JP6283334B2 - 自動二輪車 - Google Patents

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Description

本発明は、自動二輪車、特に自動二輪車の車体カバー構造の改良に関する。
自動二輪車には、車体カバーを備えないネイキッド型車両と、車体カバーを備える車両とが実用に供されている。車体カバーを備える場合、車体カバーの内外を貫通して開口を設けることがある。このような開口が設けられている車体カバーを備えた自動二輪車が知られている(例えば、特許文献1(図1、図3)参照。)。
特許文献1の図1に示されるように、自動二輪車(1)(括弧付き数字は特許文献1に記載されている符号を示す。以下同じ。)はスクータ型車両であり、シート(30)の下方に車体側部を覆う左右一対のサイドカバー(21)を備えている。シート(30)の下方で左右のサイドカバー(21)の間には物品収納部(40)が形成されており、この物品収納部(40)の前部でサイドカバー(21)に開口を設けることで、長尺物の収納を容易にしている。さらにサイドカバー(21)には、物品収納部(40)の左右に車幅方向に貫通するサイドカバー開口部(213)が設けられている。
ところで、サイドカバーに車幅方向に貫通する開口を設けることは、車両走行時に横風の影響を小さくすることができるため有効である。この点、スクータ型車両のようにカバーが多い車両においては任意の位置に開口を設けることは可能であるが、燃料タンクを左右の膝で挟んで姿勢を保持するいわゆるニーグリップが可能な車両においては、レイアウト上サイドカバーに車幅方向に貫通する開口を設けることが難しい。
そこで、本発明はサイドカバーを有し燃料タンクをニーグリップ可能な車両であっても、サイドカバーに車幅方向に貫通する開口を設け、横風等の影響を小さくすることができる技術が求められている。
特開2013−184609号公報
本発明は、ニーグリップが可能な車両であっても、サイドカバーに車幅方向に貫通する開口を設け、横風等の影響を小さくすることができる技術を提供すること。
請求項1に係る発明では、前輪を操舵するハンドルバーと、このハンドルバーの後方に配置され乗員が着座するシートと、このシートと前記ハンドルバーの間に配置され左右の膝で挟んで姿勢を保持することが可能な燃料タンクと、前記シートの下方に配置され車両側方を覆うサイドカバーとを備える自動二輪車において、前記シートの前部は、車両側面視で前記燃料タンクの下方まで延びる前部延出部が形成され、前記サイドカバーは、前記前部延出部の後方位置に車幅方向に貫通する貫通孔が形成され、前記貫通孔は、車両左側部から車両右側部まで延びる筒状に形成されていることを特徴とする。
請求項に係る発明では、サイドカバーは、貫通孔の開口周辺が内側に向けて凹んでいることを特徴とする。
請求項に係る発明では、貫通孔の開口は前後方向に長く形成されていることを特徴とする。
請求項1に係る発明では、シートの前部には燃料タンクの下方まで延びる前部延出部が形成され、サイドカバーには前部延出部の後方位置に車幅方向に貫通する貫通孔が形成され、貫通孔は、車両左側部から車両右側部まで延びる筒状に形成されている。燃料タンクを左右の膝で挟んで姿勢を保持するいわゆるニーグリップ可能な車両は、燃料タンクの下方やシートの下方に、車体フレームや補器類が配置されるためレイアウト上、車幅方向に貫通する車体の貫通孔を設けることが難しい。本発明は、ニーグリップが可能な車両であっても、脚の当たらない位置に貫通孔を設けて横風等の影響を小さくすることができる。また、貫通孔は、車両左側部から車両右側部まで延びる筒状に形成されているので、一方の開口から貫通孔に入った横風を車体内部でそのままスムーズに流して他方の開口に導くことができる。
請求項に係る発明では、サイドカバーは、貫通孔の開口周辺が内側に向けて凹んでいるので、サイドカバーの開口周辺の剛性を向上させることができる。
請求項に係る発明では、貫通孔の開口は、前後方向に長く形成されているので、開口に手を入れて容易に握ることができる。
本発明に係る自動二輪車の右側面図である。 図1に示された自動二輪車の平面図である。 貫通孔を形成するダクトの斜視図である。 図2の4−4線断面図である。 図4に示された貫通孔の変形例を説明する図である。 図1に示されたサイドカバーの要部拡大図である。 図2の7−7線断面図である。 図1の8矢視図である。 図1の9矢視図である。
