本発明の前記第2ガイド部の前記案内部と前記連結案内部の連結は、前記案内部に設けられ、前記連結案内部に掛合して、連結状態を保持する連結保持部により保持され、前記案内部と前記連結案内部の連結解除は、前記第2ガイド部の前記案内部と前記連結案内部の連結解除後に、前記シールドを、前記案内部を回転軸とし、任意に設定された解除位置まで回転させることで、前記連結保持部の前記連結案内部に対する掛合が解除されることが好ましい。
また、前記シールドの回転範囲内に、任意に設定された所定回転角度の範囲内で、前記解除操作子の解除操作を制限する解除阻止部を備えていることが好ましい。
また、前記解除操作子の前記解除動作に対して該解除動作前の位置に復帰する方向へ付勢する付勢部と、前記解除操作子の前記解除動作により、前記解除部がシールドを押し上げて、一方の前記案内部と前記連結案内部との連結が解除された位置で、前記付勢部の付勢力に抗して前記解除操作子の復帰動作を阻止する復帰阻止部と、一方の前記案内部と前記連結案内部の連結解除後の、前記シールドの他方の前記案内部を回転軸とする回転で、前記復帰阻止部の阻止を解除する復帰阻止解除部とを備えていることが好ましい。
以下で説明するヘルメットは、着用者の顔面の顎部を除く部分が露出する前面開放部(前面開口部)を備えたフルフェースヘルメット、着用者の顔面の全てが露出するタイプのオープンフェースヘルメットが含まれる。
以下で説明する帽体は、ヘルメットの最外層を構成するものであり、強化繊維材(ガラス繊維、カーボン繊維等)に、熱硬化性樹脂材(エポキシ樹脂材、フェノール樹脂材等)を含浸させた強化繊維樹脂材(GFRP、CFRP等)又は、熱可塑性樹脂材(ポリカーボネート等)を用いて、フルフェースヘルメット形状及びオープンフェースヘルメット形状に成型したものである。
以下で説明するシールドは、透明または有色透明、且つ弾性を有する熱可塑性樹脂材(ポリカーボネート等)を用いて所定形状に形成されたものである。
以下では、前面開放部側を前方向とすると共に、この前面開放部と対面するヘルメットの後頭部側を後方向とする。また、この前後方向に対して平面方向で直交する方向を左右方向とすると共に、前後方向又は左右方向に対して鉛直方向に交差する方向を上下方向とする。
以下、本発明の第1実施例に係るヘルメットAを図1〜図9に基づいて説明する。本実施形態で例示するヘルメットAは、フルフェースヘルメットである。尚、以下で説明する実施形態は、本発明を限定するものではない。
ヘルメットAは、帽体A1と、この帽体A1の内側面に配された衝撃吸収ライナー(図示せず)と、この衝撃吸収ライナーの内側面及び帽体A1の内側に配されたクッション体(図示せず)とを備え、帽体A1の外側の左右両側部にシールド1が、シールド支持装置Bを介して帽体A1の前面開放部A2を開閉する方向に回転可能に軸支されている。
前述の衝撃吸収ライナーは、衝撃吸収性能を有する素材(例えば、発泡スチロール材)、若しくは、この素材と同等の衝撃吸収性能を有する素材を用いて、帽体A1の内側面と、着用者の頭部との空間を充たす形状に成形したものである。
以下、シールド1のシールド支持装置Bを具体的に説明する。シールド支持装置Bは、帽体A1の側部に取り付けられたベースプレート(シールド支持部)A3を介して、シールド1を開閉方向に回転自在に支持すると共に、シールド支持装置Bの一部を構成する着脱機構Cを介してシールド1を着脱自在に支持するものである。
また、シールド支持装置Bは、シールド押えカバーB1を帽体A1の側面に支持すると共に、着脱機構Cの操作によって離脱できるようにされている。
シールド押えカバーB1は、ベースプレートA3に対し、連結紐100を介して接続されており、シールド押えカバーB1が帽体A1から離脱したときに、連結紐100によってベースプレートA3に吊り下げられる状態で保持されるようになっている。
シールド支持装置Bは、着脱機構Cと、シールド1の全閉から全開にわたる回転による開閉動作を案内する第1ガイド部2、及び第2ガイド部3とを備えており、シールド1が第1ガイド部2、及び第2ガイド部3で案内されながら、帽体A1の側部側、且つシールド1の上端よりも上方に位置する仮想回転中心Pを中心として、帽体A1の表面に沿うように開閉方向に回転するようにされている。
被支持部10は、シールド1の全閉状態において、被支持部10の上端がシールド押えカバーB1の上端から露出しない上下幅として形成されている。
この被支持部10は、ベースプレートA3に設けられた押え板(連結保持部)A4とベースプレートA3の表面との間に嵌入され、この押え板A4によって、シールド1の開閉動作時に、第1ガイド部2、及び第2ガイド部3による被支持部10の連結状態を保持される。
ここで、第1ガイド部2、及び第2ガイド部3の案内による、仮想回転中心Pを中心とするシールド1の開閉を案内する案内構造、及び開閉動作を説明する。
第1ガイド部2は、ベースプレートA3に設けられた不動案内部(案内部)20と、シールド1側に設けられたガイドレール部(連結案内部)21とから構成され、このガイドレール部21が不動案内部20に嵌合状に連結するようにされている。
不動案内部20は、帽体A1の側部に取り付けられたベースプレートA3に左右方向外側に向けて突設された軸状のものである。
ガイドレール部21は、シールド1の開閉方向の回転軌跡に沿う形状の弧状に開孔された長孔状のものであり、不動案内部20に嵌合して連結されることで、この不動案内部20に支持されながら、ガイドレール部21の弧に沿うシールド1の開閉方向への回転を案内するようになっている。
不動案内部20には、シールド1の全閉から全開までの範囲で、不動案内部20のガイドレール部21に対する連結状態を保持する掛合片(連結保持部)20Aが形成されている。
掛合片20Aは、不動案内部20の径方向に沿って、ガイドレール部21の縁の外側に突出するように形成され、ガイドレール部21の周りの面に接触することで、不動案内部20のガイドレール部21に対する嵌合状態を保持するようにされている。
ガイドレール部21の後方側の端部には、ガイドレール部21に対する掛合片20Aの掛合を解除する掛合解除部210が確保されている。
掛合解除部210は、ガイドレール部21の一部を構成するように、ガイドレール部21の縁から連続すると共に、ガイドレール部21の弧部分の幅以上の幅、且つ図9に示すように、シールド1を取り外すために、シールド1を閉方向に回転させたときに、掛合片20Aが掛合解除部210の幅内に収まる幅として形成されている。
このような掛合解除部210によって、図9に示すように、シールド1を取り外すために、シールド1を閉方向に回転させたときにのみ、掛合片20Aのガイドレール部21に対する掛合を解除することができると共に、シールド1を帽体A1から取り外すことができる。
第2ガイド部3は、シールド1の内側面(帽体A1と対向する面)に設けられた可動案内部(案内部)30と、帽体A1の側部に設けられた支持レール部(連結案内部)31とから構成され、可動案内部30が支持レール部31に嵌合することで連結するようにされている。
可動案内部30は、シールド1に左右方向内側(帽体A1側)に向けて突設された軸状のものである(図3参照)。
支持レール部31は、不動案内部20とガイドレール部21とによるシールド1の開閉方向の回転を支持する形状の弧状に設けられた長溝部31Aと、この長溝部31Aの前端に連設された屈曲部31Bとから構成されている。
このような支持レール部31に可動案内部30が係合することで、この可動案内部30を支持しながら、ガイドレール部21の弧に沿うシールド1の開閉方向への回転を支持するようなっている。
この第2ガイド部3が、ガイドレール部21の弧に沿うシールド1の開閉方向への回転を支持することによって、シールド1の開閉時における回転時に、不動案内部20を軸心とするシールド1の回転を防止して、仮想回転中心Pを中心とするシールド1の開閉方向の回転を正常に行わせることができる。
支持レール部31の長手方向の長さは、シールド1が全閉状態であるときに(図2参照)、長溝部31Aの後方側の端部に可動案内部30が接触することによって、シールド1の全閉状態以上の閉方向の回転を阻止し、シールド1が全開状態であるときに(図6参照)、屈曲部31Bの前方側の端部に可動案内部30が接触することによって、シールド1の全開状態以上の開方向の回転を阻止する長さである。
長溝部31Aは、弧状に形成されており、この弧に沿って可動案内部30が移動させることによって、シールド1の開閉方向の回転操作をスムースにできるようになっている。
屈曲部31Bは、下向き傾斜するように形成されている。この屈曲部31Bの下向き傾斜方向は、シールド1の開方向の回転途中(図5参照)からシールド1の全開位置(図6参照)に至る範囲において、シールド1の前方側が帽体A1の表面に近接する移動に沿って可動案内部30を移動させる方向である。
