JP6290706B2 - コンバイナおよびミキサ - Google Patents

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Description

本発明は、高周波電気信号を扱う回路技術、特に、2つ以上の高周波電気信号を混合するコンバイナ、およびコンバイナを用いたミキサに関するものである。
高周波回路においては、異なる伝送線路を伝搬する信号を合成し、同一の伝送線路に伝搬させる場合、コンバイナが必要となる。コンバイナの概念図を図14に示す。図14では、コンバイナ4は、端子1,2に入力された信号を合成して端子3から出力する。このコンバイナ4に求められる特性としては、端子1,2から端子3に信号が合成出力される際の損失が少ないこと、および、端子1と端子2のアイソレーションが確保されていること、である。
従来、同一周波数かつ同位相の信号を、入力端子間のアイソレーションを保ったまま合成する回路として、ウィルキンソンカプラ(非特許文献1)が用いられてきた。図15にウィルキンソンカプラの概要を示す。ウィルキンソンカプラでは、図15における端子1w,2wに入力された同一周波数かつ同位相の信号が、端子3wに合成出力される。また、端子1wのみに信号を入力した場合には、アイソレーション抵抗2Z0の効果により端子2wには信号が現れず、端子3wにのみ信号が出力されるという特徴がある。
しかしながら、ウィルキンソンカプラでは、端子3wに出力される信号の電力が、端子1wに入力された信号の電力の半分になってしまうという問題が有る。残る半分の電力は、端子1wと端子2w間に配置された抵抗2Z0により消費される。この損失は、受動素子のみから構成されたウィルキンソンカプラの相反性に由来する。即ち、ウィルキンソンカプラを無損失な合成回路として用いることができるのは、同一周波数かつ同位相の信号を端子1w,2wに入力した場合に限られる。
しかしながら、現実の回路では、後述するように、異なる周波数、異なる位相の信号を合成する場合も多い。このような場合にウィルキンソンカプラを使用すると、3dBの原理損失を生じてしまうという問題が有る。ウィルキンソンカプラと同様のコンバイナとして、方向性結合器やブランチラインカプラ等の90°ハイブリッド回路や、ラットレースカプラのような180°ハイブリッド回路が用いられることもあるが、これらも受動素子のみで構成されるため、異なる位相の信号を合成する場合には原理的に3dBの損失を生じてしまうという問題が有る。
また、周波数が異なる信号を損失無く合成する回路として、ダイプレクサがある。ダイプレクサの概念図を図16に示す。ダイプレクサは、高域通過フィルタ5と低域通過フィルタ6を組み合わせた回路である。端子1dに端子2dよりも十分高い周波数の信号が入力されるものとすると、図16の構成により、端子1d,2dに入力された信号は損失無く端子3dに合成されて出力される。
しかしながら、ダイプレクサは端子1d,2dに入力される信号の周波数が近い場合には実現が難しくなる。この場合には、周波数が近い信号を切り分けるために、高いQ値の高域通過フィルタ5および低域通過フィルタ6が必要となる。Q値が高いフィルタを実現するためには、インダクタとキャパシタとからなるフィルタを多段化する必要があり、フィルタのサイズが大型化するため一般に難しく、特に集積回路上でQ値が高いフィルタを実現する場合は、一般に伝送線路の高い損失によってQ値が劣化するために実現が困難である。さらに、変調信号など、周波数帯域幅を有する信号の合成においては、端子1d,2dに入力される信号が同一の周波数成分を含む場合があり、このような場合にはダイプレクサによる合成は不可能となる。
D.Kother,et al.,"MMIC Wilkinson couplers for frequencies up to 110 GHz",Microwave Symposium Digest,IEEE-S International,Vol.2,pp.663-666,1995,May
以上に述べたように、従来のコンバイナには、周波数が等しい、もしくは周波数が著しく近い信号を、電力損失なく、かつ入力端子間のアイソレーションを保持したまま混合することが難しいという課題があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、周波数が等しい、もしくは周波数が近い信号を、電力損失なく、かつ入力信号端子間のアイソレーションを保持したまま混合することができるコンバイナ、およびコンバイナを用いたミキサを提供することを目的とする。
本発明のコンバイナは、入力端が第1の入力信号端子に接続された第1の伝送線路と、入力端が第2の入力信号端子に接続され、終端が出力信号端子に接続された第2の伝送線路と、前記第1、第2の伝送線路に沿って配置され、入力端子が前記第1の伝送線路に接続され、出力端子が前記第2の伝送線路に接続された複数の単位増幅器と、前記第1の伝送線路の終端に接続された第1の終端回路とを備え、前記第1、第2の入力信号端子に入力された信号が合成され前記出力信号端子から出力されることを特徴とするものである。
また、本発明のコンバイナの1構成例において、前記単位増幅器は、ソース接地増幅回路またはカスコード増幅回路からなる。
