JP6293520B2 - 交通信号制御システム及び交通信号制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、交差点に流入する車群に対して通過効率が良好とする交通信号制御を行う交通信号制御システム及び交通信号制御方法に関するものである。
特許文献1には、制御対象の交差点の上流側の車両感知器で収集した車両感知情報に基づいて、下流側の車両の発生を予測する信号制御装置が開示されている。信号制御装置は上流側の車両感知器から逐次に受信する感知情報から車両感知器の下を通過した車両台数の集計通過データを常時収集している。
特許文献1の図3に示すように信号制御装置は通過データを構成する各時点の車両グループが所定の車両速度vで走行するとの仮定の下で、その車両グループが停止線に到達する予測時刻を特定し、この各車両グループから成る通過データを予測時刻順に並べて到着する到着予測情報を生成する。そして、この到着予測情報に基づいて、車両グループに対する青信号を延長する交通信号制御を行う。
特開2010−266930号公報
この特許文献1の信号制御装置の交差点における到着する車両グループの予測処理については、片側1車線の道路を対象として予測を行っている。しかし、実際の青信号の延長制御を行う交差点は、主道路が片側2車線以上の道路も多く、このような場合では、特許文献1の片側1車線道路の到着予測情報に基づく交通信号制御を実施することができないという問題がある。
更に、実際の青信号の延長制御を行う交差点は、交差点間隔が1km以上のような郊外の環線道路、バイパス道路等の交差点、単独交差点を対象とすることもあるが、このような交差点では、車両がポアソン分布に近似して交差点に到達し、上流の信号交差点とのオフセットによる車両グループ、つまり車群の形成が困難な場合がある。
また、郊外の環線道路等を走行する車両は、制限速度に近い速度で、かつ車両間隔を長くとって走行することが多いので車群が形成し難く、車群を対象とする交通信号制御の実施が難しいという問題もある。
本発明の目的は、上述の課題を解消し、片側複数車線を主道路とする交差点に到達する車群を予測すると同時に、予測した車群情報から効率的な交通信号制御を行う交通信号制御システム及び交通信号制御方法を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明に係る交通信号制御システムは、交差点に設置した信号灯器に点灯制御を行う信号制御部と、前記交差点の主道路上流に設置し、下流方向に向う第1車線から第n車線までの車両検出情報を前記信号制御部に送信する車両検出部とから構成する交通信号制御システムであって、前記交差点から前記車両検出部までの距離と、前記車両検出部を通過した第1車線の車両の速度情報に基づいて、前記第1車線の車両が前記車両検出部から前記交差点に到着する時間である第1車線到着時間を算出し、前記交差点の始点時刻から前記第1車線到着時間前の前記車両検出部で検出した前記第1車線の車両検出情報に基づいて、前記交差点の前記始点時刻から出現する第1車線出現予測情報を予測し、前記第1車線以外の前記第n車線までの各車線に対して、前記交差点から前記車両検出部までの距離と、前記車両検出部を通過した第n車線の車両の速度情報に基づいて、前記第n車線の車両が前記車両検出部から前記交差点に到着する時間である第n車線到着時間を算出し、前記交差点の前記始点時刻から前記第n車線到着時間前の前記車両検出部で検出した前記第n車線の車両検出情報に基づいて、前記交差点の前記始点時刻から出現する第n車線出現予測情報を予測し、前記始点時刻から出現する前記第1車線から前記第n車線までの出現予測情報を合計して、前記交差点における1つの合計出現予測情報を生成することを特徴とする。
