JP6296087B2 - 運転支援装置 - Google Patents

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Description

本発明は、運転支援装置に関するものである。
最近の車両では運転支援を行うものが多くなっており、例えば車線維持制御、自動ブレーキ制御、追従式の定速走行制御(オートクルーズ制御)等が既に実用化されている。特許文献1には、運転者の緊張状態を緩和するために、周辺環境への注意を低減させるものが開示されている。特許文献2には、制御介入により運転状態での筋緊張を緩和するものが開示されている。
特開平06−255519号公報 特開平07−069233号公報
ところで、運転を行う場合の運転者の状態としては、能動的に運転を行うことにより運転への内的集中が高くなっている状態、つまり運転に対する集中度合いが高くかつ運転に対する余裕度合いが高くなっている状態が理想状態となる。しかしながら、例えば携帯電話等の通信機器に着信があると、運転者は、通話のために気をとられて、運転への集中がそがれてしまうことになり、この点においてなんらかの対策が望まれるものである。
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、外乱となる着信があったときでも、運転への内的集中が高くなっている状態を極力維持あるいは回復できるようにした運転支援装置を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明にあっては次のような解決手法を採択してある。すなわち、請求項1に記載のように、
運転者が能動的に運転を行うことにより運転への内的集中が高くなっている理想状態であるか否かを判定する理想状態判定手段と、
通話機能を有する通信機器に対して着信があったことを検出する着信検出手段と、
前記理想状態判定手段によって運転者が理想状態であると判定されている状態において、前記着信検出手段によって着信が検出されたときは、運転への内的集中を高めるように運転支援を行う運転支援手段と、
を備えているようにしてある。
上記解決手法によれば、着信という車室内での外乱を受けた際には、運転への内的集中を高めるように運転支援が行われるので、運転への内的集中が高くなっている状態を極力維持あるいは回復させることができる。
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、請求項2以下に記載のとおりである。すなわち、
前記運転支援手段は、着信検出から所定時間以上経過したことを条件として、運転への内的集中を高めるための運転支援を開始する、ようにしてある(請求項2対応)。この場合、着信があった当初は、運転支援が実行されないので、運転支援に伴う車両状態の変化が生じない状態でもって運転者が必要な通話を行えるようにしつつ、その後に理想状態への回復を行わせる上で好ましいものとなる。また、所定時間経過した後は、通話が継続されていても、運転支援の開始に伴う車両の挙動変化によって、運転者は運転に集中しなければならないということを明確に認識して、運転者の意識を通話から運転へと移行させる上でも好ましいものとなる。
前記運転支援手段は、車室内で感じる車両の走行音を強調する制御を行う、ようにしてある(請求項3対応)。この場合、運転者は、走行音をより強く感じて、運転への内的集中が高められることになる。
前記運転支援手段は、運転操作に応じた車両の状態変化の感度を高める制御を行う、ようにしてある(請求項4対応)。この場合、同じ運転操作量であっても車両がより大きく状態変化することとなって、運転への内的集中が高められることになる。
前記運転支援手段は、走行して楽しいと感じる道路特徴を有する道路へ誘導するための案内を行う、ようにしてある(請求項5対応)。この場合、誘導案内された道路を走行することによって、運転者に楽しいという感情をいだかせて、運転への内的集中を高める上で好ましいものとなる。
前記運転支援手段は、模範となる運転操作の案内を行う、ようにしてある(請求項6対応)。この場合、模範運転に近ずくように運転を行うことにより、運転への内的集中が高められることになる。
運転者の状態を検出する運転者状態検出手段と、
運転者による運転操作状態を検出する運転状態検出手段と、
運転者による運転操作とは無関係な車載機器の操作状態を検出する機器操作状態検出手段と、
前記各検出手段での検出結果に基づいて、運転者の運転に対する集中度合いと運転に対する余裕度合いとをパラメータとする複数の類型に分類する分類手段と、
を備え、
