JP6295773B2 - 真空ポンプ - Google Patents
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Description
(1)本発明の好ましい第1の態様の真空ポンプは、吸気口を有するポンプケーシング12と、ポンプケーシング内に収容され、ロータ組立体Rを支持する転がり軸受8と、転がり軸受8が収容される軸受ハウジング40が設けられたベース2と、軸受ハウジング40内に設けられ、転がり軸受8を弾性支持する弾性支持体14とを備える。弾性支持体14は、転がり軸受8の外輪8aに嵌合する環状体15と、環状体15の外周面から略周方向に延設されて先端が自由端である複数の弾性部16とを備える。環状体15は、弾性部16と軸受ハウジング40との当接により軸受ハウジング40に弾性支持される。弾性部16のそれぞれは、環状体15の外周面15eと径方向に所定の距離離間して二重環構造として配設された弾性腕部16bと、弾性腕部16bの先端で径方向外方に延設された先端部16cとを有する。先端部16cの吸気口側の面16c1が軸受ハウジング40に対して摺動可能に対向する。
(2)本発明の好ましい第2の態様の真空ポンプは、第1の態様の真空ポンプにおいて、転がり軸受8は、弾性部16の外周面16b1と軸受ハウジング40の内周面41aとが当接されて径方向に弾性支持され、弾性部16の先端部16cの吸気口側の面16c1が軸受ハウジング40の軸方向の外面41bと当接されて軸方向に弾性支持される。
(3)本発明の好ましい第3の態様の真空ポンプは、第1または第2の態様の真空ポンプにおいて、ロータ組立体Rの下部は転がり軸受8で支持され、ロータ組立体Rの上部は永久磁石式磁気軸受6で支持され、永久磁石式磁気軸受6の軸方向の反発力により、弾性部16の先端部16cの吸気口側の面16c1が軸受ハウジング40に当接される。
(4)本発明の好ましい第4の態様の真空ポンプは、第1乃至第3のいずれかの態様の真空ポンプにおいて、環状体15は、転がり軸受8の外輪8aが内周面15a1に挿入嵌合される円筒基部15aと、円筒基部15aの軸方向両端から軸方向に延設された第1および第2の延長部15b、15cと、第1の延長部15bから径方向内側に延設され、転がり軸受8の外輪8aの軸方向の移動を規制する円環部15dとを有する。
(5)本発明の好ましい第5の態様の真空ポンプは、第4の態様の真空ポンプにおいて、環状体15の第1および第2の延長部15b、15cの外周面と軸受ハウジング40の内周面との間に、弾性支持体14の径方向の移動を規制するエラストマー弾性体19a,19bが設けられている。
(6)本発明の好ましい第6の態様の真空ポンプは、第5の態様の真空ポンプにおいて、弾性支持体14と、エラストマー弾性体19a,19bと、軸受ハウジング40とで囲まれる空間51,52にグリースが充填されている。
(7)本発明の好ましい第7の態様の真空ポンプは、第1乃至第6のいずれかの態様の真空ポンプにおいて、弾性部16の外周面16b1と軸受ハウジング40との間にグリースが設けられ、弾性部16の先端部16cと弾性部16の先端部16cが当接する軸受ハウジング40との間にグリースが設けられる。
(8)本発明の好ましい第8の態様の真空ポンプは、第1乃至第7のいずれかの態様の真空ポンプにおいて、弾性部16の外周面16b1、および、弾性部16の外周面16b1と対向する軸受ハウジング40の面41aのいずれか一方に、弾性支持体14および軸受ハウジング40よりも摩擦係数が低い物質層を設け、弾性部16の先端部16c、および、弾性部16の先端部16cと当接する軸受ハウジング40の面41bのいずれか一方に、弾性支持体14および軸受ハウジング40よりも摩擦係数が低い物質層が設けられる。
ターボポンプ部P1は、ポンプロータ3に形成された複数段の回転翼30とポンプケーシング12側に配置された複数段の固定翼20とで構成される。一方、ターボポンプ部P1の排気下流側に設けられたHolweckポンプ部P2は、ポンプロータ3に形成されたロータ円筒部31とベース2側に配置されたステータ21とで構成されている。円筒状のステータ21の内周面には螺旋溝が形成されている。回転翼30とロータ円筒部31とが回転側排気機能部を構成し、固定翼20とステータ21とが固定側排気機能部を構成する。
なお、図1では軸受ハウジング40とそこに保持される軸受装置BAを簡略化して描いている。詳細は図2で示す。
軸受ハウジング40について説明する。
上述したように、軸受ハウジング40には回転体ユニットRのシャフト10の下端を軸支する軸受装置BAが保持されている。軸受ハウジング40は、上部軸受ハウジング41と下部軸受ハウジング42で構成されている。上部軸受ハウジング41と下部軸受ハウジング42は、ステンレス鋼などの金属材料で作製されている。上部軸受ハウジング41はベース2と一体的に形成され、下部軸受ハウジング42はベース2とは別部材として設けられている。環状体の下部軸受ハウジング42は、外周面に形成された雄ねじ42bによって、上部軸受ハウジング41の凹部の内周面に形成された雌ねじ41cに螺合して固定されている。
