JP6299409B2 - 位相差顕微鏡及び位相差顕微鏡システム - Google Patents

位相差顕微鏡及び位相差顕微鏡システム Download PDF

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Description

本技術は、観察対象物の位相差像を撮像することが可能な位相差顕微鏡及び位相差顕微鏡システムに関する。
観察対象物の位相差像を生成することが可能な位相差顕微鏡は、特徴的な構成としてリング絞りとフェーズプレート(位相板)を備える。リング絞りは、リング状のスリットが形成された遮光板であり、フェーズプレートは、リング状の位相シフト膜を備える透明板である。光源から照射された照明光(均一光)はリング絞りのスリットを通過してリング状に成形され、コンデンサレンズ(集光レンズ)によって観察対象物に集光される。ここで、照明光は、観察対象物を直進した直接光と、観察対象物によって回折を受けた回折光に分けられる。
直接光は、位相シフト膜を透過して位相がずれ、かつ減光される。回折光は、大部分がフェーズプレートの透明部分(位相シフト膜以外の領域)を透過するため、位相と明るさは変化しない。直接光と回折光が干渉することによって位相差像が生成され、観察対象物における位相差をコントラストとして観察することが可能となる。
ここで、一般に顕微鏡における光学分解能は、波長に反比例し、対物レンズのNA(開口数)に比例するため、NAが大きいほど光学分解能が高い。上記のように位相差顕微鏡においては、直接光及び回折光から位相差像を生成するが、回折光は直接光に比較して弱いため、可能な限り多く取り込むことが行われてきた。
具体的には、通常、リング絞りのスリット及びフェーズプレートの位相シフト膜は、対物レンズの瞳面における径が対物レンズのNA/2以下となるように構成されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。これは、位相シフト膜の内側を透過する回折光(−1次回折光)と位相シフト部の外側を透過する回折光(+1次回折光)の両者を位相差像の生成に利用するためである。
特開2000−19410号公報 特開昭58−7123号公報
しかしながら、対物レンズの瞳面における位相シフト膜の径が対物レンズのNA/2以下であると、観察対象物を透過する直接光は対物レンズの半分以下のNAでしか位相差像に取り込まれず、光学分解能が低下してしまうという問題がある。
以上のような事情に鑑み、本技術の目的は、高い光学分解能を実現することが可能な位相差顕微鏡及び位相差顕微鏡システムを提供することにある。
上記目的を達成するため、本技術の一形態に係る位相差顕微鏡は、対物レンズと、フェーズプレートと、リング絞りとを具備する。
上記フェーズプレートは、輪帯状であり、入射光の位相をシフトさせる位相シフト領域と、入射光を透過する第1の光透過領域とを有し、上記位相シフト領域は空間周波数の高域成分を強調する。
上記リング絞りは、入射光を透過する第2の光透過領域と、入射光を遮光する第1の遮光領域とを有し、上記フェーズプレートと共役である。
この構成によれば、リング絞りによって成形された照明光は、観察対象物を透過することによって、直接光と回折光に分けられる。リング絞りは、フェーズプレートと共役であり、即ち、第2の光透過領域の像が対物レンズの瞳面において位相シフト領域の像に含まれるように構成されているため、直接光はフェーズプレートの位相シフト領域を通過し、回折光はフェーズプレートの第1の光透過領域を通過する。直接光は位相シフト領域によって位相がずれるため、直接光と回折光の干渉が生じ、位相差像が形成される。位相シフト領域は空間周波数の高域成分を強調するように構成されているため、位相差像の高い光学分解能を実現することが可能である。
上記フェーズプレートは、上記瞳面における上記位相シフト領域の像が、上記対物レンズのNA/2より大きい径となるように構成されていてもよい。
この構成によれば、対物レンズの瞳面における位相シフト領域の像が、NA/2より大きい径となるように構成されていることにより、対物レンズの高NA成分を位相差像に取り込むことが可能となり、高い光学分解能を得ることができる。
上記フェーズプレートはさらに、入射光を遮光する第2の遮光領域を有し、上記第1の光透過領域は上記位相シフト領域の内周領域に設けられ、上記第2の遮光領域は上記位相シフト領域の外周領域に設けられていてもよい。
この構成によれば、回折光のうち+1次回折光は第2の遮光領域によって遮光され、−1次回折光は第1の光透過領域を通過する。即ち、+1次回折光は位相差像の生成に利用されず、−1次回折光のみが位相差像の生成に利用される。これにより、回折光における低域成分と高域成分の不連続を解消することが可能である。
上記位相シフト領域は、液晶素子であってもよい。
位相シフト領域を液晶素子とすることにより、液晶素子の屈折率を変化させることができ、位相シフト領域の位相シフト量を制御することが可能となる。これにより、直接光と回折光の干渉の程度を向上させ、位相差像の高い光学分解能を実現することが可能である
上記位相シフト領域は、入射光を減光してもよい。
上記のように照明光は、観察対象物を透過することによって、直接光と回折光に分けられるが、回折光は直接光に比較して大幅に弱いため、直接光の光量を抑制する必要がある。位相シフト領域に、位相シフトに加え減光の機能を持たせることにより、フェーズプレートによる直接光の光量の抑制が可能である。
上記位相差顕微鏡は、さらに、輪帯状であり、入射光を減光する減光領域と、入射光を透過する第3の光透過領域とを有し、上記対物レンズの瞳面において上記遮光領域の像が上記位相シフト領域の像に一致するように構成された減光プレートを具備してもよい。
この構成によれば、フェーズプレートとは別に設けられた減光プレートによって、直接光の光量の抑制がなされる。瞳面において減光領域の像が位相シフト領域の像に一致することにより、直接光を抑制することが可能となる。
上記位相シフト領域は、液晶素子であってもよい。
位相シフト領域を液晶素子とすることにより、液晶素子の屈折率を変化させることができ、位相シフト領域の位相シフト量を制御することが可能となる。これにより、直接光と回折光の干渉の程度を向上させ、位相差像の高い光学分解能を実現することが可能である
上記フェーズプレートは、同心円状に配設された複数の位相シフト領域を備えていてもよい。
この構成によれば、複数の位相シフト領域から、対物レンズのNAに応じて利用する位相シフト領域を切り替えることが可能であり、NAが異なる複数の対物レンズに対して、一つのフェーズプレートで対応することが可能である。
上記フェーズプレートは、上記瞳面における上記位相シフト領域の像が、上記対物レンズのNA/2より大きい径となるように構成されていてもよい。
この構成によれば、液晶素子の制御により、位相シフト領域の位相シフト量を調整することが可能であると共に、対物レンズの高NA成分を位相差像に取り込むことが可能となり、高い光学分解能を得ることができる。
上記目的を達成するため、本技術の一形態に係る位相差顕微鏡システムは、位相差顕微鏡と、撮像部と、制御部と、表示部とを具備する。
上位位相差顕微鏡は、対物レンズと、輪帯状であり、入射光の位相をシフトさせる位相シフト領域と、入射光を透過する第1の光透過領域とを有し、上記位相シフト領域は空間周波数の高域成分を強調するフェーズプレートと、入射光を透過する第2の光透過領域と、入射光を遮光する第1の遮光領域とを有し、上記フェーズプレートと共役であるリング絞りとを備える。
上記撮像部は、上記位相差顕微鏡によって生成された位相差像を撮像する。
上記制御部は、上記位相差顕微鏡及び上記撮像部を制御し、上記撮像部に位相差像を撮像させる。
上記表示部は、上記撮像部によって撮像された位相差像を表示する。
以上のように、本技術によれば、高い光学分解能を実現することが可能な位相差顕微鏡及び位相差顕微鏡システムを提供することが可能である。なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
