JP2002257836A - 液体吐出装置を用いたプローブ担体の製造方法及びこの方法に用いる装置 - Google Patents

液体吐出装置を用いたプローブ担体の製造方法及びこの方法に用いる装置

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JP2002257836A
JP2002257836A JP2001055971A JP2001055971A JP2002257836A JP 2002257836 A JP2002257836 A JP 2002257836A JP 2001055971 A JP2001055971 A JP 2001055971A JP 2001055971 A JP2001055971 A JP 2001055971A JP 2002257836 A JP2002257836 A JP 2002257836A
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Hisashi Okamoto
尚志 岡本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 多種類のプローブ溶液種のそれぞれから形成
されたスポットを確実に固相基板上に形成可能なプロー
ブアレイの調製方法およびそれに用いる装置を提供する
こと。 【解決手段】 液体吐出装置にプローブ・アレイの調製
に必要な数の液体吐出部を設け、各液体吐出部を、1つ
の液体収納部に対して共通して設けられた複数の吐出口
からなる吐出口群を形成した構成とし、担体上に設けた
多数のウエルへのプローブ溶液の供給に際し、同一吐出
口群に属する複数の吐出口から順次同一のプローブ溶液
を同一のウエル内に重ねて付与するように制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液体吐出装置を用
いたプローブ担体の製造方法及びそれに用いる装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】遺伝子DNAの塩基配列の解析、あるい
は、同時に多項目に関し、高信頼性で遺伝子診断などを
行う際、目的とする塩基配列を有するDNAを複数種の
プローブを用いて選別することが必要となる。この選別
作業に利用されるプローブ複数種を提供する手段とし
て、DNAマイクロチップが注目を浴びている。また、
薬剤等のハイスループット・スクリーニングやコンビナ
トリアル・ケミストリーにおいても、対象となるタンパ
ク質や、薬物の溶液を多数(例えば、96種、384
種、1536種)を並べ、秩序立ったスクリーニングを
行うことが必要となる。その目的で多数種の薬剤を配列
するための手法、その状態での自動化されたスクリーニ
ング技術、専用の装置、一連のスクリーニング操作を制
御し、また結果を統計的に処理するためのソフトウェア
等も開発されてきている。
【0003】これら並列的なスクリーニング作業は、基
本的に、評価すべき物質に対して、選別する手段となる
既知のプローブを多数並べてなる、いわゆるプローブ・
アレイを利用することで、同じ条件の下、プローブに対
する作用、反応などの有無を検出するものである。一般
的に、どのようなプローブに対する作用、反応を利用す
るかは予め決定されており、従って、ひとつのプローブ
・アレイに搭載されるプローブ種は、例えば、塩基配列
の異なる一群のDNAプローブなど、大きく区分すると
一種類の物質である。すなわち、一群のプローブに利用
される物質は、例えば、DNA、タンパク質、合成され
た化学物質(薬剤)などである。多くの場合、一群をな
すプローブ複数種からなるプローブ・アレイを用いるこ
とが多いが、スクリーニング作業性質によっては、プロ
ーブとして、同一の塩基配列を有するDNA、同一のア
ミノ酸配列を有するタンパク質、同一の化学物質を多数
点並べ、アレイ状とした形態を利用することもあり得
る。これらは主として薬剤スクリーニング等に用いられ
る。
【0004】一群をなすプローブ複数種からなるプロー
ブ・アレイでは、具体的には、異なる塩基配列を有する
一群のDNA、異なるアミノ酸配列を有する一群のタン
パク質、あるいは異なる化学物質の一群について、その
一群を構成する複数種を、所定の配列順序に従って、ア
レイ状に基板上などに配置する形態をとることが多い。
なかでも、DNAプローブ・アレイは、遺伝子DNAの
塩基配列の解析や、同時に、多項目について、信頼性の
高い遺伝子診断を行う際などに用いられる。
【0005】この一群をなすプローブ複数種からなるプ
ローブ・アレイにおける課題のひとつは、できるだけ多
種類のプローブ、例えば、多種類の塩基配列を有するD
NAプローブを一つの基板上に載せることである。換言
するならば、如何に高密度にプローブをアレイ状に並べ
ることができるかである。
【0006】基板上にプローブ複数種をアレイ状に固定
する一つの方法として、米国特許(USP)5,424,186号公報
に記載される、光分解性の保護基とフォトリソグラフイ
ーを用いた担体上でのDNAの逐次伸長反応により、互いに
異なる塩基配列を有するDNAプローブをアレイ状に作製
する手法を挙げることができる。この手法を利用すると、
例えば、1cm2当たり10000種類以上の配列が異なるD
NAを搭載したDNAプローブ・アレイの製造も可能で
なる。なお、この手法では、逐次伸長反応によりDNA
を合成する際、4種の塩基(A,T,C,G)毎に、そ
れぞれ専用のフォトマスクを用いてフォトリソグラフイ
ー工程をおこない、アレイの所定箇所に何れかの塩基を
選択的に伸長させることで、所望の塩基配列を有する複
数種のDNAを所定の配列で基板上に合成する。従っ
て、DNAの鎖長が長くなると、製造に要するコストは
高くなり、また、長時間を要する。加えて、各伸長段階
における、ヌクレオチド合成の効率は100%ではない
ため、設計した塩基配列に欠損を生じたDNAの比率も
小さくない。さらに、合成の際、光分解性の保護基を用
いる場合、通常の酸分解性の保護基を用いる場合と比べ
て合成効率が落ちるため、最終的に得られるアレイにお
いて、設計した塩基配列通りのDNAの占める割合が小
さくなるという問題もある。
【0007】また、担体上で直接合成した生成物をその
まま使用するものであるため、設計した塩基配列通りの
DNAから欠損のある塩基配列を有するDNAを精製分
別により取り除くことは勿論不可能である。その他に、
最終的に得られるアレイにおいて、基板上に合成されて
いるDNAの塩基配列を確認することができないという
問題を秘めている。これは仮に、工程上のミスなどによ
り、ある伸長段階で所定の塩基の伸長がほとんどなされ
てなく、全くの不良品であった場合、この不良品プロー
ブ・アレイを用いたスクリーニングは、誤った結果を与
えるが、それを未然に防止する術が全くないことを意味
している。この塩基配列を確認することができないとい
うことが、この手法における最大かつ本質的な問題であ
る。
【0008】前記の手法とは別な方法として、プローブ
用のDNAを予め合成、精製し、場合によってはその塩
基長を確認した上で、各DNAをマイクロディスペンサ
ーのようなデバイスにより基板上に供給し、プローブ・
アレイを製造する手法も提案されている。PCT公開公
報WO95/355O5号には、キャピラリーを用いて、DNA
をメンブラン上へ供給する手法が記載されている。この
手法を適用すると、原理的には、1cm2当たり1000個
程度のDNAアレイの製造が可能である。基本的には、
各プローブ毎に一本のキヤピラリー状ディスペンス・デ
バイスでプローブ溶液を基板上の所定位置へ供給し、そ
の作業を繰り返すことで、プローブ・アレイを製造する
手法である。各プローブ毎に専用のキヤピラリーを用意
すれば、問題はないが、仮に、少数のキヤピラリーを用
いて、同じ作業を行おうとすれば、相互汚染を防止する
ため、プローブ種を入れ替える際、キャピラリーを十分
に洗浄する必要がある。また、供給する位置もその度毎
に制御する必要がある。従って、多種類のプローブを高
密度に配列するアレイの製造に適している手法とはいえ
ない。加えて、プローブ溶液の基板への供給は、キヤピ
ラリー先端を基板にタッピングして行うため、再現性・
信頼性も完全とはいえない。
【0009】また、特に薬剤のハイスループット・スク
リーニングに利用される96ウエル、あるいは、384
ウエルのマイクロプレートに対して、個々のウエル毎
に、異なる薬剤溶液を供給するためマイクロ・ディスペ
ンサー・デバイスも、例えば、Robbins Scientific 社
からHYDRATMの商品名で市販されている。これは、基本
的には、マイクロシリンジを2次元状に配列したもので
あり、最少吐出量は100nlである。プローブ・アレ
イの製造における生産性という観点からは、最小吐出量
を更に低く設定できれば、1プレートあたりの薬剤消費
量を低減させて、製造効率を上げることができる。更
