以下、本発明を画像形成装置としての複写機(以下、複写機500という)に適用した、本発明の一実施形態について説明する。
図2は、本実施形態の複写機500の概略構成図である。複写機500は、複写機装置本体(以下、プリンタ部100という)、給紙テーブル(以下、給紙部200という)及びプリンタ部100上に取り付けるスキャナ(以下、スキャナ部400という)から構成される。
プリンタ部100の上部に設けられたトナー容器収容部70には、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した四つの粉体物収納容器としてのトナー容器32(Y,M,C,K)が着脱自在(交換自在)に設置されている。トナー容器収容部70の下方には中間転写ユニット85が配設されている。
中間転写ユニット85は、中間転写ベルト48、四つの一次転写バイアスローラ49(Y,M,C,K)、二次転写バックアップローラ82、複数のテンションローラ、及び、不図示の中間転写クリーニング装置等で構成される。中間転写ベルト48は、複数のローラ部材によって張架、支持されるとともに、この複数のローラ部材の1つである二次転写バックアップローラ82の回転駆動によって図2中の矢印方向に無端移動する。
プリンタ部100には、中間転写ベルト48に対向するように、各色に対応した四つの作像部46(Y,M,C,K)が並設されている。また、四つのトナー容器32(Y,M,C,K)の下方には、それぞれに対応した四つのトナー補給装置60(Y,M,C,K)が配設されている。そして、トナー容器32(Y,M,C,K)に収容されたトナーは、それぞれに対応するトナー補給装置60(Y,M,C,K)によって、各色に対応した作像部46(Y,M,C,K)の現像装置(粉体物使用部)内に供給(補給)される。
また、図2に示すように、プリンタ部100は四つの作像部46の下方に潜像形成手段である露光装置47を備える。露光装置47は、スキャナ部400で読み込んだ原稿画像の画像情報またはパーソナルコンピュータ等の外部装置から入力される画像情報に基づいて、後述する感光体41の表面に対して露光し、感光体41の表面に静電潜像を形成する。プリンタ部100が備える露光装置47は、レーザーダイオードを用いたレーザービームスキャナ方式を用いているが、露光手段としてはLEDアレイを用いるものなど他の構成でも良い。
図3は、イエローに対応した作像部46Yの概略構成を示す模式図である。
作像部46Yは、潜像担持体であるドラム状の感光体41Yを備える。さらに、作像部46Yは、帯電手段である帯電ローラ44Y、現像手段である現像装置50Y、感光体クリーニング装置42Y、不図示の除電装置等を感光体41Yの周囲に配設した構成である。そして、感光体41Y上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程)が行われて、感光体41Y上にイエロー画像が形成されることになる。
なお、他の三つの作像部46(M,C,K)も、使用されるトナーの色が異なる点以外は、イエローに対応した作像部46Yとほぼ同様の構成となっていて、各感光体41(M,C,K)上にそれぞれのトナーに対応した色の画像が形成される。以下、他の三つの作像部46(M,C,K)の説明を適宜に省略して、イエローに対応した作像部46Yのみの説明を行うことにする。
感光体41Yは、不図示の駆動モータによって図3中の時計回り方向に回転駆動する。そして、帯電ローラ44Yと対向する位置で、感光体41Yの表面が一様に帯電される(帯電工程)。その後、感光体41Yの表面は、露光装置47から発せられたレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での露光走査によってイエローに対応した静電潜像が形成される(露光工程)。その後、感光体41Yの表面は、現像装置50Yとの対向位置に達して、この位置で静電潜像が現像されて、イエローのトナー像が形成される(現像工程)。
中間転写ユニット85の四つの一次転写バイアスローラ49(Y,M,C,K)は、それぞれ、中間転写ベルト48を感光体41(Y,M,C,K)との間に挟み込んで一次転写ニップを形成している。そして、一次転写バイアスローラ49(Y,M,C,K)に、トナーの極性とは逆の転写バイアスが印加される。
現像工程でトナー像が形成された感光体41Yの表面は、中間転写ベルト48を挟んで一次転写バイアスローラ49Yと対向する一次転写ニップに達して、この一次転写ニップで感光体41Y上のトナー像が中間転写ベルト48上に転写される(一次転写工程)。このとき、感光体41Y上には、僅かながら未転写トナーが残存する。一次転写ニップでトナー像を中間転写ベルト48に転写した感光体41Yの表面は、感光体クリーニング装置42Yとの対向位置に達する。この対向位置で感光体41Y上に残存した未転写トナーがクリーニングブレード42aによって機械的に回収される(クリーニング工程)。最後に、感光体41Yの表面は、不図示の除電装置との対向位置に達して、この位置で感光体41Y上の残留電位が除去される。こうして、感光体41Y上で行われる一連の作像プロセスが終了する。
このような作像プロセスは、他の作像部46(M,C,K)でも、イエロー作像部46Yと同様に行われる。すなわち、作像部46(M,C,K)の下方に配設された露光装置47から、画像情報に基づいたレーザ光Lが、各作像部46(M,C,K)の感光体41(M,C,K)上に向けて照射される。詳しくは、露光装置47は、光源からレーザ光Lを発して、そのレーザ光Lを回転駆動されたポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学素子を介して各感光体41(M,C,K)上に照射する。その後、現像工程を経て各感光体41(M,C,K)上に形成した各色のトナー像を、中間転写ベルト48上に転写する。
このとき、中間転写ベルト48は、図2中の矢印方向に走行して、各一次転写バイアスローラ49(Y,M,C,K)の一次転写ニップを順次通過する。これにより、各感光体41(Y,M,C,K)上の各色のトナー像が、中間転写ベルト48上に重ねて一次転写され、中間転写ベルト48上にカラートナー像が形成される。
各色のトナー像が重ねて転写され、カラートナー像が形成された中間転写ベルト48は、二次転写ローラ89との対向位置に達する。この位置では、二次転写バックアップローラ82が、二次転写ローラ89との間に中間転写ベルト48を挟み込んで二次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト48上に形成されたカラートナー像は、二次転写ニップの位置に搬送された転写紙等の記録媒体P上に転写される。このとき、中間転写ベルト48には、記録媒体Pに転写されなかった未転写トナーが残存する。二次転写ニップを通過した中間転写ベルト48は、不図示の中間転写クリーニング装置の位置に達し、その表面上の未転写トナーが回収され、中間転写ベルト48上で行われる一連の転写プロセスが終了する。
次に、記録媒体Pの動きについて説明する。
上述した二次転写ニップに搬送される記録媒体Pは、プリンタ部100の下方に配設された給紙部200の給紙トレイ26から、給紙ローラ27やレジストローラ対28等を経由して搬送されるものである。詳しくは、給紙トレイ26には記録媒体Pが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ27が図2中の反時計回り方向に回転駆動されると、一番上の記録媒体Pがレジストローラ対28の二つのローラによって形成されるローラニップに向けて搬送される。
レジストローラ対28に搬送された記録媒体Pは、回転駆動を停止したレジストローラ対28のローラニップの位置で一旦停止する。そして、中間転写ベルト48上のカラートナー像が二次転写ニップに到達するタイミングに合わせて、レジストローラ対28が回転駆動されて、記録媒体Pが二次転写ニップに向けて搬送される。その後、記録媒体Pが二次転写ニップを通過するときに、中間転写ベルト48上のカラートナー像が、記録媒体P上に転写される。
二次転写ニップでカラートナー像が転写された記録媒体Pは、定着装置86の位置に搬送される。定着装置86では、定着ベルト及び加圧ローラによる熱と圧力とにより、表面に転写されたカラートナー像が記録媒体P上に定着される。定着装置86を通過した記録媒体Pは、排紙ローラ対29のローラ間を経て、装置外へと排出される。排紙ローラ対29によって装置外に排出された記録媒体Pは、出力画像として、スタック部30上に順次スタックされる。こうして、複写機500における一連の画像形成プロセスが完了する。
次に、作像部46における現像装置50の構成及び動作について、さらに詳しく説明する。なお、ここではイエローに対応した作像部46Yを例に挙げて説明を行うが、他色の作像部46(M,C,K)においても同様である。
現像装置50Yは、図3に示すように、現像ローラ51Y、ドクタブレード52Y、二つの現像剤搬送スクリュ55Y、及び、トナー濃度検知センサ56Y等で構成される。現像ローラ51Yは、感光体41Yに対向し、ドクタブレード52Yは、現像ローラ51Yに対向する。また、二つの現像剤搬送スクリュ55Yは、二つの現像剤収容部(53Y,54Y)内に配設されている。現像ローラ51Yは、内部に固設されたマグネットローラ、及び、マグネットローラの周囲を回転するスリーブ等で構成される。第一現像剤収容部53Y及び第二現像剤収容部54Y内には、キャリアとトナーとからなる二成分の現像剤Gが収容されている。第二現像剤収容部54Yは、その上方に形成された開口を介して落下経路形成部材64Yに連通している。また、トナー濃度検知センサ56Yは、第二現像剤収容部54Y内の現像剤G中のトナー濃度を検知する。
現像装置50内の現像剤Gは、二つの現像剤搬送スクリュ55Yによって、攪拌されながら、第一現像剤収容部53Yと第二現像剤収容部54Yとの間を循環する。第一現像剤収容部53Y内の現像剤Gは、現像剤搬送スクリュ55Yの一方に搬送されながら現像ローラ51Y内のマグネットローラにより形成される磁界によって現像ローラ51Yのスリーブ表面上に供給され、担持される。現像ローラ51Yのスリーブは、図3の矢印で示すように反時計回り方向に回転駆動し、現像ローラ51Y上に担持された現像剤Gは、スリーブの回転にともない現像ローラ51Y上を移動する。このとき、現像剤G中のトナーは、現像剤G中のキャリアとの摩擦帯電によりキャリアとは逆極性の電位に帯電して静電的にキャリアに吸着し、現像ローラ51Y上に形成された磁界によって引き寄せられるキャリアとともに現像ローラ51Y上に担持される。
現像ローラ51Y上に担持された現像剤Gは、図3中の矢印方向に搬送されて、ドクタブレード52Yと現像ローラ51Yとが対向するドクタ部に達する。現像ローラ51Y上の現像剤Gは、ドクタ部を通過する際にその量が適量化され、その後、感光体41Yとの対向位置である現像領域まで搬送される。現像領域では、現像ローラ51Yと感光体41Yとの間に形成された現像電界によって感光体41Y上に形成された潜像に現像剤G中のトナーが吸着される。現像領域を通過した現像ローラ51Yの表面上に残った現像剤Gはスリーブの回転に伴い第一現像剤収容部53Yの上方に達して、この位置で現像ローラ51Yから離脱される。
現像装置50Y内の現像剤Gは、トナー濃度が所定の範囲内になるように調整される。詳しくは、現像装置50Y内の現像剤Gに含まれるトナーの現像による消費量に応じて、トナー容器32Yに収容されているトナーが、後述するトナー補給装置60Yを介して第二現像剤収容部54Y内に補給される。
第二現像剤収容部54Y内に補給されたトナーは、二つの現像剤搬送スクリュ55Yによって、現像剤Gとともに混合、攪拌されながら、第一現像剤収容部53Yと第二現像剤収容部54Yとの間を循環する。
次に、トナー補給装置60(Y,M,C,K)について説明する。
図4は、トナー補給装置60Yにトナー容器32Yが設置された状態を示す模式図であり、図5は、トナー容器収容部70に四つのトナー容器32(Y,M,C,K)が設置された状態を示す概略斜視図である。
プリンタ部100のトナー容器収容部70に設置された各トナー容器32(Y,M,C,K)内のトナーは、各色の現像装置50(Y,M,C,K)内のトナー消費に応じて、適宜に各現像装置50(Y,M,C,K)内に補給される。このとき、各トナー容器32(Y,M,C,K)内のトナーは、トナー色ごとに設けられたトナー補給装置60(Y,M,C,K)によって補給される。なお、四つのトナー補給装置60(Y,M,C,K)やトナー容器32(Y,M,C,K)は、作像プロセスに用いられるトナーの色が異なる以外はほぼ同一構造である。このため、以下、イエローに対応したトナー補給装置60Yやトナー容器32Yのみの説明を行い、他の三つの色に対応したトナー補給装置60(M,C,K)やトナー容器32(M,C,K)の説明は、適宜に省略する。
トナー補給装置60(Y,M,C,K)は、トナー容器収容部70、搬送ノズル611(Y,M,C,K)、搬送スクリュ614(Y,M,C,K)、落下経路形成部材64(Y,M,C,K)、容器回転駆動部91(Y,M,C,K)等で構成されている。
トナー容器32Yが図中矢印Qの方向へ移動してプリンタ部100のトナー容器収容部70に装着されると、その装着動作に連動して、トナー容器32Yの容器先端側からトナー補給装置60Yの搬送管である搬送ノズル611Yが挿入される。これにより、トナー容器32Y内と搬送ノズル611Y内とが連通する。この装着動作に連動して連通する構成についての詳細は後述する。
本実施形態のトナー容器32Yは、略円筒状のトナーボトルであって、主として、トナー容器収容部70に非回転で保持される容器先端側カバー34Yと、容器ギア301Yが一体的に形成された容器本体33Yとから主に構成される。容器本体33Yは、容器先端側カバー34Yに対して相対的に回転可能に保持されている。
トナー容器収容部70は、主として、キャップ部73と、容器受部72と、挿入口形成部71とで構成されている。キャップ部73は、トナー容器32Yの容器先端側カバー34Yを保持するための部分であり、容器受部72は、トナー容器32Yの容器本体33Yを保持するための部分である。また、挿入口形成部71は、容器受部72と、トナー容器32Yの装着動作時における挿入口を形成する部分である。複写機500の手前側(図2の紙面垂直方向手前側)に設置された不図示の本体カバーを開放すると、トナー容器収容部70の挿入口形成部71が露呈される。そして、各トナー容器32(Y,M,C,K)の長手方向を水平方向とした状態で、複写機500の手前側から各トナー容器32(Y,M,C,K)の着脱操作(トナー容器32の長手方向を着脱方向とする着脱操作)を行う。なお、図4中のセットカバー608Yは、トナー容器収容部70のキャップ部73の一部である。
容器受部72は、その長手方向の長さが、容器本体33Yの長手方向の長さとほぼ同等になるように形成されている。また、キャップ部73は容器受部72における長手方向(着脱方向)の他端側に設けられ、挿入口形成部71は容器受部72における長手方向の一端側に設けられている。そのため、トナー容器32Yの装着動作にともない、容器先端側カバー34Yは、挿入口形成部71を通過した後に、しばらく容器受部72上を滑動して、その後にキャップ部73に装着されることになる。
容器先端側カバー34Yがキャップ部73に装着された状態で、駆動モータや駆動ギア等で構成されている容器回転駆動部91Yから容器ギア301Yに回転駆動が入力されることで、容器本体33Yが図4中の矢印A方向に回転駆動される。容器本体33Y自体が回転することで、容器本体33Yの内周面に螺旋状に形成された螺旋状突起302Yによって、容器本体33Yの内部に収容されたトナーが容器本体長手方向に沿って図4中の左側から右側へ搬送される。これにより、容器先端側カバー34Y側から搬送ノズル611Y内に供給される。
搬送ノズル611Y内には、搬送スクリュ614Yが配置されており、容器回転駆動部91Yから搬送スクリュギア605Yに回転駆動が入力されることで、搬送スクリュ614Yが回転し、搬送ノズル611Y内に供給されたトナーを搬送する。搬送ノズル611Yの搬送方向下流端は、落下経路形成部材64Yに接続されており、搬送スクリュ614Yによって搬送されたトナーは、落下経路形成部材64Yを自重落下して現像装置50Y(第二現像剤収容部54Y)内に補給される。
トナー容器32(Y,M,C,K)は、それぞれ、寿命に達したとき(収容するトナーがほとんどすべて消費されて空になったとき)に新品のものに交換される。トナー容器32の長手方向における容器先端側カバー34とは反対側の端部には把手部303が設けられており、交換の際には、作業者が把手部303を握って引き出すことで、装着されたトナー容器32を取り外すことが出来る。
上述した露光装置47で用いる画像情報に基づいて制御部90がトナー消費量を算出し、制御部90が現像装置50Yへのトナーの供給を要すると判断する場合がある。また、トナー濃度検知センサ56Yの検知結果に基づいて現像装置50Y内のトナー濃度が低下したことを制御部90にて検出する場合がある。これらの場合は、制御部90の制御によって容器回転駆動部91Yを回転駆動し、トナー容器32Yの容器本体33Yと搬送スクリュ614Yとを所定時間回転させて現像装置50Yへのトナー補給を行う。また、搬送ノズル611Y内に配置された搬送スクリュ614Yを回転することによってトナーの補給を行っているため、搬送スクリュ614Yの回転数を検出することで、トナー容器32Yからのトナー供給量を精度良く算出することもできる。トナー容器32Yを装着したときから累積的に算出したトナー供給量が装着時のトナー容器32Y内のトナー量に達した場合には、トナー容器32Y内にトナーが無いものとして、複写機500の不図示の表示部にトナー容器32Yの交換を促す旨の表示を行う。
また、トナー濃度検知センサ56Yがトナー濃度低下を検知して、補給動作実行し、トナー濃度が回復したか否か判定を複数回繰り返しても、トナー濃度検知センサ56Yによってトナー濃度が回復したことが検知されない場合がある。この場合も、トナー容器32Y内にトナーが無いものとして、複写機500の不図示の表示部にトナー容器32Yの交換を促す旨の表示を行う。
本実施形態のトナー補給装置60Yでは、搬送スクリュ614Yの回転数によって現像装置50Yへのトナーの供給量を制御している。このため、搬送ノズル611Yを通過したトナーは、現像装置50Yへの供給量を制御されることなく、落下経路形成部材64Yを介して、直接に現像装置50Yへと搬送される。本実施形態のように、搬送ノズル611Yをトナー容器32Yに挿入するトナー補給装置60Yであっても、トナーホッパ等のトナー一時貯留部を設けてもよい。そして、このトナー一時貯留部から現像装置50Yへのトナーの搬送量を制御することで、現像装置50Yへのトナーの供給量を制御する構成としてもよい。
また、本実施形態のトナー補給装置60Yでは、搬送ノズル611Y内に供給されたトナーを搬送スクリュ614Yによって搬送する構成としているが、搬送ノズル611Y内に供給されたトナーを搬送する構成としては、スクリュ部材に限るものではない。特許文献6のように、粉体ポンプを用いて搬送ノズル611Yの開口部に負圧を発生させる構成など、スクリュ部材以外によって搬送力を付与する構成であってもよい。
トナー一時貯留部を設ける構成では、トナー一時貯留部内に貯留されたトナーが所定量以下になったことを検知するトナーエンドセンサを設置する。そして、トナーエンドセンサのトナーエンド検知に基づいて、容器本体33Y及び搬送スクリュ614Yを所定時間回転駆動してトナー一時貯留部へのトナー補給を行う。さらに、このような制御を所定回数繰り返してもトナーエンドセンサによるトナーエンド検知が解除されない場合には、トナー容器32Y内にトナーが無いものとして、複写機500の不図示の表示部にトナー容器32Yの交換を促す旨の表示を行う。このように、トナーエンドセンサのトナーエンド検知に基づいてトナー容器32Y内のトナーが無くなったことを検出する構成であれば、トナー容器32Yを装着したときからのトナー供給量を累積的に算出する必要がない。しかし、本実施形態のトナー補給装置60Yのように、トナー一時貯留部を設けない構成であれば、トナー補給装置60Yの小型化を図ることができ、複写機500全体の小型化を図ることができる。
次に、本実施形態のトナー容器32(Y,M,C,K)及びトナー補給装置60(Y,M,C,K)についてより詳細に説明する。なお、上述したように、トナー容器32(Y,M,C,K)及びトナー補給装置60(Y,M,C,K)は、それぞれ使用するトナーの色が異なる他はほぼ同様の構成になっている。よって、以下、Y,M,C,Kという使用するトナーの色を示す添字を省略して説明する。
