JP7417940B2 - イオン透過膜 - Google Patents

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Description

本発明はイオン透過膜に関する。
レアメタルは、携帯電話・スマートフォン、家電品、および自動車部品など数多くのハイテク機器において必要不可欠であるものの、安定的な資源確保が難しいことから、レアメタル回収技術に注目が集まりつつある。また、今まで産業廃棄していた廃液に処理工程を加えることで、廃棄することなく再利用する技術も重要視されている。レアメタル回収技術および廃液の再利用技術には、イオン交換樹脂または吸着剤を用いることが主流であるが、近年、循環型社会構築のために環境に配慮した回収・再利用プロセスとして様々な機能膜を用いる分離技術活用が有効的と考えられつつある。
近年、リチウムイオン電池の原材料として、リチウム(Li)の産業上における重要性が高まっている。特に電気自動車(EV)用途でLiイオン電池が採用されるようになり、その原材料として大量のLiが必要とされつつある。Liは鉱石、または水分蒸発量の多い乾燥した地域の塩湖などから採取することも可能であるが、海水中に非常に多く含まれていることも知られており、地球上の全海水中に含まれるLiの総量は、地上埋蔵量よりはるかに多いことが知られている。また、他のレアメタルと同様に、安定的な資源確保の目的で、産業廃棄していたLiイオン電池からLiを回収する検討も進められつつある。
しかしながら、Liは、海水1リットル当たり約0.2mgしか含まれていない。また、産業廃棄していたLiイオン電池には、Li以外にニッケル(Ni)またはコバルト(Co)などの化合物も多く含まれている。そのため、Liは、海水およびLiイオン電池から効率よく回収することが難しい金属材料といえる。
こうした背景の下、特許文献1では、Liを選択的に透過させる選択透過膜を用いて、Liイオンを含む原液から効率的にLiのみ回収することを試みている。特許文献1では、Liイオンを選択的に透過させる選択透過膜が、Liを含む無機化合物の焼結体であり、焼結体の大きさとして5cm角程度のものを面内方向で接合して一体化し、実質的に大面積とした選択透過膜が開示されている。
WO2015/020121
しかしながら、このようなイオン透過膜では、イオンを選択的かつ高効率に透過させる十分なイオン透過機能を発揮できない場合があることがわかった。
本発明は、上記問題を解決するものであって、イオンを選択的かつ高効率に透過させる十分なイオン透過機能を発揮できるイオン透過膜を提供することを目的とする。
本発明の態様1は、イオン伝導体粒子と繊維基材とを含み、且つ前記イオン伝導体粒子の一部と前記繊維基材の一部とが凝集体を形成しているイオン透過膜であって、
前記凝集体を形成していない前記イオン伝導体粒子は、前記繊維基材内部に埋め込まれた部分と、前記繊維基材表面に露出した部分とを有し、
前記イオン透過膜の厚み方向において、前記露出した部分および/または前記凝集体によって、上面から下面まで連続した接続部を有するイオン透過膜である。
本発明の態様2は、前記イオン伝導体粒子がリチウム(Li)を含む無機化合物である態様1に記載のイオン透過膜である。
本発明の態様3は、前記繊維基材が疎水性である態様1または2に記載のイオン透過膜である。
本発明の態様4は、前記凝集体が親水性である態様1~3のいずれか1つに記載のイオン透過膜である。
本発明の態様5は、前記繊維基材が、フッ化ビニリデンのホモポリマーおよびコポリマー、テトラフルオロエチレンのホモポリマーおよびコポリマー、ならびにクロロトリフルオロエチレンのホモポリマーおよびコポリマーからなる群より選択されるいずれか1つを含む、態様1~4のいずれか1つに記載のイオン透過膜である。
本発明の態様6は、下記式(1)および(2)を満たす態様1~5のいずれか1つに記載のイオン透過膜である。
B×0.2<A<B ・・・(1)
A×50<C<A×1000 ・・・(2)

Aは前記繊維基材の平均繊維径(nm)であり、Bは、前記イオン伝導体粒子の平均粒子径(nm)であり、Cは、前記凝集体の平均径(nm)である。
本発明の実施形態に係るイオン透過膜は、イオンを選択的かつ高効率に透過させる十分なイオン透過機能を発揮することができる。
