JP6290519B1 - ポリアミド系積層フィルム及びその製造方法 - Google Patents

ポリアミド系積層フィルム及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】厚みの均一性に優れるとともに、0度方向、45度方向、90度方向及び135度方向からなる4方向における物性のバラツキが比較的小さなポリアミド系積層フィルム及びその製造方法を提供する。【解決手段】ポリアミド系フィルム表面の少なくとも片面に、共重合ポリエステル樹脂層を有する積層フィルムであって、(1)ポリアミド系フィルムにおける任意の点から特定の方向を0度とし、その方向に対して時計回りに45度、90度及び135度の4方向において、一軸引張試験による5%伸長時の各応力の最大値と最小値の差が35MPa以下、(2)前記4方向において、一軸引張試験による15%伸長時の各応力の最大値と最小値の差が40MPa以下であるポリアミド系積層フィルムに係る。【選択図】図7

Description

本発明は、新規なポリアミド系積層フィルムとその製造方法に関する。さらに、本発明は、その積層フィルムを用いた積層体及び容器に関する。
各種の樹脂フィルムは、さまざまな加工を施すことによって包装体等の各種の製品とされている。例えば、薬剤(錠剤)等の包装体(プレススルーパック)には塩化ビニルフィルムが使用されている。また例えば、防湿性が要求される内容物を包装する場合にはポリプロピレンフィルムが使用されている。近年では、内容物の品質保持の観点からより優れたガスバリア性又は防湿性を付与することを目的として、樹脂フィルムに金属箔を積層してなる積層体が使用されている。例えば、基材層(樹脂フィルム)/金属箔層(アルミニウム箔)/シーラント層から構成される積層体が知られている。
工業分野においては、リチウムイオン電池の外装材は、従来より金属缶タイプが主流であるが、形状の自由度の低さ、軽量化の困難さ等の欠点が指摘されている。このため、基材層/金属箔層/シーラント層からなる積層体、あるいは基材層/基材層/金属箔層/シーラント層からなる積層体を外装体として用いることが提案されている。このような積層体は、金属缶と比較して柔軟で形状の自由度が高く、さらに薄膜化による軽量化が可能であり、かつ、小型化が容易であることから、広く用いられるようになっている。
上記用途で使用される積層体にはさまざまな性能が要求されており、特に防湿性は非常に重要な要素となる。ところが、防湿性を付与するアルミニウム箔等の金属箔は単体では延展性に乏しく、成型性に劣る。このため、基材層を構成する樹脂フィルムとしてポリアミド系フィルムを用いることにより延展性を付与し、成型性を高めている。
この場合の成型性とは、特にフィルムを冷間成型(冷間加工)する際の成型性である。すなわち、フィルムを成型することにより製品を製造する際、その成型条件として、a)樹脂を加熱下で溶融させて成型する熱間成型及びb)樹脂を溶融させることなく、固体のまま成型する冷間成型があるが、上記用途では冷間成型(特に絞り加工、張り出し加工)における成型性が求められる。冷間成型は、加熱工程がないので生産速度・コスト面で優れることに加え、樹脂本来の特徴を引き出せるという点で熱間成型よりも有利な成型方法である。このため、ポリアミド系フィルムとしても、冷間成型に適したフィルムの開発が進められている。
このようなポリアミド系フィルムとしては、延伸加工されたポリアミド系フィルムが知られている(例えば特許文献1〜2)。しかし、これらのポリアミド系フィルムは、チューブラー法で延伸することにより製造されたものである。すなわち、生産性が低いだけでなく、得られる延伸フィルムは厚みの均一性、寸法安定性等の点でいずれも十分に満足できるものではない。特に、フィルムの厚みにムラがある場合、そのフィルムと金属箔との積層体を冷間成型により加工しようとすると、金属箔の破断、ピンホール等の致命的な欠陥が生じるおそれがある。
これに対し、テンター法で延伸されたポリアミド系フィルムも提案されている(例えば特許文献3〜10)。テンター法は、チューブラー法に比べて生産性、寸法安定性等という点で有利である。
特許第5487485号 特許第5226942号 特許第5467387号 特開2011−162702号 特開2011−255931号 特開2013−189614号 特許第5226941号 特開2013−22773号 国際公開WO2014/084248号 特許第3671978号
しかしながら、テンター法により延伸されたポリアミド系フィルムにおいても、フィルムの各方向において物性のバラツキ(異方性)がなお存在する。このため、冷間成型(特に深絞り成型)を行う際の成型性においては十分に満足できる性能を有しているとはいえない。
ポリアミド系フィルム14は、図1に示すような工程で製造される。まず、原料11が溶融混練工程11aで溶融されることにより溶融混練物12が調製される。溶融混練物12を成形工程12aによりシート状に成形して未延伸シート13が得られる。次いで、未延伸シート13を延伸工程13aで二軸延伸されることによってポリアミド系フィルム14が得られる。さらに、この延伸されたポリアミド系フィルム14は、例えば金属箔層15とシーラントフィルム16とを順に貼り合わせる積層工程14aを経て積層体17を作製した後、二次加工として冷間成型工程15aにおいて積層体17が所定の形状に加工されることにより各種の製品18(例えば容器等)となる。
このような延伸されたポリアミド系フィルム14において、その平面における各方向における物性のバラツキを軽減することが望ましいが、少なくとも90度ごとの4方向(任意の方向を基準(0度)として、その方向に対して時計回りで45度、90度及び135度の合計4方向)における物性のバラツキを減らすことが好ましい。例えば、二軸延伸されたポリアミド系フィルムでは、図4に示すように、任意の点Aを中心とし、二軸延伸時におけるMD(フィルムの流れ方向)を基準方向(0度方向)とすれば、(a)基準方向(0度方向)、(b)MDに対して時計回りに45度の方向(以下「45度方向」という。)、(c)MDに対して時計回りに90度の方向(TD:フィルムの流れ方向に対して直角方向)(以下「90度方向」という。)及び(d)MDに対して時計回りに135度の方向(以下「135度方向」という。)の4方向の物性のバラツキをなくすことが望ましい。
延伸されたポリアミド系フィルム14を含む積層体17を冷間成型工程15aに供する場合、ポリアミド系フィルム14が全方向へ引き伸ばされるため、ポリアミド系フィルム14における前記4方向の物性にバラツキがある場合、冷間成型時に全方向へ均一に伸ばすことが困難となる。すなわち、伸びやすい方向と伸びにくい方向とが存在することで、金属箔が破断したり、デラミネーション又はピンホールが発生する。このような問題が起こると、包装体等としての機能が果たせなくなり、被包装体(内容物)の損傷等につながるおそれがある。このため、各方向における物性のバラツキをできるだけ低減することが必要である。
この場合、冷間成型時の成型性に影響を与える物性の1つとしてフィルムの厚みがある。フィルムの厚みにバラツキがあるポリアミド系フィルムを含む積層体を冷間成型する場合は、相対的に薄い部分が破れてピンホールが生じたり、デラミネーションを引き起こすおそれが高くなる。このため、冷間成型に用いられるポリアミド系フィルムは、フィルム全体にわたって厚みを均一に制御することも必要不可欠である。
ここに、ポリアミド系フィルムの厚みの均一性については、チューブラー法よりもテンター法で延伸された場合の方がほうが優れるものの、上記の特許文献3〜10により得られたポリアミド系フィルムの厚み精度は十分に満足できるものではない。つまり、冷間成型時には上記したように縦横斜めの4方向に均一に伸ばすことが必要であるため、冷間成型に耐えられるだけの十分な厚みの均一性が必要である。とりわけ、フィルム厚みが薄くなればなるほど(特に厚みが約15μm以下)、厚みの均一性が成型性へ与える影響はより顕著になる。
一般に、フィルムの厚みの均一性はその厚みが厚いほど確保しやすいので、厚みの均一性を確保するために比較的厚めに設計するということも考えられる。ところが、近年において、冷間成型用に使用されるポリアミド系フィルム及びその積層体は、リチウムイオン電池の外装材を中心に広く使用されるようになっており、電池のさらなる高出力化、小型化、コスト削減の要請等に伴い、ポリアミド系フィルムの厚みをより薄くすることが求められている。しかし、厚みを薄くすれば、それだけ厚みの均一性を確保することが困難となる。
このように、より薄くても、厚みの均一性に優れるとともに前記4方向における物性のバラツキが比較的小さなポリアミド系フィルムの開発が切望されているものの、このようなフィルムは未だ開発されるに至っていないのが現状である。
また、リチウムイオン電池の外装材としては、ポリアミド系フィルムと金属箔層とを接着剤にて接着させる必要があるが、ポリアミド系フィルムにより金属箔に延展性を付与する効果を、接着剤層により阻害しないことが重要である。
従って、本発明の主な目的は、厚みの均一性に優れるとともに、前記4方向における物性のバラツキが効果的に抑えられ、金属箔に十分な延展性を付与することができるポリアミド系積層フィルムを提供することにある。
本発明者は、従来技術の問題点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、特定の製法を採用することによって特異な物性を有するポリアミド系フィルムが得られるという知見に基づいて上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記のポリアミド系積層フィルム及びその製造方法に係るものである。
1. ポリアミド系フィルム及びその表面の少なくとも一方の表面上にある共重合ポリエステル樹脂層を含む積層フィルムであって、ポリアミド系フィルムは下記(1)及び(2)の特性;
(1)ポリアミド系フィルムにおける任意の点から特定の方向を0度とし、その方向に対して時計回りに45度、90度及び135度の4方向において、一軸引張試験による5%伸長時の各応力の最大値と最小値の差が35MPa以下であること、及び
(2)前記4方向において、一軸引張試験による15%伸長時の各応力の最大値と最小値の差が40MPa以下であること、
をすべて満たすことを特徴とするポリアミド系積層フィルム。
2. ポリアミド系フィルムは、任意の点から特定の方向を0度とし、その方向に対して時計回りに45度、90度、135度、180度、225度、270度及び315度の8方向の厚みの標準偏差が0.200μm以下である、前記項1に記載のポリアミド系積層フィルム。
3. ポリアミド系フィルムの平均厚みが16μm以下である、前記項1に記載のポリアミド系積層フィルム。
4. 共重合ポリエステル樹脂層の厚みが0.1〜15μmである、前記項1に記載のポリアミド系積層フィルム。
5. ポリアミド系フィルム中に有機滑剤及び無機滑剤の少なくとも1種を含有する、前記項1に記載のポリアミド系積層フィルム。
6. 共重合ポリエステル樹脂層が、ガラス転移温度が10℃以下である共重合ポリエステル樹脂を含む、前記項1に記載のポリアミド系積層フィルム。
7. 前記項1〜6のいずれかに記載のポリアミド系積層フィルムと金属箔とを含む積層体。
8. 前記項7に記載の積層体を含む容器。
9. ポリアミド系フィルム及びその表面の少なくとも一方の表面上にある共重合ポリエステル樹脂層を含む積層フィルムを製造する方法であって、ポリアミド系フィルムを製造する第1工程とポリアミド系フィルムに共重合ポリエステル樹脂層を積層する第2工程とを含み、
前記第1工程は、
(1)ポリアミド樹脂を含む溶融混練物をシート状に成形することにより未延伸シートを得るシート成形工程、
(2)前記未延伸シートをMD及びTDに逐次又は同時に二軸延伸することによって延伸フィルムを得る延伸工程を含み、
前記延伸工程が逐次二軸延伸であり、
(2−1)50〜70℃の温度下で前記未延伸シートをMDに延伸することによって第1延伸フィルムを得る第1延伸工程及び
(2−2)70〜130℃の温度下で前記第1延伸フィルムをTDに延伸することによって第2延伸フィルムを得る第2延伸工程
を含み、
かつ、
(3)下記式a)及びb);
a)0.85≦X/Y≦0.95
b)8.5≦X×Y≦9.5
