JP6287748B2 - 多孔質積層体及び多孔質積層体の製造方法 - Google Patents

多孔質積層体及び多孔質積層体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、多孔質積層体及び多孔質積層体の製造方法に関する。
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を主成分とする多孔質積層体は、PTFEの高い耐熱性、化学的安定性、耐候性、不燃性、高強度、非粘着性、低摩擦係数等の特性と、多孔質による可撓性、液体透過性、粒子捕捉性、低誘電率等の特性とを有する。そのため、PTFE製の多孔質積層体は、半導体関連分野、液晶関連分野及び食品医療関連分野における液体及び気体の精密濾過フィルタとして多用されている。
近年、半導体製造分野では加工の微細化が進行しており、微細加工技術の進歩に応じてエッチング液、洗浄液等からの除去が望まれる異物の寸法も微細化している。従ってフィルタ孔径の微細化が求められるが、処理流量を維持しながらフィルタ孔径を微細化するためには、PTFE製の多孔質積層体をより薄膜化する必要がある。しかし、上記多孔質積層体を薄膜化すると機械的強度が低下する不都合がある。
また、PTFE製の多孔質積層体をフィルタとして用いる場合、大きな濾過面積を得るため、折りひだが形成されたプリーツ状で濾過器に設置される場合が多いが、折りひだの折り曲げ部において多孔質積層体の最表面にあたる捕集層に損傷が生じ易い。
このような不都合を防止するため、PTFE製の多孔質の捕集層及び支持層を有する積層体の捕集層側に保護層を貼り合せて機械的強度を付与したものがフィルタとして考案されている(特開2012−206062号公報参照)。
特開2012−206062号公報
しかし、捕集層及び支持層を有する積層体に保護層を貼り合せると透過流量が低下し、多孔質積層体の所望の特性が得られなくなる場合がある。
本発明は以上のような事情に基づいてなされたものであり、機械的強度を維持しつつ高い透過流量が得られる多孔質積層体及び多孔質積層体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、捕集層及び支持層を有する積層体に保護層を貼り合せる際に捕集層で小孔径化や孔閉塞が生じ、これが原因で保護層を貼り合せた場合に透過流量が大きく低下することを見出した。イオン交換樹脂分散液を接着剤として用いた従来の積層体と保護層との貼り合せでは、PTFE製の捕集層表面に接着剤を塗布後、接着剤が湿った状態で保護層を貼り合せているが、このときに接着剤が捕集層の空孔に入り、捕集層での小孔径化や孔閉塞を誘発していると推測される。
この知見に基づいて考案した本発明の一態様に係る多孔質積層体の製造方法は、支持層、捕集層及び保護層がこの順に積層される多孔質積層体の製造方法であって、多孔質の支持層にポリテトラフルオロエチレンを主成分とする無孔質の樹脂シートを積層する工程と、上記支持層及び樹脂シートの積層体の延伸により、この樹脂シートが多孔質化した捕集層、及び支持層を有する一次積層体を得る工程と、上記一次積層体の捕集層の上記支持層と反対側の面にドライラミネート層を介して保護層を積層する工程と、加熱により上記一次積層体、ドライラミネート層及び保護層を圧着する工程とを備える。
上記課題を解決するためになされた別の本発明の一態様に係る多孔質積層体は、多孔質の支持層と、上記支持層の一方の面に積層され、延伸により多孔質化されたポリテトラフルオロエチレンを主成分とする捕集層と、ドライラミネート層を介して上記捕集層の一方の面側に積層される多孔質の保護層とを備える多孔質積層体である。
本発明の多孔質積層体の製造方法により、機械的強度を維持しつつ高い透過流量が得られる多孔質積層体を製造できる。また、本発明の多孔質積層体は、機械的強度を維持しつつ高い透過流量が得られる。
本発明の一実施形態に係る多孔質積層体の模式的断面図である。 図1の多孔質積層体の製造方法を説明する模式的断面図である。 図1の多孔質積層体の製造方法の図2Aの次の工程を説明する模式的断面図である。 図1の多孔質積層体の製造方法の図2Bの次の工程を説明する模式的断面図である。 図1の多孔質積層体の製造方法の図2Cの次の工程を説明する模式的断面図である。 図1の多孔質積層体の製造方法でドライラミネートシートを用いる場合の図2Bの次の工程を説明する模式的断面図である。 試験No.1の保護層貼合前の捕集層表面のSEM写真である。 試験No.1の保護層貼合後に保護層を剥離した捕集層表面のSEM写真である。 試験No.2の保護層貼合前の捕集層表面のSEM写真である。 試験No.2の保護層貼合後に保護層を剥離した捕集層表面のSEM写真である。
[本発明の実施形態の説明]
