JP6293507B2 - アンカーボルト用位置出し装置及びアンカーボルトの設置方法 - Google Patents

アンカーボルト用位置出し装置及びアンカーボルトの設置方法 Download PDF

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Description

本発明は、位置出しを行うためにアンカーボルトの頭部に取り付けられるアンカーボルト用位置出し装置、及びアンカーボルトの設置方法に関するものである。
下端部が建物の基礎の中に埋設されるアンカーボルトの頭部に、アンカーボルトの位置出しや保護を目的としてキャップが嵌められることが知られている(特許文献1,2など参照)。
特許文献1のアンカーボルト用キャップでは、ボルトヘッド状のキャップの上面に十字形溝が刻まれており、位置出し用に張られた水糸に十字形溝の位置を合わせることで、位置出しが行えるようになっている。
また、特許文献2のアンカーボルト用保護キャップにおいても、六角筒の頂部に設けられた円板の上面に十字形の基準線又は基準溝が付されており、水糸を基準線などに合わせることで位置出しが行えるようになっている。
一方、特許文献3には、重錘付きの振り糸(下げ振り)を使った、従来から行われている墨出し方法が開示されている。この下げ振りを使用すれば、水糸と墨出し位置が離隔していても、水糸の真下に印を付けることが可能になる。
特開平11−93179号公報 特開平8−13509号公報 特開平11−336330号公報
しかしながら、特許文献1,2に開示された上面に十字形の目印が付されたキャップによって水糸との位置合わせを行おうとすると、目視誤差を無くすためにできるだけ水糸をキャップの近くに張らなければならない。
すなわち水糸を上から見て十字形の目印と位置合わせを行う場合、斜め上方から見たときでも目印と一致するという目視誤差が発生するため(図4参照)、可能な限りキャップと水糸とを近接させて誤差の発生を防ぐ必要がある。
ところが、型枠などの障害物によって水糸をキャップに接近させることができない場合がある。このような場合に、特許文献3に開示されたような下げ振りを使用して鉛直を確認することができるが、下げ振りを吊るす人や装置が必要になって、位置合わせを容易に行うことができなくなる。
そこで、本発明は、水糸から離隔した下方にアンカーボルトを配置する場合でも、高精度の位置合わせを一人の作業者で簡単に行うことが可能なアンカーボルト用位置出し装置、及びアンカーボルトの設置方法を提供することを目的としている。
前記目的を達成するために、本発明のアンカーボルト用位置出し装置は、下端部が建物の基礎の中に埋設されるアンカーボルトの位置出しを行うために頭部に取り付けられるアンカーボルト用位置出し装置であって、前記アンカーボルトの頭部への装着部と、前記装着部の上方に固定される上面が平坦な鏡面に形成される鏡面部と、前記鏡面部の中心位置を前記上面に示す目印部とを備えたことを特徴とする。
ここで、前記装着部は、前記アンカーボルトを挿入可能な筒状に形成することができる。また、前記筒状の装着部の内周面には、前記アンカーボルトの頭部のねじ溝に嵌り合うねじ溝が刻まれている構成とすることができる。
さらに、前記筒状の装着部の上端面の中心には、下方へ向けての突起部が設けられている構成とすることができる。また、前記鏡面部の上面に気泡管水準器が取り付けられる構成とすることもできる。そして、前記目印部は前記中心位置を中心とする多重円とすることができる。
また、前記装着部を、前記アンカーボルトに取り付け可能な磁石部又は接着部にすることもできる。さらに、前記目印部は前記中心位置で直交する十字形であって、前記鏡面部に映す水糸よりも幅の広い輪郭が形成される構成とすることができる。
そして、本発明のアンカーボルトの設置方法は、上記したアンカーボルト用位置出し装置を使ったアンカーボルトの設置方法であって、所定の位置に水糸が交差するように張る工程と、前記アンカーボルトの頭部に前記アンカーボルト用位置出し装置を取り付ける工程と、前記水糸の真上から見て前記鏡面部に映った水糸の鏡像が前記水糸に隠れるとともに、前記水糸の交差点と前記目印部の中心位置とが一致する位置にアンカーボルトを移動させる工程と、前記アンカーボルトの位置を固定する工程とを備えている。