また、本発明のコンバイナは、入力端が第1の入力信号端子に接続された第1の伝送線路と、入力端が第2の入力信号端子に接続され、終端が第1の出力信号端子に接続された第2の伝送線路と、入力端が第3の入力信号端子に接続され、終端が第2の出力信号端子に接続された第3の伝送線路と、前記第1、第2、第3の伝送線路に沿って配置され、入力端子が前記第1の伝送線路に接続され、出力端子が前記第2の伝送線路に接続された複数の第1の単位増幅器と、前記第1、第2、第3の伝送線路に沿って配置され、入力端子が前記第1の伝送線路に接続され、出力端子が前記第3の伝送線路に接続された複数の第2の単位増幅器と、前記第1の伝送線路の終端に接続された第1の終端回路とを備え、前記第1、第2の入力信号端子に入力された信号が合成され前記第1の出力信号端子から出力され、前記第1、第3の入力信号端子に入力された信号が合成され前記第2の出力信号端子から出力されることを特徴とするものである。
また、本発明のコンバイナの1構成例において、前記第1、第2の単位増幅器は、ソース接地増幅回路またはカスコード増幅回路からなる。
また、本発明のミキサは、コンバイナと、入力信号端子が前記コンバイナの出力信号端子に接続されたミキサ回路とを備え、前記コンバイナの第1の入力信号端子に局部発振信号が入力され、前記コンバイナの第2の入力信号端子に高周波信号が入力され、前記ミキサ回路の混合出力信号端子から中間周波信号が出力されることを特徴とするものである。
また、本発明のミキサの1構成例において、前記ミキサ回路は、ゲート注入型の分布ミキサからなり、前記ゲート注入型の分布ミキサは、入力端が前記コンバイナの出力信号端子に接続された第3の伝送線路と、終端が前記混合出力信号端子に接続された第4の伝送線路と、前記第3、第4の伝送線路に沿って配置され、ゲート端子が前記第3の伝送線路に接続され、ドレイン端子が前記第4の伝送線路に接続された複数の電界効果トランジスタと、前記第3の伝送線路の終端に接続された第2の終端回路と、前記第4の伝送線路の入力端に接続された第3の終端回路とから構成されることを特徴とするものである。
また、本発明のミキサは、コンバイナと、第1の入力信号端子が前記コンバイナの第1の出力信号端子に接続され、第2の入力信号端子が前記コンバイナの第2の出力信号端子に接続されたミキサ回路とを備え、前記コンバイナの第1の入力信号端子に局部発振信号が入力され、前記コンバイナの第2の入力信号端子に高周波信号が入力され、前記ミキサ回路の混合出力信号端子から中間周波信号が出力されることを特徴とするものである。
また、本発明のミキサの1構成例において、前記ミキサ回路は、分布ミキサからなり、前記分布ミキサは、入力端が前記コンバイナの第1の出力信号端子に接続された第4の伝送線路と、入力端が前記コンバイナの第2の出力信号端子に接続され、終端が前記混合出力信号端子に接続された第5の伝送線路と、前記第4、第5の伝送線路に沿って配置され、ゲート端子が前記第4の伝送線路に接続され、ドレイン端子が前記第5の伝送線路に接続された複数の電界効果トランジスタと、前記第4の伝送線路の終端に接続された第2の終端回路とから構成されることを特徴とするものである。
本発明によれば、第1、第2の伝送線路と、入力端子が第1の伝送線路に接続され、出力端子が第2の伝送線路に接続された複数の単位増幅器とを設けることにより、第1、第2の入力信号端子に入力された周波数が等しい、もしくは周波数が近い信号を、電力損失なく、かつ第1、第2の入力信号端子間のアイソレーションを保持したまま混合することができる。
また、本発明では、第1、第2、第3の伝送線路と、入力端子が第1の伝送線路に接続され、出力端子が第2の伝送線路に接続された複数の第1の単位増幅器と、入力端子が第1の伝送線路に接続され、出力端子が第3の伝送線路に接続された複数の第2の単位増幅器とを設けることにより、第1、第2の入力信号端子に入力された周波数が等しい、もしくは周波数が近い信号を、電力損失なく、かつ第1、第2の入力信号端子間のアイソレーションを保持したまま混合することができ、また第1、第3の入力信号端子に入力された周波数が等しい、もしくは周波数が近い信号を、電力損失なく、かつ第1、第3の入力信号端子間のアイソレーションを保持したまま混合することができる。また、本発明では、第1の入力信号端子に入力された信号を第1、第2の出力信号端子に等分配することができる。
また、本発明では、第1、第2の伝送線路と複数の単位増幅器と第1の終端回路とから構成されるコンバイナと、ミキサ回路とを組み合わせることにより、ウィルキンソンカプラを用いた従来のミキサよりも変換利得を向上させることができ、またコンバイナの第1の入力信号端子に漏れる高周波信号を従来のミキサよりも抑制することができ、さらにコンバイナの第2の入力信号端子に漏れる局部発振信号を従来のミキサと同様のレベルまで抑制することができる。
また、本発明では、第1、第2、第3の伝送線路と複数の第1、第2の単位増幅器と第1の終端回路とから構成されるコンバイナと、ミキサ回路とを組み合わせることにより、従来のゲート注入ミキサやドレイン注入ミキサよりも変換利得の高いミキサを実現することが可能となる。
本発明の第1の実施の形態に係るコンバイナの構成を示すブロック図である。 本発明の第2の実施の形態に係るゲート注入型分布ミキサの構成を示す回路図である。 図2のゲート注入型分布ミキサおよび従来のゲート注入型分布ミキサの変換利得を計算した結果を示す図である。 ウィルキンソンカプラを用いた従来のゲート注入型分布ミキサの構成を示す回路図である。 図2のゲート注入型分布ミキサおよび従来のゲート注入型分布ミキサにおいてRF入力端子に漏れるLO信号の強度を計算した結果を示す図である。 図2のゲート注入型分布ミキサおよび従来のゲート注入型分布ミキサにおいてLO入力端子に漏れるRF信号の強度を計算した結果を示す図である。 本発明の第2の実施の形態に係るゲート注入型分布ミキサの別の構成を示す回路図である。 図7のゲート注入型分布ミキサおよび従来のゲート注入型分布ミキサの変換利得を計算した結果を示す図である。 図7のゲート注入型分布ミキサおよび従来のゲート注入型分布ミキサにおいてRF入力端子に漏れるLO信号の強度を計算した結果を示す図である。 図7のゲート注入型分布ミキサおよび従来のゲート注入型分布ミキサにおいてLO入力端子に漏れるRF信号の強度を計算した結果を示す図である。 本発明の第3の実施の形態に係るコンバイナの構成を示すブロック図である。 本発明の第4の実施の形態に係るミキサの構成を示す回路図である。 図12のミキサの変換利得を計算した結果を示す図である。 コンバイナの概念図である。 ウィルキンソンカプラの構成を示す回路図である。 ダイプレクサの構成を示すブロック図である。
