JP6290519B1 - ポリアミド系積層フィルム及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
1. ポリアミド系フィルム及びその表面の少なくとも一方の表面上にある共重合ポリエステル樹脂層を含む積層フィルムであって、ポリアミド系フィルムは下記(1)及び(2)の特性;
(1)ポリアミド系フィルムにおける任意の点から特定の方向を0度とし、その方向に対して時計回りに45度、90度及び135度の4方向において、一軸引張試験による5%伸長時の各応力の最大値と最小値の差が35MPa以下であること、及び
(2)前記4方向において、一軸引張試験による15%伸長時の各応力の最大値と最小値の差が40MPa以下であること、
をすべて満たすことを特徴とするポリアミド系積層フィルム。
2. ポリアミド系フィルムは、任意の点から特定の方向を0度とし、その方向に対して時計回りに45度、90度、135度、180度、225度、270度及び315度の8方向の厚みの標準偏差が0.200μm以下である、前記項1に記載のポリアミド系積層フィルム。
3. ポリアミド系フィルムの平均厚みが16μm以下である、前記項1に記載のポリアミド系積層フィルム。
4. 共重合ポリエステル樹脂層の厚みが0.1〜15μmである、前記項1に記載のポリアミド系積層フィルム。
5. ポリアミド系フィルム中に有機滑剤及び無機滑剤の少なくとも1種を含有する、前記項1に記載のポリアミド系積層フィルム。
6. 共重合ポリエステル樹脂層が、ガラス転移温度が10℃以下である共重合ポリエステル樹脂を含む、前記項1に記載のポリアミド系積層フィルム。
7. 前記項1〜6のいずれかに記載のポリアミド系積層フィルムと金属箔とを含む積層体。
8. 前記項7に記載の積層体を含む容器。
9. ポリアミド系フィルム及びその表面の少なくとも一方の表面上にある共重合ポリエステル樹脂層を含む積層フィルムを製造する方法であって、ポリアミド系フィルムを製造する第1工程とポリアミド系フィルムに共重合ポリエステル樹脂層を積層する第2工程とを含み、
前記第1工程は、
(1)ポリアミド樹脂を含む溶融混練物をシート状に成形することにより未延伸シートを得るシート成形工程、
(2)前記未延伸シートをMD及びTDに逐次又は同時に二軸延伸することによって延伸フィルムを得る延伸工程を含み、
前記延伸工程が逐次二軸延伸であり、
(2−1)50〜70℃の温度下で前記未延伸シートをMDに延伸することによって第1延伸フィルムを得る第1延伸工程及び
(2−2)70〜130℃の温度下で前記第1延伸フィルムをTDに延伸することによって第2延伸フィルムを得る第2延伸工程
を含み、
かつ、
(3)下記式a)及びb);
a)0.85≦X/Y≦0.95
b)8.5≦X×Y≦9.5
(但し、Xは前記MDの延伸倍率を示し、Yは前記TDの延伸倍率を示す。)
の両方を満たす、
ことを特徴とするポリアミド系積層フィルムの製造方法。
10. 第1延伸工程がロールを用いる延伸であり、かつ、第2延伸工程がテンターを用いる延伸である、前記項9に記載のポリアミド系積層フィルムの製造方法。
11. 第2延伸フィルムをさらに180〜230℃の温度下で弛緩熱処理を行う、前記項9に記載のポリアミド系積層フィルムの製造方法。
12. 第2工程が、共重合ポリエステル樹脂を含む塗工液をポリアミド系フィルムの少なくとも一方の表面に塗布する工程を含む、前記項9に記載のポリアミド系積層フィルムの製造方法。
1−1.ポリアミド系積層フィルム
本発明のポリアミド系積層フィルム(以下、単に「積層フィルム」という。)は、ポリアミド系フィルム及びその表面の少なくとも一方の表面上にある共重合ポリエステル樹脂層を含む積層フィルムであって、ポリアミド系フィルムは下記(1)及び(2)の特性;
(1)ポリアミド系フィルムにおける任意の点から特定の方向を0度とし、その方向に対して時計回りに45度、90度及び135度の4方向において、一軸引張試験による5%伸長時の各応力の最大値と最小値の差が35MPa以下であること、及び
(2)前記4方向において、一軸引張試験による15%伸長時の各応力の最大値と最小値の差が40MPa以下であること、
