JP6299464B2 - 金属石鹸分解物の定量方法及び画像形成装置の良否判定方法 - Google Patents
金属石鹸分解物の定量方法及び画像形成装置の良否判定方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6299464B2 JP6299464B2 JP2014123550A JP2014123550A JP6299464B2 JP 6299464 B2 JP6299464 B2 JP 6299464B2 JP 2014123550 A JP2014123550 A JP 2014123550A JP 2014123550 A JP2014123550 A JP 2014123550A JP 6299464 B2 JP6299464 B2 JP 6299464B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- metal soap
- amount
- image
- metal
- image forming
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Cleaning In Electrography (AREA)
- Control Or Security For Electrophotography (AREA)
Description
しかし、前記XPS分析で被覆率を規定範囲内になるよう制御しているにも関わらず、トナー、トナーの外添剤、保護剤の塊等が感光体表面に付着し、異常画像が生じてしまうことがある。更に、前記XPS法は表面から約5nm以下の領域についてのみ測定しているため、厚み方向の金属石鹸の定量には不向きな分析方法である。
しかし、前記XRF法で規定した量に保護剤を制御しているにもかかわらず、画像形成装置の使い方によっては、感光体にトナー等や外添剤等の付着物が発生し、異常画像が生じてしまったり、ブレード摩耗が起こったりしてしまうケースが、数多く見受けられた。
前記像担持体表面に付着した金属石鹸の金属量から換算した金属石鹸量Aと、前記像担持体表面に付着した金属石鹸の脂肪酸量から換算した金属石鹸量Bとから、下記数式1により金属石鹸分解物量を定量する。
<数式1>
金属石鹸分解物量(μg/cm2)=金属石鹸量A(μg/cm2)−金属石鹸量B(μg/cm2)
本発明の金属石鹸分解物の定量方法は、像担持体と、前記像担持体に金属石鹸を付与する金属石鹸付与手段とを有する画像形成装置を用いて画像形成後の前記像担持体表面に付着した金属石鹸分解物の定量方法であって、
前記像担持体表面に付着した金属石鹸の金属量から換算した金属石鹸量Aと、前記像担持体表面に付着した金属石鹸の脂肪酸量から換算した金属石鹸量Bとから、下記数式1により金属石鹸分解物量を定量する。
<数式1>
金属石鹸分解物量(μg/cm2)=金属石鹸量A(μg/cm2)−金属石鹸量B(μg/cm2)
<数式2>
金属石鹸の分解率(%)=[金属石鹸分解物量(μg/cm2)/金属石鹸量A(μg/cm2)]×100
両者の分析方式の違いから、前記「GC法」においては、金属石鹸中の脂肪酸が分解している場合は、分解してなくなった量を忠実に捉えて、像担持体上に残存している金属石鹸の量を測定することができる。前記「ICP法」においては、金属を検出して、金属量から金属石鹸量に換算するため、脂肪酸の酸化劣化等が起こっていても、金属さえ感光体上に残っていれば、その金属量の全てが金属石鹸量として換算されてしまうため、劣化した脂肪酸も全て金属石鹸として捉えられてしまい、前記「GC法」から算出された量との間に、脂肪酸が酸化劣化した分の差が生じてしまう結果となる。
このことから、像担持体表面の金属石鹸分解物の付着量は制御する必要があることが分かってきた。
したがって、本発明の金属石鹸分解物の定量方法は、像担持体と、前記像担持体に金属石鹸を付与する金属石鹸付与手段とを有する画像形成装置を用いて画像形成後の前記像担持体表面に付着した金属石鹸分解物の定量方法であって、
前記像担持体表面に付着した金属石鹸の金属量から換算した金属石鹸量Aと、前記像担持体表面に付着した金属石鹸の脂肪酸量から換算した金属石鹸量Bとから、下記数式1により金属石鹸分解物量を定量する。
<数式1>
金属石鹸分解物量(μg/cm2)=金属石鹸量A(μg/cm2)−金属石鹸量B(μg/cm2)
前記金属石鹸量Aは、金属石鹸の金属に着目して分析を行い、金属の定量値から、金属石鹸の量を換算して求めた量である。更に詳細には、像担持体表面に付着した金属石鹸を金属に着目して定量分析し、定量された金属量(金属定量値)の全てが金属石鹸由来であると仮定して、該金属定量値から金属石鹸に換算した量を表す。金属石鹸中の金属の定量方法としては、例えば、ICP−AES法、ICP−MS法などがある。ただし、着目する金属が金属石鹸由来以外にも存在する場合はこの方法は用いることができない。
前記ICP−AES法としては、例えば、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製SPS5100型などを用いることができる。
<数式3>
金属石鹸量A=Mの定量値 × Mw(Mn+・nFAc−)/Mw(M)
ただし、前記数式3中、分子aの分子量は、Mw(a)と表す。Mの定量値はICP−AES法、ICP−MS法等で分析して得られたM(金属)の定量値を表す。Mw(Mn+・nFAc−)は金属石鹸の分子量を表す。Mw(M)は金属の原子量を表す。
前記GC法としては、例えば、株式会社島津製作所製GC−2010型などを用いることができる。
前記GC−MS(Gas Chromatograph Mass Spectrometer)法は、ガスクロマトグラフ(GC)と質量分析計(MS;マス)が一体化した分析装置を用いた分析方法である。
<数式4>
金属石鹸量B=FAcの定量値 × (1/n) × Mw(Mn+・nFAc−)/Mw(FAc)
ただし、前記数式4中、FAcの定量値はGC法、GC−MS法等で分析して得られた脂肪酸の定量値を表す。Mw(FAc)は脂肪酸の分子量を表す。
前記金属石鹸に分解物が発生していない場合、「金属石鹸量A」と「金属石鹸量B」は、等しくなり、「金属石鹸分解物量」はゼロとなる。一方、金属石鹸に分解物が発生している場合、即ち、酸の一部が分解して別の物質に変化した場合、「金属石鹸量B」は、酸が分解した量に応じて減少するが、金属は分解しないため「金属石鹸量A」は酸分解物が発生しても減少せずに、「金属石鹸量A」>「金属石鹸量B」となり、「金属石鹸量A」−「金属石鹸量B」は「金属石鹸分解物量」を示すことになる。これらの結果、前記数式1が得られる。
