JP2004354140A - バイオチップとその反応方法及び反応装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ウェル内に不純物が付着し易い担体を形成する手間がなく、取扱がより簡単で、DNA増幅を行うLAMP法にも適用できるようにする。
【解決手段】サンプル液に接触して反応するプローブ分子が固定されたバイオチップにおいて、ベースプレート(2)に細管状又は凹孔状のウェル(3…)をマトリクス状に配列形成し、室温では固化し、予め設定された反応温度では溶融するホットメルト型凝固剤と前記プローブ分子とを混合した反応剤(4)をウェル内面に付着させた。
【選択図】図1
【解決手段】サンプル液に接触して反応するプローブ分子が固定されたバイオチップにおいて、ベースプレート(2)に細管状又は凹孔状のウェル(3…)をマトリクス状に配列形成し、室温では固化し、予め設定された反応温度では溶融するホットメルト型凝固剤と前記プローブ分子とを混合した反応剤(4)をウェル内面に付着させた。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、サンプル液に接触して反応するプローブ分子が固定されたバイオチップ、それを用いた反応方法及びそれを用いる反応装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
生化学、医学、薬学、食品分野等において、遺伝子の変異、特に塩基配列の変異を検出するため等にDNAチップ(バイオチップ)が用いられている。
このようなDNAチップとして、通常、シリコンもしくはガラス基板上にフォトリソグラフィー技術を用いて、1cm角あたり1万以上のオリゴDNA断片(DNAプローブ)を作り込んだものが知られている。
【0003】しかしながら、フォトリソグラフィーを用いてDNAチップを形成する場合、多数のフォトマスクを必要とし、かつ、光リソグラフィー工程、カップリング工程、洗浄工程を何度も繰り返さなければならないため、製造コストが嵩み、また、パターンを変えるためにはそれぞれフォトマスクを変える必要があるため、実験室レベルで必要に応じた各種デザインのDNAチップを簡単に作成することができなかった。
このため最近では、実験室レベルで必要に応じたデザインのバイオチップを簡単に作成できる技術が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2002−218974号公報
【0005】このバイオチップは、ベースプレートに配列形成された直径1mm前後の貫通孔内に、多孔質又は繊維質の担体を充填し、その担体にプローブ分子を固定化した構造となっている。
【0006】そして、前記各貫通孔ごとに所望のプローブ分子を含む液体を流せば、そのプローブ分子を担体に担持させることができる。
したがって、実験に必要なプローブ分子を任意の組合せで各担体に担持させたバイオチップを実験室レベルで簡単かつ必要に応じて製造することができ、また、各貫通孔同士が連通するように基板を重ね合わせて液体を流すだけで同じデザインのバイオチップを複数製造することも簡単にできる。
【0007】そして、このように製造されたバイオチップを、サンプル流路が形成されたセル内に、その流路を塞ぐようにセットし、バイオチップの上流側に蛍光標識入のサンプル液を満たした後、下流側から吸引することにより、サンプル液と各貫通孔内のプローブ分子とを反応させ、洗浄後、蛍光観察するようになっている。
【0008】これによれば、1cm角に1万以上のオリゴDNA断片(DNAプローブ)を作り込むというような高密度化はできないものの、研究内容に応じて任意のバイオチップを自由に設計・製造することができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このバイオチップは、プローブ分子を固定するために貫通孔内に多孔質又は繊維質等の担体を形成しなければならず、その作業工程が面倒であるという問題があった。
また、担体には不純物が付着し易く、一旦付着すると簡単にはこれを除去することができないので、担体にプローブ分子を固定する前であっても担体に不純物が付着しないように基板を清潔に維持管理しなければならず、その取扱が面倒であるという問題があった。
さらに、担体が充填されているため、濁度によりDNA増幅の有無を確認するLAMP法に適用することはできない。
【0010】そこで本発明は、担体を形成する手間がなく、したがって不純物も付着しにくく、取扱がより簡単で、DNA増幅を行うLAMP法にも適用できるようにすることを技術的課題としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために、本発明は、サンプル液に接触して反応するプローブ分子が固定されたバイオチップにおいて、ベースプレートに細管状又は凹孔状のウェルがマトリクス状に配列形成され、室温では固化し、予め設定された反応温度では溶融するホットメルト型凝固剤と前記プローブ分子とを混合した反応剤がウェル内面に付着されたことを特徴とする。
【0012】本発明によれば、ウェルがマトリクス状に配列形成されている場合に、室温では固化し予め設定された反応温度(例えば65℃)で溶融するアガロースなどのホットメルト型凝固剤とプローブ分子とを混合した反応剤がウェル内に付着固化されている。