また、本願発明に係る交通信号制御方法は、交差点の主道路の上流における下流方向に向う第1車線から第n車線までの車両検出情報に基づいて、前記交差点に設置した信号灯器の点灯制御を行う交通信号制御方法であって、前記交差点から前記車両検出情報を検出する車両検出部までの距離と、前記車両検出部を通過した第1車線の車両の速度情報に基づいて、前記第1車線の車両が前記車両検出部から前記交差点に到着する時間である第1車線到着時間を算出し、前記交差点の始点時刻から前記第1車線到着時間前の前記車両検出部で検出した前記第1車線の車両検出情報に基づいて、前記交差点の前記始点時刻から出現する第1車線出現予測情報を予測し、前記第1車線以外の前記第n車線までの各車線に対して、前記交差点から前記車両検出部までの距離と、前記車両検出部を通過した第n車線の車両の速度情報に基づいて、前記第n車線の車両が前記車両検出部から前記交差点に到着する時間である第n車線到着時間を算出し、前記交差点の前記始点時刻から前記第n車線到着時間前の前記車両検出部で検出した前記第n車線の車両検出情報に基づいて、前記交差点の前記始点時刻から出現する第n車線出現予測情報を予測し、前記始点時刻から出現する前記第1車線から前記第n車線までの出現予測情報を合計して、前記交差点における1つの合計出現予測情報を生成することを特徴とする。
本発明に係る交通信号制御システム及び交通信号制御方法によれば、主道路の車線毎の車両検出情報を合計した車群情報を予測し、この予測車群情報から車群が交差点を通過しない時間帯を抽出し、その時間帯に合わせて黄、赤信号の現示に切換わるように青信号の点灯を延長する交通信号制御を行うことで、車群を効率的に交差点を通過させることができる。
また、通信端末を有する車両に対して、推奨走行速度情報を送信することで、この推奨走行速度情報を受信した車両を先頭車両とした推奨走行速度で、主道路を走行させることが可能となり、車群が形成し易くなる。
更に、本発明の交通信号制御方法を実施することで、主道路側の時間当りの通過台数を増加させ、交差点での平均待ち時間も低減することから、待ち時間時に排出されるNOx、二酸化炭素の総排出量が低減される。
実施例1のシステムブロック図である。 道路に対するシステム配置説明図である。 第1、第2車線の車両検出情報と出現予測情報を説明した説明図である。 第1、第2車線の出現予測情報の合計を説明した説明図である。 出現予測情報を予測車群情報に変換する説明図である。 出現予測情報を予測車群情報に変換するその他の説明図である。 予測車群情報に基づいて、延長青点灯時間を設定する説明図である。 延長青点灯時間を決定するフローチャート図である。 車群情報に基づいて延長青点灯時間を決定した1例の説明図である。 延長青点灯時間を抽出する処理のフローチャート図である。 車群情報に基づいて延長青点灯時間を決定した他の1例の説明図である。 車群情報に基づいて延長青点灯時間を決定した更に他の1例の説明図である。 道路に対するシステム配置説明図である。
本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
図1は実施例のシステムブロック図である。交通信号制御システム10は、交差点の近傍であるA地点に設置した信号制御部11と、この信号制御部11の上流側であってB地点に設置した車両検出部12とから構成されている。信号制御部11はB地点の車両検出部12と接続されており、車両検出部12からの車両検出情報Fを無線又は有線によりリアルタイムで受信し記憶部等に蓄積するようになっている。
車両検出部12は超音波の反射を利用しての感知を行う超音波式車両感知器や、ループコイルを埋設して車両を検知するループコイル式感知器等を適宜に用いることができる。車両検出部12の設置位置から下流方向である交差点Kへ向う車両Cを車線毎に通過を検出することができる。
また、信号制御部11はA地点の交差点の車両用信号灯器20と接続されており、車両用信号灯器20に対して、赤色、青色、黄色の順序で点灯するように交通信号制御を行う。交差点が十字路の場合では、主道路M側に主道路M用の車両用信号灯器20が配置され、主道路Mの交差路である従道路S側に従道路S用の車両用信号灯器が配置され信号制御部11により制御されている。また、併せて歩行者用信号灯器を主道路M側、従道路S側に設置し、信号制御部11により点灯制御する。なお、本実施例の交通信号制御システム10は主として主道路Mを走行する車両に対する交差点到着予測及びこの予測に基づく交通信号制御に関するものであるので、従道路S用の車両用信号灯器及び歩行者用信号灯器の点灯制御については説明を省略する。