をすべて満たすことを特徴とする。
ポリアミド系フィルム(以下「本発明フィルム」と略することがある。)は、(1)ポリアミド系フィルムにおける特定の方向を0度とし、その方向に対して時計回りに45度、90度及び135度の4方向において、一軸引張試験による5%伸長時の各応力の最大値と最小値の差(A値)が35MPa以下である。(2)前記4方向において、一軸引張試験による15%伸長時の各応力の最大値と最小値の差(B値)が40MPa以下である。
本発明フィルムは、ポリアミド樹脂を主成分とするフィルムである。ポリアミド樹脂は、複数のモノマーがアミド結合して形成されたポリマーである。その代表的なものとしては、例えば6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン、11−ナイロン、12−ナイロン、ポリ(メタキシレンアジパミド)等が挙げられる。また、ポリアミド樹脂としては、例えば6−ナイロン/6,6−ナイロン、6−ナイロン/6,10−ナイロン、6−ナイロン/11−ナイロン、6−ナイロン/12−ナイロン等の2元以上の共重合体でも良い。また、これらが混合されたものであっても良い。上記の中でも、冷間成型性、強度、コスト等の観点から、a)6−ナイロンのホモポリマー、b)6−ナイロンを含むコポリマー又はc)これらの混合物が好ましい。
本発明フィルムは、好ましくは分子配向が二軸配向したものである。このようなフィルムは、基本的には二軸延伸によって得ることができる。特に、ロール及びテンターを用いて二軸延伸されたフィルムが好適である。
本発明フィルムは、二次加工時における伸長時の応力バランスが非常に優れていることを示す指標として、前記A値及びB値を同時に満足することを必須とする。前記A値及びB値が上記範囲を超えるものとなると、ポリアミド系フィルムの全方向での応力バランスが悪く、均一な成型性を得ることが困難となる。均一な成型性が得られない場合、例えば本発明フィルムと金属箔とを積層した積層体を冷間成型する場合において、金属箔に十分な延展性が付与されない(すなわち、ポリアミド系フィルムが金属箔に追従しにくくなる)ため、金属箔の破断が発生したり、あるいはデラミネーション、ピンホール等の不具合が発生しやすくなる。
本発明フィルムは、厚み精度(厚みの均一性)が非常に高いものであることを示す指標として、後記に示す8方向の厚みに対する標準偏差が0.200以下であることが好ましく、中でも0.180以下であることが好ましく、さらには0.160以下であることがより好ましい。上記の厚み精度を示す標準偏差が0.200以下である場合、フィルム表面の厚みのバラツキが非常に小さいものとなり、例えばフィルムの厚みが16μm以下の場合であっても、金属箔と貼り合わせた積層体とし、深絞り冷間成型を行った際にデラミネーション、ピンホール等の不具合が発生せず、良好な成型性を得ることができる。標準偏差が0.200を超える場合、厚み精度が低いため、特にフィルムの厚みが小さい場合、金属箔と貼り合わせた際に、金属箔に十分な延展性を付与することができず、デラミネーション又はピンホールの発生が顕著となり、良好な成型性が得られないことがある。
本発明のポリアミド系積層フィルムは、前記(A)のポリアミド系フィルムとともに共重合ポリエステル樹脂層を含む。以下、共重合ポリエステル樹脂層等について説明する。
共重合ポリエステル樹脂層は、樹脂成分として共重合ポリエステル樹脂を含む。共重合ポリエステル樹脂層は、主に接着剤層として機能するものであり、特に優れた低温接着性を有する。共重合ポリエステル樹脂層中における共重合ポリエステル樹脂の含有量は、通常は80〜100重量%程度とすることが好ましく、特に90〜100重量%とすることがより好ましい。従って、本発明の効果を損なわない範囲内において、共重合ポリエステル樹脂層中に他の成分が含まれていても良い。
酸成分としては、テレフタル酸及びイソフタル酸を含有していることが好ましい。この場合の両者の含有量は、特に制限されないが、例えば酸成分中テレフタル酸30〜80モル%及びイソフタル酸20〜60モル%とすることができ、さらに好ましくはジカルボン酸成分中テレフタル酸35〜75モル%及びイソフタル酸20〜50モル%とすることができる。