に、ウエルの大きさは最小吐出量によって主に規定され
てくるので、最小吐出量を更に低く設定できれば、ウエ
ルのプレート上での配列密度を更に高めることができ
る。
【0010】その他の手法として、基板上においてDN
Aの固相合成を行う際、各伸長段階毎に、インクジェッ
ト法により合成に必要な物質の溶液を基板上に供給する
手法も提案されている。例えば、欧州特許公告公報EP 0
703 825B1号には、DNAの固相合成において利用され
る、ヌクレオチドモノマー、ならびに、アクティベ−タ
ーをそれぞれ別のピエゾ・ジェット・ノズルより供給す
ることにより、それぞれ所定の塩基配列を有するDNA
複数種を固相合成する方法が記載されている。このイン
クジェット法による供給(付与)は、上記キャピラリー
を用いた溶液の供給(付与)に比べ、供給量の再現性な
ど信頼性も高く、また、ノズルの構造も微細化が可能な
ものであり、プローブ・アレイの高密度化には適した特
徴を有している。しかしながら、この手法も、基本的に
は、基板上でのDNAの逐次伸長反応を応用するものな
ので、先に述べた米国特許(USP) 5,424,186号公報に記
載される手法における最大の課題である、基板上に合成
されているDNAの塩基配列を確認することができないな
どの問題点は依然として残っている。各伸長段階毎に、専
用のマスクを用いるフォトリソグラフィーの工程を行うと
いう煩雑さは解消されるものの、プローブ・アレイに不
可欠な要件である、各ポイントに所定のプローブが固定
されているという点に、若干の問題を含むものである。
なお、前記EP0,703,825B1号公報には、単独に形成
されたピエゾ・ジェット・ノズルを複数個使用する方法
しか記載されておらず、この少数のノズルを用いる際に
は、前述のキャピラリーを用いる手法と同様に、高密度
のプローブ・アレイ製造には必ずしも適しているとはい
えない。
【0011】また、特開平11-187900号公報には、プロ
ーブを含む液体をバブルジェット(登録商標)ヘッドに
より液滴として固相に付着させて、プローブを含むスポ
ットを固相上に形成する方法が開示されているが、使用
されているインクジェットヘッドが、一般のプリンタ用
のヘッドであるため、プローブ・アレイを製造するにあ
たり最適な構造とは言いがたい。以下にこの点に関して
詳しく説明する。
【0012】従来のインクジェットヘッドは、文字や画
像の印刷のために開発された手法である。従って、使わ
れる溶液はモノクロ(一般的には黒)印刷の場合には一
色(黒)のインク、カラー印刷の場合には、一般的に、
色の三原色、すなわち、イエロー(Y)、シアン
(C)、マゼンタ(M)の3色のインクとなる。カラー
印刷の場合には必要により、黒、または、Y、M、C、
の濃淡インクを使用する場合があるが、多くても10種
類以上のインクを使用することはない。
【0013】また、紙面への印刷には多量のインクを用
いるため、従来のインクジェット・プリンティング用の
ヘッドには、十分な容量を有するインクを充填するため
のタンク(リザーバー)と、インクをノズルへ導く流路
と、インクを吐出するためのノズルが具備されている。
【0014】これに対し、プローブ・アレイ製造用の液
体吐出装置は、これまで説明したように、出来るだけ多
くの種類の液体を吐出させることが望まれる。そこで、
プローブ溶液を収納する収納部(リザーバー)をプロー
ブ・アレイの製造に必要とされる多数種のプローブに対
応する個数備え、各収納部に対応する吐出口を配置した
液体吐出装置が望ましい。
【0015】また、プローブ・アレイ製造用の液体吐出
装置では、紙面に印字する場合ほど液体を消費するわけ
ではないので、リザーバーの容積も比較的小さなもので
十分である。
【0016】さらに、従来の一般的なインクジェット・
プリンティング用のヘッドでは、文字や画像の形成のた
めに、紙面上の所望の位置に所望のインクを吐出する必
要がある。そのため各ノズルを独立に任意のタイミング
で選択出来るヘッド構成をとっている。所望のノズルか
らインク(液体)を吐出させるために必要なパワートラ
ンジスタや、論理回路は、ヘッドの外部に設けても、ヘ
ッドの内部に設けても良い。
【0017】インクジェットの方式としては、ヒータか
ら発生する熱エネルギーにより液体の吐出を行うサーマ
ルジェット方式と、ピエゾ素子に電圧を印可して生じる
素子の変形により液体の吐出を行うピエゾインクジェッ
ト方式がある。これらのうち、サーマルジェット方式は
ピエゾインクジェットと比較して構造が簡単であり、ヘ
ッドの小型化や多ノズル化に向いている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】以上に紹介したよう
に、液体吐出装置を用いてプローブ・アレイを製造する
方法は、微少量のプローブ溶液のスポットを高密度に担
体上に配列する、という点において優れている。液体吐
出装置の吐出口から1度に吐出される液体の最小吐出量
は、0.1pl〜50plの範囲にまで低下させることが
可能であり、担体上に多数のウエルを配置し、各ウエル
中に微少量のプローブ溶液を供給する場合においても、
ウエルの大きさを小さくして、更なる高密度化を達成す
ることができる。更に、このような最小吐出量の低減が
可能となることで、プローブ溶液に基づく1スポットあ
たりの製造効率を格段に向上させることができる。
【0019】一方、このような微小プローブスポットの
高密度配列が達成されたプローブ・アレイでは、得られ
たプローブ・アレイの良品率、すなわち製造歩留りを更
に向上させるためには、必要とされるプローブのスポッ
トが担体上に正確に形成されているかどうかを検定する
必要がある。
【0020】しかしながら、多数のウエル内のそれぞれ
にプローブスポットを形成する場合、特に、溶液種が10
00〜10000にわたる場合に、各ウエル中に所望のプロー
ブが正確に供給されているかどうかを検定するには、多
大な労力を要したり、特別な装置を用いる必要がある場
合が多い。
【0021】すなわち、ゴミ詰まり、断線、気泡の混入
等による液体吐出装置の各ノズルからの不整な吐出もし
くは不吐出があると、ウエル内に必要とされるプローブ
溶液が供給されていない可能性がある。また、このよう
に非常に多いノズルを基板上に一体形成した液体吐出装
置の場合に、一つのノズルが不良であっても装置全体が
不良となってしまうことから、製造装置自体の歩留まり
が悪く生産性が低いくなる、という課題がある。更に、
装置自体に欠陥が生じていない場合でも、なんらかの理
由で不吐出が生じている場合には、その装置で製造され
たプローブ・アレイは品質不良部分を有するものとな
り、このような不良品の発生は、プローブ・アレイ自体
の製造歩留りの低下を招く。
【0022】本発明は、プローブ溶液をウエル内に供給
してプローブ・アレイを製造する際における上述の課題
を解決するもので、その目的は、担体上に設けた多数の
ウエル内に必要とされるプローブ溶液を確実に供給可能
なプローブ・アレイの製造方法を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
の解決を図るべく、鋭意研究を進めた結果、一つの液体
収納部に対して同一プローブ溶液を吐出する複数の吐出
口を設け、担体上の同一凹部に対して、それぞれの吐出
口から順次吐出された同一のプローブ溶液を供給し、た
とえ一つの吐出口からの吐出が不整であっても、凹部中
へのプローブ溶液の供給が達成され、かつプローブ溶液
の使用量も許容範囲内にできることを見出した。これに
よって、液体吐出装置の製造過程で例え1つの吐出口か
らの吐出のための機構が不良であっても、その装置を用
いて製造された全てのプローブ・アレイを不良とする必
要が無く、液体吐出装置の製造歩留まりが著しく向上す
ることが確認された。更に、このような構成の液体吐出
装置を用いることで、プローブ・アレイ自体の製造歩留
まりを向上させることが可能であることを見出した。
【0024】また、本発明者らは、好ましくは、プロー
ブ溶液を加熱して膜沸騰させ、その圧力で液体を吐出す
る液体吐出方式を使用することにより、吐出口の配列密
度を容易に向上させることができ、液体吐出装置および
プローブ・アレイ製造装置を巨大化せずに上記の課題が
解決できることを見出した。さらに、溶液を加熱して発
生せしめた気泡が外気と連通することを特徴とした液体
吐出方式を用いることにより、0.1pl〜50plの
範囲で1度に吐出される液体量を精度良く再現すること
が可能であり、上記の目的に適していることを見出し
た。
【0025】本発明は上記の本発明者らによる知見に基
づいて成されたものである。
【0026】本発明にかかるプローブ担体の製造方法
は、プローブを含むプローブ溶液を液体吐出装置から担
体上に吐出することで複数種のプローブが担体上に配置
されたプローブ担体を製造する方法であって、前記液体
吐出装置を、前記プローブの配置位置にそれぞれ対応す
る凹部を表面に有する前記担体に対して相対的に移動さ