また、図示しないセンタ装置を配置し、このセンタ装置から無線又は有線により信号制御部11、車両検出部12と通信する構成にしてもよい。このような構成では、車両検出部12から車両検出情報Fをセンタ装置に送信し、演算した交通信号制御情報を信号制御部11にセンタ装置から送信するようにする。
図2は信号制御部11、車両検出部12の道路に対する配置説明図である。横方向の道路を交通量の多い主道路Mとし、縦方向の道路を交通量の少ない従道路Sとする。主道路M上の車両はB地点からA地点に向って走行する。
本実施例において、交通信号制御の対象とするA地点の交差点Kは、主道路Mの隣接する上流の交差点までの距離が数km以上であって、郊外の環線道路やバイパス道路のように主道路Mの交通量が多い。主道路Mは2車線から構成され、路肩側の第1車線と中央線側の第2車線とから成る。第1車線を走行する車両C1の平均速度V1は、第2車線を走行する車両C2の平均速度V2よりも遅い。
B地点を通過した車両C1の車両検出情報F1と車両C2の車両検出情報F1からA地点の交差点Kでの車両C1、C2の到着予測について説明する。図3はB地点の第1、第2車線の車両検出情報Fと出現予測情報Lを説明した説明図であり、横軸は経過時間である。B地点の主道路M上に、車両検出部12として超音波式車両感知器を設置し、車線毎に配置したヘッド部から路面に向けて超音波を発射すると、反射波の応答時間から車線毎の主道路M上の車両の有無を判定することができる。
応答時間が所定値以上の場合には車両Cが不在とする感知無とし、応答時間が所定値未満の場合には縦軸として車両Cの信号が存在する感知有とする。この信号をオンオフ情報として、図3のB地点の第1、第2車線の車両検出情報Fに示すようなパルス状の波形図で表すことができる。
また、通過した1台分の車両検出情報Fの検出時間と平均車長値から車両Cの走行速度も算出でき、複数の車両Cの走行速度を平均化することで平均速度Vを算出することができる。平均速度Vは所定時間毎に、例えば5分間毎にB地点を通過した車両C1、C2の平均速度でもよいし、過去の設定台数分の車両C1、C2の平均速度を採用してもよい。
図3において、t10の時点でB地点の車両C1の車両検出情報F1のパルス波形は、A地点ではt10から所定時間n1後であるt20を始点として出現すると予測できる。予測した出現予測情報L11は車両検出情報F1と同じ波形図とし、所定時間n1はA地点からB地点までの距離d1と、平均速度V1とに基づいて算出することが可能である。
t11の時点でB地点の第2車線で検出された車両C2の車両検出情報F2の波形は、A地点ではt11から所定時間n2後であるt20を始点として出現すると予測できる。予測した出現予測情報L12は車両検出情報F2と同じ波形図とし、所定時間n2はA地点からB地点までの距離D1と、平均速度V2とに基づいて算出することができる。
t20の時点での第1車線の出現予測情報L11及び第2車線の出現予測情報L12の予測は、交差点間隔が数kmに及ぶ郊外の環線道路を走行する車両C1及び車両C2の予測であり、各車線の走行中に車線変更が少ないことが前提となる。
また、平均速度V1、V2は車両検出部12の車両検出情報F1、F2から算出する以外に予め設定してもよい。平均速度V1は道路に設定された制限走行速度の80%程度であり、平均速度V2は制限走行速度程度にすることが統計等で予測できるのであれば、それらの速度を適宜に設定してもよい。
次に、t20の時点で予測した出現予測情報L11及び出現予測情報L12を合計する処理を行う。図4は出現予測情報L20にする説明図である。出現予測情報L11と出現予測情報L12とを重ね合わせて、1つの出現予測情報L20を生成する。
このように重ねた際に、検出領域が重複する場合は繋げて1台の車両検出情報とする。例えば、図4に示す第1車線の車両検出情報L11aと第2車線の車両検出情報L12aとは重なるため、1台の車両検出情報L20aとする。
次に、図5に示すように出現予測情報L20を所定の時間間隔P、例えば20秒間隔で移動平均化処理を行いグラフ化する。移動平均化の処理は、移動する対象時間に対して前後10秒間の検出車両台数又は車両検出した時間の合計値等を平均してグラフ化する。