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。「前(Fr)」、「後(Rr)」、「左(L)」、「右(R)」、「上(Up)」、「下(Down)」は運転者から見た方向にしたがう。
先ず、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1、図2に示されるように、自動二輪車10は、燃料タンク20を左右の膝62で挟んで姿勢を保持するいわゆるニーグリップが可能な車両である。自動二輪車10は、車体11を形成する車体フレーム12と、車体フレーム12の前部を形成するヘッドパイプ13と、ヘッドパイプ13の下端に取付けられ左右一対のフロントフォーク14L,14Rの上端を支持するボトムブリッジ15とを備えている。フロントフォーク14L,14R下端のアクスル軸16に前輪17が支持され、この前輪17の上方が覆うフロントフェンダ18で覆われ、ヘッドパイプ13に回転可能に支持されるハンドルバー19によって前輪17が操舵される。
車体フレーム12は、ヘッドパイプ13から後下がりに延びるメインフレーム21と、このメインフレーム21の後部から上方に延びるフレーム支持部材22と、このフレーム支持部材22の上部から後上がりに延ばされ直接又は間接的にシート23を支持するシートレール24とを備える。メインフレーム21の後端部から後ろ上がりにサブフレーム25が延びており、このサブフレーム25によってシートレール24の後部が支持されている。
また、メインフレーム21の下部にピボットフレーム26を介してスイングアーム27が揺動可能に設けられ、このスイングアーム27の後部に回動可能に後輪28が設けられている。メインフレーム21に吊り下げられるようにエンジン31が設けられ、このエンジン31の出力は後輪28に伝達される。エンジン31から上方に向かって排気管32が延びており、この排気管32はエンジン31の上方で後方に曲がり、排気管32の後部から後方に向かってマフラー33が延びている。
メインフレーム21の後部にはクッション支持部41設けられ、このクッション支持部41とスイングアーム27の中間部との間に衝撃を吸収するリアクッション42が設けられている。さらに、スイングアーム27には、後輪28の前部上方を覆う第1リアフェンダ43が設けられている。シートレール24の後部には、後輪の後部上方を覆う第2リアフェンダ44が設けられている。
また、自動二輪車10は、車体11を覆うサイドカバー(車体カバー)50を備える。自動二輪車10の前部は、ヘッドパイプ13の上部にステー34を介してメータ35が設けられ、ヘッドパイプ13の前方にてボトムブリッジ15にヘッドライトユニット70が設けられている。自動二輪車10の後部は、第2リアフェンダ44の後部にテールライトユニット80が設けられている。
燃料タンク20は、シート23とハンドルバーの間に配置されている。燃料タンク20の後部には乗員60が左右の膝61で挟んで姿勢を保持する脚受け部20aが設けられ、燃料タンク20の上部には給油キャップ20bが設けられている。乗員60が着座するシート23の前部は、車両側面視で燃料タンク20の下方まで延びる前部延出部23aが形成されている。このため、乗員60はシート23に着座した状態で、脚(大腿)61を前部延出部23aに添え、左右の膝62で燃料タンク20の脚受け部20aを挟んで姿勢を容易に保持することができる。乗員60は、車体11の下部に設けられたステップ36に足63を置くことができる。
サイドカバー50は、燃料タンク20の下方に配置されるフロントサイドカバー51R(Rは右を示す添え字、Lは左を示す添え字、以下同じ。)と、シート23の下方に配置されるリアサイドカバー52Rとからなる。なお、実施例では、サイドカバー50を、フロントサイドカバー51Rとリアサイドカバー52Rとに分けたが、これに限定されず、フロントサイドカバー51Rとリアサイドカバー52Rとを一体に成形しても差し支えない。
リアサイドカバー52Rには、前部延出部23aの後方位置で、車幅方向に貫通する貫通孔53が形成されている。いわゆるニーグリップが可能な自動二輪車10であっても、脚61の当たらない位置に貫通孔53が設けられているので、自動二輪車10に対する横風等の影響を小さくすることができる。
次にシート23を外した状態の車両における、貫通孔53について説明する。
図3に示されるように、貫通孔53は、左のリアサイドカバー52Lに形成された左の開口部54Lと、右のリアサイドカバー52Rに形成された右の開口部54Rと、左の開口部54Lから右の開口部54Rまで延びるダクト55とを備えている。ダクト55は車幅方向に真っ直ぐ延びるように形成されている。このように、貫通孔53は、車両左側部から車両右側部まで延びる筒状に形成されている。
ダクト55の上方にシートレール24が配置され、ダクト55の下方にサブフレーム25が配置され、ダクトの前方にメインフレーム21が配置されている。左右のシートレール24は、クロスプレート45によって接続されている。
次に貫通孔53の断面形状及び貫通孔53の作用について説明する。
図4に示されるように、左のリアサイドカバー52Lは、貫通孔53の左の開口部54L周辺が内側に凹んでいる凹み部54aを有する。同様に、右のリアサイドカバー52Rは、貫通孔53の右の開口部54R周辺が内側に凹んでいる凹み部54aを有する。凹み部54aによって、サイドカバー50の開口周辺の剛性を向上させることができる。
左右の開口部54L、54Rの内側に凹んだ端部には、車体内方へダクト55に沿って延びる延長部54bが形成されている。延長部54bは端部を内側へ真っ直ぐ延ばしただけの簡単な形状であるため、サイドカバー50を容易に成形できる。
ダクト55の端部には、外側に広がるダクト側接続部56が形成されている。詳細には、ダクト側接続部56は、ダクト55の軸直角方向に広がるとともに延長部54bの先端に当接する当接部56aと、この当接部56aの外端から延長部54bの外側に沿って延びる外側ガイド部56bとを有する。当接部56aによってダクト55の車幅方向が位置決めされ、外側ガイド部56bによって左右の開口部54L、54Rの軸とダクト55の軸が一致する。
次に貫通孔53の作用について説明する。自答二輪車10の走行中に車両右側から横風が吹くと、右の開口部54R周辺が内側に向けて凹んでいるため、横風が凹んでいる部分に沿って矢印(1)のように流れる。右の開口部54Rに入った横風は、ダクト55内を矢印(2)のようにスムーズに流れ、左の開口部54Lから車両左側へ抜けていく。
仮に、サイドカバーに凹み部54aがなく、ダクト55もない場合、車両右側からサイトカバーの開口を通過して車体内部に入った横風は、車体内部で流れ乱れて他方の開口にスムーズに流れない。この点、本発明では、貫通孔53は、開口部54R周辺に凹み部54aを有し、この凹み部54aに続いて真っ直ぐなダクト55があるため、横風を車体11内部でそのままスムーズに流して他方の開口に導くことができる。なお、同様に、車両左側から横風が吹いてきた場合も、ダクト55内をスムーズに流れ車両右側へ排出される。
次に図4の変形例について説明する。なお、図4に示した構成と同一構成については同一符号を付け、詳細説明は省略する。
図5に示されるように、ダクト55の端部は、そのまま真っ直ぐに延びるように形成されている。このため、ダクト55を容易に成形することができる。また、左右の開口部54L、54R、カバー側接続部57が形成されている。
カバー側接続部57は、ダクト55の軸直角方向に広がるとともにダクト55の先端に当接する当接部57aと、この当接部57aの外端からダクト55の外側に沿って延びる外側ガイド部57bとを有する。当接部57aによってダクト55の車幅方向が位置決めされ、外側ガイド部57bによって左右の開口部54L、54Rの軸とダクト55の軸が一致する。
次に変形例における貫通孔53の作用について説明する。自答二輪車10の走行中に車両右側から横風が吹くと、右の開口部54R周辺が内側に向けて凹んでいるため、横風が凹んでいる部分に沿って矢印(3)のように流れる。右の開口部54Rに入った横風は、ダクト55内を矢印(4)のようにスムーズに流れ、左の開口部54Lから車両左側へ抜けていく。
次にマフラー33及び貫通孔53について説明する。