【0013】アガロースは50℃前後で液状化するので、液状化したアガロースと所望のプローブ分子を混合させた反応剤を生成し、1又は所定数のウェルごとにプローブ分子が異なる反応剤を液状化させて流下又は滴下させれば、夫々の反応剤は表面張力によってウェル内に止まる。
この状態で、室温に放置すれば、アガロースが凝固するのでプローブ分子は各ウェル内面に固定されることとなる。
【0014】そして、例えば、バイオチップのウェルと対応する位置にウェルを形成したサンプルプレートを用い、そのウェル内にサンプル液を充填する。
細管状のウェルが形成されたサンプルプレートを用いる場合は、これをサンプル液に浸漬するだけで毛管現象によりサンプル液が充填されるので、サンプル液充填後、バイオチップと重ね合せれば、サンプル液と反応剤が接触する。
そして、この状態でバイオチップを反応温度まで加熱すれば、固化されていた反応剤が液状化し、ウェルにサンプル液が充填される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて具体的に説明する。
図1は本発明にかかるバイオチップを示す説明図、図2はその断面図、図3は発明にかかる反応方法を示す説明図、図4は本発明にかかる反応装置を示す説明図、図5はバイオチップの他の実施形態を示す断面図、図6は反応方法の他の実施形態を示す説明図、図7はバイオチップの他の実施形態を示す断面図、図8はその製造手順及び反応方法を示す説明図である。
【0016】本発明にかかるバイオチップ1は、図1に示すように、ベースプレート2に凹孔状のウェル3…がマトリクス状に配列形成されている。
ベースプレート2は、例えば一辺30mm、厚さ2mm程度の正方形のアルミニウム板や合成樹脂板で形成されている。
ウェル3は、直径0.5mm、深さ1mm程度に形成され、縦横1mmピッチで20×20=400個形成されている。
そして、ベースプレート2の表面2aは撥水処理が施され、ウェル3の内面3aには親水処理が施されている。
さらに、このバイオチップ1は、反応時に濁度観察を行うLAMP法などに用いる場合には、白濁を観察しやすいようにウェル3の内面3aには黒色・暗灰色などの明度の低い色が施され、蛍光標識を付したDNA等の蛍光観察を行う場合には蛍光観察しやすいように白色などの明度の高い色が施されている。
【0017】また、ウェル3には、室温では固化し、予め設定された反応温度では溶融するホットメルト型凝固剤と、サンプル液に接触して反応する任意のプローブ分子とを混合した反応剤4が固定されてなる。
このウェル3は、担体などが設けられていない凹孔であるので、不純物が付着したとしても簡単に洗浄除去することができ、反応剤4を固定するまで、ベースプレート2を厳重に管理する必要もない。
【0018】反応剤4に用いるホットメルト型凝固剤として、本例では50℃前後で溶融するアガロースが用いられている。
この反応剤4のウェル3への充填量は任意であり、図2(a)に示すようにウェル3を反応剤4で満たす場合に限らず、各ウェル内にサンプル液を溜める空間を残すように、図2(b)に示すようにウェル3の半分程度まで充填する場合や、図2(c)に示すようにウェル内面3aに塗りつけるように付着する場合でもよい。
【0019】また、図2(d)に示すように、ベースプレート2の表面2aから盛り上がった状態に固化してもよい。
この場合、例えばウェル3と同じ位置に同径の孔が穿設された厚さ0.2〜0.3mm程度のプレートやフィルム5をベースプレート2に密着状態に積層し、液状の反応剤4を充填し、室温で凝固させた後にフィルム5を剥がせば、ベースプレート2の表面から盛り上がった状態に固化される。
【0020】図3は、このバイオチップ1を用いてプローブ分子とサンプル液を接触させる反応方法を示す説明図である。
本例では、図2(a)〜(d)に示すバイオチップ1と、サンプル液が充填されるサンプルプレート6を用いる。
サンプルプレート6は、バイオチップ1のウェル3…と対応する位置に、これと同径又はやや大径の細管状のウェル7が所定ピッチでマトリクス状に配列形成されている。
このサンプルプレート6の表面6aは撥水処理が施され、各ウェル7…の内面7aは親水処理が施されている。
【0021】そして、まず、サンプルプレート6の各ウェル7にサンプル液を充填させる。
この場合、サンプルプレート6をサンプル液に浸漬すれば、毛管現象により各ウェル7にサンプル液が充填される。また、サンプルプレート6の表面には撥水処理が施され、各ウェル7…の内面には親水処理が施されているので、サンプル液からサンプルプレート6を斜めに引き上げるだけで、サンプルプレート6の表面の液滴が流下し、ウェル7のみにサンプル液が残る。
【0022】次いで、このようにサンプル液を充填したサンプルプレート6をバイオチップ1と重ね合わせて隙間なく密着させると、バイオチップ1の各ウェル3と、サンプルプレート6の各ウェル7が上下に連通する。
したがって、外部から振動などを与えれば、サンプル液がサンプルプレート6からバイオチップ1側へ移動し、ウェル3内に固定された反応剤4と接触する。
【0023】そして、この状態で、雰囲気温度を所定の反応温度(例えば65℃)まで上昇させれば、バイオチップ1の各ウェル3に固定された反応剤4のアガロースが液状化し、プローブ分子が溶け出すので、サンプル液とプローブ分子が接触されて反応が開始される。
