、下記の通りとした。
PCRは、95℃で変性(30秒)、50℃でアニール(2分)、及び65℃で伸長反応(2分)を30サイクル繰り返した。
テンプレートなしのPCR溶液を埋め戻す(レプリカを作りたい側(約0.1%の液滴が残ったMMVに、DNAが含まれないPCR溶液を補充する)ために、0.35μLの70%MMVに、Z型パッキンを貼り付けたMMVを使用した(容積は約0.4μL)。これによって、MMVを分離した際の交差感染のリスクを抑えた。
MMV-E1〜E6のセットアップは、従来のサーモサイクラー(バイオラッド社製、Bio-Rad C1000 Touch)中で行った。熱伝導を良くするために、このサーモサイクラー中、PCRブロックとMMVチップとの間に銅板を挿入した。
上記の各MMVを個別にシリコンテープでシールし、アルミフォイルで遮蔽して、サーモサイクラー中に置いた。MMVと蓋とが離れないようにシリコンテープでとめた。
(2)PCR反応産物のイメージング
MMV-E1〜E6でのPCR反応産物のイメージングを以下のようにして行った。
PCR産物のSYBRグリーンI(ロンザ社製)を用いて、製造元の指示書に従って染色を行った。このときに、浅型MMV(ウェルの容量0.1μL)に、0.1μL/ウェルでSYBRグリーンを入れた。
染色液を上記の各MMVに移送する前に、各MMVをクリーンベンチ内で数分間蓋を開けたままにしておき、各ウェル中の溶液の量を減少させた。次いで、浅型MMVを、MMV-E1〜MMV-E6にそれぞれ実施例1と同様にして重ね合わせ、1,300xgで1分遠心して移送し、増幅されたDNAを染色した。
染色されたMMV-E1〜E6を、フルオロイメージャー(Molecular imager FX, バイオラッド社製)でモニターした。この結果、レプリカMMV-E2〜E6には、図5に示すような桜の花の形が現れ、桜の花の形を形成している各ウェル中でPCRにより増幅産物が生成されていることが確認された。
以上より、レプリカMMVに残存した微量のアリコートをPCRのシードとして使用できることが確認された。また、レプリカMMV中に残存した微量のアリコートは実施例1でも確認した通り、最初に各ウェルに加えた試料溶液量の約0.1%であった。
オリジナルMMVは、試料を入れたままの状態でシリコンテープ等で蓋をすれば、冷蔵又は凍結保存(液体窒素処理を含む)が可能である。そして、レプリカ作製には非常に微量の試料を使用すればよいこと、また、オリジナルMMVのウェル中のペプチドの含有量が減少した場合には、レプリカで増幅させたペプチドを用いて補充ができることから、ほぼ、無限にレプリカを作製できることが示された。
(1)レプリカMMV(大腸菌含有)の作製
GFPを発現している大腸菌細胞を、LB培地(0.5%(w/v)の酵母抽出物、1%(w/v)のトリプトン、1%(w/v)のNaCl及び50μg/mLのアンピシリン及び1mMのIPTGを含む、以下、「培養培地」という。)中で、培養した。
本実施例においても、実施例2及び3で使用した#1フィルターと#2フィルターとを使用した。
まず、#1フィルターを使用して、0.5μLのGFP発現−大腸菌を含む懸濁液(1x104個/mL)MMV-F1にチャージした。次に、#2フィルターを用いて、0.5μL上記培養培地をMMV-F2にチャージした。これによって、GFP発現−大腸菌をチャージしたMMV-F1と相補的なパターンで、上記培養培地を含むMMV-F2が形成された。
次いで、実施例1及び2と同様にして、MMV-F1に上記実施例2で使用したスペーサーを取り付け、MMV-F1のウェル中の大腸菌含む懸濁液を、MMV-F2の対応するウェル中に遠心(1,400xg、1分)によって移送した。図2に示すように、スペーサーを挟むMMV-F1とMMF-F2との天地を返し、MMV-F2中のウェルに含まれる上記懸濁液を、MMV-F1の対応するウェル中に、遠心(1,400xg、1分)によって移送して戻した。この操作によって、MMV-F2は、MMV-F1の鏡像的なレプリカとなった(スタンプ法)。
MMV-F2に代えて、新たな空のMMVを上記と同様に重ねて同じ操作を繰り返し、MMV-F3〜F6を、MMV−F2と同様に、スタンプ法によるレプリカとして調製した。
