JP2006152479A - 極細繊維の製造装置およびそれを用いた製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、高い汎用性を持ち且つ極細繊維を製造可能なエレクトロスピニング法を改善し、これまで極めて困難だった高効率な製造方法を提供する。
【解決手段】 エレクトロスピニングする流体の供給部において、流体離脱部位の間隔を極限までせばめて集積化することで生産効率を飛躍的に向上する。流体供給装置と繊維受取装置の間に電圧を印加して流体を繊維状に成形する際に、流体供給装置において複数の流体離脱部位を形成し、かつ該隣接流体離脱部位の最小間隔を1mm以下に集積することを特徴とする極細繊維の製造方法により達成される。
【選択図】図1
【解決手段】 エレクトロスピニングする流体の供給部において、流体離脱部位の間隔を極限までせばめて集積化することで生産効率を飛躍的に向上する。流体供給装置と繊維受取装置の間に電圧を印加して流体を繊維状に成形する際に、流体供給装置において複数の流体離脱部位を形成し、かつ該隣接流体離脱部位の最小間隔を1mm以下に集積することを特徴とする極細繊維の製造方法により達成される。
【選択図】図1
Description
本発明は、高効率で場所をとらない極細繊維の製造装置および製造方法である。更に詳しくは、流体供給装置と繊維受取装置の間に電圧を印加して流体を極細の繊維状に成形する、いわゆるエレクトロスピニング紡糸法において、製造工程中の繊維間距離を縮め、多数の繊維を集積して生産性を飛躍的に高めることができる極細繊維の製造装置および製造方法に関する。
近年、再生医療用スキャッフォールドや傷口保護材などのメディカル分野、半導体基盤上の電線・発光体用電子銃や各種センサーなどのエレクトロニクス分野、高性能フィルターなど環境対応分野への応用を期待して、サブミクロン以下の直径を持つ極細繊維の要求が高まっている。例えば、再生医療の中核である人工臓器製造の実現には、細胞のアポトーシスを抑制しつつ成長を促すスキャッフォールド(足場)が必要不可欠であるが、生体を構成するコラーゲン繊維と類似の径を持つ極細繊維が必要とされている。また、極細繊維の一つであるカーボンナノチューブが、集積化された半導体上で使用される極細電線や、発光体用電子銃などのエレクトロニクス分野で応用が期待されていることは周知の事実である。
直径がサブミクロン以下の極細繊維を製造する工業的技術としては、海島複合紡糸やポリマーブレンドから海成分を適当な溶媒で溶解・除去して島成分をサブミクロンオーダーの繊維として取り出す技術が広く知られている。この方法により、実際に100ナノメーターまたはそれ以下の径を有する繊維を得ることが可能であるが、使用されるポリマーは溶融可能である必要があり、汎用性に乏しい製造方法であることが欠点である。
一方、溶液紡糸や乾式紡糸でも同様の方法でサブミクロンオーダー径の糸を得ることができる(特許文献1参照)。しかし、海成分と島成分は同一の溶媒と貧溶媒を使用しなければならず、ポリマーの種類に制限を受けるために汎用的な製造方法ではない。加えて、島成分と海成分の総量が溶媒の10〜20%前後、島成分の量は海成分のさらに10〜20%であるため、最終的な島成分の生産効率は大変低いものとなる。
これらの他にも、界面活性剤をチューブ状ミセルに自己組織化させてこれを鋳型とし、化学架橋によって繊維化する方法や、チューブ表面で無機物質をゾル−ゲル転移法によって繊維形状に成形することで、サブミクロン径の繊維を得る方法も知られている。しかし、化学架橋による方法は架橋が可能な官能基を有するポリマーに適用が制限され、またゾル−ゲル転移法は無機素材にのみ適用可能であり、やはり汎用性に乏しい製造方法である。さらに、チューブ状ミセルが存在し得る濃度は溶媒に対して数重量%であり、生産効率は極めて低い。
これらの技術に対し、近年エレクトロスピニング技術が注目されている。この技術は1930年代に提案された古い技術であるが、該技術が細繊度の繊維製造技術へ適用されたのは1971年である(非特許文献1参照)。エレクトロスピニング技術はサブミクロン径の繊維の需要が高まった最近になって、急速にその重要性が見直されている技術である。製糸に要する設備は単純であり、流体供給装置と繊維受取装置の間に電圧を印加して流体を繊維状に成形するものである。複合紡糸法やブレンド紡糸法を使わずに、ポリマー溶液やサスペンジョンなどの液体を直接サブミクロン以下の径の繊維に成形することが可能である。一般的には注射器のような液体貯蔵容器から適当な計量ポンプでキャピラリーを有する流体供給装置に液体を送り、液体または導電性キャピラリーに高電圧を印加してグランドされた対電極の繊維受取装置に糸を吹き付ける。キャピラリーから出た液体は急な細化工程(テーラーコーン工程)、比較的繊維径が一定な工程(安定ジェット工程)、繊維がクリスマスツリーに飾られたモールのように螺旋を描く工程(ガーランド工程)を経ることが知られている(非特許文献2参照)。糸はガーランド工程で静電反発による分岐ループが形成し、細化する。しかし、ガーランド工程は繊維の軌道が空間的に広がるため、液体の吐出部を近接しすぎると糸同士が複雑に干渉・静電反発して製糸が困難になるという問題点を有していた。一方、エレクトロスピニング技術を極細繊維の製造技術として使用する場合、単位時間・単位吐出部からの流体供給量は非常に少ない。従って、該技術を工業的に適用するためにはエレクトロスピニングされる繊維状液体の数をふやして相互の間隔を小さくすることが必須である。