上記グリコール成分としては、主鎖の炭素数が6以上であるグリコールを含有することが好ましい。また、上記主鎖の炭素数の上限は、例えば150程度とすることができるが、これに制約されない。例えば、前記炭素数として6〜120程度の範囲を設定することもできる。
共重合ポリエステル樹脂中には架橋剤が含まれていることが好ましい。これにより、ポリアミド系フィルムと金属箔との接着性を向上させ、とりわけ耐水性(高温水中に浸漬させても剥離が生じにくい性能)をよりいっそう高めることができる。
共重合ポリエステル樹脂層の厚みは、本発明のポリアミド系積層フィルムの用途等に応じて適宜設定できるが、一般的には0.1〜15μmであることが好ましく、中でも0.3〜12μmであることがより好ましく、さらには0.5〜10μmであることが最も好ましい。上記厚みが0.1μm未満の場合、ポリアミド系積層フィルムと他の基材(金属箔等)とを接着する場合の接着性が不十分となりやすい。一方、上記厚みが15μmを超える場合、フィルムに塗布することが困難となったり、ポリアミド系フィルムが有する金属箔への延展性付与効果を阻害するおそれがある。
本発明の製造方法は、ポリアミド系フィルム及びその表面の少なくとも一方の表面上にある共重合ポリエステル樹脂層を含む積層フィルムを製造する方法であって、ポリアミド系フィルムを製造する第1工程とポリアミド系フィルムに共重合ポリエステル樹脂層を積層する第2工程とを含み、
前記第1工程は、
(1)ポリアミド樹脂を含む溶融混練物をシート状に成形することにより未延伸シートを得るシート工程(シート成形工程)、
(2)前記未延伸シートをMD及びTDに逐次又は同時に二軸延伸することによって延伸フィルムを得る工程(延伸工程)
を含み、かつ、
(3)下記式a)及びb);
a)0.85≦X/Y≦0.95
b)8.5≦X×Y≦9.5
(但し、Xは前記MDの延伸倍率を示し、Yは前記TDの延伸倍率を示す。)の両方を満たす、
ことを特徴とする。
第1工程では、基材層となるポリアミド系フィルムを製造する。以下においては、各工程について説明する。
シート成形工程では、ポリアミド樹脂を含む溶融混練物をシート状に成形することにより未延伸シートを得る。
延伸工程では、前記未延伸シートをMD及びTDに逐次又は同時に二軸延伸することによって延伸フィルムを得る。
a)0.85≦X/Y≦0.95
(好ましくは0.89≦X/Y≦0.93)
b)8.5≦X×Y≦9.5
(好ましくは8.7≦X×Y≦9.1)
(但し、Xは前記MDの延伸倍率を示し、Yは前記TDの延伸倍率を示す。)の両方を満たすことが必須である。上記a)及びb)の条件のいずれか一方でも満足しない場合は、得られるポリアミド系フィルムは4方向の応力のバランスが悪いものとなり、本発明フィルムを得ることが困難となる。
本発明における延伸工程としては、MDをロールによって延伸し、TDをテンターによって延伸する逐次二軸延伸工程を好適に採用することができる。この方法を採用し、かつ下記に示す温度条件を満足することにより、前記4方向の伸長時の応力バランスをより優れたものとすることが可能となり、かつ、前記4方向の厚み精度をより高いものとすることが可能となるため、特に平均厚み16μm以下の本発明フィルムをより確実かつ効率的に得ることができる。
まず、MDの延伸における温度は、ロールを用いて50〜70℃の温度範囲で延伸することが好ましく、中でも50〜65℃とすることがより好ましい。
TDの延伸は、図3に示すような各ゾーンが形成されるテンターにより延伸を行う。このとき、予熱ゾーンの温度は60〜70℃とすることが好ましい。そして、延伸ゾーンの温度を70〜130℃の温度範囲とすることが好ましく、特に75〜120℃の温度範囲とすることがより好ましく、さらには80〜110℃の温度範囲とすることが最も好ましい。
第2工程では、第1工程で得られたポリアミド系フィルム上に共重合ポリエステル樹脂層を積層することにより、本発明のポリアミド系積層フィルムを製造する。
