JP6279864B2 - 樹脂組成物、樹脂成形体および半導体装置 - Google Patents

樹脂組成物、樹脂成形体および半導体装置 Download PDF

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Description

種々の樹脂成形体の製造には、樹脂成分を含む樹脂組成物が用いられている。
この樹脂組成物は、通常、樹脂成形体の熱伝導率や、機械的強度を向上させること等を目的に、無機材料または有機材料を主材料として構成された充填材(フィラー)等を含んでいる(例えば、特許文献1参照)。
このような樹脂組成物では、樹脂成形体の熱伝導率や、機械的強度等の特性の均一(均質)化を図ることを目的に、樹脂成形体において充填材を均一に分散させることが求められる。
しかしながら、かかる特性を向上させることを目的に、充填材の充填率(添加率)を高くすると、樹脂成形体において充填材を均一に分散させることができず、その結果、樹脂成形体中における熱伝導率や、機械的強度等にバラツキが生じてしまう。そのため、充填材の充填率を高くすることができず、結果的に、樹脂成形体の熱伝導率や、機械的強度等を十分に向上させることができないと言う問題があった。
特開2004−323634号公報
本発明の目的は、充填材の充填率を高く設定したとしても、充填材が均一に分散されている樹脂組成物、かかる樹脂組成物からなる優れた熱伝導率および機械的強度を有する樹脂成形体、かかる樹脂成形体を備える半導体装置を提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜()に記載の本発明により達成される。
(1) 基材とポリマーとを備え、前記ポリマーの主鎖が前記基材に直接連結している充填材と、
樹脂成分とを含有する樹脂組成物であって、
前記ポリマーは、モノマーとしてのモノ不飽和脂肪酸もしくは2官能脂環式エポキシモノマーが重合反応することにより、前記基材に連結したものであり、前記樹脂成分は、ビスフェノール型エポキシ樹脂である組み合わせ、または、
前記ポリマーは、モノマーとしての2官能脂環式エポキシモノマーが重合反応することにより、前記基材に連結したものであり、前記樹脂成分は、ビフェニル型エポキシ樹脂である組み合わせであり、
当該樹脂組成物中における前記充填材の含有率を40vol%に設定した際には、E型粘度計を用いて測定した、温度110℃、回転速度1.0rad/sにおける、当該樹脂組成物の溶融粘度は、100Pa・s以下を示すことを特徴とする樹脂組成物。
) 前記重合反応は、イオン重合である上記()に記載の樹脂組成物。
) 前記基材は、無機材料を主材料として構成されるものである上記(1)または(2)に記載の樹脂組成物。
) 前記基材は、粒子状をなしている上記(1)ないし()のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
) 上記(1)ないし()のいずれか1項に記載の樹脂組成物を用いて、成形されてなることを特徴とする樹脂成形体。
) 上記(1)ないし()のいずれか1項に記載の樹脂組成物を備えることを特徴とする半導体装置。
本発明の樹脂組成物によれば、たとえ充填率を高く設定して樹脂組成物中に充填材を添加したとしても、樹脂成分に対する充填材の分散性が向上したものとなっているため、樹脂組成物は、充填材が均一に分散されている。したがって、樹脂組成物への充填材の充填率を高く設定することが可能となるため、かかる樹脂組成物から得られる樹脂成形体(本発明の樹脂成形体)の熱伝導率および機械的強度を優れたものとすることができる。
また、本発明の樹脂組成物から得られる樹脂成形体(本発明の樹脂成形体)を、例えば、半導体装置(本発明の半導体装置)が備える封止部に適用することで、封止部は、熱伝導率に優れたものとなるため、半導体装置を優れた放熱性を備えるものとすることができる。
以下、本発明の樹脂組成物、樹脂成形体および半導体装置について、好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
<樹脂組成物>
まず、本発明の樹脂組成物について説明する。
本発明の樹脂組成物は、基材とポリマーとを備え、前記ポリマーの主鎖が前記基材に連結している充填材と、エポキシ樹脂、フェノール樹脂およびアクリル樹脂のうちの少なくとも1種の樹脂成分とを含有するものである。
この樹脂組成物において、充填材は、基材とポリマーとを備え、このポリマーの主鎖が基材に連結しているものであり、さらに、樹脂成分は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂およびアクリル樹脂のうちの少なくとも1種であり、このような充填材と、樹脂成分との組み合わせとすることにより、この樹脂組成物から得られる固化物の溶融粘度を低く設定することができる。
このように樹脂組成物から得られる固化物の溶融粘度が低くできることから、この樹脂組成物は、たとえ充填率を高く設定して樹脂組成物中に充填材が添加されたとしても、充填材と樹脂成分とが優れた相溶性を有していることから、樹脂組成物(樹脂成分)中に充填材が優れた分散性をもって分散されているものとなる。
したがって、樹脂組成物への充填材の充填率を高く設定することが可能となるため、かかる樹脂組成物から得られる樹脂成形体の熱伝導率および機械的強度を優れたものとすることができる。また、樹脂組成物中において、充填材が均一に分散していることから、形成される樹脂成形体において、各部位での不本意な組成のばらつきの発生を効果的に防止することができ、その結果、樹脂成形体は、安定した特性を発揮するものとなる。
また、充填材を樹脂組成物が含むことにより、樹脂組成物を用いて製造される樹脂成形体の熱膨張係数を小さいものとすることができるため、樹脂成形体の形状の安定性、樹脂成形体の寸法精度を優れたものとすることができる。
以下、樹脂組成物に含まれる各成分について、順次説明する。
<<充填材>>
充填材は、基材とポリマーとを備え、このポリマーの主鎖が基材に連結しているものである。
この充填材は、樹脂組成物中に含まれることで、樹脂組成物が固化する際の吸湿量を増加させる機能、さらには、樹脂組成物から得られる樹脂成形体において、その機械的強度および熱伝導率を向上させる機能を有する。
また、ポリマーを備えること、さらに、このポリマーの主鎖が基材に連結していることにより、樹脂組成物中に優れた分散性をもって分散することができるようになる。
なお、本明細書中において、ポリマーの主鎖が基材に連結しているとは、ポリマーを構成する主鎖が基材の構成成分に対して直接連結していることを言い、例えば、シランカップリング剤等の各種カップリング剤や重合開始剤等の他の化合物を介して、ポリマーの主鎖が基材の構成成分に対して連結していることはない。
また、このような充填材は、例えば、基材に対して、モノマーを重合反応させることにより形成されたポリマーを連結させることにより製造することができるが、その製造方法については、後述する樹脂組成物の製造方法において詳述する。
(基材)
基材は、充填材の主材として構成され、上述した充填材としての機能を発揮させるためのものである。
この基材の構成材料としては、前記機能を発揮させ得るものであれば、特に限定されず、無機材料、有機材料およびこれらの混合材料のうちのいずれであってもよいが、無機材料であるのが好ましい。基材を主として無機材料で構成されるものとすることで、充填材を、前記機能を確実に発揮させるものとすることができ、特に、樹脂成形体を機械的強度および熱伝導率により優れたものとすることができる。
無機材料としては、特に限定されないが、例えば、タルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカ、ガラス等のケイ酸塩、酸化チタン、アルミナ、溶融球状シリカ、溶融破砕シリカ、結晶シリカのようなシリカ等の酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト等の炭酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム等の硫酸塩または亜硫酸塩、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素等の窒化物等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合せて用いることができる。
これらの中でも、シリカ、アルミナおよび窒化ホウ素のうちの少なくとも1種であるのが好ましい。基材をこれらの材料で構成されるものとすることで、後述する樹脂組成物の製造方法において、基材に対して、モノマーをより確実に重合反応させることができるため、基材にポリマーの主鎖が連結された充填材を、より優れた精度で生成させることができる。
なお、有機材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ポリアミド、ポリエーテルサルフォン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリアリレート等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合せて用いることができる。
このような基材は、粒子状、鱗片状、針状、繊維状、シート状および不定形状等、いかなる形状を有するものであってもよい。
また、この基材が粒子状をなすものである場合、その平均粒径は、特に限定されないが、10nm以上、20μm以下であることが好ましく、10nm以上、10μm以下であることがより好ましい。基材の平均粒径が、前記範囲内の値であると、この基材を備える充填材の樹脂組成物中における分散性をより向上させることができる。また、樹脂組成物中における充填材の分散安定性を特に優れたものとすることができる。特に、樹脂組成物中における充填材の分散性をより向上させる必要がある場合には、充填材を抽出法等により粗粒子を除去し、微粒子を選択的に樹脂組成物中に残存させるようにしてもよい。
この粗粒子を除去することによる微粒子の抽出は、例えば、公知のソックスレー抽出法により濾液を採取した後、この濾液中の分散媒を蒸発させて残留物を得る方法により行うことができる。この場合、微粒子(基材)の平均粒径は、特に限定されないが、10nm以上、500nm以下であるのが好ましく、10nm以上、200nm以下であるのがより好ましい。基材の平均粒径が、前記範囲内の値であると、樹脂組成物中における充填材の分散性をより向上させることができる。なお、本明細書中において、平均粒径とは、特に断りのない限り、体積基準の平均粒径を表す。
(ポリマー)
ポリマーは、その主鎖が基材に対して直接連結しており、このようなポリマーと、エポキシ樹脂、フェノール樹脂およびアクリル樹脂のうちの少なくとも1種の樹脂成分との組み合わせとすることで、樹脂組成物の溶融粘度を低くする機能を発揮する。
このポリマーは、樹脂組成物から得られる固化物の溶融粘度を低く設定することができ、かつ、基材にその主鎖が連結するものであれば如何なるものであってもよいが、基材の存在下においてモノマー(モノマー成分)を重合反応させることにより、基材に連結されたものであるのが好ましい。このようにモノマーを重合反応させることで、ポリマーを基材に直接連結した状態で、ポリマーを容易に生成することができる。
このモノマーは、選択したものの種類に応じて、ラジカル重合またはイオン重合のいずれかの重合反応で重合してポリマーを生成するが、そのモノマーの種類は、例えば、以下のように分類される。
すなわち、ラジカル重合するモノマーとしては、例えば、ビニルモノマー等が挙げられ、イオン重合するモノマーとしては、例えば、2官能エポキシモノマーおよびモノ不飽和脂肪酸等が挙げられる。
これらのうち、ビニルモノマーとしては、特に限定されず、親水性ビニルモノマー、疎水性ビニルモノマーおよび両親媒性ビニルモノマーのいずれであってもよく、これらのうちの1種または2種以上を組み合せて用いることができる。このように各種ビニルモノマーを用いることにより、各種の樹脂成分との組み合わせにおいて、樹脂組成物から得られる固化物の溶融粘度を確実に低く設定することができる。
親水性ビニルモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、メタクリル酸、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリ(オキシエチレンメタクリレート)、N−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド、2−(メタクリロイルオキシ)エチルホスホリルコリン、アクリル酸、アクリル酸ナトリウム等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合せて用いることができる。
また、疎水性ビニルモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、アクリル系モノマー(メタクリル酸メチル(MMA)、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル等)、オレフィン系モノマー(エチレン、ブタジエン、スチレン等)等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合せて用いることができる。
さらに、両親媒性ビニルモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、アクロイルモルホリン、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合せて用いることができる。
また、2官能エポキシモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、(3,3’,4,4’−ジエポキシ)ビシクロヘキシル、3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートのような2官能脂環式エポキシモノマー、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテルのようなビスフェノール型2官能エポキシモノマー等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合せて用いることができる。
さらに、モノ不飽和脂肪酸としては、例えば、クロトン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸およびネルボン酸等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合せて用いることができる。
樹脂組成物中における充填材の含有率は、特に限定されないが、0.1vol%以上、99.9vol%以下であるのが好ましく、30vol%以上、99.9vol%以下であるのがより好ましく、60vol%以上、99.9vol%以下であるのがさらに好ましい。充填材の含有率が前記範囲内の値であると、樹脂組成物を用いた樹脂成形体の成形性を特に優れたものとしつつ、上述したような効果をより顕著に発揮させることができる。
また、樹脂組成物中における充填材の含有率が40vol%以上のように、充填材の含有率が高くなったとしても、樹脂組成物から得られる固化物の溶融粘度を低くすることができるため、樹脂組成物中に充填材を均一に分散させることができる。したがって、樹脂組成物への充填材の充填率を上記のように高く設定することが可能となるため、かかる樹脂組成物から得られる樹脂成形体の熱伝導率および機械的強度を優れたものとすることができる。
<<樹脂成分>>
樹脂成分は、樹脂組成物の主材料として構成し、樹脂成形体を形成する際に固化または硬化して樹脂組成物を固化物または硬化物とすることで樹脂成形体を得るためのものである。
本発明では、この樹脂成分として、エポキシ樹脂、フェノール樹脂およびアクリル樹脂のうちの少なくとも1種が用いられ、このような樹脂成分とすることで、前述したような充填材が備える各種のモノマーとの組み合わせにより、樹脂組成物から得られる固化物の溶融粘度が低く設定される。
すなわち、このような樹脂成分は、前述した充填材との組み合わせとすることで、樹脂組成物の溶融粘度を低くする機能を発揮する。
エポキシ樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、(メタ)アクリル酸エステル系エポキシ樹脂、脂環式系エポキシ樹脂およびグリシジルエステル系エポキシ樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、フェノール樹脂としては、特に限定されないが、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル(フェニレン、ビフェニレン骨格を含む)樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、トリフェノールメタン樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
さらに、アクリル樹脂としては、特に限定されないが、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリルモノマーののうちの1種による単独重合体、および、2種以上による共重合体が挙げられる。
このような樹脂成分のなかでも、特に、エポキシ樹脂であることが好ましい。エポキシ樹脂によれば、各種のモノマーとの組み合わせにおいて、樹脂組成物から得られる固化物の溶融粘度をより確実に低く設定することができる。
前述の通り、本発明では、充填材を、基材とポリマーとを備え、このポリマーの主鎖が基材に連結しているものとし、さらに、樹脂成分を、エポキシ樹脂、フェノール樹脂およびアクリル樹脂のうちの少なくとも1種とすることにより、この樹脂組成物から得られる固化物の溶融粘度を低く設定することができるが、この溶融粘度は、具体的には、樹脂組成物中における充填材の含有率を40vol%としたとき、E型粘度計を用いて測定した、温度110℃、回転速度1.0rad/sにおける溶融粘度で規定することができ、100Pa・s以下であることが好ましく、50Pa・s以下であることがより好ましく、10Pa・s以下であることがさらに好ましい。かかる条件を満足する樹脂組成物を、その固化物の溶融粘度が低く設定されているものと言うことができ、樹脂組成物に充填材をたとえ高充填率で添加したとしても、樹脂組成物(樹脂成分)中に充填材をより優れた分散性をもって分散させることができるため、かかる樹脂組成物から得られる樹脂成形体の熱伝導率および機械的強度をより優れたものとすることができる。
このような溶融粘度の関係を満足することができる、樹脂成分と、充填材が備えるポリマーとの好ましい組み合わせとしては、例えば、樹脂成分(エポキシ樹脂)としてのビフェニル型エポキシ樹脂と、モノマーとしてのメタクリル酸メチルとの組み合わせ、樹脂成分(エポキシ樹脂)としてのビフェニル型エポキシ樹脂と、モノマーとしてのスチレンとの組み合わせ、樹脂成分(エポキシ樹脂)としてのビフェニル型エポキシ樹脂と、モノマーとしての2官能脂環式エポキシモノマーとの組み合わせ、樹脂成分(エポキシ樹脂)としてのビスフェノールA型エポキシ樹脂と、モノマーとしての2官能脂環式エポキシモノマーとの組み合わせ等が挙げられる。このような組み合わせによれば、たとえ、高充填率に充填材を樹脂組成物中に添加したとしても、樹脂組成物中に充填材をより均一に分散させることができる。したがって、樹脂組成物への充填材の充填率を高く設定することが可能となるため、かかる樹脂組成物から得られる樹脂成形体の熱伝導率および機械的強度を向上させることができる。また、樹脂組成物中に充填材を均一に分散することができることから、形成される樹脂成形体において、各部位での不本意な組成のばらつきの発生を効果的に防止することができ、その結果、樹脂成形体は、安定した特性を発揮するものとなる。
なお、樹脂成分を、エポキシ樹脂および/またはフェノール樹脂を含むものとした場合、これらが熱硬化性樹脂であることから、かかる樹脂成分を含む樹脂組成物は、その加熱により硬化性を示すものとなるが、樹脂組成物から得られる固化物の溶融粘度は、未硬化の状態の樹脂組成物を用いて測定される。
<<その他の成分>>
さらに、上述したように、樹脂組成物は、充填材および樹脂成分を含むものであるが、必要に応じて、これら以外の成分(その他の成分)を含むものであってもよい。
例えば、樹脂成分として、熱硬化性樹脂を含有する場合、その他の成分として、例えば、硬化剤、硬化促進剤および重合開始剤等が挙げられる。
また、その他、重合禁止剤、溶媒、酸化防止剤、難燃剤、イオン捕捉剤、着色剤、離型剤、低応力剤、シランカップリング剤等が挙げられ、これらのうちの少なくとも1種を適宜含んでいてもよい。
<樹脂組成物の製造方法>
次に、上述した樹脂組成物を製造する樹脂組成物の製造方法について説明する。
なお、以下では、モノマーを重合反応させることにより基材に連結させることで、ポリマーの主鎖が基材に連結した充填材を得る場合を一例に説明する。
このような充填材を備える樹脂組成物は、基材と、この基材に主鎖が連結するポリマーを重合反応により生成するためのモノマー(モノマー成分)とを原料として用いて、このポリマーの主鎖が基材に連結した充填材を製造する充填材製造工程と、得られた充填材と樹脂成分とを混合する混合工程とを有する樹脂組成物の製造方法により製造される。
<<充填材製造工程>>
充填材製造工程は、基材と、この基材に主鎖が連結するポリマーを重合反応により生成するためのモノマー(モノマー成分)とを混合し、空気が1kPa以下の雰囲気中、好ましくは無酸素状態、すなわち、アルゴンや窒素等の不活性ガス中か、より好ましくは真空中(好ましくは1Pa以下、より好ましくは0.6Pa以下)であって、モノマーが気体、液体および固体のいずれとして存在してもよいが、好ましくはモノマーが液体(液状)として存在できる温度範囲内、より好ましくは室温(15〜30℃程度)において、基材を機械的に破壊した後、前述のモノマーを重合反応させることにより行われる。
ここで、無酸素状態にする有効な手段としては、モノマー内の酸素を、例えば、凍結−排気−融解により除去する方法(Freeze−pump−thaw法)が好適に用いられる。
なお、本工程において、基材を機械的に破壊するのに先立って、予めモノマーを混合するのは、基材が破壊されることにより形成される、ラジカルおよび/またはイオンを備える破壊物(基材)を中間体として分離・採取することなく、ワンポットで、基材と、この基材に連結したポリマーとを備える充填材を連続的に製造することができるという利点が得られるためである。
次に、基材を機械的に破壊する破壊方法について説明する。
まず、基材と重合反応させるモノマーとを同じ容器に入れ、さらに、これらに粉砕子を加え、真空装置を用いて真空にしたり、不活性ガスと置換したりして、内部が無酸素状態となるようにする。次いで、この容器を密閉し、例えば、容器を液体窒素中に浸漬した状態で、振とう器等を用いて加振しながら容器内の基材に対して機械的エネルギーを付加することで、基材を破壊する。
なお、容器や粉砕子としては、モノマーが固体として存在できる温度以下で使用できるものであればよく、具体的には、容器としては、例えば、ガラス製、ステンレス製等の金属容器が挙げられ、粉砕子としては、例えば、ガラス製、陶製、ジルコニア系等のボールが挙げられる。
上記のような容器および粉砕子を用いることで、基材が機械的に破壊され、この破壊の際に、ラジカルまたはイオンのうちの少なくとも1種を備える破壊物(基材)が生成される。
そして、モノマーがラジカル重合するものである場合には、この破壊物で生成されたラジカルが、モノマーの重合開始剤となり、その結果、破壊物(基材)にモノマーがラジカル重合することから、モノマーがラジカル重合したポリマーが、破壊物(基材)に連結した状態で生成される。これに対して、モノマーがイオン重合するものである場合には、この破壊物で生成されたイオンが、モノマーの重合開始剤となり、その結果、破壊物(基材)にモノマーがイオン重合することから、モノマーがイオン重合したポリマーの主鎖が、破壊物(基材)に連結した状態で生成される。
なお、基材がシリカである場合、充填材は、下記式(1)に示すように、基材に含まれるSi原子に、モノマーが重合反応することにより生成されたポリマーが備える主鎖の一端が連結した状態、または、下記式(2)に示すように、基材に含まれるO原子に、モノマーが重合反応することにより生成されたポリマーが備える主鎖の一端が連結した状態で生成される。さらに、基材が窒化ホウ素である場合、充填材は、下記式(3)に示すように、基材に含まれるB原子に、モノマーが重合反応することにより生成されたポリマーが備える主鎖の一端が連結した状態、または、下記式(4)に示すように、基材に含まれるN原子に、モノマーが重合反応することにより生成されたポリマーが備える主鎖の一端が連結した状態で生成される。
Figure 0006279864
[式(1)〜(4)中、Rは、それぞれ独立に、モノマーに由来する繰り返し単位を表し、nは、1以上の整数であり、ポリマーに含まれる繰り返し単位の数を表す。]
以上のような工程を経ることで、基材とポリマーとを備える充填材が製造される。
なお、基材の破壊物におけるラジカルまたはイオンの生成確認は、電子スピン共鳴(以下、「ESR」ともいう)によるESRスペクトルの解析により行うことができ、さらに、基材とポリマーとを備える充填材の生成確認は、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)を用いた公知の化学種同定方法により行うことができる。
上記のようにして得られた充填材を、そのまま次工程に供するようにしてもよいが、抽出法等により粗粒子を除去し、微粒子を選択的に用いるようにしてもよい。この微粒子の抽出は、例えば、上記のようにして得られた粉末を用い、公知のソックスレー抽出法により濾液を採取した後、この濾液中の分散媒を蒸発させて残留物を得る方法により行うことができる。これにより、例えば、粒径が200nm以下の充填材(ナノ粒子)を選択的に得ることができる。
なお、本実施形態では、基材を機械的に破壊することで、基材にラジカルまたはイオンを発生させ、これらを起点としてモノマーを重合反応(ラジカル重合またはイオン重合)させることにより、ポリマーの主鎖が基材に連結した充填材を得る場合について説明したが、基材にラジカルまたはイオンを発生させる方法としては、基材を機械的に破壊する方法に限定されるものではない。例えば、基材にプラズマを照射するプラズマ照射法等によって、ラジカルまたはイオンを基材に発生させてもよい。
<<混合工程>>
次に、上記のようにして得られた充填材と、樹脂成分とを混合する。
この混合は、例えば、加熱ロール、ニーダーおよび押出機等を用いて行うことができる。
これにより、充填材と樹脂成分とを含有する樹脂組成物(本発明の樹脂組成物)を得ることができる。
<半導体装置の製造方法>
次に、本発明の樹脂組成物を用いた半導体装置(本発明の半導体装置)の製造方法について説明する。
この半導体装置の製造方法には、本発明の樹脂組成物の固化物を粉末にしたもの、および、この粉末をタブレットとしたもののいずれをも用いることができる。
なお、樹脂組成物をタブレットとするには、例えば、粉末とした樹脂組成物を加圧して成形することにより行うことができる。このように樹脂組成物をタブレットとすることで、樹脂組成物の保管、輸送および成形作業を容易に行うことができる。
このような粉末またはタブレットとした樹脂組成物を用いて半導体装置を製造する場合、素子を搭載したリードフレームまたは回路基板等を金型キャビティ内に設置した後、樹脂組成物の粉末またはタブレットをトランスファーモールド、コンプレッションモールド等の成形方法で成形、固化(または硬化)させて封止部を形成することにより半導体装置を製造することができる。
なお、封止される素子としては、例えば、集積回路、大規模集積回路、トランジスタ、サイリスタ、ダイオード、固体撮像素子等が挙げられるが、これらに限定されない。
得られる半導体装置の形態としては、例えば、デュアル・インライン・パッケージ(DIP)、プラスチック・リード付きチップ・キャリヤ(PLCC)、クワッド・フラット・パッケージ(QFP)、ロー・プロファイル・クワッド・フラット・パッケージ(LQFP)、スモール・アウトライン・パッケージ(SOP)、スモール・アウトライン・Jリード・パッケージ(SOJ)、薄型スモール・アウトライン・パッケージ(TSOP)、薄型クワッド・フラット・パッケージ(TQFP)、テープ・キャリア・パッケージ(TCP)、ボール・グリッド・アレイ(BGA)、チップ・サイズ・パッケージ(CSP)等が挙げられるが、これらに限定されない。
また、樹脂成分を、エポキシ樹脂および/またはフェノール樹脂を含むものとした場合、製造された半導体装置は、そのまま、あるいは80℃から200℃程度の温度で、10分から10時間程度の時間をかけてこの樹脂組成物を完全硬化させた後、電子機器等に搭載される。
以上のようにして、封止部が本発明の樹脂組成物の固化物または硬化物(本発明の樹脂成形体)で構成された半導体装置が得られる。
このような半導体装置は、封止部が優れた熱伝導率を有するものとなるため、放熱特性に優れたものとなる。
なお、本発明の樹脂成形体は、上述したような半導体装置が備える封止部に適用できる他、例えば、樹脂材料で構成される自動車用部品、各種フィルム(特に、食品包装や医薬品包装用のフィルム等)および筐体等が挙げられる。また、本発明の樹脂組成物としては、例えば、塗料等に適用することができる。
以上、本発明の樹脂組成物、樹脂成形体および半導体装置について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、本発明の樹脂組成物および樹脂成形体には、同様の機能を発揮し得る、任意の成分が添加されていてもよい。
また、本発明の半導体装置の各部の構成は、同様の機能を発揮し得る任意のものと置換することができ、あるいは、任意の構成のものを付加することもできる。
以下、本発明を具体的な実施例および比較例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[1]充填材の製造
(製造例1)
基材としてアルミナ粒子(アドマテックス社製、「AO−502」)と、モノマーとしてメタクリル酸メチル(MMA)とを遊星ボールミル(P−6、FRITSCH社製)(容器、粉砕子共にジルコニア製)に入れ、容器内雰囲気をアルゴンガスに置換した後に、室温(25℃)で3時間、基材の機械的破壊を行うことで、基材に表面処理を施した。
なお、アルミナ粒子とメタクリル酸メチル(MMA)とを、容器中に重量比で、100:5となるように、容器中に入れた。
その結果、アルミナ粒子の表面にPMMA樹脂がラジカル重合によりグラフト化された充填材の生成が確認された。
なお、このアルミナ粒子(基材)へのPMMA樹脂(ポリマー)のグラフト化は、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)を用いて、1730cm−1付近にカルボニル基の伸縮振動のピークの有無を確認することで行なった。
(製造例2)
モノマーとしてMMAに代えてスチレンを用いたこと以外は前記製造例1と同様にして充填材を製造した。
その結果、FT−IRを用いて、3000〜3100cm−1付近にベンゼン環の伸縮振動のピークの有無を確認したところ、そのピークが認められたことから、アルミナ粒子の表面にポリスチレン樹脂がラジカル重合によりグラフト化された充填材が生成されていることが判った。
(製造例3)
モノマーとしてMMAに代えて2官能脂環式エポキシモノマー((3,3’,4,4’−ジエポキシ)ビシクロヘキシル)を用いたこと以外は前記製造例1と同様にして充填材を製造した。
その結果、FT−IRを用いて、2900〜3000cm−1付近にシクロヘキサン環の伸縮振動のピークの有無を確認したところ、そのピークが認められたことから、アルミナ粒子の表面にエポキシ樹脂がイオン重合によりグラフト化された充填材が生成されていることが判った。
(製造例4)
モノマーとしてMMAに代えてオレイン酸を用いたこと以外は前記製造例1と同様にして充填材を製造した。
その結果、FT−IRを用いて、1730cm−1付近にカルボニル基の伸縮振動のピークの有無を確認したところ、そのピークが認められたことから、アルミナ粒子の表面にオレイン酸の重合体がイオン重合によりグラフト化された充填材が生成されていることが判った。
(製造例5)
基材としてシリカ粒子(日本エアロジル社製、「AEROSIL200」)を用いた以外は、前記製造例1と同様にして充填材を製造した。
その結果、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)を用いて、1730cm−1付近にカルボニル基の伸縮振動のピークの有無を確認したところ、そのピークが認められたことから、シリカ粒子の表面にPMMA樹脂がグラフト化された充填材が生成されていることが判った。
(製造例6)
基材として窒化ホウ素粒子(昭和電工社製、「UHP−1k」)を用いた以外は、前記製造例1と同様にして充填材を製造した。
その結果、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)を用いて、1730cm−1付近にカルボニル基の伸縮振動のピークの有無を確認したところ、そのピークが認められたことから、窒化ホウ素粒子の表面にPMMA樹脂がグラフト化された充填材が生成されていることが判った。
(製造例7)
モノマーとしてのメタクリル酸メチル(MMA)の遊星ボールミルへの添加を省略したこと以外は、前記製造例1と同様にして、アルミナ粒子に対するPMMA樹脂のグラフト化が省略された充填材を製造した。
(製造例8)
モノマーに代えて、カップリング剤としての3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン社製、「KBM−903」)を遊星ボールミルに添加したこと以外は、前記製造例1と同様にして、アルミナ粒子に3−アミノプロピルトリメトキシシランが表面修飾された充填材を製造した。
[2]樹脂組成物の製造
(実施例1)
製造例1で製造した充填材(アルミナ粒子の表面にPMMA樹脂がグラフト化された充填材)と、樹脂成分としてのビフェニル型エポキシ樹脂(三菱化学社製、「YX4000」)と、硬化剤としてのフェノール樹脂(明和化成株式会社製、「MEH−7500」)とを、容積比で、充填材とビフェニル型エポキシ樹脂とが40:60となるように、二軸混練機(Xplore社製、「Compounder 15」)を用いて混合することで樹脂組成物を得た。
(実施例2)
製造例1で製造した充填材に代えて、製造例2で製造した充填材(アルミナ粒子の表面にポリスチレン樹脂がグラフト化された充填材)を用いたこと以外は、前記実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。
(実施例3)
製造例1で製造した充填材に代えて、製造例3で製造した充填材(アルミナ粒子の表面にエポキシ樹脂がグラフト化された充填材)を用いたこと以外は、前記実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。
(実施例4)
製造例1で製造した充填材に代えて、製造例5で製造した充填材(シリカ粒子の表面にPMMA樹脂がグラフト化された充填材)を用いたこと以外は、前記実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。
(実施例5)
製造例1で製造した充填材に代えて、製造例6で製造した充填材(窒化ホウ素粒子の表面にPMMA樹脂がグラフト化された充填材)を用いたこと以外は、前記実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。
(実施例6)
樹脂成分としてのビフェニル型エポキシ樹脂に代えて、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ダウケミカル社製、「DER−331J」)を用いたこと以外は、前記実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。
(実施例7)
樹脂成分としてのビフェニル型エポキシ樹脂に代えて、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ダウケミカル社製、「DER−331J」)を用いたこと以外は、前記実施例2と同様にして樹脂組成物を得た。
(実施例8)
樹脂成分としてのビフェニル型エポキシ樹脂に代えて、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ダウケミカル社製、「DER−331J」)を用いたこと以外は、前記実施例3と同様にして樹脂組成物を得た。
(実施例9)
製造例1で製造した充填材に代えて、製造例4で製造した充填材(アルミナ粒子の表面にオレイン酸の重合体がグラフト化された充填材)を用い、樹脂成分としてのビフェニル型エポキシ樹脂に代えて、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ダウケミカル社製、「DER−331J」)を用いたこと以外は、前記実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。
(比較例1)
充填材として、製造例1で製造したものに代えて、製造例7で製造した充填材(アルミナ粒子に対するPMMA樹脂のグラフト化が省略された充填材)を用いたこと以外は、前記実施例1と同様にして樹脂組成物を製造した。
(比較例2)
充填材として、製造例1で製造したものに代えて、製造例8で製造した充填材(アルミナ粒子に3−アミノプロピルトリメトキシシランが表面修飾された充填材)を用いたこと以外は、前記実施例1と同様にして樹脂組成物を製造した。
[3]成形体の製造
各実施例および各比較例の樹脂組成物を用いて、以下のようにして後述する評価に用いる樹脂成形体(樹脂成形体A、B)を製造した。
[3.1]樹脂成形体Aの製造
各実施例および各比較例の樹脂組成物について、樹脂成分の融点Tmに対して、Tm+20℃で樹脂組成物を加熱してプレスした後、冷却して成形した後、200℃×1時間の条件で加熱処理して硬化させることで、長さ50mm×幅5mm×厚み0.5mmのフィルム状の樹脂成形体Aを得た。
[3.2]樹脂成形体Bの製造
各実施例および各比較例の樹脂組成物について、樹脂成分の融点Tmに対して、Tm+20℃で樹脂組成物を加熱してプレスした後、冷却して成形した後、200℃×1時間の条件で加熱処理して硬化させることで、長さ10mm×幅10mm×厚さ0.5mmのフィルム状の樹脂成形体Bを得た。
[4]樹脂組成物および樹脂成形体の評価
[4.1]樹脂成形体の機械的強度の測定
上記[3.1]で得られた各実施例および各比較例の樹脂組成物から得られた樹脂成形体Aについて、それぞれ、オートグラフ AG−IS 200N(島津製作所社製)を用いて、JIS K7171に準拠した測定により、引張弾性率および引張強度を求めた。
[4.2]樹脂成形体の熱伝導率の測定
上記[3.2]で得られた各実施例および各比較例の樹脂組成物から得られた樹脂成形体Bについて、それぞれ、キセノンフラッシュアナライザー(NETZSH社製、「LFA447」)を用いて、25℃における熱伝導率の測定を行った。
[4.3]樹脂組成物の溶融粘度の測定
実施例1〜9、比較例1〜2で得られた、二軸混練機(Xplore社製、「Compounder 15」)を用いて混合した硬化前の樹脂混合物について、それぞれ、E型粘度計(ティー・エイ・インスツルメント社製、「ARES−2KFRTN1−FCO−LS」)を用いて、温度110℃、回転速度1.0rad/sにおける溶融粘度の測定を行った。
これらの結果を表1に示す。
Figure 0006279864
表1に示したように、各実施例では、E型粘度計を用いて測定した、温度110℃、回転速度1.0rad/sにおける溶融粘度が100Pa・s以下のものと溶融粘度を低く設定することができ、これにより、優れた機械的強度および熱伝導率を示す結果となった。
これに対して、比較例では、溶融粘度が100Pa・s超のものとなっており、各実施例と比較して、機械的強度および熱伝導率に劣る結果となった。

Claims (6)

  1. 基材とポリマーとを備え、前記ポリマーの主鎖が前記基材に直接連結している充填材と、
    樹脂成分とを含有する樹脂組成物であって、
    前記ポリマーは、モノマーとしてのモノ不飽和脂肪酸もしくは2官能脂環式エポキシモノマーが重合反応することにより、前記基材に連結したものであり、前記樹脂成分は、ビスフェノール型エポキシ樹脂である組み合わせ、または、
    前記ポリマーは、モノマーとしての2官能脂環式エポキシモノマーが重合反応することにより、前記基材に連結したものであり、前記樹脂成分は、ビフェニル型エポキシ樹脂である組み合わせであり、
    当該樹脂組成物中における前記充填材の含有率を40vol%に設定した際には、E型粘度計を用いて測定した、温度110℃、回転速度1.0rad/sにおける、当該樹脂組成物の溶融粘度は、100Pa・s以下を示すことを特徴とする樹脂組成物。
  2. 前記重合反応は、イオン重合である請求項に記載の樹脂組成物。
  3. 前記基材は、無機材料を主材料として構成されるものである請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記基材は、粒子状をなしている請求項1ないしのいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. 請求項1ないしのいずれか1項に記載の樹脂組成物を用いて、成形されてなることを特徴とする樹脂成形体。
  6. 請求項1ないしのいずれか1項に記載の樹脂組成物を備えることを特徴とする半導体装置。
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