JP6299751B2 - ガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価方法と評価システム及びガスバリアーフィルムの製造方法 - Google Patents

ガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価方法と評価システム及びガスバリアーフィルムの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6299751B2
JP6299751B2 JP2015510076A JP2015510076A JP6299751B2 JP 6299751 B2 JP6299751 B2 JP 6299751B2 JP 2015510076 A JP2015510076 A JP 2015510076A JP 2015510076 A JP2015510076 A JP 2015510076A JP 6299751 B2 JP6299751 B2 JP 6299751B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water vapor
vapor permeability
gas barrier
barrier film
defect
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2015510076A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2014163039A1 (ja
Inventor
森 宏之
宏之 森
増田 修
修 増田
康一 郡山
康一 郡山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Publication of JPWO2014163039A1 publication Critical patent/JPWO2014163039A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6299751B2 publication Critical patent/JP6299751B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N15/00Investigating characteristics of particles; Investigating permeability, pore-volume or surface-area of porous materials
    • G01N15/08Investigating permeability, pore-volume, or surface area of porous materials
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N21/00Investigating or analysing materials by the use of optical means, i.e. using sub-millimetre waves, infrared, visible or ultraviolet light
    • G01N21/84Systems specially adapted for particular applications
    • G01N21/88Investigating the presence of flaws or contamination
    • G01N21/89Investigating the presence of flaws or contamination in moving material, e.g. running paper or textiles
    • G01N21/892Investigating the presence of flaws or contamination in moving material, e.g. running paper or textiles characterised by the flaw, defect or object feature examined
    • G01N21/894Pinholes
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N15/00Investigating characteristics of particles; Investigating permeability, pore-volume or surface-area of porous materials
    • G01N15/08Investigating permeability, pore-volume, or surface area of porous materials
    • G01N2015/0846Investigating permeability, pore-volume, or surface area of porous materials by use of radiation, e.g. transmitted or reflected light

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Dispersion Chemistry (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Textile Engineering (AREA)
  • Investigating Materials By The Use Of Optical Means Adapted For Particular Applications (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Investigating Or Analysing Materials By Optical Means (AREA)
  • Examining Or Testing Airtightness (AREA)

