JP6292750B2 - 塗工装置 - Google Patents

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Description

本発明は、塗工装置に関する。
塗工液をシートの主面に塗工する方法として、例えば、グラビアコータ法などのように、浴槽形状の塗工液槽中に滞留させた塗工液を塗工ロールの表面へ供給し、塗工液が供給された塗工ロール表面をシートの主面に接触させる方法が行われている。
しかし、塗工液中に、例えば、シリカ粒子やアルミナ粒子などの比重が大きい塗工成分や凝集し易い塗工成分が存在している場合、塗工液中の塗工成分が沈降、及び/又は、凝集して、塗工液槽中に沈殿物や凝集物が生じることがあった。
塗工液中に沈殿物や凝集物が生じた場合には、塗工液中に存在している塗工成分の濃度分布が不均一となり、シートに塗工成分を必要量塗工できなくなることがあった。そして、塗工成分が必要量塗工されていないシートを、例えば、電気化学素子用セパレータとして使用した場合、前記電気化学素子用セパレータを用いて組み立てた電気化学素子は、ショートや熱暴走を発生し易い傾向があった。
また、塗工によりシートの表面に沈殿物や凝集物が付着した場合には、シート表面に特異的に塗工成分が多く存在する部分が生じることがあった。そして、表面に特異的に塗工成分が多く存在する部分が生じたシートを、例えば、電気化学素子用セパレータとして使用した場合、前記電気化学素子用セパレータを用いて組み立てた電気化学素子は、放電性能に劣る傾向があった。
そのため、従来技術に係る塗工装置を用いる限りでは、主面に塗工成分が均一に塗工されたシートを提供することは困難であった。
上述の問題を解決し得る塗工装置として、例えば、特開2003−24850号公報(以降、特許文献1、と称する)には、塗布ロールと、内面形状が塗布ロールの外周に沿う形状の塗工液槽を備えた塗工装置が開示されている。
そして、特許文献1に係る塗工装置において転写に使用されなかった塗工液は、塗工液槽と塗布ロールの間に形成された間隔における、塗工液槽の重力方向に設けられた塗工液排出スリットや端部に設けられたオーバーフロー部から排出され、粒子の沈降を防止できることが開示されている。
なお、特許文献1は、塗工液槽中で塗工液の流れが澱んだ場合、粒子が沈降し易くなるという知見のもと、塗工液槽と塗布ロールの間隔が一定で狭いことによって、塗工液が常に流動し続けるようになり粒子の沈降が生じないことを開示している。
特開2003−24850号公報(特許請求の範囲、0005、0021−0024、図1など)
本発明者らは、主面に塗工成分が均一に塗工されたシートを提供するため、特許文献1に係る塗工装置について検討した結果、特許文献1に係る塗工装置において塗工液の種類を変更した場合、主面に塗工成分が均一に塗工されたシートを提供するための調整に、手間がかかると考えた。
つまり、シートに塗工する塗工液の量を調整するためには、例えば、塗工液の種類に合わせて、塗工液槽と塗工ロールがなす間隔を離すあるいは近づけることで、塗工ロールの表面へ供給する塗工液の量を調整する必要がある。
その際、特許文献1に係る塗工装置では、塗工液が常に流動し続け塗工成分(粒子など)の沈降が生じないように、塗工液槽と塗工ロールがなす間隔が一定となるように塗工液槽及び/又は塗工ロールを移動させ調整する必要があるが、塗工液槽と塗布ロールの間隔を一定で狭くするためには上述した移動を精密に行う必要があり、調整に手間がかかると考えられた。
そのため、塗工液中に沈降しやすい塗工成分が存在している場合であっても、沈殿物や凝集物が形成されるのを防ぐことができ、塗工液を塗工したシートを簡便に製造できる塗工装置が求められていた。
塗工液中に沈降しやすい、及び/又は、凝集しやすい塗工成分が存在している場合であっても、沈殿物や凝集物が形成されるのを防ぐことができ、主面に塗工成分が均一に塗工されたシートを簡便に製造できる塗工装置の提供を目的とする。
本発明は、
「塗工ロールと、内面形状が円弧形状をした塗工液槽を備える塗工装置であって、
前記塗工ロールと前記塗工液槽が成す塗工液の存在する空間において、
前記塗工液の供給側の端部における前記塗工液槽と前記塗工ロールの最短距離の長さと、前記塗工液の排出側の端部における前記塗工液槽と前記塗工ロールの最短距離の長さが異なる、塗工装置。」
に関する。
本発明者らは検討の結果、塗工ロールと内面形状が円弧形状をした塗工液槽が成す塗工液の存在する空間において、塗工液の供給側の端部における塗工液槽と塗工ロールの最短距離の長さと、塗工液の排出側の端部における塗工液槽と塗工ロールの最短距離の長さが異なることによって、驚くべきことに、塗工液中に沈降しやすい、及び/又は、凝集しやすい塗工成分が存在している場合であっても、沈殿物や凝集物が形成されるのを防止できることを見出した。
この理由は完全に明らかとなっていないが、前記最短距離の長さが互いに異なることで、前記両端部における塗工液の移動速度が異なり、その結果、塗工液が前記空間を移動するのに伴い塗工液中の塗工成分へせん断力が作用して塗工成分同士が沈降、及び/又は、凝集するのを効果的に防止できるため、であると考えられる。

また、本発明の塗工装置は、塗工液槽と塗工ロールがなす間隔を一定にすることなく、主面に塗工成分が均一に塗工されたシートを製造することができる。そのため、シートに塗工する塗工液の種類を変更した場合であっても、主面に塗工成分が均一に塗工されたシートを簡便に製造できる。