【0024】なおこの場合に、図2(d)に示すバイオチップ1のように反応剤4をベースプレート2から盛り上げて固化させれば、サンプルプレート6を重ねたときにサンプル液と接触させやすいというメリットがある。
また、図2(b)及び(c)に示すように、反応剤4の充填量が少なく各ウェル3内にサンプル液を充填する空間が残されている場合は、サンプルプレート7を用いることなく、バイオチップ1をそのままサンプル液内に浸漬し、これを斜めに引き上げて余分な水分を落した後、これを所定の反応温度まで加熱するようにしても良い。
【0025】図4は、このようなバイオチップ1を用いてプローブ分子とサンプル液を接触させて反応させる反応装置11を示す。
この反応装置11は、バイオチップ1にサンプルプレート6を重ねた反応プレート12をセットする台座13に、必要に応じて振動を与えるバイブレータ14と反応プレート12を所定の反応温度まで加熱するヒータ15が設けられ、反応プレート12の各ウェル16内を撮像する撮像カメラ17と、その撮像光軸Xに介装されたハーフミラー18を介して各ウェル16内に照明光又は励起光を同軸落射照明する光源19と、撮像カメラ17で撮像された画像データに基づいて各ウェル16内の濁度又は蛍光度を計測する演算処理装置20とを備えている。
【0026】反応プレート12の各ウェル16…はバイオチップ1及びサンプルプレート6のウェル3及び7が上下に連通されて形成されるので、この反応プレート12を台座13にセットして、バイブレータ14により振動させると、サンプルプレート6のウェル7内のサンプル液がバイオチップ1のウェル3内に流下される。
【0027】次いで、ヒータ15により反応プレート12を反応温度の65℃に加熱すると、ウェル3内のアガロースが溶けて反応剤が液状化し、プローブ分子がその液中を浮遊してサンプル液と接触する。
これにより、サンプル液に対して反応性を有するプローブ分子を付着させたウェル16内では反応が進行し、反応性のないプローブ分子を付着させたウェル16内では反応が起きない。
【0028】この反応が、例えばLAMP法による遺伝子増幅を行う場合は、ウェル16内で遺伝子(DNA)を伸長合成させるときに、副産物としてピロリン酸マグネシウムが多量に生成されて、ウェル16内に白濁・白沈を生じる。
したがって、この白濁・白沈を観察することにより遺伝子増幅が行われたか否かを簡単に識別することができる。
本例では、光源19から照射された照明光がハーフミラー18を介して各ウェル16を照明し、全てのウェル16…が撮像カメラ17で同時に撮像される。
そして、反応が進行して遺伝子(DNA)が伸長合成されたウェル16は白濁するので、その画像データを演算処理装置20に取り込むことにより、どのウェル16でDNAが合成されたか否かを容易に知ることができる。
なお、この場合に、ウェル16の内面は黒色等の明度の低い色が施されていたほうが白濁の状況を観察しやすい。
【0029】なお、血液などのように最初から着色のあるサンプルを使用してLAMP法でDNA増幅を行う場合は、サンプル液にエチジウムブロマイドなど、DNAの塩基対の間に入り込んで蛍光発色する物質を加えておき、その蛍光発色を観察することにより反応をモニターする方法が有効である。
この場合は、光源19として紫外線レーザなどを用い、必要に応じて蛍光のみを透過するフィルタ(図示せず)を装着した撮像カメラ17で撮像する。
そして、反応が進行して遺伝子(DNA)が伸長合成されたウェル16では蛍光を発するので、その画像データを演算処理装置20に取り込むことにより、どのウェル16でDNAが合成されたか否かを容易に知ることができる。
なお、この場合に、ウェル16の内面は白色等の明度の高い色が施されていたほうが蛍光の有無を観察しやすい。
【0030】図5は、本発明に係るバイオチップの他の実施形態を示す。
本例のバイオチップ21は、ベースプレート22に反応剤4を充填する細管状の貫通孔から成るウェル23…がマトリクス状に配列形成されている。
そして、図1に示すバイオチップ1と同様、ベースプレート22が、一辺30mm、厚さ2mm程度の正方形のアルミニウム板で形成され、ウェル23は、直径0.5mm、縦横1mmピッチで20×20=400個形成されている。
そして、ベースプレート22の表面22aは撥水処理が施され、ウェル23の内面23aには親水処理が施されている。
ウェル23は、担体などが設けられていない細管状の貫通孔であるので、不純物が付着したとしても簡単に洗浄除去することができ、反応剤4を固定するまで、ベースプレート22を厳重に管理する必要もない。
【0031】ウェル23への反応剤4の充填量は任意であり、図5(a)に示すようにウェル23を反応剤4で満たす場合に限らず、各ウェル23内にサンプル液を注入する空間を残すように、図5(b)に示すようにウェル23の半分程度まで充填する場合や、図5(c)に示すように内面23aに塗りつけるように充填する場合でもよい。
【0032】また、図5(d)に示すように、ベースプレート22の表面から盛り上がった状態に固化してもよい。
この場合、例えばウェル23と同じ位置に略同径で深さ0.2〜0.3mm程度の凹穴が形成された厚さ0.2〜0.3mm程度の型材25をベースプレート22に密着させ、液状の反応剤4を充填して、室温で凝固させた後に型材25を外せば、ベースプレート22の表面から盛り上がった状態に固化される。
【0033】図6は、このバイオチップ21を用いてプローブ分子とサンプル液を接触させる反応方法を示す説明図である。
