JP6299485B2 - 検査装置及び検査方法 - Google Patents

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Description

本発明は、渦流探傷法を用いてシグマ相を検出する検査装置及び検査方法に関する。
従来、特許第1936261号公報に記載されているように、渦流探傷法を用いてステンレス鋼材のシグマ相を検出する検査方法が知られている。この検査方法では、検査プローブを被検査体に近づけて被検査体に渦電流を発生させ、この渦電流に起因する逆起電力を測定する。被検査体の組織によって渦電流の発生の仕方が異なるため、測定された逆起電力を解析することによってシグマ相の有無を判定することができる。
この検査方法では、検査プローブと被検査体との距離(リフトオフ)が大きくなると信号が小さくなる。検査感度を一定にするため、リフトオフを一定にする必要がある。しかし、被検査体の形状等によっては、リフトオフを一定にすることが困難な場合がある。
特開2012−184931号公報には、鋼板の製造ラインにおいて、当該鋼板に測定プローブを用いて励磁磁場を印加することで鋼板の組織分率を測定する方法が開示されている。この方法は、鋼板に対して、フェライト分率の変化量に対する保磁力の変化量の割合が略一定となる範囲の励磁磁場を印加する磁場印加工程と、磁場印加工程の後に、測定プローブにより保磁力を検出するとともに、鋼板からの測定プローブのリフトオフ量を検出する検出工程と、検出工程で検出したリフトオフ量に基づいて、当該検出工程で検出した保磁力を補正する保磁力補正工程と、保磁力補正工程で補正した保磁力に基づいて、鋼板のフェライト分率を算出するフェライト分率算出工程とを備える。
特許第5387718号公報には、鋼板の局所的な磁気特性分布を測定する磁気特性測定方法が開示されている。この方法は、事前測定用被検体の健全部における感磁性素子の出力と感磁性素子のリフトオフ量との関係を健全部リフトオフデータとしてあらかじめ取得するステップと、事前測定用被検体の欠陥部における感磁性素子の出力と感磁性素子のリフトオフ量との関係を欠陥部リフトオフデータとしてあらかじめ取得するステップと、被検体における感磁性素子の出力と該出力が得られたときの感磁性素子のリフトオフ量とを測定する測定ステップと、健全部リフトオフデータ、欠陥部リフトオフデータ、及び測定ステップにおいて測定されたリフトオフ量を用いて、測定ステップにおいて測定された感磁性素子の出力を補正演算する補正ステップとを備える。
特許第1936261号公報 特開2012−184931号公報 特許第5387718号公報
特開2012−184931号公報及び特許第5387718号公報に記載された検査方法では、リフトオフを測定するためのセンサーが必要になる。
本発明の目的は、リフトオフが変動する場合でも、シグマ相の有無を検査することができる検査装置及び検査方法を提供することである。
本発明による検査装置は、渦流探傷法を用いてシグマ相を検出する検査装置であって、渦電流による信号を測定する測定コイルと、前記測定された信号を第1基準信号で同期検波して第1信号を生成するとともに、前記測定された信号を前記第1基準信号と異なる位相を有する第2基準信号で同期検波して第2信号を生成する同期検波部と、前記第1及び第2信号を所定の時間ごとに取得する標本部と、前記第1信号の値を前記第2信号の値で除した値を算出し、前記算出された値の時間変化を算出する演算部とを備える。
本発明による検査方法は、渦流探傷法を用いてシグマ相を検出する検査方法であって、渦電流による信号を測定するステップと、前記測定された信号を第1基準信号で同期検波して第1信号を生成するとともに、前記測定された信号を前記第1基準信号と異なる位相を有する第2基準信号で同期検波して第2信号を生成するステップと、前記第1及び第2信号を所定の時間ごとに取得するステップと、前記第1信号の値を前記第2信号の値で除した値を算出するステップと、前記算出された値の時間変化を算出するステップとを備える。
本発明によれば、リフトオフが変動する場合でも、シグマ相の有無を検査することができる。