図1Aは、本発明の実施形態に係るイオン透過膜の模式図である。 図1Bは、図1Aのうち、破線で囲ったA部分の拡大図である。 図1Cは、図1Bに示すIC-IC線断面図である。 図1Dは、図1Aのうち、破線で囲ったB部分の拡大図である。 図2Aは、本発明の実施形態に係るイオン透過膜の表面の走査型電子顕微鏡写真である。 図2Bは図2Aの破線で囲まれた部分を拡大したものである。 図3Aは、本発明の実施形態に係るイオン透過膜において、繊維基材の平均繊維径がイオン伝導体粒子の平均粒子径の0.8倍である場合の、繊維1本を拡大した模式図である。 図3Bは、図3Aに示すIIIB-IIIB線断面図である。 図3Cは、本発明の実施形態に係るイオン透過膜において、繊維基材の平均繊維径がイオン伝導体粒子の平均粒子径よりも大きい場合の、繊維1本を拡大した模式図である。 図3Dは、図3Cに示すIIID-IIID線断面図である。 図3Eは、本発明の実施形態に係るイオン透過膜において、繊維基材の平均繊維径がイオン伝導体粒子の平均粒子径の0.2倍以下である場合の、繊維基材の繊維1本を拡大した模式図である。 図3Fは、図3Eに示すIIIF-IIIF線断面図である。 図4Aは、A×50<C<A×1000を満たすイオン透過膜の水接触角を測定した側面画像である。 図4Bは、A×50≧Cであるイオン透過膜の水接触角を測定した側面画像である。 図4Cは、C≧A×1000であるイオン透過膜の水接触角を測定した側面画像である。 図5Aは、イオン透過機能の評価方法を示す模式図である。 図5Bは、イオン透過機能の評価方法を示す模式図である。 図6Aは、従来のイオン透過膜の模式図である。 図6Bは、図6Aのうち、破線で囲ったA部分の拡大図である。 図7は、実施例の結果をまとめた表である。
以下本発明の実施形態に係るイオン透過膜について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明においては、同じ構成部分には同じ符号を付して、適宜説明を省略している。また、本明細書において、「平均繊維径」、「平均粒子径」および「平均径」は、それぞれメジアン径を意味する。
図1Aは、本発明の実施形態に係るイオン透過膜の模式図を示しており、図1Bは、図1Aのうち、破線で囲ったA部分の拡大図を示しており、図1Cは、図1Bに示すIC-IC線断面図を示しており、図1Dは、図1Aのうち、破線で囲ったB部分の拡大図を示している。
本発明の実施形態に係るイオン透過膜1は、図1Bに示すように、イオン伝導体粒子2と繊維基材3(ドットパターンで示される)とを含む。これにより、イオン伝導体粒子2のみで構成されたイオン透過膜よりも空隙率を高めることができ、イオン透過膜1表面に凹凸を効果的に形成できる。その結果、イオン透過膜で処理する対象との接触面積を大きくすることができ、選択的なイオンの透過を促進することができる。
さらに、図1Bに示すように、イオン伝導体粒子2および繊維基材3の一部が凝集体2cを形成している。ここで、本明細書における凝集体2cとは、繊維基材3の平均繊維径の25倍よりも大きいサイズ(円相当直径)のものをいう。凝集体2cは、凝集していないイオン伝導体粒子2および繊維基材3よりも親水性が強く、水を保持しやすいため、イオン伝導の起点となりやすい。したがって、イオン伝導体粒子2および繊維基材3に加え、凝集体2cを含むことにより、選択的なイオンの透過をより促進することが可能となる。
図1Cに示すように、凝集体2cを形成していないイオン伝導体粒子2は、繊維基材3の内部に埋め込まれた部分(以下、「埋込部」と称することがある)2a(図1Cの破線で囲った部分)と、表面に露出した部分(以下、「露出部」と称することがある)2bとを有する。凝集体2c以外の部分において、露出部2bによりイオン透過膜1のイオン透過機能を付与しつつ、埋込部2aによりイオン伝導体粒子2を繊維基材3に固定することができる。
本発明の実施形態に係るイオン透過膜1は、図1Dに示すように、イオン透過膜1の厚み方向Zにおいて、イオン透過膜1の上面1aから下面1bまで、複数のイオン伝導体粒子2の露出部2bおよび凝集体2cが互いに接触しながら連続した接続部2dを有する。この接続部2dによりイオン伝導パス(破線の矢印)が形成されて、イオン透過膜1がイオン透過機能を有するようになる。なお、図1Dでは、複数のイオン伝導体粒子2の露出部2bおよび凝集体2cが互いに接触しながら連続した接続部2dを有する例を示したが、露出部2bのみによって、または凝集体2cのみによって互いに接触しながら連続した接続部2dを有していてもよい。好ましくは、接続部2dに凝集体2cが含まれることであり、より好ましくは、凝集体2cのみにより接続部2dが形成されることである。これにより、選択的なイオンの透過をより促進することができる。
さらに図1Dで示すように、凝集体2cにより表面(図1Dでは上面1a)に比較的大きな凹凸を形成できる。その結果、イオン透過膜1で処理する対象との接触面積を向上させることができ、その結果、選択的なイオンの透過を促進することができる。
図2Aは、本発明の実施形態に係るイオン透過膜の表面の走査型電子顕微鏡写真である。図2Aの破線で囲まれた部分に示すように、イオン透過膜1には凝集体2cが形成されている。破線で囲まれた部分以外にも凝集体2cが複数確認される。
図2Bは図2Aの破線で囲まれた部分を拡大したものである。図2Bの四角破線で囲まれた部分に示すように、イオン伝導体粒子2が繊維基材3の内部に少なくとも部分的に埋め込まれてしっかりと固定されている。また、楕円破線で囲まれた部分には、複数のイオン伝導体粒子2および繊維基材3が略球状に凝集した、凝集体2cが観察される。