前記分類手段は、運転に対する集中度合いが低くかつ運転に対する余裕度合いが低くなって運転以外への集中度合いが高くなる第1類型と、運転に対する集中度合いが低くかつ運転に対する余裕度合いが高くて運転に対する余裕が十分にある第2類型と、運転に対する集中度合いが高くかつ運転に対する余裕度合いが低くて外的要因によって運転への外的集中が高くなっている第3類型と、運転に対する集中度合いが高くかつ運転に対する余裕度合いが高くて運転への内的な集中が高くなっている第4類型と、に分類し、
前記理想状態判定手段は、前記分類手段によって前記第4類型であると分類されたときに運転者が理想状態であると判定する、
ようにしてある(請求項7対応)。この場合、運転者状態について、運転への集中度合いと運転への余裕度合いとをパラメータとして4種類の類型に分類して、内的な集中による理想状態であることを精度よく判定する上で好ましいものとなる。
運転者が能動的に運転を行っていることによる内的な集中度合いを判定する内的集中度合い判定手段と、
運転者が受動的に運転を行っていることによる外的な集中度合いを判定する外的集中度合い判定手段と、
運転者が、運転操作以外のことに集中している運転外集中度合いを判定する運転外集中度合い判定手段と、
運転者がなにも集中していないスペア余裕の度合いを判定するスペア余裕度合い判定手段と、
をさらに備え、
前記類型手段は、前記内的集中度合い判定手段と前記外的集中度合い判定手段と前記運転外集中度合い判定手段と前記スペア余裕度合い判定手段との各判定結果に基づいて、前記類型に関する分類を行う、
ようにしてある(請求項8対応)。この場合、各集中度合いおよびスペア余裕度合いを個別に判定することにより4種類の類型を精度よく分類して、理想状態の判定を精度よく行う上で好ましいものとなる。
前記類型判定手段は、前記内的集中度合いと前記スペア余裕度合いとがそれぞれ運転者の余裕度合いに関する値とし、前記内的集中度合いと前記外的集中度合いとがそれぞれ運転者の集中度合いに関する値として、前記類型についての分類を行う、ようにしてある(請求項9対応)。この場合、運転に対する集中度合いと余裕度合いとを適切に設定して、4種類の類型への分類を精度よく行って、理想状態の判定を精度よく行う上で好ましいものとなる。
前記運転者状態検出手段が、少なくとも運転者の顔面を含む画像を取得する撮像手段を含むものとされ、
前記運転状態検出手段が、少なくともアクセルペダルとブレーキペダルとの操作状況を検出するセンサを含むものとされている、
ようにしてある(請求項10対応)。この場合、各集中度合いおよびスペア余裕度合を判定するために用いる機器類として一般的なものを用いつつ、各集中度合いおよびスペア余裕度合を精度よく判定する上で好ましいものとなる。
本発明によれば、外乱となる着信があったときでも、運転への内的集中が高くなっている状態を極力維持あるいは回復することができる。
本発明の制御系統例を示す図。 4つの類型の内容をまとめて示す図。 4つの類型を判定するための各種パラメータの例を示す図。 本発明の制御例を示す図。 図4におけるドライバ状態を判定するためのフローチャート。 図5の続きを示すフローチャート。 図6の続きを示すフローチャート。 運転意欲向上のための制御例を図式的に示す図。 運転者が楽しいと感じるときの道路特徴を記憶する制御例を示すフローチャート。 スロットル特性を変更例を図式的に示す図。
図1は、本発明の制御系統例を示すもので、図中Uは、マイクロコンピュータを利用して構成されたコントローラ(制御ユニット)である。このコントローラUには、各種センサあるいは機器類S1〜S8からの信号が入力される。S1は、アクセル開度を検出するアクセルセンサである。S2は、ブレーキペダルの操作量を検出するブレーキセンサである。S3は、舵角を検出するステアリングセンサである。S4は、運転者の顔部分を撮像する撮像手段としての車室内カメラである。S5は、車両外部の状況、特に自車両の前方の状況を撮像するための車外カメラである。S6は、自車両前方の障害物等までの距離を検出するレーダである。S7は、ナビゲーション装置であり、地図情報と自車両の現在位置情報とが取得される。S8は、マイクであり、特に車室内にある携帯電話やスマートフォン等の通話機能を有する通信機器に着信があったことを検出するものとなっている。
コントローラUは、後述する運転支援のために、各種機器類S11〜S15を制御する。S11は、運転席の前方に設けられたヘッドアップディスプレイである。S12は、車室内に向けて音声を発するスピーカである。S13は、追従式の定速走行装置(オートクルーズ装置)であり、実施形態では全車速域(0km/hを超える極低車速から最高車速の範囲)でもって作動されるものとなっている。S14は、パワーステアリング装置であり、特に自動操舵を行うためのものとなっている。S15は、スロットルアクチュエータであり、スロットル特性を変更するためのものとなっている(アクセル開度に対するスロットル開度の特性を変更するためのもの)。なお、上記各種センサや機器類S1〜S8、S11〜S15のうち、一部のものは本発明に使用されないものもある(本発明の制御とは別の制御用として表示されている)。