本発明の一態様に係る多孔質積層体の製造方法は、支持層、捕集層及び保護層がこの順に積層される多孔質積層体の製造方法であって、多孔質の支持層にポリテトラフルオロエチレンを主成分とする無孔質の樹脂シートを積層する工程と、上記支持層及び樹脂シートの積層体の延伸により、この樹脂シートが多孔質化した捕集層、及び支持層を有する一次積層体を得る工程と、上記一次積層体の捕集層の上記支持層と反対側の面にドライラミネート層を介して保護層を積層する工程と、加熱により上記一次積層体、ドライラミネート層及び保護層を圧着する工程とを備える。
当該多孔質積層体の製造方法は、捕集層及び支持層を有する一次積層体の捕集層の支持層と反対側の面にドライラミネート層を介して保護層を積層した後、加熱により圧着することで捕集層及び保護層を貼り合せるので、加熱圧着の際にドライラミネート層の樹脂が捕集層の空孔に入り難い。そのため、捕集層での小孔径化や孔閉塞が生じ難くなり、保護層の貼り合せによる捕集層の透過流量の低下が抑制され、透過流量を高められる。また、従来のイオン交換樹脂分散液を接着剤として用いる場合には保護層接着時に湿った状態で加熱するのに対し、当該多孔質積層体の製造方法は、上記圧着工程で乾いた状態で加熱するので、上記圧着工程で加熱する時間が従来の保護層接着時の加熱時間よりも短い。従って、当該多孔質積層体の製造方法により、多孔質積層体の製造工程全体の時間を短縮でき、生産効率を向上できる。ここで、「主成分」とは、最も多く含まれる成分であり、例えば含有量が50質量%以上の成分を意味する。
上記積層工程のドライラミネート層の積層が、上記保護層の表面へのドライラミネート剤の塗布及び乾燥によるとよい。ドライラミネート剤が湿った状態で捕集層に接すると、ドライラミネート層の樹脂が捕集層の空孔内部まで進入するが、このように保護層の表面へのドライラミネート剤の塗布及び乾燥によりドライラミネート層を積層することで、ドライラミネート層の樹脂が捕集層の空孔へ進入することをより確実に抑制できる。
上記積層工程のドライラミネート層の積層が、ドライラミネートシートの重ね合せによるとよい。このように、ドライラミネートシートを用いることで、捕集層と保護層とを均一に接着し易い。また、ドライラミネート層を厚くし易いので、アンカー効果を大きくでき捕集層と保護層との剥離強度を向上できる。また、市販のドライラミネートシートを使用できるので、製造工程を簡略化できる。
上記圧着工程後に得られる多孔質積層体の捕集層と保護層との剥離接着強さとしては、0.1N/10mm以上10N/10mm以下が好ましい。このように、多孔質積層体の捕集層と保護層との剥離接着強さを上記範囲内とすることで、一次積層体からの保護層の剥離を確実に防止できる。ここで、「剥離接着強さ」は、JIS−K6854−3(1999)に準拠して測定される。
上記圧着工程後に得られる多孔質積層体の捕集層の空隙率としては、10%以上が好ましい。このように、圧着工程後の捕集層の空隙率を10%以上とすることで、より確実に透過流量を高められる。ここで、「空隙率」は、捕集層のドライラミネート層側の面の開口領域も含む面積に対するその面における開口領域の合計面積の割合を意味する。上記「空隙率」の測定は、例えばGNU Image Manipulation Programなどの画像処理ソフトを用いて、捕集層表面を撮影した電子顕微鏡写真(5000倍)を二値化して算出することで測定できる。具体的には、画像処理ソフトを用いて電子顕微鏡写真をモノクロ画像に変換して二値化することで開口領域を黒色とし、得られた明度のヒストグラムから黒色の割合を測定することで空隙率を算出できる。
上記圧着工程後に得られる多孔質積層体の平均流量孔径としては、40nm以下が好ましい。このように、圧着工程後の平均流量孔径を40nm以下とすることで、半導体製造分野等での近年の要請に応える特性を有するフィルタとして用いることができる。ここで、「平均流量孔径」とは、孔径の平均値に対応した指標であり、細孔径分布測定器等を用いるバブルポイント法(ASTM F316−86、JIS−K3832(1990))による測定結果から求められる。具体的には、バブルポイント法により、膜が乾燥している場合及び膜が液体で濡れている場合について膜に加えられる差圧と膜を透過する空気流量との関係を測定する。そして、この測定により得られたグラフをそれぞれ乾き曲線及び濡れ曲線とし、乾き曲線の流量を1/2とした曲線と濡れ曲線との交点における差圧をP(Pa)としたとき、式d=cγ/Pで表されるd(μm)の値が「平均流量孔径」である(cは定数で2860であり、γは液体の表面張力(dynes/cm)である)。
上記圧着工程後に得られる多孔質積層体の捕集層とドライラミネート層との対面する面内の一部が接着していないとよい。このように、圧着工程後に捕集層とドライラミネート層との対面する面内の一部が接着していないようにすることで、捕集層と保護層との剥離強度を維持しつつ、捕集層とドライラミネート層とが接触していない領域で捕集層の小孔径化や孔閉塞をより確実に抑制できる。
