以下、本発明の実施の形態について、図面に基づき説明する。図1は本発明の一実施形態として自動取引支援システム(ATM支援システム10)の概略構成を示す説明図である。図示するように、本実施形態のATM支援システム10は、複数の自動取引装置(ATM101)と、コールセンター120に属する複数のオペレータ端末130とを、データー送受信が可能なネットワークNWを介して接続する。ネットワークNWは、音声通信が可能な公衆回線網とインターネットとを併用したり、専用通信回線にて構成される。なお、コールセンター120には、少なくとも一つのオペレータ端末130が設置されていればよい。また、個々のATM101は、図示しない各金融機関ごとのホストコンピューターともネットワークNWを介して接続され、これらホストコンピューターは、ATM101からの情報紹介に対応して、必要なデーター、例えば現金の入出金取引の際の記帳項目やその記帳フォーマット等のデーターや、入出金取引の対象とされた預金口座の残高や当該口座に特有の暗証番号等の口座情報データーをネットワークNWを介してATM101に出力する。これら取引内容については、本願と直接関連しないので、詳細な説明についてはこれを省略する。
次に、個々の装置の構成について説明する。図2はATM101を側面視してその外郭と内部の概略的な機器構成を示す説明図、図3はATM101を正面視して示す説明図である。ATM101は、銀行店舗のみならず、駅や百貨店、ショッピングモール等の機器ブースやコンビニエンスストア等に設置され、ユーザーYの操作に基づいて入出金等の所定の現金取引を行なうよう構成されている。ATM101は、ユーザーYと対面する装置前面に、カード入出口104aと、明細排出孔104bと、顧客操作画面部105と、顧客検知センサー107と、現金入出金口111と、キーパッド112と、カメラ113と、ガイドホン116と、スピーカー117とを備え、内部に、カード処理部102と、現金処理部103と、主制御部106と、現金収納カセット108と、カード処理部搬送路109と、現金処理部搬送路110とを備える。
このATM101は、ユーザーYがカード入出口104aに挿入したキャッシュカードをカード処理部搬送路109に受け取り、カード処理部102で受け付ける。取引処理完了後のキャッシュカードは、カード入出口104aからユーザーYに払い出される。また、ATM101は、図示しない明細票機構部が必要に応じて発行した取引明細書を、明細排出孔104bから排出し、ユーザーYに払い出す。明細排出孔104bを廃止し、取引明細書を現金入出金口111から排出してもよい。顧客操作画面部105は、後述の主制御部106の制御を受けて駆動し、ユーザーYへのガイダンスメッセージや入力受付画像等を表示すると共に、ユーザーの指等による接触位置の座標を取得するポインティングデバイスとして構成される。そして、この顧客操作画面部105は、指等の接触によるユーザーYからの指示入力を表示画像で受け付け、表示画像におけるユーザー操作を、データー変換して後述の主制御部106に出力する。なお、本実施形態の101は、カード専用の自動取引装置であるが、通帳も併用するようにしてもよい。
また、ATM101は、ユーザーが現金入出金口111に投入した硬貨や紙幣等の現金を受け取って、現金処理部搬送路110を経て現金収納カセット108に収納したり、指定された金額の現金を現金収納カセット108から取り出した後に、現金処理部搬送路110を経て現金入出金口111に出金する。こうした現金取引は、主制御部106にて制御される現金処理部103にてなされるが、本発明の要旨と直接関係しないので、その詳細な説明については、これを省略する。この他、ATM101は、現金取引を行うに当たり、キーパッド112から、ユーザー操作による暗証番号入力や、取引金額指定等を受け、必要に応じて、カメラ113にて、ユーザーYを撮影する。ATM101は、顧客検知センサー107にてユーザーYの接近を検知し、ユーザーYを検知すると顧客操作画面部105の表示画面を、取引初期画面に切り換えて取引を迎える準備を図る。