コントローラUは、後述する各種の運転支援のために、データベースD2を有する。データベースD2は、運転者が楽しいと感じたときの道路特徴を記憶するものである。なお、データベースD2は、実際には、外部接続された大容量の記憶手段により構成されている。
次に、運転者の状態がどのような状態であるかを、4種類の類型に分類する点について説明する。この類型への分類を行う前提として、運転者の運転に対する集中度合いと余裕度合いの点についてまず説明する。
運転に対する集中としては、その内容に応じて、以下のような第1〜第4の4種類の集中が設定される。すなわち、第1に、運転への外的な(受動的な)集中であり、外的要因によって運転操作を強いられるような状況であり、運転意欲が低い状態となる。第2に、内的な(能動的な)集中であり、運転者自らが積極的な意思をもって運転操作している状態で、運転意欲が高くて好ましい状態となる。第3に、運転以外の集中が設定される(例えば、ナビゲーション装置の画面操作や、電話による対話等への集中)。第4に、集中に対する余裕分で、何に対しても集中していない状態である(運転の集中に対するスペアの余裕分で、図面中の記載においてスペアキャパと称することもある)。
上記4種類の各集中度合いの合計を100%としたとき、運転への集中度合いが、外的な集中と内的な集中との加算値分の割合とされる。また、運転者の運転に対する余裕度合いが、内的な集中とスペアの余裕分との加算値分の割合とされる。
4種類の類型として、図2に示すように、第1類型〜第4類型が設定される。第1類型は、運転への集中度合いが低くかつ運転に対する余裕度合いが低い場合であり、具体的には脇見運転しているようなときが想定される。第2類型は、運転への集中度合いが低くかつ運転に対する余裕度合いが高い場合で、具体的には自動運転や漫然状態のときが想定される。第3類型は、運転への集中度合いが高くかつ運転に対する余裕度合いが低い場合とされる。この第3類型に該当するときは、例えば、後続車両に接近されているようなときで、運転者が緊張状態であると判定されるようになっている。第4類型は、運転への集中度合いが高くかつ運転に対する余裕度合いが高い場合であり、理想的な運転状態とされる。
図3は、車内カメラS4によって撮像された画像から得られる運転者状態、つまり運転者の顔表情や視線方向、瞳孔状態等と、アクセルペダル(Aペダル)やブレーキペダル(Bペダル)の操作状況とに基づいて、外的な集中度合い、内的な集中度合い、運転以外への集中度合いおよびスペアの余裕度合いがそれぞれ判定される。そして、各判定結果を総合して、前述した4種類の類型のうち現在どの類型に該当するかが判定される。
コントローラUは、運転者が第4類型に該当する場合、つまり理想状態にあると判定されている状態のときに、通話機能を有する通信機器に着信があったときには、運転支援によって内的集中度合いを高めるための制御を行うようになっている。以下、図4〜図7のフローチャートを参照しつつ、コントローラUによる制御例について説明する。なお、以下の説明でQはステップを示す。
まず、図4のQ1において、後述するように、ドライバ状態の判定が行われる。このQ1での判定は、4種類の類型のうち運転者が現在どの類型に該当するかを判定するものである。Q2では、運転者が理想状態であるか否か、つまり前述した第4類型に該当するか否かが判別される。このQ2の判別でNOのときは、運転支援は行わないということで、Q1に戻る。
Q2の判別でYESのときは、Q3において、通話機能を有する通信機器に着信があったか否かが判別される。この着信の有無は、実施形態では、マイクS8によって着信音を検出したときに、着信があったものと判定するようになっている。なお、着信の有無は、例えばハンズフリー形式のものでは、着信の際に着信信号として例えばランプが点滅される等の案内が行われることから、着信を示す信号を検出することにより行うことができる。また、車内カメラS4によって、運転者の表情の変化から、着信およびその後の通話を検出することもできる、通話の検出を着信の検出とすることもできる。この他、着信の検出は適宜の手法でなし得るものである。
上記Q3の判別でNOのときは、Q1に戻る。Q3の判別でYESのときは、後述するように、運転への内的集中が高まる方向への運転支援が実行される。この内的集中が高まる運転支援を行うことにより、運転への内的集中が低下してしまう事態を防止あるいは抑制することができる。特に、脇見運転へと移行してしまうような事態を防止あるいは抑制する上で好ましいものとなる。
図5〜図7は、図4のQ1の詳細を示すものである。すなわち、図5のQ11において、データ入力された後、Q12において、運転者の顔向きオフセット(脇見対応)が大きいか否かが判別される。このQ12の判別でYESのときは、Q13において、運転以外の集中量について加点される(例えば20点)。