本例で用いるサンプルプレート26は、バイオチップ21のウェル23…と対応する位置に、例えば凹孔状のウェル27が所定ピッチでマトリクス状に配列形成されている。
このサンプルプレート26も、その表面26aは撥水処理が施され、各ウェル27…の内面27aは親水処理が施されているので、サンプル液に浸漬して、斜めに引き上げるだけで、サンプルプレート26の表面に付着した液滴が流れ落ち、各ウェル27内にサンプル液が残る。
【0034】次いで、このようにサンプル液を充填したサンプルプレート26の上にバイオチップ21と重ね合わせて隙間なく密着させると、バイオチップ21の各ウェル23と、サンプルプレート26の各ウェル27が上下に連通するので、雰囲気温度を所定の反応温度(例えば65℃)まで上昇させれば、バイオチップ21の各ウェル23に固定された反応剤4のアガロースが液状化してプローブ分子が溶け出し、サンプルプレート26のウェル27内に流入するので、サンプル液とプローブ分子が接触されて反応が開始される。
なお、液状化した反応剤4が毛管現象でウェル23内に止まり、サンプルプレート26に流れ落ちない場合は、外部から振動などを与えれば良い。
【0035】なお、図5(b)及び(c)に示すように、各ウェル23内にサンプル液を注入する空間が残されている場合は、サンプルプレート27を用いることなく、バイオチップ21をそのままサンプル液内に浸漬し、これを斜めに引き上げれば表面に残る余分な水分が流れ落ちるので、その後、所定の反応温度まで加熱するようにしても良い。
【0036】さらに,図7は本発明に係るバイオチップの他の実施形態を示す。
本例のバイオチップ31は、細管状又は凹孔状のウェル37(例えば直径0.5mm)が所定のピッチ(例えば縦横1mm)でマトリクス状に配列形成されたサンプルプレート36に重ね合わせて使用するもので、凹凸のないフラットな平板状のベースプレート32の表面に、反応剤4が、サンプルプレート36の各ウェル37と対応する位置及び大きさで、その表面から盛り上がった状態に付着されている。
ベースプレート32は、プローブ分子を固定する担体が設けられていないだけでなく、ウェルとなる凹凸すら形成されていないフラットな平板状に形成されているので、不純物が極めて付着しにくく、付着しても簡単に洗浄除去することができ、反応剤4を固定するまで、ベースプレート32を厳重に管理する必要もない。
【0037】図8はこのバイオチップ31の製造手順及び反応方法を示す。
まず、サンプルプレート36のウェル37と同じピッチで凹孔33がマトリクス状に配列形成された型材34を用い、図8(a)に示すように夫々の凹孔33に反応剤4を満たす。
次いで、図8(b)に示すようにベースプレート32を被せて反応剤を固化させた後、図8(c)に示すように上下反転させて型材34を外す。
そして、図8(d)に示すように、各ウェル37にサンプル液を半分くらいまで満たしたサンプルプレート36に、反応剤4を下向きにしてバイオチップ31を重ねると、各反応剤4が各ウェル37のサンプル液に浸漬される。
この状態で、雰囲気温度を所定の反応温度(65℃)まで上昇させれば、アガロースが溶けで、プローブ分子がサンプル液と接触し、反応を開始する。
【0038】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、ウェル内にプローブ分子を担持させる担体がないので、不純物が付着しにくく、また、付着しても簡単に除去することができるだけでなく、濁度や蛍光度を観察しながら遺伝子増幅を行わせるLAMP法にも適用することができるという大変優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるバイオチップを示す説明図。
【図2】その断面図。
【図3】本発明にかかる反応方法を示す説明図。
【図4】本発明にかかる反応装置を示す説明図。
【図5】バイオチップの他の実施形態を示す断面図。
【図6】反応方法の他の実施形態を示す説明図。
【図7】バイオチップの他の実施形態を示す断面図。
【図8】その製造手順及び反応方法を示す説明図。
【符号の説明】
1、21、31………バイオチップ
2、22、32………ベースプレート
3、23………………ウェル
4………………………反応剤
6、26、36………サンプルプレート
7、27,37………ウェル
11………………………反応装置
12………………………反応プレート
13………………………台座
14………………………バイブレータ
15………………………ヒータ
16………………………ウェル
17………………………撮像カメラ
X………………………撮像光軸
18………………………ハーフミラー
19………………………光源19
20………………………演算処理装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、サンプル液に接触して反応するプローブ分子が固定されたバイオチップ、それを用いた反応方法及びそれを用いる反応装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
生化学、医学、薬学、食品分野等において、遺伝子の変異、特に塩基配列の変異を検出するため等にDNAチップ(バイオチップ)が用いられている。
このようなDNAチップとして、通常、シリコンもしくはガラス基板上にフォトリソグラフィー技術を用いて、1cm角あたり1万以上のオリゴDNA断片(DNAプローブ)を作り込んだものが知られている。