(但し、Xは前記MDの延伸倍率を示し、Yは前記TDの延伸倍率を示す。)
の両方を満たす、
ことを特徴とするポリアミド系積層フィルムの製造方法。
10. 第1延伸工程がロールを用いる延伸であり、かつ、第2延伸工程がテンターを用いる延伸である、前記項9に記載のポリアミド系積層フィルムの製造方法。
11. 第2延伸フィルムをさらに180〜230℃の温度下で弛緩熱処理を行う、前記項9に記載のポリアミド系積層フィルムの製造方法。
12. 第2工程が、共重合ポリエステル樹脂を含む塗工液をポリアミド系フィルムの少なくとも一方の表面に塗布する工程を含む、前記項9に記載のポリアミド系積層フィルムの製造方法。
本発明のポリアミド系積層フィルムにおけるポリアミド系フィルムは、厚みの均一性に優れるとともに、0度方向、45度方向、90度方向及び135度方向からなる4方向における伸長時の応力バランスに優れている。このため、本発明の積層フィルムと金属箔とを積層して得られる積層体は、金属箔が良好な延展性を有するものとなり、冷間成型にて絞り成型(特に深絞り成型又は張り出し成型)を行う際に、金属箔の破断、デラミネーション、ピンホール等が効果的に抑制ないしは防止されており、信頼性の高い高品質の製品(成形体)を得ることが可能となる。
特に、本発明におけるポリアミド系フィルムは、例えば厚みが16μm以下という極めて薄いものであっても、前記4方向における伸長時応力のバランスに優れるとともに、厚みの均一性に優れている。これにより、このフィルムと金属箔と積層した積層体は、冷間成型にてより高出力で小型化した製品を得ることが可能となり、コスト的にも有利になる。
さらに、本発明のポリアミド系積層フィルムは、接着剤層として共重合ポリエステル樹脂層を有しているため、金属箔との接着性に優れるとともに、ポリアミド系フィルムが有する金属箔への延展性の付与効果を阻害することがない。このため、本発明のポリアミド系積層フィルムを金属箔と用いることにより、冷間成型性に優れた積層体を得ることが可能となる。また、本発明のポリアミド系フィルムの製造方法によれば、上記のような優れた特性を有するポリアミド系フィルムを効率的にかつ確実に製造することができる。特に、厚みが16μm以下という極めて薄いフィルムであっても、厚みの均一性に優れたフィルムを提供することができる。しかも、比較的低い温度で延伸する場合には、樹脂本来の特性をより効果的に維持できる結果、冷間成型によりいっそう適したフィルム及び積層体を提供することができる。
本発明のポリアミド系フィルムの製造工程及び冷間加工工程の概要を示す模式図である。 本発明の製造方法に係る逐次二軸延伸により未延伸シートが延伸される工程を示す模式図である。 テンターによる延伸工程を図2のa方向からみた状態を示す図である。 フィルムにおける応力を測定する方向を示す図である。 フィルムにおける応力を測定するための試料を示す図である。 フィルムにおける平均厚みを測定する方法を示す図である。 本発明のポリアミド系積層フィルムの層構成を示す図である。 本発明の積層体の実施形態に係る層構成を示す図である。 本発明の積層体の別の実施形態に係る層構成を示す図である。
1.ポリアミド系積層フィルム及びその製造方法
1−1.ポリアミド系積層フィルム
本発明のポリアミド系積層フィルム(以下、単に「積層フィルム」という。)は、ポリアミド系フィルム及びその表面の少なくとも一方の表面上にある共重合ポリエステル樹脂層を含む積層フィルムであって、ポリアミド系フィルムは下記(1)及び(2)の特性;
(1)ポリアミド系フィルムにおける任意の点から特定の方向を0度とし、その方向に対して時計回りに45度、90度及び135度の4方向において、一軸引張試験による5%伸長時の各応力の最大値と最小値の差が35MPa以下であること、及び
(2)前記4方向において、一軸引張試験による15%伸長時の各応力の最大値と最小値の差が40MPa以下であること、
をすべて満たすことを特徴とする。
図7に本発明の積層フィルムの層構成の模式図を示す。本発明の積層フィルム50は、ポリアミド系フィルム51を基材層として、その片面上に共重合ポリエステル樹脂層52が積層されている。図7では、共重合ポリエステル樹脂層52は、ポリアミド系フィルム51の片面上に配置されているが、両面上に配置されていても良い。また、共重合ポリエステル樹脂層52は、ポリアミド系フィルム51に直に隣接して積層されていても良いし、ポリアミド系フィルム51と共重合ポリエステル樹脂層52との層間に形成されたプライマー層(図示せず)を介して積層されていても良い。以下においては、本発明の積層フィルムの構成について説明する。
(A)ポリアミド系フィルム
ポリアミド系フィルム(以下「本発明フィルム」と略することがある。)は、(1)ポリアミド系フィルムにおける特定の方向を0度とし、その方向に対して時計回りに45度、90度及び135度の4方向において、一軸引張試験による5%伸長時の各応力の最大値と最小値の差(A値)が35MPa以下である。(2)前記4方向において、一軸引張試験による15%伸長時の各応力の最大値と最小値の差(B値)が40MPa以下である。
(A−1)ポリアミド系フィルムの材質・組成
本発明フィルムは、ポリアミド樹脂を主成分とするフィルムである。ポリアミド樹脂は、複数のモノマーがアミド結合して形成されたポリマーである。その代表的なものとしては、例えば6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン、11−ナイロン、12−ナイロン、ポリ(メタキシレンアジパミド)等が挙げられる。また、ポリアミド樹脂としては、例えば6−ナイロン/6,6−ナイロン、6−ナイロン/6,10−ナイロン、6−ナイロン/11−ナイロン、6−ナイロン/12−ナイロン等の2元以上の共重合体でも良い。また、これらが混合されたものであっても良い。上記の中でも、冷間成型性、強度、コスト等の観点から、a)6−ナイロンのホモポリマー、b)6−ナイロンを含むコポリマー又はc)これらの混合物が好ましい。
ポリアミド樹脂の数平均分子量は、特に限定されず、用いるポリアミド樹脂の種類等に応じて変更できるが、通常10000〜40000程度、特に15000〜25000とすることが望ましい。このような範囲内のポリアミド樹脂を用いることにより、比較的低温下でも延伸しやすくなる結果、比較的高い温度下で延伸する場合に生じ得る結晶化及びそれによる冷間成型性の低下等をより確実に回避することができる。
本発明フィルム中におけるポリアミド樹脂の含有量は、通常は90〜100質量%であり、好ましくは95〜100質量%であり、より好ましくは98〜100質量%である。すなわち、本発明の効果を妨げない範囲内で、必要に応じてポリアミド樹脂以外の成分が含まれていても良い。例えば、ポリオレフィン類、ポリアミドエラストマー類、ポリエステルエラストマー類等の耐屈曲ピンホール性改良剤のほか、顔料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐剤、帯電防止剤、無機微粒子等の各種の添加剤を1種あるいは2種以上を添加しても良い。また、スリップ性を付与するための滑剤として、各種の無機滑剤、有機滑剤の少なくとも1種が含まれていることが好ましい。これら滑剤(粒子)を添加する方法としては、原料とするポリアミド樹脂中に粒子を含有させて添加する方法、押出機に直接添加する方法等を挙げることができ、このうちいずれかの一方の方法を採用しても良く、2つ以上の方法を併用しても良い。
本発明フィルムは、ポリアミド系フィルム自体のほか、ポリアミド系フィルムにプライマー層を形成したものも包含する。プライマー層を有するポリアミド系フィルムを用いる場合、プライマー層表面に共重合ポリエステル樹脂層を形成して金属箔を貼り合わせると、ポリアミド系フィルムと金属箔との接着性をより高めることができる。これにより、金属箔との接着強力が向上するとともに、金属箔により十分な延展性を付与することができる。このため、ポリアミド系フィルム又は金属箔が破断しにくくなることに加えて、デラミネーション又はピンホールの発生をより効果的に防止することができる。従って、このようなプライマー層を含む場合も、本発明のポリアミド系フィルムに包含される。
プライマー層は、例えばポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等の各種の合成樹脂を含む層を採用することができる。特に、ポリウレタン樹脂を含むプライマー層が好ましい。このようなポリウレタン樹脂としては、例えばアニオン型水分散性ポリウレタン樹脂を含有することが好ましい。この樹脂を含有するプライマー層は、例えばポリアミド系フィルムの表面に前記樹脂を含む水性塗剤を(プライマー層を有しない)ポリアミド系フィルムに塗布することにより好適に形成することができる。
ポリウレタン樹脂は、例えば多官能イソシアネートと水酸基含有化合物との反応により得られるポリマーである。より詳細には、トリレンジイソイアネート、ジフェニルメタンイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、又はヘキサメチレンジイソシアネート、キシレンイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート等の多官能イソシアネートと、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリアクリレートポリオール、ポリカーボネートポリオール等の水酸基含有化合物との反応により得られるウレタン樹脂を例示することができる。
本発明において用いられるアニオン型水分散性ポリウレタン樹脂は、ポリウレタン樹脂中にアニオン性官能基が導入されたものである。ポリウレタン樹脂中にアニオン性官能基を導入する方法としては、限定的でなく、例えばa)ポリオール成分としてアニオン性官能基を有するジオール等を用いる方法、b)鎖伸張剤としてアニオン性官能基を有するジオール等を用いる方法等が挙げられる。
アニオン性官能基を有するジオールとしては、例えばグリセリン酸、ジオキシマレイン酸、ジオキシフマル酸、酒石酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロール吉草酸、2,2−ジメチロールペンタン酸、4,4−ジ(ヒドロキシフェニル)吉草酸、4,4−ジ(ヒドロキシフェニル)酪酸等の脂肪族カルボン酸のほか、2,6−ジオキシ安息香酸等の芳香族カルボン酸等が挙げられる。
アニオン型のポリウレタン樹脂を水中に分散させる際には、一般的に揮発性塩基が用いることが好ましい。揮発性塩基は、特に限定的でなく、公知のものを使用することができる。より具体的には、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モルホリン、エタノールアミン等が例示される。この中でも、トリエチルアミンは、水分散性ポリウレタン樹脂の液安定性が良好であり、さらに沸点が比較的低温であることからプライマー層への残留量が少ないという点でより好ましい。
上記のようなアニオン型水分散性ポリウレタン樹脂として市販品を用いることもできる。例えば、DIC社製の「ハイドランADS−110」、「ハイドランADS−120」、「ハイドランKU−400SF」、「ハイドランHW−311」、「ハイドランHW−312B」、「ハイドランHW−333」、「ハイドランAP−20」、「ハイドランAP−201」、「ハイドランAPX−101H」、「ハイドランAP−60LM」、第一工業製薬社製の「スーパーフレックス107M」、「スーパーフレックス150」、「スーパーフレックス150HS」、「スーパーフレックス410」、「スーパーフレックス420NS」、「スーパーフレックス460」、「スーパーフレックス460S」、「スーパーフレックス700」、「スーパーフレックス750」、「スーパーフレックス840」、三井化学ポリウレタン社製の「タケラックW−6010」、「タケラックW−6020」、「タケラックW−511」、「タケラックWS−6021」、「タケラックWS−5000」、DSM社製の「NeoRez R9679」、「NeoRez R9637」、「NeoRez R966」、「NeoRez R972」等が挙げられる。