Q13の後、あるいはQ12の判別でNOのときは、それぞれQ14において、主運転操作(例えばアクセル操作、ブレーキ操作、ハンドル操作等の車両の挙動を変化させるための運転操作)以外の操作頻度が大であるか否か(あらかじめ設定されたしきい値以上であるか否か)が判別される。このQ14の判別でYESのときは、Q15において、運転以外の集中量について加点される(例えば20点)。
Q15の後、あるいはQ14の判別でNOのときは、それぞれQ16において、主運転操作以外の操作時間が大であるか否か(あらかじめ設定されたしきい値以上であるか否か)が判定される。このQ16の判別でYESのときは、Q17において、運転以外の集中量について加点される(例えば20点)。
Q17の後、あるいはQ16の判別でNOのときは、それぞれQ18において、運転者の頭部の揺れが大であるか否か(あらかじめ設定されたしきい値以上であるか否か)が判定される。このQ18の判別でYESのときは、Q19において、スペアの余裕量について加点される(例えば20点)。
Q19の後、あるいはQ18の判別でNOのときは、それぞれQ20において、アクセルペダルとブレーキペダルとの間での踏み替え遅れ時間が大であるか否か(あらかじめ設定されたしきい値以上であるか否か)が判定される。このQ20の判別でYESのときは、Q21において、スペアの余裕量について加点される(例えば20点)。
Q21の後、あるいはQ20の判別でNOのときは、それぞれQ22において、運転者の視線移動速度が低いか否か(あらかじめ設定されたしきい値以下であるか否か)が判定される。このQ22の判別でYESのときは、Q23において、スペアの余裕量について加点される(例えば20点)。
Q23の後、あるいはQ22の判別でNOのときは、それぞれ、図6のQ31において、運転者の顔向き方向と視線方向との一致度が高いか否か(一致度があらかじめ設定されたしきい値範囲内であるか否か)が判定される。このQ31の判別でYESのときは、Q32において、運転に対する能動的な(内的な)集中量について加点される(例えば20点)。
Q32の後、あるいはQ31の判別でNOのときは、それぞれQ33において、アクセル開度の保持時間が大であるか否か(あらかじめ設定されたしきい値以上であるか否か)が判定される。このQ33の判別でYESのときは、Q34において、運転に対する能動的な(内的な)集中量について加点される(例えば20点)。
Q34の後、あるいはQ33の判別でNOのときは、それぞれQ35において、アクセルペダルとブレーキペダルとの間での踏み替え時間のばらつき(標準偏差)が小であるか否か(あらかじめ設定されたしきい値以下であるか否か)が判定される。このQ35の判別でYESのときは、Q36において、運転に対する能動的な(内的な)集中量について加点される(例えば20点)。
Q35の判別でNOのときは、Q37において、受動的な(外的な)運転集中量について加点される(例えば50点)。
Q37の後は、図7におけるQ41において、運転以外の集中量(の合計点)が0よりも大きいか否かが判別される。このQ41の判別でYESのときは、Q42において、運転者が脇見状態、つまり第1類型に該当すると判定される。
Q41の判別でNOのときは、Q43において、スペア余裕量(の合計値)が、受動的運転集中量(の合計値)と能動的運転集中量(の合計値)との加算値よりも大きいか否かが判別される。このQ43の判別でYESのときは、Q44において、運転者が漫然状態、つまり第2類型に該当すると判定される。
Q43の判別でNOのときは、Q45において、能動的集中量(の合計値)が受動的集中量(の合計値)よりも大きいか否かが判別される。このQ45の判別でYESのときは、Q46において、運転者が理想状態(第4類型)であると判定される。一方、Q45の判別でNOのときは、Q47において、運転者が、緊張状態(第3類型)であると判定される。
次に、図4のQ4における内的集中を向上させる運転支援例について、図8〜図10を参照しつつ説明する。まず、図8は、運転者に対して、模範となる運転操作を画面表示(例えばナビゲーション装置S7用の画面への表示や、ヘッドアップディスプレイS11への表示)するようにした例を示す。すなわち、例えば、コーナリングを走行しようとする際に、表示された道路中に、減速領域と加速領域とを示す他(例えば各領域の色分け表示)、操舵開始タイミングを示す操舵ポイントを表示する(例えば操舵ポイントに点滅表示)。これにより、運転者は、運転意欲が向上されると共に、運転スキルが向上されることになる。図8は、コーナリングについて示したが、例えば高速道路における模範運転操作を目標表示したり、駐車を行う際の模範運転操作を目標表示する等、道路状況に応じた適切な模範運転操作を目標表示することができる。特に、操舵タイミングや、アクセルペダル、ブレーキペダルの踏み込みタイミングを目標表示するのが好ましく、このタイミングを音声ガイドすることもできる。
