JP6295813B2 - 連続鋳造機の二次冷却装置及び二次冷却方法 - Google Patents

連続鋳造機の二次冷却装置及び二次冷却方法 Download PDF

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本発明は、鋳片幅方向の冷却均一性の確保と鋳片のバルジング抑制を両立させるための連続鋳造機の二次冷却装置及び二次冷却方法に関する。
連続鋳造機の鋳型下方の二次冷却帯では、鋳型下端から引き抜かれた鋳片を複数対の支持ロールで支持及び搬送しながら、隣り合う2つの支持ロール間に配置されたスプレーノズルから冷却水(若しくは冷却水と空気の混合体)を噴射して鋳片を冷却する。
従来では、かかる連続鋳造機において、鋳片の引き抜き速度を高速化しつつ、鋳片のバルジングを抑制するため、上記支持ロールとして小径ロールを用いてロールピッチを短縮することで、より多くの支持ロールで鋳片を支持する方法が採用されている。しかし、支持ロールのロール径が小さくなると、ロールの剛性が低下するだけでなく、当該ロールの両端を支持する軸受けも小型化するため、鋳片を十分に支持しきれなくなり、バルジングを引き起こす可能性も高くなってしまう。
そこで、近年では、上記小径ロールの変形を抑制し、軸受け荷重を低減するために、上記支持ロールとして分割ロールが採用されている。分割ロールは、鋳片と接触するロール部を鋳片幅方向に複数に分割し、隣り合う分割ロール部の間に軸受け部を設け、支持ロールをその両端部に加えて中間の軸受け部でも支持するものである。この分割ロールの分割数や、軸受け部の位置(分割位置)としては、いくつかのタイプが提案されている。
例えば、特許文献1には、ロール部を2分割した分割ロールを用い、鋳造方向に隣り合う2つの分割ロールの分割位置(軸受け部)を千鳥状に配置することが提案されている。また、特許文献2には、ロール部を3分割した分割ロールを用い、さらに、当該分割された各ロール部の周面に溝部を設けて、分割ロールから下方に流下する冷却水を分散させることで、軸受け部での鋳片の過冷却を防止することが提案されている。
特開2005−14029号公報 特開平8−47757号公報
ところで、上記の分割ロールでは、ロール中間部に、鋳片と接触しない軸受け部が配置されている。このため、ノズルから鋳片に吹き付けられた冷却水は、鋳片表面に沿って流下した後に、ロール両端部だけでなく、ロール中間部にある軸受け部を通って下流側に流下する。この軸受け部から下流側に流下する冷却水を垂れ水と称する。
本願発明者が鋭意研究したところ、ノズルから噴射された冷却水(以下、スプレー水という。)が上記垂れ水に直接当たって干渉すると、鋳片とスプレー水の間の熱伝達係数が増加し、鋳片が過冷却されることが分かった。このようにスプレー水が垂れ水と干渉して熱伝達係数が増加すると、鋳片のうち当該干渉部位のみが過冷却されてしまい、鋳片幅方向の冷却均一性が大幅に低下することとなる。以上のように、分割ロールの軸受け部の位置と冷却水の噴射位置(ノズルの配置)との関係で、鋳片幅方向の冷却が不均一になることが新たに判明した。このように冷却が不均一となると、鋳片の凝固が不均一となり、鋳片に割れが発生したり、中心偏析が悪化したりするという弊害がある。
なお、上記特許文献2では、上記垂れ水による過冷却の問題が記載されている。しかし、特許文献2では、軸受け部に対向する部位の鋳片が、当該軸受け部を流下する垂れ水と接触することより、当該接触部位の鋳片だけが過冷却されることを問題としており、上記のようにスプレー水が垂れ水と干渉して、干渉部位の熱伝達係数が増加することによる過冷却の問題や、その解決策については、何ら開示も示唆もされていない。
一方、上記分割ロールの軸受け部を通じた垂れ水の問題を解決するためには、支持ロールとして、ロール部が分割されていない大径ロールを用いることで、ロールの剛性を高めるとともに、軸受け部を通じた垂れ水を発生させない方法も考えられる。しかし、全ての支持ロールとして非分割の大径ロールを用いると、ロールピッチを大きくせざるを得ないので、相隣接する大径ロール間で鋳片がバルジングを起こしてしまう。
従って、分割ロールの軸受け部を通じた垂れ水とスプレー水との干渉による鋳片の過冷却を防止することにより、鋳片幅方向の冷却均一性を確保しつつ、ロールピッチをできるだけ短縮することにより、相隣接する支持ロール間での鋳片のバルジングを抑制することも可能な方法が希求されていた。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、鋳片幅方向の冷却均一性の確保と、鋳片のバルジング抑制とを両立することが可能な、新規かつ改良された連続鋳造機の二次冷却装置及び二次冷却方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、
連続鋳造機の鋳型下方の二次冷却帯において鋳造方向に所定のロールピッチで配置され、鋳片厚み方向両側から鋳片を支持する複数対の支持ロールと、
前記鋳造方向に隣り合う前記支持ロールの間に設けられ、前記鋳片に冷却水を供給する冷却装置と、
を備え、
前記支持ロールは、
前記ロールピッチ以上のロール径を有し、前記鋳片に接触するロール部が鋳片幅方向に分割されていない大径ロールと、
前記ロールピッチよりも小さいロール径を有し、前記鋳片に接触するロール部が鋳片幅方向に分割された小径ロールと、
を含み、
前記大径ロールと前記小径ロールは、前記鋳造方向に前記ロールピッチで交互に配置され
前記ロールピッチは、前記二次冷却帯における前記鋳片の位置に応じて調整され、
前記連続鋳造機のメニスカスからの距離が5m以下の範囲の前記二次冷却帯において、前記ロールピッチが200〜300mmである場合、前記大径ロールのロール径は、300mm以上、前記ロールピッチの2倍未満であり、
前記連続鋳造機のメニスカスからの距離が5m超、14m以下の範囲の前記二次冷却帯において、前記ロールピッチが250〜300mmである場合、前記大径ロールのロール径は、350mm以上、前記ロールピッチの2倍未満である、連続鋳造機の二次冷却装置が提供される。
前記冷却装置は、鋳片幅方向に相互に間隔を空けて配置され、前記鋳片に前記冷却水を噴射する複数のノズルを含み、
前記複数のノズルは、前記鋳造方向に隣り合う前記大径ロールと前記小径ロールの間のスペースに配置され、当該スペースから前記鋳片に対して冷却水を噴射し、
前記小径ロールの周面には複数の通水用のスリットが設けられるようにしてもよい。
前記冷却装置は、前記大径ロールと前記小径ロールと前記鋳片とで囲まれるスペースに、前記鋳片と対向配置され、鋳片幅方向に一体化された冷却パッドを含み、
前記冷却パッドは、
前記鋳片と対向する対向面と、
前記対向面に形成されるスリットと、
を備え、
前記スリットから前記冷却水を噴出することにより、前記鋳片と前記対向面の隙間に前記冷却水を充満させて前記冷却水の膜流を形成するようにしてもよい。
上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、
上記の連続鋳造機の二次冷却装置により、鋳型下方の二次冷却帯において鋳片を支持しながら冷却する二次冷却方法であって、
前記鋳造方向に所定のロールピッチで交互に配置された前記大径ロール及び前記小径ロールにより、前記鋳造方向に移動する前記鋳片を支持しながら、前記大径ロール及び前記小径ロールの間に配置された前記冷却装置により、前記大径ロールと前記小径ロールの隙間に冷却水を供給することによって、前記鋳片を冷却する、二次冷却方法が提供される。