せながら、該液体吐出装置から前記配置位置に関する情
報に基づいて前記複数種のプローブの溶液の各々を吐出
させて該凹部内に供給し固定する工程を有し、前記液体
吐出装置は、プローブ溶液を収納する液体収納部と、該
液体収納部対して共通に設けられた複数の吐出口からな
る吐出口群と、該液体収納部とこれらの複数の吐出口を
共通に連通させる液路と、これらの複数の吐出口の各々
に対応して設けられ、これら複数の吐出口の各々による
独立したプローブ溶液の吐出を可能とする吐出エネルギ
ー発生手段と、を有する液体吐出部を、少なくとも前記
複数種のプローブ溶液に対応する個数備えた構成を備
え、かつ前記プローブ溶液の前記凹部内への供給が、前
記液体収納部に対して共通して設けられた吐出口群を前
記担体に対して相対的に移動させ、該吐出口群を構成す
る複数の吐出口から同一種のプローブ溶液が前記担体の
同一凹部内に供給されるようにこれらの吐出口に対応す
る吐出エネルギー発生手段を駆動させる工程を含むこと
を特徴とするプローブ担体の製造方法である。
【0027】また、本発明にかかるプローブ担体の製造
装置は、プローブ溶液を吐出する液体吐出装置と、表面
に凹部が形成された担体を保持し、該液体吐出装置に対
して該担体を相対的に移動させるための担体の保持手段
と、を有するプローブ担体の製造装置であって、前記液
体吐出装置は、プローブ溶液を収納する液体収納部と、
該液体収納部から供給されたプローブ溶液を吐出するた
めの複数の吐出口と、該液体収納部に対してこれらの複
数の吐出口を共通して連通させる液路と、これらの複数
の吐出口の各々に対応して設けられ、これら複数の吐出
口の各々による独立したプローブ溶液の吐出を可能とす
る吐出エネルギー発生手段と、を備え前記吐出エネルギ
ー発生手段が駆動されて、前記吐出口群を構成する複数
の吐出口から同一種のプローブ溶液が前記担体の同一凹
部内に供給されるを有することを特徴とするプローブ担
体の製造装置である。
【0028】本発明に用いる液体吐出装置における1つ
の液体収納部に対して設けられた吐出口群を形成する吐
出口の数は10個以上であることが好ましい。
【0029】また、各前記複数個の吐出口の各々から1
度に吐出されるプローブ溶液の体積は、0.1pl〜5
0plの範囲内にあることが好ましい。
【0030】更に、前記吐出口の全てが、基板上の吐出
口形成面に1次元または2次元状に配列された吐出口群
を形成していることが好ましい。
【0031】また、前記流路が、前記吐出口形成面に対
して垂直方向に直線状に伸びており、かつ前記1つの液
体収納部に共通して連通する複数個の吐出口が該流路の
中心軸と該吐出口形成面との交点を中心に等距離に円弧
上に配列されているものであることが好ましい。
【0032】更に、前記液体吐出エネルギー発生素子
が、熱エネルギーを発生し、前記プローブ溶液を加熱し
て膜沸騰させ、その圧力で前記吐出口から吐出させるヒ
ーター素子であることが好ましい。
【0033】また、前記液体吐出部の各々が、基板の表
側の面に設けられたヒータ素子と、該ヒータ素子に対応
する位置に設けられたプローブ溶液の流路と、該流路と
連通し該流路から供給されたプローブ溶液を該ヒータ素
子の発熱により吐出するための吐出口と、該基板の裏面
側に設けられ、該流路と連通した液体収納部と、を有
し、これらの吐出口、流路及び液体収納部が前記基板を
貫通する経路を形成したチップ中に構成され、該ヒータ
素子は互いに絶縁された第一と第二の配線にその両端が
接続され、これらの第一と第二の配線を介して印可され
た電気信号により駆動されるものであることが好まし
い。
【0034】更に、前記液体吐出部は、前記ヒータ素子
の駆動により前記吐出口からプローブ溶液を吐出させる
際に前記流路中のプローブ溶液に気泡が発生し、該気泡
が該吐出口を介して外気と連通する構造を有するもので
あることが好ましい。
【0035】本発明によれば、液体吐出装置の製造過程
で例え一つの吐出口に不良が生じていても、装置全体を
不良とする必要が無く、液体吐出装置の歩留まりを著し
く向上することができる。
【0036】また、上記構成のプローブ担体の製造装置
における液体吐出装置の吐出エネルギーエネルギー発生
手段や担体保持手段の駆動は、製造装置内に設けた制御
プログラムに基づいて制御されるようにしても良いし、
製造装置外に別途設けたホストコンピュータ等からの指
令により制御されるようにしても良い。
【0037】更に、液体吐出装置を液体吐出手段として
用いたプローブ担体製造用の装置を用いた本発明にかか
るプローブ担体の製造方法によれば、所定のプローブ溶
液が担体上の所定位置にある凹部に確実に供給されてい
るので、プローブ担体製造後の品質のチェックを省略、
あるいは大幅に簡易化でき、プローブ担体の製造歩留ま
りの向上と、製造工程の簡易化を図ることができる。
【0038】
【発明の実施の態様】本発明にかかる液体吐出装置は、
プローブ溶液を収納する液体収納部と、液体収納部から
供給されたプローブ溶液を吐出するための複数の吐出口
と、液体収納部に対してこれらの複数の吐出口を共通し
て連通させる液路と、これらの複数の吐出口の各々に対
応して設けられ、これら複数の吐出口の各々による独立
したプローブ溶液の吐出を可能とする吐出エネルギー発
生手段と、を有する液体吐出部を備えた構成を有する。
【0039】すなわち、本発明にかかる液体吐出装置
は、複数種のプローブのそれぞれを担体上に形成したウ
エル内に保持したプローブ担体の製造に際し、一つの吐
出口群を形成する複数の吐出口から同一のプローブ溶液
を、吐出口の数に対応する回数で順次担体の同一凹部
(ウエル)に吐出させるための制御が可能な構成を有す
るものである。
【0040】このような構成を有する液体吐出装置を用
いることで、プローブ担体の製造に際し、予め別途に作
製した各プローブ溶液を所望の液量ずつ担体上のウエル
に吐出、供給することで、プローブの多種高密度化を達
成することができる。
【0041】更に、1つの液体収納部に対応して複数の
吐出口を設けた構成によれば、これら複数の吐出口の1
つからの液体の吐出に吐出不良が生じた場合でも、その
他の吐出口からの吐出によってプローブ溶液のウエルへ
の付与が確実に保証される。
【0042】
【発明の実施の形態】以下に、本発明のプローブ担体の
製造方法ならびにそれに用い得る製造装置に関して、よ
り詳しく説明する。特に、熱エネルギーを吐出エネルギ
ーとして用いる液体吐出方式を利用した場合を代表例と
して、各プローブを所望の液量ずつウエルに吐出させて
供給する工程、およびそれに用いる液体吐出装置を中心
に説明する。
【0043】本発明の方法では、調製するプローブ担体
における各プローブスポットの面密度を考慮して、吐出
口から1度に吐出するプロープ溶液の量を適宜選択する
ものであるが、その際の1回の吐出液量は、0.1ピコ
リットル(pl)から100ピコリットル(pl)、好
ましくは0.1pl〜50plの範囲から選択すること
ができる。同じく、1回の吐出液量に合わせて、担体上
の同一ウエル内に供給されるプローブ溶液により占有さ
れる面積も適宜選択される。このプローブ溶液により占
有される面積により1つのウエルの大きさ及び容量を設
定することができる。
【0044】例えば、一つのウエルが担体上で占める面
積は0.01(例えば0.1μm×0.1μm)μm2〜40000(例
えば200μm×200μm)μm2に選択されている態様と
することができる。また、ウエルの深さは、ウエルを作
製する方法にもよるが、望ましくは、0.5μmから100μ
mの範囲から選択することができる。これらウエルの面
積と深さから体積が決まる。このようなウエルの作製方
法は、例えば特開平11-099000号公報に記載の方法をそ
のまま用いることができる。
【0045】本発明においては、1つのウエル中に複数
の吐出口から同一のプローブを含む溶液が供給される。
一つのウエルに一回の吐出により供給するプローブ溶液
におけるプローブ濃度及び液量は、1つの吐出口群を構
成する全吐出口の約半数からプローブ溶液が同一ウエル
内に供給された場合に、必要十分な数のプローブ分子が
ウエル内に固定化される濃度及び液量であることが望ま
しい。1つの吐出口からプローブ溶液が液滴として吐出
される場合を例とすると、一つのウエルに供給する液滴
のプローブ濃度および液量は、供給されるべき液滴数の
約半数が供給された場合に、必要十分な数のプローブ分
子がウエル内に固定化される濃度及び液量であることが
望ましい。このような濃度設定を行えば、ウエル面積が
マトリクスによって規定されていることを考慮すると、
仮に、供給されるべき液滴数が10滴の場合、すなわち
1つの吐出口群を形成する吐出口の数が10個の場合
に、1〜3個の吐出口からの吐出不良があったとして
も、必要十分なプローブ分子がウエルに結合されること
になる。
【0046】なお、担体に形成されたウエルに供給され
たプローブは、特定のターゲット(標的)によって特異