本発明の他の一態様に係るプリント多孔質積層体は、多孔質の支持層と、上記支持層の一方の面に積層され、延伸により多孔質化されたポリテトラフルオロエチレンを主成分とする捕集層と、ドライラミネート層を介して上記捕集層の一方の面側に積層される多孔質の保護層とを備える多孔質積層体である。
当該プリント多孔質積層体は、多孔質の保護層がドライラミネート層を介して多孔質化されたポリテトラフルオロエチレンを主成分とする捕集層の一方の面側に積層されているので、ドライラミネート層の樹脂の捕集層の空孔への進入が抑制される。そのため、捕集層での小孔径化や孔閉塞が生じ難く、保護層の貼り合せによる捕集層の透過流量の低下が抑制され、透過流量を高められる。
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明の実施形態に係る多孔質積層体及び多孔質積層体の製造方法を図面を参照しつつ説明する。
〔多孔質積層体〕
図1に示す当該多孔質積層体は、多孔質の支持層1と、支持層1の一方の面に積層され、延伸により多孔質化されたポリテトラフルオロエチレンを主成分とする捕集層2と、ドライラミネート層3を介して捕集層2の一方の面側に積層される多孔質の保護層4とを備える。
<支持層>
上記支持層1は、捕集層2を支持するための層であり、捕集層2より大きな孔径を有する多孔質体である。支持層1は、捕集層2を支持するものなので機械的強度等に優れることが望まれ、フッ素樹脂多孔質体が好ましく使用される。フッ素樹脂多孔質体の中でも、ポリテトラフルオロエチレンを主成分とする多孔質体が好ましく使用される。なお支持層1は、捕集層2としての無孔質の樹脂シートが支持層1の一方の面に積層された後に捕集層2と共に延伸される。
支持層1の平均厚さとしては、2μm以上80μm以下が好ましく、5μm以上60μmがより好ましい。支持層1の平均厚さが2μm未満の場合、当該多孔質積層体の強度が不十分となるおそれがある。逆に、支持層1の平均厚さが80μmを超える場合、当該多孔質積層体の圧力損失が増大するおそれがある。
支持層1の平均流量孔径は、捕集層2の平均流量孔径よりも大きい。支持層1の平均流量孔径としては、0.1μm以上5μm以下が好ましく、0.2μm以上1μm以下がより好ましい。支持層1の平均流量孔径が0.1μm未満の場合、当該多孔質積層体の透過流量が低下するおそれがある。逆に、支持層1の平均流量孔径が5μmを超える場合、当該多孔質積層体の強度が不十分となるおそれがある。
支持層1の空隙率としては、10%以上80%以下が好ましく、15%以上70%以下がより好ましい。支持層1の空隙率が10%未満の場合、当該多孔質積層体の透過流量が低下するおそれがある。逆に、支持層1の空隙率が80%を超える場合、当該多孔質積層体の強度が不十分となるおそれがある。ここで、「空隙率」は、支持層1の捕集層2側の面の開口領域も含む面積に対するその面における開口領域の合計面積の割合を意味する。
<捕集層>
上記捕集層2は、微細な異物を除去するための層であり、異物を通過させない微細な孔径を有する多孔質体である。捕集層2は、ポリテトラフルオロエチレンを主成分とし、延伸により多孔質化された層である。
捕集層2の平均厚さとしては、0.3μm以上10μm以下が好ましく、0.5μm以上3μm以下がより好ましい。捕集層2の平均厚さが0.3μm未満の場合、捕集層2が破損し易くなるおそれがあると共に、異物の捕集効果が低下するおそれがある。逆に、捕集層2の平均厚さが10μmを超える場合、当該多孔質積層体の圧力損失が増大するおそれがある。
捕集層2の平均流量孔径は、支持層1の平均流量孔径及び保護層4の平均流量孔径よりも小さい。捕集層2の平均流量孔径としては、1nm以上40nm以下が好ましい。捕集層2の平均流量孔径が1nm未満の場合、捕集層2の空孔を均一的に形成することが困難となるおそれがある。逆に、捕集層2の平均流量孔径が40nmを超える場合、所望の微細な異物を除去できないおそれがある。
捕集層2の空隙率としては、10%以上50%以下が好ましく、15%以上40%以下
がより好ましい。捕集層2の空隙率が10%未満の場合、当該多孔質積層体の透過流量が低下するおそれがある。逆に、捕集層2の空隙率が50%を超える場合、所望の微細な異物を除去できないおそれがある。
<保護層>
上記保護層4は、当該多孔質積層体の機械的強度を高めるための層であり、捕集層2より大きな孔径を有する多孔質体である。当該多孔質積層体として耐熱性及び耐薬品性が要求されるため、保護層4の材質として、ポリテトラフルオロエチレンを主成分とする樹脂が好適に用いられる。
保護層4の平均厚さとしては、1μm以上200μm以下が好ましく、5μm以上100μm以下がより好ましい。保護層4の平均厚さが1μm未満の場合、当該多孔質積層体の強度が不十分となるおそれがある。逆に、保護層4の平均厚さが200μmを超える場合、当該多孔質積層体の圧力損失が増大するおそれがある。