このように構成された本発明のアンカーボルト用位置出し装置は、上面が平坦な鏡面に形成される鏡面部に、水糸の鏡像を映し込むことができる。また、鏡面部の中心位置には、目印部が設けられている。
このため、アンカーボルトの位置出しを行う作業者は、水糸から離隔した下方にアンカーボルトを配置する場合でも、鏡面部に映る水糸の鏡像が水糸自体で隠れるようにしながら中心位置を合わせるだけで、一人でも高精度の位置合わせを簡単に行うことができる。
また、アンカーボルトの頭部への装着部が筒状に形成されていれば、アンカーボルトの頭部に嵌めるだけで、アンカーボルト用位置出し装置を容易に正確な位置に取り付けることができる。
さらに、筒状の装着部の内周面にアンカーボルトの頭部のねじ溝に嵌り合うねじ溝が刻まれていれば、アンカーボルトの上端面が平坦面に形成されていなくても、鏡面部の上面を水平に合わせることができる。
また、筒状の装着部の上端面の中心に下方へ向けての突起部が設けられていれば、突起部の下端をアンカーボルトの上端面の一部に接触させることで、アンカーボルト用位置出し装置を安定させることができる。
さらに、鏡面部の上面に気泡管水準器が取り付けられていれば、鏡面部の上面が水平であることを容易に確認することができる。また、目印部が多重円であれば、回転していずれの向きになっても位置合わせに使用することができる。
さらに、アンカーボルトの頭部への装着部が磁石部又は接着部であれば、アンカーボルトの頭部に磁力又は接着力でくっつけるだけで、アンカーボルト用位置出し装置を容易に取り付けることができる。
また、目印部を形成する十字形の輪郭が水糸の幅よりも広ければ、水糸が目印部の幅方向の中央に配置されていることを容易に確認することができる。
そして、真上から見た水糸を鏡面部に映しながらアンカーボルトを移動させる方法であれば、両手でアンカーボルトを支えながら正確な位置に容易に配置することができる。
本発明の実施の形態の位置出しキャップがアンカーボルトに取り付けられた状態を説明するための断面図である。 位置出しキャップの構成を説明するための斜視図である。 本実施の形態のアンカーボルトの設置方法を説明するための斜視図である。 鉛直精度の高い位置合わせが行える原理を示した説明図である。 実施例1の位置出し治具がアンカーボルトに取り付けられた状態を説明するための断面図である。 実施例2の位置出しキャップの構成を説明するための斜視図である。 実施例3の位置出しキャップの構成を説明するための斜視図である。 実施例3の別の位置出しキャップの構成を説明するための斜視図である。 実施例4の位置出しキャップがアンカーボルトに取り付けられた状態を説明するための断面図である。 実施例4の位置出しキャップの構成を説明するための斜視図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。本実施の形態のアンカーボルト用位置出し装置としての位置出しキャップ3は、図1に示すようにアンカーボルト1の頭部11に取り付けられる。
このアンカーボルト1は、住宅などの建物の基礎2となる布基礎などに鉛直に立てられる。基礎2の中に埋設されるアンカーボルト1の下端部12には、図示していないがU形に成形されたりアンカープレートが取り付けられたりして定着部が形成される。
一方、アンカーボルト1の頭部11には、基礎2上に設置される建物と連結させるためのねじ溝14(雄ねじ溝)が刻まれている。例えば、工場で製作された箱形の建物ユニットを複数並べて連結させるユニット建物では、建物ユニットの床梁に穿孔された孔にアンカーボルト1の頭部11を通して連結を行う。
このため、アンカーボルト1は正確な位置に鉛直に立てられていなければならない。住宅の建築現場では、正確な位置出しを迅速に行うために、基礎2の上方に図3に示すような水糸S1,S2を張る。
本実施の形態の位置出しキャップ3は、水糸S1,S2によって位置出しを行う際に使用される。この位置出しキャップ3は、図1,2に示すように、アンカーボルト1の頭部11への装着部としての筒状部5と、筒状部5の上方に固定される鏡面部としての鏡面板4と、鏡面板4の中心位置410を上面4aに示す目印部41とを主に備えている。
筒状部5は、アンカーボルト1の頭部11の外径よりも僅かに内径が大きな円筒管によって形成される。頭部11の外径と筒状部5の内径との差が僅かであれば、脱着が可能なうえに、筒状部5の軸心をアンカーボルト1の軸心に略一致させることができる。