【0003】しかしながら、フォトリソグラフィーを用いてDNAチップを形成する場合、多数のフォトマスクを必要とし、かつ、光リソグラフィー工程、カップリング工程、洗浄工程を何度も繰り返さなければならないため、製造コストが嵩み、また、パターンを変えるためにはそれぞれフォトマスクを変える必要があるため、実験室レベルで必要に応じた各種デザインのDNAチップを簡単に作成することができなかった。
このため最近では、実験室レベルで必要に応じたデザインのバイオチップを簡単に作成できる技術が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2002−218974号公報
【0005】このバイオチップは、ベースプレートに配列形成された直径1mm前後の貫通孔内に、多孔質又は繊維質の担体を充填し、その担体にプローブ分子を固定化した構造となっている。
【0006】そして、前記各貫通孔ごとに所望のプローブ分子を含む液体を流せば、そのプローブ分子を担体に担持させることができる。
したがって、実験に必要なプローブ分子を任意の組合せで各担体に担持させたバイオチップを実験室レベルで簡単かつ必要に応じて製造することができ、また、各貫通孔同士が連通するように基板を重ね合わせて液体を流すだけで同じデザインのバイオチップを複数製造することも簡単にできる。
【0007】そして、このように製造されたバイオチップを、サンプル流路が形成されたセル内に、その流路を塞ぐようにセットし、バイオチップの上流側に蛍光標識入のサンプル液を満たした後、下流側から吸引することにより、サンプル液と各貫通孔内のプローブ分子とを反応させ、洗浄後、蛍光観察するようになっている。
【0008】これによれば、1cm角に1万以上のオリゴDNA断片(DNAプローブ)を作り込むというような高密度化はできないものの、研究内容に応じて任意のバイオチップを自由に設計・製造することができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このバイオチップは、プローブ分子を固定するために貫通孔内に多孔質又は繊維質等の担体を形成しなければならず、その作業工程が面倒であるという問題があった。
また、担体には不純物が付着し易く、一旦付着すると簡単にはこれを除去することができないので、担体にプローブ分子を固定する前であっても担体に不純物が付着しないように基板を清潔に維持管理しなければならず、その取扱が面倒であるという問題があった。
さらに、担体が充填されているため、濁度によりDNA増幅の有無を確認するLAMP法に適用することはできない。
【0010】そこで本発明は、担体を形成する手間がなく、したがって不純物も付着しにくく、取扱がより簡単で、DNA増幅を行うLAMP法にも適用できるようにすることを技術的課題としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために、本発明は、サンプル液に接触して反応するプローブ分子が固定されたバイオチップにおいて、ベースプレートに細管状又は凹孔状のウェルがマトリクス状に配列形成され、室温では固化し、予め設定された反応温度では溶融するホットメルト型凝固剤と前記プローブ分子とを混合した反応剤がウェル内面に付着されたことを特徴とする。
【0012】本発明によれば、ウェルがマトリクス状に配列形成されている場合に、室温では固化し予め設定された反応温度(例えば65℃)で溶融するアガロースなどのホットメルト型凝固剤とプローブ分子とを混合した反応剤がウェル内に付着固化されている。
【0013】アガロースは50℃前後で液状化するので、液状化したアガロースと所望のプローブ分子を混合させた反応剤を生成し、1又は所定数のウェルごとにプローブ分子が異なる反応剤を液状化させて流下又は滴下させれば、夫々の反応剤は表面張力によってウェル内に止まる。
この状態で、室温に放置すれば、アガロースが凝固するのでプローブ分子は各ウェル内面に固定されることとなる。
【0014】そして、例えば、バイオチップのウェルと対応する位置にウェルを形成したサンプルプレートを用い、そのウェル内にサンプル液を充填する。
細管状のウェルが形成されたサンプルプレートを用いる場合は、これをサンプル液に浸漬するだけで毛管現象によりサンプル液が充填されるので、サンプル液充填後、バイオチップと重ね合せれば、サンプル液と反応剤が接触する。
そして、この状態でバイオチップを反応温度まで加熱すれば、固化されていた反応剤が液状化し、ウェルにサンプル液が充填される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて具体的に説明する。
図1は本発明にかかるバイオチップを示す説明図、図2はその断面図、図3は発明にかかる反応方法を示す説明図、図4は本発明にかかる反応装置を示す説明図、図5はバイオチップの他の実施形態を示す断面図、図6は反応方法の他の実施形態を示す説明図、図7はバイオチップの他の実施形態を示す断面図、図8はその製造手順及び反応方法を示す説明図である。
【0016】本発明にかかるバイオチップ1は、図1に示すように、ベースプレート2に凹孔状のウェル3…がマトリクス状に配列形成されている。
ベースプレート2は、例えば一辺30mm、厚さ2mm程度の正方形のアルミニウム板や合成樹脂板で形成されている。
ウェル3は、直径0.5mm、深さ1mm程度に形成され、縦横1mmピッチで20×20=400個形成されている。
そして、ベースプレート2の表面2aは撥水処理が施され、ウェル3の内面3aには親水処理が施されている。
さらに、このバイオチップ1は、反応時に濁度観察を行うLAMP法などに用いる場合には、白濁を観察しやすいようにウェル3の内面3aには黒色・暗灰色などの明度の低い色が施され、蛍光標識を付したDNA等の蛍光観察を行う場合には蛍光観察しやすいように白色などの明度の高い色が施されている。
【0017】また、ウェル3には、室温では固化し、予め設定された反応温度では溶融するホットメルト型凝固剤と、サンプル液に接触して反応する任意のプローブ分子とを混合した反応剤4が固定されてなる。
このウェル3は、担体などが設けられていない凹孔であるので、不純物が付着したとしても簡単に洗浄除去することができ、反応剤4を固定するまで、ベースプレート2を厳重に管理する必要もない。
【0018】反応剤4に用いるホットメルト型凝固剤として、本例では50℃前後で溶融するアガロースが用いられている。
この反応剤4のウェル3への充填量は任意であり、図2(a)に示すようにウェル3を反応剤4で満たす場合に限らず、各ウェル内にサンプル液を溜める空間を残すように、図2(b)に示すようにウェル3の半分程度まで充填する場合や、図2(c)に示すようにウェル内面3aに塗りつけるように付着する場合でもよい。
【0019】また、図2(d)に示すように、ベースプレート2の表面2aから盛り上がった状態に固化してもよい。
この場合、例えばウェル3と同じ位置に同径の孔が穿設された厚さ0.2〜0.3mm程度のプレートやフィルム5をベースプレート2に密着状態に積層し、液状の反応剤4を充填し、室温で凝固させた後にフィルム5を剥がせば、ベースプレート2の表面から盛り上がった状態に固化される。
【0020】図3は、このバイオチップ1を用いてプローブ分子とサンプル液を接触させる反応方法を示す説明図である。
本例では、図2(a)〜(d)に示すバイオチップ1と、サンプル液が充填されるサンプルプレート6を用いる。
サンプルプレート6は、バイオチップ1のウェル3…と対応する位置に、これと同径又はやや大径の細管状のウェル7が所定ピッチでマトリクス状に配列形成されている。
このサンプルプレート6の表面6aは撥水処理が施され、各ウェル7…の内面7aは親水処理が施されている。
【0021】そして、まず、サンプルプレート6の各ウェル7にサンプル液を充填させる。
この場合、サンプルプレート6をサンプル液に浸漬すれば、毛管現象により各ウェル7にサンプル液が充填される。また、サンプルプレート6の表面には撥水処理が施され、各ウェル7…の内面には親水処理が施されているので、サンプル液からサンプルプレート6を斜めに引き上げるだけで、サンプルプレート6の表面の液滴が流下し、ウェル7のみにサンプル液が残る。
【0022】次いで、このようにサンプル液を充填したサンプルプレート6をバイオチップ1と重ね合わせて隙間なく密着させると、バイオチップ1の各ウェル3と、サンプルプレート6の各ウェル7が上下に連通する。
したがって、外部から振動などを与えれば、サンプル液がサンプルプレート6からバイオチップ1側へ移動し、ウェル3内に固定された反応剤4と接触する。
【0023】そして、この状態で、雰囲気温度を所定の反応温度(例えば65℃)まで上昇させれば、バイオチップ1の各ウェル3に固定された反応剤4のアガロースが液状化し、プローブ分子が溶け出すので、サンプル液とプローブ分子が接触されて反応が開始される。
【0024】なおこの場合に、図2(d)に示すバイオチップ1のように反応剤4をベースプレート2から盛り上げて固化させれば、サンプルプレート6を重ねたときにサンプル液と接触させやすいというメリットがある。
また、図2(b)及び(c)に示すように、反応剤4の充填量が少なく各ウェル3内にサンプル液を充填する空間が残されている場合は、サンプルプレート7を用いることなく、バイオチップ1をそのままサンプル液内に浸漬し、これを斜めに引き上げて余分な水分を落した後、これを所定の反応温度まで加熱するようにしても良い。
【0025】図4は、このようなバイオチップ1を用いてプローブ分子とサンプル液を接触させて反応させる反応装置11を示す。
この反応装置11は、バイオチップ1にサンプルプレート6を重ねた反応プレート12をセットする台座13に、必要に応じて振動を与えるバイブレータ14と反応プレート12を所定の反応温度まで加熱するヒータ15が設けられ、反応プレート12の各ウェル16内を撮像する撮像カメラ17と、その撮像光軸Xに介装されたハーフミラー18を介して各ウェル16内に照明光又は励起光を同軸落射照明する光源19と、撮像カメラ17で撮像された画像データに基づいて各ウェル16内の濁度又は蛍光度を計測する演算処理装置20とを備えている。
【0026】反応プレート12の各ウェル16…はバイオチップ1及びサンプルプレート6のウェル3及び7が上下に連通されて形成されるので、この反応プレート12を台座13にセットして、バイブレータ14により振動させると、サンプルプレート6のウェル7内のサンプル液がバイオチップ1のウェル3内に流下される。
【0027】次いで、ヒータ15により反応プレート12を反応温度の65℃に加熱すると、ウェル3内のアガロースが溶けて反応剤が液状化し、プローブ分子がその液中を浮遊してサンプル液と接触する。