以上から、本発明の塗工装置は、塗工液中に沈降しやすい、及び/又は、凝集しやすい塗工成分が存在している場合であっても、沈殿物や凝集物が形成されるのを防ぐことができ、主面に塗工成分が均一に塗工されたシートを簡便に製造できる塗工装置の提供を目的とする。
本発明の塗工装置における模式的な側面断面図である。 図1の塗工装置が備えている塗工ロールと塗工液槽を、図1の紙面上の上方向からみた模式的平面図である。 本発明に係る塗工液槽の、模式的斜視図である。 実施例1で調製した、主面に塗工成分が塗工された不織布を測定へ供した結果をまとめたグラフである。 比較例1で調製した、主面に塗工成分が塗工された不織布を測定へ供した結果をまとめたグラフである。
本発明の塗工装置について、図1−3を用いて説明する。
図1は、本発明の塗工装置における模式的な側面断面図であり、図1において紙面上の下方向は重力方向である。また、図2は、図1の塗工装置が備えている塗工ロールと塗工液槽を、図1の紙面上の上方向からみた模式的平面図であり、図3は、本発明に係る塗工液槽の、模式的斜視図である。
塗工装置(100)は主として、塗工ロール(1)、内面形状が円弧形状をした塗工液槽(2、以降、塗工液槽(2)、と称することがある)を備えている。そして、塗工ロール(1)の表面と塗工液槽(2)の内面との間に形成される空間へ塗工液供給装置(4)から塗工液が供給されることで、前記空間内に塗工液の存在する空間(3)が形成されている。なお、図1では、塗工ロール(1)が回転軸(12)を中心にして紙面上における反時計回りに回転しており、塗工液の存在する空間(3)に存在する塗工液のうち塗工に使用されなかった塗工液は、塗工液の存在する空間(3)における、重力方向側に存在する塗工液の排出側の端部から排出されている。なお、図1では、シート(7)は紙面上の左方向から右方向に向かい搬送されている。
塗工液槽(2)は図1−3に図示されているように、塗工ロール(1)の回転方向と直交する方向における両端部に側板(11)を備えており、前記側板(11)の存在によって、前記塗工液の排出側の端部以外から塗工液が意図せず排出されるのを防いでいる。
また、塗工液の存在する空間(3)において、塗工液の供給側の端部における塗工液槽(2)と塗工ロール(1)の最短距離の長さ(A、以降、最短距離の長さ(A)、と称することがある)と、塗工液の排出側の端部における塗工液槽(2)と塗工ロール(1)の最短距離の長さ(B、以降、最短距離の長さ(B)、と称することがある)が異なるように、塗工ロール(1)と塗工液槽(2)は配置されている。なお、図1では、最短距離の長さ(A)が最短距離の長さ(B)よりも長い態様を図示している。
そして、回転軸(12)を中心にして回転する塗工ロール(1)の表面が塗工液の存在する空間(3)を通過することで、塗工ロール(1)の表面に塗工液が供給され、搬送手段(6)によって搬送されてきたシート(7)の主面が、塗工液が供給された塗工ロール(1)の表面と接触することで、主面に塗工液(塗工成分)が塗工されたシート(7)が調製される。
本発明の塗工装置(100)によれば、塗工液の存在する空間(3)において、最短距離の長さ(A)と最短距離の長さ(B)が異なることによって、塗工液中に沈降しやすい、及び/又は、凝集しやすい塗工成分が存在している場合であっても、塗工液の存在する空間(3)内に沈殿物や凝集物が形成されるのを防いで、塗工ロール(1)の表面へ供給する塗工液の量を調整することができる。
そして、本発明の塗工装置(100)は、塗工液槽(2)と塗工ロール(1)がなす間隔を一定にすることなく、主面に塗工成分が均一に塗工されたシート(7)を製造することができる。そのため、シート(7)に塗工する塗工液の種類を変更した場合であっても、主面に塗工成分が均一に塗工されたシート(7)を簡便に製造できる。
以上から、本発明の塗工装置(100)は、塗工液中に沈降しやすい、及び/又は、凝集しやすい塗工成分が存在している場合であっても、沈殿物や凝集物が形成されるのを防ぐことができ、主面に塗工成分が均一に塗工されたシート(7)を簡便に製造できる。
次いで、本発明の詳細について、説明する。
塗工ロール(1)は、塗工液をシート(7)の主面へ塗工する働きを担う部材であり、一般的な塗工装置で使用される、例えば、グラビアロールなどのロール状部材を用いることができる。
塗工ロール(1)の素材は適宜選択するものであり、例えば、金属製、ガラス製、陶器製、樹脂性などであることができる。また、塗工ロール(1)の表面が、例えば、ダイアモンドの層、あるいは、炭化水素や炭素の同素体(例えば、ダイアモンドライクカーボン、グラファイトなど)から成る炭素系皮膜層を備えている場合には、シート(7)の主面に塗工液を均一に塗工できる傾向があり好ましい。
塗工ロール(1)の回転方向と直交する方向における長さは、塗工液をシート(7)の主面全体へ均一に塗工できるように、シート(7)の主面におけるシート(7)の搬送方向と直交する方向(幅方向)の長さよりも長いのが好ましい。
塗工ロール(1)の表面は、平滑であっても、例えば、溝や窪み、ドットパターンなど凹凸が設けられた態様であってもよい。塗工ロール(1)の表面に凹凸を設ける場合、その形状や大きさは、例えば、塗工液の組成、シート(7)の主面へ塗工する塗工液(塗工成分)の量などによって適宜調整する。
塗工ロール(1)の回転方向や回転速度は限定されるものではなく、主面に塗工成分が均一に塗工されたシート(7)を調製できるように、適宜調整する。なお、図1では、塗工ロール(1)が回転軸(12)を中心にして紙面上における反時計回りに回転している態様を図示しているが、時計回りに回転させてもよい。