この筒状部5の上部内空には、図1に示すように、鏡面板4を固定するためのナット部51が配置されている。ナット部51は、溶接などによって筒状部5の内周面に接合される。
ここで、アンカーボルト1の頭部11の外周面にはねじ溝14が刻まれているが、筒状部5の内周面は平滑面となっている。筒状部5を頭部11に被せると、ナット部51の下面がアンカーボルト1の上端面1aに当たって位置出しキャップ3が支持されることになる。なお、頭部11の外径と筒状部5の内径との差が僅かであれば、上端面1aが水平面でなくても筒状部5は傾くことなく装着される。
一方、鏡面板4は、下端面中央にナット部51にねじ込むための固定ボルト42が接合された、上面4aが平坦な鏡面に形成された板材である。例えば、ステンレス鋼の表面を鏡面仕上げにした鋼板などが鏡面板4として使用できる。
鏡面板4は、筒状部5の外径よりも直径の大きな円板形の部材である。すなわち鏡面板4の縁部は筒状部5から鍔状に張り出しており、この鍔状部の下面は筒状部5の外周面と直交することになる。また、筒状部5の軸心と鏡面板4の中心位置410とは一致している。
目印部41は、図2に示すように中心位置410で直交する平面視十字形の溝によって形成される。すなわち目印部41は、直交する第1溝411と第2溝412とによって形成され、その交点が中心位置410となる。
また、第1溝411及び第2溝412は、断面視略V字形のケガキ溝であって、平行な2本の輪郭線413,413が形成される。さらに、輪郭線413,413間の幅方向の中央には、輪郭線413,413に平行な谷線414が形成される。
この輪郭線413,413の間隔は、図3,4に示すように、鏡面板4の上面4aに映る水糸S1,S2の鏡像R1,R2よりも広い幅に形成される。
次に、本実施の形態の位置出しキャップ3を使用したアンカーボルト1の設置方法について、図3,4を参照しながら説明する。
アンカーボルト1を正確な位置に配置するためには、まず、基礎2上方の正確な位置に水糸S1,S2を張る。水糸S1,S2は、アンカーボルト1を設置する位置の直上が交差点となるように直交させる。
本実施の形態のアンカーボルト1の設置方法であれば、アンカーボルト1を設置する位置から上方に離隔した位置に水糸S1,S2を張っても目視誤差の発生を防ぐことができるので、水糸S1,S2は型枠などの支障の無い張り易い位置に張ることができる。
アンカーボルト1は、位置合わせをした後にその位置で固定できるように、型枠(図示省略)に仮固定させる位置固定金具13に装着される。位置固定金具13に装着されたアンカーボルト1は、水平面内の任意の方向に作業者が手で移動させることができる。
位置出しキャップ3が取り付けられたアンカーボルト1を水糸S1,S2の下方に配置すると、図3に示すように、鏡面板4の上面4aに水糸S1,S2の鏡像R1,R2が映る。
ここで、図4に示すように、第1溝411の真上に水糸S3(二点鎖線)が位置していなくても、斜めから目Eで見れば、第1溝411と水糸S3とを一致させることはできる。
しかしこれでは、水糸S3と第1溝411の位置が見た目で一致しているだけで、水糸S3の真下にアンカーボルト1が配置されていないことになる。この誤差(目視誤差)は、水糸S3と上面4aとの距離が離れるほど大きくなる。要するに従来の上面に十字形の目印が付されただけの保護キャップでは、この誤差が発生していた可能性がある。
これに対して本実施の形態の位置出しキャップ3であれば、水糸S3を斜めから見ていたり、水糸S3の真下に第1溝411がなかったりすると、第1溝411の外側の上面4aに鏡像R3(二点鎖線)が映るので、誤差が生じていることを容易に把握することができる。
すなわち本実施の形態の位置出しキャップ3の場合、水糸S1(実線)を真上から見ないと、鏡像R1が実像からはみ出して見えてしまうため、水平な上面4aに対して水糸S1を通った目Eの位置が鉛直方向にあるか否かを容易に把握することができる。
要するに、水糸S1の軸線を通る視線が上面4aに対して直交する場合は、上面4aに映った鏡像R1は水糸S1の実像に隠れて見えなくなるので、作業者は鉛直方向で水糸S1を見ていることを知ることができる。
