JP2013053704A - 緩み防止付き締結部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は構造が簡単で且つ取扱い易くて、更に略完全にネジが戻らなくなる緩み防止付き締結部材を提供することを目的とする。
【解決手段】端部に外広がりのテーパー穴11を設けると共に該テーパー穴11と連通する複数本の溝12を有したボルト1と、テーパー穴11に挿入して溝12を押し広げる円錐台状の突起部21を内底面中央に設けた袋ナット2と、テーパー穴11に挿入して配置する接着剤4入りカプセル3と、から少なくとも構成する。また複数本の溝12の長さを1本毎変えたものとするのが良く、又、袋ナット2の突起部21の基部にリング状のスポンジ5を挿入して装着させるのが好ましく、且つ、袋ナット2と共に、両面全体に凹凸が設けられたワッシャー6を装着させると良い。
【選択図】図1
【解決手段】端部に外広がりのテーパー穴11を設けると共に該テーパー穴11と連通する複数本の溝12を有したボルト1と、テーパー穴11に挿入して溝12を押し広げる円錐台状の突起部21を内底面中央に設けた袋ナット2と、テーパー穴11に挿入して配置する接着剤4入りカプセル3と、から少なくとも構成する。また複数本の溝12の長さを1本毎変えたものとするのが良く、又、袋ナット2の突起部21の基部にリング状のスポンジ5を挿入して装着させるのが好ましく、且つ、袋ナット2と共に、両面全体に凹凸が設けられたワッシャー6を装着させると良い。
【選択図】図1
Description
本発明は機械的手段と接着手段を同時に用い、ねじ込んだネジの緩みを略完全に防止する締結部材に関し、特には半永久的な固定のために使用される緩み防止付き締結部材に関する。
従来、ダブルロックナットを使用せず、且つ、ピンの打込みなどを行わずに、ネジの締付けだけで緩み防止が成される主な手段としては、接着剤をネジ部に供給するものや、ネジ山をネジ穴にくい込ませるために楔の役目を果たす部材が設けられたものなどが多く提案されている。接着剤をネジ部に供給するものとしては、例えば、特開2009−162355がある。これは螺線部に接着剤内包マイクロカプセルを含む被膜を形成したものである。一方、楔部材を設けたものとしては、例えば、特開平5−321921がある。これは軸端部に中心軸方向に伸びる少なくとも1本のスリットを有する収容開口部が形成されたボルト本体と、一端をボルト本体の軸端から中心軸方向外方に突出し且つ他端部を収容開口部内に受容された変形用楔とから構成されたものである。これは盲ボルト穴や底付きナットのネジ穴にねじ込まれて使用するものであった。ボルト本体がねじ込まれると、ボルト本体の軸端から突出した変形用楔の先端部がネジ穴の底に接合する。更にボルト本体をねじ込むことにより、変形用楔がボルト本体の収容開口部の側壁を中心軸方向と直行する方向へと外側へ押し広げる力が発生する。それによりボルト本体はスリットを設けられた軸端部に於いて、部分的な変形を生じ、これによりボルト本体の軸端部に於けるネジ山がボルト穴のネジ山に噛み合い、ボルト本体の緩みを防止することができるものであった。
しかしながら、特開2009−162355や特開平5−321921は、接着剤の接着力或いは締付けた力以上の力が加わると、緩んでしまい、略完全にネジが戻らないボルト・ナットなどの締結部材は従来にはなかった。更に特開平5−321921は、本発明の図中のような一般的な使用は出来ないものであった。このため、略完全にネジが戻らないボルト・ナットなどの締結部材の開発が要望されていた。
本発明は構造が簡単で且つ取扱い易くて、更に略完全にネジが戻らなくなる緩み防止付き締結部材を提供することを目的とする。
本発明は上記要望に応えるために成されたものであり、つまり、端部に外広がりのテーパー穴を設けると共に該テーパー穴と連通する複数本の溝を有したボルトと、テーパー穴に挿入して溝を押し広げる円錐台状の突起部を内底面中央に設けた袋ナットと、テーパー穴に挿入して配置する接着剤入りカプセルと、から少なくとも構成する。また複数本の溝の長さを1本毎変えたものとするのが良く、袋ナットの突起部の基部にリング状のスポンジを挿入して装着させるのが好ましく、更に袋ナットと共に、両面全体に凹凸が設けられたワッシャーを装着させると良い。尚、本発明で言う「テーパー穴と連通する」とは、テーパー穴に配置した接着剤が流れ出た場合、その接着剤がテーパー穴から溝へ流れ込んで行くことを指すものとする。