保護層4の平均流量孔径としては、0.05μm以上10μm以下が好ましく、0.1μm以上5μm以下がより好ましい。保護層4の平均流量孔径が0.05μm未満の場合、当該多孔質積層体の透過流量が低下するおそれがある。逆に、保護層4の平均流量孔径が10μmを超える場合、当該多孔質積層体の強度が不十分となるおそれがある。
保護層4の空隙率としては、10%以上80%以下が好ましく、15%以上70%以下がより好ましい。保護層4の空隙率が10%未満の場合、当該多孔質積層体の透過流量が低下するおそれがある。逆に、保護層4の空隙率が80%を超える場合、当該多孔質積層体の強度が不十分となるおそれがある。ここで、「空隙率」は、保護層4の捕集層2側の面の開口領域も含む面積に対するその面における開口領域の合計面積の割合を意味する。
<ドライラミネート層>
ドライラミネート層3は、捕集層2と保護層4との間に積層され、捕集層2及び保護層4と強固に密着することにより、捕集層2からの保護層4の剥離を防止する。
ドライラミネート層3は、例えば保護層4の表面へのドライラミネート剤の塗布及び乾燥により形成することができる。また、ドライラミネート層3は、ドライラミネートシートの重ね合せにより形成することもできる。
ドライラミネート層3を形成するドライラミネート剤の固形分の融点又はガラス転移点としては、50℃以上250℃以下が好ましく、150℃以上240℃以下がより好ましい。上記ドライラミネート剤の固形分の融点又はガラス転移点が50℃未満の場合、捕集層2及び保護層4の圧着に要する加熱時間が長くなるおそれがある。さらに、フィルタとして用いる場合にドライラミネート剤が脱落し剥離するおそれがある。また、260℃を超える温度で熱処理した場合、捕集層2の孔径が顕著に拡大する。そのため、上記ドライラミネート剤の固形分の融点又はガラス転移点が250℃を超える場合、捕集層2の空孔の孔径が必要以上に大きくなるおそれがある。
ドライラミネート層3を形成するドライラミネート剤の固形分としては、フッ素樹脂、
イオン交換樹脂、アモルファスフッ素樹脂などを主成分とするものが好ましく、上述の融点又はガラス転移点の観点より、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)を主成分とするものが好ましい。FEPの融点は、約230℃である。FEPを主成分とする固形分を有するドライラミネート剤によりドライラミネート層3を形成することで、捕集層2及び保護層4の圧着時にFEPが溶融して捕集層2表面の凹凸に密着し、アンカー効果により優れた剥離強度が得られる。
捕集層2と保護層4との剥離接着強さとしては、0.1N/10mm以上10N/10mm以下が好ましい。上記剥離接着強さが0.1N/10mm未満の場合、捕集層2から保護層4が剥離し易くなるおそれがある。逆に、上記剥離接着強さが10N/10mmを超える場合、圧着時の圧力を大きくする必要があり設備コストが増加するおそれがある。
捕集層2と保護層4との剥離接着強さが0.1N/10mm以上の場合、捕集層2とドライラミネート層3との対面する面内の一部が接着していなくてもよい。このように、捕集層2とドライラミネート層3との対面する面内に接着していない領域があると、その領域において捕集層2の小孔径化や孔閉塞がより確実に抑制される。なお、捕集層2とドライラミネート層3との対面する面内の一部が接着していない場合、捕集層2とドライラミネート層3との接触する部分が、平面視で捕集層2とドライラミネート層3とが重複する領域の全体に亘って存在していることが好ましい。
平面視で捕集層2とドライラミネート層3とが重複する領域の面積に対する捕集層2とドライラミネート層3との非接触合計面積の割合としては、90%以下が好ましく、80%以下がより好ましい。上記非接触合計面積の割合が90%を超える場合、捕集層2とドライラミネート層3との剥離接着強さが低下し、捕集層2から保護層4が剥がれ易くなるおそれがある。
〔多孔質積層体の製造方法〕
当該多孔質積層体の製造方法は、多孔質の支持層にポリテトラフルオロエチレンを主成分とする無孔質の樹脂シートを積層する工程(積層工程)と、上記支持層及び樹脂シートの積層体の延伸により、この樹脂シートが多孔質化した捕集層、及び支持層を有する一次積層体を得る工程と、上記一次積層体の捕集層の上記支持層と反対側の面にドライラミネート層を介して保護層を積層する工程と、加熱により上記一次積層体、ドライラミネート層及び保護層を圧着する工程(圧着工程)とを備える。
<積層工程>
図2Aに示すように、多孔質の支持層1の一方の面に、ポリテトラフルオロエチレンを主成分とする無孔質の樹脂シート5を積層する。
具体的には、例えばPTFEディスパージョンをアルミニウム箔の表面に滴下して均一に引き伸ばした後、乾燥して無孔質の樹脂シート5を作製する。そして、その樹脂シート5のアルミニウム箔とは反対側の面に接着剤としてPFAディスパージョン等を滴下して均一に引き伸ばした後、支持層1として延伸PTFE多孔質体を貼り合せる。支持層1とする上記延伸PTFE多孔質体として、例えば市販の延伸PTFE多孔質体を用いることができる。