また、目Eで見えている水糸S1の実像が第1溝411と重なっていれば、鉛直方向で見て水糸S1と第1溝411とが一致していることが確認できる。さらに、第1溝411の両側の輪郭線413,413の間隔が、水糸S1の幅よりも広ければ、両側のはみ出している量を見ながら第1溝411の中央(谷線414)と水糸S1の軸線とを正確に一致させることが容易にできる。
そこで、図3に戻って説明を続けると、最初の段階では、水糸S1,S2の鏡像R1,R2は、第1溝411及び第2溝412から外れた斜め左上に映っている。
そこで、作業者は両手でアンカーボルト1を持って、水糸S1,S2の交差点を目Eで真上から見ながら、アンカーボルト1を斜め左上方向(白抜き矢印方向)に移動させる。そして、水糸S1,S2の交差点に中心位置410が隠れる位置でアンカーボルト1を停止させる。
このとき、真上から見て水糸S1,S2の鏡像R1,R2が実像に隠れるとともに、水糸S1,S2と第1溝411及び第2溝412とが一致していることも確認する。
このようにしてアンカーボルト1を正確な位置に移動させた後に、位置固定金具13によってアンカーボルト1の位置を固定する。この位置固定金具13は、型枠内のコンクリートが硬化して基礎2にアンカーボルト1が固着された後に取り外すことができる。
次に、本実施の形態の位置出しキャップ3及びそれを使用したアンカーボルト1の設置方法の作用について説明する。
このように構成された本実施の形態の位置出しキャップ3は、上面4aが平坦な鏡面に形成される鏡面板4に、水糸S1,S2の鏡像R1,R2を映し込むことができる。また、アンカーボルト1の軸心と一致する鏡面板4の中心位置410は、目印部41によって明示されている。
このため、アンカーボルト1の位置出しを行う作業者は、鏡面板4に映る水糸S1,S2の鏡像R1,R2が水糸自体(実像)で隠れるようにしながら中心位置410を合わせるだけで、一人でも高精度の位置合わせを簡単に行うことができる。
また、アンカーボルト1の頭部11への装着が筒状部5を介する構成であれば、アンカーボルト1の頭部11に嵌めるだけで位置出しキャップ3を容易に正確な位置に取り付けることができる。
さらに、目印部41を形成する十字形の輪郭線413,413の間隔が水糸S1,S2の幅よりも広ければ、水糸S1,S2が目印部41の幅方向の中央に配置されていることを容易に確認することができる。この結果、正確に水糸S1,S2の軸線と第1溝411及び第2溝412の中央(谷線414)とを一致させて、中心位置410の合致精度を向上させることができる。
そして、目Eで真上から見た水糸S1,S2を鏡面板4の上面4aに映しながらアンカーボルト1を移動させる方法であれば、両手でアンカーボルト1を支えながら正確な位置に容易に移動させることができる。
以下、前記した実施の形態の位置出しキャップ3とは別の形態の実施例1のアンカーボルト用位置出し装置について、図5を参照しながら説明する。なお、前記実施の形態で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同一用語又は同一符号を付して説明する。
この実施例1で説明するアンカーボルト用位置出し装置としての位置出し治具6は、装着部が磁石部61である点で前記実施の形態の位置出しキャップ3と異なっている。
この実施例1で使用されるアンカーボルト1Aの上端面1bは、軸方向に対して直交する平坦面に形成されている。よって、アンカーボルト1Aが鉛直に立てられると、上端面1bは水平面になる。
この上端面1bに磁力によってくっつける磁石部61は、下面と上面とが平行であって直径がアンカーボルト1Aと同じになる円柱状に成形される。そして、磁石部61の上面に鏡面板4を固定する。
この磁石部61の上方への鏡面板4の固定は、磁力によっても行うことができるが、磁石部61の中心と鏡面板4の中心位置410とを一致させておかなければならないため、溶接などで正確な位置に接合させておく方が好ましい。
このように構成された位置出し治具6を、アンカーボルト1Aの上端面1bに磁石部61によって取り付けると、鉛直に向けたアンカーボルト1Aの上に上面4aが水平となるように鏡面板4が配置されることになる。
また、磁石部61の直径がアンカーボルト1Aの直径と同じであるため、磁石部61の周面がアンカーボルト1Aの周面からはみ出さないようにするだけで、中心位置410をアンカーボルト1Aの軸心の位置に合わせることができる。