的に認識され得るもので、しばしばリガンドと呼ばれる
ものである。更に、このプローブには、特定の標的によ
って認識され得るオリゴヌクレオチドやポリヌクレオチ
ド、あるいはその他のポリマーなどが含まれる。用語
「プローブ」は、個々のポリヌクレオチド分子などのプ
ローブ機能を有するプローブ分子そのものを意味する場
合と、分散した状態等で担体表面に固定された同じ配列
のポリヌクレオチドなどの同じプローブ機能を有するプ
ローブ分子の集団を意味する場合がある。また、プロー
ブは、リガンド−抗リガンド対の一部として標的と結合
し得るか、または結合するようになり得るものである。
本発明におけるプローブ及び標的は、天然において見出
されるような塩基、またはそのアナログを含み得る。
【0047】なお、本発明の方法により製造されるプロ
ーブ担体に採用されるプローブは、その使用目的に応じ
て、適宜選択されるものであるが、本発明の方法を好適
に実施する上では、プローブとしては、DNA、RN
A、cDNA(コンプリメンタリーDNA)、PNA、
オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、その他の核
酸、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、酵
素、酵素に対する基質、抗体、抗体に対するエピトー
プ、抗原、ホルモン、ホルモンレセプター、リガンド、
リガンドレセプター、オリゴ糖、ポリ糖のいずれかであ
ることが好ましく、必要に応じてこれらの2種以上を組
合せて用いることができる。
【0048】本発明においては、これらのプローブの複
数種を、それぞれ独立した領域、例えばドット状スポッ
トとして担体表面に固定したものをプローブ担体とい
い、プローブのスポットの多数が平面状に配列された、
すなわち二次元アレイ状に配列されたものをプローブ・
アレイという。このプローブ担体には、DNAマクロア
レイ、DNAチップ、プローブ・アレイと一般的に呼ば
れている検査用のプレートやチップが含まれる。
【0049】一方、本発明の方法では、プローブは担体
表面に結合可能な構造を有しており、担体上へのプロー
ブの固定がこの結合可能な構造を介して行われているこ
とが望ましい。その際、プローブが有する担体表面に結
合可能な構造は、アミノ基、スルフィドリル基、カルボ
キシル基、水酸基、酸ハライド化物(ハロホルミル基;
−COX)、ハライド化物(−X)、アジリジン、マレ
イミド基、スクシイミド、イソチオシアネート、スルフ
ォニルクロリド(−SO2Cl)、アルデヒド(ホルミ
ル基;−CHO)、ヒドラジン、ヨウ化アセトアミドな
どの有機官能基を導入する処理により形成されたもので
あることが好ましい。
【0050】本発明にかかるプローブ担体の製造方法
は、プローブ担体の製造に際し、予め別途に作製した複
数種のプローブを溶液とし、担体上の各ウエルに、液体
吐出装置を用いて吐出させて供給することで、プローブ
担体における多種高密度化を達成するものである。
【0051】本発明の方法に好適に用いられる液体吐出
装置における液体吐出部は、1つの液体収納部に対して
それぞれが独立して駆動され得る吐出口の複数を共通し
て配置した構成を有するものである。
【0052】液体収納部のサイズや容量も、吐出口から
一度に吐出するプローブ溶液の量、また、作製を予定す
るアレイ枚数によって適宜選択されるものである。な
お、吐出口径の設定により、それから一度に吐出するプ
ローブ溶液の量は自ずから一定の範囲となるので、液体
吐出装置の複数の液体吐出部をシリコン等の半導体やガ
ラスなどからなる基板を加工して一体型のチップ状に形
成する際には、後述するように吐出口に対向する基板の
裏面に液体収納部を一体成形できるサイズで十分な場合
もある(図4及び5参照)。
【0053】一方、一度に吐出口から吐出するプローブ
溶液の量が比較的多く、また、製造する必要なアレイ枚
数が多い場合には、プローブ溶液を基板に一体成形した
液体収納部にその都度追加することにより、全枚数を製
造する際に必要となる溶液量を賄う方法を用いることが
できる。それとは別に、基板の裏側に配置する液体収納
部に、さらに増量用の液体収納部を接続可能な構成とし
てもよい。その際、プローブ溶液の追加は、増量用の液
体収納部を介して行われ、必要に応じて基板側の液体収
納部の形状自体は、プローブ溶液の供給が容易に行える
ものにしておくことができる。
【0054】このプローブ担体の製造に用いられるプロ
ーブ毎に、対をなす液体収納部と複数の吐出口を対応さ
せて液体吐出部を形成し、複数の液体吐出部に配置され
た吐出口を、好ましくは一次元または二次元アレイ状に
配置して吐出口面を形成する。従って、対をなす液体収
納部と複数の吐出口とを備えた液体吐出部の数は、特に
限定されるものではなく、必要とされるプローブ担体の
プローブ種に応じて選択されるものである。なお、担体
上に設けるウエルの数、その配列、液体吐出部の総数な
どは、基本的には必要とされるプローブ種の数により決
定される。本発明においては、1つの吐出口形成面に設
けられる吐出口の総数は、吐出口総数=(液体吐出部の
数)×(液体吐出部の有する吐出口の数)となる。
【0055】本発明の方法において、一般に、基板上に
プローブのスポットを二次元アレイ状に配置する場合
は、大きな意味における種類は同じ種類とする。すなわ
ち、本発明の方法においては、各プローブは溶液とし
て、液体吐出装置から吐出できる限り、そのプローブ自
体の種類は特に重要な要素ではない。一方、基板上に溶
液として、吐出し、付与した後、基板上に固定できるも
のに本発明の方法は適用される。この要件を満たすプロ
ーブとして、例えば、先に挙げたDNA等を用いること
ができる。
【0056】
【実施例】以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的
に説明する。なお、ここに示す実施例は、本発明の好ま
しい実施の形態の一例ではあるものの、本発明は、これ
ら実施例により限定されるものではない。
【0057】先ず、吐出口が二次元アレイ状に構成され
た熱エネルギーを吐出エネルギーとして用いる方式を採
用した液体吐出装置について説明する。
【0058】(プローブ溶液吐出用液体吐出装置の構
造) (実施例1)図1に本発明に用い得る液体吐出装置の吐
出口形成面の構造を示すための模式的平面図を示す。こ
の液体吐出装置は、シリコンからなる基板に多数の液体
吐出部を配列したチップからなる構造を有する。後に詳
しく説明するが、本実施例ではこのチップを複数個用い
て1つの液体吐出装置とし、これをプローブ・アレイの
製造装置の液体吐出手段(液体吐出ユニット)として用
いる。なお、この液体吐出装置の機能の大部分はチップ
の構成に依存する。
【0059】図1は、本発明に用いる液体吐出装置の基
本的な構成を説明するためのもので、便宜上各液体吐出
部が1つの吐出口(ノズル)を有する構成を示してい
る。本発明に用いる液体吐出装置では、図2のノズル近
傍部の拡大図(図1中の丸印で囲んだ部分に相当する)
に示すような、1つの液体収納部(リザーバー)に対し
て、1つのヒータ素子と1つのノズルからなる組を2組
以上(本実施例では10組)配置した構成が好適に利用
される。
【0060】図1、図2において、1はシリコン基板、
2はTaN、TaSiN、TaAl等から成るヒータ、
3はアルミニウム等からなる第一の配線、4はアルミニ
ウム等からなる第二の配線、5はヘッドと外部との電気
的接触をとるためのパッド、6はノズル、7は流路、8
は基板裏面から基板表面に液体を供給する供給口であ
る。供給口は後述するが、シリコンの異方性エッチング
により作成するが、その際基板1の裏面では、その縁部
が9(点線部)で示した部分まで広がった四角錐状の開
口部を有している。また、該供給口は液体のリザーバー
を兼ねている。この構成では、供給口、流路(後述する
図3、4参照)、ヒータ素子及びノズルが個々に独立し
た液体吐出部を形成している。
【0061】図1で白抜き矢印で示した方向は、後に詳
しく説明するが、液体吐出装置を液体吐出ユニットとし
てプローブ・アレイ調製装置に装着した際にこのユニッ
トが移動する方向であり、以後、主走査方向と記述す
る。
【0062】図2に示す様に、本実施例では一つの供給
口に対して10個のノズルおよびヒーターが対応してい
る。同一液体吐出部内で隣り合う一組のノズルおよびヒ
ーターからなる部分は隔壁(図示せず)で分離されてお
り42.5μm(600dpi)の間隔で並んでいる。それぞれの
ヒーターは互いに異なる一組の第一の配線および第二の
配線と結合しており、計10組の配線が基板端の10組のパ
ッド(省略)を介して外部と接続している。この配線に
よって同一液体吐出部内に設けられた複数のノズルがそ
れぞれ独立して液体を吐出することが可能となる。
【0063】チップは、図1において、横方向に、隣接
ノズル群間隔が1.27mm(20dpi相当)に配列され