プライマー層の耐水性、耐熱性等の向上を目的として、プライマー層にメラミン樹脂を含有させることが好ましい。メラミン樹脂の含有量は、アニオン型水分散性ポリウレタン樹脂100質量部に対して1〜10質量部とすることが好ましい。
メラミン樹脂の代表的なものとして、トリ(アルコキシメチル)メラミンが挙げられる。そのアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。各種のメラミン樹脂は、それぞれ単独で使用しても良いし、2種以上を同時に使用しても良い。
水性塗剤におけるアニオン型水分散性ポリウレタン樹脂の固形分濃度は、塗工装置、乾燥・加熱装置等の仕様によって適宜変更され得るものであるが、希薄すぎる溶液では、乾燥工程において長時間を要するという問題を生じやすい。他方、固形分濃度が高すぎると、均一な塗剤を得にくく、このため塗工性に問題を生じ易い。このような観点から、水性塗剤におけるアニオン型水分散性ポリウレタン樹脂の固形分濃度は3〜30質量%の範囲であることが好ましい。
水性塗剤には、主成分であるアニオン型水分散性ポリウレタン樹脂のほかに、上記のような各成分を添加することができる。さらに、水性塗剤をフィルムに塗布する際の塗工性を向上させるために、例えば消泡剤、界面活性剤、帯電防止剤、スリップ剤等の各種の添加剤を加えることができる。
特に、界面活性剤を添加することにより、特に基材フィルムへの水性塗剤の濡れを促進することができる。界面活性剤は、特に限定されないが、例えばポリエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン−脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸金属石鹸、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩等のアニオン型界面活性剤のほか、アセチレングリコール等のノニオン型界面活性剤を挙げることができる。界面活性剤は、水性塗剤中に0.01〜1質量%含まれていることが好ましい。また、ポリアミド系フィルムの製造工程における熱処理で揮発するものであることが好ましい。
プライマー層の厚みは限定的ではないが、通常は0.01〜0.10μmであることが好ましく、特に0.02〜0.09μmであることがより好ましい。プライマー層の厚みが0.01μm未満であると、フィルム上に均一な膜厚のプライマー層を形成することが困難となる。その結果、上記したようなポリアミド系フィルムと金属箔の接着性の向上効果が乏しいものとなる。一方、プライマー層の厚みが0.10μmを超えると、ポリアミド系フィルムと金属箔の接着性が良好となる効果は飽和し、コスト的に不利になる。
(A−2)ポリアミド系フィルムの物性
本発明フィルムは、好ましくは分子配向が二軸配向したものである。このようなフィルムは、基本的には二軸延伸によって得ることができる。特に、ロール及びテンターを用いて二軸延伸されたフィルムが好適である。
(A−2−1)応力特性
本発明フィルムは、二次加工時における伸長時の応力バランスが非常に優れていることを示す指標として、前記A値及びB値を同時に満足することを必須とする。前記A値及びB値が上記範囲を超えるものとなると、ポリアミド系フィルムの全方向での応力バランスが悪く、均一な成型性を得ることが困難となる。均一な成型性が得られない場合、例えば本発明フィルムと金属箔とを積層した積層体を冷間成型する場合において、金属箔に十分な延展性が付与されない(すなわち、ポリアミド系フィルムが金属箔に追従しにくくなる)ため、金属箔の破断が発生したり、あるいはデラミネーション、ピンホール等の不具合が発生しやすくなる。
前記A値は、通常は35MPa以下であるが、特に30MPa以下、さらには25MPa以下であることが好ましく、20MPa以下であることが最も好ましい。なお、前記A値の下限値は限定的ではないが、通常は15MPa程度である。
前記B値は、通常は40MPa以下であるが、特に38MPa以下、さらには34MPa以下であることが好ましく、30MPa以下であることが最も好ましい。なお、前記B値の下限値は限定的ではないが、通常は20MPa程度である。
また、5%伸長時における前記4方向の応力は、特に限定されないが、積層体の冷間成型性という点において、いずれも35〜130MPaの範囲内であることが好ましく、40〜90MPaの範囲内であることがより好ましく、中でも45〜75MPaの範囲内であることが最も好ましい。
15%伸長時における前記4方向の応力は、特に限定されないが、積層体の冷間成型性という点において、いずれも55〜145MPaの範囲内であることが好ましく、60〜130MPaの範囲内であることがより好ましく、中でも65〜115MPaの範囲内であることが最も好ましい。
本発明フィルムにおいて、5%及び15%伸長時における前記4方向の応力が上記範囲を満たさない場合には、十分な冷間成型性が得られないことがある。
本発明フィルムにおける前記4方向の応力は、次のように測定する。まず、本発明フィルムを23℃×50%RHで2時間調湿した後、図5に示すように、フィルム上の任意の位置を中心点Aとし、フィルムの基準方向(0度方向)を任意で特定し、その基準方向(a)から時計回りに45度方向(b)、90度方向(c)及び135度方向(d)の各方向を測定方向とし、中心点Aからそれぞれの測定方向に100mm、測定方向に対して垂直方向に15mmの短冊状に裁断したものを試料とする。例えば、図5に示すように、0度方向では中心点Aから30mm〜130mmの範囲で試料41(縦100mm×横15mm)のように切り取る。他の方向についても同様に試料を切り取る。これらの試料について、50N測定用のロードセルとサンプルチャックとを取り付けた引張試験機(島津製作所社製AG−1S)を用い、引張速度100mm/minにて、5%及び15%伸長時の応力をそれぞれ測定する。なお、上記の基準方向は、フィルム製造時の延伸工程におけるMDが判明しているときには、MDを基準方向とする。
上記のような特性値を満足する本発明フィルムは、縦方向及び横方向の少なくとも一方向がテンターにより延伸する工程を含む二軸延伸方法より得られるものであることが好ましい。
一般に、二軸延伸方法としては、縦方向と横方向の延伸工程を同時に実施する同時二軸延伸方法と、縦方向の延伸工程を実施した後、横方向の延伸工程を実施する逐次二軸延伸方法がある。なお、前記の説明では、縦方向が先の工程として例示されているが、本発明では縦方向及び横方向のいずれが先であっても良い。
本発明フィルムは、延伸条件設定の自由度等の見地より、逐次二軸延伸方法により得られるものであることが好ましい。従って、本発明フィルムは、縦方向及び横方向の少なくとも一方向がテンターにより延伸される工程を含む逐次二軸延伸によって得られるものであることが好ましい。特に、本発明フィルムは、後記に示す本発明の製造方法によって製造されることが望ましい。
(A−2−2)平均厚み及び厚み精度
本発明フィルムは、厚み精度(厚みの均一性)が非常に高いものであることを示す指標として、後記に示す8方向の厚みに対する標準偏差が0.200以下であることが好ましく、中でも0.180以下であることが好ましく、さらには0.160以下であることがより好ましい。上記の厚み精度を示す標準偏差が0.200以下である場合、フィルム表面の厚みのバラツキが非常に小さいものとなり、例えばフィルムの厚みが16μm以下の場合であっても、金属箔と貼り合わせた積層体とし、深絞り冷間成型を行った際にデラミネーション、ピンホール等の不具合が発生せず、良好な成型性を得ることができる。標準偏差が0.200を超える場合、厚み精度が低いため、特にフィルムの厚みが小さい場合、金属箔と貼り合わせた際に、金属箔に十分な延展性を付与することができず、デラミネーション又はピンホールの発生が顕著となり、良好な成型性が得られないことがある。
上記厚み精度の評価方法は、ポリアミド系フィルムを23℃×50%RHで2時間調湿した後、図6に示すように、フィルム上の任意の位置を中心点Aとし、基準方向(0度方向)を特定した後、中心点Aから基準方向(a)、基準方向に対して時計回りに45度方向(b)、90度方向(c)、135度方向(d)、180度方向(e)、225度方向(f)、270度方向(g)及び315度方向(h)の8方向へそれぞれ100mmの直線L1〜L8の合計8本引く。それぞれの直線上において、中心点から10mm間隔で厚みを、長さゲージ 「HEIDENHAIN‐METRO MT1287」(ハイデンハイン社製)により測定する(10点測定する)。図6では、一例として、45度方向のL2を測定する場合の測定点(10点)をとった状態を示す。そして、全部の直線において測定して得られたデータ80点の測定値の平均値を算出し、これを平均厚みとし、得られたデータ80点を用いて厚みの標準偏差を算出するものである。なお、上記の基準方向は、フィルム製造時の延伸工程におけるMDが判明しているときには、MDを基準方向とする。
本発明において、平均厚み及び標準偏差は、ポリアミド系フィルムのいずれかの一箇所のA点を基準とすれば良いが、特に得られたフィルムロールに巻き取られたポリアミド系フィルムにおいて、下記の3点のいずれにおいても上記範囲内の平均厚み及び標準偏差であることがより望ましい。3点としては、a)巻幅の中心付近であって、かつ、巻量の半分にあたる位置、b)巻幅の右端付近であって、かつ、巻量の半分にあたる位置、及びc)巻幅の左端付近であって、かつ、巻終わり付近の位置である。
また、本発明フィルムの平均厚みは、30μm以下であることが好ましく、中でも26μm以下であることが好ましく、さらには16μm以下であることが好ましく、15.2μm以下であることがより好ましく、12.2μm以下であることが最も好ましい。
本発明フィルムは、金属箔と貼り合せて積層体(金属箔を含む積層体)とすることが好適であり、冷間成型用途に好適に用いることができる。このようなフィルムは、後述するようなテンターを用いる二軸延伸を特定の条件を満足する延伸条件で行うことにより、厚みの小さいフィルムであっても、前記4方向における伸長時の応力バランスに優れ、かつ、前記4方向における厚み精度(厚みの均一性等)が非常に高いフィルムとすることができる。その結果、優れた冷間成型性を得ることが可能となる。
フィルムの平均厚みが30μmを超える場合は、ポリアミド系フィルム自身の成型性が低下し、小型の電池外装材に用いることが困難な場合があり、またコスト面でも不利となるおそれがある。一方、フィルムの厚みの下限は特に限定するものではないが、平均厚みが2μm未満では、金属箔と貼り合わせた際における金属箔への延展性付与が不十分となりやすく、成型性に劣るものとなるおそれがあるため、通常は2μm程度とすれば良い。
本発明のポリアミド系フィルムは、金属箔と貼り合わせた積層体とし、冷間成型用途に用いることが好適なものであるが、上記特性を満足する本発明のポリアミド系フィルムを用い、かつ後述する共重合ポリエステル樹脂を接着剤層に用いると、金属箔との接着性に優れるとともに、金属箔に十分な延展性を付与することができる。この効果により、冷間成型時(この中でも絞り成型(特に深絞り成型)時)等における成型性が向上し、金属箔の破断を防止することができ、デラミネーション、ピンホール等の不具合の発生も抑制ないしは防止することができる。
ポリアミド系フィルムの厚みは、小さくなるほど金属箔に十分な延展性を付与することが困難となる。特に、20μm以下の極めて薄いフィルムでは、伸長時の応力にバラツキがあったり、厚み精度が低いので、冷間成型時の押し込み力によってポリアミド系フィルム又は金属箔の破断が顕著となる。つまり、薄いフィルムほど伸長時の応力のバラツキが大きくなり、厚みのバラツキも大きくなる傾向にあることから、より高度な制御が要求される。
この場合において、ポリアミド系フィルムを製造する一般的な方法であるチューブラー法あるいはテンター法を用いる従来の製造方法では、15μm以下の厚みであって、なおかつ、伸長時の応力のバラツキが小さく、厚み精度が高いものを製造することは困難である。このことは、例えば特許文献1〜10のいずれにおいても、具体的な実施例として記載されているポリアミド系フィルムは、最少で15μmの厚みのものしか開示されていないことからも明らかである。