このようにアンカーボルト1Aの頭部11への装着部が磁石部61であれば、頭部11に磁力でくっつけるだけで、位置出し治具6を容易に取り付けることができる。また、装着部が両面テープのような接着部であっても、磁石部61と同様にアンカーボルト1Aの頭部11に接着力で容易にくっつけることができる。
なお、他の構成及び作用効果については、前記実施の形態又は後述する他の実施例と略同様であるので説明を省略する。
以下、前記した実施の形態の位置出しキャップ3及び実施例1の位置出し治具6とは別の形態の実施例2のアンカーボルト用位置出し装置について、図6を参照しながら説明する。なお、前記実施の形態又は実施例1で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同一用語又は同一符号を付して説明する。
この実施例2で説明するアンカーボルト用位置出し装置としての位置出しキャップ7は、アンカーボルト1の頭部11への装着部としての筒状部73と、筒状部73の上方を塞ぐ鏡面部71と、鏡面部71の中心位置72を上面71aに示す目印部とを主に備えている。
この位置出しキャップ7は、上面が平坦な鏡面に形成される鏡面部71が円筒状の筒状部73の蓋になっており、一体の部材によって形成することができる。また、目印部としては中心位置72のみが示されている。
このような簡素な構成であっても、前記実施の形態の位置出しキャップ3や実施例1の位置出し治具6と同様に、アンカーボルト1の高精度な位置出しを一人の作業でも簡単に行うことができる。
なお、他の構成及び作用効果については、前記実施の形態又は他の実施例と略同様であるので説明を省略する。
以下、前記した実施の形態の位置出しキャップ3とは別の形態の実施例3のアンカーボルト用位置出し装置について、図7,8を参照しながら説明する。なお、前記実施の形態又は他の実施例で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同一用語又は同一符号を付して説明する。
この実施例3の図7で説明するアンカーボルト用位置出し装置としての位置出しキャップ3Aは、前記実施の形態のようにケガキ溝ではなく、二重線によって目印部43が形成される。この二重線は、2本の浅い溝を彫って形成することもできるし、インクなどで書いてもよい。
詳細には目印部43は、図7に示すように中心位置430で直交する平面視十字形の二重線によって形成される。すなわち目印部43は、直交する第1二重線431と第2二重線432とによって形成され、その交点が中心位置430となる。
一方、図8に示したアンカーボルト用位置出し装置としての位置出しキャップ3Bは、上述した目印部43のように平面視十字形ではなく、多重円によって目印部44が形成される。
すなわち目印部44は、図8に示すように中心位置440を示す円から中円線441、大円線442と直径が大きくなる中心を同じにする円形によって形成される。この多重円は、それぞれの円を浅い溝にすることもできるし、インクなどで書くこともできる。
このように鏡面板4A,4Bに設ける目印部43,44は、様々な形態にすることができるので、位置合わせがし易い形態を選択すればよい。
なお、他の構成及び作用効果については、前記実施の形態又は他の実施例と略同様であるので説明を省略する。
以下、前記した実施の形態及び実施例3の位置出しキャップ3,3A,3Bとは別の形態の実施例4のアンカーボルト用位置出し装置について、図9,10を参照しながら説明する。なお、前記実施の形態又は他の実施例で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同一用語又は同一符号を付して説明する。
この実施例4で説明するアンカーボルト用位置出し装置としての位置出しキャップ8は、アンカーボルト1の頭部11への装着部としての筒状部83と、筒状部83の上方に固定される鏡面部としての鏡面板81と、鏡面板81の中心位置を上面81aに示す目印部82とを主に備えている。
そして、この筒状部83の内周面には、アンカーボルト1の頭部11のねじ溝14(雄ねじ溝)に嵌り合うねじ溝831(雌ねじ溝)が刻まれている。例えばねじ溝831は、1.5山分を設ける。