<数式2>
金属石鹸の分解率(%)=[金属石鹸分解物量(μg/cm2)/金属石鹸量A(μg/cm2)]×100
前記ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛との混合物を用いることが好ましい理由としては、ステアリン酸亜鉛が感光体上に塗布される過程を観察すると、ブロック状のステアリン酸亜鉛は、ブラシによりかきとられて微粉化され、ブレードで引伸ばされるが、付着したステアリン酸亜鉛がムラになって引き伸ばされていることがある。しかし、ステアリン酸亜鉛に、ステアリン酸亜鉛よりも分子量の小さいパルミチン酸亜鉛を加えることにより、感光体表面に保護剤(ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛)がブレードで均一に引伸ばされ、感光体上を充分に覆うことができると考えられる。
また、前記パルミチン酸亜鉛は前記ステアリン酸亜鉛に比べて融点が低いため、ステアリン酸亜鉛中にパルミチン酸亜鉛が一定量以上含有していると、ブレードにより保護剤が引伸ばされやすくなる。
本発明の画像形成装置の良否判定方法は、本発明の前記金属石鹸分解物の定量方法により求めた金属石鹸分解物量によって画像形成装置の良否を判定するものである。
前記金属石鹸分解物量が4.0μg/cm2以下であると、画像形成装置が良好であると判定することができる。
前記金属石鹸分解率が80%以下であると、画像形成装置が良好であると判定することができる。
ここで、前記画像形成装置が良好であるとは、23℃、相対湿度50%環境及び高温高湿度環境(30℃、相対湿度90%)での出力画像(白紙、ハーフトーン、格子画像等)において、官能評価で異常が確認されないことを意味する。ここで異常とは、ドットの乱れや意図しない白筋、黒筋、ポチ画像、地汚れ等を指す。特に、出力画像で白筋が目視で確認されなければ前記画像形成装置が良好であると言える。
本発明の金属石鹸分解物の定量方法に用いる像担持体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、感光体、中間転写体などが挙げられる。これらの中でも、金属石鹸分解物が感光体上にあると、静電特性が変化してしまうため、好適に適応できる。
前記感光体は、導電性支持体と、前記導電性支持体上に感光層を有している。
前記感光層の構成は電荷発生物質と電荷輸送物質とを混在させた単層型、又は電荷発生物質を含有する電荷発生層の上に電荷輸送物質を含有する電荷輸送層を設けた順層型、あるいは電荷輸送層の上に電荷発生層を設けた逆層型がある。
前記感光体の機械的強度、耐磨耗性、耐ガス性、クリーニング性等の向上のため、前記感光層の上に表面層を設けることもできる。また、前記感光層と前記導電性支持体との間には下引き層を有していてもよい。なお、各層には必要により可塑剤、酸化防止剤、レベリング剤等を適量添加することもできる。
前記導電性支持体としては、体積抵抗率10×10Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を、蒸着又はスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板及びそれらを、押し出し、引き抜きなどの工法でドラム状に素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理した管などを使用することができる。
ドラム状の支持体としては、直径20mm〜150mmが好ましく、24mm〜100mmがより好ましく28mm〜70mmが更に好ましい。ドラム状の支持体の直径が20mm以下では、ドラム周辺に帯電、露光、現像、転写、クリーニングの各工程を配置することが物理的に難しく、ドラム状の支持体の直径が150mm以上では画像形成装置が大きくなってしまい好ましくない。特に、画像形成装置が図3に示すようなタンデム型の場合には、複数の感光体を搭載する必要があるため、直径は70mm以下、好ましくは60mm以下であることが好ましい。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体として用いることができる。
前記下引き層、樹脂又は白色顔料と樹脂を主成分としたもの、及び導電性支持体表面を化学的あるいは電気化学的に酸化させた酸化金属膜などが挙げられる。これらの中でも、白色顔料と樹脂を主成分とするものが好ましい。
前記白色顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛等の金属酸化物などが挙げられる。これらの中でも、導電性支持体からの電荷の注入防止性が優れる酸化チタンを含有させることが好ましい。
前記下引き層に用いる樹脂としては、例えば、ポリアミド、ポリビニルアルコール、カゼイン、メチルセルロース等の熱可塑性樹脂、アクリル、フェノール、メラミン、アルキッド、不飽和ポリエステル、エポキシ等の熱硬化性樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記表面層は、感光体の機械的強度、耐磨耗性、耐ガス性、クリーニング性等の向上のため設けられる。
前記表面層としては、感光層よりも機械的強度の高いポリマー、前記ポリマーに無機フィラーを分散させたものが例示できる。
前記表面層は、薄い膜厚であれば、電荷輸送能力を有していなくても支障はないが、電荷輸送能力を有しない表面層を厚く形成すると、感光体の感度低下、露光後電位上昇、残留電位上昇を引き起こしやすいため、表面層中に前記電荷輸送物質を含有させたり、表面層に用いる高分子を電荷輸送能力を有するものを用いることが好ましい。
前記感光層と表面層との機械的強度は一般に大きく異なるため、クリーニングブレードとの摩擦により表面層が磨耗し、消失すると、すぐに感光層は摩耗していってしまう。このため、前記表面層は十分な厚みとすることが重要であり、0.1μm以上12μm以下が好ましく、1μm以上10μm以下がより好ましく、2μm以上8μm以下が更に好ましい。
前記表面層の厚みが、0.1μm未満であると、薄すぎてクリーニングブレードとの摩擦により部分的に消失しやすくなり、消失した部分から感光層の摩耗が進んでしまうことがある。一方、前記表面層の厚みが、12μmを超えると、感度低下、露光後電位上昇、残留電位上昇が生じやすく、特に電荷輸送能力を有する高分子を用いる場合には、電荷輸送能力を有する高分子のコストが高くなってしまうことがある。
前記像担持体は、感光体上に形成されたトナー像を一次転写して色重ねを行い、更に記録媒体へ転写を行う、いわゆる中間転写方式による画像形成を行う際に使用する中間転写体であってもよい。