図1は、本発明の一実施形態による検査装置の構成を示す模式図である。 図2は、検査装置の機能的構成を示すブロック図である。 図3は、同期検波器の具体的な構成の一例を示すブロック図である。 図4は、測定信号の2次元表示である。 図5は、移相器を調整した後の測定信号の2次元表示である。 図6は、被検査体である鋼管を軸方向から見た図である。 図7Aは、リフトオフが小さいときの測定信号の2次元表示である。 図7Bは、リフトオフが中間のときの測定信号の2次元表示である。 図7Cは、リフトオフが大きいときの測定信号の2次元表示である。 図8は、信号処理装置の動作を示すフローチャートである。 図9Aは、X信号の値x0と、補正されたX信号の値x1との関係を示す図であり、健全部からの信号を補正した場合を示す図である。 図9Bは、X信号の値x0と、補正されたX信号の値x1との関係を示す図であり、シグマ相部からの信号を補正した場合を示す図である。 図10は、補正されたX信号x1と時間tとの関係を示すグラフである。 図11は、補正されたX信号の時間変化Δx1と時間tとの関係を示すグラフである。
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
[検査装置の構成]
図1は、本発明の一実施形態による検査装置1の構成を示す模式図である。検査装置1は、検査プローブ10、探傷器(同期検波部)30、信号処理装置40、及び探傷ヘッド50を備えている。図1は、被検査体である鋼管90の内側に探傷ヘッド50を挿入し、鋼管90の内周面を検査する場合を示している。
検査プローブ10は、被検査体に磁束を導入して渦電流を発生させるとともに、この渦電流に起因する逆起電力を測定する。
検査プローブ10は、探傷ヘッド50に取り付けられている。探傷ヘッド50は、図1に矢印で示すように、鋼管90の軸方向に沿って移動するとともに、鋼管90の軸方向を中心として回転するように構成されている。この構成によって、鋼管90の内周面に隈なく検査プローブ10を対向させることができる。
探傷器30は、検査プローブ10から供給される信号を調整し、信号処理装置40へ供給する。探傷器30はより具体的には、検査プローブ10によって測定された信号を、互いに異なる位相を有する基準信号で同期検波して2種類の信号として信号処理装置40に供給する。信号処理装置40は、探傷器30から供給される信号を解析して、シグマ相の有無を判定する。
図2は、検査装置1の機能的構成を示すブロック図である。
検査プローブ10は、測定コイル11を含んでいる。測定コイル11は、渦電流による信号を測定する。測定コイル11は、励磁と測定とを一つのコイルで行う自己誘導型コイルであっても良いし、励磁用コイルと測定用コイルとからなる相互誘導型コイルであっても良い。
探傷器30は、発振器31、ブリッジ32、移相器33,34、増幅器35、及び同期検波器36,37を含んでいる。
発振器31は、所定の周波数を有する基準信号を生成する。発振器31で生成された基準信号は、ブリッジ32と移相器33とに供給される。
ブリッジ32は、測定コイル11の微小なインピーダンス変化を電圧に変換し、増幅器35に供給する。増幅器35は、ブリッジ32から供給される信号を増幅して、同期検波器36,37に供給する。
移相器33は、基準信号の周波数を保ったまま位相をシフトして、第1基準信号を生成する。移相器33で生成された第1基準信号は、同期検波器36及び移相器34に供給される。移相器34は、移相器33から供給される第1基準信号の位相をさらにシフトして、第2基準信号を生成し、同期検波器37に供給する。これによって、互いに異なる位相を有する基準信号が、同期検波器36,37に供給される。
同期検波器36,37は、増幅器35から供給される信号を、移相器33,34から供給される基準信号によって同期検波する。より詳しくは、同期検波器36は増幅器35から供給される信号を移相器33から供給される第1基準信号で同期検波し、同期検波器37は増幅器35から供給される信号を移相器34から供給される第2基準信号で同期検波する。
図3は、同期検波器36の具体的な構成の一例を示すブロック図である。同期検波器36は、乗算器361とローパスフィルタ(LPF)362とを備えている。乗算器361は、増幅器35(図2)から供給される信号(測定信号)と移相器33(図2)から供給される第1基準信号(基準信号)とを乗算して、LPF362に供給する。LPF362は、乗算器361から供給される信号を平滑し、直流成分を抽出して出力する。なお、同期検波器37(図2)は、同期検波器36と同様の構成を備えている。
ここで、測定信号の周期をT、周波数をω、振幅をA、位相をδ、第1基準信号の位相をθ、時間をtとすると、同期検波器36が生成する信号は、次の式(1)のようになる。
