以下、本発明の一実施形態を図1〜図25(D)に基づいて説明する。図1には、一実施形態に係る電子機器としてのプロジェクタ装置10が斜視図にて示されている。以下では、便宜上、プロジェクタ装置10を単に「装置」とも称する。
プロジェクタ装置10は、一例として、コンパクトな縦置き型の装置であり、筐体12、該筐体12に収容された、光源ユニット14(図5参照)、光学エンジン16(図5参照)、冷却システムなどを備えている。
筐体12は、図1に示されるように、全体として、縦長の略直方体形状の外形を有している。以下、プロジェクタ装置10の幅方向(水平面内の一軸方向)をX軸方向、プロジェクタ装置10の奥行き方向(水平面内でX軸に直交する方向)をY軸方向、プロジェクタ装置10の高さ方向(鉛直方向)をZ軸方向として説明を行う。
図2及び図3には、プロジェクタ装置10を+X方向から見た図(右側面図)、−X方向から見た図(左側面図)がそれぞれ示されている。以下、図1〜図3に基づいて、外部から見えるプロジェクタ装置10の構成各部について説明する。
筐体12は、一例として、底板を含むベース12aと、該ベース12aに取り付けられた外装カバー12bとを含む。筐体12の材料としては、比較的軽量で丈夫な素材、例えばプラスチックなどの硬質樹脂が用いられている。
筐体12の前壁(−Y側の壁)の上端中央には、図1に示されるように、図示しないリモートコントローラ(リモコン)からの光信号を受光する受光センサ28が設けられている。受光センサ28は、上記リモコンからの光信号を受光すると、該光信号を電気信号に変換して制御装置(不図示)に出力し、該制御装置は、その電気信号に対応する指令内容に従って、各種の制御動作を実行する。リモコンは、後述する操作部140と同様の指令を上記制御装置に与える機能を有する。操作部140で与えられる機能については後述する。
筐体12の前壁の受光センサ28の−Z側には、後述するスピーカ(不図示)から出力される音声を放出するための複数の貫通孔から成る音声放出口300が形成されている。
筐体12の前壁の音声放出口300の−Z側には、後述する投射光学系ユニット22が有する投射レンズ22aの焦点位置(ピント)を調整するためのピント調整レバー34の操作のための窓部36が形成されている。
ピント調整レバー34は、X軸方向にスライド可能(又はZ軸回りに回動可能)に構成されており、例えばギヤ等を含む駆動力伝達機構(不図示)を介して投射レンズ22aと機械的に接続されている。上記駆動力伝達機構は、ピント調整レバー34のスライドに伴い、投射レンズ22aを構成する一部のレンズエレメントを、光軸方向に沿って移動させる。これにより、投射レンズ22aの焦点位置が調整されるようになっている。具体的には、ピント調整レバー34がX軸方向の一側(又はZ軸回りの一方向)に駆動されると、投射レンズ22aを介して投射される光が結像する位置(焦点位置)が遠くなる。一方、ピント調整レバー34がX軸方向の他側(又はZ軸回りの他方向)に駆動されると、上記焦点位置が近くなる。
筐体12の上壁(+Z側の壁)には、図1に示されるように、光投射口400及び操作部140が設けられている。光投射口400は、筐体12の上壁の+X側かつ+Y側の箇所に形成された平面視多角形(例えば六角形)の開口から成る。光投射口400は、透明又は半透明な蓋部材によって閉塞されている。後に詳述するように、投射光学系ユニット22からの光は、光投射口400を閉塞する蓋部材を介して筐体12外に投射される。以下では、便宜上、蓋部材を光投射口400とも呼ぶ。
操作部140は、図1に示されるように、筐体12の上壁に設けられた複数(例えば6つ)の操作部材を含む。
詳述すると、筐体12の上壁における光投射口400の−X側の領域には、電源ボタン69、インプットボタン80(入力切り替えボタン)、ミュートボタン72、エンターボタン74(決定ボタン)が、−X側から+X側に順に一列に並べて配置されている。
電源ボタン69は、プロジェクタ装置10の電気系に対する電源のON/OFFを切り替えるための操作部材である。電源ボタン69が押し下げられると、上記電気系に対する電源のON/OFFが切り替わる。
インプットボタン80は、プロジェクタ装置10に接続された外部機器又は外部メモリ(以下、両者をそれぞれ接続機器とも称する)の入力を切り替えるための操作部材である。インプットボタン80が押し下げられると、プロジェクタ装置10への入力が、映像信号を出力している別の接続機器に切り替わる。
ミュートボタン72は、投射光学系ユニット22から投射される光、及びスピーカ(不図示)から出力される音声を消す(ミュートする)ための操作部材である。投射光学系ユニット22から光が投射され、スピーカから音声が出力されているときに、ミュートボタン72が押し下げられると、投射光学系ユニット22からの光の投射が停止されるとともに、スピーカからの音声の出力が停止される。ミュートボタン72が再度押し下げられると、ミュートが解除され、投射光学系ユニット22からの光の投射が再開されるとともに、スピーカからの音声の出力が再開される。
エンターボタン74は、後述するメニューボタン78が操作されることによりスクリーンSに表示されるメニュー画面内において、後述するカーソル76が操作されることにより選択された項目(選択表示が位置する項目)を決定するための操作部材である。上記メニュー画面内において選択表示が所定の項目に位置する状態で、エンターボタン74が押し下げられると、メニュー画面にその所定の項目の詳細内容が表示される。
筐体12の上壁におけるエンターボタン74の外周近傍には、操作部材としてのカーソル76が、エンターボタン74の外周を取り囲んだ状態で配置されている。カーソル76は、スクリーンS上に投影されたメニュー画面内の項目を選択するための操作部材である。上記メニュー画面内において選択及び決定される項目としては、例えば、画像の調整・設定モードなどが挙げられる。
筐体12の上壁におけるカーソル76の−X側かつ−Y側の位置には、メニューボタン78が配置されている。メニューボタン78は、スクリーンS上にメニュー画面を呼び出すための操作部材である。メニューボタン78が押し下げられると、スクリーンS上におけるメニュー画面の表示/非表示が切り替わる。
上記各操作部材が、それぞれ押し下げられると、その直下に位置する、上記制御装置が有する不図示の基板上に実装された対応する操作端子(不図示)が押圧され、制御装置に該操作部材固有の指令信号が出力され、制御装置により、その固有の指令内容(機能)が実行される。
前述したリモコンは、その本体に、上記各操作部材と同じ機能(操作内容)を有する例えば押しボタンを有している。
筐体12の右側壁(+X側の側壁)の中央部には、図2に示されるように、吸気口17が設けられている。吸気口17は、複数の貫通孔17a(通気口)から成る。
吸気口17は、筐体12の右側壁に形成された略五角形状の開口の周囲に固定された枠部23により外縁が設定されている。吸気口17を構成する複数の貫通孔17aは、枠部23と、該枠部23内に配置された格子部21とにより形成(区画)されている。
格子部21は、XZ平面に平行でY軸方向に一定間隔で配置された複数の縦格子線部29bと、XY平面に平行でZ軸方向に一定間隔で配置された横格子線部29cとから成る、厚さ(X軸方向の長さ)が均一の2次元格子部から成る格子本体29と、該格子本体29の縦格子線部29bと横格子線部29cとの各交点(格子の各交点)部分に設けられた円柱状部29aと、を有している。
格子本体29の格子ピッチ(Y軸又はZ軸方向に隣り合う2つの円柱状部29aの軸線間の距離)は、互いに等しく、それぞれ、例えば6mm程度に設定されている。
また、筐体12の右側壁には、上述の吸気口17の下方に、コネクタ部8が設けられている。コネクタ部8は、複数(例えば7つ)のコネクタを含む。複数(例えば7つ)のコネクタは、それぞれ、上記制御装置に接続された、外部機器(外部メモリを含む)又は外部電源との接続用の接続端子である。
7つのコネクタのうちの6つは、筐体12の右側壁に形成された凹部50内に上下二段に配置されている。
凹部50内の上段には、外部機器(例えばUSBメモリ等の外部メモリを含む)との間の入出力用のUSB端子520、及びAV機器との接続用のHDMI(登録商標)端子54が、−Y側から+Y側に順に並べて配置されている。
凹部50内の下段には、通信用のLAN端子56、パソコンなどからのRGB信号又はビデオ機器(例えばDVDビデオレコーダ)などからのコンポーネント映像信号を入力するコンピュータ端子58、ビデオ機器などからの映像信号を入力するビデオ入力端子560、及びパソコン、ビデオ機器などからの音声信号を入力するオーディオ入力端子562が、−Y側から+Y側に順に並べて配置されている。
7つのコネクタのうちの残りの1つは、外部電源との接続用の電源端子64(電源用コネクタ)であり、筐体12の右側壁と後壁とが交わる部分に形成された凹部内に設けられている。
前記スピーカは、筐体12内における音声放出口300に対応する位置に配置され、上記制御装置に接続されている。制御装置は、前述したHDMI(登録商標)端子54、オーディオ入力端子562に音声ケーブルを介して接続された外部機器(例えばDVDビデオレコーダR、パソコンC等)、又はUSB端子520に接続されたUSBメモリMからの音声信号を受信したときに、その音声信号をスピーカに送信する。スピーカは、その音声信号を音声に変換して出力し、該出力された音声は、音声放出口300(図1参照)を介して筐体12外に放出される。
筐体12の左側壁(−X側の側壁)の上部には、図3に示されるように、排気口19が形成されている。排気口19は、複数の貫通孔19aから成る。
排気口19は、筐体12の左側壁に形成された概略矩形の開口の周囲に固定された枠部35により外縁が設定されている。排気口19を構成する複数の貫通孔19aは、枠部35と、該枠部35内に形成された格子部33とにより形成(区画)されている。
格子部33は、厚さ(X軸方向の長さ)が均一の2次元格子部から成る格子本体43と、該格子本体43の格子の各交点部分に設けられた円柱状部29aと、を有している。
格子部33は、輪郭形状及び各部の配置が異なる点を除いて、格子部21と同様の構成(取り囲まれる枠部との位置関係を含む)及び機能を有している。なお、図3では、格子部33の各構成部分(縦格子線部、横格子線部及び円柱状部)は、格子部21と同じ符号を用いて示されている。なお、排気口19の開口面積は、吸気口17の開口面積よりも幾分小さくなっている。
ベース12aの−Z側の面には、図2及び図3に示されるように、同一直線上にない少なくとも3つ(例えば3つ)の短寸の脚部材46が設けられている。
ここで、プロジェクタ装置10では、その重量バランスが−Y側寄りになるように(+Y側よりも−Y側が重くなるように)、筐体12内に各構成部が配置されている。すなわち、プロジェクタ装置10の重心は、例えば筐体12の中心の−Y側の位置にある。
そこで、本実施形態では、一例として、3つの脚部材46のうちの2つは、それぞれ、筐体12の底壁24の−Y側かつ+X側の隅部、及び−Y側かつ−X側の隅部に配置され、残りの1つは、筐体12の底壁24の+Y側の端部中央に配置されている。これにより、プロジェクタ装置10は、所定の水平面上に3つの脚部材46を介して3点で安定して支持される(倒れ難い)。なお、3つの脚部材46の位置は、要は、プロジェクタ装置10の重量バランスに応じて適正な位置に設定されれば良く、上述したものに限られない。
図4(A)及び図4(B)には、プロジェクタ装置10から外装カバー12bを取り外した状態を異なる方向から見た斜視図が示されている。また、図5には、光源ユニット14及び光学エンジン16を抜き出した斜視図が示され、図6には、光学エンジン16を抜き出した斜視図が示されている。
ところで、プロジェクタ装置は、パソコンやビデオカメラ等から入力される画像データを基に画像を生成し、その画像を例えばスクリーン等に投影して表示する装置である。プロジェクタ装置の中でも、液晶プロジェクタは、近年、液晶パネルの高解像化、光源ランプの高効率化に伴う明るさの改善、低価格化などが進んでいる。さらに、液晶プロジェクタの中には、DMD(Digital Micro−mirror Device)を利用した小型軽量なものもあり、オフィスや学校のみならず家庭においても広く普及している。特に、フロントタイプの液晶プロジェクタは、携帯性が向上し、数人規模の小会議にも使用されるようになってきている。
そこで、近年、プロジェクタ装置に対して、「大画面の画像を投射できること(投射画面の大画面化)」及び「装置外に必要とされる投影空間を極力小さくできること」が要求されている。
この要求に応えるために、本実施形態のプロジェクタ装置10では、以下に説明する内部構成が採用されている。
前記光源ユニット14は、図5に示されるように、一例として、発光部としてのバルブ14a(発光管)、+X側に開口が設けられバルブ14aを囲むリフレクタ14bなどを含む。ここでは、バルブ14aとして、例えば高圧水銀ランプが採用されている。リフレクタ14bとして、例えば内壁面が反射面であるお椀形のものが採用されている。バルブ14aからの光(白色光)のうち、上記開口から直接される射出される光及びリフレクタ14bの内壁面(反射面)で反射され上記開口から射出される光の合成光が、光源ユニット14から射出される光である。光源ユニット14から射出された光は、後述するカラーホイール18aに入射する。
前記光学エンジン16は、図6に示されるように、光源ユニット14からの白色光をRGB(光の3原色)に分光し、後述する画像生成ユニット20へ導くための照明光学系ユニット18と、該照明光学系ユニット18からの光を外部機器からの画像信号に応じて変調して画像を生成する画像生成ユニット20と、生成された画像を拡大投射する投射光学系ユニット22とを有する。
照明光学系ユニット18は、図7に示されるように、光源ユニット14からの白色光を円盤状のカラーフィルタにより単位時間毎にRGBの各色が繰り返す光に変換して射出するカラーホイール18aと、板ガラスを張り合わせて筒状に構成され、カラーホイール18aからの光を導光するライトトンネル18bと、2枚のレンズの組み合わせで構成され、ライトトンネル18bからの光の軸上色収差を補正しつつ集光するリレーレンズ18cと、該リレーレンズ18cを介した光を反射するシリンダミラー18dと、該シリンダミラー18dで反射された光を後述するDMD素子20aに向けて反射する凹面ミラー18eとを含む。
画像生成ユニット20は、図7及び図8に示されるように、複数のマイクロミラーを有し、凹面ミラー18eからの光を画像情報に基づく画像(画像光)が生成されるように各マイクロミラーを時分割駆動して反射するDMD素子20aを含む。DMD素子20aで画像の生成に使用される光は投射レンズ22aに向けて反射され、不要な光(捨てる光)はOFF光板30に向けて反射される。
画像生成ユニット20は、図8に示されるように、DMD素子20aに加えて、該DMD素子20aが実装され該DMD素子20aを制御するDMDプリント基板20bと、発熱体としてのDMD素子20a、DMDプリント基板20bを冷却するヒートシンク20cと、該ヒートシンク20cをDMDプリント基板20bに押し付ける固定板20dとを含む。
図9には、照明光学系ユニット18、画像生成ユニット20、投射光学系ユニット22の一部(投射レンズ22a)が抜き出して示されている。画像生成ユニット20から、投射光として使用される光は投射レンズ22aに向けて反射され、捨てる光はOFF光板30に向けて反射される。
図10及び図11には、それぞれ投射光学系ユニット22の構成が斜視図及び側面図にて示されている。投射光学系ユニット22は、投射レンズ22aに加えて、投射レンズ22aにより拡大された画像光の光路を折り返す折り返しミラー22bと、該折り返しミラー22bを介した画像光を拡大しつつ反射する自由曲面ミラーとを含む。すなわち、投射光学系ユニット22は、超短焦点の光学系である。
このように超短焦点の光学系を採用することで、プロジェクタ装置10を、光を投射する対象物であるスクリーンSに近接して配置でき、設置面積が小さいコンパクトな縦置き型に設計することができる。
続いて、前記冷却システムについて図12〜図15を参照して説明する。冷却システムは、3つのファンを用いた強制空冷システムである。
詳述すると、冷却システムは、図12に示されるように、筐体12内におけるベース12a(筐体12の底部)上に配置され、冷却用の空気を外部から筐体12内に取り込むための吸気ファン40と、筐体12内に配置され、筐体12内の空気を取り込み光源ユニット14のリフレクタ14b内に冷却用の空気を送る冷却ユニット42と、筐体12内における排気口19の+X側近傍に配置され、筐体12内に取り込まれた空気を外部に排出するための排気ファン44とを含む。冷却ユニット42については、後に詳述する。
ここで、ベース12aには、吸気ファン40に対向する箇所に吸気口52が形成されている。
なお、吸気口17は、排気ファン44の吸気側(+X側)に位置し、排気ファン44が発生させる気流を、吸気口17を介して筐体12内に流入させることができるため、吸気口17付近には吸気用のファンは設けられていない。以下では、便宜上、吸気口17を側面吸気口とも称し、吸気口52を底面吸気口とも称する。