ガイドホン116は、ATM101のユーザーYがコールセンター120のオペレータに問い合わせする時に使用され、ATM101は、スピーカー117から、自動取引を行う際の機器操作案内音声を発して、ガイダンスする。なお、スピーカー117によるガイダンスは、ガイドホン116の使用時において、中止するようにしてもよい。主制御部106は、CPUやROM、RAM等を有するコンピューターとして構成され、ATM101の各種制御を統括する。つまり、主制御部106は、現金処理部103やカード処理部102の制御から顧客操作画面部105の画面制御及びカメラ113やキーパッド112、顧客検知センサー107などATM101に実装されている全てのデバイス、ユニットを例えばソフトウエアで制御する。図4はATM101とオペレータ端末130の機能的な構成を示すブロック図、図5は主制御部106の機能的な構成を示すブロック図である。
図示するように、ATM101は、主制御部106を、顧客操作画面部105やキーパッド112、カメラ113、顧客検知センサー107およびガイドホン116等のATM構成機器デバイスや、カード処理部102や現金処理部103、誘導情報格納部115等のデバイスとをバスにてデーター送受信可能に接続すると共に、コールセンター120に属するオペレータ端末130とは、ネットワークNWを介してデーター送受信する。この場合、ガイドホン116のデーター送信、即ちユーザーYとオペレータとの音声通話は、ネットワークNWを構成する電話回線(PHSなどの無線あるいは有線の回線)を介して行われ、その他のデーター送受信は、ネットワークNWを構成するLANや専用回線、インターネットをI/F部114に接続して行われる。誘導情報格納部115は、メモリーやハードディスク等で構成され、ガイドホン116による音声通話状態がユーザーY或いはオペレータのいずれか、もしくは両者にとって音声判別の改善側に変更されるように誘導する複数の誘導情報、例えば、ATM101のユーザーYの発する声がコールセンター120のオペレータに判別しやすくなるように誘導する第1誘導誘導情報や、コールセンター120のオペレータの発する声がATM101のユーザーYに判別しやすくなるように誘導する第2誘導情報の誘導情報を、その識別コードと共に格納する。こうした誘導情報の具体例については後述する。
主制御部106は、図4に示すプログラム構造を備え、音声制御プログラム302と、ATMプログラム303と、OS304(Operation System)と、画面制御プログラム305を含む。このうち、音声制御プログラム302は、ガイドホン116を用いたユーザーYの音声通話状態を各種調整するよう構成され、ガイドホン116に内蔵の或いは顧客操作画面部105に表示した音量コントローラやマイク感度コントローラ、周波数変換コントローラ等を、顧客操作画面部105におけるユーザー操作を経て駆動し、音量、マイク感度、音声周波数を調整する。ATMプログラム303は、既述した現金取引に間シュル各種処理を実行する。画面制御プログラム305は、顧客操作画面部105の表示を制御し、現金取引に関連したテキストや画像の表示、後述の誘導情報の検索とその表示を司る。
コールセンター120のオペレータ端末130は、CPUやROM、RAM等を有するコンピューターとして構成され、制御部131と、音声入出力部132と、I/F部133と、表示部134と、入力部135とを備える。音声入出力部132は、マイクとスピーカーを備えたいわゆるヘッドセットとして構成され、オペレータの発した音声を、ネットワークNWを介してガイドホン116のスピーカーに出力すると共に、ガイドホン116にてユーザーYが発した音声を、ネットワークNWを介して音声入出力部132のスピーカーに出力する。これにより、オペレータとユーザーYとの間で音声通話がなされる。I/F部133は、入力部135にて入力されたコードを変換して、ネットワークNWを介してATM101の主制御部106、詳しくは画面制御プログラム305に出力する。制御部131は、上記した音声入出力部132等を統括制御する。
次に、ガイドホン116を用いたユーザーガイドについて説明する。図6はガイドホン116を用いたユーザー支援を行うガイダンス処理の手順を示すフローチャートである。このガイダンス処理は、ATM101の顧客検知センサー107によるユーザー検知を契機に主制御部106にて実行され、まず、主制御部106は、顧客操作画面部105に初期画面を表示する(ステップS100)。この初期画面は、ユーザーYの所望する取引、例えば、カードを用いた預入や払出等の一覧表示であり、主制御部106は、ユーザーYによる取引選択を待機し、ユーザー選択がなされれば、その取引に必要な図示しない自動取引処理を遂行する。主制御部106は、この取引選択と並行して、ユーザーYによるガイドホン116の操作も待機し(ステップS201)、当該操作があるまで、初期画面の表示を継続する。なお、この初期画面継続表示の間に、上記したようにユーザーYによる取引選択がなされれば、その取引に必要な図示しない自動取引処理を遂行する。
主制御部106は、ステップS201にてガイドホン116の操作があると、具体的には、ユーザーYによるガイドホン116の持ち上げ操作があると、これに続き、ユーザーYはオペレータの音声をガイドホン116を介して聞き取れているか否かを判定する(ステップS202)。この判定は、コールセンター120のオペレータ端末130からのコード信号(通話不良第1コード信号NG01)の送信の有無により下される。ガイドホン116によりユーザーYとの間で音声通話を開始したオペレータは、ユーザーYの音声を聞きながらATM操作に関する疑問点や操作方法等の誘導情報を、音声通話にてユーザーYにガイダンスしようとする。そのガイダンスでの会話において、オペレータがユーザーYはオペレータの音声をガイドホン116を介して聞き取れていないと判断すれば、そのオペレータは、ガイドホン116を介してユーザーYに聞こえるオペレータの音声の音量を増大調整する必要があるとして、通話不良第1コード信号NG01を入力部135から入力する。その一方、ガイダンスでの会話において、オペレータがユーザーYはオペレータの音声をガイドホン116を介して聞き取れていると判断すれば、そのオペレータは、通話不良第1コード信号の入力に代え、当該コード信号が不要な旨の信号、例えば、通話好調コード信号OK01を入力部135にて入力する。
こうしたことから、主制御部106は、ステップS202において、コールセンター120のオペレータ端末130からの通話不良第1コード信号NG01或いは通話好調コード信号OK01の入力に応じて、それ以降の処理に進む。換言すれば、主制御部106は、ステップS202において、オペレータの音声をユーザーYが聞き取れないことに起因したユーザーYの側の通話不良の有無を上記の信号入力を持って判定することになる。この場合、主制御部106は、ステップS201にてガイドホン116の持ち上げ操作があってからの経過時間を計時し、この経過時間が所定の待機時間に達するまで、通話不良第1コード信号NG01或いは通話好調コード信号OK01の信号入力を待機する。この待機時間の内に上記のいずれかの信号入力があれば、入力信号に応じてステップS203以降に進む。その一方、信号入力がないまま所定の待機時間が経過すれば、主制御部106は、通話好調コード信号OK01の信号入力があったと擬製して、ステップS204に進む。この際、待機時間の経過前に、主制御部106は、ユーザーYにはガイドホン116を通して、或いはスピーカー117にて、オペレータの音声が聞き取れているかを報知したり、オペレータに対しては、上記のいずれかの信号入力を促す信号をオペレータ端末130に送信して、信号入力を促す画像を表示部134に表示してもよい。こうすれば、ステップS202の判定が円滑となる。
主制御部106は、ステップS202において通話好調コード信号OK01を入力すると、ユーザーYはオペレータの音声をガイドホン116を介して聞き取れていると肯定判定して、ステップS204に進む。その一方、主制御部106は、ステップS202にて通話不良第1コード信号NG01の入力を受けると、ユーザーYはオペレータの音声をガイドホン116を介して聞き取れていないと否定判定して、その改善を図るようユーザーYを誘導すべく、ステップS203に進む。このような否定判定は、ユーザーYはオペレータの音声をガイドホン116を介して聞き取れていないことに加え、ユーザーYはガイドホン116の音量調整するための機器操作方法を承知していない、とも言える。
このステップS203では、主制御部106は、入力済みの通話不良第1コード信号NG01を検索キーとして、誘導情報格納部115に格納済みの誘導情報を検索し、その結果を顧客操作画面部105に表示する。図7は通話不良第1コード信号NG01の入力を受けて顧客操作画面部105に表示する誘導支援画像を示す説明図である。図示するように、主制御部106は、ステップS202での否定判定(通話不良)に続いて、図7の誘導情報を顧客操作画面部105に表示し、ユーザーYの画面操作を待機し、画面におけるボタンのユーザー操作に応じて、音量を増大調整する。つまり、図7の誘導支援画像を目にするユーザーYは、左上に表示されたボタンを、オペレータの音声の音量がユーザーYに聞き取れるユーザー所望の大きさになるまで、押圧操作する。主制御部106は、こうしたユーザー操作に応じた音量調整(増大調整)を行い、当該調整が完了すると、ステップS204に進む。なお、図7の誘導情報表示におけるユーザー操作は、所定の待機時間の間でなされ、待機時間の経過により、主制御部106はステップS204に進む。この他、待機時間の経過前に、図7の誘導支援画像におけるボタン部位や表示テキストをフラッシュ表示等して、ユーザーYにボタン操作を促すようにしてもよい。
主制御部106は、ステップS202での肯定判定(通話好調)に続く、或いはステップS203に続くステップS204において、オペレータはユーザーYの発する音声が早すぎてガイドホン116を介して聞き取れないか否かを判定する。この判定は、コールセンター120のオペレータ端末130からのコード信号(通話不良第2コード信号NG02)の送信の有無により下される。つまり、ガイドホン116を介してオペレータが行っているガイダンスでの会話において、オペレータがユーザーYの発する音声が早すぎてガイドホン116を介して聞き取れないと判断すれば、そのオペレータは、ユーザーYにゆっくりと大きな声で音声を発して貰う必要があるとして、通話不良第2コード信号NG02を入力部135から入力する。その一方、ガイダンスでの会話において、オペレータがユーザーYの発する音声をガイドホン116を介して聞き取れていると判断すれば、そのオペレータは、通話不良第2コード信号の入力に代え、当該コード信号が不要な旨の信号、例えば、通話好調コード信号OK02を入力部135にて入力する。よって、ステップS204において、主制御部106は、コールセンター120のオペレータ端末130からの通話不良第2コード信号NG02或いは通話好調コード信号OK02の入力に応じて、それ以降の処理に進む。
主制御部106は、ステップS204において通話好調コード信号OK02を入力すると、オペレータはユーザーYの音声をガイドホン116を介して聞き取れていると肯定判定して、ステップS206に進む。その一方、主制御部106は、ステップS204にて通話不良第2コード信号NG02の入力を受けると、オペレータはユーザーYの音声をガイドホン116を介して聞き取れていないと否定判定して、その改善を図るようユーザーYを誘導すべく、ステップS205に進む。このステップS205では、主制御部106は、入力済みの通話不良第2コード信号NG02を検索キーとして、誘導情報格納部115に格納済みの誘導情報を検索し、その結果を顧客操作画面部105に表示する。図8は通話不良第2コード信号NG02の入力を受けて顧客操作画面部105に表示する誘導支援画像を示す説明図である。図示するように、主制御部106は、ステップS204での否定判定(通話不良)に続いて、図8の誘導支援情報を顧客操作画面部105に表示し、ユーザーYがゆっくりと大きな声で発生するようになるまで所定の待機時間に亘って待機する。つまり、図8の誘導支援画像を目にするユーザーYは、その表示されたテキストを見て、ユーザーYは、それ以降、大きな声でゆっくりと会話をするはずであることから、主制御部106は、待機時間の経過後に、ステップS206に進む。なお、図8の誘導情報表示を継続する場合、待機時間の経過前に、図8の誘導支援画像における表示テキストをフラッシュ表示等して、ユーザーYに大きな声でゆっくり話すように促してもよい。
主制御部106は、ステップS204での肯定判定(通話好調)に続く、或いはステップS205に続くステップS206では、ガイドホン116の操作はあったものの、ガイドホン116による音声通話状態に支障が無いので、或いは、ガイドホン116による音声通話状態が音声判別の改善側に変更されたので、それ以降に自動取引を行うべく、預入や払出等を一覧表示した初期画面を改めて顧客操作画面部105に一旦表示し、ユーザーYによる取引選択を待機する。そして、主制御部106は、ユーザー操作に応じた預入や引出等の自動取引を実行し(ステップS206)、その取引の完了後に、次回の取引に備えて初期画面を顧客操作画面部105に表示して(ステップS207)、本ルーチンを終了する。
以上説明した構成を備える本実施形態のATM101は、自動取引を所望するユーザーYに対してガイドホン116を用いて取引支援を行うに当たり、ガイドホン116による音声通話状態が音声判別の改善側に変更されるように誘導する複数の誘導情報を、例えば、図7や図8に示す画像情報として予め誘導情報格納部115に格納する。図7に示す誘導情報は、ガイドホン116を介したオペレータからユーザーYへのガイダンスの際に、オペレータがユーザーYはオペレータの音声をガイドホン116を介して聞き取れていない通話不良の状況を音声判別の改善側に変更するための誘導情報である。この図7の誘導情報は、ユーザーYはオペレータの音声をガイドホン116を介して聞き取れていないと判断したオペレータの側のオペレータ端末130からの指示に基づくものであり、オペレータ端末130は、オペレータ操作を経て、図7の誘導情報を特定する通話不良第1コード信号NG01をATM101に出力する。ATM101の主制御部106は、この通話不良第1コード信号NG01の入力を受けて、誘導情報格納部115に格納済みの複数の誘導情報の内で、通話不良第1コード信号NG01で特定される図7の誘導情報を顧客操作画面部105に表示する(ステップS203)。
ユーザーYは、図7に示す誘導情報画像を目にして、左上に表示されたボタンを、オペレータの音声の音量がユーザーYに聞き取れるユーザー所望の大きさになるまで、押圧操作する。ガイドホン116の音量調整操作やその方法を承知していないユーザーYであっても、そのユーザーYは、音量調整のためのボタン操作を、図7の誘導情報画像表示により、実行する。そして、主制御部106は、こうしたユーザー操作に応じた音量調整を行い、オペレータの音声の音量がユーザーYに聞き取れるユーザー所望の大きさに音量を増大調整する。よって、本実施形態のATM101によれば、難聴等が原因でオペレータの音声をガイドホン116を介して聞き取れていないユーザーYに対して、顧客操作画面部105への図7の誘導情報画像表示により、オペレータの音声をガイドホン116を介して聞き取れるように音声通話状態が音声判別の改善側に変更されるように、ユーザー操作を誘導できる。この結果、上記形態のATM101によれば、オペレータの音声を聞きやすくして、ガイドホン116による取引支援の実効性を高めることができる。
自動取引を所望するユーザーYに対してガイドホン116を用いて取引の誘導を行うに当たって顧客操作画面部105に表示する図8の誘導情報は、ユーザーYの発する音声が早すぎてユーザーの音声をオペレータがガイドホン116を介して聞き取れない通話不良の状況を音声判別の改善側に変更するための誘導情報である。この図8の誘導情報は、ユーザーYの発する音声が早すぎてユーザーの音声をガイドホン116を介して聞き取れないと判断したオペレータの側のオペレータ端末130からの指示に基づくものであり、オペレータ端末130は、オペレータ操作を経て、図8の誘導情報を特定する通話不良第2コード信号NG02をATM101に出力する。ATM101の主制御部106は、この通話不良第2コード信号NG02の入力を受けて、誘導情報格納部115に格納済みの複数の誘導情報の内で、通話不良第2コード信号NG02で特定される図8の誘導情報を顧客操作画面部105に表示する(ステップS205)。
ユーザーYは、図8に示す誘導情報画像を目にして、それ以降においては、大きな声でゆっくりと会話をする。よって、本実施形態のATM101によれば、図8の誘導情報画像の表示を通して、ユーザーYの発する音声がオペレータにガイドホン116を介して聞きとり易くなるようにユーザーYを誘導して、音声通話状態を音声判別の改善側に変更するので、ガイドホンによる取引支援の実効性を高めることができる。しかも、図8の誘導情報画像の表示を通したユーザー誘導を、図7の誘導情報画像の表示を通したユーザー操作の誘導と並行して行うので、本実施形態のATM101によれば、音声通話状態の音声判別の改善側への変更の実効性が高まり、これに伴って、ガイドホン116による取引支援の実効性もより高まる。
本実施形態のATM支援システム10は、ATM101とコールセンター120のオペレータ端末130とをネットワークNWを介してデーター送受信可能に接続し、既述したように、図7や図8に示す誘導情報画像の表示を通した音声通話状態の音声判別の改善側への変更を行う。しかも、こうしたユーザー誘導を、ユーザーYに対して各種ガイダンスを行うオペレータのオペレータ端末130のオペレータ操作に基づいて実行し、オペレータ操作に対応した誘導情報画像をATM101の側で準備して、オペレータ操作により送信された上記の通話不良コード信号で特定する。よって、本実施形態のATM支援システム10では、オペレータ端末130の側からATM101の側へは、通話不良コード信号の送信で済み、図7や図8に示す誘導情報画像の送信を要しない。この結果、本実施形態のATM支援システム10によれば、ユーザーYとオペレータとの間の音声通話状態の音声判別の改善側への変更のための図7や図8に示す誘導情報画像を速やかに表示でき、ガイドホン116による取引支援を速やかに行うことで、取引の早期実行も可能となる。
次に、変形例について説明する。図9はユーザーYとオペレータとの間の通話不良の際に顧客操作画面部105に表示する他の誘導支援画像を示す説明図である。この図9に示す誘導支援画像は、既述したステップS202やステップS204において、或いはこれら処理に続いて、ガイドホン116を介してユーザーYに聞こえるオペレータの音声の周波数を高低調整して音声通話状態を音声判別の改善側に変更し、ユーザーYにオペレータの発する音声を聞きやすくするための誘導支援画像である。そして、この図9の誘導支援画像は、オペレータによるユーザーYへのガイダンスの際に、ユーザーYはオペレータの音声をガイドホン116を介して聞き取れていないとのオペレータの判断と、これに伴うオペレータ端末130での通話不良第3コード信号NG03の出力というオペレータ操作に基づくものである。つまり、まず、オペレータが、ユーザーYに聞こえるオペレータの音声の周波数を高低調整して音声通話状態を音声判別の改善側に変更する必要があると判断して、オペレータ端末130から通話不良第3コード信号NG03をATM101に送信する。
主制御部106は、この入力した通話不良第3コード信号NG03を検索キーとして、誘導情報格納部115に格納済みの誘導情報を検索し、その検索結果としての図9の誘導支援画像を顧客操作画面部105に表示し、ユーザーYの画面操作を待機する。そして、図9の誘導支援画像を目にするユーザーYは、表示された低い声、普通の声、或いは高い声のいずれかのボタンを、オペレータの音声がユーザーYに聞き取れやすくなるまで、押圧操作する。主制御部106は、こうしたユーザー操作に応じた周波数調整を行い、当該調整が完了すると、既述したステップS204、或いはステップS206に進む。この図9の誘導支援画像を顧客操作画面部105に表示することでも、本実施形態のATM101或いはこれを有するATM支援システム10によれば、ガイドホン116による取引支援の実効性を高めることができる。なお、図9の誘導情報表示におけるユーザー操作は、所定の待機時間の間でなされ、待機時間の経過により、主制御部106はステップS204、或いはステップS206に進む。この他、待機時間の経過前に、図9の誘導支援画像におけるボタン部位や表示テキストをフラッシュ表示等して、ユーザーYにボタン操作を促すようにしてもよい。
図10はユーザーYとオペレータとの間の通話不良の際に顧客操作画面部105に誘導表示するまた別の誘導支援画像を示す説明図である。この図10に示す誘導支援画像にあっても、既述したステップS202やステップS204において、或いはこれら処理に続いて、ガイドホン116を介してユーザーYに聞こえるオペレータの音声の音量を高低調整して音声通話状態を音声判別の改善側に変更し、ユーザーYにオペレータの発する音声を聞きやすくするための誘導支援画像である。そして、この図10の誘導支援画像は、オペレータによるユーザーYへのガイダンスの際に、オペレータはユーザーYの音声をガイドホン116を介して聞き取り難いとのオペレータの判断と、これに伴うオペレータ端末130での通話不良第4コード信号NG04の出力というオペレータ操作に基づくものである。つまり、まず、オペレータが、ユーザーYに聞こえるオペレータの音声の音量を高低調整して音声通話状態を音声判別の改善側に変更する必要があると判断して、オペレータ端末130から通話不良第4コード信号NG04をATM101に送信する。
主制御部106は、この入力した通話不良第4コード信号NG04を検索キーとして、誘導情報格納部115に格納済みの誘導情報を検索し、その検索結果としての図10の誘導支援画像を顧客操作画面部105に表示し、ユーザーYの画面操作を待機する。そして、図10の誘導支援画像を目にするユーザーYは、表示されたスライダーを、オペレータの音声がユーザーYに聞き取れる音量となるまで高低スライド操作する。主制御部106は、こうしたユーザー操作に応じた音量調整を行い、当該調整が完了すると、既述したステップS204、或いはステップS206に進む。この図10の誘導支援画像を顧客操作画面部105に表示することでも、本実施形態のATM101或いはこれを有するATM支援システム10によれば、ガイドホン116による取引支援の実効性を高めることができる。なお、図10の誘導情報表示におけるユーザー操作は、所定の待機時間の間でなされ、待機時間の経過により、主制御部106はステップS204、或いはステップS206に進む。この他、待機時間の経過前に、図10の誘導支援画像におけるスライダーや表示テキストをフラッシュ表示等して、ユーザーYにボタン操作を促すようにしてもよい。
図11はユーザーYとオペレータとの間の通話不良の際にオペレータ操作を誘導するための誘導支援画像を示す説明図である。この図11に示す誘導支援画像は、オペレータ端末130の表示部134に表示される点で既述した誘導支援画像と相違し、ガイドホン116を介したユーザーYとの通話が繋がったオペレータ端末130の制御部131にて表示制御される。まず、オペレータ端末130の制御部131は、ガイドホン116を介したユーザーYとの通話が開始されると、図11に示す誘導支援画像をオペレータ端末130の表示部134に表示する。オペレータは、ユーザーYに対するガイダンスを開始した以降において、ユーザーYの発する音声が聞き取りがたいと、通話不良第5コード信号NG05を、入力部135のオペレータ操作を経てATM101に送信する。
このコード信号の送信を受けたATM101の主制御部106は、所定の待機時間において、オペレータ端末130の側からのユーザーYの音量調整信号、ガイドホン116のマイク感度調整信号、およびユーザーYの音程(音声周波数)の調整信号の入力を待機する。そして、オペレータが、図11の誘導支援画像を見ながら各ライダー操作を行うと、スライダー操作に応じたユーザーYの音量調整信号、ガイドホン116のマイク感度調整信号、およびユーザーYの音程調整信号が、オペレータ端末130から主制御部106に出力されるので、ATM101の主制御部106は、その入力を受けた調整信号に応じて、ガイドホン116から発せられるユーザーYの音量調整、マイク感度調整、並びに音程調整を行う。
こうしたことから、図11の誘導支援画像は、オペレータ端末130の側での表示ではあるとは言え、オペレータによるユーザーYへのガイダンスの際に、ユーザーYの音声がガイドホン116を介してオペレータに聞き取りやすくなるように音声通話状態を音声判別の改善側に変更するものである。この図11の誘導支援画像をオペレータ端末130の表示部134に表示することでも、本実施形態のATM101或いはこれを有するATM支援システム10によれば、ガイドホン116による取引支援の実効性を高めることができる。なお、図11の誘導情報表示におけるオペレータ操作は、既述したように所定の待機時間の間でなされ、待機時間の経過により、主制御部106はステップS204、或いはステップS206に進む。この他、待機時間の経過前に、図11の誘導支援画像における各スライダーをフラッシュ表示等して、オペレータにスライダー操作を促すようにしてもよい。また、図11の誘導支援画像に、調整終了を規定する終了ボタンを表示し、当該ボタンのオペレータ操作を契機に、上記の音量調整信号等をATM101に出力するようにしてもよい。
図12はATM101での取引継続中でのユーザー支援を行うガイダンス処理の手順を示すフローチャート、図13は振込取引の継続状況下での誘導支援画像を振込取引に必要な他の画像と共に示す説明図である。近年になり、ガイドホン116を用いた取引形態が多様化し、視力低下といった視覚障害のあるユーザーYに対して、取引内容をガイドホン116での音声確認を行いつつ実行する視覚障害者モードでの運用も実現化されている。図12のガイダンス処理は、こうした視覚障害者モードへの推移を、ガイドホン116による音声通話状態の改善誘導と区別して行うためのものであり、既にある取引が継続中であること、図13の振込取引の場合には例えば振込取引が継続中であることを前提とする。
図12のガイダンス処理では、主制御部106は、まず、ステップS300にてガイドホン116の操作があることと、具体的には、ユーザーYによるガイドホン116の持ち上げ操作(フックアップ)を待機する。このフックアップ操作がない限り、主制御部106は、それ以前の取引、図13の振込取引では、その振込取引を順次、図示しない他の取引ルーチンに従って遂行する。その一方、ステップS300にてフックアップ操作があると、次いで、主制御部106は、ガイドホン116によるユーザーYからの音声指示、例えば、視覚障害者モードに移行する旨の音声発声指示等の有無により、音声通話状態の改善誘導機能を使用するか否かを判定する(ステップS310)。ここで、視覚障害者モードに移行する旨の音声発声指示が有れば、視覚障害者モードに移行し(ステップS320)、図13に示す振込取引の各ステップ、例えば振込先口座特定、引落元口座特定、振込金額特定等を、ユーザーYの音声発声とオペレータによるその確認と必要なオペレータによる入力部135の入力操作とを経て、逐次、実行する。こうした視覚障害者モードの完了後、主制御部106は、後述のステップS340に移行して、取引終了判定或いはガイドホン116のフックオフ操作の有無判定を行う。なお、ステップS320の視聴覚障害者モードの実行の際に、既述したガイダンス処理(図6)のステップS202〜ステップS205の各処理を行うようにしてもよい。こうすれば、視覚と聴覚に支障があるユーザーYに対して、円滑に自動取引を実行できる。
主制御部106は、ステップS310にて、視覚障害者モードに移行する旨の音声発声指示が所定の経過時間がなされないと、或いは音声通話状態の改善誘導機能を使用する旨の音声発声指示が有れば、オペレータ端末130でのオペレータ操作を経た通話不良第6コード信号NG06の出力を待って、図13の誘導支援画像を、振込取引に必要であるとして顧客操作画面部105に表示していた画像の一部に組み込んで表示する。つまり、コールセンター120のオペレータ端末130の側であっても、ガイドホン116のフックアップ操作後のユーザーYの発声状況から、オペレータが今後発する音声をユーザーYが聞き取り難いとオペレータが判断すると、そのオペレータにより通話不良第6コード信号NG06の入力を経て、当該信号をATM101に出力する。よって、ATM101の主制御部106は、この通話不良第6コード信号NG06の入力を受けて図13の誘導支援画像を顧客操作画面部105に組み込み表示する。なお、ATM101の主制御部106の側だけで、通話不良第6コード信号NG06を生成し、これに対応する図13の誘導支援画像を顧客操作画面部105に組み込み表示するようにしてもよい。
主制御部106は、図13の誘導支援画像の組込表示に続き、顧客操作画面部105に表示済み取引画像での図示しない取引終了ボタンのユーザー操作、或いは、ガイドホン116のフックオフ操作を待機する(ステップS340)。そして、主制御部106は、取引終了ボタンのユーザー操作、或いは、ガイドホン116のフックオフ操作を経て、図11の組み込み表示済み誘導支援画像を消去して、顧客操作画面部105の表示画像を、振込取引に必要な元の画像に復旧して移行し(ステップS350)、本ルーチンを終了する。
以上説明した変形例の実施形態のATM101或いはこれを有するATM支援システム10によっても、取引過程での図13に示すような誘導支援画像の組み込み表示と、当該誘導支援画像を目にしたユーザーYのユーザー操作により、音声通話状態の音声判別の改善側への変更の実効性が高まり、これに伴って、ガイドホン116による取引支援の実効性もより高まる。
本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、或いは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。この他、本発明は、特許請求の範囲に記載した形態以外の種々の形態で実現することも可能であり、例えば、ATM101にて行われるユーザーYとオペレータとの間の通話状況の改善をもたらす取引誘導方法としての形態、ATM101にて行われるユーザーYとオペレータとの間の通話状況の改善をもたらす誘導処理の各ステップを機能として実現するコンピュータープログラムとしての形態、このコンピュータープログラムを記憶した記憶機器として形態やこのコンピュータープログラムを記録した印刷媒体等の形態等で実現することが可能である。
図12に示すガイダンス処理のステップS330において、オペレータとユーザーYとの通話状況から、オペレータにて、ユーザーYがオペレータの声を聞きがたい、或いはユーザーYの声をオペレータが聞きがたいと判断したときに、通話不良第1コード信号NG01や通話不良第2コード信号NG02をオペレータ操作を経てオペレータ端末130からATM101に出力するようにしてもよい。こうした出力をすれば、ATM101の主制御部106は、上記の各コード信号に対応する図7や図8の誘導支援画像を顧客操作画面部105に組み込んで表示するので、既述したように、音声通話状態の音声判別の改善側への変更の実効性の向上、これに伴うガイドホン116による取引支援の実効性の向上を図ることができる。
なお、前述した各実施形態における構成要素の中の、請求項で記載された要素以外の要素は、付加的な要素であり、適宜省略可能である。