JP6299464B2 - 金属石鹸分解物の定量方法及び画像形成装置の良否判定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、像担持体表面における金属石鹸分解物の定量方法及び画像形成装置の良否判定方法に関する。
電子写真方式の画像形成装置においては、像担持体(以下、「感光体」、「電子写真感光体」、「静電潜像担持体」と称することもある)に対して帯電工程、露光工程、現像工程、及び転写工程を施すことにより画像形成が行われる。前記帯電工程で生成し前記像担持体表面に残る放電生成物及び前記転写工程後に前記像担持体表面に残る残留トナーはクリーニングブレードによるクリーニング工程を経て除去される。
近年、画像形成装置の高画質化の要求に対して、画像形成に用いられるトナーは小粒径のものになってきている。このような小粒径のトナーを用いた画像形成装置は、残留トナーがクリーニングブレードをすり抜ける割合が多くなり、特にクリーニングブレードの寸法精度、組み付け精度が十分でなかったり、前記クリーニングブレードが部分的に振動する場合には、トナーのすり抜けが激しくなってしまい、高画質の画像形成を妨げている。そのため、有機感光体(OPC)の寿命を延ばし長期に亘って高画質を保持するには、摩擦による部材の劣化を低減し、クリーニング性を向上させる必要がある。
前記要求に対して、金属石鹸等の保護剤を感光体に供給し、ブレード等で保護剤の皮膜を形成する方法などが採用されている。前記感光体への保護剤の塗布により、前記感光体表面が保護剤によって保護されるため、クリーニングブレードと感光体の摩擦によって生じる感光体摩耗や感光体を帯電するときに生じる放電のエネルギーによる感光体の劣化が低減される。また、前記保護剤の塗布により、感光体表面の潤滑性が向上するため、トナーやトナーの外添剤等が感光体表面に付着することを防止でき、クリーニングブレードと感光体間の潤滑性も増すため、クリーニングブレードが部分的に振動する現象が低減され、すり抜けトナー量が減少する。
しかしながら、このような潤滑性及び保護性は保護剤の感光体の存在量(付着量)が少なすぎると、感光体摩耗、AC帯電による感光体劣化、トナーすり抜けに充分な効果を発揮できないため、保護剤の塗布量を規定した画像形成装置が種々提案されている。
例えば、感光体表面のXPS(X−ray photoelectron spectroscopy)分析により検出される全元素に対する亜鉛元素の割合で感光体表面に塗布されたステアリン酸亜鉛の量を規定した画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1〜4参照)。
しかし、前記XPS分析で被覆率を規定範囲内になるよう制御しているにも関わらず、トナー、トナーの外添剤、保護剤の塊等が感光体表面に付着し、異常画像が生じてしまうことがある。更に、前記XPS法は表面から約5nm以下の領域についてのみ測定しているため、厚み方向の金属石鹸の定量には不向きな分析方法である。
また、XRF(X−ray Flourescence)法により保護剤の塗布量を規定することで長期に亘って高画質を保持する方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
しかし、前記XRF法で規定した量に保護剤を制御しているにもかかわらず、画像形成装置の使い方によっては、感光体にトナー等や外添剤等の付着物が発生し、異常画像が生じてしまったり、ブレード摩耗が起こったりしてしまうケースが、数多く見受けられた。
一方、近年、画像形成装置は、カラー機が主流になっており、高画質画像が望まれることから、帯電方式は、帯電ローラを帯電器として用い、直流電圧に交流電圧を重畳したAC帯電方式が主流となってきている。前記帯電ローラを用いたAC帯電方式は小型化のニーズにも応えられ、オゾン、NOx等の酸化性ガスの発生量が少ないことから、そのニーズは高いものである。しかし、DC帯電方式の場合は、帯電器を通過する間に、1回の正放電のみで感光体を帯電させることができるが、前記AC帯電方式を用いた場合は、周波数に応じて、1秒間に数100〜数1,000回の正負放電を繰り返して感光体を帯電させることから、感光体が受けるハザードは前記DC帯電方式と比較して非常に大きく、感光体を保護する機能がより重要となる。
特に、前記AC帯電方式では、帯電ハザードはDC帯電の場合より非常に大きく、感光体と同様に感光体に塗布された保護剤も大きなハザードを受ける環境下にあるため、従来と同様に保護剤付着量や保護剤被覆率を制御しても、感光体表面にトナーの外添剤が付着したり、トナー自体が保護剤と共に感光体表面に付着したままクリーニングブレードでは除去できない状況になるなど、感光体表面にトナー以外の付着物が付着して除去できなくなるという不具合が数多く見受けられていた。
また、ATR法による金属石鹸の付着量を分析することにより感光体が使用可能であるかを評価する方法が提案されている(例えば、特許文献5参照)。この提案のATR法は、感光体特有のIRピークと金属石鹸のIRピークとの比から金属石鹸量を定量する方法である。画像形成を行わない場合には、前記ATR法で金属石鹸の定量を行った結果と、XRF法やその他の元素分析法により金属量を定量し、金属石鹸に換算した値とは一致する。しかし、画像形成を行った場合には、前記ATR法とその他の元素分析法での金属石鹸の定量値に大きな差が生じてしまい、各分析方法で定量値が異なるため、感光体が使用可能であるか否かの正確な判定ができないという問題がある。
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、像担持体表面の金属石鹸の付着量及び金属石鹸分解物の付着量を容易かつ正確に定量することができる金属石鹸分解物の定量方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明の金属石鹸分解物の定量方法は、像担持体と、前記像担持体に金属石鹸を付与する金属石鹸付与手段とを有する画像形成装置を用いて画像形成後の前記像担持体表面に付着した金属石鹸分解物の定量方法であって、
前記像担持体表面に付着した金属石鹸の金属量から換算した金属石鹸量Aと、前記像担持体表面に付着した金属石鹸の脂肪酸量から換算した金属石鹸量Bとから、下記数式1により金属石鹸分解物量を定量する。
<数式1>
金属石鹸分解物量(μg/cm)=金属石鹸量A(μg/cm)−金属石鹸量B(μg/cm
本発明によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、像担持体表面の金属石鹸の付着量及び金属石鹸分解物の付着量を容易かつ正確に定量することができる金属石鹸分解物の定量方法を提供することができる。
図1は、保護剤塗布装置の一例を示す概略図である。 図2は、プロセスカートリッジの一例を示す概略図である。 図3は、画像形成装置の一例を示す概略図である。
(金属石鹸分解物の定量方法)
本発明の金属石鹸分解物の定量方法は、像担持体と、前記像担持体に金属石鹸を付与する金属石鹸付与手段とを有する画像形成装置を用いて画像形成後の前記像担持体表面に付着した金属石鹸分解物の定量方法であって、
前記像担持体表面に付着した金属石鹸の金属量から換算した金属石鹸量Aと、前記像担持体表面に付着した金属石鹸の脂肪酸量から換算した金属石鹸量Bとから、下記数式1により金属石鹸分解物量を定量する。
<数式1>
金属石鹸分解物量(μg/cm)=金属石鹸量A(μg/cm)−金属石鹸量B(μg/cm
また、前記数式1から求めた金属石鹸分解物量と、像担持体表面に付着した金属石鹸の金属量から換算した金属石鹸量Aとから、下記数式2により金属石鹸の分解率を求めることができる。
<数式2>
金属石鹸の分解率(%)=[金属石鹸分解物量(μg/cm)/金属石鹸量A(μg/cm)]×100
前記課題を解決するため本発明者らは、像担持体表面に金属石鹸を十分な量塗布しているのにも関わらず、画像形成に伴って様々な不具合が起こることから、金属石鹸が画像形成後の像担持体に本当に塗布されているのか、塗布された金属石鹸が潤滑性の面できちんと機能しているのか、また各分析方法で定量される値が金属石鹸の量であるのかについて鋭意検討を重ねた結果、前記金属石鹸は脂肪酸と金属の塩であり、当然のことながら、脂肪酸と金属酸の塩の状態で潤滑性が機能することから、金属石鹸を定量する方法としては、従来のXRF法等の金属成分を定量し、金属石鹸に換算する方法の他に、脂肪酸成分を定量し、金属石鹸に換算する方法もあることを知見した。
そして、金属成分の定量及び脂肪酸成分の定量を行っていく中で、像担持体表面の金属石鹸量の分析結果が、測定法の違い(GC法とICP−AES法)により大きく異なることを知見した。即ち、前記金属成分を分析するICP−AES法やICP−MS法(以下、これらをまとめて「ICP法」と称する)においては、金属石鹸が十分な量付着しているという結果になるにも関わらず、同じサンプルをGC法やGC−MS法(以下、これらをまとめて「GC法」と称する)で測定すると、金属石鹸量が前記「ICP法」で算出した金属石鹸量の半分以下になるケースが数多くあることを知見した。
本発明者らは、前記ケースがどういう場合に起こるのかについて詳細に検討を行った結果、帯電方式がDC帯電であったり、ラン枚数が少ない場合には、前記「ICP法」より算出された金属石鹸量と前記「GC法」より算出された金属石鹸量とはほぼ一致するが、画像形成中のACハザードが高い傾向にある画像形成装置や画像形成を長期に亘って行った後の像担持体は、前記「GC法」より算出された金属石鹸量と、前記「ICP法」により算出された金属石鹸量とに大きな差が生じることが分かった。
更に、金属石鹸が帯電で分解する場合について詳しく検討すると、金属石鹸における脂肪酸成分は低分子化し、最終的には、水と炭酸ガスに分解すると考えられるが、ガスクロマトグラムを解析したところ、低分子化した脂肪酸はほとんど検出されず、帯電で水と炭酸ガスになり蒸発してしまうことが分かった。一方、脂肪酸と対になる金属成分は、酸化物となり、もはや金属石鹸でなくなっていることが分かった。