前記中間転写体に表面層を設ける際には、上述の感光体の表面層に使用した表面層材料の内、電荷輸送材料を除く組成物に、適宜、導電性物質を併用して抵抗調整を行い、使用することができる。
ここで、図1は保護剤塗布装置を備えた画像形成装置の要部構成例を示す概略要部構成図である。なお、前記保護剤塗布装置は、金属石鹸付与手段と称することもある。
像担持体であるドラム状の感光体1に対向して配設された保護剤塗布装置2は、感光体を保護する金属石鹸を主体とした保護剤をバー状(例えば、円柱状、四角柱状、六角柱状等)にした保護剤ブロック21と、前記保護剤ブロック21が左右前後に振れないように支持する保護剤ブロック支持ガイド25と、前記保護剤ブロック21と接触するブラシ22aを有し前記保護剤ブロック21からブラシ22aに移行した保護剤を感光体1へ供給する保護剤供給部材22と、前記保護剤ブロック21を保護剤供給部材22のブラシ22aに押し当てて保護剤を保護剤供給部材22のブラシ22aに移行させる押圧力付与機構(例えば、バネ、スプリング等)23と、保護剤供給部材22により感光体上に供給された保護剤を薄層化する保護層形成機構24等から主に構成されている。
前記保護剤ブロック21は、保護剤を溶融後、型に投入し、冷却して作製する溶融成型法、あるいは、保護剤粉末を圧縮して作製する圧縮成型法により作製される。
なお、図1において、符号4は感光体のクリーニング手段であり、保護剤塗布装置2の感光体回転方向上流側に設置されているが、前記クリーニング手段4は、保護剤塗布前に感光体表面をクリーニングし、保護剤の塗布が良好に行われるようにするものであるので、保護剤塗布装置2の構成部材と見做すこともできる。
また、前記感光体1の表面に供給された前記保護剤は、供給時に十分な保護層にならない場合があるため、より均一な保護層を形成するために、前記感光体表面の保護剤は、例えば、ブレード状の部材24aと、そのブレード状の部材24aを感光体ドラム1の表面に押し当てるバネやスプリング等の押圧部材24bとを持つ保護層形成機構24により薄層化され、前記感光体表面の保護層となる。なお、前記保護層形成機構24はカウンター方式を用いており、ブレード状の部材24aは、前記感光体表面に対してカウンター方式で接触している。
なお、前記保護剤ブロックの代わりに保護剤粉末を直接感光体表面に供給することもできる。この場合、保護剤粉末を保有する容器、保護剤粉末を搬送する保護剤搬送装置が必要となり、前記保護剤ブロック、押圧力付与機構、保護剤供給部材が不要となる。前記保護剤搬送装置としては、ポンプ、オーガー等の既存の粉体搬送手段を用いることができる。
前記支持体24cから突き出し、たわみを持たせることができる前記ブレード24aの長さ、いわゆる自由長についても同様に押圧で加える、力との兼ね合いで一義的に定義できるものではないが、1mm以上15mm以下が好ましく、2mm以上10mm以下がより好ましい。
前記弾性金属ブレードの厚みは、0.05mm以上3mm以下が好ましく、0.1mm以上1mm以下がより好ましい。
また、前記弾性金属ブレードでは、ブレードのねじれを抑止するために、取り付け後に支軸と略平行となる方向に、曲げ加工等の処理を施してもよい。
前記保護層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、PFA、PTFE、FEP、PVdF等のフッ素樹脂;フッ素系ゴム、メチルフェニルシリコーンエラストマー等のシリコーン系エラストマーなどが挙げられる。
可撓性のブラシ繊維の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン);ポリビニル及びポリビニリデン系樹脂(例えば、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル及びポリビニルケトン);塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;スチレン−アクリル酸共重合体;スチレン−ブタジエン樹脂;フッ素樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン);ポリエステル;ナイロン;アクリル;レーヨン;ポリウレタン;ポリカーボネート;フェノール樹脂;アミノ樹脂(例えば、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、撓みの程度を調整するため、ジエン系ゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、エチレンプロピレンゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、ヒドリンゴム、ノルボルネンゴム等を複合して用いてもよい。
前記ブラシ繊維は、繊維径で、10μm以上500μm以下が好ましく、20μm以上300μm以下がより好ましい。前記繊維径が、10μm未満であると、保護剤の供給スピードが非常に遅くなることがあり、500μmを超えると、前記ブラシ繊維が単位面積当たりに存在できる本数がより少なくなるため、前記ブラシが前記感光体に当たる場所と当たらない場所での塗布ムラが顕著になったり、前記ブラシが前記感光体に当たったときに前記感光体を傷つけやすくなったり、前記保護剤を掻き取る力が強くなるため、前記保護剤の寿命が短くなったり、前記感光体に供給される前記保護剤が大きな粒状になり、前記感光体に供給された粒が帯電ローラに移動して前記帯電ローラを汚染してしまったり、前記ブラシ及び前記感光体を回転させるためのトルクがより大きくなるため好ましくない。
また、ブラシ密度は、1平方インチ当たり1万本以上30万本以下(1平方メートル当たり1.5×107〜4.5×108)が好ましい。前記ブラシ密度が、1平方インチ当たり1万本未満であると、ブラシが感光体に当たる場所と当たらない場所での塗布ムラが顕著になったり、保護剤を充分な量供給することが困難になることがあり、また、前記ブラシ密度が、1平方インチ当たり30万本を超えると、前記ブラシ繊維の径を非常に小さくする必要があるため好ましくない。
これらの保護剤供給部材の中でも、28μm以上43μm以下が好ましく、より好ましくは30μm以上40μm以下の単繊維から作製されたブラシが保護剤の供給の効率が高く、最も好ましい。繊維は、撚って作製されることが多いことから、繊維の径は均一でないため、デニール、デシテックスの単位が用いられてきた。しかし、単繊維の場合は、繊維径は一定であるため、繊維径で規定することの方が、保護剤供給部材を規定する上で好ましい。