図9は、内的集中を高めるための運転支援として、運転者が楽しいと感じる特徴を有する道路へと誘導するための制御例となっている。すなわち、Q61において、例えば車内カメラS4により取得された運転者の顔表情等に基づいて、運転者の感情が推定される。Q62では、Q61での推定結果として、運転者が楽しいという感情を抱いているか否かが判別される。このQ62の判別でYESのときは、楽しいと感じているときの道路の特徴が、データベースD2に記憶される。なお、Q62の判別でNOのときは、そのままリターンされる。そして、図4におけるQ4では、現在走行している道路とほぼ同方向に向かう道路のうち、データベースD2に記憶されている特徴を有する道路を選択して、この選択された道路へ誘導するような案内を行う(例えばナビゲーション画面での案内表示)。
図10は、内的集中を高めるための運転支援として、アクセル操作に対するエンジン出力の感度を上げるようにした例が示される。図10中、実線がノーマル(基本)なスロットル特性線であり、破線が感度アップさせたスロットル特性線であり(アクセル開度に対するスロットル開度がノーマルの場合よりも大となる特性)、一点鎖線が感度を低下させたスロットル特性線を示す(アクセル開度に対するスロットル開度がノーマルの場合よりも小となる特性)。図4のQ4では、図10における感度アップさせた破線で示すスロットル特性線が選択されて、この選択されたスロットル特性に基づいてスロットルアクチュエータS15が制御されることになる。なお、図8〜図10に示す制御の任意の2つあるいは全てを行うこともできる。
内的な集中を向上させる運転支援は、上記以外にも、以下のように適宜選択できるものであり、以下に順次説明する。第1に、ステアリング特性を変更することができる。すなわち、同じ舵角であれば、実際の操舵輪の切れ角が大きくなるようにステアリング特性を変更する。なお、アクセルペダルやステアリングハンドルの操作反力を低減することにより、その感度を高めるようにすることもできる。
内的な集中を向上させるために、スピーカS12から車室内に向けてエンジン音、風切り音、ロードノイズ(タイヤ音)の少なくとも1つを強調して出力させるようにしてもよい。上記各音は、実際に発生している音をマイクで検出して、検出された実際の音を増幅してスピーカS12から出力させることもでき、また各音の疑似音を強調した状態でスピーカS12から出力させるようにしてもよい。前述した各種の内的な集中を向上させる制御は、任意の2以上のものを同時に実行することもでき、また上記以外の適宜の手法を採択し得る。
以上実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載された範囲において適宜の変更が可能である。図2に示す4種類の類型を行うために用いるパラメータとしては、図3に示すもののうち一部であってもよく、またステアリング操作状態等の適宜のパラメータをさらに含めることもできる。図4のQ4での制御を、Q3での着信検出から所定時間経過したときに開始するようにしてもよい。この場合は、当初は、運転支援が開始されないので、運転支援に伴う車両状態の変化を生じさせない状態でもって通話を行えるようにしつつ、その後に理想状態への回復を行わせる上で好ましいものとなる。また、所定時間経過した後は、通話が継続されていても、運転支援の開始に伴う車両の挙動変化によって、運転者は運転に集中しなければならないということを明確に認識して、運転者の意識を通話から運転へと移行させる上でも好ましいものとなる。運転への内的集中を高めるための運転支援の終了は、例えば運転支援の開始から所定時間経過後に行うようにしてもよく、通話が無くなってから所定時間(例えば5秒)経過後に行うようにしてもよく、あるいは運転者状態が理想状態であると判定されるまで行うようにしてもよい。なお、運転支援を終了するときは、徐々に終了させるのが好ましい(例えば運転支援が走行音の強調である場合に、強調度合いを徐々に低下させる)。フローチャートに示す各ステップあるいはステップ群は、コントローラUの有する機能を示すもので、この機能を示す名称に手段あるいは部の文字を付して、コントローラUの有する構成要件として把握することができる。勿論、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。
本発明は、運転への内的集中が高い状態を維持、回復するための運転支援装置として好適である。
U:コントローラ
D2:データベース
S1:アクセルセンサ
S2:ブレーキセンサ
S3:舵角センサ
S4:車内カメラ(運転集中度合い、楽しさの感情検出等)
S5:車外カメラ(周囲状況検出)
S6:レーダ
S7:ナビゲーション装置
S8:マイク
S11:ヘッドアップディスプレイ
S12:スピーカ
S13:オートクルーズ
S14:パワーステアリング装置
S15:スロットルアクチュエータ

Claims (10)

  1. 運転者が能動的に運転を行うことにより運転への内的集中が高くなっている理想状態であるか否かを判定する理想状態判定手段と、
    通話機能を有する通信機器に対して着信があったことを検出する着信検出手段と、
    前記理想状態判定手段によって運転者が理想状態であると判定されている状態において、前記着信検出手段によって着信が検出されたときは、運転への内的集中を高めるように運転支援を行う運転支援手段と、
    を備えていることを特徴とする運転支援装置。
  2. 請求項1において、
    前記運転支援手段は、着信検出から所定時間以上経過したことを条件として、運転への内的集中を高めるための運転支援を開始する、ことを特徴とする運転支援装置。
  3. 請求項1または請求項2において、
    前記運転支援手段は、車室内で感じる車両の走行音を強調する制御を行う、ことを特徴とする運転支援装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
    前記運転支援手段は、運転操作に応じた車両の状態変化の感度を高める制御を行う、ことを特徴とする運転支援装置。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、
    前記運転支援手段は、走行して楽しいと感じる道路特徴を有する道路へ誘導するための案内を行う、ことを特徴とする運転支援装置。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、
    前記運転支援手段は、模範となる運転操作の案内を行う、ことを特徴とする運転支援装置。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、
    運転者の状態を検出する運転者状態検出手段と、
    運転者による運転操作状態を検出する運転状態検出手段と、
    運転者による運転操作とは無関係な車載機器の操作状態を検出する機器操作状態検出手段と、
    前記各検出手段での検出結果に基づいて、運転者の運転に対する集中度合いと運転に対する余裕度合いとをパラメータとする複数の類型に分類する分類手段と、
    を備え、
    前記分類手段は、運転に対する集中度合いが低くかつ運転に対する余裕度合いが低くなって運転以外への集中度合いが高くなる第1類型と、運転に対する集中度合いが低くかつ運転に対する余裕度合いが高くて運転に対する余裕が十分にある第2類型と、運転に対する集中度合いが高くかつ運転に対する余裕度合いが低くて外的要因によって運転への外的集中が高くなっている第3類型と、運転に対する集中度合いが高くかつ運転に対する余裕度合いが高くて運転への内的な集中が高くなっている第4類型と、に分類し、
    前記理想状態判定手段は、前記分類手段によって前記第4類型であると分類されたときに運転者が理想状態であると判定する、
    ことを特徴とする運転支援装置。
  8. 請求項7において、
    運転者が能動的に運転を行っていることによる内的な集中度合いを判定する内的集中度合い判定手段と、
    運転者が受動的に運転を行っていることによる外的な集中度合いを判定する外的集中度合い判定手段と、
    運転者が、運転操作以外のことに集中している運転外集中度合いを判定する運転外集中度合い判定手段と、
    運転者がなにも集中していないスペア余裕の度合いを判定するスペア余裕度合い判定手段と、
    をさらに備え、
    前記類型手段は、前記内的集中度合い判定手段と前記外的集中度合い判定手段と前記運転外集中度合い判定手段と前記スペア余裕度合い判定手段との各判定結果に基づいて、前記類型に関する分類を行う、
    ことを特徴とする運転支援装置。
  9. 請求項8において、
    前記類型判定手段は、前記内的集中度合いと前記スペア余裕度合いとがそれぞれ運転者の余裕度合いに関する値とし、前記内的集中度合いと前記外的集中度合いとがそれぞれ運転者の集中度合いに関する値として、前記類型についての分類を行う、ことを特徴とする運転支援装置。
  10. 請求項7ないし請求項9のいずれか1項において、
    前記運転者状態検出手段が、少なくとも運転者の顔面を含む画像を取得する撮像手段を含むものとされ、
    前記運転状態検出手段が、少なくともアクセルペダルとブレーキペダルとの操作状況を検出するセンサを含むものとされている、
    ことを特徴とする運転支援装置。
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