次に、前記「ICP法」と前記「GC法」との分析方式の違いについて検討すると、前記「ICP法」は、金属石鹸中の金属成分を定量し、金属石鹸に換算して、金属石鹸量を算出する。一方、前記「GC法」は、金属石鹸中の脂肪酸成分を定量し、金属石鹸に換算して、金属石鹸量を算出する。
両者の分析方式の違いから、前記「GC法」においては、金属石鹸中の脂肪酸が分解している場合は、分解してなくなった量を忠実に捉えて、像担持体上に残存している金属石鹸の量を測定することができる。前記「ICP法」においては、金属を検出して、金属量から金属石鹸量に換算するため、脂肪酸の酸化劣化等が起こっていても、金属さえ感光体上に残っていれば、その金属量の全てが金属石鹸量として換算されてしまうため、劣化した脂肪酸も全て金属石鹸として捉えられてしまい、前記「GC法」から算出された量との間に、脂肪酸が酸化劣化した分の差が生じてしまう結果となる。
この結果を極端な例に置き換えてみると、金属石鹸を塗布した像担持体において、その金属石鹸が画像形成中に全量酸化劣化し、全ての金属石鹸が金属酸化物になってしまった場合、像担持体上には、金属酸化物である金属が多量付着しているため、前記「ICP法」で分析を行うと金属が多量検出され、あたかも金属石鹸がたくさん残っていると認識してしまう。一方、前記「GC法」においては、塗布した金属石鹸が全量酸化劣化して金属酸化物になってしまった場合、金属酸化物からは脂肪酸は検出されないため、像担持体上に金属石鹸は残存していないと認識される。
更に、金属石鹸中の脂肪酸が酸化劣化した物質(金属石鹸分解物)が像担持体上に残っている状態は、画像形成を行う感光体にとって非常によくない状態であることが分かってきた。即ち、前記金属石鹸分解物は、潤滑性が非常に悪く、粘着性が高い性質を有しており、本来の金属石鹸の性質とは大きく異なる。このような潤滑性が悪い金属石鹸分解物が像担持体上に付着していると、クリーニングブレードと像担持体間の摩擦係数が高くなるため、トナーや金属石鹸等の本来クリーニングブレードで堰き止められている物質がブレードめくれ等によってクリーニングブレードをすり抜けてしまう。このようなクリーニングブレードをすり抜けた物質は、像担持体に塗布された金属石鹸や粘着性の高い性質を有する金属石鹸分解物と混ざり合い、混ざり合った状態で像担持体上で固まってしまう。像担持体上で固まった金属石鹸分解物を含む粘着性の高い混合物は、像担持体上にしっかりと固定され、この固定された付着物は、クリーニングブレード等が像担持体に当たる程度の力では除去できないほど像担持体にしっかりと固定してしまう。更に、前記像担持体にしっかりと固定された付着物は、更に他の物質を取り込み付着物の厚みを増していく傾向がある。像担持体上にこのような付着物が存在すると、前記付着物が存在する像担持体上の部分で帯電不良等が起こるため、画像形成した際に、帯電不良が起こった部分で異常画像が発生してしまう。
このことから、像担持体表面の金属石鹸分解物の付着量は制御する必要があることが分かってきた。
更に、前記金属石鹸分解物が、像担持体に塗布した金属石鹸に対して一定以上の割合で像担持体に付着していると、金属石鹸は、保護剤として機能しないことが分かってきた。即ち、前記金属石鹸分解物の一例として金属酸化物があるが、前記金属酸化物は、潤滑性は全くなく、硬い性質を持つ物質である。前記金属酸化物が金属石鹸と混ざり合って像担持体上に付着した場合、この硬い混合物は像担持体に強く固定されてしまい、クリーニングブレード等が像担持体に当たる程度の力では取り去ることができない。前記金属石鹸と前記金属石鹸分解物の混合物について更に調べていくと、前記金属石鹸分解物が像担持体に付着している金属石鹸に対して一定以上の割合になってしまうと、像担持体上に付着している金属石鹸が保護剤として機能しないことが分かってきた。
以上の知見から、保護剤を塗布する手段を有する画像形成装置においては、金属石鹸分解物量及び金属石鹸分解率(像担持体に塗布した金属石鹸量に対する金属石鹸分解物の割合)を算出し、規定することが非常に重要で、必要不可欠であることが分かり、本発明をなすに至った。
したがって、本発明の金属石鹸分解物の定量方法は、像担持体と、前記像担持体に金属石鹸を付与する金属石鹸付与手段とを有する画像形成装置を用いて画像形成後の前記像担持体表面に付着した金属石鹸分解物の定量方法であって、
前記像担持体表面に付着した金属石鹸の金属量から換算した金属石鹸量Aと、前記像担持体表面に付着した金属石鹸の脂肪酸量から換算した金属石鹸量Bとから、下記数式1により金属石鹸分解物量を定量する。
<数式1>
金属石鹸分解物量(μg/cm)=金属石鹸量A(μg/cm)−金属石鹸量B(μg/cm
ここで、前記数式1における金属石鹸量A(金属石鹸の金属量から換算した金属石鹸量)について詳しく説明する。
前記金属石鹸量Aは、金属石鹸の金属に着目して分析を行い、金属の定量値から、金属石鹸の量を換算して求めた量である。更に詳細には、像担持体表面に付着した金属石鹸を金属に着目して定量分析し、定量された金属量(金属定量値)の全てが金属石鹸由来であると仮定して、該金属定量値から金属石鹸に換算した量を表す。金属石鹸中の金属の定量方法としては、例えば、ICP−AES法、ICP−MS法などがある。ただし、着目する金属が金属石鹸由来以外にも存在する場合はこの方法は用いることができない。
前記ICP−AES(Inductively coupled plasma−Atomic Emission Spectrometry)法は、ICP(誘導結合プラズマ)によってサンプルを原子化及び熱励起し、これが基底状態に戻る際の発光スペクトルから元素の同定及び定量を行う方法である。
前記ICP−AES法としては、例えば、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製SPS5100型などを用いることができる。
前記ICP−MS(Inductively coupled plasma−Mass Spectrometry、ICP質量分析)法は、質量分析計のイオン化部としてICPを用いることで、元素の同定及び定量を行う方法である。質量分析計を用いるため、pptレベルの超感度分析が可能である。
金属イオンMn+と脂肪酸イオンFAcとからなる金属石鹸が、Mn+・n(FAc)(ただし、Mは金属、FAcは脂肪酸、nは原子価を表す。)で表される場合、前記金属石鹸量Aは、下記数式3で表すことができる。
<数式3>
金属石鹸量A=Mの定量値 × Mw(Mn+・nFAc)/Mw(M)
ただし、前記数式3中、分子aの分子量は、Mw(a)と表す。Mの定量値はICP−AES法、ICP−MS法等で分析して得られたM(金属)の定量値を表す。Mw(Mn+・nFAc)は金属石鹸の分子量を表す。Mw(M)は金属の原子量を表す。
上記においては、金属石鹸の量を金属に着目して定量し、換算して求めたが、金属石鹸の別の定量方法として、金属石鹸の酸に着目して定量し、換算する方法がある。前記数式1の金属石鹸量Bとは、この金属石鹸の酸に着目して定量し、換算した量である。詳細には、感光体表面に付着した金属石鹸を酸に着目して定量分析し、定量された酸量の全てが金属石鹸由来であると仮定して、前記酸量(酸定量値)から金属石鹸に換算した量を表す。前記金属石鹸中の酸の定量方法としては、例えば、GC法、GC−MS法などがある。ただし、着目する酸が金属石鹸由来以外にも存在する場合はこの方法は用いることができない。
前記GC(ガスクロマトグラフ、Gas Chromatograph)法は、気体試料をキャリアガスと共にカラムを通し、試料中の各成分の含有量を測定する分析方法である。
前記GC法としては、例えば、株式会社島津製作所製GC−2010型などを用いることができる。
前記GC−MS(Gas Chromatograph Mass Spectrometer)法は、ガスクロマトグラフ(GC)と質量分析計(MS;マス)が一体化した分析装置を用いた分析方法である。
金属石鹸量Bは、前記金属石鹸量Aと同様にして、下記数式4で表すことができる。
<数式4>
金属石鹸量B=FAcの定量値 × (1/n) × Mw(Mn+・nFAc)/Mw(FAc)
ただし、前記数式4中、FAcの定量値はGC法、GC−MS法等で分析して得られた脂肪酸の定量値を表す。Mw(FAc)は脂肪酸の分子量を表す。
次に、前記数式1の金属石鹸の分解量について詳しく説明する。
前記金属石鹸に分解物が発生していない場合、「金属石鹸量A」と「金属石鹸量B」は、等しくなり、「金属石鹸分解物量」はゼロとなる。一方、金属石鹸に分解物が発生している場合、即ち、酸の一部が分解して別の物質に変化した場合、「金属石鹸量B」は、酸が分解した量に応じて減少するが、金属は分解しないため「金属石鹸量A」は酸分解物が発生しても減少せずに、「金属石鹸量A」>「金属石鹸量B」となり、「金属石鹸量A」−「金属石鹸量B」は「金属石鹸分解物量」を示すことになる。これらの結果、前記数式1が得られる。
また、本発明において、前記数式1から求めた金属石鹸分解物量と、像担持体表面に付着した金属石鹸の金属量から換算した金属石鹸量Aとから、下記数式2により金属石鹸の分解率を求めることができる。
<数式2>
金属石鹸の分解率(%)=[金属石鹸分解物量(μg/cm)/金属石鹸量A(μg/cm)]×100
前記金属石鹸は、ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛との混合物であることが好ましい。
前記ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛との混合物を用いることが好ましい理由としては、ステアリン酸亜鉛が感光体上に塗布される過程を観察すると、ブロック状のステアリン酸亜鉛は、ブラシによりかきとられて微粉化され、ブレードで引伸ばされるが、付着したステアリン酸亜鉛がムラになって引き伸ばされていることがある。しかし、ステアリン酸亜鉛に、ステアリン酸亜鉛よりも分子量の小さいパルミチン酸亜鉛を加えることにより、感光体表面に保護剤(ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛)がブレードで均一に引伸ばされ、感光体上を充分に覆うことができると考えられる。