比較のために、図6Aおよび6Bに、従来のイオン透過膜の模式図を示す。図6Aに示すように、上述された従来のイオン透過膜101に関しては、焼結体104を接着部105で接合した構造であり、図6Bに示すようにイオン伝導体粒子102が、非常に密な構造となっており、表面含め空隙が非常に少なくなっている。そのため、イオン透過膜で処理する対象との接触面積が小さくなり、十分なイオン透過機能が得られない。また硬度は高い反面、非常にもろいために割れやすく、接着部105においても接合が離れやすくなっている。
イオン伝導体粒子2としては、例えば、リチウムイオン伝導体である窒化リチウム(LiN)、Li10GeP12、(La,Li)TiO、(ここで、x=2/3-a、y=3a―2b、z=3-b、0<a≦1/6、0≦b≦0.06、y>0)、Li置換型NASICON(Na Super Ionic Conductor)型結晶であるLi1+x+yAl(Ti,Ge)2-xSi3-y12(ここで、0≦x≦0.6、0≦y≦0.6)などLiを含む無機化合物が好適に使用され得る。これらの材料は、いずれも10-4~10-3Scm-1以上の高いLiイオン伝導率を示す。なお、イオン伝導体粒子2は、イオン伝導性を有していれば上記の材料に限定されるものではない。なお、イオン伝導率が10-7Scm-1以上の場合、イオン伝導性を有すると判断する。
イオン伝導体粒子2の平均粒子径は、50nm以上500μm以下とすることが、イオン伝導体粒子2が埋込部2aと露出部2bとを有する構成を実現する上で好ましい。
イオン伝導体粒子2の、イオン伝導体粒子2および繊維基材3の合計体積に対する割合は、30体積%以上にしておくことが好ましい。この範囲にしておくことで、イオン透過膜において、イオン伝導体粒子2が互いに接触しやすくなり、接続部2dが形成されやすくなる。より好ましくは35体積%以上であり、さらに好ましくは40体積%以上である。
また、上記割合は、95体積%以下にしておくことが好ましい。これにより、繊維基材3が一定以上の体積を占めることとなり、十分な破断伸び率を確保できるとともに、イオン伝導体粒子の埋込部2aを確保しやすくなり、イオン伝導体粒子2の脱落を抑制できる。より好ましくは90体積%以下であり、さらに好ましくは85体積%以下である。
繊維基材3は、疎水性および柔軟性を有してもよい。例えば、フッ化ビニリデンのホモポリマーおよびコポリマー、テトラフルオロエチレンのホモポリマーおよびコポリマー、ならびにクロロトリフルオロエチレンのホモポリマーおよびコポリマーからなる群より選択されるいずれか1つを含むことが好ましい。疎水性を有することで、イオン透過膜による処理の対象、例えば海水などが、そのままイオン透過膜を透過してしまう現象(以下、「クロスオーバー現象」ともいう)を効果的に抑制することができる。柔軟性を有することで、イオン透過膜に高い耐久性を付与することができる。例えば、ASTM D-570の試験方法により測定される吸水率が0.1%以下の場合、材料が疎水性を有すると判断し、JIS K7161の試験方法により測定される破断伸び率が1%以上の場合、材料が柔軟性を有すると判断する。
複数の繊維基材3は、繊維基材3同士互いに接触していることが好ましく、この接触部分において、繊維基材3同士が融着していることがより好ましい。これにより、イオン透過膜1の機械的強度、特に破断伸び率が向上する。
凝集体2cの大部分はイオン伝導体粒子2で構成されていてもよく、凝集体2cは少なくとも80体積%のイオン伝導体粒子2を含み得る。
凝集体2cは親水性を有していてもよい。例えば、水接触角が80°未満の場合、凝集体2cが親水性であると判断する。なお、凝集体2cの水接触角を測定する方法としては、イオン透過膜1から凝集体2cのみを取り出して、隙間なく平面に配置して、凝集体2cからなる平面体上の水接触角を測定することで、測定可能である。また、繊維基材およびイオン伝導体粒子を含むイオン透過膜において、繊維基材が疎水性で且つ凝集体が形成されていない場合は、当該イオン透過膜の水接触角は100°以上となる傾向がある。そこで、繊維基材3が疎水性である場合、凝集体2cが形成されているイオン透過膜1の水接触角が100°未満であることを確認することにより、間接的に凝集体2cが親水性であることを確認することもできる。
凝集体2cが親水性であり、且つ繊維基材3が疎水性である場合、図1Dに示すように、上面1aに親水部分/疎水部分の分布を形成することができ、例えばイオンを含む大量の液を通した際に乱流が形成されて、イオン透過膜1と液との接触回数を増加させることができ、その結果選択的なイオンの透過を促進することができるため好ましい。