前記単繊維の直径が、28μm未満であると、保護剤を供給する効率が低くなることがあり、43μmを超えると、単繊維の剛性が高くなりすぎて、感光体を傷つけやすくなり好ましくない。また、直径が28μm以上43μm以下の単繊維は、芯金に対してできるだけ垂直に植毛されていることが好ましく、ブラシを製造する際には、静電気を利用した、所謂、静電植毛により製造していることが好ましい。前記静電植毛は、ブラシの芯金上に接着剤を塗布し、芯金を帯電させることにより、静電電気力で直径が28μm〜43μmの単繊維を飛翔させて、芯金上の接着剤に植毛し、接着剤を硬化させる方法である。前記静電植毛により、1平方インチ当たり5万本〜60万本植毛したブラシを好適に用いることができる。
前記被覆層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン、アクリル(例えば、ポリメチルメタクリレート)、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル、ポリビリケトン等のポリビニル及びポリビニリデン系樹脂;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;オルガノシロキサン結合からなるシリコーン樹脂又はその変性品(例えば、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン等による変性品);パーフルオロアルキルエーテル,ポリフルオロビニル、ポリフルオロビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン等の弗素樹脂;ポリアミド;ポリエステル;ポリウレタン;ポリカーボネート;尿素−ホルムアルデヒド樹脂等のアミノ樹脂;エポキシ樹脂、又はこれらの複合樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
図2は、本発明に用いられる画像形成装置の画像形成部に具備されるプロセスカートリッジの構成例の概略を説明するための断面図である。
図2に示す画像形成部10は、像担持体であるドラム状の感光体1と、感光体1を帯電する帯電手段である帯電装置(図示の例では帯電ローラ)3と、帯電された感光体1にレーザー光L等を照射して静電潜像を形成する潜像形成手段(図示せず)と、感光体1上の静電潜像をトナーで現像して可視像化する現像手段である現像装置5と、感光体1上のトナー像を記録媒体(又は中間転写体)7に転写する転写手段6と、転写後の感光体1の表面に残留するトナーを除去するクリーニング手段であるクリーニング手段4と、クリーニング手段4から帯電装置3に至る部分に配置された保護剤塗布装置2等を有している。そして、この画像形成部10では、感光体1とともに、保護剤塗布装置2、帯電装置3、現像装置5、クリーニング手段4をカートリッジ内に設けたプロセスカートリッジ11を用いている。なお、本発明においては、前記クリーニング手段4は、保護剤塗布前に感光体表面をクリーニングし、保護剤の塗布が良好に行われるようにするものであるので、保護剤塗布装置2の構成部材と見做すことができる。
感光体1に対向して配設された保護剤塗布装置2は、図1と同様に、保護剤ブロック21、保護剤供給部材22、押圧力付与機構23、保護層形成機構24、保護剤ブロック21が左右前後に振れないように支持する保護剤ブロック支持ガイド25等から主に構成される。
また、感光体1は、転写工程後に部分的に劣化した保護剤やトナー成分等が残存した表面となっているが、クリーニング手段4のクリーニング部材41により表面残存物が清掃され、クリーニングされる。図2では、ブレード状のクリーニング部材41はクリーニング押圧機構42で支持され、いわゆるカウンタータイプ(リーディングタイプ)に類する角度で当接されている。また、保護層形成機構24のブレード状部材(ブレード)24aもカウンタータイプに類する角度で当接させている。
帯電ローラ3は、感光体1と接触、又は20μm〜100μm近接した非接触状態で設置され、帯電ローラ3と感光体1の間に電圧を印加することにより、感光体1を帯電する。前記帯電ローラ3と感光体1の間に印加する電圧は、直流電圧に交流電圧を重畳したAC帯電を用いる。なお、AC帯電を行う場合は、感光体1と帯電ローラ3の間で1秒間に数百回以上もの放電が起こることから、感光体は、放電による劣化を受けやすい。また、感光体1へ金属石鹸の塗布をした場合でも、金属石鹸は放電により劣化し、金属石鹸分解物が感光体上に残存してしまう可能性が高くなることから、感光体上の金属石鹸分解物量を規定しておくことは、非常に重要である。
前記導電性支持体は、帯電ローラ13の電極及び支持部材として機能するもので、例えば、アルミニウム、銅合金、ステンレス鋼等の金属又は合金、クロム、ニッケル等で鍍金処理を施した鉄、導電剤を添加した樹脂、などの導電性の材質で構成される。
前記高分子層における高分子材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエステル系、オレフィン系の熱可塑性エラストマー、ポリスチレン、スチレンーブタジエン共重合体、スチレンーアクリロニトリル共重合体、スチレンーブタジエンーアクリロニトリル共重合体等のスチレン系熱可塑性樹脂、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、ブチルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン3元共重合ゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、天然ゴム、又はこれらを混合したゴム材料などが挙げられる。これらの中でも、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、又はこれらのブレンドゴムが好ましい。これらのゴム材は発泡したものであっても無発泡のものであってもよい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記電子導電剤としては、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック;熱分解カーボン、グラファイト;アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼等の各種導電性金属又は合金;酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、酸化スズ−酸化アンチモン固溶体、酸化スズ−酸化インジウム固溶体等の各種導電性金属酸化物;絶縁物質の表面を導電化処理したもの;などが挙げられる。