前記ステアリン酸亜鉛と前記パルミチン酸亜鉛は、いずれも金属石鹸であるが、脂肪酸部分は、ステアリン酸が炭素数18であり、パルミチン酸は炭素数16である。そのため、ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛は構造が似ておりよく相溶し、ほぼ同じ材料としてふるまう。
また、前記パルミチン酸亜鉛は前記ステアリン酸亜鉛に比べて融点が低いため、ステアリン酸亜鉛中にパルミチン酸亜鉛が一定量以上含有していると、ブレードにより保護剤が引伸ばされやすくなる。
本発明で用いられる保護剤は、ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛を主体としており、前記ステアリン酸亜鉛と前記パルミチン酸亜鉛との混合質量比率(ステアリン酸亜鉛:パルミチン酸亜鉛)は、80:20〜40:60が好ましい。前記ステアリン酸亜鉛が80質量%を超えると、ステアリン酸亜鉛単独と同じように、塗布ムラが起こりやすくなることがある。一方、前記ステアリン酸亜鉛が40質量%未満であると、保護剤による感光体の保護効果が不十分になるため、好ましくない。
(画像形成装置の良否判定方法)
本発明の画像形成装置の良否判定方法は、本発明の前記金属石鹸分解物の定量方法により求めた金属石鹸分解物量によって画像形成装置の良否を判定するものである。
前記金属石鹸分解物量が4.0μg/cm以下であると、画像形成装置が良好であると判定することができる。
前記金属石鹸分解率が80%以下であると、画像形成装置が良好であると判定することができる。
ここで、前記画像形成装置が良好であるとは、23℃、相対湿度50%環境及び高温高湿度環境(30℃、相対湿度90%)での出力画像(白紙、ハーフトーン、格子画像等)において、官能評価で異常が確認されないことを意味する。ここで異常とは、ドットの乱れや意図しない白筋、黒筋、ポチ画像、地汚れ等を指す。特に、出力画像で白筋が目視で確認されなければ前記画像形成装置が良好であると言える。
<像担持体>
本発明の金属石鹸分解物の定量方法に用いる像担持体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、感光体、中間転写体などが挙げられる。これらの中でも、金属石鹸分解物が感光体上にあると、静電特性が変化してしまうため、好適に適応できる。
<<感光体>>
前記感光体は、導電性支持体と、前記導電性支持体上に感光層を有している。
前記感光層の構成は電荷発生物質と電荷輸送物質とを混在させた単層型、又は電荷発生物質を含有する電荷発生層の上に電荷輸送物質を含有する電荷輸送層を設けた順層型、あるいは電荷輸送層の上に電荷発生層を設けた逆層型がある。
前記感光体の機械的強度、耐磨耗性、耐ガス性、クリーニング性等の向上のため、前記感光層の上に表面層を設けることもできる。また、前記感光層と前記導電性支持体との間には下引き層を有していてもよい。なお、各層には必要により可塑剤、酸化防止剤、レベリング剤等を適量添加することもできる。
−導電性支持体−
前記導電性支持体としては、体積抵抗率10×10Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を、蒸着又はスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板及びそれらを、押し出し、引き抜きなどの工法でドラム状に素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理した管などを使用することができる。
ドラム状の支持体としては、直径20mm〜150mmが好ましく、24mm〜100mmがより好ましく28mm〜70mmが更に好ましい。ドラム状の支持体の直径が20mm以下では、ドラム周辺に帯電、露光、現像、転写、クリーニングの各工程を配置することが物理的に難しく、ドラム状の支持体の直径が150mm以上では画像形成装置が大きくなってしまい好ましくない。特に、画像形成装置が図3に示すようなタンデム型の場合には、複数の感光体を搭載する必要があるため、直径は70mm以下、好ましくは60mm以下であることが好ましい。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体として用いることができる。
−下引き層−
前記下引き層、樹脂又は白色顔料と樹脂を主成分としたもの、及び導電性支持体表面を化学的あるいは電気化学的に酸化させた酸化金属膜などが挙げられる。これらの中でも、白色顔料と樹脂を主成分とするものが好ましい。
前記白色顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛等の金属酸化物などが挙げられる。これらの中でも、導電性支持体からの電荷の注入防止性が優れる酸化チタンを含有させることが好ましい。
前記下引き層に用いる樹脂としては、例えば、ポリアミド、ポリビニルアルコール、カゼイン、メチルセルロース等の熱可塑性樹脂、アクリル、フェノール、メラミン、アルキッド、不飽和ポリエステル、エポキシ等の熱硬化性樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記感光層における電荷発生物質としては、例えば、モノアゾ系顔料、ビスアゾ系顔料、トリスアゾ系顔料、テトラキスアゾ顔料等のアゾ顔料、トリアリールメタン系染料、チアジン系染料、オキサジン系染料、キサンテン系染料、シアニン系色素、スチリル系色素、ピリリウム系染料、キナクリドン系顔料、インジゴ系顔料、ペリレン系顔料、多環キノン系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料、インダスロン系顔料、スクアリリウム系顔料、フタロシアニン系顔料等の有機系顔料及び染料;セレン、セレン−ヒ素、セレン−テルル、硫化カドミウム、酸化亜鉛、酸化チタン、アモルファスシリコン等の無機材料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記感光層における電荷輸送物質としては、例えば、アントラセン誘導体、ピレン誘導体、カルバゾール誘導体、テトラゾール誘導体、メタロセン誘導体、フェノチアジン誘導体、ピラゾリン化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、スチリルヒドラゾン化合物、エナミン化合物、ブタジエン化合物、ジスチリル化合物、オキサゾール化合物、オキサジアゾール化合物、チアゾール化合物、イミダゾール化合物、トリフェニルアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリフェニルメタン誘導体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記電荷発生層及び電荷輸送層を形成するのに使用する結着樹脂としては、電気絶縁性であり、それ自体公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂及び光導電性樹脂等を使用することができる。前記結着樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネ−ト、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ABS樹脂等の熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、イソシアネート樹脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、熱硬化性アクリル樹脂等の熱硬化性樹脂、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン等の光導電性樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記酸化防止剤としては、例えば、モノフェノール系化合物、ビスフェノール系化合物、高分子フェノール系化合物、パラフェニレンジアミン類、ハイドロキノン類、有機硫黄化合物類、有機燐化合物類などが挙げられる。
前記可塑剤としては、例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートなどの一般的な樹脂の可塑剤として使用されているものなどが挙げられる。前記可塑剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対して0質量部〜30質量部が好ましい。
前記レベリング剤としては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、測鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマー又はオリゴマーなどが挙げられる。前記レベリング剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対して、0質量部〜1質量部が好ましい。
−表面層−
前記表面層は、感光体の機械的強度、耐磨耗性、耐ガス性、クリーニング性等の向上のため設けられる。
前記表面層としては、感光層よりも機械的強度の高いポリマー、前記ポリマーに無機フィラーを分散させたものが例示できる。
前記表面層は、薄い膜厚であれば、電荷輸送能力を有していなくても支障はないが、電荷輸送能力を有しない表面層を厚く形成すると、感光体の感度低下、露光後電位上昇、残留電位上昇を引き起こしやすいため、表面層中に前記電荷輸送物質を含有させたり、表面層に用いる高分子を電荷輸送能力を有するものを用いることが好ましい。
前記感光層と表面層との機械的強度は一般に大きく異なるため、クリーニングブレードとの摩擦により表面層が磨耗し、消失すると、すぐに感光層は摩耗していってしまう。このため、前記表面層は十分な厚みとすることが重要であり、0.1μm以上12μm以下が好ましく、1μm以上10μm以下がより好ましく、2μm以上8μm以下が更に好ましい。
前記表面層の厚みが、0.1μm未満であると、薄すぎてクリーニングブレードとの摩擦により部分的に消失しやすくなり、消失した部分から感光層の摩耗が進んでしまうことがある。一方、前記表面層の厚みが、12μmを超えると、感度低下、露光後電位上昇、残留電位上昇が生じやすく、特に電荷輸送能力を有する高分子を用いる場合には、電荷輸送能力を有する高分子のコストが高くなってしまうことがある。