本技術の第1の実施形態に係る位相差顕微鏡の構成を示す模式図である。 同位相差顕微鏡のリング絞りの平面図である。 同位相差顕微鏡のフェーズプレートの平面図である。 同位相差顕微鏡の対物レンズの瞳面の模式図である。 同位相差顕微鏡の瞳面における位相シフト領域の像を示す模式図である。 同位相差顕微鏡の瞳面における位相シフト領域の像を示す模式図である。 同位相差顕微鏡の瞳面における位相シフト領域の像及び光透過領域の像を示す模式図である。 同位相差顕微鏡の、フェーズプレートに入射する直接光及び回折光を示す模式図である。 比較例に係る位相差顕微鏡のフェーズプレートの平面図である。 同位相差顕微鏡の瞳面における位相シフト領域の像及び光透過領域の像を示す模式図である。 同位相差顕微鏡の、フェーズプレートに入射する直接光及び回折光を示す模式図である。 照明光の低NA成分によって撮影サンプルを撮像した明視野者画像である。 照明光の高NA成分によって撮影サンプルを撮像した明視野者画像である。 本技術の第1の実施形態の変形例に係る位相差顕微鏡の減光プレートを示す平面図である。 本技術の第1の実施形態に係る位相差顕微鏡システムの構成を示す模式図である。 本技術の第2の実施形態に係る位相差顕微鏡の構成を示す模式図である。 同位相差顕微鏡のフェーズプレートの平面図である。 同位相差顕微鏡の、フェーズプレートに入射する直接光及び回折光を示す模式図である。 第1の実施形態に係る位相差顕微鏡のフェーズプレートに入射する直接光及び回折光のうち、回折光を低域成分と高域成分に分解した模式図である。 第2の実施形態に係る位相差顕微鏡のフェーズプレートに入射する直接光及び回折光のうち、回折光を低域成分と高域成分に分解した模式図である。 本技術の第2の実施形態に係る位相差顕微鏡システムの構成を示す模式図である。 本技術の第3の実施形態に係る位相差顕微鏡の構成を示す模式図である。 同位相差顕微鏡のフェーズプレートの平面図である。 同位相差顕微鏡のフェーズプレートの断面図である。 同位相差顕微鏡のフェーズプレートにおける印加電圧と位相シフト量の関係を表す断面図である。 同位相差顕微鏡のフェーズプレートの断面図である。 同位相差顕微鏡の減光プレートの平面図である。 本技術の第3の実施形態の変形例に係る位相差顕微鏡のフェーズプレートを示す平面図である。 本技術の第2の実施形態に係る位相差顕微鏡システムの構成を示す模式図である。 本技術の実施例に係る検証実験系の構成を示す模式図である。 同検証実験系の減光プレートが備える減光領域(光透過率20%)の光透過特性を示すグラフである。 同検証実験系の減光プレートが備える減光領域(光透過率10%)の光透過特性を示すグラフである。 同検証実験系に用いた各種フェーズプレートの写真である。 同検証実験系に用いた各種フェーズプレートの写真である。 同検証実験系に用いた各種フェーズプレートの位相シフト領域の径を示す表である。 同検証実験系に用いた各種減光プレートの減光領域の径を示す表である。 同検証実験系に用いた各種フェーズプレートの位相シフト領域の径及びリング絞りの光透過領域の径を示す表である。 同検証実験系の光学系パラメータ及び各種領域の径を示す表である。 同検証実験系の光学系パラメータ及び各種領域の径を示す表である。 同検証実験系によって撮像された位相差像である。 同検証実験系によって撮像された位相差像である。 同検証実験系によって撮像された位相差像である。 同検証実験系によって撮像された位相差像である。 同検証実験系によって撮像された位相差像である。 同検証実験系によって撮像された位相差像である。 同検証実験系によって撮像された位相差像である。 同検証実験系によって撮像された位相差像に周波数解析を施した結果を示すグラフである。
<第1の実施形態>
本技術の第1の実施形態に係る位相差顕微鏡について説明する。
[位相差顕微鏡の構成]
図1は、本実施形態に係る位相差顕微鏡100の構成示す模式図である。同図に示すように、位相差顕微鏡100は、光源101、光源レンズ102、視野絞り103、リレーレンズ104、開口絞り105、リング絞り106、コンデンサレンズ107、ステージ108、対物レンズ109、フェーズプレート110、結像レンズ111及び撮像部112を有する。また、ステージ108には、観察対象物Sが載置されている。観察対象物Sは例えば培養液中の細胞である。
以降の説明おいて、リング絞り106からフェーズプレート110に対する方向をZ方向とし、Z方向に垂直な方向をX方向、Z方向及びX方向に垂直な方向をY方向とする。Z方向は、位相差顕微鏡100の光軸方向に一致し、X方向及びY方向は、ステージ108のステージ面に沿った方向である。
光源101は、観察対象物に照射される照明光を生成する光源であり、ハロゲンランプや白色LED(Light Emitting Diode)等、任意の構成の光源を利用することができる。図1において、光源101から照射された照明光の光路を光路L1として示す。
光源レンズ102は、光源101から照射された照明光を集光するレンズである。光源レンズ102は任意の構成のものを利用することができるが、照明光を均一光(ケーラー照明光)にすることが可能なものが好適である。
視野絞り103は、観察対象物Sと共役となる位置に配置され、照明光が観察対象物Sに照射される範囲を制限する。視野絞り103は例えば、円形の開口が形成された遮光板であるものとすることができる。
リレーレンズ104は、照明光を伝達するレンズである。リレーレンズ104は任意の構成のものを利用することができる。
開口絞り105は、光源101と共役となる位置に配置され、観察対象物Sに照射される照明光の光量を調整する。開口絞り105は例えば、円形の開口が形成された遮光板であるものとすることができる。
リング絞り106は、照明光をリング状に成形する。図2は、リング絞り106を示す平面図であり、リング絞り106をZ方向からみた図である。同図に示すように、リング絞り106は、遮光領域106aと光透過領域106bを有する。遮光領域106aは入射光を遮蔽する領域であり、光透過領域106bは入射光を透過する領域である。リング絞り106は、遮光性部材にスリットを形成して光透過領域106bとし、それ以外の領域を遮光領域106aとしたものとすることができる。
リング絞り106に入射した照明光L1は、遮光領域106aを通過することによってリング状に成形される。図1には、リング絞り106の通過光の光路を光路L2として示す。
ここで、リング絞り106は、フェーズプレート110と共役となるように、即ち、対物レンズ109の瞳面において光透過領域106bの像が、フェーズプレート110の位相シフト領域の像に含まれるように構成されている。この詳細については後述する。
コンデンサレンズ107は、照明光を観察対象物Sに集光するレンズである。コンデンサレンズ107は任意の構成のものを利用することができる。
ステージ108は、観察対象物Sを支持する。ステージ108は、図示しない駆動機構によって、X方向、Y方向及びZ方向に移動可能に構成されている。なおステージ108の少なくとも中心部分は、光透過性を有する材料からなる。
対物レンズ109は、観察対象物の像を所定倍率に拡大する。対物レンズ109は、各種拡大倍率のものから所望の拡大倍率に応じて選択することが可能である。ここで、対物レンズ109は瞳面(後側焦点面)を有する。図1に、対物レンズ109の瞳面を瞳面Hとして示す。
フェーズプレート110は、入射光の一部を位相シフトさせる。図1に示すように、フェーズプレート110は対物レンズ109に一体的に構成されているものが一般的であるが、対物レンズ109と独立して位相差顕微鏡100に設けられていてもよい。フェーズプレート110は、図1に示すように対物レンズ109の瞳面Hに配置されるものとすることができる。また、フェーズプレート110は、瞳面Hとは異なる位置であって、位相差顕微鏡100において共役となる位置に配置されてもよい。
図3は、フェーズプレート110を示す平面図であり、フェーズプレート110をZ方向からみた図である。同図に示すように、フェーズプレート110は、位相シフト領域110aと光透過領域110bを有する。位相シフト領域110aは、フェーズプレート110において一定の幅を有する輪帯状の領域であり、入射光の位相をシフトさせる領域である。位相のシフト量は典型的には+1/4波長又は−1/4波長である。位相シフト領域110aは、入射光の位相シフトすると共に減光するものとすることができるが、後述するように位相シフトのみを行うものであってもよい。