<一次積層体を得る工程>
図2Bに示すように、上記積層工程で積層した支持層1及び樹脂シート5の積層体を延伸し、この樹脂シート5が多孔質化した捕集層2、及び支持層1を有する一次積層体6を得る。
支持層1及び樹脂シート5の積層体の上記延伸は、80℃以下で低温延伸した後、さらに80℃を超える温度で高温延伸する2段階の延伸工程が行われる。低温延伸の延伸率としては、1.5倍以上10倍以下が好ましく、2倍以上5倍以下がより好ましい。高温延伸の延伸率としては、1.5倍以上10倍以下が好ましく、2倍以上5倍以下がより好ましい。低温延伸及び高温延伸については、1軸延伸又は2軸延伸で行うことができるが2軸延伸が好ましい。
上記積層体の延伸方法は、特に限定されるものではないが、上記積層体の延伸は、例えば公知の長尺フィルムの両側縁部を把持して長手方向に搬送するフィルム搬送装置、及び長尺フィルムの両側縁部を把持して長手方向に搬送しつつ幅方向に連続的に拡幅(延伸)するフィルム延伸機(テンターとも呼ばれる)を用いて行うことができる。具体的には、フィルム延伸機によって、上記積層体の一対の側縁部をクリップによって把持し、このクリップによって上記積層体を長手方向に搬送しながら幅方向に延伸する。上記積層体を延伸した後、次にその延伸した積層体の上記一対の側縁部と直交する他の一対の側縁部をフィルム延伸機のクリップで把持して同様に延伸することで、上記積層体を2軸延伸することができる。
<保護層を積層する工程>
保護層を積層する工程では、ドライラミネート層3の積層方法として、保護層4の表面へのドライラミネート剤の塗布及び乾燥による方法、又はドライラミネートシートの重ね合せによる方法を用いることができる。以下に、これらの各方法を用いる場合の保護層を積層する工程について説明する。
(保護層の表面へのドライラミネート剤の塗布及び乾燥による方法)
最初に、保護層4の表面へのドライラミネート剤の塗布及び乾燥によりドライラミネート層3を積層する場合について説明する。まず、図2Cに示すように、保護層4の表面にドライラミネート層3を積層する。具体的には、保護層4の表面にドライラミネート剤を塗布した後、ドライラミネート剤を乾燥させてドライラミネート層3を形成する。ドライラミネート剤の固形分として、例えばFEPを主成分とするものを用いる。
そして、図2Dに示すように、一次積層体を得る工程で取得した一次積層体6に、図2Cのドライラミネート層3を表面に形成した保護層4を積層する。具体的には、一次積層体6の捕集層2と、保護層4の表面に形成したドライラミネート層3とが対面するよう積層する。従って、一次積層体6の捕集層2の支持層1と反対側の面にドライラミネート層3を介して保護層4が積層される。
保護層4の表面に塗布したドライラミネート剤の乾燥時の加熱温度としては、100℃以上350℃以下が好ましく、150℃以上300℃以下がより好ましい。上記加熱温度が100℃未満の場合、乾燥時間が長くなるおそれがある。逆に、上記加熱温度が350を超える場合、保護層4内の空孔の孔径が拡大し過ぎ、保護層4の強度が低下するおそれがある。
保護層4の表面に塗布したドライラミネート剤の乾燥時の加熱時間としては、1分以上30分以下が好ましく、3分以上25分以下がより好ましい。上記加熱時間が1分未満の場合、ドライラミネート層3が十分に乾燥せず、後述する圧着工程において捕集層2の小孔径化や孔閉塞が生じるおそれがある。逆に、上記加熱時間が30分を超える場合、当該多孔質積層体の製造工程全体の時間が長くなり、生産効率が低下するおそれがある。
ドライラミネート剤の固形分濃度としては、0.2質量%以上40質量%以下が好ましく、0.3質量%以上20質量%以下がより好ましい。上記固形分濃度が0.2質量%未満の場合、保護層4の表面に十分な量のドライラミネート剤を塗布できないおそれがある。逆に、上記固形分濃度が40質量%を超える場合、保護層4の表面にドライラミネート剤を均一に塗布できないおそれがある。
また、捕集層2の支持層1とは反対側の表面にドライラミネート剤を塗布しドライラミネート層3を形成してもよい。このようにして一次積層体6にドライラミネート層3を積層した後に、捕集層2と保護層4とが対面するように一次積層体6に保護層4を貼り合せてもよい。このようにした場合でも、ドライラミネート剤の固形分濃度の調整により、ドライラミネート剤が捕集層2の空孔内まで進入しないように表面張力を調整することで、透過流量の高い多孔質積層体を製造することができる。
(ドライラミネートシートの重ね合せによる方法)
次に、ドライラミネートシートの重ね合せによりドライラミネート層3を積層する場合について説明する。まず、ドライラミネートシート7を準備し、図2Eに示すように一次積層体を得る工程で取得した一次積層体6、ドライラミネートシート7及び保護層4をこの順に重ね合せる。具体的には、一次積層体6の捕集層2とドライラミネートシート7が対面するよう重ね合せる。これにより、一次積層体6の捕集層2の支持層1と反対側の面にドライラミネート層3を介して保護層4が積層される。ドライラミネートシート7として、例えばFEPを主成分とするものを用いる。また、ドライラミネートシート7として、例えば市販のFEP製のフィルムを用いることができる。