前記表面層に用いるポリマーとしては、画像形成時の書き込み光に対して透明で、絶縁性、機械的強度、接着性に優れたポリマーが好ましく、ポリカーボネート樹脂がより好ましい。
前記表面層中には、前記表面層の機械的強度を高めるために金属、又は金属酸化物の粒子を分散させることができる。前記金属酸化物としては、例えば、酸化チタン、酸化錫、チタン酸カリウム、TiO、TiN、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化アンチモンなどが挙げられる。その他、耐摩耗性を向上する目的でポリテトラフルオロエチレンのような弗素樹脂、シリコーン樹脂、又はこれらの樹脂に等の無機材料を分散したもの等を添加することができる。
−中間転写体−
前記像担持体は、感光体上に形成されたトナー像を一次転写して色重ねを行い、更に記録媒体へ転写を行う、いわゆる中間転写方式による画像形成を行う際に使用する中間転写体であってもよい。
前記中間転写体としては、体積抵抗率が10Ω・cm以上1011Ω・cm以下の導電性を示すものが好ましい。前記体積抵抗率が、10Ω・cm未満であると、感光体から中間転写体上へトナー像の転写が行われる際に、放電を伴いトナー像が乱れるいわゆる転写チリが生じることがあり、1011Ω・cmを超えると、中間転写体から紙等の記録媒体へトナー像を転写した後に、中間転写体上へトナー像の対抗電荷が残留し、次の画像上に残像として現れることがある。
前記中間転写体としては、例えば、酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物やカーボンブラック等の導電性粒子や導電性高分子を、単独又は併用して熱可塑性樹脂と共に混練後、押し出し成型したベルト状もしくは円筒状のプラスチックなどを使用することができる。この他に、熱架橋反応性のモノマーやオリゴマーを含む樹脂液に、必要により上述の導電性粒子や導電性高分子を加え、加熱しつつ遠心成型を行い、無端ベルト上の中間転写体を得ることもできる。
前記中間転写体に表面層を設ける際には、上述の感光体の表面層に使用した表面層材料の内、電荷輸送材料を除く組成物に、適宜、導電性物質を併用して抵抗調整を行い、使用することができる。
<保護剤塗布装置>
ここで、図1は保護剤塗布装置を備えた画像形成装置の要部構成例を示す概略要部構成図である。なお、前記保護剤塗布装置は、金属石鹸付与手段と称することもある。
像担持体であるドラム状の感光体1に対向して配設された保護剤塗布装置2は、感光体を保護する金属石鹸を主体とした保護剤をバー状(例えば、円柱状、四角柱状、六角柱状等)にした保護剤ブロック21と、前記保護剤ブロック21が左右前後に振れないように支持する保護剤ブロック支持ガイド25と、前記保護剤ブロック21と接触するブラシ22aを有し前記保護剤ブロック21からブラシ22aに移行した保護剤を感光体1へ供給する保護剤供給部材22と、前記保護剤ブロック21を保護剤供給部材22のブラシ22aに押し当てて保護剤を保護剤供給部材22のブラシ22aに移行させる押圧力付与機構(例えば、バネ、スプリング等)23と、保護剤供給部材22により感光体上に供給された保護剤を薄層化する保護層形成機構24等から主に構成されている。
前記保護剤ブロック21は、保護剤を溶融後、型に投入し、冷却して作製する溶融成型法、あるいは、保護剤粉末を圧縮して作製する圧縮成型法により作製される。
なお、図1において、符号4は感光体のクリーニング手段であり、保護剤塗布装置2の感光体回転方向上流側に設置されているが、前記クリーニング手段4は、保護剤塗布前に感光体表面をクリーニングし、保護剤の塗布が良好に行われるようにするものであるので、保護剤塗布装置2の構成部材と見做すこともできる。
本発明による保護剤ブロック21は、バネ、スプリング等の押圧部材からなる押圧力付与機構23からの押圧力により、保護剤供給部材22のブラシ22aに押し当てられ、前記保護剤ブロック21からブラシ22aに保護剤が移行する。このとき、バネ、スプリングの押圧力を変化させることにより、前記保護剤の供給量を変化させることができる。前記保護剤供給部材22は感光体1と線速差をもって回転してブラシ22aの先端で感光体表面を摺擦し、この際に前記保護剤供給部材22のブラシ22aの表面に保持された保護剤を、感光体1の表面に供給する。
また、前記感光体1の表面に供給された前記保護剤は、供給時に十分な保護層にならない場合があるため、より均一な保護層を形成するために、前記感光体表面の保護剤は、例えば、ブレード状の部材24aと、そのブレード状の部材24aを感光体ドラム1の表面に押し当てるバネやスプリング等の押圧部材24bとを持つ保護層形成機構24により薄層化され、前記感光体表面の保護層となる。なお、前記保護層形成機構24はカウンター方式を用いており、ブレード状の部材24aは、前記感光体表面に対してカウンター方式で接触している。
このように、クリーニングブレード41の他に保護剤塗布用のブレード24aを別途保持し、クリーニングをする機能を持つクリーニングブレード41と保護剤を塗布する機能を持つブレードの2枚のブレードを保持した構成にすることにより、前記感光体上の金属石鹸分解物が前記クリーニングブレード41で除去された後に、新たに金属石鹸が供給され、塗布ブレード24aによって金属石鹸が感光体上に均一に薄層化されるため、金属石鹸分解物が感光体上に残留及び蓄積し難い。金属石鹸が帯電等によって劣化した感光体上の金属石鹸分解物は、新たに金属石鹸を供給する前に、前記クリーニングブレードで清掃及び除去される構成となっている。
なお、前記保護剤ブロックの代わりに保護剤粉末を直接感光体表面に供給することもできる。この場合、保護剤粉末を保有する容器、保護剤粉末を搬送する保護剤搬送装置が必要となり、前記保護剤ブロック、押圧力付与機構、保護剤供給部材が不要となる。前記保護剤搬送装置としては、ポンプ、オーガー等の既存の粉体搬送手段を用いることができる。
前記保護層形成機構24に用いるブレード状の部材(以下、ブレードと称することもある)24aの材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、クリーニングブレード用材料として公知の、ウレタンゴム、ヒドリンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の弾性体を、単独又はブレンドして使用することができる。また、これらのゴムブレードは、感光体1との接点部分を低摩擦係数材料でコーティングや含浸処理してもよい。また、弾性体の硬度を調整するために、他の有機フィラーや無機フィラーに代表される充填材を分散してもよい。
前記ブレード24aは、ブレード支持体24c上に、先端部が感光体表面へ押圧当接できるように、接着や融着等の任意の方法によって固定される。前記ブレード24aの厚みとしては、特に制限はなく、押圧で加える力との兼ね合いで一義的に定義できるものではないが、0.5mm以上5mm以下が好ましく、1mm以上3mm以下がより好ましい。
前記支持体24cから突き出し、たわみを持たせることができる前記ブレード24aの長さ、いわゆる自由長についても同様に押圧で加える、力との兼ね合いで一義的に定義できるものではないが、1mm以上15mm以下が好ましく、2mm以上10mm以下がより好ましい。
前記保護層形成用のブレード24aの他の構成としては、バネ板等の弾性金属ブレード表面に、必要に応じてカップリング剤やプライマー成分等を介して、樹脂、ゴム、エラストマー等の層をコーティング、ディッピング等の方法で形成し、必要により熱硬化等を行い、更に必要であれば表面研摩等を施して用いてもよい。
前記弾性金属ブレードの厚みは、0.05mm以上3mm以下が好ましく、0.1mm以上1mm以下がより好ましい。
また、前記弾性金属ブレードでは、ブレードのねじれを抑止するために、取り付け後に支軸と略平行となる方向に、曲げ加工等の処理を施してもよい。
前記保護層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、PFA、PTFE、FEP、PVdF等のフッ素樹脂;フッ素系ゴム、メチルフェニルシリコーンエラストマー等のシリコーン系エラストマーなどが挙げられる。
前記保護層形成機構24の押圧部材24bでブレード24aを感光体1に押圧する力は、感光体表面の保護剤が延展し、保護層や保護膜の状態になる力で十分であり、線圧として5gf/cm以上80gf/cm以下が好ましく、10gf/cm以上60gf/cm以下がより好ましい。
また、ブラシ状の部材(以下、「ブラシ」と称することがある)22aは、保護剤供給部材22として好ましく用いられる。この場合、感光体表面への機械的ストレスを抑制するためには、ブラシ繊維は可撓性を有することが好ましい。
可撓性のブラシ繊維の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン);ポリビニル及びポリビニリデン系樹脂(例えば、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル及びポリビニルケトン);塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;スチレン−アクリル酸共重合体;スチレン−ブタジエン樹脂;フッ素樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン);ポリエステル;ナイロン;アクリル;レーヨン;ポリウレタン;ポリカーボネート;フェノール樹脂;アミノ樹脂(例えば、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、撓みの程度を調整するため、ジエン系ゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、エチレンプロピレンゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、ヒドリンゴム、ノルボルネンゴム等を複合して用いてもよい。