上記構成によれば、大径ロールは非分割ロールからなり、冷却水の通水路となる軸受け部が設けられていないので、大径ロールからの垂れ水の発生を防止できる。従って、大径ロールの下側で、冷却水が垂れ水と干渉して鋳片が過冷却されることがないので、鋳片幅方向の冷却均一性が低下することがない。さらに、ロールピッチ以上のロール径を有する大径ロールは、剛性が高く、撓み変形しにくいので、鋳片を適切に支持してバルジングを抑制できる。一方、小径ロールは、分割ロールであり、ロール中間部を別途の軸受けで支持されているので、撓み変形しにくい。これら大径ロールと小径ロールを既存の狭いロールピッチで鋳造方向に交互に配置することで、相隣接する大径ロールと小径ロール間での鋳片のバルジングを適切に抑制できる。
以上説明したように、本発明によれば、分割ロールの軸受け部を通じた垂れ水とスプレー水との干渉による鋳片の過冷却を防止することにより、鋳片幅方向の冷却均一性を確保できるとともに、支持ロールのピッチをできるだけ短縮することにより、相隣接する支持ロール間での鋳片のバルジングを抑制することもできる。
本発明の第1の実施形態に係る連続鋳造機を示す側断面図である。 従来の連続鋳造機の二次冷却装置の支持ロール及びノズルを示す斜視図である 従来の二次冷却装置の支持ロール及びノズルを示す正面図である。 溜まり水とスプレー水との干渉状態を示す縦断面図である。 垂れ水及び溜まり水とスプレー水との干渉状態を示す縦断面図である。 垂れ水及び溜まり水とスプレー水との干渉状態を示す正面図である。 本発明の第1の実施形態のロール構造と従来のロール構造を比較して示す側面図である。 同実施形態に係る連続鋳造機の二次冷却装置の支持ロール及びノズルを示す斜視図である。 同実施形態に係る連続鋳造機の二次冷却装置の支持ロール及びノズルを示す正面図である。 本発明の第2の実施形態のロール構造と従来のロール構造を比較して示す側面図である。 同実施形態に係る連続鋳造機の二次冷却装置の支持ロール及び冷却パッドを示す正面図である。 同実施形態に係る冷却パッドを示す斜視図である。 同実施形態に係る冷却パッドによる強冷却機能を示す断面図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
[1.連続鋳造機の全体構成]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係る連続鋳造機の全体構成について説明する。図1は、本実施形態に係る連続鋳造機を示す側断面図である。
図1に示すように、連続鋳造機は、連続鋳造用の鋳型1を用いて溶融金属2(例えば溶鋼)を連続鋳造し、スラブ等の鋳片3を製造するための装置である。かかる連続鋳造機は、鋳型1と、取鍋4と、タンディッシュ5と、浸漬ノズル6と、二次冷却装置7と、鋳片切断機8とを備える。
取鍋4は、溶融金属2を外部からタンディッシュ5まで搬送するための可動式の容器である。取鍋4は、タンディッシュ5の上方に配置され、取鍋4内の溶融金属2がタンディッシュ5に供給される。タンディッシュ5は、鋳型1の上方に配置され、溶融金属2を貯留して、当該溶融金属2中の介在物を除去する。浸漬ノズル6は、タンディッシュ5の下端から鋳型1に向けて下方に延び、その先端は鋳型1内の溶融金属2に浸漬されている。当該浸漬ノズル6は、タンディッシュ5にて介在物が除去された溶融金属2を鋳型1内に連続供給する。
鋳型1は、鋳片3の幅及び厚みに応じた四角筒状であり、例えば、一対の長辺鋳型板で一対の短辺鋳型板を幅方向両側から挟むように組み立てられる。これら鋳型板は、例えば水冷銅板で構成されている。鋳型1は、かかる鋳型板と接触する溶融金属2を冷却して、外殻の凝固シェル3aの内部に未凝固部3bを含む鋳片3を製造する。凝固シェル3aが鋳型1下方に向かって移動するにつれて、内部の未凝固部3bの凝固が進行し、外殻の凝固シェル3aの厚みは、徐々に厚くなる。かかる凝固シェル3aと未凝固部3bを含む鋳片3は、鋳型1の下端から引き抜かれる。
二次冷却装置7は、鋳型1の下方の二次冷却帯9に設けられ、鋳型1下端から引き抜かれた鋳片3を支持及び搬送しながら冷却する。この二次冷却装置7は、鋳片3の厚み方向両側に配置される複数対の支持ロール(例えば、サポートロール11、ピンチロール12、及びセグメントロール13)と、鋳片3に冷却水を供給する複数の冷却装置(図示せず。)とを有する。
二次冷却装置7が具備する支持ロールは、鋳片3の厚み方向両側に対となって配置され、鋳片3を支持しながら搬送する支持搬送手段として機能する。当該支持ロールにより鋳片3を厚み方向両側から支持することで、二次冷却帯9において凝固途中の鋳片3のブレークアウトやバルジングを防止できる。
かかる支持ロールは、例えば、図1に示すサポートロール11、ピンチロール12、及びセグメントロール13を含む。これらサポートロール11、ピンチロール12、及びセグメントロール13は、二次冷却帯9における鋳片3の搬送経路(パスライン)を形成する。このパスラインは、図1に示すように、鋳型1の直下では垂直であり、次いで曲線状に湾曲して、最終的には水平になる。二次冷却帯9において、当該パスラインが垂直である領域を垂直帯9A、湾曲している領域を湾曲帯9B、水平である領域を水平帯9Cと称する。このようなパスラインを有する連続鋳造機は、垂直曲げ型の連続鋳造機と称される。なお、本発明の二次冷却装置は、かかる垂直曲げ型の連続鋳造機に限られず、湾曲型又は垂直型など各種の連続鋳造機に適用可能である。
ここで、上記サポートロール11、ピンチロール12、及びセグメントロール13について説明する。サポートロール11は、鋳型1の直下の垂直帯9Aに設けられる無駆動式ロールであり、鋳型1から引き抜かれた直後の鋳片3を支持する。鋳型1から引き抜かれた直後の鋳片3は、凝固シェル3aが薄い状態であるため、ブレークアウトやバルジングを防止するために比較的短い間隔(ロールピッチ)で支持する必要がある。それ故、サポートロール11としては、ロールピッチを短縮することが可能な小径のロールを用いることが望ましい。図1の例では、垂直帯9Aにおける鋳片3の両側に、小径ロールからなる3対のサポートロール11が、比較的狭いロールピッチで設けられている。
ピンチロール12は、モータ等の駆動手段により回転する駆動式ロールであり、鋳片3を鋳型1から引き抜く機能を有する。このピンチロール12は、垂直帯9A、湾曲帯9B及び水平帯9Cの適宜の位置に配置される。鋳片3は、ピンチロール12から伝達される力によって鋳型1から引き抜かれ、上記パスラインに沿って搬送される。なお、ピンチロール12の配置は、図1に示す例には限られず、任意に設定されてもよい。
セグメントロール13(ガイドロールとも称する。)は、湾曲帯9B及び水平帯9Cに設けられ無駆動式ロールであり、上記パスラインに沿って鋳片3を支持及び案内する。セグメントロール13は、パスライン上の位置によって、及び鋳片3のF面(Fixed面、図1では左下側の面)とL面(Loose面、図1では右上側の面)とで、それぞれ異なるロール径やロールピッチで配置されてもよい。
鋳片切断機8は、上記パスラインの水平帯9Cの終端に配置され、当該パスラインに沿って搬送された鋳片3を所定の長さに切断する。切断された厚板状の鋳片14は、テーブルロール15により次工程の設備に搬送される。
次に、上記構成の連続鋳造機の動作について説明する。取鍋4で搬送されてきた溶融金属2はタンディッシュ5に供給され、当該溶融金属2の介在物が除去される。次いで、タンディッシュ5内の溶融金属2は、浸漬ノズル6を通じて鋳型1内に注入される。
鋳型1内では、当該鋳型1の内面に接触した溶融金属2の外周部分が凝固して、凝固シェル3aが形成され、鋳型1下方に向かうにつれて、凝固が徐々に進行して、凝固シェル3aの厚みが増す。そして、この凝固シェル3a内に未凝固部3bが存在したままの状態で、鋳片3が鋳型1の下方に引き抜かれる。
次いで、鋳型1下方の二次冷却帯9において、鋳型1から引き抜かれた鋳片3は、二次冷却装置7の複数対のロールにより、上記垂直曲げ型のパスラインに沿って支持及び搬送されながら、徐々に冷却される。これにより、鋳片3内部の未凝固部3bの凝固がさらに進行し、クレータエンド3cにて凝固が完了する。その後、凝固完了した鋳片3は、鋳片切断機8により、所定長の鋳片14に切断されて、テーブルロール15により外部に搬出される。