図3Aは、本発明の実施形態に係るイオン透過膜において、繊維基材の平均繊維径がイオン伝導体粒子の平均粒子径の0.8倍である場合の、(凝集していない部分の)繊維1本を拡大した模式図であり、図3Bは、図3Aに示す繊維のIIIB-IIIB線断面図である。図3Bに示すように、イオン伝導体粒子2の埋込部2aが十分に確保できているため、イオン伝導体粒子2が繊維基材3にしっかりと固定でき、かつ、イオン伝導体粒子2の露出部2bも十分に大きく確保できている。そのことから、イオン伝導体粒子2が繊維基材3の表面にも十分露出した状態で担持できているため、イオン伝導体粒子2の脱落を抑制しつつ、イオン透過機能を十分に発揮することができる。なお、イオン伝導体粒子2のうち埋込部2aが体積比で5%以上であれば、埋込部2aが十分に確保できているといえる。また、イオン伝導体粒子2のうち露出部が体積比で50%以上であれば、露出部2bが十分に確保できているといえる。
図3Cは、本発明の実施形態に係るイオン透過膜において、繊維基材の平均繊維径がイオン伝導体粒子の平均粒子径よりも大きい場合の、(凝集していない部分の)繊維1本を拡大した模式図であり、図3Dは、図3Cに示す繊維のIIID-IIID線断面図である。図3Dに示すように、イオン伝導体粒子2の埋込部2aが十分に確保できているため、イオン伝導体粒子2が繊維基材3にしっかりと固定でき、その結果イオン伝導体粒子2の脱落を抑制できる。しかしながら、イオン伝導体粒子2の露出部2bがほとんどなく、つまりイオン伝導体粒子2が繊維基材3の表面にほとんど露出できていないため、イオン透過機能としては図3Aおよび図3Bの場合と比較して劣る。
図3Eは、図3Eは、本発明の実施形態に係るイオン透過膜において、繊維基材の平均繊維径がイオン伝導体粒子の平均粒子径の0.2倍以下である場合の、(凝集していない部分の)繊維1本を拡大した模式図であり、図3Fは、図3Eに示す繊維のIIIF-IIIF線断面図である。図3Fに示すように、イオン伝導体粒子2の埋込部2aが、ほとんど確保できていないため、図3A~図3Dの場合と比較してイオン伝導体粒子2が脱落しやすくなる。
以上より、本発明の実施形態に係る繊維基材3の平均繊維径をAナノメートル(nm)、イオン伝導体粒子2の平均粒子径をBナノメートル(nm)としたとき、B×0.2<A<Bを満たすことが好ましい。より好ましくは、B×0.2<A<B×0.75、さらに好ましくは、B×0.2<A<B×0.5を満たすことである。
繊維基材3の平均長さは、繊維基材3の平均繊維径の100倍以上であることが好ましい。これにより、イオン透過膜の機械的強度、特に破断伸び率が向上する。
本発明の実施形態に係るイオン透過膜において、水接触角を80°未満とすることが好ましい。このような範囲にすることで、疎水性を有し得、且つ少なくとも140°の水接触角を有し得る繊維基材3と、親水性を有し得る凝集体2cとの水接触角差を十分に確保した状態にすることができ、その結果、イオン凝集体2cが水を保持しやすくなり、且つ親水性/疎水性分布を効果的に形成することが可能となり、イオン透過膜1と液との接触回数をより増加させることができる。一方で、水接触角を60°超とすることで、クロスオーバー現象を効果的に抑制できる。
繊維基材3および凝集体2cの大きさを適切に制御することにより、水接触角を制御できる。水接触角を60°超80°未満とするためには、繊維基材3の平均繊維径をAナノメートル(nm)とし、凝集体2cの平均径をCナノメートル(nm)としたときに、A×50<C<A×1000を満たすことが好ましい。
図4Aは、A×50<C<A×1000を満たすイオン透過膜の水接触角を測定した側面画像である。図4Aに示すように、水接触角は70°と、60°超80°未満を満たすことが分かる。すなわち、A×50<C<A×1000を満たす場合、水接触角を60°超80°未満にすることができる。
図4Bは、A×50≧Cであるイオン透過膜の水接触角を測定した側面画像である。図4Bに示すように、水接触角は85°と、80°以上になっていることが分かる。
図4Cは、C≧A×1000であるイオン透過膜の水接触角を測定した側面画像である。図4Cに示すように、水接触角は55°と、60°以下になっていることが分かる。
また、イオン伝導体粒子2の総量に対して、凝集体2cが占める割合としては、5体積%以上、20体積%以下とすることが望ましい。5体積%以上にすることにより、凝集体2cが水を保持しやすくなり、且つ親水性/疎水性分布を効果的に形成することができ、イオン透過膜1と液との接触回数をより増加させることができる。一方で、20体積%以下にすることにより、クロスオーバー現象を効果的に抑制できる。
本発明の実施形態に係るイオン透過膜は、本発明の目的が達成される範囲内で、イオン伝導体粒子2および繊維基材3以外の他の部材を含んでいてもよい。
本発明の実施形態に係るイオン透過膜の膜厚は、薄い程、イオン透過機能が向上するが、一方で耐久性は低下するため、使用条件によって最適な範囲に設計され得る。
本発明の実施形態に係るイオン透過膜の空隙率は、10%以上30%以下が好ましい。10%以上とすることで、イオン透過膜の上面1aおよび下面1bに凹凸を効果的に形成でき、イオン透過膜で処理する対象との接触面積を向上させることができる。また30%以下とすることで、クロスオーバー現象を効果的に抑制することができ、さらに、接続部2dが形成されやすくなる。なお、空隙率は、イオン透過膜がイオン伝導体粒子および繊維基材からなる場合、以下の式(3)により算出できる。