Description

本発明は、ガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価方法に関する。また、当該水蒸気透過度評価方法を用いたガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価システム及びガスバリアーフィルムの製造方法に関する。より詳しくは、検査効率が改善された水蒸気透過度評価方法等に関する。
従来、プラスチック基板やフィルムの表面に、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム又は酸化ケイ素等の金属酸化物を含む薄膜(ガスバリアー層)を形成したガスバリアーフィルムは、水蒸気や酸素等の各種ガスによる変質を防止するため、各種ガスの遮断を必要とする物品を包装する用途で広く用いられている。また、上記包装用途以外にも、各種ガスによる変質を防止するため、太陽電池、液晶表示素子又は有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子ともいう。)等の電子デバイスを封止する用途にも使用されている。ガスバリアーフィルムは、ガラス基板と比べてフレキシブル性に優れており、ロール式での生産適性や、電子デバイスの軽量化及び取り扱い性の点において優位である。
しかしながら、透明プラスチック等のフィルム基板は、ガラス基板に対しガスバリアー性が劣るという問題がある。ガスバリアー性が劣る基板を用いると、水蒸気や酸素が浸透してしまい、例えば、電子デバイス内の機能を劣化させてしまうという問題があることが分かっている。
従来から用いられてきた水蒸気透過度の評価は、カップ法(JIS Z 0208−1976)やいわゆるモコン法(JIS K 7129−1992 B法)等である。これらの方法のうち、測定可能な範囲の広いモコン法であっても水蒸気透過度が5×10−2〜5×10g/m・24hの範囲が対象となっている。液晶基板や有機EL基板等には、更に高感度の水蒸気透過度の評価が要求されている。
ガスバリアーフィルムのガスバリアー性を評価する方法として、上記方法に加えて、水蒸気透過度を測定するカルシウム腐食法(以下、Ca法ともいう。)が知られている。この方法は、内側にカルシウムの膜を成膜したフィルムを試験片として、恒温恒湿環境下に置き、フィルムを透過した水蒸気と反応して腐食したカルシウムの量を画像処理等で測定し、フィルムの水蒸気透過度を算出する。カルシウム腐食法は、従来のモコン法等よりも高感度に水蒸気透過度を算出することができるが、サンプル試料の一部を抜き取る破壊法である。また、カルシウム腐食法は、抜き取った一部分についての水蒸気透過度を測定するものであって、ガスバリアーフィルム全体の水蒸気透過度を保障するものではない。
また、電気容量型の水分センサーを用いてガスバリアーフィルムの水蒸気バリアー性能を評価する方法(例えば、特許文献1参照。)や、質量分析計を用いて水蒸気透過度を評価する方法(例えば、特許文献2参照。)、サンプルホルダー内にガスを導入し、圧力を検出することでガスバリアーフィルムの欠陥を検出する方法(例えば、特許文献3参照。)が知られている。
しかしながら、いずれの方法もカルシウム腐食法と同様に、サンプル試料を一部抜き取る破壊法であって、ガスバリアーフィルム全体の水蒸気透過度を保障するものではない。
特開2011−242354号公報 国際公開第2010/117012号 特開平10−73527号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、非破壊・非接触でガスバリアーフィルム全体の水蒸気透過度を短時間で算出することができる水蒸気透過度評価方法を提供することである。また、当該水蒸気透過度評価方法を用いた水蒸気透過度評価システム及びガスバリアーフィルムの製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討したところ、フィルムの欠陥を検出し、欠陥の特徴量に基づいて欠陥毎の局所水蒸気透過度を算出し、局所水蒸気透過度からガスバリアーフィルム全体の水蒸気透過度を算出することで本発明の課題を解決できることを見出し本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.フィルムの欠陥に関する情報に基づき水蒸気透過度を評価するガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価方法であって、
(1)ガスバリアーフィルムの欠陥を検出する欠陥検出ステップと、
(2)前記欠陥検出ステップにより検出される欠陥毎の局所水蒸気透過度を、当該欠陥の特徴量を用いて算出する局所水蒸気透過度算出ステップと、
(3)前記局所水蒸気透過度算出ステップにより算出される局所水蒸気透過度に基づいて、測定範囲のガスバリアーフィルム全体の水蒸気透過度を算出する水蒸気透過度算出ステップと、
を含むことを特徴とするガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価方法。
2.前記局所水蒸気透過度算出ステップでは、前記欠陥の特徴量に基づきあらかじめ作成した局所水蒸気透過度の推定モデルを用いて、前記欠陥検出ステップにより検出された欠陥毎の局所水蒸気透過度を算出することを特徴とする第1項に記載のガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価方法。
3.前記水蒸気透過度算出ステップでは、前記局所水蒸気透過度算出ステップで算出される局所水蒸気透過度の前記測定範囲の合計値から単位面積当たりの水蒸気透過度に換算し、さらに当該単位面積当たりの水蒸気透過度をカルシウム腐食法により得られた水蒸気透過度の実測値を用いて補正することを特徴とする第1項又は第2項に記載のガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価方法。
4.ガスバリアーフィルムの欠陥を検出する欠陥検出手段と、
前記欠陥検出手段により検出される欠陥毎の局所水蒸気透過度を、欠陥の特徴量を用いて算出する局所水蒸気透過度算出手段と、
前記局所水蒸気透過度算出手段により算出される局所水蒸気透過度に基づいて測定範囲のガスバリアーフィルム全体の水蒸気透過度を算出する水蒸気透過度算出手段と、
を備えることを特徴とするガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価システム。
5.前記欠陥検出手段は、エリアセンサーカメラ又はラインセンサーカメラにより光学的に撮像され、得られた前記ガスバリアーフィルムの画像の画像データから欠陥を検出することを特徴とする第4項に記載のガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価システム。
6.前記欠陥検出手段により検出される欠陥及び前記水蒸気透過度算出手段により算出される位面積当たりの水蒸気透過度から、ガスバリアーフィルムの水蒸気透過度分布を算出する水蒸気透過度分布算出手段を備えることを特徴とする第4項又は第5項に記載のガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価システム。
7.前記ガスバリアーフィルムを製造する工程において、当該ガスバリアーフィルムの水蒸気透過度を評価するために用いられることを特徴とする第4項から第6項までのいずれか一項に記載のガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価システム。
8.第1項から第3項までのいずれか一項に記載のガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価方法を用いて、ガスバリアーフィルムの水蒸気透過度を評価する工程を有することを特徴とするガスバリアーフィルムの製造方法。
9.第4項から第7項までのいずれか一項に記載のガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価システムを用いて、ガスバリアーフィルムの水蒸気透過度を評価する工程を有することを特徴とするガスバリアーフィルムの製造方法。
本発明の上記手段により、非破壊・非接触でガスバリアーフィルム全体の水蒸気透過度を短時間で算出することができる水蒸気透過度評価方法を提供することができる。また、当該水蒸気透過度評価方法を用いた水蒸気透過度評価システム及びガスバリアーフィルムの製造方法を提供することができる。
フィルム基板を用いる有機エレクトロルミネッセンス素子等の電子デバイスにおいて、水蒸気に対する高いガスバリアー性を有するフィルム基板が必須であり、フィルム基板の欠陥等による水蒸気透過度の上昇が電子デバイスの劣化につながる。そこで、フィルムを撮像し、撮像した画像を用いてフィルムの欠陥を検出することにより欠陥毎の局所水蒸気透過度を算出し、局所水蒸気透過度からフィルム全体の水蒸気透過度を短時間で算出することで、フィルムが非破壊・非接触の状態で、信頼性の高い水蒸気透過度が得られることを見出した。
本発明の水蒸気透過度評価システムの一例を示す概略構成図 本発明の水蒸気透過度評価システムの主要構成を示すブロック図 本発明に係るガスバリアーフィルムの一例を示す断面図 欠陥直径と水蒸気透過量に関係を示すグラフ 局所水蒸気透過度推定モデル作成処理の流れを示すフローチャート 水蒸気透過度評価システムによる水蒸気透過度評価処理の流れを示すフローチャート
本発明の水蒸気透過度評価方法は、ガスバリアーフィルムの欠陥を検出する欠陥検出ステップと、検出される欠陥毎の局所水蒸気透過度を、当該欠陥の特徴量を用いて算出する局所水蒸気透過度算出ステップと、算出される局所水蒸気透過度に基づいて、測定範囲のガスバリアーフィルム全体の水蒸気透過度を算出する水蒸気透過度算出ステップと、を含むことを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項9に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果をより発現できる点で、前記局所水蒸気透過度算出ステップでは、前記欠陥の特徴量に基づきあらかじめ作成した局所水蒸気透過度の推定モデルを用いて、前記欠陥検出ステップにより検出された欠陥毎の局所水蒸気透過度を算出することが好ましい。これにより、非破壊・非接触の状態で実測値により近い局所水蒸気透過度を算出することができる。
また、本発明においては、前記水蒸気透過度算出ステップでは、前記局所水蒸気透過度算出ステップで算出される局所水蒸気透過度の前記測定範囲の合計値から単位面積当たりの水蒸気透過度に換算し、さらに当該単位面積当たりの水蒸気透過度をカルシウム腐食法により得られた水蒸気透過度の実測値を用いて補正することが好ましい。これにより、欠陥検出により検出することが難しい微小な欠陥による僅かな誤差を補正することができる。
また、本発明においては、ガスバリアーフィルムの欠陥を検出する欠陥検出手段と、前記欠陥検出手段により検出される欠陥毎の局所水蒸気透過度を、欠陥の特徴量を用いて算出する局所水蒸気透過度算出手段と、前記局所水蒸気透過度算出手段により算出される局所水蒸気透過度に基づいて測定範囲のガスバリアーフィルム全体の水蒸気透過度を算出する水蒸気透過度算出手段と、を備えることが好ましい。欠陥毎の局所水蒸気透過度に基づいて測定範囲のガスバリアーフィルム全体の水蒸気透過度を算出しているため、非破壊、非接触で広範囲に水蒸気透過度を得ることができる。