ドライラミネートシート7を形成するドライラミネート剤の固形分濃度の好ましい範囲は、ドライラミネート剤の塗布及び乾燥によりドライラミネート層3を積層する場合のドライラミネート剤の固形分濃度と同様である。
このように保護層を積層する工程で保護層4の表面にドライラミネートシート7を重ね合せるようにすると、ドライラミネート剤の塗布及び乾燥によりドライラミネート層3を積層する場合の加熱工程が不要となり、多孔質積層体の製造工程を簡略化できる。また、ドライラミネートシート7を用いることで、捕集層2と保護層4とを均一に接着し易い。また、ドライラミネート層3を厚くし易いので、アンカー効果を大きくでき捕集層2と保護層4との剥離強度を向上できる。
<圧着工程>
上記圧着工程では、加熱により一次積層体6、ドライラミネート層3及び保護層4を圧着し、当該多孔質積層体を得る。
圧着工程における加熱温度としては、70℃以上260℃以下が好ましく、100℃以上250℃以下がより好ましい。上記加熱温度が70℃未満の場合、ドライラミネート層3を形成するドライラミネート剤が溶融せず、捕集層2及び保護層4間の十分な剥離強度が得られないおそれがある。逆に、上記加熱温度が260℃を超える場合、保護層4の空孔の孔径が拡大し、所望の微細な異物を除去できないおそれがある。
圧着工程における加熱時間としては、10秒以上30分以下が好ましく、30秒以上25分以下がより好ましい。上記加熱時間が10秒未満の場合、ドライラミネート層3を形成するドライラミネート剤が十分に溶融せず、捕集層2及び保護層4間の剥離強度が不十分となるおそれがある。逆に、上記加熱時間が30分を超える場合、当該多孔質積層体の製造工程全体の時間が長くなり、生産効率が低下するおそれがある。
圧着工程において一次積層体6、ドライラミネート層3及び保護層4の積層体を圧着する圧力としては、0.1kPa以上3kPa以下が好ましく、0.3kPa以上1.5kPa以下がより好ましい。上記圧力が0.1kPa未満の場合、捕集層2とドライラミネート層3とが十分に接着せず、捕集層2及び保護層4間の剥離強度が不十分となるおそれがある。逆に、上記圧力が3kPaを超える場合、設備コストが増加するおそれがある。
〔利点〕
当該多孔質積層体の製造方法は、捕集層2及び支持層1を有する一次積層体6の捕集層2の支持層1と反対側の面にドライラミネート層3を介して保護層4を積層した後、加熱により圧着することで捕集層2及び保護層4を貼り合せるので、加熱圧着の際にドライラミネート層3の樹脂が捕集層2の空孔へ入り難い。これにより、捕集層2での小孔径化や孔閉塞が生じ難くなり、保護層4の貼り合せによる捕集層2の透過流量の低下を抑制でき、高い透過流量を有する多孔質積層体が得られる。
また、当該多孔質積層体の製造方法は、上記圧着工程で加熱する時間が、従来のイオン交換樹脂分散液を接着剤として用いる場合の湿った状態での保護層接着時の加熱時間よりも短いので、多孔質積層体の製造工程全体の時間を短縮でき、生産効率を向上できる。
[その他の実施形態]
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例]
PTFEディスパージョン(旭硝子株式会社の「フルオンAD−911」)、PFAラテックス(ソルベイスペシャルポリマーズジャパン株式会社の「MFA」)及び固形分60質量%のPFAディスパージョン(三井デュポンフロロケミカル株式会社の「920HP」)を用いて、フッ素樹脂ディスパージョンを調製した。これらをPTFEディスパージョン、PFAラテックス及びPFAディスパージョンの固形分の合計体積に対するPFAラテックス中のPFA及びPFAディスパージョン中のPFAの体積比率がいずれも2%となるように調製した後、さらに分子量200万のポリエチレンオキサイドを濃度3mg/mlとなるように添加して上記フッ素樹脂ディスパージョンを調製した。
次に、平均厚さ50μmのアルミニウム箔をガラス平板の上に皺がないように広げて固定し、上記フッ素樹脂ディスパージョンを滴下した後、外径20mmのステンレス鋼製のスライドシャフト(日本ベアリング株式会社の「ステンレスファインシャフトSNSF型」)を転がすようにしてフッ素樹脂ディスパージョンをアルミニウム箔一面に均一になるように伸ばした。
この箔に対して、80℃で1時間乾燥、250℃で1時間加熱、340℃で1時間加熱の順でこれらの工程を行った後、自然冷却し、アルミニウム箔上に固定された無孔質のフッ素樹脂シートを形成した。フッ素樹脂シートが形成される前後のアルミニウム箔の単位面積当たりの質量差とフッ素樹脂の真比重(2.25)より算出したフッ素樹脂シートの平均厚さは約3μmであった。