Yarinらは、磁性流体を利用して針状構造をもつユニットを作成し、そのユニットを高分子溶液で浸した(非特許文献3参照)。このユニットと繊維の捕集装置との間に電圧を付与し、高効率なエレクトロスピニングによる製糸を実現している。しかし、針の密度は26個/cm2にすぎず、実用的な工業的プロセスに供するには不満足である。例えば、工業的なエレクトロスピニングの方法が述べられている(特許文献2参照)。該技術では、高分子溶液を吐出するノズル間の電気的干渉を最小化させるために、ニ−ドルは放射状に配置され、かつ電荷分配板が設置される。この時、ニ−ドル間の間隔は1mm以上に配置されると述べられている。したがって、工業規模のプロセスとしては依然不満足な集積度である。このように、エレクトロスピニングを用いて繊維を工業規模で実現するプロセスは未だ不完全であり、市場に製品を安価に安定供給できるプロセス技術が嘱望されている。
特開2003−336130号公報(第8頁 表2)
特開2002−201559号公報(第8頁 図1、2)
「Journal of Colloid and Interface Science」 36,1,71、1971
「Polymer」 42,6785、2002、p.6789 Fig.3
「Polymer」 45,2977、2004、p.2978,p.2979 Fig.1,2,4
本発明は、高い汎用性を持ち且つ極細繊維を製造可能なエレクトロスピニング法を改善し、これまで極めて困難だった高効率な製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、エレクトロスピニングする流体の供給部において、流体離脱部位の間隔を極限まで狭めて集積化することで生産効率を飛躍的に向上した。
すなわち、本発明は、流体供給装置と繊維受取装置の間に電圧を印加して流体を繊維状に成形する装置において、流体供給装置が、複数の流体離脱部位を有し、かつ隣接する該流体離脱部位の最小間隔が1mm未満であることを特徴とする極細繊維の製造装置により達成される。
上述のように、本発明によって高効率で極細繊維を製造することが可能になる。この繊維は、再生医療用スキャッフォールドや傷口保護材などのメディカル分野、半導体基盤上の電線・発光体用電子銃や各種センサーなどのエレクトロニクス分野、高性能フィルター等へ応用可能である。
本発明の流体供給装置とは、繊維化する流体を受け入れ、これを複数の流体に分配して繊維受取装置に繊維を供給する機能を有する装置である。
受け入れる流体は一種類でもよいし、複数種類でも構わず、目的に応じて選択することができる。また、流体は一つの流路から導入されても良いし、例えば流動の均一性を向上するなどの目的のために複数の流路から導入されても構わない。あらかじめ混合された複数の流体が導入されても良いし、複数の流体が別々に導入されてもよく、望ましい製品によって適宜選択すればよい。
受け入れる流体は一種類でもよいし、複数種類でも構わず、目的に応じて選択することができる。また、流体は一つの流路から導入されても良いし、例えば流動の均一性を向上するなどの目的のために複数の流路から導入されても構わない。あらかじめ混合された複数の流体が導入されても良いし、複数の流体が別々に導入されてもよく、望ましい製品によって適宜選択すればよい。
流体の種類は特に限定されないが、曳糸性を持つことが重要である。そのためには流体の粘度を500ポイズ以上にすることが好ましい。一方、粘度が100000ポイズを越えると流体が流動性に乏しくなり、流体を移動するまたは繊維に成形する工程に支障が生じる。更に好ましい流体の粘度は、1000ポイズ以上10000ポイズ以下である。この条件を満たしていれば特に流体の種類に制限はなく、各種高分子融液、高分子溶液、サスペンション、無機ゾル、あるいはその混合体などをプロセスに供することができる。高分子であれば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフッ化ビニリデン(FVDF)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリアクリル酸、ポリメチルメタクリレ−ト(PMMA)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ナイロン6,ナイロン66、ナイロン610,ナイロン12、ナイロン46、ナイロン9Tなどのナイロン系列、ポリウレタン、アラミド、ポリイミド(PI)、ポリベンゾイミダゾ−ル(PBI)、ポリベンズオキサゾール(PBO)、ポリビニルアルコ−ル(PVA)、セルロ−ス、酢酸セルロ−ス、酢酸酪酸セルロ−ス、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレンイミド(PEI)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリ(コハク酸エチレン)、ポリ(硫化エチレン)、ポリ(酸化プロピレン)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリアニリン、ポリ(テレフタル酸エチレン)、ポリ(ヒドロキシ酪酸)、ポリ(酸化エチレン)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリペプチド、タンパク質などのバイオポリマ−、コ−ルタ−ルピッチ、石油ピッチなどのピッチ系などの様々な高分子が適用可能であり、これらのランダム、グラフトまたはブロック共重合体及びブレンドなども可能である。それだけでなく、上記高分子にエマルジョンや有機、無機物の粉末・ウイスカーなどを混合して用いることも可能である。また、いわゆるゾル−ゲル転移法による無機ファイバーを作成可能であり、シリカ、アルミナ、チタニアの他、酸化銅、酸化ニッケル、酸化ニオブ、酸化バナジウム、酸化ニオブ、その他の錯体化合物、及びその混合体が作成可能である。
