<第1実施形態>
<便座装置の概要>
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる便座装置が設置されたトイレルームを表す模式的斜視図である。
図2は、本実施形態にかかる便座装置を表す模式的斜視図である。
図1に表したように、トイレルーム100の内部には水洗式の大便器2が設置されている。大便器2には、便座装置1(装置本体)が設けられている。本実施形態にかかる便座装置1は、便座(図示せず)と、便蓋4と、機能部6と、を備える。例えば、使用者は、トイレルーム100の壁面に設置された操作部74を操作すると、便蓋4を開閉させたり、機能部6が有する各種機能を動作させることができる。
図2に表したように、機能部6は、ケースプレート8と、ケースカバー10と、洗浄水供給装置12(図3参照)と、人体検知センサ13(人体検知部)と、洗浄ノズル14と、脱臭装置16と、温度検知部17(図3参照)と、制御部18と、記録手段19、を有する。便座(図示せず)および便蓋4は、ケースカバー10に対して開閉自在に軸支されている。ケースプレート8は、大便器2の正面(前方)からみて、大便器2のボウル部20よりも後方に設けられている。ケースプレート8には、洗浄水供給装置12と、洗浄ノズル14と、脱臭装置16と、制御部18と、が設けられている。ケースカバー10は、洗浄水供給装置12と、洗浄ノズル14と、脱臭装置16と、制御部18と、を覆いケースプレート8に固定されている。
人体検知センサ13は、例えば赤外線信号を利用した焦電センサであり、トイレルーム100に入室した入室者を検知する。人体検知センサ13は、例えばドップラーセンサなどのマイクロ波センサであってもよい。マイクロ波のドップラー効果を利用したセンサや、マイクロ波を送信し反射したマイクロ波の振幅(強度)に基づいて被検知体を検出するセンサなどを人体検知センサ13として用いた場合には、人体検知センサ13は、トイレルーム100のドア越しに使用者の存在を検知することが可能となる。つまり、人体検知センサ13は、トイレルーム100に入室する前の使用者を検知することができる。また、温度検知部17は、便座装置1の外部の空気の温度を検知する。つまり、温度検知部17は便座装置1が設置されるトイレルーム100の室温Tを検知する。
脱臭装置16は、大便器2の正面からみて、ケースプレート8の後方左側に設置されている。図2に表した矢印A28のように、脱臭装置16は、大便器2の正面からみて、ケースカバー10の左側に設けられた吸気口部21から、トイレルーム100内の空気を吸い込む。トイレルーム100内の空気とは、主として大便器2の外部の空気(ボウル部20以外の空気)をいう。吸気口部21から吸い込まれた空気に含まれる悪臭成分は、脱臭装置16によって捕集又は分解される。
本願明細書においては、通常使用状態で大便器2に腰掛けた使用者からみて上方を「上方」とし、通常使用状態で大便器2に腰掛けた使用者からみて下方を「下方」とする。また、通常使用状態で大便器2に腰掛けた使用者からみて前方を「前方」とし、通常使用状態で大便器2に腰掛けた使用者からみて後方を「後方」とする。あるいは、大便器2の方向を向いて大便器2の前に立った使用者からみて手前側を「前方」とし、大便器2の方向を向いて大便器2の前に立った使用者からみて奥側を「後方」とする。また、大便器2の方向を向いて大便器2の前に立った使用者からみて右側を「右側方」とし、大便器2の方向を向いて大便器2の前に立った使用者からみて左側を「左側方」とする。
本実施形態における「悪臭成分」は、アンモニア成分を含む。この悪臭成分は、尿がトイレルーム100の床や壁などに付着したときに、尿の付着部分から発生する。
図2に表した矢印A29のように、脱臭装置16によって悪臭成分が捕集又は分解された空気は、大便器2の正面からみて、ケースカバー10の左側に設けられた排気口部22から、トイレルーム100へ吐き出される。
排気口部22がケースカバー10の側面に設けられているため、空気は、ケースカバー10の前方へは排出されない。したがって、排気口部22から排出された空気が使用者に直接的に当たることを抑制することができる。これにより、使い勝手の良い便座装置1を提供することができる。なお、吸気口部21及び排気口部22の設置形態は、図2に表した例には限定されない。例えば、吸気口部21は、ケースカバー10の後方面(背面)に設けられていてもよい。あるいは、吸気口部21及び排気口部22の少なくともいずれかは、右側の面に設けられていてもよい。
図2に表した例では、排気口部22は、吸気口部21よりも前方側に設けられている。そのため、排気口部22は、悪臭成分が捕集又は分解された空気を吸気口部21よりも前方側から排出することができる。したがって、使用者は、悪臭成分が捕集又は分解された空気を比較的吸いやすい。そのため、使用者が不快感を感じることをより抑制することができる。
制御部18は、IC素子を含んだ制御回路であり、洗浄水供給装置12、人体検知センサ13、洗浄ノズル14、温度検知部17、および脱臭装置16のそれぞれの動作を電気的に制御する。制御部18は、例えば、ファン46(図3参照)の動作を制御する。制御部18は、例えば金属製の筺体としての制御部カバー(図示せず)によって覆われている。
<機能水の生成方法>
図3は、本実施形態の洗浄水供給装置および脱臭装置の要部構成を表すブロック図である。
図4は、本実施形態の脱臭装置を表す模式的斜視図である。
図5は、本実施形態の脱臭装置を表す模式的分解図である。
図6は、本実施形態の電解槽の具体例を例示する模式的断面図である。
図3に表したように、洗浄水供給装置12は、図示しない給水源から水が供給される給水流路23と、給水流路23を開閉する流路開閉弁24(開閉弁)と、瞬間加熱式の熱交換機26と、電解槽28と、電解槽28に接続され、電解槽28から水または詳細については後述する機能水が流出する流路29と、流路29が接続される大気解放式のバキュームブレーカー(VB)30と、前記バキュームブレーカー30から分岐し洗浄ノズル14へ通じる第1流路32と、前記バキュームブレーカー30から分岐し脱臭装置16へ通じる第2流路34と、電磁ポンプ36と、流調・流路切換弁38と、を有する。なお、洗浄水供給装置12は、必ずしも熱交換機26を有していなくともよい。給水流路23から供給された水は、流路開閉弁24が開いたときに熱交換機26を通って電解槽28へ送られる。
図6に表したように、電解槽28は、第1の電極28aと、第2の電極28bと、を有する。第1の電極28aは、例えば陽極である。第2の電極28bは、例えば陰極である。第1の電極28aおよび第2の電極28bは、電解槽28の内部に設けられている。電解槽28は、制御部18から送信された通電の制御信号に基づいて、第1の電極28aと、第2の電極28bと、の間の空間を流れる水道水を電気分解できる。言い換えれば、給水流路23から電解槽28へ供給された水は、電解槽28の内部において電気分解される。
水道水は、塩素イオン(Cl−)を含んでいる。塩素イオンは、水源(例えば、地下水や、ダムの水や、河川などの水)に食塩(NaCl)や塩化カルシウム(CaCl2)などとして含まれている。そのため、陽極(例えば第1の電極28a)では、化学式1に表した反応が生ずる。
化学式1において発生した塩素は、気泡としては存在しにくく、ほとんどの塩素は水に溶解する。そのため、化学式1において発生した塩素については、化学式2に表した反応が生ずる。
このようにして、塩素イオンを電気分解することにより次亜塩素酸(HClO)が生成される。その結果、電解槽28において電気分解された水は、次亜塩素酸を含む液(以下、「機能水」と称する)に変化する。
電解槽28によって生成された機能水は流路29から流出し、流路29の下流側に接続される第1流路32又は第2流路34へ流れる。第1流路32へ流れた機能水は、電磁ポンプ36によって、洗浄ノズル14へ送られる。洗浄ノズル14は、吐水部15を有する。例えば、吐水部15は、おしり洗浄吐水孔15aと、おしりソフト吐水孔15bと、ビデ洗浄吐水孔15cと、ワイドビデ洗浄吐水孔15dと、を有する。但し、吐水部15が有する吐水孔は、これだけには限定されない。洗浄ノズル14へ送られた機能水は、吐水部15から吐出される。吐水部15から吐出された機能水は、洗浄ノズル14の外面の洗浄、即ち胴体洗浄に用いられる。
電磁ポンプ36と洗浄ノズル14との間には、流調・流路切替弁38が設けられている。流調・流路切替弁38を動作させることで、洗浄ノズル14から吐出する機能水の吐水流量、吐水角度および吐水範囲などを変更することができる。また、流調・流路切替弁38を動作させることで、機能水をノズル洗浄室(胴体洗浄部)40に送ることができる。ノズル洗浄室40は、吐水部41を有する。ノズル洗浄室40は、吐水部41から機能水を吐出することで、洗浄ノズル14の外面の洗浄、即ち胴体洗浄を行う。
<脱臭装置での脱臭原理>
第2流路34へ流れた機能水は、脱臭装置16へ送られる。図3〜図5に表したように、脱臭装置16は、集塵フィルタ44と、ファン46(吸引部)と、脱臭フィルタ48と、噴霧部50(給水部)と、水受け部52と、フィルタケース72と、を有している。
水受け部52は、吸気口42と、排気口54と、を有する。吸気口42は、ケースカバー10の吸気口部21に設置されている。排気口54は、ケースカバー10の排気口部22に設置されている。ファン46は、例えば樹脂製のシロッコファンである。ファン46は、内部に設けられた複数の羽が回転することで、吸気口42からトイレルーム100内の空気を吸引し、吸引した空気を排気口54からトイレルーム100へ吐き出す。なお、ファン46は、シロッコファンには限定されない。
図4に表したように、集塵フィルタ44は、第1羽板68の内側に設置されている。集塵フィルタ44は、吸い込まれる空気の中の塵や埃などが、ファン46へ送られることを防ぐ。第1羽板68をケースカバー10から取り外すことで、集塵フィルタ44を脱臭装置16から取り外すことができる。したがって、集塵フィルタ44を便座装置1から容易に取り外すことができる。これにより、集塵フィルタ44をより容易に清掃することができる。なお、集塵フィルタ44は、第1羽板68と一体的に設けられていてもよい。この場合には、集塵フィルタ44及び第1羽板68をケースカバー10から同時に取り外すことができる。あるいは、集塵フィルタ44は、吸気口42の部分に設置されていてもよい。
脱臭フィルタ48は、ポーラス構造を有する。つまり、脱臭フィルタ48は、多孔質の構造を有する。
本願明細書において「ポーラス構造」とは、材質の密度が1グラム/立方センチメートル(g/cm3)であり、1gあたり0.5ミリリットル(mL)以上の水を保持可能な構造をいうものとする。言い換えれば、本願明細書において「ポーラス構造」とは、重さが1gの立方体であって一辺の長さが1cmの立方体が0.5ミリリットル(mL)以上の水を保持可能な構造をいうものとする。
脱臭フィルタ48の材料は、セラミックを含む。より具体的には、脱臭フィルタ48の材料は、シリカ(SiO2)およびアルミナ(Al2O3)を含む。より具体的には、脱臭フィルタ48は、シリカとアルミナとの混合焼結体である。脱臭フィルタ48は、ハニカム構造を有する。脱臭フィルタ48のハニカム構造の具体例については、後述する。脱臭フィルタ48は、フィルタケース72に保持されている。
機能水は、噴霧部50により脱臭フィルタ48に供給される。脱臭フィルタ48は、ファン46と排気口54との間、即ちファン46の下流側に設けられている。言い換えれば、ファン46は、機能水が供給される脱臭フィルタ48よりも上流側に設置されている。そのため、湿気を含んだ空気が脱臭フィルタ48からファン46へ送られることを抑制することができる。よって、ファン46が湿気により故障することを抑制することができる。
ファン46から排出された空気は、脱臭フィルタ48を通過する。そのため、ファン46が作動する前に便座装置1の内部に溜まった空気は、必ず脱臭フィルタ48を通過し、悪臭成分が捕集された後にトイレルーム100へ排出される。よって、ファン46を作動させた際に、便座装置1の内部に溜まった空気が悪臭成分を捕集又は分解されずにトイレルーム100へ排出されることを抑制することができる。
脱臭フィルタ48は、使用者の操作によって、排気口54から自由に取り出し可能とされている。より具体的には、脱臭フィルタ48は、フィルタケース72に保持された状態で取り出し可能とされている。使用者は、フィルタケース72から脱臭フィルタ48を取り外すことで、脱臭フィルタ48を排気口54から自由に取り出すことができる。このことより、脱臭フィルタ48の清掃性が向上する。
噴霧部50は、電磁弁を有し、脱臭フィルタ48よりも上方に設けられている。噴霧部50が制御部18によって開弁動作すると、機能水は、脱臭フィルタ48の上方から脱臭フィルタ48に向けて例えば約3秒間以上、5秒間以下程度噴霧される。機能水は、噴霧部50を頂点にして円錐状に広がりながら噴霧される。噴霧部50から噴霧される機能水の広がり角度は、約110度程度である。