た8個のノズル例を、縦方向に5列、100dpiのオフ
セット(横方向におけるズレ)で配列された構成を有し
ている。また、隣接するノズル列の間隔も100dpiに
設定されている。
【0064】図2に示す構成における各ノズル間隔、各
ノズル列間隔も、図1の態様に準じて設定されている。
なお、図2の構成をとる場合における図1の上下方向で
隣接するノズル列間の間隔は、例えば同一液体吐出部内
で上下方向に近接して設けられた10個のノズルの中心
位置を基準として設定することができる。
【0065】図2の構成では、横方向のノズル列に含ま
れる80個のヒータは、10組の、第一の配線および第二の
配線によって接続されている。チップの長辺方向の長さ
は約12mm、短辺方向の長さは約9mmである。1つの
チップでのノズル数は400個である。図3は、図1のA
―A’線での断面図を示す。図4は、図1のB―B’線
での断面図を示す。図5は、半導体チップの裏面の模式
図を示す(図1に示された半導体チップの裏面に相
当)。
【0066】図3、図4において図1、図2で用いたも
のと同一番号のものは同一の物を示す。また、10は絶
縁膜、11は保護膜、12はノズル材、13はTa等か
ら成る耐キャビテーション膜である。絶縁膜10は、シ
リコン基板を熱酸化して作成される熱酸化膜、CVDに
より作成される、酸化膜、窒化膜、等いずれの膜でもよ
い。保護膜11は、CVDにより作成される、酸化膜、
窒化膜、等いずれの膜でもよい。ノズル6、流路7、を
形成しているノズル材12の形成は、あらかじめノズル
および流路を有したノズル材を半導体基板に貼り付けて
も、フォトリソグラフィー技術を用い半導体プロセスの
延長で形成しても良い。
【0067】特に、チップがより大きな面積で作製され
る必要がある場合、ノズルおよび流路を有したノズル材
を基板に貼り付ける方法では、ノズル材が大面積になる
ため貼り付け時のしわ、そり、位置ズレなどの問題があ
り、チップの作製が困難となるため、フォトリソグラフ
ィー技術を用いて基板上にノズル材料を積層する製法が
望まれる。フォトリソグラフィーを用いてノズルを形成
する方法としては、例えば、特開昭62-264957号に記載
される方法がある。
【0068】供給口7はTMAH溶液を用いたシリコン
の異方性エッチングにより作製され、図3に示したよう
に、基板表面に対して、54.7°の角度で開口す
る。」該供給口の形状は図6に示したように四角錐台の
形状になる。今回の試作では、基板表面での供給口の幅
を図3に示したように100μmと設定し、またシリコン基
板の1の厚さは625μmであるため、供給口の裏面での
幅は約1mmとなる。また、図2から解るように供給口
の長辺は42μm×10=420μmである。
【0069】従来のプリンティング用のインクジェット
ヘッドでは基板裏面に接続されたインクタンクとの接続
部からヒータ部へインクを導くことが供給口の主目的で
あるが、前記したようにプローブ・アレイ調製用の装置
では、液体の吐出量の総量が少ないため供給口を液体の
リザーバーとして用いることが可能である。
【0070】前記寸法の供給口では、体積は約0.23
μlであり、本実施例では10個のノズルからの吐出量の
合計は24plであるので、この体積は約9600枚のプロー
ブ・アレイを作製できる量に相当する。
【0071】チップを裏面から見た場合、供給口は図5
に示した形状になる。液体は基板裏面から図4に示した
ように、供給口8から基板表面に導かれ、流路7を通っ
てノズル6まで導かれる。すなわち、供給口(液体リザ
ーバー)、流路及びノズルによって基板を貫通する経路
が形成されている。
【0072】ヒータの両端に電圧が印可されると、ヒー
タ近傍の液体が過熱され膜発泡を起こし,液体は図7に
示したように吐出する。ノズルから吐出される液体の量
は2.4plとした。この液滴量を得るためヒーターは24
μm×24μm、ノズルは11μmφとした。
【0073】安定に液体を吐出させるためには、安定に
膜発泡を起こすことが必須である。安定な膜発泡を起こ
すためには、ヒータに0.1ないし5μsの電圧パルスが
印可されることが望ましい。また、プローブ・アレイに
含まれる各プローブの量を精密にコントロールするため
には、ノズルから吐出される液滴量が安定である、特開
平4-10940号公報や特開平4-10941号公報、特開平4-1094
2号公報に記載されているような、ヒーターにより過熱
されることで発生した気泡が外気と連通する方式が好ま
しい。
【0074】更に、図8にチップを複数並列した液体吐
出装置の模式図を示す。図8において、21はチップを
25枚並列配置した部分を有する液体吐出装置であり、
22は図1ないし図7で説明したチップ、23はノズル
である。図8中チップ22は、論点を明確にするためノ
ズル23のみを示している。この液体吐出装置では、チ
ップ22は5行5列に配置され、1チップで80個のノズ
ルを有しているため、1つのユニットが合計2000個のノ
ズルを有する。図8に示すチップとして、図2に示す構
成のものを用いることで本発明にかかる液体吐出装置を
構成することができる。
【0075】図9に、複数のチップを並列配置する場合
の構成の一例について示す。図9に示すように、アルミ
ナ、樹脂等からなり、開口部25が形成された窓枠状の
固定用の枠体24を用い、各開口部にチップ22を勘合
挿入して固定することで多数のチップを並列した液体吐
出装置を得ることができる。各チップのパッドは、枠体
24に配置されたフレキシブル配線基板(不図示)によ
り電気的にヘッド外部と接続されている。溶液は、供給
口8に注入される。
【0076】(プローブ・アレイ調製装置の構造)図1
0に、液体吐出装置を液体吐出ユニットとして用いたプ
ローブ・アレイ調製装置の一例の主要部の構造の模式図
を示す。図10中、22は、液体吐出ユニット31はそ
の移動を略平行に案内するシャフト、32はプローブ・
アレイ調製用の担体が固定されるステージ、33はプロ
ーブ・アレイが形成される担体(本例ではガラス基板を
使用)である。
【0077】ユニットは図10中X方向を移動し、ステ
ージはY方向を移動し、これらの動作によってユニット
はステージに対して相対的に2次元状に移動できる。図
10では複数のプローブ・アレイとなるガラス基板を固
定し、プローブを付与する場合の構造を示したが、1枚
の大きなガラス等の担体の各ウエルに所定のプローブ溶
液を供給してプローブ・アレイを調製し、その後、該担
体を切断して各プローブ・アレイを得ても良い。
【0078】(液体吐出ユニットを用いたプローブ溶液
の付与法)次にプローブ・アレイ調製法に関して説明す
る。図11にプローブ・アレイ調製装置を用いたプロー
ブ溶液の付与法を説明するための模式図を示す。図11
中41ないし42はチップ、33はプローブ・アレイ調
製用のガラスなどからなる担体である。図11では、プ
ローブ・アレイが形成される表面を表向きとして描いて
いるので、チップのノズルの配置及び、主走査方向は、
実際には図8で示した物とは左右が逆になる。
【0079】図11中41は、図8中「1」で示したチ
ップであり、42は図8中「2」で示したチップであ
る。各チップは、図1に示したように、横方向に配列さ
れた8つの液体吐出部からのノズル列が、縦方向に6列
並列にオフセットされて(所定のズレを持って)配置さ
れた構成を有する。1つのノズル例内の各ヒータは図2
に示したように、1対の第一及び第二のアルミ配線に独
立して接続されているため、これらの配線に接続されて
いる1組のパッド間に電圧パルスを印可することによ
り、各ノズルからプローブ溶液を吐出させることができ
る。なお、図2の構成では、各液体吐出部内に設けられ
た第1の吐出口が同時に作動し、第2ノズル〜第10ノ
ズルが同時に順次作動するようになっている。
【0080】図8ないし図11で、チップに隣接して表
示されている1、2、3、4、5の数字およびA、B、
C、D、E,F、G、Hはノズル列の区別を示すために
表示された物である。図2では同一液体吐出部に10個
のノズルが設けられているが、図11では同一液体吐出
部内に配置されたノズルの個数を簡略化して三つにして
図示している。
【0081】ます初めに、第一のチップのノズル列1の
先頭のノズルによって、図11中、1A、1B、1C、
1D、1E、1F、1G、1Hで示された8つのウエル
中にプローブ溶液が供給される。次に、ヘッドが主走査
方向に0.04mm(600dpi相当)移動したタイミングで第一
のノズル列1の第二のノズルから吐出を行い、先に形成
した1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H
で示された8つのウエル内に重ねて同一のプローブ溶液
が供給される。第一のノズルと第二のノズルの吐出間隔
は、ヘッドの移動速度を例えば毎秒25インチとすると、
1/25/600秒(67μs)とすることにより、第一のノズ