これにより、サンプル液に対して反応性を有するプローブ分子を付着させたウェル16内では反応が進行し、反応性のないプローブ分子を付着させたウェル16内では反応が起きない。
【0028】この反応が、例えばLAMP法による遺伝子増幅を行う場合は、ウェル16内で遺伝子(DNA)を伸長合成させるときに、副産物としてピロリン酸マグネシウムが多量に生成されて、ウェル16内に白濁・白沈を生じる。
したがって、この白濁・白沈を観察することにより遺伝子増幅が行われたか否かを簡単に識別することができる。
本例では、光源19から照射された照明光がハーフミラー18を介して各ウェル16を照明し、全てのウェル16…が撮像カメラ17で同時に撮像される。
そして、反応が進行して遺伝子(DNA)が伸長合成されたウェル16は白濁するので、その画像データを演算処理装置20に取り込むことにより、どのウェル16でDNAが合成されたか否かを容易に知ることができる。
なお、この場合に、ウェル16の内面は黒色等の明度の低い色が施されていたほうが白濁の状況を観察しやすい。
【0029】なお、血液などのように最初から着色のあるサンプルを使用してLAMP法でDNA増幅を行う場合は、サンプル液にエチジウムブロマイドなど、DNAの塩基対の間に入り込んで蛍光発色する物質を加えておき、その蛍光発色を観察することにより反応をモニターする方法が有効である。
この場合は、光源19として紫外線レーザなどを用い、必要に応じて蛍光のみを透過するフィルタ(図示せず)を装着した撮像カメラ17で撮像する。
そして、反応が進行して遺伝子(DNA)が伸長合成されたウェル16では蛍光を発するので、その画像データを演算処理装置20に取り込むことにより、どのウェル16でDNAが合成されたか否かを容易に知ることができる。
なお、この場合に、ウェル16の内面は白色等の明度の高い色が施されていたほうが蛍光の有無を観察しやすい。
【0030】図5は、本発明に係るバイオチップの他の実施形態を示す。
本例のバイオチップ21は、ベースプレート22に反応剤4を充填する細管状の貫通孔から成るウェル23…がマトリクス状に配列形成されている。
そして、図1に示すバイオチップ1と同様、ベースプレート22が、一辺30mm、厚さ2mm程度の正方形のアルミニウム板で形成され、ウェル23は、直径0.5mm、縦横1mmピッチで20×20=400個形成されている。
そして、ベースプレート22の表面22aは撥水処理が施され、ウェル23の内面23aには親水処理が施されている。
ウェル23は、担体などが設けられていない細管状の貫通孔であるので、不純物が付着したとしても簡単に洗浄除去することができ、反応剤4を固定するまで、ベースプレート22を厳重に管理する必要もない。
【0031】ウェル23への反応剤4の充填量は任意であり、図5(a)に示すようにウェル23を反応剤4で満たす場合に限らず、各ウェル23内にサンプル液を注入する空間を残すように、図5(b)に示すようにウェル23の半分程度まで充填する場合や、図5(c)に示すように内面23aに塗りつけるように充填する場合でもよい。
【0032】また、図5(d)に示すように、ベースプレート22の表面から盛り上がった状態に固化してもよい。
この場合、例えばウェル23と同じ位置に略同径で深さ0.2〜0.3mm程度の凹穴が形成された厚さ0.2〜0.3mm程度の型材25をベースプレート22に密着させ、液状の反応剤4を充填して、室温で凝固させた後に型材25を外せば、ベースプレート22の表面から盛り上がった状態に固化される。
【0033】図6は、このバイオチップ21を用いてプローブ分子とサンプル液を接触させる反応方法を示す説明図である。
本例で用いるサンプルプレート26は、バイオチップ21のウェル23…と対応する位置に、例えば凹孔状のウェル27が所定ピッチでマトリクス状に配列形成されている。
このサンプルプレート26も、その表面26aは撥水処理が施され、各ウェル27…の内面27aは親水処理が施されているので、サンプル液に浸漬して、斜めに引き上げるだけで、サンプルプレート26の表面に付着した液滴が流れ落ち、各ウェル27内にサンプル液が残る。
【0034】次いで、このようにサンプル液を充填したサンプルプレート26の上にバイオチップ21と重ね合わせて隙間なく密着させると、バイオチップ21の各ウェル23と、サンプルプレート26の各ウェル27が上下に連通するので、雰囲気温度を所定の反応温度(例えば65℃)まで上昇させれば、バイオチップ21の各ウェル23に固定された反応剤4のアガロースが液状化してプローブ分子が溶け出し、サンプルプレート26のウェル27内に流入するので、サンプル液とプローブ分子が接触されて反応が開始される。
なお、液状化した反応剤4が毛管現象でウェル23内に止まり、サンプルプレート26に流れ落ちない場合は、外部から振動などを与えれば良い。
【0035】なお、図5(b)及び(c)に示すように、各ウェル23内にサンプル液を注入する空間が残されている場合は、サンプルプレート27を用いることなく、バイオチップ21をそのままサンプル液内に浸漬し、これを斜めに引き上げれば表面に残る余分な水分が流れ落ちるので、その後、所定の反応温度まで加熱するようにしても良い。
【0036】さらに,図7は本発明に係るバイオチップの他の実施形態を示す。