Figure 0006299485
以下、同期検波器36が生成する信号をX信号(第1信号)、同期検波器37が生成する信号をY信号(第2信号)と呼ぶ。例えば、第1基準信号の位相θを0°、第2基準信号の位相θを90°とすると、式(1)から、X信号は(A/2)cosδ、Y信号は(A/2)sinδとなる。X信号を横軸、Y信号を縦軸に図示すると、図4に示すような測定信号の2次元表示が得られる。
第1基準信号と第2基準信号とは、互いに位相差(180°の整数倍を除く)を有していれば良く、位相差は90°以外であっても良い。
なお、上記では同期検波器36,37として、乗算器を備えた同期検波器を説明したが、乗算器に代えてスイッチング素子を備えた同期検波器を用いても良い。また、上記では探傷器30としてアナログ式の探傷器の構成を説明したが、デジタル式の探傷器を用いても良い。
再び図2を参照して、説明を続ける。信号処理装置40は、標本部41及び演算部42を備えている。標本部41は、同期検波器36,37から供給されるX信号及びY信号を一定時間ごとに取得して、演算部42に供給する。標本部41は例えば、一定時間ごとにアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログ‐デジタル変換器として実現することができる。
演算部42は、標本部41によって取得されたX信号及びY信号に基づいて所定の演算を行い、シグマ相の有無を判定し、判定結果を出力する。
[シグマ相の検出原理]
ここで、検査装置1によるシグマ相の検出原理の概略を説明する。シグマ相が析出していない健全部と、シグマ相が析出しているシグマ相部とは、電気的特性が異なる。そのため、これらの部位に検出プローブ10を対向させたときの測定コイル11のインピーダンスも互いに異なる。これらの信号は、互いに振幅だけではなく位相も異なっている。
次に、リフトオフの変化がない場合のシグマ相の検査方法を説明する。まず初めに、検査プローブ10を健全部に対向させたときのX信号の値がゼロになるように、移相器33を調整する。換言すれば、検査プローブ10を健全部に対向させたときの測定信号がY軸上に位置するように第1基準信号の位相を調整する。このように調整することで、検査プローブ10がシグマ相部に対向したときだけ測定信号にX成分が生じるようにできる。
図5は、移相器33を調整した後の測定信号の2次元表示である。図中の「○」マークは材料がないときの信号の位置を、「△」マークは健全部からの信号の位置を、「☆」マークはシグマ相部からの信号の位置を、それぞれ模式的に表している。リフトオフの変化がない場合には、X信号の値を監視しながら検査プローブ10を走査して、X信号の値が所定の閾値以上になればシグマ相部が存在する(不合格)と判定することができる。
次に、リフトオフが変化する場合について説明する。図6は、被検査体である鋼管90を軸方向から見た図である。リフトオフの大きさは、鋼管90の中心軸と探傷ヘッド50の中心軸とが一致していない場合、探傷ヘッド50が回転することによって変化する。リフトオフの大きさは、鋼管90又は探傷ヘッド50が真円でない場合や、探傷ヘッド90が重力によって撓むことによっても影響を受ける。図6の例では、検査プローブ10が探傷ヘッド50の下部にあるときにリフトオフの値がg1で最も小さく、探傷ヘッド50の上部にあるときにリフトオフの値がg3で最も大きく、探傷ヘッド50の側部にあるときにリフトオフの値がg2でこれらの中間になっている。探傷ヘッド50を一定速度で回転させると、リフトオフの大きさは周期的に変化する。
図7Aは、リフトオフが小さいときの測定信号の2次元表示である。図7Bは、リフトオフが中間のときの測定信号の2次元表示である。図7Cは、リフトオフが大きいときの測定信号の2次元表示である。図7A〜図7Cに示すように、リフトオフが大きくなると測定信号が小さくなる。そのため、図7Cに示すように、リフトオフの大きなところでシグマ相を見逃す可能性がある。
さらに、測定信号はリフトオフが大きくなるのに伴って単に振幅が減少するだけではなく、図7Cの破線で示すような軌跡を描いて変化する。すなわち、リフトオフの大きさによっては、健全部からもX信号が測定される。そのため、リフトオフによって減少した信号を単に増幅したり、あるいは判定の閾値を下げたりするだけでは、今度は逆に健全部をシグマ相部として誤検出する可能性がある。
