JP6296611B2 - ヘルメット - Google Patents

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Description

本発明は、ヘルメットに関する。
本発明は、自動二輪車の乗員が装着するヘルメットに関するものである。
自動二輪車の乗員には、万一の事故発生の際に頭部、特に前頭部を保護する観点からヘルメットの着用が義務付けられている。このヘルメットは、事故を起こした場合、特に頭部を強打した事故の場合であっても最悪の結果を招かぬよう安全性の面において日々進化している。
特に前頭部を保護するという観点から、フルフェイス型ヘルメットは、前方上部の視野がやや犠牲となっている。そして、自動二輪車が高速で走行するにつれ、走行時の乗員の姿勢はより前傾姿勢となる。したがって、高速走行中は、フルフェイス型ヘルメットの前方上部がより見難くなる傾向にある。
オートバイによるモータースポーツであって、二輪ロードレースの最高峰カテゴリであるロードレース世界選手権に出場するライダー達も、クラッシュ時の頭部保護のため、主にレースを目的として開発されたフルフェイス型ヘルメットを着用している。そして、図23に示すように、急角度のカーブを通過する際のコーナリングにおいて、乗車姿勢を大きく傾け、低い姿勢の状態で次のコースの情報を得ようとするため、極端な上目遣いで前方を注視することになる。図23は、ロードレースに参加しているライダーが、急角度のカーブを通過する際のコーナリングにおいて、乗車姿勢を大きく傾け、低い姿勢の状態で次のコースの情報を得ようとする状態を説明する図である。この際、フルフェイス型ヘルメットの前方上部が見難くなることによって、ライダー達の視野が妨げられている。
特許文献1から特許文献3には、ヘルメットに加わる衝撃荷重のうち、帽体シェルの外表面に沿う方向に加わる加速度である回転力を効果的に吸収するため、外側ライナーと内側ライナーとを互いに滑り易くし、回転方向の自由度を大きくすることにより、衝撃による回転力を吸収し易くするヘルメットが開示されている。また、特許文献4には、内部裏地の第一層と第二層の厚み、高さ及び材料の組み合わせを変化させることにより、頭部の特性、ヘルメットの使用状況に応じて注文特製の選択を大きくするヘルメットが開示されている。
特開2001−295129号公報 国際公開第2012/037927号 国際公開第2013/071916号 欧州特許出願公開第2484239号明細書
上述したようにフルフェイス型ヘルメットの前方上部の視野を確保するため、一般ユーザは、必要に応じて運転中に片手ハンドルで体を起こすことにより一時的に前方上部の視野を確保したり、意識的にヘルメットをやや後方にずらして装着したりすることにより、前方上部の視野を確保するといったことを行っている。しかしながら、ヘルメットと乗員の頭部とがフィットするポジションは1ポジションしかないため、ヘルメットをずらして装着するということは、ヘルメットが頭部にフィットしていない状態であり、万が一事故が起きたとき、ヘルメットの防御効果が十分発揮されず重大な事故を引き起こしかねないという問題がある。
また、モータースポーツのライダー達も、急角度のカーブを通過する際のコーナリングにおいて、乗車姿勢を大きく傾け、低い姿勢の状態で次のコースの情報を容易に得ることができるよう、フルフェイス型ヘルメットをやや後方に意識的にずらして装着することを行っており、これはやはりヘルメットが頭部にフィットしていない状態であり、一般道と比較にならないほど高速度で走行するレースにおいては、クラッシュ等が発生した場合、命取りとなりかねないという問題がある。
また、特許文献1から3に開示されているヘルメットでは、ヘルメットに加わる衝撃荷重を吸収し易くすることを目的として、帽体内部の外側ライナーと内側ライナーとが互いに回転する機構を設けているが、フルフェイス型ヘルメットを装着したときに前方上部の視野を確保することを目的として帽体内部を回転可能としているものではない。さらに、特許文献4に開示されているヘルメットは、内部裏地の第一層と第二層の厚み、高さ及び材料の組み合わせを変化させることにより、着用心地の良いヘルメットを得ることを目的としている。したがって、これ等の文献では、ヘルメットを普通に装着し、前傾姿勢でオートバイに乗車したとき、前方上部の視野を十分確保できないという問題は依然として解決されないといえる。
そこで、本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであって、乗員が極端に前傾姿勢となった場合であっても、ヘルメットが乗員の頭部にフィットし、かつ、ヘルメット前方上部の視界を良好に確保することが可能なヘルメットを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明におけるヘルメットは、乗員の後頭部に当接する第1のパッドと、前記乗員のほおに当接する第2のパッドと、を含むヘルメットであって、前記第1のパッドは、少なくとも前記後頭部の第1後頭部当接位置と第2後頭部当接位置とにおいて前記後頭部にそれぞれ当接するよう移動可能に設けられており、前記第2のパッドは、前記第1のパッドが前記第1後頭部当接位置から前記第2後頭部当接位置へ移動すると、前記ほおにそれぞれ当接する第1ほお当接位置から第2ほお当接位置へ移動可能に設けられており、前記第1のパッドが前記第1後頭部当接位置にあり、前記第2のパッドが前記第1ほお当接位置にある第1状態から、前記第1のパッドが前記第2後頭部当接位置へ移動し、前記第2のパッドが前記第2ほお当接位置へ移動する第2状態になると、前記ヘルメットは、前記乗員の頭部に対して相対的に所定の距離だけ移動することを特徴とする。