図示した波形Qは時間当りの車両密度を表しており、この波形Qに対して車群判定基準値Wを設定する。この車群判定基準値Wを上回る時間帯を1つの車群と捉えて置き換える。車群の波形はあたかも長い1台の車両を検知したようなパルス波形となり、本実施例ではt20の時点でA地点に2つの車群の出現が予測できることになる。
また、移動平均化する時間間隔Pの長短を適宜に設定することで波形Qの起伏を調整でき、車群判定基準値Wを調整することで予測車群情報Gの車群数等を調整することが可能である。また、平均速度V1、V2がほぼ同じ速度の場合では、出現予測情報L20に対して、所定の距離間隔、例えば100〜200mの間隔で検出車両台数の移動平均を算出するようにしてもよい。
また、図4に示す合計化処理、及び図5に示す車群化処理は、所定時間分の信号制御部11の記憶部に蓄積した車両検出情報F1、F2に基づいて、一括で変換してもよいし、リアルタイムで入力される車両検出情報F1、F2から随時変換するようにしてもよい。リアルタイム変換の場合の移動平均化の処理は、移動する対象時間に対して、前20秒間の検出車両台数又は車両検出した時間の合計値等を平均して図5に示すグラフ化を行う。
図6は出現予測情報L20を予測車群情報Gに変換する別の処理方法についての説明図である。出現予測情報L20内の隣り合う予測車両のパルス間の時間間隔t1が閾値tk未満であるt1<tkの場合には、隣り合う車両検出情報F20の連結処理を行う。逆に、時間間隔t2が閾値tk以上であるt2≧tkの場合には連結処理を行わない。このような処理を行うことで、図示する予測車群情報Gに変換できる。閾値tkを適宜の値を採用することで、予測車群情報Gの車群数を調整することが可能である。
このように、主道路Mの上流の第1、第2車線の車両検出情報F1、F2に基づいて、交差点Kにおける予測車群情報Gに変換することが可能である。A地点における複数車線の車両C1、C2の出現を、予測車群情報Gのように1つの予測情報に簡素化することで、交差点Kの交通信号制御への応用が容易となる。
また、本実施例では第1車線と第2車線の車両検出情報Fから予測車群情報Gを変換しているが、片道3車線以上の道路であっても各車線の車両検出情報Fを合計することで、1つの予測車群情報Gに変換することができる。
変換した予測車群情報Gは、交差点Kの信号制御部11において、青信号の延長処理等に利用することができる。図7はt20の時点の直前に予測した予測車群情報Gに基づいて、延長青点灯時間を設定する説明図である。
図7のA地点の現示に示すように、主道路Mの1サイクルは、黄信号を点灯する黄点灯時間Yと、赤信号を点灯する赤点灯時間R、青信号を点灯する青点灯時間Bとから構成される。青点灯時間Bは、青信号を点灯させる最低限の時間である最低青点灯時間B1と、この最低青点灯時間B1に後に連続し、予測車群情報Gに基づいて、0秒であるb0と青時間延長可能最大時間b1との範囲内で選択される延長青点灯時間B2とから構成される。
黄点灯時間Yと赤点灯時間Rと最低青点灯時間B1とは何れも固定値であり、これらの点灯時間の合計値が固定点灯時間Jとなり、この固定点灯時間Jに可変値である延長青点灯時間B2を加算した値が1サイクルの時間となる。
交差点Kの信号制御部11において、主道路M側の車両用信号灯器20の固定点灯時間Jを経過する直前であるt20の経過直前に、延長青点灯時間B2を決定する処理を行う。そして、決定した延長青点灯時間B2の点灯制御指令を車両用信号灯器20に対して出力することで、最低青点灯時間B1の後に連続して延長青点灯時間B2の青信号が点灯される。延長した延長青点灯時間B2の経過後に、黄信号を点灯する現示に移行して、次サイクルの固定点灯時間Jの現示の点灯を開始する。
上述のような青信号の点灯を延長するためには、t20の時点において青時間延長可能最大時間b1と黄点灯時間Y及び赤点灯時間Rの合計した黄赤点灯時間yrとを足した時間分の予測車群情報Gが必要である。そのため、車両検出情報F2を検出する車両検出部12の設置位置は、A地点から青時間延長可能最大時間b1と、黄点灯時間Y及び赤点灯時間Rの合計した黄赤点灯時間yrとを足した時間を第2車線の平均速度V2で走行した位置となる。