本発明の積層体は、本発明の積層フィルムと金属箔とを含むものである。本発明の積層体の形態としては、本発明のポリアミド系積層フィルムの共重合ポリエステル樹脂層上に金属箔が積層された積層体が好ましい。また、このような積層体にさらに接着剤層を介して、他の層を積層させた積層体であっても良い。接着剤層としては、特に前記の共重合ポリエステル樹脂層を採用することが望ましい。
本発明は、本発明の積層体を含む容器も包含する。例えば、本発明の積層体を用いて成型された容器も、本発明に包含される。この中でも冷間成型することにより得られる容器であることが好ましい。特に、冷間成型として絞り成型(絞り加工)又は張り出し成型(張り出し加工)により製造される容器であることが好ましく、特に絞り成型により製造される容器が好ましい。
NMR測定装置(日本電子社製JNM−LA400型)を用い、1H−NMR測定を行って、それぞれの共重合成分の組成を求めた。なお、測定溶媒としては、重水素化トリフルオロ酢酸を用いた。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、以下の条件でポリスチレン換算の数平均分子量を測定した。
送液ユニット:島津製作所社製LC−10ADvp
紫外−可視分光光度計:島津製作所社製SPD−6AV、検出波長:254nm
カラム:Shodex社製KF−803 1本、Shodex社製KF−804 2本を直列に接続して使用
溶媒:テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
JIS−K 7121に従って、入力補償型示差走査熱量測定装置(パーキンエルマー社製ダイヤモンドDSC型)を用い、20℃から120℃まで、昇温速度10℃/分の条件で測定をおこない、得られた昇温曲線中の、低温側ベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大となるような点で引いた接線との交点の温度を求め、ガラス転移温度とした。
ポリアミド系フィルムの5%伸長時及び15%伸長時の4方向の応力は、基準方向(0度方向)をMDとしたうえで、前記で説明した方法で測定し、算出した。
なお、測定に用いたサンプルフィルムとしては、得られたフィルムロールに巻き取られたポリアミド系フィルムにおいて、巻幅の中心付近であって、かつ、巻量の半分にあたる位置で採取したものを用いた。
ポリアミド系フィルムの平均厚みと標準偏差は、前記の方法でそれぞれ測定し、算出した。なお、測定に用いたサンプルフィルムは、次の3種類であった。
得られたフィルムロールに巻き取られたポリアミド系フィルムにおいて、a)巻幅の中心付近であって、かつ、巻量の半分にあたる位置で採取したものを「A」と表記し、b)巻幅の右端付近であって、かつ、巻量の半分にあたる位置で採取したものを「B」と表記し、c)巻幅の左端付近であって、かつ、巻終わり付近の位置で採取したものを「C」と表記した。
得られたポリアミド系フィルムをエポキシ樹脂中に包埋し、凍結ウルトラミクロトームで厚み100nmの切片を採取した。切削温度は−120℃、切削速度は0.4mm/分とした。採取した切片をRuO4溶液で1時間気相染色し、JEM−1230 TEM(日本電子社製)を用いて、透過測定にて加速電圧100kVでプライマー層厚みを測定した。このとき、プライマー層の厚みを測定する箇所を任意の5点選択し、5点の測定値の平均値を厚みとした。
なお、測定に用いたサンプルフィルムとしては、得られたフィルムロールに巻き取られたポリアミド系フィルムにおいて、巻幅の中心付近であって、かつ、巻量の半分にあたる位置で採取したものを用いた。
絞り深さ(エリクセン試験)JISZ2247に基づいて、エリクセン試験機(安田精機製作所社製No.5755)を用い、得られた積層体(5層構造又は7層構造の積層体)に鋼球ポンチを所定の押し込み深さで押し付け、エリクセン値を求めた。エリクセン値は0.5mmごとに測定した。エリクセン値が5mm以上である場合が好適であり、特に8mm以上である場合を深絞り成型により好適であると判断した。測定環境は、23℃×50%RHとした。
得られた積層体(5層構造又は7層構造の積層体)を長さ100mm、幅15mmの寸法に裁断して試験片とした。この試験片を、エタノールを充填した容器中に挿入して密栓し、85℃で3時間保管した後、さらに水中に1昼夜浸漬した後の試験片の剥離状況を目視で観察した。