空隙率(%) = 1-W/(V×(D×r+D×r))×100 ・・・(3)

ここで、Wは、イオン透過膜の重量(g)であり、Vはイオン透過膜の体積(cm)であり、Dはイオン伝導体粒子の密度(g/cm)であり、rはイオン伝導体粒子と繊維基材との合計体積に対するイオン伝導体粒子の体積比(%)であり、Dは繊維基材の密度(g/cm)であり、rはイオン伝導体粒子と繊維基材との合計体積に対する繊維基材の体積比(%)である。
本発明の実施形態に係るイオン透過膜は、単体でイオン透過に使用されてもよいし、電気透析装置などのイオン透過装置に組み込まれても良い。
イオン透過膜がイオン透過装置に組み込まれていると、大量の原液を高速に処理する場合に、高い圧力がかかっても破壊されにくく、かつ、イオン伝導体粒子2の脱落が大幅に抑制された、イオン透過装置およびイオン透過方法を実現することができる。
イオン透過方法については、所望のイオンを含む水などの溶媒、土壌、および、産業廃棄物などにイオン透過膜を接触させることができればよい。
イオン透過膜が接触させられる土壌および産業廃棄物などは、水などの溶媒で濡れていることが望ましい。イオン透過膜が水などの溶媒を介して接触させられると、イオン透過が効率的に行われる。そして、水などの溶媒、土壌、および産業廃棄物などに含まれる所望のイオンを脱離するために、超音波処理、またはマイクロ/ナノバブル発生装置によるバブリング処理などが必要に応じて併用されると、イオン透過がより効率的に行われる。
次に、本発明の実施形態に係るイオン透過膜の製造方法について説明する。
本発明の実施形態に係るイオン透過膜の製造方法は、原料を作製するステップと、作製した原料を紡糸するステップと、を含む。
原料を作製するステップにおいては、イオン伝導体粒子2と繊維基材3の材料である樹脂を混合する。この際、混錬機を用いて溶媒に分散することもできるが、熱可塑性樹脂の場合には、粉体混合機によるドライブレンドを行うこともできる。
紡糸するステップにおいては、作製した原料が液体の場合には、通常の電界紡糸法のような湿式紡糸法によって紡糸することができる。
電界紡糸法により紡糸する場合、原料液に含まれる繊維基材3の原料の重量固形分濃度により、繊維基材3の繊維径を調整することができる。すなわち、繊維基材3の原料の重量固形分率を増大させることにより繊維基材3の繊維径を太くすることができ、繊維基材3の原料の重量固形分率を減少させることにより、繊維基材3の繊維径を細くすることができる。
本発明の実施形態においては、イオン伝導体粒子2の埋込部2aおよび露出部2bを十分に確保するために、イオン伝導体粒子2の平均粒子径との関係において、繊維基材3の原料の重量固形分率により繊維基材3の繊維径を適宜調整すればよい。
また、作製した原料が粉体のドライブレンドの場合には、通常の溶融紡糸法、または、溶融紡糸法と電界紡糸法とを組み合わせた紡糸法によって紡糸することができる。
凝集体2cの形成方法としては、電界紡糸法により紡糸する場合には、紡糸が安定する印加電圧と原料液の時間当たり吐出量から印加電圧を下げる、または、原料液の時間当たり吐出量を増加する、または、その両方の処方により、不定期または周期的な繊維状ではない液滴を発生させることができる(以下、「スプラッシュ現象」と称することがある)。この液滴が膜に着弾し、溶媒が乾燥することによって、凝集体2cを有するイオン透過膜1を製造できる。それ以外の紡糸方法においても、スプラッシュ現象が発生する条件に調整することで同様の凝集体2cを有するイオン透過膜1を製造できる。また、スプラッシュ現象が発生しない条件で製造した膜に対し、後処理にて、一般的なディスペンサーまたはインクジェット装置を用いて液滴を膜に着弾し、溶媒を乾燥させることによって、不定期または周期的に凝集体2cを配置したイオン透過膜1を製造することもできる。
接続部2dの形成方法について、例えば、イオン伝導体粒子2および繊維基材3の合計体積に対するイオン伝導体粒子2の割合を30体積%以上として紡糸した膜を、通常の平板プレスまたはロールプレス装置によってプレスして、空隙率を30%以下にすることで、少なくとも露出部2bを含む接続部2dを形成することができる。さらに、イオン伝導体粒子2の総量に対して、凝集体2cが占める割合を5体積%以上とすることにより、露出部2bに加え、凝集体2cを含む接続部2dを形成することが可能となる。その他の接続部2dの方法としては、紡糸と、一般的なディスペンサーまたはインクジェット装置を用いた液滴塗布とを交互に行うことにより、イオン透過膜1の厚み方向において上面から下面まで、凝集体2cのみで接続部2dを形成させることもできる。