機能水が脱臭フィルタ48に向けて噴霧されると、脱臭フィルタ48は、機能水を保持する。噴霧部50から噴霧される水の径は、例えば約10マイクロメートル(μm)以上、1000μm以下である。そのため、噴霧部50から噴霧された機能水は脱臭フィルタ48の材料に浸透する。本願明細書において「浸透」とは、液体が材料にしみ通ることだけではなく、液体がポーラス構造の孔に保持されることを含むものとする。
ファン46が作動すると、吸気口42から吸引されたトイレルーム100内の空気が脱臭フィルタ48内を通過する。ここで、脱臭フィルタ48が機能水を保持した状態において、空気が脱臭フィルタ48内を通過すると、空気の中に含まれる悪臭成分が機能水に取り込まれる。機能水に取り込まれた悪臭成分は、機能水に含まれる次亜塩素酸によって、以下の式のように分解される。
化学式3に表したように、アンモニア(NH3)は、次亜塩素酸(HClO)と反応することで、モノクロラミン(NH2Cl)と水(H2O)とに変わる。モノクロラミンの臭いは、塩素と同じカルキ臭である。モノクロラミンの臭いによって、使用者は清潔感を感じることができる。分解されずに残った悪臭成分は、機能水に捕集される。そのため、分解されずに残った悪臭成分が空気へ戻ることを抑制することができる。その結果、脱臭フィルタ48内を通過した空気は、悪臭成分が取り除かれる。
悪臭成分が取り除かれた空気は、排気口54からトイレルーム100へ排出される。このように、脱臭装置16は、トイレルーム100内に常在する悪臭成分を捕集又は分解することができる。よって、使用者は、トイレルーム100に入室する度に、トイレルーム100内に常在する悪臭成分による臭気を吸うことがなくなり、快適にトイレルーム100を利用できる。このように本具体例の脱臭装置16は便座装置1の外の空気を内部に吸引して脱臭フィルタ48を通過させることで脱臭する脱臭処理部となっている。
本実施形態によれば、脱臭フィルタ48は、ポーラス構造を有するため、機能水を保持しやすい。そのため、本実施形態にかかる便座装置1は、より高い脱臭性能を確保することができる。また、機能水は、次亜塩素酸を含む液であるため、アンモニアおよびトリメチルアミンを次亜塩素酸により分解することができる。また、脱臭フィルタ48の材料がセラミックを含むため、脱臭フィルタ48は、一定の硬さを有し経年劣化による変形を抑制できる。また、脱臭フィルタ48は、シリカとアルミナとの混合焼結体であるため、機能水に起因する腐食を抑制することができ、より長期的に使用可能である。さらに、脱臭フィルタ48がハニカム構造を有するため、吸気口42から吸い込まれたトイレルーム100内の空気と、機能水と、の接触面積は、より広い。そのため、アンモニアなどの悪臭成分の分解性能を向上させることができる。
図1および図2に関して前述したように、実施形態の悪臭成分の発生源は、トイレルーム100の床や壁などに付着した尿であり、大便器2のボウル部20の悪臭成分の発生源とは異なる。そのため、脱臭装置16の吸気口42がケースカバー10の側面または後方面に設けられた吸気口部21に設置されると、脱臭装置16は、脱臭を行いやすい。
ファン46から排出された空気は、脱臭フィルタ48の上方から下方に向かって脱臭フィルタ48を通過する。これにより、脱臭フィルタ48の中に溜まったスケールや塵などの滞留物を、ファン46から排出された空気、及び、滞留物自身の重さによって、水受け部52に払い落とすことができる。そのため、脱臭フィルタ48に滞留物が溜まりにくくなる。
なお、ファン46から排出された空気は、脱臭フィルタ48の下方から上方に向かって脱臭フィルタ48を通過してもよい。この場合には、スケールや塵などは、脱臭フィルタ48の下部(脱臭フィルタ48のうちの風上の部分)に滞留する。一方で、機能水は、脱臭フィルタ48の上方から脱臭フィルタ48に向けて噴霧される。これにより、脱臭フィルタ48の下部に溜まったスケールや塵などの滞留物を、噴霧部50から噴霧された機能水によって水受け部52に落とすことができる。
図4および図5に表したように、水受け部52は、ケースプレート8に向かって開口した排水口56を有する。水受け部52の底面は、排水口56に向かって傾斜している。これにより、水受け部52へ流れた機能水は、水受け部52の底面に溜まることなく排水口56に向かって流れる。
<脱臭フィルタの具体構造>
図7は、脱臭フィルタおよびフィルタケースの具体例を例示する模式的斜視図である。
図8は、脱臭フィルタおよびフィルタケースの具体例を例示する模式的平面図である。
図9は、本実施形態の脱臭フィルタのハニカム構造の具体例を例示する模式的平面図である。
図8(a)は、図5に表した矢印A31の方向にみたときのフィルタケースを表す模式的平面図である。図8(b)は、図5に表した矢印A31の方向にみたときの上側脱臭フィルタを表す模式的平面図である。図8(c)は、図5に表した矢印A31の方向にみたときの下側脱臭フィルタを表す模式的平面図である。図8(d)は、上側脱臭フィルタと下側脱臭フィルタを重ねた状態の脱臭フィルタを図5に表した矢印A31に直行する方向から見た時の模式的側面図である。
つまり、図8(a)乃至図8(c)は、上方から下方へ向かって眺めたときの上側脱臭フィルタ、下側脱臭フィルタおよびフィルタケースの具体例を例示する模式的平面図であり、図8(d)は、前方から後方へ向かって眺めたときの上側脱臭フィルタと下側脱臭フィルタを重ねた状態の脱臭フィルタの具体例を例示する模式的側面図である。
図9(a)は、四角柱の孔が並んだ構造を表す模式的平面図である。図9(b)は、三角柱の孔が並んだ構造を表す模式的平面図である。図9(c)は六角柱の孔が並んだ構造を表す模式的平面図である。図9(a)〜図9(c)は、図5に表した矢印A31の方向にみたときの脱臭フィルタを拡大して眺めた模式的平面図である。
図7に表したように、脱臭フィルタ48は、フィルタケース72に保持されている。図8(d)に表したように、脱臭フィルタ48は、図8(b)に表す上側脱臭フィルタ49a、及び、図8(c)に表す下側脱臭フィルタ49bを重ねることで構成されている。また、図8(a)乃至図8(c)に表したように、フィルタケース72の部分であって脱臭フィルタ48が保持される部分の第1の方向(図8(a)では横方向)の長さD1は、上側脱臭フィルタ49aの第1の方向の長さD3、及び、下側脱臭フィルタ49bの第1の方向の長さD5よりも長い。フィルタケース72の部分であって脱臭フィルタ48が保持される部分の第2の方向(図8(a)では縦方向)の長さD2は、上側脱臭フィルタ49aの第2の方向の長さD4、及び、下側脱臭フィルタ49bの第2の方向の長さD6よりも長い。つまり、上側脱臭フィルタ49a及び下側脱臭フィルタ49bを重ねた脱臭フィルタ48がフィルタケース72に保持された状態において、脱臭フィルタ48とフィルタケース72との間には、隙間が存在する。
これによれば、脱臭フィルタ48にかかる外力を分散させ、脱臭フィルタ48の材料がセラミックである場合でも脱臭フィルタ48が破損することを抑制することができる。例えば、脱臭フィルタ48をフィルタケース72に取り付けたり、脱臭フィルタ48をフィルタケース72から取り外したりするときに、脱臭フィルタ48に対して外力がかかることがある。この場合でも、脱臭フィルタ48とフィルタケース72との間に隙間が存在するため、脱臭フィルタ48にかかる外力を分散させ、脱臭フィルタ48が破損することを抑制することができる。
また、上側脱臭フィルタ49a及び下側脱臭フィルタ49bは、ハニカム構造を有する。図8(b)、図8(c)および図9(a)に表した具体例では、上側脱臭フィルタ49a及び下側脱臭フィルタ49bは、四角柱の孔48aが並んだ構造を有する。図9(b)に表した具体例のように、本実施形態の上側脱臭フィルタ49a及び下側脱臭フィルタ49bは、三角柱の孔48bが並んだ構造を有していてもよい。あるいは、図9(c)に表した具体例のように、本実施形態の上側脱臭フィルタ49a及び下側脱臭フィルタ49bは、六角柱の孔48cが並んだ構造を有していてもよい。
このように、本願明細書において「ハニカム構造」とは、六角柱の孔が並んだ構造には限定されず、三角柱の孔や四角柱の孔などの立体図形が並んだ構造をいうものとする。
図9(a)〜図9(c)は、上方から下方へ向かって眺めたときに、上側脱臭フィルタ49a及び下側脱臭フィルタ49bのハニカム構造が有する立体図形を表している。
上側脱臭フィルタ49a及び下側脱臭フィルタ49bのハニカム構造が有する立体図形の軸は、上下方向と平行である。上側脱臭フィルタ49a及び下側脱臭フィルタ49bのハニカム構造が有する立体図形の軸とは、図9(a)に表した具体例では、四角柱の孔の軸であり、図9(b)に表した具体例では、三角柱の孔の軸であり、図9(c)に表した具体例では、六角柱の孔の軸をいう。
これによれば、水が上側脱臭フィルタ49a及び下側脱臭フィルタ49bの上下方向において十分に行きわたる。そのため、上側脱臭フィルタ49a及び下側脱臭フィルタ49bの略全体が水を保持した状態となる。これにより、本実施形態にかかる便座装置1は、より高い脱臭性能を確保することができる。
また、下側脱臭フィルタ49bのハニカム構造は、上側脱臭フィルタ49aのハニカム構造よりも、各四角柱の孔48aが大きくなっている。つまり、下側フィルタ49bのハニカム構造は、上側脱臭フィルタ49aのハニカム構造よりも荒くなっている。
上側脱臭フィルタ49aは細かいハニカム構造を有しているため、上側脱臭フィルタ49aに供給された水が表面張力によって四角柱の孔を塞いでしまう場合がある。そうすると、空気が上側脱臭フィルタ49aの四角柱の孔を通らなくなるため、脱臭性能が低下してしまう。このような、水の表面張力による上側脱臭フィルタ49aのハニカム構造の閉塞を防ぐために、本具体例では、上側脱臭フィルタ49aよりも荒いハニカム構造を有する下側脱臭フィルタ48bを、上側脱臭フィルタ49aの下に重ねている。
上側脱臭フィルタ49aの四角柱の孔を閉塞している水に、上側脱臭フィルタ49aよりも大きな四角柱の孔を形成している下側脱臭フィルタ49bのハニカム構造の1辺が接触すると、側脱臭フィルタ49aの四角柱の孔を閉塞している水の表面張力が破壊され、上側脱臭フィルタ49aの四角柱の孔の閉塞を解消することができる。
また、下側脱臭フィルタ49bは上側脱臭フィルタ49aと同様にポーラス構造を有する材料で形成されていることも好ましい。下側脱臭フィルタ49bがポーラス構造を有する材料で形成されていることにより、下側脱臭フィルタ49bも上側脱臭フィルタ49aと同様に、供給された水を保持しようとする吸水性を有する。そのため、上側脱臭フィルタ49aの四角柱の孔を閉塞している水の表面張力を破壊し易くすることができる。
以上説明したような下側脱臭フィルタ49bを上側脱臭フィルタ49aの下に重ねることで、上側脱臭フィルタ49aの四角柱の孔が水によって閉塞するのを抑制することができるため、本実施形態に掛かる便座装置1は、より高い脱臭性能を確保することができる。
なお、下側脱臭フィルタ49bはポーラス構造を有する材料が好ましいと説明したが、下側脱臭フィルタ49bを形成する材料はこれに限定されるものではなく、上側脱臭フィルタ49aの四角柱の孔を閉塞している水の表面張力を破壊することができるものであれば、その材質は適宜変更することができる。
また、下側脱臭フィルタ49bのハニカム構造は、上側脱臭フィルタ49aのハニカム構造よりも荒いため、下側脱臭フィルタ49bの保水量は、上側脱臭フィルタ49aの保水量よりも少ない。そのため、脱臭フィルタ48全体としての保水量を多くするためには、図8(d)に示すように、上側脱臭フィルタ49aの厚みD7を下側脱臭フィルタ49bの厚みD8よりも厚くすることが好ましい。
これにより、保水量の多い上側脱臭フィルタ49aの体積を大きくすることができるため、脱臭フィルタ48全体としての保水量を多くすることができる。
<脱臭フィルタの洗浄方法>
図10は、本実施形態にかかる便座装置の内部を表す模式的平面図である。
図10を参照しつつ、本実施形態の脱臭フィルタの洗浄について説明する。
図3〜図6に関して前述したように、本実施形態の脱臭装置16は、機能水を保持した脱臭フィルタ48に空気を通過させることにより空気の中に含まれる悪臭成分を捕集又は分解する。そのため、臭気の原因となる物質が脱臭フィルタ48に吸着する。脱臭フィルタ48のメンテナンスを行わないと、脱臭フィルタ48の脱臭性能を確保できない場合がある。
これに対して、本実施形態の制御部18は、脱臭フィルタ48の洗浄動作を行う制御を実行する。制御部18は、使用者の不使用時間帯に脱臭フィルタ48の最大保水量以上の機能水を脱臭フィルタ48に供給する。制御部18は、所定時間の間に複数回にわたって機能水を脱臭フィルタ48に供給してもよい。この場合には、複数回の供給の合計量が脱臭フィルタ48の保水量以上になってもよい。あるいは、複数回の供給のそれぞれの量が脱臭フィルタ48の保水量以上であってもよい。「所定時間」とは、例えば約1分間以上、10分間以内程度である。「不使用時間帯」の詳細については、後述する。