図6は、本実施形態のトナー容器32の斜視説明図である。図7は、保管時のトナー容器32の斜視説明図であり、図6で示したトナー容器32の先端開口305の開口を封止する封止部材としてのキャップ370(キャップ部材)を取り付けた状態である。
また、図1は、トナー容器32の説明図であり、図1(a)は、トナー容器32の分解斜視図、図1(b)は、トナー容器32が備えるノズル受入部材330を他端側から見た正面図である。なお、図1(a)及び図7中に示すキャップ370は、トナー容器32をトナー補給装置60に装着するときには、トナー容器32本体から取り外す部材である。
図8は、容器先端側カバー34を取り外した状態のトナー容器32の斜視説明図である。図8に示すように、容器先端側カバー34を取り外したトナー容器32は、容器本体33と、ノズル受入口331を形成するノズル受入部材330とから構成される。
図9は、トナー容器32を装着する前のトナー補給装置60と、トナー容器32の先端側端部との斜視説明図である。図10は、トナー容器32を装着した状態のトナー補給装置60と、先端側のトナー容器32の端部との斜視説明図である。
図11は、トナー容器32を装着する前のトナー補給装置60と、先端側のトナー容器32の端部との断面説明図である。図12は、トナー容器32を装着している途中のトナー補給装置60と、先端側のトナー容器32の端部との断面説明図である。図13は、トナー容器32を装着した状態のトナー補給装置60と、先端側のトナー容器32の端部との断面説明図である。図11〜図13では、駆動モータ603の図示は省略している。
トナー補給装置60は、内部に搬送スクリュ614を備える搬送ノズル611を備える。また、トナー補給装置60は、ノズルシャッタ612を備える。ノズルシャッタ612は、トナー容器32が装着される前の非装着時(図9及び図11の状態)では、搬送ノズル611に形成されたノズル開口610を閉鎖する。そして、トナー容器32が装着された装着時(図10及び図13の状態)ではノズル開口610を開放する。一方、トナー容器32の先端面の中央には、装着時に搬送ノズル611が挿入されるノズル受入口331が形成されており、非装着時にノズル受入口331を閉鎖する容器シャッタシートである弾性シート部材300を備える。弾性シート部材300は、複数枚のシート状の弾性体(弾性シート332)からなり、挿入口閉鎖部材として機能する。
トナー容器32について説明する。
上述したようにトナー容器32は、容器本体33と、容器先端側カバー34とから主に構成されている。図14は、容器本体33からノズル受入部材330を取り外した状態のトナー容器32の断面説明図である。また、図15は、図14の状態からノズル受入部材330を容器本体33に取り付けた状態のトナー容器32(図8と同様に容器先端側カバー34を取り外した状態のトナー容器32)の断面説明図である。
容器本体33は、略円筒状であり、円筒の中心軸を回転軸として回転する構成となっている。以下、この回転軸に平行な方向を「回転軸方向」と呼び、回転軸方向において、トナー容器32における容器先端側カバー34が配置されている側であり、装着時の先端側を「先端側」と呼ぶ。また、トナー容器32における把手部303が配置されている側(先端側とは逆側)を「後端側」或いは「容器内方」と呼ぶ。なお、上述したトナー容器32の長手方向は回転軸方向であり、トナー補給装置60にトナー容器32を装着した状態では、回転軸方向は水平方向となる。容器本体33の容器ギア301よりも後端側は、先端側よりもその外径が大きくなっており、その内周面には螺旋状突起302が形成されている。そして、容器本体33が図中の矢印A方向に回転すると、容器本体33内のトナーは螺旋状突起302の作用によって回転軸方向における一端側(後端側)から他端側(先端側)に向かう搬送力が付与される。
容器本体33の先端側の内壁には、容器本体33が図中矢印A方向に回転することで螺旋状突起302によって先端側に搬送されてきたトナーを、容器本体33の回転によって上方に汲み上げる汲み上げ部304が形成されている。汲み上げ部304は、凸部304hと、汲み上げ壁面304fとから成る。凸部304hは、螺旋を形成しながら容器本体33の回転中心に向かって山の稜線を成すように容器本体33の内側に隆起した部分である。汲み上げ壁面304fは、凸部304h(稜線)から容器本体33の周面の内壁にまで繋がる隆起部の壁面のうち容器回転方向から見て下流側となる壁面である。そして、汲み上げ壁面304fが下方にあるときに、螺旋状突起302の搬送力によって汲み上げ部304に対向する内部空間に進入したトナーを、容器本体33の回転に応じて汲み上げ壁面304fが上方に汲み上げる。これにより、挿入された搬送ノズル611よりも上方にトナーを汲み上げることができる。
また、図11〜図13等に示すように、汲み上げ部304の内周面にも、螺旋状突起302と同様に内部のトナーを搬送するように、螺旋状に形成された汲み上げ部螺旋状突起304aが形成されている。
容器本体33の汲み上げ部304よりもさらに先端側には、容器ギア301が形成されている。容器先端側カバー34には、容器本体33に取り付けた状態で、この容器ギア301の一部(図6中の奥側)が露出するように、ギア露出開口部34aが設けられている。そして、トナー容器32をトナー補給装置60に装着することで、ギア露出開口部34aから露出した容器ギア301が、トナー補給装置60側の容器駆動出力ギア601に噛み合う構成となっている。
容器本体33の容器ギア301よりもさらに先端側には、円筒状の容器開口部33aが形成されている。そして、この容器開口部33aにノズル受入部材330の受入部材固定部337を圧入することにより、容器本体33に対してノズル受入部材330を固定することが出来る。ノズル受入部材330を固定する方法としては圧入に限らず、接着剤による固定やネジ止めによる固定であっても良い。
トナー容器32は、容器本体33に対して容器開口部33aの開口からトナーを充填後、ノズル受入部材330を容器本体33の容器開口部33aに固定する構成となっている。
また、容器本体33の容器開口部33aの容器ギア301側の端部には、カバー爪引掛け部306が形成されている。図8に示す状態のトナー容器32(容器本体33)に対して、先端側(図8中の左下側)から容器先端側カバー34を取り付ける。これにより、容器本体33が回転軸方向で容器先端側カバー34を貫き、容器先端側カバー34の上部に設けられたカバー爪部341がカバー爪引掛け部306に引っ掛かる。カバー爪引掛け部306は容器開口部33aの外周面を一周するように形成されており、カバー爪部341を回転軸方向で容器ギア301とともに挟むようにして、容器先端側カバー34の軸方向への移動を規制している。この様な構成によって、容器本体33と容器先端側カバー34とは、相対的に回転可能な取り付けとなる。
また、容器本体33は、二軸延伸ブロー成形法(特許文献1〜3参照)によって成形される。この二軸延伸ブロー成形法は、一般的にはプリフォーム成形工程と延伸ブロー成形工程との二段工程からなる。プリフォーム成形工程では、樹脂を用いて射出成形により試験管状のプリフォームを成形する。このときの射出成形により、試験管状の口部に、容器開口部33a、カバー爪引掛け部306及び容器ギア301を形成する。延伸ブロー成形工程は、プリフォーム成形工程後に冷却され、型から外されたプリフォームを加熱して軟化した後、ブロー成形すると共に延伸する。
本実施形態の容器本体33では、容器ギア301よりも後端側が延伸ブロー成形工程によって成形される。すなわち、汲み上げ部304、螺旋状突起302が形成されている部分、及び、把手部303は、延伸ブロー成形工程によって成形される。
容器本体33において、容器ギア301、容器開口部33a及びカバー爪引掛け部306等の容器ギア301から先端側の各部は、射出成形されたプリフォームのままの形状であるため、精度良く成形できる。一方、汲み上げ部304、螺旋状突起302が形成されている部分、及び、把手部303は、射出成形された後、延伸ブロー成形工程で延伸して成形されているため、精度良く成形がなされていない。
次に、容器本体33に固定されるノズル受入部材330について説明する。
図1、図14及び図15に示すように、ノズル受入部材330は、受入部材固定部337と、弾性シート部材300と、容器シール部材である容器シール333と、シートストッパ335と、から構成される。
そして、シートストッパ335は、一対の延在部335aを備えている。
本実施形態のトナー容器32が備える弾性シート部材300は、第一弾性シート332aと第二弾性シート332bとの二枚の弾性シート332から構成されている。弾性シート332は、伸縮性がある弾性材料からなる薄膜シート(シート状の弾性体)からできている。また、弾性シート部材300は、第一弾性シート332aと第二弾性シート332bとの二枚の弾性シート332を重なり部332cで重なるように配置している。そして、この重なり部332cによって弾性シート部材300における搬送ノズル611が押し広げて開口する部分を閉鎖している。
受入部材固定部337は後述する容器シール固定壁部336側へ向かって内周面の径が階段状に小さくなる筒状である。図14及び図15に示すように、受入部材固定部337は、弾性シート部材300や容器シール333を固定するために、他の部分よりも内周面の径が小さいドーナツ状の容器シール固定壁部336が形成されている。
この容器シール固定壁部336に対して、先端側となる壁面に突き当たるようにドーナツ状の容器シール333が配置されている。容器シール333は、接着剤または両面テープ等により受入部材固定部337の容器シール固定壁部336の先端側の壁面(第一壁面)に固定されている。
一方、弾性シート332(332a、332b)は、半円よりも重なり代(しろ)分だけ大きな形状の平面を形成する部分の一部が、容器シール固定壁部336の後端側の壁面(第二壁面)とシートストッパ335とに挟まれる。また、弾性シート332(332a、332b)は、上記平面を形成する部分から後端側に延在するように形成された被狭持部3321(3321a及び3321b)を備える。被狭持部3321(3321a及び3321b)はシートストッパ335の外周面に沿う形状である。
受入部材固定部337に対してシートストッパ335を圧入すると、弾性シート332(332a、332b)の上記平面を形成する部分の一部が、容器シール固定壁部336の後端側の壁面(第二壁面)とシートストッパ335の先端側とに挟まれる。また、弾性シート332(332a、332b)の被狭持部3321(3321a及び3321b)がシートストッパ335の外周面と受入部材固定部337の内周面とに挟まれる。このように、弾性シート332(332a、332b)の一部が、容器シール固定壁部336とシートストッパ335との間やシートストッパ335と受入部材固定部337との間に挟まれる。これにより、弾性シート332(332a、332b)が受入部材固定部337に対して固定されている。
受入部材固定部337のノズル受入口331を形成する部分の内周面や容器シール固定壁部336の後端側の壁面との間に弾性シート332(332a、332b)を挟むように、シートストッパ335を受入部材固定部337に対して圧入している。これにより、シートストッパ335を受入部材固定部337に対して固定することが出来る。さらに、シートストッパ335と受入部材固定部337との間に挟まれた弾性シート332(332a、332b)を受入部材固定部337に対して固定することが出来る。
このとき、上記平面を形成する部分における容器シール固定壁部336とシートストッパ335との間に挟まれる部分と、被狭持部3321(3321a及び3321b)とが、弾性シート332(332a、332b)における被保持部となる。
また、第一弾性シート332aと第二弾性シート332bとは、この被保持部でも少なくとも一部が重なるように配置されている。
受入部材固定部337に対する弾性シート332(332a、332b)の固定方法としては、圧入固定に限らず、接着剤を用いた接着固定であっても良い。
また、受入部材固定部337に対する弾性シート332の固定方法としては、次のような方法方法であっても良い。すなわち、シートストッパ335に凸形状を設け、受入部材固定部337に凹形状或いは孔を設ける。そして、弾性シート332を間に挟んだ状態で、シートストッパ335の凸形状が受入部材固定部337の凹形状或いは孔に対して係合させるようにして固定する。なお、シートストッパ335に凹形状或いは孔を設け、受入部材固定部337に凸形状を設けるようにしても良い。このような構成の場合、上記凸形状と上記凹形状との間に挟まれた部分が、弾性シート332における被保持部となる。
図14及び図15に示すように、受入部材固定部337の容器シール333が配置される部分の内周面には、複数本のノズルシャッタ突き当てリブ337aが形成されている。図14及び図15に示すように、受入部材固定部337に容器シール333を固定した状態では、容器シール333の先端側の端面は、ノズルシャッタ突き当てリブ337aの先端側の端部よりも回転軸方向に突き出している。図13に示すように、トナー容器32をトナー補給装置60に装着したときには、トナー補給装置60側のノズルシャッタ612のノズルシャッタ鍔部612a(突き当て部)が、ノズルシャッタ突き当てリブ337aの先端側端部に突き当たる。ノズルシャッタ突き当てリブ337aの先端側端部よりも容器シール333の先端側の面が突き出している。このため、トナー容器32をトナー補給装置60に装着するときには、ノズルシャッタ鍔部612aが容器シール333に接触した後、容器シール333を押し潰してノズルシャッタ突き当てリブ337aに突き当たる。このように、トナー容器32をトナー補給装置60に装着したときに、容器シール333がノズルシャッタ鍔部612aに押し潰される。これにより、装着時のノズル受入口331における搬送ノズル611周りの密閉性を確保し、トナー漏れを防止することができる。
トナー容器32では、管挿入部であるノズル受入部材330の管挿入口であるノズル受入口331が開口している部分の先端側の端面は、弾性部材である容器シール333によって形成される。そして、粉体受入口開閉部材であるノズルシャッタ612の突き当て部であるノズルシャッタ鍔部612aが、上述したように、容器シール333を押し潰して圧縮させた状態でノズルシャッタ突き当てリブ337aに突き当たる。これにより、ノズルシャッタ鍔部612aにおけるノズルシャッタバネ受け面612fと反対側の面が、容器シール333に密着し、更なるトナー漏れ防止機能の向上を図ることが出来る。
トナー容器32では、弾性部材である容器シール333が圧縮されたときに、突き当て部であるノズルシャッタ鍔部612aが突き当たる被突き当て部である複数本のノズルシャッタ突き当てリブ337aを管挿入部であるノズル受入部材330に備える。付勢部材であるノズルシャッタバネ613に付勢されるノズルシャッタ鍔部612aのノズルシャッタバネ受け面612fの裏側がノズルシャッタ突き当てリブ337aに突き当たることで、ノズルシャッタ612のトナー容器32に対する回転軸方向の位置が決まる。これにより、容器シール333の先端側の端面及び先端開口305(容器開口部33aの中に配置されている後述する円筒状の受入部材固定部337の内部空間)の先端側の端面と、ノズルシャッタ612との回転軸方向の位置関係が決まる。
図11〜図13に示すように、トナー容器32をトナー補給装置60本体に装着した際に、円柱形状の内部空間である先端開口305に、当接部材としてのノズルシャッタ612と付勢部材としてのノズルシャッタバネ613とが収納される構成となっている。
また、後述するように、トナー容器32の装着時には、ノズル開口610は、ノズルシャッタ鍔部612aがノズルシャッタ突き当てリブ337aに突き当たり、ノズルシャッタ612のトナー容器32に対する相対的な位置が固定されてから開き始める。一方、トナー容器32の取り外し時には、搬送ノズル611がトナー容器32から抜け始めても、ノズル開口610が開口している状態ではノズルシャッタ612のトナー容器32に対する相対的な位置は変化しない。そして、ノズルシャッタ612がノズル開口610を閉鎖した後に、ノズルシャッタ612は搬送ノズル611とともにトナー容器32から抜けていく。ノズルシャッタ鍔部612aがノズルシャッタ突き当てリブ337aに突き当たる状態では、搬送ノズル611のノズル開口610が形成されている部分は、ノズル受入口331の入口部分よりも十分にトナー容器32の内側に位置している。十分にトナー容器32の内側に位置している状態からノズル開口610が開閉するため、ノズル開口610から外部へのトナー漏れを防止することができる。
図14及び図15に示すように、ノズル受入部材330の受入部材固定部337の外周面における回転軸方向の途中で後端側の外周径が小さくなるように段差が形成されている。また、図15に示すように、容器本体33の容器開口部33aの内周面は受入部材固定部337の外周面に沿う形状となっており、後端側の内周径が小さくなるように段差が形成されている。そして、受入部材固定部337の外周面の段差が容器開口部33aの内周面の段差に周方向の全域で突き当たる。これにより、容器本体33に対するノズル受入部材330の軸倒れ(円筒状の受入部材固定部337の中心軸が円筒状の容器開口部33aの中心軸に対して傾く状態)を防止している。
次に容器先端側カバー34の構成について説明する。
トナー容器32の容器先端側カバー34は、トナー補給装置60に装着するときに、図5の容器受部72上を滑らせて移動させる。図5では四つのトナー容器32の直下に容器本体33の軸方向を長手として、挿入口形成部71からキャップ部73まで続く溝がそれぞれ形成されている。この溝に嵌ってすべり移動を可能にするよう、容器先端側カバー34の下部の両側面には一対のスライドガイド361がある。詳しく述べると、容器受部72の溝にはその両側面から突き出る一対のスライドレールがある。この一対のスライドレールに上下から挟むように、スライドガイド361は容器本体33の回転軸と平行にスライド溝361aが形成されている。さらに容器先端側カバー34は、トナー補給装置60に装着するときに、セットカバー608に設けられた補給装置側ロック部材609(容器ロック部材)と係合する容器ロック部339を備える。
また、容器先端側カバー34には、トナー容器32の使用状況等のデータを記録した情報記憶装置であるICタグ700(ICチップ)が設けられている。さらに、容器先端側カバー34には、収納するトナーの色が異なるトナー容器32が他の色のセットカバー608に装着されることを防止する色非互換リブ34bを設けている。上述したように、スライドガイド361が装着時に容器受部72のスライドレールと係合することで容器先端側カバー34のトナー補給装置60上での姿勢が決まる。そして、容器ロック部339と補給装置側ロック部材609の位置合わせ、および後述するICタグ700と本体側のコネクタ800の位置合わせをスムースに行うことができる。
次にトナー補給装置60について説明する。
図9〜図10に示すように、トナー補給装置60は、複写機500本体のフレーム602に対して搬送ノズル611を固定するノズルホルダ607を備え、ノズルホルダ607に対して、セットカバー608が固定されている。さらに、ノズルホルダ607には、搬送ノズル611の下方から搬送ノズル611の内部に連通するように配置され、トナーの落下搬送経路を形成する落下経路形成部材64が固定されている。
また、図11〜図13に示すように、落下経路形成部材64の内部に揺動スプリング640が配置されている。
この揺動スプリング640は、搬送スクリュ614の回転軸に一端が係合されていて、搬送スクリュ614の回転に伴い上下動するよう構成されている。揺動スプリング640は、この上下動によって管状部材である落下経路形成部材64の内壁面近傍に停滞・付着しているトナーを掻き落とす。落下経路形成部材64の詰まり防止効果の向上を図るためには、この揺動する揺動スプリング640を落下経路形成部材64の内壁面に近付けることが望ましい。そして、本実施形態の構成では、落下経路形成部材64が円筒状の部材であるため、揺動スプリング640(径が落下経路形成部材64の内壁の径よりもやや小さい程度のスプリング部材)を揺動掻き落とし部材として用いている。落下経路形成部材64を輪切りにした断面形状が円形以外であればそれに沿う様に、揺動掻き落とし部材の形状も落下経路形成部材64の断面形状併せて調整してやると良い。