光透過領域110bは、入射光の位相をシフトさせることなく透過させる領域である。フェーズプレート110は、光透過性部材に輪帯状に位相膜を成膜して位相シフト領域110aとし、それ以外の領域を光透過領域110bとしたものとすることができる。
ここで、フェーズプレート110は、対物レンズ109の瞳面Hにおける位相シフト領域110aの像が、対物レンズ109のNA/2より大きい径となるように構成されている。この詳細については後述する。
結像レンズ111は、観察対象物Sの像を撮像部112の撮像面(撮像素子)に結像させる。結像レンズ111は、任意の構成のものを利用することができる。
撮像部112は、観察対象物の位相差像を撮像する。具体的には撮像部112は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子を備えるものとすることができる。
対物レンズ109、フェーズプレート110、結像レンズ111及び撮像部112によって撮像光学系が構成される。図1において、撮像光学系の光路を光路L3として示す。観察対象物Sと撮像部112の撮像面は共役関係を構成し、撮像部112によって観察対象物Sの位相差像が撮像される。
[リング絞りとフェーズプレートの詳細な構成について]
上記のように、フェーズプレート110は、対物レンズ109の瞳面Hにおける位相シフト領域110aの像が、対物レンズ109のNA/2より大きい径となるように構成されている。
図4は、対物レンズ109の瞳面Hを示す模式図である。同図に示すように、瞳面Hの中心がNA0に相当し、瞳面Hの周縁がNA1に相当する。破線の円で示す、瞳面Hの半分の径がNA/2に相当する径である。
図5は、瞳面H及び瞳面Hにおける位相シフト領域110aの像を示す模式図である。同図において、位相シフト領域110aの像を像F1として示す。なお、「位相シフト領域110aの像」は、図1に示すように、フェーズプレート110が瞳面H上に位置する場合には、位相シフト領域110aそのものである。また、フェーズプレート110が瞳面H上に位置しない場合には、瞳面Hに投影された位相シフト領域110aの像である。
同図に示すように、像F1は、NA/2より大きい径を有する。なお、像F1の径は、輪帯形状の円形の2辺のうち内側の辺の径であり、同図において像F1の径を径Rとして示す。図6は、瞳面Hにおける位相シフト領域110aの像F1の他の態様を示す模式図である。図6(a)に示すように像F1はNA/2よりわずかに大きい径を有していてもよく、図6(b)に示すように像F1の外周が瞳面Hの周縁に接する径を有していてもよい。
像F1の大きさ(径)は、フェーズプレート110が瞳面H上に位置する場合には、フェーズプレート110における位相シフト領域110aの配設範囲によって決定される。また、フェーズプレート110が瞳面H上に位置しない場合には、フェーズプレート110における位相シフト領域110aの配設範囲と、フェーズプレート110と瞳面Hの位置関係によって決定される。即ち、フェーズプレート110は、フェーズプレート110の配置に応じて、像F1が対物レンズ109のNA/2より大きい径となるように構成されている。
また、上記のようにリング絞り106は、フェーズプレート110と共役となるように、即ち、瞳面Hにおいて光透過領域106bの像が、フェーズプレート110の位相シフト領域110aの像(像F1)に含まれるように構成されている。図7は、瞳面H及び瞳面Hにおける位相シフト領域110aの像及び光透過領域106bの像を示す模式図である。同図において、光透過領域106bの像を像F2として示す。同図に示すように、像F2は、像F1に含まれている。像F1は、NA/2より大きい径を有するので、像F1に含まれる像F2もNA/2より大きい径を有する。
像F2の大きさ(径)は、リング絞り106における光透過領域106bの配設範囲と、リング絞り106と瞳面Hの位置関係によって決定される。即ち、リング絞り106は、リング絞り106の配置に応じて、像F2が像F1に含まれるように構成されている。像F1が図6(a)及び図6(b)に示すような配置である場合も、図7と同様に像F2が像F1に含まれるように、リング絞り106が構成される。
[位相差顕微鏡による位相差像の撮像について]
位相差顕微鏡100は以上のような構成を有する。光源101から照射された照明光(図1中L1)は、光源レンズ102によって集光され、視野絞り103によって照射範囲が制限される。さらに、リレーレンズ104によって伝達され、開口絞り105によって光量が調節される。さらに、照明光はリング絞り106の光透過領域106b(図2参照)を透過してリング状に成形され(図1中L2)、コンデンサレンズ107によって観察対象物Sに照射される。
ここで、照明光は、観察対象物を透過し、直進した直接光と、観察対象物Sによって回折を受けた回折光に分けられる。図8は、フェーズプレート110に入射する直接光及び回折光を示す模式図である。同図においては、直接光をP、回折光をDとして示す。回折光Dは、直接光Pより内側に回折した−1次回折光D(−1)と、直接光Pより外側に回折した+1次回折光D(+1)を含む。また、回折光Dはより高次の回折光を含んでいてもよい。回折光Dは回折によって、直接光Pに対して波長が約1/4波長遅れる。
同図に示すように、直接光Pは、フェーズプレート110の位相シフト領域110aを透過して位相がずれ(+1/4波長又は−1/4波長)、かつ減光される。以下、位相シフト領域110aを透過した直接光を直接光P'とする。回折光Dは、大部分がフェーズプレート110の光透過領域110bを透過するため、位相と明るさは変化しない。以下、光透過領域110bを透過した回折光を回折光D'(+1次回折光D'(+1)及び−1次回折光D'(−1))とする。
直接光P'は位相シフト領域110aを通過して位相がずれているため、直接光P'と回折光D'の位相の差は0又は1/2波長となり、直接光P'と回折光D'は干渉する。また、回折光Dは直接光Pに比較して光量が大幅に小さいが、直接光Pは位相シフト領域110aによって減光されるため、直接光P'と回折光D'は同程度の光量となる。
直接光P'及び回折光D'は結像レンズ111によって撮像部112の撮像面に結像され(図1中L3)、位相差像が生成される。このように、位相差顕微鏡100においては、直接光Pが位相シフト領域110aに入射することが必要である。このため、図8に示すように、瞳面Hにおいて光透過領域106bの像(像F2)が、位相シフト領域110aの像(像F1)に含まれていることが必要である。
[位相差顕微鏡の効果]
位相差顕微鏡100の効果について、比較例との比較の上で説明する。図9は、比較例に係る位相差顕微鏡が備えるフェーズプレート1010の平面図である。同図に示すようにフェーズプレート1010は、位相シフト領域1010a及び光透過領域1010bを有する。図10は、比較例に係る位相差顕微鏡の瞳面Hを示す模式図である。
図10に示すように、比較例に係る位相差顕微鏡の瞳面Hにおいては、フェーズプレートの位相シフト領域の像F1が、対物レンズのNA/2より小さい径となるように構成されている。また、リング絞りの光透過領域の像F2は像F1に含まれるように構成されている。これは、一般的な位相差顕微鏡の構成と同様である。
図11は、比較例に係る位相差顕微鏡において、フェーズプレート1010に入射する直接光及び回折光を示す模式図である。同図に示すように、観察対象物Sに入射した照明光は、直接光Pと、回折光D(−1次回折光D(−1)及び+1次回折光D(+1))に分けられる。直接光Pは位相シフト領域1010aを透過して直接光P'となり、回折光Dは光透過領域1010bを透過して回折光D'(−1次回折光D'(−1)及び+1次回折光D'(+1))となる。
ここで、比較例に係る位相差顕微鏡においては、図10に示すように、瞳面Hにおけるリング絞りの光透過領域の像(F2)がNA/2より小さい径となるように構成されている。したがって、位相差像を構成する明視野像(直接光P')は対物レンズにおいて低NA〜中NAの成分を切り出した明視野像に等しく、対物レンズのNAを最大限に利用することができない。
これに対し、本実施形態に係る位相差顕微鏡100においては、図7に示すように、瞳面Hにおける光透過領域106bの像(F2)がNA/2より大きい径となるように構成されている。これにより、位相差像を構成する明視野像(直接光P')は対物レンズにおいて中NA〜高NAの成分を切り出した明視野像に等しく、対物レンズのNAを最大限に利用することが可能である。即ち、この構成では比較例の構成に比較して高い光学分解能を得ることができる。