例えば、第2車線の平均速度V2が50kmとし、青時間延長可能最大時間b1と黄赤点灯時間yrとを足した時間が90秒であるとすると、A地点〜B地点間の距離d1は1.25kmとなり、交差点Kから上流方向へ1.25km離れた位置に車両検出部12は設置される。なお、距離d1は1.25km以上であれば、多少長くても支障はないが、長過ぎると交差点Kへの到達予測時間の精度が低下するので、この場合は1.25kmに近い程好ましい。
A地点の車両用信号灯器20の現示表示で固定点灯時間Jを経過する直前に、予測したt20〜t21間の予測車群情報Gのパルス波形の中から車群間の間隔が最も長い時間帯を抽出する。そして、車群間の間隔が最も長い時間帯に黄、赤信号が点灯するように、延長青点灯時間B2を決定する。
図8は信号制御部11で延長青点灯時間B2を決定するフローチャート図である。スタートと共に、設定された現示に従って点灯制御を開始する。ステップS11で黄点灯時間Y、赤点灯時間R、最低青点灯時間B1の順で固定点灯時間Jの現示を点灯後に、固定点灯時間J経過の直前に達したか否かをステップS12で判定する。
現時点が固定点灯時間Jの経過の直前に達した場合は、ステップS13に進んで延長青点灯時間B2を抽出し、ステップS14で固定点灯時間Jの経過時に、延長青点灯時間B2の青信号の延長点灯を最低青点灯時間B1の青信号の点灯から継続して行う。延長青点灯時間B2の青信号の延長点灯後は、ステップS11の固定点灯時間Jの現示の点灯の開始に戻り、次のサイクルの現示点灯を開始する。
図9は予測車群情報Gに基づいて延長青点灯時間B2を決定した1例の説明図である。黄赤点灯時間yrの時間枠を予測車群情報Gに対して秒単位でシフトさせながら、時間枠内の車群検知時間を算出することで、予測車群情報Gの中で車群間の間隔が長い、つまり車群が交差点Kを通過しない時間帯を予測することができる。
A地点において、現時点が固定点灯時間Jの経過時であるt20の時点の直前に達すると、t20〜t21までの予測車群情報Gに対して、黄赤点灯時間yrの時間枠の始点端をt20に合わせて、1秒ずつシフトさせる。このシフトを行いながら黄赤点灯時間yrの時間枠の終点端がt21に達するまでの時間枠内の車群検知時間の合計値Hを算出する。
合計値Hが最も小さい最小合計値Hm、つまり車群間の間隔の最も長い時間の合計値Hを抽出し、そのときのシフトした秒数を抽出する。そして、最小合計値Hmであるシフト秒数の時間帯であって、予測車群情報Gが最初の感知無しとなった時点と、黄赤点灯時間yrの時間枠の始点端とが一致したときの黄赤点灯時間yrの時間枠のシフトした秒数tnを延長青点灯時間B2として決定する。
図10は上述した延長青点灯時間B2を抽出し、決定する処理についてのフローチャート図であり、図8のステップS13の延長青点灯時間B2の算出処理の詳細な処理を示したフローチャート図に該当する。スタート後に、黄赤点灯時間yrの時間枠のシフト秒数tを0として、ステップS21でシフト秒数tがb1に達したか否かを判定する。達していない場合は、ステップS22で時間枠内の車群検知時間の合計値Hを算出し、合計値Hの記憶後にシフト秒数tに1秒を加える。ステップS21、S22のループ処理をシフト秒数tが青時間延長可能最大時間b1に達するまで繰り返す。
シフト秒数tが青時間延長可能最大時間b1に達するとステップS23に進み、記憶した合計値Hの中から、最小合計値Hmを抽出する。そして、ステップS24において、最小合計値Hmであるシフト秒数の時間帯であって、予測車群情報Gが最初の感知無しとなった時点と、黄赤点灯時間yrの時間枠の始点端とを一致させることが可能か否かを判定する。一致させることが可能な場合は、ステップS25に進み、延長青点灯時間B2は一致した時点のシフト秒数tnを設定する。
ステップS24において、予測車群情報Gが最初の感知無しとなった時点と、黄赤点灯時間yrの時間枠の始点端と一致させることが不可能な場合は、ステップS26に進み、延長青点灯時間B2は青時間延長可能最大時間b1と設定する。