ルからの液体と、第二のノズルからの液体を同一ノズル
内に供給することが可能となる。このように次々に第三
から第十番目のノズルの吐出を繰り返すことにより、前
記の8つのウエルのそれぞれに重複して同一プローブ溶
液が供給される。次に、ヘッドが主走査方向に1.27mm
(20dpi相当)移動したタイミングで第1のチップの
第二のノズル列2の10個のノズルから順次、吐出を行
い、図11中、2A、2B、2C、2D、2E、2F、
2G、2Hで示された8つのウエルに各プローブ溶液を
供給する。引き続き同様な操作で、第3ないし第5のノ
ズル列3〜5から順次吐出を行い、プローブ・アレイ3
3の、第1列のプローブ群、40個が(図11中黒丸で
示す)が配置される。
【0082】この時、隣接したプローブの中心―中心間
の距離は254μm(100dpi相当)である。つま
り、第一のチップから吐出される40種類の液体は、プ
ローブ・アレイ中の第一列のプローブ群を形成する。こ
の様子を図11中43で模式的に示した。(40スポッ
ト中、1Aないし5Aの5スポットのみ示してある。)
【0083】次に、同様な操作で第二のチップから液体
の吐出を行い、プローブ・アレイの第二列(図11中白
丸で示した)のプローブを配置した。この際、第一のチ
ップから作製される、第一列のプローブ群と、第二のチ
ップから作製される、第二列のプローブ群と、の中心―
中心間の距離は254μm(100dpi相当)となるよう
に、駆動タイミングを調節した。
【0084】更に、同様な操作により第3ないし第25
のチップから液滴の吐出を行い、プローブ・アレイを作
製した。(図11中、点線で囲まれたウエル)
【0085】以上説明したように、図8に示したヘッド
から、100dpiの40行、25列のプローブ・アレイ
を作製できる。
【0086】さらに、一つのスポットを10個の液滴で
形成しているため、例え1個のノズルがゴミつまりやヒ
ーター断線等により故障しても、スポットを形成するプ
ローブ量は10%減少するだけでプローブ・アレイの品質
としては問題を生じない。また、同様な構成により、よ
り多くのプローブ数を必要とするプローブ・アレイの作
製も可能であることが上記説明により容易に理解でき
る。
【0087】ヘッドを構成するチップとして、シリコン
を用いる場合に関してこれまで説明してきたが、上記し
たように、本発明ではヒータとヒータに接続された配線
からなる簡便な構造であるため、シリコン基板を用いる
必要はなく、ガラス基板等、より安価な基板を用いてヘ
ッドの作製ができる実施例では、400個のノズルを有す
半導体チップを5行5列に配置してヘッドを作成する場
合について述べたが、ノズル数や、配置の配列は実施例
に示した構成に限られることは、自由に選ぶことができ
る。
【0088】実施例で説明した、半導体チップを用い、
1行25列のような一次元配列のヘッドを作製した場合、
主走査のみでプローブ・アレイが作成できるため、プロ
ーブ・アレイ調製装置の構造は、図11で示した構造よ
り、より簡便な構造をとることができる。
【0089】(実施例2)図12に本発明による液体吐
出装置を構成するチップの他の例の模式図を示す。図1
2はノズル近傍の拡大図であり、図2に対応するもので
あり、同じ番号は同じ部品を示す。
【0090】図12に示す様に、本実施例では一つの供
給口に対して10個のノズルおよびヒーターが、供給口8
を挟んで両側に各5個ずつ対応している。隣り合うノズ
ルおよびヒーターは隔壁(図示せず)で分離されており
42.5μm(600dpi)の間隔で並んでいる。流路の中心軸
を挟んで配置された2列のノズル列の間隔は254μm(6
/600dpi)である。それぞれのヒーターは互いに異なる
一組の第一の配線および第二の配線と結合しており、計
10組の配線が基板端の10組のパッド(省略)を介して外
部と接続している。各液体吐出部の配列は、図1の構成
に準じて行われる。すなわち、同一液体吐出部内に設け
られた10個のノズル群は、これらの中心位置を基準と
して、図1における横方向に、隣接するノズル群間隔が
1.27mm(20dpi相当)に配列された8個のノズル群か
らなる列を形成している。また、図1において縦方向に
並列される5列のノズル群列は、100dpiオフセット
(横方向のズレで)されて配列されている。また、上下
で隣接するノズル群列の間隔も、各ノズル群の中心を基
準として100dpiに設定されている。
【0091】供給口の形状は図6に示したように四角錐
台の形状になる。今回の試作では、基板表面での供給口
の幅を図3に示したように100μmと設定し、またシリコ
ン基板の1の厚さは625μmであるため、供給口の裏面
での幅は約1mmとなる。また、図2から解るように供
給口の長辺は42μm×5=210μmとなり、第一の実施例
に比べ短くなる。結果として、チップの長辺方向の長さ
は約12mm、短辺方向の長さは約8mmと小型化でき
る。
【0092】(液体吐出装置を用いたプローブ溶液の付
与法)このヘッドおよび装置を用いた場合、まず、同一
液体吐出部内の2列のノズル列の片側を用いて、実施例
1のように1000個のスポットを形成した後、ヘッドおよ
び基板を原点に戻した後、副走査方向に254μmオフセッ
トし、残りの列を使用して既に形成されているスポット
の上にさらにプローブ溶液を吐出し、所望のプローブ量
を得る。この方法によれば、最初の列の吐出から、残り
の列の吐出までの時間間隔が、主走査速度を毎秒25イン
チとしても2.5インチ×5往復で1秒となり、先の吐出
による溶液は基板に吸収されているため、後の吐出によ
るあふれがおきず、比較的多い吐出量を用いても形成さ
れるスポットの径は小さく維持できる。
【0093】(実施例3)図13に本発明による液体噴
射装置を構成する半導体チップの他の例の模式図を示
す。図13はノズル近傍の拡大図であり、図2に対応す
るものであり、同じ番号は同じ部品を示す。
【0094】図13に示す様に、本実施例では一つの供
給口に対して10個のノズルおよびヒーターが、供給口の
中心とする円周上に配置されている。すなわち、供給口
から基板に対して垂直に伸びる液路の中心軸を中心とす
る円周上に配置されている。隣り合う一対のノズルおよ
びヒーターを含む部分は隔壁(図示せず)で分離されて
おり、85μm(300dpi)の間隔で並んでいる。吐出口の
配列軌道をなす円の直径は85μm×9/π=0.24mmで
ある。それぞれのヒーターは互いに異なる一組の第一の
配線および第二の配線と結合しており、計10組の配線が
基板端の10組のパッド(省略)を介して外部と接続して
いる。チップは図1に示したように、図1において横方
向に、隣接ノズル群間隔が1.27mm(20dpi相当)に
配列された8個のノズル群からなる列を形成し、この列
が5列縦方向に、100dpiオフセット(横方向のズ
レ)で並列されている。また、上下方向で隣接するノズ
ル群列間隔も各ノズル群の中心を基準として100dpi
に設定されている。
【0095】供給口の形状は図6に示したように四角錐
台の形状になる。今回の試作では、基板表面での供給口
の幅を図3に示したように100μmと設定し、またシリコ
ン基板の1の厚さは625μmであるため、供給口の裏面
での幅は約1mmとなる。また、図13から解るように
供給口は100μm×100μmとなり、第二の実施例に比べさ
らに短くなる。結果として、チップの長辺方向の長さは
約12mm、短辺方向の長さは約7mmと小型化できる。
【0096】また、この配列においてはノズル間隔が85
μmと大きいため、より大きいヒーターおよび吐出口を
配置することが可能であり、比較的大きい吐出量を得る
ことが可能である。さらに、円周の径を大きくすれば、
さらに多くのノズルを円周上に配置可能であり、プロー
ブ量の安定性をさらに向上させることができる。円周を
大きくした場合、供給口と吐出口の距離が遠くなるた
め、ノズルの流抵抗が増加し、応答周波数が低下する
が、前述のように、一枚のプローブ・アレイに対して1
ノズルあたり1度しか吐出しないため、問題にならな
い。
【0097】(液体吐出装置を用いたプローブ溶液の付
与法)このヘッドおよび装置を用いた場合、まず、主走
査および副走査を同時に行い、基板とヘッド間の相対運
動において、ノズル配置と同じ円運動を行わせることに
より、円周上のノズルから順次吐出されるプローブ溶液
が基板上の同一地点に着弾するように駆動する。この
後、主走査方向に1.27mm移動して円運動を繰り返すこと
により、プローブ・アレイが完成する。
【0098】実施例4 (液体吐出装置を用いたDNAアレイの調製)25.4
mm×25.4mm×0.5mmtの溶融石英基板を1
%の超音波洗剤GP−III(ブランソン)中で20分間
超音波洗浄した後、水道水で超音波洗浄、流水洗浄を適
宜行った。次に、80℃の1N NaCl中に20分間
浸漬し、流水(水道水)洗浄、超純水超音波洗浄、流水
(超純水)洗浄した。
【0099】次に、カーボンブラックを含有したDEE