前記イオン導電剤としては、例えば、テトラエチルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウム等の過塩素酸塩、塩素酸塩等;リチウム、マグネシウム等のアルカリ金属;アルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記高分子材料の数平均分子量は、1,000以上100,000以下が好ましく、10,000以上50,000以下がより好ましい。
例えば、図2で示すように、現像装置5は、そのケーシングの開口から現像剤担持体としての現像ローラ51が部分的に露出している。
図示しないトナーボトルから現像装置5内に補給されたトナーは、攪拌搬送スクリュー52及び53によってキャリアと撹拌されながら搬送され、現像ローラ51上に担持されることになる。この現像ローラ51は、磁界発生手段としてのマグネットローラと、その周りを同軸回転する現像スリーブとから構成されている。現像剤中のキャリアは、マグネットローラが発生させる磁力により現像ローラ51上に穂立ちした状態となって感光体ドラム1と対向する現像領域に搬送される。ここで、前記現像ローラ51は、現像領域において感光体ドラム1の表面よりも速い線速で同方向に表面移動する。そして、前記現像ローラ51上に穂立ちしたキャリアは、感光体ドラム1の表面を摺擦しながら、キャリア表面に付着したトナーを感光体ドラム1の表面に供給する。このとき、前記現像ローラ51には、図示しない電源から現像バイアスが印加され、これにより現像領域には現像電界が形成される。そして、感光体ドラム1上の静電潜像と現像ローラ51との間では、現像ローラ51上のトナーに静電潜像側に向かう静電力が働くことになる。これにより、前記現像ローラ51上のトナーは、感光体ドラム1上の静電潜像に付着することになる。この付着によって感光体ドラム1上の静電潜像はトナー像に現像される。
前記トナーとしては、特に制限はなく、公知のトナーの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2014−74762号公報、特開2013−171182号公報、特開2012−177882号公報などに開示されているトナーなどが挙げられる。
図3は、本発明で用いられる画像形成装置100の一例を示す概略構成図である。
この画像形成装置100は、画像形成を行う画像形成装置本体(プリンタ部)110と、画像形成装置本体110の上部に設置された原稿読取部(スキャナ部)120と、その上に設置された原稿自動給紙装置(ADF)130と、画像形成装置本体110の下部に設置された給紙部200とを備えており、複写機の機能を有している。また、この画像形成装置100は、外部装置との通信機能を有しており、装置外部のパーソナルコンピュータ等と接続することにより、プリンタやスキャナとして用いることができる。また、電話回線や光回線と接続することにより、ファクシミリとして用いることができる。
有機光導電層を有する有機感光体(OPC)等に代表される像担持体であるドラム状の感光体1は、除電ランプ(図示せず)等で除電され、帯電部材(例えば、帯電ローラ)を有する帯電装置3で均一にマイナスに帯電される。
帯電装置3による感光体1の帯電が行われる際には、電圧印加機構(図示せず)から帯電部材に、感光体1を所望の電位に帯電させるに適した、適当な大きさの電圧又はこれに交流電圧を重畳した帯電電圧が印加される。
即ち、レーザー光源(例えば、半導体レーザー)から発せられたレーザー光は、高速で回転する多角柱の多面鏡(ポリゴン)等からなる光偏向器により偏向走査され、走査レンズやミラー等からなる走査結像光学系を介して感光体1の表面を、感光体1の回転軸方向(主走査方向)に走査する。
潜像の現像時には、電圧印加機構(図示せず)から現像ローラ51の現像スリーブに、感光体1の露光部と非露光部の間にある、適当な大きさの電圧又はこれに交流電圧を重畳した現像バイアスが印加される。
前記二次転写後、記録媒体は、中間転写体7から分離され、転写像が得られる。また、一次転写後に感光体1上に残存するトナー粒子は、クリーニング手段4のクリーニング部材41によって、クリーニング手段4内のトナー回収室へ、回収される。また、二次転写後に中間転写体7上に残存するトナー粒子は、ベルトクリーニング手段9のクリーニング部材によって、クリーニング手段9内のトナー回収室へ、回収される。
<感光体の作製>
直径30mm及び60mmのアルミニウムドラム上に、それぞれ下引き層塗布液、電荷発生層塗布液、電荷輸送層塗布液、及び表面層塗布液をこの順に塗布した後、乾燥し、厚み3.6μmの下引き層、厚み0.14μmの電荷発生層、厚み23μmの電荷輸送層、及び厚み3.5μmの表面層からなる製造例1(直径30mm)及び製造例2(直径60mm)の感光体を作製した。
前記表面層の塗布はスプレー法により行い、前記下引き層、前記電荷発生層、及び前記電荷輸送層は、いずれも浸漬塗工法により形成した。なお、前記表面層塗布液の詳細な組成は以下の通りである。
−表面層塗布液−
・Z型ポリカーボネート・・・10質量部
・下記構造式1で表されるトリフェニルアミン化合物・・・7質量部
<構造式1>
・テトラヒドロフラン・・・400質量部
・シクロヘキサノン・・・150質量部
<保護剤ブロック1〜4の作製>
ステアリン酸とパルミチン酸とを所定の割合で混合し、混合物に水酸化亜鉛を混合溶融反応させ、ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛とが相溶した粒子(粒径22μm〜35μm)を作製した。
作製した各粒子を塩酸−メタノール溶液に溶解して80℃に加熱し、ステアリン酸とパルミチン酸をメチル化し、ガスクロマトグラフィーによりステアリン酸とパルミチン酸の含有量を測定し、ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛の質量比に換算した。
作製したステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛とが相溶した粒子を、真比重(ステアリン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛−パルミチン酸亜鉛混合物は、ともに1.1)に対して93%まで圧縮成型して40mm×8mm×長さ350mmの保護剤ブロック1〜4を作製した。
得られた保護剤ブロック1〜4における、ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛の質量比はそれぞれ以下のものを使用した。