このようにねじ溝14,831を嵌め合う固定方式であれば、鏡面板81の下面81bとアンカーボルト1の上端面1aとを離隔させることができる。このため、アンカーボルト1の上端面1aが軸方向に対して直交する平坦面に形成されていなくても、鏡面板81の上面81aを水平に合わせることができるようになる。
また、筒状部83の上端面の中心には、下方へ向けての突起部84が設けられている。この突起部84は、鏡面板81の下面の中心位置に、円錐の先端が下を向くようにして設けられる。さらに、突起部84の先端の高さ方向の位置は、ねじ溝831の上端の高さ方向の位置とほぼ同じになる。
この様に構成された突起部84は、点としてアンカーボルト1の上端面1aに接触するだけなので、上端面1aに傾きや凹凸があったとしても、鏡面板81の上面81aを水平に合わせることができる。
一方、鏡面板81は、筒状部83と一体に成形される上面81aが平坦な鏡面に形成された板材である。例えば、ステンレス鋼の表面を鏡面仕上げにした鋼板などが鏡面板81として使用できる。
鏡面板81は、筒状部83の外径よりも直径の大きな円板形の部材である。すなわち鏡面板81の縁部は筒状部83から鍔状に張り出しており、この鍔状部の下面は筒状部83の外周面と直交することになる。また、筒状部83の軸心と鏡面板81の中心位置とは一致している。
この鏡面板81の上面81aに設ける目印部82は、図10に示すように多重円によって形成される。すなわち目印部82は、鏡面であって中心位置を示す中心円820と、その外側に刻まれる環状の小円溝822と、さらにその外側に鏡面として残される円環821と、その外縁として刻まれる大円溝823とによって形成される。なお多重円は、小円溝822及び大円溝823のように溝を有する構成でなくてもよく、例えばそれぞれの円をインクなどで書いて示すこともできる。
また、鏡面板81の上面81aには、必要に応じて気泡管水準器85が取り付けられる。この気泡管水準器85は、円筒状に形成されており、その下部が磁石部851となっている。その磁石部851を鏡面板81の上面81aの取付領域852に吸着させることで、気泡管水準器85を固定することができる。
このように構成された実施例4の位置出しキャップ8は、筒状部83の内周面にアンカーボルト1の頭部11のねじ溝14に嵌り合うねじ溝831が刻まれている。
このため、アンカーボルト1の上端面1aが平坦面に形成されていなくても、鏡面板81の上面81aを水平に合わせることができる。すなわち、ねじ溝14,831の嵌め合わせで位置出しキャップ8を固定する方式であれば、鏡面板81の下面81bとアンカーボルト1の上端面1aとを離隔させることができるので、上端面1aの形状に影響を受けることなく鏡面板81の上面81aを水平にすることができる。
また、筒状部83の上端面の中心に下方へ向けての突起部84が設けられていれば、突起部84の下端をアンカーボルト1の上端面1aに点で接触させることで支持点が増えるので、位置出しキャップ8を安定させることができる。
さらに、鏡面板81の上面81aに気泡管水準器85が取り付けられていれば、気泡の位置を合わせるだけで鏡面板81の上面81aを容易に水平にすることができる。また、鏡面板81の上面81aが水平であることの確認も容易にできる。
さらに、目印部82が多重円であれば、位置出しキャップ8を回転させていずれの向きになったとしても位置合わせに使用することができる。すなわち、位置出しキャップ8を回してアンカーボルト1のねじ溝14にねじ込むと、突起部84が上端面1aに接触した時点で回転が止まる。一方、水糸S1,S2を張る方向は決まっているので、十字形の目印部では向きが合わない場合がある。これに対して多重円の目印部82であれば、水糸S1,S2の向きに合わせる必要がなく、どの位置で位置出しキャップ8の回転が止まっても違和感なく使用することができる。
なお、他の構成及び作用効果については、前記実施の形態又は他の実施例と略同様であるので説明を省略する。
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態又は実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