該流体供給装置の中にはフィルター機能を有する装置や混合を促進する機能を有するユニットが設置されることが好ましい。特にフィルターは製糸の安定性を向上するために好ましく設置することができ、金網や金属不織布フィルターなどが好適であるがこれに限定されない。また、金属サンドやガラスビーズ、その他の多孔体を充填して流体の滞留スペースを低減することが好ましい。複数の流体を混合または均等に分散するためには、各種静的混練子を好ましく用いることができる。また、動的混練子を設置しても構わないし、超音波や外部振動による混練などを利用してもよく、その手段は特に限定されない。
流体供給装置の材質は流体の性質によって任意に選択することができ、一般的にはガラスやステンレスが安価で好ましいが、腐食性の高い流体に対しては白金などの貴金属を用いることが好ましい。さらにセラミック、高分子材料などを用いても構わず、材質は流体の性質によって適宜選択することが可能である。流体供給装置は一体部品である必要はなく、むしろ洗浄を考慮して複数の部材から構成されることが好ましい。この場合、内圧によって流体が漏れないように工夫することが好ましく、部材間にアルミニウム製やPTFE製などのパッキンを用いることが好ましい。
本発明の流体供給装置に流入する流体量は該装置の上流で計量されていることが好ましい。計量にはギアポンプ、エクストルーダー、シリンジポンプ、チューブポンプなど計量機能を有する装置であれば特に制限はないが、十分な圧力をかけて大量の液体を計量・送液するという目的からは、ギアポンプまたはエクストルーダーが好ましい。これら計量装置の上流には流体の貯蔵機能を有するタンクが設けられるか、流体は該成分を合成・調整するプロセスから直接導かれることが好ましい。また、計量装置とこれら装置の間にはフィルター機能を有する装置が設置されることが好ましい。
本発明の流体供給装置で流体は複数の流路に分割された後、流体離脱部位へ導かれる。この際、一旦分割した流路が再び合流する工程を経てもかまわない。最終製品の繊維が複合繊維や混合繊維になる場合、該技術は好適に適用することができる。流体を各流体離脱部位に導入・分配する方法は任意に選ぶことができる。例えば、従来の繊維製造装置のようにキャピラリーや孔のような閉空間に流体を分配する方法や、針状金属表面や2枚平行板間隙の表面張力を利用して開空間で液体を分配し、繊維受取装置に流体を供給する方法をとることもできる。もちろんこれらは自由に組み合わせることができるが、閉空間を利用する方が流体の酸化や蒸発などの変質を避けることができ、好ましい。閉空間と開空間を利用する方法を組み合わせる場合は、できるだけ開空間の長さを短くすることが好ましい。開空間を用いる場合には、流体の蒸発や酸化などの変質を避けるために、流体離脱部位の雰囲気を制御することが好ましい。たとえば、流体離脱部位の雰囲気温度を20℃以下に制御する、雰囲気を流体の溶媒蒸気で満たすなどが挙げられる。
本発明の流体離脱部位とは、流体供給装置から流体が繊維受取装置へ向けて離脱する部位をいう。該隣接流体離脱部位の最小間隔を1mm未満に集積することが好ましい。本発明が目的とする高効率な製品の製造をするためには、最小間隔を1mm未満とすることが好ましい。これらの流体離脱部位の配列は一次元にも二次元にも配置可能である。
本発明の各流体離脱部位の形状は、流体走行方向に凸であることが好ましい。形状が凸であることによって、流体が繊維受取装置に向かって直進し、安定な製糸条件を実現することが可能となる。この形状が平面または凹であると、流体離脱部位付近の等電位面が流体走行方向に垂直な平面状になり、帯電した流体が方向性を失う。その結果、流体の走行方向を制御することが著しく困難となり、製糸は安定性を損なう結果となる。また、流体離脱部位で流体が静電力によって破裂し、流体は繊維形態ではなく粒子状となってしまう。流体離脱部位の具体的な形状は凸であれば特に制限はないが、凸部底面と先端の距離(L)と凸部底面の有効長(B)の比(L/B)が0.2以上、1000以下であることが好ましい。ここで凸部底面の有効長とは、流体離脱部位のうち最も太い部分のことをいう。L/Bが0.2未満である場合は、流体離脱部位付近の等電位面が流体走行方向に垂直な平面状になり、製糸が不安定化する。一方、L/Bが1000を越えると、流体供給装置の作成が著しく困難になる。さらに、流体離脱部位先端は曲率半径が2mm以下に先鋭化されるか、先端の実質的な面積が1mm2未満の任意の曲率を持った局面または平面であることが好ましく、製糸性がさらに安定する。