これに対し、本発明では、後記に示すような特定の製造方法を採用することにより、特に厚みが16μm以下のものであっても、上記4方向における伸長時の応力バランスに優れ、かつ、厚みの均一性が高いポリアミド系フィルムを提供することができる。このような特殊なポリアミド系フィルムが提供できる結果、金属箔と積層した積層体を例えば電池(例えばリチウムイオン電池)の外装体等に用いる場合には例えば電極数、電解液等の容量を増やせるほか、電池自体の小型化、低コスト化等にも寄与することができる。
(B)ポリアミド系積層フィルム
本発明のポリアミド系積層フィルムは、前記(A)のポリアミド系フィルムとともに共重合ポリエステル樹脂層を含む。以下、共重合ポリエステル樹脂層等について説明する。
共重合ポリエステル樹脂層
共重合ポリエステル樹脂層は、樹脂成分として共重合ポリエステル樹脂を含む。共重合ポリエステル樹脂層は、主に接着剤層として機能するものであり、特に優れた低温接着性を有する。共重合ポリエステル樹脂層中における共重合ポリエステル樹脂の含有量は、通常は80〜100重量%程度とすることが好ましく、特に90〜100重量%とすることがより好ましい。従って、本発明の効果を損なわない範囲内において、共重合ポリエステル樹脂層中に他の成分が含まれていても良い。
共重合ポリエステル樹脂は、上記のような機能を有する限り制限されないが、特にガラス転移温度が30℃以下であるものが好ましく、特に10℃以下であるものがより好ましく、さらに−40〜10℃であるものが最も好ましい。ガラス転移温度が30℃を超えると、低温での接着性が低くなるおそれがある。低温接着性が低くなると、接着性を高めるために高温での熱処理が必要となる結果、処理工程の簡略化、低コスト化等を図ることが困難となる。一方、ガラス転移温度が−40℃よりも低い場合も、低温での接着性に劣るものとなりやすい。
上記のような共重合ポリエステル樹脂としては、以下に示すようなジカルボン酸成分(以下、特にことわりの限り、単に「酸成分」という。)とグリコール成分を含む共重合体を好適に用いることができる。
酸成分
酸成分としては、テレフタル酸及びイソフタル酸を含有していることが好ましい。この場合の両者の含有量は、特に制限されないが、例えば酸成分中テレフタル酸30〜80モル%及びイソフタル酸20〜60モル%とすることができ、さらに好ましくはジカルボン酸成分中テレフタル酸35〜75モル%及びイソフタル酸20〜50モル%とすることができる。
また、酸成分中におけるテレフタル酸及びイソフタル酸の合計含有量は、限定的ではないが、通常は30モル%以上とすることが好ましく、特に50モル%以上とすることが好ましく、さらには80モル%以上とすることが最も好ましい。
共重合ポリエステル樹脂中においては、本発明の効果を妨げない限り、テレフタル酸及びイソフタル酸以外のジカルボン酸成分が含まれていても良い。例えば、フタル酸、無水フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、3−tert−ブチルイソフタル酸、ジフェン酸等の芳香族ジカルボン酸;シュウ酸、コハク酸、無水コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、アイコサン二酸、水添ダイマー酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸;フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、ダイマー酸等の不飽和脂肪族ジカルボン酸;1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸及びその無水物;テトラヒドロフタル酸及びその無水物等の脂環式ジカルボン酸;5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−ナトリウムスルホテレフタル酸等のスルホン酸塩基を有するジカルボン酸等が挙げられる。
これらの中でも、主鎖の炭素数が6以上である多価カルボン酸が好ましく、ジカルボン酸成分中に3〜48モル%含有することが好ましい。主鎖の炭素数が6以上である多価カルボン酸としては、例えばアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等が挙げられる。中でもセバシン酸が好ましい。多価カルボン酸における主鎖の炭素数の上限は、限定的ではないが、通常は20程度とすれば良い。なお、本発明における「主鎖」とは、炭素数が連続で最大となる直鎖状の炭素鎖をいう。
共重合ポリエステル樹脂中のテレフタル酸とイソフタル酸以外のジカルボン酸成分の含有量は、限定的ではないが、通常はジカルボン酸成分中に3〜48モル%含有することが好ましい。
グリコール成分
上記グリコール成分としては、主鎖の炭素数が6以上であるグリコールを含有することが好ましい。また、上記主鎖の炭素数の上限は、例えば150程度とすることができるが、これに制約されない。例えば、前記炭素数として6〜120程度の範囲を設定することもできる。
主鎖の炭素数が6以上であるグリコールとしては、例えば1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。中でも1,4−シクロヘキサンジメタノール、ポリテトラメチレングリコール等の少なくとも1種がより好ましい。特に、低温での接着性を向上させる効果がより高いという点で、ポリテトラメチレングリコールがより好ましい。
主鎖の炭素数が6以上であるグリコールの含有量は、用いるグリコール成分の種類等に応じて適宜設定できるが、通常はグリコール成分中1〜45モル%とすることが好ましく、特に3〜40モル%とすることがより好ましく、さらには4〜35モル%とすることが最も好ましい。特に、ポリテトラメチレングリコールを用いる場合は、その含有量をグリコール成分中3〜20モル%とすることがより好ましく、特に4〜15モル%とすることが最も好ましい。
共重合ポリエステル樹脂として、本発明の効果を妨げない限り、主鎖の炭素数が6以上であるグリコール以外のグリコール成分を含んでいても良い。このようなグリコール成分としては、例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール等の脂肪族グリコール;1,3−シクロブタンジメタノール等の脂環族グリコール;2,2−ビス[4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパンのアルキレンオキシド付加体、ビス[4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル]スルホンのアルキレンオキシド付加体等が挙げられる。
これらの中でも、エチレングリコール及びネオペンチルグリコールを含有していることが好ましい。この場合、エチレングリコール及びネオペンチルグリコールを酸成分中において合計で55モル%以上含有することが好ましく、中でも合計で65モル%以上含有することが好ましい。さらには、低温での接着性を向上させる効果が高いため、ネオペンチルグリコールを35モル%以上含有することが好ましく、その中でも40モル%以上含有することが好ましい。従って、例えばグリコール成分中にエチレングリコール15〜60モル%及びネオペンチルグリコール30〜60モル%とすることができ、好ましくはエチレングリコール20〜55モル%及びネオペンチルグリコール35〜50モル%とすることができる。
本発明における共重合ポリエステル樹脂としては、前記したような酸成分とグリコール成分とを含む共重合体のほか、そのような共重合体を変性した変性樹脂も採用することができる。このような変性樹脂としては、例えば前記共重合体と有機ジイソシアネート化合物との重合体であるポリエステルポリウレタン樹脂が挙げられる。
有機ジイソシアネート成分としては、公知又は市販のイソシアネートを用いることができる。具体的には、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、2,6−ナフタレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジイソシアネートジフェニルエーテル、1,5−キシリレンジイソシアネート、1,3−ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、1,4−ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、4,4’−ジイソシアネートシクロヘキサン、4,4’−ジイソシアネートシクロヘキシルメタン、イソホロンジイソシアネート等のイソシアネートが例示される。
これらの中でも、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート及び2,6−トリレンジイソシアネートの少なくとも1種を用いることができる。特に、反応性、耐候性等の観点から1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートを好適に使用することができる。また、反応性の観点から2,4−トリレンジイソシアネート及び2,6−トリレンジイソシアネートの少なくとも1種を好適に用いることができる。
このようなポリエステルポリウレタン樹脂は、公知又は市販のものを使用することができる。また、公知の方法により製造したものを採用することもできる。
ポリエステルポリウレタン樹脂の製造方法としては、例えば、共重合ポリエステル樹脂と有機ジイソシアネートを溶液中で反応させる方法等が挙げられる。溶液中で反応させる際には、酸成分とグリコール成分とを含む共重合体を予め調製し、その共重合体をトルエン等の汎用溶剤に溶解する。その後、有機ジイソシアネート成分とウレタン化触媒を仕込み、40〜80℃で反応させ、目的とするポリエステルポリウレタン樹脂を得ることができる。
この場合、ウレタン化の反応性を上げるために、前記共重合体に対して、例えばジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ビス−(2−ヒドロキシエチル)プロピオン酸、ビス−(2−ヒドロキシエチル)ブタン酸等を共重合させることが好ましい。また、上記ウレタン化触媒としては、限定的でなく、ジブチルチンジラウレート、オクチル酸スズ等の有機スズ化合物、トリエチレンジアミン等のアミン系触媒等を例示できる。
また、共重合体と有機ジイソシアネートとを溶剤中で混合した後、基材に塗布、乾燥して得られた塗膜を40〜80℃で2〜7日で熱処理して反応させ、目的とするポリエステルポリウレタン樹脂を得る方法等も採用することができる。この場合、溶剤中に上記のようなウレタン化触媒等を添加しても良い。
架橋剤
共重合ポリエステル樹脂中には架橋剤が含まれていることが好ましい。これにより、ポリアミド系フィルムと金属箔との接着性を向上させ、とりわけ耐水性(高温水中に浸漬させても剥離が生じにくい性能)をよりいっそう高めることができる。
架橋剤としては、特に限定されず、例えばイソシアネート化合物、メラミン化合物、尿素化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン基含有化合物、アジリジン化合物、ジルコニウム塩化合物、シランカップリング剤等が挙げられる。これらの中でも、特に反応性が高いという点でイソシアネート化合物を用いることが好ましい。
共重合ポリエステル樹脂中の架橋剤の含有量は0.01〜40質量%であることが好ましく、中でも0.1〜38質量%であることが好ましい。架橋剤の含有量が0.01質量%未満であると、上記したような接着性又は耐水性の向上効果が乏しくなる。一方、架橋剤の含有量が40質量%を超えると、樹脂組成物が硬化し、ポリアミド系フィルム又は金属箔の伸びに追従することが困難となりやすく、冷間成型性に劣るものとなりやすい。
共重合ポリエステル樹脂層の厚み
共重合ポリエステル樹脂層の厚みは、本発明のポリアミド系積層フィルムの用途等に応じて適宜設定できるが、一般的には0.1〜15μmであることが好ましく、中でも0.3〜12μmであることがより好ましく、さらには0.5〜10μmであることが最も好ましい。上記厚みが0.1μm未満の場合、ポリアミド系積層フィルムと他の基材(金属箔等)とを接着する場合の接着性が不十分となりやすい。一方、上記厚みが15μmを超える場合、フィルムに塗布することが困難となったり、ポリアミド系フィルムが有する金属箔への延展性付与効果を阻害するおそれがある。