・保護剤ブロック1 ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛=80:20
・保護剤ブロック2 ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛=40:60
・保護剤ブロック3 ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛=90:10
・保護剤ブロック4 ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛=30:70
感光体上の亜鉛(Zn)の定量は、感光体から剥がした感光層(電荷発生層、電荷輸送層、及び表面層)を、硫酸及び硝酸で加熱分解したサンプルを、ICP−AES法により定量した。
実施例で用いた金属石鹸は、ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛との混合質量比率(ステアリン酸亜鉛:パルミチン酸亜鉛)が、56:44であるため、金属石鹸の平均分子量を608とし、Znの定量値に、(608/65.39)を乗じることで、金属石鹸量A(μg/cm2)に換算した。
前記ICP−AES法は、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製SPS5100型を用いて、感光体から剥がした感光層(電荷発生層、電荷輸送層、及び表面層)を硫酸、硝酸で加熱分解後、フッ化水素酸を添加し、超純水で定容し、前記ICP−AES法による元素の定量分析を行った。
感光体上のステアリン酸とパルミチン酸の定量は、感光体から剥がした感光層(電荷発生層、電荷輸送層、及び表面層)をHCl−メタノール溶液で加熱処理し、ステアリン酸とパルミチン酸を分解し、メチル化し、検液を作製し、GC法により定量した。
定量されたステアリン酸量及びパルミチン酸量に、(632.33/284.48/2)、(576.21/256.42/2)をそれぞれ乗じ、両者を合計することで、金属石鹸量B(μg/cm2)に換算した。
前記GC法では、カラムには、J&W社製DB−5 MS(直径0.53mm×30m)を用いて、前記検液を株式会社島津製作所製GC−2010型に1.0μL注入し定量を行った。温度は120℃から300℃まで10℃/minで昇温し、300℃で保持した。注入口温度は280℃、検出器温度は、310℃とした。
参考例及び実施例で所定枚数通紙を行った画像形成装置を高温高湿度環境(30℃、相対湿度90%)条件の部屋に移し、画像(白紙、ハーフトーン、格子画像等)を出力し、下記基準で画像評価を行った。結果を表2に示した。
[画像評価基準]
○:目視又は顕微鏡評価にて、異常無し。
△:目視評価においては異常が無く、顕微鏡評価において、小さな画層の乱れ(異常)が確認されるが、実使用上問題無し。
×:目視評価にて異常有り。
ここで異常とは、ドットの乱れや意図しない白筋、黒筋、ポチ画像、地汚れ等を指す。
株式会社リコー製の画像形成装置(imagio MP C7500 SP)に搭載している直径60mmの感光体を、製造例1で作製した直径30mmの感光体が組み込めるように改造し、更に、帯電条件(Vpp)を実際のマシン条件より20%大きくなるように設定し、前記保護剤ブロック3を搭載した改造機を用いて、3万枚通紙(23℃、相対湿度50%環境下)後の感光体を、前記ICP−AES法にて分析したところ、金属石鹸量Aが2.5μg/cm2であった。
次に、画像評価用の画像(白紙、ハーフトーン、格子画像等)を高温高湿環境(30℃、相対湿度90%)下で出力し、目視にて画像評価を行ったところ、画像については特に異常は無かった。
参考例1において、3万枚通紙後のICP−AES法の分析で、金属石鹸量Aが2.5μg/cm2であり、感光体上の金属石鹸量としては十分な量であったため、参考例1と同条件(23℃、相対湿度50%環境下)にて、更に3万枚の通紙を行った後、画像評価用の画像(白紙、ハーフトーン、格子画像等)を高温高湿環境(30℃、相対湿度90%)下で出力し画像(目視)評価を行ったところ、異常画像(白筋)が見られたため6万枚通紙後の感光体を、前記ICP−AES法及び前記GC法にて分析したところ、前記ICP−AES法の定量値(金属量)から金属石鹸量Aは5μg/cm2であり、前記GC法の定量値(脂肪酸量)から金属石鹸量Bは0.8μg/cm2であった。
金属石鹸分解物量及び金属石鹸分解率は以下のとおりであった。
金属石鹸分解物量=5μg/cm2−0.8μg/cm2=4.2μg/cm2
金属石鹸分解率=(4.2μg/cm2/5μg/cm2)×100=84%
<再通紙及び再分析>
新品の直径30mmの感光体を用意し、再度、参考例1及び実施例1と同条件で再通紙を3万枚行い、ICP−AES法にて再分析したところ、金属石鹸量Aが2.5μg/cm2であり、更にGC法でも分析も行い脂肪酸量から金属石鹸量Bが、0.8μg/cm2であった。ICP-AES及びGC分析前の感光体を、高温高湿環境(30℃、相対湿度90%)下の部屋に移し、画像評価用の画像(白紙、ハーフトーン、格子画像等)を予め出力した。前記画像評価用の画像について画像評価を行ったところ、画像については特に異常は無かった。
3万枚再通紙後の金属石鹸分解物量及び金属石鹸分解率は以下のとおりであった。
金属石鹸分解物量=2.5μg/cm2−0.8μg/cm2=1.7μg/cm2
金属石鹸分解率=(1.7μg/cm2/2.5μg/cm2)×100=68%
株式会社リコー製の画像形成装置(imagio MP C7500 SP)に搭載している直径60mmの感光体を、製造例1で作製した直径30mmの感光体が組み込めるように改造し、更に、帯電条件(Vpp)を実際のマシン条件より10%大きくなるように設定した改造機を用いて、クリーニングブレードとは別に、保護剤塗布用のブレードを取り付け、保護剤塗布用のブレードは、カウンター方式(実施例3、6)及びトレーリング方式(実施例4、5)として4水準の実験改造機を用意し、10万枚の通紙(23℃、相対湿度50%環境下)を行った。なお、実施例3〜6の保護剤ブロックは下記表1に記載のものを用いた。
10万枚通紙後の感光体における、金属石鹸分解物量及び金属石鹸分解率は下記のとおりであった。
<10万枚通紙後>
実施例3:金属石鹸分解率=62%、金属石鹸分解物量=1.5μg/cm2
実施例4:金属石鹸分解率=69%、金属石鹸分解物量=1.9μg/cm2
実施例5:金属石鹸分解率=70%、金属石鹸分解物量=2.2μg/cm2