前記保護剤供給部材22の支持体22bには、固定型と回動可能なロール状のものがある。ロール状の供給部材としては、例えば、ブラシ繊維をパイル地にしたテープを金属製の芯金にスパイラル状に巻き付けてロールブラシとしたものがある。
前記ブラシ繊維は、繊維径で、10μm以上500μm以下が好ましく、20μm以上300μm以下がより好ましい。前記繊維径が、10μm未満であると、保護剤の供給スピードが非常に遅くなることがあり、500μmを超えると、前記ブラシ繊維が単位面積当たりに存在できる本数がより少なくなるため、前記ブラシが前記感光体に当たる場所と当たらない場所での塗布ムラが顕著になったり、前記ブラシが前記感光体に当たったときに前記感光体を傷つけやすくなったり、前記保護剤を掻き取る力が強くなるため、前記保護剤の寿命が短くなったり、前記感光体に供給される前記保護剤が大きな粒状になり、前記感光体に供給された粒が帯電ローラに移動して前記帯電ローラを汚染してしまったり、前記ブラシ及び前記感光体を回転させるためのトルクがより大きくなるため好ましくない。
前記ブラシの繊維の長さは、1mm以上15mm以下が好ましく、3mm以上10mm以下がより好ましい。前記ブラシの繊維の長さが、1mm未満であると、前記ブラシの芯金と前記感光体が非常に近い配置となるため前記芯金が前記感光体と接触して、前記感光体に傷が付き易くなることがあり、15mmを超えると、前記ブラシ繊維先端で保護剤を掻きとる力や前記ブラシ繊維先端が前記感光体に当たる力が弱くなり、前記保護剤を充分な量供給するのが困難になったり、前記ブラシの繊維が抜けやすくなることがある。
また、ブラシ密度は、1平方インチ当たり1万本以上30万本以下(1平方メートル当たり1.5×10〜4.5×10)が好ましい。前記ブラシ密度が、1平方インチ当たり1万本未満であると、ブラシが感光体に当たる場所と当たらない場所での塗布ムラが顕著になったり、保護剤を充分な量供給することが困難になることがあり、また、前記ブラシ密度が、1平方インチ当たり30万本を超えると、前記ブラシ繊維の径を非常に小さくする必要があるため好ましくない。
前記保護剤供給部材22は、供給の均一性やその安定性の面から、極カブラシ密度の高い物を使用することが好ましく、1本の繊維を数本〜数百本の微細な繊維から作ることも好ましい。例えば、333デシテックス=6.7デシテックス×50フィラメント(300デニール=6デニール×50フィラメント)のように6.7デシテックス(6デニール)の微細な繊維を50本束ねて1本の繊維として植毛することも可能である。
これらの保護剤供給部材の中でも、28μm以上43μm以下が好ましく、より好ましくは30μm以上40μm以下の単繊維から作製されたブラシが保護剤の供給の効率が高く、最も好ましい。繊維は、撚って作製されることが多いことから、繊維の径は均一でないため、デニール、デシテックスの単位が用いられてきた。しかし、単繊維の場合は、繊維径は一定であるため、繊維径で規定することの方が、保護剤供給部材を規定する上で好ましい。
前記単繊維の直径が、28μm未満であると、保護剤を供給する効率が低くなることがあり、43μmを超えると、単繊維の剛性が高くなりすぎて、感光体を傷つけやすくなり好ましくない。また、直径が28μm以上43μm以下の単繊維は、芯金に対してできるだけ垂直に植毛されていることが好ましく、ブラシを製造する際には、静電気を利用した、所謂、静電植毛により製造していることが好ましい。前記静電植毛は、ブラシの芯金上に接着剤を塗布し、芯金を帯電させることにより、静電電気力で直径が28μm〜43μmの単繊維を飛翔させて、芯金上の接着剤に植毛し、接着剤を硬化させる方法である。前記静電植毛により、1平方インチ当たり5万本〜60万本植毛したブラシを好適に用いることができる。
また、前記ブラシ22aの表面には、必要に応じてブラシ22aの表面形状や環境安定性などを安定化することなどを目的として、被覆層を設けてもよい。前記被覆層を構成する成分としては、ブラシ繊維の撓みに応じて変形することが可能な被覆層成分を用いることが好ましい。これらは、可撓性を保持し得る材料であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記被覆層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン、アクリル(例えば、ポリメチルメタクリレート)、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル、ポリビリケトン等のポリビニル及びポリビニリデン系樹脂;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;オルガノシロキサン結合からなるシリコーン樹脂又はその変性品(例えば、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン等による変性品);パーフルオロアルキルエーテル,ポリフルオロビニル、ポリフルオロビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン等の弗素樹脂;ポリアミド;ポリエステル;ポリウレタン;ポリカーボネート;尿素−ホルムアルデヒド樹脂等のアミノ樹脂;エポキシ樹脂、又はこれらの複合樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<プロセスカートリッジ>
図2は、本発明に用いられる画像形成装置の画像形成部に具備されるプロセスカートリッジの構成例の概略を説明するための断面図である。
図2に示す画像形成部10は、像担持体であるドラム状の感光体1と、感光体1を帯電する帯電手段である帯電装置(図示の例では帯電ローラ)3と、帯電された感光体1にレーザー光L等を照射して静電潜像を形成する潜像形成手段(図示せず)と、感光体1上の静電潜像をトナーで現像して可視像化する現像手段である現像装置5と、感光体1上のトナー像を記録媒体(又は中間転写体)7に転写する転写手段6と、転写後の感光体1の表面に残留するトナーを除去するクリーニング手段であるクリーニング手段4と、クリーニング手段4から帯電装置3に至る部分に配置された保護剤塗布装置2等を有している。そして、この画像形成部10では、感光体1とともに、保護剤塗布装置2、帯電装置3、現像装置5、クリーニング手段4をカートリッジ内に設けたプロセスカートリッジ11を用いている。なお、本発明においては、前記クリーニング手段4は、保護剤塗布前に感光体表面をクリーニングし、保護剤の塗布が良好に行われるようにするものであるので、保護剤塗布装置2の構成部材と見做すことができる。
図2において、帯電装置3、潜像形成手段(図示せず)、現像装置5は、画像形成手段を構成し、帯電装置3は、例えば、図示しない高電圧電源により直流(DC)電圧に交流(AC)電圧を重畳させた電圧を印加したAC帯電方式の帯電ローラである。また、現像装置5は、トナー、又はトナー及びキャリアの混合物からなる現像剤を担持搬送する現像剤担持体である現像ローラ51と、現像剤を攪拌しながら搬送する現像剤攪拌搬送部材52,53等で構成される。
感光体1に対向して配設された保護剤塗布装置2は、図1と同様に、保護剤ブロック21、保護剤供給部材22、押圧力付与機構23、保護層形成機構24、保護剤ブロック21が左右前後に振れないように支持する保護剤ブロック支持ガイド25等から主に構成される。
また、感光体1は、転写工程後に部分的に劣化した保護剤やトナー成分等が残存した表面となっているが、クリーニング手段4のクリーニング部材41により表面残存物が清掃され、クリーニングされる。図2では、ブレード状のクリーニング部材41はクリーニング押圧機構42で支持され、いわゆるカウンタータイプ(リーディングタイプ)に類する角度で当接されている。また、保護層形成機構24のブレード状部材(ブレード)24aもカウンタータイプに類する角度で当接させている。
前記クリーニング手段4により、表面の残留トナーや劣化した保護剤が取り除かれた感光体表面へは、保護剤ブロック21の保護剤がブラシ状の保護剤供給部材22により供給され、感光体表面に供給された保護剤は、保護層形成機構24のブレード24aにより薄層化され、保護層が形成される。
前記保護層が形成された感光体1は、帯電ローラ3による帯電後、レーザー光Lなどの露光によって静電潜像が形成され、現像手段である現像装置5のトナーにより現像されて可視像化され、プロセスカートリッジ外の転写手段である転写装置(転写ローラ等)6により、転写紙等の記録媒体(又は中間転写体)7へ転写される。
前記プロセスカートリッジ11に用いる帯電手段(帯電装置)3としては、装置が小型で、オゾン等の酸化性ガスの発生の少ない、帯電ローラが用いられる。
帯電ローラ3は、感光体1と接触、又は20μm〜100μm近接した非接触状態で設置され、帯電ローラ3と感光体1の間に電圧を印加することにより、感光体1を帯電する。前記帯電ローラ3と感光体1の間に印加する電圧は、直流電圧に交流電圧を重畳したAC帯電を用いる。なお、AC帯電を行う場合は、感光体1と帯電ローラ3の間で1秒間に数百回以上もの放電が起こることから、感光体は、放電による劣化を受けやすい。また、感光体1へ金属石鹸の塗布をした場合でも、金属石鹸は放電により劣化し、金属石鹸分解物が感光体上に残存してしまう可能性が高くなることから、感光体上の金属石鹸分解物量を規定しておくことは、非常に重要である。
前記帯電ローラの構成としては、導電性支持体上に、高分子層と、表面層から構成されることが好ましい。
前記導電性支持体は、帯電ローラ13の電極及び支持部材として機能するもので、例えば、アルミニウム、銅合金、ステンレス鋼等の金属又は合金、クロム、ニッケル等で鍍金処理を施した鉄、導電剤を添加した樹脂、などの導電性の材質で構成される。
前記高分子層としては、10Ω・cm〜10Ω・cmの体積抵抗率を有する導電性層であることが好ましく、高分子材料に導電剤を混合して抵抗を調整したものが用いられる。
