JP6270567B2 - 遮水性土木材料 - Google Patents
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Description
上記遮水性土木材料は、鉄鋼スラグ、固体の珪酸ナトリウム及び水の混合物に対して土質材料が加えられて生成され、混合物及び土質材料の全体における土質材料の割合が80質量%以下であってよい。
以下、この発明の実施の形態における遮水性土木材料100の製造方法について添付図面に基づいて説明する。
図1を参照すると、遮水性土木材料100は、潜在水硬性鉄鋼スラグ(以下、鉄鋼スラグと呼ぶ)1、固体の珪酸ナトリウム2及び水3を混合(第一混合処理11)して生成される第一遮水性土木材料101、並びに、第一混合処理11に加えて土質材料4をさらに添加して混合(第二混合処理12)し生成される第二遮水性土木材料102によって構成される。
第二遮水性土木材料102の生成は、上述のように第一混合処理11の後に第二混合処理12を行ってもよいが、鉄鋼スラグ1、固体の珪酸ナトリウム2、水3及び土質材料4を同時に混合装置に投入して混合する、つまり第一混合処理11及び第二混合処理12を同時に行ってもよい。
土質材料4としては、汚泥及び浚渫土等の泥土、スラッジ、粘性土及びシルト質土等の細粒土などが用いられる。
鉄鋼スラグ1は、上述のような微細な粒子によって構成されるため、結合対象である他の鉄鋼スラグ微粒子との接触面積を大きくすることができる。このため、第一遮水性土木材料101の固化体は、高い強度を備える。さらに、鉄鋼スラグ1の微粒子同士は、粒子間の間隙を埋めるように位置して結合し、さらに、その結合も弾性を有する。このため、第一遮水性土木材料101は、気孔率が低く密な構造を有して高い遮水性を備えると共に、弾性も備える。
微細な粒子からなる鉄鋼スラグ1は、結合対象である他の鉄鋼スラグ微粒子及び土質材料4の粒子との接触面積を大きくすることができるため、第二遮水性土木材料102の固化体も高い強度を備える。さらに、鉄鋼スラグ1の微粒子は、粒子間の間隙を埋めるように分布して粒子を結合するため、第二遮水性土木材料102も、気孔率が低く密な構造を有して高い遮水性を備えると共に、弾性も備える。
杭体材料として使用される場合、アースオーガー等の掘削機械で掘削した地盤の孔内に第一遮水性土木材料101を注入して孔内の掘削土と共に混合・撹拌する。これにより、第一遮水性土木材料101が掘削土と共に固化し、地盤中に強度が高められた柱状の改良体が形成される。さらに、改良体を互いにラップさせて連続的に形成することによって、地盤中に壁体が形成される。改良体及び壁体は、遮水性及び弾性を有する。
構造物の形成材料として使用される場合、構造物の型枠内に第一遮水性土木材料101が流し込まれ、所定の強度が得られるまでの養生期間の経過後に、型枠が取り外される。これにより、第一遮水性土木材料101からなり遮水性及び弾性を有する構造物が形成される。
構造物の形成材料として使用される場合、第二遮水性土木材料102は、構造物の型枠内に投入され、場合によってはバイブレータ等の締固め装置によって締め固められる。所定の強度が得られるまでの養生期間の経過後に型枠が取り外され、第二遮水性土木材料102からなり遮水性及び弾性を有する構造物が形成される。第一遮水性土木材料101のように流動性が高くない第二遮水性土木材料102は、傾斜面上の構造物や傾斜した構造物の形成に用いることができる。
以下、本実施の形態の遮水性土木材料100の実施例と、本実施の形態の遮水性土木材料100と異なる配合を有する土木材料の比較例とを比較検証する。
実施例及び比較例では、鉄鋼スラグとして製鋼スラグを使用した。使用した製鋼スラグには、ステンレス鋼の製鋼工程で発生するスラグを徐却・固化させて破砕及び地金の除去した後に得られる砂状のスラグを用い、さらに砂状のスラグを縦型ローラミルで微粉状に粉砕したものを使用した。使用した製鋼スラグは、CaO(酸化カルシウム)を35〜65質量%、SiO2(二酸化ケイ素)を20〜55質量%、Al2O3(アルミナ)を4〜9質量%、MgO(酸化マグネシウム)を5〜10質量%で含有するものである。製鋼スラグは、700μm以下の粒度及び1700〜4000cm2/gの比表面積を有するものである。
また、固体の珪酸ナトリウム及び水の混合物としては、3号珪酸ナトリウムを使用した。
実施例並びに比較例の配合条件及び評価の一覧表を表1に示す。
透水係数は、供試体への圧密荷重を10〜1200kPaの範囲で変化させて透水性を測定する変水位透水試験による室内透水試験によって測定した。
さらに、供試体の弾性係数の目標数値範囲として50〜500kg/cm2とした。これは、地震等の外力によって破損しないような構造物に要求される経験上の数値範囲である。これは、本発明の遮水性土木材料が使用される場所、構造の規模、施工方法によって最適に決められるべきものであるが、従来の天然土質材料に近い物性としてこの範囲が望ましい。この範囲より低すぎると弾性変形を起こしやすく強度不足であり、高すぎると弾性変形を起こしにくいため周辺土壌の変形に耐えられずに破壊し、漏水を起こす危険性がある。
また、供試体の透水係数の目標数値範囲として5.0×10−6cm/秒以下とした。これは、農業土木学会の土地改良事業設計指針「ため池整備」でため池を形成する堤体及び底地盤に要求される透水係数をさらに厳しく設定した数値範囲である。
このとき、鉄鋼スラグ1は、固体の珪酸ナトリウム2及び水3と共に水和反応を起こし、結合材として機能し、第一遮水性土木材料101を固化させることができる。また、鉄鋼スラグ1は、微細な粒子によって構成されるため、他の鉄鋼スラグ粒子等の結合対象との接触面積を大きくすることができる。このため、第一遮水性土木材料101の強度を向上させることができる。さらに、微細な粒子からなる鉄鋼スラグ1は、第一遮水性土木材料101内で他の粒子同士の間隙を埋めるように存在し、第一遮水性土木材料101の気孔率を低くして密な構造としに、遮水性を向上させることができる。また、鉄鋼スラグ1の水和物による結合は弾性を有するため、第一遮水性土木材料101も弾性を有することができる。
また、実施例では、固体の珪酸ナトリウム及び水の混合物として液体の3号珪酸ナトリウムが用いられていたが、固体の珪酸ナトリウムと別個の水とを用いて、鉄鋼スラグ等と混合するようにしてもよい。
Claims (2)
- 潜在水硬性を有する鉄鋼スラグと固体の珪酸ナトリウムと水とを混合して生成され、
前記鉄鋼スラグに対する前記固体の珪酸ナトリウムの割合が20〜90質量%であり、
前記固体の珪酸ナトリウムに対する前記水の割合が10〜40質量%であり、
前記鉄鋼スラグは、1700〜4000cm2/gの比表面積を有する微粉末である遮水性土木材料。 - 前記鉄鋼スラグ、前記固体の珪酸ナトリウム及び前記水の混合物に対して土質材料が加えられて生成され、
前記混合物及び前記土質材料の全体における前記土質材料の割合が80質量%以下である請求項1に記載の遮水性土木材料。
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