なお、本発明の塗工装置(100)が塗工ロール(1)の配置を調整できる場合には、塗工ロール(1)と塗工液槽(2)の配置を調整して、塗工液の存在する空間(3)の態様を調整できるため、好ましい。
塗工液槽(2)は内面形状が円弧形状をした形状をしており、塗工ロール(1)の表面との間に塗工液の存在する空間(3)を形成する働きを担う部材である。
塗工液槽(2)における円弧形状は、沈殿物や凝集物が形成されるのを防ぐことができ、主面に塗工成分が均一に塗工されたシート(7)を調製できるように適宜調整する。特に、塗工液の存在する空間(3)における一方の端部からもう一方の端部に向かい、連続的に塗工液槽(2)と塗工ロール(1)の最短距離の長さが変化している場合(図1に図示された態様では、塗工液の供給側の端部から排出側の端部に向かい、前記最短距離の長さが連続的に減少している)には、塗工液中の塗工成分へ効率良くせん断力を作用させることができて、沈殿物や凝集物が形成されるのを更に防ぐことができ好ましい。
塗工液槽(2)の素材は適宜選択するものであり、例えば、金属製、ガラス製、陶器製、樹脂性などであることができる。
なお、塗工液槽(2)における塗工ロール(1)の回転方向と直交する方向における長さは、塗工ロール(1)の表面全体に塗工液を供給することができるように、塗工ロール(1)の回転方向と直交する方向における長さよりも長いのが好ましい。
図1−3に図示した塗工液槽(2)では、塗工ロール(1)の回転方向と直交する方向における、塗工液槽(2)の両端部に側板(11)を備えた態様を図示しているが、側板(11)を備えていない塗工液槽(2)を用いてもよい。しかし、塗工液の存在する空間(3)における塗工液の排出側の端部以外から塗工液が意図せず排出されるのを防止できるという観点から、塗工液槽(2)は側板(11)を備えているのが好ましい。このとき、側板(11)と塗工ロール(1)の成す最短距離の長さは短ければ短いほど、塗工液が意図せず排出されるのを防止し易い。前記最短距離の長さは理論上0mmであるのが最も好ましいが、塗工ロール(7)の回転が阻害される恐れがあることから、前記最短距離の長さは0.1mmよりも大きいのが好ましく、前記最短距離の長さの上限値は適宜調整するが、現実的には8cm以下であるのが好ましい。
また、側板(11)の形状や大きさは、本発明の課題を解決できるように、適宜調整する。
なお、本発明の塗工装置(100)が、例えば、X−Y移動ステージなどの装置を備えている場合、前記装置の稼動部分に塗工液槽(2)を固定し、前後に移動させて塗工槽(2)と塗工ロール(1)との配置を調整することで、塗工液の存在する空間(3)の態様を調整できる。この時、塗工液槽(2)及び/又は側板(11)に前記装置と嵌合して固定可能な、例えば、ネジ穴などの部位を設けるのが好ましい。なお、前記部位の数や位置は適宜調整する。
また、図1−3では、塗工液槽(2)における重力方向側の端部が側板(11)よりも外部へ突き出した態様の塗工液槽(2)を図示しているが、側板(11)から突き出していない態様の塗工液槽(2)を用いても良い。なお、前記突き出しの長さは、沈殿物や凝集物が形成されるのを防ぐことができ、主面に塗工成分が均一に塗工されたシート(7)を調製できるように、そして、塗工ロール(1)の表面へ供給する塗工液の量に合わせて適宜調整するのが好ましい。
図1では、塗工ロール(1)の回転軸(12)の中心から重力方向に垂下した直線よりも、シート(7)の搬送方向における下流側に、塗工液槽(2)が突出して存在する態様の塗工装置(100)を図示しているが、前記垂下した直線より下流側に突出しないよう塗工液槽(2)を設けてもよい。しかし、塗工液槽(2)が前記下流側に突出していない場合、塗工ロール(1)の表面に塗工液を供給し難くなる傾向があることから、図1のように、塗工ロール(1)の回転軸(12)の中心から重力方向に垂下した直線よりも、シート(7)の搬送方向における下流側に塗工液槽(2)が突出しているのが好ましく、3mm以上突出しているのがより好ましく、5mm以上突出しているのが最も好ましい。また、塗工液槽(2)が突出している長さの上限値は適宜調整するが、現実的には10mm以下であるのが好ましい。
本発明でいう、「塗工液の供給側の端部における塗工液槽と塗工ロールの最短距離の長さ」と「塗工液の排出側の端部における塗工液槽と塗工ロールの最短距離の長さ」は次に説明する方法によって決定することができる。
1.まず、塗工液の存在する空間(3)において、塗工液と接触している塗工ロール(1)の表面を選出し、選出した前記表面において、前記表面の接線と直交する直線を、選出した各表面に対して作成する。
2.次いで、作成した各直線から、塗工ロール(1)の表面と塗工液槽(2)の内部表面を結ぶ線分を作成する。
3.そして、作成した各線分のうち、線分の全てが塗工液内に存在している線分を選出する。
4.最後に、選出した線分のうち、塗工液の存在する空間(3)における塗工液の供給側の端部に最も近い部分に存在する線分の長さを「塗工液の供給側の端部における塗工液槽と塗工ロールの最短距離の長さ(最短距離の長さ(A))」とし、塗工液の存在する空間(3)における塗工液の排出側の端部に最も近い部分に存在する線分の長さを「塗工液の排出側の端部における塗工液槽と塗工ロールの最短距離の長さ(最短距離の長さ(B))」とする。