前記高分子層における高分子材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエステル系、オレフィン系の熱可塑性エラストマー、ポリスチレン、スチレンーブタジエン共重合体、スチレンーアクリロニトリル共重合体、スチレンーブタジエンーアクリロニトリル共重合体等のスチレン系熱可塑性樹脂、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、ブチルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン3元共重合ゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、天然ゴム、又はこれらを混合したゴム材料などが挙げられる。これらの中でも、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、又はこれらのブレンドゴムが好ましい。これらのゴム材は発泡したものであっても無発泡のものであってもよい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記導電剤としては、例えば、電子導電剤、イオン導電剤が用いられる。
前記電子導電剤としては、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック;熱分解カーボン、グラファイト;アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼等の各種導電性金属又は合金;酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、酸化スズ−酸化アンチモン固溶体、酸化スズ−酸化インジウム固溶体等の各種導電性金属酸化物;絶縁物質の表面を導電化処理したもの;などが挙げられる。
前記イオン導電剤としては、例えば、テトラエチルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウム等の過塩素酸塩、塩素酸塩等;リチウム、マグネシウム等のアルカリ金属;アルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記導電剤の添加量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記電子導電剤の場合には、高分子材料100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下が好ましく、15質量部以上25質量部以下がより好ましい。前記イオン導電剤の場合には、高分子材料100質量部に対して、0.1質量部以上5.0質量部以下が好ましく、0.5質量部以上3.0質量部以下がより好ましい。
前記表面層を構成する材料としては、帯電ローラ13表面のダイナミック超微小硬度が0.04以上0.5以下であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリアミド、ポリウレタン、ポリフッ化ビニリデン、4フッ化エチレン共重合体、ポリエステル、ポリイミド、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、メラミン樹脂、フッ素ゴム、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、セルロース、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、トナーとの離型性の観点から、ポリアミド、ポリフッ化ビニリデン、4フッ化エチレン共重合体、ポリエステル、ポリイミドが好ましい。
前記高分子材料の数平均分子量は、1,000以上100,000以下が好ましく、10,000以上50,000以下がより好ましい。
前記表面層は、前記高分子材料に前記導電性弾性層に用いた導電剤や各種微粒子を混合した組成物から形成されることが好ましい。前記微粒子としては、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、チタン酸バリウム等の金属酸化物及び複合金属酸化物、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン等の高分子微粉体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記プロセスカートリッジに用いる現像手段は、現像剤を感光体に接触させ、感光体上に形成した潜像をトナー像に現像する。前記現像剤としては、トナーとキャリアから構成される二成分現像剤や、キャリアを含まない一成分現像剤を使用することができる。
例えば、図2で示すように、現像装置5は、そのケーシングの開口から現像剤担持体としての現像ローラ51が部分的に露出している。
図示しないトナーボトルから現像装置5内に補給されたトナーは、攪拌搬送スクリュー52及び53によってキャリアと撹拌されながら搬送され、現像ローラ51上に担持されることになる。この現像ローラ51は、磁界発生手段としてのマグネットローラと、その周りを同軸回転する現像スリーブとから構成されている。現像剤中のキャリアは、マグネットローラが発生させる磁力により現像ローラ51上に穂立ちした状態となって感光体ドラム1と対向する現像領域に搬送される。ここで、前記現像ローラ51は、現像領域において感光体ドラム1の表面よりも速い線速で同方向に表面移動する。そして、前記現像ローラ51上に穂立ちしたキャリアは、感光体ドラム1の表面を摺擦しながら、キャリア表面に付着したトナーを感光体ドラム1の表面に供給する。このとき、前記現像ローラ51には、図示しない電源から現像バイアスが印加され、これにより現像領域には現像電界が形成される。そして、感光体ドラム1上の静電潜像と現像ローラ51との間では、現像ローラ51上のトナーに静電潜像側に向かう静電力が働くことになる。これにより、前記現像ローラ51上のトナーは、感光体ドラム1上の静電潜像に付着することになる。この付着によって感光体ドラム1上の静電潜像はトナー像に現像される。
−トナー−
前記トナーとしては、特に制限はなく、公知のトナーの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2014−74762号公報、特開2013−171182号公報、特開2012−177882号公報などに開示されているトナーなどが挙げられる。
<画像形成装置>
図3は、本発明で用いられる画像形成装置100の一例を示す概略構成図である。
この画像形成装置100は、画像形成を行う画像形成装置本体(プリンタ部)110と、画像形成装置本体110の上部に設置された原稿読取部(スキャナ部)120と、その上に設置された原稿自動給紙装置(ADF)130と、画像形成装置本体110の下部に設置された給紙部200とを備えており、複写機の機能を有している。また、この画像形成装置100は、外部装置との通信機能を有しており、装置外部のパーソナルコンピュータ等と接続することにより、プリンタやスキャナとして用いることができる。また、電話回線や光回線と接続することにより、ファクシミリとして用いることができる。
画像形成装置本体110内には、同じ構成で現像装置5のトナー色が異なる画像形成部(画像形成ステーション)10が4つ並設されており、該4つの画像形成部10でトナー色の異なる画像(例えば、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の画像)を形成し、各色のトナー像を記録媒体又は中間転写体に重ね合わせて転写して多色又はフルカラー画像を形成することができる。なお、図3の例では、4つの画像形成部10は、複数のローラに張架されたベルト状の中間転写体7に沿って並設されており、各画像形成部で形成された各色のトナー像は、一旦中間転写体7に順次重ね合わせて転写された後、二次転写装置12で紙等のシート状の記録媒体に一括して転写される。
各色の画像形成部10は図2と同様の構成であり、ドラム状の感光体1(1Y,1M,1C,1K)の周囲に、保護剤塗布装置2、帯電装置3、潜像形成装置8からのレーザー光等の露光部、現像装置5、一次転写装置6、及びクリーニング手段4が配置されている。また、図2と同様に、各色の画像形成部10には、感光体1とともに、保護剤塗布装置2(クリーニング手段4を含む)、帯電装置3、現像装置5をカートリッジ内に設けたプロセスカートリッジ11を用いている。そして、前記プロセスカートリッジ11は、画像形成装置本体110に対して着脱可能に設けられている。
次に、図3に示す画像形成装置の動作を説明する。ここでは、画像形成のための一連のプロセスについて、ネガ−ポジプロセスで説明を行う。なお、各画像形成部の動作は同じであるので、ここでは一つの画像形成部の動作を説明する。
有機光導電層を有する有機感光体(OPC)等に代表される像担持体であるドラム状の感光体1は、除電ランプ(図示せず)等で除電され、帯電部材(例えば、帯電ローラ)を有する帯電装置3で均一にマイナスに帯電される。
帯電装置3による感光体1の帯電が行われる際には、電圧印加機構(図示せず)から帯電部材に、感光体1を所望の電位に帯電させるに適した、適当な大きさの電圧又はこれに交流電圧を重畳した帯電電圧が印加される。
帯電された感光体1は、例えば、複数のレーザー光源と、カップリング光学系と、光偏向器と、走査結像光学系等からなる、レーザー走査方式の潜像形成装置8によって照射されるレーザー光で潜像形成(露光部電位の絶対値は、非露光部電位の絶対値より低電位となる)が行われる。
即ち、レーザー光源(例えば、半導体レーザー)から発せられたレーザー光は、高速で回転する多角柱の多面鏡(ポリゴン)等からなる光偏向器により偏向走査され、走査レンズやミラー等からなる走査結像光学系を介して感光体1の表面を、感光体1の回転軸方向(主走査方向)に走査する。
このようにして形成された潜像が、現像装置5の現像剤担持体である現像ローラ51の現像スリーブ上に供給されたトナー、又はトナー及びキャリアの混合物からなる現像剤により現像され、トナー可視像が形成される。
潜像の現像時には、電圧印加機構(図示せず)から現像ローラ51の現像スリーブに、感光体1の露光部と非露光部の間にある、適当な大きさの電圧又はこれに交流電圧を重畳した現像バイアスが印加される。