請求項1のように端部に外広がりのテーパー穴(11)を設けると共に該テーパー穴(11)と連通する複数本の溝(12)を有したボルト(1)と、テーパー穴(11)に挿入して溝(12)を押し広げる円錐台状の突起部(21)を内底面中央に設けた袋ナット(2)と、前記テーパー穴(11)に挿入して配置する接着剤(4)入りカプセル(3)と、から少なくとも構成することにより、構造が簡単で且つ取扱い易くて、更に略完全にネジが戻らなくなる緩み防止付き締結部材を得ることが可能となる。又、結合部分が袋ナット(2)で覆われているため、耐候性が高められたものとなると共に接着剤(4)が外部にはみ出して汚す恐れもないものとなる。
請求項2のように複数本の溝(12)の長さを1本毎変えることにより、楔作用でボルト(1)の端部が外側に拡張する際、わずかながら捻じれるように開き、袋ナット(2)のネジ部分にボルト(1)の端部が弾性変形しながら押付けられ、摩擦力が増すものとなる。又、この溝(12)に段差を付けて揃えないことによって、ボルト(1)の端部は、同じ長さの溝(12)を付けた場合と比べ、破損して分断されにくいものとなる。更に前記溝(12)の縁は袋ナット(2)に鋭角的に当り、袋ナット(2)が緩む方向に滑るのを防止する働きがある。
請求項3に示すよう袋ナット(2)の突起部(21)の基部にリング状のスポンジ(5)を挿入して装着させることにより、ボルト(1)を締付けた時の隙間を少なく出来るため、カプセル(3)が破損して接着剤(4)が流出した際に、ボルト(1)のネジ山と袋ナット(2)のネジ穴の隙間に接着剤(4)が確実に流入されるものとなり、ネジの緩みがより確実に防止できるものとなる。
請求項4に示すように袋ナット(2)と共に両面全体に凹凸が設けられたワッシャー(6)を装着させることにより、摩擦抵抗が増加するため、ネジが一層緩みにくいものとなる。
本発明の実施形態を図1、図2に基づいて説明する。(1)は上端部に外広がりテーパー穴(11)を設けると共に該テーパー穴(11)と連通する縦方向の溝(12)を4本有した六角ボルトである。前記溝(12)の本数は4本に限定されるものではなく、ボルト(1)の径に対応して決められると共に、後述する突起部(21)がテーパー穴(11)に挿入し押圧された際、ボルト(1)の端部の外径が拡張できる本数であれば良い。また溝(12)の長さとしては、1本毎変えて不揃いにしておくのが好ましいが、図示しないカッターで溝加工する際、対向する溝(12)の長さを同じくし、角度を変えて溝加工する際に前記溝(12)の長さと変えたものとしても良い。更に前記ボルト(1)のネジ山と後述する袋ナット(2)のネジ穴には、サンドブラスト加工などで表面に凹凸を付けておくと、摩擦抵抗が増してネジがより一層緩みにくいものとすることが出来る。尚、前記溝(12)はボルト(1)の端部を広げ易くすると共に後述する接着剤(4)がボルト(1)のネジ山と後述する袋ナット(2)のネジ穴の隙間に浸透させるための接着剤供給通路の役目も果たす。(2)はテーパー穴(11)に挿入して溝(12)を押し広げると共にボルト(1)の端部の外径を拡張させるための円錐台状の突起部(21)を内底面中央に突設した袋ナットである。
(3)はテーパー穴(11)に挿入して配置する接着剤(4)入りカプセルであり、該カプセル(3)としては内部に接着剤(4)が収納可能なものを用いるのが良く、通常状態に於いて内部の接着剤(4)が飛び出ないように収容保持している。この時のカプセル(3)の形状としては楕円球或いは球体とするのが良い。前記接着剤(4)としては、例えば常温硬化型で且つ低粘度のエポキシ系樹脂剤などを使用すると良い。また粘度としては一般的な低粘度のものを用いるのが好ましい。更に前記接着剤(4)の量としては、各溝(12)及びボルト(1)のネジ山と袋ナット(2)のネジ穴の隙間に充填される量とするのが好ましい。
(5)は袋ナット(2)の突起部(21)の基部に挿入して装着させるか、或いはボルト(1)の端面に載せて装着させるリング状のスポンジであり、該スポンジ(5)はボルト(1)に袋ナット(2)を締付けた時の隙間を少なくして接着剤(4)がネジ側へ多く流出させるための役目を果たす。(6)は両面全体にザラメ状の凹凸を設けたワッシャーであり、該ワッシャー(6)の外周に破壊用の切欠き(61)を多数設けている。尚、ワッシャー(6)の両面に凹凸を設ける場合は、サンドブラストなどの吹付け加工を施すと良い。(7)は本発明品を取付ける被締結部材である。
