以下に、本発明に係るプリントヘッドおよびそれを備える画像形成装置の各実施例について図面を参照しつつ説明する。
本発明に係るプリントヘッドの一例としての実施例1のプリントヘッド30を、図1から図10を用いて説明する。併せて、その一例としてのプリントヘッド30を備える画像形成装置の一例としての画像形成装置10について説明する。なお、図2では、プリントヘッド30の構成の理解を容易なものとするために、感光体11の表面に光を照射する様子を模式的に示している。また、図3では、プリントヘッド30の構成の理解を容易なものとするために、ハウジング33および矯正部材51を省略するとともに、感光体11の帯電面に光を照射する(露光)様子を概略的に示している。
図1は、実施例1のプリントヘッド30を搭載した画像形成装置10を示す概略断面図である。この画像形成装置10は、図1に示すように、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の4色を重ね合わせてフルカラーの画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタである。画像形成装置10は、4つの色毎に、像担持体としての感光体11と、帯電器12と、プリントヘッド30と、現像器13と、1次転写ローラ14と、クリーニング機構15と、で構成される画像形成ユニットを備える。この各画像形成ユニット(感光体11)は、等間隔で並列されて配置されている。なお、これらの4つの色毎に設けられた画像形成ユニット(その各構成)については、図1では各符号の末尾に各色を示す符号(K、Y、M、C)を付して示している。また、画像形成装置10は、4つの色に対して共通の、中間転写ベルト16と、給紙トレイ17と、給紙コロ18と、搬送ベルト19と、2次転写ローラ21と、定着装置22と、を備える。
各感光体11は、互いに等しい径寸法とされた長尺の円柱形状を呈し、図1を正面視して時計方向に適宜回転される。各感光体11の周囲には、その各感光体11の回転方向で見て、帯電器12、プリントヘッド30、現像器13、1次転写ローラ14およびクリーニング機構15が、電子写真プロセスに従って順に設けられている。また、各感光体11の下方には、それらが並列された方向で複数のローラ16a(図1では2つ示す)を架け渡されて中間転写ベルト16が設けられている。その中間転写ベルト16は、図示しないモータの駆動により、矢印で示す各感光体11の回転方向と等しい方向に周回可能とされている。
各帯電器12は、対応する感光体11の表面を均一に帯電するための帯電装置である。なお、この各帯電器12は、図1に示す例では、帯電ローラを用いた方式を模式的に示しているが、この方式に限定するものではない。各プリントヘッド30は、対応する感光体11の帯電面に、画像データに基づく光を結像させて光スポットSP(図2参照)を形成する。すなわち、各プリントヘッド30は、対応する感光体11の表面を被露光面とすべく設定されている。このため、各プリントヘッド30は、図示は略すが調整可能な間隔調整部材を介して当該感光体11の回転軸を受ける回転軸受保持部材等に接触させて設けられ、対応する感光体11(その表面)との距離が所望のものとされている。このとき、各感光体11は、矢印方向に回転することから、対応するプリントヘッド30からの光が副走査方向に走査されることとなる。このため、各プリントヘッド30は、対応する感光体11の表面に対応する色の画像に応じた静電潜像を形成する。
各現像器13は、感光体11の表面に対応する色のトナーを供給することにより、感光体11の表面に形成された静電潜像を対応する色のトナー像として可視像化(顕像化)する。各1次転写ローラ14は、中間転写ベルト16を介して対応する感光体11と対向して設けられており、バイアスを印加することにより感光体11の表面に形成された対応する色のトナー像を中間転写ベルト16上に転写させる。このとき、その中間転写ベルト16は、各感光体11の回転速度に応じて周回速度が設定されており、それぞれの感光体11に形成された各色のトナー像が適切に重ね合せられて、カラー画像が形成される。また、各感光体11では、中間転写ベルト16上に転写されずに表面に残存するトナーが、クリーニング機構15により除去される。
一方、感光体11の下方に配置された給紙トレイ17には、例えば転写紙より成る記録媒体Pが収容されている。この給紙トレイ17からは、給紙コロ18の回転により、最上位の記録媒体Pが搬送ベルト19上に送り込まれる。その記録媒体Pは、搬送ベルト19に搬送されて、バイアスが印加された2次転写ローラ21と中間転写ベルト16との間に送り込まれる。その記録媒体Pでは、その間を通過することにより、中間転写ベルト16上に重ね合せられた各色のトナー像が一括して転写される。このため、2次転写ローラ21は、中間転写ベルト16および搬送ベルト19と協働して、像担持体としての感光体11上に可視像化された画像を記録媒体Pに転写する転写機構として機能する。そのトナー像が転写された記録媒体Pでは、搬送ベルト19により搬送されて定着装置22を通過することにより、転写されたトナー像が定着される。なお、給紙トレイ17から定着装置22へと向かう破線で示す矢印は、記録媒体Pが搬送される経路を示している。これにより、画像形成装置10では、記録媒体Pにフルカラーの画像を形成し、そのフルカラーの画像(それが形成された記録媒体P)を出力することができる。
そのプリントヘッド30は、図2および図3に示すように、感光体11の長尺方向(Y軸方向とする)に沿う長尺な基板31と結像光学素子32とを有し(図3参照)、それらがハウジング33(図2参照)の内方で支持されて構成されている。プリントヘッド30では、基板31に設けられた後述する各OLED35(図4等参照)から水平方向(Y軸方向と直交するX軸方向)に光を出射して、結像光学素子32の後述する入射面41(入射側レンズアレイ44)に入射させる。そして、プリントヘッド30では、結像光学素子32の後述する出射面42(出射側レンズアレイ45)から、入射された光をその進行方向と直交する方向(X−Y平面と直交するZ軸方向)に出射させて、感光体11(その表面)へと向かわせる。このため、X軸方向は、入射面41に直交する入射直交方向となり、Z軸方向は、出射面42に直交する出射直交方向となる。なお、実施例1では、各OLED35からの光が結像光学素子32へ向けて進行する側をX軸方向の正側とし、その結像光学素子32からの光が感光体11(その表面)へ向けて進行する側をZ軸方向の正側とする(図2および図3等の矢印参照)。また、実施例1では、図2を正面視して手前側をY軸方向の正側とする(図2等の矢印参照)。
その基板31は、LEDや有機EL等の複数の光源が並べて(整列されて)設けられる箇所である。基板31には、実施例1では、複数の有機ELアレイチップ34(以下ではOELAチップ34ともいう)がY軸方向(長尺方向)に一列に並べられて設けられている(図4(a)参照)。そのOELAチップ34は、図4(b)に示すように、自らが並べられた方向に沿って複数の有機EL発光素子35(以下ではOLED35ともいう)が一列に並べられて(整列されて)設けられて構成されている。このため、各OLED35は、基板31に整列されて設けられた発光部として機能する。なお、実施例1では、低消費電力であることから発光部としてOLED35(有機EL発光素子)を用いているが、像面上で光スポットを形成するための光を出射するものであればよく、この実施例1の構成に限定されるものではない。
プリントヘッド30では、1つの光源としてのOLED35と形成する画像(静電潜像)の1ドットとを個別(例えば一対一)に対応させるべく、各OELAチップ34(その各OLED35)の個数が設定されている。その各OLED35は、設けられたOELAチップ34上において、Y軸方向(長尺方向)で見て間隔Pi毎に並列する、すなわちそれぞれの中心位置が間隔Piとなるように配置されている。そして、各OELAチップ34では、Y軸方向(長尺方向)で見て端に位置するOLED35と、隣接するOELAチップ34の端に位置するOLED35と、の間隔Ptを、間隔Piと等しくするように配置位置が設定されている。このため、全てのOLED35は、並列された各OELAチップ34の切れ目に位置するか否かに拘わらず、Y軸方向で見て間隔Pi(間隔Pt)毎に並列されている。
各OELAチップ34は、実施例1では、Y軸方向(長尺方向)で見た長さ寸法が、生産上設定される定型幅とされている。この生産上設定される定型幅とは、ウェハからの採り個数が最大となる、すなわち1枚のウェハから最も効率良く形成することができるように設定されるものである。ここで、プリントヘッド30では、例えば1200[dpi]とされているものとすると、A4サイズの幅寸法(210[mm])に対応させる場合、21.2[μm](=Pi=Pt)間隔で9906個のOLED35を配列する必要がある。その場合、この一例として、1000個のOLED35がY軸方向に並列されたOELAチップ34を用いるものとすると、10個のOELAチップ34を基板31にY軸方向(長尺方向)に並列させて実装する(チップ実装する)こととなる。同様に、プリントヘッド30では、例えば1200[dpi]とされているものとすると、A3サイズの幅寸法(297[mm])に対応させる場合、21.2[μm](=Pi=Pt)間隔で14010個のOLED35を配列する必要がある。その場合、この一例として、1000個のOLED35がY軸方向に並列されたOELAチップ34を用いるものとすると、15個のOELAチップ34を基板31にY軸方向(長尺方向)に並列させて実装する(チップ実装する)こととなる。
ここで、プリントヘッド30におけるY軸方向(長尺方向)で見た露光幅、すなわち全てのOLED35により感光体11の表面に光を照射する(各光スポットSPを形成する)Y軸方向(長尺方向)で見た幅を、全露光幅Dとする(図4(a)参照)。また、プリントヘッド30が設けられた画像形成装置10(画像形成ユニット)における記録媒体P(図1参照)へと画像を書き込むY軸方向(長尺方向)で見た幅寸法を、画像書込幅Wとする。すると、プリントヘッド30では、Y軸方向で見て、画像書込幅Wよりも全露光幅Dを、マージン分(主走査方向で見たレジスト調整幅、各OLED35等の取付誤差等)を考慮して大きく設定している。具体的には、A3サイズの幅寸法(297[mm])に対応させる場合、画像書込幅Wはその幅寸法(297[mm])となることに対し、全露光幅Dは5[mm]以上大きくした302[mm]以上とする。
また、基板31には、図4(a)に示すように、ドライバIC36とコネクタ37とが設けられている。このドライバIC36は、基板31に設けられた複数の光源、すなわち各OELAチップ34における各OLED35のうちの対応するものを駆動(点灯および消灯)するために設けられている。コネクタ37は、ドライバIC36に画像形成装置10の制御部から、OLED35を駆動させるための制御信号と電力とを送ることを可能とするために設けられている。ドライバIC36は、画像形成装置10の制御部の制御下で、形成する画像に応じて各OELAチップ34の各OLED35を駆動する。このため、ドライバIC36は、発光部としての各OLED35を駆動する駆動部として機能する。
このドライバIC36は、明確な図示は略すが、対応するOELAチップ34としてのシリコンチップ上でOLED35のための有機EL発光層とともに形成されており、単一のOELAチップ34にOLED35とともに設けられている。すなわち、各OELAチップ34では、OLED35とドライバIC36とを1チップ化した構成とされており、小型化が図られている。なお、ドライバIC36は、形成する画像に応じて各OELAチップ34の各OLED35を駆動するものであれば、単一のものであってもよく、各OELAチップ34とは別体で設けられていてもよく、実施例1の構成に限定されるものではない。そして、ドライバIC36は、基板31とは異なる基板に設けられていてもよく、実施例1の構成に限定されるものではない。
プリントヘッド30では、図2に示すように、結像光学素子32が設けられている。その結像光学素子32は、各OELAチップ34の各OLED35から出射された光を、感光体11の表面(帯電面)に結像させる。これは、各OLED35は、所定の大きさ寸法の発光面から拡散光を放射するものであることから、感光体11の表面(帯電面)に静電潜像を形成すべく各拡散光を微小なスポット(各光スポットSP)に結像する必要があることによる。この結像光学素子32は、対象とする記録媒体Pの主走査方向での大きさ寸法を網羅できる長さ寸法の長尺な形状とされており、基板31に設けられた各OLED35(各OELAチップ34)に対応する長尺な部材とされている(図3および図6等参照)。結像光学素子32では、図2および図5等に示すように、入射面41と出射面42と反射面43とが設けられている。その入射面41は、各OELAチップ34の各OLED35から出射された光が入射される面であり、その光が進行するX軸方向と直交するY−Z平面と平行とされている。出射面42は、入射面41から入射された光を出射させる面であり、その光が進行するZ軸方向と直交するX−Y平面と平行とされている。このため、出射面42(それを延長した面)は、入射面41(それを延長した面)と直交する位置関係とされている。反射面43は、入射面41から入射された光を出射面42へ向けて反射させる面であり、その入射面41および出射面42のそれぞれに対して45度の傾斜を為すものとされている。その図5では、X−Z平面上において、反射面43に平行な方向をα軸方向とするとともにそのα軸方向に直交する方向をβ軸方向として示している。
結像光学素子32では、図3等に示すように、入射面41に入射側レンズアレイ44を設けるとともに、出射面42に出射側レンズアレイ45を設けている。その入射側レンズアレイ44と出射側レンズアレイ45とは、入射面41から入射される各OLED35からの光を感光体11の表面(帯電面)に結像させる(図2および図5参照)。入射側レンズアレイ44と出射側レンズアレイ45とは、Y軸方向(長尺方向)で見て互いに等しい大きさ寸法(等しい配列ピッチ)とされた複数のレンズ面(44a、45a)がY軸方向に並列されて構成されている。
入射側レンズアレイ44の各レンズ面44aは、Z軸方向で見て入射面41全体に渡って湾曲するとともに(図2および図5参照)、Y軸方向で見て入射面41を等分割するように湾曲する。この各レンズ面44aは、対応するOLED35から出射された光(その光束)を、略平行な光束として結像光学素子32内に進行させる。出射側レンズアレイ45の各レンズ面45aは、X軸方向で見て出射面42全体に渡って湾曲するとともに(図2および図5参照)、Y軸方向で見て出射面42を等分割するように湾曲する。この各レンズ面45aは、結像光学素子32内に進行されて反射面43により反射された略平行な光束を、感光体11の表面(帯電面)において微小なスポット(各光スポットSP(図2参照))として結像させる。この入射側レンズアレイ44の各レンズ面44aと出射側レンズアレイ45の各レンズ面45aとは、実施例1では、Y軸方向で見た配列ピッチが、0.8[mm]とされている。そして、入射側レンズアレイ44の各レンズ面44aと出射側レンズアレイ45の各レンズ面45aとは、Y軸方向で見て互いに等しい位置となるように、すなわちY軸方向に関する位置のズレ(位相ズレ)がないように形成されている。
また、結像光学素子32では、入射面41から入射される各OLED35からの光を出射面42へ向けて光率良く反射させるために、反射面43にプリズム面アレイ46を設けている(図5から図7等参照)。そのプリズム面アレイ46は、反射面43において、α軸方向に伸びるV字形状の溝が、Y軸方向(長尺方向)に並列されて形成されている。すなわち、プリズム面アレイ46は、反射面43に対して45度の傾斜を為すとともに互いに直交してα軸方向に伸びる2つのプリズム面からなる複数のプリズム46a(図7参照)が、Y軸方向(長尺方向)に並列されて構成されている。その各プリズム46aは、頂角90度の角柱形状を呈し、並列されたY軸方向に45度傾けられて形成され、Y軸方向で見て互いに等しい大きさ寸法(等しい配列ピッチ)とされている。この各プリズム46aは、実施例1では、Y軸方向で見た配列ピッチが、0.1[mm]とされている。
プリズム面アレイ46では、各プリズム46aにおける一方のプリズム面で光を全反射させた後に他方のプリズム面で光を全反射させることにより、Y軸方向(長尺方向)に関しては入射された方向へと光を反射させる。すなわち、プリズム面アレイ46は、各プリズム46aに進行した光を2回全反射することにより、Y軸方向に関しては(α軸方向からY−β平面に投影した状態では)、入射する角度と同じ角度で出射させる所謂再帰反射光学系とされている。そして、プリズム面アレイ46は、各プリズム46aが伸びる方向に関しては(Y軸方向からX−Z平面(α−β平面)に投影した状態では)、β軸方向に関して線対称となるように、進行する光を反射させる。このため、プリズム面アレイ46は、各プリズム46aが並列されたY軸方向(長尺方向)については正立結像させるとともに、その並列方向に直交するα軸方向については倒立結像させる。
この結像光学素子32では、物体面上のある1点から出射された光を入射側レンズアレイ44の複数のレンズ面44aを経て入射させ、プリズム面アレイ46で反射した後に出射側レンズアレイ45の複数のレンズ面45aを経て出射させる。すなわち、結像光学素子32は、基板31の各OLED35から発光された光束を入射側レンズアレイ44に入射させ、次にプリズム面アレイ46で再帰反射させ、出射側レンズアレイ45から出射させて、感光体面上に結像する。換言すると、結像光学素子32では、入射面側のある点から発せられた光線を、入射側レンズアレイ44、プリズム面アレイ46、出射側レンズアレイ45の順で通過させる構成となっている。これにより、結像光学素子32は、物体面上のある1点からでた光を、像面となる被照射面上で略1点に結像させることができる。この結像光学素子32では、明るい結像が可能とされている。これは、プリズム面アレイ46が、Y軸方向(長尺方向)に関しては再帰反射光学系とされていることと、全反射を利用するものであることと、による。
結像光学素子32は、実施例1では、入射面41の入射側レンズアレイ44と、出射面42の出射側レンズアレイ45と、反射面43のプリズム面アレイ46と、を1つの素子に集積化して、樹脂成形により形成している。このため、結像光学素子32では、上述した機能を満たすべく非球面等の複雑なレンズ形状とする必要のある入射側レンズアレイ44および出射側レンズアレイ45を安価にかつ適切に形成することができる。また、結像光学素子32では、簡易にかつ適切に、上述したようなY軸方向(長尺方向)に長尺な構成とすることができる。この結像光学素子32は、上述したように極めて狭い幅で設けられた各OLED35(各OELAチップ34)に対応して、入射側レンズアレイ44および出射側レンズアレイ45が設けられているナローピッチレンズアレイ(NPLA)とされている。
本願発明に係る実施例1の結像光学素子32では、入射面41(入射側レンズアレイ44)の下方に保持部47が設けられている。この保持部47は、結像光学素子32において互いに傾斜された入射面41と反射面43とが近接された箇所からZ軸方向負側に突出された板形状を呈し、Y軸方向(長尺方向)で見て結像光学素子32の全長に渡って設けられている。保持部47では、X軸方向正側の面が矯正平面48とされ、その矯正平面48に矯正突起49が設けられている。
この矯正平面48は、結像光学素子32が全く撓みの生じていない状態となると、Y−Z平面に沿う平坦な面となるように形成されている。すなわち、矯正平面48は、入射面41と平行な平面とされている。矯正平面48は、結像光学素子32における入射側レンズアレイ44(入射面41)に生じ得るY軸方向(長尺方向)の撓み、すなわち結像光学素子32におけるX軸方向の変位を発生させる撓みを矯正するために設けられている。この矯正平面48は、後述するように、矯正部材51の基準平面52(図8等参照)に押し当てられて平面度が矯正されることにより、入射側レンズアレイ44(入射面41)の撓みを矯正する。
矯正突起49は、矯正平面48から突出されて形成されており、結像光学素子32が全く撓みの生じていない状態となると当該矯正平面48からX軸方向正側に突出するものとされている。この矯正突起49は、実施例1では、矯正平面48から突出する円錐形状を呈する。矯正突起49は、実施例1では、結像光学素子32が全く撓みの生じていない状態において、Z軸方向で見て互いに等しい位置であり、かつY軸方向で見て互いに異なる3つの位置に、設けられている(図6等参照)。矯正突起49では、Y軸方向(長尺方向)で見て中央に位置するもの(個別に述べる際には矯正突起49Aとする)が後述する基準穴53A(図9(b)参照)に対応さてれている。また、矯正突起49では、Y軸方向(長尺方向)で見て両端に位置するもの(個別に述べる際には矯正突起49Bとする)が後述する各基準穴53B(図9(b)参照)に対応さてれている。この各矯正突起49は、後述するように、矯正部材51において対応された基準穴53(図9(b)参照)に挿入されて位置決めされることにより、出射側レンズアレイ45(出射面42)の撓みを矯正する。各矯正突起49は、各基準穴53との協働により、結像光学素子32における出射側レンズアレイ45(出射面42)に生じ得るY軸方向(長尺方向)の撓み、すなわち結像光学素子32におけるZ軸方向の変位を発生させる撓みを矯正する。また、各矯正突起49は、各基準穴53との協働により、結像光学素子32のY軸方向(長尺方向)への変位(位置ずれ)が生じることを防止する。
結像光学素子32では、出射面42(出射側レンズアレイ45)の上方にカット部50が設けられている。このカット部50は、結像光学素子32において互いに傾斜された出射面42と反射面43とが近接された箇所からZ軸方向正側に突出されており、Y軸方向(長尺方向)で見て結像光学素子32の全長に渡って設けられている。カット部50は、結像光学素子32を樹脂成形により形成する際に形成される突起部を、ハウジング33(プリントヘッド30)の大きさ寸法、特にX軸方向での大きさ寸法(幅寸法)を小さくする観点から大きさ寸法および形状が設定されている。これは、結像光学素子32がハウジング33の内方に収容されることによる。
その結像光学素子32では、設けられた矯正平面48および各矯正突起49が、矯正部材51と協働することにより、真直度が矯正される(図8等参照)。その矯正部材51は、図8に示すように、矯正平面48が押し当てられることで当該矯正平面48を倣わせる基準平面52と、対応する矯正突起49を受け入れることで各矯正突起49の位置を決定する基準穴53と、を規定する。矯正部材51は、実施例1では、図9(a)に示すように、金属材料から為る長尺な板状部材が折り曲げられて形成されており、上述した基準平面52および基準穴53に加えて、加圧部54と固定突起部55とが設けられている。この矯正部材51は、結像光学素子32よりも、剛性(ヤング率と断面二次モーメントの積)が高いものとされている。
その基準平面52は、結像光学素子32の矯正平面48を全面に渡って宛がうことのできる大きさ寸法の平坦な面とされており、その矯正平面48よりも高い平面度(高い精度で平坦な面)に設定されている。すなわち、基準平面52は、矯正部材51を形成すべく適宜折り曲げられた金属材料から為る長尺な板状部材により、連続する単一の平面として形成されている。基準平面52は、後述するように矯正部材51がハウジング33に適切に取り付けられると(図2参照)、Y−Z平面に沿うものとされている。この基準平面52は、Y軸方向(長尺方向)で見た平面度(Y−Z平面(入射面41)に対する平面度)を、少なくとも30[μm]以下に設定しており、より好適には10[μm]以下に設定する。基準平面52は、実施例1では、Y軸方向(長尺方向)で見た平面度を10[μm]以下に仕上げている。
基準穴53は、図9(b)に示すように、基準平面52を貫通して形成されており、その基準平面52に直交する軸線53xを有するものとされている。その基準穴53は、実施例1では、結像光学素子32に設けられた3つの矯正突起49に対応して3箇所に設けられている。このため、各基準穴53は、Z軸方向で見て互いに等しい位置であり、かつY軸方向で見て互いに異なる3つの位置に、設けられている。この各基準穴53は、対応する矯正突起49の周面(円錐面)に接触しつつ、当該矯正突起49を受け入れることが可能な大きさ寸法とされている(図8参照)。換言すると、各基準穴53は、円錐形状とされた矯正突起49を完全には受け入れることのできない内径寸法とされており、挿入された矯正突起49の周面(円錐面)に接触することで、その矯正突起49の位置を決定することが可能とされている。基準穴53は、実施例1では、Y軸方向(長尺方向)で見て中央に位置するもの(個別に述べる際には基準穴53Aとする)が、Y−Z平面上で見て円形状とされている。この基準穴53Aは、対応する矯正突起49の周面(円錐面)と全周に渡って接触しつつ、その矯正突起49を受け入れるものとされている。また、基準穴53は、実施例1では、Y軸方向(長尺方向)で見て両端に位置するもの(個別に述べる際には基準穴53Bとする)が、Y−Z平面上で見てY軸方向に長尺な長穴とされている。この2つの基準穴53Bは、対応する矯正突起49の周面(円錐面)とZ軸方向で接触しつつ、その矯正突起49をY軸方向に移動可能に受け入れるものとされている。
この各基準穴53は、軸線53xの真直度を、少なくとも30[μm]以下に設定しており、より好適には10[μm]以下に設定する。各基準穴53は、実施例1では、軸線53xの真直度を10[μm]以下に仕上げている。また、各基準穴53は、それぞれの軸線53x上での中心位置を結ぶ直線53yの、Y軸方向(出射面42)に対する平行度を、少なくとも30[μm]以下に設定しており、より好適には10[μm]以下に設定する。各基準穴53は、実施例1では、直線53yのY軸方向に対する平行度が10[μm]以下に仕上げられている。
加圧部54は、図9(a)に示すように、矯正部材51を形成する金属材料から為る長尺な板状部材のZ軸方向負側の端部がX軸方向負側へとU字形状に折り曲げられて形成されている。この加圧部54は、結像光学素子32の保持部47と、Y軸方向(長尺方向)で見た全長に渡ってX軸方向で対向することのできる長さ寸法とされている。加圧部54は、所定の間隔を置きつつ基準平面52とX軸方向で対向されており、その基準平面52との間に結像光学素子32の保持部47を受け入れることが可能とされている(図8等参照)。加圧部54は、基準平面52に矯正平面48が宛がわせつつ受け入れた保持部47に、基準平面52へと押し付けるための押付力を付与することが可能とされている(図8等参照)。
固定突起部55は、矯正部材51を形成する金属材料から為る長尺な板状部材のZ軸方向負側の端部を部分的に切り欠くことにより、Z軸方向負側へと突出されて形成されている。このため、加圧部54では、U字形状に折り曲げられた基端部に、固定突起部55として切り欠かれた抜き穴56が形成されている。固定突起部55は、実施例1では、Y軸方向(長尺方向)で間隔をおいて2箇所に形成されている。この各固定突起部55は、矯正部材51すなわち後述するようにその矯正部材51に支持される結像光学素子32を、ハウジング33へと取り付けるために設けられている。各固定突起部55は、実施例1では、後述するハウジング33の矯正部材取付穴33bに挿入した状態において、その矯正部材取付穴33bからZ軸方向負側へと突出することが可能な長さ寸法とされている。
そのハウジング33は、図2に示すように、直方体の箱状を呈し、後述するように矯正部材51に支持された結像光学素子32を収容可能な大きさ寸法とされている。ハウジング33には、X軸方向負側の壁部に、基板31を取り付けるための基板取付開口部33aが設けられている。その基板取付開口部33aは、後述するように矯正部材51に支持された結像光学素子32を収容した状態において、その入射面41(入射側レンズアレイ44)とX軸方向で対向する位置関係とされている。基板取付開口部33aは、ハウジング33の外方から固定された基板31に設けられた各OLED35から出射される光を、ハウジング33の内方へ向けて進行させることを可能とする。
また、ハウジング33には、Z軸方向負側の壁部に、矯正部材51をハウジング33に取り付けるべく各固定突起部55の固定のための矯正部材取付穴33bが設けられている。その矯正部材取付穴33bは、矯正部材51に設けられた各固定突起部55を受け入れることが可能な大きさ寸法とされている。矯正部材取付穴33bは、実施例1では、矯正部材51において固定突起部55が2箇所に設けられていることから、明確な図示は略すが各固定突起部55に対応して2箇所に設けられている。
さらに、ハウジング33には、Z軸方向正側の壁部に、結像光学素子32から出射される光のハウジング33の外方への進行を可能とすべく出射窓33cが設けられている。その出射窓33cは、後述するように矯正部材51に支持された結像光学素子32を収容した状態において、その出射面42(出射側レンズアレイ45)とZ軸方向で対向する位置関係とされている。出射窓33cには、防塵ガラス38が設けられている。その防塵ガラス38は、結像光学素子32から出射される光、すなわち基板31に設けられた各OLED35から出射される光の透過を許す材料から形成されており、出射窓33cを密閉して設けられている。
次に、このプリントヘッド30の組み付け方法の一例について説明する。先ず、図8等に示すように、結像光学素子32を矯正部材51に支持させて、結像光学素子32と矯正部材51とを一体化させる。すなわち、結像光学素子32の保持部47を、矯正部材51における基準平面52と加圧部54との間に挿入する。このとき、保持部47の3つの矯正突起49を、矯正部材51の基準平面52に設けられた3つの基準穴53のうちの対応するものにそれぞれ挿入させつつ、保持部47の矯正平面48を、矯正部材51の基準平面52に宛がう。すると、保持部47は、加圧部54によりY軸方向(長尺方向)で見た全長に渡ってX軸方向正側へと押されて、Y−Z平面と平行とされた基準平面52に押し当てられつつ矯正部材51に保持される。これにより、結像光学素子32は、矯正部材51と一体化される。
この結像光学素子32は、X軸方向正側すなわち入射面41に直交する入射直交方向で矯正部材51(その基準平面52)に押し当てられる。すなわち、結像光学素子32は、加圧部54からの押付力により矯正部材51の基準平面52が矯正平面48に押し当てられて当該矯正部材51と結合される。これにより、保持部47の矯正平面48は、矯正部材51の基準平面52に倣うこととなり、当該基準平面52と略等しい平面度とされる。このため、保持部47延いてはその保持部47が一体的に設けられた結像光学素子32が、基準平面52と略等しい平面度とされることとなる。そして、矯正平面48は、入射面41と平行な平面とされていることから、結像光学素子32を基準平面52と略等しい平面度とすることにより、入射面41すなわちそこに設けられた入射側レンズアレイ44のY軸方向(長尺方向)の撓みを矯正することができる。このため、結像光学素子32は、矯正平面48が基準平面52に宛がわれつつ加圧部54により矯正部材51に押し当てられることにより、その矯正部材51に対してX軸方向(入射直交方向)へと変位することが防止される。
また、保持部47の3つの矯正突起49は、保持部47が加圧部54によりX軸方向正側へと押されることで、挿入された矯正部材51の基準穴53に押し込まれる。その各基準穴53は、対応する矯正突起49の周面(円錐面)に接触しつつ当該矯正突起49を受け入れることが可能な大きさ寸法とされている。そして、各基準穴53は、いずれも対応する矯正突起49の周面(円錐面)とZ軸方向で接触するものとされている。このため、各基準穴53では、対応する矯正突起49の周面(円錐面)が内周面(開口端部)に押し当てられることにより、その対応する矯正突起49のZ軸方向で見た位置を規定しつつ当該矯正突起49がZ軸方向へと変位することを防止する。これにより、結像光学素子32は、Z軸方向すなわち出射面42に直交する出射直交方向で、各矯正突起49を介して矯正部材51(その基準穴53)に押し当てられる。すなわち、結像光学素子32は、加圧部54からの押付力により矯正部材51の各基準穴53に各矯正突起49が圧入されて当該矯正部材51と結合される。このため、各矯正突起49の軸線は、Z軸方向(出射直交方向)で見て、対応する基準穴53の軸線53xに一致される。その各基準穴53は、Y−Z平面と平行とされた基準平面52上において、互いの軸線53x上での中心位置を結ぶ直線53yのY軸方向に対する平行度が10[μm]以下となるように仕上げられている。このことから、3つの矯正突起49(その軸線)は、対応する基準穴53でZ軸方向での位置が規定されることにより、極めて高い精度でY軸方向に並列される、すなわちZ軸方向への変位が無い状態に矯正されることとなる。これにより、その各矯正突起49が設けられた保持部47が、極めて高い精度でY軸方向に真直され、その保持部47が一体的に設けられた結像光学素子32が、極めて高い精度でY軸方向に真直されてZ軸方向への変位が無い状態とされることとなる。このことから、Z軸方向の変位を発生させる出射面42の撓み、すなわちそこに設けられた出射側レンズアレイ45のY軸方向(長尺方向)の撓みを矯正することができる。このため、矯正突起49は、少なくとも2つ設けられていれば上記した効果を得ることができるので、設ける個数は実施例1の構成に限定されるものではなく適宜設定すればよい。
さらに、実施例1では、保持部47の3つの基準穴53のうちの中央に位置する基準穴53Aのみが円形状とされて、対応する中央の矯正突起49Aの周面(円錐面)と全周に渡って接触しつつ、その矯正突起49Aを受け入れるものとされている(図9(b)参照)。このため、基準穴53Aでは、矯正突起49Aの周面(円錐面)が内周面(開口端部)に押し当てられることにより、その矯正突起49AのY軸方向で見た位置を規定しつつ当該矯正突起49AがY軸方向へと変位することを防止する。これにより、結像光学素子32は、Y軸方向すなわち自身の長尺方向で、矯正突起49Aを介して矯正部材51(その基準穴53A)に押し当てられる。このため、矯正突起49Aの軸線は、Y軸方向(長尺方向)で見て、対応する基準穴53Aの軸線53xに一致される。このことから、中央の矯正突起49A(その軸線)は、対応する基準穴53AによりY軸方向(長尺方向)での位置が規定されることで、矯正部材51に対してY軸方向(長尺方向)へと変位することが防止される。これにより、結像光学素子32は、矯正突起49Aが対応する基準穴53Aに押し込まれて矯正部材51に押し当てられることにより、その矯正部材51に対してY−Z平面に沿う方向へと変位することが防止される。
加えて、実施例1では、保持部47の3つの基準穴53のうちの両端に位置する2つの基準穴53BがY軸方向に長尺な長穴とされて、対応する矯正突起49BをY軸方向に移動可能に受け入れるものとされている(図9(b)参照)。このため、各基準穴53Bでは、対応する矯正突起49Bの周面(円錐面)が内周面(開口端部)に押し当てられることにより、その矯正突起49BのZ軸方向で見た位置を規定しつつ当該矯正突起49BがY軸方向へと変位することを許容する。このため、両端の矯正突起49Bの軸線は、Z軸方向(出射直交方向)で見て、対応する基準穴53Bの軸線53xに一致されてZ軸方向(出射直交方向)での位置が規定された状態であっても、矯正部材51に対してY軸方向(長尺方向)へと変位することができる。これにより、結像光学素子32は、各矯正突起49が各基準穴53に押し込まれて矯正部材51に押し当てられることで矯正部材51に対する変位が防止されていても、基準穴53Aの位置を基準としてY軸方向(長尺方向)へと膨張もしくは収縮することができる。
次に、このように一体化させた結像光学素子32と矯正部材51とを、ハウジング33(図2参照)の内方に収容する。このハウジング33の内方への収容は、基板取付開口部33aを通して行うものであってもよく、他の開口部を通して行うものであってもよい。なお、他の開口部を利用する場合には、結像光学素子32と矯正部材51とを収容させた後に当該他の開口部を後述する接着剤57と同様の接着剤により密閉することが望ましい。そして、矯正部材51の各固定突起部55を、ハウジング33の内方から対応する矯正部材取付穴33bに挿入して、その矯正部材取付穴33bからZ軸方向負側へと突出させる。その後、その矯正部材取付穴33bからZ軸方向負側へと突出された各固定突起部55を、図示を略す治具で支持する。
そして、ハウジング33の基板取付開口部33aに、各OLED35(各OELAチップ34)が設けられた面をX軸方向正側に位置させつつ基板31を取り付ける。基板31は、実施例1では、複数のネジ部材39をハウジング33(そのX軸方向負側の壁部)に締結することにより、ハウジング33(その壁部)に取り付けられる。なお、この基板31と基板取付開口部33aとの間に隙間が生じるようであれば、後述する接着剤57と同様の接着剤により密閉することが望ましい。
その後、図示を略す治具で各固定突起部55を介して支持した矯正部材51のハウジング33内での位置および姿勢を調整することにより、結像光学素子32の入射側レンズアレイ44(入射面41)と基板31の各OLED35とを適切な位置関係とする。この調整は、例えば、後述する実施例4、5のようにビームプロファイルを取得し、そのビームプロファイルを所望の状態とするように調整することで行うことができる。また、この調整は、例えば、結像光学素子32の入射側レンズアレイ44(入射面41)と基板31の各OLED35との間隔を設計値とすることにより行うことができる。その状態において、各基板取付開口部33aに接着剤57を流し込むことにより、各基板取付開口部33a内で各固定突起部55を固定する。すなわち、接着剤57は、各基板取付開口部33aにおいて上記した位置とされた固定突起部55を固定するとともに、その各基板取付開口部33aと各固定突起部55との間を塞ぐ。
次に、矯正部材51と一体化させることにより結像光学素子32の撓みが矯正されることの作用を、実際に形成した結像光学素子32を用いた測定結果である図10のグラフを用いて説明する。その図10は、結像光学素子32の両端を基準位置とした結像光学素子32のY軸方向(長尺方向)の撓みを示すグラフであり、縦軸を基準位置(両端位置)に対する撓み量とし、横軸をY軸方向(長尺方向)での位置とする。なお、図10では、(a)のグラフが結像光学素子32におけるX軸方向への撓み量、すなわち基準位置(両端位置)に対するX軸方向への変位量を示している。また、(b)のグラフが結像光学素子32におけるZ軸方向への撓み量、すなわち基準位置(両端位置)に対するZ軸方向への変位量を示している。そして、図10では、矯正部材51と一体化させて撓みを矯正した結像光学素子32と、比較対象として矯正部材51と一体化させない単独の結像光学素子32と、温度環境を変化させた下での矯正部材51と一体化させた結像光学素子32と、を示している。なお、その温度環境は、常温を23度として前者の2つを測定するとともに、プリントヘッド30が設けられる箇所において上昇することが想定される50度まで変化させて後者の1つを測定している。これは、プリントヘッド30では、ドライバIC36(図4参照)における発熱や、近傍に配置される現像器13(図1参照)における発熱等の影響により、設置環境の温度が上昇し得ることによる。
図10に示すように、単独の結像光学素子32では大きな撓みが生じている。これは、結像光学素子32では、細長い構成とされることから、剛性を高くすることが困難であり、特に成形後にY軸方向(長尺方向)の撓みが生じ易いことよる。その成形後の撓みは、温度環境の変化等により生じることが考えられる。このため、結像光学素子32では、温度環境等の変化によって、Y軸方向(長尺方向)の撓みによる変位量(撓み量)が変化する。このように、単独の結像光学素子32では、初期(成形時)の撓み量と、温度環境等の変化による撓み量と、により大きな撓みが生じている。
また、結像光学素子32では、図10(a)と図10(b)とを比較して明らかなように、X軸方向の変位(撓み量)が、Z軸方向の変位(撓み量)よりも大きなものとなっている。これは、結像光学素子32では、入射側レンズアレイ44が設けられた入射面41と、出射側レンズアレイ45が設けられた出射面42と、が直交されていることによる。すなわち、結像光学素子32でのY軸方向(長尺方向)の撓みは、入射面41の入射側レンズアレイ44や出射面42の出射側レンズアレイ45において生じる撓みの影響が大きいものと考えられる。その入射側レンズアレイ44のY軸方向(長尺方向)の撓みは、入射面41におけるX軸方向の変位を発生させ、出射側レンズアレイ45のY軸方向(長尺方向)の撓みは、出射面42におけるZ軸方向の変位を発生させる。そして、入射面41(入射側レンズアレイ44)と出射面42(出射側レンズアレイ45)とでは、中心線Lc(図5参照)に関して線対称な形状とされていないことや、成形条件(例えば、成形温度や徐冷時間等)が互いに異なること等により変位(撓み量)が異なる。このように中心線Lcに関して線対称な形状とされていない例としては、入射面41の入射側レンズアレイ44と出射面42の出射側レンズアレイ45とが非対称な形状の結像素子アレイとされていることや、他の構成の形状が異なることがあげられる。実施例1の結像光学素子32では、中心線Lcを境とする一方に保持部47が設けられ、かつ他方にカット部50が設けられていることから、その中心線Lcに関して線対称な形状とされていない。これらのことから、結像光学素子32では、入射面41におけるX軸方向の変位(撓み量(図10(a)参照))が、出射面42におけるZ軸方向の変位(撓み量(図10(b)参照))よりも大きなものとなっている。
これに対して、矯正部材51と一体化させた結像光学素子32では、図10(a)に示すように、入射面41におけるX軸方向への変位が殆ど生じていない。このため、矯正部材51と一体化させた結像光学素子32では、単独の結像光学素子32において入射側レンズアレイ44で生じた撓みを適切に矯正できていることがわかる。同様に、矯正部材51と一体化させた結像光学素子32では、図10(b)に示すように、出射面42におけるZ軸方向への変位が殆ど生じていない。このため、矯正部材51と一体化させた結像光学素子32では、単独の結像光学素子32において出射側レンズアレイ45で生じた撓みを適切に矯正できていることがわかる。よって、結像光学素子32では、Y軸方向(長尺方向)の撓みによる変位量(撓み量)が入射面41と出射面42とで異なる場合であっても、矯正部材51と一体化されることにより、Y軸方向(長尺方向)の撓みが適切に矯正されている。
さらに、矯正部材51と一体化させた結像光学素子32では、図10(a)と図10(b)とに示すように、温度環境を変化させた場合であっても、Y軸方向(長尺方向)の撓みが適切に矯正されている。ここで、実施例1のプリントヘッド30では、光源としての各OLED35と結像光学素子32の入射面41との間隔における変位量を、所望の光学特性(特にビーム径および光利用効率)を確保する観点から50[μm]以内に収めるものとしている。そして、実施例1のプリントヘッド30では、各OLED35と入射面41との間隔の変位量の公差(50[μm])のうち、結像光学素子32の撓み量への配分(公差配分)を30[μm]としている。そして、矯正部材51と一体化させた結像光学素子32では、図10(a)と図10(b)とに示すように、温度環境の変化に拘わらず、入射面41および出射面42における変位量(撓み量)が公差配分として設定した30[μm]以下とされている。この測定結果から、本発明に係る実施例1のプリントヘッド30では、結像光学素子32におけるY軸方向(長尺方向)の撓みを適切に矯正できていることがわかる。
このように、本願発明に係るプリントヘッドの実施例1のプリントヘッド30では、結像光学素子32(その保持部47)を、入射直交方向(X軸方向)で矯正部材51に押し当てるとともに、出射直交方向(Z軸方向)で矯正部材51に押し当てている。その結像光学素子32では、入射直交方向で矯正部材51に押し当てられることにより、入射直交方向と直交する入射面41におけるY軸方向(長尺方向)の撓みが矯正される。また、結像光学素子32では、出射直交方向で矯正部材51に押し当てられることにより、出射直交方向と直交する出射面42におけるY軸方向(長尺方向)の撓みが矯正される。このように、結像光学素子32では、入射面41と出射面42とが直交されていることに対して、入射直交方向および出射直交方向で矯正部材51に押し当てることから、入射面41の撓みと出射面42の撓みとのそれぞれを矯正することができる。このため、プリントヘッド30では、互いに直交する入射面41(入射側レンズアレイ44)と出射面42(出射側レンズアレイ45)との双方の撓みを適切に矯正することができ、結像光学素子32の真直度を適切に矯正することができる。
また、プリントヘッド30では、入射直交方向(X軸方向)と出射直交方向(Z軸方向)とで矯正部材51に押し当てることで、樹脂材料からなり長尺とされた結像光学素子32の長尺方向(Y軸方向)の撓みを矯正することができる。このため、プリントヘッド30では、結像光学素子32における光学性能を設計通りに発揮させることができるので、ビームプロファイル等の光学特性の劣化を防止することができる。
さらに、プリントヘッド30では、結像光学素子32よりも高い剛性とされた矯正部材51の基準平面52に結像光学素子32の矯正平面48を宛がいつつ、その結像光学素子32を入射直交方向(X軸方向)で矯正部材51に押し当てる。このため、結像光学素子32では、より高い剛性とされた矯正部材51の基準平面52に矯正平面48が押し当てられることで、矯正平面48が基準平面52に倣うこととなり、当該基準平面52と略等しい平面度とされる。その基準平面52は、入射面41と平行とされた平面、すなわち設定上において入射面41が存在されるY−Z平面と平行とされた平面とされている。また、矯正平面48は、結像光学素子32において入射面41と平行とされている。このため、結像光学素子32では、基準平面52と略等しい平面度とすることにより、入射面41すなわちそこに設けられた入射側レンズアレイ44の長尺方向(Y軸方向)の撓みが適切に矯正される。これにより、プリントヘッド30では、簡易な構成で結像光学素子32の真直度をより適切に矯正することができる。
プリントヘッド30では、結像光学素子32の矯正平面48に設けた各矯正突起49を、矯正部材51の基準平面52に設けた対応する基準穴53に挿入した状態で、その結像光学素子32を入射直交方向(X軸方向)で矯正部材51に押し当てる。すると、結像光学素子32では、各矯正突起49が挿入した基準穴53に押し込まれて、その各矯正突起49の周面(円錐面)が対応する基準穴53の内周面(開口端部)に押し当てられる。すなわち、結像光学素子32は、Z軸方向すなわち出射面42に直交する出射直交方向で、各矯正突起49を介して矯正部材51(その基準穴53)に押し当てられる。その各矯正突起49は、入射面41と平行とされた基準平面52へ向けて入射直交方向(X軸方向)に突出されていることから、周面(円錐面)を基準穴53の内周面(開口端部)に接触させることにより、入射直交方向と直交する方向への移動が制限される。このため、結像光学素子32では、矯正部材51における各基準穴53の位置関係に応じて、各矯正突起49の出射直交方向での位置が規定されるので、各基準穴53の出射直交方向での位置関係に応じた平面度とされる。このことから、結像光学素子32では、出射面42すなわちそこに設けられた出射側レンズアレイ45の長尺方向(Y軸方向)の撓みが矯正される。これにより、プリントヘッド30では、出射面42に直交する出射直交方向(Z軸方向)で各矯正突起49を介して矯正部材51(その基準穴53)に押し当てる簡易な構成で、結像光学素子32の真直度をより適切に矯正することができる。
プリントヘッド30では、矯正部材51のY−Z平面(入射面41)と平行とされた基準平面52において、3つの基準穴53が互いの中心位置が結像光学素子32の長尺方向(Y軸方向)と平行とされて設けられている。このため、結像光学素子32に設けられた3つの矯正突起49(その軸線)は、結像光学素子32よりも高い剛性とされた矯正部材51の対応する基準穴53により出射直交方向(Z軸方向)での位置が規定される。このことから、結像光学素子32では、より高い剛性とされた矯正部材51の基準平面52の3つの基準穴53が並べられた方向に、各矯正突起49の位置が倣うこととなり、各基準穴53が並ぶ精度と略等しい平面度とされる。このため、結像光学素子32では、出射面42すなわちそこに設けられた出射側レンズアレイ45の長尺方向(Y軸方向)の撓みがより適切に矯正される。これにより、プリントヘッド30では、出射面42に直交する出射直交方向(Z軸方向)で各矯正突起49を介して矯正部材51(その基準穴53)に押し当てる簡易な構成で、結像光学素子32の真直度をより適切に矯正することができる。
プリントヘッド30では、矯正部材51に設けた加圧部54により、結像光学素子32において矯正平面48を設けた保持部47へと、入射直交方向への押付力を付与する。このため、プリントヘッド30では、簡易な構成で、結像光学素子32(その保持部47)を、入射直交方向(X軸方向)で矯正部材51に押し当てるとともに、出射直交方向(Z軸方向)で矯正部材51に押し当てることができる。このため、プリントヘッド30では、簡易な構成でかつ小型化およびコスト削減を図ることを容易なものとしつつ、結像光学素子32の真直度をより適切に矯正することができる。
プリントヘッド30では、3つの基準穴53のうちの中央の基準穴53Aを、円形状として、対応する矯正突起49Aの周面(円錐面)と全周に渡って接触しつつ当該矯正突起49Aを受け入れるものとしている。また、プリントヘッド30では、3つの基準穴53のうちの両端の基準穴53Bを、Y軸方向に長尺な長穴として、対応する矯正突起49Bの周面(円錐面)とZ軸方向で接触しつつ、その矯正突起49BをY軸方向に移動可能に受け入れるものとしている。このため、結像光学素子32では、基準穴53Aと矯正突起49Aとの結合により矯正部材51に対してY−Z平面に沿う方向へと変位することが防止され、各基準穴53Bと各矯正突起49Bとの結合ではY軸方向(長尺方向)への相対的な移動を可能としている。これにより、結像光学素子32は、基準穴53Aの位置を基準としてY軸方向(長尺方向)へと熱膨張(熱収縮)することができる、すなわち結合された矯正部材51により熱膨張(熱収縮)することが妨げられることが防止されている。よって、結像光学素子32では、環境温度の変化により熱膨張(熱収縮)するような状況であっても、金属材料から為る矯正部材51との熱膨張差による熱応力に起因して撓みが生じることを防止することができる。このことから、プリントヘッド30では、環境温度の変化に拘わらず、結像光学素子32のY軸方向(長尺方向)の撓みを矯正した状態を維持することができ、結像光学素子32の真直度をより適切に矯正することができる。よって、プリントヘッド30では、環境温度の変化に拘わらず、結像光学素子32における光学性能を設計通りに発揮させることができ、ビームプロファイル等の光学特性の劣化を防止することができる。
プリントヘッド30では、結像光学素子32の保持部47の矯正平面48を矯正部材51の基準平面52に宛がった状態で、加圧部54により入射直交方向で基準平面52へ向けて保持部47を押し当てる。このため、プリントヘッド30では、簡易な構成で、結像光学素子32を入射直交方向(X軸方向)および出射直交方向(Z軸方向)で矯正部材51に押し当てつつ、保持部47を介して結像光学素子32を保持することができる。このことから、プリントヘッド30では、矯正部材51をハウジング33に固定することにより長尺方向(Y軸方向)の撓みを矯正した状態の結像光学素子32を、ハウジング33内に設けることができる。このため、プリントヘッド30では、簡易な構成でかつ小型化およびコスト削減を図ることを容易なものとしつつ、結像光学素子32の真直度をより適切に矯正することができる。
プリントヘッド30では、結像光学素子32よりも高い剛性とされた矯正部材51により、結像光学素子32の真直度を矯正している。このため、プリントヘッド30では、簡易な構成でかつ小型化およびコスト削減を図ることを容易なものとしつつ、結像光学素子32の真直度を安定して適切に矯正することができる。
プリントヘッド30では、矯正部材51(その各固定突起部55)を、ハウジング33(その基板取付開口部33a)へと接着剤により固定している。このため、プリントヘッド30では、矯正部材51が保持する結像光学素子32の入射面41と基板31の各OLED35との位置関係を調整して接着固定することで、それらを容易に適切な位置関係とすることができかつその状態を維持することができる。これにより、プリントヘッド30では、簡易な構成および組み付けで、結像光学素子32における光学性能を設計通りに発揮させることができ、ビームプロファイル等の光学特性の劣化を防止することができる。
プリントヘッド30では、ハウジング33において、結像光学素子32から出射される光を出射させる出射窓33cが防塵ガラス38により密閉されている。このため、プリントヘッド30では、ハウジング33の基板取付開口部33a内における矯正部材51の各固定突起部55との間を接着剤57で密閉することにより、各OELAチップ34(その発光部としての各OLED35)に塵埃等が付着することを防止することができる。これにより、プリントヘッド30では、塵埃等の付着に起因して、ビームプロファイル等の光学特性が劣化することを防止することができる。
プリントヘッド30では、矯正部材51の基準平面52が、その矯正部材51を形成すべく適宜折り曲げられた金属材料から為る長尺な板状部材により、連続する単一の平面として形成されている。このため、プリントヘッド30では、基準平面52を結像光学素子32の矯正平面48に全面に渡って宛がうことのできる大きさ寸法の平坦な面とすることができ、結像光学素子32の撓みをその長尺方向(Y軸方向)の全長に渡って矯正することができる。これにより、プリントヘッド30では、結像光学素子32の真直度をより適切に矯正することができる。
プリントヘッド30を備える画像形成装置10では、結像光学素子32の真直度がより適切に矯正されていることから、ビームプロファイル等の光学特性が劣化することが防止されているので、良好な画像を安定して出力することができる。
したがって、本発明に係る実施例1のプリントヘッド30では、入射面41と出射面42とが傾斜を為す結像光学素子32の真直度を適切に矯正することができる。
次に、本発明の実施例2のプリントヘッド302およびそれを備える実施例2の画像形成装置10について、図11および図12を用いて説明する。この実施例2のプリントヘッド302は、矯正部材512の構成が、実施例1の矯正部材51とは異なる例である。この実施例2のプリントヘッド302は、基本的な概念および構成は上記した実施例1のプリントヘッド30と同様であることから、等しい概念および構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。同様に、実施例2の画像形成装置10は、プリントヘッド30に替えてプリントヘッド302を用いることを除くと、実施例1の画像形成装置10と同様であることから、等しい概念および構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
実施例2のプリントヘッド302では、図11および図12に示すように、結像光学素子32が矯正部材512と一体化されて、ハウジング33に取り付けられている。その矯正部材512では、矯正部材512を形成する金属材料から為る長尺な板状部材のZ軸方向正側の端部がX軸方向負側へと折り返されて、互いに密着するように重ねられている。矯正部材512では、その重ねられた箇所におけるX軸方向負側が、基準平面522とされている。この基準平面522は、重ねられた箇所(密着折りされた箇所)に設けられていることを除くと、実施例1の基準平面52(図9(b)参照)と同様である。
また、矯正部材512では、基準平面522を貫通して基準穴532が設けられている。この基準穴532は、基準平面522を貫通すること、すなわち重ねられた箇所(密着折りされた箇所)に設けられていることを除くと、実施例1の基準穴53(図9(b)参照)と同様である。
矯正部材512では、Z軸方向正側の端部がX軸方向負側へと折り返されて互いに密着するように重ねられていることから、全体の剛性が高められている。この矯正部材512は、実施例1の矯正部材51と同様に、結像光学素子32を一体化させることができる。このため、矯正部材512では、重ねられた箇所(密着折りされた箇所)に設けられた基準平面522に、結像光学素子32の保持部47の矯正平面48が押し当てられることで、より適切に矯正平面48を倣わせることができる。これにより、矯正部材512は、矯正平面48が設けられた保持部47、延いてはその保持部47が一体的に設けられた結像光学素子32を、より適切に基準平面522と略等しい平面度とすることができる。
また、矯正部材512では、その基準平面522に設けられた各基準穴532に、結像光学素子32の矯正平面48に設けられた各矯正突起49が挿入されることで、各基準穴532により各矯正突起49の位置を規定することができる。これにより、矯正部材512は、矯正平面48が設けられた保持部47、延いてはその保持部47が一体的に設けられた結像光学素子32を、より適切に各基準穴532の出射直交方向での位置関係に応じた平面度とすることができる。
これらのことから、プリントヘッド302では、互いに直交する入射面41(入射側レンズアレイ44)と出射面42(出射側レンズアレイ45)との双方の撓みを適切に矯正することができ、結像光学素子32の真直度を適切に矯正することができる。
実施例2のプリントヘッド302では、基本的に実施例1のプリントヘッド30と同様の構成であることから、基本的に実施例1と同様の効果を得ることができる。
それに加えて、実施例2のプリントヘッド302では、矯正部材512において、折り返されて密着(密着折り)されることで剛性が高められた箇所に、基準平面522と各基準穴532とが設けられている。このため、プリントヘッド302では、基準平面522に設定された平面度をより適切に維持することができるとともに、各基準穴532に設定された位置関係および真直度をより適切に維持することができる。これにより、プリントヘッド302では、矯正部材512に入射直交方向および出射直交方向で押し当てられることにより、入射面41の撓みと出射面42の撓みとのそれぞれをより適切に矯正することができ、結像光学素子32の真直度を適切に矯正することができる。
したがって、本発明に係る実施例2のプリントヘッド302では、入射面41と出射面42とが傾斜を為す結像光学素子32の真直度を適切に矯正することができる。
次に、本発明の実施例3のプリントヘッド303およびそれを備える実施例3の画像形成装置10について、図13および図14を用いて説明する。この実施例3のプリントヘッド303は、矯正部材513の構成が、実施例1の矯正部材51および実施例2の矯正部材512とは異なる例である。この実施例3のプリントヘッド303は、基本的な概念および構成は上記した実施例1のプリントヘッド30と同様であることから、等しい概念および構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。同様に、実施例3の画像形成装置10は、プリントヘッド30に替えてプリントヘッド303を用いることを除くと、実施例1の画像形成装置10と同様であることから、等しい概念および構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
実施例3のプリントヘッド303では、図13および図14に示すように、結像光学素子32が矯正部材513と一体化されて、ハウジング33に取り付けられている。その矯正部材513では、矯正部材513を形成する金属材料から為る長尺な板状部材において、基準平面523を形成する箇所が部分的にX軸方向負側へと突出されている。すなわち、矯正部材513では、部分的にX軸方向負側へと突出されて肉厚とされた箇所に基準平面523が形成されている。そして、実施例3のプリントヘッド303では、各基準穴533を上記した実施例1の各基準穴53と同様の機能を有するものとすべく、その各基準穴533が基準平面523に設けられている。このため、矯正部材513では、部分的に肉厚とされた箇所が3つ形成され、それらのX軸方向負側が平坦とされて基準平面523を形成している。すなわち、矯正部材513では、結像光学素子32の長尺方向となるY軸方向で見て、断続的に設けられた複数(実施例3では3つ)の平面により、基準平面523が形成されていることとなる。その肉厚とされた箇所、すなわち基準平面523と基準穴533とが形成される箇所は、実施例3では、矯正部材513を形成する金属材料から為る長尺な板状部材に絞り加工を施すことにより形成されている。
各基準平面523は、矯正部材513がハウジング33に適切に取り付けられた状態において(図13参照)、単一のY−Z平面上に位置するものとされている。そして、各基準平面523は、Y軸方向(長尺方向)で見た平面度を、少なくとも30[μm]以下に設定するもの、より好適には10[μm]以下に設定するものとし、実施例3では10[μm]以下に仕上げている。このため、各基準平面523は、部分的に肉厚とされた箇所に形成されることで、Y軸方向で見て断続的に設けられていることを除くと、実施例1の基準平面52(図9(b)参照)と同様である。
また、矯正部材513では、上述したように、対応する基準平面523を貫通して基準穴533が設けられている。この各基準穴533は、対応する基準平面523を貫通すること、すなわち部分的に肉厚とされた箇所に設けられていることを除くと、実施例1の基準穴533(図9(b)参照)と同様である。
矯正部材513では、部分的に肉厚とされた箇所に各基準平面523を形成する構成であることから、X軸方向正側の面の全面に渡って基準平面(52(図9参照)、522(図12参照))を設けることと比較して、所望の平面度を容易に得ることができる。この矯正部材513は、実施例1の矯正部材51と同様に、結像光学素子32を一体化させることができる。このため、矯正部材513では、部分的に肉厚とされた箇所に設けられた各基準平面523に、結像光学素子32の保持部47の矯正平面48が押し当てられることで、各基準平面523(それらが位置されたY−Z平面)に矯正平面48を倣わせることができる。これにより、矯正部材513は、矯正平面48が設けられた保持部47、延いてはその保持部47が一体的に設けられた結像光学素子32を、より適切に各基準平面523と略等しい平面度とすることができる。
また、矯正部材513では、その基準平面523に設けられた各基準穴533に、結像光学素子32の矯正平面48に設けられた各矯正突起49が挿入されることで、各基準穴533により各矯正突起49の位置を規定することができる。これにより、矯正部材513は、矯正平面48が設けられた保持部47、延いてはその保持部47が一体的に設けられた結像光学素子32を、より適切に各基準穴533の出射直交方向での位置関係に応じた平面度とすることができる。
これらのことから、プリントヘッド303では、互いに直交する入射面41(入射側レンズアレイ44)と出射面42(出射側レンズアレイ45)との双方の撓みを適切に矯正することができ、結像光学素子32の真直度を適切に矯正することができる。
実施例3のプリントヘッド303では、基本的に実施例1のプリントヘッド30と同様の構成であることから、基本的に実施例1と同様の効果を得ることができる。
それに加えて、実施例3のプリントヘッド303では、矯正部材513において、部分的にX軸方向負側へと突出されて肉厚とされた箇所に、各基準平面523と各基準穴533とが設けられている。このため、プリントヘッド303では、X軸方向正側の面の全面に渡って基準平面(52(図9参照)、522(図12参照))を設けることと比較して、各基準平面523における平面度を容易に所望のものとすることができる。このため、プリントヘッド303では、各基準平面523の平面度をより適切なものとすることができるとともに、その各基準平面523に設けられた各基準穴533に設定された位置関係および真直度を適切なものとすることができる。これにより、プリントヘッド303では、結像光学素子32を矯正部材513に入射直交方向および出射直交方向で押し当てることで、入射面41の撓みと出射面42の撓みとのそれぞれをより適切に矯正することができ、結像光学素子32の真直度を適切に矯正することができる。
したがって、本発明に係る実施例3のプリントヘッド303では、入射面41と出射面42とが傾斜を為す結像光学素子32の真直度を適切に矯正することができる。
なお、実施例3では、矯正部材513を形成する長尺な板状部材を部分的に突出させて各基準平面523を形成するものとしていたが、実施例2の矯正部材512のように密着折りした箇所から部分的に突出させて形成するものとしてもよい。この場合、実施例2の矯正部材512における全体の剛性を高める効果と、実施例3の矯正部材513における各基準平面523をより高精度な平面度とすることができる効果と、の双方を得ることができる。
次に、本発明の実施例4のプリントヘッド304およびそれを備える実施例4の画像形成装置10について、図15から図21を用いて説明する。この実施例4のプリントヘッド304は、結像光学素子324の構成、第1矯正部材65の構成および結像光学素子324と第1矯正部材65とを一体化させる構成と、組み付ける構成および方法と、が実施例1のプリントヘッド30とは異なる例である。この実施例4のプリントヘッド304は、基本的な概念および構成は上記した実施例1のプリントヘッド30と同様であることから、等しい概念および構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。同様に、実施例4の画像形成装置10は、プリントヘッド30に替えてプリントヘッド304を用いることを除くと、実施例1の画像形成装置10と同様であることから、等しい概念および構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
実施例4のプリントヘッド304では、図15および図16に示すように、結像光学素子324の保持部47に入射矯正平面61が設けられている。その入射矯正平面61は、実施例1の結像光学素子32における矯正平面48(図6等参照)と同様の機能を有するものであり、結像光学素子324が全く撓みの生じていない状態となると、Y−Z平面に沿う平坦な面となるように形成されている。すなわち、入射矯正平面61は、入射面41と平行な平面とされている。入射矯正平面61は、結像光学素子324における入射側レンズアレイ44(入射面41)に生じ得るY軸方向(長尺方向)の撓み、すなわち結像光学素子324におけるX軸方向の変位を発生させる撓みが生じることを防止するために設けられている。この入射矯正平面61は、後述するように第1矯正部材65の入射基準平面66に押し当てられて平面度が矯正されることにより、入射側レンズアレイ44(入射面41)の撓みを矯正する。
また、結像光学素子324では、保持部47のZ軸方向負側の端部に矯正用突起62が設けられている。その矯正用突起62は、入射矯正平面61からX軸方向負側へと突出して設けられており、Y軸方向(長尺方向)で見て結像光学素子324(保持部47)の全長に渡って設けられている。矯正用突起62は、Z軸方向正側の面で出射矯正平面63を規定する。矯正用突起62は、実施例4では、結像光学素子324(その保持部47)と一体的に設けられている。この矯正用突起62は、結像光学素子324が全く撓みの生じていない状態となると、Y軸方向に沿って伸びるものとされている。
出射矯正平面63は、結像光学素子324が全く撓みの生じていない状態となると、X−Y平面に沿う平坦な面となるように形成されている。すなわち、出射矯正平面63は、出射面42と平行な平面とされている。出射矯正平面63は、結像光学素子324における出射側レンズアレイ45(出射面42)に生じ得るY軸方向(長尺方向)の撓み、すなわち結像光学素子324におけるZ軸方向の変位を発生させる撓みが生じることを防止するために設けられている。この出射矯正平面63は、後述するように、第1矯正部材65の出射基準平面67に押し当てられて平面度が矯正されることにより、出射側レンズアレイ45(出射面42)の撓みを矯正する。このことから、出射矯正平面63は、実施例1の結像光学素子32における各矯正突起49(図6等参照)と一部の機能が等しいものとなる。
この結像光学素子324では、図16等に示すように、さらにZ軸方向負側の端部に取付突起64が設けられている。この取付突起64は、後述する素子固定板バネ68を結像光学素子324に取り付けるためのものであり、2つの括れ部64a、64bが設けられている。その各括れ部64a、64bは、取付突起64の突出方向(Z軸方向)で見た複数の位置(図16に示す例では2箇所)において、その取付突起64の外径寸法を部分的に小さくして形成されている。取付突起64は、実施例4では、長尺な直方体形状とされており、単一の素子固定板バネ68に対して4つ設けられている、すなわち4つで1組とされている(図17等参照)。その4つの取付突起64は、保持部47および矯正用突起62のZ軸方向負側の端部からZ軸方向負側へと突出されてX軸方向で対を為し(図16等参照)、それぞれがY軸方向(長尺方向)で所定の間隔を置いて対を為す(図19等参照)。また、実施例4のプリントヘッド304では、後述するように3か所に素子固定板バネ68が設けられることから、その1組の各取付突起64が、結像光学素子324をY軸方向(長尺方向)で見た3か所に設けられている(図17参照)。すなわち、結像光学素子324では、12個の取付突起64が設けられている。
この結像光学素子324に一体化される第1矯正部材65は、図18等に示すように、入射基準平面66と出射基準平面67とを規定する。その入射基準平面66は、入射矯正平面61に押し当てられることで当該入射矯正平面61を倣わせるものである。また、出射基準平面67は、出射矯正平面63に押し当てられることで当該出射矯正平面63を倣わせるものである。第1矯正部材65は、結像光学素子324よりも、剛性(ヤング率と断面二次モーメントの積)が高いものとされており、実施例4では、ガラス材料から形成された直方体形状の部材とされている。その第1矯正部材65では、後述するように結像光学素子324に適切に宛がわれた状態において、X軸方向正側の外側面で入射基準平面66を形成し、Z軸方向負側の外側面で出射基準平面67を形成する。
その入射基準平面66は、第1矯正部材65を形成すべくガラス材料から為る直方体形状の部材により、連続する単一の平面として形成されている。入射基準平面66は、結像光学素子324の入射矯正平面61を全面に渡って宛がうことのできる大きさ寸法の平坦な面とされており、その入射矯正平面61よりも高い平面度に設定されて(高い精度で平坦な面とされて)いる。この入射基準平面66は、Y軸方向(長尺方向)で見た平面度を、少なくとも30[μm]以下に設定しており、より好適には10[μm]以下に設定する。入射基準平面66は、実施例4では、Y軸方向(長尺方向)で見た平面度が10[μm]以下に仕上げられている。
また、出射基準平面67は、第1矯正部材65を形成すべくガラス材料から為る直方体形状の部材により、連続する単一の平面として形成されている。その出射基準平面67は、結像光学素子324の出射矯正平面63を全面に渡って宛がうことのできる大きさ寸法の平坦な面とされており、その出射矯正平面63よりも高い平面度に設定されて(高い精度で平坦な面とされて)いる。出射基準平面67は、Y軸方向(長尺方向)で見た平面度を、少なくとも30[μm]以下に設定しており、より好適には10[μm]以下に設定する。この出射基準平面67は、実施例4では、Y軸方向(長尺方向)で見た平面度が10[μm]以下に仕上げられている。
この第1矯正部材65は、素子固定板バネ68により結像光学素子324に押し当てられる。その素子固定板バネ68は、図18に示すように、金属材料から為る板状部材が適宜切り欠かれかつ折り曲げられて形成されており、取付板部68aと入射加圧部68bと出射加圧部68cとが設けられている。その取付板部68aは、素子固定板バネ68を結像光学素子324に取り付ける箇所であり、図19に示すように、中央が入射加圧部68bを形成するために切り欠かれた切欠部68dとされており、その切欠部68dを取り巻く形状とされている。取付板部68aでは、その取付板部68aをZ軸方向に貫通する4つのバネ取付穴68eが設けられている。各バネ取付穴68eは、結像光学素子324に設けられた対応する取付突起64が押し入れられる(圧入される)ことが可能とされており、実施例4ではZ軸方向で見て矩形状とされている。これは、上述したように、取付突起64が全体として直方体形状とされていることによる。その各バネ取付穴68eは、その圧入された取付突起64の括れ部64a、64bに嵌ること、すなわち括れ部64a、64bに入りこむとその段差により当該括れ部64a、64bから抜け出すことが阻まれる内径寸法とされている。このため、素子固定板バネ68は、図18等に示すように、取付板部68aの各バネ取付穴68eに、結像光学素子324の対応する取付突起64が圧入されることにより、その結像光学素子324に取り付けることができる。また、素子固定板バネ68では、各バネ取付穴68eを嵌める位置を括れ部64aと括れ部64bとで変更することにより、出射加圧部68cにおける押付力を調整することができる。
入射加圧部68bは、素子固定板バネ68を形成する金属材料から為る板状部材の取付板部68aの切欠部68dの内方に位置する箇所がZ軸方向正側へと折り曲げられて形成されており、Z軸方向に対してX軸方向正側へと突出されている。この入射加圧部68bは、素子固定板バネ68が結像光学素子324に取り付けられた状態において、所定の間隔を置きつつ結像光学素子324の入射矯正平面61とX軸方向で対向される。そして、入射加圧部68bは、その状態において、入射矯正平面61との間に第1矯正部材65を受け入れることが可能とされている。入射加圧部68bは、結像光学素子324の入射矯正平面61に入射基準平面66を宛がわせつつ受け入れた第1矯正部材65に、入射矯正平面61へと押し付けるための押付力を付与することが可能とされている。このため、入射加圧部68bは、X軸方向すなわち入射面41に直交する入射直交方向で見て、結像光学素子324の入射矯正平面61および第1矯正部材65の入射基準平面66と重なる位置で、第1矯正部材65へと押付力を付与することができる。
出射加圧部68cは、素子固定板バネ68を形成する金属材料から為る板状部材のX軸方向負側の端部がZ軸方向正側およびX軸方向正側へと折り曲げられて形成されている。その出射加圧部68cは、素子固定板バネ68が結像光学素子324に取り付けられた状態において、所定の間隔を置きつつ結像光学素子324の出射矯正平面63とZ軸方向で対向される。そして、出射加圧部68cは、その状態において、出射矯正平面63との間に第1矯正部材65を受け入れることが可能とされている。出射加圧部68cは、結像光学素子324の出射矯正平面63に出射基準平面67を宛がわせつつ受け入れた第1矯正部材65に、出射矯正平面63へと押し付けるための押付力を付与することが可能とされている。このため、出射加圧部68cは、Z軸方向すなわち出射面42に直交する出射直交方向で見て、結像光学素子324の出射矯正平面63および第1矯正部材65の出射基準平面67と重なる位置で、第1矯正部材65へと押付力を付与することができる。
実施例4のプリントヘッド304では、図17に示すように、第1矯正部材65を結像光学素子324に結合するために、3つの素子固定板バネ68を用いるものとされている。この素子固定板バネ68では、Y軸方向(長尺方向)で見て、中央に位置するもの(個別に述べる際には素子固定板バネ68Aとする)の押付力が、両端に位置するもの(個別に述べる際には素子固定板バネ68Bとする)の押付力よりも大きく設定されている。この押付力の設定は、上述した各バネ取付穴68eを嵌める位置を括れ部64aと括れ部64bとで変更することに加えて、素子固定板バネ68(その金属材料)の厚さ寸法が異なるものを用いることで、容易に行うことができる。素子固定板バネ68Aの押付力は、自らが固定された結像光学素子324に対して押付力を付与した第1矯正部材65が移動することを防止することを可能とする観点から設定する。また、両素子固定板バネ68Bの押付力は、後述するように結像光学素子324を第1矯正部材65に倣わせつつ、その結像光学素子324と第1矯正部材65とのY軸方向(長尺方向)での相対的な移動を許容する観点から設定する。
このプリントヘッド304では、基板31のY軸方向(長尺方向)の撓みを矯正するために、第2矯正部材69が設けられている。その第2矯正部材69は、基板31の実装面31aが押し当てられることで当該実装面31aを倣わせる基板基準平面69aを規定する。第2矯正部材69は、基板31よりも剛性(ヤング率と断面二次モーメントの積)が高いものとされており、実施例4では、第1矯正部材65と同様に、ガラス材料から形成された直方体形状の部材とされている。その第2矯正部材69では、後述するように基板31(その実装面31a)に適切に宛がわれた状態において、X軸方向負側の外側面で基板基準平面69aを形成する。
その基板基準平面69aは、第2矯正部材69を形成すべくガラス材料から為る直方体形状の部材により、連続する単一の平面として形成されている。基板基準平面69aは、基板31の実装面31aを全面に渡って宛がうことのできる大きさ寸法の平坦な面とされており、その実装面31aよりも高い平面度に設定されて(高い精度で平坦な面とされて)いる。この基板基準平面69aは、Y軸方向(長尺方向)で見た平面度を、少なくとも30[μm]以下に設定しており、より好適には10[μm]以下に設定する。基板基準平面69aは、実施例4では、Y軸方向(長尺方向)で見た平面度が10[μm]以下に仕上げられている。
この第2矯正部材69は、結合用接着剤71と2つの基板固定板バネ72とにより基板31に押し当てられつつ結合される。その結合用接着剤71は、第2矯正部材69(その基板基準平面69a)と基板31(その実装面31a)とを、相対的な移動(特にY−Z平面に沿う方向での移動)を防止しつつ結合する。ここで、結合用接着剤71を用いるのは、平面である基板基準平面69aと実装面31aとを押し当てるだけでは、その押し当て方向(実施例4ではX軸方向(出射直交方向))と直交する方向への相対的な移動を防止することが困難であることによる。結合用接着剤71は、押し当て方向(X軸方向(出射直交方向))で見て、基板31において目標とする平面度よりも小さな厚さ寸法とし、実施例4では10[μm]以下に設定する。このことから、押し当てることにより、押し当て方向と直交する方向への相対的な移動を防止しつつ、第2矯正部材69と基板31とを結合することができるものであれば、結合用接着剤71ではなく他の部材を用いるものであってもよい。
2つの基板固定板バネ72は、図17および図20等に示すように、金属材料から為る板状部材が適宜切り欠かれかつ折り曲げられて形成されており、背当部72aと基板加圧部72bとが設けられている。その背当部72aは、基板固定板バネ72を形成する金属材料から為る板状部材のX軸方向負側の端部がZ軸方向正側へと折り曲げられて形成されている。背当部72aは、基板31の裏面31b(X軸方向負側の面であって実装面31aとは反対側の面)に宛がうことが可能とされている。
基板加圧部72bは、基板固定板バネ72を形成する金属材料から為る板状部材のX軸方向正側の端部がZ軸方向正側へと折り曲げられて形成されている。その基板加圧部72bは、背当部72aを基板31の裏面31bに宛がった状態において、所定の間隔を置きつつその基板31の実装面31aとX軸方向で対向される。そして、基板加圧部72bは、その状態において、実装面31a(基板31)との間に第2矯正部材69を受け入れることが可能とされている。基板加圧部72bは、基板31の実装面31aに基板基準平面69aを宛がわせつつ受け入れた第2矯正部材69に、実装面31a(基板31)へと押し付けるための押付力を付与することが可能とされている。
そして、両第2矯正部材69では、後述するように基板31の実装面31aを第2矯正部材69の基板基準平面69aに倣わせつつ、その実装面31aと基板基準平面69aとのY軸方向(長尺方向)での相対的な移動を許容する押付力に設定されている。この押付力の設定は、基板固定板バネ72(その金属材料)の厚さ寸法等を調整することで容易に行うことができる。
次に、このプリントヘッド304の組み付け方法の一例について説明する。先ず、図18等に示すように、結像光学素子324に第1矯正部材65を宛がう。詳細には、第1矯正部材65の入射基準平面66を結像光学素子324の入射矯正平面61に宛がうとともに、第1矯正部材65の出射基準平面67を結像光学素子324の矯正用突起62の出射矯正平面63に宛がう。その状態において、入射加圧部68bをX軸方向負側から第1矯正部材65に宛がうとともに、出射加圧部68cをZ軸方向正側から第1矯正部材65に宛がった状態で、各素子固定板バネ68を結像光学素子324に取り付ける。この各素子固定板バネ68の結像光学素子324への取り付けは、素子固定板バネ68の各バネ取付穴68eに結像光学素子324の対応する取付突起64を圧入させることにより行う(図19等参照)。
そして、プリントヘッド304では、Y軸方向(長尺方向)で見て中央に位置する素子固定板バネ68Aの押付力を、Y軸方向(長尺方向)で見て両端に位置する両素子固定板バネ68Bの押付力よりも大きく設定する(図17参照)。このような設定は、各バネ取付穴68eを嵌める位置を括れ部64aとするか括れ部64bとするかにより、各出射加圧部68cによるZ軸方向正側から第1矯正部材65に付与する押付力を調整する。また、このような設定は、素子固定板バネ68Aとして金属材料の厚さ寸法が大きいものを用い、両素子固定板バネ68Bとして素子固定板バネ68Aよりも金属材料の厚さ寸法が小さいものを用いることで行う。これにより、結像光学素子324と第1矯正部材65とを一体化させて、結像光学素子組立体73を形成する。その結像光学素子組立体73では、結像光学素子324と第1矯正部材65とが、Y軸方向(長尺方向)で見て、中央が素子固定板バネ68Aにより強固に結合され、かつ両端が両素子固定板バネ68Bにより素子固定板バネ68Aより緩やかに結合されている。このため、結像光学素子組立体73では、結像光学素子324と第1矯正部材65とが、Y軸方向(長尺方向)で見た中央位置(素子固定板バネ68A)を基準として、両端側がY軸方向(長尺方向)へと相対的に変位することを許容している。
すると、結像光学素子324(その保持部47(その入射矯正平面61))では、X軸方向負側すなわち入射面41に直交する入射直交方向で第1矯正部材65(その入射基準平面66)に相対的に押し当てられる。これにより、保持部47の入射矯正平面61は、第1矯正部材65の入射基準平面66に倣うこととなり、当該入射基準平面66と略等しい平面度とされる。このため、保持部47延いてはその保持部47が一体的に設けられた結像光学素子324が、入射基準平面66と略等しい平面度とされることとなる。その入射矯正平面61は、入射面41と平行な平面とされていることから、結像光学素子324を入射基準平面66と略等しい平面度とすることにより、入射面41すなわちそこに設けられた入射側レンズアレイ44のY軸方向(長尺方向)の撓みを矯正することができる。このため、結像光学素子324は、入射矯正平面61が入射基準平面66に宛がわれつつ入射加圧部68bにより第1矯正部材65に押し当てられることにより、その第1矯正部材65に対してX軸方向(入射直交方向)へと変位することが防止される。
また、結像光学素子324(その保持部47(その矯正用突起62(その出射矯正平面63)))では、Z軸方向負側すなわち出射面42に直交する出射直交方向で第1矯正部材65(その出射基準平面67)に相対的に押し当てられる。これにより、保持部47の出射矯正平面63は、第1矯正部材65の出射基準平面67に倣うこととなり、当該出射基準平面67と略等しい平面度とされる。このため、保持部47延いてはその保持部47が一体的に設けられた結像光学素子324が、出射基準平面67と略等しい平面度とされることとなる。その出射矯正平面63は、出射面42と平行な平面とされていることから、結像光学素子324を出射基準平面67と略等しい平面度とすることにより、出射面42すなわちそこに設けられた出射側レンズアレイ45のY軸方向(長尺方向)の撓みを矯正することができる。このため、結像光学素子324は、出射矯正平面63が出射基準平面67に宛がわれつつ出射加圧部68cにより第1矯正部材65に押し当てられることにより、その第1矯正部材65に対してZ軸方向(出射直交方向)へと変位することが防止される。
結像光学素子324と第1矯正部材65とを一体化させることとは別に、基板31の実装面31aに第2矯正部材69の基板基準平面69aを宛がった状態において、結合用接着剤71で接着しつつ2つの基板固定板バネ72を取り付ける。その各基板固定板バネ72は、背当部72aを基板31の裏面31bに宛がうとともに、基板加圧部72bを第2矯正部材69に宛がう。これにより、基板31と第2矯正部材69とを一体化させて、発光基板組立体74を形成する。この発光基板組立体74では、基板31と第2矯正部材69とが、Y軸方向(長尺方向)で見て、中央が結合用接着剤71により相対的な移動が防止されて結合され、かつ両端が基板固定板バネ72により対的な移動が許容されて結合される。このため、発光基板組立体74では、基板31と第2矯正部材69とが、結合用接着剤71を基準として、両端側がY軸方向(長尺方向)へと相対的に変位することが許容されている。
すると、基板31(その実装面31a)では、X軸方向正側すなわち入射面41に直交する入射直交方向で第2矯正部材69(その基板基準平面69a)に相対的に押し当てられる。これにより、基板31の実装面31aは、第2矯正部材69の基板基準平面69aに倣うこととなり、当該基板基準平面69aと略等しい平面度とされる。このため、実装面31aが基板基準平面69aと略等しい平面度とされることとなり、基板31のY軸方向(長尺方向)の撓みを矯正することができる。このことから、基板31は、第2矯正部材69が実装面31aに宛がわれつつ各基板固定板バネ72(その基板加圧部72b)により第2矯正部材69に押し当てられることにより、その第2矯正部材69に対してX軸方向(入射直交方向)へと変位することが防止される。そして、基板31は、各OLED35(各OELAチップ34)が設けられた実装面31aのY軸方向(長尺方向)の撓みが矯正される。
次に、図20に示すように、この結像光学素子組立体73(結像光学素子324および第1矯正部材65)を第1調整治具75で保持するとともに、発光基板組立体74(基板31およびと第2矯正部材69)を第2調整治具76で保持する。この状態において、第1矯正部材65と第2矯正部材69との間に紫外線(UV)硬化型の調整用接着剤77を塗布し、その調整用接着剤77を未硬化状態のままとしておく。この調整用接着剤77は、実施例4では、好適な例としてY軸方向(長尺方向)で見て2箇所に設けるものとしている(図17参照)。なお、調整用接着剤77は、結像光学素子組立体73と発光基板組立体74とにおいて、結像光学素子324(その入射面41)と基板31(その各OLED35(各OELAチップ34))とが、Y軸方向(長尺方向)で見た全長に渡って平行な位置関係とする調整を可能とする観点から適宜位置及び数を設定すればよい。
次に、結像光学素子324の出射面42(出射側レンズアレイ45)の光軸上の像面となる位置にビームセンサ78(その受光面)を配置する。そのビームセンサ78は、自らに照射された光(光スポットSP)におけるビームプロファイルを取得することが可能とされたセンサであり、実施例4では2次元CCDを用いるものとし2次元ビームプロファイルを取得することが可能とされている。そして、基板31に設けられた各OLED35のうち、Y軸方向(長尺方向)で見た中央に位置するOLED35と、両端に位置する各OLED35と、から光を出射させる。その各光は、X軸方向(出射直交方向)で各OLED35と対向する、結像光学素子組立体73の結像光学素子324における入射面41の対応する入射側レンズアレイ44からその結像光学素子324に入射する。そして、結像光学素子324内において反射面43の対応するプリズム面アレイ46で反射されて、出射面42(出射側レンズアレイ45)へと向かい、その出射側レンズアレイ45により集光されつつ結像光学素子324から出射される。その結像光学素子324から出射された光(光スポットSP)は、ビームセンサ78(その受光面)に入射される。これにより、ビームセンサ78は、Y軸方向(長尺方向)で見た中央の位置と両端の位置との3つの光(光スポットSP)の2次元ビームプロファイルを取得する。
そして、3つの光(光スポットSP)の2次元ビームプロファイルがそれぞれ所望の状態となるように、結像光学素子組立体73と発光基板組立体74との位置関係を調整する。実施例4では、先ず、結像光学素子324(その入射面41)の中心位置と、基板31(その各OLED35(各OELAチップ34))の中心位置と、をX軸方向(出射直交方向)で見て同一直線上に位置させる。そして、Y軸方向(長尺方向)で見た各位置におけるX軸方向(出射直交方向)での間隔、およびX軸方向を回転中心とする相対的な回転姿勢を調整する。この調整は、結像光学素子組立体73を保持する第1調整治具75と、発光基板組立体74を保持する第2調整治具76と、の位置を調整することにより行うことができる。これにより、3つの光(光スポットSP)の2次元ビームプロファイルが所望の状態となる結像光学素子組立体73と発光基板組立体74との適切な位置関係を決めることができる。この各2次元ビームプロファイルを所望の状態とすることにより、結像光学素子324(その入射面41)と基板31(その各OLED35(各OELAチップ34))とが、Y軸方向(長尺方向)で見た全長に渡って平行な位置関係となる。これは、3つの光(光スポットSP)は、Y軸方向(長尺方向)で見た中央と両端とに形成されるものであることによる。このため、この調整では、結像光学素子324と基板31とをY軸方向(長尺方向)で見た全長に渡って平行な位置関係とすべく、主に各調整用接着剤77における厚み(X軸方向で見た大きさ寸法)が調整されることとなる。換言すると、この調整では、結像光学素子324の入射面41と基板31の各OLED35とが所定の間隔となるように、各調整用接着剤77における厚み(X軸方向で見た大きさ寸法)が調整されることとなる。
その後、結像光学素子組立体73と発光基板組立体74との適切な位置関係を維持した状態で、紫外線光源79を用いて各調整用接着剤77に紫外線を照射して、その各調整用接着剤77を硬化させる。このとき、実施例4では両調整用接着剤77に対して同時に紫外線を照射する。これは、各調整用接着剤77では硬化時に収縮する力が作用することから、2つの調整用接着剤77に対して同時に紫外線を照射することが好ましいことによる。ここで、各OLED35では、紫外線が照射されると特性劣化が生じてしまう虞があるので、実施例4では、図20に示すように各OLED35に対して第2矯正部材69を挟んだ反対側から紫外線を照射している。さらに、実施例4では、第1矯正部材65(その外表面)と第2矯正部材69(その外表面)とに紫外線の透過を阻む紫外線遮光膜を蒸着することにより、各OLED35に紫外線が照射されることを防止している。
これにより、結像光学素子組立体73と発光基板組立体74とは、2つの調整用接着剤77により適切な位置関係を維持した状態で固定(位置決め固定)されて一体化される。このため、基板31上で中央と両端とに設けられた3つのOLED35から出射された光が、結像光学素子324を通過することにより、2次元ビームプロファイルが所望の状態とされた光(光スポットSP)を形成することができる。このことから、各調整用接着剤77は、第1矯正部材65と第2矯正部材69とを結合する接着剤(第1接着剤)として機能する。
次に、このように位置決め固定して一体化させた結像光学素子組立体73と発光基板組立体74とを、図21(a)から(b)に示すように、ハウジング334の内方に収容する。この実施例4のハウジング334は、Z軸方向負側の壁部が開放された直方体の箱状を呈する。このため、ハウジング334の内方への収容は、Z軸方向負側の開放端部334dを通して行う。このとき、一体化された結像光学素子組立体73における結像光学素子324の出射面42(出射側レンズアレイ45)を、ハウジング334に設けられた出射窓334c(その防塵ガラス384)とZ軸方向で対向させる。
その後、図21(b)に示すように、ハウジング334のX軸方向正側の内壁面334eと、結像光学素子組立体73の結像光学素子324のX軸方向正側であってZ軸方向負側の端部と、の間に密閉用接着剤81を充填させて硬化させる。また、ハウジング334のX軸方向負側の内壁面334fと、発光基板組立体74の基板31のZ軸方向負側の端部と、の間に密閉用接着剤82を充填させて硬化させる。さらに、両調整用接着剤77により位置決め固定された第1矯正部材65と第2矯正部材69との間における、両調整用接着剤77が設けられていない箇所に密閉用接着剤83を充填させて硬化させる。この各密閉用接着剤81、82、83は、Y軸方向(長尺方向)で見て連続的に設けられており、ハウジング334の開放端部334d側に生じ得る隙間を、結像光学素子組立体73および発光基板組立体74と協働して密閉させる。これにより、結像光学素子324の入射面41(入射側レンズアレイ44)および出射面42(出射側レンズアレイ45)や、基板31の各OLED35に、塵埃等が付着することを防止することができる。これは、ハウジング334では出射窓334cが防塵ガラス384により密閉されていることによる。
その各密閉用接着剤81、82、83は、結像光学素子組立体73と発光基板組立体74とを位置決め固定する両調整用接着剤77よりも、ヤング率が低い接着剤を用いる。これは、温度環境が変化した場合に、各密閉用接着剤81、82、83が両調整用接着剤77における自由膨張(収縮)を阻害することを防止することで、結像光学素子324と基板31とが全長に渡って平行な位置関係に調整された状態を維持するためである。このような各密閉用接着剤81、82、83は、一例として、密閉する機能も兼ね備えたシリコン系の接着剤を用いることがあげられる。すると、各密閉用接着剤81、82、83におけるヤング率を、30[MPa]以下とすることができる。ここで、両調整用接着剤77は、紫外線硬化型の接着剤が用いられていることから、ヤング率は大略240[MPa]である。これにより、プリントヘッド304が組み付けられる。このことから、各密閉用接着剤81、82、83は、発光部としての各OLED35をハウジング334内で密閉すべく第1接着剤としての両調整用接着剤77よりも低いヤング率とされてハウジング334を密閉する第2接着材として機能する。
このように、本願発明に係るプリントヘッドの実施例4のプリントヘッド304では、結像光学素子324(保持部47)を、入射直交方向(X軸方向)で第1矯正部材65に押し当てるとともに、出射直交方向(Z軸方向)で第1矯正部材65に押し当てている。その結像光学素子324では、入射直交方向で第1矯正部材65に押し当てられることにより、入射直交方向と直交する入射面41におけるY軸方向(長尺方向)の撓みが矯正される。また、結像光学素子324では、出射直交方向で第1矯正部材65に押し当てられることにより、出射直交方向と直交する出射面42におけるY軸方向(長尺方向)の撓みが矯正される。このように、結像光学素子324では、入射面41と出射面42とが直交されていることに対して、入射直交方向および出射直交方向で第1矯正部材65に押し当てられることから、入射面41の撓みと出射面42の撓みとのそれぞれを矯正することができる。このため、プリントヘッド304では、互いに直交する入射面41(入射側レンズアレイ44)と出射面42(出射側レンズアレイ45)との双方の撓みを適切に矯正することができ、結像光学素子324の真直度を適切に矯正することができる。
また、プリントヘッド304では、入射直交方向(X軸方向)と出射直交方向(Z軸方向)とで第1矯正部材65に押し当てることで、樹脂材料からなり長尺とされた結像光学素子324の長尺方向(Y軸方向)の撓みを矯正することができる。このため、プリントヘッド304では、結像光学素子324における光学性能を設計通りに発揮させることができるので、ビームプロファイル等の光学特性の劣化を防止することができる。
さらに、プリントヘッド304では、結像光学素子324よりも高い剛性とされた第1矯正部材65の入射基準平面66に結像光学素子324の入射矯正平面61を宛がいつつ、その結像光学素子324を入射直交方向(X軸方向)で第1矯正部材65に押し当てる。このため、結像光学素子324では、より高い剛性とされた第1矯正部材65の入射基準平面66に入射矯正平面61が押し当てられることで、入射矯正平面61が入射基準平面66に倣うこととなり、当該入射基準平面66と略等しい平面度とされる。その入射基準平面66は、入射面41と平行とされた平面、すなわち設定上において入射面41が存在されるY−Z平面と平行とされた平面とされている。また、入射矯正平面61は、結像光学素子324において入射面41と平行とされている。このため、結像光学素子324では、入射基準平面66と略等しい平面度とすることにより、入射面41すなわちそこに設けられた入射側レンズアレイ44の長尺方向(Y軸方向)の撓みが矯正される。これにより、プリントヘッド304では、簡易な構成で結像光学素子324の真直度をより適切に矯正することができる。
プリントヘッド304では、結像光学素子324よりも高い剛性とされた第1矯正部材65の出射基準平面67に結像光学素子324の出射矯正平面63を宛がいつつ、その結像光学素子324を出射直交方向(Z軸方向)で第1矯正部材65に押し当てる。このため、結像光学素子324では、より高い剛性とされた第1矯正部材65の出射基準平面67に出射矯正平面63が押し当てられることで、出射矯正平面63が出射基準平面67に倣うこととなり、当該出射基準平面67と略等しい平面度とされる。その出射基準平面67は、出射面42と平行とされた平面、すなわち設定上において出射面42が存在されるX−Y平面と平行とされた平面とされている。また、出射矯正平面63は、結像光学素子324において出射面42と平行とされている。このため、結像光学素子324では、出射基準平面67と略等しい平面度とすることにより、出射面42すなわちそこに設けられた出射側レンズアレイ45の長尺方向(Y軸方向)の撓みが矯正される。これにより、プリントヘッド304では、簡易な構成で結像光学素子324の真直度をより適切に矯正することができる。
プリントヘッド304では、結像光学素子324に取り付けた各素子固定板バネ68の入射加圧部68bにより、結像光学素子324の保持部47の入射矯正平面61へ向けた入射直交方向への押付力を第1矯正部材65に付与する。また、プリントヘッド304では、結像光学素子324に取り付けた各素子固定板バネ68の出射加圧部68cにより、結像光学素子324の矯正用突起62の出射矯正平面63へ向けた出射直交方向への押付力を第1矯正部材65に付与する。このため、プリントヘッド304では、簡易な構成で、結像光学素子324(その保持部47)を入射直交方向(X軸方向)で第1矯正部材65に押し当てるとともに、結像光学素子324(その矯正用突起62)を出射直交方向(Z軸方向)で第1矯正部材65に押し当てることができる。これにより、プリントヘッド304では、簡易な構成でかつ小型化およびコスト削減を図ることを容易なものとしつつ、結像光学素子324の真直度をより適切に矯正することができる。
プリントヘッド304では、3つの素子固定板バネ68のうちの中央の素子固定板バネ68Aの押付力を、両端の各素子固定板バネ68Bの押付力よりも大きなものとしている。このため、結像光学素子324では、素子固定板バネ68Aによる結合により第1矯正部材65に対してY−Z平面に沿う方向へと変位することが防止されている。また、結像光学素子324では、両素子固定板バネ68Bによる結合ではY軸方向(長尺方向)への第1矯正部材65との相対的な移動が可能とされている。これにより、結像光学素子324は、素子固定板バネ68Aの位置を基準としてY軸方向(長尺方向)へと熱膨張(熱収縮)することができる、すなわち結合された第1矯正部材65により熱膨張(熱収縮)することが妨げられることが防止されている。よって、結像光学素子324では、環境温度の変化により熱膨張(熱収縮)するような状況であっても、ガラス材料から為る第1矯正部材65との熱膨張差による熱応力に起因して撓みが生じることを防止することができる。このことから、プリントヘッド304では、環境温度の変化に拘わらず、結像光学素子324のY軸方向(長尺方向)の撓みを矯正した状態を維持することができ、結像光学素子324の真直度をより適切に矯正することができる。よって、プリントヘッド304では、環境温度の変化に拘わらず、結像光学素子324における光学性能を設計通りに発揮させることができ、ビームプロファイル等の光学特性の劣化を防止することができる。
プリントヘッド304では、結像光学素子324に設けられた各取付突起64への素子固定板バネ68の各バネ取付穴68eを嵌める位置を括れ部64aと括れ部64bとで変更することにより、出射加圧部68cにおける押付力を調整することができる。このため、プリントヘッド304では、簡易な構成で、各素子固定板バネ68における押付力を調整することができる。なお、実施例では、各取付突起64において、2つの括れ部64a、64bを設けるものとしていたが、個数およびそれらの間隔は適宜設定すればよく、実施例4の構成に限定されるものではない。
プリントヘッド304では、第1矯正部材65をガラス材料から形成された直方体形状の部材とし、その連続する単一の平面として入射基準平面66を形成するとともにその連続する単一の平面として出射基準平面67を形成している。このため、プリントヘッド304では、入射基準平面66および出射基準平面67を結像光学素子324の入射矯正平面61および出射矯正平面63に全面に渡って宛がうことのできる大きさ寸法の平坦な面とすることができる。これにより、プリントヘッド304では、結像光学素子324の撓みをその長尺方向(Y軸方向)の全長に渡って矯正することができ、結像光学素子324の真直度をより適切に矯正することができる。
プリントヘッド304では、基板31(その実装面31a)に、X軸方向負側すなわち入射面41に直交する入射直交方向で第2矯正部材69(その基板基準平面69a)を押し当てている。このため、プリントヘッド304では、基板31すなわちそこに設けられた各OLED35(各OELAチップ34)におけるX軸方向(入射直交方向)への変位を矯正して、Y軸方向(長尺方向)の撓みを矯正することができる。これにより、プリントヘッド304では、光を出射させる各OLED35と、その入射された光を結像させる(各光スポットSPを形成する)結像光学素子324と、の双方のY軸方向(長尺方向)の撓みを矯正することができる。よって、プリントヘッド304では、光学性能を設計通りの機能を発揮することができ、ビームプロファイル等の光学特性の劣化を防止することができる。
プリントヘッド304では、第2矯正部材69(その基板基準平面69a)を基板31の実装面31aに押し当てていることから、基板31のY軸方向(長尺方向)の撓みをより適切に矯正することができる。これは、例えば、基板31の裏面31bに第2矯正部材69を押し当てる構成とすると、基板31の厚さ寸法における誤差が含まれてしまうことによる。
プリントヘッド304では、結合用接着剤71で接着しつつ2つの基板固定板バネ72を取り付けることで、基板31(その実装面31a)にX軸方向負側(入射直交方向)で第2矯正部材69(その基板基準平面69a)を押し当てている。このため、基板31では、結合用接着剤71による結合により第2矯正部材69に対してY−Z平面に沿う方向へと変位することが防止され、両基板固定板バネ72による結合ではY軸方向(長尺方向)への相対的な移動が可能とされている。これにより、基板31は、結合用接着剤71の位置を基準としてY軸方向(長尺方向)へと熱膨張(熱収縮)することができる、すなわち結合された第2矯正部材69により熱膨張(熱収縮)することが妨げられることが防止されている。よって、基板31では、環境温度の変化により熱膨張(熱収縮)するような状況であっても、ガラス材料から為る第2矯正部材69との熱膨張差による熱応力に起因して撓みが生じることを防止することができる。このことから、プリントヘッド304では、環境温度の変化に拘わらず、基板31のY軸方向(長尺方向)の撓みを矯正した状態を維持することができ、基板31の真直度をより適切に矯正することができる。よって、プリントヘッド304では、環境温度の変化に拘わらず、基板31の各OLED35からの出射位置を設計通りのものとすることができ、ビームプロファイル等の光学特性の劣化を防止することができる。
プリントヘッド304では、結像光学素子組立体73と発光基板組立体74とを適切な位置関係で位置決め固定して一体化してから、ハウジング334の内方に収容する。このため、プリントヘッド304では、結像光学素子324(その入射面41)と基板31(その各OLED35(各OELAチップ34))とを、Y軸方向(長尺方向)で見た全長に渡ってより適切に平行な位置関係とすることができる。これは、ハウジング334の内方に収容する前であれば、結像光学素子組立体73や発光基板組立体74を保持する自由度を確保することができるとともに、両調整用接着剤77に紫外線を照射する方向等の自由度を確保することができることによる。また、上記した各自由度を確保することができることから、位置関係の調整の作業を容易なものとすることもできる。これにより、プリントヘッド304では、簡易な構成および組み付けで、光学性能を設計通りの機能を発揮することができ、ビームプロファイル等の光学特性の劣化を防止することができる。
プリントヘッド304では、結像光学素子324よりも高い剛性とされてそのY軸方向(長尺方向)の撓みを矯正する第1矯正部材65と、基板31より高い剛性とされてそのY軸方向の撓みを矯正する第2矯正部材69と、を各結合用接着剤71で固定している。このように、プリントヘッド304では、結像光学素子324の矯正の基準となる第1矯正部材65と、基板31の矯正の基準となる第2矯正部材69と、を各結合用接着剤71で結合している。このため、プリントヘッド304では、より適切に結像光学素子324(その入射面41)と基板31(その各OLED35(各OELAチップ34))とを、Y軸方向(長尺方向)で見た全長に渡って平行な位置関係とすることができる。これにより、プリントヘッド304では、光学性能を設計通りの機能を発揮することができ、ビームプロファイル等の光学特性の劣化をより適切に防止することができる。
プリントヘッド304では、Y軸方向(長尺方向)の撓みを矯正した結像光学素子324と基板31とを、出射した各光(光スポットSP)における2次元ビームプロファイルを所望のものとすべく位置関係を調整して位置決め固定する。このため、プリントヘッド304では、形成する各光(光スポットSP)を良好なものとすることができる。
プリントヘッド304では、適切な位置関係で位置決め固定して一体化させた結像光学素子組立体73と発光基板組立体74とをハウジング334の内方に収容し、そのハウジング334との隙間を各密閉用接着剤81、82、83により密閉する。このため、プリントヘッド304では、結像光学素子324の入射面41(入射側レンズアレイ44)および出射面42(出射側レンズアレイ45)や、基板31の各OLED35に、塵埃等が付着することを防止することができる。これにより、プリントヘッド304では、塵埃等の付着に起因して、ビームプロファイル等の光学特性が劣化することを防止することができる。
プリントヘッド304では、ハウジング334との隙間を密閉すべく用いる各密閉用接着剤81、82、83を、結像光学素子組立体73と発光基板組立体74とを位置決め固定する両調整用接着剤77よりも、ヤング率が低いものとしている。このため、プリントヘッド304では、温度環境の変化に起因して両調整用接着剤77が自由膨張(収縮)するような場合であっても、当該両調整用接着剤77における自由膨張(収縮)を各密閉用接着剤81、82、83が阻害することを防止することができる。これにより、プリントヘッド304では、環境温度の変化に拘わらず、光学性能を設計通りに発揮させることができるとともに塵埃等の付着を防止することができ、ビームプロファイル等の光学特性の劣化を防止することができる。
プリントヘッド304を備える画像形成装置10では、結像光学素子324の真直度がより適切に矯正されていることから、ビームプロファイル等の光学特性が劣化することが防止されているので、良好な画像を安定して出力することができる。
したがって、本発明に係る実施例4のプリントヘッド304では、入射面41と出射面42とが傾斜を為す結像光学素子324の真直度を適切に矯正することができる。
なお、実施例4では、結像光学素子組立体73と発光基板組立体74との位置関係を調整する際、Y軸方向(長尺方向)で見た中央の位置と両端の位置との3つの光(光スポットSP)の2次元ビームプロファイルを取得するものとしている。しかしながら、結像光学素子324(その入射面41)と基板31(その各OLED35(各OELAチップ34))とをY軸方向(長尺方向)で見た全長に渡って平行な位置関係とする調整を可能とするものであれば、形成する光(光スポットSP)の個数および位置は適宜設定すればよく、上記した実施例4の方法に限定されるものではない。
次に、本発明の実施例5のプリントヘッド305およびそれを備える実施例5の画像形成装置10について、図22から図24を用いて説明する。この実施例5のプリントヘッド305は、結像光学素子325の構成、第1矯正部材655の構成および結像光学素子325と第1矯正部材655とを一体化させる構成と、組み付ける構成および方法と、が実施例4のプリントヘッド304とは異なる例である。この実施例5のプリントヘッド305は、基本的な概念および構成は上記した実施例4のプリントヘッド304と同様であることから、等しい概念および構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。同様に、実施例5の画像形成装置10は、プリントヘッド30に替えてプリントヘッド305を用いることを除くと、実施例1の画像形成装置10と同様であることから、等しい概念および構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
実施例5のプリントヘッド305では、図22に示すように、結像光学素子325において、入射面415がZ軸方向負側に設けられるとともに、出射面425がZ軸方向正側に設けられる構成とされている。すなわち、結像光学素子325は、入射された光の進行方向を変更することなく出射させて、像面上に光スポット(光スポットSP)を形成する。このため、プリントヘッド305では、結像光学素子325により、光源としての発光部(各OLED35)と結像面とが直線上に位置する光学系とされている。このような結像光学素子325は、例えば、マイクロレンズアレイや、屈折率分布型ロッドレンズアレイ等を用いて構成することができ、実施例5では屈折率分布型ロッドレンズアレイを用いている。この結像光学素子325では、2段に互い違いに積み重ねるように2列に配置された複数の屈折率分布型ロッドレンズが、周囲を取り囲む周壁部材325aにより支持されて構成されている。その周壁部材325aは、Z軸方向で見るとY軸方向に長尺な長方形状を呈し、X軸方向負側の面が矯正平面485とされている。
その矯正平面485は、結像光学素子325が全く撓みの生じていない状態となると、Y−Z平面に沿う平坦な面となるように形成されている。すなわち、矯正平面485は、入射面415と出射面425とに直交しつつ、結像光学素子325の長尺方向(Y軸方向)に伸びる平面とされている。矯正平面485は、結像光学素子325に生じ得るY軸方向(長尺方向)の撓み、すなわち結像光学素子325におけるX軸方向の変位を発生させる撓みを矯正するために設けられている。この矯正平面485は、後述するように、第1矯正部材655の基準平面525に押し当てられて平面度が矯正されることにより、結像光学素子325の撓みを矯正する。
その第1矯正部材655は、矯正平面485が押し当てられることで当該矯正平面485を倣わせる基準平面525を規定する。第1矯正部材655は、結像光学素子324よりも、剛性(ヤング率と断面二次モーメントの積)が高いものとされており、実施例5では、ガラス材料から形成された直方体形状の部材とされている。その第1矯正部材655では、後述するように結像光学素子325(その矯正平面485)に適切に宛がわれた状態において、X軸方向正側の外側面で基準平面525を形成する。その基準平面525は、第1矯正部材655を形成すべくガラス材料から為る直方体形状の部材により、連続する単一の平面として形成されている。基準平面525は、結像光学素子324の矯正平面485を全面に渡って宛がうことのできる大きさ寸法の平坦な面とされており、その矯正平面485よりも高い平面度に設定されて(高い精度で平坦な面とされて)いる。この基準平面525は、Y軸方向(長尺方向)で見た平面度を、少なくとも30[μm]以下に設定しており、より好適には10[μm]以下に設定する。基準平面525は、実施例5では、Y軸方向(長尺方向)で見た平面度が10[μm]以下に仕上げられている。
この第1矯正部材655は、素子固定板バネ84により結像光学素子325に押し当てられつつ結合される。その素子固定板バネ84は、金属材料から為る板状部材が適宜切り欠かれかつ折り曲げられて形成されており、背当部84aと素子加圧部84bとが設けられている。その背当部84aは、素子固定板バネ84を形成する金属材料から為る板状部材のX軸方向正側の端部がY軸方向負側へと折り曲げられて形成されている。背当部84aは、結像光学素子325の裏面325b(X軸方向正側の面であって矯正平面485とは反対側の面)に宛がうことが可能とされている。
素子加圧部84bは、素子固定板バネ84を形成する金属材料から為る板状部材のX軸方向負側の端部がY軸方向負側へと折り曲げられて形成されている。その素子加圧部84bは、背当部84aを結像光学素子325の裏面325bに宛がった状態において、所定の間隔を置きつつその結像光学素子325の矯正平面485とX軸方向で対向される。そして、素子加圧部84bは、その状態において、矯正平面485(結像光学素子325)との間に第1矯正部材655を受け入れることが可能とされている。素子加圧部84bは、結像光学素子325の矯正平面485に基準平面525を宛がわせつつ受け入れた第1矯正部材655に、矯正平面485(結像光学素子325)へと押し付けるための押付力を付与することが可能とされている。
次に、このプリントヘッド305の組み付け方法の一例について説明する。先ず、図23等に示すように、第1矯正部材655の基準平面525を結像光学素子325の矯正平面485に宛がう。その状態において、素子加圧部84bをX軸方向負側から第1矯正部材655に宛がうとともに、背当部84aをX軸方向正側から結像光学素子325の裏面325bに宛がって、素子固定板バネ84を結像光学素子325に取り付ける。これにより、結像光学素子325と第1矯正部材655とを一体化させて、結像光学素子組立体735を形成する。
すると、結像光学素子325(その矯正平面485)では、X軸方向負側すなわち入射面415に直交する入射直交方向で第1矯正部材655(その基準平面525)に相対的に押し当てられる。これにより、矯正平面485は、第1矯正部材655の基準平面525に倣うこととなり、当該基準平面525と略等しい平面度とされる。このため、矯正平面485が設けられた周壁部材325a延いてはその周壁部材325aにより外形形状が規定される結像光学素子325が、基準平面525と略等しい平面度とされることとなる。このため、結像光学素子325は、矯正平面485が基準平面525に宛がわれつつ素子加圧部84bにより第1矯正部材655に押し当てられることにより、その第1矯正部材655に対してX軸方向(入射直交方向)へと変位することが防止される。
結像光学素子325と第1矯正部材655とを一体化させることとは別に、基板31の実装面31aに第2矯正部材69の基板基準平面69aを宛がった状態において、結合用接着剤71(図17参照)で接着しつつ2つの基板固定板バネ72を取り付ける。この取り付けは実施例4と同様であり、これにより、基板31と第2矯正部材69とを一体化させて、発光基板組立体74を形成する。
次に、この結像光学素子組立体735(結像光学素子325および第1矯正部材655)を第1調整治具755で保持するとともに、発光基板組立体74(基板31およびと第2矯正部材69)を第2調整治具76で保持する。この状態において、第1矯正部材655と第2矯正部材69との間に紫外線(UV)硬化型の調整用接着剤77を塗布し、その調整用接着剤77を未硬化状態のままとしておく。この調整用接着剤77は、実施例5では、実施例4と同様に好適な例としてY軸方向(長尺方向)で見て2箇所に設けるものとしている。
次に、結像光学素子325の光軸上で出射面425と対向させて像面となる位置にビームセンサ78(その受光面)を配置する。そして、基板31に設けられた各OLED35のうち、Y軸方向(長尺方向)で見た中央に位置するOLED35と、両端に位置する各OLED35と、から光を出射させる。その各光は、結像光学素子組立体735の結像光学素子325において、Z軸方向(出射直交方向)で各OLED35と対向する入射面415に入射し、対応する屈折率分布型ロッドレンズを経て、出射面425から集光されつつ出射される。その結像光学素子325から出射された光は、集光されて(光スポットSPとされて)ビームセンサ78(その受光面)に入射される。これにより、ビームセンサ78は、Y軸方向(長尺方向)で見た中央の位置と両端の位置との3つの光(光スポットSP)の2次元ビームプロファイルを取得する。
そして、3つの光(光スポットSP)の2次元ビームプロファイルが所望の状態となるように、結像光学素子組立体735と発光基板組立体74との位置関係を調整する。この調整は、結像光学素子組立体735を保持する第1調整治具755と、発光基板組立体74を保持する第2調整治具76と、の相対的な位置を調整することにより行うことができる。これにより、3つの光(光スポットSP)の2次元ビームプロファイルが所望の状態となる結像光学素子組立体735と発光基板組立体74との適切な位置関係を決めることができる。この各2次元ビームプロファイルを所望の状態とすることにより、結像光学素子325(その入射面415)と基板31(その各OLED35(各OELAチップ34))とが、Y軸方向(長尺方向)で見た全長に渡って平行な位置関係となる。これは、3つの光(光スポットSP)は、Y軸方向(長尺方向)で見た中央と両端とに形成されるものであることによる。
その後、結像光学素子組立体735と発光基板組立体74との適切な位置関係を維持した状態で、紫外線光源79を用いて各調整用接着剤77に紫外線を照射して、その各調整用接着剤77を硬化させる。このとき、実施例5では両調整用接着剤77に対して同時に紫外線を照射する。これは、各調整用接着剤77では硬化時に収縮する力が作用することから、2つの調整用接着剤77に対して同時に紫外線を照射することが好ましいことによる。ここで、各OLED35では、紫外線が照射されると特性劣化が生じてしまう虞があるので、実施例5では、図23に示すように各OLED35に対して第2矯正部材69を挟んだ反対側から紫外線を照射している。さらに、実施例5では、第1矯正部材655(その外表面)と第2矯正部材69(その外表面)とに紫外線の透過を阻む紫外線遮光膜を蒸着することにより、各OLED35に紫外線が照射されることを防止している。
これにより、結像光学素子組立体735と発光基板組立体74とは、2つの調整用接着剤77により適切な位置関係を維持した状態で固定(位置決め固定)されて一体化される。このため、基板31上で中央と両端とに設けられた3つのOLED35から出射された光が、結像光学素子325を通過することにより、2次元ビームプロファイルが所望の状態とされた光(光スポットSP)を形成することができる。このことから、各調整用接着剤77は、第1矯正部材655と第2矯正部材69とを結合する接着剤(第1接着剤)として機能する。
次に、このように位置決め固定して一体化させた結像光学素子組立体735と発光基板組立体74とを、図24(a)から(b)に示すように、ハウジング335の内方に収容する。この実施例5のハウジング335は、Z軸方向負側の壁部が開放された直方体の箱状を呈する。このハウジング335では、実施例4のハウジング334とは異なり、出射窓335cに防塵ガラス384(図15等参照)が設けられていない。そして、その出射窓335cは、結像光学素子325(その周壁部材325a)を嵌め込むことを可能とする形状および大きさ寸法とされている。このため、ハウジング335の内方への収容は、Z軸方向負側の開放端部335dを通して行う。このとき、一体化された結像光学素子組立体735における結像光学素子325を出射面425側から出射窓335cに嵌め込む(図24(b)参照)。
その後、図24(b)に示すように、ハウジング335の開放端部335dと、発光基板組立体74の基板31(その周縁部)と、の間に密閉用接着剤85を充填させて硬化させる。また、ハウジング335の出射窓335cと、結像光学素子組立体735の結像光学素子325の周壁部材325a(その周縁部)と、間に密閉用接着剤86を充填させて硬化させる。この各密閉用接着剤85、86は、結像光学素子組立体735および発光基板組立体74とハウジング335との間に生じ得る隙間を密閉させる。この各密閉用接着剤85、86は、実施例4の各密閉用接着剤81、82、83と同様のものを用いることができる。これにより、結像光学素子325の入射面415や、基板31の各OLED35に、塵埃等が付着することを防止することができる。このことから、各密閉用接着剤85、86は、発光部としての各OLED35をハウジング335内で密閉すべく第1接着剤としての両調整用接着剤77よりも低いヤング率とされてハウジング335を密閉する第2接着材として機能する。
実施例5のプリントヘッド305では、基本的に実施例4のプリントヘッド304と同様の構成であることから、基本的に実施例4と同様の効果を得ることができる。
プリントヘッド305を備える画像形成装置10では、結像光学素子325の真直度がより適切に矯正されていることから、ビームプロファイル等の光学特性が劣化することが防止されているので、良好な画像を安定して出力することができる。
したがって、本発明に係る実施例5のプリントヘッド305では、結像光学素子325の真直度を適切に矯正することができる。
なお、実施例5では、結像光学素子組立体735と発光基板組立体74との位置関係を調整する際、Y軸方向(長尺方向)で見た中央の位置と両端の位置との3つの光(光スポットSP)の2次元ビームプロファイルを取得するものとしている。しかしながら、結像光学素子325(その入射面415)と基板31(その各OLED35(各OELAチップ34))とが、Y軸方向(長尺方向)で見た全長に渡って平行な位置関係とする調整を可能とするものであれば、形成する光(光スポットSP)の個数および位置は適宜設定すればよく、上記した実施例5の方法に限定されるものではない。
なお、上記した各実施例では、本発明に係るプリントヘッドの一例としてのプリントヘッド30、301、302、303、304、305について説明したが、複数の発光部が整列されて設けられた基板と、前記各発光部からの光を像面上で光スポットとする結像光学素子と、前記結像光学素子における撓みを矯正する矯正部材と、を備え、前記結像光学素子は、前記各発光部からの光が入射される入射面と、前記入射面から入射された光を出射させる出射面と、を有し、前記入射面と前記出射面とは、傾斜を為す位置関係とされ、前記結像光学素子は、前記入射面に直交する入射直交方向で前記矯正部材に押し当てられるとともに、前記出射面に直交する出射直交方向で前記矯正部材に押し当てられるプリントヘッドであればよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
また、上記した各実施例では、入射面(41等)と出射面(42等)とが直交された結像光学素子(32等)を用いるものとされていたが、入射面と出射面とが傾斜を為す位置関係とされている結像光学素子であればよく、上記した各実施例の構成に限定されるものではない。
さらに、上記した各実施例では、矯正部材51、512、513を用いる構成、あるいは第1矯正部材65および第2矯正部材69を用いる構成とされている。しかしながら、結像光学素子を、入射面に直交する入射直交方向で矯正部材に押し当てるとともに、出射面に直交する出射直交方向で矯正部材に押し当てる構成とするものであればよく、上記した各実施例の構成に限定されるものではない。
上記した各実施例では、フルカラーの画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタとされた画像形成装置10としていた。しかしながら、本発明に係るプリントヘッド(30)と、それにより静電潜像が形成される像担持体(感光体11)と、静電潜像を可視像化する現像器(13)と、像担持体上に可視像化された画像を記録媒体(P)に転写する転写機構(2次転写ローラ21)と、を備える画像形成装置であればよく、上記した各実施例の構成に限定されるものではない。
上記した実施例1から実施例3では、結像光学素子(32等)の保持部47に矯正平面48を設けていた。しかしながら、入射直交方向で矯正部材(51等)に押し当てられることにより結像光学素子の撓みを矯正するものであればよく、上記した実施例1から実施例3の構成に限定されるものではない。
上記した実施例1から実施例3では、結像光学素子(32等)において各矯正突起49が円錐形状とされていた。しかしながら、対応する基準穴(53等)に対して周面(円錐面)を接触させつつ挿入させることを可能とするものであればよく、上記した実施例1から実施例3の構成に限定されるものではない。
上記した実施例1から実施例3に、実施例4における結像光学素子組立体73と発光基板組立体74とを適切な位置関係として各調整用接着剤77で位置決め固定して一体化する構成を適用するものとしてもよい。その場合、矯正部材51、512、513が第1矯正部材として機能し、一体化された矯正部材51、512、513と結像光学素子32とが結像光学素子組立体となる。このため、矯正部材51、512、513と基板31に結合された第2矯正部材69との間に各調整用接着剤77を設け、結像光学素子組立体と発光基板組立体を適切な位置関係として各調整用接着剤77を硬化させるものとすればよい。このような構成とすると、実施例1から実施例3の効果に加えて、実施例4の効果を得ることができる。
上記した実施例4および実施例5では、結像光学素子(32等)の保持部47に入射矯正平面(61等)を設けていた。しかしながら、入射直交方向で第1矯正部材(65等)に押し当てられることにより結像光学素子の撓みを矯正するものであればよく、上記した実施例4および実施例5の構成に限定されるものではない。
上記した実施例4および実施例5では、結像光学素子(32等)の保持部47の矯正用突起62に出射矯正平面63を設けていた。しかしながら、出射直交方向で第1矯正部材(65等)に押し当てられることにより結像光学素子の撓みを矯正するものであればよく、上記した実施例4および実施例5の構成に限定されるものではない。
以上、本発明のプリントヘッドおよびそれを備える画像形成装置を各実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については各実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。