なお、図9に示す延長青点灯時間B2を抽出する処理を、図8のステップS13のタイミングで行う場合には、最小合計値Hmの抽出処理を青時間延長可能最大時間b1+黄赤点灯時間yr時間分、連続して固定点灯時間J経過の直前に処理する。しかし、例えば図3において、t10及びt11から黄赤点灯時間yrを経過した時点から1秒経過毎に合計値Hをリアルタイムで算出して、固定点灯時間Jの経過の直前に達した時に、ステップS23〜ステップS26の処理を行うようにしてもよい。
図9に示すt20〜t21の予測車群情報Gの場合では、最小合計値Hmであるシフト秒数の時間帯であって、予測車群情報Gが最初の感知無しとなった時点と、黄赤点灯時間yrの時間枠の始点端とを一致させることが可能である。これは図10のステップS25に該当し、シフト秒数tnが延長青点灯時間B2となる。つまり、t20の時点からtn秒後に車群間隔の長い時間帯が発生することが予測できるので、t11の時点から黄信号の点灯開始時間がtn秒後になるように、延長青点灯時間B2をtn秒とする青時間延長制御を信号制御部11により行う。
青信号の延長制御処理後は、次の固定点灯時間Jの経過時であるt31の時点の直前に達すると、t30〜t31までの車両検出情報F1、F2を変換した予測車群情報Gに基づいて、上述の延長青点灯時間B2を決定し、青信号の延長制御処理を繰り返す。
図11は車群情報に基づく延長青点灯時間を決定する他の1例の説明図である。t20〜t21の予測車群情報Gであって、図10の延長青点灯時間B2の抽出処理の場合では、最小合計値Hmの時間帯であって、予測車群情報Gが最初の感知無しとなった時点と、黄赤点灯時間yrの時間枠の始点端と一致したシフト秒数tnは0となる。従って、延長青点灯時間B2=0として、延長青点灯をせずに次サイクルの固定点灯時間Jの現示の点灯を開始する。
そして、次サイクルの固定点灯時間Jの経過時であるt31の時点の直前に達すると、t30〜t31までの車両検出情報F1、F2を変換した予測車群情報Gに基づいて、上述の延長青点灯時間B2を決定し、青信号の延長制御処理を繰り返す。
図12は車群情報に基づく延長青点灯時間を決定する更に他の1例の説明図である。t20〜t21の予測車群情報Gの場合では、最小合計値Hmであるシフト秒数の時間帯であって、予測車群情報Gが最初の感知無しとなった時点と黄赤点灯時間yrの時間枠の始点端とが一致する時点が、青時間延長可能最大時間b1を超えてしまう。従って、予測車群情報Gが最初の感知無しとなった時点と、黄赤点灯時間yrの時間枠の始点端とを一致させることが不可能となるので、図10のステップS26に該当して、青時間延長可能最大時間b1は延長青点灯時間B2となる。
また、t20〜t21の予測車群情報Gに車群間隔が発生しない場合、つまり連続した渋滞の場合では、青信号を点灯を長くすることで渋滞が緩和するので、青時間延長可能最大時間b1を延長青点灯時間B2に設定する。
また本実施例では、交差点Kの主道路Mの上下線において、交通量の多い側の路線、例えば朝方の市中心地に向かう方向をB地点からA地点と仮定して、B地点からA地点に流入する車群に対して、上述の最適な青信号の延長制御処理を実施する。
逆に夕方では、図13に示す配置説明図のB地点の方向と反対側に車両検出部12を設置したD地点からA地点に向かう方向の車群に対して、最適な青信号の延長制御処理を行う。この上下線の交通信号制御の切換えは、時間帯に基づいて行ったり、B地点及びD地点に設置した車両検出部12の所定時間当りの検出台数の多い路線を自動的に選択して切換えるようにしてもよい。
また交差点Kにおいて、B地点からの方向とD地点からの方向の上下線に対して、同時に延長青点灯時間B2を抽出、決定することが可能である。この場合には、B地点とD地点のt20〜t21の予測車群情報Gから同時に黄赤点灯時間yrの時間枠の始点端をt20に合わせて、1秒ずつシフトさせてB地点とD地点の各合計値Hの合算値Zを算出する。この合算値Zの内、最小合算値Zmを抽出し、最小合算値Zmに対して、図10のステップS24〜S26を実施して延長青点灯時間B2を設定する。延長青点灯時間B2をシフト秒数tnと設定した場合に、B地点とD地点の上下方向からの車群を最も効率的に交差点Kを通過させることが可能となる。