また、本発明においては、前記欠陥検出手段は、エリアセンサーカメラ又はラインセンサーカメラにより光学的に撮像され、得られた前記ガスバリアーフィルムの画像の画像データから欠陥を検出することが好ましい。ガスバリアーフィルムの状態に応じて最適な光学系を選択して、広範囲に撮像されたガスバリアーフィルムの画像データから欠陥を検出することができる。さらに高画素、高スキャンレートのカメラを用いれば本評価方法のインライン化も可能になる。
また、本発明においては、前記欠陥検出手段により検出される欠陥及び前記水蒸気透過度算出手段により算出される位面積当たりの水蒸気透過度から、ガスバリアーフィルムの水蒸気透過度分布を算出する水蒸気透過度分布算出手段を備えることが好ましい。これにより、ガスバリアーフィルムの水蒸気透過度を視覚的に捉えることができる。
また、本発明においては、前記ガスバリアーフィルムを製造する工程において、当該ガスバリアーフィルムの水蒸気透過度を評価するために用いられることが好ましい。ガスバリアーフィルムの水蒸気透過度の評価が製造工程に組み込まれていることで、水蒸気透過度と製造条件を対応付けることが容易となる。
また、本発明のガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価方法は、ガスバリアーフィルムの製造方法にガスバリアーフィルムの水蒸気透過度を評価する工程として具備されることが、時間的・経済的な観点から好ましい。
また、本発明のガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価システムは、ガスバリアーフィルムの製造方法にガスバリアーフィルムの水蒸気透過度を評価する工程として具備されることが、時間的・経済的な観点から好ましい。
以下、本発明とその構成要素及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
<水蒸気透過度評価方法の概要>
本発明の水蒸気透過度評価方法は、フィルムの欠陥に関する情報に基づき水蒸気透過度を評価するガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価方法であって、(1)ガスバリアーフィルムの欠陥を検出する欠陥検出ステップと、(2)前記欠陥検出ステップにより検出される欠陥毎の局所水蒸気透過度を、当該欠陥の特徴量を用いて算出する局所水蒸気透過度算出ステップと、(3)前記局所水蒸気透過度算出ステップにより算出される局所水蒸気透過度に基づいて、測定範囲のガスバリアーフィルム全体の水蒸気透過度を算出する水蒸気透過度算出ステップと、を含む。
具体的には、太陽電池、液晶表示素子又は有機EL素子等の電子デバイスに用いられるガスバリアーフィルムについて、ガスバリアーフィルムの欠陥を検出する。次に、検出された欠陥の局所水蒸気透過度を、欠陥の特徴量、例えば、クラック等の欠陥の面積、縦横比、長径、密集度等を用いて算出する。そして、算出された局所水蒸気透過度に基づいて、測定範囲のガスバリアーフィルム全体の水蒸気透過度を算出する。
局所水蒸気透過度算出ステップでは、欠陥の特徴量に基づきあらかじめ作成した局所水蒸気透過度の推定モデルを用いて、欠陥検出ステップにより検出された欠陥毎の局所水蒸気透過度を算出することが好ましい。
具体的には、測定対象となるフィルムの材質等に合わせて、最適な欠陥の特徴量を用いてあらかじめ局所水蒸気透過度の推定モデルを作成しておく。そして、欠陥検出ステップにより検出された欠陥毎の局所水蒸気透過度を推定モデルに基づいて算出することができる。
測定対象となるフィルムの材質に合わせた最適な欠陥の特徴量の選択は、複数の特徴量から適宜選択した特徴量に基づいて重回帰分析法により作成した推定モデルのうち、欠陥の特徴量の寄与が高いものを選ぶことができる。測定対象となるフィルムの材質に合わせた最適な欠陥の特徴量の選択は、1種類のフィルムに対して一度行えばよい。
水蒸気透過度算出ステップでは、局所水蒸気透過度算出ステップで算出される局所水蒸気透過度の測定範囲の合計値から単位面積当たりの水蒸気透過度に換算し、さらに当該単位面積当たりの水蒸気透過度をカルシウム腐食法により得られた水蒸気透過度の実測値を用いて補正する。
具体的には、局所水蒸気透過度算出ステップにより算出された局所水蒸気透過度に基づいて、測定範囲のガスバリアーフィルム全体の水蒸気透過度の合計値を算出する。この合計値から単位面積当たりの水蒸気透過度に換算し、単位面積当たりの水蒸気透過度を、例えば、カルシウム腐食法により得られた水蒸気透過度の実測値を用いて補正することができる。カルシウム腐食法等の実測値に基づいて、算出された単位面積当たりの水蒸気透過度を補正する際には、補正項を用いることができる。この補正項は、推定モデルを作成した際に実測値と合致するように調整するための値である。
<水蒸気透過度評価システムの構成>
本発明のガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価方法を用いるガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価システム100の構成の一例として、図1に示す。ガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価システム100の機能ブロック図を図2に示す。
図1に示すとおり、本発明のガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価システム100は、画像処理装置1、撮像調整装置2、撮像装置3及びフィルム観察台4を備えていることが好ましい。
[画像処理装置]
画像処理装置1は、撮像調整装置2及び撮像装置3と相互に通信可能に接続されている。以下において、画像処理装置1の各構成について説明する。
図2に示すとおり、画像処理装置1は、制御部11、記録部12、通信部13、データ処理部14(欠陥検出部14a、局所水蒸気透過度算出部14b、水蒸気透過度算出部14c、水蒸気透過度分布算出部14d)及び操作表示部15等を備え、バス16により各部が相互に通信可能に接続されている。
制御部11は、画像処理装置1の動作を統括制御するCPU(Central Processing Unit)11aと、CPU11aがプログラムを実行する際に各種データを一時的に格納するためのワークメモリーとして機能するRAM(Random Access Memory)11bと、CPU11aが読み出して実行するプログラムや固定データが記憶されたプログラムメモリー11cなどを備えている。プログラムメモリー11cは、ROMなどにより構成されている。
記録部12は、撮像装置3により撮像されたガスバリアーフィルムの画像データの他、データ処理部で用いる閾値のデータや水蒸気透過度についてのデータ処理部により処理されたデータ等を記録する。具体的には、記録部12は、通信部13により受信された画像データ、画像データからデータ処理部14により解析された局所水蒸気透過度やガスバリアーフィルムの単位面積当たりの水蒸気透過度等を記録する。
通信部13は、ネットワークI/F等の通信用のインターフェイスを備え、イントラネット等のネットワークを介して、操作表示部15から入力された撮像条件を撮像調整装置2に送信する。また、通信部13は、撮像装置3により撮像されたガスバリアーフィルムの画像データを受信する。
データ処理部14は、通信部13により受信した、撮像装置3により撮像されたガスバリアーフィルムの画像データについて解析する。
データ処理部14は、欠陥検出部14a、局所水蒸気透過度算出部14b及び水蒸気透過度算出部14cを備え、さらに、水蒸気透過度分布算出部14dを備えることが好ましい。
欠陥検出部14aは、ガスバリアーフィルムの欠陥を検出する。また、欠陥検出部は、エリアセンサーカメラ又はラインセンサーカメラにより光学的に撮像され、得られたガスバリアーフィルムの画像の画像データから欠陥を検出することが好ましい。
具体的には、欠陥検出部は、エリアセンサーカメラ又はラインセンサーカメラにより光学的にガスバリアーフィルムを撮像し、得られた画像の画像データを、通信部13を介して受信する。そして、ガスバリアーフィルムの画像データを画像処理により解析し、欠陥を検出する。画像データを画像処理する方法としては、種々の公知の方法を用いることができる。例えば、画像データをあらかじめ設定された閾値により二値化することで、クラック等の欠陥を検出することができる。閾値は、測定対象であるガスバリアーフィルムの材質及び厚さ等により適宜変更することができる。
欠陥検出部14aは、ガスバリアーフィルムの欠陥を検出する欠陥検出手段として機能する。
局所水蒸気透過度算出部14bは、欠陥検出部14aにより検出される欠陥毎の局所水蒸気透過度を、当該欠陥の特徴量を用いて算出する。
具体的には、局所水蒸気透過度算出部14bは、欠陥の特徴量として、例えば、欠陥の直径、面積、縦横比、重心、円形度等から選択することができる。局所水蒸気透過度算出部14bは、ガスバリアーフィルムの材質等に合わせて、欠陥の特徴量を選択し、欠陥の特徴量を用いて欠陥毎の局所水蒸気透過度を算出することができる。
局所水蒸気透過度算出部14bは、欠陥検出部14aにより検出される欠陥毎の局所水蒸気透過度を、当該欠陥の特徴量を用いて算出する局所水蒸気透過度算出手段として機能する。
水蒸気透過度算出部14cは、局所水蒸気透過度算出部14bにより算出される局所水蒸気透過度に基づいて測定範囲のガスバリアーフィルム全体の水蒸気透過度を算出する。
具体的には、水蒸気透過度算出部14cは、局所水蒸気透過度算出部14bにより算出される欠陥毎の局所水蒸気透過度を合計することで測定範囲のガスバリアーフィルム全体の水蒸気透過度を算出することができる。
また、水蒸気透過度算出部14cは、欠陥を検出する分解能によって検出可能な欠陥サイズが異なるため、検出していない欠陥からの局所水蒸気透過度分を補正することが好ましい。通常、検出していない欠陥の影響で推定モデルによる値はカルシウム腐食法等の従来法による実測値よりも低い値になり、推定値と実測値は相関を持つことが経験的に分かっている。そこで、本発明の水蒸気透過度評価方法で水蒸気透過度を推定した任意のサンプル数個を用いて、カルシウム腐食法によって水蒸気透過度を実測した実測値と推定値との誤差を補正することができる。
水蒸気透過度算出部14cは、局所水蒸気透過度算出部14bにより算出される局所水蒸気透過度に基づいて測定範囲のガスバリアーフィルム全体の水蒸気透過度を算出する水蒸気透過度算出手段として機能する。
水蒸気透過度分布算出部14dは、欠陥検出部14aにより検出される欠陥及び水蒸気透過度算出部14cにより算出される単位面積当たりの水蒸気透過度から、ガスバリアーフィルムの水蒸気透過度分布を算出する。
具体的には、水蒸気透過度分布算出部14dは、欠陥検出部14aにより検出される欠陥及び水蒸気透過度算出部14cにより算出される単位面積当たりの水蒸気透過度から、ガスバリアーフィルムの欠陥の位置に対応させた水蒸気透過度の分布を算出することができる。
水蒸気透過度分布算出部14dは、欠陥検出部14aにより検出される欠陥及び水蒸気透過度算出部14cにより算出される単位面積当たりの水蒸気透過度から、ガスバリアーフィルムの水蒸気透過度分布を算出する水蒸気透過度分布算出手段として機能する。
操作表示部15は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、LCDを覆うように設けられたタッチパネル、各種スイッチやボタン、テンキー、操作キー群等(図示略)から構成されてもよい。操作表示部15は、ユーザーからの指示を受け付けその操作信号を制御部11に出力する。また、操作表示部15は、制御部11から出力される表示信号に従って、各種操作指示や設定情報を入力するための各種設定画面や各種処理結果等を表示する操作画面をLCD上に表示する。
[撮像調整装置]
撮像調整装置2は、画像処理装置1から受信した撮像条件に基づいて撮像装置3を調整する。
具体的には、撮像調整装置2は、画像処理装置1から受信した撮像条件、例えば、ガスバリアーフィルムからの位置、撮像時の光量、シャッタースピード、撮像装置3の撮影間隔、移動速度等に基づいて撮像装置3を調整することができる。
[撮像装置]
撮像装置3は、撮像調整装置2により調整された条件でガスバリアーフィルムの表面を撮像する。
撮像装置3は、撮像カメラ31及び照明光源32を備えている。撮像カメラ31は、例えば、エリアセンサーカメラ又はラインセンサーカメラで光学的にガスバリアーフィルムの表面を撮像することができる。ガスバリアーフィルムが平らで面積が大きい場合には、広範囲を一度に撮像できるエリアセンサーカメラが適している。また、ガスバリアーフィルムがロール状である場合には、ロールの影の影響を受けにくいラインセンサーカメラが適している。また、ガスバリアーフィルムの面積が狭い場合には、撮像装置を備える光学顕微鏡で撮像することもできる。撮像カメラ31は、ガスバリアーフィルムの大きさや状態に合わせて適宜選択することができる。
具体的には、撮像装置3は、撮像調整装置2により調整された条件、例えば、撮像カメラの位置、光量、撮像カメラの移動方向等に従ってガスバリアーフィルムの表面を撮像し、画像データを得る。撮像装置3は、得られた画像データを、通信部13を介して画像処理装置1に送信する。
[フィルム観察台]
フィルム観察台4は、例えば、フィルム固定台41、二軸電動ステージ42及び装置フレーム43を備える態様が好ましい。
具体的には、フィルム観察台4は、フィルム固定台41によって試料となるガスバリアーフィルムを固定し、表面を撮像カメラにより撮像できるように固定する。試料となるガスバリアーフィルムが、例えば、ロール状に巻き取られている場合であっても、短軸方向をフィルム固定台41によって固定し、所定の速さで二軸電動ステージを動かし、ガスバリアーフィルムを長軸方向に移動させることで、フィルム観察台4よりも広い範囲を撮像カメラ31で撮像することができる。
なお、フィルム観察台4は、画像処理装置1と通信可能に接続されていてもよい。画像処理装置1とフィルム観察台4を相互に通信可能に接続することで、ガスバリアーフィルムを移動させる速度を画像処理装置1により設定してもよい。
[外部出力装置]
画像処理装置1は、画像処理装置1と通信可能に接続される外部出力装置5を備えていてもよい。外部出力装置5は、一般的なPC(Personal Computer)であってもよいし、画像形成装置等であってもよい。また、外部出力装置5は、画像処理装置1の操作表示部15の代わりに操作表示部として機能してもよい。
<ガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価方法>
[ガスバリアーフィルムの局所水蒸気透過度の推定モデル作成処理]
次に、図5及び図6に示すフローチャートを参照しながらガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価方法について説明する。
具体的には、図5に示すガスバリアーフィルムの局所水蒸気透過度の推定モデルの作成処理と、図6に示すガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価処理について説明する。
ガスバリアーフィルムの局所水蒸気透過度の推定モデル作成処理は、測定対象の試料と同等の試料を用いてカルシウム腐食法等の方法により試料の一部の範囲について水蒸気透過度を測定し、測定した水蒸気透過度に基づいてガスバリアーフィルムの局所水蒸気透過度算出に用いる局所水蒸気透過度の推定モデルを作成する処理である。
制御部11は、記録部12に記録された撮像条件、画像処理の閾値及び検出パラメーター等のガスバリアーフィルムの表面の撮像及び画像処理についての設定を行う(ステップS1)。
具体的には、制御部11は、撮像条件を撮像装置3に通信部13を介して送信し、画像処理の閾値及び検出パラメーターを欠陥検出部14aに送信する。なお、撮像条件等の設定は、あらかじめ記録部12に記録されている条件を用いてもよいし、測定対象となる試料の状態、所望の水蒸気透過度の精度に合わせてユーザーが操作表示部15により入力又は変更することができる。
次に、撮像装置3は、ガスバリアーフィルムの表面を撮像し、表面の画像データを取得する(ステップS2)。
具体的には、撮像装置3は、画像処理装置1から入力された撮像条件等でガスバリアーフィルムの表面を撮像し、得られた画像を画像データとして通信部13を介して欠陥検出部14aに送信する。
次に、画像処理装置1のデータ処理部14は、通信部13より受信した画像データをステップS1にて設定された画像処理の閾値に基づいて二値化処理等の画像処理を行う(ステップS3)。
具体的には、データ処理部14は、一般的な二値化処理を画像データに行えばよく、所定の閾値に基づいて画像の輝度値が閾値以上のものを白、閾値未満のものを黒とする画像処理を行うことができる。設定する閾値の値は、測定対象となるガスバリアーフィルムの材質や厚さ等に応じて適宜設定することができる。
なお、二値化処理を行う前に、例えば、公知の平滑化フィルターやメディアンフィルター等によりノイズ除去をあらかじめ行ってもよい。
次に、欠陥検出部14aは、ガスバリアーフィルムの欠陥を検出する(ステップS4)。
具体的には、ステップS3にて所定の閾値に基づいて二値化されたガスバリアーフィルムの表面の画像データのうち、例えば、黒に画像処理された部分を欠陥として検出する。
次に、データ処理部14は、ステップS4にて検出された欠陥から欠陥特徴量を取得する(ステップS5)。
具体的には、二値化された画像データから検出された欠陥の欠陥特徴量、例えば、欠陥の最大フェレー直径、面積、面積比、縦横比、重心、円形度、外接長方形長さ、外接長方形幅、外周、等価楕円長軸、等価楕円短軸、等価長方形長辺、等価長方形短辺、等価長方形対角線、最大水平幅、ピーク濃度、平均濃度、密集度、Huモーメント等を算出することができる。算出する欠陥特徴量については、あらかじめ設定されたものを一つ又は複数算出することができる。
次に、カルシウム腐食法等の方法を用いてガスバリアーフィルムの水蒸気透過度を測定する(ステップS6)。
具体的には、制御部は、カルシウム腐食法によるガスバリアーフィルムの水蒸気透過度の実測値を記録部に記憶させる。
なお、あらかじめ測定対象となる試料と同等のガスバリアーフィルムの局所水蒸気透過度を測定する方法としては、カルシウム腐食法に限定するものではなく、1.0×10−4g/m・24h未満の水蒸気透過度について測定できる方法であればよい。以下の説明においては、一例としてカルシウム腐食法により得られた局所水蒸気透過度の実測値を用いて説明する。
次に、局所水蒸気透過度算出部14bは、欠陥特徴量から重回帰分析法により水蒸気透過度推定モデルを作成する(ステップS7)。
具体的には、局所水蒸気透過度算出部14bは、ステップS5にて取得された欠陥特徴量のうち寄与率が高くなる適切な変数を説明変数として、欠陥毎の局所水蒸気透過度を目的変数とする重回帰分析を行い、欠陥毎の局所水蒸気透過度推定モデルを作成する。
欠陥特徴量は、一つの欠陥特徴量を用いてもよいし、複数の欠陥特徴量を用いて欠陥毎の局所水蒸気透過度推定モデルを作成してもよい。
一例として、検出された欠陥の直径と水蒸気透過度の関係を表すグラフを図4に示す。欠陥の直径を欠陥特徴量として重回帰分析を行って作成した局所水蒸気透過度推定モデルを示す。
(A) 0μm<欠陥直径≦5μm 3.0×10−11g/point・24h
(B) 5μm<欠陥直径≦40μm 3.0×10−9×欠陥直径−1×10−8g/point・24h
(C) 40μm<欠陥直径 9.0×10−8g/point・24h
ここで、欠陥直径とは、画像処理によって二値化された欠陥の画像の最大フェレー径(欠陥画像に外接する長方形の縦又は横の辺の長さで最大のもの)である。
欠陥毎の欠陥直径に合わせて局所水蒸気透過度推定モデルを用いることで、当該欠陥毎の局所水蒸気透過度を算出することができる。例えば、ガスバリアーフィルムの測定範囲に欠陥直径が3μmの欠陥が10個確認された場合、局所水蒸気透過度推定モデルを用いて3.0×10−11×10とすることで、欠陥直径が0μmより大きく5μm以下の範囲内である欠陥の局所水蒸気透過度の合計値を算出する。欠陥直径が40μmより大きい場合も同様にして局所水蒸気透過度の合計値を算出することができる。欠陥直径が5μmより大きく、40μm以下の場合は、当該範囲の欠陥の欠陥直径の平均値を用いて算出することができる。また、検出された欠陥毎の欠陥直径を推定モデルに代入して、得られた値を合計することで当該範囲の局所水蒸気透過度を算出してもよい。
なお、層構成等によって適した欠陥特徴量の数、種類は異なり欠陥直径に限定するものではない。
[ガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価処理]
次に、図6に示すフローチャートを参照しながらガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価処理について説明する。
ガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価処理は、局所水蒸気透過度推定モデル作成処理により作成された水蒸気透過度の推定モデルを用いて、測定試料のガスバリアーフィルム全体の水蒸気透過度を算出することで水蒸気透過度を評価する処理である。
ステップS11〜S15の処理については、図5に示すステップS1〜S5と同様の処理を測定対象となる試料に行う。
局所水蒸気透過度算出部14bは、ステップS14にて検出された欠陥毎の局所水蒸気透過度を、当該欠陥の特徴量を用いて局所水蒸気透過度を算出する(ステップS16)。
具体的には、局所水蒸気透過度算出部14bは、局所水蒸気透過度推定モデル作成処理で作成した局所水蒸気透過度の推定モデルを用いて、局所水蒸気透過度を算出する。例えば、欠陥特徴量として欠陥直径を用いた場合、上記推定モデル(A)〜(C)のいずれかの欠陥直径の範囲に対応する水蒸気透過度推定モデルを用いて、欠陥毎の局所水蒸気透過度を算出することができる。
次に、水蒸気透過度算出部14cは、ステップS16により算出される局所水蒸気透過度に基づいて測定範囲のガスバリアーフィルム全体の水蒸気透過度を算出する(ステップS17)。
具体的には、水蒸気透過度算出部14cは、測定範囲の検出された欠陥毎の局所水蒸気透過度に基づいて、測定範囲のガスバリアーフィルム全体の水蒸気透過度を合計値として算出する。
例えば、欠陥特徴量として欠陥直径を用いる場合、欠陥直径に応じた欠陥数を算出し、局所水蒸気透過度推定モデルにより局所水蒸気透過度の合計値を算出する。
(A) 0μm<欠陥直径≦5μm 欠陥数 X
(B) 5μm<欠陥直径≦40μm 欠陥数 Y
(C) 40μm<欠陥直径 欠陥数 Z
欠陥直径の範囲に応じた欠陥の合計数について、(A)の欠陥直径の範囲内では欠陥数がX、(B)の欠陥直径の範囲内では欠陥数がY、(C)の欠陥直径の範囲内では欠陥数がZであるとする。
ガスバリアーフィルムを透過する水蒸気量が、欠陥部分を透過する水蒸気量が支配的とすると、欠陥毎の局所水蒸気透過度と欠陥数の積の合計によってガスバリアーフィルムの水蒸気透過度を算出することができる。
従って、推定モデル及び上記欠陥数を用いて以下の式(D)により求めることができる。
式(D):
測定範囲内の水蒸気透過度(補正前)[g/24h]=3.0×10−11×X+(3.0×10−9×欠陥直径の平均値−1×10−8)×Y+9.0×10−8×Z
次に、データ処理部14は、測定対象となるガスバリアーフィルムと同等の試料についてカルシウム腐食法による水蒸気透過度の実測値を用いて算出した水蒸気透過度を補正する(ステップS18)。
具体的には、データ処理部14は、カルシウム腐食法による水蒸気透過度の実測値と局所水蒸気透過度推定モデルにより算出した局所水蒸気透過度を比較することで補正値を求める。また、測定対象となるガスバリアーフィルムと同等の試料を複数用意し、水蒸気透過度評価処理により測定範囲の水蒸気透過度を算出した試料についてカルシウム腐食法を実施し、推定モデルとの誤差を平均化することで補正項をあらかじめ求めておいてもよい。
補正項を用いて式(D)を以下のように補正する。
式(E):
測定範囲内の水蒸気透過度(補正後)[g/24h]=k×{3.0×10−11×X+(3.0×10−9×欠陥直径の平均値−1×10−8)×Y+9.0×10−8×Z}
次に、データ処理部14は、ステップS18にて補正された水蒸気透過度を用いて単位面積当たりの水蒸気透過度を算出する(ステップS19)。
具体的には、データ処理部14は、カルシウム腐食法による実測値から補正された水蒸気透過度を測定範囲で割ることで単位面積当たりの水蒸気透過度を算出することができる。
例えば、上記式(E)を単位面積換算すると、
式(F):
水蒸気透過度[g/m・24h]=k×{3.0×10−11×X+(3.0×10−9×欠陥直径の平均値−1×10−8)×Y+9.0×10−8×Z}/測定範囲[m
また、画像処理装置は、欠陥検出部により検出される欠陥及び水蒸気透過度算出部により算出される単位面積当たりの水蒸気透過度から、ガスバリアーフィルムの水蒸気透過度分布を算出する水蒸気透過度分布算出部14dを備えることが好ましい。
具体的には、欠陥検出部により検出されたガスバリアーフィルムの欠陥の、例えば、位置、大きさ、範囲等に対応させて、水蒸気透過度算出部により算出された単位面積当たりの水蒸気透過度からガスバリアーフィルムの水蒸気透過度分布を撮像装置により得られた画像データに反映させることができる。なお、測定範囲全体の水蒸気透過度分布を求めたい場合には、測定範囲のガスバリアーフィルム全体の水蒸気透過度を用いて水蒸気透過度分布を算出してもよい。
また、ガスバリアーフィルムの製造方法としては、ガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価方法又は水蒸気透過度評価システムを用いて、ガスバリアーフィルムの水蒸気透過度を評価する工程を有することが好ましい。
当該ガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価方法及び水蒸気透過度評価システムは、非破壊・非接触でガスバリアーフィルム全体の水蒸気透過度を測定することから、ガスバリアーフィルムの製造工程に組み込み水蒸気透過度を評価することができる。
<ガスバリアーフィルムの構成>
測定対象となるガスバリアーフィルムの一例を図3に示す。図3に示すように、ガスバリアーフィルムFは、基板F1、ブリードアウト防止層F2、平滑層F3、ガスバリアー層F4から構成されている。
ガスバリアーフィルムFは、図3に示すように、基板F1の一方の面に平滑層F3を備え、その平滑層F3上にガスバリアー層F4が積層されている。また、基板F1の他方の面側にはブリードアウト防止層F2を備えている。図3に示すガスバリアーフィルムは一例であって、測定対象となるガスバリアーフィルムを限定するものではない。
以下、本発明に係るガスバリアーフィルムの主要構成について、詳細に説明する。
〔基板〕
ガスバリアーフィルムFを構成する基板F1としては、可撓性を有する折り曲げ可能な樹脂フィルムが挙げられるが、ガラス基板等であってもよい。この基板F1は、ガスバリアー性を有するガスバリアー層F4や本発明に係る平滑層F3及びその他の各種機能層を保持することができる材料であれば、特に限定されるものではない。
基板F1に適用可能な樹脂材料としては、例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ナイロン(Ny)、芳香族ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド等の樹脂材料から構成される樹脂フィルム、有機無機ハイブリッド構造を有するシルセスキオキサンを基本骨格とした耐熱透明フィルム(製品名:シルプラス、新日鐵化学株式会社製)、さらには上記したフィルム材料を2層以上積層して構成される樹脂フィルム等を用いることができる。
これら樹脂フィルムのうち、経済性や入手の容易性の観点からは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)等のフィルムが好ましく用いられる。
また、デバイスを封止する封止工程で高温処理が必要な場合には、耐熱性と透明性を両立した透明ポリイミドフィルム、例えば、東洋紡株式会社製の透明ポリイミド系フィルム(例えば、タイプHM)や、三菱瓦斯化学株式会社製の透明ポリイミド系フィルム(例えば、ネオプリムL L−3430)などを好ましく用いることができる。
本発明に適用する基板F1の厚さとしては、5〜500μmの範囲が好ましいが、撮像装置による撮像条件及び撮像されたガスバリアーフィルムの表面の画像処理における設定条件を調節することができるため、特に限定されない。
上記の樹脂材料を用いた基板F1は、未延伸フィルムでもよく、延伸フィルムでもよい。
〔平滑層〕
平滑層F3は、微小な突起等が存在する基板F1の粗面を平坦化し、基板F1表面の突起等によって基板F1上に成膜するガスバリアー層F4などに凹凸やピンホールが生じないようにするため、及び前記のようなガスバリアー層から拡散してくるアミン触媒やアンモニア、あるいは基板F1からガスバリアー層F4に拡散してくる水分等をトラップする機能を有し、各層間の密着性を向上させる役割を付与した層である。
このような平滑層F3は、例えば、ポリマー骨格中に少なくとも一つのウレタン結合を有する化合物であれば良く、1分子中に少なくとも二つのヒドロキシ基を有する公知のポリオール化合物と、1分子中にイソシアネート基を二つ以上有する公知の多官能イソシアネートを用いて、ウレタン架橋した硬化樹脂であることが好ましい。このような範囲には、イソシアネートで架橋硬化したフェノキシ樹脂及びその共重合体や、ポリビニルアセタール樹脂も含まれる。
〔ガスバリアー層〕
ガスバリアー層F4は、上記方法で形成した平滑層F3上に、ポリシラザンを含有するガスバリアー層形成用塗布液を塗布、乾燥して塗膜を形成した後、形成した塗膜に真空紫外光を照射して改質処理を施すことにより形成することが好ましい。
(ガスバリアー層としての塗膜改質層)
基板及び平滑層上にガスバリアー層を形成する薄膜である塗膜改質層を塗設する方法としては、例えば、ポリシラザンを含むガスバリアー層形成用塗布液を、平滑層上に塗布及び乾燥して形成した塗膜(ポリシラザン含有層)に、真空紫外光を照射する紫外線照射処理を施して、ガスバリアー性を有するポリシラザン改質層であるガスバリアー層に転化する方法である。
例えば、ガスバリアー層は、平滑層上にポリシラザンを含むガスバリアー層形成用塗布液を塗布及び乾燥して形成したポリシラザン含有層に真空紫外光を照射する改質処理を施して、ポリシラザン含有層をガスバリアー層に改質することで形成できる。また、塗布及び乾燥によって形成したポリシラザン含有層(ガスバリアー層)上には、保護層を積層し、その保護層の塗膜面側から真空紫外光を照射するなどの改質処理を施すことによって、ポリシラザン含有層をガスバリアー層に改質して形成することもできる。
(ポリシラザンを含むガスバリアー層形成用塗布液の塗布)
ガスバリアー層は、ポリシラザンを含むガスバリアー層形成用塗布液を塗布し、塗膜を成膜する湿式塗布方法によって形成することが好ましい。
ここで、「ポリシラザン」とは、ケイ素−窒素結合を持つポリマーで、Si−N、Si−H、N−H等の結合を有するSiO、Si及び両方の中間固溶体SiO等から構成されるセラミック前駆体無機ポリマーである。
そのポリシラザンを含むガスバリアー層形成用塗布液を塗布する湿式塗布方法としては、従来公知の方法から適宜選択して用いることができる。具体例な塗布方法としては、スピンコート法、ロールコート法、フローコート法、インクジェット法、スプレーコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法及びグラビア印刷法等が挙げられる。
平滑層上に形成するポリシラザン含有層の膜厚としては、目的に応じて適宜設定されるが、乾燥後の厚さとしては、1nm〜100μmの範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは10nm〜10μmの範囲内であり、最も好ましくは10nm〜1μmの範囲内である。
また、適用するポリシラザンとしては、使用する基板の性状を損なわないように塗布するため、比較的低温条件でセラミック化してシリカに変性する化合物が好ましく、例えば、特開平8−112879号公報に記載の化合物が好ましい。
(ポリシラザンの改質処理:真空紫外光照射処理)
ポリシラザンの改質処理とは、ポリシラザン化合物の一部又は大部分を、酸化ケイ素又は酸化窒化ケイ素へ転化する処理をいう。
この改質処理は、ガスバリアーフィルムを作製するに際し、プラスチック基板への適応という観点から、より低温で、転化反応が可能な紫外光を適用した転化反応が好適に用いられる。
水分が取り除かれたポリシラザン塗膜(ポリシラザン含有層)は、紫外光の照射処理により改質される。紫外線(紫外光と同義)によって生成されるオゾンや活性酸素原子は高い酸化能力を有しており、低温で高い緻密性と絶縁性を有する酸化ケイ素膜又は酸化窒化ケイ素膜を形成することが可能である。
この紫外光照射により、セラミックス化に寄与するOとHO、紫外線吸収剤、ポリシラザン自身等が励起し、活性化される。そして、励起したポリシラザンのセラミックス化が促進され、得られるセラミックス膜が緻密になる。紫外光照射は、塗膜形成後であればいずれの時点で実施しても有効である。
〔保護層〕
本発明に係るガスバリアーフィルムにおいては、必要に応じて、保護層を設けてもよい。該保護層は、平滑層上に形成したガスバリアー層を保護する目的で、ガスバリアー層上に積層されている。
この保護層は、ガスバリアー層上に保護層形成用塗布液を塗布した後、乾燥することによって形成することができる。また、保護層形成用塗布液を塗布、乾燥した後、形成した塗膜に所定の改質処理(例えば、ガスバリアー層の形成に用いるのと同様の真空紫外光を照射する紫外線照射処理や、熱線を照射する加熱処理)を施して、保護層を形成する方法を適用してもよい。
保護層の形成に用いられる化合物としては、有機又は無機の化合物で、紫外〜可視光の領域において透明な被膜であることが好ましく、有機の樹脂として、例えば、ポリエステル樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ビニル変性樹脂、エポキシ樹脂、変性スチレン樹脂、変性シリコン樹脂及びアセタール樹脂等を、1種又は2種以上併せて使用することができる。これらの樹脂には、従来公知の添加剤を加えることもできる。そして、上記の化合物材料(樹脂)及び各種添加剤を、適宜選択した溶剤や希釈剤等で溶解して保護層形成用塗布液を調製した後、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート及びスプレーコート等の公知の湿式塗布方法により、ガスバリアー層上にコーティングし、次いで溶剤や希釈剤等を乾燥除去することにより、保護層を形成することができる。その塗布量としては、0.01〜1g/m(乾燥状態)の範囲内が好ましい。
(保護層の積層方法)
保護層は、平滑層上に設けられたガスバリアー層(ポリシラザン含有層)上に積層される。
保護層の形成方法としては、水分と反応性のある無機化合物を用いる場合には、水分含有率の低い溶媒にその化合物を溶解、分散して調製した保護層形成用塗布液を低湿度環境下で塗布し乾燥することによって形成することが好ましい。ここで低湿度環境における湿度は、温度により変化するので、温度と湿度の関係は露点温度の規定により好ましい形態が示される。好ましい露点温度は4℃以下(温度25℃/湿度25%)で、より好ましい露点温度は−8℃(温度25℃/湿度10%)以下、さらに好ましい露点温度は−31℃(温度25℃/湿度1%)以下である。
また、保護層の厚さは、通常1〜1000nmの範囲であり、好ましくは、10〜500nmの範囲である。本発明において、保護層の厚さが、上記で規定する範囲内にあれば、形成する保護層塗膜の均一性を確保しやすくなり、また、ガスバリアー層を、擦り傷や折り曲げ時のストレスから保護することができる。
〔ブリードアウト防止層〕
また、ガスバリアーフィルムにおいては、図3に示すように、基板F1の平滑層等を形成するのとは反対側の面に、ブリードアウト防止層F2を形成してもよい。
ブリードアウト防止層F2は、平滑層F3を有する基板(フィルム)を加熱した際に、基板F1中からその表面に未反応のオリゴマー等が移行して、フィルム表面を汚染する現象を抑制する目的で、平滑層F3を有する基板F1の反対面に設けられる。ブリードアウト防止層F2は、この機能を有していれば、基本的に平滑層F3と同じ構成をとっても構わない。
ブリードアウト防止層F2に含ませることが可能な重合性不飽和基を有する不飽和有機化合物(以下、ハードコート剤ともいう。)としては、分子中に2個以上の重合性不飽和基を有する多価不飽和有機化合物、あるいは分子中に1個の重合性不飽和基を有する単価不飽和有機化合物等を挙げることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
なお、以下に作製方法の詳細を説明するガスバリアーフィルムは、局所水蒸気透過度推定モデルを作成するためにカルシウム腐食法による水蒸気透過度を測定するものと、本発明のガスバリアーフィルム水蒸気透過度評価方法により水蒸気透過度を測定するものと複数作製している。
(基板の作製)
両面に易接着加工された100μmの厚さのポリエステルフィルム(東洋紡績株式会社製、コスモシャインA4300)を基板F1として用い、シート状の基板F1を温度25℃、相対湿度55%の環境下で96時間保管して調湿した後、下記のように、片面にブリードアウト防止層F2、反対面に平滑層F3を作製して用いた。
(ブリードアウト防止層の形成)
上記基板の片面に、JSR株式会社製 UV硬化型有機/無機ハイブリッドハードコート材OPSTAR Z7535を、乾燥後の層厚が4μmになるようにミカサ製スピンコーター MS−A100を用いてスピンコートにより、塗布した後、空気下で高圧水銀ランプを使用して、1.0J/cmの硬化条件、80℃、3分間の乾燥条件で硬化及び乾燥を行い、ブリードアウト防止層を形成した。
(平滑層の形成)
基板の上記ブリードアウト防止層を形成した面の反対側の面に、二液型ポリウレタン樹脂塗料、ワシンコート MP−6103A(固形分濃度40質量%の酢酸ノルマルブチル溶液);トリレンジイソシアネート系変性イソシアネート樹脂(イソシアネート基を有する素材)、とワシンコート MP−6103B(固形分濃度30質量%のトルエン・メチルエチルケトン混合溶液);変性ポリエステル樹脂(ポリオール)を、ポリオール中のヒドロキシ基とイソシアネート基の質量比率が1:4のようになるように混合し、塗布液としての固形分濃度が10質量%になるように、メチルエチルケトン/メチルイソブチルケトンの1/1の混合溶媒で希釈した塗布液を調製した。これらの塗布液を用いて、乾燥後の層厚が2μmになるようにミカサ製スピンコーター MS−A100を用いてスピンコートにより、塗布した後、80℃、3分間の乾燥条件で乾燥し、その後、40℃の環境下で48時間静置した。
(ガスバリアー層の形成)
次いで、パーヒドロポリシラザン(アクアミカ NN120−10、AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製)の10質量%ジブチルエーテル溶液と、アミン触媒のN,N,N′,N′−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサンの10質量%ジブチルエーテル溶液を、99対1の割合で混合した液体(第1の塗布液)を、ミカサ製スピンコーター MS−A100を用いてスピンコートにより、乾燥後の(平均)膜厚が、250nmとなるように平滑層F3上に塗布し、温度50℃、露点−5℃の乾燥空気で1分間乾燥して塗布試料を得た。得られた塗布試料を、温度95℃、露点−5℃の乾燥空気で2分間処理し、基板F1上面の平滑層F3上にポリシラザン含有層を形成した試料を得た。
各試料の表面に下記装置、条件で真空紫外光照射(エキシマ改質処理)を行い、ポリシラザン含有層を改質してガスバリアー層を形成した。
(エキシマ改質処理)
ポリシラザン塗膜を乾燥し、ポリシラザン含有層を形成した後の上記試料に対し、下記の装置、条件でエキシマ改質処理を施してポリシラザン含有層を改質してガスバリアー層F4を形成した。
〈エキシマ照射装置〉
(株)エム・ディ・コム製エキシマ照射装置MODEL:MECL−M−1−200
波長:172nm
ランプ封入ガス:Xe
〈改質処理条件〉
平均エキシマ光強度 :130mW/cm(172nm)
試料と光源の距離 :2mm
ステージ加熱温度 :95℃
照射装置内の酸素濃度 :0.1%以下を維持
エキシマ光照射時のステージ搬送速度:10mm/秒
エキシマ光照射時のステージ搬送回数:試料表面へのエキシマ光露光量の積算量が5000mJ/cmとなるように調整。
(欠陥検出及び欠陥特徴量の抽出)
分解能1μmで1mmの画像を自動ステージで動かしながらエリアセンサーカメラで取得し、2μm以上の欠陥画像を取得、さらに欠陥毎の特徴量を抽出する。
使用装置:NEXIVシリーズVMR−H3030(ニコン製)
使用ソフト:LabView、NIVision(ナショナルインスツルメンツ製)
使用特徴量:欠陥直径
(カルシウム腐食法によるガスバリアー性の評価)
上記のガスバリアー層を形成した基板(ガスバリアーフィルム)をカルシウム腐食法による実測値を得るために更に作製し、以下の測定方法に従って、ガスバリアーフィルムの水蒸気透過度の実測値をカルシウム腐食法により評価した。
〈評価装置〉
蒸着装置:日本電子製真空蒸着装置JEE−400
恒温恒湿度オーブン:Yamato Humidic ChamberIG47M
水分と反応して腐食する金属:カルシウム(粒状)
水蒸気不透過性の金属:アルミニウム(φ3〜5mm、粒状)
〈ガスバリアー性評価用セルの作製〉
真空蒸着装置(日本電子製真空蒸着装置 JEE−400)を用い、ガスバリアーフィルム試料の保護層の表面に金属カルシウムを蒸着させた。次いで、乾燥窒素ガス雰囲気下で、厚さ0.2mmの石英ガラスに封止用紫外線硬化樹脂(ナガセケムテックス製)を介して金属カルシウム蒸着面を対面させて接着し、紫外線を照射することで、評価用セルを作製した。
特開2005−283561号公報に記載の試験片を恒温恒湿環境下で撮像し、得られた画像を画像処理することで腐食したカルシウムを算出し、水蒸気透過度を測定する方法に基づき、得られた試料(評価用セル)を60℃、90%RHの条件下で保存し、金属カルシウムの腐食量からセル内に透過した水分量を評価した。
(欠陥特徴量からの局所水蒸気透過度推定モデル作成)
説明変数として欠陥直径を用いて重回帰分析を行った結果、局所水蒸気透過度推定モデルは以下のように得られた。
0μm<欠陥直径≦5μm 3.0×10−11g/point・24h
5μm<欠陥直径≦40μm 3.0×10−9×欠陥直径−1.0×10−8g/point・24h
40μm<欠陥直径 9.0×10−8g/point・24h
(局所水蒸気透過度推定モデルから欠陥毎の局所水蒸気透過度算出)
検出された欠陥毎の欠陥直径に応じた欠陥数を表1に示す。
Figure 0006299751
局所水蒸気透過度推定モデルを用いて、検出された欠陥毎の局所水蒸気透過度を算出する。
具体的には、局所水蒸気透過度モデルを用いて表1に示す欠陥数の水蒸気透過度(局所水蒸気透過度の合計値)を算出すると、以下のようになる。
測定範囲内の水蒸気透過度(補正前)[g/24h]=3.0×10−11×X+(3.0×10−9×欠陥直径の平均値−1.0×10−8)×Y+9.0×10−8×Z
なお、欠陥直径の平均値としては、5μmより大きく、40μm以下の範囲内の欠陥の欠陥直径の平均値を用いている。
(局所水蒸気透過度合計値の補正)
本実施例の方法でガスバリアーフィルムを作製し、10cmで5ヵ所抜き取りを行い、推定モデルを用いて水蒸気透過度を算出した後、同じガスバリアーフィルムについてカルシウム腐食法による実測値を求めたところ、それらの最小二乗法による回帰曲線は傾きがほぼ等しく、定数項は実測値が推定値の1.1倍となった。これにより、実施例で作製したガスバリアーフィルムの局所水蒸気透過度の合計値は以下のように補正することができる。
測定範囲内の水蒸気透過度(補正後)[g/24h]=1.1×{3.0×10−11×X+(3.0×10−9×欠陥直径の平均値−1.0×10−8)×Y+9.0×10−8×Z}
(水蒸気透過度の算出)
上記補正した局所水蒸気透過度の合計値を単位面積換算すると、以下に示す水蒸気透過度を得る。
水蒸気透過度[g/m・24h]=1.1×{3.0×10−11×X+(3.0×10−9×欠陥直径の平均値−1.0×10−8)×Y+9.0×10−8×Z}/測定範囲[m
(カルシウム腐食法による抜き取り評価からの水蒸気透過度平均値と比較)
本発明に係るガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価方法による水蒸気透過度は、測定時間12時間、測定範囲150mmで、8.79×10−5[g/m・24h]であった。一方、カルシウム腐食法による水蒸気透過度は、測定時間320時間、測定範囲15mm、測定温度60℃、相対湿度90%RHで、9.00×10−5[g/m・24h]であった。
得られた水蒸気透過度の値は、カルシウム腐食法で得られた実測値と近い値が得られている。
以上より、本発明に係るガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価方法を用いて、非接触、非破壊で短時間、広範囲で信頼性の高い水蒸気透過度を測定することができることがわかった。
本発明のガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価システムにより、非破壊・非接触でガスバリアーフィルム全体の水蒸気透過度を短時間で算出することができ、当該水蒸気透過度評価システムは、水蒸気等のガスにより劣化してしまう有機EL素子等の電子デバイスに用いられるガスバリアーフィルムの品質を検査する分野において利用可能性がある。
100 ガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価システム
1 画像処理装置
2 撮像調整装置
3 撮像装置
31 撮像カメラ
32 照明光源
4 フィルム観察台
41 フィルム固定台
42 二軸電動ステージ
43 装置フレーム
F ガスバリアーフィルム
F1 基板
F2 ブリードアウト防止層
F3 平滑層
F4 ガスバリアー層