脱臭フィルタ48の最大保水量は、約10mL程度である。脱臭フィルタ48を洗浄する際には、噴霧部50は、約100mL以上、150mL以下程度の機能水を脱臭フィルタ48に向けて噴霧する。つまり、噴霧部50は、脱臭フィルタ48の最大保水量以上の水を噴霧することで、脱臭フィルタ48を洗浄することができる。これにより、機能水の噴霧よりも前に、脱臭フィルタ48に保持された機能水が捕集した悪臭成分を洗い流すことができる。
脱臭フィルタ48の洗浄に利用した機能水は、脱臭フィルタ48よりも下方に位置する水受け部52に流れる。水受け部52へ流れた機能水は、水受け部52の排水口56から排出されケースプレート8の上面へ導かれる。
図10に表したように、ケースプレート8の上面には、リブ58が設けられている。リブ58は、ケースプレート8の上面から上方へ向かって突出し、排出流路60を形成する。排出流路60は、脱臭フィルタ48を通過した水を排出する。例えば、排出流路60は、脱臭フィルタ48を洗浄した機能水を排出する。排出流路60は、ボウル部排出用孔62を有する。ボウル部排出用孔62は、ノズル洗浄室40が設置される位置に隣接するように設けられている。ボウル部排出用孔62は、ケースプレート8の前方部に設けられている。リブ58は、線状に設けられ、排水口56(図4および図5参照)から排出された機能水をボウル部排出用孔62へ導く。
排出流路60は、前方に向かって下方へ傾斜している。これにより、図10に表した矢印A21〜矢印A27のように、排水口56から排出された機能水は、重力に従い前方に向かって排出流路60を流れる。これにより、排水口56から排出された機能水をより容易にボウル部排出用孔62へ導くことができる。
ボウル部排出用孔62へ導かれた機能水は、大便器2のボウル部20へ排出される。これにより、脱臭フィルタ48の洗浄に利用した機能水であって、悪臭成分を捕集した機能水は、ボウル部20へ排出される。ボウル部20では、水による洗浄が頻繁に行われる。これにより、機能水が付着した部位が乾いて臭いが発生することを抑え、使用者が不快感を感じることを抑えることができる。
ボウル部排出用孔62は、ノズル洗浄室40を設置する位置に隣接している。そのため、ノズル洗浄室40が洗浄ノズル14の胴体洗浄を行った際に、洗浄ノズル14の胴体洗浄に利用した機能水は、排出流路60の一部を流れボウル部排出用孔62からボウル部20へ排出される。つまり、洗浄ノズル14の胴体洗浄に利用した機能水は、水受け部52の排水口56から排出された機能水が流れる排出流路60の一部を流れる。その結果、排出流路60の一部及びボウル部排出用孔62は、洗浄ノズル14の胴体洗浄を行った水により洗浄される。これにより、悪臭成分を捕集した機能水が乾いた後に排出流路60及びボウル部排出用孔62から臭いが発生することを抑えることができ、使用者が不快感を感じることを抑えることができる。
また、洗浄ノズル14は、ケースプレート8とケースカバー10との間の空間に収納された状態において、吐水部15が有する全ての吐水孔から機能水を吐出することにより吐水部15の部分を洗浄することができる(セルフクリーニング)。このとき、洗浄ノズル14の吐水部15の部分は、ノズル洗浄室40の中に収容されている。そのため、吐水部15から吐出された機能水は、ノズル洗浄室40の内壁で反射して吐水部15の部分にかかる。これにより、吐水部15の部分は、ノズル洗浄室40の内壁で反射した機能水によっても洗浄される。
セルフクリーニングに利用された機能水は、排出流路60の一部を流れ、ボウル部排出用孔62からボウル部20へ排出される。つまり、セルフクリーニングに利用された機能水は、水受け部52の排水口56から排出された機能水が流れる排出流路60の一部を流れる。その結果、排出流路60の一部及びボウル部排出用孔62は、セルフクリーニングを行った水により洗浄される。これにより、悪臭成分を捕集した機能水が乾いた後に排出流路60及びボウル部排出用孔62から臭いが発生することを抑えることができ、使用者が不快感を感じることを抑えることができる。
また、ボウル部排出用孔62は、ノズル洗浄室40を設置する位置に隣接しているため、脱臭フィルタ48の洗浄に用いた機能水のボウル部20への排出位置は、セルフクリーニング及び洗浄ノズル14の胴体洗浄に用いた機能水のボウル部20への排出位置と隣接する。このことにより、脱臭フィルタ48の洗浄に用いた機能水がボウル部20に排出された際に、使用者が、便座装置1の故障だと認識してしまうことを抑えることができる。
<便座装置の動作の具体例>
次に、本実施形態にかかる便座装置1の動作の具体例について、図面を参照しつつ説明する。図11は、使用頻度の判定方法を説明する表である。
本実施形態の制御部18は、1日(24時間)を45分間ごとに分割して32個のユニットを形成し、各ユニットにおける人体検知センサ13による人体検知の有無を記録手段19に記録する。図11は記録手段19に記録されるデータを表しており、図11に示す表では、32個のユニットのうち8個のユニットを例として挙げている。また、図11に示す表では、人体検知センサ13が人体を検知した場合には記号「○」が記載されている。一方で、人体検知センサ13が人体を検知しなかった場合には記号が記載されていない(無記号)。
また、制御部18は記録手段19の記録を読み出し、互いに隣り合う2つのユニット(90分間)において、人体検知センサ13が人体を検知した回数(使用者がトイレルーム100を使用した回数)を8日間にわたって合計する。90分間における合計回数が0(ゼロ)である場合には、制御部18は、使用者がトイレルーム100を「使用しない時間帯」であるとする使用頻度を設定し、記録手段19に記録する。90分間における合計回数が1以上、4未満である場合には、制御部18は、使用者がトイレルーム100を「あまり使用しない時間帯」であるとする使用頻度を設定する。90分間における合計回数が4以上である場合には、制御部18は、使用者がトイレルーム100を「使用する時間帯」であるとする使用頻度を設定し、記録手段19に記録する。
例えば、図11に表した太い枠線で囲まれた2つのユニット(90分間)では、人体検知センサ13が人体を検知した回数の8日間にわたる合計は、「3」である。そのため、制御部18は、図11に表した太い枠線で囲まれた2つのユニットの使用頻度を「あまり使用しない時間帯(少)」に設定する。
なお、本具体例の制御部18では、記録手段19に記録されている過去の使用履歴から使用頻度を設定し、記録手段19に記録しているが、本具体例の記録手段19はこれに限定されるものではなく、予め使用頻度が記録手段19に記録されていても良い。