上記のような動作で各色に対応した画像形成部10の感光体1上に形成されたトナー像は、転写ローラ等からなる一次転写装置6にて中間転写体7上に順次重ね合わせて一次転写される。一方、画像形成動作及び一次転写動作にタイミングを合わせて、給紙部200の多段の給紙カセット201a,201b,201c,201dの中の選択された給紙カセットから、給紙ローラ202及び分離ローラ203からなる給紙機構で紙等のシート状の記録媒体が給紙され、搬送ローラ204,205,206及びレジストローラ207を経て二次転写部に搬送される。そして、二次転写部において、中間転写体7上のトナー画像が二次転写装置(例えば、二次転写ローラ)12にて、搬送されてきた記録媒体に二次転写される。なお、前記転写工程において、一次転写装置6や二次転写装置12には、転写バイアスとして、トナーの帯電極性と逆極性の電位が印加されることが好ましい。
前記二次転写後、記録媒体は、中間転写体7から分離され、転写像が得られる。また、一次転写後に感光体1上に残存するトナー粒子は、クリーニング手段4のクリーニング部材41によって、クリーニング手段4内のトナー回収室へ、回収される。また、二次転写後に中間転写体7上に残存するトナー粒子は、ベルトクリーニング手段9のクリーニング部材によって、クリーニング手段9内のトナー回収室へ、回収される。
図3に示した画像形成装置100は、前記画像形成部10が中間転写体7に沿って複数配置された、いわゆるタンデム型で中間転写方式の画像形成装置であり、複数の画像形成部10によって各感光体1(1Y,1M,1C,1K)上に順次作成された色が異なる複数のトナー像を一旦中間転写体7上に順次転写した後、これを一括して紙のような記録媒体に転写する。そして、トナー像が転写された記録媒体を、搬送装置13により定着装置14へ送り、熱等によってトナーを定着する構成である。定着後の記録媒体は、搬送装置15及び排紙ローラ16により排紙トレイ17に排紙される。また、この画像形成装置100は両面プリント機能も備えており、両面プリント時には、定着装置9の下流の搬送路を切換え、片面の画像が定着された記録媒体を両面用搬送装置210を介して表裏反転し、搬送ローラ206及びレジストローラ207で二次転写部に再給紙して、裏面側に画像の転写を行う。転写後の記録媒体は、上記と同様に定着装置9に搬送されて画像が定着され、定着後の記録媒体は排紙トレイ17に排紙される。
なお、上記の構成で、中間転写体を用いずに、タンデム型の直接転写方式の画像形成装置とすることもでき、前記直接転写方式の場合は、中間転写体に換えて、記録媒体を担持搬送する転写ベルト等を用い、各画像形成部10によって各感光体1(1Y,1M,1C,1K)上に順次作成された色が異なる複数のトナー像を直接、転写ベルトで搬送される紙のような記録媒体に順次転写した後、定着装置9へ送り、熱等によってトナーを定着する構成としてもよい。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(製造例1及び2)
<感光体の作製>
直径30mm及び60mmのアルミニウムドラム上に、それぞれ下引き層塗布液、電荷発生層塗布液、電荷輸送層塗布液、及び表面層塗布液をこの順に塗布した後、乾燥し、厚み3.6μmの下引き層、厚み0.14μmの電荷発生層、厚み23μmの電荷輸送層、及び厚み3.5μmの表面層からなる製造例1(直径30mm)及び製造例2(直径60mm)の感光体を作製した。
前記表面層の塗布はスプレー法により行い、前記下引き層、前記電荷発生層、及び前記電荷輸送層は、いずれも浸漬塗工法により形成した。なお、前記表面層塗布液の詳細な組成は以下の通りである。
−表面層塗布液−
・Z型ポリカーボネート・・・10質量部
・下記構造式1で表されるトリフェニルアミン化合物・・・7質量部
<構造式1>
・アルミナ微粒子(平均粒径0.3μm)・・・5質量部
・テトラヒドロフラン・・・400質量部
・シクロヘキサノン・・・150質量部
(製造例3)
<保護剤ブロック1〜4の作製>
ステアリン酸とパルミチン酸とを所定の割合で混合し、混合物に水酸化亜鉛を混合溶融反応させ、ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛とが相溶した粒子(粒径22μm〜35μm)を作製した。
作製した各粒子を塩酸−メタノール溶液に溶解して80℃に加熱し、ステアリン酸とパルミチン酸をメチル化し、ガスクロマトグラフィーによりステアリン酸とパルミチン酸の含有量を測定し、ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛の質量比に換算した。
作製したステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛とが相溶した粒子を、真比重(ステアリン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛−パルミチン酸亜鉛混合物は、ともに1.1)に対して93%まで圧縮成型して40mm×8mm×長さ350mmの保護剤ブロック1〜4を作製した。
得られた保護剤ブロック1〜4における、ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛の質量比はそれぞれ以下のものを使用した。
・保護剤ブロック1 ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛=80:20
・保護剤ブロック2 ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛=40:60
・保護剤ブロック3 ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛=90:10
・保護剤ブロック4 ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛=30:70
<ICP−AES法を用いたZn定量方法及びZn定量結果からの金属石鹸量Aへの換算>
感光体上の亜鉛(Zn)の定量は、感光体から剥がした感光層(電荷発生層、電荷輸送層、及び表面層)を、硫酸及び硝酸で加熱分解したサンプルを、ICP−AES法により定量した。
実施例で用いた金属石鹸は、ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛との混合質量比率(ステアリン酸亜鉛:パルミチン酸亜鉛)が、56:44であるため、金属石鹸の平均分子量を608とし、Znの定量値に、(608/65.39)を乗じることで、金属石鹸量A(μg/cm)に換算した。
前記ICP−AES法は、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製SPS5100型を用いて、感光体から剥がした感光層(電荷発生層、電荷輸送層、及び表面層)を硫酸、硝酸で加熱分解後、フッ化水素酸を添加し、超純水で定容し、前記ICP−AES法による元素の定量分析を行った。
<GC法を用いた脂肪酸定量方法及び脂肪酸定量結果からの金属石鹸量Bへの換算>
感光体上のステアリン酸とパルミチン酸の定量は、感光体から剥がした感光層(電荷発生層、電荷輸送層、及び表面層)をHCl−メタノール溶液で加熱処理し、ステアリン酸とパルミチン酸を分解し、メチル化し、検液を作製し、GC法により定量した。
定量されたステアリン酸量及びパルミチン酸量に、(632.33/284.48/2)、(576.21/256.42/2)をそれぞれ乗じ、両者を合計することで、金属石鹸量B(μg/cm)に換算した。
前記GC法では、カラムには、J&W社製DB−5 MS(直径0.53mm×30m)を用いて、前記検液を株式会社島津製作所製GC−2010型に1.0μL注入し定量を行った。温度は120℃から300℃まで10℃/minで昇温し、300℃で保持した。注入口温度は280℃、検出器温度は、310℃とした。
<画像評価(官能評価)用の画像の出力環境>
参考例及び実施例で所定枚数通紙を行った画像形成装置を高温高湿度環境(30℃、相対湿度90%)条件の部屋に移し、画像(白紙、ハーフトーン、格子画像等)を出力し、下記基準で画像評価を行った。結果を表2に示した。
[画像評価基準]
○:目視又は顕微鏡評価にて、異常無し。
△:目視評価においては異常が無く、顕微鏡評価において、小さな画層の乱れ(異常)が確認されるが、実使用上問題無し。
×:目視評価にて異常有り。
ここで異常とは、ドットの乱れや意図しない白筋、黒筋、ポチ画像、地汚れ等を指す。
(参考例1)
株式会社リコー製の画像形成装置(imagio MP C7500 SP)に搭載している直径60mmの感光体を、製造例1で作製した直径30mmの感光体が組み込めるように改造し、更に、帯電条件(Vpp)を実際のマシン条件より20%大きくなるように設定し、前記保護剤ブロック3を搭載した改造機を用いて、3万枚通紙(23℃、相対湿度50%環境下)後の感光体を、前記ICP−AES法にて分析したところ、金属石鹸量Aが2.5μg/cmであった。
次に、画像評価用の画像(白紙、ハーフトーン、格子画像等)を高温高湿環境(30℃、相対湿度90%)下で出力し、目視にて画像評価を行ったところ、画像については特に異常は無かった。
(実施例1)
参考例1において、3万枚通紙後のICP−AES法の分析で、金属石鹸量Aが2.5μg/cmであり、感光体上の金属石鹸量としては十分な量であったため、参考例1と同条件(23℃、相対湿度50%環境下)にて、更に3万枚の通紙を行った後、画像評価用の画像(白紙、ハーフトーン、格子画像等)を高温高湿環境(30℃、相対湿度90%)下で出力し画像(目視)評価を行ったところ、異常画像(白筋)が見られたため6万枚通紙後の感光体を、前記ICP−AES法及び前記GC法にて分析したところ、前記ICP−AES法の定量値(金属量)から金属石鹸量Aは5μg/cmであり、前記GC法の定量値(脂肪酸量)から金属石鹸量Bは0.8μg/cmであった。
金属石鹸分解物量及び金属石鹸分解率は以下のとおりであった。
金属石鹸分解物量=5μg/cm−0.8μg/cm=4.2μg/cm
金属石鹸分解率=(4.2μg/cm/5μg/cm)×100=84%
(実施例2)
<再通紙及び再分析>