また、請求項2に記載の本発明におけるヘルメットは、請求項1に記載のヘルメットにおいて、前記所定の距離の移動は、前記乗員の側面視において、前記ヘルメットが前記乗員の前頭部から後頭部へ向けて回転することであることを特徴とする。
さらに、請求項3に記載の本発明におけるヘルメットは、請求項1又は2に記載のヘルメットにおいて、前記第2状態における前記乗員の前方の仰角は、前記第1状態における前記乗員の前方の仰角と比較して大きいことを特徴とする。
また、請求項4に記載の本発明におけるヘルメットは、請求項1から3の何れか1項に記載のヘルメッにおいて、前記第1のパッドは、前記ヘルメットの内側に嵌め込まれたライナーの内側に取り付けられるセンターパッドに接合されていることを特徴とする。
そして、請求項5に記載の本発明におけるヘルメットは、請求項1から4の何れか1項に記載のヘルメットにおいて、前記第1後頭部当接位置と前記第2後頭部当接位置とのそれぞれの位置において、前記第1のパッドを前記ヘルメットの内側に固定する第1パッド固定機構と、前記第1ほお当接位置と前記第2ほお当接位置とのそれぞれの位置において、前記第2のパッドを前記ヘルメットの内側に固定する第2パッド固定機構とをさらに含むことを特徴とする。
本発明によれば、乗員が極端に前傾姿勢となった場合であっても、ヘルメットが乗員の頭部にフィットし、かつ、ヘルメット前方上部の視界を良好に確保することが可能なヘルメットを得ることができる。
本実施形態に係るヘルメット全体の斜視図である。 本実施形態に係るヘルメット全体の側面図である。 本実施形態に係るヘルメットの背面図である。 本実施形態に係るヘルメットの第2のパッド(以下、「チークパッド」という。)の位置及び第1のパッド(以下、「ネックパッド」という。)の位置をそれぞれ示す図である。 本実施形態に係るヘルメットの両側面にあるチークパッドの位置を、互いに移動可能な第1ほお当接位置と第2ほお当接位置とのそれぞれの位置において固定する機構において、チークパッドが第1ほお当接位置にあるときの状態を示す図である。 本実施形態に係るヘルメットの両側面にあるチークパッドの位置を、互いに移動可能な第1ほお当接位置と第2ほお当接位置とのそれぞれの位置において固定する機構がチークパッドに取り付けられ、チークパッドが第1ほお当接位置にあるときのチークパッドをヘルメットから外した状態を示す図である。 本実施形態に係るヘルメットの両側面にあるチークパッドの位置を、互いに移動可能な第1ほお当接位置と第2ほお当接位置とのそれぞれの位置において固定する機構において、チークパッドが第2ほお当接位置にあるときの状態を示す図である。 本実施形態に係るヘルメットの両側面にあるチークパッドの位置を、互いに移動可能な第1ほお当接位置と第2ほお当接位置とのそれぞれの位置において固定する機構がチークパッドに取り付けられ、チークパッドが第2ほお当接位置にあるときのチークパッドをヘルメットから外した状態を示す図である。 本実施形態に係るヘルメットの両側面にあるチークパッドの位置を、互いに移動可能な第1ほお当接位置と第2ほお当接位置とのそれぞれの位置において固定する機構の他の具体例について説明する図である。 本実施形態に係るヘルメットの両側面にあるチークパッドの位置を移動させる溝の他の例について説明する図である。 本実施形態に係るヘルメットの後面にあるネックパッドの位置を、互いに移動可能な第1後頭部当接位置と第2後頭部当接位置とのそれぞれの位置において固定する機構において、ネックパッドが第1後頭部当接位置にあるときの状態を示す図である。 本実施形態に係るヘルメットの後面にあるネックパッドの位置を、互いに移動可能な第1後頭部当接位置と第2後頭部当接位置とのそれぞれの位置において固定する機構がネックパッドに取り付けられ、第1後頭部当接位置にあるときのネックパッドをヘルメットから外した状態を示す図である。 本実施形態に係るヘルメットの後面にあるネックパッドの位置を、互いに移動可能な第1後頭部当接位置と第2後頭部当接位置とのそれぞれの位置において固定する機構において、ネックパッドが第2後頭部当接位置にあるときの状態を示す図である。 本実施形態に係るヘルメットの後面にあるネックパッドの位置を、互いに移動可能な第1後頭部当接位置と第2後頭部当接位置とのそれぞれの位置において固定する機構がネックパッドに取り付けられ、第2後頭部当接位置にあるときのネックパッドをヘルメットから外した状態を示す図である。 本実施形態に係るヘルメットの後面にあるネックパッドの位置を移動させる溝の他の例について説明する図である。 乗員の姿勢が最も起きた状態で、本実施形態に係るヘルメット内側の両側面にあるチークパッドの位置を第1ほお当接位置において固定する機構及び後面にあるネックパッドの位置を第1後頭部当接位置において固定する機構の状態を示す模式図である。 乗員の姿勢が最も前傾になった状態で、本実施形態に係るヘルメット内側の両側面にあるチークパッドの位置を第2ほお当接位置において固定する機構及び後面にあるネックパッドの位置を第2後頭部当接位置において固定する機構の状態を示す模式図である。 