P−UVレジスト(新日鉄化学株式会社 ブラックマト
リクス用ネガ型レジスト BK−739P)を、スピン
コーターで膜厚5μmになるように塗布した。この基板
をホットプレートで80℃5分間加熱し硬化させた。
【0100】DEEP−UV露光装置を使用し、1cm
×1cmの領域に、50μmのマトリクスパターン幅、
50μm×50μmの正方形でマトリクスパターン間隔
形状に対応する所定のパターンマスクを用いてプロミキ
シティー露光した。ついで、無機アルカリ水溶液の現像
で、スピン現像機を用いて現像し、さらに、純水でリン
ス処理し、現像液を完全に除去し、その後、スピン乾燥
機を用いて簡単に乾燥した後、クリーンオーブン中で、
180℃30分間加熱し、レジストを本硬化させた、所
定のブラックマトリクスパターン間隔(ウエル)を25
00個形成した。なお、各ウエルの容積は12.5pl
と計算される。
【0101】ついで、減圧蒸留して精製した、下記式
(I):
【0102】
【化1】
【0103】のアミノシランカップリング剤(KBM−
603:化合物I 信越化学工業株式会社製)を1%の
濃度で含む水溶液を室温下、1時間攪拌し、メトキシ基
部分を加水分解させた。次に、上記基板を洗浄後速やか
に前記シランカップリング剤水溶液に浸し、室温下、1
時間浸漬した。その後、流水(超純水)洗浄し、窒素ガ
スを吹きつけて乾燥させ、次いで、120℃のオーブン
中で1時間加熱定着させた。
【0104】冷却後、下記式(II):
【0105】
【化2】
【0106】のN−(6−マレイミドカプロキシ)スク
シイミド(EMCS;化合物II)の0.3%溶液(エタ
ノール:ジメチルスルホキシド=1:1)に基板を室温
下、2時間浸漬し、 EMCSをアミノシランカップリ
ング剤のアミノ基に反応させた。反応終了後、エタノー
ル:ジメチルスルホキシド=1:1で1回、エタノール
で3回洗浄し、窒素ガスを吹きつけて乾燥させた。 5’−ATGAACCGGAGGCCCATC−3’(配列番号:1) 3’−TACTTGGCCTCCGGGTAG−5’(配列番号:2) 上記するの塩基配列に相補的な塩基配列である、の
塩基配列を有し、かつ、5’末端にリンカーを介して上
記基板表面に最終的に精製したマレイミド基と反応結合
可能なメルカプト基(SH基:スルフィドリル基ともい
う)を有するオリゴヌクレオチド(化合物III ベック
ス株式会社)を本実施例の検証に用いるプローブに利用
した。式(III):
【0107】
【化3】
【0108】のメルカプト基を導入したオリゴヌクレオ
チド(化合物III)を、ZJBヘッドで吐出するための
溶媒、すなわち、グリセリン7.5wt%、尿素7.5
wt%、チオジグリコール7.5wt%、一般式(I
V):
【0109】
【化4】
【0110】で示されるアセチレンアルコール(例え
ば、商品名:アセチレノールEH 川研ファインケミカ
ル株式会社)1wt%を含む水溶液に、吸光度が1.0
になるように溶解させた。このオリゴヌクレオチド溶液
を、実施例1で作製した液体噴射装置の溶液リザーバー
10個所にマイクロディスペンサーを用いて供給した。
なお、最終的なオリゴヌクレオチド溶液の充填を行う前
に、作製した液体吐出装置に対して、溶媒と馴染ませる
目的で、各溶液リザーバー、ノズルは予め上記組成の溶
媒による洗浄、ならびに必要に応じてオリゴヌクレオチ
ド溶液で洗浄を行い、真空吸引による液体の除去を適宜
繰り返した。
【0111】その後、上記のマレイミド基を導入する処
理を施した基板上にオリゴヌクレオチド溶液を10個の
リザーバーからこれらにつながる各10個のノズルから
基板上の10個のウエルにそれぞれ2.4plの液滴が
10ずつ供給され得べく吐出した。
【0112】また、上記組成の溶媒は保湿性が高く、溶
液リザーバー内における乾燥・濃縮ならびに、基板上に
付与したオリゴヌクレオチド溶液の液滴が、次の工程に
おいて、基板表面との反応による固定をなす前に、乾燥
・固化を起こすことを防ぐことができる。
【0113】この式(III)のオリゴヌクレオチド(化
合物III)溶液を付与した基板を、湿度100%の保湿
チヤンバー内に室温下で1時間保持し、オリゴヌクレオ
チドのメルカプト基と基板上のマレイミド基との反応を
行わせた。
【0114】取り出した後、未反応のオリゴヌクレオチ
ドを除去するため、基板を流水(超純水)中で約30秒
洗浄し、この50mMリン酸緩衝液中で保存し、DNA
アレイとした。
【0115】(ハイブリダイゼーション反応によるDN
Aプローブの評価)モデル標的DNAとして、式
(V):
【0116】
【化5】
【0117】のDNA分子、すなわち、上記の配列を
有し、蛍光標識としてテトラメチルローダミンを5’末
端に結合した化合物V(べックス株式会社より購入)を
用いて、調製された基板上のプローブとのハイブリダイ
ゼーション反応を行った。
【0118】このハイブリダイゼーション反応は、化合
物Vを5nMの濃度で含むリン酸緩衝液(10mMリン
酸緩衝液pH=7.0、50mMのNaClを含む)2
mlとを用い、ハイブリパック中で行った。基板をモデ
ル標的DNA溶液とともにハイブリパック中に封じ、恒
温槽内で70℃まで加熱し、その後、50℃まで冷却
し、その状態で10時間放置した。
【0119】次に、DNAアレイをハイブリパックから
取り出し、未反応の標的DNAを除去する目的で、ハイ
ブリダイゼーション用の緩衝液で洗浄した。洗浄後、緩
衝液で覆われた状態でスライドグラス上に基板を置き、
カバーガラスで覆って、蛍光標識からの蛍光を観察し
た。この観察に使用した蛍光顕微鏡は、ECLIPSE
E800(株式会社ニコン)に20倍対物レンズ(プラ
ンアポクロマート)と蛍光フイルタ(Y−2E/C)を
セットしたものである。また、蛍光顕微鏡で観測される
画像は、イメージインテンシファイヤー付きCCDカメ
ラ(C2400−87 浜松ホトニクス株式会社)と画
像処理装置(Argus50 浜松ホトニクス株式会
社)を用いて、採り込みを行った。
【0120】収録された画像に基づき、基板上に二次元
アレイ状に形成した、化合物IIIを固定したウエル全て
について、蛍光が観察された。それらの蛍光強度はプラ
スマイナス10%以内であった。
【0121】
【発明の効果】以上説明したように、プローブ・アレイ
の調製において、ノズル群を二次元に配置した液体噴射
装置を用い、さらに1種のプローブ溶液を複数のノズル
から吐出して基板上に一つのスポットを形成することに
より、液滴噴射ノズルの不整な吐出による影響を少なく
できる。さらに、ノズルの配置方法により、基板を大き
くせずにより多くのノズルを配置することもできる。ま
た、液滴噴射方式としてバブルジェット方式を用いるこ
とにより、高密度多ノズルのノズル配置が可能である。
さらに、気泡が外気と連通する吐出方式により、より安
定な液滴量を得ることができる。
【0122】
【配列表】SEQUENCE LISTING <110>Canon INC. <120>A device preparing a probe array, a machine u
sing the device and amethod for preparing a probe
array <130>4417001 <160>2 <210>1 <211>18 <212>DNA <213>Artificial Sequence <220> <223>Base Oligonucleotide for preparation of a pro
be <400>1 atgaaccgga ggcccatc 18 <210>2 <211>18 <212>DNA <213>Artificial Sequence <220> <223>Oligonucleotide probe for hybridization assay <400>2 tacttggcct ccgggtag
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による液体吐出装置を構成する半導体チ
ップの模式図である。
【図2】図1においてのノズル近傍部の拡大図である。
【図3】図1のA―A' 線での断面図である。
【図4】図1のB―B' 線での断面図である。
【図5】液体吐出装置を構成する半導体チップの裏面の
模式図(図1に示された半導体チップの裏面に相当)で
ある。
【図6】液体吐出装置を構成する半導体チップの液体供
給口(リザーバー)の形状を説明するための模式図であ
る。
【図7】液体吐出装置での液体の吐出を説明するための
模式図である。
【図8】液体吐出装置の模式図である。
【図9】液体吐出装置の模式図である。
【図10】プローブ・アレイ調製装置の構造の模式図で
ある。
【図11】プローブ・アレイ調製方法の模式図である。
【図12】液体吐出装置の第2の実施例の模式図であ
る。