○:積層体の剥離が見られなかった。
△:積層体全面積の10%未満で剥離が確認された。
×:積層体全面積の10%を超える範囲で剥離が確認された。
得られた積層体(5層構造又は7層構造の積層体)を長さ100mm、幅15mmの寸法に裁断して試験片とし、その試験片を1昼夜85℃の水中に浸漬した後の試験片の剥離状況を目視で観察した。
○:積層体の剥離が見られなかった。
△:積層体全面積の10%未満で剥離が確認された。
×:積層体全面積の10%を超える範囲で剥離が確認された。
得られた積層体(5層構造又は7層構造の積層体)を25mm幅で切り出して測定サンプルとし、引張り試験機(インテスコ社製精密万能材料試験機2020型)を用い、引張り速度50mm/分、引張り角度180度で塗膜の剥離強度を測定することにより接着強度を評価した。
◎:剥離強度が8N/25mm以上である。
○:剥離強度が5N/25mm以上、8N/25mm未満である。
△:剥離強度が2N/25mm以上、5N/25mm未満である。
×:剥離強度が2N/25mm未満である。
調製例1
テレフタル酸83g(50モル%)、イソフタル酸83g(50モル%)、エチレングリコール23g(37モル%)、ネオペンチルグリコール66g(63モル%)、1,4−シクロヘキサンジメタノール36g(25モル%)、ポリテトラメチレングリコール100g(10モル%)及び重合触媒としてテトラブチルチタネート0.1gを反応器に仕込み、系内を窒素に置換した。そして、これらの原料を1000rpmで撹拌しながら、反応器を245℃で加熱し、溶融させた。反応器内温度が245℃に到達してから、3時間エステル化反応を進行させた。3時間経過後、系内の温度を240℃にし、系内を減圧した。系内が高真空(圧力:0.1〜10−5Pa)に到達してから、さらに3時間重合反応を行って、共重合ポリエステル樹脂(A)を得た。
使用する各成分の種類とその組成及び重合反応時間を表1のように変更した以外は、調製例1と同様にし、共重合ポリエステル樹脂(B)〜(G)を得た。
TPA:テレフタル酸
IPA:イソフタル酸
ADA:アジピン酸(主鎖の炭素数が6)
AZA:アゼライン酸(主鎖の炭素数が8)
SEA:セバシン酸(主鎖の炭素数が9)
EG:エチレングリコール
NPG:ネオペンチルグリコール
CHDM:1,4−シクロヘキサンジメタノール
PTMG1000:ポリテトラメチレングリコール(分子量:1000、主鎖の炭素数が約54)
HD:1,6−ヘキサンジオール(主鎖の炭素数が6)
(1)ポリアミド系フィルムの製造
ユニチカ社製ポリアミド6樹脂(A1030BRF、相対粘度3.1) 及びシリカ6質量%含有ナイロン6樹脂(A1030QW、相対粘度2.7)を原料として用い、A1030BRF/シリカ含有ナイロン樹脂=97.5/2.5(質量比)の組成比率にて押出機内で溶融混練し、Tダイへ供給してシート状に吐出した。20℃に温度調節した金属ドラムに前記シートを巻き付け、冷却して巻き取ることにより未延伸シートを製造した。このとき、延伸後に得られるポリアミド系フィルムの厚みが15μmとなるように、ポリアミド樹脂の供給量等を調整した。
共重合ポリエステル樹脂として、調製例1で得られた共重合ポリエステル樹脂Aを用い、共重合ポリエステル樹脂Aを95質量%、架橋剤〔4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(三井化学社製「ポリメリックMDI」)〕を5質量%となるように配合し、樹脂固形分の濃度が20質量%になるようにトルエンとメチルエチルケトンの質量比8:2の混合溶剤を投入し、密栓してペイントシェイカーで溶解し、接着剤(A−1)を得た。
上記(1)で得られた二軸延伸ポリアミド系フィルムを用い、ポリアミド系フィルムのプライマー層が形成された面に、上記(2)で得られた接着剤(A−1)を、卓上型コーティング装置(安田精機社製フィルムアプリケータ;No.542−AB型、バーコータ装着)を用いてコーティングした後、80℃で1分熱風乾燥させ、膜厚3.5μmの樹脂被膜を形成し、40℃で72時間熱処理した。ポリアミド系フィルムの樹脂層形成面に、金属箔〔アルミニウム箔:厚み40μm(JIS規格A8079H−O)〕)の片面が密着するように重ね、上下ロール表面温度80℃、線圧40N/cm、速度1m/minの条件でドライラミネートを行い、40℃で96時間熱処理し、3層構成〔ポリアミド系フィルム/共重合ポリエステル樹脂層/金属箔〕の積層体を得た。