新品の直径30mmの感光体を用意し、再度、参考例1及び実施例1と同条件で再通紙を3万枚行い、ICP−AES法にて再分析したところ、金属石鹸量Aが2.5μg/cmであり、更にGC法でも分析も行い脂肪酸量から金属石鹸量Bが、0.8μg/cmであった。ICP-AES及びGC分析前の感光体を、高温高湿環境(30℃、相対湿度90%)下の部屋に移し、画像評価用の画像(白紙、ハーフトーン、格子画像等)を予め出力した。前記画像評価用の画像について画像評価を行ったところ、画像については特に異常は無かった。
3万枚再通紙後の金属石鹸分解物量及び金属石鹸分解率は以下のとおりであった。
金属石鹸分解物量=2.5μg/cm−0.8μg/cm=1.7μg/cm
金属石鹸分解率=(1.7μg/cm/2.5μg/cm)×100=68%
(実施例3〜6)
株式会社リコー製の画像形成装置(imagio MP C7500 SP)に搭載している直径60mmの感光体を、製造例1で作製した直径30mmの感光体が組み込めるように改造し、更に、帯電条件(Vpp)を実際のマシン条件より10%大きくなるように設定した改造機を用いて、クリーニングブレードとは別に、保護剤塗布用のブレードを取り付け、保護剤塗布用のブレードは、カウンター方式(実施例3、6)及びトレーリング方式(実施例4、5)として4水準の実験改造機を用意し、10万枚の通紙(23℃、相対湿度50%環境下)を行った。なお、実施例3〜6の保護剤ブロックは下記表1に記載のものを用いた。
次に、画像評価用の画像(白紙、ハーフトーン、格子画像等)を高温高湿環境(30℃、相対湿度90%)下で出力し、目視評価及び顕微鏡観察を行った(顕微鏡観察は必要に応じて)。実施例3の評価画像は、顕微鏡観察の結果、高画質であった。実施例4〜5の評価画像は実使用上問題ないが、顕微鏡観察において、非常に薄い白筋が数箇所見られた。また、実施例6の分析(ICP-MS、GC)及び画像の顕微鏡観察は行わなかったが、目視での画像評価においては、異常は見られなかった。
10万枚通紙後の感光体における、金属石鹸分解物量及び金属石鹸分解率は下記のとおりであった。
<10万枚通紙後>
実施例3:金属石鹸分解率=62%、金属石鹸分解物量=1.5μg/cm
実施例4:金属石鹸分解率=69%、金属石鹸分解物量=1.9μg/cm
実施例5:金属石鹸分解率=70%、金属石鹸分解物量=2.2μg/cm
次に、実施例3〜6において、同様の実験改造機及び温度条件で、新品の感光体を用意し、クリーニングブレードとは別に、保護剤塗布用のブレードを取り付け、保護剤塗布用のブレードは、カウンター(実施例3、6)及びトレーリング方式(実施例4、5)として、40万枚の通紙を行った。
次に、画像評価用の画像(白紙、ハーフトーン、格子画像等)を高温高湿環境(30℃、相対湿度90%)下で出力し、目視評価及び顕微鏡観察を行った(顕微鏡観察は必要に応じて)。実施例3の評価画像は、顕微鏡観察の結果、高画質であった。実施例4及び5の評価画像は、目視で異常画像(白筋)が確認された。また、実施例6では、顕微鏡観察において、薄い白筋が生じていたが、目視評価において異常は見られず、実使用上問題かった。
40万枚通紙後の感光体における、金属石鹸分解率及び金属石鹸分解物量は下記のとおりであった。
<40万枚通紙後>
実施例3:金属石鹸分解率=68%、金属石鹸分解物量=1.8μg/cm
実施例4:金属石鹸分解率=82%、金属石鹸分解物量=6.2μg/cm
実施例5:金属石鹸分解率=86%、金属石鹸分解物量=15μg/cm
実施例6:金属石鹸分解率=80%、金属石鹸分解物量=4.0μg/cm
(実施例7〜8)
製造例2の直径60mmの感光体を用いた株式会社リコー製の画像形成装置(imagio MP C7500 SP)の帯電条件(Vpp)を実際のマシン条件より10%大きく設定し、前記保護剤ブロック2を搭載した改造機において、画像濃度0%(実施例7)及び画像濃度50%(実施例8)の画像をそれぞれ3万枚及び10万枚通紙(23℃、相対湿度50%環境下)した。
次に、画像評価用の画像(白紙、ハーフトーン、格子画像等)を高温高湿環境(30℃、相対湿度90%)下で出力し、目視評価及び顕微鏡観察を行った。実施例7及び8共に、顕微鏡観察の結果、評価画像には、異常は確認されず高画質であった。
3万枚及び10万枚通紙後の感光体における、金属石鹸分解率及び金属石鹸分解物量は下記のとおりであった。
<3万枚通紙後>
実施例7:金属石鹸分解率=57%、金属石鹸分解物量=1.3μg/cm
実施例8:金属石鹸分解率=25%、金属石鹸分解物量=0.3μg/cm
<10万枚通紙後>
実施例7:金属石鹸分解率=60%、金属石鹸分解物量=1.5μg/cm
実施例8:金属石鹸分解率=29%、金属石鹸分解物量=0.3μg/cm
次に、下記表2に、各実施例で用いた保護剤ブロック、画像評価結果、金属石鹸分解率、及び金属石鹸分解物量をまとめて示す。
以上の結果から、金属石鹸分解物量が4.0μg/cm以下及び金属石鹸分解率が80%以下の少なくともいずれかの条件を満たすと、10万枚以上の通紙においても高画質画像が得られ、画像形成装置が良好であると判定できた。なお、実施例1、4、及び5の画像形成装置は、不良であると判定した。
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 像担持体と、前記像担持体表面に金属石鹸を付与する金属石鹸付与手段とを少なくとも有する画像形成装置を用いて画像形成後の前記像担持体表面に付着している金属石鹸分解物量を定量する定量方法であって、
前記像担持体表面に付着した金属石鹸の金属量から換算した金属石鹸量Aと、前記像担持体表面に付着した金属石鹸の脂肪酸量から換算した金属石鹸量Bとから、下記数式1により金属石鹸分解物量を定量することを特徴とする金属石鹸分解物の定量方法である。
<数式1>
金属石鹸分解物量(μg/cm)=金属石鹸量A(μg/cm)−金属石鹸量B(μg/cm
<2> 前記数式1から求めた金属石鹸分解物量と、像担持体表面に付着した金属石鹸の金属量から換算した金属石鹸量Aとから、下記数式2により金属石鹸の分解率を求める前記<1>に記載の金属石鹸分解物の定量方法である。
<数式2>
金属石鹸の分解率(%)=[金属石鹸分解物量(μg/cm)/金属石鹸量A(μg/cm)]×100
<3> 前記金属石鹸が、ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛の混合物である前記<1>から<2>のいずれかに記載の金属石鹸分解物の定量方法である。
<4> 前記ステアリン酸亜鉛と前記パルミチン酸亜鉛との混合質量比率(ステアリン酸亜鉛:パルミチン酸亜鉛)が、80:20〜40:60である前記<3>に記載の金属石鹸分解物の定量方法である。
<5> 前記金属石鹸量Aの測定方法が、ICP−AES法及びICP−MS法のいずれかである前記<1>から<4>のいずれかに記載の金属石鹸分解物の定量方法である。
<6> 前記金属石鹸量Bの測定方法が、GC法及びGC−MS法のいずれかである前記<1>から<5>のいずれかに記載の金属石鹸分解物の定量方法である。
<7>前記<1>から<6>のいずれかに記載の金属石鹸分解物の定量方法により求めた金属石鹸分解物量によって画像形成装置の良否を判定することを特徴とする画像形成装置の良否判定方法である。
<8>
金属石鹸分解物量が4.0μg/cm以下であると画像形成装置が良好であると判定する前記<7>に記載の画像形成装置の良否判定方法である。
<9> 金属石鹸分解率が80%以下であると画像形成装置が良好であると判定する前記<7>から<8>のいずれかに記載の画像形成装置の良否判定方法である。
1 感光体
2 保護剤塗布装置
特開2005−17469号公報 特開2005−249901号公報 特開2005−004051号公報 特開2004−198662号公報 特開2010−197613号公報

Claims (9)

  1. 像担持体と、前記像担持体表面に金属石鹸を付与する金属石鹸付与手段とを少なくとも有する画像形成装置を用いて画像形成後の前記像担持体表面に付着している金属石鹸分解物量を定量する定量方法であって、
    前記像担持体表面に付着した金属石鹸の金属量から換算した金属石鹸量Aと、前記像担持体表面に付着した金属石鹸の脂肪酸量から換算した金属石鹸量Bとから、下記数式1により金属石鹸分解物量を定量することを特徴とする金属石鹸分解物の定量方法。
    <数式1>
    金属石鹸分解物量(μg/cm)=金属石鹸量A(μg/cm)−金属石鹸量B(μg/cm
  2. 前記数式1から求めた金属石鹸分解物量と、像担持体表面に付着した金属石鹸の金属量から換算した金属石鹸量Aとから、下記数式2により金属石鹸の分解率を求める請求項1に記載の金属石鹸分解物の定量方法。
    <数式2>
    金属石鹸の分解率(%)=[金属石鹸分解物量(μg/cm)/金属石鹸量A(μg/cm)]×100
  3. 前記金属石鹸が、ステアリン酸亜鉛とパルミチン酸亜鉛の混合物である請求項1から2のいずれかに記載の金属石鹸分解物の定量方法。
  4. 前記ステアリン酸亜鉛と前記パルミチン酸亜鉛との混合質量比率(ステアリン酸亜鉛:パルミチン酸亜鉛)が、80:20〜40:60である請求項3に記載の金属石鹸分解物の定量方法。
  5. 前記金属石鹸量Aの測定方法が、ICP−AES法及びICP−MS法のいずれかである請求項1から4のいずれかに記載の金属石鹸分解物の定量方法。
  6. 前記金属石鹸量Bの測定方法が、GC法及びGC−MS法のいずれかである請求項1から5のいずれかに記載の金属石鹸分解物の定量方法。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載の金属石鹸分解物の定量方法により求めた金属石鹸分解物量によって画像形成装置の良否を判定することを特徴とする画像形成装置の良否判定方法。
  8. 金属石鹸分解物量が4.0μg/cm以下であると画像形成装置が良好であると判定する請求項7に記載の画像形成装置の良否判定方法。
  9. 金属石鹸分解率が80%以下であると画像形成装置が良好であると判定する請求項7から8のいずれかに記載の画像形成装置の良否判定方法。
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