本発明の実施形態に係るイオン透過膜の製造方法は、さらにプレスするステップを含んでもよい。プレスするステップにおいては、紡糸した後に通常の平板プレスまたはロールプレス装置によってプレスすることができる。この際、イオン伝導体粒子2および繊維基材3の材料である樹脂が溶融、変質しない温度をかけて熱プレスすることもできる。このプレスするステップにより、空隙率を調整することができる。
また、このプレスするステップにより、複数のイオン伝導体粒子2の露出部2bおよび凝集体2cが、より確実に互いに接触するようになり、より多くの接続部2dが形成されることで、イオン透過膜のイオン透過機能がより向上する。また、複数の繊維基材3は、繊維基材3同士が、より確実に互いに接触するようになり、イオン透過膜の機械的強度が向上する。
以下、実施例を挙げて本発明の実施形態をより具体的に説明する。本発明の実施形態は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、前述および後述する趣旨に合致し得る範囲で、適宜変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の実施形態の技術的範囲に包含される。
(実施例1)
以下の製造方法によってイオン透過膜を製造した。
イオン伝導体粒子として、リチウムイオン伝導性ガラスセラミックス粉末(オハラ社製、LICGC粉末材)が、ポリフッ化ビニリデン樹脂(スリーエム社製、ダイニオンフッ素ポリマー)との合計に対して重量比で91%(体積比で85%)となるように秤量し、これらをジメチルアセトアミド(DMA)に重量固形分率が40%となるようにホモミキサーを用いてポリフッ化ビニリデンを溶解させつつイオン伝導体粒子を分散させた。このようにして作製した分散液を気温23℃、湿度50%の恒温恒湿下で、内径φ720μmの金属ニードルノズルに23kVの高電圧を印加し、送液圧力30kPa、紡糸距離30cmとして電界紡糸法によって紡糸した。この条件では、小粒径のスプラッシュ現象が発生し、イオン伝導体粒子の総量に対して凝集体が占める割合として約10体積%程度となるように調整している。そして、紡糸した後にロールプレス装置によってプレスを行うことで空隙率を調整し、50mm角サイズに切り出してイオン透過膜を作製した。
次に、様々な評価項目について具体的に説明する。
(イオン伝導体粒子の平均粒子径)
イオン伝導体粒子(リチウムイオン伝導性ガラスセラミックス粉末)を水に分散させたものに対して、平均粒子径を測定した。具体的には、粒度分布測定装置(マイクロトラック・ベル社製、MT―3300EXII)を用いて、JIS Z8825(2013)に準拠して、レーザー回折・散乱法による粒子径分布測定により得られた体積基準の積算分率における50%粒子径(D50)を測定した。その結果、実施例1のイオン伝導体粒子の平均粒子径は400nmであった。
(繊維基材の平均繊維径および平均長さ)
SEM(PHENOM-World社製 走査型電子顕微鏡 Phenom G2Pro)を用いて、作製したイオン透過膜の表面像を、繊維が数10本表示される程度の倍率で10枚取得した。1枚のSEM像から10本の繊維をランダムに選択し、10枚のSEM像から選択した合計100本の繊維について、イオン伝導体粒子が埋め込まれていない箇所の繊維径および繊維長さを測定した。計測した繊維径から繊維基材の平均繊維径(メジアン繊維径)を算出し、82nmであった。また、計測した繊維長さから繊維基材の平均長さを算出し、平均繊維径の100倍以上であった。
(凝集体の平均径)
SEM(PHENOM-World社製 走査型電子顕微鏡 Phenom G2Pro)を用いて、作製したイオン透過膜の表面像を、凝集体が複数個表示される程度の倍率で複数枚取得した。複数枚のSEM像から合計100個の凝集体について最大寸法を測定した。計測した結果から凝集体の平均径を算出し、4.3μmという結果を得た。
(イオン透過膜の膜厚、空隙率)
50mm角サイズに切り出したイオン透過膜の密度および内部構造が変化しないよう潰さずにデジタルマイクロメータで膜厚を測定し、重量および原材料の密度を求めた上で、上記式(3)から空隙率を算出した。測定の結果、膜厚182μmであり、リチウムイオン伝導性ガラスセラミック粉末およびポリフッ化ビニリデン樹脂の密度は、それぞれ3.05g/cm3および1.78g/cm3であり、イオン透過膜の重量は0.97gであった。よって、空隙率25.4%という結果を得た。
(イオン透過膜の水接触角)
接触角計CA-X(協和界面化学製)を用いてθ/2法にて水接触角を測定し、77°という結果を得た。
(イオン回収率、イオン移動速度、クロスオーバー率)