該凸部の形状が三次元形態であれば、針状、棒状、円錐、三角錐、四角錐、その他多角錘、ドーム型、かまぼこ型、楕円体、これらの組み合わせなどがあげられる。二次元形状の場合には、平板三角、平板矢印、野球ベース、半円、楕円などをあげることができる。先端部付近の断面は丸である必要はなく、正三角、二等辺三角、その他の三角形、正方形、長方形、その他の四角形、その他の多角形、Y字、C字、中空、扁平など、特に制限はない。流体はこれらの内部をキャピラリーで通っても良いし、底面からの表面張力や重力、延伸張力などによって先端まで流体を誘導しても構わない。各流体離脱部位に溝を作って流体が通りやすくすることもできる。また、流体離脱部位の材質をポーラスにして内部から流体をしみ出させてもよく、これらの組み合わせを用いても構わない。さらに、これら二次元平板を平行に二枚用い、その間隙を流体流路に使用することが可能である。各流体離脱部位が二次元形状の場合、その厚みは1mm未満とすることが好ましい。この中でも最も好ましい組み合わせは、厚さ0.5mm以下の二等辺三角形のフィルムをキャピラリー先端に取り付け、表面張力によって流体を三角形の頂点に導く方法である。二等辺三角形の底辺は100ミクロン以下が好ましく、先端角は60〜120°が好ましい。
各流体離脱部位は単独の流体のみを誘導する必要はなく、複数の流体を組み合わせても良い。例えば、2種類以上の流体を芯鞘、偏心芯鞘、バイメタル、同心円状、星状、海島状などに配置する機能を有していてもよい。また、隣接する流体離脱部位が異種類の流体を誘導することも可能である。
1つの流体供給装置に形成される流体離脱部位の数は10以上、1000000以下であることが好ましい。流体離脱部位の数が10以上とすることで、本発明の目的とする高効率生産を達成することができる。一方、流体離脱部位の数が1000000以下とすると、流体供給装置の作成が確実になる、また繊維同士の干渉が抑制され、安定な製糸が達成できる。流体離脱部位の数は100以上がであるとより好ましく、1000以上であるとさらに好ましく、10000以上であると特に好ましい。
流体供給装置は固定式でも構わないが、繊維受取装置上で均一な不織布を得ようとする場合には回転、スウィープまたは移動する機能を備えていることが好ましい。糸と糸の間の干渉を軽減して安定な製糸を実現するためには、中でも流体供給装置と繊維受取装置の距離を実質的に一定に保ちながら平行移動するタイプのものが最も好ましい。
本発明の繊維受取装置とは、流体供給装置から供給された繊維を捕集する装置である。繊維受取装置は複数のユニットから構成されていても構わず、繊維が流体供給装置から離れ、実質的に最初に接触した部分は繊維受取装置に含まれる。流体供給装置または流体と繊維受け取り装置の間には電圧がかけられ、繊維受取装置にて捕集される。電圧のかけ方は任意であり、繊維受取装置側が正極でも負極でもどちらでも構わないが、通常繊維受取装置をグランドして流体供給装置を正電圧にする方法が安全性の観点から好ましい。両装置にかけられる電圧は500V以上100kV以下である。これは両装置間の距離によって適宜変更される。500V以上として流体が流体供給装置から離脱し易くし、100kV以下で両装置間の放電を抑制する。
流体供給装置に電圧を加える場合、流体供給装置の流体離脱部位に電圧を加える方法と流体の流路に電圧を加える方法があるが、装置の簡易性の観点から流体に電圧を加える方が好ましい。
繊維受取装置の形態は特に制限はなく、単純な静的平板、回転ドラム、回転ベルトなどが代表的なものであるが、生産効率の観点からは静的平板よりも回転式の捕集装置が好ましい。捕集される繊維集合体の形状は平面状不織布だけでなく、フィラメント、三次元構造体など特に制限はない。また、フィルムや不織布の上に本発明の方法で製造される極細繊維を直接積層させることも可能である。また、繊維受取装置は導電性を有することが好ましい。
平面上不織布を製造する際には、繊維受取装置として静的平板や回転ベルトの上に繊維を積層すればよい。また、流体供給装置の対電極となる静的平板をやや流体供給装置から遠距離に設け、流体供給装置と対電極の間に巻取り装置を設ける方法で繊維を巻取ってもよい。この場合巻取り装置は、繊維受取装置に含まれるものと定義する。回転ベルトの速度や幅は製品の性質よって適宜決定されるが、一般的には速度は10〜1000cm/分、幅は10〜1000cm程度である。このとき、本発明の方法で製造される不織布を各種フィルム、織布、不織布上に形成することが可能であり、好ましく行うことができる。
フィラメントや三次元構造体を作るときには特別の工夫が必要となる。フィラメントを作る場合には、高速のドラムまたはロールを用いる必要がある。ロールの表面速度は流体供給装置と繊維受取装置の間に印加される電圧や流体の性質によって変化するので適宜調整されるが、一般には10m/分以上、10000m/分以下である。高速ロールは強い随伴気流を伴い、極細繊維の走行を不安定化する要因となる。従って、高速ロールの直前には気流をカットするスリットを設けることが好ましい。また、高速ロールの前または後に、複数の極細繊維を収束する機能を有する装置を設けることが好ましい。この場合、収束機能を有する装置は繊維受取装置に含まれると定義する。この収束装置には静電反発を低減する機能を持つことが好ましく、油剤などの液体を適切に付与する機能を有することが好ましい。該高速ロールは、その温度を任意に制御可能であることが好ましい。例えば、極細繊維に含まれる溶剤や油剤を蒸発させることに用いることができる。また、ロール上での加熱により、繊維の結晶化促進や、ひき続いて行う延伸のための可塑化を行うことができ、微細構造や繊維物性を広範囲に制御することが可能となる。また、該高速ロールは単独、または複数組み合わせて用いることができる。高速ロールの後には該繊維を巻取る機能を有するワインダーが設置されることが好ましい。ワインダーは繊維の張力を測定し、直ちに回転速度を制御する機能を有することが好ましい。これらの装置を適切に組み合わせて用いることにより、従来知られているよりも細い単繊維からなるフィラメントを効率よく製造することが可能となる。