本発明の塗工装置(100)において最短距離の長さ(B)が短過ぎる場合には、塗工ロール(1)と塗工液槽(2)の間に塗工成分が詰まり易くなり、塗工液の存在する空間(3)内で沈殿物や凝集物が形成されるおそれがある。そのため、最短距離の長さ(B)の長さは、0.1mm以上であるのが好ましく、0.5mm以上であるのがより好ましく、1mm以上であるのが最も好ましい。また、最短距離の長さ(B)の上限値は適宜調整するが、現実的には2mm以下であるのが好ましい。
なお、塗工液の存在する空間(3)の大きさは、例えば、塗工液の組成、シート(7)の主面へ塗工する塗工液の量などによって、適宜調整する。
シート(7)の主面へ塗工する塗工液は、溶媒に塗工成分を溶解させる、あるいは、溶媒に塗工成分を分散させることで調製できる。塗工液を調製するために使用できる溶媒の種類は、適宜選択することができ限定されるものではないが、水、メタノールやエタノールなどのアルコール、テトラヒドロフランやブチルセロソルブなどのエーテル、ヘキサンなどの非極性溶媒などを、例示することができる。
また、塗工成分として、例えば、有機ポリマー、無機成分、色素、難燃剤、防虫剤、芳香剤、脱臭剤、触媒、界面活性剤などを、例示することができ、これらの塗工成分のうち一種類あるいは複数種類を溶媒に溶解させる、あるいは、溶媒に分散させて、塗工液を調製することができる。
塗工成分として使用できる有機ポリマーの種類は、適宜選択することができるため限定されるものではないが、例えば、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、炭化水素の一部をシアノ基またはフッ素或いは塩素といったハロゲンで置換した構造のポリオレフィン系樹脂など)、スチレン系樹脂、ポリエーテル系樹脂(ポリエーテルエーテルケトン、ポリアセタール、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、ユリア系樹脂、エポキシ系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル、芳香族ポリエーテルケトンなど)、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、全芳香族ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂など)、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド系樹脂(例えば、芳香族ポリアミド樹脂、芳香族ポリエーテルアミド樹脂、ナイロン樹脂など)、二トリル基を有する樹脂(例えば、ポリアクリロニトリルなど)、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリスルホン系樹脂(ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなど)、フッ素系樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなど)、セルロース系樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、アクリル系樹脂(例えば、アクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルなどを共重合したポリアクリロニトリル系樹脂、アクリロニトリルと塩化ビニルまたは塩化ビニリデンを共重合したモダアクリル系樹脂など)など、公知の有機ポリマーからなることができる。
なお、これらの有機ポリマーは、直鎖状ポリマーまたは分岐状ポリマーのいずれからなるものでも構わず、また有機ポリマーがブロック共重合体やランダム共重合体でも構わず、また有機ポリマーの立体構造や結晶性の有無がいかなるものでも、特に限定されるものではない。更には、有機ポリマーを混ぜ合わせたものでも良く、特に限定されるものではない。そして、これらを1種単独で用いてもよく、または2種以上を併用してもよい。
塗工成分として使用できる無機成分の種類は、適宜選択することができるため限定されるものではないが、例えば、酸化鉄、SiO(シリカ)、Al(アルミナ)、アルミナ−シリカ複合酸化物、TiO、SnO、BaTiO、ZrO、スズ−インジウム酸化物(ITO)などの酸化物;窒化アルミニウム、窒化ケイ素などの窒化物;フッ化カルシウム、フッ化バリウム、硫酸バリウムなどの難溶性のイオン結晶;シリコン、ダイヤモンドなどの共有結合性結晶;タルク、モンモリロナイトなどの粘土;ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、セリサイト、ベントナイト、マイカなどの鉱物資源由来物質またはそれらの人造物など、あるいは金属酸化物など無機成分の酸化物などを例示することができる。
塗工成分が溶媒中で粒子形状をなすものである場合、本発明で使用できる塗工成分の平均粒子径は特に限定されるべきものではなく、適宜調整するものであるが、主面に塗工成分が塗工されたシート(7)を電気化学素子用セパレータとして使用する場合には、塗工成分の平均粒子径を0.1〜3μmの範囲内とするのが好ましく、0.15〜1μmの範囲内とするのがより好ましく、0.2〜0.8μmの範囲内とするのが最も好ましい。
なお、使用する粒子の中に大きな直径を有する粒子が含まれている場合、塗工ロール(1)と塗工液槽(2)の間に塗工成分が詰まり易くなり、塗工液の存在する空間(3)内で沈殿物や凝集物が形成されるおそれがあり、また、塗工ロール(1)の磨耗を招く恐れがある。そのため、塗工成分として使用する粒子はふるいにかけ、予め大きな直径を有する粒子を取り除いておくのが好ましい。