ネックパッドを第1後頭部当接位置に固定し、チークパッドを第1ほお当接位置に固定して本実施形態に係るヘルメットを被ったときの乗員の前方の仰角について説明する図である。 ネックパッドを第2後頭部当接位置に固定し、チークパッドを第2ほお当接位置に固定して本実施形態に係るヘルメットを被ったときの乗員の前方の仰角について説明する図である。 保持性(ロールオフ)試験の結果を(a)本発明の実施形態に係るヘルメット、(b)従来品のヘルメットについて説明する図である。 本発明の実施形態に係るヘルメットの衝撃吸収性試験の結果を示す図である。 従来品のヘルメットの衝撃吸収性試験の結果を示す図である。 ロードレースに参加しているライダーが、急角度のカーブを通過する際のコーナリングにおいて、乗車姿勢を大きく傾け、低い姿勢の状態で次のコースの情報を得ようとする状態を説明する図である。
本発明は、ヘルメットを着用し前傾姿勢で乗車したときに、ヘルメットのフィッティングを維持したまま、前方上部の視界を改善することを図ったものである。すなわち、ヘルメットの内装パッドを、通常の固定箇所から僅かな距離だけ移動させ、乗員の頭部に対してヘルメットを、相対的に所定の距離だけ移動することにより、ヘルメットが乗員の頭部にフィットし、かつ、前傾姿勢で乗車したときの乗員の前方上部の視界を良好に確保することとしている。
まず、本発明の実施形態に係るヘルメットの全体形状について説明する。図1は、本実施形態に係るヘルメット全体の斜視図であり、図2は、本実施形態に係るヘルメット全体の側面図である。また、図3は、本実施形態に係るヘルメットの背面図である。
図1から図3において、自動二輪車の乗員用ヘルメットには、その前面窓3を覆うシールド2が着脱可能に装備されている。このシールド2は、透光性を有し、かつ硬質の合成樹脂(例えば、ポリカーボネイト)で成形されている。また、後述するように、図16及び図17において、ヘルメット1の内側の、乗員の頭部4N、4Fと接する部分に内装パッドが取り付けられている。そして、本発明の実施形態に係るヘルメットの特徴は、図2に示す領域Aの内装に、チークパッドを、互いに移動可能な第1の位置と第2の位置とのそれぞれの位置において固定する部材を設け、図3に示す領域Bの内装に、ネックパッドを、互いに移動可能な第1の位置と第2の位置とのそれぞれの位置において固定する部材を設けたことにより、ネックパッドと接合されているセンターパッドを、通常の固定状態である第1状態から、僅かな距離だけ移動させた第2状態に動かした点にある。ここで、チークパッドとネックパッドについて簡単に説明する。チークパッドとは、ヘルメット1の内側に配置されるほおの部分の内装パッドのことを指し、ネックパッドとは、後頭部と首との間の部分の内装パッドのことを指し、何れも頭部全体の深い被りをサポートするものである。なお、図中、前矢印は自動二輪車の進行方向、後矢印は進行方向の反対方向、左右矢印は進行方向と垂直な方向であって、進行方向に対する左右方向をそれぞれ指し示している。
次に、本実施形態に係るヘルメットのチークパッドの位置及びネックパッドの位置について説明する。図4は、本実施形態に係るヘルメットのチークパッドの位置及びネックパッドの位置をそれぞれ示す図である。図4に示すように、ヘルメット1の別のパッドとネックパッドとが一体となってセンターパッド9を形成している。なお、センターパッド9の形状は、乗員の額から頭頂部を経て首の上の部分までを覆う大きいパッド、乗員の後頭部のみを覆う小さいパッド、1つのパッドが、前頭部、頭頂部、左右側頭部、及び後頭部をそれぞれ覆う各パーツに分割可能なパッド等、任意の形状、構造を採り得る。すなわち、ネックパッドと接合されているものであれば、如何なる形状、構造を有していたとしてもセンターパッドと称されるものである。
図4において、矢印X方向から見た領域Aの内部に、チークパッドの位置を、互いに移動可能な第1の位置と第2の位置とのそれぞれの位置において固定する機構が、矢印Yから見た領域Bの内部に、ネックパッドの位置を、互いに移動可能な第1の位置と第2の位置とのそれぞれの位置において固定する機構がそれぞれ設けられている。以下、チークパッドの位置を、第1の位置と第2の位置とのそれぞれの位置において固定する機構、及びネックパッドの位置を、第1の位置と第2の位置とのそれぞれの位置において固定する機構について詳細に説明する。
はじめに、ヘルメット内側の両側面にあるチークパッドの位置を、互いに移動可能な第1ほお当接位置と第2ほお当接位置とのそれぞれの位置において固定する機構の具体的な一例について説明する。図5は、本実施形態に係るヘルメットの両側面にあるチークパッドの位置を、互いに移動可能な第1ほお当接位置と第2ほお当接位置とのそれぞれの位置において固定する機構において、チークパッドが第1ほお当接位置にあるときの状態を示す図である。図6は、本実施形態に係るヘルメットの両側面にあるチークパッドの位置を、互いに移動可能な第1ほお当接位置と第2ほお当接位置とのそれぞれの位置において固定する機構がチークパッドに取り付けられ、チークパッドが第1ほお当接位置にあるときのチークパッドをヘルメットから外した状態を示す図である。
また、図7は、本実施形態に係るヘルメットの両側面にあるチークパッドの位置を、互いに移動可能な第1ほお当接位置と第2ほお当接位置とのそれぞれの位置において固定する機構において、チークパッドが第2ほお当接位置にあるときの状態を示す図である。図8は、本実施形態に係るヘルメットの両側面にあるチークパッドの位置を、互いに移動可能な第1ほお当接位置と第2ほお当接位置とのそれぞれの位置において固定する機構がチークパッドに取り付けられ、チークパッドが第2ほお当接位置にあるときのチークパッドをヘルメットから外した状態を示す図である。
図5から図8に示すように、本実施形態に係るヘルメット内側の両側面にあるチークパッドの位置を、互いに移動可能な第1ほお当接位置と第2ほお当接位置とのそれぞれの位置において固定する機構50は、その具体的な一例として、第1部材51と第2部材52とから構成され、両者は部材53と部材54、55とによって係合されている。図5及び図7に示すように、第1部材51に部材53、部材54、55によって係合された第2部材52は、部材53を支点として、部材54が溝540を、部材55が溝550をそれぞれ移動することによって、第1部材51と第2部材52との相対位置が、互いに移動可能な第1ほお当接位置と第2ほお当接位置との間で変化するように構成されている。ここで、図6及び図8に示すように、第1部材51は、チークパッド7と一体的に接合されており、図6、図8のチークパッド7を矢印方向に取り付けることにより、チークパッド7は、第2部材52及び第1部材51を介して、部材53と53´、部材54と54´、部材55と55´がそれぞれ固着することでヘルメット1と接続される。
なお、上記実施形態では、チークパッドの位置を、互いに移動可能な第1ほお当接位置と第2ほお当接位置とのそれぞれの位置において固定する機構50として、いわゆるホックが溝を移動する機構について具体例を挙げて説明している。しかしながら、チークパッドの位置を、互いに移動可能な第1ほお当接位置と第2ほお当接位置とのそれぞれの位置において固定する機構50は、上記挙げたホックが溝を移動する機構に限定されることなく、チークパッドの位置を、互いに移動可能な第1ほお当接位置と第2ほお当接位置とのそれぞれの位置において固定することが可能な機構であれば、如何なる構造を用いても良いことはいうまでもない。
例えば、図9に示すような、着脱可能な面ファスナーを用いてチークパッドの位置を、互いに移動可能な第1ほお当接位置と第2ほお当接位置とのそれぞれの位置において固定することも可能である。図9は、本実施形態に係るヘルメットの両側面にあるチークパッドの位置を、互いに移動可能な第1ほお当接位置と第2ほお当接位置とのそれぞれの位置において固定する機構の他の具体例について説明する図である。図9に示すように、フック状に起毛された側(雌側10)と、ループ状に密集して起毛された側(雄側11)とを押し付ける、又は剥がすことにより、固定又は移動することが可能である。
また、上記実施の形態では、1つの部材を支点として、他の部材が溝を移動することにより第1部材と第2部材との間の相対位置を変化させているが、チークパッドの位置を、互いに移動可能な第1ほお当接位置と第2ほお当接位置とのそれぞれの位置において固定する機構50は、この具体例に限定されないことも勿論である。すなわち、チークパッドの位置を、互いに移動可能な第1ほお当接位置と第2ほお当接位置とのそれぞれの位置において固定することが可能な機構であれば、第1部材51、第2部材52といった複数の部材ではなく、単一の部材を用いた機構を採用しても構わない。
そして、姿勢を最も起こした状態で乗員がヘルメット1を被ったとき、第1部材51と第2部材52との位置関係を、図5、図6に示す状態にしておく。そして、姿勢を最も前傾にした状態で乗員がヘルメット1を被ったとき、第1部材51を、図5の矢印P方向にずらすことにより、部材54、55が、溝540、550をそれぞれ移動する。そうすると、第1部材51と第2部材52との位置関係は、図7、図8に示す状態になる。これにより、チークパッド7がヘルメット1に対して下方、すなわちほおからあごの方向にずれると共に、後述するようにヘルメット1の内側に取り付けられるセンターパッド9がヘルメット1に対して乗員の頭頂部から前方へ向けて移動することに伴い、チークパッド7があごからほおに向かって強く当たる現象を回避し、センターパッド9を僅かな距離だけ乗員の頭頂部から前方へずらした場合であっても、チークパッド7がほおに当たることによりヘルメットが乗員の頭部にフィットし、かつ、前方上方の視界を確保することができるのである。この点については、後述する。
また、乗員が姿勢を最も起こした状態になったときは、第1部材51を、図7の矢印Q方向にずらすことにより、部材54、55が、溝540、550をそれぞれ移動する。そうすると、第1部材51と第2部材52との位置関係は、図5、図6に示す状態に戻る。
なお、上記実施形態においては、溝540、550の形状として、部材54、55の中心が、溝540、550の中心を直線状に移動するよう複数の円が連なって連結している例を挙げて説明しているが、溝540、550の形状は、図10に示すように、任意の形状を採ることが可能である。図10は、本実施形態に係るヘルメットの両側面にあるチークパッドの位置を移動させる溝の他の例について説明する図である。
すなわち、図10(a)に示すように複数の円の中心が直線状に連結している形状だけでなく、図10(b)に示すように、部材54、55の中心が、複数の円の中心を三角形状に移動するよう連結している形状であったり、図10(c)に示すように、部材54、55の中心が、逆コの字型を形成するように移動するよう連結している形状であったりしても良い。図10に示す以外にも、任意の形状を採り得ることは勿論である。
次に、ヘルメットの後頭部下端にあるネックパッドの位置を、互いに移動可能な第1後頭部当接位置と第2後頭部当接位置とのそれぞれの位置において固定する機構の具体的な一例について説明する。図11は、本実施形態に係るヘルメットの後面にあるネックパッドの位置を、互いに移動可能な第1後頭部当接位置と第2後頭部当接位置とのそれぞれの位置において固定する機構において、ネックパッドが第1後頭部当接位置にあるときの状態を示す図である。図12は、本実施形態に係るヘルメットの後面にあるネックパッドの位置を、互いに移動可能な第1後頭部当接位置と第2後頭部当接位置とのそれぞれの位置において固定する機構がネックパッドに取り付けられ、第1後頭部当接位置にあるときのネックパッドをヘルメットから外した状態を示す図である。
また、図13は、本実施形態に係るヘルメットの後面にあるネックパッドの位置を、互いに移動可能な第1後頭部当接位置と第2後頭部当接位置とのそれぞれの位置において固定する機構において、ネックパッドが第2後頭部当接位置にあるときの状態を示す図である。図14は、本実施形態に係るヘルメットの後面にあるネックパッドの位置を、互いに移動可能な第1後頭部当接位置と第2後頭部当接位置とのそれぞれの位置において固定する機構がネックパッドに取り付けられ、第2後頭部当接位置にあるときのネックパッドをヘルメットから外した状態を示す図である。
図11から図14に示すように、本実施形態に係るヘルメット内側の後頭部下端にあるネックパッドの位置を、互いに移動可能な第1後頭部当接位置と第2後頭部当接位置とのそれぞれの位置において固定する機構60は、その具体的な一例として、第1部材61と第2部材62、63とから構成され、両者は、部材66、67によって係合されている。図11及び図13に示すように、第1部材61に設けられた孔660、670に第2部材62、63の部材66、67が挿入され、部材64、65によって係合された第2部材62、63は、部材66、67を支点として、部材64が溝640を、部材65が溝650をそれぞれ移動することによって、第1部材61と第2部材62、63との相対位置が、互いに移動可能な第1後頭部当接位置と第2後頭部当接位置との間で変化するように構成されている。ここで、図12及び図14に示すように、第1部材61は、ネックパッド8と一体的に接合されており、図12、図14のネックパッド8を矢印方向に取り付けることにより、ネックパッド8は、第2部材62、63及び第1部材61を介して、部材64と64´、部材65と65´がそれぞれ固着することでヘルメット1と接続される。
なお、上記実施形態では、ネックパッドの位置を、互いに移動可能な第1後頭部当接位置と第2後頭部当接位置とのそれぞれの位置において固定する機構60として、いわゆるホックが溝を移動する機構について具体例を挙げて説明している。しかしながら、ネックパッドの位置を、互いに移動可能な第1後頭部当接位置と第2後頭部当接位置とのそれぞれの位置において固定する機構60は、上記挙げたホックが溝を移動する機構に限定されることなく、ネックパッドの位置を、互いに移動可能な第1後頭部当接位置と第2後頭部当接位置とのそれぞれの位置において固定することが可能な機構であれば、如何なる構造を用いても良いことはいうまでもない。
例えば、図9に示したような、着脱可能な面ファスナーを用いてネックパッドの位置を、互いに移動可能な第1後頭部当接位置と第2後頭部当接位置とのそれぞれの位置において固定することも可能である。図9に示すように、フック状に起毛された側(雌側10)と、ループ状に密集して起毛された側(雄側11)とを押し付ける、又は剥がすことにより、固定又は移動することが可能である。
また、上記実施の形態では、1つの部材を支点として、他の部材が溝を移動することにより第1部材と第2部材との間の相対位置を変化させているが、ネックパッドの位置を、互いに移動可能な第1後頭部当接位置と第2後頭部当接位置とのそれぞれの位置において固定する機構60は、この具体例に限定されないことも勿論である。すなわち、ネックパッドの位置を、互いに移動可能な第1後頭部当接位置と第2後頭部当接位置とのそれぞれの位置において固定することが可能な機構であれば、第1部材61、第2部材62、63といった複数の部材ではなく、単一の部材を用いた機構を採用しても構わない。
そして、姿勢を最も起こした状態で乗員がヘルメット1を被ったとき、第1部材61と第2部材62、63との位置関係を、図11、図12に示す状態にしておく。そして、姿勢を最も前傾にした状態で乗員がヘルメット1を被ったとき、第1部材61を、図11の矢印R、R´方向にずらすことにより、部材64、65が、溝640、650をそれぞれ移動する。そうすると、第1部材61と第2部材62、63との位置関係は、図13、図14に示す状態になる。これにより、ネックパッド8がヘルメット1に対して上方、すなわち首から後頭部の方向にずれると共に、ネックパッド8と一体的に接合され、ヘルメット1の内側に取り付けられるセンターパッド9がライナー6に対して乗員の頭頂部から前方へ向けて移動する。また、後頭部から首の間を埋めている素材が軟質であることから、首が上方に移動して圧力が加わると潰れるため、首の可動範囲の妨げとなり難く、センターパッド9を僅かな距離だけ乗員の頭頂部から前方へずらした場合であっても、ネックパッド8が首に当たることによってヘルメットのフィッティングを維持したまま、前方上方の視界を確保することができるのである。この点については、後述する。