三次元構造体を作成する場合には、流体供給装置の対電極となる静的平板をやや流体供給装置から遠距離に設け、流体供給装置と繊維受取装置の間に三次元構造体を形成する装置を設ける方法が好ましい。この場合三次元構造体を形成する装置は、繊維受取装置に含まれるものと定義する。三次元構造体の形態は多様であるが、例えばチューブ状の構造体を作ろうと思う場合には、棒状の装置を軸に沿って回転させるなどすればよい。
上記のように、繊維受取装置は複数のユニットで流体離脱部位と繊維受取装置での繊維接地部位との距離が0.1cm以上、5cm以下であることが好ましい。ここでいう繊維接地部位とは繊維受取装置に含まれ、繊維が流体供給装置から離れた後、実質的に最初に接触した部分のことをいう。該距離を0.1cm以上とすることにより流体供給装置と繊維受取装置の間におこる絶縁破壊を防止して、安定した電位環境を保って繊維を製造することができる。該距離が5cm以下の場合には、糸が複雑に絡み合うガーランド工程を阻止して、糸間の接触・干渉を防止して製糸性が安定する。これらの糸間接触は糸が走行するパスを曲げ、結果として電位環境をゆがめ、製品に含まれる単糸経が著しくばらついてしまう。特にフィラメントを引き取る場合にはこれら糸間干渉は厳密に制御される必要があり、ガーランド工程を有するプロセスでは満足なフィラメントを得ることは難しい。
本発明における極細繊維の横断面の円相当平均直径は1μm以下であることが好ましい。ここでいう円相当平均直径は、以下のように求められる。すなわち、製品に含まれる任意の糸を5本以上選び出し、変形を与えないように注意してフィラメントに揃える。該フィラメントの長手方向に垂直に断面を出す。この際、必要に応じてパラフィンなどへの包埋やミクロトームでのカッティング工程を含む。この断面をSEMや光学顕微鏡で観察し、一本一本の断面積を求める。各断面積をSとしたとき、S=π(R/2)2に従って求めたRが円相当平均直径と定義される。円相当平均直径が1μm以下であることにより、多様な新規製品の創出が可能となる。具体的な応用分野は、カーボンナノファイバーの製造による水素貯蔵材料、キャパシターや燃料電池の電極材、チタンナノファイバーによる太陽電池電極材、生分解性ナノ繊維による再生医療用スキャッフォールド、フッ素系ナノ繊維による各種高性能フィルターや電池用セパレーターなどである。
以下に実施例によって本技術を具体的に述べる。流体としては、ポリエチレンオキシド(PEO)水溶液を用いた。分子量は100万、濃度は3重量%を用意した。該PEO水溶液を図1に示した流体貯蔵タンク1に蓄え、フィルターユニット2にてゴミを取り除いた。流体はその後計量ポンプ3に導かれ、所定の割合で流体を計量し、流体供給装置4に導かれた。流体供給装置、繊維受取装置は以下の各実施例に述べられるように変更された。その結果、得られた繊維の円相当有効直径はいずれも1μm以下のものが得られた。
実施例1
分子量100万のPEO水溶液を濃度3重量%に調整して用いた。計量ポンプでは280μl/分の割合で送液を行った。図2(A)に示すように、14個の流体離脱部位5を間隔が0.3mmとなるよう一枚のガラス基盤に設置し、さらに各ガラス基板を図2(B)のように20枚積層し、計280個の流体離脱部位を有する流体供給装置を作成した。この時、ガラス基板の厚みは2mmであった。計量ポンプから送液された流体は図2に示された流体入口12から流体供給装置に入り、一旦フィルターで満たされているリザーバー13を通って各流路14に分配され、流体離脱部位に導かれた。白金製のワイヤーがリザーバー部分に挿入され、電圧印加装置によって流体を3000Vに印加した。流体離脱部位5の形状は図3(A)および図4(A)に示されたもので、先端角70°、底辺0.1mmの二等辺三角形をしたポリスチレンを用いた(L/B=0.71)。流体は閉空間の流路14から流体離脱部位5直前に開空間に導かれ、表面張力にて該流体離脱部位表面に広がり、その先端から流体が離脱して繊維を形成した。繊維受取装置は図1に示されるように2対の引き取りローラー7と収束ガイド8、巻き取りローラー9で構成された。繊維接地部位は最初の引き取りローラー6上であり、流体離脱部位の先端からの距離は3cmであった。引き取りローラー6の速度は300m/分とし、巻き取りローラー速度は315m/分であった。収束ガイド8では繊維に油剤を付与した。巻き取られた繊維の直径は0.31μmであった。一つの流体供給装置あたり一日あたりの生産性は12gであったが、装置がコンパクトであることを利用して流体供給装置を20個並列して用いることにより、一日あたりの生産性として240gを得た。
分子量100万のPEO水溶液を濃度3重量%に調整して用いた。計量ポンプでは280μl/分の割合で送液を行った。図2(A)に示すように、14個の流体離脱部位5を間隔が0.3mmとなるよう一枚のガラス基盤に設置し、さらに各ガラス基板を図2(B)のように20枚積層し、計280個の流体離脱部位を有する流体供給装置を作成した。この時、ガラス基板の厚みは2mmであった。計量ポンプから送液された流体は図2に示された流体入口12から流体供給装置に入り、一旦フィルターで満たされているリザーバー13を通って各流路14に分配され、流体離脱部位に導かれた。白金製のワイヤーがリザーバー部分に挿入され、電圧印加装置によって流体を3000Vに印加した。流体離脱部位5の形状は図3(A)および図4(A)に示されたもので、先端角70°、底辺0.1mmの二等辺三角形をしたポリスチレンを用いた(L/B=0.71)。流体は閉空間の流路14から流体離脱部位5直前に開空間に導かれ、表面張力にて該流体離脱部位表面に広がり、その先端から流体が離脱して繊維を形成した。繊維受取装置は図1に示されるように2対の引き取りローラー7と収束ガイド8、巻き取りローラー9で構成された。繊維接地部位は最初の引き取りローラー6上であり、流体離脱部位の先端からの距離は3cmであった。引き取りローラー6の速度は300m/分とし、巻き取りローラー速度は315m/分であった。収束ガイド8では繊維に油剤を付与した。巻き取られた繊維の直径は0.31μmであった。一つの流体供給装置あたり一日あたりの生産性は12gであったが、装置がコンパクトであることを利用して流体供給装置を20個並列して用いることにより、一日あたりの生産性として240gを得た。