なお、連続鋳造機による製造される鋳片3の種類及びサイズは、特に限定されない。例えば、鋳片3は、厚みが250〜300mm程度のスラブ、500mmを超えるブルーム若しくはビレットであってもよいし、或いは、厚みが100mm程度の薄スラブ、50mm以下の薄帯連続鋳造鋳片などであってもよい。また、鋳片3の素材は、例えば、鉄鋼、特殊鋼の他、アルミニウム、アルミニウム合金、チタンなど、連続鋳造が可能な各種の金属であればよい。
[2.従来の二次冷却装置]
[2.1.従来の二次冷却装置のロール構造]
次に、本実施形態に係る連続鋳造機の二次冷却装置7の説明に先立ち、図2を参照して、従来の二次冷却装置のロール構造と問題点について詳述する。図2は、従来の連続鋳造機の二次冷却装置70の支持ロール100及びノズル20を示す斜視図である。
図2に示すように、従来の二次冷却装置70は、鋳型1下方の二次冷却帯9において、鋳片厚み方向両側から鋳片3を支持する複数対の支持ロール100と、鋳片3に冷却水を噴射する複数のノズル20とを備える。
支持ロール100は、図1に示したサポートロール11、ピンチロール12、及びセグメントロール13などに適用される。この支持ロール100は、鋳片3の厚み方向両側に対となって配置され、当該両側から鋳片3を支持し、鋳片3の移動に伴って回転し、上記所定のパスラインに沿って鋳片3を案内及び搬送する。
かかる支持ロール100は、鋳片3の両側において、鋳造方向(鋳片3の搬送方向:図2の下方)に沿って所定の間隔(ロールピッチP)で配置される。この際、鋳造方向に隣り合う支持ロール100のロールピッチPが狭い方が、多数の支持ロール100で鋳片3を挟持できるので、支持ロール100としてできるだけ小径のロールを用いて、ロールピッチPを狭くすることが好ましい。ところが、支持ロール100が小径ロールであると、ロール剛性が低下し、ロール両端の軸受け部(図示せず。)も小型化するため、支持ロール100が変形しやすくなり、ロール中央部が外側に撓みやすくなる。
そこで、従来では、図2に示すように、小径の支持ロール100として、鋳片3と接触するロール部(胴部)が鋳片幅方向に複数に分割された分割ロールを採用していた。ロール部の分割数は2以上の任意の数であってよいが、図2では、ロール部102が3分割された分割ロールの例を示している。この分割ロールを用いることで、ロール両端のみならずロール中間部にも軸受けを設けて支持できるので、小径の支持ロール100の撓みを好適に抑制できる。
このように、従来の二次冷却装置70では、一般的に、支持ロール100として、上記複数対の分割ロールが鋳造方向に沿って所定のロールピッチPで等間隔に配置されており、これら支持ロール100は全て、同一の径φを有する同径ロールで構成されている。
図2に示すように、上記分割ロールからなる支持ロール100は、1本のロール軸101と、鋳片幅方向に分割された複数の分割ロール部102と、鋳片幅方向に隣り合う2つの分割ロール部102、102の間に設けられる軸受け部103とを備える。図示の例の3分割ロールは、1本のロール軸101に対して、3つの分割ロール部102と、2つの軸受け部103が設けられている。
ロール軸101は、鋳片幅方向に延びる回転軸であり、このロール軸101に複数の分割ロール部102が固定される。分割ロール部102は、鋳片3と接触しながら回転し、鋳片3を支持する。軸受け部103は、隣り合う分割ロール部102、102の間に設けられ、ロール軸101の中間部に回転自在に装着される。この軸受け部103は、支持ロール100の中間部を支持し、支持ロール100の中間部が鋳片3から離れる方向に撓むことを防止する。
かかる支持ロール100は、ロール軸101の両端部を不図示の軸受け部で支持され、かつ、ロール軸101の中間部を軸受け部103、103で支持された状態で、複数の分割ロール部102の周面を鋳片3に接触させて、鋳片3を支持する。このとき、鋳片3は鋳造方向に移動しているので、当該鋳片3の移動に伴って分割ロール部102はロール軸101とともに回転する。
ノズル20は、図2に示すように、鋳造方向に隣り合う2つの支持ロール100、100の間において、鋳片幅方向に相互に間隔を空けて複数配置される。かかるノズル20は、冷却水と空気の混合体を鋳片3に向けてスプレー状に噴射する。
このように、ノズル20は、鋳造方向に隣り合う支持ロール100、100の間のスペースに配置され、当該スペースから鋳片3に対して冷却水を噴射するものである。このノズル20から噴射された冷却水は、鋳片3に衝突し、さらに鋳片3の表面3dに沿って流下する。これにより、冷却水と鋳片3の間で熱交換が生じて、鋳片3が冷却される。
なお、支持ロール100の中間部における軸受け部103の先端は、鋳片3と接触しておらず、当該軸受け部103の先端と鋳片3の間には隙間105が存在している。従ってノズル20から噴射された冷却水は、鋳片3の表面3dに衝突した後に、鋳片3と接触する分割ロール部102の位置を通過できないため、当該軸受け部103の隙間105を通じて集中的に流下して、垂れ水32となる。
[2.2.垂れ水及び溜まり水の弊害]
次に、図3〜図6を参照して、本願発明者が、垂れ水及び溜まり水とスプレー水との干渉による強冷却の弊害について検討した結果について詳細に説明する。
本願発明者が鋭意研究したところ、ノズル20から噴射された冷却水(スプレー水)が垂れ水及び溜まり水と干渉すると、当該干渉位置において冷却水と鋳片3との間の熱伝達係数が上昇し、鋳片3に局所的な強冷却が生じることが判明した。以下に、この強冷却現象について詳述する。なお、以下では、鋳造方向(上下方向)に隣り合う2つの支持ロール100、100のうち、鋳造方向の上流側の支持ロール100を上側ロール100、下流側の支持ロール100を下側ロール100と称する。また、ノズル20から噴射された冷却水を、スプレー水21と称する。
[2.2.1.溜まり水とスプレー水との干渉状態]
まず、図3及び図4を参照して、溜まり水とスプレー水の干渉状態について説明する。図3は、従来の二次冷却装置70の支持ロール100及びノズル20を示す正面図である。図4は、溜まり水30とスプレー水21との干渉状態を示す縦断面図である。
図3及び図4に示すように、上側ロール100と下側ロール100の間に配置されたノズル20から噴射されたスプレー水21は、鋳片3の表面3dに衝突した後に、当該表面3dに沿って流下する。下側ロール100の分割ロール部102は鋳片3と接触しており、鋳片3の表面3dに沿って流下してきた冷却水の通過を妨げる。このため、当該冷却水は、支持ロール100の分割ロール部102上部の鋳片3側の周面102aと、鋳片3の表面3dとで囲まれた断面楔状のスペースに溜まり、溜まり水30が発生する。
このように分割ロール部102の周面102aと鋳片3の表面3dとの間に溜まった溜まり水30に対して、ノズル20からのスプレー水21が直接当たると、当該スプレー水21と溜まり水30とが干渉して、当該干渉域31における冷却水と鋳片3との間の熱伝達係数が増加する。図4の例では、スプレー水21の下部側と、下側ロール100上の溜まり水30とが干渉域31で干渉している。
この結果、当該干渉域31に対応する位置の鋳片3が局所的に強冷却されるため、鋳片幅方向の冷却均一性が阻害される。このように溜まり水30とスプレー水21の干渉により熱伝達係数が増加する理由は、溜まり水30の分だけ干渉域31の水量密度が増加するためと、スプレー水21により干渉域31の溜まり水30をかき乱すことで対流熱伝達が促進されるためであると考えられる。一般的に、水と対象物との間の熱伝達係数は、水量密度の関数で表され、水量密度が大きいほど、熱伝達係数も大きくなり、対象物の温度変化が激しくなる。
[2.2.2.垂れ水とスプレー水との干渉状態]