Claims (9)

  1. フィルムの欠陥に関する情報に基づき水蒸気透過度を評価するガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価方法であって、
    (1)ガスバリアーフィルムの欠陥を検出する欠陥検出ステップと、
    (2)前記欠陥検出ステップにより検出される欠陥毎の局所水蒸気透過度を、当該欠陥の特徴量を用いて算出する局所水蒸気透過度算出ステップと、
    (3)前記局所水蒸気透過度算出ステップにより算出される局所水蒸気透過度に基づいて、測定範囲のガスバリアーフィルム全体の水蒸気透過度を算出する水蒸気透過度算出ステップと、
    を含むことを特徴とするガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価方法。
  2. 前記局所水蒸気透過度算出ステップでは、前記欠陥の特徴量に基づきあらかじめ作成した局所水蒸気透過度の推定モデルを用いて、前記欠陥検出ステップにより検出された欠陥毎の局所水蒸気透過度を算出することを特徴とする請求項1に記載のガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価方法。
  3. 前記水蒸気透過度算出ステップでは、前記局所水蒸気透過度算出ステップで算出される局所水蒸気透過度の前記測定範囲の合計値から単位面積当たりの水蒸気透過度に換算し、さらに当該単位面積当たりの水蒸気透過度をカルシウム腐食法により得られた水蒸気透過度の実測値を用いて補正することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価方法。
  4. ガスバリアーフィルムの欠陥を検出する欠陥検出手段と、
    前記欠陥検出手段により検出される欠陥毎の局所水蒸気透過度を、欠陥の特徴量を用いて算出する局所水蒸気透過度算出手段と、
    前記局所水蒸気透過度算出手段により算出される局所水蒸気透過度に基づいて測定範囲のガスバリアーフィルム全体の水蒸気透過度を算出する水蒸気透過度算出手段と、
    を備えることを特徴とするガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価システム。
  5. 前記欠陥検出手段は、エリアセンサーカメラ又はラインセンサーカメラにより光学的に撮像され、得られた前記ガスバリアーフィルムの画像の画像データから欠陥を検出することを特徴とする請求項4に記載のガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価システム。
  6. 前記欠陥検出手段により検出される欠陥及び前記水蒸気透過度算出手段により算出される位面積当たりの水蒸気透過度から、ガスバリアーフィルムの水蒸気透過度分布を算出する水蒸気透過度分布算出手段を備えることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価システム。
  7. 前記ガスバリアーフィルムを製造する工程において、当該ガスバリアーフィルムの水蒸気透過度を評価するために用いられることを特徴とする請求項4から請求項6までのいずれか一項に記載のガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価システム。
  8. 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価方法を用いて、ガスバリアーフィルムの水蒸気透過度を評価する工程を有することを特徴とするガスバリアーフィルムの製造方法。
  9. 請求項4から請求項7までのいずれか一項に記載のガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価システムを用いて、ガスバリアーフィルムの水蒸気透過度を評価する工程を有することを特徴とするガスバリアーフィルムの製造方法。
JP2015510076A 2013-04-02 2014-03-31 ガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価方法と評価システム及びガスバリアーフィルムの製造方法 Expired - Fee Related JP6299751B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013076704 2013-04-02
JP2013076704 2013-04-02
PCT/JP2014/059459 WO2014163039A1 (ja) 2013-04-02 2014-03-31 ガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価方法と評価システム及びガスバリアーフィルムの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2014163039A1 JPWO2014163039A1 (ja) 2017-02-16
JP6299751B2 true JP6299751B2 (ja) 2018-03-28