本発明のポリアミド系積層フィルムは、本発明フィルム表面の少なくとも片面に下記に詳述する共重合ポリエステル樹脂層を有するものであるが、ポリアミド系フィルム表面の少なくとも片面の全面又は一部にプライマー層(アンカーコート層:AC層)を有することが好ましい。すなわち、本発明のポリアミド系積層フィルムは、ポリアミド系フィルムに直に隣接して共重合ポリエステル樹脂層が積層されていても良いし、あるいはポリアミド系フィルムのプライマー層と共重合ポリエステル樹脂層とが隣接して積層されていても良い。
1−2.ポリアミド系積層フィルムの製造方法
本発明の製造方法は、ポリアミド系フィルム及びその表面の少なくとも一方の表面上にある共重合ポリエステル樹脂層を含む積層フィルムを製造する方法であって、ポリアミド系フィルムを製造する第1工程とポリアミド系フィルムに共重合ポリエステル樹脂層を積層する第2工程とを含み、
前記第1工程は、
(1)ポリアミド樹脂を含む溶融混練物をシート状に成形することにより未延伸シートを得るシート工程(シート成形工程)、
(2)前記未延伸シートをMD及びTDに逐次又は同時に二軸延伸することによって延伸フィルムを得る工程(延伸工程)
を含み、かつ、
(3)下記式a)及びb);
a)0.85≦X/Y≦0.95
b)8.5≦X×Y≦9.5
(但し、Xは前記MDの延伸倍率を示し、Yは前記TDの延伸倍率を示す。)の両方を満たす、
ことを特徴とする。
(A)第1工程
第1工程では、基材層となるポリアミド系フィルムを製造する。以下においては、各工程について説明する。
シート成形工程
シート成形工程では、ポリアミド樹脂を含む溶融混練物をシート状に成形することにより未延伸シートを得る。
ポリアミド樹脂としては、前記で述べたような各種の材料を用いることができる。また、各種の添加剤も溶融混練物中に含有させることができる。
溶融混練物の調製自体は、公知の方法に従って実施すれば良い。例えば、加熱装置を備えた押出機にポリアミド樹脂を含む原料を投入し、所定温度に加熱することによって溶融させた後、その溶融混練物をTダイにより押し出し、キャスティングドラム等により冷却固化させることによってシート状の成形体である未延伸シートを得ることができる。
この場合の未延伸シートの平均厚みは特に限定されないが、一般的には15〜250μm程度とし、特に50〜235μmとすることが好ましい。このような範囲内に設定することによって、より効率的に延伸工程を実施することができる。
延伸工程
延伸工程では、前記未延伸シートをMD及びTDに逐次又は同時に二軸延伸することによって延伸フィルムを得る。
前記のとおり、MD及びTDの少なくとも一方向がテンターにより延伸される工程を含む逐次二軸延伸により得られるものであることが好ましい。これにより、より均一なフィルム厚みを得ることが可能となる。
テンター自体は、従来よりフィルムの延伸のために使用されている装置であり、未延伸シートの両端を把持しながら縦方向及び/又は横方向に拡幅させる装置である。テンターを用いる場合においても、同時二軸延伸及び逐次二軸延伸の2つの方法がある。テンターを用いる同時二軸延伸は、未延伸フィルムの両端を把持しながらMDへ延伸すると同時にTDへも延伸することにより、MD及びTDの二軸延伸をテンターにより同時に行う方法である。一方、テンターを用いる逐次二軸延伸は、1)回転速度が異なる複数のロールに未延伸シートを通過させることによりMDを延伸した後、その延伸されたフィルムをテンターによりTDへ延伸する方法、2)未延伸シートをテンターによりMDを延伸した後、その延伸されたフィルムをテンターによりTDへ延伸する方法等があるが、得られるフィルムの物性、生産性等の点で前記1)の方法が特に好ましい。前記1)の方法については、図2に示すような工程により未延伸フィルムの逐次二軸延伸が行われる。
まず、図2に示すように、未延伸シート13が複数のロール21を通過することによりMD(縦方向)に延伸される。これら複数のロールは回転速度が異なるため、その速度差により未延伸シート13がMDに延伸される。すなわち、未延伸シートを低速ロール群から高速ロール群へ通過させることで延伸するものである。
なお、図2では、ロール数は5個であるが、実際はそれ以外の個数であっても良い。また、ロールは、例えば順に予熱用ロール、延伸用ロール及び冷却用ロールというかたちで互いに機能が異なるロールを設置することもできる。これらの各機能を有するロールの個数も適宜設定することができる。また、延伸用ロールを複数設ける場合、多段階で延伸できるような設定としても良い。例えば、1段目を延伸倍率E1とし、2段目を延伸倍率E2という2段階の延伸によりMDの延伸倍率を(E1×E2)の範囲内で適宜設定することが可能となる。このようにして第1延伸フィルム13’が得られる。
次に、ロール21を通過した第1延伸フィルム13’は、テンター22に導入されることによりTDに延伸される。より具体的には、図3に示すように、テンター22に導入された第1延伸フィルム13’は、入口付近においてその両端をガイドレールに固定されたリンク装置34に接続されたクリップに把持され、流れ方向の順に予熱ゾーン31、延伸ゾーン32及び弛緩熱処理ゾーン33を通過する。予熱ゾーン31で第1延伸フィルム13’は一定の温度に加熱された後、延伸ゾーン32でTDに延伸される。その後、弛緩熱処理ゾーン33において、一定の温度で弛緩処理が行われる。このようにして第2延伸フィルム14(本発明フィルム)が得られる。その後、ガイドレールに固定されたリンク装置34は、テンター22の出口付近で第2延伸フィルム14から外され、テンター22の入口付近に戻される。
このように、テンターを用いる逐次二軸延伸は、MDをロールによって延伸することから生産性、設備面等において有利であり、TDをテンターによって延伸することからフィルム厚みの制御等において有利となる。
本発明の製造方法では、延伸工程において、下記式a)及びb);
a)0.85≦X/Y≦0.95
(好ましくは0.89≦X/Y≦0.93)
b)8.5≦X×Y≦9.5
(好ましくは8.7≦X×Y≦9.1)
(但し、Xは前記MDの延伸倍率を示し、Yは前記TDの延伸倍率を示す。)の両方を満たすことが必須である。上記a)及びb)の条件のいずれか一方でも満足しない場合は、得られるポリアミド系フィルムは4方向の応力のバランスが悪いものとなり、本発明フィルムを得ることが困難となる。
延伸工程における温度条件は、例えば、前記の同時二軸延伸を行う際には180℃〜220℃の温度範囲で延伸することが好ましい。また例えば、前記の逐次二軸延伸を行う際には、MDの延伸を50〜120℃(特に50〜80℃、さらに50〜70℃、またさらに50〜65℃)の温度範囲で行うことが好ましく、TDの延伸を70〜150℃(特に70〜130℃、さらに70〜120℃、またさらに70〜110℃)の温度範囲で行うことが好ましい。このような温度範囲に制御することによって、より確実に本発明フィルムを製造することが可能となる。これらの温度は、例えば図2に示すロール21(予熱用ロール)、図3に示すテンターの予熱ゾーン31等にて予熱しながら設定・制御することができる。
また、テンターを用いる同時二軸延伸及び逐次二軸延伸ともに、延伸後は弛緩熱処理を行うことが好ましい。弛緩熱処理は、温度180〜230℃の範囲で弛緩率2〜5%とすることが好ましい。これらの温度は、図3に示すテンターの弛緩熱処理ゾーンにて設定・制御することができる。
延伸時の温度範囲を上記のようなものとするための手段としては、フィルム表面に熱風を吹き付ける方法、遠赤外線又は近赤外線ヒーターを用いる方法、それらを組み合わせる方法等がある。特に、本発明の加熱方法としては、熱風を吹き付ける方法を含むことが好ましい。
<延伸工程における実施の形態>
本発明における延伸工程としては、MDをロールによって延伸し、TDをテンターによって延伸する逐次二軸延伸工程を好適に採用することができる。この方法を採用し、かつ下記に示す温度条件を満足することにより、前記4方向の伸長時の応力バランスをより優れたものとすることが可能となり、かつ、前記4方向の厚み精度をより高いものとすることが可能となるため、特に平均厚み16μm以下の本発明フィルムをより確実かつ効率的に得ることができる。
MDの延伸
まず、MDの延伸における温度は、ロールを用いて50〜70℃の温度範囲で延伸することが好ましく、中でも50〜65℃とすることがより好ましい。
MDの延伸は、2段階以上の多段延伸を行うことが好ましい。この場合、延伸倍率を段階的に上げていくことが好ましい。すなわち、n段目の延伸橋率よりも(n+1)段目の延伸倍率の方が高くなるように制御することが好ましい。これによって全体をよりいっそう均一に延伸することができる。例えば、2段階で延伸する場合、1段目を延伸倍率1.1〜1.2とし、2段目を延伸倍率2.3〜2.6という2段階の延伸により縦方向の延伸倍率を2.53〜3.12の範囲内で適宜設定することができる。
さらには、MDの延伸において、温度勾配を設けることが好ましい。特に、フィルムの引き取り方向に沿って、順次温度を上げていくことが好ましく、MDの延伸部全体において、その温度勾配(フィルムの走行方向のはじめ(入口)の温度T1とおわり(出口)の温度T2との温度差)は、通常2℃以上であることが好ましく、3℃以上であることがより好ましい。このとき、フィルムの走行方向のはじめ(入口)とおわり(出口)までのフィルムの走行時間(加熱時間)は、通常1〜5秒間であることが好ましく、特に2〜4秒間であることがより好ましい。
TDの延伸
TDの延伸は、図3に示すような各ゾーンが形成されるテンターにより延伸を行う。このとき、予熱ゾーンの温度は60〜70℃とすることが好ましい。そして、延伸ゾーンの温度を70〜130℃の温度範囲とすることが好ましく、特に75〜120℃の温度範囲とすることがより好ましく、さらには80〜110℃の温度範囲とすることが最も好ましい。
また、延伸ゾーンにおいてもフィルムの引き取り方向に沿って、順次温度を上げていくことが好ましい。特に、延伸ゾーン全体において、その温度勾配(フィルムの走行方向のはじめ(入口)の温度T1とおわり(出口)の温度T2との温度差)は、通常5℃以上であることが好ましく、さらに8℃以上であることがより好ましい。このとき、延伸ゾーンにおけるフィルムの走行方向のはじめ(入口)とおわり(出口)までのフィルムの走行時間(加熱時間)は、通常1〜5秒間であることが好ましく、特に2〜4秒間であることがより好ましい。
弛緩熱処理ゾーンにおいては、弛緩熱処理を行うことが望ましい。その熱処理温度は通常180〜230℃の範囲とすることが好ましく、中でも180〜220℃の範囲とすることがより好ましく、さらには180〜210℃とすることが最も好ましい。また、弛緩率は、通常2〜5%程度とすることが好ましい。
また、フィルム表面の少なくとも片面にプライマー層を有する本発明のポリアミド系フィルムを得る際にも、上記と同様の延伸方法及び延伸条件で行うことが好ましい。なお、フィルム表面にプライマー層を形成するためには上記のような製造方法において、MDに延伸した後のポリアミド系フィルムに水性塗剤を塗布することが好ましい。そして、続いてそのフィルムを、水性塗剤(塗膜)とともに、上記と同様の延伸条件でTDに延伸すること(インラインコーティング)が好ましい。水性塗剤の塗布量は、延伸後のフィルム表面に形成されるプライマー層の厚みが0.01〜0.10μmとなるように調整することが好ましい。
なお、本発明の製造方法では、延伸工程として、厚みの均一性の保持等の観点より、上記以外の延伸方法は採用されないことが望ましい。例えば、チューブラー法(インフレーション法)による延伸工程を含まないことが望ましい。
(B)第2工程
第2工程では、第1工程で得られたポリアミド系フィルム上に共重合ポリエステル樹脂層を積層することにより、本発明のポリアミド系積層フィルムを製造する。
共重合ポリエステル樹脂層を形成する方法としては、特に限定されず、例えばa)共重合ポリエステル樹脂を溶媒に溶解又は分散した塗工液をポリアミド系フィルムに塗布及び乾燥する工程を含む方法により形成する方法、b)予め成形された共重合ポリエステル樹脂層用フィルムをポリアミド系フィルムに積層する工程を含む方法等のいずれであっても良いが、特に塗膜の厚みを調整しやすく、薄膜化も容易であるという見地より前記a)の方法を採用することが望ましい。