次に、図3、図5及び図6を参照して、垂れ水とスプレー水の干渉について説明する。図5、図6はそれぞれ、垂れ水32及び溜まり水30とスプレー水21との干渉状態を示す縦断面図、正面図である。
上記図2に示した分割ロールで支持ロール100を構成した場合、鋳片3と接触しない軸受け部103は、冷却水が流下可能な溝部(通水部)となる。このため、上側ロール100の分割ロール部102の上部に溜まった溜まり水30は、軸受け部103に向かって鋳片幅方向に移動し、図3、図5及び図6に示すように、軸受け部103の先端103aと鋳片3の表面3dとの間の隙間105を通じて、冷却水が集中的に流下する。このように、軸受け部103の位置から流下する冷却水が垂れ水32である。この垂れ水32は、下側ロール100付近まで流下すると、当該下側ロール100の分割ロール部102上で溜まり水30となる。
かかる垂れ水32に対して、上側ロール100と下側ロール100の間に配置されたノズル20からのスプレー水21が直接当たると、当該スプレー水21と垂れ水32とが干渉して、当該干渉域33における冷却水と鋳片3との間の熱伝達係数が増加する。図5、図6の例では、スプレー水21の上部側と垂れ水32とが干渉域33で干渉し、また、当該スプレー水21の下部側も、下側ロール100上の溜まり水30と干渉域31で干渉している。
この結果、スプレー水21と垂れ水32の干渉域33に対応する位置の鋳片3が局所的に強冷却されるため、鋳片幅方向の冷却均一性が阻害される。このように垂れ水32とスプレー水21の干渉により熱伝達係数が増加する理由は、垂れ水32の分だけ干渉域33の水量密度が増加するためであると考えられる。
[3.第1の実施形態に係る二次冷却装置]
以下に、本発明の第1の実施形態に係る連続鋳造機の二次冷却装置7について説明する。
[3.1.二次冷却装置の概要]
まず、図7を参照して、本実施形態に係る二次冷却装置7の概略について説明する。図7は、本実施形態のロール構造と従来のロール構造を比較して示す側面図である。
上述したように、鋳片3のバルジングを抑制するためには、ロールピッチPを縮小する必要があるが、そのためには、支持ロールとして小径ロールを用いる必要がある。しかし、小径ロールは剛性が低く変形し易いので、従来の二次冷却装置のロール構造(図2参照。)では、小径の支持ロール100として、鋳片幅方向にロール部102が複数に分割された分割ロール(以下、分割ロール100と称する場合もある。)を使用し、ロール中間部の軸受け部103でロール軸101を支持して、分割ロール100の剛性を高めていた。
ここで、図7に示すように、従来の二次冷却装置70では、一般的に、上記複数対の分割ロール100が鋳造方向に沿って所定のロールピッチPで等間隔に配置されており、これら分割ロール100は全て、同一の径φを有する同径ロールで構成されている。かかるロール構造により、多数の分割ロール100を用いて狭いロールピッチPで鋳片3を支持できるため、鋳片3のバルジングを抑制することはできる。
しかしながら、上記従来のロール構造では、全ての支持ロールとして分割ロール100を用いているため、該分割ロール100の軸受け部103を通じた垂れ水32とスプレー水21との干渉により、鋳片3が局部的に過冷却されて、鋳片幅方向の冷却均一性が阻害されるという問題があった(図5、図6参照。)。さらに、分割ロール100上の溜まり水30とスプレー水21との干渉により、鋳片3が局部的に過冷却されるため、軸受け部103の配置によっては、鋳片幅方向の冷却均一性を維持することは難しいという問題もあった(図4、図6参照。)。
そこで、本願発明者らは、同径の分割ロール100を等ロールピッチPで配置するのではなく、異径のロールを従来と同等のロールピッチPで配置することにより、鋳片3をバルジングさせることなく支持するとともに、鋳片幅方向の冷却均一性も確保できるロール構造を考案した。
即ち、本実施形態に係る二次冷却装置7では、図7に示すように、鋳片3の支持ロールとして、大径の非分割ロール200(ロール径φ1)と、小径の分割ロール300(ロール径φ2)を併用する。そして、これら大径の非分割ロール200と小径の分割ロール300は、上記従来の二次冷却装置70と同一のロールピッチPで、鋳造方向に交互に配置される。そして、大径の非分割ロール200と小径の分割ロール300との隙間に、鋳片3に冷却水を供給するノズル20が配置される。
ここで、大径の非分割ロール200(以下、大径ロール200と称する。)は、ロールピッチP以上のロール径φ1を有する支持ロール(一本ロール)である。この大径ロール200は、太くて剛性が高いので、ロール中間部に軸受け部を設けて支持しなくても、撓み変形することはない。一方、小径の分割ロール300(以下、小径ロール300と称する。)は、ロールピッチP未満のロール径φ2を有する小径の支持ロールである。この小径ロール300は、細くて剛性が低いので、撓み変形を防止するためには、ロール中間部に軸受け部を設けて支持する必要がある。
かかる大径ロール200と小径ロール300は、以下のロール径の条件式(1)〜(3)を満たしている。式(1)を満たすことで、大径ロール200として非分割ロールを用いても、鋳造中の大径ロール200の撓み変形を防止して、バルジングを抑制できる。式(2)及び式(3)は、P以上のロール径φ1を有する大径ロール200と小径ロール300を、既存の狭いロールピッチPで配列するための条件である。式(2)及び(3)の条件を満たせば、大径ロール200と小径ロール300を接触させることなく、既存のロールピッチPで配置できる。
φ1≧P (1)
φ2<P (2)
φ1+φ2<2・P (3)
[3.2.二次冷却装置のロール構造]
次に、図7〜図9を参照して、本実施形態に係る連続鋳造機の二次冷却装置7について詳述する。
[3.2.1.二次冷却装置の全体構成]
まず、図7〜図9を参照して、本実施形態に係る連続鋳造機の二次冷却装置7の全体構成について説明する。図8、図9はそれぞれ、本実施形態に係る連続鋳造機の二次冷却装置7の支持ロール200、300及びノズル20を示す斜視図、正面図である。
図7〜図9に示すように、本実施形態に係る二次冷却装置7は、鋳型1下方の二次冷却帯9において、鋳片厚み方向両側から鋳片3を支持する複数対の支持ロール(大径ロール200と小径ロール300)と、鋳片3に冷却水を噴射する複数のノズル20とを備える。
支持ロール(大径ロール200と小径ロール300)は、図1に示したサポートロール11、ピンチロール12、及びセグメントロール13など、二次冷却帯9に設けられる任意のロールに適用可能である。この支持ロールは、鋳片3の厚み方向両側に対となって配置され、当該両側から鋳片3を支持する機能を有する。また、支持ロールは、鋳片3の移動に伴って回転し、上記所定のパスラインに沿って鋳片3を案内及び搬送する機能も有する。かかる支持ロールをパスラインの両側に複数対設けることで、鋳片3の幅方向中央部が膨らむバルジングや、凝固シェル3aの破断によるブレークアウトを防止できる。
本実施形態に係る支持ロールは、上記大径ロール200(非分割ロール)と小径ロール300(分割ロール)の組み合わせから成ることを特徴としている。これら大径ロール200と小径ロール300は、鋳造方向に一定のロールピッチPで交互に配置される。なお、ロールピッチPは、二次冷却帯9における鋳片3の位置(垂直帯9A、湾曲帯9B、水平帯9C)に応じて適切なピッチに調整される。
上述したように、大径ロール200は、ロールピッチP以上のロール径φ1を有する大径の支持ロールである。例えば、P=300mmである場合、ロール径φ1=400mmである。この大径ロール200は、鋳片3に接触するロール部202(胴部)が鋳片幅方向に分割されていない非分割ロールで構成される。大径ロール200は、駆動ロールであっても、無駆動ロールであってもよい。
一方、小径ロール300は、ロールピッチP未満のロール径φ2を有する小径の支持ロールである。例えば、P=300mmである場合、ロール径φ2=170mmである。この小径ロール300は、鋳片3に接触するロール部302(胴部)が鋳片幅方向に複数に分割された分割ロールで構成される。小径ロール300は、駆動ロールであっても、無駆動ロールであってもよい。ロール部302の分割数は2以上の任意の数であってよいが、図8、図9の例では、ロール部302が3分割された分割ロールの例を示している。
また、ノズル20は、鋳片3に冷却水を供給する冷却装置の一例である。このノズル20は、冷却水と空気の混合体を鋳片3に向けてスプレー状に噴射するスプレーノズルで構成される。ノズル20は、不図示の冷却水供給手段に接続されており、当該冷却水供給手段から冷却水及び空気が所定の供給圧でノズル20に供給されて、ノズル20から鋳片3に噴射される。ノズル20に対する冷却水の供給量や、ノズル20の噴射口の大きさ等を調整することで、ノズル20から噴射される冷却水の水量を制御可能である。また、ノズル20の噴射口から噴射される冷却水の噴射角度を調整することで、鋳片3に対して吹き付けられる冷却水の範囲を制御可能である。
なお、ノズル20は、冷媒として冷却水と空気の混合体を噴射するものであるが、本明細書では説明の便宜上、冷却水を噴射すると記載する。また、ノズル20から噴射される冷媒(流体)は、冷却水及び空気の組み合わせの他にも、例えば、冷却水と窒素、冷却水と表面活性剤などの組み合わせや、冷却水単独であってもよい。
上記ノズル20は、鋳造方向に隣り合う大径ロール200と小径ロール300の間において、鋳片幅方向に相互に間隔を空けて複数配置される。図8の例では、6つのノズル20が、鋳片幅方向に等間隔で配置されているが、かかる例に限定されず、ノズル20の設置数は複数であれば任意の数であってよく、また、ノズル20の配置間隔や位置も任意である。
このように、ノズル20は、鋳造方向に隣り合う大径ロール200と小径ロール300の間のスペースに配置され、当該スペースから鋳片3に対して冷却水を噴射するものである。このノズル20から噴射された冷却水は、鋳片3に衝突し、さらに鋳片3の表面3dに沿って流下する。これにより、冷却水と鋳片3の間で熱交換が生じて、鋳片3が冷却される。
[3.2.2.二次冷却装置のロール構造]
次に、図7〜図9を参照して、本実施形態に係る連続鋳造機の二次冷却装置7のロール構造について詳述する。
まず、非分割ロールからなる大径ロール200について説明する。図8及び図9に示すように、大径ロール200は、1本のロール軸201と、鋳片幅方向に一体化されている非分割のロール部202とを備える。ロール軸201は、鋳片幅方向に延びる回転軸であり、このロール軸201にロール部202が固定される。ロール部202は、鋳片3と接触しながら回転し、鋳片3を支持する。
以上の構成の大径ロール200は、ロール軸201の両端部のみを不図示の軸受け部で支持された状態で、ロール部202の周面を鋳片3に接触させて、鋳片3を支持する。このとき、鋳片3は鋳造方向に移動しているので、当該鋳片3の移動に伴ってロール部202はロール軸201とともに回転する。
ロール径φ1の大径ロール200は、ロール径φの従来の分割ロール100と比べて十分に太く(φ1≧P>φ)、十分な剛性を有する。従って、大径ロール200は、鋳片3を支持しているときに、ロール中央部が外側に撓むように変形することがなく、鋳片3を適切に支持して、鋳片3のバルジングを抑制できる。
また、大径ロール200は非分割ロールであるので、ロール中間部に、通水路となる軸受け部が形成されていない。従って、図9に示すように、大径ロール200のロール部202上に溜まった溜まり水30は、鋳片幅方向両側から排水35として外部に排出され、大径ロール200の下側に流下しない。よって、大径ロール200を設けた箇所では、上記従来の分割ロール100のような軸受け部103を通じた垂れ水32が発生しないので、鋳片幅方向の冷却均一性を向上できる。
次に、分割ロールからなる小径ロール300について説明する。図8及び図9に示すように、小径ロール300は、1本のロール軸301と、鋳片幅方向に分割された複数の分割ロール部302と、2つの分割ロール部302、302の間に設けられた1又は2以上の軸受け部303とを備える。図示の例の3分割ロールは、1本のロール軸301に対して、3つの分割ロール部302と、2つの軸受け部303が設けられている。
ロール軸301は、鋳片幅方向に延びる回転軸であり、このロール軸301に複数の分割ロール部302が固定される。小径ロール300が駆動ロールである場合、ロール軸301は1本であるが、小径ロール300が無駆動ロールである場合、ロール軸301は通常、複数本に分割され、当該分割ロール軸がそれぞれ軸受け部303により支持される。分割ロール部302は、鋳片3と接触しながら回転し、鋳片3を支持する。
軸受け部303は、鋳片幅方向に隣り合う分割ロール部302、302の間に設けられる。この軸受け部303の先端は、ロール軸301に対して回転自在に取り付けられ、軸受け部303の後端は、不図示の支持部材(例えばバックフレーム)に固定されている。これにより、軸受け部303は、小径ロール300の中間部を支持し、小径ロール300の中間部が鋳片3から離れる方向に撓むことを防止する。
なお、個々の小径ロール300における軸受け部303の鋳片幅方向の位置は任意であるが、鋳造方向の上流側と下流側の小径ロール300、300では、各々の軸受け部303、303を相異なる鋳片幅方向の位置に配置した方が好ましい。例えば、小径ロール300の軸受け部303の鋳片幅方向の位置を、鋳造方向の前後の小径ロール300、300間でずらして、軸受け部303が鋳造方向に沿って千鳥状に配置されることが好ましい。
軸受け部303の鋳片幅方向の位置が同一であると、その位置で常に鋳片3が支持されないことになり、鋳片3に局所的なバルジングが発生するおそれがある。これに対し、複数の小径ロール300間で軸受け部303の位置をずらして配置すれば、上記局所的なバルジングの発生位置を、鋳片幅方向に分散させることができるので、局所的なバルジングの発生を抑制できる。さらに、上記軸受け部303の配置により、軸受け部303を通じて流下する垂れ水32の位置を、鋳片幅方向にずらすことができる。従って、当該垂れ水32により鋳片幅方向の同一部位のみが局所的に過冷却されることを防止して、鋳片幅方向の冷却均一性を向上できる。
以上の構成の小径ロール300は、ロール軸201の両端部を不図示の軸受け部で支持され、かつ、ロール軸301の中間部を軸受け部303で支持された状態で、複数の分割ロール部302の周面を鋳片3に接触させて、鋳片3を支持する。このとき、鋳片3は鋳造方向に移動しているので、当該鋳片3の移動に伴って分割ロール部302はロール軸101とともに回転する。
この際、分割ロールから成る小径ロール300は、ロール両端のみならず、ロール中間部も軸受け部303により支持される。従って、ロール径φ2の小径ロール300が、ロール径φの従来の分割ロール100と比べて細く(P>φ≧φ2)、剛性が低い場合であっても、ロール中間部の軸受け部303により小径ロール300の撓みを抑制できる。よって、小径ロール300を用いて、鋳片3を適切に支持して、鋳片3のバルジングを抑制できる。
[3.2.3.小径ロールのスリット]
次に、図8及び図9を参照して、小径ロール300の周面に設けられるスリット304について説明する。
上述したように、上記小径ロール300の軸受け部303の先端は、鋳片3と接触しておらず、当該軸受け部303の先端と鋳片3の間には隙間305が存在している。このため、ノズル20から噴射された冷却水は、鋳片3の表面3dに衝突した後に、軸受け部303の隙間305を通じて集中的に流下して、垂れ水32が発生してしまう。このように小径ロール300を分割ロールで構成すると、上記従来の分割ロール100と同様に、垂れ水32とスプレー水21との干渉による過冷却により、鋳片幅方向の冷却均一性が阻害される恐れがある。
そこで、本実施形態では、小径ロール300上の溜まり水30と、軸受け部303を通じた垂れ水32を低減するために、図8及び図9に示すように、小径ロール300の周面に、通水用のスリット304が複数形成されている。図示の例では、小径ロール300の分割ロール部302に、同様に細かいスリット304を等間隔で複数形成されており、当該スリット304の深さと幅は、軸受け部303の深さと幅よりも十分に小さい。しかし、かかる例に限定されず、スリット304の設置数や深さ、幅、配置等は、任意に設定してもよい。
上記のように小径ロール300に複数のスリット304を設けることで、当該スリット304が、冷却水が流下可能な溝部(通水部)として機能する。これにより、小径ロール300上に流下した冷却水は、これらスリット304及び軸受け部303の隙間305を通じて、直ちに下方に流下するので、小径ロール300上に溜まり水30が発生しない。さらに、当該スリット304から冷却水が適宜流下するので、軸受け部303に冷却水が集まって流下することもない。よって、軸受け部303を通じた垂れ水32も大幅に減少し、各小径ロール300において、鋳片幅方向に均一に分散した微少な垂れ水34を生じさせることができる。従って、小径ロール300からの垂れ水32、34を下流側に均一に流すことができる。
以上のように、本実施形態では、小径ロール300の分割ロール部302の周面に多数の細かいスリット304が設けられている。これにより、小径ロール300上に溜まり水30が発生することを防止でき、ノズル20からのスプレー水21と溜まり水30との干渉を抑制することができる。加えて、スリット304及び軸受け部303を通じて流下する垂れ水32、34は微少であるので、スプレー水21と垂れ水32、34との干渉を抑制することができる。よって、溜まり水30や垂れ水32、34との干渉による鋳片3の局所的な過冷却を抑制できるので、鋳片3を幅方向に均一に冷却できるようになる。
[3.2.4.大径ロールのロール径の具体例]
次に、連続鋳造機の鋳型1のメニスカス16(図1参照。)からの距離Hと、ロールピッチPに応じた、大径ロール200のロール径φ1の適正値について説明する。なお、距離Hは、鋳型1のメニスカス16から鋳片3の任意の位置までの垂直方向の高さを表す垂直距離である。
鋳型1下方の二次冷却帯9において、メニスカス16からの距離Hが大きいほど(即ち、メニスカス16から下方に遠くなるほど)、その位置での鋳片3には、鋳片3内部の未凝固部3b溶鋼の大きな静圧が作用する。従って、メニスカス16からの距離Hが大きいほど、より大きい支持力を有する支持ロールにより鋳片3を支持する必要があるので、大径ロール200のロール径φ1を大きくすることが好ましい。
そこで、本願発明者らは、実際の連続鋳造機を用いて、メニスカス16からの距離HとロールピッチPに応じた適切なロール径φ1を求める試験を行った。かかる試験結果によれば、HとPに応じて、φ1を以下のように設定すれば、大径ロール200の撓み変形を防止でき、鋳片3のバルジングを抑制できることが分かった。
まず、メニスカス16からの距離Hが5m以下の範囲の二次冷却帯9においては、ロールピッチPが200〜300mmである場合、大径ロール200のロール径φ1は、300mm以上、Pの2倍以下であることが好ましい。当該HとPの条件下でφ1が300mm未満であると、大径ロール200の剛性が不足し、大径ロール200の変形が生じる場合がある。
また、メニスカス16からの距離Hが14m以下の範囲の二次冷却帯9においては、ロールピッチPが250〜300mmである場合、大径ロール200のロール径φ1は、350mm以上、Pの2倍以下であることが好ましい。当該HとPの条件下でφ1が350mm未満であると、大径ロール200の剛性が不足し、大径ロール200の変形が生じる場合がある。
[3.3.第1の実施形態の効果]
以上、本発明の第1の実施形態に係る連続鋳造機の二次冷却装置7について詳述した。本実施形態によれば、鋳型1下方の二次冷却帯9において、狭いロールピッチPで交互に配置された大径ロール200と小径ロール300により、鋳片3を支持しながら、大径ロール200と小径ロール300の隙間に配置されたノズル20から、冷却水を鋳片3に吹き付けることにより、鋳片3を冷却する。
本実施形態に係る二次冷却装置7では、鋳片幅方向の冷却均一性を高めるために、従来の分割ロール100に代えて、大径ロール200(軸受け部のない非分割ロール)を用いて鋳片3を支持する。これにより、大径ロール200から下流に垂れ水32が発生しないので、従来の垂れ水32とスプレー水21との干渉による過冷却に起因した冷却不均一の問題を解決できる。従って、大径ロール200の下流側での鋳片幅方向の冷却均一性を大幅に向上できる。
さらに、全ての支持ロールとして大径ロール200を用いると、ロールピッチPが広がってしまうため、該大径ロール200、200の間に小径ロール300(分割ロール)が配置されている。この小径ロール300は、上記従来の分割ロール100よりも小径であり、大径ロール200、200の間に配置可能である。かかる大径ロール200と、小径ロール300は、鋳造方向に等ロールピッチPで交互に配置される。このように、大径ロール200と小径ロール300を組み合わせたロール構造とすることで、従来のロール構造と同程度の狭いロールピッチPを維持できるので、高い支持力で鋳片3を適切に支持して、鋳片3のバルジングを抑制できる。
また、従来では、全ての支持ロールを分割ロール100で構成していたため、該分割ロール100の軸受け部103の位置で鋳片3を支持できず、当該位置で鋳片3の局部的なバルジングの発生を誘発していた。しかし、本実施形態では、非分割ロールである大径ロール200と分割ロールである小径ロール300とを併用することで、分割ロールの設置数を半数に低減できるので、上記局部的なバルジングの発生も低減できる。
さらに、分割ロールからなる小径ロール300の周面に複数のスリット304を形成することで、小径ロール300からの垂れ水32、34を該スリット304及び軸受け部303を通じて、下流側に均等に流すことができる。従って、小径ロール300の下流側においても、垂れ水32、34とスプレー水21とが局所的に干渉することはない。従って、小径ロール300の下流側においても、鋳片幅方向の冷却均一性を向上できる。
以上のように、本実施形態によれば、鋳片3のバルジング抑制と、鋳片3の幅方向の冷却均一性との両立を実現することができる。よって、高速鋳造にも対応でき、高品質の鋳片3を高速で鋳造することが可能となる。
[4.第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係る連続鋳造機の二次冷却装置7について説明する。第2の実施形態は、上記第1の実施形態と比べて、冷却装置として冷却パッドを用いる点と、小径ロール300にスリット304が形成されていない点で相違し、その他の機能構成は上記第1の実施形態と同様であるので、詳細説明は省略する。
[4.1.二次冷却装置の全体構成]
まず、図10及び図11を参照して、第2の実施形態に係る連続鋳造機の二次冷却装置7の全体構成について説明する。図10は、第2の実施形態のロール構造と従来のロール構造を比較して示す側面図である。図11は、第2の実施形態に係る連続鋳造機の二次冷却装置7の支持ロール200、300及び冷却パッド40を示す正面図である。
図10及び図11に示すように、第2の実施形態に係る二次冷却装置7は、鋳型1下方の二次冷却帯9において、鋳片厚み方向両側から鋳片3を支持する複数対の支持ロール(大径ロール200と小径ロール300)と、鋳片3に冷却水を供給する複数の冷却パッド40とを備える。
第2の実施形態に係る二次冷却装置7は、第1の実施形態と同様に、鋳片3の支持ロールとして、大径ロール200(ロール径φ1)と、小径ロール300(ロール径φ2)を併用する。そして、これら大径の非分割ロール200と小径の分割ロール300が、上記従来の二次冷却装置70と同一のロールピッチPで、鋳造方向に交互に配置される。
そして、大径ロール200と小径ロール300との隙間に、鋳片3を強冷却するための冷却パッド40が配置される。冷却パッド40は、鋳片3に冷却水を供給する冷却装置の一例である。図10及び図11に示すように、冷却パッド40は、鋳片幅方向に一体化されており、大径ロール200と小径ロール300と鋳片3とで囲まれるスペースを埋めるようにして、鋳片3に対して対向配置されつつ、鋳片幅方向に延設される。
このように、第2の実施形態では、冷却水供給手段として、冷却水を噴射するノズル20に代えて、鋳片3との間に冷却水の膜流を形成して鋳片3を強冷却する冷却パッド40を備えることを特徴としている。
[4.2.冷却パッドの構成及び機能]
ここで、図12及び図13を参照して、本実施形態に係る冷却パッド40の構成及び機能について詳述する。図12は、本実施形態に係る冷却パッド40を示す斜視図である。図13は、本実施形態に係る冷却パッド40による強冷却機能を表す断面図である。
なお、図12及び図13では、小径ロール300の下側に配置される冷却パッド40を示しているが、小径ロール300の上側に配置される冷却パッド40は、下側に配置される冷却パッド40と上下対称な構成を有するので、重複説明を省略する。
図12及び図13に示すように、冷却パッド40は、パッド本体41と、パッド本体41の背面41bに連結される複数の給水管42とを備える。パッド本体41の前面は、鋳片3の表面3dと対向する略平坦な対向面41aとなっている。また、パッド本体41の上面は、小径ロール300のロール径φ2と同等の曲率を有する湾曲面41cとなっており、パッド本体41の下面は、大径ロール200のロール径φ1と同等の曲率を有する湾曲面41dとなっている。
給水管42は、不図示の冷却水供給手段に接続されるとともに、パッド本体41の内部空間41eと連通している。また、上記パッド本体41の対向面41aには、鋳片幅方向に直線状に延びるスリット43が形成されており、該スリット43は、パッド本体41の内部空間41eと連通している。かかるスリット43は、鋳片3の表面3dと冷却パッド40の対向面41aとの隙間に冷却水を噴出するための噴出口として機能する。なお、スリット43の設置数や形状は、図示の例に限定されず、鋳片3と対向面41aとの隙間に冷却水を充満させることが可能であれば、任意の設置数や形状であってもよい。
かかる構成の冷却パッド40は、スリット43から冷却水を噴出することにより、鋳片3と対向面41aの隙間に冷却水を充満させて冷却水の膜流53、54を形成して、鋳片3を強冷却する。
詳細には、図13に示すように、上記冷却水供給手段から冷却水が所定の供給圧で給水管42に供給され、該冷却水は、給水管42からパッド本体41内に供給される(図13の水流51)。次いで、該冷却水は、パッド本体41の対向面41aに形成されたスリット43から、鋳片3の表面3dと冷却パッド40の対向面41aとの隙間に高圧で噴出される(図13の水流52)。その後、噴出された冷却水は、当該隙間に所定の厚みで充満しつつ、上方又は下流に向かう膜流53、54となる。
このように、鋳片3と冷却パッド40の対向面41aとの隙間に、高圧の冷却水の膜流53、54を形成することで、膜流53、54と鋳片3間で熱交換を促進して、鋳片3を強冷却することができる。
さらに、当該膜流53により、垂れ水32による局部的な過冷却を防止して、鋳片幅方向の冷却均一性を向上することもできる。即ち、図13に示すように、小径ロール300の軸受け部303の先端303aと鋳片3の表面3dとの間には、所定の隙間305が生じる。このため、小径ロール300上に溜まった冷却水は、当該隙間305を通じて集中的に流下して、垂れ水32が発生する。しかし、本実施形態では、小径ロール300の直下に冷却パッド40が存在し、かつ、該冷却パッド40と鋳片3との隙間には上記高圧の冷却水の膜流53が充満しており、当該隙間への垂れ水32の浸入を防止できる。このため、小径ロール300から流下した垂れ水32は、該冷却パッド40と鋳片3との間の狭い隙間に入り込むことなく、冷却パッド40の上側の湾曲面41cと小径ロール300の下側ロール周面との隙間を通って、鋳片3の表面3dから離隔する方向に排出される(図13の水流55)。
このように、第2の実施形態では、小径ロール300の軸受け部303で垂れ水32が発生したとしても、当該垂れ水は、冷却パッド40から小径ロール300の下側に供給される冷却水と干渉しないので、該垂れ水32に起因した鋳片3の局部的な過冷却を、より確実に防止できる。さらに、冷却パッド40の下部側は、大径ロール200と鋳片3との間の楔形の空間に入り込んでいるので、大径ロール200の上側に溜まり水30が発生することも抑制できる。従って、溜まり水30に起因した鋳片3の局部的な過冷却も防止できる。よって、垂れ水32及び溜まり水30の悪影響を排除して、鋳片幅方向の冷却均一性を、より一層向上できる。
上記のように冷却パッド40を設置することにより、小径ロール300の軸受け部303からの垂れ水32の悪影響を排除できるので、該垂れ水32の発生を防止する必要がない。そこで、第2の実施形態では、図11に示すように、小径ロール300の分割ロール部302の周面には、第1の実施形態のようなスリット304(図9参照。)を形成しなくてもよい。小径ロール300にスリット304が無ければ、小径ロール300上の溜まり水は、軸受け部303から垂れ水32として流下するが、該垂れ水32は、図13に示したように冷却パッド40の上側の湾曲面41cに沿って外部に排出されるので、該垂れ水32により鋳片幅方向の均一性が阻害されることはない。しかし、かかる例に限定されず、第2の実施形態でも、小径ロール300の周面に複数のスリット304を形成し、小径ロール300のスリット304及び軸受け部303から冷却水を鋳片幅方向に均等に流下させるようにしても、勿論よい。
[4.3.第2の実施形態の効果]
以上説明したように、第2の実施形態に係る二次冷却装置7によれば、上記第1の実施形態の効果に加えて、更に以下の効果を奏する。
第2の実施形態によれば、冷却パッド40のスリット43から冷却水を噴出することにより、冷却パッド40の対向面41aと鋳片3の表面3dとの隙間に冷却水を充満させて、高圧の冷却水の膜流53、54を形成する。これにより、鋳片3を強冷却することができる。さらに、鋳片3と冷却パッド40との隙間に垂れ水32が浸入することや、溜まり水30の発生を防止できるので、垂れ水32や溜まり水30とスプレー水との干渉による鋳片3の過冷却の問題を解消でき、鋳片3の幅方向の均一性をより一層向上できる。
次に、本発明の実施例について説明する。なお、以下の実施例は、本発明の実施可能性と効果を確認するために行った試験結果を示すものであり、本発明が以下の実施例の条件に限定されるものではない。
図1に示した連続鋳造機を用いて連続鋳造試験を行い、二次冷却装置7のロール構造と冷却方式を変更して、大径ロール200の変形量と鋳片幅方向の冷却均一性を評価した。この試験では、厚み250mm×幅1800mmの鋳片3を、鋳造速度1.5m/minで鋳造した。そして、メニスカス16からロールまでの距離Hが5m以内、又は、5m超14m以内であるロール設置位置において、大径ロール200の変形量を測定するとともに、鋳片3の表面温度を、放射温度計を用いて測定した。
本試験の試験条件と評価結果を表1に示す。
Figure 0006295813
表1に示すように、本発明の実施例1〜13では、上記実施形態に係る大径の非分割ロール200(ロール径φ1)と小径の分割ロール300(ロール径φ2)を併用したロール構造とした。一方、比較例1〜4では、全て同径の分割ロール100(ロール径φ)を用いたロール構造とした。ロールピッチPとしては、実施例及び比較例とも、連続鋳造機の二次冷却装置における既設のロールピッチを維持した。
ロール変形量の判定基準としては、大径の非分割ロール200の鋳片厚み方向の撓み量Xを測定し、該Xの測定値と閾値(0.5mm、1.0mm)を比較し、以下の通り区分した
○:X<0.5mm
△:0.5≦X<1.0mm
×:X≧1.0
−:分割ロールであるので、撓み量x<0.5mm
また、鋳片幅方向の冷却均一性の判定基準としては、二次冷却帯9の水平帯9Cの入り側において、鋳片3のエッジから200mmの部分を除く鋳片3の幅方向の温度差ΔTを測定し、該ΔTの測定値と閾値(50℃)を比較した。
○:ΔT<50℃
△:50℃≦ΔT<100℃
×:ΔT≧100℃
(1)ロール変形量の評価
次に、上記試験により得られたロール変形量の評価結果について検討する。表1に示すように、実施例1〜13で、大径ロール200と小径ロール300を併用した場合には、大径ロール200のロール変形量の評価は「○」又は「△」であった。従って、支持ロールとして、ロール中間部に軸受け部の無い非分割の大径ロール200を用いた場合であっても、該大径ロール200の撓み量Xが1mm未満であるので、鋳片3のバルジングを1mm未満に抑制できることが確認された。
特に、実施例2〜7、9、10、12、13では、ロール変形量の評価は「○」であり、該大径ロール200の撓み量Xが0.5mm以下であるので、鋳片3のバルジングを0.5mm未満に抑制できることが確認された。
さらに、実施例1〜7のように、メニスカス16からの距離Hが5m以下の範囲の二次冷却帯9において、ロールピッチPが200〜300mmである場合には、実施例2〜7のように、大径ロール200のロール径φ1が300mm以上であることが好ましいことが分かる。即ち、φ1が300mm以上である実施例2〜7では、ロール変形量の評価は「○」であるのに対し、φ1が300mm未満である実施例1では、ロール変形量の評価は「△」であった。従って、φ1が300mm以上であれば、Hが5m以下の領域における未凝固部3bの溶鋼の静圧に対して、大径ロール200が十分な支持力を発揮して、鋳片3のバルジングを好適に抑制できることが確認された。
また、実施例8〜13のように、メニスカス16からの距離Hが5m超、14m以下の範囲の二次冷却帯9において、ロールピッチPが250〜300mmである場合には、実施例9、10、12、13のように、大径ロール200のロール径φ1が350mm以上であることが好ましいことが分かる。即ち、φ1が350mm以上である実施例9、10、12、13では、ロール変形量の評価は「○」であるのに対し、φ1が350mm未満である実施例8、11では、ロール変形量の評価は「△」であった。従って、φ1が350mm以上であれば、Hが5m超、14m以下の領域における未凝固部3bの溶鋼の静圧に対して、大径ロール200が十分な支持力を発揮して、鋳片3のバルジングを好適に抑制できることが確認された。
(2)冷却均一性の評価
次に、上記試験により得られた鋳片幅方向の冷却均一性の評価結果について検討する。表1に示すように、実施例1〜13で、大径ロール200と小径ロール300を併用した場合には、鋳片幅方向の冷却均一性の評価は大半が「○」であり、鋳片幅方向の温度差ΔTが50℃未満であった。なお、実施例3の評価のみが「△」であり、ΔTが100℃未満であった。これに対し、実施例1〜4で、同径の分割ロール100のみを用いた場合には、冷却均一性の評価は「×」であり、ΔTが100℃超であった。
従って、大径ロール200と小径ロール300を併用した本発明の実施例1〜13のロール構造は、従来の比較例1〜4のロール構造よりも、鋳片幅方向の冷却均一性に優れることが確認された。
なお、実施例3の大径ロール200と小径ロール300のロール径の和(φ1+φ2=395mm)は、ロールピッチPの2倍(400mm)とほぼ等しく、冷却水を噴射するノズル20の設置スペースが制限されている。従って、実施例3でΔTが100℃未満となった理由は、ノズル20を設置するための大径ロール200と小径ロール300の隙間が小さいため、冷却均一性に悪影響を与えたからであると考えられる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1 鋳型
2 溶融金属
3 鋳片
3a 凝固シェル
3b 未凝固部
7 二次冷却装置
9 二次冷却帯
9A 垂直部
9B 湾曲部
9C 水平部
16 メニスカス
20 ノズル
21 スプレー水
30 溜まり水
32、34 垂れ水
35 排水
40 冷却パッド
41 パッド本体
41a 対向面
42 給水管
43 スリット
53、54 膜流
100 分割ロール
200 大径の非分割ロール
201 ロール軸
202 ロール部
300 小径の分割ロール
301 ロール軸
302 分割ロール部
303 軸受け部
304 スリット

Claims (4)

  1. 連続鋳造機の鋳型下方の二次冷却帯において鋳造方向に所定のロールピッチで配置され、鋳片厚み方向両側から鋳片を支持する複数対の支持ロールと、
    前記鋳造方向に隣り合う前記支持ロールの間に設けられ、前記鋳片に冷却水を供給する冷却装置と、
    を備え、
    前記支持ロールは、
    前記ロールピッチ以上のロール径を有し、前記鋳片に接触するロール部が鋳片幅方向に分割されていない大径ロールと、
    前記ロールピッチよりも小さいロール径を有し、前記鋳片に接触するロール部が鋳片幅方向に分割された小径ロールと、
    を含み、
    前記大径ロールと前記小径ロールは、前記鋳造方向に前記ロールピッチで交互に配置され
    前記ロールピッチは、前記二次冷却帯における前記鋳片の位置に応じて調整され、
    前記連続鋳造機のメニスカスからの距離が5m以下の範囲の前記二次冷却帯において、前記ロールピッチが200〜300mmである場合、前記大径ロールのロール径は、300mm以上、前記ロールピッチの2倍未満であり、
    前記連続鋳造機のメニスカスからの距離が5m超、14m以下の範囲の前記二次冷却帯において、前記ロールピッチが250〜300mmである場合、前記大径ロールのロール径は、350mm以上、前記ロールピッチの2倍未満である、連続鋳造機の二次冷却装置。
  2. 前記冷却装置は、鋳片幅方向に相互に間隔を空けて配置され、前記鋳片に前記冷却水を噴射する複数のノズルを含み、
    前記複数のノズルは、前記鋳造方向に隣り合う前記大径ロールと前記小径ロールの間のスペースに配置され、当該スペースから前記鋳片に対して冷却水を噴射し、
    前記小径ロールの周面には複数の通水用のスリットが設けられる、請求項1に記載の連続鋳造機の二次冷却装置。
  3. 前記冷却装置は、前記大径ロールと前記小径ロールと前記鋳片とで囲まれるスペースに、前記鋳片と対向配置され、鋳片幅方向に一体化された冷却パッドを含み、
    前記冷却パッドは、
    前記鋳片と対向する対向面と、
    前記対向面に形成されるスリットと、
    を備え、
    前記スリットから前記冷却水を噴出することにより、前記鋳片と前記対向面の隙間に前記冷却水を充満させて前記冷却水の膜流を形成する、請求項1に記載の連続鋳造機の二次冷却装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の連続鋳造機の二次冷却装置により、鋳型下方の二次冷却帯において鋳片を支持しながら冷却する二次冷却方法であって、
    前記鋳造方向に所定のロールピッチで交互に配置された前記大径ロール及び前記小径ロールにより、前記鋳造方向に移動する前記鋳片を支持しながら、前記大径ロール及び前記小径ロールの間に配置された前記冷却装置により、前記大径ロールと前記小径ロールの隙間に冷却水を供給することによって、前記鋳片を冷却する、二次冷却方法。
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