図12及び図13は、比較例と本実施形態に係る位相差顕微鏡の光学分解能の差異を示す画像であり、撮影サンプル(線幅0.4μmのライン&スペースのチャート)を位相差顕微鏡によって撮像した画像である。図12は、NA0.3、光学倍率20倍の対物レンズを備え、対物レンズの瞳面において、NA0.1〜0.12の範囲にリング絞りの光透過領域の像が位置するように構成された位相差顕微鏡によって撮像された画像である。図13は、同一の対物レンズを備え、対物レンズの瞳面において、NA0.24〜0.28の範囲にリング絞りの光透過領域の像が位置するように構成された位相差顕微鏡によって撮像された画像である。
両画像の撮像の際には、位相差顕微鏡にはフェーズプレートが装着されず、即ち両画像は位相差画像ではなく明視野画像である。しかしながら、位相差顕微鏡には上記のようにリング絞りが装着されており、光学分解能は位相差画像と同等とみなせる。
図12と図13を比較すると、図12においては、線幅0.4μmのラインが分解されていないのに対し、図13においては、線幅0.4μmのラインが分解されている。このことから、本実施形態に係る位相差顕微鏡100は、高い光学分解能を有することがわかる。
また、一般的な空間フィルタの原理を考慮すると、位相差顕微鏡100は空間周波数の高域を強調する効果が得られる。したがって、本実施形態によれば、位相差顕微鏡において実質的に光学分解能を向上させ、かつ、空間周波数の高域を高コントラストで観察することが可能である。
[変形例]
上記説明では、フェーズプレート110の位相シフト領域110aは、入射光を位相シフトし、かつ減光するとしたが、位相シフト領域110aは入射光を位相シフトするのみとすることも可能である。この場合、位相差顕微鏡100は、フェーズプレート110とは別に、入射光を減光する減光プレートを備えるものとすることができる。減光プレートは、フェーズプレート110に隣接して配置されてもよく、フェーズプレート110とは離間した位置であって、位相差顕微鏡100において共役となる位置に配置されてもよい。
図14は、減光プレート113を示す平面図である。同図に示すように、減光プレート113は、減光領域113aと光透過領域113bを有する。減光領域113aは入射光を減光する領域であり、輪帯状に形成されている。光透過領域113bは入射光を減光することなく透過する領域である。減光プレート113は、光透過性部材に輪帯状に減光膜を成膜して減光領域113aとし、それ以外の領域を光透過領域113bとしたものとすることができる。
減光領域113aは、フェーズプレート110の位相シフト領域110aが減光の機能を有する構成と同様に、位相シフト領域110aを透過した直接光P'(図8参照)を減光する。したがって、減光プレート113は、対物レンズ109の瞳面Hにおいて、位相シフト領域110aの像F1(図7参照)に減光領域113aの像が一致するように構成される。瞳面Hにおいて像F1は、NA/2より大きい径を有するので、像F1に一致する減光領域113aの像もNA/2より大きい径を有する。
この構成を有する位相差顕微鏡も、フェーズプレート110の位相シフト領域110aが減光の機能を有する構成と同様に、高い光学分解能を有するものとすることが可能である。
[位相差顕微鏡システムについて]
上記位相差顕微鏡100は、顕微鏡システムを構成していてもよい。図15は、位相差顕微鏡100を含む位相差顕微鏡システム1000の構成を示す模式図である。
同図に示すように、位相差顕微鏡システム1000は、位相差顕微鏡100、制御部120及び表示部130を有する。
位相差顕微鏡100は、上記のような構成を有する。上述のように位相差顕微鏡100は、観察対象物の位相差像を撮像する撮像部112を備える。
制御部120は、位相差顕微鏡100及び撮像部112を制御し、撮像部112に位相差像を撮像させる。具体的には制御部120は、光源101、ステージ108及び対物レンズ109に接続され、これらを制御するものとすることができる。
例えば制御部120は、ステージ108に観察対象物Sが載置されると、撮像部112によって撮像された位相差像のコントラストが最も大きくなるように調整するものとすることができる。この他にも制御部120は、位相差顕微鏡100の各構成を制御し、撮像部112に位相差像を撮像させるものとすることができる。制御部120は、撮像部112によって撮像された位相差像を表示部130に供給する。
表示部130は、制御部120から供給された位相差像を表示する。表示部130は、LCD(liquid crystal display)等の画像表示装置であるものとすることができる。
位相差顕微鏡システム1000は以上のような構成を有する。位相差顕微鏡システム1000は位相差顕微鏡100を含むので、上述のように対物レンズのNAを最大限に利用することが可能であり、高い光学分解能を得ることができる。
<第2の実施形態>
本技術の第2の実施形態に係る位相差顕微鏡について説明する。
[位相差顕微鏡の構成]
図16は、本実施形態に係る位相差顕微鏡200の構成を示す模式図である。位相差顕微鏡200は、第1の実施形態に係る位相差顕微鏡100とはフェーズプレートの構成が異なり、その他の構成は同一である。位相差顕微鏡200において位相差顕微鏡100と同一の構成については同一の符号を付し、説明を省略する。
図16に示すように、位相差顕微鏡200はフェーズプレート210を有する。同図に示すように、フェーズプレート210は対物レンズ109に一体的に構成されているものが一般的であるが、対物レンズ109と独立して位相差顕微鏡200に設けられていてもよい。フェーズプレート210は、図16に示すように対物レンズ109の瞳面Hに配置されるものとすることができる。また、フェーズプレート210は、瞳面Hとは異なる位置であって、位相差顕微鏡200において共役となる位置に配置されてもよい。
図17は、フェーズプレート210を示す平面図であり、フェーズプレート210をZ方向からみた図である。同図に示すように、フェーズプレート210は、位相シフト領域210a、光透過領域210b及び遮光領域210cを有する。
位相シフト領域210aは、フェーズプレート210において一定の幅を有する輪帯状の領域であり、入射光の位相をシフトさせる領域である。位相のシフト量は典型的には+1/4波長又は−1/4波長である。位相シフト領域210aは、入射光の位相シフトすると共に減光するものとすることができるが、後述するように位相シフトのみを行うものであってもよい。ここで、位相シフト領域210aは、一般的なフェーズプレートや第1の実施形態に係るフェーズプレート110の位相シフト領域に比較して減光量が大きいものが好適である。
光透過領域210bは、入射光の位相をシフトさせることなく透過させる領域である。光透過領域210bは、図17に示すように位相シフト領域210aの内周領域に設けられている。遮光領域210cは、入射光を遮光する領域である。遮光領域210cは、図17に示すように位相シフト領域210aの外周領域に設けられている。
フェーズプレート210は、光透過性部材に輪帯状に位相膜を成膜して位相シフト領域210aとし、位相シフト領域210aの外周領域に遮光膜を成膜して遮光領域210cとし、それ以外の領域を光透過領域210bとしたものとすることができる。
ここで、フェーズプレート210は、第1の実施形態と同様に、対物レンズ109の瞳面Hにおける位相シフト領域210aの像が、対物レンズ109のNA/2より大きい径となるように構成されている。即ち、フェーズプレート210は、瞳面Hにおける位相シフト領域210aの像が図5の像F1と同様となるように構成されている。
リング絞り106は、第1の実施形態と同様に、フェーズプレート210と共役となるように、即ち、瞳面Hにおいて光透過領域106bの像(像F2)が、位相シフト領域210aの像(像F1)に含まれるように構成されている(図7参照)。像F1は、NA/2より大きい径を有するので、像F1に含まれる像F2もNA/2より大きい径を有する。
[位相差顕微鏡による位相差像の撮像について]