また、フレーム602には、容器回転駆動部91が固定されている。容器回転駆動部91は、駆動モータ603及び容器駆動出力ギア601を備え、さらに、容器駆動出力ギア601の回転軸に駆動モータ603の回転駆動を伝達するウォームギア603aを備える。容器駆動出力ギア601の回転軸には、駆動伝達ギア604が固定されており、搬送スクリュ614の回転軸に固定された搬送スクリュギア605と噛み合う構成となっている。このような構成により、駆動モータ603を回転駆動させると、容器駆動出力ギア601及び容器ギア301を介してトナー容器32を回転させることができる。また、駆動モータ603を回転駆動させると、駆動伝達ギア604及び搬送スクリュギア605を介して、搬送スクリュ614を回転させることができる。すなわち、駆動モータ603を回転駆動させることで、トナー容器32を回転させるとともに、搬送スクリュ614を回転させることができる。
駆動モータ603から容器ギア301までの駆動伝達経路や、駆動モータ603から搬送スクリュギア605までの駆動伝達経路にクラッチを設けても良い。このようなクラッチを設けることで、駆動モータ603を回転駆動させたときに、トナー容器32と搬送スクリュ614との何れか一方のみを回転させる構成を実現できる。
次に、トナー補給装置60の搬送ノズル611について説明する。
図16は、ノズルシャッタ612の断面説明図である。また、図17は、ノズルシャッタ612をトナー容器32が取り付けられる側(ノズル先端側)から見た斜視説明図である。図18は、トナー補給装置60の搬送ノズル611近傍の断面説明図であり、図19は、搬送ノズル611のノズル開口610近傍の斜視断面説明図である。図18及び図19では、搬送ノズル611内に配置される搬送スクリュ614の図示を省略している。また、搬送ノズル611は、その根元と逆側であるトナー容器に対向する端部に、後述するシート部材ガイド611aを有している。シート部材ガイド611aについては、後述する。
搬送ノズル611の根元には、トナー補給装置60にトナー容器32を装着した状態で、容器開口部33aの先端が嵌め込まれる容器セット部615が形成されている。容器セット部615は、円筒状となっており、その内周面(容器セット部内周面615a)と、円筒状の容器開口部33aの外周面が摺動可能な状態で嵌合する。この嵌合より、トナー容器32の回転軸に直交する平面方向におけるトナー容器32のトナー補給装置60に対する位置決めがなされる。また、トナー容器32の回転時には、円筒状の容器開口部33aが回転軸部として機能し、容器セット部615は軸受けとして機能する。このときの容器開口部33aが容器セット部615と摺動可能に接触し、トナー容器32のトナー補給装置60に対する位置決めがなされる位置を図13中のαで示す。
図16等に示すように、ノズルシャッタ612は、ノズルシャッタ鍔部612aとノズルシャッタ筒状部612eとから構成される。ノズルシャッタ筒状部612eのノズル先端側の端部近傍の内周面の上部の一部には、シャッタ内周第一リブ612bが形成されている。一方、ノズルシャッタ筒状部612eのノズル根元側の端部近傍の内周面には、シャッタ内周第二リブ612c及びシャッタ内周第三リブ612dが、それぞれ内周面を一周するように形成されている。
シャッタ内周第一リブ612bの内周面における周方向の長さは、ノズルシャッタ612を搬送ノズル611に取り付けた状態でノズル開口610に嵌ることができる長さである。
図11及び図18に示すように、ノズルシャッタバネ613のノズル根元側の端部は、容器セット部615の端面である容器セット部端面615bに突き当たる。また、ノズルシャッタバネ613のノズル先端側の端部は、ノズルシャッタ鍔部612aのノズルシャッタバネ受け面612fに突き当たる。このとき、ノズルシャッタバネ613は自然長よりも圧縮した状態であるため、ノズルシャッタ612はノズル先端側から抜け落ちる方向(図18中の左方向)の付勢力を受ける。しかし、ノズル開口610のノズル先端側の縁部、すなわち、搬送ノズル611におけるシート部材ガイド611aの内側壁面であるノズル先端内壁面611bの上部に、シャッタ内周第一リブ612bが突き当たる。これにより、図18や図19で示す状態よりもノズルシャッタ612が搬送ノズル611から抜け落ちる方向に移動することを防止している。このようなシャッタ内周第一リブ612bの突き当たりと、ノズルシャッタバネ613の付勢力と、によって、ノズルシャッタ612の搬送ノズル611に対する回転軸方向の位置決めがなされる。
また、シャッタ内周第一リブ612bの周方向の端部である内周第一リブ先端部612gは、ノズル開口610の横方向の縁部であるノズル開口横縁部611sに突き当たる形状となっている。これは、ノズルシャッタ612が図19中の矢印A方向に回転しようとすると、内周第一リブ先端部612gがノズル開口横縁部611sに突き当たる形状である。
トナー容器32が回転すると、トナー容器32に固定された容器シール333の内周面に対して、ノズルシャッタ筒状部612eの外周面が接触するノズルシャッタ612には、図19中の矢印A方向に回転しようとする力が作用する。このとき、ノズルシャッタ612が搬送ノズル611に対して回転し、シャッタ内周第一リブ612bがノズル開口610から外れた位置となると、次のような問題が生じるおそれがある。すなわち、トナー補給装置60からトナー容器32を取り外したときに、ノズルシャッタバネ613の付勢力によって、ノズルシャッタ612が搬送ノズル611から抜け落ちてしまうおそれがある。
また、ノズルシャッタ612の弾性によっては、ノズル開口610から外れたシャッタ内周第一リブ612bが搬送ノズル611の外周面を強く締め付け、ノズルシャッタ612が搬送ノズル611に対して移動できなくなるおそれもある。何れの場合にも、トナー補給装置60からトナー容器32を取り外したときに、ノズル開口610が開いたままの状態となり、トナー漏れの原因となる。
これに対して、本実施形態のトナー補給装置60では、ノズルシャッタ612が図19中の矢印A方向に回転しようとすると、ノズル開口横縁部611sに内周第一リブ先端部612gが突き当たる。これにより、図19に示す状態よりも、ノズルシャッタ612が搬送ノズル611に対して回転することを防止している。
また、シャッタ内周第二リブ612c及びシャッタ内周第三リブ612dの内径寸法は、円筒状の搬送ノズル611の外径寸法よりもわずかに小さくなるように形成されている。そして、シャッタ内周第二リブ612c及びシャッタ内周第三リブ612dが弾性変形することで、ノズルシャッタ612を搬送ノズル611に取り付けることができる構成となっている。内径が搬送ノズル611の外径よりも小さい二つのリブ(612c及び612d)が弾性変形した状態で、搬送ノズル611の外周面に接触することで、ノズルシャッタ612の内周面と搬送ノズル611の外周面との間の密閉性を高めることができる。よって、ノズルシャッタ612と搬送ノズル611との間からのトナー漏れを防止することができる。
また、本実施形態のトナー補給装置60は、ノズルシャッタバネ613として、円錐状のスプリングを用いている。円錐状のスプリングは、圧縮しきった状態のときに、隣り合うコイルの少なくとも一部が重なることができ、圧縮しきった状態での回転軸方向の長さを短くできる。このため、圧縮しきった状態でのノズルシャッタバネ613の回転軸方向の省スペース化を図ることができる。
次に、トナー容器32のトナー補給装置60に対する装着過程について説明する。
まず、図7に示すようにキャップ370が取り付けられた状態のトナー容器32から、キャップ370を取り外し、図6に示す状態とする。
次に、図9や図11の図中矢印Qで示すようにトナー補給装置60の方向にトナー容器32を移動させることで、搬送ノズル611がノズル受入口331に挿入され、そのシート部材ガイド611aが弾性シート部材300の先端側の表面に接触する。
さらに、トナー容器32をトナー補給装置60の方向に移動させることで、搬送ノズル611が弾性シート部材300の中央に位置する重なり部332cを押し広げるように挿入される。詳しくは、図12に示すように、搬送ノズル611のシート部材ガイド611aが弾性シート部材300を押圧し、弾性シート部材300を構成する弾性シート332を弾性変形させる。この弾性変形により二枚の弾性シート332の重なり部332cが押し広げられる。そして、ノズル受入口331における弾性シート部材300が閉鎖していた部分を搬送ノズル611のシート部材ガイド611aが通過する。このとき、ノズルシャッタ612におけるノズルシャッタ鍔部612aよりもノズル先端側のノズルシャッタ筒状部612eは搬送ノズル611とともにノズル受入口331に挿入される。
さらにトナー容器32をトナー補給装置60の方向に移動させることで、ノズルシャッタ筒状部612e及び搬送ノズル611がより深くノズル受入口331に挿入される。これに伴い、ノズルシャッタ鍔部612aのノズルシャッタバネ受け面とは反対側の面が、容器シール333の先端側の端面に接触する。
ここからさらにトナー容器32をトナー補給装置60の方向に移動させることで、容器シール333を少し押し潰し、ノズルシャッタ突き当てリブ337aに突き当たる。これにより、ノズルシャッタ612のトナー容器32に対する回転軸方向の相対的位置が固定される。
さらにトナー容器32をトナー補給装置60の方向に移動させることで、搬送ノズル611はさらにトナー容器32の内部側に挿入される。このとき、ノズルシャッタ突き当てリブ337aに突き当たったノズルシャッタ612は、搬送ノズル611に対してノズル根元側に押し戻される。これにより、ノズルシャッタバネ613が縮み、ノズルシャッタ612の搬送ノズル611に対する相対的位置がノズル根元側に移動する。この相対的位置の移動に伴い、ノズルシャッタ612に覆われていたノズル開口610が容器本体33内部で露出し、容器本体33内と搬送ノズル611内とが連通する。
搬送ノズル611がノズル受入口331に挿入されている状態では、縮んだ状態のノズルシャッタバネ613の付勢力によって、トナー補給装置60に対してトナー容器32を押し戻す方向(図中矢印Qとは逆方向)の力が作用する。しかし、トナー容器32をトナー補給装置60に装着する際には、この力に抗して容器ロック部339が補給装置側ロック部材609と係合する位置までトナー容器32をトナー補給装置60の方向に移動させる。これにより、ノズルシャッタバネ613の付勢力と、容器ロック部339の補給装置側ロック部材609に対する引っ掛かりとが作用する。このような、付勢力と引っ掛かりとの作用によって、図10及び図13に示す状態で、トナー容器32のトナー補給装置60に対する回転軸方向の位置決めがなされる。
図9に示すように、容器先端側カバー34には、トナー容器32のトナー補給装置60に対する軸方向の位置決めを行なうための容器ロック部339が、その外周面に形成されている。トナー容器32をトナー補給装置60に装着するときに、セットカバー608に設けられた補給装置側ロック部材609が各容器ロック部339とそれぞれ係合する。
容器ロック部339は、ガイド突起339a、ガイド溝339b、乗り越え部339c及び四角形の係止孔339dを有する。容器ロック部339は、上述のガイド突起339a、ガイド溝339b、乗り越え部339c、係止孔339dを一組とし、容器先端側カバー34に対し二組が配置されている。具体的には、トナー容器32を正面から見たときに、ノズル受入口331を通る直線を対象に容器先端側カバー34の両側に対を成すように配置されている。
各ガイド突起339aは、容器先端側カバー34の容器先端側におけるトナー容器32の長手方向に直交する垂直な面上であって、容器本体33の回転中心軸を通る水平面上に設けられている。ガイド突起339aは、トナー容器32の装着時に補給装置側ロック部材609とそれぞれ当接し、各ガイド溝339bに向けて補給装置側ロック部材609を案内できるようにガイド溝339bに繋がる傾斜面を備えている。この傾斜面は、容器先端側が容器先端側カバー34の外周面よりも内側にある形状であり、上述のガイド溝339bに繋がるように形成されている。各ガイド溝339bは、それぞれ容器先端側カバー34の外周面上に設けられた溝であり、補給装置側ロック部材609が滑動する滑動面である。
各ガイド溝339bの溝の長手方向に直交する方向における幅は、補給装置側ロック部材609の同方向における幅よりも僅かに広く形成されており、補給装置側ロック部材609を案内するときにガイド溝339bから脱落しない程度に設定されている。
そして、各ガイド溝339bは長手方向に延在して設けられており、その容器後端側には、容器先端側カバー34の外周面の高さである乗り越え部339cが繋がっている。言い換えると、各ガイド溝339bと係止孔339dとの間には幅1[mm]程度の容器先端側カバー34の外周面がある。各補給装置側ロック部材609が、乗り越え部339cを乗り越えて係止孔339dに進入して係合する(落ち込む)ことで、トナー容器32はトナー補給装置60にセット(係止)される。この状態がトナー容器32の装着状態である。
なお、各係止孔339dは貫通孔に限らず、各補給装置側ロック部材609が係合可能な深さの有底形状であってもよい。言い換えれば、各補給装置側ロック部材609が各係止孔339dに係合するまでの移動を妨げなければ、各係止孔339dは、容器本体33の周面に近い側が閉じている凹部であってもよい。
トナー容器32は、回転軸に直交する仮想平面上において、二つの容器ロック部339を結んだ線分の中央にノズル受入口331が位置する構成となっている。ノズル受入口331が二つの容器ロック部339を結んだ線分上に無いと、次のようなことが生じるおそれがある。すなわち、ノズルシャッタバネ613の付勢力は、ノズル受入口331の中心から等距離に複数本配置されたノズルシャッタ突き当てリブ337aに作用する。この付勢力よって、上述した線分からノズル受入口331の中心までの距離をモーメントの腕とし、線分を中心にトナー容器32を回転させる力のモーメントが作用する。この力のモーメントの作用により、トナー容器32がトナー補給装置60に対して傾くおそれがある。その場合、トナー容器32の装着負荷が増大し、ノズル受入部材330に負荷がかかってしまう。
特に、トナー容器32がトナーを十分に収容した新品である場合、水平方向に突出した搬送ノズル611が挿入されるようにトナー容器32の後端側から押し込まれる際には、トナー重量も加味したトナー容器32を回転させる力のモーメントが作用する。これにより、搬送ノズル611が挿入されるノズル受入部材330に負荷がかかり、ノズル受入部材330が最悪変形や破損するおそれがある。
これに対して、本実施形態のトナー容器32は、二つの容器ロック部339を結んだ線分上にノズル受入口331の中心が位置する。このため、ノズル受入口331の中心位置で作用するノズルシャッタバネ613の付勢力によって、トナー容器32がトナー補給装置60に対して傾くことを防止できる。
図13に示すように、トナー容器32をトナー補給装置60に装着した状態で、トナー容器32の先端側の端部である容器開口部33aの円状の端面は、容器セット部端面615bには接触しない構成となっている。これは、以下の理由による。仮に、容器開口部33aの円状の端面が、容器セット部端面615bに接触する構成とする。このような構成とすると、容器ロック部339の係止孔339dが補給装置側ロック部材609に引っ掛かる前に、容器開口部33aの円状の端面が容器セット部615の容器セット部端面615bに突き当たるおそれがある。このように突き当たると、それ以上、トナー容器32をトナー補給装置60側に移動させることが出来なくなり、トナー補給装置60に対するトナー容器32の回転軸方向の位置決めが出来なくなる。これを防止するために、トナー容器32をトナー補給装置60に装着した状態では、容器開口部33aの円状の端面と、容器セット部615の容器セット部端面615bとの間には、若干の隙間がある状態となる。
また、このようにトナー補給装置60に対するトナー容器32の回転軸方向の位置決めがなされた状態では、容器セット部内周面615aに、容器開口部33aの外周面が摺動可能な状態で嵌合される。このため、上述したように、回転軸に直交する平面方向におけるトナー補給装置60に対するトナー容器32の位置決めがなされる。これにより、トナー補給装置60に対するトナー容器32の装着が完了する。
トナー容器32の装着が完了した状態で、駆動モータ603を回転駆動させることにより、トナー容器32の容器本体33と、搬送ノズル611内の搬送スクリュ614とが回転する。
容器本体33が回転することで、容器本体33内のトナーは螺旋状突起302によって、容器本体33の先端側に搬送される。この搬送によって汲み上げ部304に到達したトナーは、容器本体33が回転することによる汲み上げ部304の移動によってノズル開口610の上方まで持ち上げられる。ノズル開口610の上方まで持ち上げられたトナーが、ノズル開口610に落下することで、搬送ノズル611内にトナーが供給される。搬送ノズル611内に供給されたトナーは、搬送スクリュ614によって搬送され、落下経路形成部材64を通って現像装置50に補給される。
ここで、容器本体33の汲み上げ部304によってトナーを持ち上げて、ノズル開口610に落下させて、トナーを搬送ノズル611内に供給する構成について、具体的に説明する。
まず、トナー容器32から搬送ノズル611へのトナーの供給時の課題から述べる。トナー容器32をトナー補給装置60に装着した直後など、容器本体33内にトナーが十分にある状態では、搬送ノズル611のノズル開口610には、オーバーフローするぐらいのトナーが供給され続ける。このため、延在部335aがノズル開口610の上方を横切るように回転させてオーバーフローするトナーを崩し、かつ搬送スクリュ614の回転量を間欠回転で制御することにより現像装置50に対して、狙いのトナー量を補給することが出来る。
一方、経時使用により、容器本体33内のトナーが少なくなってくると、汲み上げ部304からノズル開口610に向かうトナー量に対して、汲み上げ壁面304fの回転中心側の端部と搬送ノズル611との隙間からすり抜けるトナー量の割合が多くなる。これにより、現像装置50へ補給できるトナー量が少なくなる。現像装置50へ補給できるトナー量が少なくなると、現像装置50内の現像剤Gのトナー濃度が不安定になるため、トナー容器32を交換する必要が生じる。この状態では、容器本体33内には多くのトナーが残っているため、結果的に、交換時のトナー容器32のトナー残量が多くなる問題が発生してしまう。
図30は、ノズル受入部材330を固定した容器本体33について、回転軸方向の位置が汲み上げ部304の位置となる回転軸に直交する断面の断面説明図である。
本実施形態は、次のような発明を含んでいる。すなわち、図30に示すように、トナー容器32では、容器本体33にノズル受入部材330を固定した状態では、延在部335aの外周面が、凸部304hよりも上流側の容器本体33の内壁面と対向するように設定する。詳しくは、容器本体33の内側に向けて隆起した隆起部の稜線に相当する凸部304hで分けられた内壁面のうち、容器本体33の回転方向上流側の内壁面と、延在部335aの外周面と、が対向するように設定する。このように設定することより、次のような利点がある。すなわち、回転軸に直交する面で見たとき、容器本体33の凸部304hで分けられた内壁面のうち、回転方向下流側の内壁面が汲み上げ壁面304fである。この汲み上げ壁面304fが、容器本体33の回転に伴って、シートストッパ335における一対の延在部335aが無い空間領域である延在部開口335bの相対的上方に位置することができる。ノズル開口610は常に上方に向けて開口している。このため、トナー容器32の回転によって汲み上げ部304が上方に位置するタイミングで、延在部開口335bも上方に位置し、汲み上げ部304によって汲み上げられたトナーが延在部開口335bを通過して、ノズル開口610へと供給される。
さらに、図30に示すように、容器本体33の回転中心側に突出した凸部304hに近接する位置に、延在部335aの回転方向下流側の端面である延在部回転方向下流側端面335cが位置するように配置する。これにより、汲み上げ壁面304fに沿って下方に流れてきたトナーはこの延在部回転方向下流側端面335c上に落下して弾かれ、ノズル開口610へと供給される。言いかえれば、この延在部回転方向下流側端面335cは、汲み上げ壁面304fから受け取ったトナーをノズル開口610に橋渡しする機能を有する。
次にトナー容器32における延在部335aの橋渡し機能について説明する。
図31は、図13中の搬送ノズル611の先端側であって搬送スクリュ614の軸受の端面の箇所で切断したE−E断面における容器本体33の断面説明図である。
また、図32は、図13中のE−E断面における断面図を機能的に表した模式図である。図32(a)は機能的に比較例の模式図であり、延在部335aが橋渡し手段として作用しない構成の説明図である。図32(b)は図31を機能的に表した模式図であり、延在部335aが橋渡し手段として作用する構成の説明図である。