[発明の原理]
本発明では、能動素子と疑似線路とからなるアクティブなコンバイナを用いることにより、前記課題で述べた、信号を合成する際に生じる損失の問題を解決する。
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係るコンバイナの構成を示すブロック図である。本実施の形態のコンバイナは、疑似線路10と、疑似線路11と、疑似線路11の終端と接地とを接続する終端抵抗R1とを備えている。
疑似線路10は、縦続接続された複数の伝送線路CPW_C2(第2の伝送線路)から構成される。初段の伝送線路CPW_C2の入力端がコンバイナの入力信号端子1aに接続され、終段の伝送線路CPW_C2の終端がコンバイナの混合出力信号端子3aに接続される。
疑似線路11は、縦続接続された複数の伝送線路CPW_C1(第1の伝送線路)と、伝送線路CPW_C1,CPW_C2に沿って配置され、入力端子が伝送線路CPW_C1に接続され、出力端子が伝送線路CPW_C2に接続された複数の単位増幅器UAとから構成される。初段の伝送線路CPW_C1の入力端がコンバイナの入力信号端子2aに接続され、終段の伝送線路CPW_C1の終端が終端抵抗R1(第1の終端回路)に接続される。
本実施の形態のコンバイナは、単位回路を複数段縦続接続した回路である。単位回路とは、1個の単位増幅器UAと、この単位増幅器UAの入力端子に接続された伝送線路CPW_C1のうち入力側にある1個の伝送線路CPW_C1と、単位増幅器UAの入力端子に接続された伝送線路CPW_C1のうち出力側にある1個の伝送線路CPW_C1と、単位増幅器UAの出力端子に接続された伝送線路CPW_C2のうち入力側にある1個の伝送線路CPW_C2と、単位増幅器UAの出力端子に接続された伝送線路CPW_C2のうち出力側にある1個の伝送線路CPW_C2とからなる回路のことである。
本実施の形態のコンバイナでは、入力信号端子1aから混合出力信号端子3aに至る疑似線路10は増幅作用を持たない受動線路であり、入力信号端子2aから混合出力信号端子3aに至る疑似線路11は単位増幅器UAによる増幅作用を有する能動線路である。
疑似線路を用いた増幅器として、分布増幅器(文献「B.Kim,et al.,“0.5W 2-21 GHz monolithic GaAs distributed amplifier”,Electronics Letters,Vol.20,pp.288-289,1984」が知られているが、本実施の形態では、分布増幅器の終端抵抗が配置されるポートに単位増幅器UAの入力端子を配置する点が異なる。また、分布増幅器では、端子2aから端子3aに至る信号の利得を最大化する設計を行うのに対して、本実施の形態に係るコンバイナでは、入力信号端子1aから混合出力信号端子3aに至る高周波信号の損失を最小化し、かつ、入力信号端子2aから混合出力信号端子3aに至る高周波信号の損失を最小化する設計を行う。
本実施の形態では、入力信号端子2aから混合出力信号端子3aに至るまでの経路に能動素子である単位増幅器UAを用いることにより、前述の相反性による原理損失を回避できるため、入力信号端子1a,2aに入力される2つの高周波信号を損失無く合成することが可能となる。
また、本実施の形態では、入力信号端子1a,2a間のアイソレーションを確保することも可能である。そもそも、本実施の形態のような進行波型回路では、進行方向の電磁波の電力が高くなるため、入力信号端子1a,2a間の漏洩成分である逆進方向の電磁波は抑圧されるため、ある程度アイソレーションを確保できる。本実施の形態では、この進行波型回路の原理に加えて、更に次の理由により入力信号端子1a,2a間のアイソレーションを大きくできる。
まず、入力信号端子1aから入力信号端子2aに至る経路のアイソレーションに関して説明する。この経路については、単位増幅器UAの入出力端子間アイソレーションを利用することにより、アイソレーションを確保することができる。
次に、入力信号端子2aから入力信号端子1aに至る経路のアイソレーションに関して説明する。本実施の形態のコンバイナは、入力信号端子1aから混合出力信号端子3aに至る伝送線路と、入力信号端子2aから終端抵抗R1に至る伝送線路とが、単位増幅器UAの有するリアクタンス成分により結合した、結合線路としても働く。したがって、結合線路の性質から、結合線路の結合長Lが次式を満足する場合にアイソレーションが大きくなる。
L=(λ/4)×m ・・・(1)
式(1)におけるλは伝送線路内波長、mは奇数の値である。入力信号端子2aに入力する信号の波長λに応じて式(1)を満足するように単位回路の段数を調節することにより、アイソレーションを大きく確保することが可能となる。