位相差顕微鏡200は以上のような構成を有する。光源101から照射された照明光(図16中L1)は、光源レンズ102によって集光され、視野絞り103によって照射範囲が制限される。さらに、リレーレンズ104によって伝達され、開口絞り105によって光量が調節される。さらに、照明光はリング絞り106の光透過領域106bを透過してリング状に成形され(図16中L2)、コンデンサレンズ107によって観察対象物Sに照射される。
ここで、照明光は、観察対象物を透過し、直進した直接光と、観察対象物Sによって回折を受けた回折光に分けられる。図18は、フェーズプレート210に入射する直接光及び回折光を示す模式図である。同図においては、直接光をP、回折光をDとして示す。回折光Dは、直接光Pより内側に回折した−1次回折光D(−1)と、直接光Pより外側に回折した+1次回折光D(+1)を含む。また、回折光Dはより高次の回折光を含んでいてもよい。
回折光Dの回折角(直接光Pと回折光Dのなす角)は、位相物体(観察対象物S)のサイズによって異なり、位相物体が小さいほど回折角度は大きくなる。このため、回折角が大きい回折光Dは、空間周波数の高域成分である。回折光Dは回折によって、直接光Pに対して波長が約1/4波長遅れる。
同図に示すように、直接光Pは、フェーズプレート210の位相シフト領域210aを透過して位相がずれ(+1/4波長又は−1/4波長)、かつ減光される。−1次回折光D(−1)は、光透過領域210bを透過し、位相と明るさは変化しない。+1次回折光D(+1)は遮光領域210cによって遮光される。
位相シフト領域210aを通過した直接光P'と、光透過領域210bを通過した−1次回折光D'(−1)は干渉し、結像レンズ111によって撮像部112の撮像面に結像され(図16中L3)、位相差像が生成される。上記のように+1次回折光D(+1)は遮光領域210cによって遮光されるため、位相差像には+1次回折光D(+1)は取り込まれない。
[位相差顕微鏡の効果]
位相差顕微鏡200の効果について説明する。図19は、上述した第1の実施形態に係るフェーズプレート110に入射する直接光及び回折光のうち、回折光を低域成分と高域成分に分解した図である。上述のように観察対象物Sに入射した照明光は、直接光Pと回折光Dに分けられる。
ここで、回折光Dの回折角度(直接光Pと回折光Dのなす角)は、位相物体(観察対象物S)のサイズによって異なり、位相物体が小さいほど回折角度は大きくなる。このため、回折光Dは、回折角度が異なる複数の周波数成分を含んでいる。回折角度の小さい成分は、大きい位相物体に由来し、回折光Dにおける空間周波数の低域成分である。回折角度の大きい成分は、小さい位相物体に由来し、回折光Dにおける空間周波数の高域成分である。
図19においては、回折光Dの低域成分を低域成分Dl(−1次低域成分Dl(−1)及び+1次低域成分Dl(+1))とし、回折光の高域成分を回折光Dh(−1次高域成分Dh(−1)及び+1次高域成分Dh(+1))とする。図19に示すフェーズプレート110の構成では、位相シフト領域110aの位置によって、+1次回折光D(+1)のうち低域成分Dl(+1)は光透過領域110bに入射するが、高域成分Dh(+1)はフェーズプレート110に入射しない。一方、−1次回折光D(−1)は、低域成分Dl(−1)と高域成分Dh(−1)の両者が光透過領域110bに入射する。
この場合、回折光Dの低域成分は、−1次低域成分Dl(−1)と+1次低域成分D1(+1)の両者が位相差像に取り込まれるのに対し、高域成分は−1次高域成分Dh(−1)のみが位相差像に取り込まれ、+1次高域成分Dh(+1)は位相差像に取り込まれない。これにより、低域成分と高域成分の光量が不連続となり、位相差像においては低域に比べて高域が暗くなる。
一方で、比較例に係る構成(図11参照)においては、位相シフト領域1010aの内外の回折光が同程度に光透過領域1010bを透過するため、+1次回折光D(+1)と−1次回折光D(−1)において、高域成分の入射光量の差異が生じない。即ち、第1の実施形態に係る構成では、比較例に係る構成に比べて光学分解能が向上し、より高い高域成分を位相差像に取り込むことが可能であるものの、低域成分に比較して高域成分の光量が減少する。
図20は、本実施形態に係るフェーズプレート210に入射する直接光P及び回折光Dのうち、回折光を低域成分と高域成分に分解した模式図である。上記のように、フェーズプレート210においては、位相シフト領域210aの外周領域に遮光領域210cが設けられている。このため、同図に示すように、+1次回折光は、低域成分Dl(+1)と高域成分Dh(+1)の両者が遮光領域210cによって遮光される。
一方、−1次回折光は、低域成分Dl(−1)と高域成分Dh(−1)の両者が光透過領域210bを透過する。このため、+1次回折光D(+1)と−1次回折光D(−1)の間で、高域成分の入射光量の差異が生じない。即ち、本実施形態の構成によれば、比較例に係る構成に比べて光学分解能が向上し、より高い高域成分を位相差像に取り込むことが可能であることに加え、低域成分に比較して高域成分の光量が減少することを防止することが可能である。
なお、フェーズプレート210においては、上記のように、+1次回折光D(+1)が遮光され、−1次回折光D(−1)のみが位相差像の生成に利用されるため、良好な位相差像を得るためには、−1次回折光D(−1)に対する直接光P'の強度を抑える必要がある。このため、フェーズプレート210の位相シフト領域210aは、一般的なフェーズプレートや第1の実施形態に係るフェーズプレート110の位相シフト領域に比較して減光量が大きいものが好適である。
[変形例]
本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、位相差顕微鏡200がフェーズプレート210とは別に減光プレートを備えるものとしてもよい。減光プレートは、減光領域と光透過領域を有し、対物レンズの瞳面における減光領域の像が対物レンズのNA/2より大きい径となるように構成されるものとすることができる。
また、フェーズプレート210は、遮光領域210cを備えるものとしたが、輪帯状の遮光領域を備える遮光プレートをフェーズプレート210とは別に設けてもよい。この場合、フェーズプレート210は、第1の実施形態に係るフェーズプレート110と同様の構成とすることができる。遮光プレートは、+1次回折光D(+1)(図20参照)を遮光できる構成であればよい。
[位相差顕微鏡システムについて]
上記位相差顕微鏡200は、顕微鏡システムを構成していてもよい。図21は、位相差顕微鏡200を含む位相差顕微鏡システム2000の構成を示す模式図である。
同図に示すように、位相差顕微鏡システム2000は、位相差顕微鏡200、制御部220及び表示部230を有する。
位相差顕微鏡200は、上記のような構成を有する。上述のように位相差顕微鏡200は、観察対象物の位相差像を撮像する撮像部112を備える。
制御部220は、位相差顕微鏡200及び撮像部112を制御し、撮像部112に位相差像を撮像させる。具体的には制御部220は、光源101、ステージ108及び対物レンズ109に接続され、これらを制御するものとすることができる。
例えば制御部220は、ステージ108に観察対象物Sが載置されると、撮像部112によって撮像された位相差像のコントラストが最も大きくなるように調整するものとすることができる。この他にも制御部220は、位相差顕微鏡200の各構成を制御し、撮像部112に位相差像を撮像させるものとすることができる。制御部220は、撮像部112によって撮像された位相差像を表示部230に供給する。
表示部230は、制御部220から供給された位相差像を表示する。表示部230は、LCD(liquid crystal display)等の画像表示装置であるものとすることができる。
位相差顕微鏡システム2000は以上のような構成を有する。位相差顕微鏡システム2000は位相差顕微鏡200を含むので、上述のように対物レンズのNAを最大限に利用することが可能であり、高い光学分解能を得ることができる。
<第3の実施形態>
本技術の第3の実施形態に係る位相差顕微鏡について説明する。
[位相差顕微鏡の構成]
図22は、本実施形態に係る位相差顕微鏡300の構成を示す模式図である。位相差顕微鏡300は、第1の実施形態に係る位相差顕微鏡100とはフェーズプレートの構成が異なり、その他の構成は同一である。位相差顕微鏡300において位相差顕微鏡100と同一の構成については同一の符号を付し、説明を省略する
図22に示すように、位相差顕微鏡300は、フェーズプレート310及び減光プレート311を有する。フェーズプレート310は、同図に示すように対物レンズ109とは独立して設けられてもよく、第1及び第2の実施形態と同様に対物レンズ109と一体的に設けられてもよい。
フェーズプレート310は、図22に示すように対物レンズ109の瞳面Hとは異なる位置であって、位相差顕微鏡300において図示しないリレーレンズによって共役となる位置に配置されてもよく、瞳面Hに設けられてもよい。減光プレート311は、フェーズプレート310に隣接して設けられてもよく、フェーズプレート310と離間して設けられてもよい。
図23は、フェーズプレート310を示す平面図であり、フェーズプレート310をZ方向からみた図である。同図に示すように、フェーズプレート310は、位相シフト領域310a及び光透過領域310bを有する。位相シフト領域310aは、フェーズプレート210において一定の幅を有する輪帯状の領域であり、入射光の位相をシフトさせる領域である。
光透過領域310bは、入射光の位相をシフトさせることなく透過させる領域である。光透過領域310bは、フェーズプレート310において位相シフト領域310a以外の領域であるものとすることができる。
フェーズプレート310は液晶素子であるものとすることができる。図24はフェーズプレート310の位相シフト領域310a近傍の断面図である。同図に示すように、位相シフト領域310aは、透明基板312、透明導電層313、配向層314及び液晶材料層315が積層されて構成されているものとすることができる。
透明基板312は、ガラスや合成樹脂等の光透過性の高い材料からなる板状部材である。透明導電層313は、ITO(Indium Tin Oxide)等の光透過性導電材料からなる層であり、図示しない配線又は端子によってフェーズプレート310の外部と電気的に接続されている。配向層314は、表面に微細な規則的構造が形成された層であり、液晶分子を特定の方向に配向させる。液晶材料層315には、液晶材料が充填されている。液晶材料の種類は特に限定されない。
位相シフト領域310aにおいては、液晶材料層315を挟む二層の透明導電層313の間の電位差を変化させることにより、液晶分子の配向を変化させ、位相シフト領域310aの屈折率(即ち、位相シフト量)を変化させることが可能である。図25は、透明導電層313への印加電圧と位相シフト量の関係を示すグラフである。同図に示すように、透明導電層313への印加電圧によって、位相シフト量を制御することが可能である。
光透過領域310bは、透明基板316からなり、透明基板316は、ガラスや合成樹脂等の光透過性の高い材料からなる板状部材からなるものとすることができる。なお、フェーズプレート310の構成はここに示すものに限られず、位相シフト領域310aの位相シフト量を任意に変更できる構成であればよい。
例えば、フェーズプレート310は、透明導電層313を位相シフト領域310aの形状に合わせてパターニングしてもよい。図26は、透明導電層313をパターニングしたフェーズプレート310の位相シフト領域310aの近傍の断面図である。同図に示すように、位相シフト領域310aは、透明基板312、透明導電層313、配向層314及び液晶材料層315が積層されて構成され、光透過領域310bは、透明基板312、配向層314及び液晶材料層315が積層されて構成されているものとすることができる。
この構成においても、液晶材料層315を挟む二層の透明導電層313の間の電位差を変化させることにより、液晶分子の配向を変化させ、位相シフト領域310aの位相シフト量を変化させることが可能である。
フェーズプレート310は、第1及び第2の実施形態と同様に、対物レンズ109の瞳面Hにおける位相シフト領域310aの像が、対物レンズ109のNA/2より大きい径となるように構成されているものとすることができる。また、フェーズプレート310は、このように構成されているものでなくてもよく、即ち瞳面Hにおける位相シフト領域310aの像が、対物レンズ109のNA/2より小さい径を有していてもよい。
図27は、減光プレート311を示す平面図である。同図に示すように、減光プレート311は、減光領域311aと光透過領域311bを有する。減光領域311aは入射光を減光する領域であり、輪帯状に形成されている。光透過領域311bは入射光を減光することなく透過する領域である。減光プレート311は、光透過性部材に輪帯状に減光膜を成膜して減光領域311aとし、それ以外の領域を光透過領域311bとしたものとすることができる。
なお、フェーズプレート310の位相シフト領域310aは、位相シフトの機能に加え、減光の機能を有していてもよい。この場合、位相差顕微鏡300には減光プレート311を設ける必要がない。
リング絞り106は、第1の実施形態と同様に、フェーズプレート310と共役となるように、即ち、瞳面Hにおいて光透過領域106bの像(像F2)が、位相シフト領域210aの像(像F1)に含まれるように構成されている(図7参照)。
[位相差顕微鏡による位相差像の撮像について]
位相差顕微鏡300は以上のような構成を有する。光源101から照射された照明光(図22中L1)は、光源レンズ102によって集光され、視野絞り103によって照射範囲が制限される。さらに、リレーレンズ104によって伝達され、開口絞り105によって光量が調節される。さらに、照明光はリング絞り106の光透過領域106bを透過してリング状に成形され(図22中L2)、コンデンサレンズ107によって観察対象物Sに照射される。なお、光源101から照射される照明光は、フェーズプレート310の位相シフト領域310aにおける液晶材料層315の液晶分子の配向方向に平行な偏光方向の照明光である必要がある。
ここで、照明光は、観察対象物Sを透過し、直進した直接光と、観察対象物Sによって回折を受けた回折光に分けられる。直接光はフェーズプレート310の位相シフト領域310aを通過して位相がずれ、減光プレート311の減光領域311aを通過して減光される。なお、フェーズプレート310は、予め透明導電層313に電圧が印加され、液晶材料層315の配向によって位相シフト領域310aが所定の屈折率とされている。回折光は、フェーズプレート310の光透過領域310b及び減光プレート311の光透過領域311bを透過する。直接光と回折光は干渉し、結像レンズ111によって撮像部112の撮像面に結像され(図22中L3)、位相差像が生成される。
[位相差顕微鏡の効果]
位相差顕微鏡300の効果について説明する。上記のように位相差顕微鏡300においては、観察対象物Sを透過した直接光は、液晶素子である位相シフト領域310aによって位相がずれる。ここで、一般に位相差顕微鏡のフェーズプレートにおける位相のシフト量は1/4波長である。+1次回折光及び−1次回折光の回折による位相ずれは1/4波長であり、直接光と回折光を干渉させるためには直接光と回折光の位相を合わせる必要があるためである。
しかしながら、厳密には照明光の波長や観察対象物Sの大きさによって、直接光に付加すべき位相量は異なり、必ずしもフェーズプレートによる位相シフト量が1/4波長の場合に、最も位相差像の光学分解能が高くなるわけではない。
ここで、本実施形態に係る位相差顕微鏡300のフェーズプレート310は、液晶素子である位相シフト領域310aを備え、印加電圧によって位相シフト領域310aの位相シフト量を変化させることが可能である(図25参照)。これにより、照明光の波長や観察対象物Sの大きさに応じて、位相シフト領域310aの位相シフト量を調整し、位相差像の光学分解能を向上させることが可能である。
[変形例]
フェーズプレート310は、同心円状に配設された複数の位相シフト領域を備えてもよい。図28は複数の位相シフト領域を備えるフェーズプレート310を示す平面図である。同図に示すように、フェーズプレート310は、同心円状に配設された複数の位相シフト領域310aを備えるものとすることができる。各位相シフト領域310aは上述のように液晶素子によって構成されており、各位相シフト領域310a毎に屈折率(位相シフト量)を変更することが可能に構成されている。
このフェーズプレート310は、対物レンズのNAに応じて位相シフト量を変更する位相シフト領域310aを切り替えることが可能であり、NAが異なる複数の対物レンズに対して、このフェーズプレート310のみで対応することが可能である。また、各位相シフト領域310aは液晶素子であるので、上記のように照明光の波長や観察対象物Sの大きさに応じて、各位相シフト領域310aの位相シフト量を調整し、位相差像の光学分解能を向上させることが可能である。
[位相差顕微鏡システムについて]
上記位相差顕微鏡300は、顕微鏡システムを構成していてもよい。図29は、位相差顕微鏡300を含む位相差顕微鏡システム3000の構成を示す模式図である。
同図に示すように、位相差顕微鏡システム3000は、位相差顕微鏡300、制御部320及び表示部330を有する。
位相差顕微鏡300は、上記のような構成を有する。上述のように位相差顕微鏡300は、観察対象物の位相差像を撮像する撮像部112を備える。
制御部320は、位相差顕微鏡300及び撮像部112を制御し、撮像部112に位相差像を撮像させる。具体的には制御部320は、光源101、ステージ108及び対物レンズ109に接続され、これらを制御するものとすることができる。
例えば制御部320は、ステージ108に観察対象物Sが載置されると、撮像部112によって撮像された位相差像のコントラストが最も大きくなるように調整するものとすることができる。この他にも制御部320は、位相差顕微鏡300の各構成を制御し、撮像部112に位相差像を撮像させるものとすることができる。制御部320は、撮像部112によって撮像された位相差像を表示部330に供給する。
表示部330は、制御部320から供給された位相差像を表示する。表示部330は、LCD(liquid crystal display)等の画像表示装置であるものとすることができる。
位相差顕微鏡システム3000は以上のような構成を有する。位相差顕微鏡システム3000は位相差顕微鏡300を含むので、上述のように対物レンズのNAを最大限に利用することが可能であり、高い光学分解能を得ることができる。
本技術の実施例について説明する。図30は、実施例にかかる検証実験系400の模式図である。同図に示すように、検証実験系400は、顕微鏡光学系と検証光学系からなる。顕微鏡光学系は、光源401、レンズ402、GIF(green interference filter:グリーン干渉フィルタ)403、レンズ404、リング絞り405及びレンズ406から構成されたケーラー照明系と、対物レンズ407及びレンズ408から構成された撮像系からなる。リング絞り405は、入射光を透過する輪帯状の光透過領域と、入射光を遮光する遮光領域を有する(図2参照)。本実施例においては、種々の径を有する遮光領域が形成されたリング絞り405を準備した。レンズ406と対物レンズ407の間には観察対象物Sが配置されている。対物レンズ407は拡大倍率20倍であり、NAは0.45である。
検証光学系は、レンズ409、偏光子410、減光プレート411、フェーズプレート412及びレンズ413から構成されている。偏光子410は、入射光を偏光させる素子である。
減光プレート411は入射光を減光する輪帯状の減光領域と、入射光を透過する光透過領域を有する(図14参照)。本実施例においては、ガラス又は合成石英からなる透明板にクロムを蒸着し、減光プレート411とした。クロムが形成された領域が減光領域であり、それ以外の領域が光透過領域である。減光領域は、光透過率が20%のものと10%のものを準備した。図31は、光透過率が20%の減光領域の光透過特性を示すグラフであり、図32は、光透過率が10%の減光領域の光透過特性を示すグラフである。本実施例においては、種々の径を有する減光領域が形成された減光プレート411を準備した。
フェーズプレート412は、液晶素子であり、入射光の位相をシフトさせる輪帯状の位相シフト領域と、入射光をそのまま透過する光透過領域を有する(図23参照)。本実施例においては、種々の径を有する位相シフト領域が形成されたフェーズプレート412を準備した。
位置Z1は開口リング像の位置であり、位置Z2は通常の位相差像撮像において撮像素子(カメラ)が配置される位置である。位置Z3は、本実施例において撮像素子が配置された位置である。
上記のように、リング絞り405、フェーズプレート412及び減光プレート411は、それぞれ径が異なる複数のものを準備した。
図33及び図34は、本実施例において利用したフェーズプレート412の写真である。同図に示すように、フェーズプレート412は位相シフト領域412aと光透過領域412bを有する。これらの図に示すように、位相シフト領域412aは種々の径を有する。
図35は、位相シフト領域412aの径を示す表である。以下、各フェーズプレート412に、位相シフト領域412aの径が小さい順にRing1〜6の番号を付する。また、以下の説明においてRing1〜6の各フェーズプレート412と共に利用される減光プレート411及びリング絞り405もそれぞれRing1〜6と表記する。
図36は、減光プレート411の減光領域の径を示す表である。同図に示すように、減光領域の径は、共に利用されるフェーズプレート412の位相シフト領域412aの径と同一である。
図37は、フェーズプレート412の位相シフト領域及びリング絞り405の光透過領域の径を示す表である。同図に示すように、光透過領域は、リング絞り405に投影された位相シフト領域に収まる径を有する。即ち、リング絞り405の透過光はフェーズプレート412の位相シフト領域に入射する。
図38及び図39は、リング絞り405、フェーズプレート412及び減光プレート411の各領域の径と対物レンズNAの関係を示す表である。なお、「コンデンサ−f」はコンデンサレンズの焦点距離であり、「OL−f」は対物レンズの焦点距離である。各領域の「外径」及び「内径」は、左欄の面における径であり、「実外径」及び「実内径」は実際の径である。
Ring1−6のうち、Ring5、6は、対物レンズの瞳面における位相シフト領域の径(実内径及び実外形)のNA率が0.5より大きく、即ち位相シフト領域の径が対物レンズのNA/2より大きい径となるように構成されている。なお、一般的な位相差顕微鏡における各領域の径はRing2と3の間である。
以上の構成を有する検証実験系400を利用して位相差像を撮像した。
Ring2のリング絞り405、フェーズプレート412及び減光プレート411を検証実験系400にセットした。減光プレート411は減光領域の光透過率が10%のものを利用した。液晶素子であるフェーズプレート412への印可電圧を変更しながら位相差像を撮像した。上述のように液晶素子であるフェーズプレート412は、液晶素子への印可電圧によって位相シフト量が変動する(図25参照)。
図40及び図41は各印可電圧で撮像された位相差像である。フェーズプレート412への印可電圧は、図40(a)が2.6V、図40(b)が2.8V、図40(c)が3.0V、図41(a)が3.4V、図41(b)が3.8V、図41(c)が4.2Vである。これらの図に示すように、印可電圧(位相シフト量)によって位相差像のコントラストが異なっている。図40(a)及び図41(c)に示す位相差像はポジティブコントラストであり、図44(a)に示す位相差像はネガティブコントラストである。このように、液晶素子であるフェーズプレートを利用することにより、一つのフェーズプレートを利用しながら位相差像のコントラストを調整できることがわかる。
また、Ring2及びRing6のリング絞り405、フェーズプレート412及び減光プレート411を検証実験系400にそれぞれセットして位相差像を撮像した。観察対象物は細胞内小胞とした。なお、フェーズプレート412への印可電圧は2.6V、減光プレートの光透過率は20%とした。図42はRing6を利用して撮像された位相差像であり、図43はRing2を利用して撮像された位相差像である。
図42と図43を比較すると、図42の方がコントラストは小さいが、微小なものを分解していることがわかる。即ち、フェーズプレート412の位相シフト領域412aの径が大きい方が、対物レンズの高NA成分を位相差像に取り込むことが可能であるため、高い光学分解能を得ることができるといえる。