吸気ファン40は、両面吸い込み式のシロッコファンであり、筐体12外の空気を底面吸気口に対向する一面側から吸い込み、かつ側面吸気口から流入した空気の一部を他面側から吸い込むように配置されている。
図13には、側面吸気口から取り込まれた冷却用の空気の流れ(気流)が示されている。図13では、筐体12内での気流の流れの理解を容易にするために、外装カバー12bを取り外した状態が示されているが、実際には、図13中の気流を示す縦並びの4つの矢印が指す位置に側面吸気口が設けられている。
側面吸気口及び底面吸気口から筐体12内に流入した空気は、排気ファン44、冷却ユニット42及び吸気ファン40により吸引され、複数の流路が形成される(図13参照)。
なお、側面吸気口と排気口19との間に光学エンジン16が配置されているため、側面吸気口から排気ファン44に至る気流の流路も複数存在する。図14には、これら複数の流路を+Z側から見た状態が示されている。
図14に示されるように、側面吸気口から取り込まれた冷却用の空気の流れは、光学エンジン16の表面に沿って排気ファン44に向かう流れと光学エンジン16内部(例えば画像生成ユニット20)を通過して排気ファン44に向かう流れの2つに大別できる。図14は、気流の状態を平面視した図であるが、これを立体的に見た場合には、より複雑に複数の気流が存在することになる。
排気ファン44を有する本実施形態では、図14に示されるように、筐体12内部の空気は、最終的には、排気ファン44に引き寄せられ排気口19から筐体12外へ排出される。
具体的には、排気ファン44により側面吸気口を介して筐体12内に流入した気流の一部、及び吸気ファン40により底面吸気口を介して流入した気流の一部は、光学エンジン16を冷却した後、排気口19に向かって流れる。一方、排気ファン44により側面吸気口を介して筐体12内に流入した気流の残部、及び吸気ファン40により底面吸気口を介して流入した気流の残部は、冷却ユニット42によって光源ユニット14のリフレクタ14b内に吹き付けられバルブ14aを冷却した後、ガイド部材70に沿って上昇し、光学エンジン16を冷却した上記気流と合流し、排気口19から筐体12外に排出される。
以下に、光源ユニット14及び冷却ユニット42について、詳細に説明する。図15、図16、図17には、それぞれ光源ユニット14及び冷却ユニット42の斜視図、側面図、正面図が示されている。図18には、光源ユニット14のXZ断面図が示されている。
冷却ユニット42は、図15〜図17に示されるように、ファン60と、該ファン60により発生された気流を光源ユニット14のリフレクタ14b内に案内するダクト62とを含む。ファン60としては、例えばシロッコファンやターボファンが挙げられるが、これら以外のファンであっても良い。
光源ユニット14では、図18に示されるように、発光部としてのバルブ14aが+X側に開口するお椀形のリフレクタ14bに囲まれ、該リフレクタ14bの−X側にシール部14cが設けられている。シール部14cは、バルブ14aの電極と外部のリード線が溶接されガラスで封止された部分(発熱部)である。
光源ユニット14では、バルブ14aの高寿命化のために、バルブ点灯時の温度について所定の温度範囲の規格値が設定されている。
ここで、バルブ14aは、特に、重力方向に関して上側(鉛直方向上側)の部分が高温化することが知られている。
プロジェクタ装置10は、一例として、図19(A)〜図19(D)に示されるように、通常投影姿勢、机上投影姿勢、天吊り投影姿勢、天井投影姿勢を含む複数の設置姿勢で用いられる。すなわち、プロジェクタ装置10は、一例として、光源ユニット14の射出方向周り(X軸周り)の位置(回転位置)が異なる複数(例えば4つ)の設置姿勢で用いられる。
具体的には、通常投影姿勢は、鉛直面内で張設されたスクリーンSに斜め下方から画像を投影する姿勢である(図19(A)参照)。机上投影姿勢は、通常投影姿勢からX軸周り(光源ユニット14の射出方向周り)の一方向(例えば時計回り)に90°回転され、机上に投影する姿勢である(図19(B)参照)。天吊り投影姿勢は、机上投影姿勢からX軸周りの一方向に90°回転され、スクリーンSに斜め上方から画像を投影する姿勢である(図19(C)参照)。天井投影姿勢は、天吊り投影姿勢からX軸周りの一方向に90°回転され、天井に投影する姿勢である(図19(D)参照)。
すなわち、光源ユニット14では、装置の設置姿勢によって、バルブ14aの上側に位置する部位(上部)、すなわちバルブ14aの高温部となる部位が異なる。
そこで、バルブ14aの高寿命化を図るためには、装置の設置姿勢、すなわち装置のX軸周り(光源ユニット14の射出方向周り)の位置に関わらず、バルブ14aの上部(高温部)を冷却する必要がある。
ここで、図20(A)及び図20(B)には、それぞれ通常投影姿勢及び机上光源ユニットにおいて、送風口からバルブに送風される様子の具体例(比較例1)が示されている。図20(A)及び図20(B)において、紙面に垂直な方向は、光源ユニットの射出方向に平行な方向である。図20(A)及び図20(B)における矢印線は、送風口からの冷却風の流れを示している。
比較例1において、通常投影姿勢では、図20(A)から分かるように、送風口からの冷却風の送風方向は、水平方向であり、冷却風は、バルブの上部(高温部)及び下部に当たっている。
一方、比較例1において、机上投影姿勢では、図20(B)から分かるように、送風口からの冷却風の送風方向は、鉛直上向きであり、冷却風がバルブの上部(高温部)に当たらず、バルブの冷却を十分に行うことができない。
図21には、リフレクタ14bの内部が露出された状態の光源ユニット14及び冷却ユニット42が斜視図にて示されている。ダクト62の一端は、ファン60の送風口に連通し、ダクト62の他端は、リフレクタ14b内に連通している。そこで、以下に詳しく説明するように、ファン60により発生された冷却風(気流)は、ダクト62により、リフレクタ14bの開口からリフレクタ14b内に配置されたバルブ14aへ送られる。以下では、リフレクタ14bの開口を「リフレクタ開口」とも称する。
図22には、ダクト62の内部が示されている。ダクト62は、図22に示されるように、内部空間を形成する一対のカバー64a、64b(図15参照)と、該内部空間に配置されたX軸周り(光源ユニット14の射出方向周り)に並ぶ複数(例えば9つ)の仕切り板とを有している。ここでは、9つの仕切り板は、X軸周りに連続して並ぶ5つの長尺仕切り板66a及びX軸周りに連続して並ぶ4つの短尺仕切り板66bを含む。カバー64aのリフレクタ14bに対応(対向)する箇所には開口部が形成され、該開口部に防爆ガラス68が装着されている(図15参照)。防爆ガラス68は、バルブ14a破裂時の破片飛散を防止する透明又は半透明のガラス板である。
詳述すると、各長尺仕切り板66aは、上記内部空間において、ファン60近傍からリフレクタ開口まで延びている。詳述すると、各長尺仕切り板66aは、一端がファン60の送風口付近に位置し、他端がリフレクタ開口の周囲部(リフレクタ14bの外周部)に位置している。
各短尺仕切り板66bは、上記内部空間において、リフレクタ開口の周囲部に配置されている。
9つの仕切り板では、隣り合う2つの仕切り板のリフレクタ開口側の端部の先端の間隔がほぼ等間隔となっている。また、各仕切り板のリフレクタ開口側の端部の先端は、+X側から見て、バルブ14a側に向いている。
そこで、図23に示されるように、5つの長尺仕切り板66aによって、ファン60の送風口からの気流の流路が6つの流路に分割される。6つの流路のうち内側の4つの流路は、リフレクタ開口の周囲部に連続して並ぶ4つの箇所に達する。6つの流路のうち外側の2つの流路それぞれは、短尺仕切り板66bによって2つの流路に分割され、分割された2つの流路は、リフレクタ開口の周囲部に連続して並ぶ2つの箇所に達する。なお、ここでは、外側の各流路のファン60側の端(気流の入口)は、内側の各流路のファン60側の端(気流の入口)の2倍程度の大きさであり、外側の各流路には、内側の各流路の2倍程度の空気が送られる。すなわち、ファン60から送風される冷却風(気流)の風量が、8つの流路で均一となるよう、隣り合う2つの仕切り板66の間隔が調整されている。
このようにして、ファン60による気流の流路は、ダクト62によって最終的に8つの流路にほぼ均等に分割され、分割された8つの流路は、リフレクタ開口の周囲部の8箇所に個別に達する(図23参照)。
図23には、ダクト62内の空気の流れが示されている。ファン60により発生されダクト62内に流入した気流は、9つの仕切り板66によって略8等分に分割され、リフレクタ開口の周囲部の8箇所からバルブ14aに向けて略均等に流出される。
以上の説明から分かるように、本実施形態では、バルブ14aに対してX軸周りの概ね全方向から気流を送ることができるため、装置を通常投影姿勢からX軸周りに任意の角度回転させた姿勢において、バルブ14aの上部(高温部)に気流を送る(当てる)ことができ、該上部を確実かつ十分に冷却することができる。
また、図17のA−A線断面図である図24から分かるように、ダクト62からリフレクタ14b内に流入した気流は、リフレクタ14bの内壁面側を流れ、バルブ14aを冷却した後、光源ユニット14の射出方向(+X方向)に流れ、防爆ガラス68に沿って放射状に流出する。流出された気流は、ガイド部材70に沿って上昇し、光学エンジン16を冷却した気流と合流し、排気口19から排出される。なお、図24では、防爆ガラス68を支持する、ダクト62のカバー64aの一部の図示が省略されている(図26、図29でも同様)。
以上説明した本実施形態のプロジェクタ装置10は、バルブ14a(発光部)、及び開口(リフレクタ開口)が設けられバルブ14aを囲むリフレクタ14bを含み、バルブ14aからの光を前記開口から射出する光源ユニット14と、バルブ14aを冷却する、ファン60を含む冷却ユニット42とを備え、光源ユニット14からの光を投射する光投射装置であり、冷却ユニット42は、ファン60による気流が流入され、流入された気流をリフレクタ14bの外周部の複数箇所(周方向の複数箇所)からバルブ14aに向けて流出させるダクト62を更に含んでいる。
この場合、バルブ14aには、周囲の複数方向から同時に気流が送られる。
この結果、バルブ14aの高温部(例えば上部)を安定して冷却することができる。
また、光源ユニット14からの光の射出方向は、略水平方向(例えばX軸方向)であり、前記射出方向周りの位置が互いに異なる複数(例えば4つ)の姿勢で用いられ、該複数の姿勢のうち任意の一の姿勢で用いられるとき、前記複数箇所のうち少なくとも1箇所は、バルブ14aの上方、斜め上方及び側方のいずれかに位置する。
具体的には、図25(A)〜図25(D)に示されるように、ダクト62からの空気は、装置の設置姿勢をどのようにしても、バルブ14aの周囲の複数方向(例えば8方向)からバルブ14aの上部(高温部)を含む複数部分に向かって略均一に流れる。このため、装置の設置姿勢に関わらず、バルブ14aの上部(高温部)を含む複数部分を冷却することができる。
一方、特許文献1(特開2011−164170号公報)では、例えば装置の設置姿勢によって光源ランプの高温となる部位が変わるため、該設置姿勢に応じて、冷却風の送風方向を制御している。しかしながら、送風方向を制御する場合、制御不良が発生すると、光源ランプの高温部を安定して冷却できないおそれがある。また、リフレクタ内に気流を流入させるための穴が形成された回転板を駆動源で回転させる構成を採用すると、高コスト化、装置の大型化、煩雑化を招く。また、該回転板を自重により回転させる構成を採用しても、動作の確実性が保障できない(動作不良が発生するおそれがある)。
この場合、装置の姿勢に関わらず、バルブ14aの高温部(例えば上部)を確実に冷却することができる。
また、ダクト62は、流入された気流を略均等に分割し、分割された気流を複数箇所それぞれに導くため、該複数箇所からバルブ14aに略均等に気流を送ることができ、バルブ14aのX軸周りのいずれの部位が高温部になっても、該高温部を安定して冷却できる。また、バルブ14aの高温部以外の部位も安定して冷却できる。
また、リフレクタ14bの外周部は、リフレクタ開口の周囲部であるため、リフレクタ14bに特別な加工を施すことなく、前記複数箇所からリフレクタ14b内に気流を流入させることができる。
また、前記複数箇所から流出され前記バルブ14aを冷却した気流を、リフレクタ開口からリフレクタ14bの外部に流出させるため、リフレクタ14bに特別な加工を施すことなく、リフレクタ14bから外部に気流を流出させることができる。
以上の説明から分かるように、本実施形態のプロジェクタ装置10では、装置の設置姿勢に応じてリフレクタ14b内への送風方向を制御(変更)する必要がなく、バルブ14aの高温部を安定して冷却することができる。この結果、装置構成の簡素化及びコストダウンを図ることができる。