例えば、前記実施の形態では、第1溝411と第2溝412とによって形成される目印部41について説明したが、これに限定されるものではなく、実施例3で説明したように鏡面部の上面に線を引くことによって目印部とすることもできる。また、線を引く場合は、輪郭線413,413の間隔と同じ太さの太線を引いてもよいし、実施例3の図7で説明したように輪郭線413,413の位置にそれぞれ細線を引いてもよい。さらには、穴のように穿孔することによって目印部を形成することもできる。
また、前記実施の形態及び実施例4では、鏡面板4,81の上面4a,81aを鏡面仕上げにする場合について説明したが、これに限定されるものではなく、鏡板で鏡面部を形成したり、鏡板が上面となるように板材に貼り付けたりしてもよい。
さらに、前記実施例4では、突起部84が設けられた位置出しキャップ8について説明したが、これに限定されるものではなく、突起部84を省略することもできる。
1,1A アンカーボルト
11 頭部
12 下端部
14 ねじ溝
2 基礎
3,3A,3B 位置出しキャップ(アンカーボルト用位置出し装置)
4,4A,4B 鏡面板(鏡面部)
4a 上面
41 目印部
410 中心位置
413 輪郭線(輪郭)
43 目印部
430 中心位置
431 第1二重線(輪郭)
432 第2二重線(輪郭)
44 目印部
440 中心位置
5 筒状部(装着部)
6 位置出し治具(アンカーボルト用位置出し装置)
61 磁石部(装着部)
7 位置出しキャップ(アンカーボルト用位置出し装置)
71 鏡面部
71a 上面
72 中心位置(目印部)
73 筒状部(装着部)
8 位置出しキャップ(アンカーボルト用位置出し装置)
81 鏡面板(鏡面部)
81a 上面
82 目印部
83 筒状部(装着部)
831 ねじ溝
84 突起部
85 気泡管水準器
S1,S2 水糸
R1,R2 鏡像

Claims (8)

  1. 下端部が建物の基礎の中に埋設されるアンカーボルトの位置出しを行うために頭部に取り付けられるアンカーボルト用位置出し装置であって、
    前記アンカーボルトの頭部への装着部と、
    前記装着部の上方に固定される上面が平坦な鏡面に形成される鏡面部と、
    前記鏡面部の中心位置を前記上面に示す目印部とを備え
    前記装着部は、前記アンカーボルトが挿入可能な筒状に形成されているとともに、
    前記鏡面部は、前記装着部の外径よりも直径の大きな円板形の鋼板の表面を鏡面仕上げすることによって形成されていることを特徴とするアンカーボルト用位置出し装置。
  2. 前記筒状の装着部の内周面には、前記アンカーボルトの頭部のねじ溝に嵌り合うねじ溝が刻まれていることを特徴とする請求項に記載のアンカーボルト用位置出し装置。
  3. 前記筒状の装着部の上端面の中心には、下方へ向けての突起部が設けられていることを特徴とする請求項に記載のアンカーボルト用位置出し装置。
  4. 前記突起部は円錐形に形成されていることを特徴とする請求項3に記載のアンカーボルト用位置出し装置。
  5. 前記鏡面部の上面に気泡管水準器が取り付けられることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のアンカーボルト用位置出し装置。
  6. 前記目印部は前記中心位置を中心とする多重円であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のアンカーボルト用位置出し装置。
  7. 前記目印部は前記中心位置で直交する十字形であって、前記鏡面部に映す水糸よりも幅の広い輪郭が形成されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のアンカーボルト用位置出し装置。
  8. 請求項1乃至のいずれか一項に記載のアンカーボルト用位置出し装置を使ったアンカーボルトの設置方法であって、
    所定の位置に水糸が交差するように張る工程と、
    前記アンカーボルトの頭部に前記アンカーボルト用位置出し装置を取り付ける工程と、
    前記水糸の真上から見て前記鏡面部に映った水糸の鏡像が前記水糸に隠れるとともに、前記水糸の交差点と前記目印部の中心位置とが一致する位置にアンカーボルトを移動させる工程と、
    前記アンカーボルトの位置を固定する工程とを備えたことを特徴とするアンカーボルトの設置方法。
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