図6に示されるように、マフラー33の後部は、右のリアサイドカバー52R内に配置されている。右のリアサイドカバー52Rには、マフラー用開口部58が形成されている。このマフラー用開口部58にマフラーキャップ37が取り付けられている。
車両側面視において、右の開口部54Rは、前後方向に長く形成されている。貫通孔53の開口を前後方向に長く形成することで、開口に手を入れて容易に握ることができる。
図7に示されるように、ダクト55は、メインフレーム21、フレーム支持部材22、シートレール及びサブフレーム25によって囲まれた空間に配置されている。さらには、クッション支持部41も、この囲まれた空間に配置されている。燃料タンク20の下方やシート23の下方に、車体フレーム12や補器類が配置されるためレイアウト上、車幅方向に貫通する車体の貫通孔を設けることが難しいが、本発明は、ニーグリップが可能な車両であっても、脚61(図1参照)の当たらない位置に貫通孔53を設けて横風等の影響を小さくすることができる。
次にヘッドライトユニット70周辺について説明する。
図8に示されるように、ヘッドライトユニット70は、正面視で円形状に形成されたヘッドライト71と、このヘッドライト71から車幅方向に延びるように形成された左右のウィンカ72L、72Rとを備えている。ヘッドライト71は、基板73に設けられたLED74によって照射するいわゆるLEDヘッドライトである。
左のウィンカ72Lは、正面視で中に孔75が形成された中空状であり、ウィンカ72L全体が環状を呈する。このため、ウィンカ72Lは点滅時に外周が光る。なお実施例では、発光部分76は正面視で内側に開いたU字状としたが、これに限定されず、発光部分76全体を環状としても差し支えない。同様に、右のウィンカ72Rについても、ウィンカ72R全体が環状に形成されている。
次にテールライトユニット80について説明する。
図9に示されるように、テールライトユニット80は、正面視で環状に形成されたテールライト81と、このテールライト81から車幅方向に延びるように形成された左右のウィンカ82L、82Rとを備えている。
左のウィンカ82Lは、正面視で中に孔83が形成された中空状であり、ウィンカ82L全体が環状を呈する。このため、ウィンカ82Lは点滅時に外周が光る。なお実施例では、発光部分84は正面視で内側に開いたU字状としたが、これに限定されず、発光部分84全体を環状としても差し支えない。同様に、右のウィンカ72Rについても、ウィンカ72R全体が環状に形成されている。
尚、本発明の貫通孔は、実施の形態では、サイドカバーのみを備えた自動二輪車に適用したが、これに限定されず、サイドカバーに加えてフロントカバーを備えた自動二輪車に適用しても差し支えない。
本発明のサイドカバーの貫通孔は、自動二輪車に好適である。
10…自動二輪車(車両)、18…前輪、19…ハンドルバー、20…燃料タンク、23…シート、23a…前部延出部、50…サイドカバー(車体カバー)、53…貫通孔、54a…凹み部、55…ダクト、60…乗員、62…膝。

Claims (3)

  1. 前輪(18)を操舵するハンドルバー(19)と、このハンドルバー(19)の後方に配置され乗員(60)が着座するシート(23)と、このシート(23)と前記ハンドルバー(19)の間に配置され左右の膝(62)で挟んで姿勢を保持することが可能な燃料タンク(20)と、前記シート(23)の下方に配置され車両側方を覆うサイドカバー(50)とを備える自動二輪車(10)において、
    前記シート(23)の前部は、車両側面視で前記燃料タンク(20)の下方まで延びる前部延出部(23a)が形成され、
    前記サイドカバー(50)は、前記前部延出部(23a)の後方位置に車幅方向に貫通する貫通孔(53)が形成され
    前記貫通孔(53)は、車両左側部から車両右側部まで延びる筒状に形成されていることを特徴とする自動二輪車。
  2. 前記サイドカバー(50)は、前記貫通孔(53)の開口周辺が内側に向けて凹んでいることを特徴とする請求項1記載の自動二輪車。
  3. 前記貫通孔(53)の開口は前後方向に長く形成されていることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の自動二輪車。
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