こうして、本実施の形態では、入力信号端子1a,2aに入力された周波数が等しい、もしくは周波数が近い信号を、電力損失なく、かつ入力信号端子1a,2a間のアイソレーションを保持したまま混合することができる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図2は本発明の第2の実施の形態に係るゲート注入型分布ミキサの構成を示す回路図である。本実施の形態は、第1の実施の形態のコンバイナをゲート注入型分布ミキサに適用した例である。ゲート注入型分布ミキサにおいては、電界効果トランジスタ(FET)のゲート端子に局部発振信号(LO信号)と高周波信号(RF信号)もしくは中間周波信号(IF信号)とを入力する必要がある。
ゲート注入型分布ミキサをダウンコンバージョンミキサとして用いる場合には、同一のFETのゲート端子にLO信号とRF信号とを入力し、ゲート注入型分布ミキサをアップコンバージョンミキサとして用いる場合には、同一のFETのゲート端子にLO信号とIF信号とを入力する。この場合、FETのゲート端子に入力されるLO信号と、RF信号もしくはIF信号とを合成するためのコンバイナが必要となる。
このようなコンバイナにも、従来、受動素子であるウィルキンソンカプラや方向性結合器が用いられてきたため(文献「O.S.A.Tang,et al.,“A Practical Microwave Travelling-Wave MESFET Gate Mixer”,Microwave Symposium Digest,1985 IEEE MTT-S International,pp.605-608,1985」)、信号合成に伴う原理損失がミキサの変換利得を制限してきたが、第1の実施の形態のコンバイナを用いることで、入力部の原理損失を回避することができ、変換利得の高いミキサを提供することが可能となる。
本実施の形態のゲート注入型分布ミキサは、3段構成のコンバイナ20と、8段構成の分布ミキサ21と、コンバイナ20と分布ミキサ21とを接続するキャパシタC1とを備えている。
コンバイナ20は、第1の実施の形態で説明した単位回路を3段縦続接続したものであり、単位増幅器として電界効果トランジスタQ1を用いている。図1の入力信号端子1aに相当する端子1bはRF信号が入力されるRF入力端子であり、図1の入力信号端子2aに相当する端子2bはLO信号が入力されるLO入力端子である。終段の伝送線路CPW_C2の終端(コンバイナ20の混合出力信号端子)はキャパシタC1の一端に接続される。単位増幅器の入力端子であるトランジスタQ1のゲートは伝送線路CPW_C1に接続され、単位増幅器の出力端子であるトランジスタQ1のドレインは伝送線路CPW_C2に接続される。トランジスタQ1のソースは接地されている。IF信号とRF信号とLO信号の周波数の関係は、IF信号の周波数<RF,LO信号の周波数となっている。
分布ミキサ21は、縦続接続された複数の伝送線路CPW_M1(第3の伝送線路)と、縦続接続された複数の伝送線路CPW_M2(第4の伝送線路)と、伝送線路CPW_M1,CPW_M2に沿って配置され、入力端子が伝送線路CPW_M1に接続され、出力端子が伝送線路CPW_M2に接続された複数の単位ミキサである電界効果トランジスタQ2と、伝送線路CPW_M1の終端と接地とを接続する終端抵抗R2(第2の終端回路)と、伝送線路CPW_M2の入力端と接地とを接続する終端抵抗R3(第3の終端回路)とから構成される。
初段の伝送線路CPW_M1の入力端(分布ミキサ21の入力信号端子)がキャパシタC1の他端に接続され、終段の伝送線路CPW_M1の終端が終端抵抗R2に接続される。初段の伝送線路CPW_M2の入力端が終端抵抗R3に接続され、終段の伝送線路CPW_M2の終端がゲート注入型分布ミキサのIF出力端子7に接続される。単位ミキサの入力端子であるトランジスタQ2のゲートは伝送線路CPW_M1に接続され、単位ミキサの出力端子であるトランジスタQ2のドレインは伝送線路CPW_M2に接続される。トランジスタQ2のソースは接地されている。
分布ミキサ21は、1段ソース接地ミキサである単位回路を8段縦続接続した回路である。ミキサの単位回路とは、1個のトランジスタQ2と、このトランジスタQ2のゲートに接続された伝送線路CPW_M1のうち入力側にある1個の伝送線路CPW_M1と、トランジスタQ2のゲートに接続された伝送線路CPW_M1のうち出力側にある1個の伝送線路CPW_M1と、トランジスタQ2のドレインに接続された伝送線路CPW_M2のうち入力側にある1個の伝送線路CPW_M2と、トランジスタQ2のドレインに接続された伝送線路CPW_M2のうち出力側にある1個の伝送線路CPW_M2とからなる回路のことである。
本実施の形態では、RF帯域をF帯(90−140GHz)とし、LO信号の基本波成分を用いる基本波動作のゲート注入型分布ミキサの例で説明する。コンバイナ20のトランジスタQ1としては、ゲート幅10μmのInP−HEMTを使用し、伝送線路CPW_C1には特性インピーダンス62.5Ω、100GHzにおける電気長0.055のコプレーナ線路を使用し、伝送線路CPW_C2には特性インピーダンス57Ω、100GHzにおける電気長0.057のコプレーナ線路を使用した。
また、分布ミキサ21のトランジスタQ2についても、同じくゲート幅10μmのInP−HEMTを使用し、伝送線路CPW_M1には特性インピーダンス65.3Ω、100GHzにおける電気長0.0305のコプレーナ線路を使用し、伝送線路CPW_M2には特性インピーダンス54.9Ω、100GHzにおける電気長0.031のコプレーナ線路を使用した。
