JP6273889B2 - 難燃性ポリウレタンフォーム - Google Patents
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Description
しかしながら、カーボンブラックや微粉シリカのような微粉末状の沈降防止剤は、それ自身の分散不良により沈降防止の効果が不十分である。また、水添ヒマシ油ワックスや脂肪酸アミドワックスは、沈降防止性能の不足により、沈降防止の効果が不十分である。さらに、カーボンブラックや微粉シリカを用いる場合、使用量によりポリウレタンフォームの成形時の発泡反応性の低下や、ポリウレタンフォームの難燃性が低下する等の問題があり、可燃性物質である水添ヒマシ油ワックスや脂肪酸アミドワックスを用いる場合、ポリウレタンフォームの難燃性が低下する等の問題がある。
(1)赤燐、ウレア誘導体、ポリオール、イソシアネートを用いて得られる難燃性ポリウレタンフォームであって、該難燃性ポリウレタンフォームが、ポリオール100重量部に対して0.5〜20重量部の範囲の赤燐及び0.001〜15重量部の範囲のウレア誘導体が用いられることで得られることを特徴とする難燃性ポリウレタンフォームである。
(2)ウレア誘導体が脂肪酸変性ウレア、変性ウレア、高分子ウレア誘導体から選択される少なくとも1種であることを特徴とする上記(1)に記載の難燃性ポリウレタンフォームである。
(3)ポリオール100重量部中に、ポリエステルポリオールを10〜100重量部の範囲で含むことを特徴とする上記(1)又は(2)記載の難燃性ポリウレタンフォームである。
(4)リン酸エステル類を含み、その含有量がポリオール100重量部に対して10〜150重量部の範囲であることを特徴とする上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の難燃性ポリウレタンフォームである。
(5)イソシアネートの含有量がポリオール100重量部に対して70〜500重量部の範囲であることを特徴とする上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の難燃性ポリウレタンフォームである。
(6)ポリオール、赤燐、ウレア誘導体を含有するポリオール組成物とイソシアネートを混合して、発泡成形して得ることを特徴とする上記(1)乃至(5)のいずれかに記載の難燃性ポリウレタンフォームの製造方法である。
次の式:
R−O−CO−NH−R’,−NH−CO−NH−R’’,−NH−CO−NH−R’,−NH−CO−OR
(式中、RはCnH2n+1−及びCmH2m+1(CpH2pO)r−から選ばれ、nは4〜22の整数であり、mは1〜18の整数であり、pは2〜4の整数であり、rは1〜10の整数であり、R’は
次の式:
本発明に用いるポリオール組成物は、例えば、赤燐、ウレア誘導体及び必要に応じてその他の難燃剤や添加剤等をポリオールに分散し使用できるものである。
<発泡評価用ポリオール組成物の調製>
ガラス瓶に所定量のポリオールと難燃剤、ウレア誘導体を加え、プライミクス社製ディスパーを用いて1500rpmで5分間撹拌し、ポリオール組成物を得た。このポリオール組成物は、室内の暗所にてフタで密閉し、貯蔵した。
<発泡評価>
所定量のポリオール組成物と触媒、水、整泡剤を発泡評価当日にプライミクス社製ディスパーを用いて1500rpmで5分間撹拌、発泡直前に水以外の発泡剤を加えて撹拌、最後にイソシアネートを加えた。室温下(20〜25℃)、40℃に加温した2Lのポリエチレン製カップにポリウレタン原料混合物を注ぎ、フリー発泡(原料液温度:20±1℃、攪拌速度:3800rpm、撹拌時間7秒間)させた。
<分析条件>
次に述べる方法にて、発泡反応性(クリームタイム、ゲルタイム、ライズタイム)、フォーム成形物のコア密度、難燃性(酸素指数)を測定し、フォーム外観を評価した。
<発泡反応性の評価>
クリームタイム(CT):発泡開始時間であり、ポリウレタン原料混合物が発泡開始する時間を目視にて測定した。
ゲルタイム(GT):樹脂形成時間であり、細い棒状物を発泡フォーム中に突っ込み引き抜くときに糸引き現象が起こる時間を測定した。
ライズタイム(RT):発泡フォームの上昇が停止する98%の高さに達した時間をレーザー変位計LK−2500、LK−500(共にキーエンス社製)を用いて測定した。
<フォームのコア密度>
2Lのポリエチレン製カップ内でフリー発泡させたフォームの中心部を70mm×70mm×150mmの寸法にカットし、寸法、重量を正確に測定してコア密度を測定した。
<難燃性の評価項目>
酸素指数:ポリウレタンフォームをASTMD2863−77に準じて、OXYGENINDEXER(東洋精機社製)を用いて、実施した。
<フォーム外観の評価>
得られたフォームの着色の均一性から赤燐難燃剤の分散性を目視にて評価した。
フォームの着色が均一:○
フォームの着色が不均一:×
表1、表2及び表3に記載の原料としては、それぞれ以下のものを使用した。
ポリオールA:二塩基酸として無水フタル酸、多価アルコールとしてジエチレングリコールからなるフタル酸系ポリエステルポリオール(OH価=327mgKOH/g)
ポリオールB:フェノール系ポリオール(OH価=354mgKOH/g)
難燃剤A:燐化学工業社製 赤燐(商品名:ノーバレッド 120UFA)
難燃剤B:アクゾノーベル社製 トリス(クロロプロピル)ホスフェート(商品名:FYROL PCF)
マスターバッチ組成物A:ポリオールA60部、ポリオールB40部、整泡剤A3部、難燃剤A690部、難燃剤B900部、ウレア誘導体A1.1部混合したポリオール組成物
マスターバッチ組成物B:ポリオールA60部、ポリオールB40部、整泡剤A3部、難燃剤A690部、難燃剤B900部混合したポリオール組成物
ウレア誘導体A:ビックケミー社製 脂肪酸変性ウレア(商品名:BYK−410)
ウレア誘導体B:ビックケミー社製 高分子ウレア誘導体(商品名:BYK−415)
ウレア誘導体C:ビックケミー社製 変性ウレア(商品名:BYK−420)
沈降防止剤A:東ソーシリカ社製 ゲルタイプ微粉シリカ(商品名:NIPGEL AZ−204)
沈降防止剤B:三菱化学社製 カーボンブラック(商品名:MA220、粒子径55nm、pH2.9)
沈降防止剤C:楠本化成社製 脂肪酸アミドワックス(商品名:ディスパロン A603−20X)
発泡剤A:日本ソルベイ社製 1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(商品名:ソルカンHFC−365mfc)
整泡剤A:東レ・ダウコーニング社製 シリコーン系界面活性剤(商品名:SZ−1627)
触媒A:東ソー社製 4級アンモニウム触媒(商品名:TOYOCAT−TRV)
触媒B:東ソー社製 3級アミン触媒(商品名:TOYOCAT−TMF)
触媒C:東ソー社製 トリエチレンジアミン33重量%エチレングリコール溶液(商品名:TEDA−L33)
イソシアネート:日本ポリウレタン工業社製 ポリメリックMDI(商品名:MR−100、NCO含量=30.9%)
参考例1〜5の結果を表1に、実施例1〜11の結果を表2に、比較例1〜11の結果を表3に示す。
表1に示す配合に従い、ウレア誘導体を用いず、ガラス瓶に所定量のポリオールと難燃剤を加え、その直後に水、触媒、整泡剤、発泡剤を混合、ポリオール組成物を得た。調製した当日に、イソシアネートを加えて発泡し、発泡反応性や難燃性等の評価を行った。
表2に示す配合に従い、ウレア誘導体を用いて、ポリオールと難燃剤を混合したポリオール組成物を貯蔵し、参考例と同様の評価を行った。
高濃度の赤燐含有ポリオール組成物であるマスターバッチ組成物を用いた場合においても、ウレア誘導体を添加することにより、発泡の遅延等は無く、フォーム外観も均一であった。また、高い難燃性を示す事が分かった。
表3に示す配合に従い、ウレア誘導体や沈降防止剤を用いずポリオール組成物を調製後1か月貯蔵し、実施例と同様の評価を行った。
ウレア誘導体の代わりに種々の沈降防止剤を用いてポリオール組成物を調製後1か月貯蔵し、実施例と同様の評価を行った。
表3に示す配合に従い、高分子ウレア誘導体を多量に用いて、実施例と同様の評価を行ったが、プレミックスの粘度が高く短時間で増粘し、ゲル化するため、発泡が困難であった。
Claims (5)
- 赤燐、ウレア誘導体、ポリオール、イソシアネートを用いて得られる難燃性ポリウレタンフォームであって、該難燃性ポリウレタンフォームが、ポリオール100重量部に対して0.5〜20重量部の範囲の赤燐及び0.001〜15重量部の範囲のウレア誘導体が用いられ、
前記ウレア誘導体が脂肪酸変性ウレア、変性ウレア、高分子ウレア誘導体から選択される少なくとも1種であることで得られることを特徴とする難燃性ポリウレタンフォーム。 - ポリオール100重量部中にポリエステルポリオールを10〜100重量部の範囲で含むことを特徴とする請求項1に記載の難燃性ポリウレタンフォーム。
- リン酸エステル類を含み、その含有量がポリオール100重量部に対して10〜150重量部の範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載の難燃性ポリウレタンフォーム。
- イソシアネートの含有量がポリオール100重量部に対して70〜500重量部の範囲であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の難燃性ポリウレタンフォーム。
- ポリオール、赤燐、ウレア誘導体を含有するポリオール組成物とイソシアネートを混合して、発泡成形して得ることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の難燃性ポリウレタンフォームの製造方法。
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