実施例2
一枚のガラス基盤あたりの流体離脱部位の数を300に、ガラス基板の積層数を50枚にし、流体離脱部位の総数を15000とした。計量ポンプの吐出量は15000μl/分であった。流体供給装置は一つだけ用いた。それ以外の条件は実施例1と同様の方法で繊維の製造を行った結果、巻き取られた繊維の直径は0.30μmであった。一日あたりの生産性は641gであった。
一枚のガラス基盤あたりの流体離脱部位の数を300に、ガラス基板の積層数を50枚にし、流体離脱部位の総数を15000とした。計量ポンプの吐出量は15000μl/分であった。流体供給装置は一つだけ用いた。それ以外の条件は実施例1と同様の方法で繊維の製造を行った結果、巻き取られた繊維の直径は0.30μmであった。一日あたりの生産性は641gであった。
実施例3
一枚のガラス基盤の流体離脱部位間隔を0.1mmとしてその数を1000とし、ガラス基板の積層数を100枚とし、流体離脱部位の総数を100000とした。計量ポンプの吐出量は100000μl/分であった。それ以外の条件は実施例1と同様の方法で繊維の製造を行った結果、巻き取られた繊維の直径は0.30μmであった。一日あたりの生産性は4275gであった。
一枚のガラス基盤の流体離脱部位間隔を0.1mmとしてその数を1000とし、ガラス基板の積層数を100枚とし、流体離脱部位の総数を100000とした。計量ポンプの吐出量は100000μl/分であった。それ以外の条件は実施例1と同様の方法で繊維の製造を行った結果、巻き取られた繊維の直径は0.30μmであった。一日あたりの生産性は4275gであった。
実施例4
計量ポンプの送液量を100000μl/分にする以外は、実施例2と同様の方法で繊維の製造を行った。巻き取られた繊維の直径は0.90μmであった。一日あたりの生産性は4280gであった。
計量ポンプの送液量を100000μl/分にする以外は、実施例2と同様の方法で繊維の製造を行った。巻き取られた繊維の直径は0.90μmであった。一日あたりの生産性は4280gであった。
実施例5
流体離脱部位と繊維受取装置間の距離を0.5cmとし、電圧を1000Vにする以外は、実施例2と同様の方法で繊維の製造を行った。巻き取られた繊維の直径は0.32μmであった。一日あたりの生産性は635gであった。
流体離脱部位と繊維受取装置間の距離を0.5cmとし、電圧を1000Vにする以外は、実施例2と同様の方法で繊維の製造を行った。巻き取られた繊維の直径は0.32μmであった。一日あたりの生産性は635gであった。
実施例6
流体離脱部位と繊維受取装置間の距離を0.08cmとし、電圧を1000Vにする以外は、実施例2と同様の方法で繊維の製造を行った。巻き取られた繊維の直径は0.36μmであった。一日あたりの生産性は620gであった。ただし、流体離脱部位と繊維受取装置間で時々放電が発生し、製糸がやや不安定であった。
流体離脱部位と繊維受取装置間の距離を0.08cmとし、電圧を1000Vにする以外は、実施例2と同様の方法で繊維の製造を行った。巻き取られた繊維の直径は0.36μmであった。一日あたりの生産性は620gであった。ただし、流体離脱部位と繊維受取装置間で時々放電が発生し、製糸がやや不安定であった。
実施例7
流体離脱部位5の形状を、先端角110°、底辺0.1mmの二等辺三角形とした(L/B=0.35)以外は、実施例2と同様の方法で繊維の製造を行った。巻き取られた繊維の直径は0.35μmであった。一日あたりの生産性は633gであった。
流体離脱部位5の形状を、先端角110°、底辺0.1mmの二等辺三角形とした(L/B=0.35)以外は、実施例2と同様の方法で繊維の製造を行った。巻き取られた繊維の直径は0.35μmであった。一日あたりの生産性は633gであった。
実施例8
流体離脱部位5の形状を、先端角150°、底辺0.1mmの二等辺三角形とした(L/B=0.14)以外は、実施例2と同様の方法で繊維の製造を行った。巻き取られた繊維の直径は0.36μmであった。一日あたりの生産性は623gであった。ただし、製糸性はやや不安定で製品には太細のむらが散見された
実施例9
流体離脱部位が流路14の開放端のみである以外は実施例2と同様の方法で繊維の製造を行った。製糸性はやや不安定で製品には太細のむらが散見されたが、巻き取られた繊維の直径は0.37μmであった。一日あたりの生産性は620gであった。
流体離脱部位5の形状を、先端角150°、底辺0.1mmの二等辺三角形とした(L/B=0.14)以外は、実施例2と同様の方法で繊維の製造を行った。巻き取られた繊維の直径は0.36μmであった。一日あたりの生産性は623gであった。ただし、製糸性はやや不安定で製品には太細のむらが散見された
実施例9
