JP6277897B2 - 固体酸化物形燃料電池セル - Google Patents

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Description

本発明は、固体酸化物形燃料電池を構成する電池セルの構造に関するものである。
従来、この種の固体酸化物形燃料電池を構成する電池セルとして、例えば特許文献1に記載されたものがある。この特許文献1に記載された電池セルは、アノード層である燃料極の電解質層側とは反対側に積層された抑制層を備えている。これにより、焼結時に電解質層の材料が収縮することにより生じる応力と抑制層の材料が収縮することにより生じる応力とが相殺されるので、電池セルの反りを抑制することができる。この抑制層は、例えばメッシュ状に形成されている。
特開2014−7127号公報 特開2012−142241号公報
固体酸化物形燃料電池の電池セルは、通常、その電池セルを構成する複数の層がセル基板として一体的に焼成され、そのセル基板においては、通常、酸化ガス側と燃料ガス側とで材料が異なる。そのため、電池セルの厚み方向において焼成時の収縮挙動に差異が生じる。更に、厚み方向においてセル基板の材料構成が非対称構造となっているために、焼成後の電池セルに反りが生じてしまう。従って、集電体としてのセパレータを介して多数の電池セルをスタックさせたときの荷重に、反りを有する電池セルが耐えられずに割れてしまうことがある。
また、電池セルが反っていると、電池セルの空気極または燃料極と集電体との接触面積が不足し、それに起因して電池セルの発電効率が落ちてしまう。これに対する対策として、特許文献2の電池セルの製造方法においては、電池セルの反りを抑制するために所定材料の焼成体が設けられ、セル基板は、厚み方向に対称的な焼成時の収縮挙動を示す構造に近づけられている。しかしながら、この電池セルの製造方法では燃料ガスを拡散し易くするために、電池セルの焼成後に燃料ガス流路側を削る必要があり、電池セルの製造プロセス上、好ましくない。
一方で、上述した特許文献1の電池セルでは、反りを抑制する抑制層をメッシュ構造にすることで、電池セルの焼成後にその抑制層を除去せずに燃料ガスを燃料極へ導入可能としている。しかし、特許文献1の電池セルの構造では、焼成時のセル基板の最外層は、電解質層材料と空気極材料との反応を抑える中間層、または、電解質層になるため、抑制層は、その中間層または電解質層と同じ材料で構成される。そして、その中間層材料および電解質層材料は何れも電子伝導性が低いので、燃料極が抑制層を介して集電体に接触させられると、電池セルの集電性が低下することになる。
そこで、固体酸化物形燃料電池の電池セルでは、電池セルの反りを抑制すると共に燃料極における集電性を損なわないようにする必要があると考えられた。
更に、固体酸化物形燃料電池は、多数の電池セルを積層したスタック構造とされるので、その電池セルは高温下で厚み方向に押圧力を受けつつ発電させられる。また、電池セルは非発電時には常温にまで下がる。従って、発電中に電池セル内で温度のバラツキが拡大すると、電池セルにおいて、熱応力に起因した割れを生じるおそれがあった。
本発明は上記点に鑑みて、燃料極側としてのアノード側における集電性を損なわないように電池セルの反りを抑制しつつ、発電中の電池セル内の温度分布において温度のバラツキを抑えることが可能な固体酸化物形燃料電池セルを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池セルの発明では、酸化ガスが供給されるカソード層(18)と、
そのカソード層に対しそのカソード層の一方面(181)側に積層された固体電解質層(16)と、
その固体電解質層に対しカソード層側とは反対側に積層され、燃料ガスが供給される第1アノード層(24)と、
その第1アノード層に対しカソード層側とは反対側に積層され、燃料ガスが供給され、第2アノード層(28)と第3アノード層(30)とから構成された複合アノード層(26)とを備え、
第1アノード層は、固体電解質層および第2アノード層の各々に比して厚く形成され、
第2アノード層には貫通孔(281)が形成されており、
第3アノード層は、第1アノード層に対し第2アノード層を介して積層された基準部(301)と、その基準部から突き出し第2アノード層の貫通孔を通って第1アノード層に接続された凸部(302)とを有すると共に、第2アノード層よりも高い熱伝導性と高い導電性とを有し、
固体電解質層、第1アノード層、および第2アノード層は焼成されることによって形成されており、
固体電解質層および第2アノード層は、第1アノード層と比較した焼成時の収縮率の大小傾向が互いに同じ傾向になるように構成され、
複合アノード層は、第1アノード層のうち、複合アノード層が設けられていないとした仮定の下での発電中に高温になる部位ほど第1アノード層から放熱され易くなるように、複合アノード層内において熱伝導性に差異を有していることを特徴とする。
上述の発明によれば、固体電解質層および第2アノード層は、第1アノード層と比較した焼成時の収縮率の大小傾向が互いに同じ傾向になるように構成されているので、焼成時において第2アノード層の収縮が、第1アノード層と固体電解質層との間の収縮率差に起因した電池セルの反りを抑えるように作用する。従って、第2アノード層が無い構成と比較して、電池セルの焼成による反りを抑えることが可能である。そして、第3アノード層の基準部は、第1アノード層に対し第2アノード層を介して積層されており、第3アノード層は凸部において第1アノード層に接続され、第2アノード層よりも高い導電性を有しているので、アノード側における集電性を損なわないようにすることが可能である。
更に、複合アノード層は、第1アノード層のうち、複合アノード層が設けられていないとした仮定の下での発電中に高温になる部位ほど第1アノード層から放熱され易くなるように、複合アノード層内において熱伝導性に差異を有しているので、発電中の第1アノード層内の温度分布、延いては電池セル内の温度分布において、温度のバラツキを抑えることが可能である。
なお、特許請求の範囲およびこの欄で記載した括弧内の各符号は、後述する実施形態に記載の具体的内容との対応関係を示す一例である。
第1実施形態において固体酸化物形燃料電池セル10の構造を示した断面図である。 図1におけるII部詳細図である。 図1のIII−III断面図である。 図1の固体酸化物形燃料電池セル10を製造するために、電解質層16用のグリーンシート、第1アノード層24用のグリーンシート、および第2アノード層28用のグリーンシートをそれぞれ製造する製造工程を示したフローチャートである。 図4の工程に続いて電池セル10を製造する製造工程を示したフローチャートである。 図5のステップS203にて電解質層形成シート161と第1アノード層形成シート242と第2アノード層形成シート283とが積層された状態を模式的に示す斜視図である。 図5のステップS203で得られる圧着済シート50を示した断面図である。 図5のステップS204で凸部302および切欠き内凸部303の材料305が圧着済シート50に印刷された状態を示した断面図である。 凸部302および切欠き内凸部303の材料305が印刷された圧着済シート50に、図5のステップS205で更に基準部301の材料306が印刷された状態を示した断面図である。 図5のステップS208にて焼成セル基板52に中間層22の材料221が印刷された状態を示した断面図である。 中間層22が焼き付けられた焼成セル基板52に、図5のステップS210にてカソード層18の材料183が印刷された状態を示した断面図である。 コフロー(Co-flow)を前提として、複合アノード層26が無いとした構成における電池セル10の温度分布と、第1実施形態の第2アノード層28の貫通孔281および第3アノード層30の凸部302とを示した図である。 カウンターフロー(Counter-flow)を前提として、複合アノード層26が無いとした構成における電池セル10の温度分布と、第2実施形態の第2アノード層28の貫通孔281および第3アノード層30の凸部302とを示した図である。 第1本実施形態および第2実施形態の電池セル10と比較される比較例1、2の電池セル10において複合アノード層26を示した図であって、図3に相当する断面図である。 第1実施形態の一変形例において複合アノード層26を示した断面図であって、図3に相当する図である。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
図1は、本実施形態における固体酸化物形燃料電池セル10の構造を示した図であり、断面図示されている。図1に示す固体酸化物形燃料電池セル10(以下、単に電池セル10と呼ぶ)は、複数積層されることにより不図示の燃料電池スタックを構成する。そして、燃料電池スタックにおいて電池セル10相互間には集電体12がそれぞれ介装されている。すなわち、電池セル10は、燃料電池スタックにおける発電の最小単位となっている。なお、図1は、電池セル10に押し当てられる集電体12を電池セル10から離した分解図として表示されている。また、1つの電池セル10を挟む一対の集電体12のうち、カソード側をカソード側集電体12aと呼び、アノード側をアノード側集電体12bと呼ぶ。但し、両者を区別しないときは単に集電体12と呼ぶものとする。
図1に示すように、電池セル10は、電解質層16とカソード層18と中間層22と第1アノード層24と複合アノード層26とを備えており、カソード層18、中間層22、電解質層16、第1アノード層24、複合アノード層26の順に積層されている。そのため、電池セル10は、それらを積層する積層方向を厚み方向DR1とした平板形状を成している。すなわち、電池セル10は平板型固体酸化物形燃料電池セルである。なお、各層16、18、22、24、26の厚み方向はそれぞれ、電池セル10の厚み方向DR1と同じである。また、電池セル10の厚み方向DR1をセル厚み方向DR1と呼ぶ。
電解質層16は、固体酸化物形燃料電池に用いられる周知の固体電解質層である。電解質層16は、燃料ガスが透過するのを防ぐ緻密層である。また、電解質層16は、酸素イオン(O2−)を透過させ、電気的な絶縁性を有している。電解質層16は、例えばジルコニウム系酸化物を主成分として構成されている。そのジルコニウム系酸化物としては、Y、Sc、Gd、Sm、Yb、Nd等の希土類酸化物を1種または2種以上含む安定化ジルコニア等を例示することができる。
具体的に、電解質層16は平板形状を成している。そして、電解質層16は、一方面16aとその一方面16aに対する反対側に設けられた他方面16bとを有している。すなわち、電解質層16において一方面16aおよび他方面16bは互いに表裏関係にある。電解質層16は、カソード層18の一方面181側に積層されている。
中間層22は、電解質層16に対しその電解質層16の一方面16a側に積層され、その一方面16aに接合されている。この中間層22は、電解質層16の一方面16aとカソード層18の一方面181との間に介装されている。中間層22は、例えばセリウム系酸化物を主成分として構成されている。そのセリウム系酸化物としては、Gd、Sm、Y、La、Nd、Yb、Ca、Dr、および、Hoから選択される1種または2種以上の元素がドープされたセリア系固溶体などを例示することができる。
そして、中間層22は、酸素イオンを透過させる酸素イオン伝導性を有している。また、中間層22は、カソード層18の元素拡散を抑制し、それにより電解質層16とカソード層18との反応を防止するための反応防止層として機能する。
カソード層18は、中間層22に対し電解質層16側とは反対側に接合されている。すなわち、カソード層18は、電解質層16に対しその電解質層16の一方面16a側に、中間層22を介して積層されている。このカソード層18は、固体酸化物形燃料電池に用いられる周知の空気極電極層であるので、導電性を有する多数の微細な金属酸化物粒子が焼結することによって構成された多孔質層となっている。そのため、カソード層18は、ガス拡散性を有し、電子伝導性および酸素イオン伝導性も有している。そして、カソード層18は、酸素ガスを酸素イオン化する反応場を形成する。カソード層18は、例えばランタンストロンチウムコバルタイト(LSC)またはランタンストロンチウムコバルタイトフェライト(LSCF)等で構成されている。
カソード層18は、中間層22に接合されている一方面181とは反対側に他方面182を有している。そのカソード層18の他方面182にはカソード側集電体12aが押し当てられ積層されている。これにより、カソード層18はカソード側集電体12aに電気的に接続され、カソード層18とカソード側集電体12aとの間に、酸化ガスとしての空気が他方面182に沿って流通する酸化ガス流路40が形成されている。カソード層18には、その酸化ガス流路40から酸化ガスが供給される。
また、複合アノード層26の表面としての後述の基準部表面304にはアノード側集電体12bが押し当てられ積層されている。これにより、基準部表面304はアノード側集電体12bに電気的に接続され、複合アノード層26とアノード側集電体12bとの間に、燃料ガスが基準部表面304に沿って流通する燃料ガス流路42が形成されている。第1アノード層24および複合アノード層26には、その燃料ガス流路42から燃料ガスが供給される。なお、酸化ガスは酸化剤ガスとも呼ばれる。
第1アノード層24は、電解質層16に対しその電解質層16の他方面16b側に積層され、その他方面16bに接合されている。すなわち、第1アノード層24は、電解質層16に対しカソード層18側とは反対側に積層されている。
第1アノード層24は、固体酸化物形燃料電池に用いられる周知の燃料極電極層であり、多孔質層となっている。そのため、第1アノード層24は、電子伝導性、酸素イオン伝導性、およびガス拡散性を有している。そして、第1アノード層24は、酸素イオンと燃料ガスとが反応する反応場を形成する。
第1アノード層24は、一般的には金属触媒と電解質層16の材料とから構成されていることが望ましい。その金属触媒と電解質層16の材料との構成比率は、電池セル10の電極反応抵抗、電解質層16との接合性、電池セル10に必要とされる強度等から決定されている。例えば、本実施形態の第1アノード層24はNi−YSZ等で構成されている。YSZとは、イットリア安定化ジルコニアを略した表記である。
第1アノード層24は、電池セル10の中で最も厚い層として構成されている。すなわち、第1アノード層24は、電池セル10を構成する他の層16、18、22、26の何れと比較しても厚い。更に言えば、第1アノード層24は、電池セル10の中で第1アノード層24を除いた他の層16、18、22、26の合計厚みよりも厚く構成されている。例えば、第1アノード層24の厚みは200μm以上となっている。そのため、第1アノード層24は、電池セル10の支持体(言い換えれば、支持基盤)として十分な機械的強度および耐久性を備えている。なお、第1アノード層24の多孔質は、「NiO→Ni」の還元反応および造孔剤の作用によって生じたものである。例えばその還元反応は電池セル10の焼成後に行われる。
複合アノード層26は、第1アノード層24に対しカソード層18側とは反対側に積層され、第1アノード層24に接合されている。そして、複合アノード層26は、第2アノード層28と第3アノード層30とから構成されている。
また、複合アノード層26は、セル厚み方向DR1において、カソード層18側とは反対側の最外層を構成している。従って、第1アノード層24と複合アノード層26とを相互に比較すると、電池セル10の中で第1アノード層24は内側に配置され、複合アノード層26は外側に配置されているので、第1アノード層24を内側アノード層と呼び、複合アノード層26を外側アノード層と呼んでもよい。
第2アノード層28は、焼成時に発生する電池セル10の反りを抑え電池セル10自体の強度を向上させる補強層となっている。第2アノード層28は、第2アノード層28と同時に焼成される第1アノード層24を挟んだ反対側の最外層と同じ主成分で構成されている。なぜなら、電池セル10の反りを抑える観点から、第2アノード層28の材料としては、電池セル作製時(例えば1400℃程度にまで加熱される焼成時)に上記反対側の最外層と収縮率を近くする必要があるからである。
本実施形態では、後述するように、第2アノード層28は、第1アノード層24、および電解質層16と同時に焼成され、上記反対側の最外層は電解質層16であるので、例えば、電解質層16と同じようにジルコニウム系酸化物を主成分として構成されている。そのため、第2アノード層28および電解質層16は、第1アノード層24と比較した焼成時の収縮率の大小傾向が互いに同じ傾向になるように構成されている。その収縮率の大小傾向が互いに同じ傾向であることとは、第1アノード層24の収縮率と比較して、第2アノード層28および電解質層16の一方の収縮率が大きければ他方の収縮率も大きく、一方の収縮率が小さければ他方の収縮率も小さいということである。
具体的に、本実施形態の電池セル10では、第2アノード層28および電解質層16は何れも、焼成時の収縮率が第1アノード層24よりも小さい。なお、主成分とは、一要素を構成する複数種類の構成材料のうち質量割合が最も大きい構成材料のことである。また、収縮率は、「収縮率=(収縮前の長さ−収縮後の長さ)/収縮前の長さ」で算出される。
また、第2アノード層28には、図2および図3に示すように、大きさが大小異なる複数の貫通孔281と、複数の周縁部切欠き282とが形成されている。図2は図1におけるII部詳細図であり、図3は図1のIII−III断面図である。燃料ガス流路42(図1参照)の燃料ガスは貫通孔281内および周縁部切欠き282内を通って第1アノード層24へ拡散するので、第2アノード層28自体はガス拡散性を有する必要がなく、例えば緻密層となっている。貫通孔281は円形状の孔になっている。そして、貫通孔281および周縁部切欠き282は、第1アノード層24と第3アノード層30とを電気的につなぐため且つ第3アノード層30から第1アノード層24へと燃料ガスを透過させるために、全体として十分な面積を有している。
上記のように燃料ガスは貫通孔281内および周縁部切欠き282内を通って第1アノード層24へ供給され、第2アノード層28内で貫通孔281および周縁部切欠き282が占める割合が大きいほど、多くの燃料ガスが供給可能となる。従って、第2アノード層は、第1アノード層24への燃料ガス供給量を調節する機能を有している。
複合アノード層26は、セル厚み方向DR1から見ると、正方形形状または長方形形状(要するに、矩形形状)を成しており、第2アノード層28の複数の周縁部切欠き282は、第2アノード層28の四辺である周縁部分28aに間隔を空け並んで形成されている。具体的に、周縁部切欠き282は、貫通孔281を2つに分断した一方と同じ形状を成している。
第3アノード層30は、平板状の基準部301と、複数の凸部302と、複数の切欠き内凸部303とから構成されている。これらの部位301、302、303は相互に異なる材料で構成されていても差し支えないが、本実施形態の第3アノード層30では何れも同一材料で構成されている。
そして、第3アノード層30は、第1アノード層24と同様に、金属触媒と電解質層16の材料とから構成されていることが望ましい。更に言えば、第3アノード層30はアノード側集電体12bに電気的に接触させられるので集電性を考慮して、第3アノード層30における金属触媒と電解質層16の材料との構成比率が、第3アノード層30の電気伝導率(電子導電率または導電率とも言う)を第1アノード層24よりも高くするように決定されてもよい。
また、第3アノード層30の電気伝導率が第1アノード層24よりも高くなるのであれば、第3アノード層30は、第1アノード層24と異なる材料で構成されていても良いが、焼成時および電池セル10の発電時において第1アノード層24および第3アノード層30の線膨張係数は、第2アノード層28に対して、電池セル10の割れを生じない程度に近い値になっている必要がある。
具体的に、本実施形態の第3アノード層30は、例えばNi−YSZまたはNi−GDCであって殆どニッケル(Ni)で構成され、多孔質層となっている。そのため、第3アノード層30は電子伝導性およびガス拡散性を有し、第2アノード層よりも高い熱伝導性と高い導電性とを有している。言い換えれば、第3アノード層30の電気伝導率および熱伝導率は、第2アノード層に比して高い。なお、第3アノード層30の多孔質は、「NiO→Ni」の還元反応および造孔剤の作用によって生じたものである。また、GDCとは、ガドリニウムドープセリア(例えば、Gd1-XCeXO2-δ)を略した表記である。
第3アノード層30の基準部301は、第1アノード層24に対し第2アノード層28を介して積層されている。基準部301は、第1アノード層24側とは反対側に基準部表面304を有しており、この基準部表面304は複合アノード層26の表面にもなっている。基準部表面304には、アノード側集電体12b(図1参照)が押し当てられることにより電気的に接続される。すなわち、基準部301は、電池セル10のアノード側の最外層を構成しており、アノード側集電体12bに対する電気的接触性を向上させるために設けられている。基準部301は、電池セル10におけるアノード側の集電性を低下させないような厚みであればよく、例えばその厚みは10〜20μmで十分である。
第3アノード層30の凸部302は、円柱形状を成しており、基準部301から第1アノード層24側に突き出している。そして、凸部302は、第2アノード層28の貫通孔281を通って第1アノード層24の複合アノード層26側の一方面241に接続されている。すなわち、複数の凸部302はそれぞれ、第2アノード層28の貫通孔281毎に挿入されている。詳細には、凸部302は、第2アノード層28の貫通孔281内を満たすように形成され、凸部302の外径は貫通孔281の内径と同じになっている。
また、図3に示すように、複数の貫通孔281は、後述のガス流通方向DR3に沿って千鳥状に配置されている。要するに、各貫通孔281は、ガス流通方向DR3において互い違いに配置されており、各凸部302も同様に配置されている。
第3アノード層30の切欠き内凸部303は、基準部301の周縁部分に設けられ、基準部301から第1アノード層24側に突き出している。切欠き内凸部303は、第2アノード層28の周縁部切欠き282内を通って第1アノード層24に接続されている。すなわち、複数の切欠き内凸部303はそれぞれ、第2アノード層28の周縁部切欠き282毎に挿入されている。具体的には、切欠き内凸部303は、第2アノード層28の周縁部切欠き282内を満たすように形成されている。
詳細には、複合アノード層26は、図3に示すように、矩形形状の四辺を構成する4つの側端26aを有している。そして、複合アノード層26の側端26aのそれぞれでは、切欠き内凸部303と第2アノード層28とが側端26aの長手方向に沿って交互に並んで設けられている。
このように周縁部切欠き282と切欠き内凸部303とが形成されているので、第1アノード層24の一方面241は、その一方面241の周縁に、第2アノード層28に接合している部分と第3アノード層30の切欠き内凸部303に接合している部分とを備えている。そして、その第2アノード層28に接合している部分と切欠き内凸部303に接合している部分とは、上記一方面241の周縁に沿って交互に並んで配置されている。
図1に示す集電体12は、積層された電池セル10同士の間に介装されている。集電体12は例えばステンレスなどの金属で構成され、集電体12の表面には、例えば、酸化ガスによる酸化を防ぐためや、ステンレスからのクロムの飛散を防止させるためのコーティングが施されている。
集電体12は、燃料電池スタックにおいて集電体12を挟む一方の電池セル10に供給される酸化ガスと、他方の電池セル10に供給される燃料ガスとを分離する役割を果たす。それと共に、集電体12は、上記一方の電池セル10が有するカソード層18と、上記他方の電池セル10が有する複合アノード層26とを電気的に接続する役割も果たす。
図1に示すように、カソード側集電体12aは複数の集電体凸部121を備えており、その集電体凸部121はカソード層18側へ向かって突き出ている。また、カソード側集電体12aの集電体凸部121は、セル厚み方向DR1に直交する凸部並び方向DR2に一定間隔を空けて並んでおり、その凸部並び方向DR2およびセル厚み方向DR1のそれぞれに直交するガス流通方向DR3(図3参照)に延びるように形成されている。
カソード側集電体12aの集電体凸部121は一定間隔を空けて並んでいるので、その集電体凸部121同士の間には集電体凹部122が形成されている。この集電体凹部122とカソード層18とに囲まれた空間が酸化ガス流路40となっているので、酸化ガス流路40はガス流通方向DR3(図3参照)へ延びるように形成され、酸化ガスはガス流通方向DR3へ流れる。そして、複数の酸化ガス流路40は、凸部並び方向DR2にカソード側集電体12aの集電体凸部121を挟んで並ぶように形成されている。すなわち、凸部並び方向DR2は酸化ガス流路40の並び方向でもある。
また、カソード側集電体12aの集電体凸部121はその先端面を、カソード層18に接触する接触面123として備えている。そして、集電体凸部121の接触面123はカソード層18の他方面182に押し当てられ、これにより、カソード側集電体12aがカソード層18に電気的に接続されている。
アノード側集電体12bも上記のカソード側集電体12aと同様に構成されている。すなわち、アノード側集電体12bは、複合アノード層26側へ向かって突き出ている複数の集電体凸部121を備え、その集電体凸部121も凸部並び方向DR2に一定間隔を空けて並び且つガス流通方向DR3に延びるように形成されている。そして、アノード側集電体12bの集電体凸部121同士の間には集電体凹部122が形成されている。そのため、アノード側集電体12bの集電体凹部122と複合アノード層26とに囲まれた空間が燃料ガス流路42となっている。
また、アノード側集電体12bの集電体凸部121の接触面123は複合アノード層26の基準部表面304に押し当てられ、これにより、アノード側集電体12bが第3アノード層30を介して第1アノード層24に電気的に接続されている。
次に、電池セル10の製造方法について、図4および図5のフローチャートを用いて説明する。図4は、電解質層16用のグリーンシート、第1アノード層24用のグリーンシート、および第2アノード層28用のグリーンシートをそれぞれ製造する製造工程を示したフローチャートである。電解質層16用のグリーンシートと第1アノード層24用のグリーンシートと第2アノード層28用のグリーンシートとは別々に製造され材料が異なるが、フローチャートとしては共通している。
図4に示すように、先ずステップS101では、グリーンシートの材料を用意する。例えば、第1アノード層24用のグリーンシートを作製するのであれば、その材料は、有機溶媒または水に、酸化ニッケル(NiO)、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)、気孔形成用の造孔剤、バインダー、および可塑剤などを混入したものである。
続くステップS102では、ステップS101にて用意したグリーンシートの材料を混合撹拌し、その後、ステップS103では、ドクターブレード法などによって、そのグリーンシートの材料をシート状に成形する。
続くステップS104では、成形後のグリーンシートの材料を乾燥させ固化させる。これにより、グリーンシートを得ることができる。なお、グリーンシートとは、金属・無機・有機の微粒子が高分子等の結合剤で保持されたシート状のものであり、グリーンシートの厚みは例えば数μm〜数百μm程度である。
グリーンシートが完成すれば、次に図5に示す製造工程へ移る。図5は、図4の工程に続いて電池セル10を製造する製造工程を示したフローチャートである。図5に示すように、先ずステップS201では、電解質層16用のグリーンシート、第1アノード層24用のグリーンシート、および第2アノード層28用のグリーンシートを用意する。この電解質層16用のグリーンシートおよび第2アノード層28用のグリーンシートはその主成分が互いに同じになるように構成されており、これにより、焼成時における両方のグリーンシートの収縮率は互いに同程度となっている。
続くステップS202では、電解質層16用のグリーンシートを所定の外形に成形し、これにより、外形成形後の電解質層形成シート161(図6参照)を得る。同様に、第1アノード層24用のグリーンシートおよび第2アノード層28用のグリーンシートも所定の外形に成形し、これにより、外形成形後の第1アノード層形成シート242および第2アノード層形成シート283(図6参照)を得る。このとき、第2アノード層28には貫通孔281および周縁部切欠き282(図3参照)を形成する必要があるので、第2アノード層形成シートには孔加工を施し、貫通孔281および周縁部切欠き282を予め成形しておく。
続くステップS203では、図6に示すように、電解質層形成シート161と第1アノード層形成シート242と第2アノード層形成シート283とを積層する。このとき、第1アノード層24の厚みは他の層よりも格段に大きいので、第1アノード層形成シート242を複数枚重ねて、必要な第1アノード層24の厚みが焼成後に得られるようにする。図6は、電解質層形成シート161と第1アノード層形成シート242と第2アノード層形成シート283とが積層された状態を模式的に示す斜視図である。
図5のステップS203では、図6に示すように各シート161、242、283を積層してから、そのシート161、242、283を圧着する。これにより、各シート161、242、283が一体となった圧着済シート50が、図7に示すように得られる。図7は、ステップS203で得られる圧着済シート50を示した断面図である。
続く図5のステップS204では、スクリーン印刷により、第2アノード層形成シート283の貫通孔281内を埋めるように第3アノード層30の凸部302の材料を形成すると共に、周縁部切欠き282内を埋めるように切欠き内凸部303の材料を形成する。要するに、凸部302および切欠き内凸部303の材料305を圧着済シート50に印刷する。これにより、図7の圧着済シート50は図8にようになる。図8は、圧着済シート50に、凸部302および切欠き内凸部303の材料305が印刷された状態を示した断面図である。なお、ステップS204では、凸部302および切欠き内凸部303の材料305を印刷した後、必要に応じて乾燥させる。
続く図5のステップS205では、スクリーン印刷により、圧着済シート50に対し第2アノード層形成シート283上に基準部301の材料306を形成する。要するに、基準部301の材料306を圧着済シート50に印刷する。これにより、図9に示すように第3アノード層30の材料305、306がシート状に形成され、図8の圧着済シート50は図9にようになる。従って、ステップS204およびS205は、第3アノード層30の材料305、306をシート状に形成する第3アノード層形成工程となっている。
なお、ステップS205では、基準部301の材料306を印刷した後、必要に応じて乾燥させる。また、図9は、凸部302および切欠き内凸部303の材料305が印刷された圧着済シート50に更に基準部301の材料306が印刷された状態を示した断面図である。
続く図5のステップS206では、図9に示す第3アノード層30の材料305、306が印刷された圧着済シート50を加熱し、それにより、その圧着済シート50の脱脂を行う。続く図5のステップS207では、その図9に示す圧着済シート50を更に加熱し、それにより、電解質層形成シート161、第1アノード層形成シート242、第2アノード層形成シート283、および第3アノード層30の材料305、306を、積層された状態で一体に同時焼成する。これにより、電解質層16、第1アノード層24、第2アノード層28、および第3アノード層30から成る焼成セル基板52(図10参照)が焼成される。このときステップS207では、その焼成セル基板52の構成から判るように、電解質層16が、第1アノード層24に対する第2アノード層28側とは反対側の最外層として焼成される。このステップS207は、電解質層16と第1アノード層24と第2アノード層28と第3アノード層30とを同時に焼成する焼成工程となっている。
続く図5のステップS208では、図10に示すように、ステップS207で製作した焼成セル基板52の電解質層16側に中間層22の材料221をスクリーン印刷により形成する。要するに、中間層22の材料221を焼成セル基板52に印刷する。その中間層22の材料221は、例えばセリウム系酸化物および溶媒などから構成されている。図10は、焼成セル基板52に中間層22の材料221が印刷された状態を示した断面図である。
続く図5のステップS209では、上記印刷後の焼成セル基板52を加熱し、それにより、中間層22の材料221を焼成セル基板52に焼き付ける。すなわち、中間層22を焼成する。
続く図5のステップS210では、図11に示すように、中間層22が焼き付けられた焼成セル基板52の中間層22側にカソード層18の材料183をスクリーン印刷により形成する。要するに、中間層22が焼き付けられた焼成セル基板52にカソード層18の材料183を印刷する。図11は、中間層22が焼き付けられた焼成セル基板52にカソード層18の材料183が印刷された状態を示した断面図である。
続く図5のステップS211では、上記印刷後の焼成セル基板52を加熱し、それにより、カソード層18の材料183を焼成セル基板52に焼き付ける。すなわち、カソード層18を焼成する。
次に、第2アノード層28の貫通孔281および第3アノード層30の凸部302の大きさに関して説明する。図12は、コフロー(Co-flow)を前提として、複合アノード層26が無いとした構成における電池セル10の温度分布と、本実施形態の第2アノード層28の貫通孔281および第3アノード層30の凸部302とを示した図である。
詳細に言えば、図12(a)は、複合アノード層26が無いと仮定した電池セル10の図1相当の断面図であり、図12(b)は、その図12(a)の電池セル10をアノード側から見た下面図であり、図12(c)は、ガス流通方向DR3における図12(a)の電池セル10の温度分布を示した図であり、図12(d)は、本実施形態の複合アノード層26を示した図3と同じ図である。図12(a)〜(d)は、ガス流通方向DR3の位置が相互に一致するように表示されている。なお、本実施形態では、酸化ガスおよび燃料ガスの流れはコフローとなっている。コフローとは、図12(a)に示すように、酸化ガスの流れと燃料ガスの流れとが互いに平行で且つ同じ向きに向いていることである。すなわち、燃料ガス流路42において燃料ガスは、酸化ガス流れの上流側から下流側へと流れる。
図12(a)の電池セル10の発電中には、発電による発熱、および燃料ガスと酸化ガスへの放熱により、電池セル10の温度分布は、ガス流通方向DR3において図12(c)に示すようになる。すなわち、その温度分布では、燃料ガス流れの下流側ほど電池セル10の温度が高くなる。この図12(c)の温度分布はコンピュータシミュレーションによって得られたものである。また、電池セル10は薄いシート状の部品であるので、電池セル10における温度分布は、電池セル10を構成する各層それぞれにおける温度分布でもある。
本実施形態では、図12(a)の電池セル10に対して複合アノード層26が付加され、第3アノード層30の熱伝導性の方が第2アノード層28の熱伝導性よりも高いことを利用して、複合アノード層26で電池セル10の温度のバラツキが抑えられている。その温度のバラツキを抑えるためには、図12(c)の温度分布から、図12(c)において電池セル10の温度が高い箇所ほど、すなわち燃料ガス流れの下流側ほど、複合アノード層26の放熱性を高くすればよい。
このことから、本実施形態の複合アノード層26は、その複合アノード層26が設けられていないとした場合すなわち電池セル10が図12(a)の構成であるとした場合と比較して、発電中において第1アノード層24内の温度分布における最高温度と最低温度との差である温度高低差Δtmax(図12(c)参照)を小さくするように、複合アノード層26内において熱伝導性に差異を有している。
すなわち、複合アノード層26は、第1アノード層24のうち、複合アノード層26が設けられていないとした仮定の下での発電中に高温になる部位ほど第1アノード層24から放熱され易くなるように、複合アノード層26内において熱伝導性に差異を有している。
更に言うと、複合アノード層26の中では、複合アノード層26が第1アノード層24に接触する単位接触面積に占める凸部302の接触面積の割合である凸部接触面積割合に差異がある。そして、複合アノード層26は、第2アノード層28の貫通孔281と第3アノード層30の凸部302とが共に大きく形成されるほど上記凸部接触面積割合が大きくなるように構成されている。例えば、図12(d)のX2部分では、X1部分と比較すると、貫通孔281と凸部302とが大径とされることにより大きく形成され、それにより、上記凸部接触面積割合が大きくなっている。
そして、複合アノード層26は、その複合アノード層26の中での一部分が接触する第1アノード層24の被接触部位が、複合アノード層26が設けられていないとした仮定の下での発電中に高温になる部位であるほど、上記一部分において凸部接触面積割合が大きくなるように構成されている。
燃料ガス流れを考慮して端的に言えば、個々の第2アノード層28の貫通孔281および第3アノード層30の凸部302は燃料ガス流れの下流側ほど大きくなっており、複合アノード層26は、燃料ガス流れの下流側ほど上記凸部接触面積割合が大きくなるように構成されている。そして、これにより複合アノード層26の熱伝導性すなわち放熱性は燃料ガス流れの下流側ほど高くなり、複合アノード層26は温度高低差Δtmaxを小さくするように作用する。
例えば、図12(d)のX2部分を上記一部分とすれば、X1部分を上記一部分とした場合よりも、その一部分が接触する第1アノード層24の被接触部位は、複合アノード層26が設けられていないとした仮定の下での発電中に高温になる部位である。すなわち、図12(c)(d)に示すように、X2部分に対応した温度TX2の方が、X1部分に対応した温度TX1よりも高い。そして、図12(d)に示すように、X1部分よりも、X2部分において上記凸部接触面積割合は大きくなっている。これにより、複合アノード層26は温度高低差Δtmaxを小さくするように作用するということである。
言い換えると、複合アノード層26の中で上記凸部接触面積割合が大きいほど熱伝導性が高くなるので、複合アノード層26は、その複合アノード層26の中で熱伝導性が高い部位ほど、第1アノード層24のうち、複合アノード層26が設けられていないとした仮定の下での発電中に高温になる部位に接触するように構成されている。
また、上記凸部接触面積割合が大きいほど、複合アノード層26の単位体積に第3アノード層30が占める体積比率は大きくなる。従って、複合アノード層26は、その複合アノード層26の中での一部分が接触する第1アノード層24の被接触部位が、複合アノード層26が設けられていないとした仮定の下での発電中に高温になる部位であるほど、第3アノード層30が上記一部分の中に占める体積比率が大きくなるように構成されているとも言える。複合アノード層26はこのような構成により、温度高低差Δtmaxを小さくする。
なお、ここで言う発電中とは、電池セル10が安定して継続的に発電している定常的な発電中であり、電池セル10の発電開始直後や電池セル10の出力が大きく変動している時は除かれる。
上述したように、本実施形態によれば、電解質層16および第2アノード層28は、第1アノード層24と比較した焼成時の収縮率の大小傾向が互いに同じ傾向になるように構成されているので、焼成時において第2アノード層28の収縮が、第1アノード層24と電解質層16との間の収縮率差に起因した電池セル10の反りを抑えるように作用する。従って、第2アノード層28が無い構成と比較して、電池セル10の焼成による反りを抑えることが可能である。
そして、第3アノード層30の基準部301は、第1アノード層24に対し第2アノード層28を介して積層されており、第3アノード層30は凸部302において第1アノード層24に接続され、第2アノード層28よりも高い導電性を有しているので、アノード側における集電性を損なわないようにすることが可能である。
更に、複合アノード層26は、第1アノード層24のうち、複合アノード層26が設けられていないとした仮定の下(図12(a)参照)での発電中に高温になる部位ほど第1アノード層24から放熱され易くなるように、複合アノード層26内において熱伝導性に差異を有している。従って、発電中の第1アノード層24内の温度分布、延いては電池セル10内の温度分布において、温度のバラツキを抑えることが可能である。そして、電池セル10内の温度分布において温度のバラツキを抑えることにより、発電中に生じ得る電池セル10にかかる熱応力を低減させ、その熱応力に起因する電池セル10の割れを抑制することができる。さらに、電池セル10の変形に起因した接触抵抗増加を抑制し、温度サイクルにより電池セル10にかかる応力を緩和することができる。
また、本実施形態によれば、複合アノード層26は、その複合アノード層26の中での一部分が接触する第1アノード層24の被接触部位が、複合アノード層26が設けられていないとした仮定の下での発電中に高温になる部位であるほど、上記一部分において凸部接触面積割合が大きくなるように構成されている。要するに、複合アノード層26は、燃料ガス流れの下流側ほど上記凸部接触面積割合が大きくなるように構成されている。従って、第2アノード層28の形状と第3アノード層30の形状とによって上記凸部接触面積割合を変化させることができるので、簡潔な構成で、第1アノード層24内の温度高低差Δtmaxを小さくすることが可能である。
また、本実施形態によれば、複合アノード層26は、第2アノード層28の貫通孔281と第3アノード層30の凸部302とが共に大きく形成されるほど上記凸部接触面積割合が大きくなるように構成されている。従って、第2アノード層28および第3アノード層30の成形により、容易に上記凸部接触面積割合を定めることができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明し、第1実施形態と同一または均等な部分については省略または簡略化して説明する。
酸化ガスおよび燃料ガスの流れは第1実施形態ではコフローであるが、本実施形態ではカウンターフロー(Counter-flow)となっている。そのため、そのカウンターフローに合わせて、第2アノード層28の貫通孔281および第3アノード層30の凸部302の大きさの分布が第1実施形態とは異なっている。具体的には図13のようになっている。
図13は、カウンターフロー(Counter-flow)を前提として、複合アノード層26が無いとした構成における電池セル10の温度分布と、本実施形態の第2アノード層28の貫通孔281および第3アノード層30の凸部302とを示した図である。図13は、前述の図12に相当する図であり、図13(a)〜(d)はそれぞれ図12(a)〜(d)と同様のものを表示している。なお、カウンターフローとは、図13(a)に示すように、酸化ガスの流れと燃料ガスの流れとが互いに平行で且つ相対向する向きに向いていることである。すなわち、燃料ガス流路42において燃料ガスは、酸化ガス流れの下流側から上流側へと流れる。
本実施形態の複合アノード層26は、第1実施形態と同様に、複合アノード層26の中での一部分が接触する第1アノード層24の被接触部位が、複合アノード層26が設けられていないとした仮定の下での発電中に高温になる部位であるほど、上記一部分において凸部接触面積割合が大きくなるように構成されている。
但し、燃料ガス流れを含んで表現すると、第1実施形態とは異なる。すなわち、本実施形態の複合アノード層26は、凸部接触面積割合が、燃料ガス流れに沿った複合アノード層26の上流端261から下流端262までの間の途中において最も大きくなるように構成されている。そして、これにより、複合アノード層26は、第1実施形態と同様の作用で温度高低差Δtmaxを小さくする。
ここで、図13(c)に示すように、複合アノード層26が無いとした構成における電池セル10の温度分布では、複合アノード層26の上流端261と下流端262との間の途中において電池セル10の温度が最高になっている。詳細には、その上流端261と下流端262との間の中心位置CLよりも燃料ガス流れの上流側にずれた位置で、電池セル10の温度は最高になっている。このように電池セル10の最高温度位置が燃料ガス流れの上流側にずれるのは、燃料ガス流路42を流れる燃料ガスの質量流量が、酸化ガス流路40を流れる酸化ガスの質量流量よりも小さいことに起因するものである。
そして、複合アノード層26の中で凸部接触面積割合が最も大きくなる部位Pmaxは、ガス流通方向DR3において電池セル10の最高温度位置に合わされている。従って、複合アノード層26の中で凸部接触面積割合が最も大きくなる部位Pmaxは、複合アノード層26の上流端261と下流端262との間の中心位置CLよりも燃料ガス流れの上流側に位置している。なお、複合アノード層26の上流端261とは、複合アノード層26の4つの側端26aのうち燃料ガス流れの最上流側に位置する側端26aであり、下流端262とは、その4つの側端26aのうち燃料ガス流れの最下流側に位置する側端26aである。また、図13(d)に示すように、第2アノード層28の貫通孔281および第3アノード層30の凸部302は、上記電池セル10の最高温度位置(すなわち、部位Pmaxの位置)に近いものほど大きく形成されている。
本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
(実験結果)
次に、第1実施形態および第2実施形態の電池セル10の効果を検証するために行った実験について説明する。この実験では、各電池セル10のサンプルの出力密度と、発電中における第1アノード層24内の温度高低差Δtmaxとを測定した。そのときの発電条件は、電圧を0.8V、電流密度を所定値、燃料ガスを水素100%、基準部表面304(図1参照)の面積すなわちアノード側電極面積を72.3cmとした。下記表1は、その実験結果を示す。
Figure 0006277897
上記表1の実施例1は第1実施形態の電池セル10であり、実施例2は第2実施形態の電池セル10であり、比較例1、2は、複合アノード層26を図14に示すものにした電池セル10である。上記表1に記載の開口パターンとは、第2アノード層28の貫通孔281の分布パターンであり、均一パターンとは図14に示すとおりであり、カウンターフローパターンとは図13(d)に示すとおりであり、コフローパターンとは図12(d)に示すとおりである。
図14は、比較例1、2の電池セル10において複合アノード層26を示した図であって、図3に相当する断面図である。比較例1、2の複合アノード層26は、図14に示すように、第2アノード層28の貫通孔281および第3アノード層30の凸部302の大きさおよび密度が複合アノード層26内で均一となった均一パターンを有している。従って、複合アノード層26の中で凸部接触面積割合は均一である。なお、比較例1と比較例2とでは電池セル10自体は同じ物であるが、供給される酸化ガスおよび燃料ガスの流れが相互に異なる。すなわち、電池セル10に供給される酸化ガスおよび燃料ガスの流れが比較例1ではコフローであるのに対し、比較例2ではカウンターフローである。
上記表1の実験結果から、実施例1、2では、比較例1、2と比較して、第1アノード層24内の温度高低差Δtmaxが小さく抑えられている。このことから、実施例1、2では、複合アノード層26による効果、すなわち熱応力に起因する電池セル10の割れを抑制する効果があるものと推定される。そして、実施例1、2では、比較例1、2と比較して、より高い出力密度が得られている。このことは、実施例1、2において、複合アノード層26が電池セル10の変形に起因した接触抵抗増加を抑制するように作用したことによるものと推定される。以上より、第1実施形態および第2実施形態において電池セル10に複合アノード層26を設けたことの効果が検証された。
(他の実施形態)
(1)上述の各実施形態において、第1アノード層24は例えばNi−YSZで構成されているが、他の材料、例えばNi−GDCで構成されていても差し支えない。
(2)上述の各実施形態において、第2アノード層28は、グリーンシートが型抜きされて形成されるが、グリーンシートを使用せずに、スクリーン印刷などで形成されても差し支えない。その場合には、電解質層形成シート161、第1アノード層形成シート242、および、印刷された第2アノード層28の材料が同時に焼成され、その焼成後に、第3アノード層30の材料305、306が印刷され焼成される。また、そのときの凸部302および切欠き内凸部303の材料305の印刷は、第2アノード層28の材料の印刷に対する逆パターン印刷とされてもよい。
(3)上述の各実施形態において、図5のステップS201では、電解質層16用のグリーンシートと第2アノード層28用のグリーンシートとはそれぞれ別個に用意されるが、電解質層16用のグリーンシートが第2アノード層28用としても流用され、電解質層16用と第2アノード層28用とが同じグリーンシートとされることも考え得る。
(4)上述の各実施形態において、図5の製造工程では、中間層22は第1アノード層24の焼成後に印刷され焼成されるが、図5のステップS201で、中間層22用のグリーンシートも用意され、ステップS207で、中間層22が、電解質層16、第1アノード層24、および第2アノード層28と同時に一体焼成されても差し支えない。
そのように中間層22が第2アノード層28等と同時に一体焼成される場合には、焼成セル基板52は中間層22を含むものになる。そして、電池セル10の反り抑制の観点から、第2アノード層28用のグリーンシートの主成分は、電解質層16用のグリーンシートの主成分と同じでもよいが、中間層22用のグリーンシートの主成分と同じにされること、すなわちセリウム系酸化物にされることが好ましい。そうなると、焼成後の第2アノード層28の主成分もセリウム系酸化物になり、この場合でも、第2アノード層28および中間層22は何れも、焼成時の収縮率が第1アノード層24よりも小さくなる。すなわち、第2アノード層28および中間層22は、第1アノード層24と比較した焼成時の収縮率の大小傾向が互いに同じ傾向になるように構成されていることとなる。また、中間層22用と第2アノード層28用とが同じグリーンシートとされることも考え得る。
なお、第2アノード層28の材料として、ジルコニウム系酸化物およびセリウム系酸化物以外の材料が選択されても差し支えないが、第1アノード層24または第3アノード層30と反応してしまう材料が選択されることは望ましくない。
(5)上述の各実施形態において、電解質層16、中間層22、および第2アノード層28の焼成時の収縮率は何れも、第1アノード層24に比して小さいが、逆に、第1アノード層24に比して大きくても差し支えない。
(6)上述の各実施形態において、図5のステップS207では、第3アノード層30は、電解質層16、第1アノード層24、および第2アノード層28と同時に焼成されるが、電解質層16、第1アノード層24、および第2アノード層28の焼成後に、後から印刷され焼成されても差し支えない。
(7)上述の第1実施形態において、複合アノード層26では、第2アノード層28の貫通孔281と第3アノード層30の凸部302とが共に大きく形成されるほど凸部接触面積割合が大きくなるが、他の方法によって、その凸部接触面積割合に差異が設けられても差し支えない。例えば図15に示すように、複合アノード層26は、第2アノード層28の貫通孔281の密度と第3アノード層30の凸部302の密度とが共に高くなるほど凸部接触面積割合が大きくなるように構成されていても差し支えない。このことは、第2実施形態に関しても同様である。
図15は、第1実施形態の一変形例において複合アノード層26を示した断面図であって、図3に相当する図である。図15に示す電池セル10では、酸化ガスおよび燃料ガスの流れは第1実施形態と同様にコフローである。そして、個々の貫通孔281および凸部302は相互に同じ大きさになっている。但し、貫通孔281の密度と第3アノード層30の凸部302の密度とが燃料ガス流れの下流側ほど高くなっており、それにより、複合アノード層26は、燃料ガス流れの下流側ほど凸部接触面積割合が大きくなるように構成されている。
(8)上述の各実施形態において、第3アノード層30の基準部301および凸部302はスクリーン印刷により形成されるが、スクリーン印刷以外の他の方法によって形成されても差し支えない。
(9)上述の各実施形態において、複合アノード層26の中では、凸部接触面積割合に差異を設けることで、複合アノード層26の熱伝導性に差異を生じさせているが、これに替えて或いはこれに加えて、第3アノード層30の形状ではなく材料特性に差異を生じさせることにより、複合アノード層26の熱伝導性に差異を生じさせてもよい。例えば第3アノード層30の凸部302がNi−YSZで構成されているとすれば、YSZの添加量が多いほど熱伝導性は低くなるので、凸部302毎にYSZの添加量に差異を設けることで、複合アノード層26の熱伝導性に差異を生じさせる。
第1実施形態を例とすれば、第1実施形態の酸化ガスおよび燃料ガスの流れはコフローであるので、第3アノード層30の凸部302においてYSZの添加量が、燃料ガス流れの下流側ほど少なくされる。これにより複合アノード層26の熱伝導性は燃料ガス流れの下流側ほど高くなる。なお、第3アノード層30の基準部301の中でYSZの添加量に差異を設けてもよい。
(10)上述の各実施形態において、図1には、カソード側集電体12aの接触面123がカソード層18の他方面182に直接接触するように図示されているが、カソード層18とカソード側集電体12aとの間の電気的接触性を向上させるコンタクト層がその他方面182上に形成され、カソード側集電体12aはそのコンタクト層を介してカソード層18に電気的に接続されていても差し支えない。
(11)上述の各実施形態において、電解質層16は例えばジルコニウム系酸化物で構成されているが、他の材料、例えばGDCで構成されていることも考え得る。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の材質、形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の材質、形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その材質、形状、位置関係等に限定されるものではない。
10 電池セル(固体酸化物形燃料電池セル)
16 電解質層(固体電解質層)
18 カソード層
24 第1アノード層
26 複合アノード層
28 第2アノード層
30 第3アノード層
281 貫通孔
301 基準部
302 凸部

Claims (9)

  1. 酸化ガスが供給されるカソード層(18)と、
    該カソード層に対し該カソード層の一方面(181)側に積層された固体電解質層(16)と、
    該固体電解質層に対し前記カソード層側とは反対側に積層され、燃料ガスが供給される第1アノード層(24)と、
    該第1アノード層に対し前記カソード層側とは反対側に積層され、前記燃料ガスが供給され、第2アノード層(28)と第3アノード層(30)とから構成された複合アノード層(26)とを備え、
    前記第1アノード層は、前記固体電解質層および前記第2アノード層の各々に比して厚く形成され、
    前記第2アノード層には貫通孔(281)が形成されており、
    前記第3アノード層は、前記第1アノード層に対し前記第2アノード層を介して積層された基準部(301)と、該基準部から突き出し前記第2アノード層の貫通孔を通って前記第1アノード層に接続された凸部(302)とを有すると共に、前記第2アノード層よりも高い熱伝導性と高い導電性とを有し、
    前記固体電解質層、前記第1アノード層、および前記第2アノード層は焼成されることによって形成されており、
    前記固体電解質層および前記第2アノード層は、前記第1アノード層と比較した焼成時の収縮率の大小傾向が互いに同じ傾向になるように構成され、
    前記複合アノード層は、前記第1アノード層のうち、前記複合アノード層が設けられていないとした仮定の下での発電中に高温になる部位ほど前記第1アノード層から放熱され易くなるように、前記複合アノード層内において熱伝導性に差異を有していることを特徴とする固体酸化物形燃料電池セル。
  2. 前記複合アノード層は、該複合アノード層の中で熱伝導性が高い部位ほど、前記第1アノード層のうち、前記複合アノード層が設けられていないとした仮定の下での発電中に高温になる部位に接触するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池セル。
  3. 前記複合アノード層は、該複合アノード層の中での一部分が接触する前記第1アノード層の被接触部位が、前記複合アノード層が設けられていないとした仮定の下での発電中に高温になる部位であるほど、前記第3アノード層が前記一部分の中に占める体積比率が大きくなるように構成され、これにより、前記複合アノード層内において熱伝導性に差異を有していることを特徴とする請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池セル。
  4. 前記第2アノード層には前記貫通孔が複数形成され、該貫通孔毎に前記第3アノード層の凸部が挿入されており、
    前記複合アノード層は、該複合アノード層の中での一部分が接触する前記第1アノード層の被接触部位が、前記複合アノード層が設けられていないとした仮定の下での発電中に高温になる部位であるほど、前記複合アノード層が前記第1アノード層に接触する単位接触面積に占める前記凸部の接触面積の割合である凸部接触面積割合が前記一部分において大きくなるように構成され、これにより、前記複合アノード層内において熱伝導性に差異を有していることを特徴とする請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池セル。
  5. 前記第2アノード層には前記貫通孔が複数形成され、該貫通孔毎に前記第3アノード層の凸部が挿入されており、
    前記カソード層は前記一方面側とは反対側に他方面(182)を有し、該他方面に沿って前記酸化ガスが流れ、
    前記第3アノード層の基準部は、前記第1アノード層側とは反対側に基準部表面(304)を有しており、それと共に、該基準部表面に電気的に接続されるアノード側集電体(12b)に積層されることにより、前記基準部表面に沿って前記燃料ガスが流れる燃料ガス流路(42)を形成し、
    前記燃料ガス流路において前記燃料ガスは、前記カソード層の他方面に沿った酸化ガス流れの上流側から下流側へと流れ、
    前記複合アノード層は、燃料ガス流れの下流側ほど、前記複合アノード層が前記第1アノード層に接触する単位接触面積に占める前記凸部の接触面積の割合である凸部接触面積割合が大きくなるように構成され、これにより、前記複合アノード層内において熱伝導性に差異を有していることを特徴とする請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池セル。
  6. 前記第2アノード層には前記貫通孔が複数形成され、該貫通孔毎に前記第3アノード層の凸部が挿入されており、
    前記カソード層は前記一方面側とは反対側に他方面(182)を有し、該他方面に沿って前記酸化ガスが流れ、
    前記第3アノード層の基準部は、前記第1アノード層側とは反対側に基準部表面(304)を有しており、それと共に、該基準部表面に電気的に接続されるアノード側集電体(12b)に積層されることにより、前記基準部表面に沿って前記燃料ガスが流れる燃料ガス流路(42)を形成し、
    前記燃料ガス流路において前記燃料ガスは、前記カソード層の他方面に沿った酸化ガス流れの下流側から上流側へと流れ、
    前記複合アノード層は、前記複合アノード層が前記第1アノード層に接触する単位接触面積に占める前記凸部の接触面積の割合である凸部接触面積割合が、燃料ガス流れに沿った前記複合アノード層の上流端(261)から下流端(262)までの間の途中において最も大きくなるように構成され、これにより、前記複合アノード層内において熱伝導性に差異を有していることを特徴とする請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池セル。
  7. 前記燃料ガスの質量流量は前記酸化ガスの質量流量よりも小さく、
    前記複合アノード層の中で前記凸部接触面積割合が最も大きくなる部位は、前記複合アノード層の上流端と下流端との間の中心位置(CL)よりも前記燃料ガス流れの上流側に位置していることを特徴とする請求項6に記載の固体酸化物形燃料電池セル。
  8. 前記複合アノード層は、前記第2アノード層の貫通孔と前記第3アノード層の凸部とが共に大きく形成されるほど前記凸部接触面積割合が大きくなるように構成されていることを特徴とする請求項4ないし7のいずれか1つに記載の固体酸化物形燃料電池セル。
  9. 前記複合アノード層は、前記第2アノード層の貫通孔の密度と前記第3アノード層の凸部の密度とが共に高くなるほど前記凸部接触面積割合が大きくなるように構成されていることを特徴とする請求項4ないし8のいずれか1つに記載の固体酸化物形燃料電池セル。
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