次に、PFAディスパージョン(三井デュポンフロロケミカル株式会社の「920HP」)を蒸留水で4倍の容積に薄めたPFAディスパージョンに、さらに分子量200万のポリエチレンオキサイドを濃度3mg/mlとなるように添加し、4倍希釈のPFAディスパージョンを調製した。
アルミニウム箔上に固定された上記フッ素樹脂シートをガラス平板の上に皺がないように広げて固定し、4倍希釈の上記PFAディスパージョンを滴下した。その後、上記ステンレス鋼製のスライドシャフトを転がすようにして4倍希釈のPFAディスパージョンをアルミニウム箔一面に均一になるように伸ばしながら、水分が乾燥しない間に、平均孔径0.45μm、平均厚さ80μmの延伸PTFE多孔質体(住友電工ファインポリマー株式会社の「ポアフロンFP−045−80」)を支持層として被せた。
その後、上記フッ素樹脂シートに支持層を被せた箔に対して、80℃で1時間乾燥、250℃で1時間加熱、320℃で1時間加熱、317.5℃で8時間加熱の各工程をこの順序で行った後、自然冷却した。このようにして、上記支持層に上記フッ素樹脂シートを接着した。そして、フッ素樹脂シートに固定されたアルミニウム箔を塩酸によって溶解除去して、支持層にフッ素樹脂シートが積層された積層体を得た。
次に、引張試験機を用いて温度15℃、チャック間55mm、ストローク165mm(延伸率3倍)でこの積層体を幅方向に延伸した後、さらに同じ引張試験機で温度60℃、チャック間55mm、ストローク88mm(延伸率1.6倍)で幅方向と直交する方向へ延伸した。これらの延伸により、フッ素樹脂シートを多孔質化されたポリテトラフルオロエチレンを主成分とする捕集層とし、支持層に捕集層が積層された一次積層体を得た。
一方、低融点FEP(ダイキン工業株式会社の「ネオフロンND−4R」)を蒸留水で2倍の容積に薄めて固形分濃度20質量%のFEPディスパージョンを調製し、このFEPディスパージョンをバーコートにて保護層(住友電工ファインポリマー株式会社の「ポアフロンHHP−045−15」)の表面に均一に塗布した。そして、塗工炉にて100℃で乾燥した後、恒温槽にて250℃で5分間加熱して、保護層の表面にFEPのドライラミネート層を形成させた。
次に、上記一次積層体の捕集層と保護層の表面に形成したドライラミネート層とが対面するように、一次積層体と保護層とを貼り合せた。そして、一次積層体と保護層とを貼り合せた状態で、恒温槽にて、積層方向に0.48kPaの圧力を加えながら250℃で20分間熱処理を行い、実施例として試験No.1の多孔質積層体を得た。
[比較例]
捕集層と保護層とを接着する接着剤として、固形分濃度20質量%のイオン交換樹脂分散液を調製した。バーコートにて、このイオン交換樹脂分散液を試験No.1の多孔質体と同様の方法で作製した一次積層体の捕集層の表面に均一に塗布した。そして、捕集層の表面のイオン交換樹脂分散液が湿った状態で、捕集層と保護層とが対面するように、試験No.1と同種の保護層を一次積層体に貼り合せた。その後、恒温槽にて、150℃で2時間熱処理を行い、比較例として試験No.2の多孔質積層体を得た。
<剥離強度評価>
試験No.1及び試験No.2の多孔質積層体から保護層を剥離する際の剥離強度をJIS−K6854−2(1999)に準拠して測定した。剥離強度の測定結果を表1に示す。
<透気性評価>
透過流量の評価として、試験No.1及び試験No.2の多孔質積層体について、保護層を剥離する前及び保護層を剥離した後のガーレー秒をJIS−P8117(2009)に準拠して測定した。ガーレー秒の測定結果を表1に示す。なお、表1の「2層NM」とは、支持層及び捕集層の積層体を表し、「3層NM」とは、支持層、捕集層及び保護層の積層体であり、保護層を剥離する前の上記多孔質積層体を表している。また、「貼合前の2層NM」とは、試験No.1では上記一次積層体であり、試験No.2では上記一次積層体にイオン交換樹脂分散液を塗布した後のものである。また、「貼合後の保護層」及び「貼合後の2層NM」とは、上記多孔質積層体から保護層を剥離した後の保護層及び2層NMである。また、「2層NMの差分」とは、上記多孔質積層体から保護層を剥離した後の2層NMのガーレー秒から一次積層体のガーレー秒を減じた値である。
<平均流量孔径評価>
試験No.1及び試験No.2の多孔質積層体について、平均流量孔径を測定した。平均流量孔径は、細孔分布測定器(Porous Materials,Inc社の「パームポロメータCFP−1500A」)を用いて測定した。具体的には、まず、液体としてプロピレン,1,1,2,3,3,3酸化ヘキサフッ酸(Porous Materials,Inc社のGALWICK)を用いて、多孔質積層体が乾燥している場合と多孔質積層体が上記液体で濡れている場合について、多孔質積層体に加えられる差圧と多孔質積層体を透過する空気流量との関係を細孔分布測定器で測定した。次に、この測定結果から得られたグラフをそれぞれ乾き曲線及び濡れ曲線とし、乾き曲線の流量を1/2とした曲線と濡れ曲線との交点における差圧をP(Pa)とした。そして、下記式(1)により平均流量孔径d(μm)を求めた。ここで、cは定数で2860であり、γは液体の表面張力(dynes/cm)である。平均流量孔径の測定結果を表1に示す。