次に本発明品の使用方法について説明する。先ず始めに、被締結部材(7)の穴の下方からボルト(1)を挿入すると共に接着剤(4)入りカプセル(3)をテーパー穴(11)に配置させる。そして袋ナット(2)を螺合させると、円錐台状の突起部(21)の先端がカプセル(3)に当接しながら押圧される。すると、カプセル(3)は袋ナット(2)がボルト(1)に螺合して緊締される段階で、潰れて接着剤(4)が流れ出て溝(12)を充填し、且つ、その溝(12)を通過してボルト(1)のネジ山と袋ナット(2)のネジ穴の隙間にも、接着剤(4)が充填され固化するものとなる。この時、カプセル(3)が突起部(21)により圧縮された後、一気に破壊されるようにしておくと、一瞬に接着剤(4)を隙間に浸透させると共に、カプセル(3)が破裂する際に「ポン」という破裂音が出るようにしておくことにより、接着剤(4)がカプセル(3)から流出したことが確認できるものにしておくのが好ましい。
前記カプセル(3)が潰されて内部の接着剤(4)が流出すると共に突起部(21)がテーパー穴(11)に密接しながら複数本の溝(12)を徐々に拡張し、ボルト(1)の端部の外径が広がる。この結果、ボルト(1)のネジ山は袋ナット(2)のネジ穴に押圧されてくい込まれたものとなると共に、この時、袋ナット(2)の上面を押上げる力が作用するため、袋ナット(2)の側面はボルト(1)のネジ山に押付ける力が働く。このため、ボルト(1)と袋ナット(2)が機械的に強く結合してボルト(1)の緩み止めの効果を発揮するものとなる。更に流出した接着剤(4)は複数本の溝(12)と更にボルト(1)のネジ山と袋ナット(2)のネジ穴の隙間に浸透し、且つ、テーパー穴(11)と突起部(21)の隙間にも浸透する。浸透した接着剤(4)の量が多くなった場合には、袋ナット(2)の内部に装着したスポンジ(5)によって吸収されるため、外部に接着剤(4)がはみ出る心配はない。
締付け完了後、溝(12)と更にボルト(1)のネジ山と袋ナット(2)のネジ穴の隙間に浸透した接着剤(4)が固化すると、ボルト(1)と袋ナット(2)は楔作用によってネジ部に押圧力が加わった状態で固化されて一体化したものとなるため、締付けた力以上の力で戻したとしても連続的にその力を加え続けない限り緩まないものとなり、略完全にボルト(1)の緩みが防止できるものとなる。特に、建造物の締結箇所や振動の加わる交通機関等で使用する部品の締結箇所に本発明を用いれば、半永久的な固定が可能となるため、ボルト(1)と袋ナット(2)が緩んでいないか定期的に緩みのチェックや部品交換の必要もなくなり、安全がより確実に確保できるものとなる。
このように本発明は被締結部材(7)の穴にボルト(1)を挿入すると共に接着剤(4)入りカプセル(3)をテーパー穴(11)に配置させ、袋ナット(2)を螺合させて所定の力で締付けて行くだけの簡単な作業で良く、作業性が著しく向上するものとなる。又、締付けて行く途中で、カプセル(3)の破裂音を確認するだけで接着剤(4)が流出したことが確認でき、且つ、ボルト(1)のネジ山は袋ナット(2)のネジ穴に押圧されて自然にくい込まれるものとなるため、ボルト(1)と袋ナット(2)が機械的に強く結合し、しかも、その機械的に強く結合した状態を、化学的結合方法である接着剤(4)によって一体化したものとなり、本発明の目的である略完全にネジが戻らなくなる緩み防止付き締結部材を得るに至った。
一般に安全が最優先される建造物や交通機関等に於ける結合部分は、ボルトやナットが緩んでいないか定期的に緩みのチェックや部品交換の必要があったが、本発明ではそれらの作業が不要となり、安全がより確実に確保でき、またボルトやナットの疲労や錆が防げれば、メンテナンスフリーとなり、安全性や経済性が確保できるものとなる。更に本発明品を鉄塔や釣り橋の橋脚などの締結箇所に使用すると、従来行われていた定期的な増し締め作業が不要となる。
1 ボルト
11 テーパー穴
12 溝
2 袋ナット
21 突起部
3 カプセル
4 接着剤
5 スポンジ
6 ワッシャー
11 テーパー穴
12 溝
2 袋ナット
21 突起部
3 カプセル
4 接着剤
5 スポンジ
6 ワッシャー
Claims (4)
- 端部に外広がりのテーパー穴(11)を設けると共に該テーパー穴(11)と連通する複数本の溝(12)を有したボルト(1)と、前記テーパー穴(11)に挿入して前記溝(12)を押し広げる円錐台状の突起部(21)を内底面中央に設けた袋ナット(2)と、前記テーパー穴(11)に挿入して配置する接着剤(4)入りカプセル(3)と、から少なくとも構成したことを特徴とする緩み防止付き締結部材。
- 前記ボルト(1)に設けた複数本の溝(12)の長さを1本毎変えた請求項1記載の緩み防止付き締結部材。
- 前記袋ナット(2)の突起部(21)の基部にリング状のスポンジ(5)を挿入して装着させた請求項1記載の緩み防止付き締結部材。
- 前記袋ナット(2)と共に両面全体に凹凸を設けたワッシャー(6)が装着された請求項1又は2記載の緩み防止付き締結部材。
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