本実施の形態のゲート注入型分布ミキサの変換利得を計算した結果を図3に示す。従来技術との比較のために、コンバイナ20の代わりに、F帯で動作するウィルキンソンカプラを用いた従来のゲート注入型分布ミキサの変換利得の計算結果を併せて示す。このウィルキンソンカプラを用いた従来のゲート注入型分布ミキサの構成を図4に示す。図3の100は本実施の形態のゲート注入型分布ミキサの変換利得を示し、101は図4のゲート注入型分布ミキサの変換利得を示している。
ここでは、RF入力端子1bに入力するRF信号の周波数を90GHz〜140GHzまで変化させ、IF出力端子7に出力されるIF信号の周波数を3GHzとしている。LO信号としてはRF信号よりも3GHz低い周波数の信号を用いている。RF入力電力は−30dBm、LO入力電力は−2dBmとした。
図4に示した従来のミキサでは、ウィルキンソンカプラ22の原理損失によりウィルキンソンカプラ22の部分でRF信号に対して少なくとも3dBの損失が生じ、これに伴い変換利得が低下してしまう。また、LO信号に対しても少なくとも3dBの原理損失が生じるため、ミキサを駆動するためのLO電力が3dB低下し、これによっても変換利得が低下する。
一方、ウィルキンソンカプラ22の代わりにコンバイナ20を用いることで、図3からわかるように、RF周波数90GHz〜140GHzにわたって変換利得が3dB改善していることが判る。
また、本実施の形態のコンバイナ20により入力端子間のアイソレーションが保たれることを説明するために、本実施の形態のゲート注入型分布ミキサにおいてRF入力端子1bに漏れるLO信号の強度、および図4のゲート注入型分布ミキサにおいてRF入力端子1bに漏れるLO信号の強度を計算した結果を図5に示す。図5の102は本実施の形態のゲート注入型分布ミキサのLOリークを示し、103は図4のゲート注入型分布ミキサのLOリークを示している。
本実施の形態のゲート注入型分布ミキサをF帯で基本波ミキサとして使用する場合、LO信号としてはF帯の中心周波数である115GHz付近を使用することになるが、図5によれば、115GHz付近で従来のウィルキンソンカプラを用いたゲート注入型分布ミキサと同等のLOリークの値である−20dBが得られていることが判る。115GHzでLOリークが大きく抑制されている理由は、第1の実施の形態で説明したようにコンバイナ20を結合線路と考えた場合の結合効果によるものである。
同様に、本実施の形態のゲート注入型分布ミキサにおいてLO入力端子2bに漏れるRF信号の強度、および図4のゲート注入型分布ミキサにおいてLO入力端子2bに漏れるRF信号の強度を計算した結果を図6に示す。図6の104は本実施の形態のゲート注入型分布ミキサのRFリークを示し、105は図4のゲート注入型分布ミキサのRFリークを示している。
図6によれば、本実施の形態のゲート注入型分布ミキサでは、従来のゲート注入型分布ミキサよりもRFリークが抑制されていることが判る。その理由は、RF入力端子1bからLO入力端子2bに漏洩する信号は、単位増幅器であるトランジスタQ1のアイソレーション特性により大きく抑制できるためである。
以上のように、第1の実施の形態で説明したコンバイナを用いることにより、合成損失無くRF信号、LO信号をトランジスタQ2のゲートに注入することができるため、ゲート注入型分布ミキサの変換利得を向上させることができる。また、進行波型回路の性質および結合回路の性質から、コンバイナ20の全長を上記の式(1)を満たすように調節することで、RF入力端子1bへのLOリークについても、従来のゲート注入型分布ミキサと同様のレベルまで抑制することができる。
ミキサにおいてしばしば問題となるRF入力端子1bへのLOリークをさらに大きく改善したい場合には、図7に示すように、図2のRF入力端子1bとLO入力端子2bを入れ替えた構成を用いることが考えられる。この場合、LO信号はトランジスタQ1のドレインに入力されるため、前記の方向性結合器と類似の効果に併せてトランジスタQ1のアイソレーション特性を利用することができ、更に大きなLOリーク抑制効果が得られる。
図7のゲート注入型分布ミキサおよび図4のゲート注入型分布ミキサの変換利得を計算した結果を図8に示す。図8の106は図7のゲート注入型分布ミキサの変換利得を示し、107は図4のゲート注入型分布ミキサの変換利得を示している。図7のゲート注入型分布ミキサおよび図4のゲート注入型分布ミキサにおいてRF入力端子1bに漏れるLO信号の強度を計算した結果を図9に示す。図9の108は図7のゲート注入型分布ミキサのLOリークを示し、109は図4のゲート注入型分布ミキサのLOリークを示している。図7のゲート注入型分布ミキサおよび図4のゲート注入型分布ミキサにおいてLO入力端子2bに漏れるRF信号の強度を計算した結果を図10に示す。図10の110は図7のゲート注入型分布ミキサのRFリークを示し、111は図4のゲート注入型分布ミキサのRFリークを示している。
図7のゲート注入型分布ミキサの変換利得は、図3の場合と同様に、ウィルキンソンカプラを用いた従来のゲート注入型分布ミキサよりも原理損失である3dB分上回っていることが判る。
また、図7のゲート注入型分布ミキサのRF入力端子1bへのLOリークについては、90GHzから140GHzまでの値が−25dB以下と、非常に良好な特性が得られていることが分かる。
さらに、図7の構成では、コンバイナ20はRF信号に対しては分布増幅器としても動作するため、コンバイナ20を構成する1段ソース接地回路(単位回路)の段数を増やすことにより、RF信号に対して利得が得られ、更に変換利得を向上させることも可能となる。