また、Ring2、Ring4及びRing6のリング絞り405、フェーズプレート412及び減光プレート411を検証実験系400にそれぞれセットして、位相差像を撮像した。観察対象物は、反射面の無いDVD(Digital Versatile Disc)−ROMの盤面とした。なお、フェーズプレート412への印可電圧は2.6V、減光プレートの光透過率は10%とした。図44はRing6を利用して撮像された位相差像、図45はRing4を利用して撮像された位相差像、図46はRing2を利用して撮像された位相差像である。
また、図47は、図44乃至図46に示す位相差像に周波数解析を施した結果である。この結果から、Ring6を利用して撮像した位相差像(図44)は1350line/mm(DVDのトラックピッチ)の周波数成分を多く含み、即ち、Ring6の場合のみDVDのピットを検出可能であることがわかる。このことからも、フェーズプレート412の位相シフト領域412aの径が大きい方が、対物レンズの高NA成分を位相差像に取り込むことが可能であるため、高い光学分解能を得ることができるといえる。
なお、本技術は以下のような構成もとることができる。
(1)
対物レンズと、
輪帯状であり、入射光の位相をシフトさせる位相シフト領域と、入射光を透過する第1の光透過領域とを有し、上記位相シフト領域は空間周波数の高域成分を強調するフェーズプレートと、
入射光を透過する第2の光透過領域と、入射光を遮光する第1の遮光領域とを有し、上記フェーズプレートと共役であるリング絞りと
を具備する位相差顕微鏡。
上記(2)に記載の位相差顕微鏡であって、
上記フェーズプレートは、上記瞳面における上記位相シフト領域の像が、上記対物レンズのNA/2より大きい径となるように構成されている
位相差顕微鏡。
(3)
上記(1)又は(2)に記載の位相差顕微鏡であって、
上記フェーズプレートはさらに、入射光を遮光する第2の遮光領域を有し、上記第1の光透過領域は上記位相シフト領域の内周領域に設けられ、上記第2の遮光領域は上記位相シフト領域の外周領域に設けられている
位相差顕微鏡。
(4)
上記(1)から(3)のいずれか一つに記載の位相差顕微鏡であって、
上記位相シフト領域は、液晶素子である
位相差顕微鏡。
(5)
上記(1)から(4)のいずれか一つに記載の位相差顕微鏡であって、
上記位相シフト領域は、入射光を減光する
位相差顕微鏡。
(6)
上記(1)から(5)のいずれか一つに記載の位相差顕微鏡であって、
さらに、輪帯状であり、入射光を減光する減光領域と、入射光を透過する第3の光透過領域とを有し、上記対物レンズの瞳面において上記遮光領域の像が上記位相シフト領域の像に一致するように構成された減光プレート
を具備する位相差顕微鏡。
(7)
上記(1)から(6)のいずれか一つに記載の位相差顕微鏡であって、
上記位相シフト領域は、液晶素子である
位相差顕微鏡。
(8)
上記(1)から(7)のいずれか一つに記載の位相差顕微鏡であって、
上記フェースプレートは、同心円状に配設された複数の位相シフト領域を備える
位相差顕微鏡。
(9)
上記(1)から(8)のいずれか一つに記載の位相差顕微鏡であって、
上記フェーズプレートは、上記瞳面における上記位相シフト領域の像が、上記対物レンズのNA/2より大きい径となるように構成されている
位相差顕微鏡。
(10)
対物レンズと、輪帯状であり、入射光の位相をシフトさせる位相シフト領域と、入射光を透過する第1の光透過領域とを有し、上記位相シフト領域は空間周波数の高域成分を強調するフェーズプレートと、入射光を透過する第2の光透過領域と、入射光を遮光する第1の遮光領域とを有し、上記フェーズプレートと共役であるリング絞りとを備える位相差顕微鏡と、
上記位相差顕微鏡によって生成された位相差像を撮像する撮像部と、
上記位相差顕微鏡及び上記撮像部を制御し、上記撮像部に位相差像を撮像させる制御部と、
上記撮像部によって撮像された位相差像を表示する表示部と
を具備する位相差顕微鏡システム。
100、200、300…位相差顕微鏡
101…光源
102…光源レンズ
104…リレーレンズ
106…リング絞り
107…コンデンサレンズ
108…ステージ
109…対物レンズ
110、210、310…フェーズプレート
111…結像レンズ
112…撮像部
120、220、320…制御部
130、230、330…表示部
1000、2000、3000…位相差顕微鏡システム

Claims (9)

  1. 対物レンズと、
    輪帯状であり、入射光の位相をシフトさせる位相シフト領域と、入射光を透過する第1の光透過領域とを有し、前記位相シフト領域は空間周波数の高域成分を強調するフェーズプレートと、
    入射光を透過する第2の光透過領域と、入射光を遮光する第1の遮光領域とを有し、前記フェーズプレートと共役であるリング絞りと、
    輪帯状であり、入射光を減光する減光領域と、入射光を透過する第3の光透過領域とを有し、前記対物レンズの瞳面において前記遮光領域の像が前記位相シフト領域の像に一致するように構成された減光プレートと、
    入射する+1次回折光の低域成分と高域成分を遮光する輪帯状の第2の遮光領域と
    を具備し、
    前記フェーズプレートは前記瞳面における前記位相シフト領域の像が、前記対物レンズのNA/2より大きい径となるように構成され、
    前記瞳面における前記第1の光透過領域の像は前記位相シフト領域の像の内周領域に設けられ、前記第2の遮光領域の像は前記位相シフト領域の外周領域に設けられる
    位相差顕微鏡。
  2. 請求項1に記載の位相差顕微鏡であって、
    前記フェーズプレートは前記第2の遮光領域を有し、
    前記第1の光透過領域は前記位相シフト領域の内周領域に設けられ、前記第2の遮光領域は前記位相シフト領域の外周領域に設けられる
    位相差顕微鏡。
  3. 請求項1に記載の位相差顕微鏡であって、さらに、
    前記第2の遮光領域を備える遮光プレート
    を具備する位相差顕微鏡。
  4. 請求項1から3のいずれか1つに記載の位相差顕微鏡であって、
    前記位相シフト領域は、入射光を減光する
    位相差顕微鏡。
  5. 請求項1から4のいずれか1つに記載の位相差顕微鏡であって、
    前記フェーズプレートは、同心円状に配設された複数の位相シフト領域を備える
    位相差顕微鏡。
  6. 請求項1から5のいずれか1つに記載の位相差顕微鏡であって、
    前記フェーズプレートは、前記瞳面上に配置される
    位相差顕微鏡。
  7. 請求項1から6のいずれか1つに記載の位相差顕微鏡であって、
    前記位相シフト領域は、液晶素子である
    位相差顕微鏡。
  8. 請求項7に記載の位相差顕微鏡であって、
    前記位相シフト領域は、液晶材料層を挟む二層の透明導電層を有し、
    前記二層の透明導電層の間の電位差を変化させることにより位相シフト量が制御される
    位相差顕微鏡
  9. 対物レンズと、輪帯状であり、入射光の位相をシフトさせる位相シフト領域と、入射光を透過する第1の光透過領域とを有し、前記位相シフト領域は空間周波数の高域成分を強調するフェーズプレートと、入射光を透過する第2の光透過領域と、入射光を遮光する第1の遮光領域とを有し、前記フェーズプレートと共役であるリング絞りと、輪帯状であり、入射光を減光する減光領域と、入射光を透過する第3の光透過領域とを有し、前記対物レンズの瞳面において前記遮光領域の像が前記位相シフト領域の像に一致するように構成された減光プレートと、入射する+1次回折光の低域成分と高域成分を遮光する輪帯状の第2の遮光領域とを備える位相差顕微鏡と、
    前記位相差顕微鏡によって生成された位相差像を撮像する撮像部と、
    前記位相差顕微鏡及び前記撮像部を制御し、前記撮像部に位相差像を撮像させる制御部と、
    前記撮像部によって撮像された位相差像を表示する表示部と
    を具備し、
    前記フェーズプレートは前記瞳面における前記位相シフト領域の像が、前記対物レンズのNA/2より大きい径となるように構成され、
    前記瞳面における前記第1の光透過領域の像は前記位相シフト領域の像の内周領域に設けられ、前記第2の遮光領域の像は前記位相シフト領域の外周領域に設けられる
    位相差顕微鏡システム。
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