Family

ID=51658335

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015510076A Expired - Fee Related JP6299751B2 (ja) 2013-04-02 2014-03-31 ガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価方法と評価システム及びガスバリアーフィルムの製造方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP6299751B2 (ja)
WO (1) WO2014163039A1 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR3037400B1 (fr) * 2015-06-15 2017-06-09 Arkema France Procede et dispositif de caracterisation d'un schema d'encapsulation transparent
DE102015213974B4 (de) * 2015-07-23 2017-04-06 Fraunhofer-Gesellschaft zur Förderung der angewandten Forschung e.V. Anordnung zur Bestimmung der Permeationsrate einer Probe
JP2018116545A (ja) 2017-01-19 2018-07-26 オムロン株式会社 予測モデル作成装置、生産設備監視システム、及び生産設備監視方法
JP6874441B2 (ja) * 2017-03-16 2021-05-19 コニカミノルタ株式会社 欠陥検査方法、欠陥検査プログラム、および欠陥検査装置
GB201713262D0 (en) * 2017-08-18 2017-10-04 Univ Oxford Innovation Ltd Water vapour permeation

Family Cites Families (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07100A (ja) * 1993-06-14 1995-01-06 Toppan Printing Co Ltd ガス透過性フィルムの選定方法及びガス透過度測定装置
JP3300232B2 (ja) * 1996-08-29 2002-07-08 勤 仲川 ハイバリアフイルムの欠陥検出装置及び方法
JPH10185825A (ja) * 1996-12-26 1998-07-14 Seiji Kagawa 多孔質高分子フィルムの透気度測定装置
JP3582765B2 (ja) * 1997-08-12 2004-10-27 株式会社九州山光社 水蒸気移動制御装置の検査方法
JPH11304724A (ja) * 1998-04-24 1999-11-05 Mitsubishi Rayon Co Ltd 光透過性シートの穴検出装置及び穴検出方法
JP4175732B2 (ja) * 1999-04-27 2008-11-05 株式会社東芝 漏洩量測定装置および漏洩量測定方法
JP2001188048A (ja) * 1999-12-28 2001-07-10 Kuramoto Seisakusho Co Ltd ピンホールの検査方法
JP4001581B2 (ja) * 2004-01-19 2007-10-31 ジーティーアールテック株式会社 ピンホール検出・透過度測定装置
JP4561415B2 (ja) * 2005-03-11 2010-10-13 住友ベークライト株式会社 水蒸気透過度測定装置及び水蒸気透過度測定方法
JP2007254000A (ja) * 2006-03-23 2007-10-04 Sumitomo Metal Mining Co Ltd 評価サンプルとその製造方法および評価サンプルを用いたガスバリア膜の評価方法
US8664963B2 (en) * 2009-07-24 2014-03-04 Alliance For Sustainable Energy, Llc Test device for measuring permeability of a barrier material
JP5369994B2 (ja) * 2009-08-25 2013-12-18 凸版印刷株式会社 水蒸気透過度測定方法および装置

Also Published As

Publication number Publication date
WO2014163039A1 (ja) 2014-10-09
JPWO2014163039A1 (ja) 2017-02-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6299751B2 (ja) ガスバリアーフィルムの水蒸気透過度評価方法と評価システム及びガスバリアーフィルムの製造方法
KR101946132B1 (ko) 가스 배리어 필름 및 그 제조 방법
US20140026961A1 (en) Gas barrier film
US7915586B2 (en) Method for performing mid-IR spectroscopy measurements to measure film coating thickness, weight and/or film composition
JP6288518B2 (ja) ガスバリア性フィルムおよびその製造方法
Lin et al. A novel test method for quantifying cracking propensity of photovoltaic backsheets after ultraviolet exposure
WO2014181810A1 (ja) 水蒸気透過度評価方法、水蒸気透過度評価システム及びガスバリアーフィルムの製造方法
CN110993521A (zh) 封装测试方法和设备
JP4407466B2 (ja) カルシウム腐食法による水蒸気透過度測定方法
JP6086616B2 (ja) 水蒸気透過性測定ユニットおよび水蒸気透過性測定方法
JP6635033B2 (ja) 水蒸気透過度評価方法及び水蒸気透過度評価装置
CN111065515B (zh) 阻气性膜、水蒸气阻隔性评价试验片及阻气性膜的水蒸气阻隔性评价方法
US11708469B2 (en) Composite film and methods of forming a composite film
JP2012086436A (ja) ガスバリア成形体
Thurn Water diffusion coefficient measurements in deposited silica coatings by the substrate curvature method
Pan et al. Water vapor transmission rate measurement for moisture barriers using infrared imaging
JP2012098523A (ja) ガスバリア反射防止成形体
Cai et al. Water Vapor Permeation in Alumina Films on Polymer Substrates
Pan Open-Air Spray-Plasma Depositon of Moisture Barriers
Jitianu et al. Sol–Gel Hybrids for Electronic Applications: Hermetic Coatings for Microelectronics and Energy Storage
KR20150010227A (ko) 배리어 막의 결함 검출 방법 및 배리어 막의 결함 검출 장치
TW202033352A (zh) 積層體、可撓性電子元件及積層體的製造方法
JP2012139859A (ja) 酸素ガスバリア成形体
Zargar et al. Long-Term Performance of Epoxy-Based Coatings: Hydrothermal Exposure
TH116590A (th) วิธีการอาศัยการปล่อยออกแก๊สสำหรับการตรวจสอบพื้นผิวผ่านการเคลือบ

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170718

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170825

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180130

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180212

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6299751

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees