JP6286605B1 - 浮き床用床材の設置方法、浮き床用床材、浮き床 - Google Patents
浮き床用床材の設置方法、浮き床用床材、浮き床 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】安全性の観点から浮き床用床材として石材やタイルなどの断裂性床材を採用することが難しい、という課題を解決すること。【解決手段】本発明の浮き床用床材の設置方法は、予め定められた所定の間隔で床面上に支持台を設置する。また、本発明の浮き床用床材の設置方法は、前記支持台の間隔に応じた大きさを有し、裏面に所定の補強フィルムが貼られた、外力が加わることで断裂破壊する断裂性床材を、床面から離間した状態で前記支持台が支持するよう前記支持台間に配置する。【選択図】図2
Description
本発明は、浮き床用床材の設置方法、浮き床用床材、浮き床に関し、特に、安全性に配慮した浮き床用床材の設置方法、浮き床用床材、浮き床に関する。
空間の有効活用や軽量化などの目的のため、ビルの屋上などにおいて、浮き床を設置することが知られている。浮き床は、例えば、所定の間隔で支持台を設置し、設置した支持台の上に浮き床用床材を配置することで設置される。なお、支持台に関する技術としては、例えば、特許文献1や特許文献2などがある。
特許文献1や特許文献2に記載されているような支持台の上に配置される浮き床用床材としては、コンクリート板やウッドパネルなどが知られている。例えば、特許文献3には、平行6面体のコンクリートパネル(浮き床用板)が記載されている。特許文献3に記載されているコンクリートパネルは、パネル本体の裏面の直近内側に網体が配設されていることを特徴としている。特許文献3によると、このような構成により、曲げ外力に強いコンクリートパネルを提供することが可能となる。つまり、特許文献3に記載されているようなコンクリートパネルによると、仮にコンクリートパネルが断裂破壊・ひび割れ破壊したとしても、陥没事故が発生することを防ぐことが出来る。
また、関連する技術として、例えば、特許文献4がある。特許文献4には、セメント、平均粒径1μm以下のポゾラン質微粉末、粒径2mm以下の細骨材、繊維、平均粒径3〜20μmの石英粉末、粒度1mm以下の繊維状粒子および/または薄片状粒子、減水材および水を含む配合物を用いて作成した浮き床板(浮き床用板)が記載されている。特許文献4によると、上記構成により、強度や耐久性を向上させることが出来る。
特許文献3、4などに記載のように、支持台の上に配置される浮き床用床材としては、コンクリート板(例えば、鉄筋などにより曲げ外力に対する耐久性を強化したもの)を用いることが一般的である。一方で、美観的価値観(見た目)や重量軽減の必要性から、浮き床用床材として薄い石材やタイルなどを採用したいという要望がある。
しかしながら、石材やタイルなどの床材は、床材の上に人が乗ることなどにより当該床材に外力が加わった際などに、断裂破壊してしまうおそれがある。そして、床材に断裂破壊が生じると、上述したように床材は支持台の上に配置されている状態であるため、床材が陥没して当該床材の上に乗った人などが転落してしまうおそれがあった。このように、安全性の観点から浮き床用床材として石材やタイルなどの外力などにより断裂破壊する断裂性床材を採用することが難しい、という問題が生じていた。
そこで、本発明の目的は、安全性の観点から浮き床用床材として石材やタイルなどの断裂性床材を採用することが難しい、という問題を解決する浮き床用床材の設置方法、浮き床用床材、浮き床を提供することにある。
かかる目的を達成するため本発明の一形態である浮き床用床材の設置方法は、
浮き床用床材の設置方法であって、
予め定められた所定の間隔で床面上に支持台を設置し、
前記支持台の間隔に応じた大きさを有し、裏面に所定の補強フィルムが貼られた、外力が加わることで断裂破壊する断裂性床材を、床面から離間した状態で支持するよう前記支持台間に配置する
という構成をとる。
浮き床用床材の設置方法であって、
予め定められた所定の間隔で床面上に支持台を設置し、
前記支持台の間隔に応じた大きさを有し、裏面に所定の補強フィルムが貼られた、外力が加わることで断裂破壊する断裂性床材を、床面から離間した状態で支持するよう前記支持台間に配置する
という構成をとる。
また、上記浮き床用床材の設置方法では、
前記断裂性床材に所定の前処理を行った上で、当該断裂性床材の裏面一体に前記補強フィルムを貼る
という構成をとる。
前記断裂性床材に所定の前処理を行った上で、当該断裂性床材の裏面一体に前記補強フィルムを貼る
という構成をとる。
また、上記浮き床用床材の設置方法では、
前記前処理では、前記補強フィルムを貼る裏面の粉塵を除去し、前記補強フィルムを貼る裏面の油脂を除去し、前記補強フィルムを貼る裏面に所定のプライマーを塗付する
という構成をとる。
前記前処理では、前記補強フィルムを貼る裏面の粉塵を除去し、前記補強フィルムを貼る裏面の油脂を除去し、前記補強フィルムを貼る裏面に所定のプライマーを塗付する
という構成をとる。
また、上記浮き床用床材の設置方法では、
前記補強フィルムは、所定の厚みを有するポリエステルフィルムと、前記ポリエステルフィルムのうちの裏面に接着されたアクリル系粘着層と、を有しており、前記アクリル系粘着層を用いて前記断裂性床材の裏面に貼る
という構成をとる。
前記補強フィルムは、所定の厚みを有するポリエステルフィルムと、前記ポリエステルフィルムのうちの裏面に接着されたアクリル系粘着層と、を有しており、前記アクリル系粘着層を用いて前記断裂性床材の裏面に貼る
という構成をとる。
また、上記浮き床用床材の設置方法では、
前記断裂性床材は石材である
という構成をとる。
前記断裂性床材は石材である
という構成をとる。
また、本発明の他の形態である浮き床用床材では、
支持台の上に配置される浮き床用床材であって、
外力が加わることで断裂破壊する断裂性床材のうちの一方の面に、所定の補強フィルムが貼られている
という構成をとる。
支持台の上に配置される浮き床用床材であって、
外力が加わることで断裂破壊する断裂性床材のうちの一方の面に、所定の補強フィルムが貼られている
という構成をとる。
また、本発明の他の形態である浮き床では、
予め定められた所定の間隔で床面上に設置された複数の支持台と、
前記支持台の間隔に応じた大きさを有し、裏面に所定の補強フィルムが貼られた、外力が加わることで断裂破壊する断裂性床材と、
を有し、
前記断裂性床材は、床面から離間した状態で前記支持台が支持するよう前記支持台間に配置されている
という構成をとる。
予め定められた所定の間隔で床面上に設置された複数の支持台と、
前記支持台の間隔に応じた大きさを有し、裏面に所定の補強フィルムが貼られた、外力が加わることで断裂破壊する断裂性床材と、
を有し、
前記断裂性床材は、床面から離間した状態で前記支持台が支持するよう前記支持台間に配置されている
という構成をとる。
本発明は、以上のように構成されることにより、安全性の観点から浮き床用床材として石材やタイルなどの断裂性床材を採用することが難しい、という問題を解決する浮き床用床材の設置方法、浮き床用床材、浮き床を提供することが可能となる。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態を図1乃至図13を参照して説明する。図1は、浮き床1の全体の構成の一例を示す図である。図2は、床材2の構成の一例を示す図である。図3は、補強フィルム22の構成の一例を示す図である。図4は、補強フィルム22を石材21に貼る際の流れの一例を示すフローチャートである。図5は、図4で示す前処理の一例を示すフローチャートである。図6は、床材2の設置方法の一例を示すフローチャートである。図7は、石材21の裏面に補強フィルム22を貼らずに石材21をわざと断裂破壊した(石材21を2つに割った)際の様子の一例を示す図である。図8は、石材21の裏面に補強フィルム22を貼った床材2をわざと断裂破壊した(石材21を2つに割った)後、当該断裂破壊した床材2の上に人が乗った様子の一例を示す図である。図9は、補強フィルムの他の構成例である補強フィルム23の構成の一例を示す図である。図10は、前処理の違いによる補強フィルムの接着具合の差の一例を示す表である。図11は、荷重の違いによる補強フィルムの接着具合の差の一例を示す表である。図12は、補強フィルムの違いによる接着具合の差の一例を示す表である。図13は、コンクリート平板と自然石平板と自然石平板に補強フィルムを貼ったものとのひび割れ荷重の違いの一例を示す表である。
本発明の第1の実施形態を図1乃至図13を参照して説明する。図1は、浮き床1の全体の構成の一例を示す図である。図2は、床材2の構成の一例を示す図である。図3は、補強フィルム22の構成の一例を示す図である。図4は、補強フィルム22を石材21に貼る際の流れの一例を示すフローチャートである。図5は、図4で示す前処理の一例を示すフローチャートである。図6は、床材2の設置方法の一例を示すフローチャートである。図7は、石材21の裏面に補強フィルム22を貼らずに石材21をわざと断裂破壊した(石材21を2つに割った)際の様子の一例を示す図である。図8は、石材21の裏面に補強フィルム22を貼った床材2をわざと断裂破壊した(石材21を2つに割った)後、当該断裂破壊した床材2の上に人が乗った様子の一例を示す図である。図9は、補強フィルムの他の構成例である補強フィルム23の構成の一例を示す図である。図10は、前処理の違いによる補強フィルムの接着具合の差の一例を示す表である。図11は、荷重の違いによる補強フィルムの接着具合の差の一例を示す表である。図12は、補強フィルムの違いによる接着具合の差の一例を示す表である。図13は、コンクリート平板と自然石平板と自然石平板に補強フィルムを貼ったものとのひび割れ荷重の違いの一例を示す表である。
本発明の第1の実施形態においては、ビルの屋上などに浮き床1を設置する際に用いる工法(本発明者は、当該工法をユニバーサルフィルム工法と名付けた)、及び、ユニバーサルフィルム工法において用いられる各構成について説明する。本実施形態において説明するユニバーサルフィルム工法は、床面上に設置された支持台3間に床面から離間した状態で配置(載置)される、床材2(浮き床用床材)の構成に特徴を有している。具体的には、後述するように、本実施形態における床材2は、石材21の裏面一体に補強フィルム22を貼った構成を有している。このように石材21と補強フィルム22とから構成される床材2を採用することで、床材2に断裂破壊が仮に生じた際にも、当該断裂破壊した床材2の上に乗っていた人が落下することを防ぐことが出来る。その結果、石材21などの外力により断裂破壊が生じるおそれのある断裂破壊床材を、浮き床1を構成する床材2として安全性の問題なく採用することが可能となる。
まず、ユニバーサルフィルム工法を用いて設置される浮き床1の各構成の一例について説明する。図1は、浮き床1の全体の構成の一例を示している。図1を参照すると、浮き床1は、複数の床材2と複数の支持台3とから構成されおり、支持台3の上に複数の床材2が隙間なく配置されている。床材2は、例えば、当該床材2の四隅のそれぞれにおいて、それぞれ別の支持台3により支持されている。換言すると、床材2は、床面上に設置された4つの支持台3により、床面から離間した状態で支持されている、ということが出来る。また、1つの支持台3は、例えば4つの床材2を支持している、ということも出来る(なお、例えば、浮き床1の端部などにおいては、1つの支持台3が1つや2つの床材2を支持していても構わない)。
なお、図1は、浮き床1の構成の一例である。浮き床1を構成する床材2の数や支持台3の数などは、図1で例示する場合に限定されない。
図2は、床材2の構成の一例を示している。具体的には、図2(A)は、床材2の構成の一例を示す斜視図であり、図2(B)は、床材2の構成の一例を示す底面図である。
図2(A)、図2(B)を参照すると、床材2は、石材21と、当該石材21の裏面に貼られた補強フィルム22と、から構成されている。床材2は、補強フィルム22が貼られた面である裏面が下側(支持台3が存在する側)に位置する状態で、支持台3間に配置される。
石材21は、例えば御影石(花崗岩)や大理石などの自然石の平板である。石材21は、バーナー仕上げなどの各種仕上げ処理が行われていても構わない。石材21は、例えば、平面視で縦及び横の長さが約600mmとなる、略直方体形状を有している。
なお、後述するように、石材21の厚みは、床材2に必要とされる強度などに応じて適宜調整することが出来る。また、後述するように、支持台3は、石材21の大きさに応じた間隔(例えば、600mmごと)で、床面の上に設置される。そのため、石材21の大きさを言い換えると、石材21は、設置された支持台3の間隔に応じた大きさを有している、ということも出来る。
補強フィルム22は、図2(B)で示すように、石材21の裏面に貼られている。補強フィルム22の縦及び横の長さは、石材21の縦及び横の長さとほぼ等しくなるよう調整されている。このように、例えば、補強フィルム22は、石材21の縦横の長さに応じた縦横の長さを有しており、石材21の裏面一体に貼ることが出来るよう構成されている。
図3は、補強フィルム22の構成の一例を示している。図3で示すように、補強フィルム22は、例えば、ポリエステルフィルム221とアクリル系粘着層222とから構成されている。このように、補強フィルム22は、強さと柔軟性を両立するための構成を有している。
ポリエステルフィルム221は、例えば、ポリエチレンテレフタラート(PET:polyethylene terephthalate)などにより構成されている。ポリエステルフィルム221は、例えば、約190μmの厚みを有している。
ポリエステルフィルム221のうち石材21と接着する側の面には、アクリル系粘着層222が塗工されている。また、ポリエステルフィルム221のうちアクリル系粘着層222が塗工されている面とは反対側の面には、例えば、表面に傷などが生じることを防ぐためのハードコート処理223が施されている。このように、ポリエステルフィルム221のうちの一方の面はハードコート処理223がされており、他方の面はアクリル系粘着層222が塗工されている。
アクリル系粘着層222は、アクリルポリマーからなる粘着剤の層である。アクリル系粘着層222は、例えば、多層形成することで、合計約200μmの厚みを有している。図3で示すように、補強フィルム22(ポリエステルフィルム221)は、アクリル系粘着層222を介して石材21と接着されることになる。
このように、補強フィルム22は、ポリエステルフィルム221とアクリル系粘着層222とから構成されている。また、補強フィルム22の表面はハードコート処理223が施されている。なお、ポリエステルフィルム221やアクリル系粘着層222の厚みはあくまで例示である。ポリエステルフィルム221やアクリル系粘着層222は、上記例示した以外の厚みを有していても構わない。
支持台3は、石材21の大きさに応じた間隔(例えば、600mmごと)で、床面の上に設置される。また、支持台3の上には、床材2が配置される。支持台3としては、特許文献1や特許文献2に記載されているような既知の支持台3を用いて構わない。上述したように、本実施形態において説明するユニバーサルフィルム工法は、用いる床材2の構成に特徴を有しており、支持台3の構成には特に依存せず実施可能である。そのため、支持台3の構成は、具体的には限定しない。
以上が、ユニバーサルフィルム工法を用いて設置される浮き床1の構成の一例である。続いて、図4を参照して、補強フィルム22を石材21に貼る際の処理の一例について説明する。
図4を参照すると、まず、石材21の裏面に対して前処理を行う(ステップS101)。後述するように、前処理を行うことで、膨張率の異なる複数の成分を含み、表面に凹凸が存在するような石材21などに対してもより強固に補強フィルム22を貼り付けることが可能となる。なお、ステップS101の前処理において行われる各処理の詳細は、後述する。また、必要に応じて、ステップS101の処理は省略しても構わない。
続いて、前処理を行った石材21の裏面に、補強フィルム22を貼り付ける(ステップS102)。上述したように、補強フィルム22は、例えば、ポリエステルフィルム221とアクリル系粘着層222とから構成されている。補強フィルム22(ポリエステルフィルム221)は、アクリル系粘着層222を介して石材21と接着されることになる。
以上が、補強フィルム22を石材21に貼る際の処理の一例である。続いて、図5を参照して、図4のステップS101の前処理の詳細について説明する。
図5を参照すると、まず箒などの清掃用具を用いて補強フィルム22を貼る面である石材21の裏面を清掃することで、石材21の裏面に付着したチリやホコリなどの粉塵を除去する(ステップS201)。なお、粉塵を除去可能であれば、箒などの清掃用具以外の方法(例えば、空気の噴射など)を用いて粉塵を除去しても構わない。
続いて、脱脂剤を用いてステップS201の処理で粉塵を除去した石材21の裏面に対して脱脂処理を行うことで、石材21の裏面の油脂などを除去する(ステップS202)。脱脂剤としては、市販のスプレータイプのものなど、公知のものを用いて構わない。
以上説明したように、ステップS201、ステップS202の処理を行うことで、石材21の裏面に存在する、粉塵や油脂などの石材21と補強フィルム22との接着を阻害する因子を除去する。
その後、粉塵や油脂などを除去した石材21の裏面に対して、プライマーを塗付する(ステップS203)。プライマーは、例えば、スプレータイプの接着剤(例えば、スプレーのりなど。市販のものを用いて構わない)である。石材21の裏面に対してプライマーを塗付することで、補強フィルム22と石材21の密着性をより高めることが出来る。
以上が、ステップS101の前処理において行われる処理の一例である。ステップS101の前処理の後、石材21と補強フィルム22とを接着することになる。なお、前処理では、上記例示した処理以外の処理が行われても構わない。また、前処理では、上記例示した3つの処理のうちの1つの処理や2つの処理のみが行われても構わない。続いて、図4、図5を用いて行われる処理により生成される床材2を用いたユニバーサルフィルム工法の流れの一例について、図6を参照して説明する。
図6を参照すると、まず、所定の間隔で支持台3を床面上に設置する(ステップS301)。支持台3の設置は、例えば、赤外線レーザーなどを用いた墨出し処理の後に行っても構わない。なお、支持台3を設置する間隔は、例えば、石材21の大きさに応じて定まる。
続いて、補強フィルム22を貼った石材21である床材2を、当該床材2が床面から離間した状態で支持台3が支持するよう支持台3間に配置する(ステップS302)。例えば、床材2の四隅をそれぞれ別の支持台3で支持するように、床材2を配置する。なお、床材2は、補強フィルム22が貼られている面が床面側に位置する状態(つまり、補強フィルム22を有する面が下方を向いた状態)で、支持台3の上に配置する。
以上が、ユニバーサルフィルム工法の流れの一例である。なお、ユニバーサルフィルム工法には、図4、図5を参照して説明した、石材21に補強フィルム22を貼る処理を含めても構わない。
以上説明したように、本実施形態で説明したユニバーサルフィルム工法によると、石材21と補強フィルム22とから構成される床材2を用いている。このように石材21の裏に補強フィルム22が貼られた床材2を用いることで、仮に石材21に断裂破壊が生じた場合でも、裏に貼られていた補強フィルム22により石材21が落下することを防ぐ事ができ、石材21に断裂破壊が生じた際に石材21(床材2)の上に乗っていた人が陥落することを防ぐことが出来る。つまり、本実施形態で説明したユニバーサルフィルム工法によると、安全性の問題なく、床材2として石材21などの外力により断裂破壊する断裂破壊性床材を用いることが可能となる。
例えば、図7は、石材21の裏面に補強フィルム22を貼らずに石材21をわざと断裂破壊した(石材21を2つに割った)際の様子の一例を示している。また、図8は、石材21の裏面に補強フィルム22を貼った床材2をわざと断裂破壊した(石材21を2つに割った)後、当該断裂破壊した床材2の上に人が乗った様子の一例を示している。図7を参照すると、割れた石材21はそれぞれ支持台3の上に留まらず落下していることが分かる。そのため、仮にこのような状態となる石材21の上に人が存在していた場合、石材21の落下とともに当該石材21の上に乗っていた人も落下してしまうおそれがあることになる。一方、図8を参照すると、石材21の裏面に補強フィルム22を貼った床材2の場合、仮に断裂破壊が生じても、当該床材2は支持台3上から落下していない。また、断裂破壊が生じた床材2の上に人が乗った状態でも、床材2は支持台3から落下していない。以上、図7、図8で例示したように、本実施形態で説明したユニバーサルフィルム工法によると、安全性の問題なく、床材2として石材21などの外力により断裂破壊する断裂破壊性床材を用いることが可能となる。
なお、石材21に貼る補強フィルム22の構成は、図3で示す場合に限定されない。石材21には、例えば、図9で示すような構成を有する補強フィルム23が貼られても構わない。補強フィルム22の代わりに補強フィルム23を採用することで、例えば、ポリエステルフィルム231の1枚当たりの厚さを低減させることが可能となり、全体としてのコストを低減させることが可能となる。
図9は、補強フィルム22の代わりに用いることが出来る補強フィルム23の構成の一例を示している。図9で示すように、補強フィルム23は、例えば、100μmの厚みを有するポリエステルフィルム231(例えば、ポリエチレンテレフタラートフィルム)を2枚重ねた構造を有している。
具体的には、図9を参照すると、100μmのポリエステルフィルム231と100μmのポリエステルフィルム231とがアクリル系の感圧接着剤232を介して接着されている。また、ポリエステルフィルム231とポリエステルフィルム231とが接着された構成のうち石材21と接着する側の面には、アクリル系の感圧接着剤232(ポリエステルフィルム231同士を接着する際に用いるものと同様のもので構わない)が塗付されており、感圧接着剤232が塗付されている面とは反対側の面には、例えば、表面に傷などが生じることを防ぐためのハードコート処理233が施されている。なお、感圧接着剤232には、耐紫外線処理剤を含めることが出来る。
このように、補強フィルム23は、ハードコート処理233、ポリエステルフィルム231、感圧接着剤232、ポリエステルフィルム231、感圧接着剤232、の順番に形成された構成から成っている。このように、ポリエステルフィルム231を2枚重ねすることで、補強フィルム22と比較してポリエステルフィルム231の1枚あたりの厚さを薄くしたとしても補強フィルム22と同等の強さを発揮することが可能となる。なお、補強フィルム23の全体の厚みは、例えば、225μmである。ただし、ポリエステルフィルム231の厚みや補強フィルム23全体の厚みは、例示したもの以外であっても構わない。
以上が、補強フィルム23の構成の一例である。なお、補強フィルム23を石材21に貼る際も、上述した補強フィルム22の場合と同様に、前処理を行うことが望ましい。
ここで、前処理の違いによる補強フィルムの接着具合の差の一例について、図10を参照して説明する。図10は、同じ桜御影石の石材21に対してそれぞれ異なる前処理を行った上で補強フィルム23を貼り付けた後、補強フィルム23に対して1kgの荷重を掛けた際の、補強フィルム23の剥離の有無や補強フィルム23が剥離するまでの時間の一例を示している。
具体的には、図10の例では、前処理として粉塵除去のみを行ったもの、前処理として粉塵除去の後に脱脂処理を行ったもの、前処理として粉塵除去と脱脂処理の後にプライマー塗布を行ったもの、のそれぞれに対して、補強フィルム23を貼り付けた。その後、補強フィルム23を貼り付けた面が下方となる状態で測定台に乗せ、補強フィルム23に荷重用の重りを装着するためのフックを装着し、フックに1kgの重りを装着した。
図10を参照すると、実験・測定開始直後の段階では、前処理として粉塵除去のみをしたもの、前処理として粉塵除去と脱脂処理をしたもの、の2つにおいて、石材21に貼り付けた補強フィルム23が剥がれだす様子が観察された。一方、前処理としてプライマー処理まで行ったものは、補強フィルム23が剥がれる気配はなかった。
その後、図10で示すように、前処理として粉塵除去のみを行ったものは、測定開始後10分で補強フィルム23が石材21から剥がれ、1kgの重りが落下した。また、前処理として粉塵除去と脱脂処理を行ったものは、測定開始後5分で補強フィルム23が石材21から剥がれ、1kgの重りが落下した。一方、前処理として粉塵除去と脱脂処理とプライマー塗布とを行ったものは、測定開始後24時間経過しても剥がれる気配がなかった。
以上の結果によると、石材21と補強フィルム23とを強固に貼り付ける際には、前処理としてプライマー塗布を行うことが重要であることが分かる。換言すると、前処理としてプライマー塗布を行うことで、より強固に石材21と補強フィルム23とを貼り付けることが可能となる。そのため、前処理としては、少なくともプライマー塗布を行うことが望ましい。なお、補強フィルム22を用いる場合も、同様に、プライマー塗布を行うことで、より強硬に石材21と補強フィルム22とを貼り付けることが出来る。
次に、石材21に補強フィルム23を貼り付けた後の補強フィルム23にかける荷重を変えた際の様子の一例について、図11を参照して説明する。図11では、補強フィルム23に装着したフックに2kgの重りを装着した際と、4kgの重りを装着した際と、6kgの重りを装着した際の、補強フィルム23の剥離の有無や補強フィルム23が剥離するまでの時間の一例を示している。なお、図11で示す例では、全ての荷重の場合において、前処理として粉塵除去と脱脂処理とプライマー塗布とを行った後、石材21と補強フィルム23とを接着している。
図11を参照すると、実験・測定開始直後の段階では、荷重2kgの場合、補強フィルム23が剥がれる気配はなかった。一方、荷重4kgの場合では、荷重をかけた直後から1cm程度の剥離がみられ、荷重6kgの場合では、荷重をかけた直後から4cm程度の剥離がみられた。
その後、図11で示すように、荷重2kgの場合は、測定開始後1時間半が経過した後も、補強フィルム23が石材21から剥がれる気配はなかった。一方、荷重4kgの場合は、測定開始後1時間半が経過した段階で、補強フィルム23が石材21から15cm程度剥離していた。また、荷重6kgの場合は、測定開始後1時間半が経過した段階で、補強フィルム23が石材21から剥がれ、6kgの重りが落下した。
以上からすると、前処理としてプライマー処理まで行って石材21と補強フィルム23とを接着した場合、補強フィルム23に対して荷重2kg程度までなら荷重がかかっても問題ないことが分かる。また、補強フィルム23に対して荷重4kg以上がかかってしまうと、補強フィルム23が石材21から剥離してしまうおそれがあることが分かる。なお、実際の使用環境においては、床材2は、補強フィルム22や補強フィルム23が貼られた面である裏面が下側(支持台3が存在する側)に位置する状態で支持台3間に配置され、補強フィルム22や補強フィルム23には特に荷重はかからない。つまり、実際の使用環境において、補強フィルム22や補強フィルム23に係ると想定される荷重は0kgである。そのため、実際の使用環境においては、補強フィルム22や補強フィルム23が石材21から剥離してしまうおそれは低い。
続いて、補強フィルム22を用いた場合と補強フィルム23を用いた場合の剥がれやすさの差の一例について、図12を参照して説明する。図12では、石材21と補強フィルム23とを接着した後、補強フィルム23に装着したフックに6kgの重りを装着した際と、石材21と補強フィルム22とを接着した後、補強フィルム22に装着したフックに6kgの重りを装着した際の、補強フィルム22や補強フィルム23の剥離の有無などの一例を示している。なお、図12で示す例では、補強フィルム22を用いる場合と補強フィルム23を用いる場合のいずれの場合においても、前処理として粉塵除去と脱脂処理とプライマー塗布とを行っている。
図12を参照すると、今回の実験においては、実験・測定開始直後の段階では、補強フィルム23を貼り付けた場合と補強フィルム22を貼り付けた場合のいずれの場合においても、石材21から補強フィルム22や補強フィルム23が剥がれる気配はなかった。
その後、図12で示すように、補強フィルム23を用いた場合、測定開始後10分で6cm程度の剥離がみられ、測定開始後1時間半が経過した段階で補強フィルム23が石材21から25cm程度剥離しており、その後ほどなくして、補強フィルム23が石材21から剥がれ、6kgの重りが落下した。一方、補強フィルム22を用いた場合、測定開始後10分で2cm程度の剥離がみられ、測定開始後1時間半が経過した段階で補強フィルム23が石材21から10cm程度剥離していたが、測定開始後1時間半では6kgの重りの落下はみられなかった。
以上の実験結果からすると、補強フィルム22の場合も補強フィルム23と同様に問題なく石材21に接着していることが分かる。換言すると、床材2に用いる補強フィルムとしては、補強フィルム22を用いても構わないし、補強フィルム23を用いても構わない。上述したように、実際の使用環境において、補強フィルム22や補強フィルム23に係ると想定される荷重は0kgである。そのため、補強フィルム22と補強フィルム23とのどちらであっても、問題なく石材21を補強することが可能である。
以上、図10乃至図12を参照して説明したように、補強フィルム22や補強フィルム23を貼る前に行う前処理としては、プライマー塗布を行った方が、より強固に接着することが可能となる。
なお、前処理としてプライマー塗布を行った場合の床材2において補強フィルム22を石材21から剥離させた場合に、補強フィルム22が石材21から剥離した様子を観察すると、補強フィルム22のアクリル系粘着層222がほとんど石材21に残っていることが観察された。この事実は、ポリエステルフィルム221とアクリル系粘着層222の接着よりも、石材21とアクリル系粘着層222の接着の方がより強固であることを示している。つまり、前処理としてプライマー塗布を行うことで、ポリエステルフィルム221とアクリル系粘着層222の接着よりも強固に、石材21とアクリル系粘着層222とを接着することが可能となる。この結果からも、前処理としてプライマー塗布を行うことが望ましいことが分かる。なお、補強フィルム23を用いた場合も同様である。
また、一般的なコンクリート平板と、自然石(御影石)の平板と、自然石(御影石)の平板に補強フィルム22を貼ったものと、に対して、ひび割れ試験(強度試験)を行った結果の一例を図13で示す。図13では、240mmスパンの線状支点の上にコンクリート平板や自然石の平板などを置き、線状支点の中心に線状力点を置き荷重を掛けた場合のひび割れ荷重(破壊荷重)を示している。
図13を参照すると、300mm×300mm×25mm(縦横厚み)のコンクリート平板のひび割れ荷重は2.3KNであった。また、300mm×300mm×25mm(縦横厚み)の自然石(御影石)の平板のひび割れ荷重は平均8.1KN(3回行い、7.7KN、8.7KN、7.9KN)であった。また、300mm×300mm×25mm(縦横厚み)の自然石(御影石)の平板に補強フィルム22を貼ったもののひび割れ荷重は、8.4KNであった。
以上の結果より、自然石の平板のひび割れ荷重はコンクリート平板のひび割れ荷重の3倍以上であることが分かる。ここで、コンクリート平板の比重は約2.4であり、コンクリート平板の重さは1m3当り約2400kgとなる。一方、自然石(御影石)の比重は約2.7であり、自然石平板の重さは、1m3当り約2700kgとなる。また、コンクリート平板や自然石平板などの同質の素材の強度は、素材の厚さに比例する。以上からすると、コンクリート平板と同様の強度を自然石平板で出す場合、2700/2400×1/3の計算式より、コンクリート平板の約40%の重量(つまり、約60%ダウン)で同様の強度を出すことが可能となることが分かる。つまり、本実施形態で説明したユニバーサルフィルム工法によると、安全性の問題なく床材2として石材21を採用することが可能になるとともに、床材2としてコンクリート平板を採用した場合と比較して、同様の強度を出す際により軽量化を図ることが可能となる。浮き床1を設置するビルの屋上などにおいては、軽量化は非常に重要となる。そのため、浮き床1をより軽量化することが可能なユニバーサルフィルム工法は、非常に大きな利点を有していることになる。
