JP6270230B2 - しわ発生の少ない紙成形体の製造方法 - Google Patents

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本発明は、しわ発生の少ない紙成形体の製造方法に関する。
従来より紙成形体は、包装容器の分野で汎用され、種々の容器形態に成形されている。紙トレー、紙皿などの1ピースからなる紙成形体や、胴部部材と底部部材からなる2ピースからなる紙容器がある。
紙を主体とするブランクを絞り成形される紙成形体は、金属のような展性・延性がないため、その加工で周端部の立ち上がり形状部分にしわが発生する。図10は、胴部部材(ロ)と底部部材(イ)からなる2ピースの紙容器を示す。底部部材(紙成形体)は絞り成形される。これら、紙成形体のしわを抑制する技術として以下の手法が開示されている。
特許文献1は、しわの発生を少なくし且つ深い絞り成形が可能な紙成形容器を目的とし、フランジ押さえとダイス上面を一定の隙間にしながら絞り成形する方法が開示されている。また、特許文献2は、胴部との間で良好な密着が得られる紙カップ用底を目的とし、底紙の外縁部を上方から押圧する方法が開示されている。また、特許文献3は、折り重なるほど高くないひだ(しわ)を有する紙コップ底を目的とし、原紙(ブランク)の厚さよりも引き出し部(パンチ)と開口部(ダイス)の隙間を小さくして絞り成形する方法が開示されている。
特許第4121832号公報 「成形容器の製造方法と製造装置及び 成形容器」 平成20年5月9日登録 平成20年7月23日発行 特開2001−270013号公報 「紙カップ底紙の成形装置及び 成形方法」 平成13年10月2日公開 特開2000−238150号公報 「紙カップ底及び紙コップ底の 製造方法とその装置」 平成12年9月5日公開
従来の方法で製造された紙成形体は、細かなしわを成形し押しつぶされ易い折り重ね部が形成されること、又は、絞り加工時にブランクよりも狭い厚さの隙間を通過することで細かいしわがつぶされ、しわを目立たなくすることなどが提案されている。しかしながら、これまでの加工方法では、完全にしわをなくすまで至っていない。
また、飲食料品の容器分野で通常の保存期間よりも長い、いわゆるロングライフ用の紙容器は、一般的に薬剤による殺菌がなされる。底部部材の側壁にしわのある状態で加工すると内容品側で底部部材側壁と胴部部材の接点近傍に隙間が生じて、薬剤が届き難いことにより殺菌が不十分になったり、薬剤が残留する問題や、内容品が漏れる虞がある。これらの問題を解決する紙成形体、加工方法が求められている。
本発明は、上記の問題を解決すべく、紙成形体及びそれを用いた紙容器、並びにその加工方法を提供することにあり、第1に、紙成形体の表面が平滑で外観が良好な紙成形体を提供すること、第2に、胴部部材との接着性が良好な紙成形体を提供することを目的とする。
本発明の紙成形体を製造する方法は、紙を主体とする一枚の平坦なブランクからパンチとダイスでその外周縁部を立ち上がり形状の壁部に絞り加工する方法において、ブランクの外周縁部をしわ押さえ部材とダイス天面とで加圧して押さえる機構を用い、該しわ押さえ部材の圧力をしわ発生開始高さについては閾値3mmを越えるしわ押さえ圧力の割合値以上、前記ブランクの抄紙方向の垂直方向へのブランク引張強度に対するしわ押え圧力の割合については12%以下の範囲とし、前記パンチの先端部の曲率半径Rbが、ブランクの厚さをtとしたとき、0.3t〜6tとなるように設定し、前記パンチの先端部に続く外周面に逃がしテーパー角度0.1°〜5°を設けてパンチ及びダイスを用いて絞り加工することを特徴とする。
また、本発明の紙成形体を製造する方法は、上記構成に加え、紙を主体とする一枚のブランクからパンチとダイスでその外周縁部を立ち上がり形状の壁部に絞り加工する方法において、ブランクの外周縁部をしわ押さえ部材とダイス天面とで加圧して押さえる機構を用い、該しわ押さえ部材の圧力をしわ発生開始高さについては閾値3mmを越えるしわ押さえ圧力の割合値以上、前記ブランクの抄紙方向の垂直方向へのブランク引張強度に対するしわ押え圧力の割合については12%以下の範囲とし、前記パンチを嵌合する前記ダイスのアプローチ角を0.1°〜5°とするとともに、前記ダイスの先端部形状Rをブランクの厚さをtとしたとき、2.5t〜6tとしてパンチ及びダイスを用いて絞り加工することを特徴とする。
本発明の紙成形体を製造する方法は、しわ押さえ部材の圧力を前記ダイスのブランク引張強度に対するしわ押さえ圧力の割合としわ発生開始高さの関係特性において、しわ発生開始高さがαの閾値を越えるしわ押さえ圧力の割合値以上12%以下とすることにより、ブランクの原紙厚み100に対して、底部から立ち上がる高さα以内の壁部水平断面形状が30以下の窪みしかないものとなるから、絞り成形した部分の表面に肉眼で目立つようなしわのない滑らかな紙成形体を提供できる。
また、本発明の紙成形体を製造する方法は、更に、前記パンチを嵌合する前記ダイスの先端部形状Rをブランクの厚さをtとしたとき、2.5t〜6tとするものとしたことにより、上記効果を更に確実なものにすることができる。
本発明の紙成形体を製造する方法は、前記加圧力について前記しわ押さえ部材が前記ダイスの上面との一定の隙間及び一定の圧力で印加されるという単純な手段で実現することが出来た。
更に、この手段において前記フランジ押さえ部材先端面と前記ダイス上面との隙間の所定値dをブランクの元板厚みtより小さい値に設定することにより、加工初期段階において安定的に所定の圧力を得ることができる。
また、絞り加工の過程でブランクの外周縁部の厚さが増すのに応じて前記隙間が可変となるようにして押さえ圧力を調整するようにすることで、過剰なしわ押さえ圧力によるフランジの破断を抑制することができる。この機構を備えることにより、前記フランジ押さえ部材先端面と前記ダイス上面との隙間の所定値dをブランクの元板厚み以上に設定しても所望の加工を実現することが出来る。
また、本発明の紙成形体を製造する方法は、前記ダイスのアプローチ角を0.1°〜5°とすると共に、前記ダイス内周面と前記パンチ外周面間のクリアランスをCLとして、{(t−CL)/t}×100で表せるしごき率(red)の値が20以下となるようにCLを設定することにより、戻り変形の少ない形状保持機能を備えるものとした。
更に、前記先端部に続くパンチ外周面に逃がし部テーパー角度を設けるようにしたことにより、ブランクの外周縁部の端部がしごき成形されないようになり、細かい紙粉の飛散を防止できる。
本発明の製造物である紙成形体は、上記の条件の下に製造することによりブランクの原紙厚み100に対して、底部から立ち上がる高さα以内の壁部水平断面形状が30以下の窪みしかないものとなるから、絞り成形した部分の表面に肉眼で目立つようなしわのない滑らかな紙成形体を提供できる。また、上記紙成形体である底部部材と胴部部材の2ピースからなる本発明の紙容器は、表面が滑らかであるから胴部部材との接着が緻密に行われ、ロングライフ用の容器に用いても殺菌剤の残留、酸素バリヤ性、防湿性の低下、内容物の漏れ等の問題を生じない。
紙成形体の成形方法を実施する本発明の1形態を示す構成図である。 本発明に係るダイスとパンチの形状を説明する図である。 本発明に係る紙成形体の製造形方法によって形成した底部部材の外観像と顕 微鏡組織図である。 従来の製造方法の紙成形体の外観像と顕微鏡組織図である。 ブランク引張強度に対するしわ押さえ圧力の割合としわ発生開始高さの関係 特性を示すグラフである。 本発明の紙成形体の底絞りしわ断面の顕微鏡写真である。 従来品1の紙容器の底絞りしわ断面の顕微鏡写真である。 従来品2の紙容器の底絞りしわ断面の顕微鏡写真である。 窪み計測説明図である。 2ピースの紙コップの底部構造を説明する図である。
本発明の紙成形体を製造する方法は、紙を主体とする一枚のブランクをパンチとダイスで絞り加工するものであって、ブランクの外周縁部をしわ押さえ部材とダイス天面とで加圧して押さえる機構によって適切なしわ押さえ圧力を加えつつ絞り加工を施すものとする。その際の該しわ押さえ部材の圧力を前記ダイスのブランク引張強度に対するしわ押さえ圧力の割合としわ発生開始高さの関係特性に対応させて、しわ発生開始高さがαの閾値を越えるような適正範囲を割り出すものとした。