平均流量径d(μm)=cγ/P ・・・ (1)
<捕集層表面観察>
試験No.1及び試験No.2の多孔質積層体について、保護層積層前及び保護層剥離後の捕集層の支持層とは反対側の面を観察した。試験No.1の多孔質積層体の一次積層体の捕集層表面及び保護層剥離後の捕集層表面の電子顕微鏡写真(5000倍)をそれぞれ図3A及び図3Bに示す。また、試験No.2の多孔質積層体の一次積層体の捕集層表面及び保護層剥離後の捕集層表面の電子顕微鏡写真(5000倍)をそれぞれ図3C及び図3Dに示す。
Figure 0006287748
[評価結果]
表1の結果より、試験No.1の多孔質積層体が試験No.2の多孔質積層体よりも透過流量が高いことがわかる。これにより、ドライラミネート層を介して捕集層と保護層とを貼り合せることで透過流量の低下を抑制できることがわかる。
図3A及び図3Bより、試験No.1の多孔質積層体では、捕集層表面において保護層積層前に比べて保護層剥離後の空孔がほとんど小孔径化していない。一方、図3C及び図3Dより、試験No.2の多孔質積層体では、捕集層表面において保護層積層前に比べて保護層剥離後に空孔が小孔径化したことが顕著に認められる。これは、試験No.2では、保護層との圧着時に接着剤であるイオン交換樹脂分散液の成分が捕集層の空孔内に進入したためと考えられる。これにより、試験No.1の多孔質積層体の方が、試験No.2の多孔質積層体よりも高い透過流量が得られると考えられる。
また、表1の結果より、試験No.1の多孔質積層体は試験No.2の多孔質積層体に比べて剥離強度が格段に優れていることがわかる。しかし、試験No.1の多孔質積層体は、高い透過流量を確保できている。これは、保護層との圧着時にドライラミネート層のFEPが融解して、捕集層の空孔内に進入することなく捕集層表面の凹凸に密着し、これによりアンカー効果が得られたためと考えられる。
また、試験No.1の多孔質積層体は、平均流量孔径が40nm以下であり、微細な異物を除去するフィルタとして好適に用いることができるといえる。
本発明の製造方法により製造した多孔質積層体は、機械的強度を維持しつつ高い透過流量が得られるので、微細粒子の分離が要求されるフィルタ等として好適に用いられる。
1 支持層
2 捕集層
3 ドライラミネート層
4 保護層
5 樹脂シート
6 一次積層体
7 ドライラミネートシート

Claims (4)

  1. 支持層、捕集層及び保護層がこの順に積層される多孔質積層体の製造方法であって、
    多孔質の支持層にポリテトラフルオロエチレンを主成分とする無孔質の樹脂シートを積層する工程と、
    上記支持層及び樹脂シートの積層体の延伸により、この樹脂シートが多孔質化した捕集層、及び支持層を有する一次積層体を得る工程と、
    上記一次積層体の捕集層の上記支持層と反対側の面にドライラミネート層を介して保護層を積層する工程と、
    加熱により上記一次積層体、ドライラミネート層及び保護層を圧着する工程とを備え
    上記捕集層と支持層とが主成分をPFAとする接着剤によって貼り合わされ、
    上記ドライラミネート層が融点又はガラス転移点が250℃以下のフッ素樹脂を主成分とし、
    上記圧着工程後に得られる多孔質積層体の捕集層と保護層との剥離接着強さが0.1N/10mm以上10N/10mm以下であり、
    上記圧着工程後に得られる多孔質積層体の捕集層の空隙率が10%以上であり、
    上記圧着工程後に得られる多孔質積層体の平均流量孔径が40nm以下である多孔質積層体の製造方法。
  2. 上記積層工程のドライラミネート層の積層が、上記保護層の表面へのドライラミネート剤の塗布及び乾燥による請求項1に記載の多孔質積層体の製造方法。
  3. 上記積層工程のドライラミネート層の積層が、ドライラミネートシートの重ね合せによる請求項1に記載の多孔質積層体の製造方法。
  4. 多孔質の支持層と、
    上記支持層の一方の面に積層され、延伸により多孔質化されたポリテトラフルオロエチレンを主成分とする捕集層と、
    ドライラミネート層を介して上記捕集層の一方の面側に積層される多孔質の保護層とを備え
    上記捕集層と支持層とが主成分をPFAとする接着剤によって貼り合わされ、
    上記ドライラミネート層が融点又はガラス転移点が250℃以下のフッ素樹脂を主成分とし、
    上記捕集層と保護層との剥離接着強さが0.1N/10mm以上10N/10mm以下であり、
    上記捕集層の空隙率が10%以上であり、
    平均流量孔径が40nm以下である多孔質積層体。
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