MMV-F2〜F6のすべてのウェルに上記培養培地を、ウェル当たり0.5μLずつ加え、CO2インキュベーター中で、37℃にて21時間培養した。培養後、発現した緑色蛍光タンパク質を観察した。結果を図6に示す。
図6に示したように、MMV-F1をオリジナルとすると、MMV-F2〜MMV-F6では、MMV-F1で描いた図形のパターンが、鏡像的に形成されていることが、桜の花の形と十字の図形との位置関係によって確認された。
以上より、オリジナルMMV中に含まれるものが細菌であっても、移送したウェル内に残った上記の試料とともに大腸菌を別のMMVへ移送できたこと、各レプリカMMVに残存するアリコートをシードとして大腸菌を増殖させることができることが証明された。
また、オリジナルMMV(MMV-F1)は、試料を入れたままの状態でシリコンテープ等で蓋をすれば、冷蔵又は凍結保存が可能である。このため、実施例2と同様な理由から、MMVのウェル中の大腸菌数が減少した場合には、レプリカで増幅させた大腸菌を用いて補充ができ、ほぼ、無限にレプリカを作製できることが示された。
(1)DNAからペプチドアプタマーの生成
(1−1)POMM (Panning on microarray MMV)
機能ベースペプチド選択システム(Function-based peptide selection system)によるMMVによるパニング(以下、「POMM」と略す。)を以下のようにして行った。
ペプチドコード化DNAs(機能既知及び未知の両方を使用、それらの比率は10: 106)を、MMVのウェル(1,000 DNA分子/ウェル)でチャージした。PCRには、1x Ex Taqバッファー、200μMのdNTPs(N=G,A,T,C)、0.001 U/μLのEx Taqポリメラーゼ、及び0.4μMのCAプライマー(タカラバイオ(株)製)を使用した。
これらを、MMV-G1の各ウェルに0.5μLずつ、図1Bに示す方式で入れ、厚さ0.5mmの自己粘着性シリコンテープでシールして、サーモサイクラー(Bio-Rad C1000 Touch)を用いて、95℃で40秒間変性、60℃で60秒間アニーリング、72℃で60秒間伸長を40サイクル行い、増幅産物を得た。
PCR後、このMMV-A(オリジナル)を用いて、実施例1〜3と同様に、MMV-B2(レプリカMMV)を作製した。MMV-B1(最初のレプリカMMV)について、第2POMM処理を行い(10分子/0.5μL)、MMV-B1と同様に作製したMMV-B2を将来の使用に備えて保存した。MMV-B1のウェル中の溶液のほぼ半量をクリーンベンチ中で蒸発させた。
インビトロ転写/翻訳(In-vitro transcription/translation、以下、「IVT」と略す。)溶液を、容量が制御MMV-C(0.25μL/ウェルのMMV)の各ウェルに、図1Cのようにしてチャージした。IVT溶液は、PUREfrex(商標)溶液(I液(500μL)、II液(50μL)、及びIII液(50μL)を含んでいる(ジーンフロンティア製、千葉、日本国)。MMV-CからMMV-B1へ、実施例3と同様の条件で遠心して移送した(S-モード)。移送完了後、MMV-B1をシリコンテープでシールして、37℃で2〜4時間インキュベートした。
Aβ42-結合磁性ビーズを、700μLのストレプトアビジン−磁性ビーズ懸濁液(コスモバイオ製)及び150μLのAβ42ペプチド−ビオチンコンジュゲート(10 pmol/μL、フナコシ製)の混合物を、エッペンドルフチューブ中で、室温にて1時間反応させて調製した。
この混合物を、PBSバッファー及び0.1%のTriton-Xを含む新たなMMV(MMV-D)中に、図1Bのようにしてチャージした。MMV-Dの底面磁石を置いてウェル内の磁性ビーズを引きつけ、上清を室温にてスピンニング(100xg、1分)して除き、図10のようにしてMMVチップ-Dに移した。
この操作によって、チップ-B1中のIVT産物を、Aβ42とAβ42-結合ペプチドとが出あうようにした。マグネットを、MMVの上下を往復移動させながら室温にて1時間、Aβ42とAβ42-結合ペプチドとを結合させた。
ビーズと溶液とを上記のように、磁性ビーズを磁石で引きつけて分離した。MMV-Dに洗浄バッファー(1MのNaCl及び0.1%のTriton-Xを含むPBS)をチャージして3回交換し、上記の反応1ラウンド当たりの残余物、Aβ42と結合していないすべてのペプチド及びAβ42を除去し、ビーズに結合しているAβ42-結合ペプチドを回収した。