製造条件及び延伸後のポリアミド系フィルムの目標厚みを表2〜5及び表7〜8に示したものに変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリアミド系フィルムを得た。得られたポリアミド系フィルムを用いて、実施例1と同様にして積層体を作製した。ただし、実施例21については、より具体的には以下のように変更した。
実施例1に示したポリアミド系フィルムの製造において、ユニチカ社製ポリアミド6樹脂(A1030BRF)、ユニチカ社製ポリアミド66樹脂(A226)及びシリカ6質量%含有ナイロン6樹脂(A1030QW)の組成比率が、A1030BRF/A226/シリカ含有ナイロン6樹脂=89.0/9.7/1.3(質量比)である組成物を原料とし、製造条件を表3に示すものに変更した以外は、実施例8と同様の方法でポリアミド系フィルムを得た。得られたポリアミド系フィルムを用いて、実施例1と同様にして3層構造の積層体を作製し、さらに5層構造の積層体を得た。
共重合ポリエステル樹脂として、調製例1で得られた共重合ポリエステル樹脂Aを用い、共重合ポリエステル樹脂Aを95質量%、架橋剤〔トリレンジイソイアネート(住化コベストロウレタン社製「デスモジュールE14」)〕を5質量%となるように配合した以外は、実施例1と同様にして接着剤(A−2)を得た。次いで、実施例1で得られたポリアミド系フィルムに、上記接着剤(A−2)を用いた以外は、実施例1と同様にして3層構造の積層体を作製し、さらに5層構造の積層体を得た。
ポリアミド系フィルムとして、実施例8で得られたポリアミド系フィルムを用いた以外は、実施例42と同様にして3層構造の積層体を作製し、さらに5層構造の積層体を得た。
共重合ポリエステル樹脂として、調製例1で得られた共重合ポリエステル樹脂Aを用い、共重合ポリエステル樹脂Aを95質量%、架橋剤〔ヘキサメチレンジイソシアネート(旭化成ケミカルズ社製「TPA−100」)〕を5質量%となるように配合した以外は、実施例1と同様にして接着剤(A−3)を得た。次いで、実施例1で得られたポリアミド系フィルムに、上記接着剤(A−3)を用いた以外は、実施例1と同様にして3層構造の積層体を得、さらに5層構造の積層体を得た。
ポリアミド系フィルムとして、実施例8で得られたポリアミド系フィルムを用いた以外は、実施例44と同様にして3層構造の積層体を得、さらに5層構造の積層体を得た。
共重合ポリエステル樹脂として、調製例1で得られた共重合ポリエステル樹脂Aのみを用い、架橋剤を配合しなかった以外は、実施例1と同様にして接着剤(A−4)を得た。次いで、実施例1で得られたポリアミド系フィルムに、上記接着剤(A−4)を用いた以外は、実施例1と同様にして3層構造の積層体を作製し、さらに5層構造の積層体を得た。
ポリアミド系フィルムとして、実施例8で得られたポリアミド系フィルムを用いた以外は、実施例46と同様にして3層構造の積層体を得、さらに5層構造の積層体を得た。
共重合ポリエステル樹脂として、表1に示す調製例2〜8で得られた共重合ポリエステル樹脂B〜Gを用いた以外は、実施例1と同様にして接着剤(B)〜(G)を得た。次に、実施例1で得られたポリアミド系フィルムに、表19〜20に示す接着剤(B)〜(G)を用いた以外は、実施例1と同様にして3層構造の積層体を作製し、さらに5層構造の積層体を得た。
共重合ポリエステル樹脂として、表1に示す調製例2〜8で得られた共重合ポリエステル樹脂B〜Gを用いた以外は、実施例1と同様にして接着剤(B)〜(G)を得た。実施例8で得られたポリアミド系フィルムに、表19〜20に示す接着剤(B)〜(G)を用いた以外は、実施例1と同様にして3層構造の積層体を作製し、さらに5層構造の積層体を得た。
