JP6276916B2 - ロールコータ - Google Patents

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Description

本発明は、鋼帯に連続的に塗工液を塗装するロールコータに関する。
鋼帯に連続的に化成処理液、塗料等の塗工液を塗装するのに、2本のコータロールを用いるロールコータ(2ロールコータ)が多く用いられている。2ロールコータは、ピックアップロールとアプリケータロールを備え、コータパン内の塗工液をピックアップロールで汲み上げ、汲み上げた塗工液をアプリケータロールに転写し、アプリケータロールに転写した塗工液を鋼帯に転写する。鋼帯への塗工液の塗装方法には、ナチュラルコートとリバースコートがある。
図7及び図8を用いてナチュラルコートとリバースコートを説明する。図7、図8中の実線矢印はロールの回転方向、鋼帯の走行方向を示す。ナチュラルコートでは、図7に示すように、ピックアップロール3とアプリケータロール4の接する点(以下転接点という)で、ピックアップロール3とアプリケータロール4は同じ方向に進行し(各ロール自体の回転方向は逆方向に回転し)、アプリケータロール4と鋼帯5の転接点で、アプリケータロール4は鋼帯5の進行方向に対して同じ方向に進行するように、すなわちナチュラル方向に回転する。リバースコートでは、図8に示すように、ピックアップロール3とアプリケータロール4の転接点で、ピックアップロール3とアプリケータロール4は同じ方向に進行し(各ロール自体の回転方向は逆方向に回転し)、アプリケータロール4と鋼帯5の転接点で、鋼帯5の進行方向に対して、アプリケータロール4は逆の方向に進行するように、すなわちリバース方向に回転する。
ナチュラルコートでは、鋼帯接触面および、鋼帯エッジでのロール磨耗がほとんどないためロール寿命が長くなるという特徴があり、リバースコートでは、平滑な塗膜を得やすいという特徴がある。要求される塗膜の品質や用途等に応じてナチュラルコート、リバースコートが適宜採用される。
上記の方法で塗工液を塗装すると、アプリケータロール4から塗工液が飛散する問題がある。図7、図8中の点線矢印は、塗工液の飛散方向を示す。塗工液の飛散は、アプリケータロール周速が速くなるほど顕著になる。塗工液が飛散すると、設備や環境を汚染するだけでなく、製品に付着して外観不良になる問題がある。
アプリケータロールからの塗工液の飛散を防止する技術として、以下の技術が開示されている。
特許文献1には、塗工液の飛散を防止するため、ピックアップロール周速を20〜80mpm、アプリケータロール周速を通板速度以上の200〜1000mpm、塗工液粘度を1〜10mPa・sに設定することが記載されている。しかし、実際の塗装では、塗工液の付着量制御、塗装外観の安定化のために、ロール周速及び塗工液粘度などの塗装条件を優先して決定する必要があり、塗工液の飛散防止を優先して塗装条件を決定することができない。特にアルミニウム粉や艶消し剤などの固形物を含んだ塗料は、良好な付着量制御、良好な塗装外観を確保できる塗装条件の範囲が狭いため、良好な付着量制御、良好な塗装外観を確保しながら塗工液の飛散を防止できる塗装条件を決定することが著しく困難である。
特許文献2には、アプリケータロール表面の鋼帯幅を超える部分に残存した塗布液がロール回転の遠心力によってアプリケータロールから飛散する問題を、空隙部を有する塗布液吸収材をアプリケータロール胴部側面に接触させて設け、アプリケータロール表面に残存する塗布液を前記塗布液吸収材に吸収させ、吸収した塗布液を塗布液吸収材の空隙部を通って下方に流下させることで、アプリケータロールからの塗布液の飛散を防止することが記載されている。本発明者らが検討したところ、この方法は、アプリケータロールからの塗工液の飛散を防止する効果が不十分であった。
特開平10−309512号公報 特開2008−149259号公報
本発明は、前記従来技術の問題点を鑑みて、アプリケータロールからの塗工液の飛散を防止できるロールコータを提供することを課題とする。
上記課題を解決する本発明の手段は下記のとおりである。
(1)コータパン内の塗工液をピックアップロールで汲み上げ、汲み上げた塗工液をアプリケータロールに転写し、アプリケータロールに転写した塗工液を鋼帯に転写するロールコータにおいて、板状体の側部にアプリケータロール外周面側に突き出た鉤形部を有する第一の鉤形塗工液掻き取り板を、アプリケータロールがピックアップロールに転接してから鋼帯と転接するまでの間のアプリケータロール側面に当接させて、アプリケータロール側面に付着した塗工液を掻き取るようにしたことを特徴とするロールコータ。
(2)さらに、板状体の側部にピックアップロール外周面側に突き出た鉤形部を有する第二の鉤形塗工液掻き取り板を、アプリケータロール回転方向が鋼帯走行と同じ方向のときは、ピックアップロールのコータパン引き上げ部からピックアップロール頂部までの間のピックアップロール側面に当接させ、アプリケータロール回転方向が鋼帯走行方向と逆の方向のときは、ピックアップロールとアプリケータロールの転接部からピックアップロール頂部までの間のピックアップロール側面に当接させ、ピックアップロール側面に付着した塗工液を掻き取るようにしたことを特徴とする(1)記載のロールコータ。
本発明によれば、第一の鉤形塗工液掻き取り板を、アプリケータロールがピックアップロールに転接してから鋼帯と転接するまでの間のアプリケータロール側面に当接させて、アプリケータロール側面に付着した塗工液を掻き取るようにしたことで、ロール周速、塗工液の粘度等の塗装条件にかかわらず、アプリケータロールからの塗工液の飛散を防止できる。また、さらに、第二の鉤形塗工液掻き取り板を、ピックアップロール側面に当接させて、ピックアップロール側面に付着した塗工液を掻き取るようにしたことで、ロール周速、塗工液の粘度等の塗装条件にかかわらず、ピックアップロールからの塗工液の飛散も防止できる。
また、アプリケータロールまたはピックアップロールの側面で掻き取られた塗工液は遠心力や慣性力により塗工液掻き取り板に沿ってアプリケータロールまたはピックアップロール側面外周(コーナー部)へ移動する。塗工液掻き取り板が単に正方形やまたは長方形の板状体の場合、アプリケータロールまたはピックアップロールの側面にしか接しないため、掻き取られた塗工液が外周面に移動し、塗工液の飛散を防止する効果が不十分であるが、本発明において、塗工液掻き取り板はロール外周面側に突き出た鉤形部を有するため、塗工液のロール外周面への移動を防止して、塗工液の飛散を十分に防止することができる。
本発明によれば、良好な付着量制御、良好な塗装外観を確保できる塗装条件の範囲が狭いアルミニウム粉や艶消し剤などの固形物を含んだ塗料を塗装しても、良好な付着量制御、良好な塗装外観を確保できる塗装条件のままで、アプリケータロールからの塗工液の飛散やピックアップロールからの塗工液の飛散を確実に防止することができる。
本発明の実施形態に係るロールコータの要部を示す側面図である。 本発明の実施形態に係るロールコータに使用する鉤形塗工液掻き取り板の一実施形態を示す側面図である。 鉤形塗工液掻き取り板の配置状態を示す模式図である。 本発明の別の実施形態に係るロールコータの要部を示す側面図である。 本発明の別の実施形態に係るロールコータの要部を示す側面図である。 本発明の別の実施形態に係るロールコータの要部を示す側面図である。 ナチュラルコートを説明するロールコータの側面図である。 リバースコートを説明するロールコータの側面図である。
2ロールコータでは、アプリケータロールから塗工液が飛散する問題があるが、ピックアップロールから塗工液が飛散する場合もある。本発明者は、アプリケータロールから発生する塗工液の飛散、ピックアップロールから発生する塗工液の飛散について種々調査したところ、以下の事項が明らかになった。
コータパンに下部が浸漬されたピックアップロール側面(胴部側面)に付着して持ち上げられた塗工液は、ピックアップロール回転による遠心力によりピックアップロール側面外周側に移動し、アプリケータロールとの転接部でアプリケータロール側面(胴部側面)に移動する。アプリケータロール側面に移動した塗工液は、アプリケータロールの遠心力により側面外周側及び外周面端部へ移動し、その量が次第に増加し、アプリケータロールから塗工液が飛散するようになる。また、ピックアップロール周速が速くなると、ピックアップロールの側面外周側に移動した塗工液が、アプリケータロールに転接後にピックアップロールからも飛散するようになる。ピックアップロール周速が速くなるとピックアップロール側面に付着して持ち上げられる塗工液量が多くなるため、この現象は、ピックアップロール周速が速いほど顕著になる。
アプリケータロール側面に移動した塗工液がアプリケータロール側面外周に移動して飛散するようになる前にロール側面の塗工液を掻き落とし、鉤形部によりアプリケータロール外周面への移動を防止すると、アプリケータロールからの塗工液の飛散を防止でき、また、ピックアップロール側面に付着した塗工液がピックアップロール側面外周に移動して飛散するようになる前にロール側面の塗工液を掻き落とし、鉤形部によりピックアップロール外周面への移動を防止すると、ピックアップロールからの塗工液の飛散を防止できると考えられた。本発明はこの考えに基づくものである。
以下、本発明について詳しく説明する。
図1は本発明の実施形態に係るロールコータの要部を示す側面図である。図1において、1はコータパンで、塗工液2を貯留する。3はピックアップロール、4はアプリケータロール、5は鋼帯、7は第一の鉤形塗工液掻き取り板である。図1中の実線矢印はロールの回転方向、鋼帯の走行方向を示す。本実施形態は、塗装方法はナチュラルコートで、ピックアップロール3とアプリケータロール4の転接点で、ピックアップロール3とアプリケータロール4は同じ方向に進行するように回転し、アプリケータロール4と鋼帯5の転接点で、鋼帯5の進行方向に対して、アプリケータロール4はナチュラル方向に回転する。
第一の鉤形塗工液掻き取り板7は、アプリケータロール4がピックアップロール3に転接してから鋼帯5と転接するまでの間のアプリケータロール側面に当接させるが、第一の鉤形塗工液掻き取り板7で掻き取った塗工液がコータパンに戻り、鋼帯側に飛散するのを防止するため、第一の鉤形塗工液掻き取り板7は、アプリケータロール4とピックアップロールの転接部から、アプリケータロール周面の最下部までの間でロール側面の塗工液を掻き取るように、ロール側面に当接させることが好ましい。
図2は、第一の鉤形塗工液掻き取り板7の一実施形態を示す側面図である。第一の鉤形塗工液掻き取り板7は、板状体で構成され、アプリケータロール4のロール側面に当接させる基部7aと、その上部の側部にアプリケータロール外周面側に突き出た方形(四角形)の鉤形部7bを有する。
図1では、第一の鉤形塗工液掻き取り板7は、基部7aが鉤形部7bより上になるようにして、アプリケータロール4がピックアップロール3に転接してから鋼帯5に転接するまでの間のアプリケータロール側面に当接させて配置されている。
具体的には、第一の鉤形塗工液掻き取り板7は、基部7aをアプリケータロール側面に当接させ、鉤形部7bの基部7a側をアプリケータロール外周面に接するようにして配置される。なお、鉤形部7bの基部7a側はアプリケータロール外周面に近接配置されていてもよい。
図3は、第一の鉤形塗工液掻き取り板7の配置状態を示す模式図で、ロールを斜め上から見たときの状態を示す。ロールの軸部は記載されていない。図中の矢印はアプリケータロール4の回転方向を示す。第一の鉤形塗工液掻き取り板7は、アプリケータロール4の回転方向に板面とアプリケータロール側面との間隔が広くなるように、板面をアプリケータロール側面に対して傾斜させて配置することが好ましい。また、第一の鉤形塗工液掻き取り板7が掻き取った塗工液がコータパン内に流下するように、第一の鉤形塗工液掻き取り板7の基部7aのロール側面との当接部がコータパン1の略鉛直上方に位置するように配置することが好ましい。これにより、掻き取られた塗工液2が鉤形塗工液掻き取り板7とアプリケータロール側面の間に滞留することなく、アプリケータロール4下方に排出される。また、アプリケータロール外周面に接している鉤形部についても、掻き取られた塗工液がアプリケータロール側面に移動しアプリケータロール側面より下方に排出されるので、掻き取った塗工液2の飛散も防止できる。第一の鉤形塗工液掻き取り板7は、アプリケータロール4の両側に配置される。
ピックアップロール3の下部は、塗工液2に浸漬されているので、コータパンから引き上げられた直後のピックアップロール側面には、ピックアップロール3の浸漬深さ(図1中の寸法A)に対応する幅(ピックアップロール外周からの幅)の塗工液2が付着する。ピックアップロール回転による遠心力でピックアップロール3の側面に付着した塗工液2は側面外周側に移動し、液膜が厚くなる。ピックアップロール側面外周側に移動した塗工液はアプリケータロール4との転接部でアプリケータロール側面に移動する。第一の鉤形塗工液掻き取り板7がないと、アプリケータロール側面に移動した塗工液はロール側面外周側に移動し、その量が次第に増加し、飛散するようになる。
第一の鉤形塗工液掻き取り板7の基部7aをアプリケータロール側面に当接させて側面に付着した塗工液を掻き取ることで、アプリケータロール側面の塗工液の付着量レベルが低いレベルに維持され、アプリケータロール4から塗工液が飛散しなくなる。
ピックアップロール側面からアプリケータロール側面に移動する際の塗工液の幅(ロール外周からの幅)は、ピックアップロールの浸漬深さに対応する幅(図1中の寸法A)より小さくなっている。鉤形塗工液掻き取り板7のロール側面への当接部長さ(基部7aの長さ、図2中の寸法a)は、ピックアップロールの浸漬深さ以上の長さであればよく、ピックアップロール側面からアプリケータロール側面に移動する塗工液の幅等に応じた適宜の長さにすればよい。
第一の鉤形塗工液掻き取り板7の基部7aの幅(図2中の寸法d)は、アプリケータロール側面に付着した塗工液を掻き取り、掻き取った塗工液がアプリケータロール4に再付着するのを防止できる適宜の寸法、例えば5mm以上にすればよい。幅の上限は特に規定されない。剛性、設置スペース等を考慮して適宜の寸法にすればよい。
第一の鉤形塗工液掻き取り板7の鉤形部7bは、ロール側面から掻き取った塗工液2がアプリケータロール外周面端部に回り込むのを防止する。この効果を得るため、鉤形部7bの幅(ロール軸方向の寸法、図2中の寸法b)は5mm以上、高さ(図2中の寸法c)は10mm以上とすることが好ましい。鉤形部7bの高さの上限は特に規定されない。設置スペース、剛性等を考慮して適宜の寸法にすればよい。鉤形部7bの幅の上限は、広すぎるとロール外周面に薄く付着している掻き落とす必要のない塗工液まで掻き落とすこととなるため、ロール端部の形状、塗工液の粘度などを考慮し、極力狭くすることが好ましく、例えば、10mm以下程度とすることが好ましい。
アプリケータロール外周端部(コーナー部)が面取り加工されているときは、第一の鉤形塗工液掻き取り板7の鉤形部7bの基部側の形状・寸法を、面取り加工部の形状・寸法に対応する形状・寸法とすることで、塗工液を掻き取る効果をより向上できる。
第一の鉤形塗工液掻き取り板7の材質は特に規定しない。金属板でもよい。有機溶剤を含む塗工液への使用や、ロールとの摩擦を考慮して耐溶剤性、耐摩耗性のある樹脂、例えばテフロン(登録商標)やMCナイロン(登録商標)などが好ましい。
第一の鉤形塗工液掻き取り板7の厚さは特に限定されない。ピックアップロール側面に当接させたときに適度にしなる程度のものが好ましい。
第一の鉤形塗工液掻き取り板7は、ロール軸受けの架台に取り付けられた保持金具(図示なし)に固定される。剛性確保の点から、当接部の長手方向全幅に渡って保持金具で支持することが好ましい。さらに、ロールの組み込みの際に若干ロール軸方向にずれるので、第一の鉤形塗工液掻き取り板7はロール軸方向に位置調整できるようにすることが好ましい。また、バネやピストン、エアチューブなどを使用し、第一の鉤形塗工液掻き取り板7を一定圧力で押し付けるようにしてもよい。
このロールコータを用いて次のように塗工液を塗装する。下部をコータパン1内の塗工液2に浸漬したピックアップロール3を回転し、塗工液2をピックアップロール3で汲み上げ、汲み上げた塗工液2の液量をアプリケータロール4に転写し、アプリケータロール4に転写した塗工液2を鋼帯5に転写する。ロール周速、塗工液粘度等の塗装条件は特に限定されない。塗工液の付着量制御、塗装外観の安定化に適した適宜の塗装条件にすればよい。
ピックアップロール側面からアプリケータロール側面に移動した塗工液2を、アプリケータロール側面に当接した第一の鉤形塗工液掻き取り板7で掻き取ることで、アプリケータロール側面の塗工液の付着量レベルが低いレベルに維持され、アプリケータロールから塗工液が飛散しなくなる。第一の鉤形塗工液掻き取り板7で掻き取った塗工液2はコータパン1に戻るようにする。
図4は、本発明の別の実施形態に係るロールコータの要部を示す側面図である。図4中の実線矢印はロールの回転方向、鋼帯の走行方向を示す。本実施形態は、塗装方法はリバースコートで、ピックアップロール3とアプリケータロール4の転接点で、ピックアップロール3とアプリケータロール4は同じ方向に進行し、アプリケータロール4と鋼帯5の転接点で、鋼帯5の進行方向に対して、アプリケータロール4はリバース方向に回転する。
本実施形態では、第一の鉤形塗工液掻き取り板7は、鉤形部7bが上、基部7aが下になるようにして、アプリケータロール4がピックアップロール3に転接してから鋼帯5に転接するまでの間のアプリケータロール側面に当接させて配置されている。
第一の鉤形塗工液掻き取り板7で掻き取った塗工液がコータパンに戻り、鋼帯側に飛散するのを防止するため、第一の鉤形塗工液掻き取り板7は、アプリケータロール4とピックアップロール3の転接部からアプリケータロール4頂部間での間でロール側面の塗工液を掻き取るように、ロール側面に当接させることが好ましい。
具体的には、第一の鉤形塗工液掻き取り板7の基部7aをアプリケータロール側面に当接させ、鉤形部7bの基部7a側(鉤形部7bの基部)をアプリケータロール外周面に接するようにしてまたは近接して配置される。第一の鉤形塗工液掻き取り板7の配置方法は図1の場合に準じて行えばよい。
ピックアップロール3側面からアプリケータロール4側面に移動した塗工液2を、アプリケータロール4側面に当接した第一の鉤形塗工液掻き取り板7で掻き取ることで、アプリケータロール側面の塗工液の付着量レベルが低いレベルに維持され、アプリケータロール4から塗工液が飛散しなくなる。
図5は、本発明の別の実施形態に係るロールコータの要部を示す側面図である。図5は、図1のロールコータにおいて、さらに、第二の鉤形塗工液掻き取り板8を、ピックアップロール側面に当接させ、ピックアップロール側面に付着した塗工液を掻き取るようにしたものである。ピックアップロール側面の塗工液がピックアップロールから飛散するのを防止するには、第二の鉤形塗工液掻き取り板8は、ピックアップロールのコータパン引き上げ部からピックアップロール頂部までの間のピックアップロール側面に当接させることが好ましい。第二の鉤形塗工液掻き取り板8は前記した第一の鉤形塗工液掻き取り板7と同様のものでよい。配置方法も第一の鉤形塗工液かき取り板7の配置方法に準じた方法でよい。すなわち、鉤形塗工液掻き取り板8は、基部をピックアップロール側面に当接させ、鉤形部の前記基部側をピックアップロール外周面に接するようにしてまたは近接させて配置される。また、第二の鉤形塗工液掻き取り板8は、ピックアップロール3の回転方向に向かってその板面がピックアップロール側面との間隔が広くなるようにピックアップロール側面に対して傾斜させて配置されることが好ましい。第二の鉤形塗工液掻き取り板8で掻き取った塗工液がピックアップロールの軸部に落下しないように、第二の鉤形塗工液掻き取り板8のピックアップロール側面への当接部を配置することが好ましい。第二の鉤形塗工液掻き取り板8を上記のように配置してピックアップロール側面に付着した塗工液を掻き取ることでピックアップロールからの塗工液の飛散を防止できる。
図6は、本発明の別の実施形態に係るロールコータの要部を示す側面図である。図6は、図4のロールコータにおいて、さらに、第二の鉤形塗工液掻き取り板8を、ピックアップロール側面に当接させ、ピックアップロール側面に付着した塗工液を掻き取るようにしたものである。ピックアップロール側面の塗工液がピックアップロールから飛散するのを防止するには、第二の鉤形塗工液掻き取り板8は、ピックアップロールとアプリケータロールの転接部からピックアップロール頂部までの間のピックアップロール側面に当接させることが好ましい。第二の鉤形塗工液掻き取り板8は図5のロールコータに配置した第一の鉤形塗工液掻き取り板7と同様のものでよい。配置方法も第一の鉤形塗工液掻き取り板7の配置方法に準じた方法でよい。第二の鉤形塗工液掻き取り板8で掻き取った塗工液がピックアップロールの軸部に落下しないように、第二の鉤形塗工液掻き取り板8のピックアップロール側面への当接部を配置することが好ましい。第二の鉤形塗工液掻き取り板8を上記のように配置してピックアップロール側面に付着した塗工液を掻き取ることでピックアップロールからの塗工液の飛散を防止できる。
図1、図4のロールコータを用いることで、ロール周速、塗工液粘度等の塗装条件にかかわらず、アプリケータロールからの塗工液の飛散を確実に防止できる。また、図5、図6のロールコータを用いることで、さらにピックアップロールからの塗工液の飛散も防止できる。
本発明によれば、良好な付着量制御、良好な塗装外観を確保できる塗装条件の範囲が狭いアルミニウム粉や艶消し剤などの固形物を含んだ塗料を塗装した場合にも、良好な付着量制御、良好な塗装外観を確保できる塗装条件のままで、アプリケータロールからの塗工液の飛散、またはさらにピックアップロールからの塗工液の飛散を確実に防止することができる。
(実施例1)
図1に示したロールコータ(ナチュラルコート)において、ピックアップロールをスチールロール、アプリケータロールをウレタン巻きロールとし(ロール径は何れもφ250mm)、アプリケータロールの塗料への浸漬深さは30mmとした。鉤形塗工液掻き取り板は、厚さ1mm、基部の幅20mm、基部の高さ(当接部の長さ)40mm、高さ60mm、鉤形部の高さ20mm、幅(ロール軸方向の寸法)10mmのテフロン(登録商標)製鉤形塗工液掻き取り板を用い、アプリケータロールがピックアップロールに転接してから鋼帯と転接するまでの間のアプリケータロール側面に、鉤形塗工液掻き取り板の基部を当接させ、鉤形部の基部側をアプリケータロール外周面に接するようにして配置するとともに、掻き取った塗料がコータパン内に流下するように該鉤形塗工液掻き取り板は、図1のように鉤形部が基部より下でかつピックアップロール側になるように配置した。
このロールコータ(本発明のロールコータ)を用いて、従来のロールコータを用いて塗装したときにアプリケータロールから塗料が飛散する塗装条件で溶融亜鉛めっき鋼板に塗装したところ、アプリケータロールからの塗料飛散は発生しなくなった。なお、図4に示したロールコータ(リバースコート)でも鉤形塗工液掻き取り板の設置によりアプリケータロールからの塗料の飛散が抑制されたことを確認している。
(実施例2)
図5に示したロールコータ(ナチュラルコート)において、ピックアップロールをスチールロール、アプリケータロールをウレタン巻きロールとし(ロール径は何れもφ250mm)、アプリケータロールの塗料への浸漬深さは30mmとした。鉤形塗工液掻き取り板は、実施例1と同様の寸法のテフロン(登録商標)製鉤形塗工液掻き取り板を用い、この鉤形塗工液掻き取り板を、アプリケータロール側面、ピックアップロール側面の両方に配置した。アプリケータロール側面への配置は、実施例1と同様の配置とした。ピックアップロール側面への配置は、ピックアップロールのコータパン引き上げ部からピックアップロール頂部までの間のピックアップロール側面に該鉤形塗工液掻き取り板の基部を当接させ、鉤形部の基部側をアプリケータロール外周面に接するようにして配置するとともに、この該鉤形塗工液掻き取り板は図5のように鉤形部の位置が基部より上方になるように配置し、掻き取った塗料がコータパン内に流下するようにした。
このロールコータ(本発明のロールコータ)を用いて、従来のロールコータを用いて塗装したときにピックアップロール、アプリケータロールから塗料が飛散する塗装条件で溶融亜鉛めっき鋼板に塗装したところ、ピックアップロール、アプリケータロールからの塗料飛散は発生しなくなった。
なお、図6に示したロールコータ(リバースコート)でも鉤形塗工液掻き取り板の設置によりアプリケータロールおよびピックアップロールからの塗料の飛散が抑制できることを確認している。
本発明によれば、鉤形塗工液掻き取り板を、アプリケータロールがピックアップロールに転接してから鋼帯と転接するまでの間のアプリケータロール側面に当接させて、アプリケータロール側面に付着した塗工液を掻き取るようにしたことで、ロール周速、塗工液の粘度にかかわらず、アプリケータロールからの塗工液の飛散を防止できる。また、さらに、鉤形塗工液掻き取り板を、ピックアップロール側面に当接させて、ピックアップロール側面に付着した塗工液を掻き取るようにしたことで、ロール周速、塗工液の粘度にかかわらず、ピックアップロールからの塗工液の飛散を防止できる。
本発明によれば、良好な付着量制御、良好な塗装外観を確保できる塗装条件の範囲が狭いアルミニウム粉や艶消し剤などの固形物を含んだ塗料を塗装しても、良好な付着量制御、良好な塗装外観を確保できる塗装条件のままで、アプリケータロールからの塗工液の飛散やピックアップロールからの塗工液の飛散を確実に防止することができる。
1 コータパン
2 塗工液
3 ピックアップロール
4 アプリケータロール
5 鋼帯
7 第一の鉤形塗工液掻き取り板
8 第二の鉤形塗工液掻き取り板

Claims (3)

  1. コータパン内の塗工液をピックアップロールで汲み上げ、汲み上げた塗工液をアプリケータロールに転写し、アプリケータロールに転写した塗工液を鋼帯に転写するロールコータにおいて、板状体の側部にアプリケータロール外周面側に突き出た鉤形部を有する第一の鉤形塗工液掻き取り板を、アプリケータロールがピックアップロールに転接してから鋼帯と転接するまでの間のアプリケータロール側面にピックアップロールの浸漬深さ以上の長さで当接させて、アプリケータロール側面に付着した塗工液を掻き取るようにしたことを特徴とするロールコータ。
  2. アプリケータロール回転方向が鋼帯走行と同じ方向であり、
    さらに、板状体の側部にピックアップロール外周面側に突き出た鉤形部を有する第二の鉤形塗工液掻き取り板を、ピックアップロールのコータパン引き上げ部からピックアップロール頂部までの間のピックアップロール側面に当接させ、ピックアップロール側面に付着した塗工液を掻き取るようにしたことを特徴とする請求項1記載のロールコータ。
  3. アプリケータロール回転方向が鋼帯走行方向と逆の方向であり、
    さらに、板状体の側部にピックアップロール外周面側に突き出た鉤形部を有する第二の鉤形塗工液掻き取り板を、ピックアップロールとアプリケータロールの転接部からピックアップロール頂部までの間のピックアップロール側面に当接させ、ピックアップロール側面に付着した塗工液を掻き取るようにしたことを特徴とする請求項1記載のロールコータ。
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