次に、画像評価用の画像(白紙、ハーフトーン、格子画像等)を高温高湿環境(30℃、相対湿度90%)下で出力し、目視評価及び顕微鏡観察を行った(顕微鏡観察は必要に応じて)。実施例3の評価画像は、顕微鏡観察の結果、高画質であった。実施例4及び5の評価画像は、目視で異常画像(白筋)が確認された。また、実施例6では、顕微鏡観察において、薄い白筋が生じていたが、目視評価において異常は見られず、実使用上問題かった。
40万枚通紙後の感光体における、金属石鹸分解率及び金属石鹸分解物量は下記のとおりであった。
<40万枚通紙後>
実施例3:金属石鹸分解率=68%、金属石鹸分解物量=1.8μg/cm2
実施例4:金属石鹸分解率=82%、金属石鹸分解物量=6.2μg/cm2
実施例5:金属石鹸分解率=86%、金属石鹸分解物量=15μg/cm2
実施例6:金属石鹸分解率=80%、金属石鹸分解物量=4.0μg/cm2
製造例2の直径60mmの感光体を用いた株式会社リコー製の画像形成装置(imagio MP C7500 SP)の帯電条件(Vpp)を実際のマシン条件より10%大きく設定し、前記保護剤ブロック2を搭載した改造機において、画像濃度0%(実施例7)及び画像濃度50%(実施例8)の画像をそれぞれ3万枚及び10万枚通紙(23℃、相対湿度50%環境下)した。
次に、画像評価用の画像(白紙、ハーフトーン、格子画像等)を高温高湿環境(30℃、相対湿度90%)下で出力し、目視評価及び顕微鏡観察を行った。実施例7及び8共に、顕微鏡観察の結果、評価画像には、異常は確認されず高画質であった。
3万枚及び10万枚通紙後の感光体における、金属石鹸分解率及び金属石鹸分解物量は下記のとおりであった。
<3万枚通紙後>
実施例7:金属石鹸分解率=57%、金属石鹸分解物量=1.3μg/cm2
実施例8:金属石鹸分解率=25%、金属石鹸分解物量=0.3μg/cm2
<10万枚通紙後>
実施例7:金属石鹸分解率=60%、金属石鹸分解物量=1.5μg/cm2
実施例8:金属石鹸分解率=29%、金属石鹸分解物量=0.3μg/cm2
<1> 像担持体と、前記像担持体表面に金属石鹸を付与する金属石鹸付与手段とを少なくとも有する画像形成装置を用いて画像形成後の前記像担持体表面に付着している金属石鹸分解物量を定量する定量方法であって、
前記像担持体表面に付着した金属石鹸の金属量から換算した金属石鹸量Aと、前記像担持体表面に付着した金属石鹸の脂肪酸量から換算した金属石鹸量Bとから、下記数式1により金属石鹸分解物量を定量することを特徴とする金属石鹸分解物の定量方法である。
<数式1>
金属石鹸分解物量(μg/cm2)=金属石鹸量A(μg/cm2)−金属石鹸量B(μg/cm2)
<2> 前記数式1から求めた金属石鹸分解物量と、像担持体表面に付着した金属石鹸の金属量から換算した金属石鹸量Aとから、下記数式2により金属石鹸の分解率を求める前記<1>に記載の金属石鹸分解物の定量方法である。
<数式2>
金属石鹸の分解率(%)=[金属石鹸分解物量(μg/cm2)/金属石鹸量A(μg/cm2)]×100
<3> 前記金属石鹸が、ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛の混合物である前記<1>から<2>のいずれかに記載の金属石鹸分解物の定量方法である。
<4> 前記ステアリン酸亜鉛と前記パルミチン酸亜鉛との混合質量比率(ステアリン酸亜鉛:パルミチン酸亜鉛)が、80:20〜40:60である前記<3>に記載の金属石鹸分解物の定量方法である。
<5> 前記金属石鹸量Aの測定方法が、ICP−AES法及びICP−MS法のいずれかである前記<1>から<4>のいずれかに記載の金属石鹸分解物の定量方法である。
<6> 前記金属石鹸量Bの測定方法が、GC法及びGC−MS法のいずれかである前記<1>から<5>のいずれかに記載の金属石鹸分解物の定量方法である。
<7>前記<1>から<6>のいずれかに記載の金属石鹸分解物の定量方法により求めた金属石鹸分解物量によって画像形成装置の良否を判定することを特徴とする画像形成装置の良否判定方法である。
<8>
金属石鹸分解物量が4.0μg/cm2以下であると画像形成装置が良好であると判定する前記<7>に記載の画像形成装置の良否判定方法である。
<9> 金属石鹸分解率が80%以下であると画像形成装置が良好であると判定する前記<7>から<8>のいずれかに記載の画像形成装置の良否判定方法である。
2 保護剤塗布装置
Claims (9)
- 像担持体と、前記像担持体表面に金属石鹸を付与する金属石鹸付与手段とを少なくとも有する画像形成装置を用いて画像形成後の前記像担持体表面に付着している金属石鹸分解物量を定量する定量方法であって、
前記像担持体表面に付着した金属石鹸の金属量から換算した金属石鹸量Aと、前記像担持体表面に付着した金属石鹸の脂肪酸量から換算した金属石鹸量Bとから、下記数式1により金属石鹸分解物量を定量することを特徴とする金属石鹸分解物の定量方法。
<数式1>
金属石鹸分解物量(μg/cm2)=金属石鹸量A(μg/cm2)−金属石鹸量B(μg/cm2) - 前記数式1から求めた金属石鹸分解物量と、像担持体表面に付着した金属石鹸の金属量から換算した金属石鹸量Aとから、下記数式2により金属石鹸の分解率を求める請求項1に記載の金属石鹸分解物の定量方法。
<数式2>
金属石鹸の分解率(%)=[金属石鹸分解物量(μg/cm2)/金属石鹸量A(μg/cm2)]×100 - 前記金属石鹸が、ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛の混合物である請求項1から2のいずれかに記載の金属石鹸分解物の定量方法。
- 前記ステアリン酸亜鉛と前記パルミチン酸亜鉛との混合質量比率(ステアリン酸亜鉛:パルミチン酸亜鉛)が、80:20〜40:60である請求項3に記載の金属石鹸分解物の定量方法。
- 前記金属石鹸量Aの測定方法が、ICP−AES法及びICP−MS法のいずれかである請求項1から4のいずれかに記載の金属石鹸分解物の定量方法。
- 前記金属石鹸量Bの測定方法が、GC法及びGC−MS法のいずれかである請求項1から5のいずれかに記載の金属石鹸分解物の定量方法。
- 請求項1から6のいずれかに記載の金属石鹸分解物の定量方法により求めた金属石鹸分解物量によって画像形成装置の良否を判定することを特徴とする画像形成装置の良否判定方法。
- 金属石鹸分解物量が4.0μg/cm2以下であると画像形成装置が良好であると判定する請求項7に記載の画像形成装置の良否判定方法。
- 金属石鹸分解率が80%以下であると画像形成装置が良好であると判定する請求項7から8のいずれかに記載の画像形成装置の良否判定方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014123550A JP6299464B2 (ja) | 2014-06-16 | 2014-06-16 | 金属石鹸分解物の定量方法及び画像形成装置の良否判定方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014123550A JP6299464B2 (ja) | 2014-06-16 | 2014-06-16 | 金属石鹸分解物の定量方法及び画像形成装置の良否判定方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016004125A JP2016004125A (ja) | 2016-01-12 |
JP6299464B2 true JP6299464B2 (ja) | 2018-03-28 |
Family
ID=55223443
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014123550A Expired - Fee Related JP6299464B2 (ja) | 2014-06-16 | 2014-06-16 | 金属石鹸分解物の定量方法及び画像形成装置の良否判定方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6299464B2 (ja) |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US4786937A (en) * | 1987-05-01 | 1988-11-22 | Xerox Corporation | Processing cartridge with one time function sheet |
JP2009037197A (ja) * | 2007-07-06 | 2009-02-19 | Ricoh Co Ltd | 保護剤塗布装置・プロセスカートリッジ・画像形成装置 |
JP5176562B2 (ja) * | 2008-01-22 | 2013-04-03 | 株式会社リコー | 固体表面付着物の存在量評価方法、および保護剤塗布装置の評価方法 |
JP5555997B2 (ja) * | 2008-10-01 | 2014-07-23 | 株式会社リコー | 画像形成装置及びプロセスカートリッジ |
-
2014
- 2014-06-16 JP JP2014123550A patent/JP6299464B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2016004125A (ja) | 2016-01-12 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US7873298B2 (en) | Cleaning device, process cartridge, and image forming apparatus | |
US7817954B2 (en) | Cleaning unit, image carrier unit including same, and image forming apparatus including same | |
US20040213600A1 (en) | Image forming apparatus using a contact or a proximity type of charging system | |
JP2008224828A (ja) | 画像形成方法、画像形成装置、およびこれに用いるプロセスカートリッジ | |
JP2012014144A (ja) | 画像形成装置 | |
JP5374893B2 (ja) | 保護剤塗布装置の評価方法 | |
JP6894346B2 (ja) | 画像形成装置 | |
JP2013088390A (ja) | 部材表面汚染状態検知方法及び画像形成装置 | |
JP6299464B2 (ja) | 金属石鹸分解物の定量方法及び画像形成装置の良否判定方法 | |
JP5168656B2 (ja) | 潤滑剤供給手段、プロセスユニット及び画像形成装置 | |
JP5263656B2 (ja) | 付着力分布判断方法 | |
JP2009053590A (ja) | 付着力分布判断方法、回収ローラ、クリーニング装置及び画像形成装置 | |
JP5229689B2 (ja) | 画像形成装置、プロセスカートリッジ、画像形成方法 | |
JP4824383B2 (ja) | 帯電装置の調整方法 | |
JP2008026412A (ja) | 画像形成装置 | |
JP7472683B2 (ja) | 画像形成方法 | |
JP2014178353A (ja) | プロセスカートリッジ、画像形成装置および潜像担持体組付け方法 | |
JP2009186965A (ja) | 付着力分布判断方法、粉体除去特性判断方法、像担持体、ブレード、クリーニング装置及び画像形成装置 | |
JP4927465B2 (ja) | 画像形成装置の帯電条件設定方法 | |
JP6932880B2 (ja) | 画像形成装置 | |
JP5327570B2 (ja) | 画像形成装置 | |
JP2004038208A (ja) | 多機能型接触転写装置 | |
JP5470902B2 (ja) | 感光体の評価方法 | |
JP2024013572A (ja) | 画像形成装置およびそれを用いる画像形成方法、帯電装置 | |
JP2011133850A (ja) | 電子写真感光体、並びに該電子写真感光体を用いた画像形成装置、画像形成方法及びプロセスカートリッジ |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20170607 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20180124 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20180130 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20180212 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 6299464 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |