JP6299197B2 - 小径鋼管杭及びその施工方法 - Google Patents

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Description

本発明は、地盤内に設けられる小径鋼管杭及び地盤内に鋼管杭を設けるための小径鋼管杭の施工方法に関する。
従来より、地中における杭抵抗力を向上させる構造として、特許文献1に開示されるように、打込み用のハンマー等を使用するのみで、締まった状態の地中でも拡開羽根を広げることのできる拡開羽根付地中アンカーが提案されている。
特許文献1に開示された拡開羽根付地中アンカーは、地中に打込む杭体と、杭体の側面に回転軸で軸着された拡開羽根とで構成される。特許文献1に開示された拡開羽根付地中アンカーは、回転軸を中心として杭体の外側に向けて広がるように構成された下羽根と上羽根とが拡開羽根に設けられて、拡開羽根の上羽根が杭体の左右に向いた状態で連結されるものである。
特開2013−136893号公報
しかし、特許文献1に開示された拡開羽根付地中アンカーは、杭体の外側に向けて広がるように構成された下羽根と上羽根とが、杭体の側面に回転軸で軸着された拡開羽根に設けられることから、杭体及び拡開羽根に複雑な加工を実施することが必要となるものである。
このため、特許文献1に開示された拡開羽根付地中アンカーは、杭体及び拡開羽根に複雑な加工を必要とすることから、杭体及び拡開羽根の製造コストが著しく増大するとともに、施工時においても多大な労力を要するため、施工コストが著しく増大するという問題点があった。
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、鋼管本体に複雑な加工を必要とすることなく、地盤内の押込抵抗及び引抜抵抗を強化して、高い支持力が付与された小径鋼管杭及びその施工方法を提供することにある。
第1発明に係る小径鋼管杭は、地盤内に設けられる小径鋼管杭であって、鋼板を巻くことで管軸方向に延びて形成される鋼管本体を備え、前記鋼管本体は、鋼板の幅方向の端部が互いに重ね合わされて接合される一端側の接合部と、前記鋼管本体が地盤内に設けられることで、前記接合部から他端側に向けて、鋼板の幅方向の端部が移動して、前記鋼管本体の外径を拡大させる拡大部とを有することを特徴とする。
第2発明に係る小径鋼管杭は、第1発明において、前記鋼管本体は、鋼板の幅方向の両端部が当接される前記接合部と、前記鋼管本体が地盤内に設けられることで、前記接合部から他端側に向けて、鋼板の幅方向の端部が移動して、前記鋼管本体の外径を拡大させる拡大部とを有することを特徴とする。
第3発明に係る小径鋼管杭は、第1発明又は第2発明において、前記鋼管本体は、鋼板の幅方向の両端部が当接される前記接合部と、前記鋼管本体が地盤内に設けられることで、前記接合部から他端側に向けて、鋼板の幅方向の端部が移動して、鋼板の幅方向の両端部が離間される前記拡大部とを有することを特徴とする。
第4発明に係る小径鋼管杭は、第1発明〜第3発明の何れかにおいて、前記鋼管本体は、前記接合部から他端側に向けて、鋼板の幅方向の端部を移動させるときに、地盤内で拡径力が作用する抵抗部材が、前記拡大部に設けられることを特徴とする。
第5発明に係る小径鋼管杭は、第1発明〜第4発明の何れかにおいて、前記鋼管本体の一端側に連続して設けられる連設鋼管をさらに備えることを特徴とする。
第6発明に係る小径鋼管杭の施工方法は、地盤内に鋼管杭を設けるための小径鋼管杭の施工方法であって、鋼板を巻くことで管軸方向に延びて形成される鋼管本体を、鋼板の幅方向の端部を前記鋼管本体の一端側の接合部で互いに重ね合わせて接合させるとともに、前記接合部から前記鋼管本体の他端側に向けて、鋼板の幅方向の端部を移動させることで、前記鋼管本体の外径を前記鋼管本体の拡大部で拡大させて、地盤内に埋め込むことを特徴とする。
第7発明に係る小径鋼管杭の施工方法は、第6発明において、前記鋼管本体の一端側で、前記接合部に拘束治具を取り付けて、前記接合部から前記鋼管本体の他端側に向けて、鋼板の幅方向の端部を所定の移動範囲で拘束することを特徴とする。
第8発明に係る小径鋼管杭の施工方法は、第6発明又は第7発明において、前記鋼管本体を地盤内に埋め込んで、経時硬化性材料が充填された改良領域と、前記鋼管本体とを一体化させることを特徴とする。
第1発明〜第5発明によれば、鋼板を巻くことによって容易に鋼管本体を形成することができるものであるため、鋼管本体に複雑な加工を必要とすることなく、鋼管本体の外径を拡大部で拡大させるものとして、鋼管本体の製造コストを著しく低減させることが可能となる。
第1発明〜第5発明によれば、鋼管本体に複雑な加工を必要とすることなく、鋼管本体の外径を拡大部で拡大させることができるため、地盤内の押込抵抗及び引抜抵抗等を強化して、高い支持力が付与された鋼管本体を容易に提供することが可能となる。
特に、第4発明によれば、鋼管本体の拡大部に抵抗部材を溶接等で取り付けることで、鋼管本体を逆回転させるときに、抵抗部材にも土砂等や経時硬化性材料が衝突して拡径力が作用するものとして、鋼板の幅方向の端部を移動させる拡径力を増大させて、鋼管本体の外径を拡大部で容易に拡大することが可能となる。
第6発明、第7発明によれば、地盤内で鋼管本体の外径を拡大させるために、特別な工程を必要としない鋼管本体が用いられるものである。これにより、第6発明、第7発明によれば、特別な工程を必要とすることなく、地盤内で鋼管本体の外径を拡大させて、鋼管杭に高い支持力を付与することができるため、施工時の労力の増大を防止して、施工コストを著しく低減させることが可能となる。
特に、第7発明によれば、鋼管本体の接合部に拘束治具を取り付けて、鋼管本体を地盤内に埋め込むことで、鋼管本体の外径の拡大を適切に調節しながら、鋼管本体を地盤内に設けることが可能となる。
特に、第8発明によれば、経時硬化性材料が充填された改良領域と鋼管本体とを一体化させて、鋼管本体の地盤内での支持力を著しく向上させることが可能となる。
本発明を適用した小径鋼管杭が構造物の基礎杭として設けられた状態を示す斜視図である。 本発明を適用した小径鋼管杭の鋼管本体及び連設鋼管を示す斜視図である。 本発明を適用した小径鋼管杭の鋼管本体が鋼板を巻いて形成される状態を示す斜視図である。 本発明を適用した小径鋼管杭の鋼管本体を示す正面図である。 (a)は、本発明を適用した小径鋼管杭の鋼板の変形例を示す正面図であり、(b)は、拡大前の状態を示す正面図であり、(c)は、拡大後の状態を示す正面図である。 本発明を適用した小径鋼管杭の鋼管本体が二重巻きの鋼板で形成される状態を示す斜視図である。 (a)は、本発明を適用した小径鋼管杭の鋼管本体における接合部とボルトナットとを示す正面図であり、(b)は、その平面図である。 (a)は、本発明を適用した小径鋼管杭の鋼管本体における接合部と鋼製リングとを示す正面図であり、(b)は、その平面図である。 (a)は、本発明を適用した小径鋼管杭の鋼管本体における接合部と鋼製リングと略L形の保持部材とを示す正面図であり、(b)は、その平面図である。 (a)は、本発明を適用した小径鋼管杭の鋼管本体における接合部とコンクリートとを示す正面図であり、(b)は、その平面図である。 (a)は、本発明を適用した小径鋼管杭の鋼管本体における接合部とコンクリートと略L形の保持部材とを示す正面図であり、(b)は、その平面図である。 (a)は、本発明を適用した小径鋼管杭の鋼管本体における拡大する前の拡大部の横長孔を示す正面図であり、(b)は、そのC−C線断面図である。 (a)は、本発明を適用した小径鋼管杭の鋼管本体における拡大した後の拡大部の横長孔を示す正面図であり、(b)は、そのC−C線断面図である。 (a)は、本発明を適用した小径鋼管杭の鋼管本体における拡大する前の拡大部のワイヤーと複数の保持部材とを示す正面図であり、(b)は、そのD−D線断面図である。 (a)は、本発明を適用した小径鋼管杭の鋼管本体における拡大する前の拡大部のワイヤーと一つの保持部材とを示す正面図であり、(b)は、そのD−D線断面図である。 (a)は、本発明を適用した小径鋼管杭の鋼管本体における拡大した後の拡大部のワイヤーと一つの保持部材とを示す正面図であり、(b)は、そのD−D線断面図である。 (a)は、本発明を適用した小径鋼管杭の鋼管本体における拡大する前の拡大部のワイヤーと略L形の保持部材とを示す正面図であり、(b)は、そのD−D線断面図である。 (a)は、本発明を適用した小径鋼管杭の鋼管本体における拡大した後の拡大部のワイヤーと略L形の保持部材とを示す正面図であり、(b)は、そのD−D線断面図である。 (a)は、本発明を適用した小径鋼管杭の鋼管本体及び連設鋼管を示す一部破断正面図であり、(b)は、そのE−E線断面図である。 本発明を適用した小径鋼管杭の施工方法の第1実施形態を示す正面図である。 本発明を適用した小径鋼管杭の施工方法の第1実施形態における鋼管本体の外径が拡大する態様を示す正面図である。 本発明を適用した小径鋼管杭の施工方法の第2実施形態を示す正面図である。 (a)は、本発明を適用した小径鋼管杭の鋼管本体が拡大部で拡大する前の状態を示す斜視図であり、(b)は、その拡大した後の状態を示す斜視図である。 (a)は、本発明を適用した小径鋼管杭の鋼管本体が拡大部で拡大する前の状態を示す平面図であり、(b)は、その拡大した後の状態を示す平面図である。 本発明を適用した小径鋼管杭の施工方法で経時硬化性材料が充填された改良領域と鋼管本体とを一体化させる状態を示す正面図である。 本発明を適用した小径鋼管杭の施工方法で鋼管本体の接合部に拘束治具を取り付けた状態を示す斜視図である。 本発明を適用した小径鋼管杭の鋼管本体が拡大部に補助角材が取り付けられて拡大する態様を示す平面図である。 本発明を適用した小径鋼管杭の鋼管本体が拡大部に補助板材が取り付けられて拡大する態様を示す平面図である。
以下、本発明を適用した小径鋼管杭1を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明を適用した小径鋼管杭1は、図1に示すように、地盤上に構築される構造物7の基礎杭等として、打撃、振動又は回転圧入等の打設方法によって、地盤内に設けられるものである。
本発明を適用した小径鋼管杭1は、主に、小規模住宅等の基礎杭として設けられるものであるが、これに限らず、大規模マンションや倉庫等の基礎杭として地盤内に設けることができるだけでなく、地盤改良の代替手段等として地盤内に大量に設けることもできる。
本発明を適用した小径鋼管杭1は、例えば、小規模住宅等の基礎杭に用いられて、鋼管本体2の管軸直交方向Xの外径を50mm〜216.8mm程度、鋼管本体2の管軸方向Yの長さを3m〜20m程度とした範囲で適用される。
本発明を適用した小径鋼管杭1は、これに限らず、大規模マンションや倉庫等の基礎杭に用いられて、鋼管本体2の管軸直交方向Xの外径を400mm〜1000mm程度、鋼管本体2の管軸方向Yの長さを20m〜30m程度とした範囲で適用されてもよい。
本発明を適用した小径鋼管杭1は、図2に示すように、地盤内に埋め込んで設けられる鋼管本体2を備える。また、本発明を適用した小径鋼管杭1は、必要に応じて、さらに、地盤内で鋼管本体2の上端側に設けられる連設鋼管3を備えるものとすることができる。
鋼管本体2は、図3(a)に示すように、管軸直交方向Xを幅方向とするとともに管軸方向Yを長さ方向として、所定の板厚の鋼板6を巻くことで、略筒形状に形成される。鋼管本体2は、図3(b)に示すように、地盤内に埋め込まれる前の状態で、管軸方向Yに延びて略円筒形状に形成される。
鋼管本体2は、図4に示すように、管軸方向Yの上端側となる一端側2aの接合部21と、管軸方向Yの下端側となる他端側2bの拡大部22とを有する。
鋼管本体2は、地盤内に埋め込まれる前後の状態で、鋼板6の幅方向の端部6aが接合部21で接合される。鋼管本体2は、地盤内に埋め込まれた後の状態で、鋼板6の幅方向の端部6aが移動して、鋼管本体2の外径が拡大部22で拡大する。
鋼管本体2は、鋼板6の幅方向の両端部6aが接合部21で互いに重ね合わされて、接合部21から他端側2bに向けて、鋼板6の幅方向の端部6aが移動することで、鋼板6の幅方向の端部6aが傾斜して、鋼管本体2の外径が拡大部22で拡大されるものとなる。
鋼管本体2は、管軸方向Yの一端側2aの接合部21から管軸方向Yの他端側2bの拡大部22に向けて、鋼板6の幅方向の端部6aが所定の傾斜角度θで傾斜して、鋼板6の幅方向の両端部6aが離間する。この傾斜角度θは、例えば、0.05°〜2°、2°〜5°、又は、5°〜10°等となるように設定される。鋼管本体2は、管軸直交方向Xの外径を50mm〜216.8mm程度、管軸方向Yの長さを3m〜20m程度としたとき、拡大部22の拡大前後の拡径率が1.5〜2倍の範囲で、傾斜角度θが0.14°〜8.26°の範囲となる。
鋼管本体2は、図5(a)に示すように、鋼板6の変形例において、一方の端部6aを傾斜させたものが用いられてもよい。鋼管本体2は、図5(b)に示すように、鋼管本体2の外径を拡大部22で拡大させる前の状態で、管軸方向Yの他端側2bで鋼板6の両端部6aが重なり合う部分が大きいものとなる。鋼管本体2は、図5(c)に示すように、鋼管本体2の外径を拡大部22で拡大させた後の状態で、管軸方向Yの他端側2bで鋼板6の両端部6aが離間しないものとなる。
このとき、鋼管本体2は、鋼板6の幅方向の両端部6aが接合部21で当接されて、管軸方向Yの一端側2aから他端側2bまで、鋼板6の幅方向の両端部6aが互いに重ね合わされた状態で、鋼板6の幅方向の両端部6aが離間しないようにして、鋼板6の幅方向の端部6aを所定の傾斜角度θで傾斜させるものとなる。これにより、鋼管本体2は、管軸方向Yの他端側2bが閉じたものとなり、鋼管の中の地盤を拘束する効果が高くなることから、地盤内でより高い支持力を得ることが可能となる。
鋼管本体2は、図6に示すように、鋼板6を二重巻きにすることで、管軸方向Yの一端側2aから他端側2bまで連続して、鋼板6が幅方向で互いに重ね合わされてもよい。これにより、鋼管本体2は、この場合においても、管軸方向Yの他端側2bが閉じたものとなり、鋼管の中の地盤を拘束する効果が高くなって、地盤内でより高い支持力を得ることが可能となる。
接合部21は、図7(a)に示すように、鋼管本体2の管軸方向Yの一端側2aにおいて、鋼板6の幅方向の両端部6aが互いに重ね合わされた状態で、鋼板6の幅方向の両端部6aが当接される。接合部21は、鋼板6を鋼管本体2の管軸直交方向Xに貫通させて、管軸方向Yに延びる略縦長孔として接合孔21aが形成される。接合部21は、図7(b)に示すように、鋼板6に形成された接合孔21aに、ボルトナット41等の拘束部材4が挿通されて、鋼板6の幅方向の端部6aが離間しないようにボルト接合、ピン接合、かしめ接合等で接合される。
接合部21は、図8に示すように、鋼管本体2の管軸方向Yの一端側2aで、鋼管本体2の外周面に沿うように略円環状の鋼製リング42等の拘束部材4が取り付けられて、鋼板6の幅方向の端部6aが接合されてもよい。このとき、接合部21は、鋼板6の幅方向の端部6aが鋼管本体2を縮径させるように移動することを防止するものとして、鋼材等の保持部材43が鋼板6の内面に溶接等で設けられてもよい。接合部21には、図9に示すように、保持部材43として略L形状の形鋼等を設けることもできる。なお、接合部21は、鋼管本体2の管軸方向Yの一端側2aで、鋼板6の幅方向の端部6aが溶接等で溶接接合されてもよい。
接合部21は、図7〜図9に示すように、ボルトナット41や鋼製リング42等の拘束部材4が取り付けられて、鋼板6の幅方向の端部6aが離間しないように接合される。接合部21は、ボルトナット41がピン状の構造であれば、溶接加工でも機械加工された治具であってもよい。接合部21は、これに限らず、図10、図11に示すように、鋼管本体2の管軸方向Yの一端側2aで、鋼管本体2に鉄筋等が挿入された鋼管と鉄筋コンクリートの合成構造等として、鋼板6の幅方向の端部6aが鉄筋で補強されたコンクリート44等で拘束されて接合されてもよい。この場合のコンクリート44は、上部構造である構造物7の柱との接合箇所のフーチング等と併用されてもよい。このコンクリート44は、上部構造から鋼管本体2に導入される曲げモーメントや軸力に耐えうるように、鋼管本体2の所定の範囲に充填されてもよい。
拡大部22は、図12に示すように、地盤内に埋め込まれる前の状態で、鋼板6の幅方向の端部6aを傾斜させることなく、鋼板6の幅方向の端部6aが重ね合わされる。拡大部22は、図13に示すように、地盤内に埋め込まれた後の状態で、鋼板6の幅方向の端部6aが傾斜するように移動して、鋼管本体2の外径が拡大部22で拡大する。拡大部22は、鋼管本体2の管軸方向Yの他端側2bで、鋼板6の幅方向の端部6aが必要以上に傾斜することを防止するものとして、所定の拡大保持機構5が設けられる。
拡大保持機構5は、鋼管本体2の管軸直交方向Xに延びる横長孔51が鋼板6に形成されて、ボルトナット41等が横長孔51に挿通されるものである。拡大保持機構5は、鋼管本体2の外径が拡大する前後の状態で、ボルトナット41等が横長孔51でスライド移動する。拡大保持機構5は、鋼管本体2の外径が拡大した後の状態で、鋼板6の幅方向の両端部6aを互いに離間させないようにボルトナット41等で拘束するものとなる。拡大保持機構5は、横長孔51が必ずしも管軸直交方向Xに延びる必要はなく、拡大部22がスムーズに拡大するように横長孔51の角度が調整されてもよい。拡大保持機構5は、一つ又は複数設けられてもよく、複数の横長孔51が設けられた場合に、鋼管本体2の管軸方向Yで配置される位置によって、拡大部22がスムーズに拡大するように、横長孔51の長さと取り付け角度が調整される。
拡大保持機構5は、図14〜図16に示すように、変形例において、鋼管本体2の拡大部22の外周面で、鋼板6の幅方向の端部6aにワイヤー52等が設けられるものである。拡大保持機構5は、鋼管本体2の外径が拡大する前後の状態で、ワイヤー52が弛んだ状態から張られた状態となる。拡大保持機構5は、鋼管本体2の外径が拡大した後の状態で、鋼板6の幅方向の両端部6aを互いに離間させないようにワイヤー52等で拘束するものとなる。
このとき、拡大部22は、鋼板6の幅方向の端部6aが鋼管本体2を縮径させるように移動することを防止するものとして保持部材43が設けられる。拡大部22は、図14に示すように、鋼管本体2の管軸方向Yに多段として複数の保持部材43が鋼板6の内面に溶接等で設けられてもよい。拡大部22は、図15に示すように、一つの保持部材43が鋼板6の内面に溶接等で設けられてもよい。さらに、拡大部22は、鋼管本体2が所定の深度まで埋め込まれるまで鋼管本体2の外径の拡大を防止するものとして、仮付溶接、樹脂製リング、樹脂製ワイヤー等で仮止めしたものとすることもできる。拡大部22には、図17、図18に示すように、保持部材43として略L形状の形鋼等を設けることもできる。保持部材43は、鋼管本体2の一端側2a、他端側2b又はこれらの中間等に設けることもできる。
連設鋼管3は、図19(a)に示すように、略直管状に形成された断面略円形状の鋼管等が、鋼管本体2の管軸方向Yの一端側2aに連続して設けられる。連設鋼管3は、鋼管本体2に所定の数量が連設されることで、鋼管本体2を所定の深度まで地盤内に埋め込んで設けるものとなる。
連設鋼管3は、図19(b)に示すように、連設鋼管3の下端部3aで管軸直交方向Xに貫通させて、管軸直交方向Xに対向する2箇所の貫通孔31が形成される。連設鋼管3は、これに限らず、連設鋼管3の下端部3aに如何なる数量や態様で貫通孔31が形成されてもよい。
連設鋼管3は、接合孔21aに挿通されたボルトナット41を、連設鋼管3の下端部3aの貫通孔31に挿通させることによって、鋼管本体2の接合部21に固定される。連設鋼管3は、連設鋼管3の内周面で貫通孔31より中間側に、連設鋼管3の管軸方向Yの先端側に突出して形成された鍔部32aを有する内フランジ32が溶接等で取り付けられて設けられる。
本発明を適用した小径鋼管杭1の施工方法は、地盤内に鋼管本体2を設けるためのものであり、第1実施形態において、図20に示すように、鋼管本体2を杭打ち機8で打撃又は振動させることで、鋼管本体2を地盤内に埋め込むものである。
最初に、本発明を適用した小径鋼管杭1の施工方法は、図20(a)に示すように、地盤内に埋め込まれる前の状態で、鋼管本体2の接合部21と拡大部22とを略同一の外径として、鋼管本体2の下端面24が地盤面に当接される。
次に、本発明を適用した小径鋼管杭1の施工方法は、図20(b)に示すように、ハンマー又はバイブロハンマー81で鋼管本体2を打撃して又は振動させながら、鋼管本体2の拡大部22から先行させて、鋼管本体2が地盤内に埋め込まれる。
最後に、本発明を適用した小径鋼管杭1の施工方法は、図20(c)に示すように、鋼管本体2の接合部21から拡大部22に向けて、鋼管本体2の外径を拡大部22で拡大させて、鋼管本体2が地盤内に埋め込まれて、本発明を適用した小径鋼管杭1が地盤内に設けられるものとなる。
本発明を適用した小径鋼管杭1の施工方法は、図21(a)に示すように、鋼管本体2の拡大部22から先行させて、鋼管本体2が地盤内に埋め込まれるときに、鋼管本体2の内側に地盤内の土砂9が流入する。これにより、本発明を適用した小径鋼管杭1の施工方法は、図21(b)に示すように、鋼管本体2の内側に流入した土砂9によって、鋼管本体2の内面が押圧されて、鋼管本体2の外径が拡大部22で管軸直交方向Xに拡大するものとなる。
本発明を適用した小径鋼管杭1の施工方法は、第2実施形態において、図22に示すように、鋼管本体2を杭打ち機8で回転圧入させることで、鋼管本体2を地盤内に埋め込むものである。
最初に、本発明を適用した小径鋼管杭1の施工方法は、図22(a)に示すように、鋼管本体2が地盤内に埋め込まれる前の状態で、鋼管本体2の接合部21と拡大部22とを略同一の外径として、鋼管本体2の下端面24が地盤面に当接される。
次に、本発明を適用した小径鋼管杭1の施工方法は、図22(b)に示すように、圧入機82で鋼管本体2を回転させながら、鋼管本体2の拡大部22から先行させて鋼管本体2が地盤内に埋め込まれる。このとき、本発明を適用した小径鋼管杭1の施工方法は、時計回り又は反時計回りの何れか一方の順方向に向けてのみ、鋼管本体2を順回転Aさせるものとなる。
最後に、本発明を適用した小径鋼管杭1の施工方法は、図22(c)に示すように、鋼管本体2を所定の深度まで到達させた状態で、圧入機82の回転方向を逆方向にして、鋼管本体2を逆回転Bさせる。このとき、本発明を適用した小径鋼管杭1の施工方法は、鋼管本体2の接合部21から拡大部22に向けて、鋼管本体2の外径を拡大部22で拡大させて、本発明を適用した小径鋼管杭1が地盤内に設けられるものとなる。
本発明を適用した小径鋼管杭1の施工方法は、図23(a)に示すように、鋼管本体2の接合部21と拡大部22とを略同一の外径とした状態で、鋼管本体2を順回転Aさせるものとなる。本発明を適用した小径鋼管杭1の施工方法は、鋼板6の幅方向の端部6aが一端側2aの接合部21で接合されて、鋼管本体2の外径を他端側2bの拡大部22で拡大させる前の状態となる。
本発明を適用した小径鋼管杭1の施工方法は、図23(b)に示すように、鋼板6の幅方向の端部6aが一端側2aの接合部21で接合された状態で、鋼管本体2を逆回転Bさせて、鋼板6の幅方向の端部6aが傾斜するように移動する。本発明を適用した小径鋼管杭1の施工方法は、鋼板6の幅方向の端部6aを鋼管本体2の接合部21から拡大部22に向けて傾斜させるように移動させることで、鋼管本体2の外径を拡大部22で拡大させるものとなる。
本発明を適用した小径鋼管杭1の施工方法は、図23(a)、図24(a)に示すように、鋼管本体2を順回転Aさせるときに、鋼管本体2の縮径を保持部材43で防止するものとなる。本発明を適用した小径鋼管杭1の施工方法は、鋼管本体2が所定の深度まで埋め込まれた状態で、図23(b)、図24(b)に示すように、鋼管本体2を逆回転Bさせることで、鋼板6の幅方向の端部6aに土砂9が衝突して拡径力Pが作用する。これにより、本発明を適用した小径鋼管杭1の施工方法は、鋼管本体2の外径が拡大部22で拡大するものとなる。
本発明を適用した小径鋼管杭1の施工方法は、図25に示すように、鋼管本体2の外径を拡大部22で拡大させて、鋼管本体2を地盤内に埋め込んで、鋼管本体2の周辺地盤に、経時硬化性材料90が充填された改良領域91を形成させることもできる。このとき、本発明を適用した小径鋼管杭1の施工方法は、経時硬化性材料90が充填された改良領域91と鋼管本体2とを一体化させて、鋼管本体2の地盤内での支持力を著しく向上させることが可能となる。
本発明を適用した小径鋼管杭1の施工方法は、第2実施形態において、鋼管本体2が順回転Aの回転圧入で地盤内に埋め込まれるときに、鋼管本体2の接合部21と拡大部22とが略同一の外径の状態となるものである。これにより、本発明を適用した小径鋼管杭1の施工方法は、所定の深度まで鋼管本体2の外径を拡大部22で拡大させることなく、鋼管本体2の回転圧入抵抗を十分に低減させて、鋼管本体2を地盤内に容易に回転圧入することが可能となる。さらに、本発明を適用した小径鋼管杭1の施工方法は、鋼管本体2の周面地盤を乱さずに、鋼管本体2を地盤内に設けることができるため、鋼管本体2の周面抵抗力を増大させて、本発明を適用した小径鋼管杭1に高い支持力を付与することが可能となる。
本発明を適用した小径鋼管杭1の施工方法は、第2実施形態において、鋼管本体2が所定の深度まで埋め込まれた状態で、鋼管本体2を逆回転Bさせることにより、任意の深度で鋼管本体2の外径を拡大部22で拡大することができる。これにより、本発明を適用した小径鋼管杭1の施工方法は、鋼管本体2の周面地盤を乱さずに、鋼管本体2を地盤内に設けたうえで、任意の深度で鋼管本体2の外径を拡大させて、本発明を適用した小径鋼管杭1に高い支持力を付与することが可能となる。
本発明を適用した小径鋼管杭1の施工方法は、第1実施形態及び第2実施形態の何れにおいても、図20、図22に示すように、地盤内で鋼管本体2の外径を拡大させるために、特別な工程を必要としない鋼管本体2が用いられるものである。これにより、本発明を適用した小径鋼管杭1の施工方法は、特別な工程を必要とすることなく、地盤内で鋼管本体2の外径を拡大させて、本発明を適用した小径鋼管杭1に高い支持力を付与することができるため、施工時の労力の増大を防止して、施工コストを著しく低減させることが可能となる。
本発明を適用した小径鋼管杭1の施工方法は、第1実施形態及び第2実施形態の何れにおいても、図26に示すように、鋼管本体2の管軸方向Yの一端側2aで、鋼管本体2の接合部21に拘束治具27を取り付けることができる。
拘束治具27は、鋼管本体2の管軸方向Yに所定の角度で傾斜するテーパ状の側壁27aを有する。拘束治具27は、接合部21のボルトナット41で固定されて、鋼管本体2の管軸方向Yに所定の延長を有するものが取り付けられる。拘束治具27は、鋼管本体2の接合部21から鋼管本体2の他端側2bに向けて、鋼板6の幅方向の端部6aを所定の移動範囲で拘束して、鋼管本体2の外径が必要以上に拡大しないように調節するものとなる。
本発明を適用した小径鋼管杭1の施工方法は、第1実施形態及び第2実施形態の何れにおいても、鋼管本体2の接合部21に拘束治具27を取り付けて、鋼管本体2を地盤内に埋め込むことで、鋼管本体2の外径の拡大を適切に調節しながら、鋼管本体2を地盤内に設けることが可能となる。本発明を適用した小径鋼管杭1の施工方法は、図4に示すように、鋼板6の幅方向の両端部6aが拡大部22で離間した場合に、離間部分で鋼管本体2の曲げ耐力が低下するおそれがあるものの、鋼管本体2に拘束治具27を取り付けることで、鋼管本体2の曲げ耐力を向上させることが可能となる。
本発明を適用した小径鋼管杭1は、図27(a)に示すように、鋼管本体2の拡大部22に抵抗部材20となる断面略三角形状の補助角材25を溶接等で取り付けることもできる。このとき、本発明を適用した小径鋼管杭1は、鋼管本体2を順回転Aさせるときに、補助角材25の傾斜面25aで土砂9からの抵抗力を受けないものとすることができる。また、本発明を適用した小径鋼管杭1は、図27(b)に示すように、鋼管本体2を逆回転Bさせるときに、補助角材25の垂直面25bにも土砂9が衝突して拡径力Pが作用するものとなる。これにより、本発明を適用した小径鋼管杭1は、鋼板6の幅方向の端部6aを移動させる拡径力Pを増大させて、鋼管本体2の外径を拡大部22で容易に拡大することが可能となる。
本発明を適用した小径鋼管杭1は、図28(a)に示すように、鋼管本体2の拡大部22に抵抗部材20となる略平板状の補助板材26を溶接等で取り付けることもできる。このとき、本発明を適用した小径鋼管杭1は、鋼管本体2を順回転Aさせるときに、補助板材26が鋼管本体2の外周面に当接されて土砂9からの抵抗力を受けないものとすることができる。また、本発明を適用した小径鋼管杭1は、図28(b)に示すように、鋼管本体2を逆回転Bさせるときに、補助板材26が取付部26aを支点として鋼管本体2の外周面から離間するように回動して、補助板材26にも土砂9が衝突して拡径力Pが作用するものとなる。これにより、本発明を適用した小径鋼管杭1は、鋼板6の幅方向の端部6aを移動させる初期の拡径力Pを増大させて、鋼管本体2の外径を拡大部22で容易に拡大することが可能となる。
本発明を適用した小径鋼管杭1は、図3、図4に示すように、鋼板6を巻くことによって容易に鋼管本体2を形成することができるものである。これにより、本発明を適用した小径鋼管杭1は、鋼管本体2に複雑な加工を必要とすることなく、鋼管本体2の外径を拡大部22で拡大させるものとして、鋼管本体2の製造コストを著しく低減させることが可能となる。
本発明を適用した小径鋼管杭1は、鋼管本体2に複雑な加工を必要とすることなく、鋼管本体2の外径を拡大部22で拡大させることができるため、地盤内の押込抵抗及び引抜抵抗等を強化して、高い支持力が付与された鋼管本体2を容易に提供することが可能となる。
本発明を適用した小径鋼管杭1は、図7(a)に示すように、接合孔21aが管軸方向Yに延びる略縦長孔として形成されることで、鋼板6の幅方向の端部6aが傾斜するように移動するときに、接合部21の管軸方向Yの移動を容易にして、鋼管本体2の外径を拡大部22で円滑に拡大させることが可能となる。
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明したが、上述した実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。
1 :小径鋼管杭
2 :鋼管本体
2a :一端側
2b :他端側
20 :抵抗部材
21 :接合部
21a :接合孔
22 :拡大部
23 :上端面
24 :下端面
25 :補助角材
25a :傾斜面
25b :垂直面
26 :補助板材
26a :取付部
27 :拘束治具
27a :側壁
3 :連設鋼管
3a :下端部
31 :貫通孔
32 :内フランジ
32a :鍔部
4 :拘束部材
41 :ボルトナット
42 :鋼製リング
43 :保持部材
44 :コンクリート
5 :拡大保持機構
51 :横長孔
52 :ワイヤー
6 :鋼板
6a :端部
7 :構造物
8 :杭打ち機
81 :バイブロハンマー
82 :圧入機
9 :土砂
X :管軸直交方向
Y :管軸方向

Claims (8)

  1. 地盤内に設けられる小径鋼管杭であって、
    鋼板を巻くことで管軸方向に延びて形成される鋼管本体を備え、
    前記鋼管本体は、鋼板の幅方向の端部が互いに重ね合わされて接合される一端側の接合部と、前記鋼管本体が地盤内に設けられることで、前記接合部から他端側に向けて、鋼板の幅方向の端部が移動して、前記鋼管本体の外径を拡大させる拡大部とを有すること
    を特徴とする小径鋼管杭。
  2. 前記鋼管本体は、鋼板の幅方向の両端部が当接される前記接合部と、前記鋼管本体が地盤内に設けられることで、前記接合部から他端側に向けて、鋼板の幅方向の端部が移動して、前記鋼管本体の外径を拡大させる拡大部とを有すること
    を特徴とする請求項1記載の小径鋼管杭。
  3. 前記鋼管本体は、鋼板の幅方向の両端部が当接される前記接合部と、前記鋼管本体が地盤内に設けられることで、前記接合部から他端側に向けて、鋼板の幅方向の端部が移動して、鋼板の幅方向の両端部が離間される前記拡大部とを有すること
    を特徴とする請求項1又は2記載の小径鋼管杭。
  4. 前記鋼管本体は、前記接合部から他端側に向けて、鋼板の幅方向の端部を移動させるときに、地盤内で拡径力が作用する抵抗部材が、前記拡大部に設けられること
    を特徴とする請求項1〜3の何れか1項記載の小径鋼管杭。
  5. 前記鋼管本体の一端側に連続して設けられる連設鋼管をさらに備えること
    を特徴とする請求項1〜4の何れか1項記載の小径鋼管杭。
  6. 地盤内に鋼管杭を設けるための小径鋼管杭の施工方法であって、
    鋼板を巻くことで管軸方向に延びて形成される鋼管本体を、鋼板の幅方向の端部を前記鋼管本体の一端側の接合部で互いに重ね合わせて接合させるとともに、前記接合部から前記鋼管本体の他端側に向けて、鋼板の幅方向の端部を移動させることで、前記鋼管本体の外径を前記鋼管本体の拡大部で拡大させて、地盤内に埋め込むこと
    を特徴とする小径鋼管杭の施工方法。
  7. 前記鋼管本体の一端側で、前記接合部に拘束治具を取り付けて、前記接合部から前記鋼管本体の他端側に向けて、鋼板の幅方向の端部を所定の移動範囲で拘束すること
    を特徴とする請求項6記載の小径鋼管杭の施工方法。
  8. 前記鋼管本体を地盤内に埋め込んで、経時硬化性材料が充填された改良領域と、前記鋼管本体とを一体化させること
    を特徴とする請求項6又は7記載の小径鋼管杭の施工方法。
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