上記a)の方法では、まず共重合ポリエステル樹脂を溶剤に溶解又は分散した塗工液(接着剤)を調製する。塗工液の固形分濃度は、特に制限されないが、一般的には5〜50質量%程度の範囲内で適宜設定すれば良い。
塗工液で用いる溶媒としては、水のほか、例えばケトン系有機溶剤、芳香族系炭化水素系有機溶剤、エーテル系有機溶剤、含ハロゲン系有機溶剤、アルコール系有機溶剤、エステル系有機溶剤、グリコール系有機溶剤等の有機溶剤を使用することができる。これらは公知又は市販のものを適宜使用することができる。有機溶剤としては、以下のような溶剤を使用することができる。なお、使用する溶媒は、単独又は2種以上を組み合わせて使用しても良い。
ケトン系有機溶剤としては、例えばメチルエチルケトン、アセトン、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘキサノン、5−メチル−2−ヘキサノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等が挙げられる。
芳香族炭化水素系有機溶剤としては、例えばトルエン、キシレン、ベンゼン等が挙げられる。
エーテル系有機溶剤としては、例えばジオキサン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
含ハロゲン系有機溶剤としては、例えば四塩化炭素、トリクロロメタン、ジククロロメタン等が挙げられる。
アルコール系有機溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、sec−アミルアルコール、tert−アミルアルコール、1−エチル−1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノール等を使用することができる。
エステル系有機溶剤としては、例えば酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−sec−ブチル、酢酸−3−メトキシブチル、プロピオン酸メチル等が挙げられる。
グリコール系有機溶剤としては、例えばエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート等が挙げられる。
また、3−メトキシ−3−メチルブタノール、3−メトキシブタノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジアセトンアルコール等の有機溶剤も使用することができる。
また、樹脂を水に溶解又は分散させた塗工液(水溶液又は水分散体)も好適に使用することができる。樹脂を水へ分散する場合は、必要に応じて乳化剤を使用すれば良く、分散助剤として塩基性化合物を使用して中和する方法等の公知の方法も適用できる。
上記のようにして得られた塗工液を塗布する方法としては、公知の方法を用いることができる。例えばグラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、リップコーティング、エアナイフコーティング、カーテンフローコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、はけ塗り法等が挙げられる。
これらの塗工方法により塗工液を基材であるポリアミド系フィルム表面に塗布した後、乾燥処理又は乾燥のための加熱処理に供することにより、均一な樹脂層を塗布面に密着させて形成することができる。加熱処理する場合の温度は、特に限定されないが、通常は70〜150℃程度とし、好ましくは80〜120℃程度の範囲内で適宜設定すれば良い。さらに、必要に応じて、エージング等の目的で比較的低い温度で保持させることもできる。例えば、50℃以下(好ましくは25〜45℃)の温度範囲で保持することができる。保持時間は、限定的ではなく、例えば1〜96時間程度の範囲内で適宜設定すれば良い。
2.本発明の積層体
本発明の積層体は、本発明の積層フィルムと金属箔とを含むものである。本発明の積層体の形態としては、本発明のポリアミド系積層フィルムの共重合ポリエステル樹脂層上に金属箔が積層された積層体が好ましい。また、このような積層体にさらに接着剤層を介して、他の層を積層させた積層体であっても良い。接着剤層としては、特に前記の共重合ポリエステル樹脂層を採用することが望ましい。
このような積層体としては、例えば、図8に示すように、ポリアミド系フィルム51/共重合ポリエステル樹脂層52/金属箔53の順に積層してなる3層構造を有する積層体60が挙げられる。また例えば、図9に示すように、ポリアミド系フィルム51/共重合ポリエステル樹脂層52a/金属箔53/共重合ポリエステル樹脂層52b/シーラントフィルム54の順に積層してなる5層構造を有する積層体70が挙げられる。また、共重合ポリエステル樹脂層を2層以上採用する場合、組成、厚み等は互いに同じでも良いし、互いに異なっていても良い。この場合、ポリアミド系フィルム表面において、少なくとも共重合ポリエステル層が積層される面にはプライマー層(図示せず)が形成されていることが望ましい。
金属箔としては、各種の金属元素(アルミニウム、鉄、銅、ニッケル等)を含む金属箔(合金箔を含む。)が挙げられるが、特に純アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔が好適に用いられる。アルミニウム合金箔については、鉄を含有していること(アルミニウム−鉄系合金等)が好ましく、他の成分については前記積層体の成型性を損なわない範囲で、JIS等に規定されている公知の含有量の範囲であればいずれの成分を含んでいても良い。
金属箔の厚みは、特に限定されないが、成型性等の観点より15〜80μmであることが好ましく、特に20〜60μmとすることがより好ましい。
シーラントフィルムは、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、オレフィン系共重合体、ポリ塩化ビニル等のヒートシール性を有する熱可塑性樹脂を採用することが好ましい。シーラントフィルムの厚みは、限定的ではないが、通常20〜80μmであることが好ましく、特に30〜60μmであることがより好ましい。
また、本発明の積層体は、本発明フィルムとポリエステルフィルムとを含むものとしても良い。このとき、ポリエステルフィルムと基材(本発明フィルム等)は共重合ポリエステル樹脂層を介して接着されていることが好ましい。例えば、本発明フィルムの両表面に共重合ポリエステル樹脂層を有するものとし、ポリエステルフィルム/共重合ポリエステル樹脂層/本発明フィルム/共重合ポリエステル樹脂層/金属箔の順に積層した積層体とすることが好ましい。ポリエステルフィルムを含む積層体とすることにより、耐熱性、耐電圧、耐薬品性等が高められるほか、剥離強力も高めることができる。
ポリエステルフィルムを形成するポリエステルとしては、特に限定されず、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレン−2、6−ナフタレート等が好ましい。これらの中でも、コストと効果の観点からPETを用いることが好ましい。
本発明の積層体は、特に本発明フィルムを含むものであることから、冷間成型である絞り成型(特に深絞り成型又は張り出し成型)に好適に用いることができる。ここに、絞り成型は、基本的には1枚の積層体から円筒、角筒、円錐等の形状を有する底付き容器を成型する方法である。このような容器は、一般に継ぎ目がないという特徴を有する。
3.本発明の積層体を含む容器
本発明は、本発明の積層体を含む容器も包含する。例えば、本発明の積層体を用いて成型された容器も、本発明に包含される。この中でも冷間成型することにより得られる容器であることが好ましい。特に、冷間成型として絞り成型(絞り加工)又は張り出し成型(張り出し加工)により製造される容器であることが好ましく、特に絞り成型により製造される容器が好ましい。
すなわち、本発明に係る容器は、本発明の積層体から容器を製造する方法であって、前記積層体を冷間成型する工程を含むことを特徴とする容器の製造方法により好適に製造することができる。従って、例えば本発明の積層体から継ぎ目のない容器等を製造することができる。
この場合の冷間成型方法自体は、限定的でなく、公知の方法に従って実施することができる。例えば、積層体に含まれる樹脂を溶融させることなく、固体のままで成型する方法を採用すれば良い。かかる条件を満たす限り、成型温度(積層体の温度)は、用いる樹脂の物性(例えばガラス転移点等)に応じて適宜設定することができる。一般的には、成型温度は50℃以下とすることが好ましく、さらに45℃以下とすることがより好ましい。従って、例えば成型温度を常温(20〜30℃程度)としたうえで冷間成型を実施することもできる。また例えば樹脂のガラス転移点以下の温度で冷間成型を実施することができる。
より具体的な成型方法(加工方法)としては、例えば円筒絞り加工、角筒絞り加工、異形絞り加工、円錐絞り加工、角錐絞り加工、球頭絞り加工等の絞り加工を好ましく採用することができる。また、絞り加工としては、浅絞り加工と深絞り加工に分類されるが、本発明の積層体は、特に深絞り加工にも適用することができる。
これらの絞り加工は、通常の金型を用いて実施することができる。例えば、パンチ、ダイス及びブランクホルダーを含むプレス機械を用い、a)前記ダイスとブランクホルダー間に本発明の積層体を配置する工程及びb)前記パンチを前記積層体に押し込むことにより容器状に変形させる工程を含む方法により絞り加工を実施することができる。
このようにして得られる容器は、金属箔の破断、デラミネーション、ピンホール等の不具合が効果的に抑制されているので、高い信頼性を得ることができる。このため、本発明に係る容器は、各種の工業製品の包装材料をはじめとして、様々な用途に使用できる。特に、深絞り成型による成型体はリチウムイオン電池の外装体、張り出し成型による成型体はプレススルーパック等に好適に用いられる。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特徴をより具体的に説明する。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されない。なお、実施例及び比較例で得られたポリアミド系フィルム、ポリアミド系積層フィルム及び積層体の各種の特性値の測定方法及び評価方法は、以下のとおりに行った。
(1)共重合ポリエステル樹脂の組成
NMR測定装置(日本電子社製JNM−LA400型)を用い、1H−NMR測定を行って、それぞれの共重合成分の組成を求めた。なお、測定溶媒としては、重水素化トリフルオロ酢酸を用いた。
(2)共重合ポリエステル樹脂の数平均分子量
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、以下の条件でポリスチレン換算の数平均分子量を測定した。
送液ユニット:島津製作所社製LC−10ADvp
紫外−可視分光光度計:島津製作所社製SPD−6AV、検出波長:254nm
カラム:Shodex社製KF−803 1本、Shodex社製KF−804 2本を直列に接続して使用
溶媒:テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
(3)共重合ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)
JIS−K 7121に従って、入力補償型示差走査熱量測定装置(パーキンエルマー社製ダイヤモンドDSC型)を用い、20℃から120℃まで、昇温速度10℃/分の条件で測定をおこない、得られた昇温曲線中の、低温側ベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大となるような点で引いた接線との交点の温度を求め、ガラス転移温度とした。
(4)ポリアミド系フィルムの5%伸長時及び15%伸長時の4方向の応力
ポリアミド系フィルムの5%伸長時及び15%伸長時の4方向の応力は、基準方向(0度方向)をMDとしたうえで、前記で説明した方法で測定し、算出した。
なお、測定に用いたサンプルフィルムとしては、得られたフィルムロールに巻き取られたポリアミド系フィルムにおいて、巻幅の中心付近であって、かつ、巻量の半分にあたる位置で採取したものを用いた。