軸受装置BAは、転がり軸受8、図3に詳細を示す弾性支持体14、エラストマー弾性体19a、およびエラストマー弾性体19bから主に構成されている。
転がり軸受8の内輪8bには回転体ユニットRのシャフト10が挿入嵌合され、転がり軸受8の外輪8aは弾性支持体14の環状体15に嵌合され、弾性支持体14は軸受ハウジング40に収容されている。後で詳細に説明するが、このような軸受装置BAにより、転がり軸受8が軸受ハウジング40に弾性的に支持される。
図3は、弾性支持体14を吸気口側より見た平面図、すなわち、図2のAで示す矢視図である。図2からわかるように軸方向に扁平な環状体である弾性支持体14は、図3に示すように、1つの環状体15、および、複数の弾性部16から構成されている。図3では、弾性部16が3つある場合を示している。
なお、環状体15と弾性部16の隙間156にもグリースが充填されている。
なお、図2に示すように、弾性支持体14が軸受ハウジング40と当接するのが弾性部16の外周面16b1と先端部16c1であるので、図4(a)では、弾性部16の外周側の先端に符号16b1、16c1と付し、軸受ハウジング40の当接面に符号41a、41bを付した。
(1)実施形態による真空ポンプでは、予め軸力が与えられたロータ組立体Rを支持する転がり軸受8が軸受ハウジング40内に設けられ、転がり軸受8は弾性支持体14により弾性支持される。弾性支持体14は、転がり軸受8の外輪8aに嵌合する環状体15と、環状体15の外周面15eから略周方向に延設されて先端が自由端である複数の弾性部16とを備える。環状体15は、弾性部16と軸受ハウジング40との当接により軸受ハウジング40に弾性支持される。
弾性支持体14は先端が自由端である片持ち梁の弾性部16で軸受ハウジング40に弾性支持されるので、従来技術のように弾性部16を両持ち梁とする場合に比べて、弾性部16の断面積を増加させと全長を短くすることができ、内部で発生した熱を軸受ハウジング40に伝熱する放熱性能が向上する。
このように実施形態の真空ポンプでは、弾性部16により転がり軸受8が軸方向と径方向に弾性支持されるので、転がり軸受8が軸方向と径方向に振動しても弾性支持体14により吸収することができる。
転がり軸受8の外輪8aがシャフト10の回転により供回りすると、弾性部16の先端部16cが軸受ハウジング40に対して摺動する。
エラストマー弾性体19a,19bが設けられたことによって、弾性支持体14と同様に、ポンプ外部に伝わる振動を抑制することができる。すなわち、弾性支持体14の振動抑制の補助をすることができる。また、エラストマー弾性体19a,19bは、グリースの流出や蒸発を防止することができる。さらに、弾性支持体14の軸方向の両端に、エラストマー弾性体19a,19bが設けられたことにより、転がり軸受8の外輪8aが傾くのを防止することができる。
これによって、弾性支持体14が摺動する際に、エラストマー弾性体19a,19bが軸受ハウジング40との摩擦を低減することができる。また、グリースを介することで、回転体ユニットRからの熱を軸受ハウジング40側に伝えることができる。すなわち、グリースを伝熱経路とすることができる。したがって、弾性部16の外周面16b1がハウジング40と離間している箇所でもグリースを介して放熱されるので、放熱性能が向上する。
これによって、弾性支持体14が摺動しやすくなり、半径支持剛性を低くすることができる。そして、弾性支持体14と上部軸受ハウジング41との摩擦熱を低減することができる。さらに、回転体ユニットRからの熱をグリースを介して軸受ハウジング40側に伝えることができる。すなわち、グリースを伝熱経路とすることができる。
なお、グリース塗付に代えて、互いに対向する弾性部16の外周面16b1と上部軸受ハウジング41の凹部の内周面41aとの間、および互いに当接する弾性部16の先端部16cの吸気口側の面16c1と上部軸受ハウジング41の下面41bとの間にグリースを充填してもよい。
したがって、シャフト10の回転により転がり軸受8の外輪8aが供回りして弾性部16が上部軸受ハウジング41の接触面を摺動する際の摩擦抵抗を抑制できる。換言すると、弾性支持体14が摺動しやすくなり、半径方向支持剛性を低くすることができる。また、弾性支持体14と上部軸受ハウジング41との摩擦熱を低減することができる。
(1)上述した実施形態では、図2において説明したように、永久磁石式磁気軸受6により弾性支持体14の先端部16cの吸気口側の面16c1が上部軸受ハウジング41の下面41bと当接している。これは、永久磁石式磁気軸受6による引っ張り力によって与えられる転がり軸受8と回転体ユニットRとの間で生じる予圧の条件による。
(3)弾性支持体14の弾性部16を3つ設けたが、4つ以上設けてもよい。
(4)本発明は、排気機能部にターボポンプ部P1およびHolweckポンプ部P2を備えた真空ポンプに限らず、タービン翼のみを備えた真空ポンプや、ジーグバーンポンプやHolweckポンプなどのドラッグポンプのみを備えた真空ポンプや、それらを組み合わせた真空ポンプにも適用することができる。
3:ポンプロータ、 4:モータ、
4a:モータロータ、 4b:モータステータ、
6:永久磁石式磁気軸受、 8:軸受、
8a:外輪、 8b:内輪、
9:軸受、 10:シャフト、
11:磁石ホルダ、 12:ポンプケーシング、
13:ベアリングホルダ、 14:弾性支持体、
15:環状体、 15a:基部、
15b、15c:円筒延長部、 15d:円環部、
15e:外周面、 15a1:内周面、
16:弾性部、 16a:基部、
16b:弾性腕部、 16b1:外周面、
16c:先端部、 16c1:吸気口側の面、
19、19a、19b:エラストマー弾性体、
20:固定翼、 21:ステータ、
30:回転翼 31:ロータ円筒部、
40:軸受ハウジング、 41:上部軸受ハウジング、
41a:内周面、 41b:下面、
42:下部軸受ハウジング、 42a:上面、
80:弾性支持体、 84:可撓性部材、
86:内側環状部分、 88:外側環状部分、
156:隙間、 P1:ターボポンプ部、
P2:Holweckポンプ部、 R:回転体ユニット
Claims (8)
- 吸気口を有するポンプケーシングと、
前記ポンプケーシング内に収容され、ロータ組立体を支持する転がり軸受と、
前記転がり軸受が収容される軸受ハウジングが設けられたベースと、
前記軸受ハウジング内に設けられ、前記転がり軸受を弾性支持する弾性支持体と、を備え、
前記弾性支持体は、転がり軸受の外輪に嵌合する環状体と、前記環状体の外周面から略周方向に延設されて先端が自由端である複数の弾性部とを備え、
前記環状体は、前記弾性部と前記軸受ハウジングとの当接により前記軸受ハウジングに弾性支持され、
前記弾性部のそれぞれは、前記環状体の外周面と径方向に所定の距離離間して二重環構造として配設された弾性腕部と、前記弾性腕部の先端で径方向外方に延設された先端部と
を有し、
前記先端部の外面が前記軸受ハウジングに対して摺動可能に対向する真空ポンプ。 - 請求項1に記載の真空ポンプにおいて、
前記転がり軸受は、前記弾性部の外周面と前記軸受ハウジングの内周面とが当接されて径方向に弾性支持され、前記弾性部の先端部の軸方向の外面が前記軸受ハウジングの軸方向の外面と当接されて軸方向に弾性支持される真空ポンプ。 - 請求項1または2に記載の真空ポンプにおいて、
前記ロータ組立体の下部は 前記転がり軸受で支持され、
前記ロータ組立体の上部は 永久磁石式磁気軸受で支持され、
前記永久磁石式磁気軸受の軸方向の反発力により、前記弾性部の先端部の軸方向の一方の外面が前記軸受ハウジングに当接される真空ポンプ。 - 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の真空ポンプにおいて、
前記環状体は、前記転がり軸受の外輪が内周面に挿入嵌合される円筒基部と、前記円筒基部の軸方向両端から軸方向に延設された第1および第2の円筒延長部と、前記第1の円筒延長部から径方向内側に延設され、前記転がり軸受の外輪の軸方向の移動を規制する円環部とを有する真空ポンプ。 - 請求項4に記載の真空ポンプにおいて、
前記環状体の前記第1および第2の円筒延長部の外周面と前記軸受ハウジングの内周面との間に、前記弾性支持体の径方向の移動を規制するエラストマー弾性体が設けられている真空ポンプ。 - 請求項5に記載の真空ポンプにおいて、
前記弾性支持体と、前記エラストマー弾性体と、前記軸受ハウジングとで囲まれる空間にグリースが充填された
真空ポンプ。 - 請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の真空ポンプにおいて、
前記弾性部の前記外周面と前記軸受ハウジングとの間にグリースが設けられ、
前記弾性部の先端部と前記弾性部の先端部が当接する前記軸受ハウジングとの間に、グリースが設けられた真空ポンプ。 - 請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の真空ポンプにおいて、
前記弾性部の前記外周面、および、前記弾性部の前記外周面と対向する前記軸受ハウジングの面のいずれか一方に、前記弾性支持体および前記軸受ハウジングよりも摩擦係数が低い物質層が設けられ、
前記弾性部の先端部、および、前記弾性部の先端部と当接する前記軸受ハウジングの面のいずれか一方に、前記弾性支持体および前記軸受ハウジングよりも摩擦係数が低い物質層が設けられた真空ポンプ。
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