図5Aおよび図5Bは、本発明の実施形態に係るイオン透過膜の、イオン透過機能の評価方法を説明する模式図であり、図5Aはイオン透過前の模式図であり、図5Bはイオン透過後の模式図である。図5Aに示すような貯留槽4を、作製した50mm角のイオン透過膜1で原液側4aと回収側4bに間仕切りし、原液側4aには、イオン5を投入し、回収側4bには、純水のみを投入した。イオン5として、Liイオン、NiイオンおよびCoイオンをそれぞれ、純水に対して100ppmの濃度で投入した。原液側4aをマグネットスターラーで攪拌しながら、5時間後まで1時間毎に、誘導結合プラズマ発光分析装置(サーモフィッシャー・サイエンティフィック社製 iCAP7400)にて、図5Bに示すように回収側4bに移動したイオン5の移動量(mg)を測定した。5時間後の各イオン移動量(mg)を、初期の原液側各イオン量(mg)で除した比(百分率)を各イオン回収率(%)として算出した。イオン移動速度については、1時間毎に測定した各イオン移動量(mg)のうち最大の値を採用して、それを1時間で除した値(mg/hr)とした。クロスオーバー率は、全イオン(Li、NiおよびCo)回収率の和に対するNiイオン回収率およびCoイオン回収率の和の比(百分率)として計算した。Liイオン回収率は9.5%、Liイオン移動速度は2.7mg/hrとの結果を得た。一方、NiイオンおよびCoイオンについては、イオン回収率は0.0%であったため、クロスオーバー率は0.0%と算出された。
(実施例2)
電界紡糸法によって紡糸を行う際の送液圧力を40kPaにした以外の条件は実施例1と同様にイオン透過膜を作製した。この条件では、大粒径のスプラッシュ現象が発生し、イオン伝導体粒子の総量に対して凝集体が占める割合として約10体積%程度となるように調整した。評価についても実施例1と同様の評価を実施した。
(実施例3)
実施例3では、イオン伝導体粒子とポリフッ化ビニリデン樹脂の重量固形分率の和が60%となるようにした以外の条件は実施例1と同様にイオン透過膜を作製した。この条件では、実施例1と同様に小粒径のスプラッシュ現象が発生し、イオン伝導体粒子の総量に対して凝集体が占める割合として約10体積%程度となるように調整している。評価についても実施例1と同様の評価を実施した。一般的に電界紡糸法による紡糸においては、原料液に含まれる樹脂の重量固形分濃度が高いほど繊維径を太くでき、低いほど繊維径を細くできることが知られており、実施例3においては、この効果で繊維基材の平均繊維径を実施例1および2よりも太くできている。
(実施例4)
実施例4では、実施例3と同様にイオン伝導体粒子とポリフッ化ビニリデン樹脂の重量固形分率の和が60%となるようにした以外の条件は実施例2と同様にイオン透過膜を作製した。この条件では、実施例2と同様に大粒径のスプラッシュ現象が発生し、イオン伝導体粒子の総量に対して凝集体が占める割合として約10体積%程度となるように調整している。評価についても実施例1と同様の評価を実施した。実施例4においても、実施例3と同様の効果で、繊維基材の平均繊維径を実施例1および2よりも太くできている。
(実施例5)
実施例5では、電界紡糸法によって紡糸を行う際の送液圧力を20kPaにした以外の条件は実施例1と同様にイオン透過膜を作製した。この条件では、実施例1よりも小粒径のスプラッシュ現象が発生し、イオン伝導体粒子の総量に対して凝集体が占める割合として約10体積%程度となるように調整している。評価についても実施例1と同様の評価を実施した。
(実施例6)
実施例6では、電界紡糸法によって紡糸を行う際の送液圧力を50kPaにした以外の条件は実施例1と同様にイオン透過膜を作製した。この条件では、実施例2よりも大粒径のスプラッシュ現象が発生し、イオン伝導体粒子の総量に対して凝集体が占める割合として約10体積%程度となるように調整している。評価についても実施例1と同様の評価を実施した。
(実施例7)
実施例7では、電界紡糸法によって紡糸を行う際の送液圧力を20kPaにした以外の条件は実施例3と同様にイオン透過膜を作製した。この条件では、実施例3よりも小粒径のスプラッシュ現象が発生し、イオン伝導体粒子の総量に対して凝集体が占める割合として約10体積%程度となるように調整している。評価についても実施例1と同様の評価を実施した。
(実施例8)
実施例8では、電界紡糸法によって紡糸を行う際の送液圧力を50kPaにした以外の条件は実施例3と同様にイオン透過膜を作製した。この条件では、実施例3よりも大粒径のスプラッシュ現象が発生し、イオン伝導体粒子の総量に対して凝集体が占める割合として約10体積%程度となるように調整している。評価についても実施例1と同様の評価を実施した。
(比較例1)
比較例1では、イオン透過膜として、リチウムイオン伝導性ガラスセラミックス焼結体(オハラ社製、LICGC焼結体、50mm角サイズ)を用いた。評価についても実施例1と同様の評価を実施した。
各実施例1~8および比較例1における測定結果を図7の表に示す。なお、表に示していないが、実施例2~8の繊維基材の平均長さは、平均繊維径の100倍以上であった。イオン透過機能の判定としては、以下のようにした。
Liイオンのイオン回収率について、8.0%以上をAA、5.0%以上8.0%未満をA、1.0%以上5.0%未満をB、1.0%未満をCとした。