流体離脱部位が流路14の開放端のみである以外は実施例2と同様の方法で繊維の製造を行った。製糸性はやや不安定で製品には太細のむらが散見されたが、巻き取られた繊維の直径は0.37μmであった。一日あたりの生産性は620gであった。
実施例10
流体離脱部位5の材質を、アルミニウム箔とした以外は、実施例2と同様の方法で繊維の製造を行った。巻き取られた繊維の直径は0.34μmであった。一日あたりの生産性は638gであった。
流体離脱部位5の材質を、アルミニウム箔とした以外は、実施例2と同様の方法で繊維の製造を行った。巻き取られた繊維の直径は0.34μmであった。一日あたりの生産性は638gであった。
実施例11
図3(B)に示すように、流体離脱部位5に使用した部材を流路出口両端に二枚設置した以外は、実施例2と同様の方法で繊維の製造を行った。巻き取られた繊維の直径は0.33μmであった。一日あたりの生産性は635gであった。流体の乾燥が低減され、長時間の製糸性がすぐれていた。
図3(B)に示すように、流体離脱部位5に使用した部材を流路出口両端に二枚設置した以外は、実施例2と同様の方法で繊維の製造を行った。巻き取られた繊維の直径は0.33μmであった。一日あたりの生産性は635gであった。流体の乾燥が低減され、長時間の製糸性がすぐれていた。
実施例12
図3(C)に示すように、流体離脱部位5としてステンレス製のキャピラリーを使用した。キャピラリーの外径は0.25mm、内径は0.1mm、長さは50mmであった(L/B=200)。それ以外は実施例2と同様の方法で繊維の製造を行った。巻き取られた繊維の直径は0.31μmであった。一日あたりの生産性は629gであった。
図3(C)に示すように、流体離脱部位5としてステンレス製のキャピラリーを使用した。キャピラリーの外径は0.25mm、内径は0.1mm、長さは50mmであった(L/B=200)。それ以外は実施例2と同様の方法で繊維の製造を行った。巻き取られた繊維の直径は0.31μmであった。一日あたりの生産性は629gであった。
実施例13
図3(C)に示すように、流体離脱部位5としてステンレス製のキャピラリーを使用した。キャピラリーの外径は0.25mm、内径は0.1mm、長さは250mmであった(L/B=1000)。それ以外は実施例2と同様の方法で繊維の製造を行った。巻き取られた繊維の直径は0.30μmであった。一日あたりの生産性は628gであった。製糸性など特に問題なかったが、流体供給装置の作成がやや煩雑だった。
図3(C)に示すように、流体離脱部位5としてステンレス製のキャピラリーを使用した。キャピラリーの外径は0.25mm、内径は0.1mm、長さは250mmであった(L/B=1000)。それ以外は実施例2と同様の方法で繊維の製造を行った。巻き取られた繊維の直径は0.30μmであった。一日あたりの生産性は628gであった。製糸性など特に問題なかったが、流体供給装置の作成がやや煩雑だった。
実施例14
図3(D)に示すように、流体離脱部位5として焼結メタル製のモノリスを使用した。モノリスの外径は0.25mm、長さは30mmであった(L/B=120)。内部には内径0.1mm、長さ28mmの孔が空けられ、流体は該孔から外部に徐々にしみだした。それ以外は実施例2と同様の方法で繊維の製造を行った。巻き取られた繊維の直径は0.32μmであった。一日あたりの生産性は631gであった。
図3(D)に示すように、流体離脱部位5として焼結メタル製のモノリスを使用した。モノリスの外径は0.25mm、長さは30mmであった(L/B=120)。内部には内径0.1mm、長さ28mmの孔が空けられ、流体は該孔から外部に徐々にしみだした。それ以外は実施例2と同様の方法で繊維の製造を行った。巻き取られた繊維の直径は0.32μmであった。一日あたりの生産性は631gであった。
実施例15
図4(B)に示すように、流体離脱部位5の形を矢印形にした以外は実施例2と同様の方法で繊維の製造を行った。矢印の長方形部分は幅0.1mm、長さ0.2mmであった。三角形の部分は底面が0.2mmの直角二等辺三角形であった(L/B=1)。巻き取られた繊維の直径は0.31μmであった。一日あたりの生産性は631gであった。
図4(B)に示すように、流体離脱部位5の形を矢印形にした以外は実施例2と同様の方法で繊維の製造を行った。矢印の長方形部分は幅0.1mm、長さ0.2mmであった。三角形の部分は底面が0.2mmの直角二等辺三角形であった(L/B=1)。巻き取られた繊維の直径は0.31μmであった。一日あたりの生産性は631gであった。
実施例16
図4(C)に示すように、流体離脱部位5の形を半楕円形にした以外は実施例2と同様の方法で繊維の製造を行った。半楕円体の短軸長は0.25mm、長さは0.5mmであった。(L/B=2)。巻き取られた繊維の直径は0.33μmであった。一日あたりの生産性は633gであった。
図4(C)に示すように、流体離脱部位5の形を半楕円形にした以外は実施例2と同様の方法で繊維の製造を行った。半楕円体の短軸長は0.25mm、長さは0.5mmであった。(L/B=2)。巻き取られた繊維の直径は0.33μmであった。一日あたりの生産性は633gであった。
実施例17
図4(D)に示すように、流体離脱部位5の形を長方形にした以外は実施例2と同様の方法で繊維の製造を行った。長方形の短辺長は0.25mm、長辺長は0.5mmであった。(L/B=2)。巻き取られた繊維の直径は0.35μmであった。一日あたりの生産性は633gであった。