また、乗員が姿勢を最も起こした状態になったときは、第1部材61を、部材66、67を支点として図13の矢印S、S´方向にずらすことにより、部材64、65が、溝640、650をそれぞれ移動する。そうすると、第1部材61と第2部材62、63との位置関係は、図11、図12に示す状態に戻る。
なお、上記実施形態においては、溝640、650、溝620、630、及び孔660、670の形状として、部材64、65の中心が、複数の円の中心を三角形状に移動するよう連結している例、第2部材62、63が略長方形の溝620、630を移動する例、部材66、67が1つの矩形の孔660、670に挿入される例をそれぞれ挙げて説明しているが、溝640、650、溝620、630、及び孔660、670の形状は、図15に示すように、任意の形状を採ることが可能である。図15は、本実施形態に係るヘルメットの後面にあるネックパッドの位置を移動させる溝の他の例について説明する図である。
すなわち、図15(a)に示すように、第2部材62、63が略「く」の字型の溝620、630を移動する形状だけでなく、図15(b)に示すように、第2部材62、63が略長方形の溝620、630を移動する形状であったり、部材66、67が、2つの矩形の孔660、670の何れかに挿入される形状であったりしても良い。図15に示す以外にも、任意の形状を採り得ることは勿論である。
次に、本発明の実施形態に係るヘルメットを、姿勢を最も起こした状態で乗員が被ったとき、及び姿勢を最も前傾にした状態で乗員が被ったときにおける乗員の頭部、チークパッドの位置を互いに移動可能な第1ほお当接位置と第2ほお当接位置とのそれぞれの位置において固定する機構、ネックパッドの位置を互いに移動可能な第1後頭部当接位置と第2後頭部当接位置とのそれぞれの位置において固定する機構、及び内装の状態について説明する。
図16は、乗員の姿勢が最も起きた状態で、本実施形態に係るヘルメット内側の両側面にあるチークパッドの位置を第1ほお当接位置において固定する機構及び後面にあるネックパッドの位置を第1後頭部当接位置において固定する機構の状態を示す模式図である。図17は、乗員の姿勢が最も前傾になった状態で、本実施形態に係るヘルメット内側の両側面にあるチークパッドの位置を第2ほお当接位置において固定する機構及び後面にあるネックパッドの位置を第2後頭部当接位置において固定する機構の状態を示す模式図である。
まず、図16に示すように、乗員の姿勢が最も起きた状態において、互いに移動可能な第1後頭部当接位置と第2後頭部当接位置とのそれぞれの位置において固定する機構60は、ネックパッド8を、乗員の頭部4Nの後頭部に当接する第1後頭部当接位置6Nに固定する。また、このとき、互いに移動可能な第1ほお当接位置と第2ほお当接位置とのそれぞれの位置において固定する機構50は、チークパッド7を、乗員のほおに当接する第1ほお当接位置5Nに固定する。
これにより、乗員の頭部4Nはヘルメット1の内装パッドであるセンターパッド9に密着し、乗員の後頭部は第1後頭部当接位置6Nに固定されたネックパッド8に密着し、乗員のほおは第1ほお当接位置5Nに固定されたチークパッド7に密着する。そして、乗員の頭部4Nはヘルメット1にぴったり適合している状態になる。このとき、ネックパッドの位置を互いに移動可能な第1後頭部当接位置と第2後頭部当接位置とのそれぞれの位置において固定する機構60は、上述した図11、図12の状態となっており、チークパッドの位置を互いに移動可能な第1ほお当接位置と第2ほお当接位置とのそれぞれの位置において固定する機構50は、上述した図5、図6の状態となっている。
次に、図17に示すように、乗員の姿勢が最も前傾になった状態において、互いに移動可能な第1後頭部当接位置と第2後頭部当接位置とのそれぞれの位置において固定する機構60は、ネックパッド8を、乗員の頭部4Fの後頭部に当接する第1後頭部当接位置6Nから第2後頭部当接位置6Fに移動して固定する。また、このとき、互いに移動可能な第1ほお当接位置と第2ほお当接位置とのそれぞれの位置において固定する機構50は、チークパッド7を、乗員のほおに当接する第1ほお当接位置5Nから第2ほお当接位置5Fに移動して固定する。
これにより、乗員の頭部4Fはヘルメット1の内装パッドであるセンターパッド9に密着し、乗員の後頭部は第2後頭部当接位置6Fに固定されたネックパッド8に密着し、乗員のほおは第2ほお当接位置5Fに固定されたチークパッド7に密着する。そして、乗員の頭部4Fはヘルメット1にぴったり適合している状態になる。このとき、ネックパッドの位置を互いに移動可能な第1後頭部当接位置と第2後頭部当接位置とのそれぞれの位置において固定する機構60は、上述した図13、図14の状態となっており、チークパッドの位置を互いに移動可能な第1ほお当接位置と第2ほお当接位置とのそれぞれの位置において固定する機構50は、上述した図7、図8の状態となっている。
なお、乗員の姿勢が最も前傾になった状態において、互いに移動可能な第1後頭部当接位置と第2後頭部当接位置とのそれぞれの位置において固定する機構60が、ネックパッド8を、乗員の頭部4Nの後頭部に当接する第1後頭部当接位置6Nから第2後頭部当接位置6Fに移動して固定することに伴い、チークパッド7が第1のほお当接位置5Nから移動しない場合、乗員のほおにチークパッド7が強く当たってしまうのを避けるため、互いに移動可能な第1ほお当接位置と第2ほお当接位置とのそれぞれの位置において固定する機構50が、チークパッド7を、乗員のほおに当接する第1ほお当接位置5Nから第2ほお当接位置5Fに移動して固定するようにしているのである。