本発明の製造物である紙成形体は、胴部部材と底部部材の2ピースからなる紙容器の底部として用いることができる。底部部材は、紙シートからブランクを打ち抜き後、絞り成形される。得られた底部部材を筒状の胴部部材に挿入し胴部部材側壁に接着して紙容器が成形される。また、胴部部材の下端部を内側に折り込んで底部部材と加熱圧着することも可能である。このとき、内容品側で底部部材側壁と胴部部材の接点近傍に隙間が存在しないことが重要になる。本発明の底部部材は、底部から立ち上がる側壁近傍の表面が平滑となるので、胴部部材との貼り合わせにおいて空洞部が存在せずに良好な接着性を有することが可能となる。
絞り成形において、パンチを嵌合するダイスの先端部形状Rは、2.5t〜6t(t:ブランクの厚さ)とする。2.5tよりも小さいとこの部分に負荷が集中しブランクが破断する原因になり、6tよりも大きいとしわが発生するとの知見を得たことによる。しわが発生する理由は、ダイスの先端形状Rが大きいとしわを押さえる部分からパンチまでの距離が大きくなる分、しわ押さえ圧力から早く開放されるためである。なお、しごき成形を行わなかった以外は後述する表1の本発明と同じ条件で加工を行った場合も同様に表面が平滑な紙成形体を得ることができる。
しわ押さえ方法については、図1を参照しながら以下に説明する。絞り加工初期に所望のしわ押さえ圧力が印加していれば、これに限定されるものではないが、具体的な方法は、しわ押さえ部材5がダイス1の上面との一定の隙間及び一定の圧力によって印加する。このときのダイス1の上面としわ押さえ部材5との距離は、ブランク厚みtよりも小さくなるようにし、一定の距離を保つようにしわ押さえ部材に下死点を調整する手段が設けられている。しわ押さえ部材の加圧手段としては、エアシリンダやバネなどが採用できる。
また、しわ押さえ部材5は、絞り加工の過程で径が狭められることに起因してブランクの外周縁部の厚さが増すに応じてそれを許容可能にすべく、しわ押さえ部材先端面とダイス上面との隙間が上方に可変となるように過度の加圧力を防止する手段を備えている。これは、ブランクの元板厚みが想定する範囲を超え、ブランク6aの周縁部への押さえ圧力が想定値を上回る場合があったとしても、本発明ではその現象を回避して、安定的なしわ押さえ圧力による印加を可能とするためである。
紙容器の底部の製造方法としては、紙シート6をブランキング用ダイス2とブランキング用パンチ4で所定の形状に切断し、次いで、しわ押さえ部材5が下降すると同時にパンチとダイスが相対的に移動することで絞り加工が行われ、底部部材が成形される。成形された底部部材は、図示しないが、筒状の胴部部材内に挿入し、胴部部材側壁に接合して、紙容器が製造される。
また、図示されていないが、ブランキング用パンチ4には、それ以上下方に変位させない手段を備えている。また、しわ押さえ圧力をブランク6aの周縁部を確実に印加するために、図1の左下方に図示しているようにダイス1とブランキング用パンチ4との間D1と、ダイス1としわ押さえ部材5の間D2との関係がD1>D2となるように設定される。そして、しわ押さえ部材5にもそれ以上下方に変位させない手段(この例ではブランキング用パンチの段部4aとしわ押さえ部材の段部5aの係合)を備えることで、ダイス天面との隙間の調整が可能となる。
次に、ダイスとパンチ形状について説明する。図2Aは、まずはダイス1のパンチ導入側曲率半径Raの値をブランク6aの厚さをtとして、2.5t〜6tに設定する。また、パンチ3の先端部の曲率半径Rbは0.3t〜6tに設定する。ダイス1とパンチ3とのクリアランスは、{(t−CL)/t}×100で表せるしごき率(red)の値が20以下となるようにダイス1最小内径とパンチ3の最大外径との差であるクリアランス(CL値)とすることが好ましい。ブランク6aの外周縁部の端部がしごき成形されないようにパンチ3の先端部に続く外周面に逃がし部テーパー角度を設ける。これは、外周縁部の端部がしごき成形されないことにより紙粉の発生を防止するためである。
図2Bは、ダイス1のパンチ導入側形状とパンチ3先端部形状が二重に描かれている。内側の形状はアプローチ角を付与した形態であり、このアプローチ角を付与することで絞り加工において緩やかに圧縮が掛かるようにするための形状である。アプローチ角度の範囲は、0.1°〜5°とし、好適には0.5°〜2°である。また、パンチの先端逃がし角βも上記範囲と同様とする。しごき成形は、底部から立ち上がる角度をほぼ垂直にするとともにブランクの外周縁部の戻りを少なくすることができる。
ブランク6aとは、原紙の両側にポリオレフィンでラミネートし、紙シート6を打ち抜き加工されたものである。ブランクのラミネート層の構成としては、ポリオレフィン、EVOH、無機蒸着フィルム、有機系コート系フィルム、アルミ箔などを中間層に用いた多層構成とすることもできる。
本発明の紙成形体は以下の製造装置を用いて作製した。図1の左半分はブランキング後の状態を示し、右半分は底部部材成形途中の状態を示している。右側下方部には底部部材成形途中の加工箇所を部分的に拡大して示した図である。紙を主成分としたシート6はブランキング用のパンチ4の変位によってダイス2との協働して円形にブランク6aを型抜きする。このブランキング用のパンチ4の内側にはしわ押さえ部材5が配置され、それはリング形状であって、左下方の拡大図に図示されているように先端面は中央から内側にかけて平坦であるがブランキング用のパンチ4と接する外周部分はなだらかな傾斜面となっており全体に凸形状となっている。また、しわ押さえ部材5には段部5aが形成されており、ブランキング用のパンチ4の内側に形成された段部4aと係合可能な形態となっており、ダイス1としわ押さえ部材5との間隙D2の限界値を確保すると共に、更にしわ押さえ部材5はブランキング用のパンチ4の上方部から所定圧で下方に押さえ圧力が印加される形態がとられ、隙間調整部を構成している。したがって、異物の接触が無いフリーの状態では図の左側下方部に示されるようにしわ押さえ部材5の平坦な先端面はブランキング用のパンチ4の下端面に対して若干下方に位置する(この例では0.05mmの段差)ものとなっている。図1の左側に示されたブランキング後の状態ではブランキング用のパンチ4の下端面はダイス1の天面との間でブランク6aの元板厚み(この際の厚みは紙シート6の厚みに等しい)で停止され、しわ押さえ部材5の先端面はブランク6aの面を押圧している。しわ押さえ部材5の先端面が円形に型抜きしたブランク6aの周縁部を押圧している状態、すなわち、ブランク6aの周縁部を所望のしわ押さえ圧力を印加する機能を持たせた状態で図1の右側に示すようにパンチ2が下方に変位しダイス1と協働してブランク6aを絞り成形する。所望のしわ押さえ圧力は試験を重ねる中で以下に説明するように所定範囲に設定するのがよいとの知見を得た。
(しわ押さえ圧力の測定)
JIS規格(P8113)の値からブランクの元板厚みを除した値をブランクの単位面積当たりの荷重(MPa)としてブランクの引張り強度を測定し、初期加工段階におけるしわ押さえ圧力をブランクの引張り強度100に対する割合とした。なお、しわ押さえ圧力は、単位面積当たりの荷重(MPa)とした。
次に、従来の製造方法による紙成形体と本発明の製造方法による紙成形体との比較データを示す。ブランクとしては坪量200g/mの原紙両面にポリエチレンをラミネートした素材を用い、成形時にはパラフィン油系の潤滑剤を使用した。この潤滑剤は紙コップ成形では一般的に使用されているものである。また、ブランク6aの外周縁部を所定圧で押圧した状態でダイス1の天面に対し変位可能であるための機構として、バネ機構とした。
これらの実施条件の一覧を表1に示す。それ以外は同様の条件で行った。
上記のような実施条件の下で製造された紙成形体の顕微鏡組織は図3と図4に示すとおりであった。図3は本発明による紙成形体、図4は従来方法による紙成形体である。図中Aは外観を撮像した写真、Bは観察用顕微鏡写真の部位を示す図、Cは底面から2mmの位置の顕微鏡組織、Dは底面から5mmの位置の顕微鏡組織、Eは底面から8mmの位置の顕微鏡組織である。Cの底面から2mmの位置の顕微鏡組織で比較すると図4の従来方法のものは原紙に小さな凹部(窪み)が形成されているのが観察される。しかし、5mmの位置、8mmの位置になると凹部形状は大きくなり、外観を撮像した写真のAでも明らかなしわの発生が確認できる。底部部材の厚さも5mm,8mmと段々に大きくなっている。これに対し、本発明によるものは底面から2mmの位置の顕微鏡組織のみならず、5mmの位置、8mmの位置における顕微鏡組織でも原紙に小さな凹部も観察されない。外観を撮像した写真のAでは肉眼で見えるようなしわは発見できない。底部部材の厚さもほぼ均一である。この比較実験によりできあがった成形品には、このように顕著な差異があることが確認できた。
次に、ブランク引張強度に対するしわ押さえ圧力の割合としわ発生開始高さの関係を検証した。前述のブランクを用いて、しわ押さえ圧力とダイスの形状をそれぞれ変更した以外は、表1に示す条件と同様に紙成形体を製造した。しわ発生開始高さの測定は、底面から立ち上がる外周方向でしわが開始される位置を目視で確認し、しわの発生開始高さとした。結果を図5に示す。ダイスRの値が2.9t、4.3t、5.7t、8.6tの4種類のダイスを用いてその特性を求めた。しわ発生開始高さが3mm以上のものを良品と判定する閾値とした。要するに、しわ発生開始高さが3mm以上となるものが本発明の課題を満たす紙成形品となるわけである。ここでは閾値αの値を3mmとしている。図に示された結果から分かるようにダイスRの値が大きくなるに連れてこの関係特性は傾斜がなだらかになることが見て取れる。8.6tのものではしわ発生開始高さが閾値の3mm以上となることはなく、良品が得られないことが分かる。また、反対にダイスRの値が小さすぎるとダイス先端部にRをつけた効果が低くなり、加工時に局部的な負荷が大きくなってブランクが破断する危険性が高くなる。適正値は2.5t〜6tの範囲と認められた。また、ブランク引張り強度に対するしわ押さえ圧力の割合は、低すぎるとしわ発生開始高さが3mm以下となってしまうことが図に示す結果から分かる。また、しわ押さえ圧力の割合が高すぎるとブランクが破断する危険性が高くなり、12%以下が適正範囲と認められた。したがって、適正領域は図5における網掛け領域となるので、本発明のしわ押さえ圧力の適正値はダイスのブランク引張強度に対するしわ押さえ圧力の割合としわ発生開始高さの関係特性においてしわ発生開始高さが3mmの閾値を越えるしわ押さえ圧力の割合以上12%以下が適正範囲となる。因みにダイスR値が2.9tの場合は2%以上12%以下、4.3tの場合は3%以上12%以下、5.7tの場合は6.7%以上12%以下となる。
ダイスR値については8.6tが不適であることは明らかであるが、2.5t〜6tが適正範囲と判定した。
次に、表1の条件で製造した本発明の紙成形体を筒状の胴部部材内へ挿入して、胴部部材の底端部を折り返して内側へ屈曲させて、胴部部材の下端部と紙成形体である底部部材の外周縁部を挟んで加熱圧着した紙容器を作製した。従来品1はロングライフ用容器、従来品2はデイリー用(保存期間約2週間程度)飲料紙容器として既に市場に出回っているものである。各容器とも図10における底面からの距離lが2mm、3mm、4mm、6mmの位置でカットし、その断面の顕微鏡写真を撮って、窪み深さを測定した。測定値の灰色で網掛けしたものはしわが目で認識できない状態のものを示している。結果を表2に示す。
(窪み深さの測定)
各紙容器の底面から立ち上がる各位置でカットし、その水平断面部の光学顕微鏡写真を撮影した。底部部材の原紙表面部分から垂直方向へ窪み深さaを測定し、以下の式の通り、ブランク原紙厚みに相当する紙容器底部の厚みを100としたときの割合(%)を窪み深さとした(図8参照)。
窪み深さ=窪み深さa(mm)/ブランク原紙の厚さ(mm)×100
断面の顕微鏡写真は、図9に例示されているように折り返された胴部部材に底部部材が挟まれた形態となっており、本発明の対象である底部材の絞り加工によって生じるしわの窪み高さを図に示すように厚み方向の寸法aとして測定した。図6乃至図8に示した断面写真はしわが発生する領域をトリミングしたもので、写真中上方の白い部分が外径側胴部部材の原紙であり、下方が底部部材の原紙、そして中間部分はラミネートされたポリエチレンが熱溶着した接着層である。なお、各写真中に示された線分は200μmの寸法を示している。
図5に示される本発明のものは底面から3mm以内では目視できるしわの発生はなく、表面形状が滑らかであることが確認できた。6mmの位置でも窪みの最大深さは43%であった。写真から分かるように胴部部材との接着層に気泡(空洞部)の存在などは認められない。また、サンプル毎のバラツキも少なく、3mmの位置では4%であり、6mmの位置でも17%となっている。長期間内容液を貯蔵しても漏れなく安定して使用に耐えうる。特に底面に近い部分にしわがないことが重要である。ロングライフ用の紙容器としての使用に十分対応できるデータである。
図7に現在流通しているロングライフ用の紙容器を従来品1として3つのサンプル(N1,N2,N3)を比較した顕微鏡写真を示す。この写真からまず、はっきりとした窪みが確認でき、胴部部材との接着層に空洞部が認められる。上下の写真は高さ位置が異なるものの周方向位置は揃えてあることから、空洞部は縦方向に連続していることが分かる。この空洞部は漏れの要因となる他そこに殺菌剤が残留する問題やその部分に殺菌処理が及ばないことによる菌の残留といった重大な問題を残す。計測寸法で見ると底面から3mm位置では平均深さが75%であり、本発明の15%と大きく相違している。2mm位置では窪みの平均深さは38%となっている。6mmの位置での窪みの平均深さは130%となっており、この部分ではしわがかなり大きいことが認められる。サンプル毎のバラツキについては、3mmの位置では17%であり、6mmの位置では64%と相当大きくなっている。
図8に示される従来品2は、どの写真からもはっきりとしたしわの窪みが確認でき、空洞部も散見される。底面から3mm位置では平均深さが72%であり、本発明の23%とは大きく相違している。2mm位置では窪みの平均深さは52%となっており、6mmの位置での窪みの平均深さは80%となっており、底位置から徐々に増加の傾向を示しているが、上下方向にわたりしわの深さには大きな差がないことが認められる。そして、底面から3mmまでの位置でみると、2mm位置で平均深さが52%、3mm位置で平均深さが72%となっており、しわの存在が確認される。
以上のとおり、本発明を従来品と比較するとその成形加工後の表面状態が格段に優れていることが分かる。まず、従来品と異なり、目視できるような明らかなしわが無いこと、そのことによって、成形体の仕上りが綺麗であることは勿論のこと、胴部部材のような他の部材との接着に際しては接着層に空洞部などを生じることなく安定した接着が可能となる。しかも組織的に最も密度が高くなるブランクの外周端部に至るまで、窪みの発生が抑えられているので高さ方向にも良好な接着状態を確保でき、空洞部の発生も防止できることもあってロングライフに耐えられる望ましい紙容器を提供できる。
本明細書では紙コップ等の紙容器の底部成形を例に説明してきたが、この発明は2ピースの紙容器の底部に限らず、紙皿、紙トレー、1ピースの紙容器など側壁の高さがさほど高くない容器にも適用可能である。本発明の紙成形体又は紙容器に収納される内容品としては、牛乳、ポーション用途ミルク、コーヒーなどの飲料、ジャム、ヨーグルト、チーズ、バター、アイスクリーム、スナック菓子などの食品がある。
1 絞りしごき成形用ダイス 2 ブランキング用ダイス
3 絞りしごき成形用パンチ 4 ブランキング用パンチ
4a ブランキング用パンチの段部 5 しわ押さえ部材
5a しわ押さえ部材の段部 6 紙シート
6a ブランク
イ 底部部材 ロ 胴部部材
d しわ押さえ部材の先端面とダイスの天面との間隙
α ダイス1のアプローチ角 β パンチ3の先端逃がし角

Claims (2)

  1. 紙を主体とする一枚のブランクからパンチとダイスでその外周縁部を立ち上がり形状の壁部に絞り加工する方法において、ブランクの外周縁部をしわ押さえ部材とダイス天面とで加圧して押さえる機構を用い、該しわ押さえ部材の圧力をしわ発生開始高さについては閾値3mmを越えるしわ押さえ圧力の割合値以上、前記ブランクの抄紙方向の垂直方向へのブランク引張強度に対するしわ押え圧力の割合については12%以下の範囲とし、
    前記パンチの先端部の曲率半径Rbが、ブランクの厚さをtとしたとき、0.3t〜6tとなるように設定し、前記パンチの先端部に続く外周面に逃がしテーパー角度0.1°〜5°を設け、前記パンチを嵌合する前記ダイスのアプローチ角を0.1°〜5°とするとともに、前記ダイスの先端部形状Rをブランクの厚さをtとしたとき、2.5t〜6tとしたパンチ及びダイスを用いて絞り加工することを特徴とする紙成形体を製造する方法。
  2. 前記紙成形体は、紙シートからブランクを打ち抜き後、絞り成形された底部部材であり、該底部部材を筒状の胴部部材に挿入し、胴部部材に側壁に接着する、請求項1に記載の紙容器の製造方法。
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