[信号処理装置の動作]
本実施形態によれば、リフトオフが変動する場合であっても、信号処理装置40によってシグマ相の有無を判定することができる。以下、信号処理装置40の動作を説明する。
図8は、信号処理装置40の動作を示すフローチャートである。信号処理装置40は、X信号及びY信号を所定の時間ごとに取得するステップ(ステップS1)と、X信号の値をY信号の値で除した値を算出するステップ(ステップS2)と、算出された値の時間変化を算出するステップ(ステップS3)と、時間変化が基準値以上であるかを判定するステップ(ステップS4)と、結果を出力するステップ(ステップS5)とを実行する。
信号処理装置40の標本部41は、同期検波器36,37から供給されるX信号及びY信号を所定の時間ごとに取得する(ステップS1)。取得したX信号の値をx0、Y信号の値をy0とする。
信号処理装置40の演算部42は、X信号の値x0をY信号の値y0で除して、補正されたX信号の値x1=x0/y0を算出する(ステップS2)。既述のように、測定信号はリフトオフの大きさに応じて図7Cの破線で示すような軌跡を描いて変化する。Y信号の値は、リフトオフが大きくなるのに伴って減少する。シグマ相部からの信号も、リフトオフが大きくなるのに伴って減少すると考えられる。そこで、X信号の値にY信号の値の逆数を掛けることによって、X信号をリフトオフの大きさに応じて増幅する。
図9A及び図9Bは、X信号の値x0と、補正されたX信号の値x1との関係を示す図である。図9A及び図9B中の「▲」マーク及び「★」マークは、補正後の信号の位置を模式的に表している。図9A及び図9Bでは、リフトオフが最小の箇所におけるY信号の値をY0として、X信号とY信号との両方にY0/y0を掛けて、補正後のY信号の値y1が常にY0となるように図示している。図9Aは健全部からの信号を補正した場合を示し、図9Bはシグマ相部からの信号を補正した場合を示している。図9A及び図9Bに示すように、Y信号の値が小さいところほどX信号が増幅される。
なお、この図では説明のためにY信号の補正値y1を求めているが、y1の値は本実施形態によるシグマ相の検出には使用しない。したがって、補正値y1を算出しなくても良い。また、Y0は信号の大きさを規格化するための定数であり、任意の値を用いて良い。
演算部42は、補正されたX信号の値x1の時間変化Δx1を算出する(ステップS3)。時間変化Δx1は、例えば次のように算出することができる。時刻tにおいて算出したx1をx1(t)とする。標本部41がX信号及びY信号を取得する間隔をΔtとして、演算部42は、x1(t)−x1(t−Δt)を時間変化Δx1とする。
より好ましくは、x1(t)から、過去のx1(t)の移動平均を引いたものを時間変化Δx1とする。具体的には、nを正の整数として、次の式(2)から時間変化Δx1を求める。これによって、雑音の影響を減らすことができる。
Figure 0006299485
なお、時間変化Δx1は、これら以外の演算によって求めても良い。
図10は、補正されたX信号x1と時間tとの関係を示すグラフである。図11は、補正されたX信号の時間変化Δx1と時間tとの関係を示すグラフである。図10に示すように、補正されたX信号x1は、リフトオフの変動によって健全部からの信号であっても緩やかに変動する。図10中、破線で囲った部分Sσは、シグマ相部からの信号である。シグマ相部では、補正されたX信号x1の値は、リフトオフの変動による変動に比べて急激に変化する。
演算部42は、補正されたX信号の時間変化Δx1と、所定の基準値とを比較する(ステップS4)。演算部42は、図11に示すように、Δx1が基準値以上であればシグマ相が存在する(不合格)と判定し、Δx1が所定値未満であれば、シグマ相が存在しないと判定する。
演算部42は、判定結果を図示しない出力装置に出力する(ステップS5)。演算部42は例えば、判定結果をディスプレイに表示させる構成としても良い。演算部42はあるいは、シグマ相が存在する場合にブザーを鳴動させる構成としても良い。
[検査装置の効果]
以上、本実施形態による検査装置1の構成及び動作を説明した。本実施形態によれば、リフトオフが変動する場合でも、シグマ相の有無を判定できる検査装置が得られる。すなわち、リフトオフが変動する場合でも、シグマ相を見逃したり、健全部をシグマ相部として誤検出したりすることを抑制できる。