図4(D)に示すように、流体離脱部位5の形を長方形にした以外は実施例2と同様の方法で繊維の製造を行った。長方形の短辺長は0.25mm、長辺長は0.5mmであった。(L/B=2)。巻き取られた繊維の直径は0.35μmであった。一日あたりの生産性は633gであった。
実施例18
繊維受取装置がコンベアベルトである以外は、実施例2と同様の方法で繊維の製造を行った。製品は不織布の形状をしており、繊維の直径は0.31μmであった。一日あたりの生産性は635gであった。
繊維受取装置がコンベアベルトである以外は、実施例2と同様の方法で繊維の製造を行った。製品は不織布の形状をしており、繊維の直径は0.31μmであった。一日あたりの生産性は635gであった。
実施例19
流体離脱部位と繊維受取装置間の距離を10cmとし、電圧を10000Vにする以外は、実施例19と同様の方法で繊維の製造を行った。繊維の直径は0.35μmであった。一日あたりの生産性は625gであった。ただし、繊維受取装置前で糸がガーランドを形成し、糸が強く干渉し合って繊維にやや太細が見受けられた。
流体離脱部位と繊維受取装置間の距離を10cmとし、電圧を10000Vにする以外は、実施例19と同様の方法で繊維の製造を行った。繊維の直径は0.35μmであった。一日あたりの生産性は625gであった。ただし、繊維受取装置前で糸がガーランドを形成し、糸が強く干渉し合って繊維にやや太細が見受けられた。
実施例20
引き取りローラー6の速度は100m/分とし、巻き取りローラー速度は105m/分であった。である以外は、実施例2と同様の方法で繊維の製造を行った。製品は不織布の形状をしており、繊維の直径は0.57μmであった。一日あたりの生産性は631gであった。
引き取りローラー6の速度は100m/分とし、巻き取りローラー速度は105m/分であった。である以外は、実施例2と同様の方法で繊維の製造を行った。製品は不織布の形状をしており、繊維の直径は0.57μmであった。一日あたりの生産性は631gであった。
比較例1
一枚のガラス基盤の流体離脱部位間隔を2mmとしてその数を100とし、ガラス基板の積層数を100枚とし、流体離脱部位の総数を10000とした。計量ポンプの吐出量は10000μl/分であった。それ以外の条件は実施例1と同様の方法で繊維の製造を行った結果、巻き取られた繊維の直径は0.33μmであった。一日あたりの生産性は426gと良好であったが、装置の大きさに比較すると生産性は低く、不満足なものであった。
一枚のガラス基盤の流体離脱部位間隔を2mmとしてその数を100とし、ガラス基板の積層数を100枚とし、流体離脱部位の総数を10000とした。計量ポンプの吐出量は10000μl/分であった。それ以外の条件は実施例1と同様の方法で繊維の製造を行った結果、巻き取られた繊維の直径は0.33μmであった。一日あたりの生産性は426gと良好であったが、装置の大きさに比較すると生産性は低く、不満足なものであった。
1:流体貯蔵タンク
2:フィルターユニット
3:計量ポンプ
4:流体供給装置
5:流体離脱部位
6:繊維接地部位
7:引き取りローラー
8:収束ガイド
9:巻き取りローラー
10:繊維受取装置
11:電圧印加装置
12:流体入口
13:リザーバー
14:流路
15:繊維
2:フィルターユニット
3:計量ポンプ
4:流体供給装置
5:流体離脱部位
6:繊維接地部位
7:引き取りローラー
8:収束ガイド
9:巻き取りローラー
10:繊維受取装置
11:電圧印加装置
12:流体入口
13:リザーバー
14:流路
15:繊維
Claims (7)
- 流体供給装置と繊維受取装置の間に電圧を印加して流体を繊維状に成形する装置において、流体供給装置が、複数の流体離脱部位を有し、かつ隣接する該流体離脱部位の最小間隔が1mm未満であることを特徴とする極細繊維の製造装置。
- 各流体離脱部位の形状が流体走行方向に凸であることを特徴とする請求項1記載の極細繊維の製造装置。
- 流体離脱部位の凸部において、凸部底面の有効長(B)と先端の距離(L)との比(L/B)が0.2以上、1000以下であることを特徴とする請求項2記載の極細繊維の製造装置。
- 1つの流体供給装置が有する流体離脱部位の数が10以上、1000000以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の極細繊維の製造装置。
- 流体離脱部位と繊維受取装置の繊維接地部位との距離が0.1cm以上、5cm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の極細繊維の製造装置。
- 請求項1〜5のいずれか1項記載の製造装置を用いた極細繊維の製造方法。
- 極細繊維の横断面の円相当平均直径が1μm以下であることを特徴とする請求項6記載の極細繊維の製造方法。
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JP2004343620A JP2006152479A (ja) | 2004-11-29 | 2004-11-29 | 極細繊維の製造装置およびそれを用いた製造方法 |
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- 2004-11-29 JP JP2004343620A patent/JP2006152479A/ja active Pending
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