また、図26には、変形例1の光源ユニットのXZ断面及びリフレクタ14b内での空気の流れ(矢印)が示されている。変形例1では、ダクト162に、ファン60からの気流の一部をシール部14c(発熱部)に送るための複数の開口部62aがリフレクタ14bの外周部に沿って並ぶように(周方向に離間するように)設けられている。この場合、ファン60からの気流を用いてシール部14cをも冷却することができる。なお、開口部62aは、複数に限らず、要は、少なくとも1つ設けられていれば良く、配置も適宜変更可能である。
また、図27には、変形例2のダクト262のX軸に直交する断面及び該ダクト262内の空気の流れが示されている。上記実施形態では、ダクト62は、装置が任意の設置姿勢のとき、バルブ14aの上部を冷却できるよう構成されているが、例えば装置が4つの設置姿勢(通常投影姿勢、机上投影姿勢、天吊り投影姿勢、天井投影姿勢)でのみ用いられる場合、ダクトの排気側開口部は、必ずしもリフレクタの外周部に連続して8つ設けられる必要は無く、各設置姿勢に対応する箇所、すなわち該設置姿勢においてバルブ14aの上部に気流が当たる箇所(例えば4箇所)にのみ設けられても良い。ここでも、各排気側開口部からリフレクタ14b内に流入する空気の量が略均一となるように複数(例えば4つの)仕切り板を設けることが好ましい。
また、図28には、変形例3のダクト362のX軸に直交する断面及び該ダクト362内の空気の流れが示されている。上記実施形態では、リフレクタ開口の周囲部(リフレクタ14bの外周部)からバルブ14aに向けて直線的に空気を送っていたが、リフレクタ14bの外周部の位置によっては、ファン60による気流を、仕切り板で大きい角度(例えば90度程度)曲げる必要がある。このため、バルブ14aへの空気の流れを略均一に保つのが困難となるおそれがある。
そこで、変形例3では、図28に示されるように、リフレクタ開口の周囲部の複数箇所それぞれからバルブ14aに向けて渦巻状態(螺旋状)に空気を送ることで、ファン60から気流を無理なく(大きく曲げることなく)、バルブ14aに向けることができる。
詳述すると、ダクト362の各排気側開口部からリフレクタ14b内に流入する空気の量を一定とするため、流量の多い上流側から下流側にかけて、仕切り板の長さを長くしている。ここでは、各仕切り板は、リフレクタ開口の周囲部に配置される短寸の仕切り板であり、下流側に凸となるように湾曲している。
また、図29には、変形例4における光源ユニット14及び防爆ガラス68のXZ断面、並びに気流の流れが示されている。
変形例4では、光源ユニット14から射出された光が、防爆ガラス68でリフレクタ14b内に反射される(戻る)のを防止するため、防爆ガラス68を射出方向(X軸方向)に対して傾斜して配置している。この際、防爆ガラス68の傾きに沿って一方向へ空気を排気することで、バルブ14aを冷却した高温の空気の排気方向を限定することができる。この結果、例えば基板等、光源ユニット14付近に配置される温度定格のある部品に熱風が送られるのを防止できる。
また、上記実施形態及び各変形例のダクトの構成は、適宜変更可能である。例えば、仕切り板の形状、大きさ、個数、配置等は、適宜変更可能である。また、例えば、リフレクタ14bの外壁(外周部)における周方向の複数箇所に貫通孔を形成し、ダクトからの気流を該複数の貫通孔を介してリフレクタ14b内に流入させても良い。
また、上記実施形態及び各変形例では、光源ユニット14からの光の射出方向は、水平方向(例えばX軸方向)とされているが、これに限られず、例えば、水平方向に対して傾斜する方向であっても良い。
また、プロジェクタ装置10が用いられる設置姿勢は、上記実施形態及び各変形例で説明した具体的な4つの設置姿勢に限定されるものではない。例えば、建物の壁や床に投射する設置姿勢であっても良い。
また、上記実施形態及び各変形例では、プロジェクタ装置10が複数の設置姿勢のうち、任意の一の設置姿勢で用いられるとき、リフレクタ14bの外周部の複数箇所のうち少なくとも1箇所がバルブ14aの上方、斜め上方及び側方のいずれかに位置しているが、その中でも、該少なくとも1箇所がバルブ14aの上方又は斜め上方に位置していることがより好ましい。