なお、塗工成分の平均粒子径は、粒子を大塚電子(株)製FPRA1000(測定範囲3nm〜5000nm)に供して、動的光散乱法で3分間の連続測定を行い、散乱強度から得られた粒子径測定データから求める。つまり、粒子径測定を5回行い、その測定して得られた粒子径測定データを粒子径分布幅が狭い順番に並べ、3番目に粒子径分布幅が狭い値を示したデータにおける粒子の累積値50%点の粒子径を、粒子の平均粒子径D50とする。なお、測定に使用する分散液は温度25℃に調整し、25℃の水を散乱強度のブランクとして用いる。
また、本発明に係る塗工成分の粒子径分布は特に限定されるべきものではないが、塗工成分の粒子径分布が広過ぎると、表面に粒子形状の塗工成分が均一に塗工されたシート(7)を調製することが困難となる恐れがある。
なお、塗工液における塗工成分の濃度(塗工液の質量に占める塗工成分の質量)は、主面に塗工成分が均一に塗工されたシート(7)を調製することができるように、適宜調整する。また、塗工時の塗工液の温度(換言すれば、塗工時の塗工成分の温度)は適宜調整することができ、例えば、5℃〜50℃とすることができ、20℃〜40℃とすることができる。
塗工液供給装置(4)は、塗工ロール(1)の表面と塗工液槽(2)の内面との間に形成される空間へ塗工液を供給できる部材であればよく、例えば、チューブポンプや、ダイヤフラムポンプなどを用いることができる。
なお、図1では塗工液槽(2)と塗工液供給装置(4)とが別の部材である態様を図示しているが、塗工液槽(2)と塗工液供給装置(4)とが一体となった態様であってもよく、例えば、塗工液槽(2)の内面に塗工液供給装置(4)における塗工液の供給口が設けられた態様などとすることができ、その場合、塗工液の供給口の位置は適宜調整するのが好ましい。また、塗工液の存在する空間(3)に存在する塗工成分の分布状態をより均一にして、主面に塗工成分が均一に塗工されたシート(7)を製造できるように、塗工ロール(1)の回転方向と直交する方向の全体にわたり、1つあるいは複数の、塗工液の供給口が設けられているのが好ましい。
塗工液供給装置(4)により前記空間へ供給される塗工液の量は、例えば、塗工液の組成、シート(7)の主面へ塗工する塗工液の量、塗工液の存在する空間(3)における塗工液の排出側の端部から排出される塗工液の量などによって、適宜調整する。
シート(7)は、例えば、不織布や織物や編物などの布帛、フィルムや発泡体などの素材から構成することができる。また、これらの素材は単体でシート(7)として使用できるが、複数の素材を積層するなど組み合わせてシート(7)として使用することもできる。また、シート(7)を構成する成分は適宜選択できるものであり、例えば、上述した有機ポリマーからなることができる。
シート(7)を構成する素材が布帛である場合、布帛を構成する繊維は、例えば、溶融紡糸法、乾式紡糸法、湿式紡糸法、直接紡糸法(メルトブロー法、スパンボンド法、静電紡糸法など)、複合繊維から一種類以上の樹脂成分を除去することで繊維径が細い繊維を抽出する方法、繊維を叩解して分割された繊維を得る方法など公知の方法により得ることができる。
布帛を構成する繊維は、一種類あるいは複数種類の繊維から構成されてなるものでも構わない。また、一般的に複合繊維と称される、例えば、芯鞘型、海島型、サイドバイサイド型、オレンジ型などの複合繊維を使用することができる。
前記布帛が織物や編物である場合、上述のようにして調製した繊維を、織るあるいは編むことで調製した素材を用いて多孔シートを構成することができる。
布帛が不織布である場合、不織布を調製可能な繊維ウェブの調製方法として、例えば、乾式法、湿式法などを用いることができる。
繊維ウエブを構成する繊維同士を絡合および/または一体化して不織布にする方法として、例えば、ニードルや水流によって絡合する方法、繊維同士をバインダで一体化する方法、あるいは、繊維ウエブが熱可塑性樹脂を備える繊維を含んでいる場合には、繊維ウエブを加熱処理することで前記熱可塑性樹脂を溶融して、繊維同士を一体化する方法を挙げることができる。なお、繊維ウエブを加熱処理する方法として、例えば、カレンダーロールにより加熱加圧する方法、熱風乾燥機により加熱する方法、無圧下で赤外線を照射して熱可塑性樹脂繊維を溶融させる方法などを用いることができる。
また、直接紡糸法を用いて紡糸された繊維を捕集することで、不織布を調製してもよい。
シート(7)を構成する素材が、非通気性フィルムまたは通気性フィルムあるいは非通気性発泡体または通気性発泡体である場合、例えば、溶融状態の樹脂を型に流し込み成型、発泡処理するなど、公知の方法で調製した素材を用いてシート(7)を構成することができる。
例えば、布帛などの多孔体の素材からなるシート(7)の主面に、粒子形状の塗工成分が分散してなる塗工液を塗工する場合、主面に粒子形状の塗工成分が均一に塗工されたシート(7)を調製できるように、シート(7)が備える孔の平均直径は前記粒子の平均粒子径よりも大きいのが好ましい。
孔の平均直径の上限値は特に限定するものではないが、孔の平均直径が大きすぎると、主面に塗工成分が均一に塗工されたシート(7)を調製することが困難となるおそれがあることから、孔の平均直径は50μm以下であるのが好ましく、30μm以下であるのがより好ましく、20μm以下であるのが最も好ましい。
なお、シート(7)における孔の平均直径とは、シート(7)をPMI社製Perm−Porometer装置に供しバブルポイント法(ASTMF316−86,JIS K3832)に基づき測定して得られる値をいう。つまり、測定を5回行い、その測定して得られた個々の細孔径分布を細孔径分布幅が狭い順番に並べ、3番目に粒子径分布幅が狭い値を示したプロットデータにおける累積値50%点の孔径分布の累積値D50を、シート(7)における孔の平均直径とする。
シート(7)の目付、厚さなどの諸特性は、特に限定されるべきものではなく、適宜調整するのが好ましいが、シート(7)の目付は、1〜200g/mであるのが好ましく、5〜100g/mであるのがより好ましく、10〜50g/mであるのが最も好ましい。シート(7)を構成する素材の厚さは、1μm〜5mmであるのが好ましく、10μm〜1mmであるのがより好ましく、20μm〜100μmであるのが最も好ましい。
なお、本発明では、目付とは主面における1mあたりの質量をいい、本発明において主面とは、面積が広い部分の面をいう。また、本発明でいう「厚さ」は、高精度デジタル測定機(登録商標:ライトマチック(VL−50A) (株)ミツトヨ)により計測した、主面間方向に100gの荷重をかけた際の、5点で測定された各主面間の距離の算術平均値をいう。
搬送手段(6)は、塗工液が供給された塗工ロール(1)の表面へシート(7)の主面が接触することができるように、シート(7)を搬送する働きを担う部材である。
搬送手段(6)の種類は限定されるものではなく、例えば、対をなす回転するニップロールやベルトコンベアなどを用いることができる。また、主面に塗工成分が塗工されたシート(7)の巻取装置(図示せず)を搬送手段として用いることもできる。
また、図1の塗工装置(100)では、シート(7)の主面と塗工ロール(1)と接触する位置に対し、シート(7)の搬送方向における上流側と下流側の双方に搬送手段(6)が存在している態様を図示しているが、搬送手段(6)が設置される位置とその数は主面に塗工成分が均一に塗工されたシート(7)を調製できるように、適宜調整する。
なお、搬送中のシート(7)にシワやたるみが発生しないように、搬送手段(6)がシート(7)へ作用させる張力は適宜調整し、主面に塗工成分が均一に塗工されたシート(7)を調製できるように、搬送手段(6)がシート(7)を搬送する速度は適宜調整する。
本発明の塗工装置(100)では、例えば、塗工液を主面に塗工したシート(7)から塗工液中の溶媒を除去する目的や、シート(7)を構成する繊維同士を一体化する目的、あるいは、シート(7)を構成する繊維に塗工成分を一体化する目的などのために、塗工液を主面に塗工したシート(7)を後加工へ供してもよい。後加工として、例えば、近赤外線ヒータ、遠赤外線ヒータ、ハロゲンヒータなどの加熱装置へ供する方法や、例えば、送風などにより溶媒を除去する方法、あるいは、加熱と送風を組み合わせた方法などを採用することができる。
あるいは、塗工液を主面に塗工したシート(7)から塗工液中の溶媒を除去する目的のために、後加工として、塗工液を主面に塗工したシート(7)を、例えば、室温(25℃)に放置する方法、減圧条件下に曝す方法、溶媒が揮発可能な温度以上の雰囲気下に曝す方法などの方法を採用することができる。
図1では、塗工液が供給された塗工ロール(1)の表面を、そのままシート(7)の主面と接触させる塗工装置(100)を図示しているが、シート(7)の主面に塗工する塗工液の量を調整する、及び/又は、塗工液を均一に塗工させるために、塗工液が供給された塗工ロール(1)の表面に、例えば、ドクターブレードなどの手段を作用させてもよい。このとき、前記手段と塗工ロール(1)のクリアランスなどの態様は、適宜、調整するのが好ましい。
また、通気性を備えるシート(7)の主面へ塗工液を塗工する場合、本発明の塗工装置(100)は、主面に塗工液が塗工されたシート(7)におけるもう一方の主面に接触できる、シート(7)の搬送方向と反対方向へシート(7)を搬送し得るように回転するロール(図示せず)を備えているのが好ましい。このような構成を備える塗工装置(100)であることによって、更に、主面に塗工液が均一に塗工されたシート(7)を調製し易い傾向がある。
この効果が発揮される理由は完全に明らかとなっていないが、通気性を備えるシート(7)におけるもう一方の主面と前記ロールの接触部分において、通気性を備えるシート(7)の主面からもう一方の主面に向かう方向に陰圧が生じ易くなり、通気性を備えるシート(1)の主面に塗工された塗工液がもう一方の主面方向に向かい移動して、塗工液が通気性を備えるシート(7)の主面上で分散するため、主面に塗工液が均一に塗工されたシート(7)を調製できると考えられる。
なお、前記ロールの回転速度および抱き角度は、主面に塗工成分が均一に塗工されたシート(7)を調製できるように、適宜調整する。また、前記ロールの素材、回転方向と直交する方向における長さ、および、表面の態様は塗工ロール(7)と同様に、適宜調整することができる。
本発明の塗工装置(100)は、塗工液中に沈降しやすい、及び/又は、凝集しやすい塗工成分が存在している場合であっても、沈殿物や凝集物が形成されるのを防ぐことができ、主面に塗工成分が均一に塗工されたシート(7)を簡便に調製できる。
そのため、本発明の塗工装置(100)によって、例えば電気化学素子用セパレータなど様々な産業用資材として使用できる、主面に塗工成分が塗工されたシートを提供することができる。