まず課題について述べる。特許文献6のように、搬送管内のトナーの搬送量を制御することが出来る構成の場合、搬送管の開口部近傍に十分なトナーが存在している状態であれば、安定したトナー搬送を行うことが出来る。しかし、トナー容器内のトナーの量が少なくなったときに、搬送するトナー量が減少し、安定したトナー搬送を行えなくなることがあった。これは、トナーをトナー容器の内部に設けられた螺旋状突起によって入り口付近まで移動させることはできても、搬送管に設けられた開口部に到達する前にトナーがすべり落ちてしまい、搬送管に入るトナーの量が減少するためである。搬送するトナー量が減少し、安定したトナー搬送を行えなくなると、現像装置内の現像剤のトナー濃度が不安定になるため、トナー容器を交換する必要が生じる。この状態では、容器本体内には多くのトナーが残っているため、結果的に、交換時のトナー容器のトナー残量が多くなる問題が発生してしまう。
図13において、搬送ノズル611(搬送管)は、容器本体33内のノズル受入部材330(管挿入部)に挿入されている。ノズル受入部材330に挿入された搬送ノズル611のノズル開口610(粉体受入口)は開口しており、トナー補給装置へのトナーの搬送が可能な状態になっている。
汲み上げ部304はトナー容器32の長手方向でノズル開口610と一部が重なり、一部がノズル開口610よりも後端側の容器本体33の内壁面が相当する。詳細に述べると、汲み上げ部304は、容器本体33の内壁が回転軸方向に隆起し、その隆起部の稜線に相当する凸部304hと、稜線で分けられた内壁面のうち容器回転方向下流側の壁面である汲み上げ壁面304fとからなる(図31参照)。
図31にあるように凸部304hの稜線は、容器本体33がブロー成型で形成されることに影響され、なだらかな山状になっている。図13等では汲み上げ壁面304fを区別する必要上、便宜的に曲線で凸部304hを表している。汲み上げ壁面304fは、図13にあるように格子で表された領域であり、図31にあるように、容器本体33の回転軸を点対象の基準として凸部304hと容器本体33の内周面とをつなぐ一対の斜面から成る。なお、E−E断面の箇所では、稜線で分けられた内壁面のうち容器回転方向上流側の壁面は、E−E断面の切断方向と壁面の延在方向が概ね一致しているため、図31のような肉厚の状態で表れている。凸部304hもその一見肉厚に見える箇所にある。
図31において、管状の搬送ノズル611は、上方を開放しているノズル開口610がある。搬送ノズル611と凸部304hとの間には、容器本体33に固定された一対の延在部335aがあり、容器本体33の回転に伴って、汲み上げ壁面304fと一体で回転する。E−E断面の箇所(搬送ノズル611の先端側であって搬送スクリュ614の軸受の端面の箇所)では、凸部304hと延在部335aとは対向する位置に有る。そして、容器回転方向下流側から見て汲み上げ壁面304f、延在部335aの延在部回転方向下流側端面335c、ノズル開口610の回転方向上流側のノズル開口横縁部611sがある。
図30を用いて先に説明した汲み上げ作用と同様に、図31の容器本体33の汲み上げ壁面304fによって形成された汲み上げ部304によっても、搬送管である搬送ノズル611の開口部であるノズル開口610に向かってトナーが矢印T1のように移動する。このとき、延在部335aの外周面及び延在部回転方向下流側端面335cは、汲み上げ部304からノズル開口610へのトナーの橋渡しをするトナー橋渡し部として機能する。
図31に示すように、延在部335aの内径は、搬送ノズル611の外径よりも大きくなっている。これにより、容器シール333と接触する領域を通過した搬送ノズル611が延在部335aの内周面と接触することを防止し、搬送ノズル611を容器本体に挿入するときに、負荷がかかりにくくしている。ノズル受入部材330には搬送ノズル611の外径よりも内径が小さい容器シール333を形成しているので、容器本体33内のトナーが搬送ノズル611の外周面に沿って容器本体33の外部に漏れ出すことを防止している。これにより、容器本体33から搬送ノズル611を通って現像装置50に向かうというトナーの搬送経路以外にトナーが流出することを防いでいる。
図32(a)及び(b)の模式図を用いて橋渡し機能の詳細を説明する。
図32(a)は、延在部335aが橋渡し機能を発揮しない配置構成になっている場合の容器本体33内部のトナーの流れを示している。容器本体33の図中矢印A方向の回転によって、汲み上げ壁面304fで容器本体の周方向に沿って汲み上げられたトナーは、重力によってノズル開口610の方向に流れていく(図中矢印T1)。しかし、搬送ノズル611と凸部304h(汲み上げ壁面304fの回転中心側に突出した凸部)との間にある隙間から流れてしまうトナーが一部生じてしまう(図中矢印T2)。
より詳細に述べると、図32(a)のような状態は、汲み上げ壁面304fが十分上方に来ておらず凸部304hが時計の9時の位置あたりにある瞬間の状態である。この瞬間では、容器本体33の回転方向下流から見て、順に上流側のノズル開口横縁部611s、汲み上げ壁面304fの凸部304h、延在部335aの下流側端面となる。このような状態では、中間の延在部335aの端面は、トナーを受け渡そうとする汲み上げ壁面304fの凸部304hより常に遅れた状態になっており、トナーの橋渡し機能を発揮することができない。このため、遅れによって生じた搬送ノズル611、凸部304h、及び延在部335aで生じた隙間からのトナー漏れが一部生じる。これにより、補給速度が安定しなくなったり、トナー容器32の交換時に容器本体33に残るトナーの量が増えてしまったりなどの不具合が生じる。
図32(b)は、橋渡し手段として機能する延在部335aを備える容器本体33内部のトナーの流れを示している。
容器本体33の図中矢印A方向の回転によって、汲み上げ壁面304fで容器本体の周方向に沿って汲み上げられたトナーは、重力によってノズル開口610の方向に流れていく(図中矢印T1)ところまでは図32(a)で示す構成と同じである。しかし、図32(b)に示す構成では、搬送ノズル611と凸部304h(汲み上げ壁面304fの回転中心側に突出した凸部)との間にある隙間を塞ぐように延在部335aが配置されている。そうなるように容器本体33の回転方向下流側からみて、延在部335aの延在部回転方向下流側端面335c、汲み上げ部304の凸部304hの順に配置されている。
このような配置により、図32(a)中の矢印T2で示すようなトナーの流れを抑制し、汲み上げられたトナーはノズル開口610に効率良く入る。このため、容器本体33内のトナーの量が少なくなったときでも補給速度が安定し、さらに、トナー容器32の交換時に容器本体33に残ってしまうトナー量を減らすことができる。また、交換時に容器本体33に残ってしまうトナー量を減らすことができるため、ランニングコストを削減させて経済性を向上させるとともに、廃棄する残留トナーを低減させて環境への影響を低減させることができる。
上述した搬送ノズル611と凸部304hとの隙間を塞ぐ程度は、延在部335aと凸部304hとを密着させるに超したことはない。しかしT2のようなトナーの流れ落ちを阻害できるのであれば、図32(b)の下側の凸部304hにあるように延在部335aと凸部304h少しの隙間(0.3[mm]〜1[mm]程度)があってもよい。少々の隙間であれば補給開始時の大量にトナーが存在ずる際の動作で隙間にトナーが詰まり、シールの役目を果たすからである。また、汲み上げ壁面304fは寸法精度が射出成型ほどには出せないブロー成形で形成されるので、完全に密着させることは困難であり、量産性の観点からは少し隙間を開けて構成するのが好ましい。
図33は、実施例(図31、図32(b)に示す構成)と比較例(図32(a)に示す構成)との容器内のトナー残量と補給速度(単位時間当たりのトナー補給量)との関係を示すグラフである。
図33より、実施例では、容器内のトナー残量が少なくなっても補給速度が安定しているが、比較例では、容器内のトナー残量が少なくなると補給速度が低下していることがわかる。これは、橋渡し部材がない比較例では、容器本体33の一部である汲み上げ壁面304fの回転中心側の端部と、搬送ノズル611との間に出来た隙間をトナーが通過する(滑って逃げてしまう)。このため、トナー残量が少なくなると十分な量のトナーがノズル開口610に到達できず、ノズル開口610への供給量が維持できず、補給速度が低下しているものと考えられる。
図13、図31、および図32(b)に示す例のトナー容器32では、次のような発明を含んでいる。すなわち容器本体の二箇所に汲み上げ壁面304fを設け、汲み上げ壁面304fに対応する位置の二箇所に橋渡し部材(延在部335a)を設けている。容器本体33の汲み上げ壁面304fを三箇所に設ける場合には橋渡し部材も三箇所設けるというように、汲み上げ部304と橋渡し部材とは同じ数だけ設けるのが効果的である。同様に、容器本体33の汲み上げ部を四箇所以上設ける場合も、橋渡し部材は汲み上げ部304と同数設けることが効果的である。
無論、延在部335aは複数あるが、それらより少ない限定した箇所を橋渡し部材として汲み上げ壁面304fに対応させることも可能である。たとえば、二箇所の延在部335aのうちの一つのみを橋渡し部材とし、それに対応させて汲み上げ壁面304fを一か所だけ容器本体33に形成するなどが想定できる。
上述した構成では、トナー容器32と搬送スクリュ614とを同時に回転させる構成について説明した。これらを回転させるタイミングとしては、トナー補給開始時にはトナー容器32を先に回転駆動し、一定時間後に搬送スクリュ614を回転させるように構成してもよい。また、トナー補給停止時にはトナー容器32を先に停止し、一定時間後に搬送スクリュ614を停止させるように構成してもよい。このような回転タイミングの構成のタイミングチャートを図20に示す。
図20に示す回転タイミングの構成では、トナー補給開始時にトナー容器32が搬送スクリュ614よりも先に回転駆動を開始している。このため、搬送ノズル611のノズル開口610付近をトナーで満たした状態で搬送スクリュ614の回転駆動を開始することができる。これにより、搬送スクリュ614が一回転することによって搬送されるトナー量が、搬送スクリュ614の回転駆動開始時から安定するため、トナー補給量の安定性が向上する。
また、図20に示す回転タイミングの構成では、トナー補給停止時に、搬送ノズル611内の搬送スクリュ614の回転駆動を停止させるより前にトナー容器32の回転駆動を停止させている。このような回転タイミングの構成により、ノズル開口610では新たなトナーの供給が停止した状態で搬送スクリュ614による搬送が継続され、一定時間後に搬送スクリュ614の回転も停止する。このため、トナー容器32の回転駆動を停止したときに搬送ノズル611のノズル開口610付近に存在したトナーTを搬送スクリュ614によって落下経路形成部材64側に搬送することができる。これにより、ノズル開口610付近の搬送ノズル611上に載ったままとなるトナーTの量を低減できる。その後、トナー容器32を装置本体から抜くときに、搬送ノズル611上のトナーの量が低減した状態であるため、ノズル受入部材330に設けた弾性シート部材300や容器シール333によって容易に搬送ノズル611を清掃することができる。したがって、トナー容器32の装置本体に対する着脱に伴うトナー飛散及びトナー落下を防止することができる。
このように、トナー容器32と搬送スクリュ614との回転タイミングを異ならせる構成としては、それぞれを回転駆動する駆動源を独立した別駆動源とすることにより容易に実現することができる。
また、同一駆動源とする構成では、クラッチを設けることで実現することができる。同一駆動源とすることで、上述した回転タイミングを異ならせる構成を低コストで実現することができる。
また、トナー容器32の回転駆動停止後、少なくとも搬送ノズル611のノズル開口610の長手方向の幅に相当する搬送量分、搬送スクリュ614を回転駆動させた後、搬送スクリュ614の回転駆動を停止すること望ましい。これにより、搬送ノズル611のノズル開口610付近に存在したトナーTをノズル開口610と対向する位置よりも落下経路形成部材64側に搬送することができる。この搬送により、トナー補給装置60に対してトナー容器32を取り外すときのトナー飛散及びトナー落下をより確実に防止することができる。
また、トナー容器32の回転駆動開始後、少なくとも搬送ノズル611のノズル開口610がトナーTで満たされる程度の搬送量分、トナー容器32を回転駆動させた後に、搬送スクリュ614の回転駆動を開始することが望ましい。これにより、トナー補給量の安定性がさらに向上する。
また、上述したように、容器開口部33aが容器セット部615と摺動可能に接触し、トナー容器32のトナー補給装置60に対する位置決めがなされる位置を図13中のαで示している。ここで、図13中のαの位置は、摺動部と位置決め部との両方の機能を有する構成に限らず、摺動部また位置決め部の何れか一方の機能を有する構成であってもよい。
本実施形態のトナー容器32は、容器本体33の開口に配置され、ノズル受入口331を形成するノズル受入部材330を有する。ノズル受入口331は、粉体受け口であるノズル開口610を有する搬送ノズル611が挿入される部分である。
また、トナー容器32が備える弾性シート部材300は、ノズル受入部材330に固定され、搬送ノズル611がノズル受入部材330に対して、挿入される動作により弾性シート332が弾性変形してノズル受入口331を開放する。また、搬送ノズル611がノズル受入部材330に対して、抜き出される動作により、弾性シート332の弾性変形が元に戻り、弾性シート部材300における搬送ノズル611が押し広げていた部分を閉鎖する。すなわち、ノズル受入部材330は、搬送ノズル611をノズル受入部材330に対して、挿入または抜き出す動作により、ノズル受入口331を開閉する開閉部材としての弾性シート部材300を備える。このような構成により、トナー容器32は、搬送ノズル611が挿入されるまではノズル受入口331が閉じられた状態を維持し、トナー補給装置60に装着される前の状態でのトナーの漏れや飛散を防止できる。
さらに、図9及び図11に示すように、トナー容器32のノズル受入口331は、先端開口305の先端側の端部よりも容器内方側(後端側)、すなわち、筒状の先端開口305によって形成される円柱状の空間部分における底部に形成されている。このような構成により、容器開口部33aの外周面にトナーが付着したり、容器セット部内周面615aに付着したり、することを抑制できる。
容器開口部33aの外周面にトナーが付着すると、再度、同じトナー容器32をトナー補給装置60に装着するときに、容器開口部33aと容器セット部内周面615aとの間にトナーが存在することとなる。また、容器セット部内周面615aにトナーが付着すると、次のような不具合が生じることがある。すなわち、再度、同じトナー容器32を装着する場合だけでなく、新たなトナー容器32を装着する場合にも、容器開口部33aと容器セット部内周面615aとの間にトナーが存在することとなる。容器開口部33aと容器セット部内周面615aとの間にトナーが存在すると、容器開口部33aと容器セット部615との嵌合によって、トナー補給装置60に対するトナー容器32の位置決めをする場合に、位置決め精度が低下する。
また、容器開口部33aの外周面が容器セット部615の内周面に対して摺動する構成の場合は、トナーによって摺動性が低下し、トナー容器32の回転トルクが上昇する恐れがある。さらに、容器開口部33aの外周面と容器セット部615の内周面との間にトナーが存在する状態のままで、摺動し続けると、トナーの凝集体が発生することがある。
本実施形態のトナー容器32では、容器本体33における先端側の端面は、ノズル受入部材330のノズル受入口331が開口している先端側の端面よりも回転軸方向で突き出している。すなわち、トナー容器32は、容器本体33の開口位置である容器開口部33aの先端側の端部よりも容器内方側(後端側)にノズル受入口331の開口位置を設けている。
このように、容器本体33の開口位置に対して、奥まったところにノズル受入口331の開口位置があるため、容器開口部33aの外周面にトナーが付着することを抑制できる。これは、トナー容器32から搬送ノズル611を抜き出すときにトナー漏れが生じた場合、ノズル受入口331から漏れて舞ったトナーが先端開口305の先端側の端部を回り込み難いためである。また、ノズル受入口331から漏れて落下したトナーは、先端開口305の下方の内周面に引っ掛かるため、容器セット部内周面615aにトナーが付着することを防止できる。このように、ノズル受入口331から漏れたトナーを、先端開口305の先端側の端面よりも容器内方側(後端側)の内周面で囲まれた領域内に留めることができるので、トナー容器32の外にトナーが飛散することを抑制することができる。
図11及び図13に示すように、本実施形態では、トナー補給装置60側の容器セット部615は、トナー容器32を装着する前後の何れの状態においても、トナー飛散発生の可能性がある開口部(ノズル開口610やノズル受入口331)から離れている。また、トナー容器32側の先端開口305の先端側端部は、トナー容器32を装着する前後の何れの状態においても、トナー飛散発生の可能性がある開口部(ノズル開口610やノズル受入口331)から離れている。このため、トナー容器32を装着する前のノズル受入口331や、トナー容器32をトナー補給装置60に装着した状態の容器シール333と搬送ノズル611との接触部からトナーが漏れることを防止できる。さらに、トナー容器32の着脱の際もトナー補給装置60側の容器セット部615はノズル開口610から離れている。また、トナー容器32側の先端開口305の先端側端部は、弾性シート部材300から離れている。
トナー容器32におけるトナーの排出部であるノズル受入口331を封止する弾性シート部材300を、容器本体33の容器開口部33aの先端側端部より後端側(奥側)に配置している。このように配置することによって、容器開口部33aの先端側端部に対して、弾性シート部材300からある程度の距離を確保することが出来る。これにより、トナーが容器本体33の開口位置よりも奥側にあるノズル受入口331から容器本体33の開口位置を回り込んで、容器開口部33aの外周面側にトナーが到達することを抑制し、トナー飛散の発生を抑制することができる。
上述したように、容器開口部33aの外周面と、容器セット部615の容器セット部内周面615aとの嵌合によって、トナー補給装置60に対するトナー容器32の回転軸に直交する方向の位置決めがなされている。すなわち、粉体収納部を形成する粉体収納部である容器本体33の容器開口部33aの外周面が粉体搬送装置であるトナー補給装置60との位置決め部である。このため、容器開口部33aの外周面側にトナー汚れが生じると、容器セット部615の内周面との嵌合状態が変化し、位置決め精度が低下するおそれがある。これに対して、本実施形態のトナー容器32は、容器開口部33aの外周面側にトナーが到達することを抑制できるため、トナー容器32のトナー補給装置60に対する位置決め精度が安定する。
さらに、容器開口部33aの外周面と、容器セット部615の内周面との接触部は、トナー容器32が回転するときに摺動する関係にある。すなわち、粉体収納部材である容器本体33の容器開口部33aの外周面が粉体搬送装置であるトナー補給装置60との摺動部である。この摺動部にトナーが進入すると、摺動負荷が増大し、トナー容器32の回転トルクが上昇するおそれがある。これに対して、本実施形態のトナー容器32は、容器開口部33aの外周面側にトナーが到達することを抑制し、容器セット部615の内周面との接触部にトナーが進入することを抑制できる。このため、摺動負荷の増大を抑制し、摺動性が安定するため、トナー容器32の回転トルクが上昇することを抑制できる。また、摺動部にトナーが進入することを抑制できるため、摺動部でトナーが押し固められることに起因してトナーの凝集体が発生することを抑制できる。
このように、本実施形態のトナー容器32は、粉体収納部材である容器本体33の容器開口部33aの外周面が粉体搬送装置であるトナー補給装置60との位置決め部であり、且つ、摺動部である。そして、このような容器開口部33aの外周面にトナーが付着することを抑制できるため、本実施形態のトナー容器32では、トナー補給装置60に対する位置決め精度が安定し、かつ、回転時の摺動性も安定する。
また、上述したように、トナー容器32をトナー補給装置60に装着したときに、容器シール333がノズルシャッタ鍔部612aに押し潰される。これにより、ノズルシャッタ鍔部612aは容器シール333に密着加圧された状態となり、より確実にトナー漏れを防止することができる。弾性シート部材300を開口位置より長手方向内側(後端側)に配置する構成とすることによって、トナー容器32の先端から弾性シート部材300及び容器シール333の先端側の端面までの間に円柱状の空間部が形成される。
搬送ノズル611のノズル開口610は、トナー補給装置60にトナー容器32が装着されていない状態では、ノズルシャッタ612が閉じる。また、トナー補給装置60にトナー容器32が装着されている状態では、ノズルシャッタ612を開き、トナーを受け入れ可能な状態にする必要がある。
トナー補給装置60では、先端開口305の先端側端部から弾性シート部材300及び容器シール333の先端側の端面までの間に円柱状の空間部が形成される。この空間部内に、ノズルシャッタ612が開いたときのノズルシャッタ612の退避スペースの全部または一部が納まる様に構成する。また、先端開口305の先端側端部から弾性シート部材300及び容器シール333の先端側の端面までの間に円柱状の空間部が形成される。この空間部内に、ノズルシャッタ612を閉じるためのノズルシャッタバネ613の全部または一部が納まる様に構成する。このような構成により、ノズルシャッタ612及びノズルシャッタバネ613の配置スペースの省スペース化ができる。
図13に示すように、本実施形態では、トナー容器32がトナー補給装置60に装着された状態において、ノズルシャッタ612の退避位置は、ノズルシャッタ鍔部612aよりもノズル先端側は容器シール333の内側に位置する。ノズルシャッタ鍔部612aよりもノズル根元側は、先端開口305の開口位置(先端側端部)から容器シール333の先端側の端面までの間に形成された円柱状の空間内に略収まる。さらに、圧縮された状態のノズルシャッタバネ613もこの円柱状の空間内に略収まっている。
このように構成することで、トナー容器32の最先端部である先端開口305の開口位置からトナー補給装置60のトナー落下部(搬送ノズル611に落下経路形成部材64が接続される位置)までの距離を短くすることが可能となる。これにより、装置本体の小型化を図ることができる。
図16〜図22を用いて説明したように、シャッタ内周第一リブ612bは、ノズルシャッタ612が閉じた状態で、ノズル開口610のノズル先端側の縁部、すなわち、搬送ノズル611におけるシート部材ガイド611aの内側壁面の上部に突き当たる。これにより、ノズルシャッタ612の抜け止め機能を有する。また、シャッタ内周第一リブ612bは、その周方向の端部である内周第一リブ先端部612gがノズル開口610の横方向の縁部であるノズル開口横縁部611sに突き当たり、ノズルシャッタ612の回転止め機能を有する。このノズルシャッタ612の回転止め機能は、トナー容器32がトナー補給装置60に装着された状態でも同様に機能する。
また、上述したように、シャッタ内周第二リブ612c及びシャッタ内周第三リブ612dの内径寸法は、搬送ノズル611の外径寸法よりもわずかに小さくなるように形成されている。一例としては、搬送ノズル611の外径がφ15[mm]である場合、シャッタ内周第二リブ612c及びシャッタ内周第三リブ612dの内径は、φ14.8[mm]〜14.9[mm]程度に設定すると良い。このようにノズルシャッタ612の内周面に搬送ノズル611の外径よりもわずかに小さな内径となる円周状のシャッタ内周第二リブ612c及びシャッタ内周第三リブ612dを形成する。これにより、ノズルシャッタ612の内周面と搬送ノズル611の外周面との隙間を遮蔽することができ、シール部材無しでトナーシール機能を得ることが出来るので、スポンジやゴムなどのシール部材が不要になる。
ノズルシャッタ612とは別部材のシール部材を用いる必要がないため、トナー漏れを防止しつつ、低コスト化を図ることが出来る。
なお、トナー漏れを防止する構成としては、シャッタ内周第二リブ612cやシャッタ内周第三リブ612dの代わりに、ドーナツ状のシール部材を配置しても良い。しかし、ノズルシャッタ612の内周面と搬送ノズル611の外周面との隙間は、非常に狭い隙間なのでドーナツ状のシール部材は入らない。よって、ドーナツ状のシール部材を配置する場合は、ドーナツ状のノズルシャッタシール部材612hを、図29に示すように配置する。このとき、ノズルシャッタシール受部612jの外径は、ノズルシャッタバネ613の径よりも小さくし、ノズルシャッタバネ613が、ノズルシャッタバネ受け面612fに突き当たれるように設定する。
ノズルシャッタ612を搬送ノズル611に組み付けのためには、ノズルシャッタ612を一時的に変形させるため、ノズルシャッタ612には、ある程度の弾性変形が必要である。硬くて弾性変形し難い材料を用いると、組み付け時に弾性変形せずに割れてしまうからである。ノズルシャッタ612は適度な弾性を有する材質で形成し、例えば搬送ノズル611の外形形状が円筒形の場合、ノズルシャッタ612はその外径よりもわずかに大きな内径を有する円筒形とする。そして、ノズルシャッタ612の内径部分には内側に向かって突起であるシャッタ内周第一リブ612bを形成する。このシャッタ内周第一リブ612bを搬送ノズル611のノズル開口610に対向させることで、ノズルシャッタ612の抜け止め及び回り止めとして機能させることが出来る。なお、搬送ノズル611におけるノズルシャッタ612の突起が係合する部分としては、ノズル開口610に限らず、その突起による抜け止め機能や回り止め機能を得ることが出来れば、搬送ノズル611の何れの箇所であってもよい。
本発明者らの実験によると、ノズルシャッタ612の材質は、引張弾性係数が500[MPa]から2000[MPa]の樹脂材料を選定するのが良い。
ノズルシャッタ612を搬送ノズル611に組み付けるときに、ノズルシャッタ612の内周面に形成された三つのリブ(612b〜612d)が搬送ノズル611をノズルシャッタ612に挿入するときの抵抗となる。この抵抗は、シャッタ内周第一リブ612bがシート部材ガイド611aを乗り越えて、ノズル開口610に入るときは特に大きくなる。
このとき、ノズルシャッタ612がある程度の弾性をもった材料であれば、ノズルシャッタ612が変形して容易に組み付けが可能である。さらに、シャッタ内周第二リブ612c及びシャッタ内周第三リブ612dが搬送ノズル611を締め付けることによる摺動負荷が大きくならない、といったメリットがある。
また、ノズルシャッタ612が変形し易すぎるとシャッタ内周第一リブ612bの抜け止め機能や回転止め機能が損なわれる。
このようなノズルシャッタ612に用いるある程度の弾性をもった材質としてはポリエチレンまたはポリプロピレンを選定することで上述したメリットを安定して得ることができた。また、ノズルシャッタ612のノズルシャッタ筒状部612eの肉厚は0.3[mm]から0.5[mm]とすることが好ましい。
ノズルシャッタ612が、上述したような材質特性及び形状を合わせ持つことで、ノズル開口610を開閉するシャッタ機構の低コスト化がはかれる。
次に、保管時のトナー容器32について説明する。
図7に示すトナー容器32は、次のような構成を備える。すなわち、トナー容器32は、内部に粉体状の現像剤としてのトナーを収納し、現像剤排出口となるノズル受入口331を封止する封止部材としてのキャップ370を、先端側の開口である容器開口部33aに取り付けることができる粉体収納容器である。上述したように、容器開口部33aは容器本体33の一部であり、図6、図9及び図11等に示すように、容器本体33は、トナー容器32をトナー補給装置60に固定するときに必要な容器先端側カバー34を貫くように容器開口部33aが形成されている。これにより、容器本体33の容器開口部33aを容器先端側カバー34から露出させることができる。そして、トナーが収容される容器本体33の一部である容器開口部33aをキャップ370によって直接封止することが出来るので、封止効果が向上し、トナー漏れをより確実に防止することができる。
本実施形態のトナー容器32では、キャップ370にキャップ鍔部371を設けている。トナー容器32にキャップ370を取り付けた状態では、図7に示すように、キャップ鍔部371が容器先端側カバー34に設けられたICタグ700を隠す構成となっている。これにより、トナー容器32保管時のICタグ700に対する外部からの接触や衝撃を防止することができ、ICタグ700の保護を行うことが出来る。
また、本実施形態のトナー容器32では、キャップ370のキャップ鍔部371を容器先端側カバー34や容器本体33の外径よりも大きくしている。これにより、落下時等にトナー容器32の破損を防止することができ、トナー容器32の保護を行うことができる。
さらに、容器本体33の一部である容器開口部33aをキャップ370によって直接封止しており、容器本体33とは別体の部材(例えば、容器先端側カバー34)を介して封止する構成に比して封止効果が高い。そして、容器開口部33aを直接封止する構成であれば、容器本体33を密封することも可能であり、密封することができれば、容器本体33内への空気や水分の侵入を防止出来、保管時のトナー容器32に対する梱包材の低減を図ることができる。
トナー容器32を使用する(トナー補給装置60に装着する)際は、キャップ370を外して使用する。なお、キャップ370をトナー容器32に取り付ける方式としては、ネジ方式でも引っ掛け方式でも固定出来れば何でも良い。このとき、ネジ方式のネジ山や引っ掛け方式の引っ掛け部といったトナー容器32側の固定部を容器先端側カバー34から露出させた容器開口部33aの外周面に設ける。なお、本実施形態のトナー容器32では、容器開口部33aの外周面に図示を省略したネジ山を設け、キャップ370のトナー容器に対するの固定方法としてネジ方式を採用している。
また、キャップ370によってトナー容器32を封止する構成の場合、パッキン材等を使用して、トナー容器32の容器開口部33aとキャップ370との密着度を向上させても良い。密着度を向上させることで、容器本体33内に空気や水分が進入することを防止できる。
ここで、トナーを収容する空間(容器本体)を封止部材によって直接封止することが出来ない、従来のトナー容器の課題について説明する。
近年、画像形成装置に用いられるトナーは、低温定着化と小粒径化とが進み、耐熱性能が劣る傾向にあるため、例えば輸送中に高温環境にさらされると凝集し、最悪の場合は固化して、トナー容器から画像形成装置への供給が不可能になるおそれがある。このトナーの凝集、固化は、同じ温度環境であれば湿度が高い方が著しく発生しやすいことがわかっている。ユーザーへトナー容器を供給する経路は様々で、その環境を管理することはできない。例えば陸路、空路、海路による輸送があるがそれらの温度及び湿度を管理することは困難である。
このような背景に関する対策として輸送環境を制御するコンテナを用いる方法もあるが、全輸送経路において対応することは不可能であり、また費用がかかる課題がある。このような問題に対して、本実施形態のトナー容器32は、トナーが収容される容器本体33の一部である容器開口部33aをキャップ370によって直接封止することが出来るので、封止効果が向上し、トナー漏れをより確実に防止することができる。さらに、封止効果が向上しているため、トナー容器32の保管時に外部環境の影響を受け難い。
また、トナー容器32からキャップ370を取り外すことで、トナー補給装置60への装着が可能となるため、使用する際には使い勝手の良好なトナー容器32を提供することができる。
さらに、キャップ370がICタグ700やトナー容器32を保護する形状であるため、トナー容器32を包装する緩衝材や個装箱を低減でき、包装の大きさも小型化することによって、使用材料の低減により環境負荷を低減することができる。
また、粉体収納容器であるトナー容器32をユーザーに供給した後は、ユーザーにより取り扱われる場合が多く、このときの扱われ方は特に規制出来ないため、手荒く扱われることもある。このため、トナー容器32は、手荒く扱われてもトナー漏れが発生しないように、振動や落下に対して十分な対策が必要である。
トナー漏れは、ノズル受入口331から漏れを防止する必要がある。そして、この漏れを防止するためには、容器シール333や容器シール固定壁部336によって形成されるノズル受入口331を遮蔽する弾性シート部材300に隙間が生じることを防止する必要がある。
次に、本実施形態のトナー容器32の特徴部について説明する。
本実施形態のトナー容器32は、弾性シート部材300として、複数枚の弾性シート332を少なくとも一部が重なるように配置している。より具体的に述べると、複数枚のうち少なくとも二枚の弾性シート332が、ノズル受入部材330の管挿入口であるノズル受入口331の直径方向において、ノズル受入口331の全域に亘って少なくとも一部が重なるように設置されている。更に、少なくとも二枚の弾性シート332が、先端開口305の直径方向において、先端開口305の全域に亘って少なくとも一部が重なるように設置されることが好ましい。
図21は、本実施形態のトナー容器32が備える弾性シート部材300の説明図であり、図22は、図13に示すトナー補給装置60にトナー容器32を装着した状態のノズル受入部材330と搬送ノズル611との拡大断面図である。また、図23は、図22の状態における弾性シート部材300を先端側から見た正面図である。
図1に示すように、トナー容器32は、容器本体33と、ノズル受入部材330と、容器シール333と、弾性シート部材300と、を有する。
容器本体33は、内部に粉体であるトナーを収納する粉体収納部を形成する粉体収納部材であり、ノズル受入部材330は、容器本体33の他端側の開口に設けられた管挿入口であるノズル受入口331を形成するものである。また、弾性体からなる容器シール333は、ノズル受入口331の他端側の端部近傍を形成する部材であり、ノズル受入部材330と搬送ノズル611との間を密閉する(シールする)部材である。
また、弾性シート部材300は、ノズル受入口331の開閉部材であり、伸縮性がある弾性材料からなる薄膜シート(シート状の弾性体)からなる複数枚の弾性シート332(332a、332b)から構成される。弾性シート332に用いる弾性材料としては、シリコンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、EPDM(エチレンプロピレンゴム)及び天然ゴム等を挙げることができるが、その他の柔軟性のある弾性材料も用いることができる。また、シート部材ガイド611aとの摺動性を向上させるために、弾性シート332の表面にタルク等の塗布あるいは、材料に予め摺動性を確保するための成分を添加しておくと、より良い。
図1及び図21に示すように、弾性シート部材300として、第一弾性シート332aと第二弾性シート332bとの二枚の弾性シート332を重なり部332cで重なるように配置している。そして、この重なり部332cによって、弾性シート部材300における搬送ノズル611が押し広げて開口する部分を閉鎖している。また、図21に示すように、第一弾性シート332a及び第二弾性シート332bは、ノズル受入口331中央部分で互いに重なるように、半円よりも重なり代(しろ)分だけ大きな形状の平面を備えている。
第一弾性シート332a及び第二弾性シート332bは、自然長よりも僅かに伸ばされた状態で、僅かに張力(テンション)を掛けるようにして組付けられている。
本実施形態のトナー容器32が備える弾性シート部材300は、二枚の弾性シート332を使用する構成となっているが、より確実にトナー漏れの防止を図るために三枚以上の複数枚を使用する構成としても良い。
また、トナー容器32では、重なり部332cでの二枚の弾性シート332の「面」の重なりによって弾性シート部材300における搬送ノズル611が押し広げて開口する部分を閉鎖し、この重なり部332cで密閉状態を作っている。
上記特許文献7のトナー容器(粉体収納容器)では、弾性シート部材が一枚のシート状の弾性体からなり、このシート状の弾性体に刻み目(スリット)を、中心から放射状(アスタリスク記号のような形状)に設けた構成である。ここで、弾性シート部材における粉体搬送管によって押し広げられる部分を「刻み目部」と呼ぶことにする。
この様な構成では、粉体搬送管の挿入方向に対して、刻み目部は、隣り合う刻み目部と何ら重なりを有しておらず、粉体搬送管の挿入方向に直交する方向において断面同士が接触するのみである。このような、粉体搬送管の挿入方向に対して何ら重なっていない構造を、「線」によって閉鎖している構造と、以下では便宜的に呼ぶことにする。
この「線」によって閉鎖している構造の弾性シート部材では、振動や衝撃によってシート状の弾性体に弾性変形が生じると、刻み目部において粉体が通過し得るような隙間が簡単に形成される。そして、弾性シート部材に粉体が通過し得るような隙間が形成されると、粉体が漏れ出ることが可能な状態となる。また、この様な「線」によって閉鎖している構造の刻み目部を設けた従来の弾性シート部材では、僅かにでも張力(テンション)を掛けると刻み目部が開いてしまい、張力を加えることができない。このため、トナー容器32をトナー補給装置60から取り外す時にも、刻み目部を閉じる力が小さくなり、粉体が漏れ出るおそれがある。
一方、本実施形態の弾性シート部材300においては、粉体搬送管の挿入方向に対して、複数枚のシート状の弾性体である弾性シート332を少なくとも一部が重なる重なり部332cを有するように配置している。そして、複数枚の弾性シート332が重なる部分である重なり部332cは、ある程度の面積を有する「面」によって、弾性シート部材300における、搬送ノズル611によって押し広げられる部分を閉鎖している。このような、搬送ノズル611の挿入方向に対して重なり部332cを有する構造を、「面」によって閉鎖している構造と、以下では便宜的に呼ぶことがある。
このため、振動や衝撃によって弾性シート332に弾性変形が生じても、弾性シート部材300における粉体搬送管が通過する部分を「線」によって閉鎖している構造よりも、「面」によって閉鎖している構造では粉体が通過し得るような隙間が形成され難い。
また、本実施形態においては、搬送ノズル611の挿入方向に対して、複数枚の弾性シート332を少なくとも一部が重なる重なり部332cを有する構造である。そして、「面」によって閉鎖している構造としては、粉体搬送管の挿入方向に直交する方向に対して、複数枚の弾性シートの少なくとも一部が重なる構造も含んでいる。より具体的には、重なり部が搬送ノズル611の挿入方向に沿った方向に形成されるように、弾性シートを搬送ノズル611の挿入方向下流側に向けて折り曲げて配置し、この折り曲げた部分同士を接触させて重なり部を形成するようにした構造が挙げられる。
この様な、折り曲げた部分同士を接触させて重なり部を形成するようにした構造においては、上述した「線」によって閉鎖している構造よりも、粉体が通過し得るような隙間が形成され難い。しかしながら、実施形態のように、搬送ノズル611の挿入方向に対して、複数枚の弾性シート332を少なくとも一部が重なる重なり部332cを有する構造に比べると、粉体が通過し得るような隙間が形成され易い。ここで、図21中の弾性シート332(332a、332b)の自由端432(432a、432b)は、弾性シート332の端面を形成する部分のうち、受入部材固定部337とシートストッパ335とに挟持されていない部分である。
複数枚の弾性シート332からなる弾性シート部材300を有するトナー容器32では、搬送ノズル611が挿入された後、離脱される時に、複数枚の弾性シート332はそれぞれ重なり部332cを形成するように、自身の弾性力によって復元する。そして、何れの重なり部332cを有する構成においても、弾性シート332の自由端432となっている部分は、粉体搬送管が挿入されることで変位した後、粉体搬送管が離脱する時には固定端となっている部分に倣って戻ろうとする復元力が作用する。ここで、弾性シート332に対して予め張力を付与するように組み付けておくと、固定端となっている部分に倣って戻る作用が強くなる。
本実施形態の弾性シート部材300では、第一弾性シート332a及び第二弾性シート332bを、自然長よりも僅かに伸ばされた状態で、僅かに張力(テンション)を掛けるようにして組付けている。このため、トナー容器32をトナー補給装置60から取り外す時に搬送ノズル611が離脱しても、第一弾性シート332a及び第二弾性シート332bの各々の復元力によって、一部が重なるように再び封止することができる。よって、一枚のシート状の弾性体に刻み目を設けた従来の弾性シート部材を備えた粉体収納容器よりも粉体(トナー)が漏れることを抑制することができる。
一方で、上述した弾性シートを搬送ノズル611の挿入方向下流側に向けて折り曲げて配置した構造では、次のような問題がある。すなわち、再び重なり部を形成する復元力を強く作用させるためには、弾性シートに対し搬送ノズル611の挿入方向及び搬送ノズル611の挿入方向に直交する方向の二つの方向に対して予め張力を付与するように組み付ける必要がある。しかしながら、搬送ノズル611の挿入方向に直交する方向に対して張力を付与すると、「線」によって閉鎖している構造と同様に、搬送ノズル611の挿入方向下流側に向けて折り曲がっている部分が開いてしまう。そのため、復元力を強くしようとすると重なり部の面積が小さくなってしまう。
つまり、上述した弾性シートを搬送ノズル611の挿入方向下流側に向けて折り曲げて配置した構造では、復元力を強くすることと重なり部の面積を維持することとがトレードオフの関係となっている。そのため、弾性シートに対して予め張力を付与するように組み付けると、粉体が通過し得るような隙間が形成され易い。
これに対して、本実施形態に示す、搬送ノズル611の挿入方向に対して複数枚の弾性シート332を少なくとも一部が重なる重なり部332cを有する構造の弾性シート部材300では、次のような利点がある。すなわち、弾性シートに対して予め張力を付与するように組み付けると、復元力を強くすることと重なり部の面積を維持することとを両立させることができる。
トナー容器32をトナー補給装置60に装着するときには、図22及び図23に示すように、搬送ノズル611が弾性シート332の重なり部332cを押し広げる様に挿入される。弾性シート332は伸縮性がある弾性材料であるため、搬送ノズル611が挿入されると、重なり部332cを押し広げられるように弾性変形する。
一方、トナー容器32をトナー補給装置60から取り外すときには、搬送ノズル611の外周面の汚れを弾性シート332が削ぎ落とすように抜けていく。これは、搬送ノズル611の挿入によって弾性変形した弾性シート332が、その復元力による当接圧によって搬送ノズル611の表面に当接しているためである。
弾性シート332には伸縮性があるため、搬送ノズル611が抜けた後は、二枚の弾性シート332は、再び中央部分で重なり部332cを形成する。中央部分で重なり部332cを形成することで、再び密閉状態が作られる。
図11〜図13及び図22等に示すように、搬送ノズル611の軸方向におけるトナー容器に対向する側(根元と逆側)の端部には、その直径が搬送ノズルの直径に略一致する半球形状のシート部材ガイド611aとなっている。このように丸みを帯びたシート部材ガイド611aとすることにより、搬送ノズル611が弾性シート部材300の中央部の弾性シート332が重なる部分を押し広げる際に、徐々に力を加えることができるため、円滑に弾性シート332を押し広げることができる。
また、シート部材ガイド611aの形状について、弾性シート332との摺動性、弾性シート332の材質的な弾性、などとの兼ね合いで、好適な形状を選択すると良い。
なお、シート部材ガイド611aの表面にコーティングなどを行って、トナーが付着しにくくすることもできる。シート部材ガイド611aは、トナー容器32の内部でトナーに直接触れる部分であるので、トナー容器32の交換時などに、トナーが付着した状態で露出され、トナー容器収容部70内などに落下して複写機500を汚してしまうおそれがある。しかし、予めシート部材ガイド611aの表面にトナーが付着しにくくしてあるので、これを防止することができる。
トナー容器32の弾性シート部材300では、重なり部332cにおける「面」の重なりによってノズル受入口331を密閉している。このため、トナー容器32に振動や衝撃が加わり、弾性シート332が弾性変形しても、弾性シート部材300にトナーが通過し得るような隙間が形成され難い。このように、トナーが通過し得る隙間が生じることを抑制できるため、トナー補給装置60に装着されていない状態で、トナー容器32からトナーが漏れ出ることを抑制することが出来る。よって、トナー容器32が運搬時等に手荒く扱われても、トナー容器32からトナー漏れが発生することを抑制することができる。このため、トナー容器32の運搬時等の振動や落下等に起因するトナー漏れの発生を抑制できる。
また、弾性シート部材300は、弾性シート332の弾性変形によって管挿入口であるノズル受入口331を開閉するため、特許文献6のトナー容器に比べて管挿入口を開閉する構成を簡易にすることができ、トナー容器32の低コスト化を図ることができる。
また、上述したように、弾性シート332にテンションが掛かっており、重なり部分での二枚の弾性シート332の密着性(密閉性)が向上する。このため、さらにトナー漏れを防止することが出来、振動や衝撃に対して有利になる。
本実施形態のトナー容器32は、トナー容器32の運搬時の振動や落下等に起因してトナーが漏れ出ることを抑制することが出来る。このようなトナー容器32を備えるトナー補給装置60では、トナー容器32を交換する際に、トナーが漏れ出ることを抑制することが出来る。このため、トナーが漏れ出ることに起因する装置内汚れや、装置外の汚れの発生を抑制することが出来る。
また、このようなトナー補給装置60を備える複写機500では、トナー容器32を交換する際の装置内汚れや、装置外の汚れの発生を抑制することが出来る。
図21に示すように、第一弾性シート332aはノズル受入口331の一部を閉鎖し、他の部分(図21中の破線部分)は、開口部となっている。同様に、第二弾性シート332bはノズル受入口331の一部を閉鎖し、他の部分(図21中の破線部分)は、開口部となっている。そして、第一弾性シート332aの開口部は第二弾性シート332bで覆うように、第二弾性シート332bの開口部は第一弾性シート332aで覆うように、配置している。すなわち、第一弾性シート332aの開口部と第二弾性シート332bの開口部との位置がずれるように配置している。
このような配置で、搬送ノズル611が入ってくると、図22及び図23に示すように、二枚の弾性シート332が弾性変形して、各々の開口部を通るように搬送ノズル611が入って行く。このとき、弾性変形した弾性シート332は搬送ノズル611の外周面に沿うように密着するため、搬送ノズル611が挿入された状態でのシール性は良好となる。
また、搬送ノズル611が挿入されていない状態では、複数枚の弾性シート332を挿入用の開口部がずれるように重ねて配置し、開口部との境目となる部分は、他方の弾性シート332が重なり、重なり部332cとなっている。
具体的には、一方のシート状の弾性体である第一弾性シート332aにおける保持されていない端部である自由端432aの全域を、他方のシート状の弾性体である第二弾性シート332bと重ねて配置する。同様に、第二弾性シート332bにおける保持されていない端部である自由端432bの全域を、第一弾性シート332aと重ねて配置する。この配置により、開口部との境目となる部分である自由端432aや自由端432bが重なり部332cとなって弾性シート332同士が密着しているため、輸送時等の振動によるトナー漏れの発生を防止できる。
また、本実施形態のトナー容器32は、自身が回転することで搬送ノズル611のノズル開口610にトナーを供給するよう構成されており、この様な回転の際に、搬送ノズル611の外周面と弾性シート332とが摺動する関係にある。
そのため、弾性シート332における搬送ノズル611の外周面に当接する部分に、両者の当接位置に残ろうとする力(摩擦力)が生じ、周方向に引っ張られる力が加わることがある。
この様な場合にも、一枚のシート状の弾性体に刻み目部を設けた従来の弾性シート部材に比べて、この周方向に引っ張られる力を二枚の弾性シート332に分散させることができる。そして、それぞれの弾性シート332の変形量は小さくて済むので、トナー容器32の回転時においても、トナー漏れの発生を防止できる。
なお、トナー容器自体は回転せずに保持され、トナー容器内部に回転する搬送部材を備えるタイプのトナー容器においても、本実施形態の弾性シート部材300を同様に用いることができる。
図21に示す構成では、第一弾性シート332aと第二弾性シート332bとは、互いに自由端432(432a、432b)が先端開口305の直径方向において逆の位置関係に配置されるように固定されている。言い換えれば、一方の弾性シート332の自由端432が他方の弾性シート332の面部分に外側から重なり、且つ他方の弾性シート332の自由端432が一方の弾性シート332の面部分に内側から重なるようになっている。そして、搬送ノズル611の挿入方向において、両者の弾性シート332は先端開口305の直径方向の全域に亘って重なっており、この重なっている部分が重なり部332cである。このようにして、搬送ノズル611の挿入に伴って各弾性シート332の自由端432側が先端開口305の中心から離れる方向に変位する。また、搬送ノズル611の離脱に伴って、各弾性シート332の自由端432側が先端開口305の中心に向かう方向に変位し、搬送ノズル611が完全に離脱した後に、再び自由端432同士が搬送ノズル611の挿入方向において重なり部332cを形成する。
〔変形例1〕
次に、トナー容器32に配置する弾性シート部材300の一つ目の変形例(以下、変形例1と呼ぶ)について説明する。
図24は、変形例1の弾性シート部材300の説明図である。変形例1では、弾性シート部材300を構成する第一弾性シート332a及び第二弾性シート332bは、ノズル受入口331の全体を覆う形状であり、その一部に第一貫通丸穴332d及び第二貫通丸穴332eがそれぞれ形成されている。すなわち、変形例1は、丸穴状の開口を有する弾性シート332を二枚重ねた構成である。
第一貫通丸穴332d及び第二貫通丸穴332eは、搬送ノズル611を挿入するための開口である。変形例1では、第一貫通丸穴332d及び第二貫通丸穴332eを、先端開口305の中心と略一致するよう配置されたノズル受入口331の中心に対してそれぞれ偏心させた位置に設けた第一弾性シート332a及び第二弾性シート332bを重ねて配置する。そして、重ねて配置した状態で、第一貫通丸穴332dと第二貫通丸穴332eとがノズル受入口331の中心に対してそれぞれ逆方向にずれた位置となるように配置する。丸穴の位置が互いにずれた位置であるため、二枚のうちの一方の弾性シート332に形成された丸穴を他方の弾性シート332が封止することができる。また、丸穴の周りは二枚の弾性シート332が重なって密着した状態である。このような構成により、図21に示した構成と同様に、搬送ノズル611の挿入方向において、両者の弾性シート332は先端開口305の直径方向の全域に亘って重なっており、この重なっている部分が重なり部332cとして機能する。このため、搬送ノズル611が挿入されていない状態では、トナー漏れを抑制できる。
変形例1の弾性シート部材300では、搬送ノズル611の挿入に伴って、第一貫通丸穴332d及び第二貫通丸穴332eがともにノズル受入口331の中心に向かう方向に変位する。また、搬送ノズル611が挿入されていない状態での第一貫通丸穴332d及び第二貫通丸穴332eの直径は、搬送ノズル611の直径よりも小さく設定してある。このため、第一貫通丸穴332d及び第二貫通丸穴332eは、搬送ノズル611の挿入に伴って伸び拡がるようにそれぞれ弾性変形する。
ここで、第一貫通丸穴332d及び第二貫通丸穴332eは、それぞれの直径を搬送ノズル611の直径よりも小さく設定してある。このため、搬送ノズル611を挿入した状態における二枚の弾性シート332の復元力は、搬送ノズル611の周囲を締め付けるように作用する。このため、トナー容器32をトナー補給装置60から取り外すとき(搬送ノズル611を抜くとき)に、搬送ノズル611の外周面の汚れを弾性シート332が削ぎ落とすように抜けていき、削ぎ落とし効果がより向上する。
変形例1では、弾性シート332に設けた開口が丸穴状のものについて説明したが、開口の形状としては丸穴状に限らない。弾性シート332が弾性変形して搬送ノズル611を通過させることが出来るものであれば、開口の形状は四角や三角、楕円など他の形状も採用することができる。
図24に示す変形例1では、第一貫通丸穴332d及び第二貫通丸穴332eの縁部が、第一弾性シート332aと第二弾性シート332bにおける自由端432(432a、432b)として機能している。言い換えれば、一方の弾性シート332の自由端432が他方の弾性シート332の面部分に外側から重なり、且つ他方の弾性シート332の自由端432が一方の弾性シート332の面部分に内側から重なるようになっている。そして、搬送ノズル611の挿入方向において、両者の弾性シート332は先端開口305の直径方向の全域に亘って重なっており、この重なっている部分が重なり部332cである。
〔変形例2〕
次に、トナー容器32に配置する弾性シート部材300の二つ目の変形例(以下、変形例2と呼ぶ)について説明する。
図25は、変形例2の弾性シート部材300の説明図であり、図26は、トナー補給装置60にトナー容器32を装着した状態における変形例2の弾性シート部材300を先端側から見た正面図である。
変形例2では、弾性シート部材300を構成する第一弾性シート332a及び第二弾性シート332bは、ノズル受入口331の全体を覆う形状であり、その一部に第一スリット332f及び第二スリット332gがそれぞれ形成されている。すなわち、変形例2は、スリット状の開口を有する弾性シート332を二枚重ねた構成である。
変形例2では、搬送ノズル611を挿入するための開口である第一スリット332f及び第二スリット332gを備えた第一弾性シート332a及び第二弾性シート332bを重ねて配置する。第一スリット332f及び第二スリット332gは、先端開口305の中心と略一致するよう配置されたノズル受入口331の中心に対してそれぞれずらした位置に設けられている。そして、重ねて配置した状態で、第一スリット332fと第二スリット332gとがノズル受入口331の中心に対してそれぞれ逆方向にずれた位置となるように配置する。スリットの位置が互いにずれた位置であるため、二枚のうちの一方の弾性シート332に形成されたスリットを他方の弾性シート332が封止することができる。また、スリットの周りは二枚の弾性シート332が重なって密着した状態である。このような構成により、図21や図24に示した構成と同様に、搬送ノズル611の挿入方向において、両者の弾性シート332は先端開口305の直径方向の全域に亘って重なっており、この重なっている部分が重なり部332cとして機能する。このため、搬送ノズル611が挿入されていない状態では、トナー漏れを抑制できる。
変形例2の弾性シート部材300では、搬送ノズル611が挿入されてくると、図26に示すように、第一スリット332f及び第二スリット332gがともにノズル受入口331の中心に向かう方向に変位する。
図25に示すように、第一スリット332f及び第二スリット332gは、その両端部に小径の丸穴部が形成されている。特許文献7に記載の構成のように、シート状の弾性体にスリットのみを設けた構成であると、搬送ノズル611が挿入され、スリットが広げられたときにスリットの端部が裂けてシート状の弾性体が破けるおそれがある。一方、変形例2のように、スリットの両端部に小径の丸穴部を設けることにより、搬送ノズル611が挿入されたときにスリットの端部が裂けることを抑制でき、シート状の弾性体である第一弾性シート332aや第二弾性シート332bが破けることを抑制できる。
また、シート状の弾性体にスリットを設けた構成で、スリットの両端部に小径の丸穴部を設けた場合、特許文献7のようにシート状の弾性体が一枚だと、この小径の小径の丸穴部からトナーが漏れ出るおそれがある。一方、変形例2では、二枚の弾性シート332を重ねて配置し、一方のスリットが形成されている部分は、他方の弾性シート332が封止している。このため、スリットの両端部に小径の丸穴部を設けてもトナー漏れが生じることを抑制できる。
また、変形例2のスリットを設けた構成は、変形例1の丸穴を設ける構成に比べて開口面積を小さくすることができるため、変形例1よりもトナー漏れが発生し難い構成である。
なお、スリットが形成された複数枚の弾性シート332を重ねて配置する構成の場合、スリットの部分が交差して重なるように配置してもよい。スリットが閉じている状態では、スリットの部分ではトナーは通過できない。そして、スリットが交差する場合、一枚の弾性シート332のスリット部分において、トナーが通過し得るような隙間を形成する弾性変形をしたとしても、他の弾性シート332のスリットが閉じていればトナーの通過を防止することができる。
また、複数枚の弾性シート332が重なることで、複数枚の弾性シート332に振動や衝撃のエネルギーが分散することが考えられる。この場合、一枚の弾性シート332のスリット部分で、トナーが通過し得るような隙間が形成されるような弾性変形が生じ難くなると考えられる。
これらの理由により、スリットを設けたシート状の弾性体を一枚だけ備える特許文献7に記載の弾性シート部材の構成に比べて、トナー容器32からトナーが漏れ出ることを抑制することができる。
図25に示す変形例2では、第一スリット332f及び第二スリット332gが、第一弾性シート332aと第二弾性シート332bにおける自由端432(432a、432b)として機能している。言い換えれば、一方の弾性シート332の自由端432が他方の弾性シート332の面部分に外側から重なり、且つ他方の弾性シート332の自由端432が一方の弾性シート332の面部分に内側から重なるようになっている。そして、搬送ノズル611の挿入方向において、両者の弾性シート332は先端開口305の直径方向の全域に亘って重なっており、この重なっている部分が重なり部332cである。
〔変形例3〕
次に、トナー容器32に配置する弾性シート部材300の三つ目の変形例(以下、変形例3と呼ぶ)について説明する。
図27は、変形例3の弾性シート部材300の説明図である。変形例3では、図1及び図21等を用いて説明した実施形態の弾性シート部材300の中央部付近におけるそれぞれの弾性シート332の開口部の縁となる部分(自由端432)に半円状の切れ込み332hを設けた構成である。切れ込みを設けた点以外は、実施形態と共通するため、共通する点については説明を省略する。
変形例3の弾性シート部材300では、二枚の弾性シート332の自由端432に切れ込みを設けることにより、搬送ノズル611が挿入されるときに、半球形状のシート部材ガイド611aに切れ込みが沿うように当接する。これにより、二枚の弾性シート332を円滑に弾性変形させることが出来る。これにより、トナー容器32に対して搬送ノズル611を円滑に挿入することができる。
図27に示す変形例3では、第一弾性シート332aと第二弾性シート332bとは、半円状の切れ込み332hを設けた縁部である自由端432(432a、432b)が互いに逆の位置関係で形成されるように固定されている。さらに、一方の弾性シート332の自由端432が他方の弾性シート332の面部分に重なり、同様に他方の弾性シート332の自由端432が一方の弾性シート332の面部分に重なるようになっている。そして、この一方の弾性シート332の自由端432から他方の弾性シート332の自由端432までの間の部分では、両者の弾性シート332が搬送ノズル611の挿入方向において重なっており、この重なっている部分が重なり部332cである。このため搬送ノズル611の挿入によって変位する一方の弾性シート332の自由端432が、挿入前の状態では、搬送ノズル611の挿入方向で他方の弾性シート332の面部分と重なる配置となっている。
〔変形例4〕
次に、トナー容器32に配置する弾性シート部材300の四つ目の変形例(以下、変形例4と呼ぶ)について説明する。
図34は、変形例4のトナー容器32の説明図であり、図34(a)は、トナー容器32の分解斜視図(容器先端側カバー34は取り付けた状態)、図34(b)は、トナー容器32が備えるノズル受入部材330を他端側から見た正面図である。図34に示すように、変形例4では、弾性シート部材300として、第一弾性シート332aと、第二弾性シート332bと、第三弾性シート332jとの三枚の弾性シート332が、ノズル受入口331から長手方向内側に重なるように配置している。
変形例4のトナー容器32も上述した実施形態のトナー容器32と同様に内部にトナーを収納する。そして、ノズル受入口331に薄膜の弾性材料からなる三枚の弾性シート332(332a、332b、332j)及び容器シール333を設け、また、現像剤排出側となる容器開口部33aに封止部材であるキャップ370を有する。
図34では、三枚の弾性シート332からなる弾性シート部材300の代表的な例を記載している。第一弾性シート332a、第二弾性シート332b及び第三弾性シート332jは、自然長よりも僅かに伸ばされた状態で、僅かに張力(テンション)を掛けるようにして組付けられている。
弾性シート部材300として三枚の弾性シート332を重ね合わせることで、二枚の弾性シート332を重ね合わせる構成よりもシール性の向上を図ることができ、より確実にトナー漏れの発生を防止することができる。
図34に示す例では、ノズル受入口331の中央部分に重なり部332cを設けて、そこで密閉状態を作っている。トナー容器32をトナー補給装置60に装着するときには、搬送ノズル611の先端部の半球形状のシート部材ガイド611aが中央部の重なり部332cを押し広げるように挿入される。このとき、弾性シート332は弾性体であるので、搬送ノズル611を避けるように弾性変形し、搬送ノズル611は問題なく挿入される。
トナー容器32をトナー補給装置60から取り外すとき(搬送ノズル611を抜くとき)には、搬送ノズル611の外周面の汚れを弾性シート332が削ぎ落とすように抜けていく。トナー容器32をトナー補給装置60から取り外すと、三枚の弾性シート332の各々の復元力によって、再び重なり部332cを形成する。弾性シート332は弾性体であるので、重なり部332cを形成することで、再び密閉状態が作られる。
変形例4では、詳細は後述するが、ノズル受入口331に搬送ノズル611が挿入される際に搬送ノズル611の先端が接触する重なり部332cを色々な形状にすることにより、操作性、耐久性、トナーのシール性等を満足させている。
変形例4のトナー容器32に搬送ノズル611が入ってくると、弾性シート部材300が備える各々の弾性シート332の自由端432側が先端開口305の中心から離れる方向に変位し、搬送ノズル611がトナー容器32の内部へ挿入される。弾性シート332の自由端432は、搬送ノズル611の外形に沿うように密着するので、シール性が良好となる。さらに、三枚の弾性シート332を重ねて、重なり部332cの強度(閉じ力)を持たせているので、輸送等の振動によるトナー漏れの発生をより効果的に防止できる。
図34に示すトナー容器32では、第一弾性シート332a、第二弾性シート332b及び第三弾性シート332jの平面を形成する部分の一部が、容器シール固定壁部336の後端側の壁面(第二壁面)とシートストッパ335とに挟まれる。また、弾性シート332(332a、332b及び332j)は、上記平面を形成する部分から後端側に延在するように形成された被狭持部3321(3321a、3321b及び3321j)を備える。被狭持部3321(3321a、3321b及び3321j)はシートストッパ335の外周面に沿う形状である。
受入部材固定部337に対してシートストッパ335を圧入すると、弾性シート332(332a及び332j)の上記平面を形成する部分の一部が、容器シール固定壁部336の後端側の壁面(第二壁面)とシートストッパ335の先端側とに挟まれる。また、弾性シート332(332a、332b及び332j)の被狭持部3321(3321a、3321b及び3321j)がシートストッパ335の外周面と受入部材固定部337の内周面とに挟まれる。このように、弾性シート332(332a、332b及び332j)の一部が、容器シール固定壁部336とシートストッパ335との間やシートストッパ335と受入部材固定部337との間に挟まれる。これにより、弾性シート332(332a、332b及び332j)が受入部材固定部337に対して固定されている。
上記平面を形成する部分における容器シール固定壁部336とシートストッパ335との間に挟まれる部分と、被狭持部3321(3321a、3321b及び3321j)とが、弾性シート332(332a、及び332j)における被保持部となる。
また、第一弾性シート332a、第二弾性シート332b及び第三弾性シート332jは、この被保持部でも少なくとも一部で二枚以上が重なるように配置されている。
以下、図35〜図39を用いて、変形例4の弾性シート部材300における三枚の弾性シート332の配置の具体例について説明する。なお、図35〜図39に示す構成では、三枚の弾性シート332において、トナー容器32に設置したときに、最も外側となる弾性シート332から順に、第一弾性シート332a、第二弾性シート332b、第三弾性シート332jとしている。また、図35〜図39に示す構成では、三枚の弾性シート332を重ねるときに、最も内側の第三弾性シート332jの直線状の自由端432を基準に、弾性シート332同士の「設置角度」や「重なり量」を設定している。別の方法としては、搬送ノズル611の挿入方向に直交するX軸とY軸との基準を、弾性シート332を保持する受入部材固定部337に設けて、これを基準に「設置角度」や「重なり量」を設定してもよい。
図35は、変形例4の弾性シート部材300における三枚の弾性シート332の配置の一つ目の具体例の説明図である。
図35に示す具体例では、図21に示した形状の弾性シート332を三枚用いて重ね合わせる構成であり、三枚の弾性シート332が互いに略120[°]の角度を持って配置されている。具体的には、第三弾性シート332jの直線状の自由端432jを基準として、図35中反時計回りに120[°]回転させた位置に第二弾性シート332bの直線状の自由端432bが配置されるように第二弾性シート332bを設置する。そして、第三弾性シート332jの直線状の自由端432jを基準として、図35中時計回りに120[°]回転させた位置に第一弾性シート332aの直線状の自由端432aが配置されるように第一弾性シート332aを設置する。
図35に示すように、三枚の弾性シート332は、一枚では先端開口305に対して一部に開口部を有するように設置されているが、開口部の位置が異なるように配置してある。このため、三枚の弾性シート332を重ねると、ノズル受入口331の全体を覆う構成である。
図35に示すように、同じ形状の弾性シート332を略120[°]の角度を持って重ね合わせることで、三枚の弾性シート332をバランスよく配置できる。また、トナー容器32をトナー補給装置60から取り外す際、搬送ノズル611の外周面の汚れを弾性シート332が削ぎ落とすように抜けていくときの削ぎ落とし効果がより高くなり、更なるトナー飛散の低減が図れる。また、三枚の弾性シート332として同じ形状のものを用いることで、低コスト化を図ることができる。
なお、図35に示す具体例では、第三弾性シート332jの自由端432jは、途中までを第二弾性シート332bによって覆われており、途中からは第一弾性シート332aによって覆われている。このように、搬送ノズル611の挿入方向において、弾性シート332は先端開口305の直径方向の全域に亘って重なっており、この重なっている部分が重なり部332cである。
図36は、変形例4の弾性シート部材300における三枚の弾性シート332の配置の二つ目の具体例の説明図である。
図36に示す具体例では、図35に示した具体例と同様に三枚の弾性シート332は、一枚では先端開口305に対して一部に開口部を有するように設置されているが、開口部の位置が異なるように配置してある。このため、三枚の弾性シート332を重ねると、ノズル受入口331の全体を覆う構成である。
そして、重ね合わせ方は、具体的には、次の通りである。すなわち、第三弾性シート332jの直線状の自由端432jを基準として、図36中反時計回りに180[°]回転させた位置に第二弾性シート332bの直線状の自由端432bが配置されるように第二弾性シート332bを設置してある。そして、第三弾性シート332jの直線状の自由端432jを基準として、図36中時計回りに90[°]回転させた位置に第一弾性シート332aの直線状の自由端432aが配置されるように第一弾性シート332aを設置する。
このようにして、第一弾性シート332aは、第二弾性シート332b及び第三弾性シート332jのそれぞれに対して90[°]回転させた位置に配置されることとなる。
図36に示す具体例では、一枚の弾性シート332(第一弾性シート332a)を90[°]回転させて配置し、重なり部332cに強度(閉じ力)を持たせる。詳しく述べると、図21に示した構成と同様に、第二弾性シート332bと第三弾性シート332jとが先端開口305の直径方向に亘って重なり部332cを形成している。例えば、トナー容器32に衝撃が加えられて、収容しているトナーの圧力が重なり部332cに対して加わったとする。この場合、第二弾性シート332bの自由端432b及び第三弾性シート332jの自由端432jは、重なり部332cが形成されていた方向(図36における上下方向)と直交する方向(図36における左右方向)に移動しようとする。しかしながら、上述した直交する方向(図36における左右方向)と平行に配置した自由端432aを有する第一弾性シート332aの復元力が、重なり部332cを補強するように作用するため、重なり部332cの強度(閉じ力)が向上する。重なり部332cの強度(閉じ力)が向上することにより、輸送等の振動による容器開口部33aからのトナー漏れの更なる防止が図れる。
図37は、変形例4の弾性シート部材300における三枚の弾性シート332の配置の三つ目の具体例の説明図である。
図37に示す具体例では、図35及び図36に示した具体例と同様に、三枚の弾性シート332は、一枚では先端開口305に対して一部に開口部を有するように設置されているが、開口部の位置が異なるように配置してある。このため、三枚の弾性シート332を重ねるとノズル受入口331の全体を覆う構成である。
図37に示す具体例では、第一弾性シート332aと第二弾性シート332bとによって、ノズル受入口331の全体を覆っている。さらに、第三弾性シート332jが第一弾性シート332aと同じ位置を覆い、第二弾性シート332bと重なる位置が共通である。具体的には、第三弾性シート332jの直線状の自由端432jを基準として、図37中反時計回りに180[°]回転させた位置に第二弾性シート332bの直線状の自由端432bが配置されるように第二弾性シート332bを設置してある。そして、第三弾性シート332jの直線状の自由端432jと第一弾性シート332aの直線状の自由端432aとが重なるように第一弾性シート332aを設置する。
図37に示す具体例では、三枚の弾性シート332を順次重ねて配置することで、重なり部332cの強度(閉じ力)を持たせる。この構成よって、図21に示した構成よりも重なり部332cの強度(閉じ力)が向上し、輸送等の振動による容器開口部33aからのトナー漏れの更なる防止が図れる。
図38は、変形例4の弾性シート部材300における三枚の弾性シート332の配置の四つ目の具体例の説明図である。
図38に示す具体例では、第二弾性シート332bと第三弾性シート332jとを同形状のシート状の弾性体を用いている。一方、第一弾性シート332aとして、第二弾性シート332b及び第三弾性シート332jとは異なる形状の弾性シート332を用いて、三枚を重ね合わせて配置してある。同形状の第二弾性シート332b及び第三弾性シート332jは、一枚では先端開口305に対して一部に開口部を有するように設置されているが、開口部の位置が異なるように配置してあるため、二枚重ねるとノズル受入口331の全体を覆う形状である。具体的には、第三弾性シート332jの直線状の自由端432jを基準として、図38中反時計回りに180[°]回転させた位置に第二弾性シート332bの直線状の自由端432bが配置されるように第二弾性シート332bを設置してある。
また、第一弾性シート332aは、ノズル受入口331の中央部以外の部分を覆うドーナツ形状である。
二枚でノズル受入口331全体を覆う第二弾性シート332b及び第三弾性シート332jと、ドーナツ形状の第一弾性シート332aとを使用することにより、重なり部332cの強度(閉じ力)を持たせる。重なり部332cの強度(閉じ力)が向上することにより、輸送等の振動による容器開口部33aからのトナー漏れの更なる防止が図れる。
図39は、変形例4の弾性シート部材300における三枚の弾性シート332の配置の五つ目の具体例の説明図である。
図39に示す具体例では、図38に示した構成と同様に、第二弾性シート332bと第三弾性シート332jとを同形状の弾性シート332を用いている。一方、第一弾性シート332aとして、第二弾性シート332b及び第三弾性シート332jとは異なる形状の弾性シート332を用いて、三枚を重ね合わせて配置してある。同形状の第二弾性シート332b及び第三弾性シート332jは、一枚では先端開口305に対して一部に開口部を有するように設置されているが、開口部の位置が異なるように配置してあるため、二枚重ねるとノズル受入口331の全体を覆う形状である。具体的には、第三弾性シート332jの直線状の自由端432jを基準として、図39中反時計回りに180[°]回転させた位置に第二弾性シート332bの直線状の自由端432bが配置されるように第二弾性シート332bを設置してある。
また、第一弾性シート332aは、ノズル受入口331の全域を覆う形状であってノズル受入口331の中央部に第一スリット332fを設けた形状である。
二枚でノズル受入口331全体を覆う第二弾性シート332bと第三弾性シート332jとを重ね合わせ、さらに、スリット入りの第一弾性シート332aを使用することにより、重なり部332cの強度(閉じ力)を持たせる。重なり部332cの強度(閉じ力)が向上することにより、輸送等の振動による容器開口部33aからのトナー漏れの更なる防止が図れる。なおスリットを入れる際は弾性シート332の破れ等を防止するために、スリットの両端に丸穴を設けると良い。
図35〜図39に示す変形例4では、第一弾性シート332a、第二弾性シート332b及び第三弾性シート332jは、それぞれの自由端432(432a、432b、432j)が異なる。そして、ある一つの自由端432は他の二つの少なくとも一方の弾性シート332の面部分に重なるようになっている。そして、三つの自由端432のうちの少なくとも二つの自由端432の間の部分では、少なくとも二枚の弾性シート332が搬送ノズル611の挿入方向において重なっており、この重なっている部分が重なり部332cを形成する。このため搬送ノズル611の挿入によって変位する自由端432が、挿入前の状態では、搬送ノズル611の挿入方向で他の弾性シート332と重なる配置となっている。
図40は、図37に示す具体例において、最も外側に配置された第一弾性シート332aと搬送ノズル611の先端とが最初に接触するノズル接触位置332pを示す説明図である。図40に示すように、ノズル受入口331の円形断面の略中心となる位置がノズル接触位置332pとなる。これは、図37の具体例に限らず、他の構成であっても同様である。
トナー容器32をトナー補給装置60に装着し、装着が完了した状態で、各弾性シート332は搬送ノズル先端に押し広げられ、搬送ノズルの径によって、変位した状態になる。このとき、搬送ノズル611は、ノズル受入口331の円形断面の略中心となるノズル接触位置332pにくるため、複数枚の弾性シート332の形状が同じ場合は、弾性シート332の変位量は同じになる。
図28は、変形例4の弾性シート部材300における三枚の弾性シート332の配置の他の具体例の説明図である。図28に示す具体例では、丸穴状の開口を有する弾性シート332を二枚重ねた変形例1に対して、丸穴状の開口を有する弾性シート332を一枚追加した構成である。すなわち、変形例1に対して、ノズル受入口331の全体を覆う形状であり、その一部に第三貫通丸穴332kがそれぞれ形成された第三弾性シート332jを追加した構成である。第三弾性シート332jを追加した点以外は変形例1と共通するため、共通する点については説明を省略する。
変形例4のように、弾性シート部材300として、弾性シート332を三枚用いることにより、弾性シート332を二枚用いる変形例1の構成に比べてシール性の向上を図ることができ、より確実にトナー漏れの発生を防止することができる。
図35〜図39の重ね方で、トナー容器32を弾性シート部材300が重力方向で下側となるようにして、トナー容器32が収容しているトナーが漏れ出さないかを比較したところ、図36に示した重ね方が、最も漏れ出し難かった。
これは、三枚重ねの弾性シート332に対し、トナーの荷重が掛かったときに、第二弾性シート332bと第三弾性シート332jとが図中で左右に向かって開こうとするのを、第一弾性シート332aが押さえるように機能するためであると考えられる。
この機能を考えると、帯状或いは紐状の第一弾性シート332aを用いて、第二弾性シート332bと第三弾性シート332jとがトナーの荷重によって開こうとする方向に沿った方向に帯状或いは紐状の第一弾性シート332aを配置するようにしてもよい。言い換えると、第二弾性シート332b或いは第三弾性シート332jにおける自由端432に沿った方向に対して直交する方向に沿って、帯状或いは紐状の第一弾性シート332aが延在するように配置すると良い。ここで、弾性シート332の自由端432とは、受入部材固定部337とシートストッパ335とに挟持されていない部分である。
また、第一弾性シート332aに関し、第二弾性シート332bと第三弾性シート332jとがトナーの荷重によって開こうとする方向に沿った方向に、テンションを付与してやることでも同様の作用を得ることができる。
また、図13に示すように、弾性シート部材300は、粉体搬送管である搬送ノズル611の挿入方向(トナー容器32の回転軸方向)において、容器ギア301と同じ位置(ギア幅の範囲内)にある。これは、次のような利点がある。
上述したように、三枚重ねの弾性シート332に関し、トナーの荷重が掛かったときに、第二弾性シート332bと第三弾性シート332jとが図中で左右に向かって開こうとするのを、第一弾性シート332aが押さえるように機能する配置にする。このように配置すると、輸送時などにトナー容器32を弾性シート332が重力方向で下側となるように向けた場合でも、トナーは漏れ出しにくい。
しかし、このように第一弾性シート332aを配置すると、搬送ノズル611が挿入されて第一弾性シート332aが変位したときの、復元力の反力が相殺されない。図36に示した向きで詳細に述べると、中央に搬送ノズル611が挿入されているので、第二弾性シート332bにおける復元力は、図中右向き、つまり自由端432を元の位置に戻す方向に生じるため、この復元力の反力は、図中左向きに生じる。同様に、第三弾性シート332jにおける復元力は、図中左向き、つまり自由端432を元の位置に戻す方向に生じるため、この復元力の反力は、図中右向きに生じる。また、第一弾性シート332aにおける復元力は、図中上向き、つまり自由端432を元の位置に戻す方向に生じるため、この復元力の反力は、図中下向きに生じる。これら、第一弾性シート332a〜第三弾性シート332jの復元力の反力は、トナー容器32に作用する。
ここで、第二弾性シート332bと第三弾性シート332jとの復元力の反力は、互いに逆向きに生じているため相殺されるが、第一弾性シート332aの復元力の反力は相殺されないで、トナー容器32に作用することになる。
仮に、弾性シート部材300が、搬送ノズル611の挿入方向(トナー容器32の回転軸方向)において、容器ギア301と異なる位置(ギア幅の範囲外)にあるとすると、次のような不具合が生じる。
すなわち、上述した第一弾性シート332aの復元力の反力と、駆動伝達に伴って容器ギア301が受ける本体側のギアである容器駆動出力ギア601との噛み合いによる力とが、搬送ノズル611の挿入方向において異なる位置に作用することになる。これは、トナー容器32を搬送ノズル611の挿入方向(トナー容器32の回転軸方向)に対して傾ける方向に作用するため、好ましくない。
トナー容器32が搬送ノズル611に対して傾いた状態で回転したとすると、例えば、容器開口部33aの外周面と容器セット部内周面615aとの摺動抵抗が強くなって大きなトルクを出力できるモータに替えなくてはならなくなる。さらに、トナー容器32の把手部303側がプリンタ部100のトナー容器収容部70と当たることで騒音が生じるおそれがある。
これに対して、本実施形態では、図13に示したように、弾性シート部材300が、搬送ノズル611の挿入方向(トナー容器32の回転軸方向)において、容器ギア301と同じ位置(ギア幅の範囲内)にある。これにより上述した第一弾性シート332aの復元力の反力と、駆動伝達に伴って容器ギア301が受ける容器駆動出力ギア601との噛み合いによる力とが、搬送ノズル611の挿入方向(トナー容器32の回転軸方向)において同じ位置に作用することになる。そのため、上述したトナー容器32を傾ける作用は生じない。
本発明の他の実施形態について、図41(a)〜(c)を用いて説明する。
図41(a)〜(c)に示したトナー容器1032は、部品コストは図1などに示したトナー容器32より上昇すると考えられる。しかし、他の実施形態として、容器本体33を樹脂製の円筒部材(先の実施形態で説明した容器本体と区別するため便宜的に容器本体1033とする)とし、内部の搬送部材の一部に汲み上げ機能を持たせる構成を考えたものである。
図41(a)は、ノズル受入部材330に汲み上げ壁面304fに相当する汲み上げリブ304gを一体にしたものの斜視図である(以下、ノズル受入部材1330とする)。