以上、上記各実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明の範囲内で当業者が理解しうる様々な変更をすることが出来る。
例えば、本実施形態においては、床材2が石材21と補強フィルム22(又は、補強フィルム23)とから構成されるとした。しかしながら、床材2には、石材21以外の外力が加わることで断裂破壊する断裂性床材が用いられても構わない。例えば、床材21には、石材21の代わりにタイルなどの焼成した焼物が用いられても構わない。
1 浮き床
2 床材
21 石材
22 補強フィルム
221 ポリエステルフィルム
222 アクリル系粘着層
223 ハードコート処理
23 補強フィルム
231 ポリエステルフィルム
232 感圧接着剤
233 ハードコート処理
3 支持台
2 床材
21 石材
22 補強フィルム
221 ポリエステルフィルム
222 アクリル系粘着層
223 ハードコート処理
23 補強フィルム
231 ポリエステルフィルム
232 感圧接着剤
233 ハードコート処理
3 支持台
Claims (6)
- 浮き床用床材の設置方法であって、
予め定められた所定の間隔で床面上に支持台を設置し、
前記支持台の間隔に応じた大きさを有し、所定の前処理が行われた下面に、床材に断裂破壊が生じた際に当該床材が落下することを防ぐ補強フィルムが貼られた、外力が加わることで断裂破壊する断裂性床材である御影石を、床面から離間した状態で前記支持台が支持するよう前記支持台間に配置する
浮き床用床材の設置方法。 - 請求項1に記載の浮き床用床材の設置方法であって、
前記補強フィルムは、所定の厚みを有するポリエステルフィルムを2枚重ねした状態でアクリル系の感圧接着剤により接着された構成を有している
浮き床用床材の設置方法。 - 請求項1又は2に記載の浮き床用床材の設置方法であって、
前記補強フィルムは、390μm以下の厚さを有している
浮き床用床材の設置方法。 - 請求項1から請求項3までのいずれかに記載の浮き床用床材の設置方法であって、
前記補強フィルムの下面側には、ハードコート処理が施されている
浮き床用床材の設置方法。 - 支持台の上に配置される浮き床用床材であって、
外力が加わることで断裂破壊する断裂性床材である御影石のうちの下面に、所定の前処理により形成されたプライマー層を介して、前記御影石に断裂破壊が生じた際に当該御影石が落下することを防ぐ補強フィルムが貼られている
浮き床用床材。 - 予め定められた所定の間隔で床面上に設置された複数の支持台と、
前記支持台の間隔に応じた大きさを有し、所定の前処理により形成されたプライマー層を介して下面に、床材に断裂破壊が生じた際に当該床材が落下することを防ぐ補強フィルムが貼られた、外力が加わることで断裂破壊する断裂性床材である御影石と、
を有し、
前記断裂性床材である御影石は、床面から離間した状態で前記支持台が支持するよう前記支持台間に配置されている
浮き床。
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JPH0136784B2 (ja) * | 1984-05-22 | 1989-08-02 | Shinnippon Seitetsu Kk | |
JPH09277446A (ja) * | 1996-04-19 | 1997-10-28 | Nippon Steel Chem Co Ltd | 石材複合パネルの製造法 |
JP2014227720A (ja) * | 2013-05-22 | 2014-12-08 | オーエム機器株式会社 | 屋外用二重床 |
JP5644896B2 (ja) * | 2012-07-04 | 2014-12-24 | 大日本印刷株式会社 | 粘接着層及び粘接着シート |
-
2017
- 2017-08-30 JP JP2017165383A patent/JP6286605B1/ja active Active
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