このように、ネックパッド8が乗員の頭部4Nの後頭部に当接する第1後頭部当接位置6Nに固定され、チークパッド7が乗員のほおに当接する第1ほお当接位置5Nに固定された通常乗車状態から、ネックパッド8が乗員の頭部4Fの後頭部に当接する第2後頭部当接位置6Fに移動して固定され、チークパッド7が乗員のほおに当接する第2ほお当接位置5Fに移動して固定された前傾乗車状態になると、内装パッドであるセンターパッド9が通常の固定箇所から僅かな距離だけ移動し、ヘルメット1が、センターパッド9に対して相対的に後頭部側へ移動するのである。換言すれば、乗員の側面視において、ヘルメット1が、乗員の前頭部から後頭部へ向けて回転することにより、ヘルメットのフィッティングを維持したまま、前傾姿勢で乗車したときの乗員の前方上部の視界が良好に確保されるのである。
さらに、図16及び図17に示すように、ヘルメット1の内側の、乗員の頭部4N、4Fと接する部分に内装パッドが取り付けられていることから、センターパッド9は、ヘルメット1の内側に嵌め込まれたライナー6に取り付けられても良い。また、上記したように、センターパッド9の形状は、乗員の額から頭頂部を経て首の上の部分までを覆う大きいパッド、乗員の後頭部のみを覆う小さいパッド、1つのパッドが、前頭部、頭頂部、左右側頭部、及び後頭部をそれぞれ覆う各パーツに分割可能なパッド等、任意の形状、構造を採り得る。すなわち、ネックパッド8と接合されているものであれば、如何なる形状、構造を有していたとしてもセンターパッドと称されるものである。したがって、ネックパッド8が、後頭部に当接する第1後頭部当接位置6Nから後頭部に当接する第2後頭部当接位置6Fに移動しさえすれば、ネックパッド8に接合しているセンターパッド9は、如何なる形状、構造を有していたとしても、通常の固定箇所から僅かな距離だけ移動するので、ヘルメット1は、センターパッド9に対して相対的に後頭部側へ移動することになる。なお、本実施形態においては、後頭部に当接するネックパッド8が、第1後頭部当接位置6Nから第2後頭部当接位置6Fへと移動する場合について具体例を挙げて説明を行っているが、センターパッド9の移動の効果が得られるのであれば、段階的に移動する等、ネックパッド8の移動方法として様々な方法、態様が考え得ることは言うまでもない。
次に、通常乗車状態から前傾乗車状態に移行したときの、乗員の前方の仰角がどれくらい変化するかについて説明する。図18は、ネックパッドを第1後頭部当接位置に固定し、チークパッドを第1ほお当接位置に固定して本実施形態に係るヘルメットを被ったときの乗員の前方の仰角について説明する図である。図19は、ネックパッドを第2後頭部当接位置に固定し、チークパッドを第2ほお当接位置に固定して本実施形態に係るヘルメットを被ったときの乗員の前方の仰角について説明する図である。
図18及び図19から明らかなように、通常乗車状態における乗員の前方の仰角θAと比較して、前傾乗車状態における乗員の前方の仰角θBが大きくなっていることが分かる。このように、内装パッドであるセンターパッド9が、僅かな距離だけ移動し、ライナー6がセンターパッド9に対して相対的に後頭部側(矢印X1、X2方向)へ移動するのである。換言すれば、乗員の側面視において、ヘルメット1が、乗員の前頭部から後頭部へ向けて回転することになるため、極端に上目遣いとすることなく前面窓3における前方上方の視界を良好に確保することが可能となる。なお、モータースポーツのライダーを対象として実証実験を行ったところ、ライナー6を乗員の前頭部から後頭部へ向けて4度回転することにより、図23に示した乗車姿勢であっても、前方上部の情報を十分得ることが可能であるとの結果を得た。
次に、本発明の実施形態に係るヘルメットと、従来のヘルメットとの間における安全性の比較結果について説明する。具体的には、本発明の実施形態に係るヘルメットは、乗員が前傾姿勢になった状態で前方上方の視界を確保するため、ライナー6を4度後方へずらしているが、これにより衝撃性能に影響するかどうか、また、脱げ易くなるかどうかについての確認を行った。JIST8133:2007乗用車用ヘルメット(以下、JIS規格という。)にしたがって、衝撃吸収性、及び保持性(ロールオフ)の2項目について試験を実施し、結果を比較した。
試験方法について説明する。まず、衝撃吸収性試験は、JIS規格に準拠した試験を実施した。ただし、本発明の実施形態に係るヘルメットについては、前頭部、頭頂部、後頭部のすべてにおいて、ヘルメットを4度後方へずらした試験ポイントに衝撃を加え、その他の試験条件は、従来品のヘルメットと全て同一とした。
次に、保持性(ロールオフ)試験についてであるが、JIS規格に準拠した試験を実施した。ただし、JIS規格ではヘルメットが脱げてはいけないという規定しか存在せず、脱げなければ全て合格となってしまう。そこで、本発明の実施形態に係るヘルメットと従来品のヘルメットとの間の変化を数値化して比較し易くするため、JIS規格には規定されていない欧州規格に存在する角度規定、具体的には、参照平面と試験実施後の同平面とがなす角度を回転角度として計測した。保持性(ロールオフ)試験の結果を(a)本発明の実施形態に係るヘルメット、(b)従来品のヘルメットについて図20に示す。
次に、本発明の実施形態に係るヘルメットと従来品のヘルメットとにおける試験結果について考察する。まず、衝撃吸収性試験の結果から見てみる。図21は、本発明の実施形態に係るヘルメットの衝撃吸収性試験の結果を示す図である。図22は、従来品のヘルメットの衝撃吸収性試験の結果を示す図である。図21における本発明の実施形態に係るヘルメットサンプルNo.1の前頭部と、図22における従来品のヘルメットサンプルNo.6の前頭部とで、重力加速度Gに換算した値において約50Gの差が生じ、本発明の実施形態に係るヘルメットの方がやや高いGを記録している。しかし、それ以外の同条件、同一試験ポイント箇所では両者の間に大きな差は見られず、JIS規格の規定範囲外に衝撃を加えた前頭部も含め、全ての本発明の実施形態に係るヘルメットサンプルにおいて、JIS規格の要求に適合する結果となった。
次に、保持性(ロールオフ)試験結果の比較を見てみると、回転角度として、僅か1度の差が生じたのみであり、その他には特筆すべき点や、安全性に支障をきたすネガティブな要素は何ら発見されなかった。これ等2項目より、本発明の実施形態に係るヘルメットを乗員が装着した場合であっても、その安全性能には何ら影響を及ぼすものではないとの結論を得た。
なお、上記実施形態においては、代表的な部品である自動二輪車用ヘルメットを取り上げて解説しているが、本発明は、自動二輪車用ヘルメット以外の部品にも応用可能である。
以上説明したように、本発明は、乗員の首の上に当接するネックパッドの位置、及び、ほおに当接するチークパッドの位置をそれぞれ変化させることにより、ヘルメットの位置を変化させているのである。すなわち、ネックパッドが移動すると、ネックパッドに接合しているセンターパッドも移動するので、結果的にヘルメットの位置が移動するのである。このように、本発明によれば、乗員が極端に前傾姿勢となった場合であっても、ヘルメットが乗員の頭部にフィットし、かつ、ヘルメット前方上部の視界を良好に確保することが可能なヘルメットが得られる。
以上、本発明の好適な実施形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範囲な趣旨及び範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正及び変更が可能である。
1 ヘルメット
2 シールド
3 前面窓
4F、4N 乗員の頭部
5F 第2ほお当接位置
5N 第1ほお当接位置
50 チークパッドの位置を、互いに移動可能な第1ほお当接位置と第2ほお当接位置とのそれぞれの位置において固定する機構
51、61 第1部材
52、62、63 第2部材
53、53´、54、54´、55、55´、64、65、66、67 部材
540、550、620、630、640、650 溝
6 ライナー
6F 第2後頭部当接位置
6N 第1後頭部当接位置
60 ネックパッドの位置を、互いに移動可能な第1後頭部当接位置と第2後頭部当接位置とのそれぞれの位置において固定する機構
660、670 孔
7 チークパッド
8 ネックパッド
9 センターパッド
10 雌側
11 雄側

Claims (5)

  1. 乗員の後頭部に当接する第1のパッドと、
    前記乗員のほおに当接する第2のパッドと、
    を含むヘルメットであって、
    前記第1のパッドは、少なくとも前記後頭部の第1後頭部当接位置と第2後頭部当接位置とにおいて前記後頭部にそれぞれ当接するよう移動可能に設けられており、
    前記第2のパッドは、前記第1のパッドが前記第1後頭部当接位置から前記第2後頭部当接位置へ移動すると、前記ほおにそれぞれ当接する第1ほお当接位置から第2ほお当接位置へ移動可能に設けられており、
    前記第1のパッドが前記第1後頭部当接位置にあり、前記第2のパッドが前記第1ほお当接位置にある第1状態から、前記第1のパッドが前記第2後頭部当接位置へ移動し、前記第2のパッドが前記第2ほお当接位置へ移動する第2状態になると、前記ヘルメットは、前記乗員の頭部に対して相対的に所定の距離だけ移動することを特徴とするヘルメット。
  2. 前記所定の距離の移動は、前記乗員の側面視において、前記ヘルメットが前記乗員の前頭部から後頭部へ向けて回転することであることを特徴とする請求項1に記載のヘルメット。
  3. 前記第2状態における前記乗員の前方の仰角は、前記第1状態における前記乗員の前方の仰角と比較して大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載のヘルメット。
  4. 前記第1のパッドは、前記ヘルメットの内側に嵌め込まれたライナーの内側に取り付けられるセンターパッドに接合されていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のヘルメット。
  5. 前記第1後頭部当接位置と前記第2後頭部当接位置とのそれぞれの位置において、前記第1のパッドを前記ヘルメットの内側に固定する第1パッド固定機構と、前記第1ほお当接位置と前記第2ほお当接位置とのそれぞれの位置において、前記第2のパッドを前記ヘルメットの内側に固定する第2パッド固定機構とをさらに含むことを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載のヘルメット。
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