続いて、図12、及び、図13を用いて、本具体例の制御部18で実行される制御について説明する。図12は、本実施形態にかかる制御部18における脱臭動作の具体例を示すフローチャート図である。図13は、本実施形態にかかる制御部18の動作の具体例を例示するタイミングチャート図である。なお、図12は制御部18で実行される脱臭動作について説明するためのフローチャートであるため、人体検知センサ13による人体検知の有無の記録処理、使用頻度の設定処理、及び、洗浄ノズル15による使用者の局部洗浄動作等については省略している。
図12に示すように便座装置1及び制御部18に電源が投入されると、制御部18は電源が切られるまでステップS0〜S7の処理を繰り返し実行する。図12に示すように、制御部18はステップS0から動作を開始する。まず、制御部18は、ステップS1において、現在時刻が「使用する時間帯」の例えば67.5分前であるか、又は、「使用する時間帯」であるかを判定する。
制御部18は、このステップS1の判定に基づいて、後述するステップS2、及び、ステップS3の機能水脱臭運転80と、ステップS5、及び、ステップS6の水脱臭運転82とを選択して実行する。具体的には、もし、現在時刻が「使用する時間帯」の67.5分前、または、「使用する時間帯」の何れかである場合には、ステップS2に進み、そうでない場合には、ステップS4に進む。
最初にステップS2に処理が進んだ場合について説明する。ステップS2では、制御部18は脱臭フィルタ48が乾燥しているかどうかを判断する。本具体例の制御部18においては、前回脱臭フィルタ48に機能水を供給してから所定の時間、例えば67.5分以上が経過していれば、脱臭フィルタ48が乾燥していると判断し、そうでなければ、脱臭フィルタ48は乾燥していないと判断する。
そのため、ステップS2において脱臭フィルタ48が乾燥していると判断された場合には、制御部18はステップS3において、電解槽28において機能水を生成し、脱臭フィルタ48に供給する処理を実行する。また、ステップS2において、脱臭フィルタ48が乾燥していないと判断された場合には、制御部18はステップS1の処理に戻る。
つまり、本具体例の制御部18では、使用頻度が高いと判断される「使用する時間帯」の67.5分前から「使用する時間帯」が経過するまで、脱臭フィルタ48に電解水を供給してから67.5分が経過する度に、定期的に電解槽28において電解水の生成し、脱臭フィルタ48に供給する。
従って、ステップS2、及び、S3は定期的に流路開閉弁24を開いて給水流路23から供給された水を電解槽28で電気分解し、電解槽28で生成された機能水を脱臭フィルタ48へ供給して脱臭装置16を運転する機能水脱臭運転80となっている。
このステップS2、及び、S3の動作の具体例について、図13を用いて説明する。図13に示すように、制御部18は、現在時刻がタイミングt1となると、現在時刻が「使用する時間帯」の67.5分前になるため、制御部18はステップS2の処理を実行する。
タイミングt1においては、前回脱臭フィルタ48に機能水を供給してから67.5分以上が経過しており、脱臭フィルタ48が乾燥した状態となっている。そのため、制御部18は、ステップS3を実行し、流路開閉弁24を開いて給水流路23から水を電解槽28に供給し、電解槽28で電気分解を実行する。そして、電解槽28で生成された機能水を噴霧部50から脱臭フィルタ48に供給する。
このとき噴霧部50は、例えば約3秒間以上、5秒間以下にわたって約12mL以上、15mL以下程度の所定量の機能水を脱臭フィルタ48に向かって噴霧する。これによって、脱臭フィルタ48は、最大保水量(約10mL)の機能水を保持した状態となる。そして、制御部18は所定量の機能水を供給し終えると、噴霧部50と流路開閉弁24を閉じ、電解槽28への通電を止め機能水の生成を停止する。
また、制御部18は、機能水を脱臭フィルタ48に供給したあと、ファン46を作動させる。これにより、ファン46によって吸気口部21から吸い込まれた空気が機能水を保持した状態の脱臭フィルタ48を通過するため、空気に含まれる悪臭成分は、脱臭フィルタ48によって捕集又は分解される。
以上説明したように、制御部18は前回脱臭フィルタ48に機能水を供給してから67.5分以上が経過していれば、電解槽28での電気分解を実行し、噴霧部50から脱臭フィルタ48に機能水を供給する。そのため、タイミングt1から67.5分後のタイミングt2においても、再度脱臭フィルタ48に対する機能水の供給が実行されている。また、同様にして、図13に示すタイミングt7、t8、及び、t11においても、脱臭フィルタ48に定期的に機能水を供給している。
なお、本具体例の制御部18では、ステップS2において、脱臭フィルタ48が乾燥しているかどうかを、前回脱臭フィルタ48に機能水を供給してから経過した時間によって判断しているが、本具体例の機能水供給手段80の動作はこれに限定されるものではなく、例えば、湿度センサ等によって脱臭フィルタ48を通過した空気の湿度を計測し、その湿度に基づいて脱臭フィルタ48が乾燥しているかどうかを判断しても良い。
制御部18はステップS3の実行が終了するとステップS7に進み、機能水脱臭運転80の動作を終了する。なお、制御部18が動作を継続する場合には、制御部18は再びステップS0に戻って動作を再開する。
なお、図12には図示していないが、本具体例の便座装置1では、使用頻度が高いと判断される「使用する時間帯」の67.5分前、又は、「使用する時間帯」の何れかの時間帯において人体検知があった場合に、制御部18は使用者の操作に応じて、局部洗浄動作などを実行する。
また、本具体例の制御部18では、機能水脱臭運転80において電解槽28で電気分解を行って機能水を生成した後に、電解槽28に残っている機能水を排水するようにしている。そのため、図12のステップS3を実行した後、電解槽28は電気分解されていない水で満たされているため、人体検知センサ13が検知となるとすぐに洗浄ノズル14の吐水部15から水を吐水することができる。
以上説明したように、機能水脱臭運転80は、人体検知センサ13での検知の有無に関わらず、定期的に電気分解を行い脱臭フィルタ48に機能水を供給することで、脱臭フィルタ48が機能水を保持している状態を維持することができる。そのため、人体検知センサ13が人体を検知したときにおいても、脱臭フィルタ48は機能水を保持した状態となっている。つまり、機能水脱臭運転80は、人体検知センサ13が検知となる前に、予め脱臭フィルタ48に機能水を供給しておくことができる。そのため、本具体例の制御部18では、図13に示すように、タイミングt8で機能水を脱臭フィルタ48に供給しているため、人体検知センサ13が検知となるタイミングt9〜t10において、噴霧部50から脱臭フィルタ48に機能水を供給していない。そのため、脱臭フィルタ48に機能水を供給するために電解槽28を駆動する必要がなく、速やかに洗浄ノズルから水を吐水することが可能となる。