なお、図7の構成では、RF信号をコンバイナ20で大きく増幅することができるため、変換利得は図2の構成よりも大きくすることができるが、増幅された大信号のRF信号が分布ミキサ21に入力されるため、分布ミキサ21でRF信号の高調波成分が生じることもある。したがって、RF入力電力に対する線形性を大きく確保したい場合には、図2の構成を使用すればよい。
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。図11は本発明の第3の実施の形態に係るコンバイナの構成を示すブロック図である。本発明のコンバイナは、コンバイナ機能に加えて、信号を分配するディバイダとしての機能も持たせることができる。
本実施の形態のコンバイナは、縦続接続された複数の伝送線路CPW_C1(第1の伝送線路)と、縦続接続された複数の伝送線路CPW_U1(第2の伝送線路)と、縦続接続された複数の伝送線路CPW_L1(第3の伝送線路)と、伝送線路CPW_C1,CPW_U1,CPW_L1に沿って配置され、入力端子が伝送線路CPW_C1に接続され、出力端子が伝送線路CPW_U1に接続された複数の単位増幅器UA_Uと、伝送線路CPW_C1,CPW_U1,CPW_L1に沿って配置され、入力端子が伝送線路CPW_C1に接続され、出力端子が伝送線路CPW_L1に接続された複数の単位増幅器UA_Lと、伝送線路CPW_C1の終端と接地とを接続する終端抵抗R1(第1の終端回路)とを備えている。
縦続接続された複数の伝送線路CPW_C1と複数の単位増幅器UA_U,UA_Lとは第1の疑似線路を構成している。初段の伝送線路CPW_C1の入力端がコンバイナの入力信号端子2aに接続され、終段の伝送線路CPW_C1の終端が終端抵抗R1に接続される。
縦続接続された複数の伝送線路CPW_U1は第2の疑似線路を構成している。初段の伝送線路CPW_U1の入力端がコンバイナの入力信号端子1aUに接続され、終段の伝送線路CPW_U1の終端がコンバイナの混合出力信号端子3aUに接続される。
縦続接続された複数の伝送線路CPW_L1は第3の疑似線路を構成している。初段の伝送線路CPW_L1の入力端がコンバイナの入力信号端子1aLに接続され、終段の伝送線路CPW_L1の終端がコンバイナの混合出力信号端子3aLに接続される。
第1の実施の形態と同様に、本実施の形態のコンバイナは、単位回路を複数段縦続接続した回路である。ここでの単位回路とは、1個の単位増幅器UA_Uと、この単位増幅器UA_Uの入力端子と同じ位置に入力端子が接続された単位増幅器UA_Lと、単位増幅器UA_U,UA_Lの入力端子に接続された伝送線路CPW_C1のうち入力側にある1個の伝送線路CPW_C1と、単位増幅器UA_U,UA_Lの入力端子に接続された伝送線路CPW_C1のうち出力側にある1個の伝送線路CPW_C1と、単位増幅器UA_Uの出力端子に接続された伝送線路CPW_U1のうち入力側にある1個の伝送線路CPW_U1と、単位増幅器UA_Uの出力端子に接続された伝送線路CPW_U1のうち出力側にある1個の伝送線路CPW_U1と、単位増幅器UA_Lの出力端子に接続された伝送線路CPW_L1のうち入力側にある1個の伝送線路CPW_L1と、単位増幅器UA_Lの出力端子に接続された伝送線路CPW_L1のうち出力側にある1個の伝送線路CPW_L1とからなる回路のことである。
図11において、入力信号端子2aに入力された信号は、混合出力信号端子3aUと混合出力信号端子3aLに分配出力され、入力信号端子1aUに入力された信号は、損失無く混合出力信号端子3aUに出力される。入力信号端子1aLに入力された信号は、同様に混合出力信号端子3aLに出力される。すなわち、混合出力信号端子3aUには、入力信号端子1aUに入力された信号と入力信号端子2aに入力された信号とが合成出力され、混合出力信号端子3aLには、入力信号端子1aLに入力された信号と入力信号端子2aに入力された信号とが合成出力される。
入力信号端子2aに入力された信号が混合出力信号端子3aUおよび混合出力信号端子3aLに分配出力される理由は、入力信号端子2aから見て混合出力信号端子3aUと混合出力信号端子3aLが対称な配置となっているためである。このとき、第1の実施の形態のコンバイナと同様の理由により、入力信号端子1aU,2a間のアイソレーション、入力信号端子1aU,1aL間のアイソレーション、および入力信号端子2a,1aL間のアイソレーションは保たれる。
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。図12は本発明の第4の実施の形態に係るミキサの構成を示す回路図である。本実施の形態は、第3の実施の形態のコンバイナをミキサに適用した例である。本実施の形態のミキサは、コンバイナ30と、分布ミキサ31と、コンバイナ30と分布ミキサ31とを接続するキャパシタC2,C3とを備えている。
コンバイナ30は、第3の実施の形態で説明した単位回路を4段縦続接続したものであり、単位増幅器UA_U,UA_Lとしてカスコード増幅回路を用いている。単位増幅器UA_Uとなるカスコード増幅回路は、ソースが接地された電界効果トランジスタQ3と、ゲートに一定のバイアス電圧Vbが入力され、ソースが電界効果トランジスタQ3のドレインに接続された電界効果トランジスタQ4と、伝送線路CPW_C1と電界効果トランジスタQ3のゲートとの間に設けられた伝送線路CPW_U2と、伝送線路CPW_U1と電界効果トランジスタQ4のドレインとの間に設けられた伝送線路CPW_U3とから構成される。