図41(b)は、容器本体1033の内部に図41(a)のノズル受入部材1330を配置し、搬送ノズル611との関係を表した断面図である。図41(c)は、図41(a)に示したノズル受入部材1330を搭載したトナー容器1032全体の側方断面説明図である。
図41(a)〜(c)に示すノズル受入部材1330は、上述のように汲み上げリブ304gを備え、樹脂製フィルムなどの可撓性のある材料で構成された搬送羽根1302が固定される搬送羽根保持部1330bと一体で構成されている。この回転搬送羽根1302と搬送羽根保持部1330bとが回転搬送部に相当する。
また、図41(a)〜(c)に示すノズル受入部材1330は、先の実施形態と同様に、受入部材固定部1337と、弾性シート部材1300と、容器シール部材である容器シール1333と、ノズル受入口1331と、シートストッパ1335と、から構成される。
そして、シートストッパ1335は、一対の延在部1335aを備え、延在部1335aの容器後端側は、搬送羽根保持部1330bと連結されている。弾性シート部材1300は、伸縮性がある弾性材料からなる薄膜シートからなる弾性シート1332から構成され、先の実施形態で説明した重ね方で複数枚の弾性シート1332が重ねられている。また、本実施形態のトナー容器1032では、弾性シート部材1300として、第一弾性シート1332aと第二弾性シート1332bとの二枚の弾性シート1332を重なり部1332cで重なるように配置している。そして、この重なり部1332cによって弾性シート部材1300における搬送ノズル611が押し広げて開口する部分を閉鎖している。
受入部材固定部1337は後述する容器シール固定壁部1336側へ向かって内周面の径が階段状に小さくなる筒状である。図14及び図15に示すように、受入部材固定部1337は、弾性シート1332や容器シール1333を固定するために、他の部分よりも内周面の径が小さいドーナツ状の容器シール固定壁部1336が形成されている。
この容器シール固定壁部1336に対して、先端側となる壁面に突き当たるようにドーナツ状の容器シール1333が配置されている。容器シール1333は、接着剤または両面テープ等により受入部材固定部1337の容器シール固定壁部1336の先端側の壁面(第一壁面)に固定されている。
さらに、図41(a)〜(c)に示す構成では、ノズル受入部材1330が、複写機500本体側の容器セット部内周面615aと摺動可能に嵌合されるノズル受入部材外周面1330aを備える。ノズル受入部材1330に対しては、別体で構成した容器ギア1301を駆動伝達可能に固定してある。
このようにして、汲み上げ内壁面、橋渡し部、延在部開口1335bまでのトナーをノズル開口610に流し込む構成を一体にすることができる。
次に、汲み上げリブ304gを備えたトナー容器1032の詳細を説明する。
図41(c)に示すように、トナー容器1032は、容器先端側カバー1034、容器本体1033、底蓋1035、ノズル受入部材1330等によって構成されている。容器先端側カバー1034は、トナー容器1032の複写機500本体に対する装着方向の先端側に設けられており、容器本体1033は、略円筒状の形状となっている。底蓋1035は、トナー容器1032の装着方向の後端側に設けられており、ノズル受入部材1330は、上述した略円筒状である容器本体1033に回転可能に保持されている。
容器先端側カバー1034にはノズル受入部材1330に固定された容器ギア1301を露出するためのギア露出開口1034a(ギア露出開口34aと同様の開口部)が設けられている。略円筒状である容器本体1033は、ノズル受入部材1330を回転可能に保持し、容器先端側カバー1034及び底蓋1035とは、固定(熱溶着、接着剤など既知の方法で)されている。底蓋1035は、上述した搬送羽根保持部1330bの一端を支持する後端側軸受1035aを有し、ユーザーが複写機500本体に対してトナー容器1032を着脱する際に把持するための把手部1303を有する。
次に、容器本体1033に、容器先端側カバー1034、底蓋1035、ノズル受入部材1330を組み付ける組み付け方法について説明する。
まず容器本体1033に対して容器後端側からノズル受入部材1330を進入させ、容器本体1033の先端側にある先端側軸受1036に対し、ノズル受入部材1330を回転可能に支持させるよう位置合わせをする。次に底蓋1035に設けた後端側軸受1035aがノズル受入部材1330の搬送羽根保持部1330bの一端を回転可能に支持するように位置合わせをし、容器本体1033に対して底蓋1035を固定する。その後、ノズル受入部材1330に対し、容器先端側から容器ギア1301を固定する。容器ギア1301を固定した後、容器先端側から容器ギア1301を覆う様に容器先端側カバー1034を容器本体1033に対して固定する。
なお、容器本体1033と容器先端側カバー1034との固定、容器本体1033と底蓋1035との固定、ノズル受入部材1330と容器ギア1301との固定、に関しては適宜既知の方法(例えば、熱溶着、接着剤など)を用いることができる。
次に、トナー容器1032からノズル開口610へトナーを搬送する構成を説明する。
汲み上げリブ304gは、延在部1335aの回転方向下流側端部1335cからそのリブ面が繋がるようにして容器本体1033の内周面近傍まで突出させる。リブ面の途中は一箇所折れて曲面に近くしているが、トナーとの相性次第で必ずしもこの構成でなくともよく、折れのない単純な平面リブでもよい。このような構成により容器本体1033には隆起部分を形成する必要はなくなる。さらに、延在部開口1335bから一体で汲み上げリブ304gを起立させているので、先の実施形態で説明したのと同様に橋渡しの作用効果を発揮させることができる。すなわち、トナー容器1032の画像形成装置本体装着時にノズル受入部材1330が回転すると、搬送羽根が回転し、トナー容器1032が内部に収容しているトナーが、後端側からノズル受入部材1330が設けられている先端側に向け搬送される。そして、搬送羽根1302で搬送されてきたトナーを汲み上げリブ304gが受け取り、これを回転によって下方から上方に汲み上げ、リブ面を滑り台にしてノズル開口610までトナーを流し込むことが可能になる。
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
トナー補給装置60等の粉体搬送装置に供給するトナー等の粉体を収納する容器本体33等の粉体収納部と、粉体搬送装置が備える搬送ノズル611等の粉体搬送管を粉体収納部に挿入するノズル受入口331等の管挿入口が形成されたノズル受入部材330等の管挿入部と、粉体搬送管が挿入されていない状態では管挿入口を閉鎖し、粉体搬送管が挿入されることで、管挿入口における閉鎖していた部分を粉体搬送管が通過できるように弾性変形する弾性シート332等のシート状の弾性体からなる弾性シート部材300等の弾性シート部材と、を備えたトナー容器32等の粉体収納容器において、弾性シート部材は、シート状の弾性体を複数枚用いて構成され、上記粉体搬送管を挿入する方向において、複数枚の該シート状の弾性体の少なくとも一部が、少なくとも管挿入口の直径方向に亘って重なるように配置される。
これによれば、上記実施形態について説明したように、管挿入口を一枚のシート状の弾性体によって閉鎖していた従来の弾性シート部材を備える構成よりも、粉体が通過し得るような隙間が形成され難い。よって、従来の弾性シート部材を備えた粉体収納容器よりも粉体が漏れることを抑制することができる。
(態様B)
態様Aにおいて、弾性シート部材300等の弾性シート部材として三枚の弾性シート332等のシート状の弾性体を用いる。
これによれば、上記変形例4について説明したように、弾性シート部材が二枚のシート状の弾性体からなる構成よりもシール性の向上を図ることができ、より確実にトナー漏れの発生を防止することができる。
(態様C)
態様Bにおいて、弾性シート332等のシート状の弾性体は、同形状である。
これによれば、上記変形例4について説明したように、同形状のシート状の弾性体を使用することによる、更なる粉体収納容器の低コスト化を図ることができる。
(態様D)
態様Cにおいて、弾性シート332等のシート状の弾性体は、ノズル受入部材330等の管挿入部に保持される被狭持部3321等の被保持部と、保持されていない自由端432等の端部とを有し、端部の全域を他のシート状の弾性体と重ねて配置することで、ノズル受入口331等の管挿入口の全体を覆う構成であり、三枚のシート状の弾性体は、そのうちの第三弾性シート332j等の一枚のシート状の弾性体の自由端432j等の端部を基準として、第二弾性シート332b及び第一弾性シート332a等の他のシート状の弾性体の自由端432b及び自由端432a等の端部が時計回り或いは反時計回りに略120[°]の角度を持って配置されている。
これによれば、上記変形例4について説明したように、三枚のシート状の弾性体をバランス良く配置することによる、更なるトナー飛散の低減を図ることができる。
(態様E)
態様Cにおいて、弾性シート332等のシート状の弾性体は、ノズル受入部材330等の管挿入部に保持される被狭持部3321等の被保持部と、保持されていない自由端432等の端部とを有し、端部の全域を他のシート状の弾性体と重ねて配置することで、ノズル受入口331等の管挿入口の全体を覆う構成であり、三枚のシート状の弾性体は、そのうちの第三弾性シート332j等の一枚のシート状の弾性体の自由端432j等の端部を基準として、第二弾性シート332b等の他の一枚のシート状の弾性体の自由端432b等の端部が時計回り或いは反時計回りに略180[°]の角度を持って配置され、且つ第一弾性シート332a等のさらに他の一枚のシート状の弾性体の自由端432a等の端部が時計回り或いは反時計回りに略90[°]の角度を持って配置されている。
これによれば、上記変形例4について説明したように、一枚のシート状の弾性体を90[°]回転させて配置し、重なり部332c等の重ね部の強度(閉じ力)を持たせている。これにより、輸送等の振動による容器開口部33a等の容器開口部からのトナー漏れの更なる防止を図ることが出来る。
(態様F)
態様Cにおいて、弾性シート332等のシート状の弾性体は、ノズル受入部材330等の管挿入部に保持される被狭持部3321等の被保持部と、保持されていない自由端432等の端部とを有し、端部の全域を他のシート状の弾性体と重ねて配置することで、ノズル受入口331等の管挿入口の全体を覆う構成であり、三枚のシート状の弾性体は、そのうちの第三弾性シート332j等の一枚のシート状の弾性体の自由端432j等の端部を基準として、第二弾性シート332b等の他の一枚のシート状の弾性体の自由端432b等の端部が時計回り或いは反時計回りに略180[°]の角度を持って配置され、且つ第一弾性シート332a等のさらに他の一枚のシート状の弾性体の自由端432a等の端部が第三弾性シート332j等の基準とした一枚のシート状の弾性体の自由端432j等の端部と重なるように配置されている。
これによれば、上記変形例4について説明したように、三枚のシート状の弾性体を順次重ねて配置し、重なり部332c等の重ね部の強度(閉じ力)を持たせている。これにより、輸送等の振動による容器開口部33a等の容器開口部からのトナー漏れの更なる防止を図ることが出来る。
(態様G)
態様Bにおいて、弾性シート部材300等の弾性シート部材として、第二弾性シート332b及び第三弾性シート332j等の同形状である二枚のシート状の弾性体と、二枚のシート状の弾性体とは異なる形状の第一弾性シート332a等の一枚のシート状の弾性体と、を重ね合わせて構成する。
これによれば、上記変形例4について説明したように、同形状の二枚のシート状の弾性体をと、この二枚とは異なる形状の一枚のシート状の弾性体を使用することによって、更なるトナー飛散の低減を図ることができる。
(態様H)
態様Gにおいて、第二弾性シート332b及び第三弾性シート332j等の同形状の二枚のシート状の弾性体は、ノズル受入部材330等の管挿入部に保持される被狭持部3321等の被保持部と、保持されていない自由端432等の端部とを有し、端部の全域をもう一方のシート状の弾性体と重ねて配置することで、ノズル受入口331等の管挿入口の全体を覆うように配置されており、第一弾性シート332a等の異なる形状の一枚のシート状の弾性体は、管挿入口の中央部以外の部分を覆うドーナツ形状である。
これによれば、上記変形例4について説明したように、二枚のシート状の弾性体とドーナツ形状のシート状の弾性体とを使用することによって、二枚のシート状の弾性体の重なり部332c等の重ね部の強度(閉じ力)を持たせている。これにより、輸送等の振動による容器開口部33a等の容器開口部からのトナー漏れの更なる防止を図ることが出来る。
(態様I)
態様Gにおいて、第二弾性シート332b及び第三弾性シート332j等の同形状の二枚のシート状の弾性体は、ノズル受入部材330等の管挿入部に保持される被狭持部3321等の被保持部と、保持されていない自由端432等の端部とを有し、端部の全域をもう一方のシート状の弾性体と重ねて配置することで、ノズル受入口331等の管挿入口の全体を覆うように配置されており、第一弾性シート332a等の異なる形状の一枚のシート状の弾性体は、管挿入口の全域を覆うとともに中央部に第一スリット332f等のスリットを設けた形状である。
これによれば、上記変形例4について説明したように、二枚のシート状の弾性体とスリット入りのシート状の弾性体とを使用することによって、二枚のシート状の弾性体の重なり部332c等の重ね部の強度(閉じ力)を持たせている。これにより、輸送等の振動による容器開口部33a等の容器開口部からのトナー漏れの更なる防止を図ることが出来る。
(態様J)
態様Aにおいて、弾性シート332等のシート状の弾性体は、その一方の面から他方の面に貫通する第一貫通丸穴332d及び第二貫通丸穴332e等の貫通口が形成されており、複数のシート状の弾性体は、ノズル受入口331等の管挿入口に重ねて配置した状態では、それぞれの貫通口の位置が重ならないように配置されている。
これによれば、上記変形例1や変形例2について説明したように、貫通口がずれた位置であるため、複数枚のうちの一つのシート状の弾性体に形成された貫通口を他のシート状の弾性体で封止することができる。また、貫通口の周りは複数枚のシート状の弾性体が重なって密着した状態である。このような構成により、搬送ノズル611等の粉体搬送管が挿入されていない状態では、輸送時等の振動によって管挿入口からトナー等の粉体が漏れ出ることを抑制できる。
(態様K)
態様Jにおいて、第一貫通丸穴332dや第二貫通丸穴332e等の丸穴の直径等の貫通口の寸法は、搬送ノズル611の直径等の粉体搬送管の挿入方向に直交する断面の寸法よりも小さい。
これによれば、上記変形例1について説明したように、粉体搬送装置から粉体収納容器を取り外すときには、弾性シート332等のシート状の弾性体が粉体搬送管に接触した状態で粉体搬送管がノズル受入口331等の管挿入口から抜けていく。このとき、粉体搬送管は、その表面上の汚れがシート状の弾性体に削ぎ落とされるように管挿入口から抜けていくが、貫通口の寸法が粉体搬送管の寸法よりも小さいことにより、この削ぎ落としの効果が向上する。これにより、粉体搬送装置から粉体収納容器を取り外すときに、トナー等の粉体が管挿入口から漏れ出ることを抑制できる。
(態様L)
態様Aにおいて、弾性シート332等のシート状の弾性体は、その一方の面から他方の面に貫通する第一スリット332f及び第二スリット332g等のスリットが形成されており、複数のシート状の弾性体は、ノズル受入口331等の管挿入口に重ねて配置した状態では、それぞれのスリットの位置が重ならないように配置されている。
これによれば、上記変形例2について説明したように、スリット状とすることで丸穴を設ける構成に比べて開口面積を小さくしてトナー漏れを抑制できる。
(態様M)
態様Lにおいて、貫第一スリット332f及び第二スリット332g等のスリットは、その両端部には小径の丸穴部が形成されている。
これによれば、上記変形例2について説明したように、スリットの両端部に小径の丸穴部が形成されていることで弾性シート332等のシート状の弾性体が破けることを抑制できる。
(態様N)
態様Aにおいて、複数枚の弾性シート332等のシート状の弾性体は、ノズル受入口331等の管挿入部に保持される被狭持部3321等の被保持部と、保持されていない自由端432等の端部とを有し、端部の全域を他のシート状の弾性体と重ねて配置することで管挿入口の全体を覆う構成である。
これによれば、上記実施形態について説明したように、トナー容器32等の粉体収納容器の運搬時等の振動や落下等に起因してトナー等の粉体が漏れることを抑制できる構成が実現できる。
(態様O)
態様Nにおいて、自由端432等の端部に、切れ込み332h等の半円形状の切れ込みを設ける。
これによれば、上記変形例3について説明したように、シート部材ガイド611a等の粉体搬送管の先端が弾性シート332等のシート状の弾性体に当接してトナー容器32等の粉体収納容器に挿入されるときに、粉体搬送管を切れ込みに沿わすことができる。これにより、粉体搬送管が切れ込みに沿って円滑に挿入することができる。
(態様P)
態様A乃至Oの何れかの態様において、トナー容器32等の粉体収納容器はトナー補給装置60等の粉体搬送装置に水平方向を長手方向にして装着され、長手方向に沿って搬送ノズル611等の粉体搬送管を挿入されるものであり、容器本体33等の粉体収納部の内部に配置され、トナー等の粉体を長手方向の一端側から他端側に搬送する螺旋状突起302等の搬送手段を備え、ノズル受入部材330等の管挿入部は、他端側に配置される。
これによれば、上記実施形態について説明したように、粉体収納部内の粉体を管挿入部に向けて搬送することができ、弾性シート部材300等の弾性シート部材によって管挿入部から粉体が漏れることを抑制することができる。
(態様Q)
態様Pにおいて、容器本体33等の粉体収納部は、他端側に容器開口部33a等の容器開口部を備え、ノズル受入部材330等の管挿入部は、容器開口部に配置される。
これによれば、上記実施形態について説明したように、粉体収納部内の粉体を容器開口部に向けて搬送することができ、弾性シート部材300等の弾性シート部材によって容器開口部から粉体が漏れることを抑制することができる。
(態様R)
態様PまたはQの何れかの態様において、容器本体33等の粉体収納部は、他端側に、螺旋状突起302等の搬送手段に駆動伝達可能な容器ギア301等の容器ギアを有し、弾性シート部材300等の弾性シート部材は、長手方向において、容器ギアのギア幅の範囲内に配置されている。
これによれば、上記変形例4について説明したように、駆動伝達時にトナー容器32等の粉体収納容器を傾ける作用が生じず、粉体収納容器が傾くことに起因する駆動時の出力上昇や騒音の発生等の不具合の発生を防止できる。
(態様S)
態様P乃至Rの何れかの態様において、螺旋状突起302等の搬送手段からトナー等の粉体を受け取り、自身が回転することで容器本体33等の粉体収納部における下方から上方に粉体を持ち上げ、搬送ノズル611等の粉体搬送管のノズル開口610等の粉体受入口に粉体を移動させる汲み上げ部304等の汲み上げ部を有する。
これによれば、上記実施形態について説明したように、管挿入口を一枚のシート状の弾性体によって閉鎖していた従来の弾性シート部材の構成よりも、粉体が通過し得るような隙間が形成され難い。よって、従来の弾性シート部材を備えた粉体収納容器よりも粉体が漏れることを抑制することができる。
(態様T)
態様Sにおいて、ノズル受入部材330等の管挿入部は、管挿入部におけるノズル受入口331等の管挿入口側から容器本体33等の粉体収納部の内方へ向けて延在するよう設けられた延在部335a等の延在部と、延在部に隣接する延在部開口335b等の空間領域とを有し、管挿入部が回転することで延在部と空間領域とが交互にノズル開口610等の粉体受入口を横切ることを特徴とする。
これによれば、上記実施形態について説明したように、汲み上げ部304等の汲み上げ部によって汲み上げられたトナー等の粉体を粉体受入口に供給する構成を実現できる。
(態様U)
トナー等の画像形成用の粉体を用いて感光体41等の像担持体上に画像形成をするプリンタ部100等の画像形成部と、画像形成部に粉体を搬送するトナー補給装置60等の粉体搬送部と、粉体搬送部に着脱自在に保持される粉体収納容器と、を備える複写機500等の画像形成装置において、粉体収納容器として、態様A乃至Tに係るトナー容器32等の粉体収納容器を用いる。
これによれば、上記実施形態について説明したように、粉体収納容器を交換する際の装置内汚れや、装置外の汚れの発生を抑制することが出来る。