また、第1、第2車線を走行する車両C1、C2はB地点で算出した平均速度V1、V2を維持した状態で、A地点まで走行し続けることが望ましい。そこで、平均速度V1、V2の走行を維持させるために、車両検出部12の更に上流で、図13の配置説明図に示すE地点に情報提供装置13を設置する。そして、通信エリアに進入した狭帯域通信可能な通信端末を搭載した車両Cvに対して、情報提供装置13から推奨走行速度情報Uを送信する。
情報提供装置13は光学式ビーコン等が用いられ、第1、第2車線毎に設定した推奨走行速度情報Uをヘッド部から送信する。狭帯域通信可能な通信端末を搭載した車両Cvが情報提供装置13の通信エリアを通過すると、第1、第2車線毎に異なる推奨走行速度情報Uを受信する。
第1車線の推奨走行速度情報Uは、例えばカーナビ画面の文字又はカーナビの音声で、「この道路の推奨走行速度は時速40kmです」や、「この道路は時速40kmで走行することで、最適な交通信号制御を行っています」等の情報をドライバに提供する。
第2車線の推奨走行速度情報Uは、例えばカーナビ画面の文字又はカーナビの音声で、「この道路の推奨走行速度は時速50kmです」等の情報をドライバに提供する。また、第2車線の推奨走行速度情報Uは、道路毎に規定されている制限速度情報であってもよく、例えば「この道路の制限速度は時速50kmです」との文字情報又は音声情報をドライバに提供してもよい。
このような情報提供を行うことにより、車両Cvは推奨走行速度で走行することになる。通信端末を備えない車両Cは、第1、第2車線共に推奨走行速度以上の走行速度で走行することが多く、これらの車両Cは推奨走行速度で走行する車両Cvの後続となり、走行速度が低下して推奨走行速度で走行することになる。そして、B地点通過時の車両Cvを先頭とする車両C1、C2群は、車線毎の推奨走行速度で継続して走行する。つまり、平均速度V1、V2は変動が少なく、出現予測情報L11、L12の予測精度が向上する。
このように、本実施例の交通信号制御を実施することで、主道路M側の時間当りの通過台数を増加させることができる。また、車群の停止が低減することから、交差点Kでの平均待ち時間も低減し、待ち時間時に排出されるNOx、二酸化炭素の総排出量も低減する。
10 交通信号制御システム
11 信号制御部
12 車両検出部
13 情報提供装置
20 車両用信号灯器

Claims (11)

  1. 交差点に設置した信号灯器に点灯制御を行う信号制御部と、前記交差点の主道路上流に設置し、下流方向に向う第1車線から第n車線までの車両検出情報を前記信号制御部に送信する車両検出部とから構成する交通信号制御システムであって、
    前記交差点から前記車両検出部までの距離と、前記車両検出部を通過した第1車線の車両の速度情報に基づいて、前記第1車線の車両が前記車両検出部から前記交差点に到着する時間である第1車線到着時間を算出し、前記交差点の始点時刻から前記第1車線到着時間前の前記車両検出部で検出した前記第1車線の車両検出情報に基づいて、前記交差点の前記始点時刻から出現する第1車線出現予測情報を予測し、
    前記第1車線以外の前記第n車線までの各車線に対して、前記交差点から前記車両検出部までの距離と、前記車両検出部を通過した第n車線の車両の速度情報に基づいて、前記第n車線の車両が前記車両検出部から前記交差点に到着する時間である第n車線到着時間を算出し、前記交差点の前記始点時刻から前記第n車線到着時間前の前記車両検出部で検出した前記第n車線の車両検出情報に基づいて、前記交差点の前記始点時刻から出現する第n車線出現予測情報を予測し、
    前記始点時刻から出現する前記第1車線から前記第n車線までの出現予測情報を合計して、前記交差点における1つの合計出現予測情報を生成することを特徴とする交通信号制御システム。
  2. 前記合計出現予測情報から車両密度を算出し、該車両密度を用いて、前記交差点における車群の出現を予測する予測車群情報に変換することを特徴とする請求項1に記載の交通信号制御システム。