次に、制御部18がステップS4を実行した場合の動作について説明する。ステップS1において、現在時刻が「使用する時間帯」の67.5分前、又は、「使用する時間帯」の何れでもない場合には、制御部18はステップS4の処理を実行する。制御部18は、ステップS4において、人体検知センサ13が人体を検知しているかどうかを判定する。もし、人体が検知されていない場合にはステップS1に戻り、人体が検知されていればステップS5に処理を進める。
ステップS4で人体検知センサ13が人体を検知した場合には、制御部18はステップS5及びS6に示す水脱臭運転82を実行して脱臭フィルタ48での脱臭を開始する。まず、制御部18はステップS5において、ステップS2と同様に、脱臭フィルタ48が乾燥しているかどうかを判断する。具体的には、前回脱臭フィルタ48に機能水又は水を供給してから所定の時間、例えば67.5分以上が経過していれば、脱臭フィルタ48が乾燥していると判断し、そうでなければ、脱臭フィルタ48は乾燥していないと判断する。
制御部18はステップS5において、脱臭フィルタ48が乾燥していると判断した場合には、ステップS6を実行する。ステップS6では、電解槽28での電気分解を行わずに、給水流路23から供給された水を噴霧部50より脱臭フィルタ48に供給する。このとき噴霧部50は、例えば約3秒間以上、5秒間以下にわたって約12mL以上、15mL以下程度の所定量の水を脱臭フィルタ48に向かって噴霧する。これによって、脱臭フィルタ48は、最大保水量(約10mL)の水を保持した状態となる。
また、制御部18は、ステップS6において水を脱臭フィルタ48に供給したあと、ファン46を作動させる。これにより、ファン46によって吸気口部21から吸い込まれた空気が水を保持した状態の脱臭フィルタ48を通過する。脱臭フィルタ48に供給された水は機能水ではないため、脱臭フィルタ48を通過する空気に含まれる悪臭成分を分解することはできない。そのため、脱臭フィルタ48に機能水を供給した場合に比べて脱臭効果は低くなるけれども、脱臭フィルタ48に供給された水に悪臭成分を捕集することはできるため、脱臭フィルタ48に水を供給した場合であっても、脱臭フィルタ48を通過する空気を脱臭することができる。
そして、制御部18はステップS5、及び、S6の水脱臭運転82を実行すると、ステップS7の処理を実行する。制御部18はステップS7で水脱臭運転82等の一連の動作を終了する。なお、制御部18が動作を継続する場合には、制御部18は再びステップS0に戻って動作を再開する。
このように、本具体例の制御部18では、ステップS5における人体検知センサ13の検知を所定のトリガーとして、流路開閉弁24を開いて給水流路23から供給された水を電解槽28で電気分解せずに脱臭フィルタ48へ供給して脱臭装置16を運転する水脱臭運転82を実行する。
続いて、ステップS4において人体検知センサ13が人体を検知した場合に実行されるステップS5及びS6の水脱臭運転82の動作について、図13のタイミングチャート図を用いて説明する。図13において、上述した水脱臭運転82はタイミングt3で実行される。図13に示すように、タイミングt3における使用頻度は「あまり使用しない時間帯」となっており、また「使用する時間帯」の67.5分前となるタイミングt7よりも前であるため、図12に示すステップS1の条件は満たされず、制御部18はステップS4を実行する。ステップS4において、人体検知センサ13が使用者を検知していない場合には、制御部18はステップS1に戻る。
図13に示すように、タイミングt3になると人体検知センサ13が検知となるため、制御部18は、図12に示すステップS5及びS6の処理を実行する。そのため、制御部18はステップS5において、脱臭フィルタ48が乾燥しているかどうかを判断する。タイミングt3においては、タイミングt2で脱臭フィルタ48に機能水を供給してから67.5分が経過しており、脱臭フィルタ48は乾燥した状態となっている。
そのため、制御部18はステップS6を実行し、給水流路23から供給される水を噴霧部50より脱臭フィルタ48に供給する。従って、制御部18は流路開閉弁24が開となってから例えば約3秒間以上、5秒間以下にわたって、噴霧部50から脱臭フィルタに向けて水を噴霧する。これによって、脱臭フィルタ48は最大保水量(約10mL)の水を保持した状態となる。
制御部18は水脱臭運転82を実行すると、使用者の操作に応じて局部洗浄動作を行う。水脱臭運転82を実行するとき、制御部18は、電解槽28での電気分解を行わずに、給水流路23から供給された水を脱臭フィルタ48に噴霧するため、電解槽28は電気分解されていない水で満たされた状態となる。そのため、洗浄ノズル14からの吐水が必要な場合に、速やかに洗浄ノズル14から水を吐水することが可能となる。
そして、図13に示すタイミングt4において、人体検知センサ13が使用者を検知しなくなると、制御部18はステップS7において、水脱臭運転82等の一連の処理を終了する。制御部18はタイミングt4以降も動作を継続するため、制御部18はステップS7を実行した後、ステップS0に戻ってステップS0〜S7の動作を再開する。
また、図13のタイミングチャート図において、タイミングt5においても人体検知センサ13が人体を検知するが、タイミングt5においては、タイミングt3で脱臭フィルタ48に水を供給してから67.5分が経過していないため、ステップS5の条件が満たされずステップS6は実行されない。そのため、タイミングt5においては脱臭フィルタ48に水は供給されない。
以上説明したように、制御部18は、記録手段19に記録されている過去の人体検知の有無の記録より、現在時刻における使用頻度が「使用する時間帯」、又は、現在時刻が「使用する時間帯」の67.5分前である場合には、ステップS2以降に示す機能水脱臭運転80を実行する。つまり、制御部18は、記録手段19に記録されている現在の時間帯における使用頻度が高い場合には機能水脱臭運転80を実行する。
また、現在時刻における使用頻度が「使用する時間帯」、又は、現在時刻が「使用する時間帯」の67.5分前の何れでもない場合には、人体検知センサ13が使用者を検知すると、噴霧部50から脱臭フィルタ48に水を供給する水脱臭運転82を実行する。つまり、制御部18は、記録手段19に記録されている現在の時間帯における使用頻度が低い場合には、噴霧部50から脱臭フィルタ48に水を供給する水脱臭運転82を実行する。
