JP6271676B2 - テトラフルオロプロペンの作製方法 - Google Patents

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、2012年2月14日提出の所有者共通の米国仮特許出願第61/598531号に対する国内優先権を合衆国法典第35編119条(e)項に基づいて主張するものである。該仮特許出願の開示内容を、本明細書により、本明細書中で参考として援用する。
本発明は、四フッ素化プロペン化合物の作製方法について記載するものである。より具体的には、本発明は、化合物1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(CFCH=CHF、HFO−1234zeまたは1234ze)の作製方法について記載するものである。
テトラフルオロプロペン化合物HFO−1234zeは、低い地球温暖化係数を有する有用な化合物である。HFO−1234zeは、フォーム発泡剤、冷媒として、ならびにホモポリマーおよびコポリマーのためのモノマーとしてなど、非常に多くの用途に有用である。
HFO−1234zeを調製するための方法がいくつか知られている。例えば、米国特許公報第6548719号には、相間移動触媒の存在下での脱ハロゲン化水素によりCFCHCFH(245fa)からCFCH=CHFなど多くのフルオロオレフィンを生産することが記載されている。米国特許公報第5986151号および第6124510号には、CFCHCFHを気相触媒により脱フッ化水素化してCFCH=CHFを得ることが記載されている。これらの文書を、本明細書により、本明細書中で参考として援用する。
CFCHCHFCl(244fa)の気相脱塩化水素は、米国特許公報第7829748号に記載されているように、CFCH=CHFをもたらすことが報告されている。HFおよびSbF触媒でのCFCH=CHCl(1233zd)の蒸気相フッ素化により、HFO−1234zeが245faおよびCHClF−CF−CFとともに得られる。例えば、米国特許公報第7829748号参照。この文書を、本明細書により、本明細書中で参考として援用する。
米国特許公報第6548719号 米国特許公報第5986151号 米国特許公報第6124510号 米国特許公報第7829748号
上記方法の主な不利な点は、各場合において、出発材料、例えばCFCHCFHを、典型的には、多数の反応段階により、および/または比較的高価な原料を用いて作製する必要があることであり、したがって、少なくとも費用対効果の観点から、HFO−1234zeの改善された生産方法を提供することが必要とされている。
したがって、本発明、すなわち、以下で詳細に述べるように、比較的安価で市販されている出発材料をHFO−1234zeを作製するために利用する方法を開発した。
本発明は、CFCH=CHF(HFO−1234ze)の作製方法を対象とする。本方法は、四塩化炭素を1,2−ジクロロエチレンに加えてCClCHClCHClを形成することを包含する。その後、化合物CClCHClCHClを、HFで処理して主生成物としてCFCHClCHClFを生産することができ、または脱塩素によりCCl=CHCHCl(HCC−1230za)に転化することができる。得られる主生成物がCFCHClCHClFになるように、CCl=CHCHClをHFで処理することができる。
CFCH=CHClが副生成物として生じる可能性があるが、HFで処理するとCFCHClCHClFが生じる。望ましい化合物CFCH=CHF(HFO−1234ze)は、trans/cis混合物として、それぞれCFCHCHClFの脱塩化水素またはCFCHClCHClFの脱塩素により得られる。これらの反応を以下のスキームに示す:
Figure 0006271676
上記のように、本方法は、四塩化炭素(CCl)を1,2−ジクロロエチレン(trans、cisまたは混合物)に加えてCClCHClCHClを形成することを包含する。化合物CClCHClCHClを、得られる主生成物がCFCHClCHClFになるようにHFでフッ素化することができ、または脱塩素によりCCl=CHCHCl(1230za)に転化することができる。得られる主生成物がCFCHClCHClFになるように、CCl=CHCHClをHFでフッ素化することができる。CFCH=CHClが副生成物として生じる可能性があるが、HFで処理するとCFCHClCHClFが生じる。望ましい化合物CFCH=CHF(HFO−123
4ze)は、trans/cis混合物として、CFCHCHClFの脱塩化水素またはCFCHClCHClFの脱塩素により得られる。
J.Molecular Catalysis,77,(1992)51〜60に記載されているように、CHCl=CHCl(trans、cisまたは混合物)へのCClの添加を、例えば銅またはルテニウム錯体触媒を含む触媒を用いて約80℃で実施して、主としてCClCHClCHClを得ることができる。RuCl(PPhの代わりにクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウムを触媒として用いることもできる。これに加えて、ポリマー結合RuCl(PPhなどの市販の固定化触媒でも、この添加は達成される。
化合物CClCHClCHClを、Znでの脱塩素によりCCl=CHCHCl(1230za)に転化する。反応条件は、CCl=CHCHClが良好な収率で得られるように最適化することができる。CCl=CHCHClは、テトラクロロシクロプロパンの熱分解によるか(J.Chem.Soc.Section C(Organic),1969,165−172参照)、Bulletin de la Societe Chimique de France 1963,10,2147−53に記載されているようにHClおよびハロゲン化アルミニウムと反応させたポリハロアクロレイン(polyhaloacrolein)から得ることもできることに、留意すべきである。
化合物1230za(CCl=CHCHCl)をHFでフッ素化(米国特許公報第5811603号およびPCT公開第WO2010/059493A1号参照)して、CFCHCHClF(244fa)またはCFCH=CHCl(1233zd)を得る;後者はCFCHCHClFに容易に転化する(米国特許出願公開第2011−0201853号参照)。フッ素化反応は、典型的にはフッ化水素、好ましくは無水HF(AHF)およびフッ素化触媒を用いて実施する。これらの触媒は周知であり、主として望ましい生成物CFCHCHClFが得られるように反応条件を微調整することができる。これらの文書を、本明細書により、本明細書中で参考として援用する。
最後の段階において、CFCHCHClFの脱塩化水素によりCFCH=HF(HFO−1234ze)を得る。あるいは、形成したCClCHClCHClをHFでフッ素化してCFCHClCHClFを得ることができ、その後、これを亜鉛を用いて脱塩素してHFO−1234zeを得ることができる。
実施例1−CHCl=CHClへのCClの添加
清浄な乾燥した1Lオートクレーブに、窒素パージ下でCHCl=CHCl(transおよび/またはcis)(24.0g、0.250mol)、四塩化炭素(400mL)およびRuCCl(PPh(2.3g、2.5mmol)を加えた。その後、密封したオートクレーブを80℃に加熱し、該温度で約8時間保持した。反応混合物をシリカゲルパッドに通して濾過し、GCにより分析すると、80%を超える転化率が示された。生成物CClCHClCHClを蒸溜により単離した。3回の試験に関し収率は40%〜50%であった。
実施例1a
この反応は、RuCCl(PPhの代わりにクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、すなわちRhCl(PPhを用いたという点を除き、実施例1と同様に実施した。収率は35〜55%であった。
該反応は、固定化触媒、例えば市販されているポリマー結合RuCl(PPhを用いて実施することもできることに留意する。
実施例2−CCl=CHCHClへのCClCHClCHClの転化
亜鉛末(25mmol)とメタノール(50mL)の加熱(50℃〜60℃)混合物に、CClCHClCHCl(50mmol)を滴下して加えた。形成した生成物CCl=CHCHClをコールドトラップに収集すると、60%〜70%の収率が得られた;残存する生成物はCClCH=CHClであった。後者は、HFを用いてCFCHCHClFに転化することができる。
実施例3−CClCHClCHClとHFとの反応
フッ素化反応は、Monel(登録商標)管型反応器(直径2.54cm、長さ80cm)で実施した。該反応器に、米国特許公報第7829748号に記載されているように、活性炭(Toyo Colon PCB、4×10メッシュ)上のフッ素化触媒SbCl(またはSbF、またはSbCl[式中、x+y=5])150gを入れ、
85℃に加熱した。その後、気化したCClCHClCHClと無水HF(約1:10)の混合物を、加熱した触媒に2秒〜10秒の接触時間で通した。接触時間=mL/秒での触媒のバルク体積/反応体の体積流量。
各反応体の流量を、接触時間が2秒〜10秒の範囲になるように質量流量計/制御装置で制御した。流出液は主にCFCHClCHClFからなっていた。例えば、接触時間2秒、60℃〜70℃では、CFCHClCHClFの収率は、GC面積により決定して30%〜40%であった;残りは、副生成物、すなわちCFCHClCHFおよびCFCHFCHFであった;CFCHClCHClFを蒸留により分離した(bp=71℃)。
実施例4−HFとCCl=CHCHClとの反応
CCl=CHCHClのフッ素化は実施例3と同様に実施した。得られた主生成物はCFCHCHClFとCFCH=CHCl(20%〜30%)であった;形成した後者の生成物は、より多くのHFを用いて前者に転化することができる。
実施例5−CFCHClCHClFからCFCH=CFHへの転化
CFCHClCHClFの脱塩素は、実施例2に記載したように遂行した。このようにして、0.2molのCFCHClCHClFを50℃〜60℃においてメタノール(50mL)中のZn(0.11mol)粉末で脱塩素した場合、収率65%のHFO−1234ze(CFCH=CHF)が得られた。
実施例6−CFCHCHClFの脱塩化水素
液相
テフロン(登録商標)ライニングを施した0.5Lのオートクレーブに、300gの20%水性KOH溶液、1gのAliquat 336または18−クラウンエーテル、および20gのCFCHCHClFを入れた。オートクレーブの内容物を50℃〜55℃に加熱し、該温度で6時間保持した。反応の推移をGCによりモニタリングした。12時間後、生成物HFO−1234ze(収率65%)を、−78℃で冷却したスチール製シリンダーに収集した。
蒸気相
Monel管型反応器に20ccの酸処理(HClまたはHNO)活性炭触媒を充填し、350℃〜370℃に加熱した。その後、CFCHCHClFの蒸気流を、約6g/hの速度で、反応器中の加熱した触媒床に1時間〜8時間通した。244faの転化率は40%〜60%で、HFO−1234zeの選択率は95%を超えていた。さらなる生成を蒸留により遂行した。
連続操作
上記の各反応は、バッチモードまたは連続モードで操作することができる。連続操作モードでは、さまざまな反応出発材料を望ましい比率で反応器に連続的に供給する。触媒および/または任意の他の望ましい反応添加剤を定期的または連続的に反応器に加えることができるが、連続モードが好ましい。反応は、約0.01時間〜約24時間、好ましくは約1時間〜約12時間の滞留時間で実施することが好ましい。反応条件は、反応効率が高
くなるように公正に(judicially)選択する。
本明細書で用いる場合、単数形“1つの(a)”、“1つの(an)”および“その(the)”は、そうではないことが文脈により明示されていない限り、複数形を包含する。さらに、量、濃度、または他の値もしくはパラメーターが、範囲、好ましい範囲、または上側の好ましい値と下側の好ましい値のリストとして与えられている場合、これは、範囲が個別に開示されているか否かに関わらず、任意の上側の範囲限度または好ましい値と、任意の下側の範囲限度または好ましい値との任意の対から形成されるすべての範囲を具体的に開示していると理解すべきである。本明細書中で数値の範囲が列挙されている場合、特記しない限り、該範囲は、その端点と、該範囲内のすべての整数および分数を包含するものとする。範囲を定義する場合、本発明の範囲は、列挙されている具体的な値に限定されるものではない。
上記の説明は本発明の例示に過ぎないことを理解すべきである。当業者なら、本発明から逸脱することなく、さまざまな代替および修正を考案することができる。したがって、本発明は、添付する特許請求の範囲内にあるそのような代替、修正および変動をすべて包含するものとする。
本発明は以下の態様を含む。
[1] 以下を含む、CFCH=CHFの作製方法:
(a)1,2−ジクロロエチレンを化合物CClCHClCHClに転化する段階;
(b)CClCHClCHClを化合物CCl=CHCHClに転化する段階;
(c)段階(b)の生成物をフッ素化して化合物CFCHCHClFを形成する段階;および
(d)段階(c)の生成物を脱塩化水素して化合物CFCH=CHFを形成する段階。
[2] 段階(a)の反応を、担持または非担持銅およびルテニウム触媒からなる群より選択される触媒を用いて実施する、[1]に記載の方法。
[3] 段階(b)の脱塩素反応を亜鉛を用いて実施する、[1]に記載の方法。
[4] 段階(c)のフッ素化反応を、フッ化水素および担持または非担持フッ素化触媒を用いて実施する、[1]に記載の方法。
[5] フッ素化触媒が式SbCl[式中、x+y=5]を有する、[4]に記載の方法。
[6] フッ素化触媒がSbClおよびSbFからなる群より選択される、[5]に記載の方法。
[7] 段階(d)の脱塩化水素反応を、液相または気相のいずれかにおいて脱塩化水素触媒を用いて実施する、[1]に記載の方法。
[8] 脱塩化水素反応を液相で実施する、[7]に記載の方法。
[9] 触媒が、アルカリ金属の水酸化物を相間移動触媒と共に含む、[7]に記載の方法。
[10] 脱塩化水素反応を気相で実施し、触媒が酸処理活性炭を含む、[7]に記載の方法。

Claims (4)

  1. 以下を含む、CFCH=CHFの作製方法:
    (a)四塩化炭素を1,2−ジクロロエチレンと反応させて化合物CClCHClCHClを形成する段階;
    (b)式SbCl[式中、x+y=5]を有するフッ素化触媒を用いて化合物CClCHClCHClをHFでフッ素化して化合物CFCHClCHClFを生成する段階;および
    (c)亜鉛を用いて化合物CFCHClCHClFを脱塩素して化合物CFCH=CHFを生成する段階。
  2. 脱塩素反応によって化合物CClCHClCHClの一部をCCl=CHCHCl(HCC−1230za)に転化すること;および
    化合物CClCHClCHClの一部をHF及びフッ素化触媒でフッ素化して化合物CFCHClCHClFを生成すること;
    のうちの少なくとも1つを実施する、請求項1に記載の方法。
  3. フッ素化触媒がSbClおよびSbFからなる群から選ばれる、請求項1に記載の方法。
  4. フッ素化触媒が活性炭に担持される、請求項1に記載の方法。
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