単位増幅器UA_Lとなるカスコード増幅回路は、ソースが接地された電界効果トランジスタQ5と、ゲートにバイアス電圧Vbが入力され、ソースが電界効果トランジスタQ5のドレインに接続された電界効果トランジスタQ6と、伝送線路CPW_C1と電界効果トランジスタQ5のゲートとの間に設けられた伝送線路CPW_L2と、伝送線路CPW_L1と電界効果トランジスタQ6のドレインとの間に設けられた伝送線路CPW_L3とから構成される。なお、説明を簡単にするために、図12ではバイアス電圧Vbを発生するバイアス回路の記載を省略している。バイアス電圧Vb(Vb>接地電位)は、例えばトランジスタQ3〜Q6が飽和しない程度の値に設定すればよい。
図11の入力信号端子1aUに相当する端子1bはRF信号が入力されるRF入力端子であり、図11の入力信号端子2aに相当する端子2bはLO信号が入力されるLO入力端子である。図11の入力信号端子1aLに相当する端子(初段の伝送線路CPW_L1の入力端)は抵抗R4を介して接地されている。抵抗R4の値としては伝送線路CPW_L1の特性インピーダンスと同一の値が使用される。したがって、通常は50Ωが使用される。終段の伝送線路CPW_U1の終端(混合出力信号端子3aU)はキャパシタC2の一端に接続され、終段の伝送線路CPW_L1の終端(混合出力信号端子3aL)はキャパシタC3の一端に接続される。
分布ミキサ31は、縦続接続された複数の伝送線路CPW_M1(第4の伝送線路)と、縦続接続された複数の伝送線路CPW_M2(第5の伝送線路)と、伝送線路CPW_M1,CPW_M2に沿って配置され、入力端子が伝送線路CPW_M1に接続され、出力端子が伝送線路CPW_M2に接続された複数の単位ミキサである電界効果トランジスタQ7と、伝送線路CPW_M1の終端と接地とを接続する終端抵抗R2(第2の終端回路)とから構成される。
初段の伝送線路CPW_M1の入力端(分布ミキサ31の第1の入力信号端子)がキャパシタC2の他端に接続され、終段の伝送線路CPW_M1の終端が終端抵抗R2に接続される。初段の伝送線路CPW_M2の入力端(分布ミキサ31の第2の入力信号端子)がキャパシタC3の他端に接続され、終段の伝送線路CPW_M2の終端がミキサのIF出力端子7に接続される。単位ミキサの入力端子であるトランジスタQ7のゲートは伝送線路CPW_M1に接続され、単位ミキサの出力端子であるトランジスタQ7のドレインは伝送線路CPW_M2に接続される。トランジスタQ7のソースは接地されている。
分布ミキサ31は、1段ソース接地ミキサである単位回路を複数段縦続接続した回路である。ミキサの単位回路とは、1個のトランジスタQ7と、このトランジスタQ7のゲートに接続された伝送線路CPW_M1のうち入力側にある1個の伝送線路CPW_M1と、トランジスタQ7のゲートに接続された伝送線路CPW_M1のうち出力側にある1個の伝送線路CPW_M1と、トランジスタQ7のドレインに接続された伝送線路CPW_M2のうち入力側にある1個の伝送線路CPW_M2と、トランジスタQ7のドレインに接続された伝送線路CPW_M2のうち出力側にある1個の伝送線路CPW_M2とからなる回路のことである。
本実施の形態では、第3の実施の形態で説明したコンバイナ30を用いることにより、従来のコンバイナでは実現が難しい、トランジスタQ7のドレインとゲートに同時にLO信号を注入するミキサの実現が可能となる。分布ミキサ31では、トランジスタQ7のドレイン電圧、ゲート電圧の両方の電圧をLO信号で同時に変調することで、変換利得が大きくなる。
変換利得が大きくなる理由は次のとおりである。トランジスタのドレインのみにLO信号を注入するミキサとして、ドレイン注入ミキサが知られている。このドレイン注入ミキサは、トランジスタのゲートに入力されるRF信号に対する利得を、ドレインに入力するLO信号により変化させることにより、RF信号とLO信号のミキシングを行う。ゲート電圧は、ドレイン電圧によりトランジスタの利得(トランスコンダクタンス)が変化しやすいニー電圧付近に固定される。
ここで、ドレイン電圧だけでなく、ゲート電圧も同時に変化させることができれば、トランスコンダクタンスの変化量をさらに大きくすることができる。すなわち、ドレイン電圧が飽和電圧以上かかり利得が大きくなると同時に、ゲート電圧も閾値より十分大きくすることで、RF信号に対する利得はきわめて大きくなる。また、ドレイン電圧がニー電圧より十分低くなり利得が小さくなると同時に、ゲート電圧も閾値以下にすることにより、利得をきわめて小さくすることが可能となる。したがって、単位ミキサを構成するトランジスタQ7のドレインとゲートに同位相でLO信号を注入することで、従来のゲート注入ミキサやドレイン注入ミキサよりも変換利得の高いミキサを実現することが可能となる。
コンバイナ30は、RF信号の疑似線路通過損失を下げるために、カスコード構成の単位増幅器UA_U,UA_Lを使用することで、RF信号線から見た出力抵抗を増加させている。LO入力端子2bに入力されたLO信号は、コンバイナ30の一方の混合出力信号端子(伝送線路CPW_U1の終端)と他方の混合出力信号端子(伝送線路CPW_L1の終端)に等分配され、同位相で分布ミキサ31のトランジスタQ7のドレインとゲートに注入される。RF入力端子1bに入力されたRF信号は、LO信号とアイソレーションを保ったままコンバイナ30の一方の混合出力信号端子(伝送線路CPW_U1の終端)に出力され、分布ミキサ31に入力される。
本実施の形態のミキサの変換利得を計算した結果を図13に示す。IF信号は3GHzに固定した。また、LO電力は図2、図7のミキサの場合よりも3dB大きい1dBmとした。これにより、トランジスタQ7のゲート、ドレインに入力されるLO電力は、図2、図7のミキサと等しい−2dBmとなる。図13から、F帯内で変換利得は−4.5dB以上と、図2、図7のミキサと比較して非常に良好な特性が得られていることが判る。従来のコンバイナで上記のような複雑な信号入力、合成、分配形態を作り出すことは難しいため、このような非常に変換利得の高いミキサを実現するためには第3、第4の実施の形態のコンバイナが非常に有効であることが判る。