(5)ポリアミド系フィルムの平均厚みと標準偏差
ポリアミド系フィルムの平均厚みと標準偏差は、前記の方法でそれぞれ測定し、算出した。なお、測定に用いたサンプルフィルムは、次の3種類であった。
得られたフィルムロールに巻き取られたポリアミド系フィルムにおいて、a)巻幅の中心付近であって、かつ、巻量の半分にあたる位置で採取したものを「A」と表記し、b)巻幅の右端付近であって、かつ、巻量の半分にあたる位置で採取したものを「B」と表記し、c)巻幅の左端付近であって、かつ、巻終わり付近の位置で採取したものを「C」と表記した。
(6)プライマー層の厚み
得られたポリアミド系フィルムをエポキシ樹脂中に包埋し、凍結ウルトラミクロトームで厚み100nmの切片を採取した。切削温度は−120℃、切削速度は0.4mm/分とした。採取した切片をRuO溶液で1時間気相染色し、JEM−1230 TEM(日本電子社製)を用いて、透過測定にて加速電圧100kVでプライマー層厚みを測定した。このとき、プライマー層の厚みを測定する箇所を任意の5点選択し、5点の測定値の平均値を厚みとした。
なお、測定に用いたサンプルフィルムとしては、得られたフィルムロールに巻き取られたポリアミド系フィルムにおいて、巻幅の中心付近であって、かつ、巻量の半分にあたる位置で採取したものを用いた。
(7)積層体の成型性
絞り深さ(エリクセン試験)JISZ2247に基づいて、エリクセン試験機(安田精機製作所社製No.5755)を用い、得られた積層体(5層構造又は7層構造の積層体)に鋼球ポンチを所定の押し込み深さで押し付け、エリクセン値を求めた。エリクセン値は0.5mmごとに測定した。エリクセン値が5mm以上である場合が好適であり、特に8mm以上である場合を深絞り成型により好適であると判断した。測定環境は、23℃×50%RHとした。
(8)積層体の耐アルコール性
得られた積層体(5層構造又は7層構造の積層体)を長さ100mm、幅15mmの寸法に裁断して試験片とした。この試験片を、エタノールを充填した容器中に挿入して密栓し、85℃で3時間保管した後、さらに水中に1昼夜浸漬した後の試験片の剥離状況を目視で観察した。
○:積層体の剥離が見られなかった。
△:積層体全面積の10%未満で剥離が確認された。
×:積層体全面積の10%を超える範囲で剥離が確認された。
(9)積層体の耐水性
得られた積層体(5層構造又は7層構造の積層体)を長さ100mm、幅15mmの寸法に裁断して試験片とし、その試験片を1昼夜85℃の水中に浸漬した後の試験片の剥離状況を目視で観察した。
○:積層体の剥離が見られなかった。
△:積層体全面積の10%未満で剥離が確認された。
×:積層体全面積の10%を超える範囲で剥離が確認された。
(10)積層体の接着性
得られた積層体(5層構造又は7層構造の積層体)を25mm幅で切り出して測定サンプルとし、引張り試験機(インテスコ社製精密万能材料試験機2020型)を用い、引張り速度50mm/分、引張り角度180度で塗膜の剥離強度を測定することにより接着強度を評価した。
◎:剥離強度が8N/25mm以上である。
○:剥離強度が5N/25mm以上、8N/25mm未満である。
△:剥離強度が2N/25mm以上、5N/25mm未満である。
×:剥離強度が2N/25mm未満である。
<共重合ポリエステル樹脂の調製>
調製例1
テレフタル酸83g(50モル%)、イソフタル酸83g(50モル%)、エチレングリコール23g(37モル%)、ネオペンチルグリコール66g(63モル%)、1,4−シクロヘキサンジメタノール36g(25モル%)、ポリテトラメチレングリコール100g(10モル%)及び重合触媒としてテトラブチルチタネート0.1gを反応器に仕込み、系内を窒素に置換した。そして、これらの原料を1000rpmで撹拌しながら、反応器を245℃で加熱し、溶融させた。反応器内温度が245℃に到達してから、3時間エステル化反応を進行させた。3時間経過後、系内の温度を240℃にし、系内を減圧した。系内が高真空(圧力:0.1〜10−5Pa)に到達してから、さらに3時間重合反応を行って、共重合ポリエステル樹脂(A)を得た。
調製例2〜7
使用する各成分の種類とその組成及び重合反応時間を表1のように変更した以外は、調製例1と同様にし、共重合ポリエステル樹脂(B)〜(G)を得た。
なお、表1における略語は、それぞれ以下のものを示す。
TPA:テレフタル酸
IPA:イソフタル酸
ADA:アジピン酸(主鎖の炭素数が6)
AZA:アゼライン酸(主鎖の炭素数が8)
SEA:セバシン酸(主鎖の炭素数が9)
EG:エチレングリコール
NPG:ネオペンチルグリコール
CHDM:1,4−シクロヘキサンジメタノール
PTMG1000:ポリテトラメチレングリコール(分子量:1000、主鎖の炭素数が約54)
HD:1,6−ヘキサンジオール(主鎖の炭素数が6)
得られた共重合ポリエステル樹脂(A)〜(G)の調製時の仕込組成と得られた共重合体の組成及び特性値を表1に示す。
Figure 0006290519
実施例1
(1)ポリアミド系フィルムの製造
ユニチカ社製ポリアミド6樹脂(A1030BRF、相対粘度3.1) 及びシリカ6質量%含有ナイロン6樹脂(A1030QW、相対粘度2.7)を原料として用い、A1030BRF/シリカ含有ナイロン樹脂=97.5/2.5(質量比)の組成比率にて押出機内で溶融混練し、Tダイへ供給してシート状に吐出した。20℃に温度調節した金属ドラムに前記シートを巻き付け、冷却して巻き取ることにより未延伸シートを製造した。このとき、延伸後に得られるポリアミド系フィルムの厚みが15μmとなるように、ポリアミド樹脂の供給量等を調整した。
次いで、得られた未延伸シートを逐次二軸延伸により延伸工程を実施した。より具体的には、前記シートのMDについてはロールを用いて延伸した後、TDについてはテンターを用いて延伸する方法により延伸を行った。
まず、MDの延伸は、前記シートを複数個の延伸用ロールに通過させることにより、MDへ全延伸倍率2.85倍となるように延伸した。このとき、2段階で延伸を行い、1段目の延伸倍率を1.1とし、2段目の延伸倍率を2.59とし、全延伸倍率(MD1×MD2)1.1×2.59=2.85倍とした。加熱条件は、フィルムの引き取り方向に沿って、走行方向のはじめ(T1)が58℃、おわり(T2)が61℃となるように温度勾配を設けて延伸を行った。このとき、フィルムの走行方向のはじめ(入口)とおわり(出口)までのフィルムの走行時間(加熱時間)は約3秒間であった。
MDの延伸後、プライマー層の形成のため、グラビアコーターでポリウレタン水分散体を延伸後のコート厚みが0.03〜0.08μmになるように片面にコーティングした。その後、TDの延伸を行った。上記水分散体としては、アニオン型水分散性ポリウレタン樹脂(DIC社製「ハイドランKU400SF」)100質量部に対して、トリ(メトキシメチル)メラミン樹脂(DIC社製「ベッカミンAPM」)7質量部を混合して得られる水性塗剤を用いた。
次に、TDの延伸は、図3に示すようなテンターを用いて実施した。まず予熱ゾーン(予熱部)の温度を70℃として予熱を行いながら、延伸ゾーンにおいてTDへ3.2倍延伸した。このとき、延伸ゾーン(延伸部)では、フィルムの引き取り方向に沿って、走行方向のはじめ(T1)が78℃、おわり(T2)が100℃となるように温度勾配を設けた。このとき、延伸ゾーンにおけるフィルムの走行方向のはじめ(入口)とおわり(出口)までのフィルムの走行時間(加熱時間)は約3秒間であった。
延伸ゾーンを通過したフィルムは、弛緩熱処理ゾーン(熱処理部)において温度202℃及び弛緩率3%の条件で弛緩熱処理された。このようにして1000m以上連続製造することにより、片面にプライマー層が形成された二軸延伸ポリアミド系フィルム(巻量2000m)を得た。得られたフィルムはロール状に巻き取られた。
(2)接着剤の調製
共重合ポリエステル樹脂として、調製例1で得られた共重合ポリエステル樹脂Aを用い、共重合ポリエステル樹脂Aを95質量%、架橋剤〔4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(三井化学社製「ポリメリックMDI」)〕を5質量%となるように配合し、樹脂固形分の濃度が20質量%になるようにトルエンとメチルエチルケトンの質量比8:2の混合溶剤を投入し、密栓してペイントシェイカーで溶解し、接着剤(A−1)を得た。
(3)積層体の作製
上記(1)で得られた二軸延伸ポリアミド系フィルムを用い、ポリアミド系フィルムのプライマー層が形成された面に、上記(2)で得られた接着剤(A−1)を、卓上型コーティング装置(安田精機社製フィルムアプリケータ;No.542−AB型、バーコータ装着)を用いてコーティングした後、80℃で1分熱風乾燥させ、膜厚3.5μmの樹脂被膜を形成し、40℃で72時間熱処理した。ポリアミド系フィルムの樹脂層形成面に、金属箔〔アルミニウム箔:厚み40μm(JIS規格A8079H−O)〕)の片面が密着するように重ね、上下ロール表面温度80℃、線圧40N/cm、速度1m/minの条件でドライラミネートを行い、40℃で96時間熱処理し、3層構成〔ポリアミド系フィルム/共重合ポリエステル樹脂層/金属箔〕の積層体を得た。
次に、ポリアミド系フィルムと金属箔の積層体の金属箔側に上記接着剤を同様の条件で塗布した後、その塗布面にシーラントフィルム〔未延伸ポリプロピレンフィルム(三井化学東セロ株式会社製 GHC 厚み50μm)〕を貼り合わせ、40℃の雰囲気下で72時間エージング処理を施し、5層構成〔ポリアミド系フィルム/共重合ポリエステル樹脂層/金属箔/共重合ポリエステル樹脂層/シーラントフィルム〕の積層体を作製した。
実施例2〜41、比較例1〜20
製造条件及び延伸後のポリアミド系フィルムの目標厚みを表2〜5及び表7〜8に示したものに変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリアミド系フィルムを得た。得られたポリアミド系フィルムを用いて、実施例1と同様にして積層体を作製した。ただし、実施例21については、より具体的には以下のように変更した。
(1)実施例21について
実施例1に示したポリアミド系フィルムの製造において、ユニチカ社製ポリアミド6樹脂(A1030BRF)、ユニチカ社製ポリアミド66樹脂(A226)及びシリカ6質量%含有ナイロン6樹脂(A1030QW)の組成比率が、A1030BRF/A226/シリカ含有ナイロン6樹脂=89.0/9.7/1.3(質量比)である組成物を原料とし、製造条件を表3に示すものに変更した以外は、実施例8と同様の方法でポリアミド系フィルムを得た。得られたポリアミド系フィルムを用いて、実施例1と同様にして3層構造の積層体を作製し、さらに5層構造の積層体を得た。
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実施例42
共重合ポリエステル樹脂として、調製例1で得られた共重合ポリエステル樹脂Aを用い、共重合ポリエステル樹脂Aを95質量%、架橋剤〔トリレンジイソイアネート(住化コベストロウレタン社製「デスモジュールE14」)〕を5質量%となるように配合した以外は、実施例1と同様にして接着剤(A−2)を得た。次いで、実施例1で得られたポリアミド系フィルムに、上記接着剤(A−2)を用いた以外は、実施例1と同様にして3層構造の積層体を作製し、さらに5層構造の積層体を得た。
実施例43
ポリアミド系フィルムとして、実施例8で得られたポリアミド系フィルムを用いた以外は、実施例42と同様にして3層構造の積層体を作製し、さらに5層構造の積層体を得た。
実施例44
共重合ポリエステル樹脂として、調製例1で得られた共重合ポリエステル樹脂Aを用い、共重合ポリエステル樹脂Aを95質量%、架橋剤〔ヘキサメチレンジイソシアネート(旭化成ケミカルズ社製「TPA−100」)〕を5質量%となるように配合した以外は、実施例1と同様にして接着剤(A−3)を得た。次いで、実施例1で得られたポリアミド系フィルムに、上記接着剤(A−3)を用いた以外は、実施例1と同様にして3層構造の積層体を得、さらに5層構造の積層体を得た。
実施例45
ポリアミド系フィルムとして、実施例8で得られたポリアミド系フィルムを用いた以外は、実施例44と同様にして3層構造の積層体を得、さらに5層構造の積層体を得た。
実施例46
共重合ポリエステル樹脂として、調製例1で得られた共重合ポリエステル樹脂Aのみを用い、架橋剤を配合しなかった以外は、実施例1と同様にして接着剤(A−4)を得た。次いで、実施例1で得られたポリアミド系フィルムに、上記接着剤(A−4)を用いた以外は、実施例1と同様にして3層構造の積層体を作製し、さらに5層構造の積層体を得た。
実施例47
ポリアミド系フィルムとして、実施例8で得られたポリアミド系フィルムを用いた以外は、実施例46と同様にして3層構造の積層体を得、さらに5層構造の積層体を得た。
実施例48、50、52、54、56、58
共重合ポリエステル樹脂として、表1に示す調製例2〜8で得られた共重合ポリエステル樹脂B〜Gを用いた以外は、実施例1と同様にして接着剤(B)〜(G)を得た。次に、実施例1で得られたポリアミド系フィルムに、表19〜20に示す接着剤(B)〜(G)を用いた以外は、実施例1と同様にして3層構造の積層体を作製し、さらに5層構造の積層体を得た。
実施例49、51、53、55、57、59
共重合ポリエステル樹脂として、表1に示す調製例2〜8で得られた共重合ポリエステル樹脂B〜Gを用いた以外は、実施例1と同様にして接着剤(B)〜(G)を得た。実施例8で得られたポリアミド系フィルムに、表19〜20に示す接着剤(B)〜(G)を用いた以外は、実施例1と同様にして3層構造の積層体を作製し、さらに5層構造の積層体を得た。
実施例60
共重合ポリエステル樹脂として、調製例1で得られた共重合ポリエステル樹脂Aを用い、イソシアネート化合物として、ヘキサメチレンジイソシアネート(旭化成ケミカルズ社製「TPA−100」を用い、溶液重合にて得られたポリエステルポリウレタンを使用した以外は、実施例1と同様にして接着剤(H)を得た。溶液重合は共重合ポリエステル樹脂A100部に脱水酢酸エチルを70部加え75℃で1時間溶解後、ヘキサメチレンジイソシアネート及びオクチル錫0.02部加え2時間反応を行った。 実施例1で得られたポリアミド系フィルムに、接着剤(H)を用いた以外は、実施例1と同様にして3層構造の積層体を作製し、さらに5層構造の積層体を得た。
実施例61
実施例8で得られたポリアミド系フィルムに、実施例60で得られた接着剤(H)を用いた以外は、実施例1と同様にして3層構造の積層体を作製し、さらに5層構造の積層体を得た。
実施例62
実施例1で得られた5層構造の積層体において、ポリアミド系フィルムのアルミニウム箔を積層していない面に、接着剤(A)を実施例1と同様にコーティングし、膜厚3.5μmの共重合ポリエステル樹脂層(a)を形成した。この樹脂層面にPETフィルム(ユニチカ社製のエンブレットPET−12 厚み12μm)を貼り合せ、7層構造の積層体〔PETフィルム/共重合ポリエステル樹脂層(a)/ポリアミド系フィルム/共重合ポリエステル樹脂層/金属箔/共重合ポリエステル樹脂層/シーラントフィルム〕を作製した。
実施例63
実施例8で得られた5層構造の積層体を用いた以外は、実施例62と同様にして、7層構造の積層体〔PETフィルム/共重合ポリエステル樹脂層(a)/ポリアミド系フィルム/共重合ポリエステル樹脂層/金属箔/共重合ポリエステル樹脂層/シーラントフィルム〕を作製した。
実施例64〜67
実施例1で得られたポリアミド系フィルムに、接着剤(A−1)を用いて、膜厚が表20〜21に示す樹脂被膜を形成した以外は、実施例1と同様にして3層構造の積層体を作製し、さらに5層構造の積層体を得た。
実施例68
接着剤の作製において、共重合ポリエステル樹脂として、調製例1で得られた共重合ポリエステル樹脂Aを用い、共重合ポリエステル樹脂Aを99質量%、架橋剤〔4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(三井化学社製「ポリメリックMDI」)〕を1質量%となるように配合した以外は、実施例1と同様に行い、接着剤(A−1−1)を得た。それ以外は実施例1と同様にして3層構造の積層体を作製し、さらに5層構造の積層体を得た。
実施例69
接着剤の調製において、共重合ポリエステル樹脂として、調製例1で得られた共重合ポリエステル樹脂Aを用い、共重合ポリエステル樹脂Aを65質量%、架橋剤〔4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(三井化学社製「ポリメリックMDI」)〕を35質量%となるように配合した以外は、実施例1と同様に行い、接着剤(A−1−2)を得た。それ以外は実施例1と同様にして3層構造の積層体を作製し、さらに5層構造の積層体を得た。
実施例70
接着剤の調製において、共重合ポリエステル樹脂として、調製例1で得られた共重合ポリエステル樹脂Aを用い、共重合ポリエステル樹脂Aを99質量%、架橋剤〔トリレンジイソイアネート(住化コベストロウレタン社製「デスモジュールE14」)〕を1質量%となるように配合した以外は、実施例1と同様に行い、接着剤(A−2−1)を得た。それ以外は実施例1と同様にして3層構造の積層体を作製し、さらに5層構造の積層体を得た。
実施例71
接着剤の調製において、共重合ポリエステル樹脂として、調製例1で得られた共重合ポリエステル樹脂Aを用い、共重合ポリエステル樹脂Aを65質量%、架橋剤〔トリレンジイソイアネート(住化コベストロウレタン社製「デスモジュールE14」)〕を35質量%となるように配合した以外は、実施例1と同様に行い、接着剤(A−2−2)を得た。それ以外は実施例1と同様にして3層構造の積層体を作製し、さらに5層構造の積層体を得た。
比較例21
実施例1で得られたポリアミド系フィルムに、接着剤(A−1)に代えて、二液型ポリウレタン系接着剤(東洋モートン社製「TM‐K55/CAT−10L」)を用い、塗布厚みが3.5μmとなるように塗布した後、80℃で10秒間乾燥した。その接着剤塗布面に実施例1と同様の金属箔を貼り合せた。次に、ポリアミド系フィルムと金属箔の積層体の金属箔側に上記接着剤を同様の条件で塗布した後、その塗布面に実施例1と同様のシーラントフィルムを貼り合わせ、40℃の雰囲気下で72時間エージング処理を施し、5層構造の積層体を作製した。
試験例1
各実施例及び比較例で得られたポリアミド系フィルム及び積層体の物性について評価した。その評価結果を表9〜21に示す。なお、表中の単位については、温度の単位は「℃」、平均厚み及び厚み精度の単位は「μm」、プライマー層の厚みの単位は「μm」、応力の単位は「MPa」、絞り深さの単位は「mm」をそれぞれ示す。倍率は、1を基準とした倍率である。
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なお、各表において、各延伸倍率は1を基準とした倍率(倍)を示す。また、各熱処理温度の単位は「℃」、弛緩率の単位は「%」、目標厚みは「μm」を示す。
これらの結果からも明らかなように、実施例1〜71では、特にポリアミド系フィルムの延伸倍率が所定の範囲であったため、得られたポリアミド系フィルムは、一軸引張試験において0度方向、45度方向、90度方向及び135度方向へ5%伸長時の応力の最大値と最小値の差が35MPa以下であり、かつ、15%伸長時の応力の最大値と最小値の差が40MPa以下を満たしたものとなった。そして、これらのポリアミド系フィルムを用いて得られたポリアミド系積層フィルムは、共重合ポリエステル樹脂層を有するものであったため、これらのポリアミド系積層フィルムと金属箔を含む積層体は、接着性に優れ、耐水性、耐アルコール性にも優れたものであった。さらには、これらの積層体は、エリクセン値が高く、冷間成型したときに全方向へ均一な延展性を有するものであった。つまり、これらの実施例の積層体は、アルミニウム箔が破断したり、デラミネーション、ピンホール等が発生することがなく、優れた成型性を有していた。
一方、比較例1〜20では、特にポリアミド系フィルムの延伸倍率が所定の範囲を満足するものではなかったため、得られたポリアミド系フィルムは、一軸引張試験において0度方向、45度方向、90度方向及び135度方向へ5%伸長時の応力の最大値と最小値の差が35MPa以下で、かつ、15%伸長時の応力の最大値と最小値の差が40MPa以下を満たさないものとなった。このため、これら比較例のポリアミド系フィルムを用いて得られたポリアミド系フィルムと金属箔を含む積層体は、エリクセン値が低く、冷間成型したときに全方向へ均一な延展性を有するものとすることができず、成型性に劣るものであった。また、比較例21のポリアミド系積層フィルムは、共重合ポリエステル樹脂層を有していないものであったため、該ポリアミド系積層フィルムと金属箔を含む積層体は、接着性に劣るものであり、耐水性又は耐アルコール性に劣っていた。

Claims (12)

  1. ポリアミド系フィルム及びその表面の少なくとも一方の表面上にある共重合ポリエステル樹脂層を含む積層フィルムであって、ポリアミド系フィルムは下記(1)及び(2)の特性;
    (1)ポリアミド系フィルムにおける任意の点から特定の方向を0度とし、その方向に対して時計回りに45度、90度及び135度の4方向において、一軸引張試験による5%伸長時の各応力の最大値と最小値の差が35MPa以下であること、及び
    (2)前記4方向において、一軸引張試験による15%伸長時の各応力の最大値と最小値の差が40MPa以下であること、
    をすべて満たすことを特徴とするポリアミド系積層フィルム。
  2. ポリアミド系フィルムは、任意の点から特定の方向を0度とし、その方向に対して時計回りに45度、90度、135度、180度、225度、270度及び315度の8方向の厚みの標準偏差が0.200μm以下である、請求項1に記載のポリアミド系積層フィルム。
  3. ポリアミド系フィルムの平均厚みが16μm以下である、請求項1に記載のポリアミド系積層フィルム。
  4. 共重合ポリエステル樹脂層の厚みが0.1〜15μmである、請求項1に記載のポリアミド系積層フィルム。
  5. ポリアミド系フィルム中に有機滑剤及び無機滑剤の少なくとも1種を含有する、請求項1に記載のポリアミド系積層フィルム。
  6. 共重合ポリエステル樹脂層が、ガラス転移温度が10℃以下である共重合ポリエステル樹脂を含む、請求項1に記載のポリアミド系積層フィルム。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のポリアミド系積層フィルムと金属箔とを含む積層体。
  8. 請求項7に記載の積層体を含む容器。
  9. ポリアミド系フィルム及びその表面の少なくとも一方の表面上にある共重合ポリエステル樹脂層を含む積層フィルムを製造する方法であって、ポリアミド系フィルムを製造する第1工程とポリアミド系フィルムに共重合ポリエステル樹脂層を積層する第2工程とを含み、
    前記第1工程は、
    (1)ポリアミド樹脂を含む溶融混練物をシート状に成形することにより未延伸シートを得るシート成形工程、
    (2)前記未延伸シートをMD及びTDに逐次又は同時に二軸延伸することによって延伸フィルムを得る延伸工程
    を含み、
    前記延伸工程が逐次二軸延伸であり、
    (2−1)50〜70℃の温度下で前記未延伸シートをMDに延伸することによって第1延伸フィルムを得る第1延伸工程及び
    (2−2)70〜130℃の温度下で前記第1延伸フィルムをTDに延伸することによって第2延伸フィルムを得る第2延伸工程
    を含み
    かつ、
    (3)下記式a)及びb);
    a)0.85≦X/Y≦0.95
    b)8.5≦X×Y≦9.5
    (但し、Xは前記MDの延伸倍率を示し、Yは前記TDの延伸倍率を示す。)
    の両方を満たす、
    ことを特徴とするポリアミド系積層フィルムの製造方法。
  10. 第1延伸工程がロールを用いる延伸であり、かつ、第2延伸工程がテンターを用いる延伸である、請求項9に記載のポリアミド系積層フィルムの製造方法。
  11. 第2延伸フィルムをさらに180〜230℃の温度下で弛緩熱処理を行う、請求項9に記載のポリアミド系積層フィルムの製造方法。
  12. 第2工程が、共重合ポリエステル樹脂を含む塗工液をポリアミド系フィルムの少なくとも一方の表面に塗布する工程を含む、請求項9に記載のポリアミド系積層フィルムの製造方法。
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