Liイオンのイオン移動速度について、2.0mg/hr以上をAA、1.5mg/hr以上2.0mg/hr未満をA、0.3mg/hr以上1.5mg/hr未満をB、0.3mg/hr未満をCとした。
クロスオーバー率について、0.0%以上0.2%未満をAA、0.2%以上0.4%未満をA、0.4%以上1.5%未満をB、1.5%以上をCとした。
B以上を良好な結果とし、そのうち、Aがより良好な結果であり、AAが最も良好な結果であるとした。Cは不良な結果であるとした。
総合判定については、3性能(すなわち、Liイオン回収率、Liイオン移動速度およびクロスオーバー率)のうち、最も悪い判定を記載した。
図7の表に示すように、実施例1~8は、総合判定がB以上であり、良好なイオン透過機能を示した。また、良好なイオン透過機能を示すことから、実施例1~8において接続部2dが形成されている(すなわちイオン伝導パスを有する)ことが判断できる。中でも実施例1~4は総合判定がA以上であり、より良好なイオン透過機能を示し、そのうち、実施例1は総合判定がAAであり、最も良好なイオン透過機能を示した。
一方、比較例1は総合判定がCであり、イオン透過機能が不良であった。比較例1では、空隙率が7.1%と低く、イオン透過膜表面の接液面積が小さいため、Liイオン回収率が0.3%、Liイオン移動速度が0.11mg/hrと低い結果であった。
以下、実施例1~8のイオン透過膜の性能の違いについて考察する。
実施例1~4は、B×0.2<A<B、かつ、A×50<C<A×1000という好ましい条件を満たしている。また、実施例1~4は、A×50<C<A×1000という好ましい条件を満たしたために、水接触角が60°超80°未満という好ましい条件と満たしている。そのため実施例1~4では、実施例5~8と比較してイオン透過機能が向上した。さらに、実施例1は、B×0.2<A<B×0.75、かつ、A×50<C<A×750というより好ましい条件を満たしたため、実施例2~4と比較してイオン透過機能がさらに向上した。
以上の評価から、本発明の実施形態によれば、イオン伝導体粒子と繊維基材とを含み、且つ前記イオン伝導体粒子の一部と前記繊維基材の一部とが凝集体を形成しているイオン透過膜であって、凝集体を形成していないイオン伝導体粒子は、繊維基材内部に埋め込まれた部分と、繊維基材表面に露出した部分とを有し、イオン透過膜の厚み方向において、露出した部分および/または凝集体によって、上面から下面まで連続した接続部を有することにより、イオンを選択的かつ高効率に透過させる十分なイオン透過機能を発揮できるイオン透過膜を提供できることが分かった。
本発明の実施形態に係るイオン透過膜は、従来の焼結体によるイオン透過膜よりも柔軟性が高く、高い比表面積を実現できるため、レアメタル、特にリチウムを廃液、廃材、および低濃度原液などから選択的にイオン透過させて効率的に回収することに利用することができる。
1 イオン透過膜
1a イオン透過膜の上面
1b イオン透過膜の下面
2 イオン伝導体粒子
2a イオン伝導体粒子の埋込部
2b イオン伝導体粒子の露出部
2c 凝集体
2d 接続部
3 繊維基材
4 貯留槽
4a 貯蓄層の原液側
4b 貯蓄層の回収側
5 イオン
101 従来のイオン透過膜
102 イオン伝導体粒子
104 焼結体
105 接着部

Claims (6)

  1. イオン伝導体粒子と繊維基材とを含み、且つ前記イオン伝導体粒子の一部と前記繊維基材の一部とが凝集体を形成しているイオン透過膜であって、
    前記凝集体を形成していない前記イオン伝導体粒子は、前記繊維基材内部に埋め込まれた部分と、前記繊維基材表面に露出した部分とを有し、
    前記イオン透過膜の厚み方向において、前記露出した部分および/または前記凝集体によって、上面から下面まで連続した接続部を有するイオン透過膜。
  2. 前記イオン伝導体粒子がリチウム(Li)を含む無機化合物である請求項1に記載のイオン透過膜。
  3. 前記繊維基材が疎水性である請求項1または2に記載のイオン透過膜。
  4. 前記凝集体が親水性である請求項1~3のいずれか一項に記載のイオン透過膜。
  5. 前記繊維基材が、フッ化ビニリデンのホモポリマーおよびコポリマー、テトラフルオロエチレンのホモポリマーおよびコポリマー、ならびにクロロトリフルオロエチレンのホモポリマーおよびコポリマーからなる群より選択されるいずれか1つを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のイオン透過膜。
  6. 下記式(1)および(2)を満たす請求項1~5のいずれか一項に記載のイオン透過膜。

    B×0.2<A<B ・・・(1)
    A×50<C<A×1000 ・・・(2)

    Aは前記繊維基材の平均繊維径(nm)であり、Bは、前記イオン伝導体粒子の平均粒子径(nm)であり、Cは、前記凝集体の平均径(nm)である。
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