なお、第1、第2の実施の形態では、単位増幅器UAとしてトランジスタQ1からなるソース接地増幅回路を用いたが、これに限るものではなく、単位増幅器UAとして本実施の形態で説明したカスコード増幅回路を用いてもよい。
また、第3、第4の実施の形態では、単位増幅器UA_U,UA_Lとしてカスコード増幅回路を用いたが、ソース接地増幅回路を用いてもよい。
本発明は、2つ以上の高周波電気信号を混合する技術に適用することができる。
1a,1aU,1aL,2a…入力信号端子、1b…RF入力端子、2b…LO入力端子、3a,3aU,3aL…混合出力信号端子、7…IF出力端子、10,11…疑似線路、20,30…コンバイナ、21,31…分布ミキサ、CPW_C1,CPW_C2,CPW_M1,CPW_M2,CPW_U1〜CPW_U3,CPW_L1〜CPW_L3…伝送線路、Q1〜Q7…電界効果トランジスタ、UA,UA_U,UA_L…単位増幅器、R1〜R4…終端抵抗、C1〜C3…キャパシタ。

Claims (8)

  1. 入力端が第1の入力信号端子に接続された第1の伝送線路と、
    入力端が第2の入力信号端子に接続され、終端が出力信号端子に接続された第2の伝送線路と、
    前記第1、第2の伝送線路に沿って配置され、入力端子が前記第1の伝送線路に接続され、出力端子が前記第2の伝送線路に接続された複数の単位増幅器と、
    前記第1の伝送線路の終端に接続された第1の終端回路とを備え、
    前記第1、第2の入力信号端子に入力された信号が合成され前記出力信号端子から出力されることを特徴とするコンバイナ。
  2. 請求項1記載のコンバイナにおいて、
    前記単位増幅器は、ソース接地増幅回路またはカスコード増幅回路からなることを特徴とするコンバイナ。
  3. 入力端が第1の入力信号端子に接続された第1の伝送線路と、
    入力端が第2の入力信号端子に接続され、終端が第1の出力信号端子に接続された第2の伝送線路と、
    入力端が第3の入力信号端子に接続され、終端が第2の出力信号端子に接続された第3の伝送線路と、
    前記第1、第2、第3の伝送線路に沿って配置され、入力端子が前記第1の伝送線路に接続され、出力端子が前記第2の伝送線路に接続された複数の第1の単位増幅器と、
    前記第1、第2、第3の伝送線路に沿って配置され、入力端子が前記第1の伝送線路に接続され、出力端子が前記第3の伝送線路に接続された複数の第2の単位増幅器と、
    前記第1の伝送線路の終端に接続された第1の終端回路とを備え、
    前記第1、第2の入力信号端子に入力された信号が合成され前記第1の出力信号端子から出力され、前記第1、第3の入力信号端子に入力された信号が合成され前記第2の出力信号端子から出力されることを特徴とするコンバイナ。
  4. 請求項3記載のコンバイナにおいて、
    前記第1、第2の単位増幅器は、ソース接地増幅回路またはカスコード増幅回路からなることを特徴とするコンバイナ。
  5. 請求項1または2記載のコンバイナと、
    入力信号端子が前記コンバイナの出力信号端子に接続されたミキサ回路とを備え、
    前記コンバイナの第1の入力信号端子に局部発振信号が入力され、前記コンバイナの第2の入力信号端子に高周波信号が入力され、前記ミキサ回路の混合出力信号端子から中間周波信号が出力されることを特徴とするミキサ。
  6. 請求項5記載のミキサにおいて、
    前記ミキサ回路は、ゲート注入型の分布ミキサからなり、
    前記ゲート注入型の分布ミキサは、
    入力端が前記コンバイナの出力信号端子に接続された第3の伝送線路と、
    終端が前記混合出力信号端子に接続された第4の伝送線路と、
    前記第3、第4の伝送線路に沿って配置され、ゲート端子が前記第3の伝送線路に接続され、ドレイン端子が前記第4の伝送線路に接続された複数の電界効果トランジスタと、
    前記第3の伝送線路の終端に接続された第2の終端回路と、
    前記第4の伝送線路の入力端に接続された第3の終端回路とから構成されることを特徴とするミキサ。
  7. 請求項3または4記載のコンバイナと、
    第1の入力信号端子が前記コンバイナの第1の出力信号端子に接続され、第2の入力信号端子が前記コンバイナの第2の出力信号端子に接続されたミキサ回路とを備え、
    前記コンバイナの第1の入力信号端子に局部発振信号が入力され、前記コンバイナの第2の入力信号端子に高周波信号が入力され、前記ミキサ回路の混合出力信号端子から中間周波信号が出力されることを特徴とするミキサ。
  8. 請求項7記載のミキサにおいて、
    前記ミキサ回路は、分布ミキサからなり、
    前記分布ミキサは、
    入力端が前記コンバイナの第1の出力信号端子に接続された第4の伝送線路と、
    入力端が前記コンバイナの第2の出力信号端子に接続され、終端が前記混合出力信号端子に接続された第5の伝送線路と、
    前記第4、第5の伝送線路に沿って配置され、ゲート端子が前記第4の伝送線路に接続され、ドレイン端子が前記第5の伝送線路に接続された複数の電界効果トランジスタと、
    前記第4の伝送線路の終端に接続された第2の終端回路とから構成されることを特徴とするミキサ。
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