【図13】液体吐出装置の第3の実施例の模式図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 37/00 102 C12N 15/00 ZNAF Fターム(参考) 2C056 FA03 FB01 HA05 HA16 2C057 AF99 AG14 AG16 AG46 AG91 AH20 AN01 BA04 BA13 2G058 AA09 EB00 ED12 ED20 4B024 AA11 AA19 CA01 CA09 CA11 HA11 HA12 4B029 AA07 AA23 BB15 BB20 CC03 CC08 FA12 FA15

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プローブを含むプローブ溶液を液体吐出
    装置から担体上に吐出することで複数種のプローブが担
    体上に配置されたプローブ担体を製造する方法であっ
    て、 前記液体吐出装置を、前記プローブの配置位置にそれぞ
    れ対応する凹部を表面に有する前記担体に対して相対的
    に移動させながら、該液体吐出装置から前記配置位置に
    関する情報に基づいて前記複数種のプローブの溶液の各
    々を吐出させて該凹部内に供給し固定する工程を有し、 前記液体吐出装置は、プローブ溶液を収納する液体収納
    部と、該液体収納部対して共通に設けられた複数の吐出
    口からなる吐出口群と、該液体収納部とこれらの複数の
    吐出口を共通に連通させる液路と、これらの複数の吐出
    口の各々に対応して設けられ、これら複数の吐出口の各
    々による独立したプローブ溶液の吐出を可能とする吐出
    エネルギー発生手段と、を有する液体吐出部を、少なく
    とも前記複数種のプローブ溶液に対応する個数備えた構
    成を備え、 かつ前記プローブ溶液の前記凹部内への供給が、前記液
    体収納部に対して共通して設けられた吐出口群を前記担
    体に対して相対的に移動させ、該吐出口群を構成する複
    数の吐出口から同一種のプローブ溶液が前記担体の同一
    凹部内に供給されるようにこれらの吐出口に対応する吐
    出エネルギー発生手段を駆動させる工程を含むことを特
    徴とするプローブ担体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記吐出口群を形成する吐出口の数が1
    0以上である請求項1に記載のプローブ担体の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 各吐出口から1度に吐出されるプローブ
    溶液の体積は、0.5pl〜50plの範囲内にある請
    求項1または2に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記吐出口の全てが、基板上の吐出口形
    成面に1次元または2次元状に配列された吐出口群を形
    成している請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記流路が、前記吐出口形成面に対して
    垂直方向に直線状に伸びており、かつ前記1つの液体収
    納部に共通して連通する複数個の吐出口が該流路の中心
    軸と該吐出口形成面との交点を中心に等距離に円弧上に
    配列されている請求項4に記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記液体吐出エネルギー発生素子が、熱
    エネルギーを発生し、前記プローブ溶液を加熱して膜沸
    騰させ、その圧力で前記吐出口から液体を吐出させるヒ
    ータ素子である請求項1〜5のいずれかに記載の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 前記液体吐出部の各々が、基板の表側の
    面に設けられたヒータ素子と、該ヒータ素子に対応する
    位置に設けられたプローブ溶液の流路と、該流路と連通
    し該流路から供給されたプローブ溶液を該ヒータ素子の
    発熱により吐出するための吐出口と、該基板の裏面側に
    設けられ、該流路と連通した液体収納部と、を有し、こ
    れらの吐出口、流路及び液体収納部が前記基板を貫通す
    る経路を形成したチップ中に構成され、 該ヒータ素子は互いに絶縁された第一と第二の配線にそ
    の両端が接続され、これらの第一と第二の配線を介して
    印可された電気信号により駆動される請求項6に記載の
    製造方法。
  8. 【請求項8】 前記液体吐出部は、前記ヒータ素子の駆
    動により前記吐出口からプローブ溶液を吐出させる際に
    前記流路中のプローブ溶液に気泡が発生し、該気泡が該
    吐出口を介して外気と連通する構造を有する請求項7に
    記載の製造方法。
  9. 【請求項9】 プローブ溶液を吐出する液体吐出装置
    と、表面に凹部が形成された担体を保持し、該液体吐出
    装置に対して該担体を相対的に移動させるための担体の
    保持手段と、を有するプローブ担体の製造装置であっ
    て、 前記液体吐出装置は、 プローブ溶液を収納する液体収納部と、 該液体収納部から供給されたプローブ溶液を吐出するた
    めの複数の吐出口と、 該液体収納部に対してこれらの複数の吐出口を共通して
    連通させる液路と、 これらの複数の吐出口の各々に対応して設けられ、これ
    ら複数の吐出口の各々による独立したプローブ溶液の吐
    出を可能とする吐出エネルギー発生手段と、を備え 前記吐出エネルギー発生手段が駆動されて、前記吐出口
    群を構成する複数の吐出口から同一種のプローブ溶液が
    前記担体の同一凹部内に供給されるを有することを特徴
    とするプローブ担体の製造装置。
  10. 【請求項10】 前記吐出口群を形成する吐出口の数が
    10以上である請求項9に記載の製造装置。
  11. 【請求項11】 各吐出口から1度に吐出されるプロー
    ブ溶液の体積は、0.5pl〜50plの範囲内にある
    請求項9または10に記載の製造装置。
  12. 【請求項12】 前記吐出口の全てが、基板上の吐出口
    形成面に1次元または2次元状に配列された吐出口群を
    形成している請求項9〜11のいずれかに記載の製造装
    置。
  13. 【請求項13】 前記流路が、前記吐出口形成面に対し
    て垂直方向に直線状に伸びており、かつ前記1つの液体
    収納部に共通して連通する複数個の吐出口が該流路の中
    心軸と該吐出口形成面との交点を中心に等距離に円弧上
    に配列されている請求項12に記載の製造装置。
  14. 【請求項14】 前記液体吐出エネルギー発生素子が、
    熱エネルギーを発生し、前記プローブ溶液を加熱して膜
    沸騰させ、その圧力で前記吐出口から液体を吐出させる
    ヒータ素子である請求項9〜13のいずれかに記載の製
    造装置。
  15. 【請求項15】 前記液体吐出部の各々が、基板の表側
    の面に設けられたヒータ素子と、該ヒータ素子に対応す
    る位置に設けられたプローブ溶液の流路と、該流路と連
    通し該流路から供給されたプローブ溶液を該ヒータ素子
    の発熱により吐出するための吐出口と、該基板の裏面側
    に設けられ、該流路と連通した液体収納部と、を有し、
    これらの吐出口、流路及び液体収納部が前記基板を貫通
    する経路を形成したチップ中に構成され、 該ヒータ素子は互いに絶縁された第一と第二の配線にそ
    の両端が接続され、これらの第一と第二の配線を介して
    印可された電気信号により駆動される請求項14に記載
    の製造装置。
  16. 【請求項16】 前記液体吐出部は、前記ヒータ素子の
    駆動により前記吐出口からプローブ溶液を吐出させる際
    に前記流路中のプローブ溶液に気泡が発生し、該気泡が
    該吐出口を介して外気と連通する構造を有する請求項1
    5に記載の製造装置。
  17. 【請求項17】 前記プローブが標的物質を特異的に認
    識する物質である請求項1〜8のいずれかに記載の製造
    方法。
  18. 【請求項18】 前記プローブが標的物質を特異的に認
    識する物質である請求項9〜16のいずれかに記載のプ
    ローブ担体の製造装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015045585A (ja) * 2013-08-28 2015-03-12 国立大学法人埼玉大学 レプリカマイクロアレイの作成方法及びその方法によって作製された対象物質含有オリジナルマイクロアレイ
JP2018048927A (ja) * 2016-09-23 2018-03-29 東芝テック株式会社 液滴噴射装置

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