共重合ポリエステル樹脂として、調製例1で得られた共重合ポリエステル樹脂Aを用い、イソシアネート化合物として、ヘキサメチレンジイソシアネート(旭化成ケミカルズ社製「TPA−100」を用い、溶液重合にて得られたポリエステルポリウレタンを使用した以外は、実施例1と同様にして接着剤(H)を得た。溶液重合は共重合ポリエステル樹脂A100部に脱水酢酸エチルを70部加え75℃で1時間溶解後、ヘキサメチレンジイソシアネート及びオクチル錫0.02部加え2時間反応を行った。 実施例1で得られたポリアミド系フィルムに、接着剤(H)を用いた以外は、実施例1と同様にして3層構造の積層体を作製し、さらに5層構造の積層体を得た。
実施例8で得られたポリアミド系フィルムに、実施例60で得られた接着剤(H)を用いた以外は、実施例1と同様にして3層構造の積層体を作製し、さらに5層構造の積層体を得た。
実施例1で得られた5層構造の積層体において、ポリアミド系フィルムのアルミニウム箔を積層していない面に、接着剤(A)を実施例1と同様にコーティングし、膜厚3.5μmの共重合ポリエステル樹脂層(a)を形成した。この樹脂層面にPETフィルム(ユニチカ社製のエンブレットPET−12 厚み12μm)を貼り合せ、7層構造の積層体〔PETフィルム/共重合ポリエステル樹脂層(a)/ポリアミド系フィルム/共重合ポリエステル樹脂層/金属箔/共重合ポリエステル樹脂層/シーラントフィルム〕を作製した。
実施例8で得られた5層構造の積層体を用いた以外は、実施例62と同様にして、7層構造の積層体〔PETフィルム/共重合ポリエステル樹脂層(a)/ポリアミド系フィルム/共重合ポリエステル樹脂層/金属箔/共重合ポリエステル樹脂層/シーラントフィルム〕を作製した。
実施例1で得られたポリアミド系フィルムに、接着剤(A−1)を用いて、膜厚が表20〜21に示す樹脂被膜を形成した以外は、実施例1と同様にして3層構造の積層体を作製し、さらに5層構造の積層体を得た。
接着剤の作製において、共重合ポリエステル樹脂として、調製例1で得られた共重合ポリエステル樹脂Aを用い、共重合ポリエステル樹脂Aを99質量%、架橋剤〔4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(三井化学社製「ポリメリックMDI」)〕を1質量%となるように配合した以外は、実施例1と同様に行い、接着剤(A−1−1)を得た。それ以外は実施例1と同様にして3層構造の積層体を作製し、さらに5層構造の積層体を得た。
接着剤の調製において、共重合ポリエステル樹脂として、調製例1で得られた共重合ポリエステル樹脂Aを用い、共重合ポリエステル樹脂Aを65質量%、架橋剤〔4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(三井化学社製「ポリメリックMDI」)〕を35質量%となるように配合した以外は、実施例1と同様に行い、接着剤(A−1−2)を得た。それ以外は実施例1と同様にして3層構造の積層体を作製し、さらに5層構造の積層体を得た。
接着剤の調製において、共重合ポリエステル樹脂として、調製例1で得られた共重合ポリエステル樹脂Aを用い、共重合ポリエステル樹脂Aを99質量%、架橋剤〔トリレンジイソイアネート(住化コベストロウレタン社製「デスモジュールE14」)〕を1質量%となるように配合した以外は、実施例1と同様に行い、接着剤(A−2−1)を得た。それ以外は実施例1と同様にして3層構造の積層体を作製し、さらに5層構造の積層体を得た。
接着剤の調製において、共重合ポリエステル樹脂として、調製例1で得られた共重合ポリエステル樹脂Aを用い、共重合ポリエステル樹脂Aを65質量%、架橋剤〔トリレンジイソイアネート(住化コベストロウレタン社製「デスモジュールE14」)〕を35質量%となるように配合した以外は、実施例1と同様に行い、接着剤(A−2−2)を得た。それ以外は実施例1と同様にして3層構造の積層体を作製し、さらに5層構造の積層体を得た。