前述では、ガイドレール部21の全部(全長)が、仮想回転中心Pの移動を案内する方向に設定されているが、ガイドレール部21の一部を、仮想回転中心Pの移動を案内する方向に設定してもよい。
また、前述では、支持レール部31の前端側を、シールド1の回転動作に伴なって仮想回転中心Pを大きく移動させるように、可動案内部30を案内する方向とする屈曲部31Bとして設定されているが、屈曲部31Bを備えず、支持レール部31の全部(全長)をシールド1の回転動作に伴なって、仮想回転中心Pを移動させながら可動案内部30を案内する方向に設定してもよい。
また、前述では、長溝部31Aの形状を弧状として示しているが、この形状は、シールド1の回転動作に伴なって仮想回転中心Pを移動させながら可動案内部30を案内できる形状であればよい。
また、前述では、シールド1の開閉方向の回転において、仮想回転中心Pが移動する構成としているが、シールド1の開閉方向の回転において、仮想回転中心Pを移動させない構成としてもよい。
このような第1ガイド部2及び第2ガイド部3によると、従来のようなシールドを支持する支持軸を必要とせずにシールド1を正常に開閉方向に回転させることができる。
以上のシールド支持装置Bによると、シールド1の回転中心を帽体A1の側部に設定された仮想回転中心Pとし、この仮想回転中心Pよりも下方に、シールド1の開閉方向の回転を案内支持する第1ガイド部2及び第2ガイド部3を設けたので、ヘルメットAの着用者のこめかみに相当する部位の厚みを確保できると共に、ヘルメットAの側部における凹部A6の面積を減少することができる。
しかも、ベースプレートA3に着脱機構Cを配置しても、従来のような着用者のこめかみ部分に至る面積のベースプレートに比べても小さいベースプレートA3を使用できるので、シールド押えカバーB1の面積も従来のものと比べて小さくできる。これによって、シールド押えカバーB1を要因とする走行中の風切音の低減ができると共に、ヘルメットAの軽量化やデザイン性の向上が期待できる。
次に、着脱機構Cのシールド1の着脱構造、及び着脱機構Cによるシールド1の着脱動作を具体的に説明する。
着脱機構Cは、シールド1、及びシールド押えカバーB1の支持の解除操作を行う解除操作子4を備えており、この解除操作子4がベースプレートA3に設けられた案内溝40にスライド自在に支持されている。
解除操作子4は、先端(支持レール部31側の端部)に解除部4Aを有すると共に、後端に操作体4Bを有している。
更に、解除操作子4は、解除操作子4のスライド方向中央の一方の縁部に、シールド押えカバーB1を支持、及び支持解除するカバー支持部4Cを有すると共に、解除操作子4のスライド方向中央の他方の縁部に、解除操作子4の解除方向のスライドに対して、解除操作子4を非解除方向(解除操作前の方向)へスライドさせるように付勢を加えるバネ部(付勢部)4Dを有し、且つ、外方側の面に、解除操作子4の解除方向へのスライドを制限する解除阻止部4Eを有している。
また、解除操作子4は、弧状に形成されており、操作体4Bを押動操作することによって、弧に沿ってスライドして解除部4AがベースプレートA3と被支持部10との間に嵌入するようにされている。
案内溝40は、解除操作子4の先端が支持レール部31の屈曲部31Bの先端と対向し、この屈曲部31Bの先端に対し接離する方向に解除操作子4をスライド自在に案内するように、解除操作子4の弧に沿う形状として形成されている。
案内溝40は、解除部4A側の端(後方端)から操作体4B側の端(前方端)までの長さが、解除操作子4の長さよりも短くされ、案内溝40の両端の夫々から解除部4A、操作体4Bが露出するようにされている。
解除部4Aは、解除操作子4の先端を帽体A1の外方側に突出させて形成された段差状のものであり、解除操作子4の解除方向へのスライドで、解除部4AがベースプレートA3と被支持部10との間に嵌入したときに、被支持部10を帽体A1の外方に押し拡げることによって、可動案内部30を支持レール部31から抜き取ることができる(図3、図7、図8参照)。
この状態で、シールド1を、不動案内部20を回転中心として閉方向に回転させて、可動案内部30をベースプレートA3上に設定された解除位置P1に移動させることによって、被支持部10が押え板A4から抜け出て、押え板A4による保持が解除され、これによって、不動案内部20から被支持部10を抜き取ることができると共に、この操作を左右同時に行うことで、シールド1を帽体A1から取り外すことができる(図9参照)。
解除位置P1には、可動案内部30が嵌入する凹部P10が形成されており、可動案内部30が解除位置P1に移動したときに、この可動案内部30が凹部P10に嵌入するようにされている。
凹部P10は、シールド1を取り付けるときの位置決め、及び案内として機能するようにされている。すなわち、シールド1を帽体A1に取り付けるとき、不動案内部20にガイドレール部21に嵌合すると共に、可動案内部30を凹部P10に嵌入することによって、図9に示す状態にすることができ、この状態からシールド1を、不動案内部20を回転中心として開方向に回転させることによって、図6に示すように、可動案内部30を凹部P10から脱出させると共に、支持レール部31に嵌合させることができる。
凹部P10には、図5、図6に示す状態で、不動案内部20を回転中心とするシールド1の回転による可動案内部30の移動軌跡に沿う傾斜面P11が形成されている。この傾斜面P11は、凹部P10の底側から厚み方向に沿って支持レール部31側に向かうように形成されており、可動案内部30を凹部P10に嵌入させるときには、傾斜面P11で案内して嵌入するようにされ、可動案内部30を凹部P10から脱出させるときには、傾斜面P11で案内して凹部P10を乗り越えるように脱出できるようにされている。
ベースプレートA3には、解除操作子4の解除方向へのスライド方向に向かって高さが高くなるように、ベースプレートA3の厚み方向に傾斜する傾斜面A7が形成されており、解除操作子4の解除方向へのスライドによって、解除操作子4の先端の解除部4Aを傾斜面A7に沿って帽体A1の外方へ案内するようにされている。
バネ部4Dは、解除操作子4の縁部に対して接離する方向に変形、及び変形から復帰するように一体形成されたS字状を呈する板バネ状のものであり、解除操作子4の解除操作によるスライドで、変形すると共に、この変形から復帰するときに生じる復帰力を、解除操作子4を解除操作前の状態に戻すための付勢力として作用させるようにされている。
また、バネ部4Dは、解除操作子4の解除操作前の状態(図2、図5、図6参照)において、ベースプレートA3に設けられた凹部A31に嵌合し、解除操作子4の解除操作後の状態(図7参照)において、凹部A31の上部に設定されたバネ受け部A310に、バネ部4D自身の変形からの復帰力を利用して掛止されることによって、解除操作子4の解除操作後の状態が保持されるようになっている。
凹部A31は、バネ部4Dの先端側(操作体4B側)の曲部40Dの先端部41Dが接触し、解除操作子4の解除方向へのスライドによって、バネ部4Dを解除操作子4の縁に接近させて変形させる方向(操作体4Bから解除部4Aへ向かって解除操作子4の縁に接近する方向)に傾斜する傾斜部A311が形成されている。
すなわち、凹部A31に嵌合したバネ部4Dが、解除操作子4の解除方向へのスライドに伴なって、傾斜部A311に沿って移動することによって、解除操作子4の縁部に対して接近する方向に変形すると共に、この変形からの復帰力が生じ、この復帰力によって、解除操作子4を解除操作前の位置に戻るようにスライドさせることができる。
また、解除操作子4の解除方向へのスライドに伴なって、解除部4AがベースプレートA3と被支持部10との間に嵌入して、被支持部10を帽体A1の外方に押し拡げたときには、バネ部4Dが凹部A31から脱出してバネ受け部A310に掛止されることで、解除操作子4の解除操作前の位置への復帰動作を一時的に阻止するように保持できる復帰阻止部として機能する(図7参照)。
バネ受け部A310は、バネ受け部A310と凹部A31との境となる角部から上方へ後方に向かって傾斜する傾斜状に形成されており、この傾斜状のバネ受け部A310に、バネ部4Dの曲部40Dが載り、この曲部40Dがバネ部4Dの変形からの復帰力によって押し付けられて接触するようにされている。
すなわち、本実施形態の復帰阻止部は、バネ部4Dが凹部A31を脱出して、バネ部4Dの変形からの復帰力で、曲部40Dをバネ受け部A310に押し付けることで復帰阻止機能を発揮できるようにされている。
また、解除部4Aの復帰に対しては、図9に示すように、シールド1を閉方向に回転させると、被支持部10の縁部10Aが解除阻止部4Eに接触して、解除阻止部4Eを解除操作前の方向に押動する。
この解除阻止部4Eが押動されることで、バネ部4Dの曲部40Dが、バネ受け部A310の傾斜に沿って凹部A31方向に向かって移動しながら、解除操作子4方向へ変形すると共に、バネ受け部A310を乗り越えるように脱出して傾斜部311に至り、且つ脱出時に変形から元に戻る付勢力によって、凹部A31に至る。
すなわち、被支持部10の縁部10Aが解除阻止部4Eを解除操作前の方向に押動することで、曲部40Dのバネ受け部A310からの脱出、及びバネ部4Dの変形からの復帰力で生じる押し付け力による先端部41Dの傾斜部A311での移動に伴なって、解除操作子4を解除操作前の方向にスライドさせることができ、これによって、解除操作子4を解除操作前の状態に戻すことができる。
このように、解除阻止部4Eは、シールド1の全開位置以外で、シールド1を閉方向に回転させることで、被支持部10の縁部10Aが接触し、接触した縁部10Aにより押動されることで、前述の復帰阻止部の阻止を解除する復帰阻止解除部として機能する。
また、本実施形態の復帰阻止解除部は、解除阻止部4Eと被支持部10の縁部10Aとで構成され、被支持部10の縁部10Aで解除阻止部4Eを押動することによって、阻止解除機能を発揮するものである。
一方、操作体4Bは、案内溝40の前方端から突出した部分に設定されており、この操作体4Bを押動することによって、解除操作子4を解除方向へスライドさせることができる。
カバー支持部4Cは、図3、図8に示すように、シールド押えカバーB1の裏面(帽体A1側の面)に、シールド押えカバーB1の厚み方向に沿って突設された掛止片B10が嵌入する貫通口40Cを確保する枠状に形成されている。
掛止片B10は、この掛止片B10の下端に被支持部10側へ突出する突起B11を有しており、この突起B11がカバー支持部4Cの被支持部10側の枠部41Cに掛止されることによって、シールド押えカバーB1を帽体A1に保持できるようにされている。
また、掛止片B10は、解除操作子4の解除方向へのスライドに伴なってスライドすることによって、掛止片B10の枠部41Cに対する掛止が解除されて、貫通口40Cから抜き取ることができるようにされている。
掛止片B10を貫通口40Cから抜き取ることによって、シールド押えカバーB1の下端側を帽体A1から取り外すことができ、掛止片B10を貫通口40Cに嵌合することによって、シールド押えカバーB1の下端側を帽体に取り付けることができる。
枠部41Cのシールド押えカバーB1側の面には、解除操作子4の解除方向へのスライド方向に向かって、解除操作子4の厚み方向に傾斜する傾斜面42Cが形成されている。
貫通口40Cは、ベースプレートA3に開口された貫通孔A30から露出しており、この貫通孔A30を介して掛止片B10が抜き挿しするようにされている。
貫通口40Cは、解除操作子4の解除操作前の状態では、貫通口40Cの枠部41Cと、枠部41Cと対向する貫通孔A30の縁部A41との幅が、突起B11の突出幅よりも狭い幅となるように、貫通孔A30と重なり合っている。
また、突起B11の枠部41Cに対する掛止状態を解除するときには、解除操作子4の解除操作に伴なってカバー支持部4Cがスライドすることによって、枠部41Cが縁部A41から離れて、枠部41Cと縁部A41との幅が突起B11の突出幅よりも広い幅となるようにされている。
シールド押えカバーB1は、カバー支持部4Cに加えて、シールド押えカバーB1の上端側を支持するカバー支持部5Cによっても支持されている。
カバー支持部5Cは、シールド押えカバーB1の上端側の裏面(帽体A1側の面)に、シールド押えカバーB1の厚み方向に沿って突設された掛止片B20と、ベースプレートA3側にシールド押えカバーB1側に突設された掛止片51Cとからなり、掛止片B20が掛止片51Cに対して掛止されることで、シールド押えカバーB1を支持するようにされている。
掛止片B20は、この掛止片B20の先端から被支持部10側(下方側)へ突設された突起B21を有し、掛止片51Cは、この掛止片51C先端から突起B21側に突設された掛止突起52Cを有しており、掛止突起52Cに対して突起B21を上方から引っ掛けるように、帽体A1の厚み方向で対面させることで、掛止片B20が掛止片51Cに掛止され、突起B21を上方に引き上げることで、掛止片51Cに対する掛止片B20の掛止が解除されるようになっている。
このような、カバー支持部5Cによって、シールド押えカバーB1の上端側を帽体A1に支持できると共に、シールド押えカバーB1の上端側を帽体A1から離脱させることができる。
すなわち、解除操作子4の解除操作前の状態では、突起B11の枠部41Cに対する掛止状態を保持することで、帽体A1に対するシールド押えカバーB1の取り付け状態を保持することができ、解除操作子4の解除操作することで、カバー支持部4Cの掛止を解除し、更にカバー支持部5Cの掛止から離脱させることによって、帽体A1からシールド押えカバーB1を取り外すことができる。
シールド押えカバーB1の取り付け時には、掛止片B20を掛止片51Cに掛止した状態で、掛止片B10を貫通口40Cへ嵌合させることによって、傾斜面42Cに突起B11の接触による帽体A1方向への押圧力が作用する。
このとき、傾斜面42Cを押圧する突起B11に対して、傾斜面42Cが自身の傾斜に沿って摺動することで、解除操作子4が解除方向へスライドし、このスライドに伴なって、枠部41Cが縁部A41から離れて、枠部41Cと縁部A41との幅が突起B11の突出幅よりも広い幅となり、これによって、突起B11を貫通口40Cに嵌合することができる。
突起B11を貫通口40Cに嵌合すると、バネ部4Dの付勢力によって、解除操作子4が非解除方向にスライドすることで、枠部41Cが縁部A41に近づくと共に、枠部41Cと縁部A41との幅が、突起B11の突出幅よりも狭い幅となり、これによって、突起B11を枠部41Cに掛止することができる。
解除阻止部4Eは、シールド1の通常の開閉動作範囲(図2〜図5参照)の全開状態(図4参照)を除く範囲(図2、図3参照)で、被支持部10の縁部10Aに接触する段差状のものであり、解除操作子4の解除操作時に、シールド1の全開状態を除く範囲で縁部10Aに接触することによって、シールド1の全開位置以外で、解除操作子4のスライドを阻止できるようにされている。
また、解除阻止部4Eは、前述したように、シールド1を閉方向に回転させることで、被支持部10の縁部10Aが接触し、接触した縁部10Aによる押動を行うことができるようにされている。
以上の構成とするヘルメットAによると、シールド1の全開状態以外で、解除操作子4の解除操作を阻止することができ、シールド1の全開状態で解除操作子4の解除操作を行うことができる。
シールド1の全開状態で解除操作子4の解除操作をしたときに、解除部4Aが被支持部10を帽体A1の外方へ押し拡げることで、可動案内部30を支持レール部31から抜き取ることができ、同時に、シールド押えカバーB1を帽体A1から取り外すことができる。
図7に示すように、可動案内部30が支持レール部31から抜き取られた状態では、被支持部10が押え板A4と掛合片20Aとで保持されているので、シールド1の帽体A1に対する取り付け状態を保持することができる。
すなわち、この解除操作だけでは、シールド1が帽体A1に保持されてシールド1を取り外すことができず、この状態からシールド1を閉方向に回転させることでシールド1を外すようにしているため、シールド1の全開位置で解除操作子4の解除操作を誤って行った場合でも、シールド1の帽体A1からの離脱を防止できる。
また、シールド1の全開位置で解除操作子4の解除操作を誤って行った場合でも、この位置からシールド1を開方向に回転させることで、解除操作子4を解除操作前の位置に戻すことができると共に、解除操作子4の解除操作によって押し拡げられた被支持部10が元に戻り、可動案内部30を支持レール部31に嵌合させることができ、これによって、シールド1の通常の開閉動を行える状態にすることができる。
したがって、解除操作子4の解除操作が誤って行われたとしても、シールド1の帽体A1に対する保持状態を保持することができると共に、シールド1の開閉動を問題なく行うことができる。
よって、本実施形態のヘルメットAは、シールドの取り外し作業の容易性、及び迅速性を備えた上で、取り外し作業の確実性の更なる向上が達成できる。
本実施形態のヘルメットAでは、シールド押えカバーB1を備えた形態として例示したが、本発明では、シールド押えカバーB1の有無を限定するものではなく、前述したような作用・効果を有する掛合片20A、押え板(連結保持部)A4によって、通常のシールド1の開閉動作範囲、及び解除操作子4の解除操作での、被支持部10の帽体A1からの離脱が阻止されているため、シールド押えカバーB1がなくても、ヘルメットAからのシールドの脱落を防止することができる。
シールド押えカバーB1を備えないヘルメットAである場合、カバー支持部4C、5C、及び掛止片B10、B20を省略することができる(図示せず)。
次に、本発明に係るヘルメットA’の第2実施形態を図10(a)〜図10(d)に基づいて説明する。このヘルメットA’は、シールド押えカバーB1を備えない形態のものである。尚、第1実施形態と重複する部位についても説明は、同符号を付すことにより省略する。
ヘルメットA’のシールド支持装置Bは、シールド1の開閉動作が、第1ガイド部2の不動案内部20を中心として回転する第1回転(図10(b)参照)と、第2ガイド部3の不動案内部(案内部)32を中心として回転する第2回転(図10(c)参照)との、異なる二つの回転中心での回転で行われるようにしたものである。
本実施形態の第1ガイド部2、及び第2ガイド部3は、夫々、ベースプレートA3に不動案内部20、32を備え、シールド1に、ガイドレール部21と支持レール部31を備えたものである。
ガイドレール部21は、第2回転時の可動案内部30を中心として回転する回転軌跡に沿う方向に長い長孔状に形成され、支持レール部31は、第1回転時の不動案内部20を中心として回転する回転軌跡に沿う方向に長い長孔状に形成されている。
ガイドレール部21には、不動案内部20に形成された掛合片20Aが、不動案内部20の軸方向からガイドレール部21に対して抜き挿しするための凹部21Aが形成されており、この凹部21Aを介して、掛合片20Aをガイドレール部21に対して抜き挿しすることができるようにされている。
不動案内部32は、不動案内部20と同じ方向に突設された軸状のものであり、この不動案内部20に形成された掛合片20Aと同じ構成とする掛止片(連結保持部)32Aが形成されている。
支持レール部31には、ガイドレール部21に形成された凹部21Aと同じ構成とする凹部31B’が形成されており、この凹部31B’を介して、掛合片32Aを支持レール部31に対して抜き挿しすることができるようにされている。
凹部31B’は、シールド1の通常の開閉動作の範囲(図10(a)〜図10(c)参照)では、掛合片20Aと正対しない位置、且つシールド1を取り外すための回転(図10(d)参照)時に、掛合片20Aと正対する位置に形成されおり、シールド1の通常の開閉動作の不動案内部に対するガイドレール部21の連結状態を保持できるようにされている。
凹部31B’は、シールド1の全開位置のみで、掛止片32Aと正対する位置に形成されており、シールド1の全開状態で解除操作子4の解除操作を行って、被支持部10を外方に押し拡げることで掛止片32Aから支持レール部31を抜き取ることができるようにされている。
解除操作子4は、解除部4A、操作体4B、バネ部4Dを備えてベースプレートA3に対して解除操作によるスライドが自在となるように設けられ、シールド1の全開状態で、解除操作(上方へスライド操作)をすることによって、解除部4Aが被支持部10を外方へ押し拡げて、掛止片32Aから支持レール部31を抜き取ることができるようにされている。
バネ部4Dは、解除操作子4の前後両縁に形成された板バネ状のものであり、ベースプレートA3に設けられた凹部A32に嵌合し、解除操作子4の解除操作によるスライドで、変形すると共に、この変形から復帰するときに生じる復帰力を、解除操作子4を解除操作前の状態に戻すための付勢力として作用させることができるようにされている。
解除部4Aが被支持部10を外方へ押し拡げている状態では、第1実施形態と同様に、解除部4Aが被支持部10とベースプレートA3との間で挟まれており、バネ部4Dの付勢力に抗して解除操作子4の解除操作前の状態への復帰を阻止している。
シールド1を帽体A1から取り外す動作は、基本的に、第1実施形態のシールド1の取り外し動作と同じ動作であり、シールド1の全開状態で解除操作子4を解除操作した後に、シールド1を閉動作させることで、不動案内部20に形成された掛合片20Aを凹部に正対させ、この状態で被支持部10を不動案内部20の軸方向に沿って外方に移動させることで、不動案内部20からガイドレール部21を抜き取ることができる。
シールド1を取り付けるには、不動案内部20に形成された掛合片20Aに凹部を正対させた状態で挿し込むと共に、シールド1を、不動案内部20を中心として開方向に回転させて、不動案内部32に形成された掛合片32Aに凹部を正対させて挿し込むことで取り付けることができる。
以上のような構成のシールド支持装置Bを備えたヘルメットA’によっても、第1実施形態のヘルメットAと同じ効果を得ることができる。
次に、本発明に係るヘルメットA’’の第3実施形態を図11(a)〜図11(c)に基づいて説明する。このヘルメットA’’は、シールド押えカバーB1を備えない形態のものである。尚、第1実施形態と重複する部位についても説明は、同符号を付すことにより省略する。
ヘルメットA’’のシールド支持装置Bは、シールド1の開閉動作が、第1ガイド部2の不動案内部20を中心として回転すると共に、この回転の回転軌跡に沿うように形成された第2ガイド部3の支持レール部31に沿って、第2ガイド部3の可動案内部30が移動することによって行われるようにしたものである(図11(a)、図11(b)参照)。
第1ガイド部2は、被支持部10に設けられた軸状の不動案内部20と、不動案内部20に同軸で回転自在に、且つ適合状に嵌合することで連結される形状としてベースプレートA3に開孔された連結孔部(連結案内部)22とを備えたものであり、シールド1の開閉動作時に、連結孔部22を中心として不動案内部20が回転することで、シールド1の開閉動作を行うことができるようにされている。
連結孔部22には、不動案内部20の掛合片20Aに対して抜き挿しされる凹部22Aが形成されており、この凹部22Aを掛合片20Aに抜き挿しすることによって、連結孔部22に対して被支持部10を着脱することができるようにされている。
支持レール部31の上端には、可動案内部30の支持レール部31に対する掛合を解除する掛合解除部310が、支持レール部31の弧に連続するように形成されており、この掛合解除部310を介して、可動案内部30を支持レール部31に対する掛合を解除するようにされている。
本実施形態の連結保持部は、支持レール部31の前方縁の、掛合解除部310を除く範囲の全域に設けられた掛合板31Cと、可動案内部30に径方向に沿って突設された被掛合部31Dとから構成されており、被掛合部31Dが掛合板31Cの裏面側(帽体側の面)に位置している状態で、可動案内部30と支持レール部31との連結を保持し、被掛合部31Dが掛合板31Cの表面側(シールド1側の面)に位置している状態で、可動案内部30と支持レール部31との連結を解除するようにされている。
掛合板31Cと被掛合部31Dとによる連結の解除は、図11(c)に示すように、シールド1の全開位置で可動案内部30が掛合解除部310に位置している状態で、解除操作子4を解除操作すると、被支持部10が帽体A1の外方へ押し拡げられると共に、可動案内部30が掛合解除部310から抜き取られる。
可動案内部30を掛合解除部310からの抜き取りに伴なって、被掛合部31Dが掛合板31Cの表面側に位置に移動し、この状態からシールド1を、不動案内部20を回転中心として閉方向へ動作させることで、被掛合部31Dが掛合板31Cの表面側に重なり合う位置に移動し、可動案内部30の支持レール部31に対する掛合が解除される。
また、被掛合部31Dが掛合板31Cの表面側に重なり合う位置では、支持レール部31から可動案内部30を抜き取ることができる状態となっているが、掛合片20Aと凹部22Aとが正対する位置に移動させないと、不動案内部20から連結孔部22を抜き取ることができないようにされている。
そのため、被掛合部31Dが掛合板31Cの表面側に重なり合う位置への移動は、掛合片20Aと凹部22Aとが正対する位置と対応する位置であり、被掛合部31Dを掛合片20Aと凹部22Aとが正対する位置に移動させることによって、可動案内部30を支持レール部31から抜き取ることができると共に、不動案内部20から連結孔部22を抜き取ることができ、これによって、シールド1を帽体A1から離脱することができる。
解除操作子4は、ベースプレートA3に対して、左右の軸を中心として回転自在に軸支され、軸支部40’を境として上方側に、且つ掛合解除部310と前後方向で正対する位置に解除部4Aが設けられ、下方側に操作体4Bが設けられている。
この解除操作子4は、操作体Bを前方へ引く動作に伴なって解除部4Aが後方へ移動することで、解除部4Aが被支持部10を外方へ押し拡げることができるようにされている。
シールド1を取り付けるには、不動案内部20に形成された掛合片20Aに凹部22Aを正対させた状態で挿し込むと共に、可動案内部30を支持レール部31に挿し込み、シールド1を全開状態まで回転させて解除操作子4に至らせ、被支持部10を帽体A1方向に押動することで、被掛合部31Dが掛合板31Cの表面側から裏面側に移動し、この状態からシールド1を、不動案内部20を中心として閉方向に回転させることによって、シールド1を帽体A1に取り付けることができる。
したがって、以上のような構成のシールド支持装置Bを備えたヘルメットA’’によっても、第1実施形態のヘルメットAと同じ効果を得ることができる。