本発明の塗工装置(100)を用いて調製された電気化学素子用セパレータを備える電気化学素子は、電極や電界液については従来と同様の材料から構成することができる。具体的には、リチウムイオン二次電池の場合、正極として、例えば、リチウムやナトリウム含有遷移金属化合物や硫黄系化合物のスラリーを集電材に塗工させたもの等を使用することができ、負極として、例えば、リチウム金属やリチウムと合金になる材料(例えば、スズ系合金、シリコン系合金などの材料)、及びリチウムを吸蔵、放出可能なポリアセン、炭素材料(例えば、カーボン、天然黒鉛や人造黒鉛など)、バナジウム系化合物、チタン酸リチウム系化合物を集電材に塗工させたもの等を使用することができ、電解質として、例えば、非水系電解液(例えば、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートの混合溶媒にLiPFを溶解させた電解液)等を使用することができる。また、調製可能なリチウムイオン二次電池のセル構造も特に限定するものではなく、例えば、円筒型、角型、コイン型などであることができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
(実施例1)
1.シートの調製方法
芯成分がポリプロピレン(融点:170℃)、鞘部がポリエチレン(融点:135℃)の芯鞘型複合繊維(繊度:0.8dtex、繊維長:10mm)70重量部と、ポリプロピレン極細繊維(融点:160℃、繊維径:2μm、繊維長:2mm)30重量部とを混合し、湿式抄造法により繊維ウェブを調製した。
その後、前記繊維ウェブを温度140℃の熱風で10秒間処理した後、80℃のロールカレンダーに供することで、長尺状の不織布(孔の平均直径(D50):12μm、厚さ:25μm、目付:10g/m、幅方向(短辺方向)の長さ:50cm、以降、不織布、と称する)を調製した。
2.塗工液の調製方法
塗工成分としてアルミナ粒子(昭和電工(株)、AL−45−A、平均粒子径(D50):800nm)と、バインダとして水溶性のポリビニルアルコール樹脂((株)クラレ製、PVA−105)を水に投入し、ディスパータイプの攪拌翼を用いて1200rpmの回転ミキサーで攪拌することで、アルミナ粒子が分散したポリビニルアルコール樹脂水溶液(固体分の濃度:50質量%、アルミナ粒子質量:ポリビニルアルコール樹脂質量=95質量%:5質量%)を調製した。
その後、調製した水溶液を開孔径が20μmのふるいにかけて、塗工液(粘度:0.05Pas)を調製した。
3.塗工装置の準備
図1に図示した構成の塗工装置を用意した。なお、塗工装置における各部材の構成は以下の通りであった。
(塗工ロールの構成)
表面にダイアモンドライクカーボン層(水滴接触角:75°)を備えるグラビアロール(直径:60mm、グラビアロールの回転方向と直交する方向における長さ:60cm)を用意した。なお、グラビアロールはその表面全体にわたり、不織布の搬送方向に対して斜線をなす溝を備えていた。
(塗工液槽の構成)
図3に図示した構成の内面形状が円弧形状をした塗工液槽(グラビアロールの回転方向と直交する方向における長さ:68cm)を用意した。なお、グラビアロールの回転方向と直交する方向における、塗工液槽の両端部には側板が設けられていた。そして、塗工液槽の重力方向側の端部は、10mm側板から突き出した態様であった。

そして、塗工液槽の側板をX−Y稼動ステージの稼動部分に固定することで、塗工液槽(2)の配置を容易に調整できるようにし、グラビアロールと塗工液槽の配置を調整した。
このとき、グラビアロールの回転軸の中心から重力方向に垂下した直線よりも、不織布の搬送方向における下流側に、塗工液槽が5mm突出していた。

次いで、グラビアロールの表面と塗工液槽の内面との間に形成された空間における塗工液の供給側の端部から、チューブポンプ装置を用いて前記空間へ塗工液を供給することで、前記空間内に塗工液の存在する空間を形成した。
なお、この時、塗工液の存在する空間における最短距離の長さ(A)は10mm、最短距離の長さ(B)は2mmであった。また、塗工液の存在する空間が形成された後は、チューブポンプ装置から供給される塗工液の量を毎分50mlに調整した。このとき、塗工液の存在する空間における塗工液の排出側の端部から排出される塗工液の量は、毎分50mlであった。
4.塗工液の塗工方法
対をなす回転するニップロールを不織布の搬送方向における上流側と下流側の各々に設けると共に、ニップロール間に上述のようにして調製した不織布を通布して、不織布の幅方向が搬送方向と直交するように合わせ、不織布を下流側に向け一定速度で搬送した。
そして、不織布を搬送方向と反対の方向へ搬送し得る方向に、グラビアロールを一定速度で回転させた。このとき、塗工液はグラビアロールの表面における、グラビアロールの回転方向と直交する方向全体にわたり供給されているものであった。
そして、塗工液が供給されたグラビアロールの表面と搬送されてきた不織布の主面が接触できるように調整して、不織布の主面全体に対して塗工液を毎分30ml塗工した。
5.乾燥方法
上述のようにして調製した、主面に塗工液が塗工された不織布を、遠赤外線ヒータを備えた乾燥機に供することで、不織布に塗工された塗工液から溶媒を除去して、主面に塗工成分が塗工された不織布(厚さ:32μm、幅方向の長さ:50cm)を調製した。
(比較例1)
実施例1の(3.塗工装置の準備)における(塗工液槽の構成)の項目を、以下に説明するように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、主面に塗工成分が塗工された不織布(厚さ:32μm、幅方向の長さ:50cm)を調製した。

(塗工液槽の構成)