使用頻度が低い場合には、便座装置1の使用回数も少なくなり、悪臭の発生も少なくなることが予想されるため、制御部18は、定期的に機能水を供給する機能水脱臭運転80は実行しない。その代わり、制御部18は人体検知センサ13が検知となってから脱臭フィルタ48に水を供給する水脱臭運転82を実行する。つまり、人体検知センサ13が検知となってからは電解槽28での電気分解を行わず脱臭フィルタ48に水を供給する。
水脱臭運転82では、脱臭フィルタ48に機能水ではなく水を供給しているため、脱臭フィルタ48を通過する空気に含まれる悪臭成分を分解することはできないが、空気に含まれる悪臭成分を捕集することはできる。そのため、脱臭フィルタ48に機能水を供給した場合に比べて脱臭効果は低くなるが、前述の通り、使用頻度が低い場合には、悪臭の発生も少なくなることが予想されるため、人体検知センサ13が検知となってから脱臭フィルタ48に水を供給することで、十分な脱臭効果が得られる。また、人体検知センサ13が検知となった場合のみ脱臭フィルタ48に水を供給するので、定期的に機能水を供給する場合に比べて、脱臭フィルタ48に供給する水の節水および電解槽28の有する第1の電極28a、及び、第2の電極28bの長寿命化を図ることができる。
また、人体検知センサ13が検知となってから水脱臭運転82を実行することで、洗浄ノズル14が使用可能となるまでの時間を短くすることができる。つまり、人体検知センサ13が検知となってから機能水の生成を行って脱臭フィルタ48へ供給すると、機能水が洗浄ノズル14から吐水されるのを防ぐために、脱臭フィルタ48への機能水の供給が完了し、電解槽28からの排水が完了してからでないと洗浄ノズル14を使用することができない。
そのため、人体検知センサ13が検知となってから洗浄ノズル14が使用可能となるまでの時間が長くなってしまう。しかし、水脱臭運転82では脱臭フィルタ48に機能水ではなく水を供給するため、人体検知センサ13が検知となってから、機能水の生成、及び、脱臭フィルタ48への機能水の供給を実行する場合に比べて、便座装置1の使用が開始されてから洗浄ノズル14が使用可能となるまでの時間を短くすることができる。
<第1実施形態の効果>
以上説明したように、本具体例では、制御部18が機能水脱臭運転80を行うことによって、定期的に脱臭フィルタ48に機能水を供給することができ、脱臭フィルタ48が機能水を保持している状態を維持することができる。つまり、人体検知センサ13が検知となる前に予め機能水を脱臭フィルタ48に供給しておくことができるので、洗浄ノズル14から使用者に対しての吐水が必要なときに、脱臭フィルタ48に機能水を供給するために電解槽28を駆動する必要がなく、速やかに洗浄ノズル14から水を吐水することが可能となる。
そして、脱臭の必要性が比較的低い場合には、機能水脱臭運転80を停止しておき、制御部18が所定のトリガーによって水脱臭運転82を行う。水脱臭運転82においては電解槽28による機能水の生成は実行されないため、電解槽28から洗浄ノズル14の吐水部15までの流路に機能水が残らない。そのため、洗浄ノズル14からの吐水が必要な場合に、速やかに洗浄ノズル14から水を吐水することが可能となる。
従って、制御部18は機能水脱臭運転80と水脱臭運転82とを選択して実行することで、便座装置1の使用が開始されてから洗浄ノズル14が使用可能となるまでの時間を短くすることができる。
また、制御部18は所定の時間帯において機能水脱臭運転80を実行し、所定の時間帯以外においては人体検知センサ13による使用者検知を所定のトリガーとして水脱臭運転82を実行する。このようにすることで、強力な脱臭が必要となる時間帯では機能水脱臭運転82により、機能水を脱臭フィルタ48に供給して脱臭を行うことが可能となる。
そして、それほど強力な脱臭が必要でない場合には、人体検知センサ13による使用者検知を所定のトリガーとして水脱臭運転82を実行することで、便座装置1の使用時には脱臭フィルタ48が水を保持した状態を保つことができる。これにより、便座装置1の使用時に発生する悪臭成分を捕集することができ、十分な脱臭効果を得ることができる。
また、制御部18は記録手段19に記録されている使用頻度が高い場合には機能水脱臭運転80を実行し、使用頻度が低い場合には水脱臭運転82を実行する。使用頻度が高い場合には、悪臭が多く発生することが予想されるため、定期的に脱臭フィルタ48に機能水を供給する機能水脱臭運転80を実行することで、脱臭フィルタ48を通過する空気に含まれる悪臭成分を分解、又は、捕集することができ、効率的に脱臭することができる。
一方で、使用頻度が低い場合には、悪臭の発生も少なくなることが予想されるため、制御部18は、定期的に機能水を供給する機能水脱臭運転80は実行しない。その代わり、制御部18は脱臭フィルタ48に水を供給する水脱臭運転82を実行する。この水脱臭運転82では、脱臭フィルタ48に機能水ではなく水を供給しているため、脱臭フィルタ48を通過する空気に含まれる悪臭成分を分解することはできない。しかし、空気に含まれる悪臭成分を捕集することはできるため、脱臭フィルタ48に機能水を供給した場合に比べて脱臭効果は低くなるが、前述の通り、使用頻度が低い場合には、悪臭の発生も少なくなることが予想されるため、人体検知センサ13が検知となってから脱臭フィルタ48に水を供給することで、十分な脱臭効果が得られる。
<変形例>
以上、本願の開示する技術の実施形態について説明したが、本願の開示する技術は上記に限定されるものではない。
例えば、噴霧部50は脱臭フィルタ48に機能水又は水を供給したが、本発明の便座装置1の脱臭装置16はこれに限定されるものではなく、例えば、噴霧部50から脱臭フィルタ48に湯を供給するものであってもよい。
また、噴霧部50は脱臭フィルタ48に機能水を噴霧することで供給するものであったが、本発明の噴霧部50はこれに限定されるものではなく、脱臭フィルタ48に機能水を保持させることができるものであれば、その形態は適宜変更することができる。
また、実施例において噴霧部50から供給される機能水又は水の供給水量を例示して説明したが、本発明の脱臭装置16における機能水又は水の供給水量はこれに限定されるものではなく、適宜変更することができる。
前述した各実施形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。