実施例1で得られたポリアミド系フィルムに、接着剤(A−1)に代えて、二液型ポリウレタン系接着剤(東洋モートン社製「TM‐K55/CAT−10L」)を用い、塗布厚みが3.5μmとなるように塗布した後、80℃で10秒間乾燥した。その接着剤塗布面に実施例1と同様の金属箔を貼り合せた。次に、ポリアミド系フィルムと金属箔の積層体の金属箔側に上記接着剤を同様の条件で塗布した後、その塗布面に実施例1と同様のシーラントフィルムを貼り合わせ、40℃の雰囲気下で72時間エージング処理を施し、5層構造の積層体を作製した。
各実施例及び比較例で得られたポリアミド系フィルム及び積層体の物性について評価した。その評価結果を表9〜21に示す。なお、表中の単位については、温度の単位は「℃」、平均厚み及び厚み精度の単位は「μm」、プライマー層の厚みの単位は「μm」、応力の単位は「MPa」、絞り深さの単位は「mm」をそれぞれ示す。倍率は、1を基準とした倍率である。
Claims (12)
- ポリアミド系フィルム及びその表面の少なくとも一方の表面上にある共重合ポリエステル樹脂層を含む積層フィルムであって、ポリアミド系フィルムは下記(1)及び(2)の特性;
(1)ポリアミド系フィルムにおける任意の点から特定の方向を0度とし、その方向に対して時計回りに45度、90度及び135度の4方向において、一軸引張試験による5%伸長時の各応力の最大値と最小値の差が35MPa以下であること、及び
(2)前記4方向において、一軸引張試験による15%伸長時の各応力の最大値と最小値の差が40MPa以下であること、
をすべて満たすことを特徴とするポリアミド系積層フィルム。 - ポリアミド系フィルムは、任意の点から特定の方向を0度とし、その方向に対して時計回りに45度、90度、135度、180度、225度、270度及び315度の8方向の厚みの標準偏差が0.200μm以下である、請求項1に記載のポリアミド系積層フィルム。
- ポリアミド系フィルムの平均厚みが16μm以下である、請求項1に記載のポリアミド系積層フィルム。
- 共重合ポリエステル樹脂層の厚みが0.1〜15μmである、請求項1に記載のポリアミド系積層フィルム。
- ポリアミド系フィルム中に有機滑剤及び無機滑剤の少なくとも1種を含有する、請求項1に記載のポリアミド系積層フィルム。
- 共重合ポリエステル樹脂層が、ガラス転移温度が10℃以下である共重合ポリエステル樹脂を含む、請求項1に記載のポリアミド系積層フィルム。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のポリアミド系積層フィルムと金属箔とを含む積層体。
- 請求項7に記載の積層体を含む容器。
- ポリアミド系フィルム及びその表面の少なくとも一方の表面上にある共重合ポリエステル樹脂層を含む積層フィルムを製造する方法であって、ポリアミド系フィルムを製造する第1工程とポリアミド系フィルムに共重合ポリエステル樹脂層を積層する第2工程とを含み、
前記第1工程は、
(1)ポリアミド樹脂を含む溶融混練物をシート状に成形することにより未延伸シートを得るシート成形工程、
(2)前記未延伸シートをMD及びTDに逐次又は同時に二軸延伸することによって延伸フィルムを得る延伸工程
を含み、
前記延伸工程が逐次二軸延伸であり、
(2−1)50〜70℃の温度下で前記未延伸シートをMDに延伸することによって第1延伸フィルムを得る第1延伸工程及び
(2−2)70〜130℃の温度下で前記第1延伸フィルムをTDに延伸することによって第2延伸フィルムを得る第2延伸工程
を含み、
かつ、
(3)下記式a)及びb);
a)0.85≦X/Y≦0.95
b)8.5≦X×Y≦9.5
(但し、Xは前記MDの延伸倍率を示し、Yは前記TDの延伸倍率を示す。)
の両方を満たす、
ことを特徴とするポリアミド系積層フィルムの製造方法。 - 第1延伸工程がロールを用いる延伸であり、かつ、第2延伸工程がテンターを用いる延伸である、請求項9に記載のポリアミド系積層フィルムの製造方法。
- 第2延伸フィルムをさらに180〜230℃の温度下で弛緩熱処理を行う、請求項9に記載のポリアミド系積層フィルムの製造方法。
- 第2工程が、共重合ポリエステル樹脂を含む塗工液をポリアミド系フィルムの少なくとも一方の表面に塗布する工程を含む、請求項9に記載のポリアミド系積層フィルムの製造方法。
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