0.1%のTriton-Xで20倍希釈したフルオレセイン標識FLAG特異的抗体含有溶液(モノクローナル抗FLAG(登録商標)M2-FITC(シグマ−アルドリッチ社製))を、未使用のMMV(MMV-E)にチャージし、遠心(1,400xg、1分)によってMMV-Dに移送した。このMMV-Dを磁性ビーズと混合し、シリコンテープでシールして1時間、室温にてインキュベートし、FITC標識抗体と結合させて、FLAG-融合ペプチドとした。
上記のように磁石で磁性ビーズを引きつけて上清と分離し、その後、分離された上清を除去した。残ったビーズを上述のようにして、洗浄液で2回洗浄した。
MMV-D中のウェルに0.1%のTriton-Xを含むプロテイナーゼK(1/50x濃度、インビトロジェン社製)をウェル当たり0.5μL加え、37℃にて1時間インキュベートして、Aβ42-結合ペプチドを遊離させた。
(1−2)検出
次いで、MMV-Dのウェル中の試料を、新たなMMV-Fに移送し(M-モード)、MMV-Fのウェルの蛍光を、FITCフィルターをつけたレーザースキャナーにて検出した。結果を、図12に示す。
図12では、Aβ42に結合したペプチドが光って(図では黒く)みえる。すなわち、磁性ビーズにビオチン・アビジン結合を介して結合しているAβ42にペプチドが結合し、そのペプチドに融合して発言しているFLAG配列にFITCラベルされた抗FLAG抗体が結合し、結局Aβ42とペプチドの結合の存在が、レポートされた。
以上によって、ペプチドをコードするDNA(DNAライブラリコンストラクト)を使用してペプチドを産生できることが示された。
本発明は、医薬、臨床検査等の分野において、有用である。

Claims (6)

  1. 2次元マトリクス状に配置された複数の有底のマイクロウェルのそれぞれに、予め定められた属性を有する対象物質が注入されたオリジナルマイクロウェルアレイを作成するオリジナルマイクロウェルアレイ作成工程と;
    前記オリジナルマイクロウェルアレイにおける複数の有底のマイクロウェルの配置面と同形である、空のレプリカ用マイクロウェルアレイを用意するレプリカ用マイクロウェルアレイ準備工程と;
    前記オリジナルマイクロウェルアレイの各マイクロウェルに注入されている対象物質を、前記レプリカ用マイクロウェルアレイの対応するマイクロウェルアレイに移送する第1移送工程と;
    前記レプリカ用マイクロウェルアレイの各マイクロウェルに移送された対象物質を、前記オリジナルマイクロウェルアレイにおける対応するマイクロウェルアレイに移送し、レプリカ用マイクロウェルアレイの各マイクロウェル内に、前記対象物質の一部が固定されたレプリカマイクロウェルアレイを作成する第2移送工程と;
    を備えることを特徴とするレプリカマイクロウェルアレイの作成方法。
  2. 前記対象物質は、ペプチド又はタンパク質の情報をコードしているDNA、細菌、真菌、酵母、単細胞浮遊液とした生体細胞、及びハイブリドーマ細胞からなる群から選ばれるいずれかの増殖可能な物質であることを特徴とする、請求項1に記載のレプリカマイクロウェルアレイの作成方法。
  3. 前記対象物質がタンパク質の元となる情報を含むDNAである場合には、前記レプリカマイクロウェルアレイ中で増幅されたDNAを用いて、インビトロでタンパク質を産生させる工程をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のレプリカマイクロウェルアレイの作成方法。
  4. 前記細菌は、ロイコノストック属、ロシア属、疫病菌、及びパラインフルエンザ菌からなる群から選ばれる、いずれかのものである、請求項2に記載のレプリカマイクロウェルアレイの作成方法。
  5. 前記真菌は、アスペルギルス属、クロノバクター属、トリコスポロン属、及び分裂酵母属からなる群から選ばれる、請求項2に記載のレプリカマイクロウェルアレイの作成方法。
  6. 前記生体細胞は、口腔粘膜、唾液、皮膚寄生微生物、排泄物、土壌微生物及び環境微生物群からなる群から選ばれる、請求項2に記載のレプリカマイクロウェルアレイの作成方法。
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