本例のバイオチップ31は、細管状又は凹孔状のウェル37(例えば直径0.5mm)が所定のピッチ(例えば縦横1mm)でマトリクス状に配列形成されたサンプルプレート36に重ね合わせて使用するもので、凹凸のないフラットな平板状のベースプレート32の表面に、反応剤4が、サンプルプレート36の各ウェル37と対応する位置及び大きさで、その表面から盛り上がった状態に付着されている。
ベースプレート32は、プローブ分子を固定する担体が設けられていないだけでなく、ウェルとなる凹凸すら形成されていないフラットな平板状に形成されているので、不純物が極めて付着しにくく、付着しても簡単に洗浄除去することができ、反応剤4を固定するまで、ベースプレート32を厳重に管理する必要もない。
【0037】図8はこのバイオチップ31の製造手順及び反応方法を示す。
まず、サンプルプレート36のウェル37と同じピッチで凹孔33がマトリクス状に配列形成された型材34を用い、図8(a)に示すように夫々の凹孔33に反応剤4を満たす。
次いで、図8(b)に示すようにベースプレート32を被せて反応剤を固化させた後、図8(c)に示すように上下反転させて型材34を外す。
そして、図8(d)に示すように、各ウェル37にサンプル液を半分くらいまで満たしたサンプルプレート36に、反応剤4を下向きにしてバイオチップ31を重ねると、各反応剤4が各ウェル37のサンプル液に浸漬される。
この状態で、雰囲気温度を所定の反応温度(65℃)まで上昇させれば、アガロースが溶けで、プローブ分子がサンプル液と接触し、反応を開始する。
【0038】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、ウェル内にプローブ分子を担持させる担体がないので、不純物が付着しにくく、また、付着しても簡単に除去することができるだけでなく、濁度や蛍光度を観察しながら遺伝子増幅を行わせるLAMP法にも適用することができるという大変優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるバイオチップを示す説明図。
【図2】その断面図。
【図3】本発明にかかる反応方法を示す説明図。
【図4】本発明にかかる反応装置を示す説明図。
【図5】バイオチップの他の実施形態を示す断面図。
【図6】反応方法の他の実施形態を示す説明図。
【図7】バイオチップの他の実施形態を示す断面図。
【図8】その製造手順及び反応方法を示す説明図。
【符号の説明】
1、21、31………バイオチップ
2、22、32………ベースプレート
3、23………………ウェル
4………………………反応剤
6、26、36………サンプルプレート
7、27,37………ウェル
11………………………反応装置
12………………………反応プレート
13………………………台座
14………………………バイブレータ
15………………………ヒータ
16………………………ウェル
17………………………撮像カメラ
X………………………撮像光軸
18………………………ハーフミラー
19………………………光源19
20………………………演算処理装置
Claims (7)
- サンプル液に接触して反応するプローブ分子が固定されたバイオチップにおいて、ベースプレートに細管状又は凹孔状のウェルがマトリクス状に配列形成され、室温では固化し、予め設定された反応温度では溶融するホットメルト型凝固剤と前記プローブ分子とを混合した反応剤がウェル内面に付着されたことを特徴とするバイオチップ。
- 前記反応剤が、前記各ウェル内に充填されると共に、前記ベースプレートの表面に盛り上がった状態に固化されて成る請求項1記載のバイオチップ。
- 前記反応剤を付着させた各ウェル内に、サンプル液を注入する空間が残されて成る請求項1記載のバイオチップ。
- サンプル液に接触して反応するプローブ分子が固定されたバイオチップにおいて、細管状又は凹孔状のウェルが所定ピッチでマトリクス状に配列形成されたサンプルプレートに重ね合わされるベースプレートの表面に、室温では固化し、予め設定された反応温度では溶融するホットメルト型凝固剤と前記プローブ分子とを混合した反応剤が、前記各ウェルと対応する位置及び大きさで、その表面から盛り上がった状態に付着されたことを特徴とするバイオチップ。
- 前記ホットメルト型凝固剤がアガロースである請求項1乃至4記載のバイオチップ。
- プローブ分子とサンプル液を接触させて反応させる反応方法において、
細管状又は凹孔状のウェルが所定ピッチでマトリクス状に配列形成されたサンプルプレートと、前記各ウェルと対応する位置に、室温では固化し、予め設定された反応温度では溶融するホットメルト型凝固剤と前記プローブ分子とを混合した反応剤を付着固化させたバイオチップを用い、
前記サンプルプレートのウェルにサンプル液を充填させた後、前記バイオチップと重ね合せた状態で、雰囲気温度を前記反応温度まで上昇させて反応開始させることを特徴とする反応方法。 - プローブ分子とサンプル液を接触させて反応させる反応装置において、
所定ピッチでマトリクス状に配列形成されたウェル内に、室温では固化し、予め設定された反応温度では溶融するホットメルト型凝固剤と前記プローブ分子とを混合した反応剤を付着固化させた反応プレートを前記反応温度まで加熱するヒータと、照明光又は励起光が照射された反応プレートの各ウェル内を撮像する撮像カメラと、前記撮像カメラで撮像された画像データに基づいて各ウェル内の濁度又は蛍光度を計測する演算処理装置とを備えたことを特徴とする反応装置。
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