以上、本発明についての実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態のみに限定されず、発明の範囲内で種々の変更が可能である。
上記の実施形態では、検査体である鋼管90の内側に探傷ヘッド50を挿入し、鋼管90の内周面を検査する場合を説明した。このような測定では、リフトオフを一定に保つことが特に困難である。そのため、本実施形態による検査装置を特に好適に適用することができる。しかし、本実施形態による検査装置の適用対象はこれに限定されない。例えば、スパイラル搬送される鋼管の外周面の検査に本実施形態による検査装置を用いても良い。
上記の実施形態では、探傷器と信号処理装置とを別個の装置として説明したが、探傷器と信号処理装置とは一体化されていても良い。
上記の実施形態では、演算部42がΔx1を所定値と比較してシグマ相の有無を判定する例を説明した。しかし、演算部42はΔx1の値の出力だけを行い、シグマ相の有無の判定は人間が行うような構成としても良い。
したがって、検査装置は、渦流探傷法を用いてシグマ相を検出する検査装置であって、測定コイルと、同期検波部と、標本部と、演算部とを備えていれば良い。測定コイルは、渦電流による信号を測定する。同期検波部は、測定された信号を第1基準信号で同期検波して第1信号を生成するとともに、測定された信号を第1基準信号と異なる位相を有する第2基準信号で同期検波して第2信号を生成する。標本部は、第1及び第2信号を所定の時間ごとに取得する。演算部は、第1信号の値を第2信号の値で除した値を算出し、算出された値の時間変化を算出する。
リフトオフが大きくなると、第1及び第2信号の両方が小さくなる。演算部はまず、第1信号の値を第2信号の値で除して第1信号の値を補正する。リフトオフの変動によって、補正後の第1信号の値は緩やかに変動する。演算部は、この影響を除去するため、補正後の第1信号の時間変化を算出する。シグマ相が析出した部分では、補正後の第1信号の値が大きく変動する。これによって、シグマ相が析出した部分を検出することができる。
好ましくは、演算部は、時間変化が基準値以上であるかを判定する。この構成によれば、シグマ相の有無を自動で判定することができる。
検査方法は、渦流探傷法を用いてシグマ相を検出する検査方法であって、渦電流による信号を測定するステップと、測定された信号を第1基準信号で同期検波して第1信号を生成するとともに、測定された信号を第1基準信号と異なる位相を有する第2基準信号で同期検波して第2信号を生成するステップと、第1及び第2信号を所定の時間ごとに取得するステップと、第1信号の値を第2信号の値で除した値を算出するステップと、算出された値の時間変化を算出するステップとを備える。
1 検査装置
10 検査プローブ
11 測定コイル
30 探傷器
31 発振器
32 ブリッジ
33,34 移相器
35 増幅器
36,37 同期検波器
40 信号処理装置
41 標本部
42 演算部
50 探傷ヘッド
90 鋼管

Claims (3)

  1. 渦流探傷法を用いてシグマ相を検出する検査装置であって、
    渦電流による信号を測定する測定コイルと、
    前記測定された信号を第1基準信号で同期検波して第1信号を生成するとともに、前記測定された信号を前記第1基準信号と異なる位相を有する第2基準信号で同期検波して第2信号を生成する同期検波部と、
    前記第1及び第2信号を所定の時間ごとに取得する標本部と、
    前記第1信号の値を前記第2信号の値で除した値を算出し、前記算出された値の時間変化を算出する演算部とを備える、検査装置。
  2. 請求項1に記載の検査装置であって、
    前記演算部は、前記時間変化が基準値以上であるかを判定する、検査装置。
  3. 渦流探傷法を用いてシグマ相を検出する検査方法であって、
    渦電流による信号を測定するステップと、
    前記測定された信号を第1基準信号で同期検波して第1信号を生成するとともに、前記測定された信号を前記第1基準信号と異なる位相を有する第2基準信号で同期検波して第2信号を生成するステップと、
    前記第1及び第2信号を所定の時間ごとに取得するステップと、
    前記第1信号の値を前記第2信号の値で除した値を算出するステップと、
    前記算出された値の時間変化を算出するステップとを備える、検査方法。
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