  3. 前記合計出現予測情報内の隣り合う予測車両間の時間間隔を用いて、前記交差点における車群の出現を予測する予測車群情報に変換することを特徴とする請求項1に記載の交通信号制御システム。
  4. 前記交差点において前記信号灯器の1サイクルの点灯時間は、固定点灯時間である黄点灯時間・赤点灯時間・最低青点灯時間の合計時間と、可変点灯時間である延長青点灯時間とから成り、
    前記信号制御部は、黄信号、赤信号、青信号を順次に点灯する前記固定点灯時間の経過直前に、前記予測車群情報に基づいて黄信号の点灯開始時間を抽出し、該点灯開始時間に黄信号の点灯が開始するように前記延長青点灯時間を決定し、前記固定点灯時間経過後に前記延長青点灯時間分だけ青信号の点灯を延長することを特徴とする請求項2又は3に記載の交通信号制御システム。
  5. 前記車両検出部は、前記黄点灯時間、赤点灯時間及び前記延長青点灯時間の最大延長可能な青時間延長可能最大時間の合計時間を、前記第1及び第2車線の内、平均速度が速い車線の平均速度で走行した距離を前記交差点から上流方向へ離れた位置に設置したことを特徴とする請求項4に記載の交通信号制御システム。
  6. 前記信号制御部は、前記固定点灯時間の経過直前であって、前記予測車群情報の中から車群間の間隔が最も長い時間帯に、前記黄信号が点灯を開始するように前記延長青点灯時間を決定することを特徴とする請求項4又は5に記載の交通信号制御システム。
  7. 交差点の主道路の上流における下流方向に向う第1車線から第n車線までの車両検出情報に基づいて、前記交差点に設置した信号灯器の点灯制御を行う交通信号制御方法であって、
    前記交差点から前記車両検出情報を検出する車両検出部までの距離と、前記車両検出部を通過した第1車線の車両の速度情報に基づいて、前記第1車線の車両が前記車両検出部から前記交差点に到着する時間である第1車線到着時間を算出し、前記交差点の始点時刻から前記第1車線到着時間前の前記車両検出部で検出した前記第1車線の車両検出情報に基づいて、前記交差点の前記始点時刻から出現する第1車線出現予測情報を予測し、
    前記第1車線以外の前記第n車線までの各車線に対して、前記交差点から前記車両検出部までの距離と、前記車両検出部を通過した第n車線の車両の速度情報に基づいて、前記第n車線の車両が前記車両検出部から前記交差点に到着する時間である第n車線到着時間を算出し、前記交差点の前記始点時刻から前記第n車線到着時間前の前記車両検出部で検出した前記第n車線の車両検出情報に基づいて、前記交差点の前記始点時刻から出現する第n車線出現予測情報を予測し、
    前記始点時刻から出現する前記第1車線から前記第n車線までの出現予測情報を合計して、前記交差点における1つの合計出現予測情報を生成することを特徴とする交通信号制御方法。
  8. 前記合計出現予測情報から車両密度を算出し、該車両密度を用いて、前記交差点における車群の出現を予測する予測車群情報に変換することを特徴とする請求項7に記載の交通信号制御方法。
  9. 前記合計出現予測情報内の隣り合う予測車両間の時間間隔を用いて、前記交差点における車群の出現を予測する予測車群情報に変換することを特徴とする請求項7に記載の交通信号制御方法。
  10. 前記交差点において前記信号灯器の1サイクルの点灯時間は、固定点灯時間である黄点灯時間・赤点灯時間・最低青点灯時間の合計時間と、可変点灯時間である延長青点灯時間とから成り、
    黄信号、赤信号、青信号を順次に点灯する前記固定点灯時間の経過直前に、前記予測車群情報に基づいて黄信号の点灯開始時間を抽出し、該点灯開始時間に黄信号の点灯が開始するように前記延長青点灯時間を決定し、前記固定点灯時間経過後に前記延長青点灯時間分だけ青信号の点灯を延長することを特徴とする請求項8又は9に記載の交通信号制御方法。
  11. 前記固定点灯時間の経過直前であって、前記予測車群情報の中から車群間の間隔が最も長い時間帯に、前記黄信号が点灯を開始するように前記延長青点灯時間を決定することを特徴とする請求項10に記載の交通信号制御方法。
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