内部形状が直方体である浴槽型の塗工液槽(内部形状の幅:650mm、内部形状の奥行き:180mm、内部形状の高さ:25mm)を用意した。次いで、チューブポンプ装置を用いて塗工液槽の内部空間へ塗工液を供給することで、浴槽型の塗工液槽内部に塗工液を満たした。なお、塗工液を満たした後は、チューブポンプ装置から供給される塗工液の量を毎分50mlに調整した。このとき、塗工液槽からあふれ出て排出される塗工液の量は、毎分50mlであった。
そして、実施例1で使用したグラビアロールの重力方向側の一部を、前記塗工液内に浸けた。
実施例1および比較例1で調製した主面に塗工成分が塗工された不織布を、次に説明する測定に供した。
(不織布に塗工されている塗工成分の量の測定方法)
実施例1および比較例1で連続的に生産している主面に塗工成分が塗工された不織布を、各々、X線厚み測定器に供した。そして、前記不織布の幅方向における一方の端部に接する測定領域(搬送方向の長さ:6mm、幅方向の長さ:6mm)から目付を算出し、前記不織布の幅方向におけるもう一方の端部に到達するまで、1mmずつ測定領域を幅方向へ移動させながら、同様に目付を算出していった。なお、測定領域が前記もう一方の端部に到達した場合には、前記一方の端部へ向かい、測定領域が前記一方の端部に到達するまで移動させ、後は同様に測定領域の移動を繰り返しながら目付けの算出を行っていった。
そして、算出された各目付の平均値を求めることで、主面に塗工成分が塗工された不織布の平均目付を求めた。なお、平均目付の算出は、主面に塗工成分が塗工された不織布が生産方向(不織布の搬送方向)へ1m生産される毎に行った。
測定結果をまとめ、実施例1に係る結果をグラフ化し図4に記載した。そして、比較例1に係る結果をグラフ化し図5に記載した。各グラフでは、X軸が主面に塗工成分が塗工された不織布の生産方向(不織布の搬送方向)の長さ(単位:m)、Y軸が上述のようにして算出された目付けの平均値(単位:g/m)を表している。
なお、目付の平均値の変化が小さいほど、不織布の主面に塗工された塗工成分の質量が均一であったことを表している。
測定の結果、実施例1で調製した主面に塗工成分が塗工された不織布は、目付けの平均値の変化が2g/m未満であった。一方、比較例1で調製した主面に塗工成分が塗工された不織布は、目付けの平均値の変化が2g/m以上であり、更に、生産時間が経過するのに従って、主面に塗工成分が塗工された不織布の目付が減少していく傾向にあった。
また、主面に塗工成分が塗工された不織布を調製した直後、実施例1における塗工液の存在する空間内の塗工液を目視で確認したところ、塗工液中には塗工成分の凝集物は存在していなかった。一方、主面に塗工成分が塗工された不織布を調製した直後、比較例1における浴槽型の塗工液槽内の塗工液を目視で確認したところ、塗工液中には塗工成分の凝集物が存在していた。
以上の結果から、本発明の塗工装置は、塗工液中に沈降しやすい、及び/又は、凝集しやすい塗工成分が存在している場合であっても、沈殿物や凝集物が形成されるのを防ぐことができ、主面に塗工成分が均一に塗工されたシートを簡便に製造できることが判明した。
本発明の塗工装置によって、塗工液中に沈降しやすい、及び/又は、凝集しやすい塗工成分が存在している場合であっても、沈殿物や凝集物が形成されるのを防ぐことができ、主面に塗工成分が均一に塗工されたシートを簡便に調製できる。そのため、本発明の塗工装置によって、様々な産業用資材に利用可能な主面に塗工成分が塗工されたシートを提供することができる。
特に、本発明の塗工装置によって調製された、塗工成分が均一に塗工されたシートを電気化学素子用セパレータとして使用することで、ショートや熱暴走が発生するのを防ぐことができると共に放電特性に優れる電気化学素子を調製することができる。そのため、本発明の塗工装置によって、ショートや熱暴走が発生するのを防ぐことができると共に放電特性に優れる電気化学素子を調製可能な、例えば、リチウムイオン一次電池用、リチウムイオン二次電池用などの、各種の電気化学素子用セパレータを提供することができる。
100・・・塗工装置
1・・・塗工ロール
2・・・塗工液槽
3・・・塗工液の存在する空間
4・・・塗工液供給装置
6・・・搬送手段
7・・・シート
11・・・側板
12・・・回転軸

Claims (1)

  1. 塗工ロールと、内面形状が円弧形状をした塗工液槽を備える、水平方向に搬送されてきたシートの主面に塗工液を塗工する塗工装置であって、
    前記塗工ロールは前記シートよりも重力方向側に位置し、
    前記塗工液槽は、塗工ロールの回転軸の中心から重力方向に垂下した直線よりも、シートの搬送方向における下流側に、3〜10mm突出しており、
    前記塗工ロールと前記塗工液槽が成す塗工液の存在する空間において、
    前記塗工液の供給側の端部から、塗工液の存在する空間における、塗工液の供給側の端部よりも重力方向側に存在する排出側の端部に向かい、前記塗工液槽と前記塗工ロールの最短距離の長さが連続的に減少しており、前記塗工液の供給側の端部における前記塗工液槽と前記塗工ロールの最短距離の長さが、前記塗工液の排出側の端部における前記塗工液槽と前記塗工ロールの最短距離の長さよりも長く、
    前記供給側の端部は前記排出側の端部よりも、シートの搬送方向における上流側に位置し、かつ前記排出側の端部は前記供給側の端部よりも、塗工ロールの回転方向の下流側に位置する、塗工装置。
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